説明

データ入力装置、データ入力装置の制御方法およびプログラム

【課題】表示領域を効率よく使用することが可能な入力装置を提供すること。
【解決手段】多機能機は、指示座標を検出する機能および各種のデータを表示する機能を有する表示パネルを備え、表示パネルが検出する指示座標に基づく処理を行う。表示パネルの第1領域内に無線LAN設定ボタンを表示する。表示パネルが取得した指示座標が第1領域内に位置する場合に、無線LAN設定ウィザードを実行する。無線LAN設定ウィザードの実行が完了したと判断される場合に、無線LAN設定ボタンに代えて、無線LAN設定ウィザードを完了することに応じて得られる受信電波強度に関する電波強度表示を第1領域内に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、各種の画像を表示するデータ入力装置、データ入力装置の制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
小さな操作画面に対して多くの機能を表示するための工夫として、例えば、階層構造のメニュー表示化を行う方法がある。階層構造では、ある階層の表示画面内のボタン画像を選択すると次の階層の画面に遷移する。次の階層の画面には、別のボタン画像が複数表示される。小さな操作画面に深い階層での設定操作を必要とせず、操作性に優れ、直感的に理解しやすい設定を行う技術として、特許文献1の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−152818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能やファクシミリ機能などの多機能化の進んだ複合機において、多くの機能の設定を小さな操作画面に深い階層構造により表示させる方法は、ユーザが選択を所望する機能の設定を画面表示させるために必要な操作数を増加させる傾向にあり、必要な機能がどこにあるか、またどの機能を使ったら良いのかがわかりにくく、使い勝手が良いとは言えない。本明細書では、このような不便性を解消することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願に記載のデータ入力装置は、指示座標を検出する機能および各種のデータを表示する機能を有する座標検出表示手段を備え、座標検出表示手段が検出する指示座標に基づく処理を行うデータ入力装置であって、座標検出表示手段に少なくとも1つの第1領域を定め、第1領域内に所定の第1画像を表示する第1の表示制御手段と、座標検出表示手段が取得した指示座標が第1領域内に位置する場合に、所定の処理を実行させる処理実行手段と、所定の処理の実行が完了したと判断される場合に、所定の第1画像に代えて、所定の処理を完了することに応じて得られるデータに関するデータ画像を第1領域内に表示する第2の表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
第1画像は、所定の処理の実行を開始させるための画像である。データ画像は、所定の処理の実行が完了した場合に表示される画像である。第1画像及びデータ画像は、互いに関連する画像であるが、同時に同じ領域(第1領域)に表示する必要がない画像である。第1領域を、所定の処理の実行完了の前後で時分割して、第1画像又は、データ画像の両方を表示することが可能な領域として使用することができる。第1領域を時分割で使用することにより、第1画像又はデータ画像を表示させるための手間(階層を切り替える操作など)を減少させることができるため、ユーザの利便性を高めることができる。
【0007】
請求項2に記載のデータ入力装置では、所定の処理の実行により得られた処理結果がリセットされることに応じて、第1画像を第1領域内に再表示する。第1画像を第1領域内に再表示されるため、第1画像が深い階層に表示されてしまう事態を防止でき、所定の処理を再度実行する際の手間を減少させることができる。
【0008】
請求項3に記載のデータ入力装置によれば、無線通信に代えて有線通信が使用されることに応じて、第1画像を第1領域内に再表示する。第1画像を第1領域内に再表示するため、第1画像が深い階層に表示されてしまう事態を防止でき、無線通信の設定を再度実行する際の手間を減少させることができる。
【0009】
請求項4に記載のデータ入力装置によれば、特定の無線基地局の電波強度が閾値よりも小さくなることに応じて、第1画像を第1領域内に再表示する。第1画像を第1領域内に再表示するため、第1画像が深い階層に表示されてしまう事態を防止でき、無線通信の設定を再度実行する際の手間を減少させることができる。
【0010】
請求項5に記載のデータ入力装置によれば、特定の無線基地局の電波強度が予め定められた閾値よりも大きくなることに応じて、第1画像に代えて、データ画像を第1領域内に表示する。無線通信の設定が必要な場合又は、電波強度の表示が必要な場合の各々に対応して、第1領域内に表示される画像を自動で切り替えることが可能となるため、第1領域をさらに有効利用することが可能となる。
【0011】
請求項6に記載のデータ入力装置によれば、第2領域内に、所定の第1画像またはデータ画像に優先して第2画像を表示するか否かを、第2画像の重要度に応じて決定することができる。第2画像を重要度に応じて表示するか否かを決定する事により、座標検出表示手段の表示領域を、さらに有効利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】多機能機の外観図および構成図である。
【図2】多機能機の動作を示すフローチャート(その1)である。
【図3】多機能機の動作を示すフローチャート(その2)である。
【図4】多機能機の動作を示すフローチャート(その3)である。
【図5】多機能機の動作を示すフローチャート(その4)である。
【図6】多機能機の動作を示すフローチャート(その5)である。
【図7】表示パネルの表示例(その1)である。
【図8】表示パネルの表示例(その2)である。
【図9】表示パネルの表示例(その3)である。
【図10】表示優先度テーブル例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施例>
第1実施例を説明する。図1に、本願に係る実施例として例示される印刷システム1のブロック図を示す。印刷システム1は、多機能機10(Multifunction Peripheral(MFP)ともいう)、アクセスポイント62、インターネット70を備える。
【0014】
<多機能機10の構成>
多機能機10は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能、電話機能などを有する装置である。多機能機10は、制御部12、表示パネル50、ハードキー52、印刷部54、スキャン部56、FAX部58、ネットワークインターフェイス60、無線送受信部36、無線アンテナ部37、等を備える。制御部12は、CPU14、ROM16、RAM30、NVRAM(Non Volatile RAM)40、等を有する。
【0015】
図1に示すように、多機能機10の上面正面側には、表示パネル50が設けられている。表示パネル50は、いわゆるタッチパネルである。表示パネル50は、ユーザの指や、スタイラス(タッチパネル用ペン)が接触または接近された指示座標を検出する機能を有する。表示パネル50は、各種の画像を表示する機能を有する。図7に、表示パネル50に表示される待機画面71の表示例を示す。待機画面71は、階層構造のメニュー表示における、最上層の表示画面である。階層構造は、ある階層の表示画面内のボタン画像を選択すると次の階層の画面に遷移し、別のボタン画像が複数表示される、という構造である。
【0016】
待機画面71は、第1領域A1を備える。第1領域A1は、後述するように、無線LAN設定ボタンB1や電波強度表示D1などを表示するための領域である。図7に示す表示パネル50の表示例では、第1領域A1は、待機画面71の右上隅部に、矩形形状を有して備えられている。無線LAN設定ボタンB1は、無線LAN設定処理(S21)を開始するためのボタン画像である。無線LAN設定は、無線LAN通信203を実行可能にするための各種の設定である。電波強度表示D1は、無線LAN設定処理(S21)が完了することに応じて表示される画像である。
【0017】
待機画面71(図7)には、「SpeedDial」ボタンB2、「Menu」ボタンB3、「History」ボタンB4、「Ink」ボタンB5、などの各種のボタン画像が表示される。これらのボタン画像にタッチすることによって、待機画面71よりも下層の画面を、表示パネル50に表示させることができる。第3領域A3には、現在時刻が表示される。
【0018】
多機能機10の無線送受信部36は、無線アンテナ部37を介してアクセスポイント62との間で無線LAN通信203を行うことにより、各種のデータを構成するデジタル信号を送受信する。無線送受信部36は、無線アンテナ部37で受信される無線LAN通信203に使用する電波の受信電波強度を測定することができる。無線LAN通信の方式の例としては、例えばIEEE802.11a/b/g/nの規格で定められる通信方式が挙げられる。アクセスポイント62は、インターネット70を介して外部機器と通信することが可能である。
【0019】
ネットワークインターフェイス60は、有線LAN回線4に接続されている。 多機能機10は、無線LAN通信203に代えて、有線LAN回線4を用いて、アクセスポイント62と通信することも可能である。
【0020】
CPU14は、ROM16に記憶されているプログラムに従って様々な処理を実行する。CPU14が実行する処理については、後で詳しく説明する。RAM30は、揮発性のメモリであり、基本機能プログラム18に従って処理が実行される過程で生成される各種データを記憶するための記憶領域である。ROM16は、多機能機10の基本的な動作を制御するための基本機能プログラム18を記憶している。
【0021】
NVRAM40は、不揮発性のメモリである。NVRAM40は、無線LAN設定フラグ41、再表示フラグ42、表示優先度テーブル43、を記憶する。無線LAN設定フラグ41は、無線LAN設定が設定済みであるか否かを示すフラグである。再表示フラグ42は、無線LAN設定が設定済みである場合に、無線LAN設定ボタンB1を第1領域A1に再表示するか否かを示すフラグである。表示優先度テーブル43は、第1領域A1に示す画像内容の表示優先度を定めたテーブルである。図10に、表示優先度テーブル43の一例を示す。無線LAN設定ボタンB1および電波強度表示D1の表示優先度は、「中」に設定されている。そして、緊急度の高いエラー表示(印刷ヘッド故障エラー、紙送り機構故障エラー、等)の表示優先度は、無線LAN設定ボタンB1や電波強度表示D1の優先度よりも高い、「高」に設定されている。また、緊急度の低いエラー表示(インク残量エラー、用紙切れエラー、等)の表示優先度は、無線LAN設定ボタンB1や電波強度表示D1の優先度よりも低い、「低」に設定されている。
【0022】
またNVRAM40には、各種の設定が記憶されている。記憶される設定としては、所定時間(S20)、電波強度閾値(S20、S41)、などがある。これらの設定は、予めユーザによって設定されてもよい。
【0023】
第1実施例に係る多機能機10の動作について、図2ないし図4のフローチャートを用いて説明する。図2ないし図4のフローは、多機能機10の電源がオンされることにより開始され、電源がオフされるまで実行され続ける。S11において、CPU14は、エラー表示を表示する必要があるエラーが、多機能機10に発生しているか否かを判断する。エラーが発生していない場合(S11:NO)には、S13へ進む。S13において、CPU14は、NVRAM40に記憶されている無線LAN設定フラグ41が、「設定済み」であるか否かを判断する。無線LAN設定フラグ41が「未設定」である場合(S13:NO)には、まだ無線LAN設定処理が行われていないと判断され、S15へ進む。
【0024】
S15において、CPU14は、待機画面71の第1領域A1に、無線LAN設定ボタンB1を表示する。これにより、図7に示す表示例のように、待機画面71の右上隅部に無線LAN設定ボタンB1が表示される。
【0025】
S17において、CPU14は、無線LAN設定ボタンB1が押下されたか否かを判断する。具体的には、CPU14は、表示パネル50上の押下点の押下座標が取得できたか否かを判断し、押下座標が取得できた場合には、当該取得座標が第1領域A1内に位置するか否かを判断する。無線LAN設定ボタンB1が押下されたと判断する場合(S17:YES)にはS21へ進み、押下されていないと判断する場合(S17:NO)にはS18へ進む。
【0026】
S18において、CPU14は、待機画面71の下層に属するメニュー画面を用いて、無線LAN設定の実行が指示されたか否かを判断する。下層に属するメニュー画面の例としては、待機画面71の表示例(図7)において、「Menu」ボタンB3を押下することによって表示されるメニュー画面が挙げられる。下層に属するメニュー画面を用いて無線LAN設定の実行が指示された場合(S18:YES)にはS21へ進み、指示されていない場合(S18:NO)にはS19へ進む。
【0027】
S19において、CPU14は、第1領域A1に表示されている無線LAN設定ボタンB1が、再表示されているか否かを判断する。無線LAN設定ボタンB1の再表示とは、無線LAN通信203の受信電波強度が弱いことに応じて(S41:YES)、電波強度表示D1の代わりに無線LAN設定ボタンB1を第1領域A1に表示することである。当該判断は、NVRAM40に記憶されている再表示フラグ42が「再表示あり」に設定されているか否かによって行われる。無線LAN設定ボタンB1が再表示されていない場合(S19:NO)にはS11へ戻り、再表示されている場合(S19:YES)にはS20へ進む。
【0028】
S20において、CPU14は、無線LAN通信203の受信電波強度が電波強度閾値よりも大きい状態が、所定時間以上継続しているか否かを判断する。所定時間以上継続していない場合(S20:NO)にはS11へ戻り、所定時間以上継続している場合(S20:YES)にはS21へ進む。
【0029】
S21において、CPU14は、無線LAN設定処理を実行する。無線LAN設定処理の例としては、無線LAN設定ウィザードが挙げられる。無線LAN設定ウィザードは、無線LAN通信203を実行するために必要な各種の設定項目を、対話形式によって簡易に設定する機能である。
【0030】
S23に進むと、CPU14は、無線LAN通信203の接続が成功して通信を実行できる状態となったか否かを判断する。接続が成功していない場合(S23:NO)にはS11へ戻り、成功した場合(S23:YES)にはS25へ進む。S25において、CPU14は、NVRAM40に記憶されている無線LAN設定フラグ41を、「設定済み」に設定する。そしてS11へ戻る。
【0031】
S13において、無線LAN設定フラグ41が「設定済み」である場合(S13:YES)には、無線LAN設定処理が実行済みであると判断され、S31(図3)へ進む。S31において、CPU14は、待機画面71の第1領域A1に、電波強度表示D1を表示する。電波強度表示D1は、無線送受信部36で測定される、無線LAN通信203に使用する電波の受信電波強度を、リアルタイムで表示するものである。またCPU14は、NVRAM40に記憶されている再表示フラグ42を、「再表示なし」に設定する。
【0032】
S33において、CPU14は、無線LAN設定の設定内容がリセットされたか否かを判断する。無線LAN設定のリセットは、例えば、待機画面71の下層に属するメニュー画面から、無線LAN設定のリセットを選択することで行われる。無線LAN設定のリセットが行われた場合(S33:YES)にはS45へ進み、リセットが行われていない場合(S33:NO)にはS35へ進む。
【0033】
S35において、CPU14は、アクセスポイント62との接続方法が、無線LAN通信203から有線LAN回線4に切り替えられたか否かを判断する。切り替えが行われた場合(S35:YES)にはS45へ進み、切り替えが行われていない場合(S35:NO)にはS41へ進む。
【0034】
S41において、CPU14は、無線LAN通信203の受信電波強度が電波強度閾値よりも小さい状態が、所定時間以上継続しているか否かを判断する。所定時間以上継続していない場合(S41:NO)にはS11(図2)へ戻り、所定時間以上継続している場合(S41:YES)にはS43へ進む。S43において、CPU14は、NVRAM40に記憶されている再表示フラグ42を「再表示あり」に設定し、S45へ進む。S45において、CPU14は、NVRAM40に記憶されている無線LAN設定フラグを、「未設定」に設定する。そしてS11(図2)へ進む。
【0035】
また、S11において、エラー表示を表示する必要があるエラーが、多機能機10に発生している場合(S11:YES)には、S51(図4)へ進む。S51において、CPU14は、NVRAM40に記憶されている無線LAN設定フラグ41が、「設定済み」であるか否かを判断する。無線LAN設定フラグ41が「未設定」である場合(S51:NO)には、S53へ進む。
【0036】
S53において、CPU14は、発生しているエラー内容に応じたエラー表示D2の表示優先度の方が、無線LAN設定ボタンB1の表示優先度よりも高いか否かを判断する。当該判断は、NVRAM40に記憶されている表示優先度テーブル43(図10)を用いて行われる。エラー表示D2の表示優先度の方が高い場合(S53:YES)には、エラー表示D2を無線LAN設定ボタンB1よりも優先して表示する場合であると判断し、S55へ進む。S55において、CPU14は、エラー表示D2を第2領域A2に表示する。第2領域A2は、エラー表示D2を表示するための領域である。図9に示す表示例のように、第2領域A2の少なくとも一部は、第1領域A1と重複している。そして、第2領域A2にエラー表示D2が表示され、エラー表示D2によって第1領域A1に表示されている無線LAN設定ボタンB1が隠される。
【0037】
S53において、エラー表示D2の表示優先度の方が無線LAN設定ボタンB1の表示優先度よりも高くない場合(S53:NO)には、無線LAN設定ボタンB1をエラー表示D2よりも優先して表示する場合であると判断し、S57へ進む。S57において、CPU14は、無線LAN設定ボタンB1を第1領域A1に表示する。これにより、図7に示す表示例のように、第1領域A1に無線LAN設定ボタンB1が表示される。
【0038】
また、S51において、無線LAN設定フラグ41が「設定済み」である場合(S51:YES)には、S63へ進む。S63において、CPU14は、発生しているエラー内容に応じたエラー表示D2の表示優先度の方が、電波強度表示D1の表示優先度よりも高いか否かを、表示優先度テーブル43を用いて判断する。エラー表示D2の表示優先度の方が高い場合(S63:YES)にはS65へ進み、CPU14は、エラー表示D2を第2領域A2に表示する。これにより、図9に示す表示例のように、第1領域A1に表示されている電波強度表示D1がエラー表示D2によって隠される。一方、エラー表示D2の表示優先度の方が低い場合(S63:NO)にはS67へ進み、CPU14は、電波強度表示D1を第1領域A1に表示する。これにより、図8に示す表示例のように、第1領域A1に電波強度表示D1が表示される。
【0039】
<動作説明例>
多機能機10の動作例を説明する。例として、無線LAN設定が未設定の状態から、無線LAN設定を設定する場合(多機能機10の購入時など)を説明する。図2のフローが開始されると、無線LAN設定が未設定であるため(S13:NO)、待機画面71の第1領域A1に無線LAN設定ボタンB1(図7)が表示される(S15)。ユーザによる無線LAN設定ボタンB1の押下が検出されると(S17:YES)、無線LAN設定ウィザードが開始される(S21)。無線LAN通信203の接続が成功すると(S23:YES)、NVRAM40に記憶されている無線LAN設定フラグ41が「設定済み」に設定され(S25)、S11へ戻る。
【0040】
無線LAN設定が設定済みであるため(S13:YES)、待機画面71の第1領域A1に、無線LAN設定ボタンB1に代えて電波強度表示D1(図8)が表示される(図3、S31)。受信電波強度が電波強度閾値よりも大きいため(S41:NO)、S11(図2)へ戻る。以下、S11、S13、S31、S33、S35、S41の第1のループが繰り返される。
【0041】
次に、上述の第1のループが繰り返されている状態で、アクセスポイント62の電源が切られ、アクセスポイント62からの電波送出が停止する場合を説明する。無線LAN通信203の受信電波強度が電波強度閾値よりも小さい状態が、所定時間以上継続するため(図3、S41:YES)、再表示フラグ42が「再表示あり」に設定され(S43)、無線LAN設定フラグが「未設定」に設定される(S45)。図2のフローへ戻り、無線LAN設定が未設定であるため(S13:NO)、第1領域A1に無線LAN設定ボタンB1(図7)が再表示される(S15)。再表示フラグ42が「再表示あり」に設定されており(S19:YES)、受信電波強度が電波強度閾値よりも小さいため(S20:NO)、S11へ戻る。以下、S11、S13、S15、S17、S18、S19、S20の第2のループが繰り返される。そして、アクセスポイント62の電源が再投入され、受信電波強度が電波強度閾値よりも大きい状態が所定時間以上継続すると(S20:YES)、第2のループが終了し、無線LAN設定処理(S21)が開始される。
【0042】
また、上述の第1のループが繰り返されている状態で、多機能機10の印刷ヘッドに故障が発生する場合を説明する。エラー表示を表示する必要があるエラーが発生したため(図2、S11:YES)、S51(図4)へ進む。無線LAN設定が設定済みであるため(S51:YES)、S63へ進む。表示優先度テーブル43(図10)において、印刷ヘッドエラー表示の表示優先度(「高」)の方が、電波強度表示D1の表示優先度(「中」)よりも高いため(S63:YES)、印刷ヘッドエラーのエラー表示D2(図9)を第2領域A2に表示する(S65)。以下、S33、S35、S41、S11、S51、S63、S65の第3のループが繰り返される。そして、エラーが解除されると(S11:NO)、第3のループが終了する。
【0043】
第1実施例に係る多機能機10の効果を説明する。無線LAN設定ボタンB1は、無線LAN設定処理(S21)を開始するためのボタン画像である。また、電波強度表示D1は、無線LAN設定処理(S21)が完了することに応じて行われる無線LAN通信203の、受信電波強度を表示する画像である。すなわち、無線LAN設定ボタンB1及び電波強度表示D1は、互いに関連する画像であるが、同時に同じ第1領域A1に表示する必要がない画像である。よって、第1領域A1を、無線LAN設定処理(S21)の実行完了の前後で時分割して、無線LAN設定ボタンB1および電波強度表示D1の両方を表示することが可能な領域として使用することで、待機画面71の表示領域を効率的に使用することが可能となる。また、無線LAN設定ボタンB1および電波強度表示D1を表示させるために、階層構造のメニューを操作する等の複雑な操作を行う必要を無くすことができるため、ユーザの利便性を高めることができる。
【0044】
また多機能機10は、無線LAN設定がリセットされることに応じて(S33:YES)、無線LAN設定ボタンB1を第1領域A1に再表示することができる。これにより、無線LAN設定を再度実行する必要がある場合において、無線LAN設定ボタンB1を、階層構造の下層に属するメニューではなく、最上層の待機画面71に表示することができる。よって、無線LAN設定の再実行を容易に開始することができる。
【0045】
また多機能機10は、無線LAN通信203に代えて有線LAN回線4が使用されることに応じて(S35:YES)、無線LAN設定ボタンB1を第1領域A1に再表示することができる。これにより、無線LAN設定を再実行する必要がある場合(アクセスポイント62が故障したために、一時的に有線LAN回線4を使用する場合など)において、無線LAN設定の再実行を容易に開始することができる。
【0046】
また多機能機10は、無線LAN通信203の受信電波強度が電波強度閾値よりも小さい状態が、所定時間以上継続することに応じて(S41:YES)、無線LAN設定ボタンB1を第1領域A1に再表示することができる。これにより、無線LAN設定を再度実行する必要がある場合(アクセスポイント62を交換する場合など)において、無線LAN設定の再実行を容易に開始することができる。
【0047】
また多機能機10は、無線LAN通信203の受信電波強度が電波強度閾値よりも大きい状態が所定時間以上継続することに応じて(S20:YES)、無線LAN設定ボタンB1に代えて、電波強度表示D1を第1領域A1に表示する。これにより、無線LAN設定が必要な場合および電波強度の表示が必要な場合の各々に対応して、第1領域A1に表示される画像を自動で切り替えることが可能となるため、第1領域A1をさらに有効利用することが可能となる。
【0048】
また多機能機10は、無線LAN設定ボタンB1または電波強度表示D1に優先して、エラー表示D2を第2領域A2に表示するか否かを、エラー表示D2の重要度に応じて決定することができる(S53、S63)。これにより、待機画面71の表示領域を、さらに有効利用することが可能となる。
【0049】
<第2実施例>
第2実施例を、図5を用いて説明する。第2実施例は、第1実施例におけるエラー表示のフロー(図4)の、第1の変形例である。図2のS11において、エラー表示を表示する必要があるエラーが、多機能機10に発生している場合(S11:YES)には、S81(図5)へ進む。S81において、CPU14は、無線LAN設定フラグ41が、「設定済み」であるか否かを判断する。無線LAN設定フラグ41が「未設定」である場合(S81:NO)には、S83へ進む。S83において、CPU14は、発生しているエラー内容に応じたエラー表示D2を、第2領域A2に表示する。またS85においてCPU14は、無線LAN設定ボタンB1を、エラー表示D2の上側に重なるように、半透明の状態で第1領域A1に表示する。そしてS17(図2)へ進む。これにより、エラー表示D2と無線LAN設定ボタンB1との重複部分では、下側のエラー表示D2が透けて見える状態とすることができる。よって、無線LAN設定ボタンB1とエラー表示D2とを第1領域A1に同時に表示することができるため、待機画面71の表示領域をさらに効率的に使用することが可能となる。
【0050】
また、S81において、無線LAN設定フラグ41が「設定済み」である場合(S81:YES)には、S87へ進み、CPU14はエラー表示D2を第2領域A2に表示する。そしてS33(図3)へ進む。これにより、第1領域A1にエラー表示D2のみが表示される状態とすることができる。
【0051】
<第3実施例>
第3実施例を、図6を用いて説明する。第3実施例は、第1実施例におけるエラー表示のフロー(図4)の、第2の変形例である。S91において、CPU14は、無線LAN設定フラグ41が、「設定済み」であるか否かを判断する。無線LAN設定フラグ41が「未設定」である場合(S91:NO)には、S93へ進み、CPU14は、エラー表示D2を第2領域A2に表示する。またS95においてCPU14は、無線LAN設定ボタンB1を、エラー表示D2の上側に重なるように、第1領域A1に表示する。そして、無線LAN設定ボタンB1がエラー表示D2の上側に重なって表示されている状態と、無線LAN設定ボタンB1が表示されていない状態とを、所定時間ずつ交互に切り替える表示(トグル表示)を実行する。そしてS17(図2)へ進む。これにより、無線LAN設定ボタンB1とエラー表示D2とを第1領域A1に同時に表示することができるため、待機画面71の表示領域をさらに効率的に使用することが可能となる。
【0052】
また、S91において、無線LAN設定フラグ41が「設定済み」である場合(S91:YES)には、S97へ進み、CPU14はエラー表示D2を第2領域A2に表示する。そしてS33(図3)へ進む。これにより、第1領域A1にエラー表示D2のみが表示される状態とすることができる。
【0053】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。以下に変形例を示す。
【0054】
<変形例>
互いに関連する画像であるが、同時に同じ第1領域A1に表示する必要がない画像の組合せは、多種の組合せが存在する。例えば、時刻設定ボタンの画像と時間表示の画像の組合せであってもよい。この場合、時刻を設定するまでは時刻設定ボタンが第1領域A1に表示される。そして時刻設定ボタンがタッチされると、時刻設定が開始される。時刻設定が完了すると、第1領域A1には、時刻設定ボタンに代えて時刻表示が表示される。
【0055】
本実施例では、無線LAN通信203の接続が成功した場合(S23:YES)にのみ、無線LAN設定ボタンB1を第1領域A1に表示しない形態としたが、この形態に限られない。例えば、無線LAN設定処理(S21)が実行されることに応じて、無線LAN通信203の接続の成否に関わらず、無線LAN設定ボタンB1を第1領域A1に表示しないとする形態であってもよい。
【0056】
本実施例では、無線LAN設定の設定内容がリセットされた場合(S33:YES)や、無線LAN通信203から有線LAN回線4に切り替えられた場合(S35:YES)や、受信電波強度が弱くなった場合(S41:YES)に、無線LAN設定ボタンB1を第1領域A1に再表示する形態としたが、この形態に限られない。これらの場合においても、第1領域A1に電波強度表示D1を表示した状態を維持する形態でもよい。
【0057】
また、無線LAN設定の設定内容がリセットされた場合(S33:YES)ではなく、多機能機10の全設定をリセットして工場出荷時状態に戻した場合にのみ、無線LAN設定ボタンB1を第1領域A1に再表示する形態であってもよい。
【0058】
電波強度表示D1に、無線LAN設定ボタンB1の機能を持たせる形態であってもよい。この場合、電波強度表示D1をタッチすると、無線LAN設定ウィザード(S21)が開始される。これにより、無線LAN設定を再度実行する必要がある場合(アクセスポイントを切り替える場合など)において、無線LAN設定の再実行を容易に開始することができる。
【0059】
本願の技術の特徴は、表示パネル50の表示領域を有効利用する点である。よって、本願の技術の適用範囲は多機能機10に限定されず、表示画面を有する各種の装置(携帯電話、ノートPCなど)に適用可能である。
【0060】
なお、ROM16やNVRAM40に記憶されている、表示優先度テーブル43などの各種の情報は、外部記憶装置に記憶されるとしてもよい。そして外部記憶装置から各種の情報が読み出され、RAM30に一旦記憶された上で、各種の処理が行なわれるとしてもよい。外部記憶装置の例としては、メモリーカードや外付のハードディスクなどが挙げられる。
【0061】
なお、表示パネル50は座標検出表示手段の一例である。無線LAN設定ボタンB1は第1画像の一例である。S15を実行するCPU14は第1の表示制御手段の一例である。無線LAN設定ウィザードは所定の処理の一例である。S21を実行するCPU14は処理実行手段の一例である。電波強度表示D1はデータ画像の一例である。S31を実行するCPU14は第2の表示制御手段の一例である。表示パネル50およびCPU14はデータ入力装置の一例である。無線LAN設定は処理結果の一例である。S45、S15を実行するCPU14は第3の表示制御手段の一例である。無線LAN通信203は無線通信の一例である。有線LAN回線4は有線通信の一例である。アクセスポイント62は無線基地局の一例である。エラー表示D2は第2画像の一例である。
【符号の説明】
【0062】
4:有線LAN回線、14:CPU、50:表示パネル、62:アクセスポイント、203:無線LAN通信、A1:第1領域、A2:第2領域、B1:無線LAN設定ボタン、D1:電波強度表示、D2:エラー表示


【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示座標を検出する機能および各種のデータを表示する機能を有する座標検出表示手段を備え、前記座標検出表示手段が検出する指示座標に基づく処理を行うデータ入力装置であって、
前記座標検出表示手段に少なくとも1つの第1領域を定め、前記第1領域内に所定の第1画像を表示する第1の表示制御手段と、
前記座標検出表示手段が取得した前記指示座標が前記第1領域内に位置する場合に、所定の処理を実行させる処理実行手段と、
前記所定の処理の実行が完了したと判断される場合に、前記所定の第1画像に代えて、前記所定の処理を完了することに応じて得られるデータに関するデータ画像を前記第1領域内に表示する第2の表示制御手段と、
を備えることを特徴とするデータ入力装置。
【請求項2】
前記所定の処理の実行により得られた処理結果がリセットされることに応じて、前記データ画像に代えて、前記所定の第1画像を前記第1領域内に再表示する第3の表示制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ入力装置。
【請求項3】
前記所定の処理は、無線通信の設定処理を含んでおり、
前記第3の表示制御手段は、前記無線通信に代えて有線通信が使用されることに応じて、前記データ画像に代えて、前記所定の第1画像を前記第1領域内に再表示することを特徴とする請求項1または2に記載のデータ入力装置。
【請求項4】
前記所定の処理は、特定の無線基地局との間の無線通信の設定処理を含んでおり、
前記第3の表示制御手段は、前記特定の無線基地局の電波強度が予め定められた閾値よりも小さくなることに応じて、前記データ画像に代えて、前記所定の第1画像を前記第1領域内に再表示することを特徴とする請求項2または3に記載のデータ入力装置。
【請求項5】
前記第3の表示制御手段は、
前記特定の無線基地局の電波強度が前記予め定められた閾値よりも小さくなることに応じて前記所定の第1画像が前記第1領域内に再表示されている場合に、
前記特定の無線基地局の電波強度が前記予め定められた閾値よりも大きくなることに応じて、前記所定の第1画像に代えて、前記データ画像を前記第1領域内に表示することを特徴とする請求項4に記載のデータ入力装置。
【請求項6】
前記座標検出表示手段に前記第1領域の少なくとも一部と領域が重複する第2領域を定め、前記第2領域内に所定の第2画像を表示する第4の表示制御手段をさらに備え、
前記第4の表示制御手段は、
前記所定の第2画像の優先度が前記所定の第1画像の優先度に比して高い場合には、前記所定の第2画像を前記所定の第1画像に優先して前記第2領域内に表示し、
前記所定の第2画像の優先度が前記データ画像の優先度に比して高い場合には、前記所定の第2画像を前記データ画像に優先して前記第2領域内に表示することを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載のデータ入力装置。
【請求項7】
指示座標を検出する機能および各種のデータを表示する機能を有する座標検出表示手段を備え、前記座標検出表示手段が検出する指示座標に基づく処理を行うデータ入力装置の制御方法であって、
前記座標検出表示手段に少なくとも1つの第1領域を定め、前記第1領域内に所定の第1画像を表示する第1の表示制御ステップと、
前記座標検出表示手段が取得した前記指示座標が前記第1領域内に位置する場合に、所定の処理を実行させる処理実行ステップと、
前記所定の処理の実行が完了したと判断される場合に、前記所定の第1画像に代えて、前記所定の処理を完了することに応じて得られるデータに関するデータ画像を前記第1領域内に表示する第2の表示制御ステップと、
を備えることを特徴とするデータ入力装置の制御方法。
【請求項8】
指示座標を検出する機能および各種のデータを表示する機能を有する座標検出表示手段を備え、前記座標検出表示手段が検出する指示座標に基づく処理を行うデータ入力装置のためのプログラムであって、
前記座標検出表示手段に少なくとも1つの第1領域を定め、前記第1領域内に所定の第1画像を表示させる第1の表示制御手段と、
前記座標検出表示手段が取得した前記指示座標が前記第1領域内に位置する場合に、所定の処理を実行させる処理実行手段と、
前記所定の処理の実行が完了したと判断される場合に、前記所定の第1画像に代えて、前記所定の処理を完了することに応じて得られるデータに関するデータ画像を前記第1領域内に表示させる第2の表示制御手段と、
を、前記データ入力装置に搭載されるコンピュータに機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−25561(P2013−25561A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159712(P2011−159712)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】