説明

データ処理装置、データ処理方法、および、プログラム

【課題】複製処理が制限されたコンテンツが削除された文書データを保存するとともに、その制限されたコンテンツについての情報を保存するデータ処理装置を提供する。
【解決手段】文書名と、該文書の文書データに含まれ、複製回数が制限されたコンテンツとが対応付けられたテーブルを備え、テーブルを参照して、複製処理の対象となる文書データがコンテンツを含むか否かを判定し、コンテンツを含むと判定された場合に、文書データからコンテンツを削除した削除済み文書データを生成し(S309)、文書名と削除済み文書データとコンテンツの情報とを関連付けて格納する(S313)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書データを複製処理するデータ処理装置、データ処理方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業内で印刷された印刷物が企業外部に流出することが情報漏洩の原因となっている。このような情報漏洩に対する対策として、印刷された内容を蓄積して、情報追跡(誰が何を印刷したか)を可能にする方法やシステムが提案されている。特許文献1には、プリンタドライバ側で印刷ログを生成して印刷ログ格納サーバに送信する構成や、印刷ログの生成に関する設定を行う構成を備えた、クライアントでの印刷ログに関する詳細な設定や管理を可能にする方法が記載されている。
【0003】
ところで、印刷内容を蓄積、即ち、電子データとして保存する際には、保存処理そのものの制約の有無を考慮する必要がある。一般的に、一定の内容を印刷物として出力する処理、又は、再利用が容易な形態で電子データをハードディスク等の記憶装置に保存する処理は、処理の種類に関わらず、複製処理とみなされる場合が多い。
【0004】
また、特許文献2には、印刷回数を予め設定した値に制限する方法が提案されている。印刷した内容を画像データとして保存し、同一の内容の印刷を行う場合には、画像検索によって既に保存された画像を検索して、その結果、検索された場合には、複製とみなす。その複製の許容回数に応じて、コピーが制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−178939号公報
【特許文献2】特開2004−302654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、印刷された文書を保存して蓄積していくシステムにおいて、文書内に複製回数等で制限されたコンテンツが含まれる場合を考える。その場合には、印刷した回数とその印刷用の文書データを保存した回数との合計によって、意図しないで複製の制限回数を超えてしまう場合がある。そのようなことを防ぐために、複製処理対象の文書データを保存する場合には、複製処理に制限を有するコンテンツを除いて文書データを保存する方法が考えられる。
【0007】
しかしながら、そのような場合には、保存された文書データについては制限を有するコンテンツが除かれてしまっているので、特許文献2のような複製か否かを判断するために、蓄積された文書データから画像検索する際の検索効率が低下してしまう。
【0008】
上記の点に鑑み、本発明は、複製処理が制限されたコンテンツが削除された文書データを保存するとともに、その制限されたコンテンツについての情報を保存するデータ処理装置、データ処理方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係るデータ処理装置は、文書データを複製処理するデータ処理装置であって、複製処理の対象となる文書データが複製を制限されたコンテンツを含むか否かを判定する第1の判定手段と、前記複製を制限されたコンテンツを含むと判定された場合に、前記文書データから前記複製を制限されたコンテンツを削除した削除済み文書データを生成する生成手段と、前記文書名と前記削除済み文書データと前記複製を制限されたコンテンツのリンク情報とを関連付けて格納する格納手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複製処理が制限されたコンテンツが削除された文書データを保存するとともに、その制限されたコンテンツについての情報を保存するので、検索効率の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】情報追跡システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す印刷制御部とログ制御部の構成を示す図である。
【図3】実施例1の文書複製処理におけるデータ処理の手順を示す図である。
【図4】図3に示す処理で用いられるテーブルを示す図である。
【図5】コンテンツと印刷された印刷内容の一例を示す図である。
【図6】実施例2の文書複製処理におけるデータ処理の手順を示す図である。
【図7】図6に示す処理で用いられるテーブルを示す図である。
【図8】文書にコンテンツの識別番号が印刷された一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0013】
[実施例1]
図1は、本実施例における情報追跡システムの構成を示す図である。本システムは、印刷クライアント10、プリンタ20、スキャナ30、追跡情報格納サーバ40、コンテンツサーバ50、管理クライアント60を含んでいる。それぞれの装置は、ネットワーク70によって、相互に通信可能に接続されている。本システムにおいて、印刷クライアント10が文書等を印刷した際にはその文書データが追跡情報格納サーバ40に格納されて蓄積されていき、管理クライアント60が印刷処理の情報を追跡することができる。また、本システムにおいては、文書に対しての印刷処理やデータ保存処理、複写処理等を総称して複製処理という。
【0014】
本実施例においてデータ処理装置として扱われる印刷クライアント10と追跡情報格納サーバ40には、例えば、汎用的なPCが用いられる。従って、印刷クライアント10は、ハードウェア的な構成として、記憶領域であるROM102やRAM103、ユーザインタフェース画面を表示するための表示部104、キーボード等の入力部106、それらを制御するCPU101を含んでいる。また、CPU101〜入力部106は、バス107によって相互に通信可能なように接続されている。コンテンツサーバ50や管理クライアント60も上記のようなハードウェア構成とされても良い。
【0015】
図1に示す各装置には、上記のハードウェア構成により本実施例に係る機能を実現するための主要な機能ブロックのみが示されている。印刷クライアント10は、通信制御部11と印刷制御部12とログ制御部13を含んでいる。通信制御部11は、外部装置とのデータ通信を制御する。印刷制御部12は、ユーザの指示によりプリンタ20に印刷を実行させる。ログ制御部13は、ログインユーザ名、印刷実施日付情報などのログ情報を生成し、印刷等のための文書データを生成する。また、印刷制御部12からの指示により行われた印刷処理および電子データの保存処理とを区別なく複製処理として扱い、その複製の回数の制限に応じて、文書データの生成や削除を行う。
【0016】
プリンタ20は、通信制御部21と印刷制御部22と出力部23を含んでいる。通信制御部21は、通信制御部11と同じ機能を有する。印刷制御部22は、印刷クライアント10から通信制御部21を介してPDLを受信して印刷データ(RIP)に変換する。出力部23は、印刷制御部22からの指示により印刷媒体を出力する。スキャナ30は、通信制御部31と読取制御部32と読取部33を含んでいる。通信制御部31は、通信制御部11と同じ機能を有する。読取部33は、紙等の印刷媒体に印刷された文字等を光学的に読み取る。読取制御部32は、読取部33で読み取った文書データを通信制御部31を介して外部装置に転送する。
【0017】
追跡情報格納サーバ40は、通信制御部41とログ管理部42と追跡部43と記憶部44とを含んでいる。通信制御部41は、通信制御部11と同じ機能を有する。ログ管理部42は、印刷クライアント10から受信したログ情報と文書データとを関連付けて管理する。追跡部43は、管理クライアント60から通信制御部41を介して受信した指示により、スキャナ30で読み取られて通信制御部41を介して送信された文書データと一致する文書データを記憶部44から検索する。また、追跡部43は、被検索対象の文書データを管理クライアント60が表示可能なデータに変換する。記憶部44は、印刷クライアント10から受信したログ情報および文書データを格納する。
【0018】
コンテンツサーバ50は、通信制御部51とコンテンツ管理部52と記憶部53とを含んでいる。通信制御部51は、通信制御部11と同じ機能を有する。コンテンツ管理部52は、印刷クライアント10や追跡情報格納サーバ40からの要求に基づき、通信制御部51を介して印刷に必要な画像コンテンツを提供する。記憶部53は、コンテンツ管理部52が管理する文書データを格納する。
【0019】
図2の(a)は、印刷クライアント10の印刷制御部12の機能構成を示す図である。印刷制御部12は、印刷アプリケーション201と、描画処理であるGDIに代表されるグラフィックエンジン202と、プリンタ固有の印刷データを生成するプリンタドライバ203を含んでいる。まず、ユーザが印刷アプリケーション201からプリンタ20に対する印刷を指示する。すると、グラフィックエンジン202は、用意されたプリンタドライバ203を呼び出し、印刷アプリケーション201の出力をプリンタドライバ203に設定する。このようにして、印刷アプリケーション201は、ユーザによる設定データを描画命令によりプリンタドライバ203に渡すことができる。プリンタドライバ203は、受け取った描画命令をプリンタ20に固有のページ記述言語(PDL)に変換してプリンタ20に送信する。
【0020】
図2の(b)は、印刷クライアント10のログ制御部13の構成を示す図である。ログ制御部13は、ログ情報生成部204と画像生成部205とログ情報送信部206を含んでいる。ログ情報生成部204は、プリンタドライバ203から受け取ったPDLからログインユーザ名、印刷実施日付情報などのログ情報を取得する。画像生成部205は、プリンタドライバ203から受け取ったPDLから文書データを生成する。ログ情報送信部206は、取得したログ情報と生成した文書データを追跡情報格納サーバ40に送信する。なお、ログ制御部13は、プリンタドライバ203のアドオンモジュールとして構成されても良いし、独立したライブラリモジュールとして構成されても良い。
【0021】
以下、本情報追跡システムにおいて印刷が実行された際の処理の手順について図3を用いて説明する。ユーザの指示により文書名が指定されて複製処理の一つである印刷処理が開始されると、まず、対象の文書に複製処理について制限されているコンテンツがあるか否かが判定される。この判定について図4を用いて説明する。
【0022】
図4の(a)は、印刷クライアントによる印刷が実行された場合、文書に複製処理について制限されているコンテンツが含まれるか否かを判定する際に用いられるテーブルの一例を示す図である。この判定は、本発明における第1の判定処理の一例とする。図4の(a)に示すテーブルは、印刷クライアント10に格納されており、印刷対象を識別する文書名とコンテンツサーバ50が管理するコンテンツの属性とを対応付けている。項目401は、印刷対象を表す文書名を示し、項目402は、印刷対象文書に含まれている複製処理の制限を有するコンテンツを識別するための番号である。ユーザの指示により印刷対象文書の印刷の実行が開始されると、項目401の文書名のうち、印刷対象文書名に対応する項目402が参照され、その項目402の内容がヌル(null)であるか否かが判定される。ここで、ヌルであれば、その文書は複製処理について制限されているコンテンツを含まず、ヌルでなければ、その文書は複製処理について制限されているコンテンツを含むと判定される。
【0023】
以下、印刷の際に、その対象文書が複製処理について制限されているコンテンツを含むと判定された後の処理について、図3を参照しながら説明する。図3は、本システムの全体の処理の手順を示すフローチャートである。図3の印刷クライアント10での処理は、例えば、印刷クライアント10のCPU101によって実行され、追跡情報格納サーバ40での処理は、例えば、追跡情報格納サーバ40のCPU101によって実行される。
【0024】
ユーザにより指示された印刷対象文書の印刷が開始されると、印刷クライアント10のログ制御部13のログ情報生成部204は、印刷を実行したユーザ名等の追跡用データを収集する(S301)。次に、ログ情報送信部206は、追跡用データをログ情報生成部204から取得し、文書名とともに追跡情報格納サーバ40に送信する(S302)。印刷制御部12は、ユーザにより指定された文書が初めて印刷されるのか、又は、再印刷であるのかを判定する(S303)。ここで、初めて印刷されると判定された場合には、S304に進み、一方、再印刷であると判定された場合には、S313に進む。印刷制御部12は、ユーザにより指定された文書に対応するPDL等の印刷データをプリンタドライバ203から取得する(S304)。ログ制御部13の画像生成部205は、S304で取得した印刷データから文書データを例えばJPEGやTIFF形式の画像データとして生成する(S305)。S305で生成された文書データは、図3においては画像1と示されている。ログ情報送信部206は、生成された文書データを追跡情報格納サーバ40に送信する(S306)。
【0025】
次に、追跡情報格納サーバ40のログ管理部42は、追跡用データと文書名と文書データとを印刷クライアント10から受信する(S307)。ログ管理部42は、受信した文書データから画像の特徴量を抽出して、その文書データと特徴量を一時的に保存する(S308)。ここで、特徴量とは、例えば、画像の周波数特性や特定のブロック単位での色の特徴を定量的に表現したものである。
【0026】
図4の(b)は、S308で追跡情報格納サーバ40で保存されるテーブルの一例を示す図である。項目403は、文書名を示す。項目404は、追跡用データを示し、本実施例においては、印刷を実行したユーザ名である。項目405は、画像の特徴量を示し、本実施例においては、印刷された内容に含まれる文字列である。項目406は、文書データの追跡情報格納サーバ40での格納場所を示す。
【0027】
次に、印刷クライアント10のログ制御部13の画像生成部205は、文書データから複製処理について制限を有するコンテンツを削除した削除済みの文書データを生成する(S309)。S309で生成された削除済みの文書データは、図3では画像2と示されている。ここで、図5を用いて説明する。図5は、コンテンツサーバ50に保存されているコンテンツの一例と各コンテンツを組み合わせて印刷された印刷内容の一例を示す図である。図5の(a)は、印刷アプリケーション201で用いられるコンテンツ群(コンテンツ501〜503)を示す。図5の(b)は、ユーザが印刷を指示した文書の画像を示し、背景を示すコンテンツ503にコンテンツ501及び502が重ねられている。図5の(c)は、S309において画像生成部205で生成される文書データの画像を概念的に示している。図5の(a)において、コンテンツ501、502、503のうち、コンテンツ501が複製処理について制限を有するコンテンツとする。図5の(c)に示すように、背景を示すコンテンツ503にコンテンツ501及び502が重ねられた画像から、S309において複製処理について制限を有するコンテンツ501が削除されている。
【0028】
ログ情報送信部206は、S309で生成された削除済みの文書データと、文書名と、コンテンツ501についての情報とを追跡情報格納サーバ40に送信する(S310)。ここで、コンテンツ501についての情報とは、例えば、コンテンツ503におけるコンテンツ501の座標と、コンテンツサーバ50におけるコンテンツ501の格納場所である。ログ情報送信部206は、追跡情報格納サーバ40に、S308で一時的に保存した文書データを削除するよう指示する(S311)。
【0029】
追跡情報格納サーバ40は、S311で送信された指示に基づき、図5の(b)に相当する文書データを削除する(S312)。追跡情報格納サーバ40のログ管理部42は、S310で印刷クライアント10から送信された削除済みの文書データ、文書名、コンテンツ501についての情報を受信する。さらに、ログ管理部42は、S307で受信した文書名および追跡用データとともに、文書名を介して関連付けて保存する(S313)。即ち、文書名と、コンテンツ501が削除された削除済みの文書データと、コンテンツ501についての情報と、追跡用データとが関連付けられて保存される。但し、S303で再印刷であると判定された場合には、S313において、文書名と追跡用データとが関連付けられて保存される。
【0030】
図4の(c)は、S313において追跡情報格納サーバ40に保存されたテーブルの一例を示す図である。項目407は、文書名を示す。項目408は、追跡用データを示し、本実施例においては、印刷を実行したユーザ名である。項目409は、管理クライアント60が追跡目的のため表示や印刷を行う際に、再度、コンテンツ(CC0001)が削除された文書データ(Book_A)とコンテンツ(CC0001)とを合成する必要がある旨を示す。本実施例においては、そのコンテンツ(CC0001)と合成するという意味で、「リンク」と表示される。また、コンテンツ(CC0001)とは、即ち、複製処理について制限されているコンテンツの一例である。項目410は、合成を行う際に必要となる、コンテンツ(CC0001)の座標とコンテンツサーバ50におけるコンテンツ(CC0001)の格納場所を示している。即ち、上述のコンテンツについての情報の一例である。
【0031】
管理クライアント60が追跡目的のため、ユーザ(例えば、John)が印刷した文書「Book_A」を表示や印刷する際には、その文書名により表示や印刷処理を行う指示を追跡情報格納サーバ40に送信する。追跡情報格納サーバ40は、図4の(c)のテーブルを参照し、文書名(Book_A)やユーザ名(John)や特徴量によって検索する。すると、追跡情報格納サーバ40は、図4の(c)の項目409により、その文書が複製処理について制限されているコンテンツを含んでいるので合成する必要があると判断する。追跡情報格納サーバ40は、項目410を参照して、コンテンツサーバ50より複製処理について制限されているコンテンツを取得し、複製処理について制限されているコンテンツが削除されている文書データと合成する。追跡情報格納サーバ40は、その合成された文書データを、追跡のための文書データとして管理クライアント60による表示や印刷のために用意する。
【0032】
以上のように、あるユーザにより印刷や保存等の複製処理された対象文書を追跡目的の為に保存しておくシステムにおいて、対象文書が複製処理について制限されているコンテンツを含む場合には、対象文書からそのコンテンツを削除して保存する。その結果、制限を有するコンテンツについては、本システムでの文書の印刷処理が行われて保存される処理において、意図しないで複製回数が制限を越えてしまうことを防ぐことができる。
【0033】
また、そのコンテンツが削除された文書を保存する際には、削除されたコンテンツがシステムのどこに管理されているのかが対象文書名と関連付けられたテーブルも合わせて保存する。管理クライアントが追跡目的の為に対象文書を印刷しようとして、保存された複数の文書から対象文書に対応する文書を検索する場合には、文書名やユーザ名や特徴量により検索が行われる。従って、検索対象の文書がコンテンツが削除された文書であっても、検索効率の低下を防ぐことができる。
【0034】
[実施例2]
以下、実施例2について図6を用いて説明する。本実施例においては、複製処理についての制限は、複製の許容回数であるとする。
【0035】
ユーザの指示により文書名が指定されて複製処理の一つである印刷処理が開始されると、まず、対象の文書に複製処理について制限されているコンテンツが含まれるか否かが判定される。本実施例においては、印刷クライアント10は、図7の(a)に示すようなテーブルを用いて判定を行う。図7の(a)に示す項目701は、図4に示す項目401と同じである。また、項目702は、項目402と同じである。本実施例においては、実施例1と異なり、複製処理の許容回数を示す項目703と、現在の複製回数を示す項目704とがテーブルに含まれている。つまり、項目703と項目704は、対象文書に含まれるコンテンツの複製処理の制限の内容を示している。
【0036】
対象の文書に複製処理について制限されているコンテンツが含まれると判定された場合には、図6に示す処理が行われる。図6において、S601、S602は、それぞれ、S301、S302と同じである。また、S604〜S609は、それぞれ、S303〜S308と同じである。また、S611〜S615は、それぞれ、S309〜S313と同じである。
【0037】
本実施例において、印刷クライアント10は、複製処理(印刷や保存)の回数をカウントしておき、S602の後のS603において、そのカウント値を1加算する。また、S603において更新されたカウント値は、図7の(a)に示す項目704に反映する。
【0038】
また、本実施例において、S609の後のS610において、印刷クライアント10は、図7の(a)に示すテーブルを参照し、項目704の値が項目703の値と等しいか否かを判定する。この判定を、本発明における第2の判定の一例とする。ここで、項目704の値が項目703の値と等しいと判定された場合には、S615に進む。一方、項目704の値が項目703の値と等しくない(即ち、項目703に示す複製回数未満)と判定された場合には、S611以下の処理が行われる。
【0039】
図7の(b)は、S615における処理の結果、追跡情報格納サーバ40において格納されるテーブルの一例を示す図である。図7の(b)に示す項目705〜908は、図4の(c)に示す項目407〜410と同じである。本実施例においては、文書名「Book_A」については、S610において項目704の値が項目703の値に等しいと判定された場合のデータ(フル(full)、ヌル(null))が格納されている。つまり、Book_Aが印刷処理されたことにより複製許容回数限度まで達したので、以降のBook_Aについての複製処理(印刷や保存)は禁止される。つまり、図6に示す処理の後、管理クライアント60からBook_Aについて印刷処理されたとしても、図7の(b)を参照して、画像管理方法がフルであることから複製許容回数限度であり複製処理が禁止されていると判断することができる。また、当然のことながら、複製処理について制限されているコンテンツの格納場所(リンク情報)は、何も格納されず、ヌルとされる。
【0040】
以上のように、本実施例においては、実施例1に加えて、印刷や保存等の複製処理の回数を文書ごとにカウントし、複製許容回数まで文書データ(図3に示す画像1または画像2)を追跡情報格納サーバに格納する。また、複製許容回数に達した場合には、画像1のみを格納し、その際に、複製処理について制限されているコンテンツの情報は格納しない。その結果、複製許容回数を超えて、管理クライアント60からの追跡のための複製処理を行うことを禁止することができる。
【0041】
[実施例3]
実施例3においては、文書を複写した際に、その文書が複製処理について制限を有するコンテンツを含むか否かを判定し、その後、図3や図6に示すような処理を行う。図8は、複写する文書の一例を示す図である。図8に示すように、文書の特定の箇所に複製処理について制限を有するコンテンツの識別番号801を含んでいる。その識別番号は、図7の(a)に示す項目702に対応している。その文書を以って複写処理が行われ、読取られた識別番号に対応する文書名を図7の(a)のテーブルを参照して検索し、該当する複製処理についての制限があるコンテンツを含むか否かを判定する。ここで、制限があるコンテンツを含むと判定された場合には、図3又は図6の処理を行う。
【0042】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書データを複製処理するデータ処理装置であって、
複製処理の対象となる文書データが複製を制限されたコンテンツを含むか否かを判定する第1の判定手段と、
前記複製を制限されたコンテンツを含むと判定された場合に、前記文書データから前記複製を制限されたコンテンツを削除した削除済み文書データを生成する生成手段と、
文書名と前記削除済み文書データと前記複製を制限されたコンテンツのリンク情報とを関連付けて格納する格納手段と
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記複製処理される文書を特定する情報と、前記複製処理される文書に含まれる複製を制限されたコンテンツとを対応付ける対応付け情報を記憶する記憶手段を更に備え、
前記第1の判定手段は、前記記憶手段に記憶された前記対応付け情報を参照して前記判定を行うことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記コンテンツのリンク情報は、前記コンテンツの格納場所を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
複製回数をカウントするカウント手段と、
該カウントされた値に基づいて、前記複製回数が制限された複製回数であるか、若しくは、前記制限された複製回数未満であるかを判定する第2の判定手段と、
前記制限された複製回数未満であると判定された場合に、前記格納手段が、前記文書名と前記削除済み文書データと前記コンテンツのリンク情報とを関連付けて格納することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記複製処理とは、印刷処理とデータ保存処理の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
文書データを複製処理するデータ処理装置において実行されるデータ処理方法であって、
前記データ処理装置の判定手段が、前記複製処理の対象となる文書データが複製を制限されたコンテンツを含むか否かを判定する判定工程と、
前記データ処理装置の生成手段が、前記複製を制限されたコンテンツを含むと判定された場合に、前記文書データから前記複製を制限されたコンテンツを削除した削除済み文書データを生成する生成工程と、
前記データ処理装置の格納手段が、文書名と前記削除済み文書データと前記複製を制限されたコンテンツのリンク情報とを関連付けて格納する格納工程と
を備えることを特徴とするデータ処理方法。
【請求項7】
文書データを複製処理するデータ処理装置において実行されるプログラムであって、
データ処理装置としてのコンピュータを、
前記複製処理の対象となる文書データが複製を制限されたコンテンツを含むか否かを判定する判定手段と、
前記複製を制限されたコンテンツを含むと判定された場合に、前記文書データから前記複製を制限されたコンテンツを削除した削除済み文書データを生成する生成手段と、
文書名と前記削除済み文書データと前記複製を制限されたコンテンツのリンク情報とを関連付けて格納する格納手段と
して機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−44045(P2011−44045A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192489(P2009−192489)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】