説明

データ処理装置およびプログラム

【課題】 プレビュー機能を有効にした場合のユーザの操作の煩わしさを軽減する。
【解決手段】 アプリケーションから受信したデータおよび印刷設定に基づき印刷データを生成する生成手段と前記印刷データのプレビュー画像を表示するプレビュー手段とを備えたデータ処理装置において、上記プレビュー画像を表示する条件であるプレビュー条件を予め記憶させておき、印刷データについてプレビュー条件の成否を判断し(S104〜S106)、プレビュー条件が成立すると判断した場合に、プレビュー手段がプレビュー画像を表示するようにした(S107)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷設定に基づき印刷データを生成するデータ処理装置およびコンピュータをこのようなデータ処理装置として機能させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータなどデータ処理装置のユーザがアプリケーションで作成又は参照したデータをプリンタなどの画像機器を用いて印刷することが行われている。このとき、ユーザがアプリケーションを操作し、印刷に関する処理を制御する印刷制御プログラムを呼び出して、その画面上で種々の印刷設定を行ったうえで、印刷を指示することがある。例えば、原稿サイズ、印刷用紙サイズ、モノクロ/カラー、変倍の有無、変倍の倍率、印刷部数、原稿方向などである。なお、印刷制御プログラムは画像機器がプリンタの場合、一般にプリンタドライバと呼ばれる。
【0003】
印刷制御プログラムには、ユーザが印刷設定後に印刷指示を行うと、当該印刷設定に基づいて予想される印刷結果の画像を表示する機能をもつものがある。このような印刷制御プログラムの機能は一般にプレビュー機能と呼ばれ、この機能により表示される画像は一般にプレビュー画像と呼ばれる。この機能により、印刷設定および印刷指示後、印刷開始前に、ユーザは印刷結果を確認してから、実際の印刷を行わせるよう指示することができる。また、印刷結果が不満な場合には印刷をキャンセルするよう指示することもできる。
例えば、特許文献1は、より正確な印刷結果を予想してプレビュー画像を表示するため、印刷設定のみでなくデータ処理装置の情報を考慮して表示する技術を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の印刷制御プログラムはプレビュー機能を有効にするか否かという設定しかできなかった。よって、いったんプレビュー機能を有効にするよう設定すると、実際の印刷の前に、必ずプレビュー画像が表示され、ユーザは再び指示を行わなくてはならず、煩わしいという問題があった。特にユーザが大量の印刷指示を行う場合に問題であった。
【0005】
下記特許文献1に記載された情報処理装置においても「プレビューするかしないかのフラグ」という記載からわかるように、プレビュー機能を有効にするか否かという設定しかできない(図12、段落0098などを参照)。そして有効にするよう設定した場合、プレビュー画面において、ユーザは再び「続行」または「印刷中止」という指示を行わなくてはならない(図11、図16、段落0097、段落0105などを参照)。よって、上記のような問題がある。
【0006】
そこで、この発明は、上記の問題を解消すべく、プレビュー機能を有効にした場合のユーザの操作の煩わしさを軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明によるデータ処理装置は、アプリケーションから受信したデータおよび印刷設定に基づき印刷データを生成する生成手段と前記印刷データのプレビュー画像を表示するプレビュー手段とを備えたデータ処理装置であって、前記プレビュー画像を表示する条件であるプレビュー条件を記憶可能な手段と、前記プレビュー条件の成否を判断する判断手段とを備え、前記判断手段が前記プレビュー条件が成立すると判断した場合に、前記プレビュー手段は前記プレビュー画像を表示するものである。
【0008】
このようなデータ処理装置において、前記プレビュー条件は前記印刷データの一定範囲において白紙部分の面積が一定以上を占めるという条件であるとよい。
さらに、前記一定範囲は前記印刷データの最終ページであるとよい。
【0009】
さらに、前記プレビュー条件は前記印刷データの一定範囲において白紙部分の面積が一定以上を占める場合であっても、前記一定範囲内の所定の範囲に白紙でない部分がある場合、成立しない条件であるとよい。
さらにまた、前記プレビュー条件の設定を受け付ける受付手段をさらに備えるとよい。
さらに、前記受付手段は前記印刷データのどの範囲を前記一定範囲とするかの設定を受け付けるようにするとよい。
【0010】
また、上記のデータ処理装置において、前記プレビュー条件は前記印刷データの一定範囲をカラーで印刷される部分の面積が一定以上占めるという条件であるとよい。
さらに、前記プレビュー条件は前記印刷データの一定範囲をカラーで印刷される部分の面積が一定以上を占めない場合であっても、前記一定範囲内の所定の範囲にカラーで印刷される部分がある場合は、成立する条件であるとよい。
【0011】
さらに、上記の各データ処理装置において、前記プレビュー手段が、前記プレビュー画像を表示する場合に、前記プレビュー画像を前記プレビュー条件が成立する範囲と前記プレビュー条件が成立しない範囲とで異なる表示態様により表示するようにするとよい。
この発明によるプログラムは、コンピュータをこのようなデータ処理装置として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
以上のような、この発明によるデータ処理装置およびプログラムによれば、プレビュー機能を有効にした場合のユーザの操作の煩わしさを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態であるデータ処理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示したデータ処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】印刷制御プログラムが提供する、印刷に関する設定を受け付けるための画面の例を示す図である。
【図4】図1に示したデータ処理装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【図5】プレビュー画像の表示例を示す図である。
【図6】プレビュー画像の他の表示例を示す図である。
【図7】プレビュー画像の表示例の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1はこの発明の一実施形態であるデータ処理装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。
このデータ処理装置10は、アプリケーション20が出力するデータに基づき印刷制御プログラム40を用いて印刷データを生成することができる。また、生成した印刷データを図示しない画像機器に送信し印刷することができる。なお、図1において、アプリケーション20、OS(Operating System)30及び印刷制御プログラム40は、CPUが記憶手段に記憶されたこれらのプログラムを実行することにより実現される機能を示す。
【0015】
アプリケーション20は、印刷データの基となるデータを扱うことができる任意のプログラムである。例えば、文書データを扱う文書アプリケーション、画像データを扱う画像処理アプリケーション、帳票データを扱う帳票アプリケーションなどである。
OS30は、多くのアプリケーションに対して共通する機能を提供するプログラムであり、印刷に関する処理についても一定の機能を提供している。例えば、Windows(登録商標)やLinux(登録商標)である。
【0016】
印刷制御プログラム40は、データ処理装置10における印刷に関する処理を制御するプログラムである。本実施形態の印刷制御プログラム40は、プレビューモジュール41、解析モジュール42、生成モジュール43、UI(User Interface)モジュール44を含んで構成されている。
【0017】
これらのうちプレビューモジュール41についての詳細は後述する。
解析モジュール42は、アプリケーション20から渡される印刷対象データおよび印刷設定を解析するモジュールである。
生成モジュール43は、印刷対象データおよび印刷設定に基づいて印刷データの生成を行うモジュールである。
UIモジュール44は、ユーザに対し図3に例示するようなUIを提供するモジュールである。本実施形態においてユーザはこのUIを介して印刷設定およびプレビュー条件の設定を行う。
【0018】
以上のモジュールの切り分けは当業者が実施できる任意の切り分けとすることができる。例えば、プレビューモジュール41と生成モジュール43を一のモジュールとすることもできる。
【0019】
印刷設定50、プレビュー機能設定60、プレビュー条件70はデータ処理装置10の記憶装置に記憶されたデータである。
印刷設定50は、アプリケーション20が出力する印刷対象データに基づき画像機器に印刷させる際にユーザが行う設定である。例えば、原稿サイズ、印刷用紙サイズなどである。
プレビュー機能設定60は、データ処理装置10のプレビュー機能が有効であるか否かの設定である。
【0020】
プレビュー条件70は、成立した場合にデータ処理装置10がプレビュー画像の表示を行うという条件である。プレビュー条件70は予めデータ処理装置10に記憶されていてもよいが、ユーザが設定、変更等できるとよい。本実施形態ではユーザがUIモジュール44の提供するUIを介してプレビュー条件70の設定、変更等ができる。もちろん、UIモジュール44が提供するUIとは独立して、プレビュー条件70の設定、変更等ができるUIを設けてもよい。プレビュー条件70を用いた処理については後述する。
【0021】
次に、図2に、データ処理装置10のハードウェア構成を示す。
この図に示すように、データ処理装置10のハードウェアとしては、CPU11、記憶装置12、表示装置13、入力装置14、通信I/F15などを備えた公知のコンピュータを採用することができる。
【0022】
CPU11は、記憶装置に記憶されたアプリケーション20や印刷制御プログラム40などを実行しデータ処理装置10の機能を実現するものである。
記憶装置12は、アプリケーション20、印刷制御プログラム40、印刷設定50、プレビュー機能設定60、プレビュー条件70などデータ処理装置10の機能に必要なデータを記憶できる装置である。記憶装置としては、例えば、RAMなどの半導体記憶装置、HDDまたは光ディスクなどを用いることができる。
【0023】
表示装置13は、アプリケーション20や印刷制御プログラム40の画面などデータ処理装置10の機能に必要な画面を表示できる装置である。表示装置13としては、例えば、液晶ディスプレイなどを用いることができる。
入力装置14は、ユーザの操作、認証情報などデータ処理装置10の機能に必要なデータを入力できる装置である。入力装置14としては、例えば、キーボード、タッチパネル、マウスなどを用いることができる。
【0024】
通信I/F15は、データ処理装置10の機能に必要な他の装置との通信を行うための装置である。データ処理装置10は印刷に関するデータ処理を行う場合、印刷データを生成し、通信I/F15および通信路を介して画像機器に送信し、印刷を行わせることができる。通信I/F15としては、例えば、LANインターフェース、USBインターフェースなどを用いることができる。通信路は有線無線を問わない。
また、前述した記憶装置12、表示装置13、入力装置14を通信I/F15および通信路を介して接続しデータ処理装置10を構成してもよい。
【0025】
これらの各装置はハードウェアとして一体でも複数でもよい。例えば、記憶装置12はRAMを含めた複数の半導体記憶装置とHDDからなることが一般的である。
また、これらの装置は同一筐体内になくともよい。例えば、CPU11、記憶装置12が同一筐体内にあり、別の筐体内にあるCPU、記憶装置、表示装置、入力装置と通信路を介して接続し、データ処理装置10を構成することもできる。この場合、両筐体内に通信I/Fを設ける。
【0026】
また、これらの各装置の他に当業者が追加できる装置をデータ処理装置10に追加してもよい。例えば、データ処理装置10にプリンタなど画像機器を追加することができる。追加した装置は同一筐体内になくともよいし、同一筐体内に設けることもできる。
【0027】
以上のようなデータ処理装置10において特徴的な点は、印刷制御プログラム40が印刷データの生成を要求された場合のプレビューに関する処理である。そこで、以下この点について説明する。
まず、図3に、印刷制御プログラム40のUIモジュール44が提供する、印刷に関する設定を受け付けるための画面の例を示す。
【0028】
この図に示す印刷設定画面100においては、タブ101として、「基本」、「編集」、「プレビュー」、「その他」の4つのタブを設けており、ユーザがこれらを入力装置を用いて選択することで、それぞれのタブと対応する画面に遷移する。
ユーザは「基本」、「編集」と対応する画面を介して、様々な印刷設定を行うことができる。例えば、原稿サイズ、印刷用紙サイズ、モノクロ/カラー、変倍の有無、変倍の倍率、印刷部数、原稿方向などである。ユーザは「プレビュー」と対応する画面を介して、プレビュー機能の有効・無効(プレビュー機能設定)やプレビュー条件を設定できる。また、「その他」と対応する画面を介して、その他の設定が可能である。
【0029】
また、ユーザが上記の設定を行った後にOKボタン102を押下すると、印刷制御プログラム40は、設定内容を確定し、印刷設定50、プレビュー機能設定60及びプレビュー条件70として記憶装置12に記憶させる。一方、ユーザがキャンセルボタン103を押下した場合、印刷制御プログラム40は、印刷設定画面100において行った設定内容は破棄して印刷設定画面100を閉じる。
【0030】
図3には、ユーザにより「プレビュー」タブが選択され、プレビュー条件70を設定・変更等することができる画面が表示された状態を示している。以下では図3を参照しつつ、プレビュー機能の有効・無効の設定、プレビュー条件70の設定について説明する。
図3の画面において、ユーザが「印刷時にプレビューを表示する」のチェックボックス104を選択し、チェックを入れると、データ処理装置10のプレビュー機能が有効となる。一方、チェックボックス104にチェックが入っていない場合、プレビュー機能は有効とならない。
【0031】
また、図3の画面において、チェックボックス104にチェックが入れられると「プレビュー表示のカスタマイズ」のチェックボックス105が選択可能となる。ユーザがチェックボックス105を選択し、チェックを入れると詳細なプレビュー条件70の設定・変更等が可能になる。
ユーザがチェックボックス105を選択しない場合は、プレビュー条件としてデフォルトの条件を用いることになる。
【0032】
図3の示す例では、プレビュー条件として「非白紙判定を行う領域」がページの「上端」、「白紙領域の上限」が「80%」、「カスタマイズ対象ページ」が「全ページを対象とする」という条件が設定されている。よって、アプリケーション20から受信したデータ内にページ上端のみに印刷がされており、かつ白紙部分の面積がページの80%以上を占めるページが1ページでもある場合に、プレビュー条件が成立する。
【0033】
ここでまず、「白紙領域の上限」とは、白紙部分の面積が当該上限として設定した割合を超える場合にプレビュー条件が成立すると判断するものである。例えば、白紙部分が特に多い場合のみ、プレビュー画像により実際の印刷前に確認を行いたいユーザは、この上限を高く設定することにより、プレビュー機能を有効にした場合の操作の手間を軽減できる。一方、白紙部分が多いページと意識せずに印刷指示してしまうのを防ぎたいユーザは、この上限を低く設定することで、より確実なプレビュー画像による確認が可能となる。
【0034】
白紙部分の面積の測定の方法としては、例えば、ページを複数の領域に分割し、各領域がすべて白紙である領域の面積の合計を白紙部分の面積とする方法が挙げられる。当該領域の大きさは任意に決定できるが、最小の領域は印刷データにおける印刷できる最小単位となると考えられる。この場合、白紙部分の面積の測定はインク又はトナーのカバレージの測定と同様になる。また、印刷すべきデータが文書データの場合、当該領域を一文字分の領域とすることが考えられる。
【0035】
また、「非白紙判定を行う領域」とは、当該領域において白紙でない部分があった場合に、プレビュー条件が成立すると判断するような領域を意味する。例えば、この図の示す例のように「非白紙判定を行う領域」をページの「上端」とした場合、ページ「上端」部分に白紙でない部分すなわち印刷される部分がある場合、プレビュー条件が成立すると判断する。この条件は、上記の「白紙領域の上限」と組み合わせた場合に特に有効に機能する。
【0036】
例えば、アプリケーション20が文書アプリケーションであって、印刷しようとするデータが横書きの文書データである場合、上端部分のみに文字・記号・図形等が記載されており、その下部はすべて白紙であるようなページが含まれていることがある。また、ページ「左端」部分のみに文字・記号・図形等が記載かれており、その右部はすべて白紙であるようなページが含まれていることもある。
【0037】
ユーザはこのようなページを印刷不要と判断する場合がある。「非白紙判定を行う領域」及び「白紙領域の上限」の条件をANDで設定しておけば、上端や左端に文字等が記載され、かつ白紙領域の多いページ、すなわち上端部や左端部「のみ」に文字等が記載されたページがあった場合にプレビュー条件が成立するようにすることができる。
そして、そのようなページがある場合には、プレビュー画像を確認したうえで、印刷をキャンセルすることができる。また、そのようなページがない場合には、プレビュー画像を確認する手間を省くことができる。印刷のキャンセルの方法としては、当該文書データの印刷データすべてを破棄する方法と、当該ページの印刷データのみを破棄する方法が考えられる。
【0038】
印刷データすべてを破棄する方法としては、例えば、図3に示した「キャンセル」ボタンを押下することが挙げられる。当該ページの印刷データのみを破棄する方法としては、例えば、後述するプレビュー画像を表示する画面で廃棄を指示することが挙げられる。
【0039】
図3の示す例では「非白紙判定を行う領域」として「上端」と「左端」のみを挙げているが、これ以外に「右端」など他の領域を設定できるようにしてもよいことはもちろんである。「非白紙判定を行う領域」を設定しないことももちろん可能である。
「非白紙判定を行う領域」を決定する方法としては、ページの上端からページの一定割合と定める、または上端から始まる白紙でない部分が途切れるまでとするなど当業者が設計できる任意の方法で決定することができる。
【0040】
次に、「カスタマイズ対象ページ」とは、プレビュー条件の成否を判断する対象とするページを意味する。図3に示す例では「全ページを対象とする」と「最終ページのみ対象とする」が選択可能に構成されている。「全ページを対象とする」を選択した場合、データの全ページについてページごとにプレビュー条件の成否を判断し、1ページでも条件の成立するページがあれば、全体としてプレビュー条件が成立したと判断する。「最終ページのみ対象とする」を選択した場合、最終ページについてのみプレビュー条件の成否を判断する。
【0041】
このようにプレビュー条件の成否を判断する範囲を限定することで、判断に要する処理が削減でき迅速化が図れる。さらに、判断する範囲を最終ページに限定すると、プレビュー条件が成立しやすい最終ページのみについて判断するので効率的である。最終ページについてプレビュー条件が成立しやすい理由は、一般的にデータの最終ページは白紙部分の面積が大きくなる傾向にあるためである。
【0042】
プレビュー条件の成否を判断する範囲の限定方法は、図3に示す「全ページを対象とする」と「最終ページのみ対象とする」に限らず、データの任意のページ(例えば、第1ページと第3ページ)を選択可能に構成することもできる。
【0043】
さらに、プレビュー条件の成否を判断する範囲はページに限られず、印刷データの任意の範囲とすることもできる。このとき、当該範囲を実際に印刷される単位に一致させると、プレビュー画像の確認後に実際に印刷される単位の中から、印刷データを破棄その他編集する単位を選択できるため、有効である。本実施形態におけるページはそのような実際に印刷される単位の名称である。なお、アプリケーション20がページという名称を用いる場合であっても、集約印刷等を行う場合には、これがプレビュー条件の正否判断における「ページ」と一致するとは限らない。
【0044】
プレビュー条件70としては、ここに挙げた例に限らず様々な条件が考えられる。例えば、印刷データにカラーで印刷される部分の面積が一定割合を超える場合に成立するプレビュー条件が考えられる。「白紙領域の上限」と同様に「カラー領域の上限」を選択可能に構成した場合、上限を0%とすれば、カラー印刷をする場合は、必ずプレビュー画像による確認ができるようになる。また、カラー印刷に用いられる色を特定したプレビュー条件も考えられる。例えば、赤で印刷をする場合に成立するプレビュー条件である。この場合、ユーザがUIから当該色を設定できるように構成するとよい。
【0045】
また、例えば、印刷しようとするデータにセキュリティの設定がされている場合に成立するプレビュー条件も考えられる。セキュリティの設定とは、例えば、印刷権限の設定である。例えば、印刷しようとするデータが営業秘密を含む文書データなど秘密性の高いデータである場合には、当該文書データを印刷する権限を一部ユーザのみに付与する設定がなされていることがある。このとき、印刷権限のないユーザはそもそも印刷を行えないためプレビュー画像の表示は行わない。しかし、印刷権限のあるユーザであっても当該文書データの印刷が本当に必要か、印刷不要なページまで印刷対象として印刷指示していないか等を確認するためプレビュー画像を表示することが望ましい場合がある。
【0046】
本実施形態においては、プレビュー機能の有効・無効およびプレビュー条件の設定を印刷設定と同様に印刷制御プログラム40のUIモジュール44が提供するUIを介して行うようにしている。しかし、設定の方法はこの方法に限られず当業者が設計できる任意の方法が可能である。例えば、印刷制御プログラム40とは独立したプログラムを設け、ユーザが当該プログラムの提供するUIを介して、印刷設定とは独立にプレビュー機能の有効・無効およびプレビュー条件を設定できるようにしてもよい。
【0047】
印刷制御プログラム40のUIモジュール44が提供するUIを介して設定する方法では、ユーザが印刷条件の設定を行おうとするごとにプレビュー条件等の設定も行うことができる。一方、ユーザが同一のプレビュー条件等の設定を複数の印刷制御プログラムに共通して用いる場合、独立したプログラムにより設定したプレビュー条件等を予め編集して記憶装置に記憶しておき、必要に応じて印刷制御プログラム40がその設定を取得し用いることで、プログラム毎に個別の設定を行うことなく、複数の印刷制御プログラムに共通の設定を使用させることができる。
さらに、両者を組み合わせ、独立したプログラムにより設定したプレビュー機能の有効・無効の設定およびプレビュー条件の設定をUIモジュール44のUIにデフォルトとして設定するよう構成することもできる。
【0048】
次に、図4に、印刷を行う場合に印刷制御プログラム40の機能によりデータ処理装置10が実行する処理のフローチャートを示す。このフローチャートは、印刷制御プログラム40を構成する複数のモジュールに係る処理を1本のフローチャートにまとめて示したものである。
【0049】
ユーザの操作等に応じてアプリケーション20がOS30を介して印刷制御プログラム40に印刷対象データ及び印刷設定を渡して印刷実行を指示すると、データ処理装置10のCPU11は図4に示す処理を開始する。なお、ここでアプリケーション20が印刷制御プログラム40に渡す印刷設定は、印刷制御プログラム40が図3に示した画面により受け付けて印刷設定50として保存したものを、アプリケーション20が取得して必要に応じて変更したものである。プレビュー機能設定60及びプレビュー条件70については、印刷制御プログラム40が保存したものをそのまま用いればよい。
【0050】
図4の処理においてはまず、生成モジュール43が受信した印刷対象データを処理し、印刷データを生成する(S101)。印刷データのファイル形式としてはPJL(Printer Job Language)やPDL(Page Description Language)がある。データを実際に印刷する場合は、データ処理装置10は当該印刷データを後のステップで画像機器に送信する。生成モジュール43は、生成が完了すると、プレビューモジュール41に対し通知を行う。通知を受けたプレビューモジュール41は、プレビュー機能設定60を記憶装置から読み出し、プレビュー機能が有効となっているか否かを判断する(S102)。
【0051】
プレビュー機能が有効となっていない場合(S103でN)、印刷制御プログラム40はプレビュー画像を表示することなく、S101で生成した印刷データを画像機器に送信し(S111)、処理を終了する。
一方、プレビュー機能が有効となっている場合(S103でY)、プレビューモジュール41は解析モジュール42に通知を行う。通知を受けた解析モジュール42は、まずプレビュー条件70を記憶装置から読み出す(S104)。
【0052】
続いて解析モジュール42は、アプリケーション20から受信したデータを解析する(S105)。そして解析結果に基づき、プレビュー条件70が成立しているか判断し、その結果をプレビューモジュール41に通知する。
プレビュー条件70が成立していない場合(S106でN)、印刷制御プログラム40はプレビュー画像を表示することなく、S101で生成した印刷データを画像機器に送信し(S111)、処理を終了する。
【0053】
一方、プレビュー条件70が成立している場合(S106でY)、プレビューモジュール41はUIモジュール44にプレビュー画像の表示を指示する。
指示を受けたUIモジュール41は図示しないプレビュー画像生成モジュールにプレビュー画像の生成を指示し、生成されたプレビュー画像を表示させる(S107)。表示させる方法としては、例えば、図5及び図6に示すような画面をポップアップ表示させることが考えられる。
【0054】
図5および図6はプレビュー画像の表示例を示す図である。
図5に示す例では、アプリケーション20から受信した印刷すべきデータが1ページである場合に、当該データの予想される印刷結果をプレビュー画像として表示している。図6に示す例では、アプリケーション20から受信したデータが5ページで構成される場合に、当該データの予想される印刷結果をプレビュー画像として表示している。図6においてプレビュー画像の右下に示されている数字がページ数を表す。
【0055】
さらに、図6に示す例は第5ページ(最終ページ)についてのみプレビュー条件70が成立している場合を示している。印刷制御プログラム40は、プレビュー条件70の成立をユーザに認識させるため、条件の成立している第5ページについて条件の成立していない他のページと異なる表示態様で表示している。図6の例では、第5ページのプレビュー画像を枠(この例では点線)で囲み、ヒントアイコン(この例では三角)を付した状態で表示している。
【0056】
以上説明したような表示態様でプレビュー画像を表示することにより、プレビュー条件70がどの範囲で成立しているかをユーザにより確実に認識させることができる。よって、ユーザのその後の操作(実際の印刷を指示するか印刷のキャンセルを指示するか)の判断が容易になる。
【0057】
ユーザは、図5又は図6の画面において印刷ボタン111を押下することにより印刷の実行を指示することができる。UIモジュール44がこれを検出すると(S108でY)、印刷制御プログラム40は印刷データを画像機器に送信し(S111)、処理を終了する。
一方、ユーザは図5又は図6の画面においてキャンセルボタン112を押下することにより印刷のキャンセルを指示することができる。UIモジュール44がこれを検出すると(S109でY)、印刷制御プログラム40はステップS101で生成した印刷データをすべて廃棄し(S110)、処理を終了する。この場合、画像機器は印刷を行わない。
【0058】
以上の処理を行うことにより、ユーザは、アプリケーション20を操作して印刷を指示した場合に、その印刷内容が予め定めたプレビュー条件を満たす場合のみプレビューを行って内容を確認することができる。また、確認の結果印刷が不要と判断した場合には印刷をキャンセルすることができる。
従って、不要と思われる印刷内容を効果的に識別できるようなプレビュー条件を予め設定しておくことにより、プレビューによる不要な印刷回避という効果を得つつ、印刷要否指示の手間を低く抑えることができる。
【0059】
より具体的には、データ処理装置10は、プレビュー機能が有効となっている(S103でY)だけでなく、プレビュー条件70が成立している(S106でY)場合に限ってプレビュー画像を表示させることで、実際の印刷の前に必ずプレビュー画像が表示され、再び指示を行わなくては印刷できないというユーザの煩わしさを軽減することができる。
【0060】
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、各部の具体的な構成や処理の内容は、画面の表示例や設定項目等は、実施形態で説明したものに限るものではない。
例えば、プレビュー画像を参照する際に、その画面から印刷内容の編集を指示できるようにすることが考えられる。
【0061】
図7は、このようにした場合のプレビュー画像の表示例を示す図である。
図7に示す例では、ユーザが入力装置を用いて、編集したい部分を選択することにより可能な編集内容が表示され、編集内容を選択することにより、生成モジュール43が生成した印刷データのうち当該部分を編集できる。
【0062】
具体的には例えば、ユーザが第5ページをマウスで選択し右クリックする(又はタッチパネルにおいて指でしばらくタッチする)ことで「ページ削除」、「モノクロ変換」という編集内容を示すメニュー113が表示される。
そこでユーザが「ページ削除」を選択した場合、印刷制御プログラム40は、第5ページの印刷データのみを破棄する。白紙の多いページはもったいないため印刷したくないが他のページは印刷したい、というような場合にこの編集が有効である。
【0063】
また、「モノクロ変換」を選択した場合、カラーの印刷内容をモノクロに変換する。カラーで印刷される部分の面積が一定割合を超えるためプレビュー条件が成立した場合には、カラーではもったいないがモノクロなら印刷してよい、というような場合にこの編集が有効である。
そして、必要な編集の後でユーザが印刷ボタン111を押下した場合、印刷制御プログラム40は、その編集後の印刷データを画像機器に送信し、編集後の印刷データに基づき印刷を実行させる。
【0064】
このような編集ができない従来のデータ処理装置においては、例えば、ユーザは一旦印刷をキャンセルした上で再びアプリケーション20から印刷範囲を第1ページから第4ページとする設定を行って印刷を指示しなければならない。また、例えば、ユーザはカラー印刷を白黒印刷に変更する印刷設定をしなければならない。本実施形態のデータ処理装置10においては、上述したような処理によって、このような印刷設定の手間を省くことができる。
【0065】
また、この発明によるプログラムは、コンピュータに、上述したデータ処理装置10の印刷制御プログラム40の機能を実現させるためのプログラムである。このようなプログラムをコンピュータに実行させることにより、上述したような効果を得ることができる。このようなプログラムは予め記憶装置に記憶させておいてもよいし、通信I/F装置を介して接続した記憶装置に記憶させておきコンピュータが読み出して実行してもよい。このような記憶装置は、例えばプログラムをデータ処理装置10にダウンロードさせるためのコンピュータである。
また、以上説明してきた実施形態の構成は、相互に矛盾しない限り任意に組み合わせて実施可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明してきたように、この発明によるデータ処理装置およびプログラムによれば、プレビュー機能を有効にした場合のユーザの操作の煩わしさを軽減することができる。
この発明を、PCなどコンピュータのほかプリンタ等の画像機器等に適用することにより、その操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0067】
10:データ処理装置 11:CPU 12:記憶装置 13:表示装置
14:入力装置 15:通信I/F 20:アプリケーション 30:OS
40:印刷制御プログラム 41:プレビューモジュール
42:解析モジュール 43:生成モジュール 44:UIモジュール
50:印刷設定 60:プレビュー機能設定 70:プレビュー条件
100:印刷設定画面 101:タブ 102:OKボタン
103、112:キャンセルボタン 104、105:チェックボックス
111:印刷ボタン 113:メニュー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開2008−234671号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションから受信したデータおよび印刷設定に基づき印刷データを生成する生成手段と前記印刷データのプレビュー画像を表示するプレビュー手段とを備えたデータ処理装置であって、
前記プレビュー画像を表示する条件であるプレビュー条件を記憶可能な手段と、
前記プレビュー条件の成否を判断する判断手段とを備え、
前記判断手段が前記プレビュー条件が成立すると判断した場合に、前記プレビュー手段は前記プレビュー画像を表示することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ処理装置であって、
前記プレビュー条件は前記印刷データの一定範囲において白紙部分の面積が一定割合を超えるという条件であることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ処理装置であって、
前記一定範囲は前記印刷データの最終ページであることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のデータ処理装置であって、
前記プレビュー条件は前記印刷データの一定範囲において白紙部分の面積が一定割合を超える場合であり、かつ前記一定範囲内の所定の範囲に白紙でない部分がある場合に成立する条件であることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載のデータ処理装置であって、
前記プレビュー条件の設定を受け付ける受付手段をさらに備えたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載のデータ処理装置であって、
前記受付手段は前記印刷データのどの範囲を前記一定範囲とするかの設定を受け付けることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載のデータ処理装置であって、
前記プレビュー条件は前記印刷データの一定範囲においてカラーで印刷される部分の面積が一定割合を超えるという条件であることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載のデータ処理装置であって、
前記プレビュー条件は前記印刷データの一定範囲においてカラーで印刷される部分の面積が一定割合を超えない場合であっても、前記一定範囲内の所定の範囲にカラーで印刷される部分がある場合は、成立する条件であることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のデータ処理装置であって、
前記プレビュー手段は、前記プレビュー画像を表示する場合に、前記プレビュー画像を前記プレビュー条件が成立する範囲と前記プレビュー条件が成立しない範囲とで異なる表示態様により表示することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項10】
コンピュータを請求項1乃至9のいずれか一項に記載のデータ処理装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−198658(P2012−198658A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61326(P2011−61326)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】