データ変換装置およびデータ変換プログラム
【課題】 関連する複数の診療情報で表現される1つの情報を復元すること。
【解決手段】 データ統合データベース6に記録される複数診療情報から入力装置11を介して入力される検索条件を満足する検索診療情報を検索するデータ検索部25と、複数診療情報を複数抽出処理方法に対応付けるテーブル41、42を参照して、複数抽出処理方法のうちの検索診療情報に対応する対応抽出処理方法にしたがって複数診療情報から複数の関連診療情報を抽出するデータ抽出部26と、関連診療情報をひとかたまりのデータにデータ変換するデータ変換部28とを備えている。
【解決手段】 データ統合データベース6に記録される複数診療情報から入力装置11を介して入力される検索条件を満足する検索診療情報を検索するデータ検索部25と、複数診療情報を複数抽出処理方法に対応付けるテーブル41、42を参照して、複数抽出処理方法のうちの検索診療情報に対応する対応抽出処理方法にしたがって複数診療情報から複数の関連診療情報を抽出するデータ抽出部26と、関連診療情報をひとかたまりのデータにデータ変換するデータ変換部28とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ変換装置およびデータ変換プログラムに関し、特に、変更履歴が重要であるデータを汎用のデータ形式で表現されるデータに変換するデータ変換装置およびデータ変換プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院で利用される診療情報を統合管理するデータ統合データベースが知られている。その診療情報は、一般的に、法的観点から、変更履歴の分かる状態で一定期間保存する必要がある。その診療情報は、さらに、多様な構造のデータ(マルチメディア情報など)が存在する。その診療情報は、さらに、医学の進歩や病院情報システムの発展(新しい部門システムの導入など)に伴い、新しいデータ構造を持つデータが出現する。
【0003】
そのデータ統合データベースは、病院情報システムにおける診療情報の最終保存メディアであり、以下の要件を満たす必要がある。
(1) 変更履歴を保存する為、物理削除を行わないで、論理修正・論理削除できる。
(2) 多様な構造のデータを格納できる。
(3) 新たな構造のデータに柔軟に対応できる。
データ統合データベースは、このような要件を満たすために、汎用的な単一スキーマ構造を採用して、修正や削除操作を示すデータを登録する構造が採用されることがある。そのスキーマ構造としては、具体的に{データ識別子、データ種識別子、共通データ、固有データ}のような構造が採用される。データ統合データベースは、削除操作が行われると、論理削除の為、削除関連診療情報が登録される。削除関連診療情報は、削除対象診療情報のデータ識別子を保持する。ある診療情報(A)の修正操作が行われると、論理修正の為、修正された診療情報(B)と修正関連診療情報が登録される。修正関連診療情報は、診療情報(A)と診療情報(B)のデータ識別子を保持する。
【0004】
このような診療情報は、汎用のXMLフォーマットで出力する為に、(1)データ統合データベースからのデータ取得、(2)データ種識別子の判定、(3)データ型の決定、(4)データの文字情報への変換、(5)XMLへの変換と出力の手順が必要である。特に(2)(3)(4)は、データ種ごとに固有処理となるため、専用アプリケーションが作成される場合が多い。その専用アプリケーションは、データ統合データベースの全診療情報を発生順に時系列にXML出力したり、新規データ種の追加に柔軟に対応したりすることができないことがある。このような診療情報は、データ種によって、複数の診療情報の診療情報グループで1つの意味をなす場合もあり、このとき、データ統合データベース上でこれらの診療情報間の関連情報が保持されるカラムが診療情報グループごとに固有である。このことは、このような診療情報を汎用のXMLフォーマットで出力する為に専用アプリケーションが作成される要因の1つとなっている。
【0005】
このような診療情報は、患者へ情報公開され、専用アプリケーションによるデータ表示ではなく、ブラウザ等の汎用的なViewで診療情報を閲覧できることが望まれている。その汎用的なデータ形式としては、XMLが例示される。このような診療情報は、病診連携、医療広域ネットワークでの診療情報交換されることが望まれ、データ統合データベースから生成された情報欠落のないXMLをXSLTで標準規格XMLに構造変換することが望まれている。このような診療情報は、裁判用資料を作成するときに、履歴データを含めた全データからの作成が必要になる為、診療用DBではなくデータ統合データベースから生成された情報欠落のないXMLをXSLTで資料用フォーマットに構造変換することが望まれている。
【0006】
特開2003−114930号公報には、患者のプライバシーを保護しながら、医療業務従事者の安全を確保することができる病院情報システムが開示されている。その病院情報システムは、プライバシー保護が極めて重要となる患者の病気に関する情報と、それと同レベルで医療機関の従事者が患者を扱う際に認識しておくべき情報でプライバシー保護をさほど必要としない他の患者の病気に関する情報とからなる患者の病気に関する情報を合わせてグループ化し、患者データとして登録したデータベースと、システムの利用者毎に、患者のデータの参照権限を定義する参照権限定義手段とを設け、上記参照権限定義手段により、上記プライバシー保護が極めて重要となる病気に関する情報についての参照権限のない利用者が、上記データベースを参照した際、上記グループに属することは参照できるが、どのような内容であるかまでは参照できず、また、上記プライバシー保護が極めて重要となる病気に関する情報についての参照権限を持つ利用者が、上記データベースを参照した際、プライバシー保護を必要としている病気に関する情報まで参照できるように参照権限を定義することを特徴としている。
【0007】
特開2004−157794号公報には、データを確実に保存し、障害が発生してもシステムの運用が可能な電子カルテシステムが開示されている。その電子カルテシステムは、サーバーから過去の診療情報を読み出して表示すると共に、新たな診療情報を生成する端末と、前記端末から入力された診療情報を記憶する診療情報データベース手段と、前記診療情報から保存用診療情報を生成する保存データ生成手段とを備えた第1のサーバーと、前記第1のサーバーの保存データ生成手段により生成された保存用診療情報を過去の診療情報と関連付けて保存する診療情報履歴データベース手段を備えた第2のサーバーと、端末およびサーバーを接続する通信網とを備えたことを特徴としている。
【0008】
特開2004−295485号公報には、患者にとって理解しやすい電子カルテを出力することが可能な診療支援装置が開示されている。その診療支援装置は、電子カルテを作成し出力する診療支援装置であって、患者の診療記録データを記憶するカルテデータベースと、診療記録中の専門語についての内容を検索できる辞書データベースと、カルテデータベースから、患者を特定しその患者の診療記録データを取得するカルテデータ取得手段と、取得した診療記録データに含まれる所定のキーワードとなる専門語を自動的に抽出する抽出手段と、抽出されたキーワードに対応する専門語の内容を辞書データベースから検索して取得する辞書内容取得手段と、任意に定める電子カルテ出力フォーマットに従い、取得したカルテデータとともにキーワード及びキーワードに対応する専門語内容を配列し出力する出力手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−114930号公報
【特許文献2】特開2004−157794号公報
【特許文献3】特開2004−295485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、関連する複数の診療情報で表現される1つの情報を復元するデータ変換装置およびデータ変換プログラムを提供することにある。
本発明の他の課題は、診療情報に格納される様々なデータ型で表現されるデータを適切に処理するデータ変換装置およびデータ変換プログラムを提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、診療情報が新規に追加されたときにも柔軟に対応するデータ変換装置およびデータ変換プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
本発明によるデータ変換装置(1)は、データ統合データベース(6)に記録される複数診療情報から入力装置(11)を介して入力される検索条件を満足する検索診療情報を検索するデータ検索部(25)と、複数診療情報を複数抽出処理方法に対応付けるテーブル(41、42)を参照して、複数抽出処理方法のうちの検索診療情報に対応する対応抽出処理方法にしたがって複数診療情報から複数の関連診療情報を抽出するデータ抽出部(26)と、関連診療情報をひとかたまりのデータにデータ変換するデータ変換部(28)とを備えている。
【0013】
データ変換部(28)は、複数診療情報が備えている複数カラムを複数データ型に対応付ける他のテーブル(43)を参照して、関連診療情報が備えているカラムごとに複数データ型のうちのカラムに対応するデータ型に基づいてカラムに記入されるデータをデコードして関連診療情報をデータにデータ変換する。
【0014】
本発明によるデータ変換装置(1)は、入力装置(11)の操作に基づいてテーブル(41、42)を更新するテーブル更新部(21、22)をさらに備えている。
【0015】
本発明によるデータ変換プログラムは、データ統合データベース(6)に記録される複数診療情報から入力装置(11)を介して入力される検索条件を満足する検索診療情報を検索するデータ検索部(25)と、複数診療情報を複数抽出処理方法に対応付けるテーブル(41、42)を参照して、複数抽出処理方法のうちの検索診療情報に対応する対応抽出処理方法にしたがって複数診療情報から複数の関連診療情報を抽出するデータ抽出部(26)と、関連診療情報をひとかたまりのデータにデータ変換するデータ変換部(28)とを備えている。
【0016】
データ変換部(28)は、複数診療情報が備えている複数カラムを複数データ型に対応付ける他のテーブル(43)を参照して、関連診療情報が備えているカラムごとに複数データ型のうちのカラムに対応するデータ型に基づいてカラムに記入されるデータをデコードして関連診療情報をデータにデータ変換する。
【0017】
本発明によるデータ変換プログラムは、入力装置(11)の操作に基づいてテーブル(41、42)を更新するテーブル更新部(21、22)をさらに備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるデータ変換装置およびデータ変換プログラムは、データ統合データベースに記録される複数の診療情報のうちの1つのグループが1つの情報を表現するするときに、その複数の診療情報からその1つの情報を復元するすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面を参照して、本発明によるデータ変換装置の実施の形態を記載する。そのデータ変換装置1は、図1に示されているように、病院情報システム2に適用されている。病院情報システム2は、LANを介して複数のコンピュータが互いに双方向に情報を伝送することができるように接続されている。その複数のコンピュータは、データ変換装置1とデータ統合データベース6とマスターデータベース7とから形成されている。
【0020】
データ統合データベース6は、複数の診療情報を記録し、その複数の診療情報をデータ変換装置1に公開している。その複数の診療情報は、それぞれ、単一スキーマに変換された情報であり、互いに関連付けられている。その複数の診療情報は、複数のカラムを備えるテーブルを含み、そのテーブルは、1つのカラムに記載される情報を他のカラムに記載される情報に対応付けている。その複数のカラムは、それぞれ、記入される情報のデータ型が定義されている。そのデータ型としては、文字・動画・静止画・音声・グラフィックスが例示される。その診療情報のうちの2つの診療情報は、共通する共通カラムを備えているときに、関連付けを設定することができる。このとき、その関連付けを設定された2つの診療情報のうちの一方により共通カラムに対応するカラムは、その他方により共通カラムに対応するカラムに対応付けられる。その複数の診療情報は、複数のグループに分割されている。1つのグループに属する1つの診療情報は、それぞれそのグループの属する他の診療情報との間にその関連付けが設定されている。
【0021】
その診療情報は、図示されていないコンピュータで複数のアプリケーションを用いて作成され、データ統合データベース6にアップロードされる。このような診療情報としては、医師が患者ごとに作成するカルテが例示される。このとき、その診療情報は、1つの医療行為を複数の別個の診療情報により示し、その別個の診療情報は、1つのグループに属している。たとえば、その別個の診療情報は、それぞれ、注射の依頼と注射の実施とを示している。
【0022】
そのアプリケーションは、ユーザの操作により診療情報が更新されたときに、更新前のデータを完全に削除(物理削除)しないで、論理修正・論理削除して変更履歴を保存する。すなわち、そのアプリケーションは、ある診療情報が削除されるように操作されると、その診療情報を削除しないで、その診療情報のデータ識別子を保持する削除関連診療情報を登録する。その削除関連診療情報は、その診療情報と同じグループに属している。そのアプリケーションは、ある診療情報が修正されるように操作されると、その診療情報を修正しないで、その修正された内容を示す診療情報と修正関連診療情報とを登録する。その修正関連診療情報は、その修正される前の診療情報のデータ識別子とその修正された後の診療情報のデータ識別子とを示している。その修正された内容を示す診療情報と修正関連診療情報は、その修正される前の診療情報と同じグループに属している。
【0023】
マスターデータベース7は、その診療情報で利用される医療マスタデータを記録し、その医療マスタデータをデータ変換装置1に公開している。
【0024】
データ変換装置1は、入力装置11と出力装置12とディスク装置14と記憶装置15とを備えている。データ変換装置1は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置とを備えている。その記憶装置は、データ変換装置1にインストールされるコンピュータプログラムを記録し、そのCPUにより生成される情報を一時的に記録する。そのCPUは、そのコンピュータプログラムを実行して、入力装置11と出力装置12とディスク装置14と記憶装置15とを制御する。
【0025】
入力装置11は、たとえばキーボードであり、ユーザの操作により入力される検索条件またはファイル分割条件をデータ変換装置1に出力する。出力装置12は、たとえば、ディスプレイまたは印刷装置である。そのディスプレイは、データ変換装置1により生成された画像を表示する。その印刷装置は、データ変換装置1により生成された画像を紙に印刷する。ディスク装置14は、データ変換装置1により生成された情報を記録媒体に書き込み、または、記録媒体に記録されたより情報をその記録媒体から読み出してデータ変換装置1に出力する。その記録媒体としては、フレキシブルディスク、CD、DVD、ハードディスクが例示される。記憶装置15は、外部定義情報を記憶するディスク装置14により読み出された情報を一時的に記憶する。
【0026】
データ変換装置1は、コンピュータプログラムであるグループ記憶部21とグループ処理手順記憶部22とデータ型記憶部23とMEデータ検索部25とグループデータ抽出部26と履歴情報抽出部27とデータ変換部28とデータ記述部29と分割判定部30とマスタデータ検索部31とがインストールされている。
【0027】
グループ記憶部21は、ディスク装置14を用いて記録媒体に記録されるグループ定義ファイル41を読み取り、グループ定義ファイル41に記載される情報を記憶装置21に記録する。グループ処理手順記憶部22は、ディスク装置14を用いて記録媒体に記録されるグループ処理定義ファイル42を読み取り、グループ処理定義ファイル42に記載される情報を記憶装置21に記録する。データ型記憶部23は、ディスク装置14を用いて記録媒体に記録されるデータ型定義ファイル43を読み取り、データ型定義ファイル43に記載される情報を記憶装置21に記録する。
【0028】
MEデータ検索部25は、データ統合データベース6に記録される複数の診療情報うちから入力装置11を介して入力された検索条件を満足する診療情報を検索し、その検索された診療情報をデータ統合データベース6からダウンロードする。グループデータ抽出部26は、グループ定義ファイル41に記載される情報を参照して、MEデータ検索部25により検索された診療情報が属するグループを検索し、その検索されたグループに属する診療情報を検索し、その検索された診療情報をデータ統合データベース6からダウンロードする。
【0029】
履歴情報抽出部27は、MEデータ検索部25により検索された診療情報とグループデータ抽出部26により検索された診療情報とが履歴情報を含んでいるかどうかを判別する。その履歴情報は、診療情報が削除されるように操作されたときに登録される削除関連診療情報または診療情報が修正されるように操作されたときに登録される新規の診療情報と修正関連診療情報とを示している。履歴情報抽出部27は、さらに、診療情報がその履歴情報を含んでいるときに、その診療情報からその履歴情報を抽出する。
【0030】
データ変換部28は、MEデータ検索部25により検索された診療情報とグループデータ抽出部26により検索された診療情報と履歴情報抽出部27により抽出された履歴情報とをXML形式で表現されるXMLデータにデータ変換する。そのXMLデータは、MEデータ検索部25により検索された診療情報により示される内容がどのように更新されたかを示している。
【0031】
データ記述部29は、データ変換部28により作成されたXMLデータを示す画像を作成し、その画像を出力装置12のディスプレイに表示し、または、その画像を出力装置12の印刷装置により紙に印刷する。データ記述部29は、さらに、ディスク装置14を用いて、データ変換部28により作成されたXMLデータを示す出力ファイルを記録媒体に書き込む。
【0032】
分割判定部30は、MEデータ検索部25により検索された診療情報が複数であるときに、入力装置11から入力されたファイル分割条件に基づいてその診療情報毎に出力ファイルを作成するかどうかを判別する。そのファイル分割条件は、その検索された複数の診療情報の全部を示すXMLデータを1つだけ作成するかその検索された複数の診療情報ごとに複数のXMLデータを作成するかを示している。
【0033】
マスタデータ検索部31は、データ型定義ファイル43に記載される情報を参照して、MEデータ検索部25により検索された診療情報とグループデータ抽出部26により検索された診療情報とがデコードする必要があるデータを含んでいるかどうかを判別する。マスタデータ検索部31は、デコードする必要があるデータを含んでいるときに、マスタデータベース7により記録される医療マスタデータを参照して、そのデータをデコードする。
【0034】
図2は、グループ定義ファイル41が示すグループ定義テーブルを示している。そのグループ定義テーブル51は、グループ名52にデータ種識別子53を対応付けている。グループ名52は、データ統合データベース6に記録される診療情報が分割されるグループを識別し、そのグループのグループ名を示している。データ種識別子53は、データ統合データベース6に記録される診療情報を識別し、グループ名52により識別されるグループに属する診療情報のデータ識別子を示している。
【0035】
グループ記憶部21は、データ種識別子53により識別されない新規な診療情報がデータ統合データベース6に記録されたときに、入力装置11の操作に基づいてその新規な診療情報のデータ種識別子をグループに対応するようにグループ定義テーブル51を更新することができる。このとき、グループ記憶部21は、さらに、ディスク装置14を用いて、その更新されたグループ定義テーブル51を示すグループ定義ファイル41を記録媒体に記録する。
【0036】
図3は、グループ処理定義ファイル42が示すグループ処理定義テーブルを示している。そのグループ処理定義テーブル55は、グループ名56を抽出処理方法57に対応付けている。グループ名56は、データ統合データベース6に記録される診療情報が分割されるグループを識別し、そのグループのグループ名を示している。抽出処理方法57は、図4に示されているように、グループ名52により識別されるグループに属する診療情報をデータ統合データベース6から抽出する手順の定義を示している。
【0037】
このとき、グループデータ抽出部26は、グループ定義テーブル51を参照して、グループ名52のうちからMEデータ検索部25により検索された診療情報に対応するグループを検索する。グループデータ抽出部26は、さらに、グループ処理定義テーブル55を参照して、抽出処理方法57のうちからそのグループに対応する手順を検索し、その手順にしたがって、データ統合データベース6からそのグループに属する診療情報を抽出してダウンロードする。このとき、グループデータ抽出部26は、MEデータ検索部25により検索された診療情報が他の診療情報から修正されたものであるときに、修正関連診療情報が示す修正前診療情報データを履歴データとして取得する。グループデータ抽出部26は、MEデータ検索部25により検索された診療情報が他の診療情報に修正されるものであるときに、修正関連診療情報が示す修正後診療情報データを履歴データとして取得する。
【0038】
グループ処理手順記憶部22は、グループ記憶部21により新規なグループが定義されたときに、入力装置11の操作に基づいてその新規なグループのグループ名を抽出処理方法に対応するようにグループ処理定義テーブル55を更新する。このとき、グループ処理手順記憶部22は、さらに、ディスク装置14を用いて、その更新されたグループ処理定義テーブル55を示すグループ処理定義ファイル42を記録媒体に記録する。
【0039】
データ型定義ファイル43は、データ型定義テーブルとマスタ定義テーブルとを示している。そのデータ型定義テーブル61は、図5に示されているように、データ種識別子62とカラム63とをデータ型64に対応付けている。データ種識別子62は、データ統合データベース6に記録される診療情報を識別し、グループ名52により識別されるグループに属する診療情報のデータ識別子を示している。カラム63は、データ種識別子62により識別される診療情報が備えるカラムを識別し、そのカラムのカラム名を示している。データ型64は、カラム63により識別されるカラムに記入されるデータのデータ型を示している。
【0040】
そのマスタ定義テーブル65は、図6に示されているように、データ種識別子66とカラム67とを必要性68に対応付けている。データ種識別子66は、データ統合データベース6に記録される診療情報を識別し、グループ名52により識別されるグループに属する診療情報のデータ識別子を示している。カラム67は、データ種識別子66により識別される診療情報が備えるカラムを識別し、そのカラムのカラム名を示している。必要性68は、カラム67により識別されるカラムに記入されるデータにデコードの必要性を示し、「必要」または「不必要」のいずれかを示している。
【0041】
データ型記憶部23は、データ種識別子62により識別されない新規な診療情報がデータ統合データベース6に記録されたときに、入力装置11の操作に基づいてその新規な診療情報のデータ種識別子がその新規な診療情報が備えるカラムとそのカラムに記載される情報のデータ種とに対応するようにデータ型定義テーブル61を更新する。データ型記憶部23は、さらに、データ種識別子66により識別されない新規な診療情報がデータ統合データベース6に記録されたときに、入力装置11の操作に基づいてその新規な診療情報のデータ種識別子がその新規な診療情報が備えるカラムとそのカラムのデコードの必要性とに対応するようにマスタ定義テーブル65を更新する。このとき、グループ記憶部21は、さらに、ディスク装置14を用いて、その更新されたデータ型定義テーブル61とマスタ定義テーブル65とを示すグループ処理定義ファイル42を記録媒体に記録する。
【0042】
このとき、マスタデータ検索部31は、マスタ定義テーブル65を参照して、必要性68のうちのMEデータ検索部25により検索された診療情報の各カラムに対応する必要性を検索する。データ変換部28は、「不必要」に対応するカラムに関して、データ型定義テーブル61を参照して、データ型64のうちからそのカラムに対応するデータ型を検索し、そのデータ型に基づいてそのカラムに記載されたデータをXMLで認識可能なデータにデータ変換する。データ変換部28は、そのデータ型に基づいてそのカラムに記載されたデータをユーザに認識可能なデータにデータ変換する。たとえば、データ変換部28は、診療情報がユーザに理解することが困難であるバイナリデータにより数値を表現しているときに、その数値を示す文字列(たとえば、10進数の数値)にそのバイナリデータを変換する。データ変換部28は、さらに、その変換されたデータを用いてXMLデータを作成する。
【0043】
図7は、マスターデータベース7によりデータ変換装置1に公開される医療マスタデータを示している。その医療マスタデータ71は、コード72を文字列73に対応付けている。コード72は、データ統合データベース6に記録される診療情報に記載されるコードを示している。文字列73は、文字列を示し、たとえば、医療行為の名称、薬剤の名称、病名を示している。
【0044】
このとき、データ変換部28は、マスタ定義テーブル65で「必要」に対応するカラムに関して、医療マスタデータ71を参照して、文字列73のうちからそのカラムに記載されたコードに対応する文字列にそのコードをデコードする。このようなマスターデータベース7は、その診療情報の情報量を低減し、データ統合データベース6に搭載される記憶装置に必要である記憶容量を低減してデータ統合データベース6のコストを低減している。
【0045】
図8は、データ変換部28により作成されるXMLデータの一例を示している。そのXMLデータは、XMLフォーマットにより表現され、そのXMLフォーマットは、MEデータ検索部25により検索された診療情報により示される内容がどのように更新されたか(履歴情報)を表現可能である。
【0046】
データ変換装置1の動作は、XMLデータを作成する動作と、グループ定義ファイル41とグループ処理定義ファイル42とデータ型定義ファイル43とを更新する動作とを備えている。
【0047】
図9は、XMLデータを作成する動作を示している。ユーザは、まず、入力装置11を用いてデータ変換装置1に検索条件を入力する。ユーザは、さらに、複数の診療情報がその検索条件を満足するときに、その複数の診療情報の全部を示すXMLデータを1つだけ作成するかその複数の診療情報ごとに複数のXMLデータを作成するかを示すファイル分割条件をデータ変換装置1に入力する。
【0048】
データ変換装置1は、データ統合データベース6に記録される複数の診療情報うちからその検索条件を満足する診療情報を検索し、その検索された診療情報をデータ統合データベース6からダウンロードする(ステップS1)。データ変換装置1は、その検索された診療情報をデータ変換して作成されるXMLデータを格納する1つの出力先ファイルを生成する(ステップS2)。データ変換装置1は、グループ定義テーブル51を参照して、グループ名52のうちからステップS1で検索された診療情報のうちの1つの診療情報に対応するグループを検索する(ステップS3)。データ変換装置1は、そのグループが検索されたときに(ステップS3、YES)、グループ処理定義テーブル55を参照して、抽出処理方法57のうちからそのグループに対応する手順を検索し、その手順にしたがって、データ統合データベース6からそのグループに属する複数の診療情報を抽出してダウンロードする(ステップS4)。
【0049】
データ変換装置1は、そのグループに属する複数の診療情報のうちの1つの診療情報が履歴情報を含んでいるかどうかを判別する(ステップS5)。データ変換装置1は、その1つの診療情報が履歴情報を含んでいないときに(ステップS5、NO)、データ型定義テーブル61を参照して、その1つの診療情報の各カラムに対応するデータ型を検索し、そのカラムに記載されたデータをユーザに認識可能な文字列にデータ変換して1つのXMLデータを作成する(ステップS7)。データ変換装置1は、さらに、マスタ定義テーブル65を参照して、その1つの診療情報の各カラムに対応する必要性を検索する(ステップS8)。データ変換装置1は、マスタ定義テーブル65で「必要」に対応するカラムに関して、医療マスタデータ71を参照して、そのカラムに記載されたコードに対応する文字列にそのコードをデコードする(ステップS9)。
【0050】
データ変換装置1は、その1つの診療情報が履歴情報を含んでいるときに(ステップS5、YES)、その履歴情報が示す診療情報を取得する(ステップS6)。すなわち、データ変換装置1は、その診療情報が他の診療情報から修正されたものであるときに、修正関連診療情報が示す修正前診療情報データを履歴データとして取得する。データ変換装置1は、その診療情報が他の診療情報に修正されるものであるときに、修正関連診療情報が示す修正後診療情報データを履歴データとして取得する。データ変換装置1は、データ型定義テーブル61を参照して、ステップS6で取得された診療情報の各カラムに対応するデータ型を検索し、そのカラムに記載されたデータをユーザに認識可能な文字列にデータ変換して1つのXMLデータを作成する(ステップS7)。データ変換装置1は、さらに、マスタ定義テーブル65を参照して、ステップS6で取得された診療情報の各カラムに対応する必要性を検索する(ステップS8)。データ変換装置1は、マスタ定義テーブル65で「必要」に対応するカラムに関して、医療マスタデータ71を参照して、そのカラムに記載されたコードに対応する文字列にそのコードをデコードする(ステップS9)。
【0051】
データ変換装置1は、ステップS2で生成された出力先ファイルにステップS7〜S9で作成されたXMLデータを格納し、ディスク装置14を用いてその出力先ファイルを記録媒体に書き込む(ステップS10)。データ変換装置1は、さらに、そのXMLデータを示す画像を作成し、その画像を出力装置12のディスプレイに表示し、または、その画像を出力装置12の印刷装置により紙に印刷する。
【0052】
データ変換装置1は、ステップS7〜S9でデータ変換された診療情報が履歴情報を含んでいるかどうかを判別する(ステップS11)。データ変換装置1は、その診療情報が履歴情報を含んでいるときに(ステップS11、YES)、その履歴情報の個数だけステップS7〜S10が繰り返して実行され、その履歴情報が示す全ての診療情報がデータ変換される。すなわち、そのXMLデータは、その取得された診療情報により示される内容がどのように更新されたかを示している。
【0053】
データ変換装置1は、その履歴情報が示す全ての診療情報がデータ変換されると(ステップS11、NO)、ステップS3で検索されたグループのうちのデータ変換されていない他の診療情報があるかどうか判別される(ステップS12)。データ変換装置1は、データ変換されていない診療情報があるときに(ステップS12、YES)、その診療情報の個数だけステップS5〜S11が繰り返して実行され、1つのグループに属する全ての診療情報が変更履歴とともにデータ変換される。
【0054】
データ変換装置1は、ステップS1で検索された診療情報のうちに処理されていない他の診療情報があるかどうかを判別する(ステップS13)。データ変換装置1は、処理されていない診療情報があるときに(ステップS13、YES)、ユーザにより入力されたファイル分割条件がXMLデータを1つだけ作成することを示しているか、複数のXMLデータを作成することを示しているかを判別する(ステップS14)。
【0055】
データ変換装置1は、そのファイル分割条件が複数のXMLデータを作成することを示しているときに(ステップS14、YES)、ステップS2〜S12が繰り返して実行され、ステップS1で検索された複数の診療情報ごとに複数の出力先ファイルが作成される。その複数の出力先ファイルは、それぞれ、その複数の診療情報に関する全てのデータを変更履歴とともに示している。データ変換装置1は、そのファイル分割条件がXMLデータを1つだけ作成することを示しているときに(ステップS14、NO)、ステップS3〜S12が繰り返して実行され、ステップS1で検索された複数の診療情報に関する全てのデータを変更履歴とともに示す1つの出力先ファイルが作成される。
【0056】
このような動作によれば、データ変換装置1は、データ統合データベース6に記録される複数の診療情報のうちの1つのグループが1つの情報を表現するするときに、その複数の診療情報からその1つの情報を復元することができる。データ変換装置1は、さらに、診療情報に格納される様々なデータ型で表現されるデータを適切に処理することができる。
【0057】
グループ定義ファイル41とグループ処理定義ファイル42とデータ型定義ファイル43とを更新する動作は、グループ定義ファイル41またはグループ処理定義ファイル42またはデータ型定義ファイル43により識別されない新規の診療情報がデータ統合データベース6に記録されたときに、実行される。すなわち、ユーザは、その新規の診療情報が備えるカラムと、そのカラムに記入される情報のデータ型と、その情報のマスタデータベース7を用いるデコードの必要性とをデータ変換装置1に入力する。このとき、データ変換装置1は、その新規な診療情報のデータ種識別子がそのカラムとそのデータ型とに対応するようにデータ型定義テーブル61を更新し、そのデータ種識別子がそのカラムとその必要性とに対応するようにマスタ定義テーブル65を更新する。データ変換装置1は、さらに、ディスク装置14を用いて、その更新されたデータ型定義テーブル61とマスタ定義テーブル65とを示すグループ処理定義ファイル42を記録媒体に記録する。
【0058】
ユーザは、さらに、その新規の診療情報が属するグループが存在するときに、その新規の診療情報のデータ種識別子とそのグループのグループ名とをデータ変換装置1に入力する。このとき、データ変換装置1は、そのデータ種識別子がそのグループ名に対応するようにグループ定義テーブル51を更新し、ディスク装置14を用いてその更新されたグループ定義テーブル51を示すグループ定義ファイル41を記録媒体に記録する。
【0059】
ユーザは、さらに、その新規の診療情報が属する新規のグループが存在するときに、その新規のグループのグループ名とそのグループの抽出処理方法とをデータ変換装置1に入力する。このとき、データ変換装置1は、そのグループ名がその抽出処理方法に対応するようにグループ処理定義テーブル55を更新し、その更新されたグループ処理定義テーブル55を示すグループ処理定義ファイル42を記録媒体に記録する。
【0060】
このような動作によれば、データ変換装置1は、病院情報システムのオープン化、マルチベンダ化に伴い、データ統合データベース6に新規なデータ種(診療情報)が登録されたときにも、データ統合データベース6に記録される複数の診療情報からその1つの情報を復元することができる。データ変換装置1は、さらに、診療情報に格納される様々なデータ型で表現されるデータを適切に処理することができる。
【0061】
なお、データ変換装置1は、医療以外の分野に適用されることもできる。このとき、その診療情報は、その分野で利用される情報を示している。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明によるデータ変換装置の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、グループ定義テーブルを示す図である。
【図3】図3は、グループ処理定義テーブルを示す図である。
【図4】図4は、グループ処理定義の一例を示す図である。
【図5】図5は、データ型定義テーブルを示す図である。
【図6】図6は、マスタ定義テーブルを示す図である。
【図7】図7は、医療マスタデータを示す図である。
【図8】図8は、本発明によるデータ変換装置により作成されるXMLデータの一例を示す図である。
【図9】図9は、XMLデータを作成する動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 :データ変換装置
2 :病院情報システム
6 :データ統合データベース
7 :データベース
11:入力装置
12:出力装置
14:ディスク装置
15:記憶装置
21:グループ記憶部
22:グループ処理手順記憶部
23:データ型記憶部
25:MEデータ検索部
26:グループデータ抽出部
27:履歴情報抽出部
28:データ変換部
29:データ記述部
30:分割判定部
31:マスタデータ検索部
41:グループ定義ファイル
42:グループ処理定義ファイル
43:データ型定義ファイル
51:グループ定義テーブル
52:グループ名
53:データ種識別子
55:グループ処理定義テーブル
56:グループ名
57:抽出処理方法
61:データ型定義テーブル
62:データ種識別子
63:カラム
64:データ型
65:マスタ定義テーブル
66:データ種識別子
67:カラム
68:必要性
71:医療マスタデータ
72:コード
73:文字列
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ変換装置およびデータ変換プログラムに関し、特に、変更履歴が重要であるデータを汎用のデータ形式で表現されるデータに変換するデータ変換装置およびデータ変換プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院で利用される診療情報を統合管理するデータ統合データベースが知られている。その診療情報は、一般的に、法的観点から、変更履歴の分かる状態で一定期間保存する必要がある。その診療情報は、さらに、多様な構造のデータ(マルチメディア情報など)が存在する。その診療情報は、さらに、医学の進歩や病院情報システムの発展(新しい部門システムの導入など)に伴い、新しいデータ構造を持つデータが出現する。
【0003】
そのデータ統合データベースは、病院情報システムにおける診療情報の最終保存メディアであり、以下の要件を満たす必要がある。
(1) 変更履歴を保存する為、物理削除を行わないで、論理修正・論理削除できる。
(2) 多様な構造のデータを格納できる。
(3) 新たな構造のデータに柔軟に対応できる。
データ統合データベースは、このような要件を満たすために、汎用的な単一スキーマ構造を採用して、修正や削除操作を示すデータを登録する構造が採用されることがある。そのスキーマ構造としては、具体的に{データ識別子、データ種識別子、共通データ、固有データ}のような構造が採用される。データ統合データベースは、削除操作が行われると、論理削除の為、削除関連診療情報が登録される。削除関連診療情報は、削除対象診療情報のデータ識別子を保持する。ある診療情報(A)の修正操作が行われると、論理修正の為、修正された診療情報(B)と修正関連診療情報が登録される。修正関連診療情報は、診療情報(A)と診療情報(B)のデータ識別子を保持する。
【0004】
このような診療情報は、汎用のXMLフォーマットで出力する為に、(1)データ統合データベースからのデータ取得、(2)データ種識別子の判定、(3)データ型の決定、(4)データの文字情報への変換、(5)XMLへの変換と出力の手順が必要である。特に(2)(3)(4)は、データ種ごとに固有処理となるため、専用アプリケーションが作成される場合が多い。その専用アプリケーションは、データ統合データベースの全診療情報を発生順に時系列にXML出力したり、新規データ種の追加に柔軟に対応したりすることができないことがある。このような診療情報は、データ種によって、複数の診療情報の診療情報グループで1つの意味をなす場合もあり、このとき、データ統合データベース上でこれらの診療情報間の関連情報が保持されるカラムが診療情報グループごとに固有である。このことは、このような診療情報を汎用のXMLフォーマットで出力する為に専用アプリケーションが作成される要因の1つとなっている。
【0005】
このような診療情報は、患者へ情報公開され、専用アプリケーションによるデータ表示ではなく、ブラウザ等の汎用的なViewで診療情報を閲覧できることが望まれている。その汎用的なデータ形式としては、XMLが例示される。このような診療情報は、病診連携、医療広域ネットワークでの診療情報交換されることが望まれ、データ統合データベースから生成された情報欠落のないXMLをXSLTで標準規格XMLに構造変換することが望まれている。このような診療情報は、裁判用資料を作成するときに、履歴データを含めた全データからの作成が必要になる為、診療用DBではなくデータ統合データベースから生成された情報欠落のないXMLをXSLTで資料用フォーマットに構造変換することが望まれている。
【0006】
特開2003−114930号公報には、患者のプライバシーを保護しながら、医療業務従事者の安全を確保することができる病院情報システムが開示されている。その病院情報システムは、プライバシー保護が極めて重要となる患者の病気に関する情報と、それと同レベルで医療機関の従事者が患者を扱う際に認識しておくべき情報でプライバシー保護をさほど必要としない他の患者の病気に関する情報とからなる患者の病気に関する情報を合わせてグループ化し、患者データとして登録したデータベースと、システムの利用者毎に、患者のデータの参照権限を定義する参照権限定義手段とを設け、上記参照権限定義手段により、上記プライバシー保護が極めて重要となる病気に関する情報についての参照権限のない利用者が、上記データベースを参照した際、上記グループに属することは参照できるが、どのような内容であるかまでは参照できず、また、上記プライバシー保護が極めて重要となる病気に関する情報についての参照権限を持つ利用者が、上記データベースを参照した際、プライバシー保護を必要としている病気に関する情報まで参照できるように参照権限を定義することを特徴としている。
【0007】
特開2004−157794号公報には、データを確実に保存し、障害が発生してもシステムの運用が可能な電子カルテシステムが開示されている。その電子カルテシステムは、サーバーから過去の診療情報を読み出して表示すると共に、新たな診療情報を生成する端末と、前記端末から入力された診療情報を記憶する診療情報データベース手段と、前記診療情報から保存用診療情報を生成する保存データ生成手段とを備えた第1のサーバーと、前記第1のサーバーの保存データ生成手段により生成された保存用診療情報を過去の診療情報と関連付けて保存する診療情報履歴データベース手段を備えた第2のサーバーと、端末およびサーバーを接続する通信網とを備えたことを特徴としている。
【0008】
特開2004−295485号公報には、患者にとって理解しやすい電子カルテを出力することが可能な診療支援装置が開示されている。その診療支援装置は、電子カルテを作成し出力する診療支援装置であって、患者の診療記録データを記憶するカルテデータベースと、診療記録中の専門語についての内容を検索できる辞書データベースと、カルテデータベースから、患者を特定しその患者の診療記録データを取得するカルテデータ取得手段と、取得した診療記録データに含まれる所定のキーワードとなる専門語を自動的に抽出する抽出手段と、抽出されたキーワードに対応する専門語の内容を辞書データベースから検索して取得する辞書内容取得手段と、任意に定める電子カルテ出力フォーマットに従い、取得したカルテデータとともにキーワード及びキーワードに対応する専門語内容を配列し出力する出力手段とを備えることを特徴としている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−114930号公報
【特許文献2】特開2004−157794号公報
【特許文献3】特開2004−295485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、関連する複数の診療情報で表現される1つの情報を復元するデータ変換装置およびデータ変換プログラムを提供することにある。
本発明の他の課題は、診療情報に格納される様々なデータ型で表現されるデータを適切に処理するデータ変換装置およびデータ変換プログラムを提供することにある。
本発明のさらに他の課題は、診療情報が新規に追加されたときにも柔軟に対応するデータ変換装置およびデータ変換プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、発明を実施するための最良の形態・実施例で使用される符号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を記載する。この符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態・実施例の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
本発明によるデータ変換装置(1)は、データ統合データベース(6)に記録される複数診療情報から入力装置(11)を介して入力される検索条件を満足する検索診療情報を検索するデータ検索部(25)と、複数診療情報を複数抽出処理方法に対応付けるテーブル(41、42)を参照して、複数抽出処理方法のうちの検索診療情報に対応する対応抽出処理方法にしたがって複数診療情報から複数の関連診療情報を抽出するデータ抽出部(26)と、関連診療情報をひとかたまりのデータにデータ変換するデータ変換部(28)とを備えている。
【0013】
データ変換部(28)は、複数診療情報が備えている複数カラムを複数データ型に対応付ける他のテーブル(43)を参照して、関連診療情報が備えているカラムごとに複数データ型のうちのカラムに対応するデータ型に基づいてカラムに記入されるデータをデコードして関連診療情報をデータにデータ変換する。
【0014】
本発明によるデータ変換装置(1)は、入力装置(11)の操作に基づいてテーブル(41、42)を更新するテーブル更新部(21、22)をさらに備えている。
【0015】
本発明によるデータ変換プログラムは、データ統合データベース(6)に記録される複数診療情報から入力装置(11)を介して入力される検索条件を満足する検索診療情報を検索するデータ検索部(25)と、複数診療情報を複数抽出処理方法に対応付けるテーブル(41、42)を参照して、複数抽出処理方法のうちの検索診療情報に対応する対応抽出処理方法にしたがって複数診療情報から複数の関連診療情報を抽出するデータ抽出部(26)と、関連診療情報をひとかたまりのデータにデータ変換するデータ変換部(28)とを備えている。
【0016】
データ変換部(28)は、複数診療情報が備えている複数カラムを複数データ型に対応付ける他のテーブル(43)を参照して、関連診療情報が備えているカラムごとに複数データ型のうちのカラムに対応するデータ型に基づいてカラムに記入されるデータをデコードして関連診療情報をデータにデータ変換する。
【0017】
本発明によるデータ変換プログラムは、入力装置(11)の操作に基づいてテーブル(41、42)を更新するテーブル更新部(21、22)をさらに備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるデータ変換装置およびデータ変換プログラムは、データ統合データベースに記録される複数の診療情報のうちの1つのグループが1つの情報を表現するするときに、その複数の診療情報からその1つの情報を復元するすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図面を参照して、本発明によるデータ変換装置の実施の形態を記載する。そのデータ変換装置1は、図1に示されているように、病院情報システム2に適用されている。病院情報システム2は、LANを介して複数のコンピュータが互いに双方向に情報を伝送することができるように接続されている。その複数のコンピュータは、データ変換装置1とデータ統合データベース6とマスターデータベース7とから形成されている。
【0020】
データ統合データベース6は、複数の診療情報を記録し、その複数の診療情報をデータ変換装置1に公開している。その複数の診療情報は、それぞれ、単一スキーマに変換された情報であり、互いに関連付けられている。その複数の診療情報は、複数のカラムを備えるテーブルを含み、そのテーブルは、1つのカラムに記載される情報を他のカラムに記載される情報に対応付けている。その複数のカラムは、それぞれ、記入される情報のデータ型が定義されている。そのデータ型としては、文字・動画・静止画・音声・グラフィックスが例示される。その診療情報のうちの2つの診療情報は、共通する共通カラムを備えているときに、関連付けを設定することができる。このとき、その関連付けを設定された2つの診療情報のうちの一方により共通カラムに対応するカラムは、その他方により共通カラムに対応するカラムに対応付けられる。その複数の診療情報は、複数のグループに分割されている。1つのグループに属する1つの診療情報は、それぞれそのグループの属する他の診療情報との間にその関連付けが設定されている。
【0021】
その診療情報は、図示されていないコンピュータで複数のアプリケーションを用いて作成され、データ統合データベース6にアップロードされる。このような診療情報としては、医師が患者ごとに作成するカルテが例示される。このとき、その診療情報は、1つの医療行為を複数の別個の診療情報により示し、その別個の診療情報は、1つのグループに属している。たとえば、その別個の診療情報は、それぞれ、注射の依頼と注射の実施とを示している。
【0022】
そのアプリケーションは、ユーザの操作により診療情報が更新されたときに、更新前のデータを完全に削除(物理削除)しないで、論理修正・論理削除して変更履歴を保存する。すなわち、そのアプリケーションは、ある診療情報が削除されるように操作されると、その診療情報を削除しないで、その診療情報のデータ識別子を保持する削除関連診療情報を登録する。その削除関連診療情報は、その診療情報と同じグループに属している。そのアプリケーションは、ある診療情報が修正されるように操作されると、その診療情報を修正しないで、その修正された内容を示す診療情報と修正関連診療情報とを登録する。その修正関連診療情報は、その修正される前の診療情報のデータ識別子とその修正された後の診療情報のデータ識別子とを示している。その修正された内容を示す診療情報と修正関連診療情報は、その修正される前の診療情報と同じグループに属している。
【0023】
マスターデータベース7は、その診療情報で利用される医療マスタデータを記録し、その医療マスタデータをデータ変換装置1に公開している。
【0024】
データ変換装置1は、入力装置11と出力装置12とディスク装置14と記憶装置15とを備えている。データ変換装置1は、コンピュータであり、図示されていないCPUと記憶装置とを備えている。その記憶装置は、データ変換装置1にインストールされるコンピュータプログラムを記録し、そのCPUにより生成される情報を一時的に記録する。そのCPUは、そのコンピュータプログラムを実行して、入力装置11と出力装置12とディスク装置14と記憶装置15とを制御する。
【0025】
入力装置11は、たとえばキーボードであり、ユーザの操作により入力される検索条件またはファイル分割条件をデータ変換装置1に出力する。出力装置12は、たとえば、ディスプレイまたは印刷装置である。そのディスプレイは、データ変換装置1により生成された画像を表示する。その印刷装置は、データ変換装置1により生成された画像を紙に印刷する。ディスク装置14は、データ変換装置1により生成された情報を記録媒体に書き込み、または、記録媒体に記録されたより情報をその記録媒体から読み出してデータ変換装置1に出力する。その記録媒体としては、フレキシブルディスク、CD、DVD、ハードディスクが例示される。記憶装置15は、外部定義情報を記憶するディスク装置14により読み出された情報を一時的に記憶する。
【0026】
データ変換装置1は、コンピュータプログラムであるグループ記憶部21とグループ処理手順記憶部22とデータ型記憶部23とMEデータ検索部25とグループデータ抽出部26と履歴情報抽出部27とデータ変換部28とデータ記述部29と分割判定部30とマスタデータ検索部31とがインストールされている。
【0027】
グループ記憶部21は、ディスク装置14を用いて記録媒体に記録されるグループ定義ファイル41を読み取り、グループ定義ファイル41に記載される情報を記憶装置21に記録する。グループ処理手順記憶部22は、ディスク装置14を用いて記録媒体に記録されるグループ処理定義ファイル42を読み取り、グループ処理定義ファイル42に記載される情報を記憶装置21に記録する。データ型記憶部23は、ディスク装置14を用いて記録媒体に記録されるデータ型定義ファイル43を読み取り、データ型定義ファイル43に記載される情報を記憶装置21に記録する。
【0028】
MEデータ検索部25は、データ統合データベース6に記録される複数の診療情報うちから入力装置11を介して入力された検索条件を満足する診療情報を検索し、その検索された診療情報をデータ統合データベース6からダウンロードする。グループデータ抽出部26は、グループ定義ファイル41に記載される情報を参照して、MEデータ検索部25により検索された診療情報が属するグループを検索し、その検索されたグループに属する診療情報を検索し、その検索された診療情報をデータ統合データベース6からダウンロードする。
【0029】
履歴情報抽出部27は、MEデータ検索部25により検索された診療情報とグループデータ抽出部26により検索された診療情報とが履歴情報を含んでいるかどうかを判別する。その履歴情報は、診療情報が削除されるように操作されたときに登録される削除関連診療情報または診療情報が修正されるように操作されたときに登録される新規の診療情報と修正関連診療情報とを示している。履歴情報抽出部27は、さらに、診療情報がその履歴情報を含んでいるときに、その診療情報からその履歴情報を抽出する。
【0030】
データ変換部28は、MEデータ検索部25により検索された診療情報とグループデータ抽出部26により検索された診療情報と履歴情報抽出部27により抽出された履歴情報とをXML形式で表現されるXMLデータにデータ変換する。そのXMLデータは、MEデータ検索部25により検索された診療情報により示される内容がどのように更新されたかを示している。
【0031】
データ記述部29は、データ変換部28により作成されたXMLデータを示す画像を作成し、その画像を出力装置12のディスプレイに表示し、または、その画像を出力装置12の印刷装置により紙に印刷する。データ記述部29は、さらに、ディスク装置14を用いて、データ変換部28により作成されたXMLデータを示す出力ファイルを記録媒体に書き込む。
【0032】
分割判定部30は、MEデータ検索部25により検索された診療情報が複数であるときに、入力装置11から入力されたファイル分割条件に基づいてその診療情報毎に出力ファイルを作成するかどうかを判別する。そのファイル分割条件は、その検索された複数の診療情報の全部を示すXMLデータを1つだけ作成するかその検索された複数の診療情報ごとに複数のXMLデータを作成するかを示している。
【0033】
マスタデータ検索部31は、データ型定義ファイル43に記載される情報を参照して、MEデータ検索部25により検索された診療情報とグループデータ抽出部26により検索された診療情報とがデコードする必要があるデータを含んでいるかどうかを判別する。マスタデータ検索部31は、デコードする必要があるデータを含んでいるときに、マスタデータベース7により記録される医療マスタデータを参照して、そのデータをデコードする。
【0034】
図2は、グループ定義ファイル41が示すグループ定義テーブルを示している。そのグループ定義テーブル51は、グループ名52にデータ種識別子53を対応付けている。グループ名52は、データ統合データベース6に記録される診療情報が分割されるグループを識別し、そのグループのグループ名を示している。データ種識別子53は、データ統合データベース6に記録される診療情報を識別し、グループ名52により識別されるグループに属する診療情報のデータ識別子を示している。
【0035】
グループ記憶部21は、データ種識別子53により識別されない新規な診療情報がデータ統合データベース6に記録されたときに、入力装置11の操作に基づいてその新規な診療情報のデータ種識別子をグループに対応するようにグループ定義テーブル51を更新することができる。このとき、グループ記憶部21は、さらに、ディスク装置14を用いて、その更新されたグループ定義テーブル51を示すグループ定義ファイル41を記録媒体に記録する。
【0036】
図3は、グループ処理定義ファイル42が示すグループ処理定義テーブルを示している。そのグループ処理定義テーブル55は、グループ名56を抽出処理方法57に対応付けている。グループ名56は、データ統合データベース6に記録される診療情報が分割されるグループを識別し、そのグループのグループ名を示している。抽出処理方法57は、図4に示されているように、グループ名52により識別されるグループに属する診療情報をデータ統合データベース6から抽出する手順の定義を示している。
【0037】
このとき、グループデータ抽出部26は、グループ定義テーブル51を参照して、グループ名52のうちからMEデータ検索部25により検索された診療情報に対応するグループを検索する。グループデータ抽出部26は、さらに、グループ処理定義テーブル55を参照して、抽出処理方法57のうちからそのグループに対応する手順を検索し、その手順にしたがって、データ統合データベース6からそのグループに属する診療情報を抽出してダウンロードする。このとき、グループデータ抽出部26は、MEデータ検索部25により検索された診療情報が他の診療情報から修正されたものであるときに、修正関連診療情報が示す修正前診療情報データを履歴データとして取得する。グループデータ抽出部26は、MEデータ検索部25により検索された診療情報が他の診療情報に修正されるものであるときに、修正関連診療情報が示す修正後診療情報データを履歴データとして取得する。
【0038】
グループ処理手順記憶部22は、グループ記憶部21により新規なグループが定義されたときに、入力装置11の操作に基づいてその新規なグループのグループ名を抽出処理方法に対応するようにグループ処理定義テーブル55を更新する。このとき、グループ処理手順記憶部22は、さらに、ディスク装置14を用いて、その更新されたグループ処理定義テーブル55を示すグループ処理定義ファイル42を記録媒体に記録する。
【0039】
データ型定義ファイル43は、データ型定義テーブルとマスタ定義テーブルとを示している。そのデータ型定義テーブル61は、図5に示されているように、データ種識別子62とカラム63とをデータ型64に対応付けている。データ種識別子62は、データ統合データベース6に記録される診療情報を識別し、グループ名52により識別されるグループに属する診療情報のデータ識別子を示している。カラム63は、データ種識別子62により識別される診療情報が備えるカラムを識別し、そのカラムのカラム名を示している。データ型64は、カラム63により識別されるカラムに記入されるデータのデータ型を示している。
【0040】
そのマスタ定義テーブル65は、図6に示されているように、データ種識別子66とカラム67とを必要性68に対応付けている。データ種識別子66は、データ統合データベース6に記録される診療情報を識別し、グループ名52により識別されるグループに属する診療情報のデータ識別子を示している。カラム67は、データ種識別子66により識別される診療情報が備えるカラムを識別し、そのカラムのカラム名を示している。必要性68は、カラム67により識別されるカラムに記入されるデータにデコードの必要性を示し、「必要」または「不必要」のいずれかを示している。
【0041】
データ型記憶部23は、データ種識別子62により識別されない新規な診療情報がデータ統合データベース6に記録されたときに、入力装置11の操作に基づいてその新規な診療情報のデータ種識別子がその新規な診療情報が備えるカラムとそのカラムに記載される情報のデータ種とに対応するようにデータ型定義テーブル61を更新する。データ型記憶部23は、さらに、データ種識別子66により識別されない新規な診療情報がデータ統合データベース6に記録されたときに、入力装置11の操作に基づいてその新規な診療情報のデータ種識別子がその新規な診療情報が備えるカラムとそのカラムのデコードの必要性とに対応するようにマスタ定義テーブル65を更新する。このとき、グループ記憶部21は、さらに、ディスク装置14を用いて、その更新されたデータ型定義テーブル61とマスタ定義テーブル65とを示すグループ処理定義ファイル42を記録媒体に記録する。
【0042】
このとき、マスタデータ検索部31は、マスタ定義テーブル65を参照して、必要性68のうちのMEデータ検索部25により検索された診療情報の各カラムに対応する必要性を検索する。データ変換部28は、「不必要」に対応するカラムに関して、データ型定義テーブル61を参照して、データ型64のうちからそのカラムに対応するデータ型を検索し、そのデータ型に基づいてそのカラムに記載されたデータをXMLで認識可能なデータにデータ変換する。データ変換部28は、そのデータ型に基づいてそのカラムに記載されたデータをユーザに認識可能なデータにデータ変換する。たとえば、データ変換部28は、診療情報がユーザに理解することが困難であるバイナリデータにより数値を表現しているときに、その数値を示す文字列(たとえば、10進数の数値)にそのバイナリデータを変換する。データ変換部28は、さらに、その変換されたデータを用いてXMLデータを作成する。
【0043】
図7は、マスターデータベース7によりデータ変換装置1に公開される医療マスタデータを示している。その医療マスタデータ71は、コード72を文字列73に対応付けている。コード72は、データ統合データベース6に記録される診療情報に記載されるコードを示している。文字列73は、文字列を示し、たとえば、医療行為の名称、薬剤の名称、病名を示している。
【0044】
このとき、データ変換部28は、マスタ定義テーブル65で「必要」に対応するカラムに関して、医療マスタデータ71を参照して、文字列73のうちからそのカラムに記載されたコードに対応する文字列にそのコードをデコードする。このようなマスターデータベース7は、その診療情報の情報量を低減し、データ統合データベース6に搭載される記憶装置に必要である記憶容量を低減してデータ統合データベース6のコストを低減している。
【0045】
図8は、データ変換部28により作成されるXMLデータの一例を示している。そのXMLデータは、XMLフォーマットにより表現され、そのXMLフォーマットは、MEデータ検索部25により検索された診療情報により示される内容がどのように更新されたか(履歴情報)を表現可能である。
【0046】
データ変換装置1の動作は、XMLデータを作成する動作と、グループ定義ファイル41とグループ処理定義ファイル42とデータ型定義ファイル43とを更新する動作とを備えている。
【0047】
図9は、XMLデータを作成する動作を示している。ユーザは、まず、入力装置11を用いてデータ変換装置1に検索条件を入力する。ユーザは、さらに、複数の診療情報がその検索条件を満足するときに、その複数の診療情報の全部を示すXMLデータを1つだけ作成するかその複数の診療情報ごとに複数のXMLデータを作成するかを示すファイル分割条件をデータ変換装置1に入力する。
【0048】
データ変換装置1は、データ統合データベース6に記録される複数の診療情報うちからその検索条件を満足する診療情報を検索し、その検索された診療情報をデータ統合データベース6からダウンロードする(ステップS1)。データ変換装置1は、その検索された診療情報をデータ変換して作成されるXMLデータを格納する1つの出力先ファイルを生成する(ステップS2)。データ変換装置1は、グループ定義テーブル51を参照して、グループ名52のうちからステップS1で検索された診療情報のうちの1つの診療情報に対応するグループを検索する(ステップS3)。データ変換装置1は、そのグループが検索されたときに(ステップS3、YES)、グループ処理定義テーブル55を参照して、抽出処理方法57のうちからそのグループに対応する手順を検索し、その手順にしたがって、データ統合データベース6からそのグループに属する複数の診療情報を抽出してダウンロードする(ステップS4)。
【0049】
データ変換装置1は、そのグループに属する複数の診療情報のうちの1つの診療情報が履歴情報を含んでいるかどうかを判別する(ステップS5)。データ変換装置1は、その1つの診療情報が履歴情報を含んでいないときに(ステップS5、NO)、データ型定義テーブル61を参照して、その1つの診療情報の各カラムに対応するデータ型を検索し、そのカラムに記載されたデータをユーザに認識可能な文字列にデータ変換して1つのXMLデータを作成する(ステップS7)。データ変換装置1は、さらに、マスタ定義テーブル65を参照して、その1つの診療情報の各カラムに対応する必要性を検索する(ステップS8)。データ変換装置1は、マスタ定義テーブル65で「必要」に対応するカラムに関して、医療マスタデータ71を参照して、そのカラムに記載されたコードに対応する文字列にそのコードをデコードする(ステップS9)。
【0050】
データ変換装置1は、その1つの診療情報が履歴情報を含んでいるときに(ステップS5、YES)、その履歴情報が示す診療情報を取得する(ステップS6)。すなわち、データ変換装置1は、その診療情報が他の診療情報から修正されたものであるときに、修正関連診療情報が示す修正前診療情報データを履歴データとして取得する。データ変換装置1は、その診療情報が他の診療情報に修正されるものであるときに、修正関連診療情報が示す修正後診療情報データを履歴データとして取得する。データ変換装置1は、データ型定義テーブル61を参照して、ステップS6で取得された診療情報の各カラムに対応するデータ型を検索し、そのカラムに記載されたデータをユーザに認識可能な文字列にデータ変換して1つのXMLデータを作成する(ステップS7)。データ変換装置1は、さらに、マスタ定義テーブル65を参照して、ステップS6で取得された診療情報の各カラムに対応する必要性を検索する(ステップS8)。データ変換装置1は、マスタ定義テーブル65で「必要」に対応するカラムに関して、医療マスタデータ71を参照して、そのカラムに記載されたコードに対応する文字列にそのコードをデコードする(ステップS9)。
【0051】
データ変換装置1は、ステップS2で生成された出力先ファイルにステップS7〜S9で作成されたXMLデータを格納し、ディスク装置14を用いてその出力先ファイルを記録媒体に書き込む(ステップS10)。データ変換装置1は、さらに、そのXMLデータを示す画像を作成し、その画像を出力装置12のディスプレイに表示し、または、その画像を出力装置12の印刷装置により紙に印刷する。
【0052】
データ変換装置1は、ステップS7〜S9でデータ変換された診療情報が履歴情報を含んでいるかどうかを判別する(ステップS11)。データ変換装置1は、その診療情報が履歴情報を含んでいるときに(ステップS11、YES)、その履歴情報の個数だけステップS7〜S10が繰り返して実行され、その履歴情報が示す全ての診療情報がデータ変換される。すなわち、そのXMLデータは、その取得された診療情報により示される内容がどのように更新されたかを示している。
【0053】
データ変換装置1は、その履歴情報が示す全ての診療情報がデータ変換されると(ステップS11、NO)、ステップS3で検索されたグループのうちのデータ変換されていない他の診療情報があるかどうか判別される(ステップS12)。データ変換装置1は、データ変換されていない診療情報があるときに(ステップS12、YES)、その診療情報の個数だけステップS5〜S11が繰り返して実行され、1つのグループに属する全ての診療情報が変更履歴とともにデータ変換される。
【0054】
データ変換装置1は、ステップS1で検索された診療情報のうちに処理されていない他の診療情報があるかどうかを判別する(ステップS13)。データ変換装置1は、処理されていない診療情報があるときに(ステップS13、YES)、ユーザにより入力されたファイル分割条件がXMLデータを1つだけ作成することを示しているか、複数のXMLデータを作成することを示しているかを判別する(ステップS14)。
【0055】
データ変換装置1は、そのファイル分割条件が複数のXMLデータを作成することを示しているときに(ステップS14、YES)、ステップS2〜S12が繰り返して実行され、ステップS1で検索された複数の診療情報ごとに複数の出力先ファイルが作成される。その複数の出力先ファイルは、それぞれ、その複数の診療情報に関する全てのデータを変更履歴とともに示している。データ変換装置1は、そのファイル分割条件がXMLデータを1つだけ作成することを示しているときに(ステップS14、NO)、ステップS3〜S12が繰り返して実行され、ステップS1で検索された複数の診療情報に関する全てのデータを変更履歴とともに示す1つの出力先ファイルが作成される。
【0056】
このような動作によれば、データ変換装置1は、データ統合データベース6に記録される複数の診療情報のうちの1つのグループが1つの情報を表現するするときに、その複数の診療情報からその1つの情報を復元することができる。データ変換装置1は、さらに、診療情報に格納される様々なデータ型で表現されるデータを適切に処理することができる。
【0057】
グループ定義ファイル41とグループ処理定義ファイル42とデータ型定義ファイル43とを更新する動作は、グループ定義ファイル41またはグループ処理定義ファイル42またはデータ型定義ファイル43により識別されない新規の診療情報がデータ統合データベース6に記録されたときに、実行される。すなわち、ユーザは、その新規の診療情報が備えるカラムと、そのカラムに記入される情報のデータ型と、その情報のマスタデータベース7を用いるデコードの必要性とをデータ変換装置1に入力する。このとき、データ変換装置1は、その新規な診療情報のデータ種識別子がそのカラムとそのデータ型とに対応するようにデータ型定義テーブル61を更新し、そのデータ種識別子がそのカラムとその必要性とに対応するようにマスタ定義テーブル65を更新する。データ変換装置1は、さらに、ディスク装置14を用いて、その更新されたデータ型定義テーブル61とマスタ定義テーブル65とを示すグループ処理定義ファイル42を記録媒体に記録する。
【0058】
ユーザは、さらに、その新規の診療情報が属するグループが存在するときに、その新規の診療情報のデータ種識別子とそのグループのグループ名とをデータ変換装置1に入力する。このとき、データ変換装置1は、そのデータ種識別子がそのグループ名に対応するようにグループ定義テーブル51を更新し、ディスク装置14を用いてその更新されたグループ定義テーブル51を示すグループ定義ファイル41を記録媒体に記録する。
【0059】
ユーザは、さらに、その新規の診療情報が属する新規のグループが存在するときに、その新規のグループのグループ名とそのグループの抽出処理方法とをデータ変換装置1に入力する。このとき、データ変換装置1は、そのグループ名がその抽出処理方法に対応するようにグループ処理定義テーブル55を更新し、その更新されたグループ処理定義テーブル55を示すグループ処理定義ファイル42を記録媒体に記録する。
【0060】
このような動作によれば、データ変換装置1は、病院情報システムのオープン化、マルチベンダ化に伴い、データ統合データベース6に新規なデータ種(診療情報)が登録されたときにも、データ統合データベース6に記録される複数の診療情報からその1つの情報を復元することができる。データ変換装置1は、さらに、診療情報に格納される様々なデータ型で表現されるデータを適切に処理することができる。
【0061】
なお、データ変換装置1は、医療以外の分野に適用されることもできる。このとき、その診療情報は、その分野で利用される情報を示している。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明によるデータ変換装置の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図2は、グループ定義テーブルを示す図である。
【図3】図3は、グループ処理定義テーブルを示す図である。
【図4】図4は、グループ処理定義の一例を示す図である。
【図5】図5は、データ型定義テーブルを示す図である。
【図6】図6は、マスタ定義テーブルを示す図である。
【図7】図7は、医療マスタデータを示す図である。
【図8】図8は、本発明によるデータ変換装置により作成されるXMLデータの一例を示す図である。
【図9】図9は、XMLデータを作成する動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 :データ変換装置
2 :病院情報システム
6 :データ統合データベース
7 :データベース
11:入力装置
12:出力装置
14:ディスク装置
15:記憶装置
21:グループ記憶部
22:グループ処理手順記憶部
23:データ型記憶部
25:MEデータ検索部
26:グループデータ抽出部
27:履歴情報抽出部
28:データ変換部
29:データ記述部
30:分割判定部
31:マスタデータ検索部
41:グループ定義ファイル
42:グループ処理定義ファイル
43:データ型定義ファイル
51:グループ定義テーブル
52:グループ名
53:データ種識別子
55:グループ処理定義テーブル
56:グループ名
57:抽出処理方法
61:データ型定義テーブル
62:データ種識別子
63:カラム
64:データ型
65:マスタ定義テーブル
66:データ種識別子
67:カラム
68:必要性
71:医療マスタデータ
72:コード
73:文字列
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ統合データベースに記録される複数診療情報から入力装置を介して入力される検索条件を満足する検索診療情報を検索するデータ検索部と、
前記複数診療情報を複数抽出処理方法に対応付けるテーブルを参照して、前記複数抽出処理方法のうちの前記検索診療情報に対応する対応抽出処理方法にしたがって前記複数診療情報から複数の関連診療情報を抽出するデータ抽出部と、
前記関連診療情報をひとかたまりのデータにデータ変換するデータ変換部
とを具備するデータ変換装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記データ変換部は、前記複数診療情報が備える複数カラムを複数データ型に対応付ける他のテーブルを参照して、前記関連診療情報が備えるカラムごとに前記複数データ型のうちの前記カラムに対応するデータ型に基づいて前記カラムに記入されるデータをデコードして前記関連診療情報を前記データにデータ変換する
データ変換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかにおいて、
入力装置の操作に基づいて前記テーブルを更新するテーブル更新部
を更に具備するデータ変換装置。
【請求項4】
データ統合データベースに記録される複数診療情報から入力装置を介して入力される検索条件を満足する検索診療情報を検索するデータ検索部と、
前記複数診療情報を複数抽出処理方法に対応付けるテーブルを参照して、前記複数抽出処理方法のうちの前記検索診療情報に対応する対応抽出処理方法にしたがって前記複数診療情報から複数の関連診療情報を抽出するデータ抽出部と、
前記関連診療情報をひとかたまりのデータにデータ変換するデータ変換部
とを具備するデータ変換プログラム。
【請求項5】
請求項4において、
前記データ変換部は、前記複数診療情報が備える複数カラムを複数データ型に対応付ける他のテーブルを参照して、前記関連診療情報が備えるカラムごとに前記複数データ型のうちの前記カラムに対応するデータ型に基づいて前記カラムに記入されるデータをデコードして前記関連診療情報を前記データにデータ変換する
データ変換プログラム。
【請求項6】
請求項4または請求項5のいずれかにおいて、
入力装置の操作に基づいて前記テーブルを更新するテーブル更新部
を更に具備するデータ変換プログラム。
【請求項1】
データ統合データベースに記録される複数診療情報から入力装置を介して入力される検索条件を満足する検索診療情報を検索するデータ検索部と、
前記複数診療情報を複数抽出処理方法に対応付けるテーブルを参照して、前記複数抽出処理方法のうちの前記検索診療情報に対応する対応抽出処理方法にしたがって前記複数診療情報から複数の関連診療情報を抽出するデータ抽出部と、
前記関連診療情報をひとかたまりのデータにデータ変換するデータ変換部
とを具備するデータ変換装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記データ変換部は、前記複数診療情報が備える複数カラムを複数データ型に対応付ける他のテーブルを参照して、前記関連診療情報が備えるカラムごとに前記複数データ型のうちの前記カラムに対応するデータ型に基づいて前記カラムに記入されるデータをデコードして前記関連診療情報を前記データにデータ変換する
データ変換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2のいずれかにおいて、
入力装置の操作に基づいて前記テーブルを更新するテーブル更新部
を更に具備するデータ変換装置。
【請求項4】
データ統合データベースに記録される複数診療情報から入力装置を介して入力される検索条件を満足する検索診療情報を検索するデータ検索部と、
前記複数診療情報を複数抽出処理方法に対応付けるテーブルを参照して、前記複数抽出処理方法のうちの前記検索診療情報に対応する対応抽出処理方法にしたがって前記複数診療情報から複数の関連診療情報を抽出するデータ抽出部と、
前記関連診療情報をひとかたまりのデータにデータ変換するデータ変換部
とを具備するデータ変換プログラム。
【請求項5】
請求項4において、
前記データ変換部は、前記複数診療情報が備える複数カラムを複数データ型に対応付ける他のテーブルを参照して、前記関連診療情報が備えるカラムごとに前記複数データ型のうちの前記カラムに対応するデータ型に基づいて前記カラムに記入されるデータをデコードして前記関連診療情報を前記データにデータ変換する
データ変換プログラム。
【請求項6】
請求項4または請求項5のいずれかにおいて、
入力装置の操作に基づいて前記テーブルを更新するテーブル更新部
を更に具備するデータ変換プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−72985(P2007−72985A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−262279(P2005−262279)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]