説明

データ担体からデータを読み取る方法及び回路

本発明は、データ担体からデータを読み取る回路を提供する。この回路は、データ担体からデータを読み取る読取ユニットと、当該回路を制御するコントローラとを有する。この回路はさらに、データ担体のフォーマットを検出する検出ユニットを有し、コントローラは、検出されたデータ担体フォーマットに応じてデータ担体からデータを読み取るよう当該回路を制御するように設定可能となっている。この態様において、例えばATAPIエンジンを、スーパーオーディオCDから音楽を再生する民生電子機器に用いることができる。本発明はまた、装置、方法及びデータ担体も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ担体からデータを読み取る回路に関し、特に当該データ担体からデータを読み取る読取ユニットと当該回路を制御するコントローラとを有する回路に関する。
【0002】
また、本発明は、データ担体から読み取られたデータを処理するホストシステムと当該データ担体を受け取る手段とを有するデータ処理装置に関する。
【0003】
本発明はまた、データ担体からデータを読み取る方法に関する。さらに、本発明は、処理ユニットを設定するためのデータを有するデータ担体に関する。
【背景技術】
【0004】
このような回路は、特許付与された米国特許に係る公報のUS−B−5,809,245から知られており、この文献は、ATAPIインターフェースに接続されたDVD−ROMドライブを開示している。
【0005】
規格ATAPIドライブは、ディジタルバーサタイルディスク(登録商標)(DVD)やコンパクトディスク(登録商標)(CD)などの色々なフォーマットに準じてデータが記憶されたディスクからデータを読み取るために用いることができる。しかしながら、益々普及してきている他のデータフォーマット、例えばスーパーオーディオコンパクトディスク(登録商標)(SACD)は、規格ATAPIドライブによって読み取ることができない。その理由の1つは、SACDに用いられる暗号化である。これは、当該ドライブ(又はエンジン)とDVDからのデータを復号するバックエンドMPEGデコーダとの間のインターフェース用の工業上のデファクトスタンダードがATAPIインターフェースであるので、不適当である。1つのドライブにおいてDVD及びSACDの双方を情報再生することの可能な装置は、当業界において知られているが、ATAPIドライブが備わっていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、当初は限られた数のディスクフォーマットを扱うように構成されたドライブの汎用性を増強する回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明による回路によって達成され、かかる回路は、当該データ担体のフォーマットを検出するための検出ユニットをさらに有し、当該読取ユニットは、その検出されたデータ担体フォーマットに応じてデータ担体からデータを読み取るよう当該回路を制御するように構成可能となっていることを特徴としている。
【0008】
既知のケースにおいては、例えばSACDディスクがATAPIドライブに挿入されたときに、当該ディスクから読み取られたデータが処理に直接適合しないかもしれず、又は(規格とは異なる)所定の前提条件が満足されなければならない。しかしながら、当該ディスクが規格の例えばSACDディスクとは異なるディスクであることを検出することができる。この情報を用いて、コントローラは、規格外ディスクからデータを読み取り、またこれとともに或いはこれに代えて、あたかも当該データが規格ディスクからデータが読み取られたかのように規格外ディスクから読み取られたデータを変換するように構成可能である。このようにして、当該ドライブは、当初構成されたものよりも多くの用途に適用可能となる。
【0009】
本発明による装置は、請求項1に規定されているような回路を有することを特徴としている。
【0010】
本発明による装置の実施例において、当該読取ユニットは、ATAPIドライブであり、多数のデータ担体フォーマットは、スーパーオーディオコンパクトディスク及びディジタルバーサタイルディスクを有し、当該ホストは、スーパーオーディオコンパクトディスクデータデコーダ及びMPEGビデオデータデコーダを有する。
【0011】
この実施例の利点は、上述されている。
【0012】
本発明による装置の他の実施例においては、先の実施例に基づいて、ATAPIドライブがATAPIインターフェースを介してスーパーオーディオコンパクトディスクデータでコーダに、そしてMPEGビデオデータデコーダに接続される。本発明による装置の他の実施例では、ATAPIドライブがさらに、ATAPIドライブから付加的信号をスーパーオーディオコンパクトディスクデータデコーダに伝送するための予備の2ピンコネクタを介してスーパーオーディオコンパクトディスクデータデコーダに接続される。
【0013】
存分に適切な機能をなすために、SACDデコーダは、ATAPIインターフェースにより提供されるものよりも多くの信号を必要とする。本発明の好ましい実施例においては、予備の2ピンコネクタを用いて余分な信号が供給される。この実施例の利点は、当該信号は個別のグランドを有し、良好な信号品質を呈することである。
【0014】
本発明による装置のさらに他の実施例においては、ATAPIインターフェースのスペア(予備)のピンが、ATAPIドライブからスーパーオーディオコンパクトディスクデータデコーダへ付加的信号を伝送するために用いられる。
【0015】
当該予備信号を当該ドライブからSACDデコーダに供給するための余分な2ピンコネクタを用いることは、信号品質について最良の方策であり、また、ATAPIのスペアピンも用いることができる。この方策は安価で済む。何故なら、追加の接続が不要である一方で、信号品質が幾分しか落ちないからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を唯一の図に基づいてより詳細に説明する。この図は、本発明による装置の実施例を示している。
【0017】
図は、ディスク190からのデータの取り込みをなしその取得データを再生のためにレンダリングする本発明による装置の実施例として装置100を示している。この装置100は、ATAPIディスクドライブユニット110と、MPEGデコーダ120と、スーパーオーディオコンパクトディスクデコーダ122と、D/Aコンバータ124と、コネクタ126と、ユーザコマンドレシーバ130と、中央処理ユニット140と、第1ROMメモリ150とを有する。本発明による装置の好適な実施例では、中央処理ユニットは、MPEGデコーダ120によって構成される。
【0018】
ATAPIディスクドライブユニット110は、ディスク190を回転させるスピンドル112と、ディスク190からデータを検索し取り込む光学ピックアップユニット114とを有する機械式ドライブシステム111を有する。この光学ピックアップユニットは、ディスク190から読み取られた生の(未処理の)データを、MPEGデコーダ120又はスーパーオーディオコンパクトディスクデコーダ122によって扱われることの可能なフォーマットに変換するように構成されたドライブコントローラ116に接続される。ATAPIディスクドライブユニット110はさらに、ドライブコントローラ116を設定構成するためのファームウェアを記憶する第2のROMメモリ118を有する。機械式ドライブシステム111はまた、光学ピックアップユニット114の位置を制御するためのサーボシステムを有する。但し、これは図を簡単にするために図示していない。
【0019】
図1はさらに、装置100を制御するためのユーザ制御デバイス180を示す。ユーザ制御デバイス180からの制御信号は、ユーザコマンドレシーバ130に伝送される。このレシーバは、そのユーザコマンドを中央処理ユニット140に伝送する。中央処理装置140は、装置100の色々な構成部を制御する。第1のROMメモリ150は、本発明による方法を実行するために中央処理装置140をプログラムするためのデータを記憶するための用いられる。ユーザ制御デバイス180は、遠隔制御装置として具現化することができる。他の実施例においては、ユーザ制御デバイス180は、装置100によって構成される。
【0020】
ATAPIディスクドライブユニット110は、とりわけディジタルバーサタイルディスク(すなわちDVD)規格に従ってデータを担持するディスク、及びコンパクトディスク(すなわちCD)規格に従ってデータを担持するディスクを受け付けるものと理解される。但し、ATAPIディスクドライブユニット110は、スーパーオーディオコンパクトディスク規格に従ってディスクに記憶されるようなデータを取り込みこれを取り扱うように直接は構成されていない。
【0021】
DVDとSACDとの重要な違いは、DVDの場合、当該光ディスクの1つの層に全てのデータが記憶される点である。二重層DVDディスクは知られているが、記憶されるデータのレンダリングのためには1つのレイヤのデータだけが依然として必要とされ、双方の層が概して同じ構造を有している。しかし、SACDディスクは、異なる2つの層(従来のコンパクトディスクの層と高解像度の層)に記憶されるデータを持つことがある。こうしたタイプのSACDディスクは、デュアルレイヤSACDと称される。デュアルレイヤSACDは、高密度(HD)の層と通常のCD(CDDA)の層とを有する。このCDDA層は、SACDが通常のCDプレーヤと下位互換性を持つことができるように付加されている。
【0022】
データの取り扱いのため、両方の層からのデータが取り込まれなければならず、これは、ハイブリッドディスク処理(hybrid disc handling)と呼ばれる。この目的のため、CD層とHD層とのスイッチングが必要である。さらに、SACDについては、(DVDと比較して)絶対アドレスではなく論理セクタアドレスを用いてセクタがアドレス指定されなければならない。第3に、SACDマークの検出及び暗号解読も行わなければならず、これは規格ATAPIドライブを用いたときには不可能である。DVDディスクに対してSACDディスクの取り扱いにおけるこれら3つの相違は、ドライブコントローラ116によって扱われなければならない。
【0023】
SACDディスクを適正に扱うようにドライブデコーダを適合するため、ドライブコントローラ116は、第2のROMメモリ118に記憶されたデータを用いることによってプログラム可能である。この動作は、機械式ドライブシステム111に挿入されたディスクがSACDディスクであることを検出したときに行われる。挿入ディスクがSACDディスクかどうかの検出は、PSP(コピー防止のためのピット信号処理(pit signal processing))の存在についてのチェックによって行われる。これは、RF情報についての付加的インターフェースパスを介して情報を送り戻すサーボ(図示せず)によって行われる。この情報は、その後、SACDデコーダ122に転送され、ここで当該ディスクがSACDか又は他のフォーマットかが検出される。
【0024】
当該挿入ディスクがSACD規格により記憶されたデータを持っていると検出された場合、適切なデータが第2ROMメモリ118からロードされ、ドライブコントローラ116をプログラムするために用いられる。
【0025】
一方、当該挿入ディスクがDVD規格により記憶されたデータを有している場合、標準のDVDディスクとして扱われ、これに応じて当該ディスクに記憶されたデータが取り込まれ処理される。
【0026】
但し、ATAPIディスクドライブユニット110を用いてSACDディスクを処理する場合、言及したばかりのものとは別に、追加の問題が生じる。適正なSACDデータ取込及び処理は、付加的信号を必要とする。これは、SACDデータ取込に必要な暗号解読キーを含むEFM+信号である。このため、ATAPIディスクドライブユニット110とSACDデコーダとの間の余分な接続が必要である。本発明の実施例では、このEFM+信号の伝送のために予備の2ピン接続部128が用いられる。本発明の他の実施例においては、EFM+信号は、ATAPIインターフェースのスペアピン(ピン40)を用いることにより伝送される。この予備2ピン接続部の使用は、最良の信号品質を呈するので、ATAPIインターフェースのスペアピンを用いるよりも好ましい。
【0027】
さらに、SACDデコーダ122がFurore2である好適実施例においてSACDデコーダ122により処理されるようにATAPIディスクドライブユニット110からのデータを変換するために、変換ユニット129は、ATAPIディスクドライブユニット110から到来する16ビット情報ワードを8ビットワードに変換するように挿入されなければならない。
【0028】
ディスク190がDVD規格により記憶されたデータを持つものとして認識された場合、ドライブコントローラ116は、これに応じてプログラムされ(又は当該処理が規格処理に応じているためにプログラムされず)、データは、光学ピックアップユニット114によってディスク190から読み取られる。読み取られたデータは、ドライブコントローラ116によって扱われ、MPEGデコーダ120に送られる。MPEGでコーダ120は、ATAPIディスクドライブユニット110から受信したデータをレンダリングし、非圧縮の信号をD/Aコンバータ124に供給する。D/Aコンバータ124は、そのレンダリングされたディジタル信号を、例えばコネクタ126により装置100に接続可能なTVセットによって表すことの可能なPAL規格に準拠した信号に変換する。
【0029】
一方、ディスク190がSACD規格により記憶されたデータを持つものとして認識された場合も、ドライブコントローラ116は、これに応じてプログラムされ、光学ピックアップユニット114によってディスク190からデータが読み取られる。読み取られたデータは、ドライブコントローラ116によって処理され、変換ユニット129を介してSACDデコーダ122により取り込まれる。また、EFM+信号は、予備2ピン接続部128を介してSACDデコーダ122に伝送される。ATAPIディスクドライブユニット110から受信されたデータは、SACDデコーダ122により、レンダリングされ、これによりさらに暗号解読され、D/Aコンバータ124に供給される。これ以降、上述したように、データがDVDディスクから取り込まれる場合と同じようにしてデータが処理される。
【0030】
以上、本発明をかなり特定した実施例により説明したが、当業者であれば、本発明の範囲はこの実施例だけに限定されるものではないことは明らかである。開示した本発明の装置の実施例の単なる改変は、本発明の範囲から逸脱することなく可能である。例えば、各種プロセッサはそれぞれ、1つの中央処理装置に組み合わせることができる。また、記述した実施例における多数の機能を遂行するユニットも、当該機能の1つだけを行う多数のプロセッサユニットに分割することもできる。
【0031】
さらに、本発明は、スマートカード又はフラッシュメモリカード及び着脱可能なハードディスクドライブのような他の種類のメディアからデータを読み取る装置にも適用可能である。フラッシュメモリカードは色々な形式ファクタを有するが、アダプタに適合可能であり、他のメモリカードに適合したスロットに配することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による装置の実施例を示す図。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ担体からデータを読み取る回路であって、
(a)前記データ担体からデータを読み取る読取ユニットと、
(b)当該回路を制御するコントローラと、
を有し、
(c)当該回路は、前記データ担体のフォーマットを検出する検出ユニットをさらに有し、
(d)前記コントローラは、当該検出されたデータ担体フォーマットに応じて前記データ担体からデータを読み取るよう当該回路を制御するように設定可能となっている、
回路。
【請求項2】
請求項1に記載の回路であって、前記データ担体から当該検出されたデータ担体フォーマットに応じてデータを読み取るよう当該設定可能な読取ユニットを設定するための多数のデータ部を記憶するメモリをさらに有する回路。
【請求項3】
データを処理する装置であって、
(a)データ担体から読み取られたデータを処理するホストシステムと、
(b)前記データ担体を受け付ける手段と、
(c)請求項1に記載の回路と、
を有する装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
(a)前記読取ユニットがATAPIドライブであり、
(b)前記多数のデータ担体フォーマットがスーパーオーディオディスク及びディジタルバーサタイルディスクを包含し、
(c)前記ホストがスーパーオーディオコンパクトディスクデータデコーダ及びMPEGビデオデータデコーダである、
装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、前記ATAPIドライブは、規格ATAPIインターフェースを介して前記MPEGビデオデータデコーダ及びスーパーオーディオコンパクトディスクデータデコーダに接続される、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記ATAPIドライブはさらに、付加的信号を前記ATAPIドライブからスーパーオーディオコンパクトディスクデータデコーダへ伝送するために予備2ピンコネクタを介して前記スーパーオーディオコンパクトディスクデータデコーダに接続される、装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置であって、前記ATAPIインターフェースの当該予備ピンは、付加的信号を前記ATAPIドライブから前記スーパーオーディオコンパクトディスクデータデコーダに伝送するために用いられる、装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の装置であって、前記付加的信号は、EFM+信号である、装置。
【請求項9】
請求項4に記載の装置であって、当該検出されたデータ担体がスーパーオーディオコンパクトディスクである場合において、前記ATAPIドライブは、
(a)前記スーパーオーディオコンパクトディスクのマークを検出し解読し、
(b)スーパーオーディオコンパクトディスク規格に従って情報を解読し、
(c)ハイブリッドディスク処理を行う、
ように構成されている、装置。
【請求項10】
データ担体からデータを読み取る方法であって、
(a)データが読み取られるデータ担体のフォーマットを検出するステップと、
(b)当該検出されたデータ担体フォーマットに応じて前記データ担体からデータを読み取る読取回路を設定するステップと、
(c)当該検出されたデータ担体フォーマットに応じて前記データ担体からデータを読み取るステップと、
を有する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法を行う処理ユニットを設定するためのデータを有するデータ担体。

【公表番号】特表2007−519126(P2007−519126A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516750(P2006−516750)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050980
【国際公開番号】WO2005/001681
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】