説明

データ構造、記録再生装置、記録媒体、および記録再生装置制御プログラム

【課題】記録する音声映像情報の数が増えても、インデックス情報を管理するファイルが増えず、また音声映像情報やインデックス情報の追加および削除が容易であり、さらにフリーリストが記録媒体を無駄に占有しない、データ構造、記録再生装置、および記録媒体を実現する。
【解決手段】映像情報と、前記音声映像情報の記録再生を管理する第1階層管理情報のリンクリストである第1のリンクリストを含む第1のテーブルと、該第1階層管理情報を参照する第2階層管理情報の第2のテーブルとからなるデータ構造において、前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの記録に使用していないエントリをリンクした第2のリンクリストの少なくとも一部と、前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの全体とからなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録再生装置および記録媒体に関し、特に、記録されている音声映像情報に対して、インデックス情報を追加・削除する、記録再生装置および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体の大容量化に伴い、記録媒体に大量の音声映像情報(AVストリームなど)を記録するようになってきている。音声映像情報の再生等を簡便に行うために、音声映像情報にブックマーク(所謂しおり)、サムネイル(主に静止画による代表画像)、チャプター情報(映像の区切り)などの情報(以下、インデックス情報と記す)を付加できるようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1では、タイムマップ情報にタイムエントリというものを記録している。これを図16を用いて説明する。
【0004】
図16は、タイムマップ情報TMAPIのデータ構造を示している。タイムマップ情報TMAPIは、特別な再生(ユーザ定義PGCを利用した個別ユーザ独自の順序によるセル再生など)およびタイムサーチを実行する際に利用される。
【0005】
タイムマップ情報TMAPIは、タイムマップ一般情報TMAP_GIと、1以上のタイムエントリTM_ENT#1〜TM_ENT#rと、1以上のVOBUエントリVOBU_ENT#1〜VOBU_ENT#qとを含んでいる。
【0006】
各VOBUエントリは、各VOBUのサイズおよび再生時間の情報を含む。VOBUのサイズはセクタ(2kバイト)単位で示され、再生時間はビデオフィールド(NTSCでは1フィールド1/60秒;PALでは1フィールド1/50秒)単位で示される。
【0007】
VOBUのサイズは上述のようにセクタ単位で示されるため、VOBUにはセクタ単位のアドレスでアクセスできる。
【0008】
各VOBUエントリは、基準ピクチャサイズ情報1STREF_SZと、VOBU再生時間情報VOBU_PB_TMと、VOBUサイズ情報VOBU_SZとを含んでいる。
【0009】
ここで、VOBU_PB_TMは、該当VOBUの再生時間をビデオフィールド単位で表したものである。また、基準ピクチャサイズ情報1STREF_SZは、該当VOBUの最初の基準ピクチャ(MPEGのIピクチャに対応)のサイズをセクタ単位で表したものである。
【0010】
一方、各タイムエントリは、対応VOBUのアドレス情報(VOBU_ADR)と、時間差情報(TM_DIFF)を含む。この時間差情報は、タイムエントリにより指定される再生時間とVOBUの再生開始時間との差を示したものである。
【0011】
特許文献1において開示されている方法では、タイムエントリが配列として配置されているので、追加および削除が困難である。すなわち、データそのものを後ろにずらしてから追加したり、またデータを削除した後にデータそのものをずらして記録する必要がある。
【0012】
近年、記録媒体の容量が大容量となってきており、単一の記録媒体でも、多量の音声映像情報を記録するようになってきており、そのため、単一のデータ構造上に全情報のインデックス情報を記録している場合、配列を用いて順番に管理していると、追加および削除が困難となる。
【0013】
それを解決するために、インデックス情報を音声映像情報ごとに管理することも考えられる。その場合、音声映像情報ごとのインデックス情報は、全音声映像情報のインデックスと比べて、データ構造が小さい分だけ、追加および削除は容易になるが、音声映像情報の数が増えるに従い、記録媒体上のインデックス情報の読み書き速度が低下するという問題がある。その理由は、一般に、ファイルシステムでは、ファイルの個数が多くなると、ファイルの読み書きが遅くなるためである。
【0014】
配列を用いて管理する代わりに、リンクリストを用いて管理する方法が、特許文献2において開示されている。特許文献2において開示されている方法は、ファイルシステム上での空き領域をリンクリストとして管理するものである。特許文献2において開示されている方法では、ファイルシステム上にフリーリストを格納している。
【0015】
図17は、特許文献2において開示されている発明のファイルシステムのフリーエリア管理方式の一実施例を示す図である。
【0016】
当該実施例のファイルシステムのフリーエリア管理方式は、図17に示すように、ディスクDの格納領域を使用したファイルシステムの未使用領域をフリーエリアとして登録して管理している。
【0017】
まず、当該実施例は、ディスクDによる全ファイルシステムを数個のグループG1、G2、G3に分割して、それぞれのグループG1、G2、G3ごとに自己のフリーエリアを、より近いものがより早く次にアクセスできるように分類された順序で管理するフリーリストL1、L2、L3を設けている。
【0018】
そして、それぞれのフリーリストLiは、そのグループGi内の未使用ブロック数と、その未使用ブロック数分の未使用ブロック番号とを有している。
【0019】
また、当該実施例は、ディスクDによる全ファイルシステムを管理するスーパーブロックSを設けて、スーパーブロックSにそれぞれのグループG1、G2、G3のフリーリストL1、L2、L3を読出すためのポインタを、より近いものがより早く次にアクセスできるように分類された順序で設定している。
【0020】
すなわち、スーパーブロックSは、ディスクDによるファイルシステム内のグループ数、並びに、それぞれのグループGiごとに、グループGiの先頭ブロック番号とフリーリストLiのブロック番号とを有している。
【0021】
そこで、ファイルを作成するときには、当該実施例は、スーパーブロックSおよびそれぞれのフリーリストL1、L2、L3を参照することにより、直前にアクセスを行った位置により近いフリーエリアから順々に、必要な大きさの未使用領域を割当てている。
【0022】
一方、ファイルを削除するときには、当該実施例は、削除することにより生ずる幾つかのフリーエリアをそれぞれのフリーリストL1、L2、L3に登録して、登録したフリーリストL1、L2、L3の内容をより近いものがより早く次にアクセスできる順序に分類している。
【特許文献1】特開2004−348958号公報(2004年12月9日公開)
【特許文献2】特開平4−287245号公報(1992年10月12日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、インデックス情報を配列として扱っていたので、配列内の情報の追加および削除を行うときに、データそのものを移動する必要があった。また、音声映像情報ごとにインデックス情報を記録した場合、音声映像情報の数が増えるに従い、読み書きに要する時間が増大するという課題があった。
【0024】
また、特許文献2に開示された、リンクリストを用いて管理する方法では、フリーリスト全体を記録媒体に記録しているため、フリーリストの割合が大きい場合、記録媒体を無駄に占有していた。
【0025】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録する音声映像情報の数が増えても、インデックス情報を管理するファイルが増えず、また音声映像情報やインデックス情報の追加および削除が容易であり、さらにフリーリストが記録媒体を無駄に占有しない、データ構造、記録再生装置、および記録媒体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明に係るデータ構造は、上記の課題を解決する為に、音声映像情報と、前記音声映像情報の記録再生を管理する第1階層管理情報のリンクリストである第1のリンクリストを含む第1のテーブルと、該第1階層管理情報を参照する第2階層管理情報の第2のテーブルとからなるデータ構造において、前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの記録に使用していないエントリをリンクした第2のリンクリストの少なくとも一部と、前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの全体とからなることを特徴とする。
【0027】
また、本発明に係るデータ構造は、上記の課題を解決する為に、上記構成に加えて、前記データ構造は、前記第1のリンクリスト内のエントリを識別する情報である、前記第1のリンクリスト内における前記エントリの位置を表す番号の、最大値またはそれを超える値であり、かつ前記第2のリンクリストと関連付けられている値を記録する領域を含む
ことを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係るデータ構造は、上記の課題を解決する為に、上記構成に加えて、前記第1階層管理情報は、音声映像情報上または音声映像情報と関連付けられた情報上での相対位置であることを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係る記録再生装置は、上記の課題を解決する為に、音声映像情報と、前記音声映像情報の記録再生を管理する第1階層管理情報のリンクリストである第1のリンクリストを含む第1のテーブルと、該第1階層管理情報を参照する第2階層管理情報の第2のテーブルとを記録可能な記録再生装置において、前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの記録に使用していないエントリをリンクした第2のリンクリストの少なくとも一部と、前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの全体とを記録するための記録データを生成する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0030】
また、本発明に係る記録再生装置は、上記の課題を解決する為に、上記構成に加えて、前記制御手段は、前記第1のリンクリスト内の前記エントリを識別する情報である、前記第1のリンクリスト内における前記エントリの位置を表す番号の、最大値またはそれを超える値を、前記第2のリンクリストと関連付けて記録するための記録データを生成することを特徴とする。
【0031】
また、本発明に係る記録再生装置は、上記の課題を解決する為に、上記構成に加えて、前記第1階層管理情報は、音声映像情報上または音声映像情報と関連付けられた情報上での相対位置であることを特徴とする。
【0032】
また、本発明に係る記録媒体は、前記データ構造を記録していることを特徴とする。
【0033】
上記の構成によれば、第1階層管理情報を一つのテーブルとするので、記録する音声映像情報の数が増えても、第1階層管理情報を管理するファイルの数が増加することを防止できるという効果を奏する。
【0034】
また、リンクリストのポインタの張り直しにより音声映像情報の管理を行うので、音声映像情報やインデックス情報の追加および削除が容易になるという効果を奏する。
【0035】
さらにまた、フリーリストである第2のリンクリストの一部のみを記録媒体に記録するので、フリーリストが記録媒体を無駄に占有しないという効果を奏する。
【0036】
また、本発明に係るデータ構造は、上記の課題を解決する為に、上記の構成に加えて、前記第1のリンクリストの各エントリは、前記第1階層管理情報に加え、自エントリを参照している前記第2階層管理情報がどれであるかを記録していることを特徴とする。
【0037】
また、本発明に係る記録再生装置は、上記の課題を解決する為に、上記の構成に加えて、前記各エントリは、前記第1階層管理情報に加え、自エントリを参照している前記第2階層管理情報がどれであるかをを記録していることを特徴とする。
【0038】
上記の構成によれば、ポインタの張り直し処理が異常終了した場合でも、第1のリンクリストの各エントリは、いずれの第2階層管理情報が自エントリを参照しているかの情報を持っているので、第1のテーブルと第2のテーブルとの間の参照関係が整合性を持つように参照関係を修復できるという効果を奏する。
【0039】
ところで、上記記録再生装置は、ハードウェアで実現してもよいし、プログラムをコンピュータに実行させることによって実現してもよい。具体的には、本発明に係るプログラムは、少なくとも上述した制御手段としてコンピュータを動作させる記録再生装置制御プログラムである。
【0040】
この記録再生装置制御プログラムがコンピュータによって実行されると、当該コンピュータは、上記記録再生装置として動作する。従って、上記記録再生装置と同様に、第1階層管理情報を一つのテーブルとするので、記録する音声映像情報の数が増えても、第1階層管理情報を管理するファイルの数が増加することを防止できるという効果を奏する。
【0041】
また、リンクリストのポインタの張り直しにより音声映像情報の管理を行うので、音声映像情報やインデックス情報の追加および削除が容易になるという効果を奏する。
【0042】
さらにまた、フリーリストである第2のリンクリストの一部のみを記録媒体に記録するので、フリーリストが記録媒体を無駄に占有しないという効果を奏する。
【0043】
また、本発明に係る記録装置は、順序情報を含む要素をリンク付けたリンクリストを一つ以上記録可能な記録装置であって、無効な要素をリンク付けたフリーリストをリンクリストとして記録し、有効な要素を含む部分全体を記録することを特徴とする構成でもよい。
【0044】
また、本発明に係る記録媒体は、順序情報を含む要素をリンク付けたリンクリストを一つ以上記録可能な記録媒体であって、無効な要素をリンク付けたフリーリストをリンクリストとして含み、有効な要素を含む部分全体を記録していることを特徴とする構成でもよい。
【0045】
また本発明に係る記録媒体は、上記の構成に加えて、前記リンクリストのうち、記録している部分を識別する情報として、有効な要素を含むリストの位置番号の最大値またはそれを超える値を、フリーリストと関連付けて記録していることを特徴とする構成でもよい。
【0046】
また、本発明に係る記録媒体は、上記構成に加えて、前記各要素が順序情報の他に、属しているリンクリストを記録していることを特徴とする構成でもよい。
【0047】
また、本発明に係る記録媒体では、上記構成に加えて、前記順序情報は、音声映像情報または音声映像情報と関連付けられた情報上での相対位置であることを特徴とする構成でもよい。
【発明の効果】
【0048】
本発明に係るデータ構造は、以上のように、前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの記録に使用していないエントリをリンクした第2のリンクリストの少なくとも一部と、前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの全体とからなることを特徴とする。
【0049】
また、本発明に係る記録再生装置は、以上のように、前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの記録に使用していないエントリをリンクした第2のリンクリストの少なくとも一部と、前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの全体とを記録するための記録データを生成する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0050】
また、本発明に係る記録媒体は、以上のように、前記データ構造を記録していることを特徴とする。
【0051】
それ故、第1階層管理情報を一つのテーブルとするので、記録する音声映像情報の数が増えても、第1階層管理情報を管理するファイルの数が増加することを防止できるという効果を奏する。
【0052】
また、リンクリストのポインタの張り直しにより音声映像情報の管理を行うので、音声映像情報やインデックス情報の追加および削除が容易になるという効果を奏する。
【0053】
さらにまた、フリーリストである第2のリンクリストの一部のみを記録媒体に記録するので、フリーリストが記録媒体を無駄に占有しないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
最初に参考例を用いて、本発明の前提の概要を説明した後、各実施形態について説明する。
【0055】
〔参考例〕
本参考例では、情報記録媒体としてリムーバブルハードディスクを用いるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、情報記録再生装置に内蔵されたハードディスク/読み書き可能なDVD/光磁気ディスクなどのランダムアクセスと高速アクセスが可能な記録媒体であればどのようなものでも良い。なお、情報記録媒体に映像データそのものを記録したり再生したりする手順に関しては、既存のハードディスクレコーダ等と同様である。
【0056】
本参考例の情報記録再生装置は、映像データ等を記録する手段と、該映像データ等の少なくとも一部を参照する第一階層情報とその第一階層情報を参照する第二階層情報とを生成する手段と、第一階層情報及び第二階層情報を記録する手段と、第二階層情報から第一階層情報の参照情報を取得する手段とを備える。第二階層情報は、第一階層情報の参照情報として、第一階層情報の有効/無効を示す有効性情報とその記録位置を示す位置情報とを含み、第二階層情報から得られる第一階層情報の有効性情報及び位置情報を用いて第一階層情報を記録できるように構成されている。
【0057】
本参考例において、映像データ等を“Programs”、第一階層情報を“OriginalProgramReferences(OPGR)”、“UserDefinedProgramReferences(UPGR)”、“ProgramReferenceGroups(PGRG)”とし、第二階層情報を“ProgramReferenceManager(PGRM)”、“ProgramReferenceGroupManager(PGRGM)”としてもよい。また、第一階層情報を“Programs”とし、第二階層情報を“OPGR”、“UPGR”としてもよい。また、第一階層情報を“OPGR”、“UPGR”とし、第二階層情報を“PGRG”としてもよい。なお、本参考例において、映像データ等として映像データを代表例として説明するが、本参考例は、音声データなどの他の種類のデータにも適用可能である。
【0058】
本参考例は、映像データを記録した情報記録媒体と該情報記録媒体に暗号化したコンテンツを記録する情報記録再生装置について説明する。
【0059】
図18は、本参考例における情報記録媒体のデータ構造の概略を説明するための図で、図中、1はPrograms、2はOriginalProgramReferences(OPGR)、3はUserDefinedProgramReferences(UPGR)、4はProgramMap(PGMAP)、5はProgramReferenceGroups(PGRG)、6はUserDefinedFavoriteFolders(UDFF)を示す。1つ以上のOPGR2を参照するのがPGMAP4で、逆にPGMAP4はOPGR2の一覧でもある。同様に、図示しないPGRMはOPGR2、UPGR3の一覧、図示しないPGRGMはPGRG5の一覧、UDFFT(UserDefinedFavoriteFoldersTable)はUDFF6の一覧である。1つ以上のUPGR3を参照するのがPGRG5である。
【0060】
上述したPGRGは、例えばプレイリストを想定しており、UDFFは例えばお気に入りのタイトルをまとめることができるフォルダやデータ構造を想定したものである。ここで、タイトルとは、例えば、一本の映画、一本の番組などの映像データそのものであって、映像データの記録単位あるいは再生単位となる。また、プレイリストとは、例えば、ユーザが好みのシーンを一つ以上、好みの順に並べたもので、ユーザはプレイリスト上から所望のシーンを選択して再生することができる。
【0061】
図18において、Programs1は映像データ等である。Programs1のそれぞれのProgramを、Program#1,Program#2,Program#3,Program#4,…と記載している。Programは必ず一つのPGR(OPGRおよびUPGRの総称)から、その全体が参照される。そのPGRをOPGR2と記す。本例では、Program#1全体をOPGR#1が、Program#2全体をOPGR#2が、Program#3全体をOPGR#3が、Program#4全体をOPGR#4を参照している。更に、全てのOPGRはPGMAP4から参照されている。従って、PGMAP4から、Programs1の全てのProgramが参照可能となる。
【0062】
以上に加えて、主として多彩な再生を可能とするためのデータ構造として、UPGR3とPGRG5が定義される。UPGR3は、一つのProgramの任意の一部または全部の区間を参照する。PGRG5は、一つ以上のUPGR3を参照する。更に、主として映像データを分類して整理できるようにするためのデータ構造としてUDFF6が定義される。UDFF6は一つ以上のPGRG5またはOPGR2を参照する。
【0063】
本例では、UPGR#1はProgram#3を、UPGR#2はProgram#4を参照している。PGRG#1はUPGR#1とUPGR#2を参照し、PGRG#2とPGRG#3は図示していないUPGRを参照している。また、UDFF#1はPGRG#2とPGRG#3を、UDFF#2はPGRG#3とOPGR#4を参照している。
【0064】
図19は、Programと、それを参照するPGRのデータ構造の一例を説明するための図である。図中、Program#nはOPGR#iから全体が参照される。また、Program#nは、UPGR#jとUPGR#kからその一部分が参照されている。ここでも説明したように、Programは必ず一つのOPGRから全体が参照される。
【0065】
次に、図20において、Program、OPGR、UPGR、およびインデックス情報の関係を示す。上側の四角がProgramを表し、下側の四角がOPGRまたはUPGRを示している。OPGRまたはUPGRの四角から斜め上方に引かれている斜線が、ProgramのうちOPGRまたはUPGRが参照している範囲(Programの四角内の弧で示した部分)を表している。
【0066】
OPGRまたはUPGRから上方に引かれた矢印が、インデックスとして指し示している部分を表す。この図に示す例では、この矢印が2本あるが、これは、UPGRがインデックスを2個持っていることを表している。(なお、UPGRではなくOPGRの場合、その参照範囲は、Program全体になる。)
OPGRおよびUPGRは、インデックスを持たなくてもよいし、1個以上持ってもよい。
【0067】
〔第一の実施形態〕
<記録再生装置の構成について>
図1において、本発明の一実施形態に係る記録再生装置11の基本的な構成例を示すブロック図を示す。尚、図中、点線の矢印は制御信号の流れを示し、実線の矢印はデータ信号の流れを示す。
【0068】
記録再生装置11は、リムーバブル記録媒体21を着脱可能に接続するための外部入出力インタフェース(IF)12、操作入力部19からの操作信号を入力するユーザIF14、記録再生装置11を制御するCPUやメモリ等を備えた制御部15(制御手段)、音声映像情報を暗号化/復号化する暗号化部16,音声映像情報を再生する再生部17、音声映像情報を一時的に保持するバッファ18から構成されている。
【0069】
操作入力部19及び出力装置20は、記録再生装置11と一体として、または記録再生装置11に外部接続されて、配置される。
【0070】
リムーバブル記録媒体21は、記録再生装置11とは独立して、記録再生装置11に着脱可能に配置される。
【0071】
なお、この例は構成の一例であり、例えば、音声映像情報を入力するための受信部(図示せず)や記録媒体が内蔵されている構成であっても構わない。
【0072】
上記各部について、より詳細に説明すると以下のとおりである。
【0073】
入出力IF12は、記録再生装置11とリムーバブル記録媒体21とを接続するためのインタフェースである。入出力IF12は、リムーバブル記録媒体21の着脱機構およびデータの読み書きを行うインタフェースも含んでいる。入出力IF12における、リムーバブル記録媒体21とのデータの読み書きを行うインタフェースとしては、ATA(AT Attachment)、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394などのインタフェースが存在するが、いずれを用いてもよい。
【0074】
ユーザIF14は、記録再生動作等の、記録再生装置11における動作の選択を行う部分である。
【0075】
制御部15は、ユーザIF14からの入力などに基づき、各構成部の制御を行う部分である。インデックス情報を管理するインデックス管理部51を含む。
【0076】
暗号化部16は、音声映像情報の暗号化/復号化を行う部分である。
【0077】
再生部17は、音声映像情報の再生を行う部分である。
【0078】
バッファ18は、音声映像情報を一時的に溜める為のバッファである。
【0079】
操作入力部19は、利用者が記録再生装置11を操作するための手段である。操作入力部19は、典型的には操作リモコンや、記録再生装置11に具備されているボタンなどである。
【0080】
出力装置20は、音声映像情報、およびユーザIF14の操作により作成されるOSD(On Screen Display)表示を出力するためのものである。出力装置20は、例えば、液晶ディスプレイや、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどのディスプレイ装置である。
【0081】
リムーバブル記録媒体21は、音声映像情報およびインデックス情報を記録する。リムーバル記録媒体21は、リムーバブルハードディスクやDVDなどが想定される。
【0082】
なお、本実施形態では、記録媒体をリムーバブル記録媒体としているが、記録媒体はリムーバブルではなく、記録再生装置1に内蔵され固定されているものなどでも構わない。
【0083】
<インデックス情報を用いた音声映像情報の利用手順について>
図2において、インデックス情報を用いて音声映像情報を利用するときの手順の一例を説明するためのフローチャートを示す。
【0084】
まず、記録再生装置11の制御部15は、入出力IF12を介して、リムーバブル記録媒体21からインデックス情報を読み込む(ステップ1、以下S1と略す)。読み込むインデックス情報は、予めユーザIF14を介して利用者により選択されている音声映像情報に対応するものである。
【0085】
次に、制御部15のインデックス管理部51は、読み込んだインデックス情報を解析し、再生開始位置を決定する(S2)。
【0086】
次に、制御部15は、入出力IF12を介して、リムーバブル記録媒体21から、音声映像情報を読み込む(S3)。読み込む音声映像情報は、予めユーザIF14を介して利用者により選択されているものである。
【0087】
次に、暗号化部16が、読み込まれたコンテンツの復号処理を行い、バッファ18にバッファリングする(S4)。
【0088】
次に、再生部17が、暗号の復号されたコンテンツをデコード処理する(S5)。
【0089】
次に、再生部17が、デコードされた結果を出力装置20に出力する(S6)。
【0090】
<インデックス情報のデータ構造について>
図3において、本実施形態に係るインデックス情報のデータ構造を示す。以下では、この図を用いて、本実施形態に係るインデックス情報の構成を説明する。なお、本実施形態では、音声映像情報として、映像データを例にとって説明する。
【0091】
本実施形態に係るインデックス情報の総体は、インデックステーブルT1(第1のテーブル)、OPGR(Original Program Reference)テーブル(第2のテーブル)、およびUPGR(User Program Reference)テーブル(第2のテーブル)から構成される。
【0092】
OPGRテーブルT2内の各OPGR(第2階層管理情報)は、映像データと1対1に対応するものである。
【0093】
また、UPGRテーブルT3内の各UPGR(第2階層管理情報)は、映像データの一部または全体を参照するものである。所謂プレイリストのチャプターに相当する。
【0094】
また、インデックステーブルT1の各行または各レコード(以下、エントリという)は、インデックスID、インデックス情報本体(第1階層管理情報)、および次のインデックスIDから構成される。
【0095】
インデックス情報本体には、OPGRまたはUPGRの位置が、映像データの先頭からの相対時間を用いて記録されている。
【0096】
本実施形態においては、映像データの先頭からのOPGRまたはUPGRの位置を表す相対時間は、90kHz単位で記録されている。すなわち、先頭から1分のところを指し示す場合は、90000×60=5400000なので、インデックス情報本体には、値として「5400000」が記録される。
【0097】
本実施形態においては、OPGRテーブルT2およびUPGRテーブルT3は、それぞれ99999個のエントリを持つ。それぞれのOPGRエントリおよびUPGRエントリには、1から99999までのIDが付いている。また、インデックステーブルT1内では、各OPGRエントリおよびUPGRエントリからポイントされるエントリの個数は、合計で99999個まで記録可能である。
【0098】
OPGRエントリおよびUPGRエントリは、それらを識別するIDの他に、インデックステーブルT1へのポインタを記録している。本実施形態においては、このポインタは、次に説明するインデックステーブルT1のインデックスIDであるが、この構成に限らず、インデックステーブルT1へのポインタとして、インデックステーブルT1の先頭エントリからの位置を記録するようにしても良い。また、OPGRエントリおよびUPGRエントリには、インデックステーブルT1へのポインタ以外の情報、例えば音声映像情報内においてOPGRまたはUPGRに対応する開始点および終了点を映像データの先頭からの経過時間として記録しても良い。
【0099】
インデックステーブルT1は、0から99999までのインデックスIDを持つ。インデックスIDとして、1から99999までが、OPGRおよびUPGRに対応したインデックス情報本体の格納に用いられる。インデックスIDが「0」であるインデックステーブルT1のエントリは、後述するフリーリスト(第2のリンクリスト)の記録に用いる。
【0100】
インデックステーブルT1は、インデックス情報本体と「次のインデックスID」とを含むが、それ以外の情報を含んでも良い。インデックスID自体を含んでも良いが、本実施形態では、先頭からの位置でそれの代わりとする。
【0101】
「次のインデックスID」は、インデックステーブルT1を単方向のリンクリスト(第1のリンクリストおよび第2のリンクリスト)として管理するためのリンク情報である。
【0102】
図3に示すように、ID=1のOPGRのインデックステーブルT1へのポインタは、「1」であるので、インデックステーブルT1の、インデックスID=1のエントリは、ID=1のOPGRのインデックス情報本体を含む。なお、以下では、例えば、ID=1のOPGRを、OPGR(ID=1)と略す。
【0103】
インデックステーブルT1のエントリ(インデックスID=1)の「次のインデックスID」は、「2」なので、リンク先は、エントリ(インデックスID=2)である。そして、エントリ(インデックスID=2)の「次のインデックスID」は、「3」なので、リンク先は、エントリ(インデックスID=3)である。エントリ(インデックスID=3)の「次のインデックスID」は、「4」なので、リンク先は、エントリ(インデックスID=4)である。エントリ(インデックスID=4)の「次のインデックスID」は、「0」である。
【0104】
ここで、「次のインデックスID」の「0」は、終端を表す。すなわち、これは、OPGR(ID=1)のインデックス情報(第1のリンクリスト)が、インデックス情報本体(インデックスID=1)、インデックス情報本体(インデックスID=2)、インデックス情報本体(インデックスID=3)、インデックス情報本体(インデックスID=4)の順に並んでいることを表している。
【0105】
同様にして、OPGR(ID=2)のインデックス情報(第1のリンクリスト)は、インデックス情報本体(インデックスID=5)、インデックス情報本体(インデックスID=6)、およびインデックス情報本体(インデックスID=8)である。また、OPGR(ID=4)のインデックステーブルT1へのポインタが「0」なのは、インデックス情報を持っていないことを表している。
【0106】
インデックステーブルT1のエントリ(インデックスID=0)は、フリーリストの先頭のインデックスIDを保持する。本実施形態においては、エントリ(インデックスID=14)がフリーリストの先頭エントリであり、以下インデックス情報本体のときと同じように、エントリ(インデックスID=15)、エントリ(インデックスID=16)…とフリーリストがリンクされている。
【0107】
<OPGRまたはUPGR追加時の処理について>
OPGRまたはUPGRを追加するときの処理を説明する。ここでは、OPGR(ID=4)を追加するときの処理を、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0108】
まず、ステップS11で、フリーリストの先頭を示すインデックステーブルT1のエントリ(インデックスID=0)の「次のインデックスID」から追加するインデックス情報の格納先となる、現在フリーリストに含まれている最初の空きエントリのインデックスIDを取得する。本実施形態の場合は、インデックスID=14が取得される。なお、フリーリストの先頭を示すインデックステーブルT1のエントリ(インデックスID=0)の「次のインデックスID」が空の場合は、インデックステーブルT1に空きエントリが無いので、インデックス情報の追加ができない。
【0109】
次に、ステップS12で、インデックス情報本体(インデックスID=14)を、挿入するインデックス情報にあわせて設定する。本実施形態では、先頭である0秒を表す値をインデックス情報本体(インデックスID=14)に代入する。
【0110】
次に、ステップ13で、エントリ(インデックスID=14)の「次のインデックスID」を終端を意味する「0」に更新する。
【0111】
次に、ステップ14で、エントリ(インデックスID=0)の「次のインデックスID」を、エントリ(インデックスID=14)のリンク先であった、すなわち、参照していたエントリのインデックスIDに更新する。本実施形態の場合は、「次のインデックスID」は、「15」である。
【0112】
次に、ステップ15で、追加するOPGRエントリまたはUPGRエントリの、インデックステーブルT1へのポインタを設定する。本実施形態では、OPGR(ID=4)のポインタとして、インデックステーブルT1のエントリ(インデックスID=14)をポイントする「14」を設定する。
【0113】
以上のようにすることで、OPGRやUPGRが追加できる。追加後のデータ構造を、図5に示す。
【0114】
〔第二の実施形態〕
本実施形態では、一つのOPGRまたはUPGRに、インデックス情報本体を追加する。なお、以下では、第一の実施形態と異なる箇所のみを説明する。
【0115】
ここでは、図5に示すデータ構造において、OPGR(ID=1)に、インデックス情報本体を追加するときの処理を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0116】
なお、挿入する内容である、インデックス情報本体の値(相対的な経過時間)は、インデックス情報本体(インデックスID=2)とインデックス情報本体(インデックスID=3)の間の値であるとする。
【0117】
まず、ステップS21で、OPGRまたはUPGRのインデックステーブルT1への、追加するポインタを取得する。本実施形態の場合は、インデックステーブルT1のエントリ(インデックスID=1)へのポインタとして、「1」が取得される。
【0118】
次に、ステップS22で、インデックス情報本体を追加する位置の検索を行う。エントリ(インデックスID=1)から「次のインデックスID」を順にたどり、追加するインデックス情報本体の値が、検索中のインデックスIDのインデックス情報本体の値より大きくなるところを探す。
【0119】
本実施形態の場合は、インデックス情報本体(インデックスID=1)の値は条件を満たさないので、「次のインデックスID」で示されるインデックス情報本体(インデックスID=2)を調べる。インデックス情報本体(インデックスID=2)の値は、条件を満たさないので、「次のインデックスID」で示されるインデックス情報本体(インデックスID=3)を調べる。インデックス情報本体(インデックスID=3)の値は、条件を満たすので、挿入すべき位置は、インデックスID=2とインデックスID=3の間であることがわかる。
【0120】
次に、ステップS23で、フリーリストの先頭を示すインデックステーブルT1のエントリ(インデックスID=0)の「次のインデックスID」から追加するインデックス情報本体の格納先となる、現在フリーリストに含まれている最初の空きエントリのインデックスIDを取得する。本実施形態の場合は、インデックスIDとして「15」が取得される。なお、フリーリストの先頭を示すインデックステーブルT1のエントリ(インデックスID=0)の「次のインデックスID」が空の場合は、インデックステーブルT1に空きエントリが無いので、インデックス情報の追加ができない。
【0121】
次に、ステップS24で、インデックス情報本体(インデックスID=15)に、挿入するインデックス情報本体の値を代入する。
【0122】
次に、ステップS25で、インデックス情報本体の追加位置が映像データの先頭かどうかを判定する。本実施形態では、先頭ではないので、ステップS27へ処理を移す。
【0123】
次に、ステップS27は、挿入するインデックス情報本体をリンク先とする、前のエントリの「次のインデックスID」を、挿入したインデックス情報本体を参照するように更新する。本実施形態では、エントリ(インデックスID=2)の「次のインデックスID」の値を、エントリ(インデックスID=15)にリンクするため、「15」に更新する。
【0124】
次に、ステップS28で、挿入するインデックス情報本体の「次のインデックスID」を、挿入するインデックス情報本体をリンクしていた前のエントリの「次のインデックスID」の値で更新する。本実施形態では、エントリ(インデックスID=15)の「次のインデックスID」を、エントリ(インデックスID=3)にリンクするため、「3」に更新する。
【0125】
次にステップS29で、フリーリストの先頭を、エントリ(インデックスID=15)が参照していたエントリに更新する。本実施形態の場合は、エントリ(インデックスID=16)を表す「16」である。
【0126】
以上のようにすることで、インデックス情報が追加できる。追加後のデータ構造を図7に示す。
【0127】
なお、ステップS25で、インデックス情報本体の追加位置が映像データの先頭である場合は、ステップS27の代わりにステップS26で、OPGRエントリまたはUPGRエントリのインデックステーブルT1へのポインタを更新する。
【0128】
〔第三の実施形態〕
本実施形態では、OPGRまたはUPGRに対応したインデックス情報本体を削除するときの処理を説明する。なお、以下では、第一の実施形態と異なる箇所のみを説明する。
【0129】
ここでは、図7に示すデータ構造から、OPGRに対応したインデックス情報本体を削除するときの処理を、図8に示すフローチャートを用いて説明する。なお、削除するのはOPGR(ID=2)のインデックス情報であり、削除すべきインデックス情報本体としてインデックスID=6のインデックス情報本体が指定されたとき(ただし、それがインデックスID=6であることは不明のとき)を例にとって説明する。
【0130】
まず、ステップS31で、削除するインデックス情報本体に対応したOPGRまたはUPGRのインデックステーブルT1へのポインタを取得する。本実施形態の場合は、エントリ(インデックスID=5)をポイントするので、インデックステーブルT1へのポインタは、「5」となる。
【0131】
次に、ステップS32で、削除位置の検索を行う。インデックス情報本体(インデックスID=5)と削除すべきインデックス情報本体とを比べると、これらは異なるとする。そこで、エントリ(インデックスID=5)の「次のインデックスID」の値が「6」なので、インデックス情報本体(インデックスID=6)と削除するインデックス情報本体との比較を行う。本実施形態の場合はここで一致するとし、検索を終了する。もし一致しない場合は、インデックス情報本体の値が一致するまで「次のインデックスID」の値からリンクリストをたどり、検索を続ける。
【0132】
次に、ステップS33で、削除するインデックス情報本体(インデックスID=6)の値を初期化する。
【0133】
次に、ステップS34で、削除位置がOPGRテーブルT2またはUPGRテーブルT3の先頭エントリかどうかを判定する。本実施形態では、先頭ではないので、ステップS36へ処理を移す。
【0134】
次に、ステップS36で、削除するインデックス情報本体のインデックスIDを参照していた、インデックステーブルT1のエントリの「次のインデックスID」の値を、削除するインデックス情報本体のエントリの「次のインデックスID」の値で更新する。本実施形態では、エントリ(インデックスID=2)の「次のインデックスID」の値を、エントリ(インデックスID=6)の「次のインデックスID」である「8」により更新する。
【0135】
次に、ステップS38で、削除するインデックス情報本体のエントリの「次のインデックスID」の値を、エントリ(インデックスID=0)の「次のインデックスID」が示すフリーリストの先頭エントリの値により更新する。本実施形態の場合は、エントリ(インデックスID=6)の「次のインデックスID」の値を、エントリ(インデックスID=16)を示す「16」の値により更新する。
【0136】
次に、ステップS39で、エントリ(インデックスID=0)の「次のインデックスID」に格納されているインデックスIDを、削除するインデックス情報本体のインデックスIDにより更新する。本実施形態では、削除するインデックス情報本体のインデックスIDは「6」なので、「6」により更新する。
【0137】
以上のようにすることで、インデックスが削除できる。削除後のデータ構造は図9のようになる。
【0138】
なお、ステップS34で、削除位置が先頭のエントリである場合は、ステップS36の代わりにステップS35で、OPGRエントリまたはUPGRエントリのインデックステーブルT1へのポインタを更新する。
【0139】
〔第四の実施形態〕
本実施形態では、OPGRテーブルT2またはUPGRテーブルT3内のエントリのインデックステーブルT1へのポインタを削除するときの処理を説明する。なお、以下では、第一の実施形態と異なる箇所のみを説明する。
【0140】
ここでは、図9に示すデータ構造において、OPGRテーブルT2のOPGRエントリ(ID=3)の内容を削除するときの処理を図10に示すフローチャートを用いて説明する。
【0141】
まず、ステップS41で、内容を削除するOPGRエントリまたはUPGRエントリのインデックステーブルT1へのポインタを取得する。本実施形態では、インデックスID=9となる。
【0142】
次に、ステップS42で、内容を削除するOPGRエントリまたはUPGRエントリのインデックステーブルT1へのポインタを「0」(未使用を意味する)に更新する。
【0143】
次に、ステップS43で、内容を削除するOPGRエントリまたはUPGRエントリに対応したインデックス情報本体を格納する最後のエントリのインデックスIDを「次のインデックスID」をたどることで検索する。本実施形態では「次のインデックスID」(インデックスID=9)の値は「10」であり、その「10」で示されたエントリ(インデックスID=10)の「次のインデックスID」の値は「11」であり、その「11」で示されたエントリ(インデックスID=11)の「次のインデックスID」の値は「7」であり、、その「7」で示されたエントリ(インデックスID=7)の「次のインデックスID」の値は「12」であり、その「12」で示されたエントリ(インデックスID=12)の「次のインデックスID」の値は「13」となり、インデックスID=13が最後のインデックスIDである。このとき、上記各インデックスIDのインデックス情報本体を初期化する。
【0144】
次に、ステップS44で、内容を削除するOPGRエントリまたはUPGRエントリに対応したインデックス情報本体を格納する最後のエントリの「次のインデックスID」の値をエントリ(インデックスID=0)の「次のインデックスID」のインデックスIDの値により更新する。本実施形態では、「次のインデックスID」(インデックスID=13)の値をエントリ(インデックスID=6)を示す「6」に更新する。
【0145】
次に、ステップS45で、エントリ(インデックスID=0)の「次のインデックスID」の値を、削除するOPGRエントリまたはUPGRエントリが参照していたインデックステーブルT1のエントリのインデックスIDで更新する。本実施形態では、インデックスID=9で更新する。
【0146】
以上のようにすることで、OPGRテーブルT2またはUPGRテーブルT3内のインデックステーブルT1へのポインタが削除できる。削除後のデータ構造を図11に示す。
【0147】
<効果について>
以上、第一の実施形態から第四の実施形態で説明したように、本発明を用いることで、音声映像情報または音声映像情報のブックマークやサムネイルの位置を示すインデックス情報などの順序情報(第1階層管理情報)の管理を、管理に用いるファイルの数を増やすことなく行うことが出来る。また、映像音声情報の追加や削除、インデックス情報など順序情報の追加や削除の際にも、リンクを張り替えるだけで済むので、データの前詰めなどを行う必要がなくなる。
【0148】
〔第五の実施形態〕
本実施形態では、図3に示すデータ構造に加えて、インデックステーブルT1の参照元となるPGR(Program Reference、OPGRおよびUPGRの総称)の情報(以下、参照元PGRという)を加えたインデックステーブルT1を有する。本実施形態に係るインデックステーブルT1のデータ構造を図12に示す。以下、この図を用いて説明する。
【0149】
本データ構造では、参照元PGRの欄に、どのPGRから参照(ポイント)されているかを記録している。なお、OPGRに対応したインデックス情報の場合は、参照元PGRの値として、OPGRテーブルT2のOPGRエントリのIDをそのまま記録し、UPGRに対応したインデックス情報の場合は、参照元PGRの値として、100000を加えた値を記録している。なお、区別がつく方法であれば、別の記録方法でも構わない。
【0150】
このようにすることで、例えば、第四の実施形態のステップS41以降で処理が異常終了した場合に、以下のように容易に復旧が可能となる。
【0151】
すなわち、OPGRまたはUPGRのうち、そのエントリのIDが未使用であるにも拘わらず、参照元PGRとしてそのIDが記録されている場合、それらの参照元PGRを含むインデックステーブルT1のエントリは未使用と見なせるので、それらのエントリは、フリーリストに追加することができる。
【0152】
〔第六の実施形態〕
<データ構造について>
図13において、本実施形態に係るインデックス情報総体のデータ構造を示す。
【0153】
本実施形態では、図12に示すデータ構造に加えて、インデックステーブルT1内の有効な(使用されている)エントリのインデックスIDの最大値(またはそれを超える値)を記録する領域(以下、「IDの最大値」領域MXIDという)を、インデックス情報総体に設ける。
【0154】
この図に示す例の場合、インデックステーブルT1中で使用されているエントリのインデックスIDの最大値は「19」であるから、インデックスIDの最大値(またはそれを超える値)を記録する「IDの最大値」領域MXIDには19が記録される。そして、この場合、19を超えるインデックスIDを持つエントリは、記録媒体に記録する必要がないので、記録媒体上での容量を削減することができる。
【0155】
本実施形態では、最大値(またはそれを超える値)を記録するようにしたが、同様にして、最小値(またはそれを超えない値)を記録するようにしても良い。
【0156】
〔第七の実施形態〕
<前詰め処理の手順について>
本実施形態では、インデックス情報総体は、インデックステーブルT1に未使用のエントリが含まれるときは、簡易に前詰めを行うことができる構成である。前詰め処理の手順について、図14に示すフローチャート用いて説明する。
【0157】
まず、ステップS51で、フリーリストの先頭エントリを選択する。本実施形態ではインデックスID=14となる。
【0158】
次に、ステップS52で、前ステップで選択したエントリのインデックスIDが「IDの最大値」領域MXIDの値より小さいかどうかを判定する。本実施形態では、インデックスID=19と比較する。
【0159】
小さくない場合は、ステップS55に移動する。
【0160】
小さい場合は、ステップS53で、参照元PGRが大きいほうから、未使用でないエントリを探す。
【0161】
次に、ステップS54で、未使用でないエントリの内容を、フリーリストの最初のエントリにに書き換える。
【0162】
次に、ステップS55で、フリーリストの最後のエントリか否かを調べる。
【0163】
最後のエントリの場合は、処理を終了する。
【0164】
最後のエントリでない場合は、ステップS56でフリーリストの次のエントリを調べ、ステップS52に戻る。
【0165】
以上の手順を繰り返すことで、データの移動をあまり行わずに、前詰め処理を行うことができる。前詰め処理完了後に、MXIDを更新する。図13に示すデータ構造の例に対して、前詰め処理を行った結果を図15に示す。
【0166】
〔補足事項〕
以上の実施形態のうち、第一の実施形態から第四の実施形態においては、制御手段による処理の説明を簡略化するために、データ構造に参照元PGRおよび「IDの最大値」領域MXIDを含んでいる記述とはなっていないが、もちろんこれらが含まれていてよい。
【0167】
本発明の実施形態において、OPGRテーブルT2やUPGRテーブルT3の各エントリに納める情報として、インデックステーブルT1へのポインタを記録しているが、同時にインデックス情報本体の個数を記録するようにしても良い。
【0168】
また、インデックステーブルT1のエントリでは、「次のインデックスID」を記録しているが、同様に「前のインデックスID」を記録しても良い。その場合、ここまでの実施形態では単方向のリンクリストとして「次のインデックスID」のみを更新していたが、双方向のリンクリストとして「前のインデックスID」も更新するように構成する。
【0169】
また、インデックステーブルT1のインデックス情報本体の削除時や、OPGRテーブルT2やUPGRテーブルT3のエントリ内容の削除時に、未使用エントリをフリーリストに戻すときに、インデックスIDの番号順に並ぶように並べ替えてフリーリストに戻すようにしても良い。
【0170】
また、順序情報として、音声映像情報のインデックス情報を例に取り説明したが、例えば、特許文献2において開示されたフリーリストの管理方法など、インデックス情報以外の管理にも応用が可能である。
【0171】
また、インデックステーブルの少なくとも一部をファイルとして記録媒体に記録している場合は、最大値またはそれを超える値を記録する代わりに、ファイルとして記録されていない部分は、フリーのエントリとして扱うようにしても良い。
【0172】
また、OPGR、UPGR毎に、インデックステーブル(第1のテーブル)を1個づつ独立に持たせるようにしてもよい。
【0173】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0174】
最後に、記録再生装置11の各ブロック、特に制御部5は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0175】
すなわち、記録再生装置11は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである記録再生装置11の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記記録再生装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0176】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0177】
また、記録再生装置11を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】本発明に係る記録再生装置の機能ブロック図である。
【図2】第一の実施形態における、インデックス情報を用いて音声映像情報を利用する手順のフローチャートである。
【図3】第一の実施形態における、インデックス情報のデータ構造の図である。
【図4】第一の実施形態における、OPGRまたはUPGRを追加する処理のフローチャートである。
【図5】第一の実施形態における、OPGRやUPGR追加後のデータ構造の図である。
【図6】第二の実施形態における、OPGR(ID=1)に、インデックス情報本体を追加する処理のフローチャートである。
【図7】第二の実施形態における、インデックス情報追加後のデータ構造の図である。
【図8】第三の実施形態における、OPGRに対応したインデックス情報本体を削除する処理のフローチャートである。
【図9】第三の実施形態における、インデックス削除後のデータ構造の図である。
【図10】第四の実施形態における、OPGRテーブルT2のOPGRエントリ(ID=3)の内容を削除する処理のフローチャートである。
【図11】第四の実施形態における、OPGRテーブルT2またはUPGRテーブルT3内のインデックステーブルT1へのポインタ削除後のデータ構造の図である。
【図12】第五の実施形態における、参照元のPGRの情報を加えたデータ構造の図である。
【図13】第六の実施形態における、インデックスIDの最大値を記録する領域MXIDを設けたデータ構造の図である。
【図14】第七の実施形態における、インデックステーブルT1に未使用のエントリが含まれるときに前詰めを行う処理のフローチャートである。
【図15】第七の実施形態における、インデックステーブルT1に未使用のエントリが含まれるときに前詰め処理を行ったデータ構造の図である。
【図16】従来技術を説明するための図である
【図17】従来技術を説明するための図である。
【図18】参考例を説明するための図である。
【図19】参考例を説明するための図である。
【図20】参考例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0179】
11 記録再生装置
12 入出力IF
14 ユーザIF
15 制御部(制御手段)
16 暗号化部
17 再生部
18 バッファ
19 操作入力部
20 出力装置
21 リムーバブル記録媒体
51 インデックス管理部
T1 インデックステーブル(第1のテーブル)
T2 OPGRテーブル(第2のテーブル)
T3 UPGRテーブル(第2のテーブル)
MXID 「IDの最大値」領域(領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声映像情報と、
前記音声映像情報の記録再生を管理する第1階層管理情報のリンクリストである第1のリンクリストを含む第1のテーブルと、
該第1階層管理情報を参照する第2階層管理情報の第2のテーブルと
からなるデータ構造において、
前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの記録に使用していないエントリをリンクした第2のリンクリストの少なくとも一部と、
前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの全体と
からなることを特徴とするデータ構造。
【請求項2】
前記データ構造は、
前記第1のリンクリスト内のエントリを識別する情報である、前記第1のリンクリスト内における前記エントリの位置を表す番号の、最大値またはそれを超える値であり、かつ
前記第2のリンクリストと関連付けられている値を記録する領域を含む
ことを特徴とする、請求項1に記載のデータ構造。
【請求項3】
前記第1のリンクリストの各エントリは、
前記第1階層管理情報に加え、自エントリを参照している前記第2階層管理情報がどれであるかを記録している
ことを特徴とする、請求項1に記載のデータ構造。
【請求項4】
前記第1階層管理情報は、
音声映像情報上または音声映像情報と関連付けられた情報上での相対位置である
ことを特徴とする、請求項1に記載のデータ構造。
【請求項5】
音声映像情報と、
前記音声映像情報の記録再生を管理する第1階層管理情報のリンクリストである第1のリンクリストを含む第1のテーブルと、
該第1階層管理情報を参照する第2階層管理情報の第2のテーブルと
を記録可能な記録再生装置において、
前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの記録に使用していないエントリをリンクした第2のリンクリストの少なくとも一部と、
前記第1のテーブル内の、前記第1のリンクリストの全体と
を記録するための記録データを生成する制御手段を備えたことを特徴とする記録再生装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記第1のリンクリスト内の前記エントリを識別する情報である、前記第1のリンクリスト内における前記エントリの位置を表す番号の、最大値またはそれを超える値を、
前記第2のリンクリストと関連付けて記録するための記録データを生成する
ことを特徴とする、請求項5に記載の記録再生装置。
【請求項7】
前記各エントリは、
前記第1階層管理情報に加え、自エントリを参照している前記第2階層管理情報がどれであるかをを記録している
ことを特徴とする、請求項5に記載の記録再生装置。
【請求項8】
前記第1階層管理情報は、
音声映像情報上または音声映像情報と関連付けられた情報上での相対位置である
ことを特徴とする、請求項5に記載の記録再生装置。
【請求項9】
請求項5から8のいずれか一項に記載の記録再生装置の各手段として、コンピュータを機能させるための記録再生装置制御プログラム。
【請求項10】
請求項1から4のいずれか一項に記載のデータ構造を記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−130132(P2008−130132A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312245(P2006−312245)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】