説明

データ管理システム、データ管理方法、およびプログラム

【課題】紙媒体を確実に保管した上で、記録されたデータを簡易、短時間で探し出し、データの確認、比較、同時並行して有効活用できるようにする。
【解決手段】
データ構築装置は、物理量の時間変化が記録された紙媒体からオリジナルチャートを生成する。管理サーバは、アウトラインを生成し、オリジナルチャートとアウトラインとを関連付けてデータ格納装置に格納する。また、当該物理量についての記録が存在する時間軸上の区間を示すタイムラインを生成し、通信サーバを通じてクライアント装置から物理量に関連する文字列を含む属性情報の指定を受け付けて対応する物理量のリストを表示する。クライアント装置は、そのリストにおける物理量の指定を受け付け、通信サーバを通じて管理サーバに引き渡し、引き渡された物理量に対応するオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを受信し、画面上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検索技術、特に、各種記録機、記録計によって紙媒体上に記録されたデータの検索に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、原子力発電所では、多数の物理量の経時変化のデータを多数の記録計によって長尺の記録紙上に記録し、保管し、管理している。また、原子力発電所以外の発電所、工場その他のプラント、測候所等でも、管理すべき物理量の種類数は、異なるが、物理量の経時変化を記録計によって長尺の記録紙上に記録することが必要な場合がある。そして、例えば、トラブル、気象上の特定の現象等が発生した場合、トラブル時、あるいは、その特定の現象発生時のデータを多数の記録紙の中から探し出し、事実の把握、および検討の材料としている。その場合に、トラブル等の直接対象となっている機器のデータの他、そのデータと比較する目的で、他の日時、類似する系統の機器、同型の機器、類似プラントのデータを探し出す必要も生じる。
【0003】
また、その場合に、紙媒体を管理する部門から、必要とされる紙媒体の現物を必要とする部門に貸し出す手続きが生じる。この場合に、紙媒体の現物を必要とする部門が複数に及ぶ場合もありえる。
【特許文献1】特開2004−45336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の通り、原子力発電所等のプラントでは、多数の膨大な物理量を時系列データとして記録し、保管し、確実に管理する必要がある。また、そのような時系列データが記録される紙媒体の長さには限度があるため、例えば、1年間当たりの紙媒体の数も膨大となる。さらに、複数のプラントを有する事業所にて、複数年の運転記録を保管する場合を想定すると、その数はさらに増加する。したがって、そのような多数の紙媒体から目的の紙媒体を探し出すには、多大な労力を要することになる。
【0005】
特に、トラブル発生時には、トラブルに対する迅速な対応が求められる。このため、特に速やかに目的とする機器のトラブル時のデータ、および関連する機器のデータを探し出す必要がある。このような作業は、労力および時間を要し、トラブルへの迅速な対応に対する支障となる場合もありえる。
【0006】
さらに、複数部門で同一のデータを必要とする場合に、それぞれの部門、それぞれの担当者が同時並行にて処理を進めたいという要望もある。さらにまた、複数の部門で同一のデータを必要とする場合には、そのデータが記録された紙媒体を同時に利用できない。さらに、紙媒体を管理していない部門に貸し出すことによって唯一の紙媒体が紛失、汚損、滅失する危険性もあった。
【0007】
本発明は、以上のような問題に鑑みて創出されたものである。すなわち、本発明の目的は、紙媒体を確実に保管した上で、それらの紙媒体に記録されたデータを簡易、短時間で探し出し、データの確認、比較、さらには同時並行して有効活用できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。すなわち、本発明は、紙
媒体を電子化するデータ構築装置と、構築された電子化データを格納するデータ格納装置と、電子化データを管理する管理サーバと、ネットワークを介して管理サーバおよびデータ格納装置へのアクセスを可能にする通信サーバと、ネットワークを介して通信サーバに接続される1以上のクライアント装置と、を備えたデータ管理システムによって例示される。
【0009】
このうち、データ構築装置は、物理量の時間変化が記録された紙媒体から画像データを取得し、物理量の時間変化の画像が組み込まれたオリジナルチャートを生成するオリジナルチャート生成手段を備える。
【0010】
また、管理サーバは、オリジナルチャートの画素数を時間軸方向に削減してアウトラインを生成するアウトライン生成手段と、オリジナルチャートとアウトラインとを関連付けてデータ格納装置に格納する手段と、当該物理量についての記録が存在する時間軸上の区間を示すタイムラインを生成するタイムライン生成手段と、通信サーバを通じてクライアント装置から物理量に関連する文字列を含む属性情報の指定を受け付けて対応する物理量を検索しクライアント装置の画面上にリストを表示するデータ検索手段と、を備える。
【0011】
また、クライアント装置は、そのリストにおける物理量の指定を受け付け、通信サーバを通じて管理サーバに引き渡し、引き渡された物理量に対応するオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを受信し、画面上に表示する画像表示手段を備える。
【0012】
したがって、本データ管理システムは、物理量に関連する文字列を含む属性情報の指定を受けると、該当する物理量のリストを表示する。さらに、そのリストの物理量への指定を受けることで、元々紙媒体に記録されていた、その物理量に対応するオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを画面上に表示する機能を提供できる。
【0013】
そして、オリジナルチャート生成手段は、観測期間の基点に関する情報を受け付けオリジナルチャートに時刻情報を付加する手段と、観測値の基点に関する情報を受け付けオリジナルチャートに波形値を付加する手段と、物理量の属性情報をオリジナルチャートに関連付けて記憶する手段と、を備える。したがって、本データ管理システムは、オリジナルチャート上に、時刻情報と、波形値とを付加して記憶できる。
【0014】
さらに、タイムライン生成手段は、物理量の識別番号、記録紙の識別番号、および記録期間の入力を受け付ける手段と、物理量の識別番号についてデータ格納手段が記録している記録紙に対応する記録期間を検索して、当該物理量の記録の開始から最新の記録に至るまでの期間における、記録が存在する記録実施時期と、記録が存在しない記録未実施時期とを識別するようにタイムラインを生成する手段と、を備える。したがって、本データ管理システムは、上記オリジナルチャート、およびアウトラインとともに、記録が存在する記録実施時期と、記録が存在しない記録未実施時期とを識別する表示をすることができる。
【0015】
ここで、画像表示手段は、第1の物理量に対する第1のオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを表示する手段と、第2の物理量の指定を受け付ける手段と、第2の物理量に対応する第2のオリジナルチャートを、第1のオリジナルチャートと時間軸を並列にして表示する手段と、を備えるようにしてもよい。したがって、本データ管理システムは、2つの物理量の時間変化を対照して表示できる。
【0016】
また、画像表示手段は、一の物理量を表示する第1の基準時点および第2の基準時点の指定を受ける手段と、第1の基準時点を時間軸の基準点にしてその一の物理量に対応する第1のオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを表示する手段と、第2の
基準時点を時間軸の基準点にしてその一の物理量に対応する第2のオリジナルチャートを、第1のオリジナルチャートと時間軸を並列にして表示する手段と、を備える。したがって、本データ管理システムは、1つの物理量の異なる時点での時間変化を対照して表示できる。
【0017】
また、画像表示手段は、第1のオリジナルチャートにおける時間軸方向の単位画素あたりの時間幅と、第2のオリジナルチャートにおける時間軸方向の単位画素あたりの時間幅とが一致しない場合に、第1のオリジナルチャートの時間軸方向の画素の位置と第2のオリジナルチャートの時間軸方向の画素の位置とを、表示される時間軸の範囲にて整合させる手段を備えるようにしてもよい。したがって、本データ管理システムは、時間軸方向の単位画素あたりの時間幅が一致しない複数のオリジナルチャートの時間軸を整合させて、表示し、比較対照することができる。
【0018】
また、画像表示手段は、第1のオリジナルチャートと、第2のオリジナルチャートとを時間軸方向に同期させて移動表示する手段を備えてもよい。すなわち、本データ管理システムでは、複数のオリジナルチャートを表示した状態で、時間軸方向に移動表示する際に、互いに時間軸の位置を同期させて移動表示できる。
【0019】
また、画像表示手段は、オリジナルチャートとともに、オリジナルチャート中に当該物理量を記録したときの時間軸を表示する手段と、オリジナルチャートを拡大または縮小する操作を検出する手段と、オリジナルチャートを拡大する操作にしたがって画像を表示したときに、時間軸がオリジナルチャートと同一の画面領域に表示できるか否かを判定する手段と、時間軸がオリジナルチャートと同一の画面領域に表示できないときに、画面領域を、拡大されたオリジナルチャートを表示する領域と時間軸を表示する領域とに分割して表示する手段とを備えるようにしてもよい。したがって、本データ管理システムでは、オリジナルチャートが拡大された場合でも、確実に時間軸を表示できる。
【0020】
また、画像表示手段は、オリジナルチャート上の位置の指定を受け付ける手段と、指定を受けた位置に対応する時間軸上の点における物理量を示す画像の部分を抽出する手段と、画像の部分から時間軸上の点における物理量の値を決定する手段と、オリジナルチャートの近傍に物理量の値を表示する手段と、を備えるようにしてもよい。したがって、本データ管理システムでは、チャート画像中の物理量の値を確認したい場合に、物理量の座標軸に視線を拘束されることなく、チャート画像中の波形近傍で、その値を確認できる。
【0021】
また、アウトライン生成手段は、オリジナルチャート中の画素を所定の対象色の画素と対象色以外の色の画素とに分類し、対象色の画素で構成される単色画像を抽出する手段と、記録の時間軸の方向にて抽出された単色画像の画素数を削減してアウトラインを生成する手段と、を備えるようにしてもよい。すなわち、本データ管理システムでは、チャート画像から、色を分離し、それぞれの色ごとにアウトラインを生成できる。
【0022】
また、画像表示手段は、オリジナルチャートに表示されている物理量の時間変化の記録の該当位置をアウトライン中の時間軸の部分区間、およびタイムライン中の部分区間の少なくとも一方によって表示する手段を備えるようにしてもよい。すなわち、本データ管理システムによれば、表示中のオリジナルチャートが、アウトライン中の時間軸のどの部分区間に該当するか、および、タイムライン中のどの部分区間に該当するかが表示される。
【0023】
また、画像表示手段は、アウトラインまたはタイムラインの表示に対する入力操作を受け付ける手段と、入力操作を基に、表示すべき時間軸上の位置を決定する手段と、決定された時間軸上の位置に該当するアウトラインを表示する手段と、決定された時間軸上の位置に該当するオリジナルチャートを表示する手段と、を備えるようにしてもよい。すなわ
ち、本データ管理システムでは、アウトラインまたはタイムラインを入力操作することで、所望の時間軸上の位置でのオリジナルチャートを表示できる。
【0024】
また、オリジナルチャート生成手段は、紙媒体から取得した画像データのデータ量が所定の基準値より大きい場合に、当該画像データを時間軸上の位置で複数に分割する手段と、分割されたそれぞれの画像データの接続関係を定義する情報によって分割された画像を組み合わせたオリジナルチャートを生成する手段とを備えるようにしてもよい。したがって、本データ管理システムでは、画像データを時間軸上の位置で複数に分割する一方で、分割された画像を組み合わせたオリジナルチャートを生成できる。
【0025】
また、オリジナルチャート生成手段は、観測期間の基点に関する情報として、オリジナルチャート中の任意の基点の時刻と記録時における紙媒体の搬送速度とを受け付ける手段と、受け付けた基準時点と搬送速度からオリジナルチャート上の単位長さあたりの時間を定める手段と、観測値の基点に関する情報として、オリジナルチャート中の任意の2つの基点における値を受け付ける手段と、受け付けた2つの基点の値から、オリジナルチャート中の単位長さあたりの値を定める手段と、を備える。このようにして、本データ管理システムでは、オリジナルチャートに対して、時間軸方向に単位長さあたりの時間と、物理量の軸方向に単位長さあたりの値を設定できる。
【0026】
画像表示手段は、クライアント装置から指定されるオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインのコピーがクライアント装置内に記憶されているか否かを検索する手段と、コピーがクライアント装置内に記憶されている場合にはそのコピーをクライアント装置の画面上に表示する手段と、コピーがクライアント装置内に記憶されていない場合には、データ格納手段からオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを呼び出してクライアント装置の画面上に表示し、当該オリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを一時的にクライアント装置内に記憶する手段と、を備えるようにしてもよい。したがって、本データ管理システムでは、コピーがクライアント装置内に記憶されている場合には、記憶されていない場合よりも短時間でオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを表示できる。
【0027】
本発明は、以上の処理をコンピュータが実行する方法でもよい。また、本発明は、コンピュータに以上の処理を実行させるプログラムでもよい。また、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体でもよい。また、本発明は、上記画像管理装置と、画像表示装置とを有する情報システムでもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、紙媒体を確実に保全した上で、それらの紙媒体に記録されたデータを簡易、短時間で探し出し、データの確認、比較、さらには同時並行して有効活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)に係る情報システムについて説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成には限定されない。
【0030】
<概要>
本情報システムは、各種の記録機(記録計ともいう)によって記録紙に記録されたデータをスキャナで読み取り、電子データを作成し、データベースに格納し、管理する機能を提供する。電子データが作成されても、改竄防止のため、記録紙に記録されたデータそのものは、保管する必要がある。しかしながら、電子データが作成されることで、データが記録された紙媒体である記録紙を、そのデータを必要とするユーザに引き渡す必要がない
。したがって、原本である紙媒体の管理負担が軽減される。また、原本である紙媒体の紛失、汚損、滅失等の危険性を低減できる。さらには、紙媒体の場合と比較して、記録機のデータを解析するユーザの作業負担を大幅に低減できる。以下、記録機で描画された記録結果(時系列データを描画したグラフ)をスキャナで読み取り作成した電子データをチャート画像(本発明のオリジナルチャートに相当)という。
【0031】
図1は、本実施形態に係る情報システム(本発明のデータ管理システムに相当)のシステム構成図である。この情報システムは、ネットワーク99を通じて、ユーザのクライアントPC(パーソナルコンピュータ、本発明のクライアント装置に相当)100−1、100−2、100−3等に情報を提供するサーバ群、データ構築システム(本発明のデータ構築装置に相当)を含む。
【0032】
サーバ群は、ウェブサーバ101−1、101−2、101−3等(本発明の通信サーバに相当)と、管理サーバ1−1、1−2等と、データベースサーバ103−1、103−2等と、データベースサーバ103−1、103−2等によって管理されるストレージ104−1、104−2等からなるデータベース(本発明のデータ格納装置に相当)を含む。以下、これらの構成要素を総称して呼ぶ場合には、クライアントPC100、ウェブサーバ101、管理サーバ1、データベースサーバ103、ストレージ104のようにいう。
【0033】
クライアントPC100は、通常のパーソナルコンピュータ、携帯情報端末等である。ユーザは、クライアントPC100を操作して、情報システムにアクセスし、記録紙の紙面から読み取られた画像データを利用する。クライアントPC100は、CPU、メモリ、ハードディスク、通信インターフェース等を有し、通常の閲覧プログラム(ブラウザと呼ばれる)を実行する。
【0034】
ネットワーク99は、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)等である。
【0035】
ウェブサーバ101は、クライアントPC100との間で、例えば、Java(登録商標)のRMI(Remote Method Invocation)と呼ばれる手続きにて通信を実行する。RMIは、他のコンピュータ上のオブジェクトのメソッドを呼び出すための通信手段である。ただし、このような手順に代えて、ウェブサーバ101は、クライアントPC100との間で、HTTP(HyperText Transfer Protocol)により通信を実行してもよい。また、一般
的な手続型言語によるRPC(Remote Procedure Call)にて通信を実行してもよい。た
だし、本実施形態では、ウェブサーバ101の処理を例に説明する。
【0036】
ウェブサーバ101は、クライアントPC100からの要求を受け付け、作業者に様々な画面、チャート、データ等を提供する。なお、図1では、図示しないロードバランサによって、複数のウェブサーバ101間で負荷分散が実行されている。ただし、必ずしも負荷分散を実行する必要はなく、ウェブサーバ101を1台で構成してもよい。
【0037】
管理サーバ1は、ウェブサーバ101を通じて、クライアントPC100の要求を受け付け、その要求に対応するサービスを提供する。例えば、管理サーバ1は、電子化された記録機のデータを読み出し、ウェブサーバ101を通じて、クライアントPC100に提供する。また、管理サーバ1には、データ構築システムが接続されている。管理サーバ1は、データ構築システムで新たに生成された電子データを受け取り、データベースに格納する。
【0038】
電子データには、チャート画像の原本(本発明のオリジナルチャートに相当)と、アウ
トラインデータ(本発明のアウトラインに相当)とが含まれる。チャート画像の原本とは、スキャナで読み取った画像データであり、画像の分解能は、スキャナ読み取り時の設定値で定まる。一方、アウトラインデータは、チャート画像の原本から時間軸方向の画素を削減して作成した画像データである。時間軸方向の画素を削減することで、原本よりも長期間の範囲についてのデータの傾向(トレンドともいう)を原本と同一の画面上に表示できる。このような表示により、ユーザは原本の画像を参照しつつ、長期間に渡るデータの傾向を把握できる。ただし、1つの記録紙から作成されたチャート画像の原本は、スキャナの処理または本情報システムの処理によって複数のファイルに分割される場合がある。一方、アウトラインデータは、1つの記録紙に対して、1ファイルで作成される。
【0039】
データベースサーバ103は、管理サーバ1から引き渡されたデータをストレージ104に格納し、データ管理機能を提供する。すなわち、データベースサーバ103は、管理サーバ1の指示にしたがって、各種画像ファイル、および画像ファイルを管理する管理情報等をストレージ104に格納する。ストレージ104は、例えば、ハードディスクドライブである。
【0040】
データベースサーバ103とストレージ104は、それぞれ二重化されている。例えば、データベースサーバ103−1が現用系であり、データベースサーバ103−2は予備系である。その場合に、データベースサーバ103−2は、ストレージ104−1のレプリカであるストレージ104−2のデータを管理する。
【0041】
図2に、本情報システムの機能構成を示す。図2のように、クライアントPC100は、ウェブ参照クライアントとして機能する。クライアントPC100は、チャート画像の参照、チャートの属性情報の参照、チャート画像の印刷、チャート画像の保存、チャート内での位置検索等の機能を実行する。
【0042】
ウェブサーバ101は、クライアントPC100にチャート画像を提供する。ウェブサーバ101は、ウェブ参照クライアント画面の作成、ウェブ参照クライアントとして機能するクライアントPC100と管理サーバ1との間のデータ送受信、図示しないセキュリティサーバとの連動機能等を提供する。
【0043】
管理サーバ1は、基本的には、データベースサーバ103に指令し、チャート画像をストレージ104に格納する。また、管理サーバ1は、チャート画像をクライアントPC100に提供する処理を実行する。また、管理サーバ1は、チャート画像以外に、プラントの様々な情報を管理している。この情報をプラント設備データと呼ぶ。このプラント設備データには、例えば、設備の属性、記録機の属性等が含まれる。したがって、管理サーバ1は、チャート画像と、そのチャート画像を記録した記録機の属性、設備の属性、チャート画像の属性、その他チャート画像に関連する情報(以下、属性情報といい、データの属性、記録機の特性、あるいは、チャート画像の特徴に関連する情報を含む)等とを組み合わせて、クライアントPC100に提供する。すなわち、管理サーバ1は、属性情報の検索、属性情報の更新、画像データの更新、アウトラインデータの更新等の処理を実行する。さらに、管理サーバ1は、クライアントPC100が、属性情報に含まれる文字列によって関連する画像を要求した場合には、上記属性情報、あるいは時系列データの記録期間等を基に、該当する画像を検索してクライアントPC100に提供する。
【0044】
さらに、管理サーバ1には、データ構築システムが連動している。データ構築システムには、チャート用紙(記録紙ともいう)の電子化、各種の属性データの入力と構築、電子データの構築・保守、各種データの外部メディアへの出力等の処理を実行する。一旦外部メディアに出力されると、パーソナルコンピュータ等にて、各種データの参照が可能となる。この場合、パーソナルコンピュータは、本情報システムにアクセスすることなく電子
データを参照し、利用できるので、スタンドアロンビューアーと呼ばれる。スタンドアロンビューアーでは、メディア内のチャート画像の検索、画像の参照、画像の印刷、画像の保存、チャート属性の検索等が実行される。
【0045】
図3に、管理サーバ1のハードウェア構成を示す。管理サーバ1は、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)11と、CPU11で実行されるプログラム、
あるいは、CPU11が処理するデータを記憶するメモリ12と、バスに接続される各種周辺装置を有する。各種周辺装置には、インターフェース13を介して接続されるHDD(ハードディスク駆動装置)14、インターフェース15に接続される表示装置16、インターフェース17に接続される操作装置18、インターフェース19に接続される通信インターフェース20、インターフェース21に接続される着脱可能記憶媒体駆動装置22を有する。
【0046】
インターフェース13は、シリアルまたはパラレルのインターフェースである。インターフェース13に接続されるHDD14は、ハードディスクを駆動し、メモリ12において実行可能に格納されるプログラム、あるいは、CPU11が処理した各種データを保存する。
【0047】
インターフェース15は、例えば、RGBのアナログインターフェースである。ただし、DVI(Digital Visual Interface)等のデジタルインターフェースを用いてもよい。インターフェース15に接続される表示装置16は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマパネル、EL(エレクトロルミネッセンス)パネル等である。
【0048】
インターフェース17は、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルインターフェースが好ましい。インターフェース17に接続される操作装置18は、例えば、キーボードとポインティングデバイスである。ポインティングデバイスには、マウス、静電容量にて指の操作を検知し、表示装置16の画面上のカーソルを移動する検知デバイス、タッチパネル等が含まれる。なお、以下では、ポインティングデバイスとしては、基本的には、マウスを想定して説明する。
【0049】
インターフェース19、21は、シリアルまたはパラレルのインターフェースである。インターフェース19に接続される通信インターフェース20は、例えば、LANカード等である。また、インターフェース21に接続される着脱可能記憶媒体駆動装置22には、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、フラッシュメモリカード等の駆動装置、読み出し装置、書き込み装置、あるいは、それらの入出力装置が含まれる。なお、図3では、複数のインターフェースを明示したが、インターフェース13、17、19、および21のいずれかは、同一のインターフェースであってもよい。さらに、ウェブサーバ101、データベースサーバ103、データ構築システムのパーソナルコンピュータあるいは、クライアントPC100についても、ハードウェアの機能的な構成は、図3の管理サーバ1と同様である。
【0050】
本実施形態のクライアントPC100、ウェブサーバ101、管理サーバ1、データベースサーバ103、およびデータ構築システムのパーソナルコンピュータ(以下、総称してコンピュータともいう)は、それぞれのメモリに実行可能な形式で展開され、それぞれのCPUで実行されるコンピュータプログラムによって、それぞれの機能が実現される。このようなコンピュータプログラムは、例えば、それぞれのコンピュータの着脱可能な可搬媒体駆動装置、あるいは、ネットワークを通じて他のコンピュータと通信する通信インターフェースから、それぞれのコンピュータに実装される。
【0051】
<チャート画像の構成>
図4に、チャート画像を作成するときの処理概要を示す。データ構築システムのスキャナは、幅方向に対して、記録方向が極めて長い記録紙から記録機によって記録されたデータを読み取る。このような長い記録紙を長尺の記録紙という。スキャナには、パーソナルコンピュータが接続されている。
【0052】
スキャナは、パーソナルコンピュータからの解像度の指定を受け、その解像度にしたがって、記録紙から画像を読み取り、画像データを生成する。画像データは、スキャナに設定されたデータ量で分割され、パーソナルコンピュータに転送される。
【0053】
また、図6に示す時刻基点情報の入力を受け付け、記録速度から画素あたりの時間を算出し、日付および時刻から、画素ごとに時刻を割り当てる。この処理を実行するパーソナルコンピュータのCPUが、本発明のオリジナルチャートに時刻情報を付加する手段に相当する。
【0054】
一方、パーソナルコンピュータは、画像データ量の上限値を有している。パーソナルコンピュータは、スキャナが生成した画像データを受け取り、1つの画像データのデータ量がこの上限値を越えているか否かを判定する。そして、画像データのデータ量が、上限値を越えた場合には、画像データを複数に分割する。この上限値は、本情報システムで、チャート画像を検索し、表示するときの応答時間が目標値となるように設定されている。1つの画像データが情報システムを構成するサーバ、コンピュータの処理能力に見合わないほど大きい場合には、ユーザ操作に対する応答時間が長くなるという問題があるからである。
【0055】
なお、パーソナルコンピュータには、スキャナの読み取り分解能に応じて、スキャン方向のドットサイズと、記録機で記録されたデータの時間分解能との関係を設定し、画像の分割を実行してもよい。例えば、スキャナには、CCD(Charge Coupled Device)等の
ライン画像検出器が設けられており、スキャン方向にライン単位で画像データをパーソナルコンピュータに引き渡す。パーソナルコンピュータは、そのラインごとの時間を積算し、スキャンされた記録時間が所定の区間サイズに達した場合に、画像ファイルを生成し、出力すればよい。したがって、各画像ファイルには、記録期間の開始点T0、T1、T2等が対応付けられ、チャート画像を管理するテーブルに記録される。
【0056】
図4の下部に分割されたチャート画像と、チャート画像のつなぎ目部分を拡大して示す。この拡大部分には、第N−2列から第N+2列の画素の列が明示されている。ここで、画素の列は、X軸(時間軸)に直交する方向に並ぶ画素の列をいう。今、分割されたチャート画像の1つが、第N列で終了していたとすると、そのチャート画像の次のチャート画像は、第N+1列から開始する。したがって、分割された各チャート画像の末尾の時刻(時間軸上の位置)と、そのチャート画像に継続するチャート画像の先頭の時刻とは、画素1つ分に相当するずれが存在する。逆に、画素1つ分の許容誤差の範囲で、各チャート画像の末尾の時刻とそのチャート画像に継続するチャート画像の先頭の時刻とは一致しているといえる。
【0057】
図5に、時間軸上の基準点を設定する設定画面(期間設定手段)を例示する。ユーザがパーソナルコンピュータ上で、基準点設定のメニュー、あるいは、アイコンを選択すると、図5のようなガイダンスが表示され、チャート画像上の測定開始位置の選択が促される。ただし、記録紙から生成されたチャート画像がスキャナからパーソナルコンピュータに転送された直後に、図5のガイダンスを表示するようにしてもよい。このとき画面上には、初期表示としてチャート画像の開始位置付近が表示される。ユーザがマウス等のポインティングデバイスを操作すると、その操作に追従して画面上に縦線L100が表示される。ユーザが基準点となる位置をポインティングデバイスでクリックすると、パーソナルコ
ンピュータは画面上の縦線L100の位置を取り込む。さらに、ユーザがガイダンス画面上のOKをクリックすると、図6の画面が表示される。
【0058】
図6は、上記で縦線L100の位置に相当する時刻の入力画面(本発明のオリジナルチャート中の任意の基点の時刻と記録時における紙媒体の搬送速度を受け付ける手段に相当)の例である。ユーザは、この画面上で、このL100の位置の日付、時刻、および記録紙にデータを記録した記録機の記録速度を設定する。
【0059】
このようにして、時刻基点情報(オリジナルチャート上の時刻の基準点の位置、例えば図4のT0)と、その位置に対応する記録時刻が設定される。また、図6の画面で設定される記録速度(例えば、ミリメータ/秒)と、スキャナの記録方向への分解能(例えば、ドット/インチ)とから、記録紙上の単位長さ(例えば、画素)当たりの記録時間が定められる。そして、時刻基点情報で指定される位置より後方(記録紙上への記録の進行方向、スキャナの走査方向)の任意の画素位置(例えば、図4のT1、T2、TE等)の時刻が算出できる。この処理を実行するパーソナルコンピュータのCPUが、本発明のオリジナルチャート上の単位長さあたりの時間を定める手段に相当する。
【0060】
このようにして、記録期間が決定されるので、それぞれ分割されたチャート画像の記録期間も決定できる。図4の例では、基準点T0は、記録紙の記録期間の開始点であり、かつ、第1の分割画像の記録期間の開始点(記録開始時刻)である。また、T1は、第2の分割画像の記録期間の開始点(記録開始時刻)であり、第1の分割画像の記録終了時刻に一致する。T2以降についても、同様である。
【0061】
図7に、チャート画像の波形値を特定するための値基点情報の入力画面(本発明の波形値を付加する手段、オリジナルチャート中の任意の2つの基点における値を受け付ける手段に相当)の例を示す。この入力画面は、それぞれのチャート画像について、ペンの種類ごとに、設定する。ペンの種類は、チャート画像の属性情報(例えば、記録機の情報)を基に、図2のプラント設備データから参照される。また、図7の値基点情報の入力画面に示された波形値の属性(例えば、単位、対数か線形かの選択)等も、プラント設備データから参照される。
【0062】
ユーザが、チャート画像が表示された画面上でマウス等のポインティングデバイスを操作すると、画面上にマウスに追従して横線L101が表示される。ユーザが基準点となる位置をポインティングデバイスでクリックすると、パーソナルコンピュータは画面上の横線L101の位置を取り込む。この位置のY座標が基点(1)値:XXXのように表示される。さらに、ユーザがその位置に相当する波形値を「値の入力」画面上で入力し、OKをクリックすることで、Y座標に相当する位置での波形の値が設定される。基点(2)についても同様である。以上のようにして、チャート画像の波形値を決定するための基準となる値基点情報が入力される。この処理を実行するパーソナルコンピュータのCPUが、オリジナルチャート中の任意の2つの基点における値を受け付ける手段に相当する。パーソナルコンピュータは、基点(1)と基点(2)のY座標(例えば、それぞれの画素値)と、「値の入力」画面で入力された値から、Y軸方向の単位長さ当たりの波形値を算出する。この処理を実行するパーソナルコンピュータのCPUが、オリジナルチャート中の単位長さあたりの値を定める手段に相当する。
【0063】
このようにして、波形値を特定するための値基点情報がY軸方向の2点で入力されるので、パーソナルコンピュータを介して、管理サーバ1は、Y軸方向の画素当たりのデータ値をチャート画像(記録紙)ごとに記憶し、管理できる。この情報は、波形属性表示処理(図22、図34)で参照される。
【0064】
なお、ここでは、図4に示したチャート画像の分割処理、時間軸上の基準点の入力、および波形値の基準となる値基準点情報の入力は、データ構築システムで実行されるとした。しかし、この処理は、データ構築システムに限定されるわけではない。例えば、管理サーバ1が、スキャナから、画像データをそのまま受信し、管理サーバ1でチャート画像の分割、時間軸上の基準点の入力、および波形値の基準となる値基準点情報の入力等を実行してもよい。また、クライアントPC100、ウェブサーバ100、および管理サーバ1が連携して、以上のような処理を実行してもよい。
【0065】
<アウトラインデータ>
本情報システムは、スキャナで生成されたチャート画像(原本という)の他、アウトラインデータを別途作成し、クライアントPC100に提供する。アウトラインデータは、原本よりも長期間に渡るデータの傾向を把握するために使用される。このようなアウトラインデータとしては、チャート画像の時間軸方向の画素を削減したラスタアウトラインと、チャート画像上で、それぞれの波形を描画したペンの色を基に、波形を抽出した上で、時間軸方向の画素を削減したベクタアウトラインを利用する。いずれのアウトラインを利用するかは、例えば、ユーザの選択に応じて、決定すればよい。
【0066】
ラスタアウトラインを生成するためには、例えば、時間軸方向に、画素の列を所定画素列おきに取り出す処理を実行すればよい。また、単純に間引く代わりに、例えば、時間軸方向に、所定個数の画素を平均する処理を実行してもよい。そして、時間軸方向に所定画素おきに取り出した画素に、その平均値を割り当てる処理を実行してもよい。
【0067】
図8に、ベクタアウトラインの作成例を示す。ベクタアウトラインは、スキャナが生成した画像から、特定の色、例えば、赤、緑、青、黄色、茶色などの色ごとに別々に画像をビットデータとして抽出したものである。そして、画像データの存在するビットを1とし、画像の存在しないビット0とし、ビット1の部分をつなぎ合わせる処理を実行し、ペン式記録計の連続記録を表現する。このようなビット1のつながりによって構成されるデータをベクタアウトラインと呼ぶのである。
【0068】
したがって、特定の時刻(X軸:例えば、t1〜t5)における記録された画像(ペンで記録されたデータの軌跡)には幅があり、さらに軌跡が複数に分離する場合もある(図8のt4およびt5参照)。
【0069】
このようなビットパターンにて、画像を表現した上で、アウトラインデータの表示領域に、上記ビットパターンを投影する。このとき、ベクタアウトラインの表示先が、ベクタアウトラインのビットパターンの領域より小さい場合には、X軸方向およびY軸方向それぞれの方向に、それぞれの比率に応じて画素数が削減されることになる。
【0070】
<データ構造の例>
図9から図12に、データベースサーバ103に格納され、管理サーバ1が処理する各種テーブルのデータ構造の例を示す。なお、以下のテーブルは、必ずしもデータベースサーバ103に格納されなければならないわけではなく、管理サーバ1のハードディスクに格納するようなシステム構成でもよい。また、以下で説明するテーブル内のデータの少なくとも一部はクライアントPC100にも引き渡される。図9から図12のテーブルに格納される情報が本発明の属性情報に相当する。また、それぞれのテーブルを格納するデータベースサーバ103あるいは管理サーバ1のハードディスク、メモリ12等が、本発明の属性情報をオリジナルチャートに関連づけて記憶する手段に相当する。
【0071】
図9は、記録機テーブルのデータ例である。記録機テーブルは、各種の記録機、測定機の属性を保持する。図9では、記録機管理テーブルの1行が1つのレコードであり、1つ
の記録機の属性値を保持する。記録機管理テーブルの各レコードは、ID、名称、設置場所、記録紙タイプ、および備考の各フィールド(要素ともいう)を有する。
【0072】
IDは、記録機管理テーブルのレコード、すなわち、それぞれの記録機をユニークに識別する識別情報である。名称は、当該記録機によって記録紙に記録されるデータ(チャート)の名称である。記録機は、通常複数のペンを有し、複数の波形を記録紙に記録する。このように、複数の波形からなる記録紙上のデータをチャートという。例えば、A圧力釜温度、A圧力釜圧力、B棟排気ガス濃度、B棟排気ガス温度等である。設置場所は、当該記録機が設置されている場所である。記録紙タイプは、記録紙の型番である。備考は、当該記録機に関連する情報を記録するコメント欄である。
【0073】
図10は、記録ペンテーブルのデータ例である。記録ペンテーブルは、図9に例示した記録機のペンの属性を保持する。図10においても、記録ペンテーブルの1行が1つのレコードであり、1つの記録ペンの属性値を保持する。記録ペンテーブルの各レコードは、ID、記録機ID、ペン色、記録内容、単位、記録レンジの各フィールドを有する。
【0074】
IDは、記録ペンテーブルのレコード、すなわち、それぞれのペンをユニークに識別する識別情報である。記録機IDは、図9に示した記録機管理テーブルのレコードを識別するIDである。ペン色は、ペンの色を示す。例えば、赤、緑、青、黄、茶等である。記録内容は、当該記録ペンによって記録されるデータについての詳細な情報を含む。例えば、記録機IDが1の場合、A圧力釜の温度に相当し、記録ペンのIDが1の場合、上部から30cmの位置の温度である。また、記録ペンのIDが2の場合、同圧力釜で、上部から50cmの位置の温度である。また、記録ペンのIDが3の場合、同圧力釜で、上部から100cmの位置の温度である。このように、同一の記録機において、複数の測定データがそれぞれの記録ペンによって記録されることになる。
【0075】
単位は、その記録ペンが記録するデータの単位である。単位は、例えば、記録紙の時間軸に垂直な方向の単位長さあたりの波形の値である。例えば、記録ペンのIDが1の場合、摂氏の温度であり、記録ペンのIDが4の場合、パスカル(Pa)である。
【0076】
記録レンジは、記録される最低値(下限)と最高値(上限)の値を示す。すなわち、記録レンジは、記録紙の記録限界位置での、各ペンによって記録されるデータの値である。例えば、記録ペンのIDが1の場合、下限は摂氏マイナス30度であり、上限は摂氏300度である。
【0077】
図11Aは、記録紙テーブルのデータ例である。記録紙テーブルは、図9に例示した記録機によってデータが記録された記録紙の記録日等の情報を保持する。図11Aにおいても、記録紙テーブルの1行が1つのレコードであり、データの記録された記録紙ごとの情報を保持する。記録紙テーブルの各レコードは、ID、記録機ID、担当者、備考、および記録日の各フィールドを有する。
【0078】
IDは、記録紙テーブルのレコードをユニークに識別する識別情報である。記録機IDは、図9に示した記録機管理テーブルのレコードを識別するIDである。担当者は、当該記録紙が記録されたときの記録機の管理担当者である。備考は、当該記録紙上のデータに関連する情報を記録するコメント欄である。記録日は、開始と終了という2つのフィールドに分割され、それぞれ、記録開始日と記録終了日が記録される。
【0079】
図11Bは、記録紙テーブルの他のデータ例である。この例では、記録紙テーブルには、図11Aの例に対して、「アウトラインデータのファイル名」が追加されている。本情報システムでは、アウトラインデータは、記録紙ごとに作成することにしているので、記
録紙テーブルでアウトラインデータのファイルを管理すると、コンピュータの処理上都合がよい。
【0080】
後述するベクタアウトラインを作成する場合には、記録機のペンの色ごとにベクタアウトラインのファイルが作成される。その場合に、複数のベクタアウトラインのファイルを1つにまとめる処理、例えば、データ圧縮を実行し、1つにまとめたファイル作成すればよい。そして、図11Bの「アウトラインデータのファイル名」のフィールドには、1つにまとめたファイル名を設定すればよい。また、データ圧縮してまとめる代わりに、複数のファイルを格納するハードディスク上のフォルダを用意し、そのフォルダ名を図11Bの「アウトラインデータのファイル名」のフィールドに登録してもよい。さらに、別途ペンの色と、アウトラインデータのファイル名とを対応付けるテーブルを用意してもよい。また、図11Bのように、1つのフィールドを設けるのではなく、ペンの色ごとにアウトラインデータのファイル名を格納する複数のフィールドを記録紙テーブルに設けてもよい。
【0081】
図12は、記録ファイルテーブルのデータ例である。記録ファイルテーブルは、スキャナによって記録紙から読み取られたチャート画像を管理する情報を保持する。図12においても、記録ファイルテーブルの1行が1つのレコードであり、記録ファイルごとの情報を保持する。記録ファイルテーブルの各レコードは、ID、記録機ID、記録紙ID、記録期間、ファイル名、およびサイズの各フィールドを有する。
【0082】
IDは、記録ファイルテーブルのレコードをユニークに識別する識別情報である。図4において説明したように、本情報システムは、チャート画像を複数に分割してファイルに格納する。記録ファイルテーブルは、分割された個々のチャート画像に対して、1つのレコード(本発明のそれぞれの画像データの接続関係を定義する情報に相当)を有する。
【0083】
記録機IDは、図9に示した記録機管理テーブルのレコードを識別するIDである。記録紙IDは、図11に示した記録紙テーブルのレコードを識別するIDである。すなわち、記録機IDと記録紙IDとによって、チャート画像の基になった記録機と記録紙とが特定される。
【0084】
記録期間は、開始と終了という2つの列に分割され、それぞれ、記録開始日時と記録終了日時が記録される。この記録期間は、分割されたチャート画像の記録期間である。例えば、IDが1のレコードは、開始が2000年1月15日15時40分であり、終了が同年1月16日12時10分である。そして、IDが2のレコードは、開始が同年年1月16日12時10分であり、記録紙IDが5の記録紙のチャート画像が連続していることが分かる。これら「開始」のフィールドに示される日時が、図4の各チャート画像の限定T0、T1、T2等に相当する。
【0085】
ファイル名は、記録ファイルテーブルの当該レコードに対応するチャート画像のファイル名である。サイズは、XとYの2つの列に分かれる。サイズは、分割されたチャート画像の寸法(画素数)を示す。
【0086】
記録ファイルテーブルのレコードのうち、分割されたチャート画像中の先頭のチャート画像に対応するレコードの記録期間の「開始」のフィールドには、実際の波形データの先頭位置の日時が設定される。また、記録ファイルテーブルのレコードのうち、分割されたチャート画像中の末尾のチャート画像に対応するレコードの記録期間の「終了」のフィールドには、実際の波形データの末端位置の日時が設定される。図15−図18にて後述するように、記録紙の先頭部分と、末端部分には、スキャナで画像が読み取られていても、波形データが存在しない個所があるからである。分割されたチャート画像中の先頭のチャ
ート画像に対応するレコード、および末端のチャート画像に対応するレコードは、例えば、記録紙ID、および記録期間の「開始」のフィールドで、記録ファイルテーブルのレコードをソーティングすることによって得ることができる。
【0087】
なお、チャート画像中、記録紙の先頭部分での波形データが開始する位置は、例えば、画像中から、背景画像との色の差異を判別することにより、データ構築システムのパーソナルコンピュータ、あるいは、管理サーバ1にて、認識可能である。すなわち、図10の記録ペンテーブルから、まず、記録機ごとのペンの色を特定できる。そして、チャート画像中で、記録方向(スキャナの走査方向)に所定長さ以上のそのペンの色に該当する画素のつながりが存在する個所を抽出する。そして、その画素のつながりのうち、記録紙の先頭方向の端部の位置を決定すればよい。
【0088】
また、同様に、チャート画像中、記録紙の末端部分での波形データが終了する位置は、背景画像との色の差異を判別することにより、データ構築システムのパーソナルコンピュータ、あるいは、管理サーバ1にて、認識可能である。ただし、チャート画像上の位置を選択するマニュアル操作で、波形データが開始する位置と終了する位置を設定するようにしても構わない。
【0089】
<画面仕様>
図13から図25の図面を参照して、本情報システムがクライアントPC100に提供する画面の仕様を説明する。これらの画面は、ウェブサーバ101を通じて、クライアントPC100に提供される。ウェブサーバ101は、クライアントPC100からの要求に応じて、管理サーバ1にアクセスし、画面の構成に必要なデータを取得する。管理サーバ1は、ウェブサーバ101からの要求に応じて、データベースサーバ103のデータを検索し、ウェブサーバ101に検索されたデータを提供する。
【0090】
図13に、チャート検索画面W1に対する操作の例を示す。チャート検索画面W1には、プラント名の選択欄、管理番号入力欄、計器番号入力欄、名称入力欄、記録期間入力欄、パネル番号入力欄等の入力欄が含まれる。
【0091】
プラント名は、プラントを識別する文字列の情報である。例えば、原子力発電所、火力発電所等では、1つの発電所内に複数のプラント(発電機とそのエネルギー発生装置、例えば、原子炉である)が設けられることが多い。また、工場でも、複数のプラント(例えば、世代の異なる複数の設備を含むそれぞれの世代の建屋、種類の異なる材料をそれぞれ生産する複数の化学プラント等)を識別したい場合がある。そこで、本情報システムは、プラント名によってプラントを識別可能としている。
【0092】
管理番号は、プラント内の設備、または、設備から計測されたデータを識別する番号である。計器番号は、データを測定した記録機を識別する番号である。名称は、図9の記録機テーブルの名称に該当する名称である。ただし、名称は、完全一致である必要はなく、部分一致で検索するようにすればよい。記録期間は、検索したいデータの記録期間である。
【0093】
図13の例では、検索結果(本発明のリストに相当)として、「A1000−1 釜温度」、「A1000−2 流量」等が表示されている。また、各検索結果の先頭にはチャートを模擬したアイコン50が表示されている。ユーザが、クライアントPC100のディスプレイの画面上でポインティングデバイスを操作し、カーソルをアイコン50に位置づけると、「チャートビューアーを表示します」というガイドが表示される。さらに、ユーザが、アイコンをクリックすると、該当するチャート画像が表示される。ウェブサーバ101を通じて、クライアントPC100に、チャート検索画面W1を表示する管理サー
バ1のCPUが、本発明のデータ検索手段に相当する。
【0094】
図14に、チャート画像を表示する画面の例を示す。図14の画面を表示するクライアントPC100の表示装置が本発明の画像表示手段に相当する。以下、この画面をチャート画像ウィンドウW2という。チャート画像ウィンドウW2の上部には、ツールバーが設けられ、各種ボタンが配置されている。ユーザは、ツールバーの各種ボタンを操作し、要求をクライアントPC100からウェブサーバ101に送信する。ツールバーのボタンとしては、例えば、チャートの拡大、縮小、自動スクロール、自動スクロール、波形値の表示等の機能を実行するボタンが設けられている。
【0095】
チャート画像ウィンドウW2の左側部分には、履歴表示部W21が設けられ、セッション開始後に、現時点までに表示したチャート画像の一覧が表示される。セッション開始とは、クライアントPC100からウェブサーバ101に接続したときの、接続開始をいう。ただし、そのような処理に代えて、所定期間、例えば、過去30日間、過去1週間等の履歴を保存し、履歴表示部W21に表示するようにしても構わない。履歴表示部W21は、管理番号(A1000−1)、名称(タービン釜温度、流量)等を表示する。
【0096】
チャート画像ウィンドウW2の中央から右側部分には、原本表示部W22が表示される。原本表示部W22には、スキャナで読み取られたチャート画像がそのまま表示される。原本表示部W22では、ユーザ操作を検知して、チャート画像の拡大、縮小、スクロール処理が実行される。また、オプション機能として、チャート画像に付加されている属性情報、例えば、記録機に関する情報、備考欄のコメント等が表示される。
【0097】
履歴表示部21と原本表示部22の下方の領域に、アウトライン表示部W23と、記録期間表示部W33とが設けられている。アウトライン表示部W23には、波形の概要が表示される。波形の概要には、チャート画像の時間を圧縮したアウトラインデータが表示される。記録紙に描画された波形のX軸(時間軸)方向の長さは、クライアントPC100の画面よりはるかに大きく、数メートルから数十メートルにおよぶ場合がある。そのような記録紙から生成された原本のチャート画像のサイズは、X軸方向が長大となる。そこで、アウトラインデータにより、時間軸方向を圧縮し、長期間の波形の傾向を表示するものである。波形の概要によって、記録値の大まかな動向を把握する機能を提供する。ユーザが、波形の概要をクリック、あるいは、ドラッグすることによって、原本表示部W22のチャート画像の表示範囲を変更できる。また、ユーザ指定によって波形の概要を非表示にできる。すなわち、ウェブサーバ101は、波形の概要へのユーザ操作を検知したクライアントPC100(閲覧プログラム)からの要求を受け、その操作された位置に対応するチャート画像をクライアントPC100に引き渡す。波形の概要への操作が、複数のチャート画像のファイルに渡るときには、ウェブサーバ101は、管理サーバ1を通じて、該当するチャート画像のファイルを検索し、クライアントPC100に引き渡す。
【0098】
記録期間表示部W33には、記録期間が表示される。この表示が、本発明のタイムラインに相当する。記録期間は、記録紙に記録されたデータが存在する期間を棒状のパターンP1(タイムスライダと呼ぶ)で示す。本情報システムでは、1つの記録期間は、通常、複数の記録紙で記録された記録となる。棒状のパターンP1のうち、部分的に薄いパターンで表示される個所(図17参照)があり、この個所は、記録紙と記録紙のつなぎ目でデータが存在しない個所(本発明の記録未実施時期に相当)を示している。一方、棒状のパターンP1中の、記録未実施期間以外のパターンで示される、記録の存在する期間が本発明の記録実施時期に相当する。
【0099】
また、棒状のパターンP1のない箇所は、記録機のメンテナンス等の理由で記録が存在しないことを示す。棒状のパターンP1に重ねられた矩形状パターンP2は、現在、原本
表示部W22に表示されている期間を示している。記録期間は、記録機の稼働期間に相当する。この稼働期間の情報は、プラント設備データから取得することができる。
【0100】
すなわち、稼働期間の情報を基に、棒状のパターンP1で例示されるデータが存在する期間期間が示される。さらに、棒状のパターンP1で、記録紙と記録紙のつなぎ目でデータが存在しない個所は、記録ファイルテーブル12の記録期間を基に、部分的に薄いパターンの表示で示される。すでに述べたように、チャート画像中の波形データの端部の位置は、ペンの色に該当する画素のつながりを抽出して判定される。また、チャート画像中の時刻は、図6に示す時刻基点情報(基点の時刻、および記録機の記録速度)によって確定される。
【0101】
なお、記録期間の表示パターン作成時、稼働期間の情報と、記録ファイルテーブル12の記録期間との間、ずれが所定の限度以上ある場合には、管理サーバ1が所定の警告メッセージを表示する。
【0102】
なお、実際の処理としては、図12の記録期間を基に、棒状のパターンP1を作成し、プラント設備データから取得した稼働期間の情報は、図12の記録期間のチェック用として使用してもよい。
【0103】
タイムスライダの矩形状パターンP2は、ポインティングデバイスの操作によって、画面上を移動可能である。クライアントPC100のCPUは、ユーザのポインティングデバイス、あるいは、キーボードに対する操作を検知し、タイムスライダ上の矩形状パターンP2を移動する。この処理を実行するクライアントPC100のCPUが、本発明のアウトラインまたはタイムラインの表示に対する入力操作を受け付ける手段に相当する。
【0104】
タイムスライダ上の矩形状パターンP2が移動すると、クライアントPC100のCPUは、移動後の位置に該当する記録期間、および、移動後の位置に対応する記録紙のID、さらには、その記録紙のIDに対応するアウトラインを決定する。この処理を実行するクライアントPC100のCPUが、本発明の表示すべき時間軸上の位置を決定する手段に相当する。
【0105】
そして、その移動した位置に対応する期間の原本が原本表示部W22、また、対応する期間のアウトラインがアウトライン表示部W23に表示される。この処理を実行するクライアントPC100のCPUが、本発明の決定された時間軸上の位置に該当するオリジナルチャートを表示する手段、および、決定された時間軸上の位置に該当するアウトラインを表示する手段に相当する。
【0106】
さらに、図14に示したように、アウトライン表示部W23には、原本表示部W22に現在表示中の原本の範囲が矩形P4で表示される。ユーザが、矩形P4をドラッグすると、クライアントPC100は、ドラッグ先の位置を決定し、矩形P4をドラッグ先に移動する。この処理を実行するクライアントPC100のCPUもまた、タイムスライダへの操作の検出と同様、本発明のアウトラインまたはタイムラインの表示に対する入力操作を受け付ける手段に相当する。
【0107】
そして、クライアントPC100は、ドラッグされた後の矩形P4の時間軸上の区間を決定する。この処理を実行するクライアントPC100のCPUが、表示すべき時間軸上の位置を決定する手段に相当する。そして、その時間軸の上の区間、すなわち、矩形P4のドラッグ先の時刻に相当するチャート画像が原本表示部W22に表示される。また、アウトライン表示部の所望の位置にマウスカーソルを移動し、クリックすることで、そのクリックされた位置の時刻に相当するチャート画像が原本表示部W22に表示される。以上
の処理を実行するクライアントPC100のCPUが、本発明の決定された時間軸上の位置に該当するオリジナルチャートを表示する手段に相当する。
【0108】
以上のようなアウトライン表示部W23でのドラッグ、あるいは、ポインティングデバイスによる選択(マウスクリック等)により、ユーザは、アウトライン上の所望の位置に相当する時刻の原本データを原本表示部W22に表示できる。この機能は、アウトラインを用いたチャート画像の検索機能ということができる。
【0109】
以下、図14に示した画像ウィンドウW2で利用可能な表示機能について説明する。まず、本情報システムで、原本のチャート画像を表示する場合に、時刻ベース表示機能と、原本ベース表示機能を選択することができる。図15は、時刻ベース表示機能を説明する図である。
【0110】
時刻ベース表示機能は、チャート画像のうち、波形データが存在する個所だけを表示する機能である。波形データが存在個所は、例えば、図12の記録ファイルテーブルの記録期間から決定できる。例えば、図15の記録用紙1の終端(終了点)付近には、「データ有」と示された左側区間と、「データ無」と示された区間が存在している。また、記録用紙2の終端(開始点)付近には、「データ有」と示された右側区間と、「データ無」と示された区間が存在している。本情報システムにおいて、時刻ベース表示機能では、このような記録用紙1の「データ有」とされる区間と、記録用紙2の「データ有」とされる区間を接続して表示する。この表示では、チャート画像は、記録紙の終端の有無と無関係に、データが連続して存在する波形として表示される。なお、図15から明らかなように、この場合の記録期間P3のチャート画像は、チャート用紙1、チャート用紙2を含む複数の記録紙から読み取られた画像によって構成されることが分かる。
【0111】
また、記録がない区間、すなわち、波形値が記録されていない区間については、図16のように、時刻だけが表示され、原本の画像は表示されない。なお、この場合、画面下部の記録期間のうち、記録がない個所については、薄い色で表示される。
【0112】
一方、図17は、原本ベースでの表示機能を説明する図である。原本ベースの表示機能では、図16とは異なり、波形のない区間も、スキャナから読み取った画像が表示される。以上のように、原本ベース表示機能によって、ユーザは、記録紙原本と同等の実際の波形を記録紙の終端においても、確認することができる。一方、時刻ベース表示機能に切り換えることで、波形が記録された期間だけ取り出して、不要な終端部を隠した状態でチャート画像を確認できる。
【0113】
図18は、画像頭出し機能を説明する図である。画像頭出し機能は、記録のない区間を挟んだ位置にある2つのチャート画像の間で、表示を切り換える機能である。例えば、図18の上段の画面では、画面右よりに波形が表示され、画面左側には、記録のないことが表示されている。ここで、ユーザが左頭出しボタンをクリックすると、上段の波形の左側に隣接する波形を記録した記録紙のチャート画像が表示される。右頭出しボタンは、上記と逆の切り換えに使用される。
【0114】
以上のような記録紙上で記録のない区間の内、記録開始前の個所は、図12の記録ファイルテーブルの先頭のチャート画像に該当するレコードにおいて、「開始」の時刻より前の時間軸上の位置として把握できる。また、記録終了後の個所は、図12の記録ファイルテーブルの末端のチャート画像に該当するレコードにおいて、「開始」の時刻より前の時間軸上の位置として把握できる。
【0115】
図19は、手動スクロール機能を説明する図である。ユーザが、原本表示部W22上で
、ポインタをドラッグすると、チャート画像がドラッグされた方向にスクロールされる。ここで、ドラッグとは、例えば、マウスを使用する場合には、マウスのボタンを押下した状態で、マウスを擦動する操作によって、画面上でマウスポインタを移動する動作である。なお、ドラッグに代えて、マウスホイールと呼ばれるマウス上面に設けられた回転部を回転させてもよい。マウスホイールの下方向の回転により、例えば、右スクロールを実行し、上方向の回転により、例えば、左スクロールを実行するようにすればよい。
【0116】
なお、ここでは、図示しないが、本情報システムは、自動スクロール機能を提供する。ツールバー上に設けられた自動スクロールボタンを押下することで、ボタンが押下された状態を表示し、画面上のチャート画像の自動スクロールが実行される。自動スクロールボタンとして、早戻し、戻り、送り、早く送り、および停止の各ボタンが設けられている。早戻し、および戻りでは、時間軸を現在表示中の記録時刻から過去に戻る方向にチャート画像が連続移動して表示される。また、早送り、および送りでは、時間軸を現在表示中の記録時刻から進行する方向にチャート画像が連続移動して表示される。
【0117】
図20に、原本表示部W22でその他の操作を実行するボタンの例を示す。図20では、縦全体表示ボタン111、拡大ボタン112、波形情報表示ボタン114が示されている。縦全体表示ボタン111をクリックすることで、チャート画像の縦方向(上下方向)の寸法を基準に、表示寸法が決定される。すなわち、チャート画像が縦方向に画面に収まる寸法に調整され、表示される。
【0118】
拡大ボタン112は、チャート画像を拡大して表示する機能の実行を指示するボタンである。拡大ボタン112を押下していえる間、原本画像が次第に(時間経過にしたがって)拡大される。なお、図20には、示していないが、ツールバーには、逆に、チャート画像を縮小する縮小ボタンも設けられている。これらのボタンが、本発明の拡大または縮小する手段に相当する。
【0119】
波形情報表示ボタン114は、波形値属性表示を実行するモードへの移行を指示するボタンである。波形値属性表示では、チャート画像上のカーソル位置の波形の値と属性とがテキスト文字列で表示される。
【0120】
図21に、原本表示部W22にてチャート画像を拡大したときの表示例を示す。本情報システムは、チャート画像が拡大され、チャート上の時刻を表示する時間軸(チャート画像下部の目盛り)が表示領域の外部に出た場合には、原本表示部W22の画面を上下2つに分割する。そして、一方(図12の例では下方)に、時刻メモリ部W24を表示する。したがって、ユーザは、チャート画像を拡大した状態でそのデータの記録時刻を確認できる。
【0121】
クライアントPCは、ユーザの拡大を指示する操作を検出し、チャート画像の拡大後の寸法(例えば、X軸方向とY軸方向の画素数)を算出すればよい。そして、拡大後のチャート画像を原本表示部W22に表示したときに、チャート画像下部の時間軸が表示できるか否かを判定すればよい。そして、拡大後のチャート画像において、チャート画像下部の時間軸が原本表示部W22からはみ出すと判断された場合に、図21のように、原本表示部W22の画面を上下2つに分割する。そして、一方(図12の例では下方)に、時刻メモリ部W24を表示すればよい。この処理を実行するクライアントPC100のCPUが本発明の同一の画面領域に表示できるか否かを判定する手段、および分割して表示する手段に相当する。
【0122】
なお、当然ながら、チャート画像下部の時間軸が原本表示部W22からはみ出ないと判断された場合には、時刻メモリ部W24は、原本表示部W22と分割される同一の画面領
域に表示される。
【0123】
図22に、波形属性情報を表示する例を示す。本情報システムでは、ユーザが原本表示部W22に、マウス等のポインティングデバイスのカーソルを置いた場合、そのカーソル位置の時刻、波形の属性等が表示される。この例では、データは、容器底温度であり、時刻が2004年4月6日13時31分であり、そのときの波形値が摂氏149.8度であることが文字情報で表示される。なお、波形値は、管理サーバ1がチャート画像の原本から、画像処理で決定した値である。したがって、ユーザは、時間軸と、波形値の軸とに視線を拘束されずに、現在のカーソル位置の値を認識できる。
【0124】
図23に、複数チャート表示機能の例を示す。原本表示部W22には、複数のチャート画像を同時に表示できる。この処理を実行するクライアントPC100のCPUが、本発明の時間軸を並列にして表示する手段に相当する。また、複数のチャート画像を同期してスクロールできる。この処理を実行するクライアントPC100のCPUが、本発明の時間軸方向に同期させて移動する手段に相当する。これによって、ユーザは、複数のチャート画像を比較しながら、参照することができる。
【0125】
図23の例では、チャート画像C1(本発明の第1のオリジナルチャートに相当)は、第1の記録機のデータ(例えば、釜圧力、本発明の第1の物理量に相当)であり、チャート画像C2(本発明の第2のオリジナルチャートに相当)は、第2の記録機のデータ(例えば、釜温度、本発明の第2の物理量に相当)である。また、チャート画像C1、C2にそれぞれ複数(図14では2本)のグラフが存在するのは、第1の記録機および第2の記録機について、それぞれ予備の記録機があることによる。
【0126】
クライアントPC100は、複数チャート表示機能では、第1の物理量に該当するチャート画像C1の表示において、さらに、第2の物理量の指定を受け付ければよい。そして、ウェブサーバ101を通じて、管理サーバ1から、第1の物理量および第2の物理量に対応するそれぞれのチャート画像C1、C2を取得すればよい。
【0127】
その場合に、同一の物理量(例えば、釜圧力のデータ)について、異なる日時の指定(本発明の第1の基準時点および第2の基準時点)を受けて、それぞれの時刻をチャート画像の時間軸の原点で一致させて、複数のチャーを表示するようにしてもよい。その場合に、複数チャート(例えば、第1のオリジナルチャート、および第2のオリジナルチャート)として、同一の物理量の異なる日時のデータが、対照して表示されることになる。この機能は、同一の物理量の異なる日時の傾向を比較したいときに有効である。
【0128】
図24に、画素当たりの記録時間が異なる複数のチャート画像を同時スクロールする概要を示す。図24のように、記録計に依存して、画素当たりの記録時間(時間分解能)は、必ずしも一致しない場合がある。その場合に、それぞれの画像から読み取られたチャート画像のX軸方向のサイズは一致しない。したがって、そのような複数のチャート画像を同時スクロールした場合には、記録の開始時点では、時刻が一致しているが、記録期間の進行とともに、チャート画像間で時刻の同期が取れなくなる。本情報システムでは、同時スクロールにおいて、時刻の同期処理を実行する。これは、例えば、原本表示部W22の基準となる位置、例えば、画面中央部分において、2つのチャート画像C20とC21の時刻が一致するように表示する処理である。例えば、図24の例では、時刻20分の位置が同期して表示されている。このような処理を実行することによって、記録紙では、比較対照困難であった複数のチャート画像間で容易に、比較し、対照する機能を提供できる。図24の処理を実行する管理サーバ1のCPUが、本発明の表示される時間軸の範囲にて整合させる手段に相当する。 なお、図24では、基準となる画面上の位置で、2つのチャート画像の時刻を同期する処理を示したが、情報システムの処理能力が許容する場合に
は、これに代えて、一方のチャート画像の時間軸を伸長または短縮することによって、時刻の同期を取るようにしてもよい。例えば、同時スクロールの表示前に、チャート画像C21の末端TE1の時刻がチャート画像C20の末端TE0の時刻に一致するように、画像を伸長しておいてもよい。また、逆に、チャート画像C20の末端TE0の時刻がチャート画像C21の末端TE1の時刻に一致するように、画像を短縮しておいてもよい。この場合、画像の伸長と短縮は、分割されたチャート画像のファイル単位で行えばよい。また、そのような処理に代えて、原本表示部W22に表示される1画面分の画像の単位で、時間軸の伸長、あるいは、短縮を実行してもよい。画像の伸長、短縮は、クライアントPC100で実行してもよい。また、ウェブサーバ100で実行してもよい。
【0129】
アウトライン表示部W23に対しても、原本表示部W22と同様の機能が設けられている。図25は、アウトライン表示部のツールバーのボタンの例を示している。図25では、表示範囲縮小(絞り込み)ボタン121、左移動ボタン122、右移動ボタン123、表示範囲拡大ボタン124が示されている。
【0130】
表示範囲縮小ボタン121をクリックすることで、アウトライン表示部内の表示期間が縮小され、アウトラインが狭い範囲に絞り込まれる。これは、アウトラインの画像のX軸(時間軸)を伸長する処理である。このとき、アウトライン表示部のX軸(時間軸)の中央位置を固定してアウトラインが絞り込まれる。
【0131】
また、表示範囲拡大ボタン124をクリックすることによって、アウトラインの画像のX軸が圧縮され、現在表示中のアウトラインの前後に位置する記録紙のアウトラインが表示される。例えば、1つの記録紙から生成されたチャート画像のアウトラインがアウトライン表示部に表示されているときに、表示範囲拡大ボタン124をクリックすることで、3つの記録紙から形成されたアウトラインn画像がアウトライン表示部に表示される。さらに、左移動ボタン122および右移動ボタン123により、アウトライン表示部は、現在表示中のアウトラインに隣接するアウトラインを表示する。
【0132】
さらに、図示しないが、表示中のチャートに注釈を付する機能が提供される。すなわち、チャート画像ウィンドウW2の任意の位置にカーソルを移動した後、特定の操作(例えば、マウスの右ボタンクリックによるポップアップメニューからの選択)を実行すると、画面上のカーソル位置に記述する注釈の入力モードとなる。画面の注釈記述位置には、注釈の表示記号(例えば、風船を象徴したアイコン)が設定される。注釈は、ユーザがそのチャート画像に記述するコメントである。注釈であるテキスト文字列を入力し、保存する。
【0133】
ユーザは、メニューの選択により、注釈の表示記号の表示色を設定できる。表示色の設定により、1つのチャート画像に複数の注釈が設定された場合も、複数の注釈の識別がしやすくなる。
【0134】
本情報システムでは、注釈は、クライアントPC100からウェブサーバ101に送信され、管理サーバ1を通じて、データベースサーバ103に保存される。この場合に、注釈ID、種別ID、注釈を付したユーザを識別する情報、注釈の内容であるテキスト、注釈が付されるチャート画像の記録機ID、注釈を付する時刻(日時)、注釈記号の表示色を保存すればよい。なお、注釈IDは、注釈をユニークに識別する情報である。また、種別IDは、種類を示すもので、例えば重要度としてA,B,C等のレベルを設定するようにしてもよい。また、プラント共通、グループ共通、個人用等の区別を設定してもよい。
【0135】
チャート画像に設定された注釈は、例えば、チャート画像の記録機IDおよび時刻を基に検索され、チャート画像表示時に、設定された表示色で、注釈記号が表示される。なお
、特定の記録機、時刻等を指定して注釈を検索し、注釈一覧を表示する機能を設けてもよい。
【0136】
<処理フロー>
図26から図35により、本情報システムの処理フローを説明する。図26は、画像データ蓄積処理を例示する図である。この処理は、データ構築システムにて、スキャナを制御するパーソナルコンピュータによって実現される。この処理は、パーソナルコンピュータのCPU上で実行されるコンピュータプログラムの処理である。ただし、図15の処理(S1−S5)の少なくとも一部を図1に示した管理サーバ1が実行するようにしてもよい。
【0137】
この処理では、パーソナルコンピュータは、まず、表示装置と操作装置(キーボード、ポインティングデバイス)を通じて、管理番号、計器番号、名称、図6に示す時刻基点情報等の情報を受け付ける(S1)。
【0138】
次に、パーソナルコンピュータは、画像データの上限値の設定を受け付ける(S2)。上限値は、スキャナで生成したチャート画像を保存するときに、分割する必要があるか否かを判定するパラメータである。画像データ量が大きい場合には、情報システムの処理能力により、応答が遅くなる場合があるので、本情報システムでは、取り扱う画像データ量の上限値を設ける。ただし、この上限値は、情報システムの処理能力に合わせて適切に設定されるべきである。上限値として、情報システムは、デフォルト値を保持してもよい。したがって、技術の進歩に伴う情報システムの処理能力の向上によって、この上限値は変更される。また、画像の分解能と、記録紙サイズとから画像データ量を算出した上で、画像の分割数を算出してもよい。パーソナルコンピュータは、その分割数にしたがって、画像を分解するようにしてもよい。さらに、パーソナルコンピュータは、スキャナに分解能を指示し、記録紙のスキャン(画像の読み取り)の実行を指示する。
【0139】
次に、パーソナルコンピュータは、スキャナから画像データ、X方向およびY方向の画素数を受信する(S3)。本情報システムでは、画像データは、例えば、画素ごとにHSV値を有するラスタデータである。ここで、HSV値とは、色相(Hue)、彩度(Saturation Chroma)、明度(Brightness Lightness Value)の3つの成分の成分をいう。HSV値で記述する色空間をHSV色空間という。なお、HSV値とRGB値とは、所定の変換式で相互に変換できることが知られている。したがって、ここでは、HSV値を用いることにするが、RGB値を用いて処理しても構わない。また、スキャナがRGB値で出力するインターフェースを有する場合には、一旦RGB値で画像データを取得し、HSV値に変換すればよい。なお、図26には、図示しないが、本情報システムにおいて、スキャナ側でも、処理能力に依存して画像を分割してパーソナルコンピュータに引き渡す。したがって、S3の処理は、その分割数分だけ繰り返されることになる。
【0140】
次に、パーソナルコンピュータは、画像データ量が上記上限値を超えているか否かを判定する(S4)。画像データ量が、上限値を超える場合には、パーソナルコンピュータは、画像データをX方向(記録機の走査方向)に複数に分割する(S5)。この処理を実行するパーソナルコンピュータのCPUが、本発明の分割する手段に相当する。
【0141】
そして、パーソナルコンピュータは、画像データをファイルに出力する(S6)。このとき出力するファイル名は、記録ファイルテーブルのレコードを識別するIDを用いて生成する。
【0142】
さらに、分割されたチャート画像の記録期間は、分割前のチャート画像の記録期間と、分割前後のチャート画像の画素数の比で求めることができる。また、分割前のチャート画
像の記録期間は、スキャナから引き渡されるチャート画像の画素数と、図6の画面で入力される基点情報中の記録速度で決定できる。
【0143】
そして、パーソナルコンピュータは、各チャート画像の記録期間(図9の開始、および終了)、ファイル名、およびサイズを記録ファイルテーブルに設定する(S7)。その後、生成されたチャート画像の画像ファイルおよび記録ファイルテーブルは、管理サーバ1に引き渡され、データベースサーバ103のストレージ104に格納される。これらのテーブルの設定によって、複数に分割されたチャート画像の画像ファイルは、図12の記録ファイルテーブルの情報を基に結合されて、図14に示したチャート画像ウィンドウW2に表示されることになる。この処理を実行するパーソナルコンピュータのCPUが、本発明の分割された画像を組み合わせたオリジナルチャートを生成する手段に相当する。
【0144】
また、パーソナルコンピュータは、上記チャート画像の分割とともに、アウトラインデータを生成し、ファイルに出力する(S8)。このとき出力されるアウトラインデータのファイルは、記録紙テーブルのレコードを識別するIDを用いて生成すればよい。これによって、1つの記録紙に1つのアウトラインデータが生成されることになる。作成されたラスタアウトラインは、データベースサーバ103のストレージ104に格納すればよい。
【0145】
図27に、アウトラインデータの作成処理(図26のS8)の詳細を示す。この処理を実行するパーソナルコンピュータCPU、あるいは管理サーバ1のCPU11が本発明のアウトライン生成手段に相当する。この処理では、パーソナルコンピュータは、作成すべきアウトラインデータの種類の設定をシステムパラメータから読み出す(S81)。本情報システムでは、ベクタアウトラインか、ラスタアウトラインのいずれかが指定される。
【0146】
次に、パーソナルコンピュータは、その指定がベクタアウトラインか否かを判定する(S82)。システムパラメータの指定がベクタアウトラインの場合、パーソナルコンピュータは、ベクタアウトライン作成処理を実行する(S83)。また、システムパラメータの指定がラスタアウトラインの場合、パーソナルコンピュータは、ラスタアウトライン作成処理を実行する(S84)。ラスタアウトライン作成処理では、チャート画像の時間軸方向の画素を削減する処理を実行すればよい。
【0147】
図28に、ベクタアウトライン作成処理(図27のS83)の詳細を示す。この処理では、パーソナルコンピュータは、スキャナからの画像を画素のラインごとに、ペンの色に分離する(S831)。ここで、ラインとは、Y方向に並ぶ1列の画素をいう。また、ペンの色は、図2のプラント設備データを参照し、それぞれの記録機ごとに取得できる。
【0148】
そして、パーソナルコンピュータは、ペンの色ごとに、画像の有無を判定する(S832)。画像の有無は、例えば、画素ごとに、H値S値V値がそれぞれのペン色と所定の許容値の範囲で合致するか否かで判定すればよい。この許容値は、パーソナルコンピュータのシステムパラメータとして記憶しておけばよい。
【0149】
そして、画像ありと判定された場合(S833でYESの場合)、パーソナルコンピュータは、その画素に対応する色のビットを1に設定する(S834)。また、画像なしと判定された場合(S833でNOの場合)、パーソナルコンピュータは、その画素に対応するビットを0に設定する(S835)。このようなビットは、ペンの色だけ用意しておけばよい。この処理を実行するパーソナルコンピュータCPUあるいは管理サーバ1のCPU11が本発明の単色画像を抽出する手段に相当する。
【0150】
次に、パーソナルコンピュータは、1ラインの画素に対する処理が終了したか否かを判
定する(S836)。1ラインの画素に対する処理が終了していない場合、パーソナルコンピュータは、制御をS832に戻す。
【0151】
1ラインの画素に対する処理が終了した場合、パーソナルコンピュータは、複数のラインを時間軸方向に圧縮する処理を実行する(S837)。これは、複数のラインの平均値を算出し、1ラインとする処理である。ただし、複数のラインごとに、画素のラインを残し、他のラインを廃棄する処理を実行してもよい。その場合には、画素のラインの廃棄は、S831の処理の前に実行すればよい。この処理を実行するパーソナルコンピュータCPUあるいは管理サーバ1のCPU11が本発明の画素数を削減してアウトラインを生成する手段に相当する。
【0152】
一方、1ラインの画素に対する処理が終了した場合、パーソナルコンピュータは、全ラインの処理が終了したか否かを判定する(S838)。全ラインの処理がまだ終了していない場合、パーソナルコンピュータは、制御をS61に戻す。そして、全ラインの処理がまだ終了した場合、パーソナルコンピュータは、処理を終了する。
【0153】
以上の処理によって、チャート画像からそれぞれのペンの色と一致する画素だけが抽出される。その結果、ペンの色に対応するビットプレーンが形成されることになる。例えば、緑のビットプレーンでは、緑のペンで描画された軌跡がビット1として表現され、軌跡のない個所がビット0となる。他の色のプレーンも同様である。
【0154】
図29は、チャート画像のクライアントPC100への提供処理を例示する図である。この処理は、ウェブサーバ101を通じてクライアントPC100に応答する管理サーバ1のCPU11上で実行されるコンピュータプログラムにより実現される。ただし、ウェブサーバ100と管理サーバ1とが1つのコンピュータとして以下の処理を実行してもよい。
【0155】
この処理では、ウェブサーバ100は、クライアントPC100から、表示対象のチャートの指定と、表示時点の指定等を受け付ける(S11)。この処理は、例えば、図13に示したチャート検索画面W1への検索条件の設定内容の読み取りと、ウェブサーバ101への引き渡しである。すると、ウェブサーバ101は、管理サーバ1に指定された検索条件を引き渡す。
【0156】
すると、管理サーバ1は、要求された検索条件に合致するチャート画像、例えば、指定された記録機で測定され、表示時点が含まれる区間のチャート画像のファイルを検索する(S12)。この検索は、図12に示した記録ファイルテーブルを走査すればよい。なお、以上の他にも、チャート画像の検索条件は様々な指定ができる。例えば、図9の記録機テーブルの「名称」、「設置場所」、図10の記録ペンテーブルの「記録内容」、図11の記録紙テーブルの「担当者」等に含まれる様々な文字列の指定を受け付け、検索を実行すればよい。
【0157】
次に、検索条件に該当するチャート画像のファイルに対応する記録ファイルテーブルのレコードから、記録期間を読み出し、時間軸の範囲を算出する。また、指定の記録時点を含み、原本表示部W22に表示される時間軸の範囲を算出する。そして、管理サーバ1は、時間軸の情報、およびチャート画像をウェブサーバ101に引き渡す。ウェブサーバ101は、時間軸の情報から、時刻を表示するデータを生成し、原本の画像チャートともに、クライアントPC100に提供する(S13)。さらに、管理サーバ1は、ウェブサーバ101を通じてクライアントPC100にアウトラインのベクタデータを引き渡す。(S14)。
【0158】
さらに、管理サーバ1は、管理サーバは、プラント設備データから、各設備、あるいは、各記録機の稼働期間情報を取得し、ウェブサーバ101に引き渡す。ウェブサーバ101は、稼働期間情報を基に、記録期間およびタイムスライダを表示する情報を作成し、クライアントPC100に引き渡す(S15)。なお、稼働期間情報は、各記録機を識別する情報と、稼働期間および不稼働期間を示す日時情報が含まれる。
【0159】
図30は、クライアントPC100での処理を例示する図である。クライアントPC100は、通常、イベント待ちの状態にある(S29、S30)。イベントとは、クライアントPC100で、ユーザが、ポインティングデバイス等の操作部を検知したことの通知である。この通知は、クライアントPC100のOS(オペレーティングシステム)を通じて、アプリケーションプログラムに引き渡される。そして、イベントが発生すると(S30でYの場合)、クライアントPC100は、イベントの種類を判定する。
【0160】
この例では、クライアントPC100は、まず、初期表示の指示があったか否かを判定する(S31)。初期表示の指示があると、クライアントPC100は、ウェブサーバ101からのチャート画像取得処理を実行する(S32)。初期表示では、図13に示したチャート検索画面から、上記S12で説明したものと同様の検索条件、すなわち、様々な文字列、属性情報にしたがって、画像が検索され、表示される。そして、クライアントPC100は、取得したチャート画像を表示する。その後、クライアントPC100は、制御をS29に戻す。
【0161】
イベントが、初期表示の指示でなかった場合、クライアントPC100は、次に、複数チャートの同時スクロールの指示か否かを判定する(S33)。複数チャートの同時スクロールの指示があると、クライアントPC100は、複数チャートの同時スクロール処理を実行する(S34)。その後、クライアントPC100は、制御をS29に戻す。
【0162】
イベントが、複数チャートの同時スクロールの指示でなかった場合、クライアントPC100は、次に、時刻を指定した検索か否かを判定する(S35)。時刻を指定した検索の指示があると、クライアントPC100は、時刻を指定した検索処理を実行する(S36)。その後、クライアントPC100は、制御をS29に戻す。
【0163】
そして、イベントが時刻を指定した検索でなかった場合、クライアントPC100は、他のイベントに応じた処理を実行する(S37)。
【0164】
図31は、複数チャート同時スクロール処理を例示する図である。この処理では、クライアントPC100は、ユーザのスクロール操作から、表示対象チャート画像の表示区間を決定する(S341)。そして、クライアントPC100は、次のチャート画像の同期表示処理を実行する(S342)。この処理を実行するクライアントPC100のCPUが本発明の時間軸を並列にして表示する手段に相当する。また、この処理で、スクロールを伴う場合の処理を実行するクライアントPC100のCPUが、本発明の時間軸方向に同期させて移動する手段に相当する。
【0165】
そして、クライアントPC100は、同時スクロール対象のすべてのチャートを表示したか否かを判定する(S343)。同時スクロール対象のすべてのチャート画像を表示していない場合、クライアントPC100は、制御をS342に戻す。また、同時スクロール対象のすべてのチャート画像を表示すると、クライアントPC100は、処理を終了し、図30のイベント待ちに戻る。
【0166】
図32は、次のチャート画像の同期表示処理(図31のS342の詳細)のフローチャートである。この処理では、クライアントPC100は、表示対象のチャート画像がクラ
イアントPC100にあるか否かを判定する(S3420)。表示対象のチャート画像がクライアントPC100にない場合、クライアントPC100は、表示対象外のチャート画像を破棄し、ウェブサーバ100から表示対象のチャート画像とそのチャート画像の属性情報とを取得する(S3421)。取得したチャート画像は、属性情報ともに、クライアントPC100のメモリに保存される。
【0167】
そして、画面の上の基準点の時刻を算出する。ここで、基準点とは、例えば、画面の原本表示部W22の中央である。そして、基準点の時刻の前後のチャート画像をメモリから読み出す(S3423)。そして、基準点時刻と一致させて読み出したチャート画像を配置し、原本表示部W22に表示する(S3424)。そして、クライアントPC100は、処理を終了し、図30のイベント待ちに戻る。
【0168】
なお、このとき画面単位で、チャート画像を伸長または短縮する処理を実行してもよい。すなわち、同期表示処理において、画面ごとに複数のチャート画像の時間軸方向の記録時間の長さが一致するようにしてもよい。
【0169】
図33は、時刻を指定した検索処理(図30のS36)を例示する図である。時刻を指定した検索処理は、例えば、チャート画像の頭出し処理、手動スクロール、自動スクロール、チャート画像の拡大処理、チャート画像縮小処理、縦全体表示処理、アウトライン上のスクロール、アウトライン上の位置の指定による原本表示変更、タイムスライダの移動による原本とアウトラインの表示変更等に相当する処理であり、表示中のチャート画像の表示すべき時刻の範囲を変更する処理である。
【0170】
この処理では、クライアントPC100は、表示対象のチャート画像の表示区間を決定する(S361)。そして、クライアントPC100は、表示区間に相当するチャート画像がクライアントPC100に存在するか否かを判定する(S362)。この処理を実行するクライアントPC100のCPUが本発明の、記憶されているか否かを検索する手段に相当する。
【0171】
表示区間に相当するチャート画像がクライアントPCに存在しない場合、クライアントPC100は、表示対象外のチャート画像を破棄し、ウェブサーバ100から表示対象のチャート画像とそのチャート画像の属性情報とを取得し、メモリに保持する(S363)。この処理を実行するクライアントPC100のCPUが本発明の一時的にクライアント装置内に記憶する手段に相当する。表示対象外のチャート画像は、例えば、現在の表示区間から最も遠い区間に存在するチャート画像を破棄すればよい。その場合に、記憶するチャート画像の容量の上限を定めておき、記憶されたチャート画像の容量が、その上限を越えた場合に、上記チャート画像を廃棄するようにすればよい。また、例えば、チャート画像の記憶領域をリングバッファとして構成し、順次上書するようにしてもよい。
【0172】
また、表示区間に相当するチャート画像がクライアントPC100に存在する場合、クライアントPC100は、チャート画像の表示範囲を変更する(S364)。
【0173】
次に、クライアントPC100は、チャート画像を原本表示部W22に表示する(S365)。この処理を実行するクライアントPC100のCPUが、本発明のクライアント装置の画面上に表示する手段に相当する。その後、クライアントPC100は、処理を終了し、図30のイベント待ちに戻る。
【0174】
なお、以上は、チャート画像の表示について、クライアントPC100のメモリに保持しておき、ウェブサーバ101および管理サーバ1にアクセスすることなく、チャート画像を表示する処理を示した。しかし、アウトライン表示W23の波形の概要の表示、およ
び記録期間表示部33の記録期間の表示についても、一旦ウェブサーバ101から取得したデータをクライアントPC100のメモリに保持することによって、同様に、応答性のよい表示を実現できる。
【0175】
図34は、波形値表示処理(図22の画面参照)を例示する図である。この処理では、クライアントPC100は、ユーザのポインティングデバイスによるチャート画像上への操作を受け付ける。そして、ポインティングデバイスのカーソル位置の時刻を算出する(S371)。S371の処理を実行するクライアントPC100のCPUが、本発明の位置の指定を受け付ける手段に相当する。
【0176】
次に、ポインティングデバイスのカーソル位置で波形値方向(Y軸方向)に画素をサーチする。そして、それらの色がペンのいずれかに一致する個所があるか否かを判定することにより、カーソル位置で波形値方向の各画素をそれぞれのペンの色に分解する(S372)。S372の処理を実行するクライアントPC100のCPUが、本発明の画像の部分を抽出する手段に相当する。
【0177】
そして、クライアントPC100は、ペンの色ごとに、波形の有無を判定する。そして、波形の中心の画素を算出し、波形値を決定する(S373)。例えば、波形値方向で、赤に対応するビットが00・・・01110・・・0のように検出されたときには、ビット111に相当する個所の中心位置から波形値を算出すればよい。S373の処理を実行するクライアントPC100のCPUが、本発明の物理量の値を決定する手段に相当する。
【0178】
波形値は、例えば、図22の基点(1)を基準にした相対画素数で、以下のように、求めることができる。
(数1)
画素当たりのデータ値=(基点(2)の値−基点(1)の値)/(基点位置(2)のY方向画素位置−基点位置(1)のY方向画素位置);
(数2)
波形の中心位置の画素位置=S373で求めた画素の位置−基点位置(1)のY方向画素位置;
(数3)
波形値=画素当たりのデータ値×波形の中心位置の画素位置;
そして、クライアントPC100は、算出した時刻、波形値、および波形属性を波形の近傍に表示する(S374)。S374の処理を実行するクライアントPC100のCPUが、本発明の物理量の値を表示する手段に相当する。
【0179】
<効果>
以上述べたように、本実施形態の情報システムは、記録紙等の紙媒体のデータをスキャナで読み取り、チャート画像を形成する。各チャート画像のファイル名は、図12の記録ファイルテーブルにより、記録機ID、記録紙IDと関連づけされるとともに、記録期間、画像の寸法が記録されている。さらに、図9の記録機テーブルは、それぞれの記録機のIDとともに、記録されたチャート画像の名称、設置場所等の関連する情報が格納される。
【0180】
したがって、ユーザがクライアントPC100において、プラント設備等に含まれる記録機、設置場所等に関する情報、担当者、あるいは、記録期間を基に、チャート画像を検索する処理を依頼してくると、ウェブサーバ100は、管理サーバ1に指示し、該当するチャート画像を検索させ、クライアントPC100に提供できる。
【0181】
この場合にチャート画像は、記録紙の原本とは分離して、データベースサーバ103に保存されているので、原本の紛失、汚損、滅失のおそれがなく、かつ、複数のユーザが同時並行して、チャート画像にアクセスできる。
【0182】
さらに、本情報システムは、クライアントPC100で、ユーザ操作を検知し、チャート画像の頭出し処理、手動スクロール、自動スクロール、チャート画像の拡大処理、チャート画像縮小処理、縦全体表示処理、アウトライン上のスクロール、アウトライン上の位置の指定による原本表示変更、タイムスライダの移動等の各種時刻指定の検索処理を実行する。この処理では、一旦対象とする記録機に関するチャート画像が特定されると、アウトラインおよびタイムスライダによって、波形の概要と、設備の稼働期間を把握した上で、所望の原本を探索できる。すなわち、ユーザは、チャート全体の傾向と、プラントの稼働期間を参照しつつ、アウトラインデータをスクロール、クリックし、タイムスライダを移動することで、所望の時刻のチャート画像を表示できる。
【0183】
その場合に、まず、クライアントPC100は、表示対象のチャート画像がクライアントPC100に存在するか否かを判定し、存在しない場合に、ウェブサーバ100にアクセスし、チャート画像を取得する。したがって、極めて操作よく、チャート画像の時刻を指定した検索処理が実現される。
【0184】
また、本情報システムは、原本のチャート画像、アウトラインデータとともに、設備の稼働期間に相当する記録期間を表示するので、設備の運用状況を確認して、本来必要な時期のチャート画像を素早く見いだすことができる。
【0185】
さらに、クライアントPC100は、ユーザ操作を受け付けて、チャート画像のペンの色に相当するチャートの波形値を表示するので、ユーザはその視線が座標軸に拘束されるという負担が少なくなり、極めて簡易に、記録された値を認識できる。
【0186】
また、ユーザがカーソルを移動した位置の時刻に該当する時刻、およびそのデータの属性が表示されるので、ユーザは、簡易にデータの値、属性を認識できる。また、複数のチャート画像を上下に並べて表示し、同期してスクロールできる。したがって、関連する複数の記録機のデータを比較、対照して表示できる。
【0187】
さらに、本実施形態の情報システムによれば、管理サーバ1、データベースサーバ103等にて、負荷が重くなりすぎないように、画像データが複数のファイルに分割されて記録される。そして、ユーザが、必要とするチャート画像の検索条件(機器の種類、記録機の種類、データの名称、記録期間等)を入力すると、その検索条件に合致するチャート画像が表示される。情報システムの応答性を向上させ、かつ、ユーザ操作を極めて簡易にすることができる。
【0188】
<変形例1>
図35は、波形値表示処理(図22の画面参照)の変形例を例示する図である。上記図34では、波形値表示処理は、画像を記録機のペンの色に分解し、それぞれのペンの色に対応する波形の中心位置の値を求めることで実行された。ただし、波形値表示処理は、図34の処理に限定されるものではなく、以下のような処理を実行してもよい。ここでは、R値G値B値を用いたい処理例を説明するが、H値S値V値でも同様に実現できる。すなわち、R値G値B値から、H値S値V値に変換して、下記処理を実行してもよい。
【0189】
この処理は、クライアントPC100は、カーソルの位置から、原本表示部W22の時刻メモリの時刻を算出する(S381)。時刻は、各チャート画像の原点(図12の「開始」参照)からカーソル位置までの画素数と、チャート画像のX方向の寸法と、チャート
画像の記録期間(図12参照)によって算出すればよい。次に、クライアントPC100は、マウスカーソル等のカーソル位置の波形値決定処理を実行する(S382)。
【0190】
さらに、クライアントPC100は、ウェブサーバ100を通じて、管理サーバ1が管理する波形属性を読み出す(S383)。そして、クライアントPC100は、算出した時刻、波形値、および波形属性を表示する(S384)。
【0191】
図36に、波形値決定処理(図37のS382)の詳細を示す。この処理では、クライアントPC100は、カーソルで指定されて時刻において、チャート画像をY軸方向に走査する。そして、クライアントPC100は、まず、記録紙の平均のR値、G値、B値を算出する(S3821)。ただし、記録紙の平均のR値、G値、B値は、事前に記録紙ごとに測定し、クライアントPC100のメモリおよびハードディスクに格納しておいてもよい。
【0192】
次に、クライアントPC100は、指定時刻でのチャート画像(記録紙から読み取られたデータ)の各画素において、平均のR値、G値、B値から差分値ΔR値、ΔG値、ΔB値を算出する(S3822)。
【0193】
次に、クライアントPC100は、上記指定時刻での各画素での差分値ΔR値、ΔG値、ΔB値を平滑化する(S3823)。平滑化は、例えば、注目画素とY軸方向のその前後の画素との平均値を算出すればよい。平均値を算出する前後の画素の範囲は、例えば、クライアントPC100のシステムパラメータとして設定可能にしておいてもよい。
【0194】
次に、平滑化された差分値ΔR値、ΔG値、ΔB値が所定値以下の画素をクリアする(S3824)。これは、差分値ΔR値、ΔG値、ΔB値が平均値とほとんど変わりがない箇所については、グラフが記録されていないと考えてよいからである。
【0195】
次に、残った差分値ΔR値、ΔG値、ΔB値のそれぞれについて、ピーク位置を決定する(S3825)。ピーク位置は、例えば、差分値ΔR値、ΔG値、ΔB値のそれぞれについて、値がクリアされていない部分の中心位置をそれぞれ求めればよい。また、単純に、平滑化された差分値ΔR値、ΔG値、ΔB値のピーク値をそれぞれ求めてもよい。
【0196】
そして、ピーク位置のY方向の画素数と、画素当たりの波形値から、ピーク位置の波形値を算出すればよい。画素当たりの波形値は、図9のサイズと、図7の記録レンジから、算出できる。すなわち、画素当たりの波形値=記録レンジの幅(上限−下限)/サイズY;である。
【0197】
<変形例2>
上記実施形態では、ウェブサーバ101、管理サーバ1、データベースサーバ103、およびデータ構築システムのパーソナルコンピュータをそれぞれ異なるコンピュータで示したが、以上のいずれか2以上が単一のコンピュータで構成されていてもよい。例えば、ウェブサーバ101と管理サーバ1とが一体のコンピュータでもよい。また、ウェブサーバ101、管理サーバ1、データベースサーバ103、およびデータ構築システムのパーソナルコンピュータが一体のコンピュータでもよい。
【0198】
<変形例3>
上記実施形態では、図6に示す時刻基点情報の入力を受け付け、記録速度から画素あたりの時間を算出した。そして、日付および時刻から後方(スキャナの走査方向)の画素に時刻を割り当てた。このような処理に代えて、例えば、図4のT0に相当する記録紙の記録開始時刻と、TEに相当する記録紙の記録開始時刻を受け付け、記録紙当たりの記録期
間を設定してもよい。また、その記録期間を画素数で除算して、画素あたりの時間を算出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報システムのシステム構成図である。
【図2】上記情報システムの機能構成図である。
【図3】管理サーバのハードウェア構成図である。
【図4】チャート画像作成の処理概要を示す図である。
【図5】時間軸上の基準点を設定する設定画面の例である。
【図6】時間軸上の基準点を設定するときの時刻の入力画面の例である。
【図7】チャート画像の波形値を特定するための値基点情報の入力画面の例である。
【図8】ベクタアウトラインの作成例を示す例である。
【図9】記録機管理テーブルのデータ例である。
【図10】記録ペンテーブルのデータ例である。
【図11A】記録紙テーブルのデータ例である。
【図11B】記録紙テーブルのデータの変形例である。
【図12】記録ファイルテーブルのデータ例である。
【図13】チャート検索画面に対する操作例を示す図である。
【図14】チャート画像を表示する画面の例を示す図である。
【図15】時刻ベース表示機能を説明する図である
【図16】時刻ベース表示機能において波形値が記録されていない区間を例示する図である。
【図17】原本ベースでの表示機能を説明する図である。
【図18】画像頭出し機能を説明する図である。
【図19】手動スクロール機能を説明する図である。
【図20】原本表示部でその他の操作を実行するボタンの例を示す
【図21】チャート画像を拡大したときの表示例を示す
【図22】波形属性情報を表示する例を示す図である。
【図23】複数チャート表示機能の例を示す図である。
【図24】画素当たりの記録時間が異なる複数のチャート画像を同時スクロールする概要を示す。
【図25】アウトライン表示部のツールバーのボタンを例示する図である。
【図26】画像データ蓄積処理を例示する図である。
【図27】アウトラインデータの作成処理を示す図である。
【図28】ベクタアウトラインの作成処理を示す図である。
【図29】チャート画像のクライアントPCへの提供処理を例示する図である。
【図30】クライアントPCでの処理を例示する図である。
【図31】複数チャート同時スクロール処理を例示する図である。
【図32】次のチャート画像の同期表示処理を例示する図である。
【図33】時刻を指定した検索処理を例示する図である。
【図34】波形値表示処理を例示する図である。
【図35】波形値表示処理の変形例を例示する図である。
【図36】波形値決定処理の詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0200】
11 CPU
12 メモリ
13,15,17,19,20 インターフェース
14 HDD
16 表示装置
18 操作装置
20 通信インターフェース
22 着脱可能記録媒体駆動装置
99 ネットワーク
100 クライアントPC
101 ウェブサーバ
103 データベースサーバ
104 ストレージ
W2 チャート画像ウィンドウ
W21 履歴表示部
W22 原本表示部
W23 アウトライン表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙媒体を電子化するデータ構築装置と、
構築された電子化データを格納するデータ格納装置と、
電子化データを管理する管理サーバと、
ネットワークを介して管理サーバおよびデータ格納装置へのアクセスを可能にする通信サーバと、
ネットワークを介して通信サーバに接続される1以上のクライアント装置と、を備えたデータ管理システムのうち、
前記データ構築装置は、物理量の時間変化が記録された紙媒体から画像データを取得し、前記物理量の時間変化の画像が組み込まれたオリジナルチャートを生成するオリジナルチャート生成手段を備え、
前記管理サーバは、
オリジナルチャートの画素数を時間軸方向に削減してアウトラインを生成するアウトライン生成手段と、
前記オリジナルチャートと前記アウトラインとを関連付けて前記データ格納装置に格納する手段と、
当該物理量についての記録が存在する時間軸上の区間を示すタイムラインを生成するタイムライン生成手段と、
前記通信サーバを通じてクライアント装置から前記物理量に関連する文字列を含む属性情報の指定を受け付けて対応する物理量を検索しクライアント装置の画面上にリストを表示するデータ検索手段と、を備え、
前記クライアント装置は、前記リストにおける物理量の指定を受け付け、前記通信サーバを通じて前記管理サーバに引き渡し、引き渡された物理量に対応するオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを受信し、画面上に表示する画像表示手段を備えたデータ管理システムであって、
前記オリジナルチャート生成手段は、
観測期間の基点に関する情報を受け付けオリジナルチャートに時刻情報を付加する手段と、
観測値の基点に関する情報を受け付けオリジナルチャートに波形値を付加する手段と、
前記物理量の属性情報を前記オリジナルチャートに関連付けて記憶する手段と、を備え、
前記タイムライン生成手段は、
物理量の識別番号、記録紙の識別番号、および記録期間の入力を受け付ける手段と、
前期物理量の識別番号についてデータ格納手段が記録している記録紙に対応する記録期間を検索して、当該物理量の記録の開始から最新の記録に至るまでの期間における、記録が存在する記録実施時期と、記録が存在しない記録未実施時期とを識別するようにタイムラインを生成する手段と、を備える
データ管理システム。
【請求項2】
前記画像表示手段は、
第1の物理量に対する第1のオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを表示する手段と、
第2の物理量の指定を受け付ける手段と、
第2の物理量に対応する第2のオリジナルチャートを、第1のオリジナルチャートと時間軸を並列にして表示する手段と、を備える
請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
前記画像表示手段は、
一の物理量を表示する第1の基準時点および第2の基準時点の指定を受ける手段と、
前記第1の基準時点を時間軸の基準点にして前記一の物理量に対応する第1のオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを表示する手段と、
前記第2の基準時点を時間軸の基準点にして前記一の物理量に対応する第2のオリジナルチャートを、前記第1のオリジナルチャートと時間軸を並列にして表示する手段と、を備える
請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記画像表示手段は、
前記第1のオリジナルチャートにおける時間軸方向の単位画素あたりの時間幅と、前記第2のオリジナルチャートにおける時間軸方向の単位画素あたりの時間幅とが一致しない場合に、第1のオリジナルチャートの時間軸方向の画素の位置と、前記第2のオリジナルチャートの時間軸方向の画素の位置とを、表示される時間軸の範囲にて整合させる手段を備える
請求項2または3に記載のデータ管理システム。
【請求項5】
前記画像表示手段は、
前記第1のオリジナルチャートと、前記第2のオリジナルチャートとを時間軸方向に同期させて移動表示する手段を備える請求項2から4のいずれかに記載のデータ管理システム。
【請求項6】
前記画像表示手段は、
オリジナルチャートとともに、オリジナルチャート中に当該物理量を記録したときの時間軸を表示する手段と、
前記オリジナルチャートを拡大または縮小する操作を検出する手段と、
前記オリジナルチャートを拡大する操作にしたがって画像を表示したときに、前記時間軸が前記オリジナルチャートと同一の画面領域に表示できるか否かを判定する手段と、
前記時間軸が前記オリジナルチャートと同一の画面領域に表示できないときに、前記画面領域を、拡大されたオリジナルチャートを表示する領域と時間軸を表示する領域とに分割して表示する手段とを備える
請求項1から5のいずれかに記載のデータ管理方法。
【請求項7】
前記画像表示手段は、
前記オリジナルチャート上の位置の指定を受け付ける手段と、
指定を受けた位置に対応する時間軸上の点における前記物理量を示す画像の部分を抽出する手段と、
前記画像の部分から前記時間軸上の点における物理量の値を決定する手段と、
前記オリジナルチャートの近傍に物理量の値を表示する手段と、を備える
請求項1から6のいずれかに記載のデータ管理システム。
【請求項8】
前記アウトライン生成手段は、
前記オリジナルチャート中の画素を所定の対象色の画素と対象色以外の色の画素とに分類し、前記対象色の画素で構成される単色画像を抽出する手段と、
前記記録の時間軸の方向にて前記抽出された単色画像の画素数を削減してアウトラインを生成する手段と、を備える
請求項1から7のいずれかに記載のデータ管理方法。
【請求項9】
前記画像表示手段は、
前記オリジナルチャートに表示されている物理量の時間変化の記録の該当位置を前記アウトライン中の時間軸の部分区間、および前記タイムライン中の部分区間の少なくとも
一方によって表示する手段を備える
請求項1から8のいずれかに記載のデータ管理システム。
【請求項10】
前記画像表示手段は、
前記アウトラインまたは前記タイムラインの表示に対する入力操作を受け付ける手段と、
前記入力操作を基に、表示すべき時間軸上の位置を決定する手段と、
前記決定された時間軸上の位置に該当するアウトラインを表示する手段と、
前記決定された時間軸上の位置に該当するオリジナルチャートを表示する手段と、を備える、請求項1から9のいずれかに記載の画像検索方法。
【請求項11】
前記オリジナルチャート生成手段は、
前記紙媒体から取得した画像データのデータ量が所定の基準値より大きい場合に、当該画像データを時間軸上の位置で複数に分割する手段と、
前記分割されたそれぞれの画像データの接続関係を定義する情報によって分割された画像を組み合わせたオリジナルチャートを生成する手段と、を備える
請求項1から10のいずれかに記載のデータ管理システム。
【請求項12】
前記オリジナルチャート生成手段は、
観測期間の基点に関する情報として、オリジナルチャート中の任意の基点の時刻と記録時における紙媒体の搬送速度とを受け付ける手段と、
前記受け付けた基準時点と搬送速度からオリジナルチャート上の単位長さあたりの時間を定める手段と、
観測値の基点に関する情報として、オリジナルチャート中の任意の2つの基点における値を受け付ける手段と、
前記受け付けた2つの基点の値から、オリジナルチャート中の単位長さあたりの値を定める手段と、を備える
データ管理システム。
【請求項13】
前記画像表示手段は、
クライアント装置から指定されるオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインのコピーがクライアント装置内に記憶されているか否かを検索する手段と、
前記コピーがクライアント装置内に記憶されている場合にはそのコピーをクライアント装置の画面上に表示する手段と、
前記コピーがクライアント装置内に記憶されていない場合には、データ格納手段からオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを呼び出してクライアント装置の画面上に表示し、当該オリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを一時的にクライアント装置内に記憶する手段と、を備える
データ管理システム。
【請求項14】
紙媒体を電子化するデータ構築装置と、
構築された電子化データを格納するデータ格納装置と、
電子化データを管理する管理サーバと、
ネットワークを介して管理サーバおよびデータ格納手段へのアクセスを可能にする通信サーバと、
ネットワークを介して通信サーバに接続される1以上のクライアント装置と、を備えたデータ管理システムが実行するデータ管理方法であり、
前記データ構築装置は、物理量の時間変化が記録された紙媒体から画像データを取得し、前記物理量の時間変化の画像が組み込まれたオリジナルチャートを生成するオリジナルチャート生成ステップを実行し、
前記管理サーバは、
オリジナルチャートの画素数を時間軸方向に削減してアウトラインを生成するアウトライン生成ステップと、
前記オリジナルチャートと前記アウトラインとを関連付けて前記データ格納装置に格納するステップと、
当該物理量についての記録が存在する時間軸上の区間を示すタイムラインを生成するタイムライン生成ステップと、
前記通信サーバを通じてクライアント装置から前記物理量に関連する文字列を含む属性情報の指定を受け付けて対応する物理量を検索しクライアント装置の画面上にリストを表示するデータ検索ステップと、を実行し、
クライアント装置は、前記リストにおける物理量の指定を受け付け、前記通信サーバを通じて前記管理サーバに引き渡し、引き渡された物理量に対応するオリジナルチャート、アウトラインおよびタイムラインを受信し、画面上に表示する画像表示ステップを実行し、
前記オリジナルチャート生成ステップは、
観測期間の基点に関する情報を受け付けオリジナルチャートに時刻情報を付加するステップと、
観測値の基点に関する情報を受け付けオリジナルチャートに波形値を付加するステップと、
前記物理量の属性情報を前記オリジナルチャートに関連付けて記憶するステップと、を有し、
前記タイムライン生成ステップは、
物理量の識別番号、記録紙の識別番号、および記録期間の入力を受け付けるステップと、
前期物理量の識別番号についてデータ格納手段が記録している記録紙に対応する記録期間を検索して、当該物理量の記録の開始から最新の記録に至るまでの期間における、記録が存在する記録実施時期と、記録が存在しない記録未実施時期とを識別するようにタイムラインを生成するステップと、を有する
データ管理方法。
【請求項15】
紙媒体を電子化するデータ構築装置と、
構築された電子化データを格納するデータ格納装置と、
電子化データを管理する管理サーバと、
ネットワークを介して管理サーバおよびデータ格納手段へのアクセスを可能にする通信サーバと、
ネットワークを介して通信サーバに接続される1以上のクライアント装置と、を備えたデータ管理システムのうち、前記管理サーバとしてコンピュータを機能させるプログラムであり、
前記データ構築装置は、物理量の時間変化が記録された紙媒体から画像データを取得し、前記物理量の時間変化の画像が組み込まれたオリジナルチャートを生成するオリジナルチャート生成手段を備え、
前記コンピュータを
オリジナルチャートの画素数を時間軸方向に削減してアウトラインを生成するアウトライン生成手段、
前記オリジナルチャートと前記アウトラインとを関連付けて前記データ格納装置に格納する手段、
当該物理量についての記録が存在する時間軸上の区間を示すタイムラインを生成するタイムライン生成手段、
前記通信サーバを通じてクライアント装置から前記物理量に関連する文字列を含む属性情報の指定を受け付けて対応する物理量を検索しクライアント装置の画面上にリストを
表示するデータ検索手段、として機能させる
データ管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2009−238136(P2009−238136A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86389(P2008−86389)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】