説明

データ管理システム、データ管理方法、リーダおよびRFIDタグ

【課題】システムの構築が容易であり、セキュリティを向上することができるデータ管理システムを提供する。
【解決手段】データ管理システムにおいては、タイマ29により時間を計測し、所定の時間が経過したか否かを判断する(S12)。所定の時間が経過すれば(S12において、YES)、アンテナ26を介して、リーダライタ12からのデータ保持信号を受信したか否かを判断する(S13)。データ保持信号を受信しないと判断した場合(S15において、YES)には、RFIDタグ21に内蔵された電池23のエネルギーを用いて、メモリ22に格納されたデータを消去する(S17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ管理システムおよびデータ管理方法に関するものであり、特に、RFIDタグおよびRFIDタグと交信可能なリーダを用いたデータ管理システムおよびデータ管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID(Radio Frequency Identification)タグやICタグ、ICカード等を用いたデータ管理システムにおいては、例えば、RFIDタグと交信可能なリーダライタを用いて、RFIDタグに含まれるメモリにデータを格納したり、格納されたデータを読取ることとしている。RFIDタグ等は、持ち運び可能であるため、遠隔地におけるデータの活用等において、このようなシステムは有効である。
【0003】
一方、データの改竄やデータの漏洩等、ICカードの不正利用やセキュリティの向上の観点から、このような持ち運び可能なICカード等の管理は慎重を期することが望ましい。ここで、不正使用の禁止促進等の観点から、子機となるICカードに警報機能を設けたICカード旅客輸送券警報システムに関する技術が、特開2002−175355号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1によると、ICカードの遠距離タイプ無線タグは、乗車駅等に設置された発信装置からの情報を受信し、ICカード利用者が現在どこにいるかを判断して、「乗り越し警報」、「不正乗車事前警報」を行なうこととしている。また、ICカードの近距離タイプ無線タグは、ICカードと対になった個人携帯型発信装置からの情報を受信し、ICカードが利用者から一定距離離れたことを判断して、「紛失盗難警報」を行なうこととしている。
【0004】
また、リライタブルラベルまたはICチップ入りラベルを用いた虚偽表示防止方法に関する技術が、特開2004−94510号公報(特許文献2)に開示されている。特許文献2によると、ラベルの読込み、消去、書込みが可能なラベル書込み装置を用い、出荷帳票の作成と同時にリライタブルラベルに書込まれた仕入帳票の消去を行なうこととしている。こうすることにより、データの二重使用等の使いまわし、すなわち、データの不正使用を防止することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−175355号公報
【特許文献2】特開2004−94510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によると、親機である発信装置等からの受信信号が所定時間受信されない場合には、上記した警報を発することとしている。しかし、警報を発する状況下においても、データは依然としてICカードに格納されたままである。したがって、データが悪用されてしまうおそれがある。
【0007】
また、特許文献2によると、出荷帳票データの作成と同時に子機となるリライタブルラベルに書込まれた仕入帳票データを消去することとしている。このような構成においては、データを消去するタイミングやデータの消去命令の発信等が親機となるラベル書込み装置に依存するものとなり、システムが複雑化するおそれがある。また、親機からの電波を受信できないような状況下においては、親機から送信される電波のエネルギーを用いてのデータの消去を行なうことができず、セキュリティの観点からも問題がある。
【0008】
この発明の目的は、システムの構築が容易であり、セキュリティを向上することができるデータ管理システムを提供することである。
【0009】
この発明の他の目的は、構成が容易であり、セキュリティを向上することができるデータ管理方法を提供することである。
【0010】
この発明のさらに他の目的は、セキュリティを向上することができるリーダを提供することである。
【0011】
この発明のさらに他の目的は、セキュリティを向上することができるRFIDタグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るデータ管理システムは、RFIDタグと交信可能なリーダを備える。リーダは、RFIDタグに格納されたデータを保持させるデータ保持信号をRFIDタグに送信する送信手段を含む。RFIDタグは、データを格納する格納手段と、所定の電力を保持する電力保持手段と、送信手段により送信されたデータ保持信号を受信する受信手段と、受信手段によりデータ保持信号が受信されているか否かを判断する判断手段と、電力保持手段により保持した所定の電力のエネルギーを用いて、格納手段に格納されたデータを消去するデータ消去手段と、判断手段によりデータ保持信号を受信していないと判断すれば、データ消去手段を作動させるよう制御する制御手段とを含む。
【0013】
好ましくは、データ消去手段は、格納手段に格納されたデータの一部を書き換える。
【0014】
さらに好ましくは、判断手段によりデータ保持信号を受信していないと判断した後、データ消去手段が作動する前に、データ消去手段の作動前であることを報知する第一報知手段を含む。
【0015】
さらに好ましくは、データ消去手段が作動したことを報知する第二報知手段を含む。
【0016】
さらに好ましくは、RFIDタグは、光を点灯させる光源部を含み、第一および第二報知手段のうち、少なくともいずれか一方は、光源部を作動させる。
【0017】
また、RFIDタグは、音声を出力する音声出力部を含み、第一および第二報知手段のうち、少なくともいずれか一方は、音声出力部を作動させるよう構成してもよい。
【0018】
さらに好ましくは、判断手段は、受信手段によってデータ保持信号を所定時間受信しなければ、受信手段による信号の受信感度を高くする。
【0019】
さらに好ましくは、電力保持手段は、RFIDタグに取り付けられた電池を含む。
【0020】
さらに好ましい一実施形態として、電池は、RFIDタグに着脱可能である。
【0021】
さらに好ましい一実施形態として、RFIDタグは、セミパッシブタグである。
【0022】
この発明の他の局面において、データ管理方法は、RFIDタグに含まれる格納手段に格納されたデータを管理するデータ管理方法であって、RFIDタグに対し、格納手段に格納されたデータを保持させるデータ保持信号を送信する送信ステップと、送信されたデータ保持信号を、RFIDタグに含まれる受信手段によって受信する受信ステップと、受信手段によってデータ保持信号を受信されているか否かを、RFIDタグに含まれる判断手段により判断する判断ステップと、判断ステップによりデータ保持信号を受信していないと判断すれば、RFIDタグに含まれる電力保持手段により保持した所定の電力のエネルギーを用いて、格納手段に格納されたデータを消去するデータ消去ステップとを含む。
【0023】
この発明のさらに他の局面においては、リーダは、データを格納する格納手段を含むRFIDタグと交信可能なリーダであって、格納手段に格納されたデータを保持させるデータ保持信号をRFIDタグに送信する送信手段を含む。
【0024】
この発明のさらに他の局面においては、RFIDタグは、データを格納する格納手段を含むRFIDタグであって、所定の電力を保持する電力保持手段と、リーダにより送信された信号であって、格納手段に格納されたデータを保持させるデータ保持信号を受信する受信手段と、受信手段によりデータ保持信号が受信されているか否かを判断する判断手段と、電力保持手段により保持した所定の電力のエネルギーを用いて、格納手段に格納されたデータを消去するデータ消去手段と、判断手段によりデータ保持信号を受信していないと判断すれば、データ消去手段を作動させるよう制御する制御手段とを含む。
【発明の効果】
【0025】
このような構成のデータ管理システムおよびデータ管理方法によると、リーダからのデータ保持信号を受信しないとRFIDタグが判断すれば、RFIDタグに含まれる電力保持手段に保持された所定の電力のエネルギーを用いて、RFIDタグに含まれる格納手段に格納されたデータを消去する。そうすると、例えば、RFIDタグが盗難にあい、リーダから送信されるデータ保持信号を受信できない範囲に持ち去られた場合においても、格納手段に格納されたデータの漏洩等、データの悪用を防止することができる。この場合、RFIDタグに含まれる電力保持手段に保持された所定の電力のエネルギーを用いてデータを消去しているため、リーダや他装置の負荷を少なくすることができると共に、確実にデータを消去することができる。したがって、このようなデータ管理システムは、システムの構築が容易であり、セキュリティを向上することができる。
【0026】
また、このようなリーダおよびRFIDタグによると、セキュリティを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態に係るデータ管理システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るデータ管理システムにおいて、データを管理する場合における処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】RFIDタグがリーダライタの検知範囲外にある場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、この発明の一実施形態に係るデータ管理システムの構成について説明する。図1は、この発明の一実施形態に係るデータ管理システムの構成を示す図である。なお、図1中、太線は信号ラインを示し、二重線は電源ラインを示す。
【0029】
図1を参照して、この発明の一実施形態に係るデータ管理システム11は、後述するRFIDタグ21と交信可能なリーダライタ12を備える。リーダライタ12により、RFIDタグ21に対してのデータの書込み、すなわち、データの格納、およびデータの読取りが行なわれる。
【0030】
リーダライタ12は、ディスプレイ14を備えるコンピュータ13に接続されており、コンピュータ13によって制御されている。リーダライタ12は、RFIDタグ21に対して、信号を送信すると共に、RFIDタグ21から反射された信号を受信する。リーダライタ12は、リーダライタ12の検知範囲15、すなわち、リーダライタ12から発する電波の届く範囲内に配置されるRFIDタグ21に対し、データの読書きが可能である。なお、図1および後述する図3において、リーダライタ12の検知範囲15を一点鎖線で示している。
【0031】
RFIDタグ21は、データを格納する格納手段としてのメモリ22と、RFIDタグ21自身に内蔵されるようにして取り付けられ、所定の電力を保持する電力保持手段としての電池23と、リーダライタ12から送信される信号を受信すると共に信号を反射するアンテナ26と、信号に含まれるコマンドを制御するRF回路25と、RFIDタグ21全体を制御する制御回路24とを含む。また、RFIDタグ21は、RFIDタグ21の一部において光を点灯させる光源部としてのLED(Light Emitting Diode)27と、ブザー音等の音声を発する音声出力部28と、時間の計測が可能なタイマ29とを含む。
【0032】
メモリ22には、種々のデータが格納される。メモリ22に格納されたデータについては、制御回路24によるデータの消去命令によってデータが消去される。
【0033】
RFIDタグ21は、リーダライタ12から送信される信号を受信した際に生み出されるエネルギー、および電池23のエネルギーで動作するセミパッシブタグである。メモリ22に格納されたデータについては、リーダライタ12から送信される信号を受信した際に生み出されるエネルギー、または電池23のエネルギーを用いて消去することができる。
【0034】
電池23は、RFIDタグ21に対して着脱可能である。すなわち、電池23をRFIDタグ21本体から取り外すことができる。
【0035】
次に、この発明に係るデータ管理システム11において、データを管理する方法について説明する。図2は、この場合における処理の流れを示すフローチャートである。図1および図2を参照して、まず、既にメモリ22にデータが格納されたRFIDタグ21を、所定の位置にセットする(図2において、ステップS11、以下、ステップを省略する)。ここで、所定の位置とは、リーダライタ12からの信号を受信できる検知範囲15内である。この場合、コンピュータ13の制御により、リーダライタ12からは、常時、または所定の時間間隔で、メモリ22に格納されたデータを保持させる信号、すなわち、メモリ22に格納されたデータの保持を指示するデータ保持信号が含まれた信号が送信されている。
【0036】
その後、RFIDタグ21に含まれるタイマ29により時間を計測し、所定の時間が経過したか否かを判断する(S12)。所定の時間については、例えば、数秒であってもよいし、数分であってもよい。
【0037】
所定の時間が経過すれば(S12において、YES)、アンテナ26を介して、リーダライタ12から送信されたデータ保持信号を受信したか否かを判断する(S13)。この場合、制御回路24は、判断手段として作動する。
【0038】
ここで、RFIDタグ21が、悪意の第三者等、正規のユーザではない何者かに持ち去られた場合について考える。RFIDタグ21が何者かに持ち去られた場合には、図3に示すように、RFIDタグ21は、リーダライタ12の検知範囲15外に配置されることになる。この場合、RFIDタグ21は、リーダライタ12から送信されるデータ保持信号を受信することができないことになる。
【0039】
制御回路24は、所定時間データ保持信号を受信しないと判断すれば(S13において、YES)、RFIDタグ21における信号の受信感度を向上させる(S14)。具体的には、RF回路25における利得を向上させるようにする。
【0040】
その後、再び、データ保持信号を受信したか否かを判断する(S15)。受信感度を向上させた後においてもデータ保持信号を受信しないと判断した場合(S15において、YES)、データ保持信号を受信していないと判断し、後述するデータの消去の前であることを、LED27による光の点滅や音声出力部28による音声の出力により報知する(S16)。ここで、制御回路24等は、第一報知手段として作動する。
【0041】
その後、所定時間の経過を待って、制御回路24によりメモリ22に格納されたデータを消去する(S17)。所定時間については、数秒や数分程度の時間が選択される。この場合、データの消去に際し、内蔵された電池23のエネルギーを用いる。ここで、制御回路24等は、データ消去手段として作動する。
【0042】
データを消去した後、LED27を点灯させると共に、音声出力部28によりブザー音等の音声を出力する。このようにして、RFIDタグ21に含まれるメモリ22に格納されたデータが消去されたことを報知する(S18)。ここで、制御回路24等は、第二報知手段として作動する。
【0043】
一方、図1に示す場合のように、RFIDタグ21がリーダライタ12の検知範囲15内にあれば、リーダライタ12から送信されるデータ保持信号を受信し(S13、S15において、NO)、受信信号を反射する(S19)。これにより、リーダライタ12、引いては、リーダライタ12を制御するコンピュータ13は、RFIDタグ21が検知範囲15内にあると認識する。そして、コンピュータ13に含まれるディスプレイ14において、RFIDタグ21の検知範囲15内にあることを表示し、報知する(S20)。すなわち、RFIDタグ21がリーダライタ12の検知範囲15内にあることを報知する。ここでの表示は、例えば、RFIDタグ21のIDナンバー等を表示する。
【0044】
このように、リーダライタ12からのデータ保持信号を受信しないとRFIDタグ21が判断すれば、RFIDタグ21に含まれる電池23のエネルギーを用いて、RFIDタグ21に含まれるメモリ22に格納されたデータを消去する。そうすると、上記したように、例えば、RFIDタグ21が盗難にあい、リーダライタ12から送信されるデータ保持信号を受信できない範囲、すなわち、リーダライタ12の検知範囲15外に持ち去られた場合においても、メモリ22に格納されたデータの漏洩等、データの悪用を防止することができる。この場合、RFIDタグ21に含まれる電池23のエネルギーを用いてデータを消去しているため、リーダライタ12や他装置の負荷を少なくすることができると共に、確実にデータを消去することができる。すなわち、リーダライタ12から送信されるデータ消去信号を受信しなくとも、データを消去することができる。したがって、このようなデータ管理システム11は、システムの構築が容易であり、セキュリティを向上することができる。
【0045】
また、このようなリーダライタ12およびRFIDタグ21によると、セキュリティを向上することができる。
【0046】
この場合、LED27の点灯および音声出力部28によるブザー音により、データが消去されたことを報知することができるため、再びRFIDタグ21が正規のユーザの手元に戻ってきた場合等において、視覚および聴覚により、メモリ22に格納されたデータが消去されていることを把握することができる。
【0047】
また、一旦、データ保持信号を受信しないと判断した場合においても、信号の受信感度を向上させた後、再びデータ保持信号を受信するか否かを判断しているため、より確実にRFIDタグ21が盗難にあったか否かを識別して、データの消去を行なうことができる。すなわち、RFIDタグ21は盗難にあっていないが、検知範囲15よりも少し離れた位置にある場合や、RFIDタグ21は検知範囲15内にあるが、リーダライタ12とRFIDタグ21との間に遮蔽物があり、リーダライタ12から発せられる電波がRFIDタグ21に届きにくい状況下にある場合においても、受信感度の向上により、データ保持信号を受信することができる。
【0048】
また、データ保持信号を受信したか否かにより判断することとしているため、より確実にRFIDタグ21が盗難にあったか否かを判断することができる。すなわち、リーダライタ12以外のリーダライタ、具体的には、コンピュータ13により制御されていないリーダライタ12からの信号を受信した場合においても、この場合、信号にデータ保持信号が含まれていない。したがって、この場合はRFIDタグ21が盗難にあったと判断し、データを消去することとしている。こうすることにより、より確実にRFIDタグ21が盗難にあったか否かに基づいて、データの消去を行なうことができる。
【0049】
ここで、この発明に係るデータ管理方法は、RFIDタグに含まれる格納手段に格納されたデータを管理するデータ管理方法であって、RFIDタグに対し、格納手段に格納されたデータを保持させるデータ保持信号を送信する送信ステップと、送信されたデータ保持信号を、RFIDタグに含まれる受信手段によって受信する受信ステップと、受信手段によってデータ保持信号を受信されているか否かを、RFIDタグに含まれる判断手段により判断する判断ステップと、判断ステップによりデータ保持信号を受信していないと判断すれば、RFIDタグに含まれる電力保持手段により保持した所定の電力のエネルギーを用いて、格納手段に格納されたデータを消去するデータ消去ステップとを含む。
【0050】
また、この発明に係るリーダは、データを格納する格納手段を含むRFIDタグと交信可能なリーダであって、格納手段に格納されたデータを保持させるデータ保持信号をRFIDタグに送信する送信手段を含む。
【0051】
また、この発明に係るRFIDタグは、データを格納する格納手段を含むRFIDタグであって、所定の電力を保持する電力保持手段と、リーダにより送信された信号であって、格納手段に格納されたデータを保持させるデータ保持信号を受信する受信手段と、受信手段によりデータ保持信号が受信されているか否かを判断する判断手段と、電力保持手段により保持した所定の電力のエネルギーを用いて、格納手段に格納されたデータを消去するデータ消去手段と、判断手段によりデータ保持信号を受信していないと判断すれば、データ消去手段を作動させるよう制御する制御手段とを含む。
【0052】
なお、上記した構成においては、RFIDタグ21に対して、電池23を着脱可能としている。したがって、正規のユーザの行為により、RFIDタグ21について、やむを得ずリーダライタ12の検知範囲15外に持ち出す場合や、コンピュータ13の停止等によりリーダライタ12からデータ保持信号を送信しない場合において、RFIDタグ21から電池23を取り外しておけば、正規のユーザの不本意な行為に基づくデータの消去を回避することができる。ここで、例えば、電池23を着脱不能な構成としても、RFIDタグ21にスイッチを設け、スイッチがオンの状態のときにのみ、電池23のエネルギーによるデータの消去を可能な構成としてもよい。こうすることにより、スイッチのオンまたはオフにより、正規のユーザの不注意によるデータの消去を回避することができる。
【0053】
なお、上記の実施の形態においては、データ保持信号を受信しないと判断すれば、メモリに格納されたデータを消去することとしたが、これに限らず、データ保持信号を受信しないと判断すれば、格納されたデータの一部を書き換えるよう制御してもよい。具体的には、例えば、パスワードエリアに格納されているパスワードデータを書き換えるようにする。こうすることによっても、メモリに格納されたデータそのものを外部からそのまま見ることができなくなるため、データの漏洩を防止することができる。この場合、データの書き換えに際し、LEDの点灯や音声出力部による音声の出力等を行ってもよい。
【0054】
また、上記の実施の形態においては、データの消去等に際して、LEDの点灯や音声の出力を行うこととしたが、データが保持されている場合にLEDの点灯等を行い、データが消去された後にLEDを点灯させないようにすることとしてもよい。また、例えば、受信感度を向上させる際に、LED等を点滅させ、信号の受信感度を向上させていることを報知するようにしてもよい。もちろん、光または音声のいずれか一方でのみ報知することとしてもよいし、データを消去する状況や信号の受信感度を向上させている状況等に応じて、光の明滅状態や発する光の色、そのパターン、音声の変更等を行なってもよい。
【0055】
なお、上記の実施の形態においては、所定の電力を保持する電力保持手段として、RFIDタグに取り付けられる電池を含むこととしたが、これに限らず、リーダライタ側から受信した電波のエネルギーを所定の時間保持する電力保持手段としてのコンデンサ等を用い、コンデンサに保持された電波のエネルギーを用いてデータを消去することにしてもよい。
【0056】
また、上記の実施の形態においては、検知範囲外にRFIDタグが配置されたときに、データ保持信号を受信しないとしてデータを消去することとしたが、これに限らず、検知範囲内にRFIDタグが存在していたとしても、データ保持信号を受信しなくなれば、データを消去するよう構成してもよい。すなわち、単純にリーダライタ側からのデータ保持信号を受信しなくなれば、データを消去する構成としてもよい。
【0057】
なお、上記の実施の形態においては、RFIDタグと交信可能なリーダライタを備えることとしたが、これに限らず、RFIDタグとの交信によりデータの読取りのみが可能なリーダを備えることとしてもよい。また、データを格納する格納手段をメモリとすることとしたが、これに限らず、ハードディスク等、データを格納する機能を有するものであればよい。また、RFIDタグは、セミパッシブタグであるとしたが、これに限らず、電力を保持する電力保持手段を含むものであればよい。
【0058】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明に係るデータ管理システムおよびデータ管理方法は、RFIDタグに重要なデータが格納される場合に、有効に利用される。
【符号の説明】
【0060】
11 データ管理システム、12 リーダライタ、13 コンピュータ、14 ディスプレイ、15 検知範囲、21 RFIDタグ、22 メモリ、23 電池、24 制御回路、25 RF回路、26 アンテナ、27 LED、28 音声出力部、29 タイマ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグと交信可能なリーダを備えるデータ管理システムであって、
前記リーダは、前記RFIDタグに格納されたデータを保持させるデータ保持信号を前記RFIDタグに送信する送信手段を含み、
前記RFIDタグは、データを格納する格納手段と、
所定の電力を保持する電力保持手段と、
前記送信手段により送信された前記データ保持信号を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記データ保持信号が受信されているか否かを判断する判断手段と、
前記電力保持手段により保持した所定の電力のエネルギーを用いて、前記格納手段に格納されたデータを消去するデータ消去手段と、
前記判断手段により前記データ保持信号を受信していないと判断すれば、前記データ消去手段を作動させるよう制御する制御手段とを含む、データ管理システム。
【請求項2】
前記データ消去手段は、前記格納手段に格納されたデータの一部を書き換える、請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
前記判断手段により前記データ保持信号を受信していないと判断した後、前記データ消去手段が作動する前に、前記データ消去手段の作動前であることを報知する第一報知手段を含む、請求項1または2に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記データ消去手段が作動したことを報知する第二報知手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のデータ管理システム。
【請求項5】
前記RFIDタグは、光を点灯させる光源部を含み、
前記第一および第二報知手段のうち、少なくともいずれか一方は、前記光源部を作動させる、請求項4に記載のデータ管理システム。
【請求項6】
前記RFIDタグは、音声を出力する音声出力部を含み、
前記第一および第二報知手段のうち、少なくともいずれか一方は、前記音声出力部を作動させる、請求項4または5に記載のデータ管理システム。
【請求項7】
前記判断手段は、前記受信手段によって前記データ保持信号を所定時間受信しなければ、前記受信手段による信号の受信感度を高くする、請求項1〜6のいずれかに記載のデータ管理システム。
【請求項8】
前記電力保持手段は、前記RFIDタグに取り付けられた電池を含む、請求項1〜7のいずれかに記載のデータ管理システム。
【請求項9】
前記電池は、前記RFIDタグに着脱可能である、請求項8に記載のデータ管理システム。
【請求項10】
前記RFIDタグは、セミパッシブタグである、請求項1〜9のいずれかに記載のデータ管理システム。
【請求項11】
RFIDタグに含まれる格納手段に格納されたデータを管理するデータ管理方法であって、
前記RFIDタグに対し、前記格納手段に格納されたデータを保持させるデータ保持信号を送信する送信ステップと、
送信された前記データ保持信号を、前記RFIDタグに含まれる受信手段によって受信する受信ステップと、
前記受信手段によって前記データ保持信号を受信されているか否かを、前記RFIDタグに含まれる判断手段により判断する判断ステップと、
前記判断ステップにより前記データ保持信号を受信していないと判断すれば、前記RFIDタグに含まれる電力保持手段により保持した所定の電力のエネルギーを用いて、前記格納手段に格納されたデータを消去するデータ消去ステップとを含む、データ管理方法。
【請求項12】
データを格納する格納手段を含むRFIDタグと交信可能なリーダであって、
前記格納手段に格納されたデータを保持させるデータ保持信号を前記RFIDタグに送信する送信手段を含む、リーダ。
【請求項13】
データを格納する格納手段を含むRFIDタグであって、
所定の電力を保持する電力保持手段と、
リーダにより送信された信号であって、前記格納手段に格納されたデータを保持させるデータ保持信号を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記データ保持信号が受信されているか否かを判断する判断手段と、
前記電力保持手段により保持した所定の電力のエネルギーを用いて、前記格納手段に格納されたデータを消去するデータ消去手段と、
前記判断手段により前記データ保持信号を受信していないと判断すれば、前記データ消去手段を作動させるよう制御する制御手段とを含む、RFIDタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−186387(P2010−186387A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31138(P2009−31138)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】