説明

データ記録方法、記録媒体、および再生装置

【課題】2つの誤り訂正符号と同期信号とを所定のインターリーブ規則で記録する従来のデータ記録方法では、両側が誤りの検出能力の低い第2の誤り訂正符号の構成シンボルに挟まれているものは、同期信号と第2の誤り訂正符号に挟まれたものに比較して、誤り検出性能の差に起因して信頼性が劣るという課題があり、全体の信頼性が最も信頼性の低いもので制限されるという課題があった。
【解決手段】ユーザデータを符号化した第1の訂正能力を有する第1の誤り訂正符号と、制御情報を符号化した第1の訂正能力よりも高い第2の訂正能力を有する第2の誤り訂正符号と、同期信号とを含み、第1の誤り訂正符号に対して、第2の誤り訂正符号と同期信号とが交互にインターリーブされているデータストリームを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVD等の記録媒体に、AVデータ、コンピュータ用データ等を記録する場合のデータ記録方法、そのデータが記録された記録媒体、およびその再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DVD等の記録媒体において、媒体の欠陥、ディスク面上に付着した埃や傷等に起因するエラーを訂正するために、Reed−Solomon符号等の誤り訂正符号が用いられていた。
【0003】
さらに近年、従来のDVDよりさらに、高密度化、大容量化を目指した次世代のデジタルビデオレコーディングの研究が進められている。このような研究において、記録媒体の高密度化に伴い、埃や傷に起因するバーストエラーの影響を少なくすることが求められている。
【0004】
このような要望に対し、例えば、非特許文献1には、バーストエラーに対する訂正能力を向上させるための誤り訂正方法として、2種類の誤り訂正符号をインターリーブして記録する方式が提案されている。
【0005】
また、2種類以上の誤り訂正符号をインターリーブして記録するデータ記録方法は、特許文献1に詳細に記載されている。
【0006】
図9は、前述した非特許文献1による従来の誤り訂正符号の概略的な構成図である。
【0007】
第1の誤り訂正符号901は、約64Kバイトのユーザーデータを列方向(縦方向)に304分割した216バイトの情報部、および情報部に付加された32バイトのパリティを含んでいる。第1の誤り訂正符号901は、GF(256)上のReed−Solomon符号を用いて符号化されており、構成シンボル(符号を構成する最小の要素)は、1シンボル=1バイトになっている。
【0008】
第1の誤り訂正符号の訂正能力は、以下のようにして求められる。
【0009】
符号間の最小距離をdとし、誤りの訂正可能個数をtとすると、一般に、d≧2×t+1の関係が成立する。各第1の誤り訂正符号には32バイトのパリティが付加されているので、2つの第1の誤り訂正符号間の最小距離は33になる。したがって、上記関係から、第1の誤り訂正符号は、符号長=248個(バイト)中の任意の16個(バイト)まで訂正できる訂正能力を有する。
【0010】
さらに、訂正処理を行う際に、誤り位置が既知の場合、既知の誤り位置情報を用いた消失訂正が可能である。ここで、消失訂正とは、ある符号の訂正動作を行うとき、誤っている構成シンボル(符号の最小単位)が予め分かっているときにはその構成シンボルが消失していると見なして、残りの構成シンボルから消失した構成シンボルを算出する訂正方法である。誤り位置が既知の場合に消失訂正を行うと、訂正能力を最大2倍まで高めることができる。
【0011】
このことは、以下の関係から説明することができる。
【0012】
符号の最小距離をdとし、訂正個数をtとし、消失訂正個数をeとすると、d≧2×t+e+1の関係が成立する。上記の第1の誤り訂正符号では、最小距離d=33であるから、すべての訂正を消失訂正で行った場合(t=0の場合)、最大32個の訂正能力(e=32)を有することになる。
【0013】
第2の誤り訂正符号902は、30バイト×24バイト=720バイトの制御データを列方向(縦方向)に24分割した30バイトの情報部、および情報部に付加された32バイトのパリティを含んでいる。第2の誤り訂正符号902は、GF(256)上のReed−Solomon符号を用いて符号化されており、構成シンボル(符号を構成する最小の要素)は、1シンボル=1バイトになっている。なお、720バイトの制御データは、最終的に光ディスクに記録する際のアドレス情報等を含んでいる。
【0014】
各第2の誤り訂正符号902には32バイトのパリティが付加されているので、2つの第2の誤り訂正符号間の最小距離は第1の誤り訂正符号の場合と同様に33になる。したがって、第2の誤り訂正符号は、符号長=62個(バイト)中の任意の16個(バイト)まで訂正できる訂正能力を有する。ここで、第2の誤り訂正符号902の訂正個数は第1の誤り訂正符号901の訂正個数と同じ(それぞれ16個)であるが、第2の誤り訂正符号の方が第1の誤り訂正符号よりも符号長が短いため、第2の誤り訂正符号の訂正能力は第1の誤り訂正符号の訂正能力よりも高い。
【0015】
以上のようにして、第1の誤り訂正符号901および第2の誤り訂正符号902が構成され、同期信号903とともにインターリーブしてデータストリームを生成し、それを記録媒体に記録している。
【0016】
図10は、図9に示した従来の第1の誤り訂正符号901および第2の誤り訂正符号902が、同期信号とともに所定のインターリーブ規則でインターリーブされたデータストリームのデータ構成を示す。
【0017】
図10において、901a〜901hは第1の誤り訂正符号、902a〜902fは第2の誤り訂正符号、903aおよび903bは同期信号である。各符号を構成する構成シンボルおよび同期信号は、312列×248行の行列状に配置され、行方向にインターリーブして記録される。各符号の符号化方向は列方向(縦方向)であり、記録方向は行方向(横方向)であり、これにより、バーストエラーに強い構成となっている。本従来例では、38+1+38+1+38+1+38=155バイトに1バイトの同期信号が付加されており、156バイトで1フレームが構成される、いわゆるフレーム構成となっている。同期信号は、フレーム内のデータのバイト同期、およびデータストリーム(データブロック)全体におけるフレーム位置を特定するために使用される。さらに同期信号は、再生時における最初の同期引き込みや、ビットスリップ等が発生した場合の補正処理に用いられる。これらを達成するために、同期信号には、データストリームを最終的に光ディスクに記録する際に実行される変調処理では発生し得ないパターンと、フレームの番号等で構成される所定のパターン信号とが用いられている。再生装置が、再生時に再生されたパターンと記録されているはずの所定パターンとの一致を検出することで、同期信号は機能する。
【0018】
さらに、図10のデータ構成に見られるように、各38バイトの第1の誤り訂正符号の構成シンボルは、1バイトの同期信号または1バイトの第2の誤り訂正符号の構成シンボルによって挟まれて記録されている。同期信号の挿入された列と第2の誤り訂正符号の構成シンボルが挿入された列との構成比率は1:3になっている。同期信号の同期検出結果または第1の誤り訂正符号よりも訂正能力の高い第2の誤り訂正符号の誤り訂正結果をもとに、同期信号または第2の誤り訂正符号の構成シンボルに誤りが検出されたか否かに応じて、消失訂正のための誤り位置情報を示す消失フラグを生成することが可能になっている。
【0019】
例えば、第2の誤り訂正符号の誤り訂正の過程で、2つの連続した第2の誤り訂正符号902eおよび902fの構成シンボル(図10中の902e−×および902f−×)に共に誤りが検出され、誤り訂正が実行された場合、第2の誤り訂正符号の構成シンボル902e−×および902f−×に挟まれた38バイトの第1の誤り訂正符号901gの構成シンボルにも誤りが発生している可能性が高いと判断される(すなわち、バーストエラーが発生していると仮定される)。このとき、当該第1の誤り訂正符号901gの構成シンボルには消失フラグ905cが生成される。
【0020】
同様に、例えば、同期信号903aおよび第2の誤り訂正符号902aの構成シンボルに挟まれた38バイトの第1の誤り訂正符号901aの構成シンボル、第2の誤り訂正符号902cの構成シンボルおよび同期信号903bに挟まれた38バイトの第1の誤り訂正符号901dの構成シンボルについても、第2の誤り訂正符号の誤り訂正結果または同期信号が検出されたか否かの同期検出結果からそれぞれの誤りが検出され、その結果を用いて第1の誤り訂正符号901aの構成シンボル、および第1の誤り訂正符号901dの構成シンボルに対して、消失フラグが生成される。図10では、903a−×および902a−×に誤りが検出された結果、消失フラグ905aが生成され、902c−×および903b−×に誤りが検出された結果、消失フラグ905bが生成された状態を示している。
【0021】
また前述のように、消失フラグを用いて消失訂正を行うことで、最大2倍の訂正個数まで訂正能力を上げることが可能であり、傷や埃に起因するバーストエラーに優れた耐性を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2000−40307号公報
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Kouhei Yamamoto他、"Error Modeling and Performance Analysis of Error−Correcting Codes for theDigital Video Recording System(Partof the Joint International Symposiumon Optical Memory and Optical DataStorage 1999・Koloa,Hawaii・July 1999SPIE Vol.3864 339〜341頁)"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
上記従来例では、第2の誤り訂正符号の誤り訂正結果、または同期信号の検出結果に基づいて、対応する消失フラグが生成される。
【0025】
ここで、第2の誤り訂正符号による誤り検出および同期信号による誤り検出は、検出方法の差に起因して、誤りの検出能力という点で全く同じではない。同期信号による誤り検出の方が第2の誤り訂正符号による誤り検出よりもはるかに高い検出能力を有している。
【0026】
また従来例では、第2の誤り訂正符号は、第1の誤り訂正符号と比較して訂正能力が高い構成となっているが、それでも62バイト中の16バイトの訂正能力しか有していない。したがって、62バイト中に17バイト以上の誤りが発生した場合には訂正不能になり、消失フラグを用いて誤り位置を特定することは不可能である。
【0027】
一方、同期信号による誤り検出は、単に再生された同期信号を再生前の同期信号とビット毎に比較することで実現でき、17バイト以上(例えば、62バイト)の同期信号のすべてが誤った場合にも個々にすべての誤りを検出することが可能である。
【0028】
このため、従来例では、同じ第1の誤り訂正符号であっても、第2の誤り訂正符号および同期信号がインターリーブされている場所によって誤り訂正の信頼性が異なるという問題があった。すなわち、両側が誤りの検出能力の低い第2の誤り訂正符号の構成シンボルに挟まれているものは、同期信号と第2の誤り訂正符号とに挟まれたものと比較して、誤り検出性能の差に起因して信頼性が劣るという問題があった。
【0029】
信頼性の高いものと低いものとが交じり合って記録されている場合、結局、全体の信頼性は最も低いもので制限される。従来例では、両側がより信頼性の低い、誤りの検出能力の低い第2の誤り訂正符号の構成シンボルに挟まれている第1の誤り訂正符号から、データ再生不能等のエラー状態が発生するリスクが大きい。
【0030】
本発明は上記問題点に鑑み、第2の誤り訂正符号および同期信号がインターリーブされている場所による誤り検出の信頼性の差をなくすことで、全体として、訂正能力の高く、かつ信頼性の高い再生を行うことが可能なデータ記録方法、記録媒体、および再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は、ユーザデータを第1の訂正能力を有する第1の誤り訂正符号に符号化するステップと、制御情報を前記第1の訂正能力よりも高い第2の訂正能力を有する第2の誤り訂正符号に符号化するステップと、前記第1の誤り訂正符号に対して、前記第2の誤り訂正符号と同期信号とが交互にインターリーブされるように、前記第1の誤り訂正符号と前記第2の誤り訂正符号と前記同期信号とを含むデータストリームを生成するステップと、前記データストリームを記録するステップとを包含する、データ記録方法であって、これにより上記目的が達成される。
【0032】
本発明は、ユーザデータを符号化することによって得られる第1の誤り訂正符号と、制御情報を符号化することによって得られる第2の誤り訂正符号と、同期信号とを含むデータストリームが記録された記録媒体であって、前記第1の誤り訂正符号は第1の訂正能力を有し、前記第2の誤り訂正符号は前記第1の訂正能力よりも高い第2の訂正能力を有し、前記データストリーム中では、前記第1の誤り訂正符号に対して、前記第2の誤り訂正符号と前記同期信号とが交互にインターリーブされている、記録媒体であって、これにより上記目的が達成される。
【0033】
さらに本発明は、上記に記載の記録媒体に記録された前記データストリームを再生する再生装置であって、前記データストリームから2値化データを生成する再生部と、前記2値化データを前記第1の誤り訂正符号および前記第2の誤り訂正符号に復調する復調部であって、前記同期信号の検出結果を生成する同期信号検出手段を含む、復調部と、前記復調部から出力された前記第1の誤り訂正符号および前記第2の誤り訂正符号における誤りを検出し、前記誤りの訂正を行う誤り訂正部とを備え、前記誤り訂正部は、前記第1の誤り訂正符号に対し、前記第2の誤り訂正符号の誤り訂正結果または前記同期信号の検出結果に基づいて消失訂正のための消失フラグを生成する消失フラグ生成手段と、前記消失フラグを用いて消失訂正を行う消失訂正手段とを含む、再生装置であり、これにより上記目的が達成される。
【0034】
本発明の1つの実施形態は、前記同期信号検出手段が予測したタイミングと異なるタイミングで前記同期信号を検出した場合、前記消失フラグ生成手段は、前記同期信号より前記データストリームの上流側の前記第1の誤り訂正符号の構成シンボルに前記消失フラグを設定する、上記に記載の再生装置である。
【0035】
本発明の1つの実施形態は、前記同期信号検出手段が予測したタイミングと異なるタイミングで前記同期信号を検出し、前記同期信号より1つだけ前記データストリームの上流側の前記第2の誤り訂正符号の構成シンボルに誤りを検出した場合、前記消失フラグ生成手段は、前記同期信号より上流の前記第1の誤り訂正符号の構成シンボルに前記消失フラグを設定する、上記に記載の再生装置である。
【0036】
本発明の1つの実施形態は、前記同期信号検出手段が予測したタイミングと異なるタイミングで前記同期信号を検出し、前記同期信号より1つだけ前記データストリームの上流側の前記第2の誤り訂正符号の構成シンボルに誤りを検出しなかった場合、前記消失フラグ生成手段は、前記第2の誤り訂正符号の構成シンボルから前記同期信号までの間の前記第1の誤り訂正符号の構成シンボルに前記消失フラグを設定する、上記に記載の再生装置である。
【0037】
本発明の1つの実施形態は、前記同期信号検出手段は、前記同期信号の検出タイミングからクロックおよび再生されたビット数を計数し、この計数結果から次の同期信号の検出タイミングを予測する、上記に記載の再生装置である。
【0038】
さらに本発明は、上記に記載の再生装置に使用する誤り訂正回路であって、前記第1の誤り訂正符号に対し、前記第2の誤り訂正符号の誤り訂正結果または前記同期信号の検出結果に基づいて消失訂正のための消失フラグを生成する消失フラグ生成手段と、前記消失フラグを用いて消失訂正を行う消失訂正手段とを備える、誤り訂正回路であって、これにより上記目的が達成される。
【0039】
本発明の1つの実施形態は、前記同期信号検出手段が予測したタイミングと異なるタイミングで前記同期信号を検出した場合、前記消失フラグ生成手段は、前記同期信号より前記データストリームの上流側の前記第1の誤り訂正符号の構成シンボルに前記消失フラグを設定する、上記に記載の誤り訂正回路である。
【0040】
本発明の1つの実施形態は、前記同期信号検出手段が予測したタイミングと異なるタイミングで前記同期信号を検出し、前記同期信号より1つだけ前記データストリームの上流側の前記第2の誤り訂正符号の構成シンボルに誤りを検出した場合、前記消失フラグ生成手段は、前記同期信号より上流の前記第1の誤り訂正符号の構成シンボルに前記消失フラグを設定する、上記に記載の誤り訂正回路である。
【0041】
本発明の1つの実施形態は、前記同期信号検出手段が予測したタイミングと異なるタイミングで前記同期信号を検出し、前記同期信号より1つだけ前記データストリームの上流側の前記第2の誤り訂正符号の構成シンボルに誤りを検出しなかった場合、前記消失フラグ生成手段は、前記第2の誤り訂正符号の構成シンボルから前記同期信号までの間の前記第1の誤り訂正符号の構成シンボルに前記消失フラグを設定する、上記に記載の誤り訂正回路である。
【0042】
本発明の1つの実施形態は、前記同期信号検出手段は、前記同期信号の検出タイミングからクロックおよび再生されたビット数を計数し、この計数結果から次の同期信号の検出タイミングを予測する、上記に記載の誤り訂正回路である。
【発明の効果】
【0043】
以上のように、本発明のデータ記録方法、記録媒体、および再生装置では、第1の誤り訂正符号に対して、第2の誤り訂正符号と同期信号とが交互にインターリーブされるように、第1の誤り訂正符号と第2の誤り訂正符号と同期信号とを含むデータストリームを生成し、このデータストリームを記録装置が記録媒体に記録している。このような構成のため、本発明では、すべての第1の誤り訂正符号に対するバースト誤りの検出を等価に行うことができ、これにより、インターリーブの状態によって信頼性がばらつくことがなく、データストリーム全体にわたって誤り検出に対する高い信頼性を保証することが可能となる。このように、本発明を用いれば、高い信頼性を有するデータ記録方法、光ディスク、および再生装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による記録媒体にデータを記録する記録装置の概略構成図
【図2】本発明によるインターリーブされる前の第1の誤り訂正符号および第2の誤り訂正符号の概略的な構成図
【図3】図2に示した第1の誤り訂正符号および第2の誤り訂正符号が、同期信号とともに所定のインターリーブ規則でインターリーブされたデータストリームのデータ構成を示す図
【図4】本発明による光ディスクのスパイラル状または同心円状に設けられたトラックに記録されるデータの構成を示す図
【図5】本発明のデータストリームの記録順序を示す図
【図6】本発明の再生装置の概略構成図
【図7】図6に示した誤り訂正回路の詳細な構成図
【図8】消失フラグの生成規則を説明するアルゴリズムを示す図
【図9】従来例による誤り訂正符号の概略的な構成図
【図10】図9に示した従来の第1の誤り訂正符号および第2の誤り訂正符号が、同期信号とともに所定のインターリーブ規則でインターリーブされたデータストリームのデータ構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0046】
図1は、記録媒体にデータを記録する記録装置100の概略構成図を示す。なお、記録媒体の例として、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスクなどが挙げられるがこれらに限定されず、任意の記録媒体を用いることができる。本発明では、光ディスクを用いた場合を例に説明する。
【0047】
記録装置100は、符号化部101、変調部102、および記録回路103を備えている。ここで、符号化部101は、第1の符号化回路104、および第2の符号化回路105を含み得る。変調部102は、変調回路106、同期信号生成回路107、およびインターリーブ回路108を含み得る。
【0048】
ユーザデータ109が第1の符号化回路104に、制御情報110が第2の符号化回路105にそれぞれ入力される。ここで、ユーザデータは2進のビットデータから構成されるデータである。ユーザデータの例として、AVデータ、テキストデータ、アプリケーションプログラムデータなどが挙げられる。また、制御情報は、ユーザデータを管理するための情報である。制御情報の例として、アドレス情報、著作権管理情報(コピー可否情報、暗号化鍵情報等)などが挙げられる。
【0049】
第1の符号化回路104はユーザデータ109から第1の誤り訂正符号111を生成し、これを変調部102の変調回路106に送信する。同様に、第2の符号化回路105は制御情報110から第2の誤り訂正符号112を生成し、これを変調部102の変調回路106に送信する。ここで、第1の誤り訂正符号111は第1の訂正能力を有し、第2の誤り訂正符号105は第1の訂正能力よりも高い第2の訂正能力を有しているものとする。変調回路106は、第1の誤り訂正符号111および第2の誤り訂正符号112を必要に応じて変調し、インターリーブ回路108に送信する。また、同期信号生成回路107はビットスリップ等の補正を行う同期信号115を生成し、これをインターリーブ回路108に送信する。インターリーブ回路108は、第1の誤り訂正符号111に対して、第2の誤り訂正符号112と同期信号115とが交互にインターリーブされるように、第1の誤り訂正符号111と第2の誤り訂正符号112と同期信号115とを含むデータストリーム116を生成し、これを記録回路103に送信する。記録回路103は、インターリーブ回路108から受け取ったデータストリーム116を光ヘッド117により光ディスク118に記録する。
【0050】
以上のように、本発明の記録装置100は、第1の誤り訂正符号111に対して、第2の誤り訂正符号112と同期信号115とが交互にインターリーブされるように、第1の誤り訂正符号111と第2の誤り訂正符号112と同期信号115とを含むデータストリーム116を生成し、このデータストリーム116を光ディスク118に記録している。
【0051】
次に、本発明の記録装置100によって、ユーザデータ109および制御情報110が光ディスク108に記録されるまでの過程におけるデータの構成を図2〜4を参照して説明する。
【0052】
図2は、インターリーブされる前の第1の誤り訂正符号111および第2の誤り訂正符号112の概略的な構成図である。
【0053】
第1の誤り訂正符号111は、約64Kバイトのユーザーデータを列方向(縦方向)に304分割した216バイトの情報部、および情報部に付加された32バイトのパリティを含んでいる。第1の誤り訂正符号111は、GF(256)上のReed−Solomon符号を用いて符号化されており、構成シンボル(符号を構成する最小の要素)は、1シンボル=1バイトになっている。また、第1の誤り訂正符号111の符号化の方向は列方向(縦方向)である。
【0054】
第1の誤り訂正符号111の訂正能力は、以下のようにして求められる。
【0055】
符号間の最小距離をdとし、誤りの訂正可能個数をtとすると、一般に、d≧2×t+1の関係が成立する。各第1の誤り訂正符号111には32バイトのパリティが付加されているので、2つの第1の誤り訂正符号間の最小距離は33になる。したがって、上記関係から、第1の誤り訂正符号111は、符号長=248個(バイト)中の任意の16個(バイト)まで訂正できる訂正能力を有する。
【0056】
さらに、訂正処理を行う際に、誤り位置が既知の場合、既知の誤り位置情報を用いた消失訂正が可能である。ここで、消失訂正とは、ある符号の訂正動作を行うとき、誤っている構成シンボル(符号の最小単位)が予め分かっているときにはその構成シンボルが消失していると見なして、残りの構成シンボルから消失した構成シンボルを算出する訂正方法である。誤り位置が既知の場合に消失訂正を行うと、訂正能力を最大2倍まで高めることができる。
【0057】
このことは、以下の関係から説明することができる。
【0058】
符号の最小距離をdとし、訂正個数をtとし、消失訂正個数をeとすると、d≧2×t+e+1の関係が成立する。上記の第1の誤り訂正符号では、最小距離d=33であるから、すべての訂正を消失訂正で行った場合(t=0の場合)、最大32個の訂正能力(e=32)を有することになる。
【0059】
第2の誤り訂正符号112は、30バイト×16バイト=480バイトの制御データを列方向(縦方向)に16分割した30バイトの情報部、および情報部に付加された32バイトのパリティを含んでいる。第2の誤り訂正符号112は、GF(256)上のReed−Solomon符号を用いて符号化されており、構成シンボル(符号を構成する最小の要素)は、1シンボル=1バイトになっている。なお、480バイトの制御データは、最終的に光ディスクに記録する際のアドレス情報等を含んでいる。
【0060】
各第2の誤り訂正符号112には32バイトのパリティが付加されているので、2つの第2の誤り訂正符号間の最小距離は第1の誤り訂正符号の場合と同様に33になる。したがって、第2の誤り訂正符号112は、符号長=62個(バイト)中の任意の16個(バイト)まで訂正できる訂正能力を有する。ここで、第2の誤り訂正符号112の訂正個数は第1の誤り訂正符号111の訂正個数と同じ(それぞれ16個)であるが、第2の誤り訂正符号112の方が第1の誤り訂正符号111よりも符号長が短いため、第2の誤り訂正符号112の訂正能力は第1の誤り訂正符号111の訂正能力よりも高い。
【0061】
以上のようにして、第1の誤り訂正符号111および第2の誤り訂正符号112が構成される。本発明では、記録装置100が、第1の誤り訂正符号111に対して、第2の誤り訂正符号112と同期信号115とを交互にインターリーブし、その結果生成したデータストリーム116を光ディスク118に記録している。
【0062】
図3は、インターリーブされたデータストリーム116のデータ構成を示す。
【0063】
図3において、111a〜111hは第1の誤り訂正符号、112a〜112dは第2の誤り訂正符号、115a〜115dは同期信号である。各符号を構成する構成シンボルおよび同期信号は、312列×248行の行列状に配置され、行方向にインターリーブされている。各符号の符号化方向は列方向(縦方向)であり、記録方向は行方向(横方向)であり、これにより、バーストエラーに強い構成となっている。本実施例では、38+1+38=77バイトに1バイトの同期信号が付加されており、78バイトで1フレームが構成される、いわゆるフレーム構成となっている。同期信号は、フレーム内のデータのバイト同期、およびデータストリーム(データブロック)全体におけるフレーム位置を特定するために使用される。さらに同期信号は、再生時における最初の同期引き込みや、ビットスリップ等が発生した場合の補正処理に用いられる。これらを達成するために、同期信号には、データストリームを最終的に光ディスクに記録する際に実行される変調処理では発生し得ないパターンと、フレームの番号等で構成される所定のパターン信号とが用いられている。再生装置が、再生時に再生されたパターンと記録されているはずの所定パターンとの一致を検出することで、同期信号は機能する。なお、本実施例では、同期信号の長さを1バイトとしているが、1バイトに限定する必要はなく、変調方式等に応じて任意に決定することができる。
【0064】
さらに、図3のデータ構成に見られるように、各38バイトの第1の誤り訂正符号の構成シンボルは、常に1バイトの同期信号および1バイトの第2の誤り訂正符号の構成シンボルによって挟まれて記録されている。すなわち、同期信号の挿入された列と第2の誤り訂正符号の構成シンボルが挿入された列との構成比率は1:1になっている。同期信号の同期検出結果または第1の誤り訂正符号よりも訂正能力の高い第2の誤り訂正符号の誤り訂正結果をもとに、同期信号または第2の誤り訂正符号の構成シンボルに誤りが検出されたか否かに応じて、消失訂正のための誤り位置情報を示す消失フラグを生成することが可能になっている。
【0065】
例えば、同期信号115dのうちの1つである115d−×が検出されず、かつ第2の誤り訂正符号の誤り訂正の過程で第2の誤り訂正符号112dの構成シンボル112d−×に誤りが検出された場合、115d−×および112d−×に挟まれた38バイトの第1の誤り訂正符号111gの構成シンボルにも誤りが発生している可能性が高いと判断される(すなわち、バーストエラーが発生していると仮定される)。このとき、当該第1の誤り訂正符号111gの構成シンボルには消失フラグ305bが生成される。
【0066】
同様に、例えば、第2の誤り訂正符号の誤り訂正の過程で第2の誤り訂正符号112bの構成シンボル112b−×に誤りが検出され、かつ同期信号115cのうちの1つである115c−×が検出されない場合、112b−×および115c−×に挟まれた38バイトの第1の誤り訂正符号111dの構成シンボルにも誤りが発生している可能性が高いと判断される(すなわち、バーストエラーが発生していると仮定される)。このとき、当該第1の誤り訂正符号111dの構成シンボルには消失フラグ305aが生成される。
【0067】
このように、本発明では、データストリーム中において第1の誤り訂正符号は、常に1バイトの同期信号および1バイトの第2の誤り訂正符号の構成シンボルによって挟まれて記録される構成となっているので、すべての第1の誤り訂正符号に対する誤り検出を等価に行うことができる。従って、従来技術に見られたような、データストリーム中における第2の誤り訂正符号または同期信号のインターリーブされた場所に依存して誤り検出の精度に差が生じ、その結果データストリーム全体の信頼性がばらつくということはない。
【0068】
また前述のように、消失フラグを用いて消失訂正を行うことで、最大2倍の訂正個数まで訂正能力を上げることが可能であり、傷や埃に起因するバーストエラーに優れた耐性を示す。
【0069】
同期信号から消失フラグを生成する場合には、同期信号の本来の機能、すなわちビットスリップが発生した場合の再同期機能を用いて、より精度よく消失フラグを生成することが可能である。例えば、再生時に、同期信号が検出されないのではなく、本来の位置に対して数クロックずれた位置で同期信号が再生された場合、単に再同期を行うよりもむしろ、その同期信号よりデータストリームの上流側に記録された第1の誤り訂正符号の構成シンボルのみに消失フラグを付加すればよい。再生された同期信号よりデータストリームの上流側のデータは、同期はずれのために誤っている可能性が高く、同期信号よりデータストリームの下流側のデータは誤っていない可能性が高いと判断できるからである。
【0070】
なお、ここで「消失フラグを付加する」または「消失フラグを生成する」とは、構成シンボルが消失した可能性がある(すなわち、誤っている可能性がある)という印をその構成シンボルに付けることを意味する。消失フラグの付加は、例えば、データブロック中のすべての第1の誤り訂正符号の構成シンボル(すなわち、248×304個の構成シンボル)において、各々1シンボルに対して1bitを予め割り当てた合計248×304bitのビットマップを用意し、消失フラグが付加されるとビットの値を1にし、付加されない場合にはビットの値を0にすることによって行われる。
【0071】
本明細書中では、同期信号は1バイトとして説明したが、変調方式等に応じてそのバイト数が異なってもよいことは明らかである。
【0072】
また、第1の誤り訂正符号および第2の誤り訂正符号は、それぞれ任意の複数個の構成シンボルを含んでいてもよい。
【0073】
また、同期信号による誤り検出は、単なる該当バイトに誤りがあるか否かの判断による誤り検出以上の検出能力を有している。すべての38バイトを単位とした各第1の誤り訂正符号の前後のいずれかに、高い検出能力を有する同期信号を隣接させることにより高い信頼性を確保できるデータ記録方法が実現できる。
【0074】
以上説明したように、本発明のデータ記録方法では、記録装置が、第1の誤り訂正符号に対して、第2の誤り訂正符号と同期信号とが交互にインターリーブされるように、第1の誤り訂正符号と第2の誤り訂正符号と同期信号とを含むデータストリームを生成し、このデータストリームを記録媒体に記録しているので、すべての第1の誤り訂正符号に対する誤り検出を等価に行うことができる。従って、データストリーム中における第2の誤り訂正符号または同期信号のインターリーブされた場所に依存して誤り検出の精度に差が生じることがなく、データストリーム全体にわたって高い信頼性を実現することが可能となる。
【0075】
図4は、光ディスク118のスパイラル状または同心円状に設けられたトラック402に記録されるデータ406を示す。データ406は、第1の誤り訂正符号の一部403、第2の誤り訂正符号の一部405、および同期信号の一部404を含んでいる。このデータ406は、図3のデータストリーム116を行方向(横方向)に1行分づつ248分割し、これらを連続的につなげることで得られる。これについて、図5を用いて具体的に説明する。
【0076】
図5は、データストリーム116の記録順序を具体的に示した図である。行方向(横方向)に1行分づつ248分割されたデータストリーム116は、図5中の矢印で示す順に光ディスク118に記録される。だたし、本発明は図5中に示した矢印の順のみに限定されず、任意の順番で光ディスク118に記録されてもよい。
【0077】
光ディスク118における実際の記録は、凹凸ピットまたは相変化材料等による濃淡のドット等で行われる。一般に符号化データは、記録時には、8/16変調やRLL(1、7)符号等の変調符号によってデジタル変調された後にディスクのトラックに記録される。なお、図4では、説明を容易にするために変調符号による変調を省略し、符号化データがそのまま記録されている様子を示している。
【0078】
光ディスク118上では、データ406は、同信号期の一部404(1バイト)、第1の誤り訂正符号の一部403(38バイト)、第2の誤り訂正符号の一部405(1バイト)、第1の誤り訂正符号の一部403(1バイト)・・・の順に記録されている。すなわち、第1の誤り訂正符号の一部403に対して、第2の誤り訂正符号の一部405と同期信号の一部404とが交互にインターリーブされている。
【0079】
このように、本発明の光ディスクでは、第1の誤り訂正符号の構成シンボルに対して、第2の誤り訂正符号の構成シンボルと同期信号とが交互にインターリーブされてデータを構成し、このデータが光ディスクに記録されている。これにより、光ディスクを再生する場合、すべての第1の誤り訂正符号の構成シンボルに対する誤り検出を等価に行うことができる。従って、第2の誤り訂正符号の構成シンボルおよび同期信号のインターリーブされた場所に依存して誤り検出の精度に差が生じることがなく、記録データ全体にわたって高い信頼性を得ることができる。
【0080】
なお、本発明の光ディスクは、本発明の方法(すなわち、図1の記録装置100を用いた方法)によって記録されたものに限定されず、光ディスクに記録されるデータ構造が上述のものである限り、任意の方法で記録されたディスクを含む。
【0081】
図6は、本発明の再生装置600の概略構成図である。この再生装置600は、本発明の光ディスク118に記録されたデータを再生する。ここで、光ディスク118に記録されたデータは、図4に示すデータ構造406を有しているものとする。
【0082】
再生装置600は、光ディスク118に記録されているデータを再生し、2値化データ611を生成する再生回路(再生部)603と、2値化データ611を第1の誤り訂正符号および第2の誤り訂正符号に復調する復調回路(復調部)604と、復調回路604から出力された第1の誤り訂正符号および第2の誤り訂正符号における誤りを検出し、誤りの訂正を行う誤り訂正回路(誤り訂正部)606とを備える。
【0083】
また、復調回路604は、同期信号の検出結果を生成する同期信号検出回路(同期信号検出手段)605を含んでいる。
【0084】
さらに、誤り訂正回路606は、第1の誤り訂正符号に対し、第2の誤り訂正符号の誤り訂正結果または同期信号の検出結果に基づいて消失訂正のための消失フラグを生成する消失フラグ生成回路(消失フラグ生成手段)と、消失フラグを用いて消失訂正を行う消失訂正回路(消失訂正手段)とを含んでおり、これらについては後述する。誤り訂正回路606は、記録媒体上の傷、埃等に起因するエラーの誤り検出訂正処理を行い、エラーを除去した訂正データ614を生成する。
【0085】
再生装置600はさらに、光ディスク118からデータを読み出すための光ヘッド117、誤り訂正回路606の作業用のWORK RAM607、SCSIやATAPI等のプロトコル制御を行うインタフェース制御回路608、および制御CPU609を備え得る。光ヘッド117は、半導体レーザーおよび光学素子から構成され得る。インターフェース制御回路608は、再生されたユーザーデータをパソコン等に送出するためのインタフェース制御を行う。制御CPU609は、再生装置600全体を制御する。
【0086】
以上のように構成された本発明の再生装置において、光ディスク118からのデータの再生は以下の手順で行われる。
【0087】
まず、光ヘッド117の半導体レーザーからレーザービームが光ディスク118に向けて照射される。レーザビームは光ディスク118で反射され、その反射光の信号610は再生回路603により、アナログ信号化、増幅、2値化が行われ、2値化データ611として復調回路604に送信される。復調回路604では記録時に変調された信号(8/16変調、RLL(1、7)等のデジタル変調信号など)をデジタル復調する。デジタル復調された復調データ612は、誤り訂正回路606に送信され、WORK RAM607を併用して媒体の傷や埃等に起因する誤りの検出訂正処理が行われる。ここで、復調データ612は、第1の誤り訂正符号および第2の誤り訂正符号を含む。また復調回路604では、2値化データ611から同期信号をビット毎に比較することで、同期信号の検出を同期信号検出回路605で行い、ビットスリップ等によりデータとクロックとの同期がずれた場合の再同期を行う。さらに同期信号検出回路605は、次の同期信号の検出タイミングをクロックやバイト数をカウントすることで現在の同期信号から予測する。ここで、現在の同期信号はデータストリームに沿って次の同期信号の上流側に存在している。予測したタイミングと異なるタイミングで同期信号を検出し同期補正を行った場合には、同期補正信号613を誤り訂正回路606に送信し、また、予測タイミングの近傍で同期信号が検出されなかった場合には、同期未検出信号615を誤り訂正回路606に送信する。
【0088】
誤り訂正回路606では、第1の誤り訂正符号および第2の誤り訂正符号の復号を行う。第1の誤り訂正符号の誤り訂正を行う際には、第2の誤り訂正符号の誤り訂正結果、同期補正信号613、および同期未検出信号615から誤り位置情報を示す消失フラグを生成し、この消失フラグを用いて消失訂正を行う。
【0089】
訂正処理は、例えば、既知のReed−Solomon符号等を用いて実行され、誤り訂正処理された訂正データ414は、インタフェース制御回路608を経由してホストコンピュータ等(図示せず)に送信される。以上の再生動作の全体にわたる制御は、制御CPU609によって行われる。
【0090】
図7は、図6に示した誤り訂正回路606の詳細な構成図である。
【0091】
図7において、誤り訂正回路606は、第1の誤り訂正符号に対し、第2の誤り訂正符号の誤り訂正結果および同期信号の検出結果に基づいて消失訂正のための消失フラグを生成する消失フラグ生成回路(消失フラグ生成手段)618と、前記消失フラグを用いて消失訂正を行う消失訂正回路(消失訂正手段)625とを備える。
【0092】
さらに、誤り訂正回路606は、WORK RAM607への記録再生制御や内部バス619の制御を行うバス/メモリ制御回路622、誤り訂正後のユーザーデータ614を出力する出力IF制御回路623、ユーザーデータが符号化された第1の誤り訂正符号を復号する第1の符号誤り訂正回路624、制御情報が符号化された第2の誤り訂正符号を復号する第2の符号誤り訂正回路626を含み得る。出力IF制御回路623は、インタフェース制御回路608とのハンドシェークを行う。第1の符号誤り訂正回路624は、216バイトのデータに対して32バイトのパリティが付加された第1の誤り訂正符号を各列毎に誤り訂正する。誤り訂正の際には、誤り位置を示す消失フラグ620を用いることで、1符号あたり最大32バイトまでの誤り訂正を行うことができる。消失訂正は消失訂正回路625で実行される。第2の符号誤り訂正回路626は、30バイトのデータに対して32バイトのパリティが付加された第2の誤り訂正符号を訂正し、1符号あたり最大16バイトまでの誤り訂正を行うことができる。以上の第1の符号誤り訂正回路624、第2の符号誤り訂正回路626、および消失訂正回路625は、公知のReed−Solomon符号等を用いた誤り訂正回路を用いて構成することができる。
【0093】
誤り訂正回路606はさらに、復調回路604とのIF制御を行う入力IF制御回路616、マイクロコントローラ等で構成される誤り訂正回路606全体の制御を行う全体制御回路617を含み得る。入力IF制御回路616に入力された復調データ612は、バス/メモリ制御回路622を経由してWORKRAM607に格納される。全体制御回路617は、第2の符号誤り訂正回路626からの第2の誤り訂正符号の誤り位置627、同期補正信号613、および同期未検出信号615から消失フラグ620を生成し、それを消失訂正回路625に送信する。
【0094】
次に、上記のように構成された誤り訂正回路606の動作を説明する。
【0095】
記録媒体から再生されて復調された復調データ612は、入力IF制御回路616およびバス/メモリ制御回路622を経由してWORK RAM607に格納される。格納された再生データに対して、第1の誤り訂正符号および第2の誤り訂正符号の復号が行われる。
【0096】
復号はまず初めに、第2の誤り訂正符号の復号が第2の符号誤り訂正回路626によってなされる。第2の符号誤り訂正回路626は、復号の過程で得られた誤り位置627を消失フラグ生成回路618に送信する。
【0097】
消失フラグ生成回路618では、予め復調データ612が復調回路604から入力IF制御回路616に入力される時に同時に入力された同期補正信号613、および同期未検出信号615から、後述する所定の規則に従って、消失フラグ620を生成し、その消失フラグ620を第1の符号誤り訂正回路624の消失訂正回路625に送信する。
【0098】
第1の符号誤り訂正回路624および消失訂正回路625は、消失フラグ620に基づいて、第1の誤り訂正符号に対して消失訂正を行う。
【0099】
誤り訂正が完了し、誤りが除去されたユーザーデータ614は、出力IF制御回路623を経由してインタフェース制御回路608に送信される。
【0100】
以上説明した誤り訂正回路606全体の制御や消失フラグ620の生成は、マイクロコントローラ等で構成された全体制御回路617および消失フラグ生成回路618で実行することができる。またこの実行は、ソフトウェアや簡単な論理回路によって可能である。
【0101】
図8は、消失フラグの生成規則を説明するアルゴリズムを示す図である。図8に示す生成規則に従って、ソフトウェアや簡単な論理回路により消失フラグ420が生成される。
【0102】
図8では、再生されたデータ系列に対応して、そのときの同期信号の検出結果、または第2の誤り訂正符号の構成シンボルの誤りの有無で場合分けがされている。図中の○印は、同期信号の正常検出、または第2の誤り訂正符号の誤り訂正過程でその構成シンボルに誤りが検出さなかった場合を示す。×印は、同期信号の未検出、または第2の誤り訂正符号の誤り訂正過程でその構成シンボルに誤りが検出された場合を示す。△印は、同期信号がデータストリームの1つ上流側の同期信号から予測したタイミングとずれたタイミングで検出され、同期補正された場合を示す。
【0103】
図8において、115e、115fは同期信号を示し、111i、111j、111kは第1の誤り訂正符号の構成シンボルを示し、112e、112fは第2の誤り訂正符号の構成シンボルを示す。図8の左側の(A)では、データの順序が、同期信号115e、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111i、第2の誤り訂正符号の構成シンボル112eとなっている場合の第1の誤り訂正符号の構成シンボル111iに対する消失フラグの生成規則を説明している。右側の(B)では、データの順序が、第2の誤り訂正符号の構成シンボル112f、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111k、同期信号115fとなっている場合の第1の誤り訂正符号の構成シンボル111j、111kに対する消失フラグの生成規則を説明している。
【0104】
[図8の左側の(A)の場合]
(a)同期信号115eが正常に検出され、第2の誤り訂正符号の構成シンボル112eに誤りが検出されなかった場合、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111iに対して消失フラグは付加しない。
【0105】
(b)同期信号115eはデータストリームの1つ上流側の同期信号から予測したタイミングとずれたタイミングで検出され、第2の誤り訂正符号の構成シンボル112eに誤りが検出されなかった場合、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111iに対して消失フラグは付加しない。
【0106】
(c)同期信号115eが検出されず、第2の誤り訂正符号の構成シンボル112eに誤りが検出されなかった場合、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111iに対して消失フラグは付加しない。
【0107】
(d)同期信号115eが正常に検出され、第2の誤り訂正符号の構成シンボル112eに誤りが検出された場合、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111iに対して消失フラグは付加しない。
【0108】
(e)同期信号115eはデータストリームの1つ上流側の同期信号から予測したタイミングとずれたタイミングで検出され、第2の誤り訂正符号の構成シンボル112eに誤りが検出された場合、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111iに対して消失フラグは付加しない。
【0109】
(f)同期信号115eが検出されず、第2の誤り訂正符号の構成シンボル112eに誤りが検出された場合、バースト誤りが発生したと想定して、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111iに対して消失フラグ804を付加する。
【0110】
[図8の右側の(B)の場合]
(g)第2の誤り訂正符号の構成シンボル112fに誤りが検出されず、同期信号115fが正常に検出された場合、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111kに対して消失フラグは付加しない。
【0111】
(h)第2の誤り訂正符号の構成シンボル112fに誤りが検出されず、同期信号115fがデータストリームの1つ上流側の同期信号から予測したタイミングとずれたタイミングで検出された場合、ビットスリップによるバースト誤りが発生したと想定して、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111kに対して消失フラグ805を付加する。
【0112】
(i)第2の誤り訂正符号の構成シンボル112fに誤りが検出されず、同期信号115fが検出されない場合、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111kに対して消失フラグは付加しない。
【0113】
(j)第2の誤り訂正符号の構成シンボル112fに誤りが検出され、同期信号115fが正常に検出された場合、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111kに対して消失フラグは付加しない。
【0114】
(k)第2の誤り訂正符号の構成シンボル112fに誤りが検出され、同期信号115fがデータストリームの1つ上流側の同期信号から予測したタイミングとずれたタイミングで検出された場合、ビットスリップによるバーストエラーが発生したと想定し、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111kおよび111jに対して消失フラグ806および807をそれぞれ付加する。
【0115】
(l)第2の誤り訂正符号の構成シンボル112fに誤りが検出され、同期信号115fが検出されない場合、バーストエラーが発生したと想定し、第1の誤り訂正符号の構成シンボル111kに対して消失フラグ808を付加する。
【0116】
上記の(A)および(B)で説明した規則に従って消失フラグを生成する。生成された消失フラグを用いて第1の誤り訂正符号を消失訂正することで、訂正能力を最大2倍まで上げることが可能になる。すべての第1の誤り訂正符号に対する消失フラグの生成は、同期信号および第2の誤り訂正符号のインターリーブされる位置に関わらず、同期信号の検出結果と第2の誤り訂正符号の構成シンボルからの誤り検出のみで規定される。
【0117】
以上説明したように、本発明の再生装置では、すべての第1の誤り訂正符号に対する消失フラグの生成が、同期信号および第2の誤り訂正符号の構成シンボルからの誤り検出により等価に行うことができる。従って、データストリーム中における第2の誤り訂正符号または同期信号のインターリーブされた場所に依存する誤り検出の精度に差が生じることがなく、データストリーム全体にわたって高い信頼性を実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明のデータ記録方法、記録媒体、および再生装置では、第1の誤り訂正符号に対して、第2の誤り訂正符号と同期信号とが交互にインターリーブされるように、第1の誤り訂正符号と第2の誤り訂正符号と同期信号とを含むデータストリームを生成し、このデータストリームを記録装置が記録媒体に記録している。このような構成のため、本発明では、すべての第1の誤り訂正符号に対するバースト誤りの検出を等価に行うことができ、これにより、インターリーブの状態によって信頼性がばらつくことがなく、データストリーム全体にわたって誤り検出に対する高い信頼性を保証することが可能となる。このように、本発明を用いれば、高い信頼性を有するデータ記録方法、光ディスク、および再生装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0119】
100 記録装置
101 符号化部
102 変調部
103 記録回路
104 第1の符号化回路
105 第2の符号化回路
106 変調回路
107 同期信号生成回路
108 インターリーブ回路
109 ユーザデータ
110 制御情報
111 第1の誤り訂正符号
112 第2の誤り訂正符号
115 同期信号
116 データストリーム
117 光ヘッド
118 光ディスク
600 再生装置
603 再生回路
604 復調回路
605 同期信号検出回路
606 誤り訂正回路
607 WORK RAM
608 インターフェース制御回路
609 制御CPU
616 入力IF制御回路
617 全体制御回路
618 消失フラグ生成回路
622 バス/メモリ制御回路
623 出力IF制御回路
624 第1の符号誤り訂正回路
625 消失訂正回路
626 第2の符号誤り訂正回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の所定サイズを有する第1のデータを列方向に第1の所定数分割した第1の情報部と、前記第1の情報部に付加された第1のパリティとを含み、ガロア体上のReed−Solomon符号を用いて符号化された第1のエラー訂正符号と、
第2の所定サイズを有する第2のデータを列方向に第2の所定数分割した第2の情報部と、前記第2の情報部に付加された第2のパリティとを含み、ガロア体上のReed−Solomon符号を用いて符号化された第2のエラー訂正符号と、
同期信号とを含むデータストリームが記録された記録媒体であって、
前記第1の誤り訂正符号は第1の訂正能力を有し、
前記第2の誤り訂正符号は前記第1の訂正能力よりも高い第2の訂正能力を有し、
前記データストリーム中では、前記第1の誤り訂正符号は、常に前記同期信号と前記第2の誤り訂正符号によって挟まれて記録されるように、前記第1の誤り訂正符号に対して、前記第2の誤り訂正符号と前記同期信号とが交互にインターリーブされ、
行方向に分割され、それらを連続的につなげ、RLL(RunLengthLimited)符号の変調符号によってデジタル変調して、前記記録媒体に記録されており、
前記第1及び2のエラー訂正符号の訂正能力は、符号間の最小距離をdとし、エラー訂正可能個数をtとすると、「d≧2×t+1」の関係が成り立ち、
また、消失訂正個数をeとすると、「d≧2×t+e+1」の関係が成り立つ、記録媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の記録媒体に記録されたデータストリームを再生する再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の記録媒体に記録されたデータストリームを再生し、前記データストリームに含まれる情報に基づいて記録を行う記録装置。
【請求項4】
前記第1のデータは、AVデータ、テキストデータ、アプリケーションプログラムデータなどであり、
又は、前記第2のデータは、アドレス情報、著作権管理情報などである、
請求項1に記載の記録媒体、又は請求項2に記載の再生装置、又は請求項3に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−18436(P2011−18436A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194518(P2010−194518)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【分割の表示】特願2008−256617(P2008−256617)の分割
【原出願日】平成14年7月15日(2002.7.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】