説明

データ読取装置およびカード処理装置

【課題】直接リード線が接続されるという不正行為が行われた場合に、磁気情報が不正に取得されるのを防止することが可能なデータ読取装置を提供する。
【解決手段】磁気ヘッド70の内部に設けられるカード挿入検出部7は、磁気カードに記録された磁気データを読み取る読取部71と、読取部71により読み取られた磁気データを非可逆変換する変換回路73と、変換回路73により非可逆変換されたデータを出力する出力部74とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気カードに記録された磁気データを読み取るデータ読取装置およびそれを備えたカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気カードが挿入される挿入口と、挿入口に磁気カードが挿入されたことを検出するカード挿入検出部と、カード挿入検出部の検出結果に基づいて挿入口を開閉するためのシャッタ部材と、挿入口から挿入された磁気カードに対して処理を施す読取/書込ヘッドとを備えたカード処理装置が知られている(たとえば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
これらのカード処理装置は、磁気情報の不正取得装置が挿入口の前方に取り付けられた場合に、その不正取得装置により磁気情報が不正に取得されるのを防止するように構成されている。なお、不正取得装置には、磁気データを読み取る磁気ヘッドが設けられている。
【0004】
具体的には、上記特許文献1のカード処理装置では、挿入口の近傍に異物検出用のフォトセンサが設けられている。そして、このカード処理装置は、フォトセンサにより不正取得装置が検出された場合に、磁気カードの取り込みを中止するとともに、警報を発することにより、磁気情報が不正に取得されるのを防止する。
【0005】
上記特許文献2のカード処理装置では、挿入口の前方に妨害磁界を発生させる磁界発生器が設けられている。そして、このカード処理装置は、磁界発生器により不正取得装置の磁気データの読み取りを困難にすることによって、磁気情報が不正に取得されるのを防止する。
【0006】
上記特許文献3のカード処理装置は、磁気カードの磁気データを読み取るには磁気カードの磁気ストライプに対して磁気ヘッドを連続的に移動させる必要があることから、磁気カードを間欠的に搬送することにより不正取得装置の磁気データの読み取りを困難にすることによって、磁気情報が不正に取得されるのを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−67525号公報
【特許文献2】特開2001−67524号公報
【特許文献3】特開2004−171205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1および2に開示された従来のカード処理装置では、磁気カードが挿入されたことを検出するカード挿入検出部の出力ラインに直接リード線が接続されるという不正行為が行われた場合には、リード線を介してカード挿入検出部により読み取られる磁気情報が不正に取得されてしまうという問題点がある。
【0009】
また、上記特許文献3に開示された従来のカード処理装置では、磁気カードが挿入されたことを検出するカード挿入検出部の出力ラインに直接リード線が接続されるという不正行為が行われた場合には、リード線を介してカード挿入検出部により読み取られる磁気データから磁気情報が復元される可能性は皆無とは言えず、磁気情報が不正に取得されるおそれがあるという問題点がある。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するものであって、その目的とするところは、直接リード線が接続されるという不正行為が行われた場合に、磁気情報が不正に取得されるのを防止することが可能なデータ読取装置およびそれを備えたカード処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のデータ読取装置は、磁気カードに記録された磁気データを読み取る読取部と、読取部により磁気データが読み取られた場合に信号を出力する出力部とを備え、出力部は、読取部により磁気データが読み取られた場合に、磁気カードに記録された磁気情報の復元が不可能な状態の信号を出力する。なお、復元が不可能とは、理論上は復元が可能であっても現実的には復元がきわめて困難であり、復元が実質的に不可能な場合を含む。
【0012】
このように構成することによって、直接リード線が接続されることにより、出力部からリード線を介してデータが不正に取得された場合にも、そのデータから磁気情報(磁気データの内容)を復元することができないので、磁気情報が不正に取得されるのを防止することができる。
【0013】
上記データ読取装置において、読取部により読み取られた磁気データを非可逆変換する変換部をさらに備え、出力部は、変換部により非可逆変換されたデータを出力してもよい。このように構成すれば、読取部により読み取った磁気データから復元が不可能なデータを容易に作成することができる。
【0014】
上記変換部を含むデータ読取装置において、変換部は、読取部により読み取られた磁気データをハッシュ関数により非可逆変換してもよい。
【0015】
上記変換部を含むデータ読取装置において、変換部は、読取部により読み取られた磁気データから所定のデータを抽出することにより非可逆変換してもよい。
【0016】
上記データ読取装置において、読取部は、磁気カードに記録された磁気データの記録方向に対して傾斜するように設けられており、磁気カードに記録された磁気データを読み取る際に、複数単位のデータを同時に読み取るようにしてもよい。このように構成すれば、磁気カードに記録された磁気情報に復元することが不可能な状態の信号を読み取るので、容易に、復元が不可能な状態の信号を出力することができる。
【0017】
上記データ読取装置において、読取部は、磁気カードに記録された磁気データの記録方向に対して傾斜するように形成されたギャップを有しており、磁気カードに記録された磁気データを読み取る際に、複数単位のデータを同時に読み取るようにしてもよい。このように構成すれば、磁気カードに記録された磁気情報に復元することが不可能な状態の信号を読み取るので、容易に、復元が不可能な状態の信号を出力することができる。
【0018】
また、本発明のカード処理装置は、上記のいずれかのデータ読取装置を備える。
【0019】
この場合において、磁気カードが挿入される挿入口と、挿入口を開閉するためのシャッタ部材と、シャッタ部材の移動を制御する制御部と、をさらに備え、読取部は、挿入口に設けられており、挿入口に磁気カードが挿入された場合に、磁気カードに記録された磁気データを読み取り、出力部は、読取部により磁気データが読み取られた場合に、復元が不可能な状態の信号を制御部に出力し、制御部は、復元が不可能な状態の信号が入力された場合に、挿入口を開くようにシャッタ部材を移動させるようにしてもよい。このように構成すれば、磁気情報が不正に取得されるのを防止しながら、磁気カードの挿入を検出して挿入口を開くことができる。
【0020】
また、本発明のデータ読取装置は、磁気カードに記録された磁気データを読み取る読取部と、読取部により磁気データが読み取られた場合に信号を出力する出力部と、磁気データが非可逆変換されたデータを記憶する記憶部と、読取部により読み取られた磁気データを非可逆変換する変換部と、変換部により非可逆変換されたデータと、記憶部に記憶されたデータとを比較する比較部とを備え、出力部は、比較部による比較結果を出力する。
【0021】
また、本発明のカード処理装置は、上記変換部を含むデータ読取装置と、磁気データが非可逆変換されたデータを記憶する記憶部と、出力部から出力されたデータと、記憶部に記憶されたデータとを比較する比較部とを備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、直接リード線が接続されるという不正行為が行われた場合に、磁気情報が不正に取得されるのを防止することが可能なデータ読取装置およびそれを備えたカード処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態によるカード処理装置およびATMの構成を示したブロック図である。
【図2】図1のカード処理装置の概略を示した側面図である。
【図3】図2のカード処理装置のカード挿入検出部を説明するための図である。
【図4】図3のカード挿入検出部の読取部と、挿入された磁気カードの磁気ストライプとの位置関係を説明するための図である。
【図5】図3のカード挿入検出部の磁気ヘッドの再生信号を説明するための波形図である。
【図6】図2のカード処理装置の構成を示したブロック図である。
【図7】第1実施形態によるカード処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】第1実施形態によるカード処理装置の動作を説明するための側面図である。
【図9】第1実施形態によるカード処理装置の動作を説明するための側面図である。
【図10】第1実施形態によるカード処理装置の動作を説明するための側面図である。
【図11】本発明の第2実施形態によるカード処理装置の構成を示したブロック図である。
【図12】図11のカード処理装置のカード挿入検出部を説明するための図である。
【図13】図12のカード挿入検出部の読取部と、挿入された磁気カードの磁気ストライプとの位置関係を説明するための波形図である。
【図14】図12のカード挿入検出部の磁気ヘッドの再生信号を説明するための図である。
【図15】本発明の第3実施形態によるカード処理装置およびカードゲート装置の構成を示したブロック図である。
【図16】図2のカード処理装置の磁気データ読取部を説明するための図である。
【図17】第2実施形態の変形例による読取部と、挿入された磁気カードの磁気ストライプとの位置関係を説明するための図である。
【図18】第3実施形態の変形例による磁気データ読取部を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第1〜第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
(第1実施形態)
まず、図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態によるカード処理装置100およびATM(Automated Teller Machine:現金自動預け払い機)150の構成について説明する。
【0026】
ATM150は、図1に示すように、ATM本体151と、電源152と、カード処理装置100とを備えている。ATM150は、現金の引き出しなどの取引を利用者が行うために、金融機関などに設置されている。
【0027】
第1実施形態によるカード処理装置100は、ATM150に設けられており、電源152から電力が供給されている。このカード処理装置100は、利用者により挿入された磁気カード160の磁気ストライプ161に対して、所定の処理を施すように構成されている。
【0028】
具体的には、カード処理装置100は、磁気カード160の磁気ストライプ161に記録された磁気データを読み取り、その読み取ったデータをATM本体151に送信する。また、カード処理装置100は、ATM本体151から送信されたデータを受信し、その受信したデータを磁気カード160の磁気ストライプ161に書き込む。
【0029】
なお、磁気ストライプ161には、3つのトラックが設けられており、各トラックには、たとえば、F2F(Two Frequency Coherent Phase Encoding)方式を用いて磁気データが記録されている。
【0030】
カード処理装置100は、図2に示すように、筐体1と、搬送ローラ2a〜2dと、カード位置検出部3a〜3cと、読取/書込ヘッド4と、シャッタ部材5と、シャッタ位置検出部6と、カード挿入検出部7とを含んでいる。なお、カード挿入検出部7は、本発明の「データ読取装置」の一例である。
【0031】
筐体1には、矢印X2方向側の端部に磁気カード160が挿入される挿入口1aが設けられている。搬送ローラ2a〜2dは、それぞれ、搬送路Pを挟んで上下一対に設けられており、磁気カード160を挿入方向(矢印X1方向)および排出方向(矢印X2方向)に搬送する。
【0032】
カード位置検出部3a〜3cは、たとえば、フォトインタラプタであり、搬送路P上の磁気カード160の位置を検出する。読取/書込ヘッド4は、挿入された磁気カード160に対してデータの読み取りや書き込みを行う。
【0033】
シャッタ部材5は、挿入口1aを開閉するために、開方向(矢印Z1方向)および閉方向(矢印Z2方向)に移動可能に設けられている。シャッタ位置検出部6は、たとえば、マイクロスイッチであり、シャッタ部材5が閉状態の位置まで移動したことを検出する。
【0034】
カード挿入検出部7は、図3に示すように、磁気ヘッド70の内部に設けられている。そして、磁気ヘッド70は、矢印Z1方向および矢印Z2方向(図2参照)に移動可能に設けられている。具体的には、磁気ヘッド70は、挿入口1a内に突出しており、磁気カード160が挿入口1aに挿入された場合に、磁気カード160の磁気ストライプ161(図1参照)と接触した状態で矢印Z1方向に退避する。なお、磁気ヘッド70には、磁気ストライプ161(図1参照)の各トラック毎にカード挿入検出部7が設けられている。
【0035】
また、磁気ヘッド70は、図4に示すように、磁気カード160が挿入口1aに挿入された場合における磁気ストライプ161のトラック161aの延びる方向、すなわち、磁気データの記録方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に対して直交するように配置されている。
【0036】
カード挿入検出部7は、図3に示すように、読取部71と、復号部72と、変換回路73と、出力部74とを含んでいる。なお、変換回路73は、本発明の「変換部」の一例である。読取部71は、ギャップ71aが形成されたコア71bと、コイル71cとを有しており、磁気カード160に記録された磁気データを読み取る。
【0037】
読取部71では、磁気カード160が挿入口1aに挿入された場合に、磁気カード160の磁化パターンによりコア71bが磁化されることによって、コイル71cに電流が流れる。これにより、読取部71は、たとえば、図5に示すような再生信号を復号部72に出力する。なお、図5では、簡略化のために再生信号の一部を示している。また、実際の再生信号は、磁気カード160の磁気ストライプ161に記録された磁気データによって異なる。
【0038】
復号部72は、所定の周期毎に検出パルスの有無を判定することにより、再生信号を2値データ(図5の例では、「101011010」)に復号する。変換回路73は、復号部72により復号されたデータから所定のデータを抽出することにより、磁気カード160から読み取った磁気データを非可逆変換する。たとえば、復号部72により復号されたデータが「101011010」である場合に、そのデータを3ビット毎に抽出(サンプリング)することにより「100」に変換する。この変換データ「100」から元のデータ「101011010」を復元することは不可能である。出力部74は、変換回路73により非可逆変換されたデータを後述する制御部11に出力する。すなわち、出力部74は、磁気カード160に記録された磁気情報に復元することが不可能なデータを制御部11に出力する。
【0039】
また、カード処理装置100は、図6に示すように、搬送ローラ2a〜2dを駆動するモータ8と、シャッタ部材5を移動させるためのソレノイドなどからなるアクチュエータ9と、ATM本体151とデータのやり取りを行うための通信部10と、カード処理装置100の動作を制御する制御部11とを含んでいる。
【0040】
制御部11は、CPU、ROM、およびRAMなどを有する。この制御部11は、カード挿入検出部7から非可逆変換されたデータが入力された場合に、筐体1の挿入口1aに磁気カード160が挿入されたと判断する。なお、制御部11は、カード挿入検出部7から入力される非可逆変換されたデータに基づいて、磁気カード160に記録された磁気情報(磁気データの内容)を知ることができないが、磁気カード160が挿入されたか否かを判断することが可能であればよい。
【0041】
次に、図2、図3および図6〜図10を参照して、本発明の第1実施形態によるカード処理装置100の動作について説明する。なお、図7のフローチャートの各ステップは、制御部11(図6参照)により実行される。
【0042】
まず、カード処理装置100では、図7のステップS1において、カード挿入検出部7(図2参照)の検出結果に基づいて、磁気カード160(図2参照)が筐体1の挿入口1a(図2参照)に挿入されたか否かが判断される。具体的には、変換回路73(図3参照)により非可逆変換されたデータが出力部74(図3参照)から出力されたか否かが判断される。出力部74から非可逆変換されたデータが出力されておらず、磁気カード160が挿入口1aに挿入されていないと判断された場合には、ステップS1が繰り返し行われる。すなわち、カード処理装置100は、磁気カード160が挿入されるまで待機する。そして、出力部74から非可逆変換されたデータが出力されて、磁気カード160が挿入口1aに挿入されたと判断されると、ステップS2に移る。
【0043】
次に、ステップS2において、アクチュエータ9(図6参照)により、シャッタ部材5(図2参照)を開方向(矢印Z1方向)に移動させる。これにより、図8に示すように、シャッタ部材5が搬送路Pから退避するので、挿入口1aが開かれる。次に、ステップS3において、モータ8(図6参照)を駆動することにより、搬送ローラ2a〜2d(図8参照)を正転させる。これにより、磁気カード160が矢印X1方向に搬送されるので、図9に示すように、磁気カード160が筐体1の内部に取り込まれる。なお、挿入口1aは、開かれてから所定の時間経過後にシャッタ部材5により閉じられる。
【0044】
次に、ステップS4において、読取/書込ヘッド4により、筐体1の内部に取り込まれた磁気カード160が破線で示す位置まで搬送される過程で、磁気カード160に対してデータの読み取りや書き込みが行われる。このとき、通信部10(図6参照)を介してATM本体151(図6参照)との通信も行われる。
【0045】
その後、ATM本体151から磁気カード160の排出指令が入力されると、ステップS5において、アクチュエータ9により、シャッタ部材5を矢印Z1方向に移動させる。これにより、図10に示すように、シャッタ部材5が搬送路Pから退避するので、挿入口1aが開かれる。次に、ステップS6において、モータ8を駆動することにより、搬送ローラ2a〜2dを逆転させる。これにより、磁気カード160が矢印X2方向に搬送され、挿入口1aから排出される。
【0046】
次に、ステップS7において、カード挿入検出部7の検出結果に基づいて、磁気カード160が挿入口1aから抜き取られたか否かが判断される。磁気カード160が抜き取られていないと判断された場合には、ステップS7が繰り返し行われる。すなわち、カード処理装置100は、磁気カード160が抜き取られるまで待機する。そして、磁気カード160が抜き取られたと判断されると、挿入口1aがシャッタ部材5により閉じられ、一連の動作が終了する。
【0047】
第1実施形態では、上記のように、読取部71により読み取られた磁気データを非可逆変換する変換回路73と、変換回路73により非可逆変換されたデータを出力する出力部74とを設けることによって、磁気ヘッド70の出力ラインに直接リード線が接続されることにより、出力部74からリード線を介して変換されたデータが不正に取得された場合にも、その変換されたデータから磁気情報(磁気データの内容)を復元することができないので、磁気情報が不正に取得されるのを防止することができる。その結果、第1実施形態によるカード処理装置100では、磁気情報が不正に取得されるのを防止しながら、磁気カード160の挿入を検出して挿入口1aを開くことができる。
【0048】
また、第1実施形態では、復号されたデータから所定のデータを抽出することにより、磁気カード160から読み取った磁気データを非可逆変換することによって、読取部71により読み取った磁気データから復元が不可能なデータを容易に作成することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、磁気カード160から読み取った磁気データを非可逆変換することによって、磁気データを暗号化する場合と異なり、暗号化された磁気データと鍵データとが盗用されることにより、暗号化された磁気データが復号され、磁気情報が不正に取得されるおそれがない。
【0050】
(第2実施形態)
次に、図2および図11〜図14を参照して、本発明の第2実施形態によるカード処理装置200の構成について説明する。
【0051】
第2実施形態によるカード処理装置200は、図11に示すように、カード挿入検出部201と、制御部202とを備えている。なお、カード挿入検出部201は、本発明の「データ読取装置」の一例である。カード処理装置200の構造については、図2と同様であるので、説明は省略する。
【0052】
カード挿入検出部201は、図12に示すように、磁気カード160に記録された磁気データを読み取る読取部203と、読取部203の再生信号を出力する出力部204とを有している。読取部203は、ギャップ203aが形成されたコア203bと、コイル203cとを有する。
【0053】
また、カード挿入検出部201は、磁気ヘッド205の内部に設けられている。なお、磁気ヘッド205には、磁気ストライプ161(図1参照)の各トラック毎にカード挿入検出部201が設けられている。
【0054】
磁気ヘッド205は、図13に示すように、磁気カード160が挿入口1a(図2参照)に挿入された場合における磁気ストライプ161のトラック161aの延びる方向、すなわち、磁気データの記録方向(矢印X1方向および矢印X2方向)に対して傾斜するように配置されている。すなわち、カード挿入検出部201の読取部203は、磁気データの記録方向に対して傾斜するように配置されている。
【0055】
このため、読取部203のギャップ203aが磁気データの記録方向に対して傾斜するように配置されており、読取部203は、磁気カード160に記録された磁気データを複数ビット分同時に読み取る。この場合、磁気ストライプ161に起因してギャップ203aに現れる磁界(A方向成分の磁界)の強度が低下するとともに、隣接するビットのデータが混ざるので、たとえば、磁気カード160に記録された磁気データが「101011010」である場合に、読取部203は、図14に示すような再生信号を出力部204に出力する。この再生信号は、図5に示した本来の再生信号とは著しく異なっており、図14の信号から元のデータを復元することは不可能である。すなわち、読取部203は、磁気カード160に記録された磁気情報に復元することが不可能な状態の信号を読み取る。
【0056】
出力部204は、磁気カード160に記録された磁気情報に復元することが不可能な再生信号を制御部202に出力する。制御部202は、カード挿入検出部201から再生信号が入力された場合に、筐体1の挿入口1aに磁気カード160が挿入されたと判断する。なお、制御部202は、カード挿入検出部201から入力される再生信号に基づいて、磁気カード160に記録された磁気情報(磁気データの内容)を知ることができないが、磁気カード160が挿入されたか否かを判断することが可能であればよい。
【0057】
なお、カード処理装置200のその他の構成は、上記したカード処理装置100と同様である。
【0058】
第2実施形態では、上記のように、磁気データの記録方向に対して傾斜するように磁気ヘッド205および読取部203を設けることによって、磁気ヘッド205の出力ラインに直接リード線が接続されることにより、出力部204からリード線を介して再生信号が不正に取得された場合にも、その再生信号から磁気情報(磁気データの内容)を復元することができないので、磁気情報が不正に取得されるのを防止することができる。その結果、第2実施形態によるカード処理装置200では、磁気情報が不正に取得されるのを防止しながら、磁気カード160の挿入を検出して挿入口1aを開くことができる。
【0059】
また、第2実施形態では、磁気カード160に記録された磁気情報に復元することが不可能な状態の信号を読み取ることによって、容易に、復元が不可能な状態の信号を出力することができる。
【0060】
(第3実施形態)
次に、図15および図16を参照して、本発明の第3実施形態によるカード処理装置300およびカードゲート装置350の構成について説明する。
【0061】
カードゲート装置350は、図15に示すように、ゲート351と、ゲート351の鍵の開閉状態を制御するゲート制御部352と、カード処理装置300とを備えている。
【0062】
第3実施形態によるカード処理装置300は、磁気カード360の磁気データを読み取る磁気データ読取部301と、記憶部302と、比較部303と、通信部304とを含んでいる。なお、磁気データ読取部301は、本発明の「データ読取装置」の一例である。
【0063】
磁気データ読取部301は、図16に示すように、磁気ヘッド310の内部に設けられている。また、磁気データ読取部301は、読取部311と、復号部312と、変換回路313と、出力部314とを含んでいる。なお、読取部311、復号部312、および、出力部314の構成は、それぞれ、第1実施形態(図3)の読取部71、復号部72、および、出力部74と同様である。また、変換回路313は、本発明の「変換部」の一例である。
【0064】
変換回路313は、復号部312により復号されたデータをハッシュ(Hash)関数により非可逆変換する。ここで、ハッシュ関数とは、入力から固定長のデータを出力するものであり、非可逆的な一方向の関数である。このため、変換されたデータから元のデータを復元することは不可能である。出力部314は、変換回路313により非可逆変換されたデータを比較部303に出力する。
【0065】
記憶部302は、たとえば、フラッシュメモリであり、磁気カード360の磁気データがハッシュ関数により非可逆変換されたデータを記憶する。比較部303は、CPU、ROM、およびRAMなどを有し、出力部314から出力されたデータと、記憶部302に記憶されたデータとを比較する。そして、比較部303は、その比較結果を通信部304を介してゲート制御部352に出力する。
【0066】
ゲート制御部352は、通信部304から入力される比較結果に基づいて、ゲート351の鍵の開閉状態を制御する。具体的には、ゲート制御部352は、出力部314から出力されたデータと、記憶部302に記憶されたデータとが一致するとの比較結果が入力された場合に、ゲート351の鍵の開閉状態を切り替える。その一方、ゲート制御部352は、出力部314から出力されたデータと、記憶部302に記憶されたデータとが一致しないとの比較結果が入力された場合に、ゲート351の鍵の開閉状態を維持する。
【0067】
第3実施形態では、上記のように、読取部311により読み取られた磁気データを非可逆変換する変換回路313と、変換回路313により非可逆変換されたデータを出力する出力部314とを設けることによって、磁気ヘッド310の出力ラインに直接リード線が接続されることにより、出力部314からリード線を介して変換されたデータが不正に取得された場合にも、その変換されたデータから磁気情報(磁気データの内容)を復元することができないので、磁気情報が不正に取得されるのを防止することができる。その結果、第3実施形態によるカード処理装置300では、磁気情報が不正に取得されるのを防止しながら、磁気カード360を認証することができる。
【0068】
また、第3実施形態では、復号されたデータをハッシュ関数により非可逆変換することによって、読取部311により読み取った磁気データから復元が不可能なデータを容易に作成することができる。
【0069】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記第1実施形態では、復号されたデータから所定のデータを抽出することにより非可逆変換する示したが、これに限らず、復号されたデータをハッシュ関数により非可逆変換してもよい。また、上記第3実施形態では、復号されたデータをハッシュ関数により非可逆変換する示したが、これに限らず、復号されたデータから所定のデータを抽出することにより非可逆変換してもよい。
【0070】
また、上記第1実施形態では、所定のデータを抽出することにより非可逆変換する変換回路73を設ける例を示したが、これに限らず、変換回路73を設けることなく、読取部71により磁気データが読み取られた場合に、磁気カード160が挿入された旨を示す所定の信号を出力部74が出力するようにしてもよい。
【0071】
また、上記第2実施形態では、磁気データの記録方向に対して傾斜するように磁気ヘッド205および読取部203を設ける例を示したが、これに限らず、図17に示す第2実施形態の変形例のように、磁気データの記録方向に対して傾斜するように形成されたギャップ400を有する読取部401が、磁気データの記録方向に対して直交するように配置された磁気ヘッド402に設けられていてもよい。
【0072】
また、上記第3実施形態では、読取部311と、復号部312と、変換回路313と、出力部314とを含む磁気データ読取部301を示したが、これに限らず、図18に示す第3実施形態の変形例による磁気データ読取部500のように、記憶部315および比較部316がさらに設けられていてもよい。記憶部315および比較部316の構成は、それぞれ、上記した図15の記憶部302および比較部303と同様である。そして、出力部314は、比較部316による比較結果を出力する。このように構成すれば、磁気データ読取部500の秘匿性をより向上させることができる。
【0073】
また、上記第3実施形態では、読取部311の構成が第1実施形態(図3)の読取部71と同様である例を示したが、これに限らず、読取部311の構成が第2実施形態(図12)の読取部203と同様であってもよい。この場合、復号部312および変換回路313を省略するとともに、記憶部302に磁気情報に復元することが不可能な再生信号が記憶されていればよい。
【0074】
また、上記第1実施形態では、磁気ストライプ161に3つのトラックが設けられる例を示したが、これに限らず、磁気ストライプ161に設けられるトラックが2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0075】
また、上記第1実施形態では、読取部71がコア71bとコイル71cとを有する例を示したが、これに限らず、読取部が磁気抵抗素子などのその他の磁気センサを有していてもよい。なお、第2および第3実施形態についても同様である。
【0076】
また、上記第2実施形態では、読取部203が磁気ストライプ161の1つのトラック161aの磁気データを読み取る例を示したが、これに限らず、読取部203が磁気ストライプ161の3つのトラック161aの磁気データを同時に読み取るようにしてもよい。
【0077】
また、上記第3実施形態において、記憶部302が記憶する非可逆変換されたデータを、ゲート制御部352から通信部304を介して提供されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1a 挿入口
5 シャッタ部材
7、201 カード挿入検出部(データ読取装置)
71、203、311、401 読取部
73、313 変換回路(変換部)
74、204、314 出力部
11、202 制御部
100、200、300 カード処理装置
160、360 磁気カード
301、500 磁気データ読取部(データ読取装置)
302、315 記憶部
303、316 比較部
400 ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気カードに記録された磁気データを読み取る読取部と、
前記読取部により磁気データが読み取られた場合に信号を出力する出力部と、を備えたデータ読取装置において、
前記出力部は、前記読取部により磁気データが読み取られた場合に、磁気カードに記録された磁気情報の復元が不可能な状態の信号を出力する、ことを特徴とするデータ読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ読取装置において、
前記読取部により読み取られた磁気データを非可逆変換する変換部をさらに備え、
前記出力部は、前記変換部により非可逆変換されたデータを出力する、ことを特徴とするデータ読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ読取装置において、
前記変換部は、前記読取部により読み取られた磁気データをハッシュ関数により非可逆変換する、ことを特徴とするデータ読取装置。
【請求項4】
請求項2に記載のデータ読取装置において、
前記変換部は、前記読取部により読み取られた磁気データから所定のデータを抽出することにより非可逆変換する、ことを特徴とするデータ読取装置。
【請求項5】
請求項1に記載のデータ読取装置において、
前記読取部は、磁気カードに記録された磁気データの記録方向に対して傾斜するように設けられており、磁気カードに記録された磁気データを読み取る際に、複数単位のデータを同時に読み取る、ことを特徴とするデータ読取装置。
【請求項6】
請求項1に記載のデータ読取装置において、
前記読取部は、磁気カードに記録された磁気データの記録方向に対して傾斜するように形成されたギャップを有しており、磁気カードに記録された磁気データを読み取る際に、複数単位のデータを同時に読み取る、ことを特徴とするデータ読取装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のデータ読取装置を備えることを特徴とするカード処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載のカード処理装置において、
磁気カードが挿入される挿入口と、
前記挿入口を開閉するためのシャッタ部材と、
前記シャッタ部材の移動を制御する制御部と、をさらに備え、
前記読取部は、前記挿入口に設けられており、前記挿入口に磁気カードが挿入された場合に、磁気カードに記録された磁気データを読み取り、
前記出力部は、前記読取部により磁気データが読み取られた場合に、前記復元が不可能な状態の信号を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記復元が不可能な状態の信号が入力された場合に、前記挿入口を開くように前記シャッタ部材を移動させる、ことを特徴とするカード処理装置。
【請求項9】
磁気カードに記録された磁気データを読み取る読取部と、
前記読取部により磁気データが読み取られた場合に信号を出力する出力部と、を備えたデータ読取装置において、
磁気データが非可逆変換されたデータを記憶する記憶部と、
前記読取部により読み取られた磁気データを非可逆変換する変換部と、
前記変換部により非可逆変換されたデータと、前記記憶部に記憶されたデータとを比較する比較部と、をさらに備え、
前記出力部は、前記比較部による比較結果を出力する、ことを特徴とするデータ読取装置。
【請求項10】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載のデータ読取装置と、
磁気データが非可逆変換されたデータを記憶する記憶部と、
前記出力部から出力されたデータと、前記記憶部に記憶されたデータとを比較する比較部と、を備えることを特徴とするカード処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−100404(P2011−100404A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256252(P2009−256252)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】