説明

データ転送システムおよびLSIテスタ

【課題】制御装置によりレジスタへデータ設定を行なうのに要する時間を短縮することができるデータ転送技術を提供する。
【解決手段】複数のチャンネルを有する複数の半導体装置と、複数のレジスタを有し、これらのレジスタに設定されたデータを半導体装置へ転送するデータ転送制御部と、複数のレジスタへ順次データを設定する制御装置とを備えたシステムにおいて、前記複数のレジスタは、複数のチャンネルのそれぞれに対応したデータを設定するための複数の第1レジスタと、半導体装置の複数のチャンネルに共通のデータを設定するための第2レジスタと、を含み、第2レジスタは、複数の第1レジスタのそれぞれに対応して設けられた複数のダミーレジスタと、該複数のダミーレジスタに設定されたデータが転写される共通レジスタとを有し、ダミーレジスタはそれぞれ対応する第1レジスタと連続したアドレス領域に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号や電圧、電流等を処理または生成する回路を複数備えるとともに各回路毎に動作条件やパラメータ等を設定可能なレジスタを備えたデータ転送システムにおけるレジスタへの設定のためのデータ転送技術に関し、例えば半導体メモリや半導体集積回路(IC,LSI)等を検査するLSIテスタにおいてテスト制御装置からテスト実行装置内のレジスタへのデータ設定に利用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、論理LSI等の被検査デバイス(DUT)に対してテストパターン信号を入力し、このテストパターン信号に応じて被検査デバイスより出力された信号と期待値とを比較して、被検査デバイスが正常に動作するか否かを検査するLSIテスタがある。また、LSIテスタには、図3に示すように、テスタコントローラTSCを備え、テストパターンデータやタイミングを発生する制御装置としてのテスタ本体10と、ピンエレクトロニクス20を有するテストヘッドと呼ばれるテスト実行装置とから構成されているものがある。
【0003】
ピンエレクトロニクス20は、テスタ本体10から供給されたテストパターンデータを格納するパターンメモリ21や、格納されたパターンデータに基づいて被検査デバイスDUTへ入力するテストパターンを発生するパターン発生器22、および該テストパターンに基づいて被検査デバイスDUTへ印加するテスト信号を生成し出力するドライバ回路23、テスタ本体10によって電圧レベルデータが設定されるレジスタ24a,24b、該レジスタの値に基づいてドライバ回路23へ供給する電圧を生成して被検査デバイスDUTへ印加する信号のハイレベルVIHとロウレベルVILを規定するDA変換器25a,25bなどを備えている。
【特許文献1】特開2006−3227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被検査デバイスには同時にテスト信号を入力したいピンを数10本有するものがあり、ピンエレクトロニクスにはそのような被検査デバイスのテストを行なえるようにするため数10〜数100個のDA変換器が搭載されることがある。その場合、DA変換器の出力電圧値やオフセット補正値、ゲイン等を設定するためのレジスタもDA変換器の数に応じて設けられる。そして、テスタコントローラはそれらのレジスタに予めデータを設定する必要がある。
【0005】
また、複数のDA変換器を内蔵した半導体デバイスが市場に提供されているが、市販の半導体デバイス1つではテスタに必要なDA変換器の数が充分でないことが多く、その場合複数の半導体デバイスがピンエレクトロニクスに実装される。本発明者らは、複数のDA変換器を内蔵した複数の半導体デバイスを実装したピンエレクトロニクスのレジスタに、テスタコントローラから設定を行なう場合、図4に示すような方式で行なうことを検討した。
【0006】
図4の方式を簡単に説明する。なお、本明細書においては、同一系統の信号や電圧、電流等を処理または生成する回路(上記の場合にはDA変換器)を複数備える場合に、1つ1つの処理(生成)回路およびその動作条件やパラメータ等を設定するレジスタ等の組合せをチャンネルと称する。図4には、一例として各々4つのチャンネルCH1〜CH4を有するデバイス30を2つ備えたシステムが示されている。最終的にデータを設定したいのはデバイス30の各チャンネル内のレジスタであるが、コントローラTSCがデバイス30内の4つのチャンネルのレジスタに直接設定を行なっていたのでは効率が悪い。
【0007】
そこで、図4では、デバイス30の前段にバッファ用のレジスタ群41A,41Bを有するデバイス制御部40を設け、コントローラTSCはデバイス制御部40のバッファ用レジスタ群41A,41Bへ設定を行ない、デバイス30内のレジスタにはデバイス制御部40がバッファ用レジスタ群41A,41Bの設定データを転送することでコントローラのスループットを向上させるように構成されている。なお、レジスタ群41A,41B内のREG1−1〜REG1−4とREG2−1〜REG2−4は、デバイスの各チャンネルに対応したレジスタ群、CREG1,CREG2は各デバイス毎にチャンネル共通のデータを設定するための共通レジスタである。
【0008】
図4のシステムでは、コントローラTSC側からデバイスを見た場合、デバイス1と2の区別はなく、8個のチャンネルが存在しているように見えており、デバイス1のチャンネルCH1〜4の設定を行なうときは、レジスタ群REG1−1〜REG1−4のそれぞれと共通レジスタCREG1に設定を行ない、デバイス2のチャンネルCH1〜4の設定を行うときは、レジスタ群REG2−1〜REG2−4のそれぞれと共通レジスタCREG2に設定を行なう必要がある。
【0009】
しかも、図4のシステムでは、図2(B)に示すように、チャンネル毎レジスタ群REG1−1〜REG1−4,REG2−1〜REG2−4と共通レジスタCREG1,CREG2とはアドレス空間上で離れた位置にある。そのため、共通レジスタCREG1とCREG2に設定を行なう際には、選択するレジスタを特定するためにコントローラTSCがアドレス演算を行なわなくてはならない。その結果、デバイス制御部40内のレジスタへのデータ設定に時間がかかるという課題がある。
【0010】
図4には、一例として各々4つのチャンネルCH1〜CH4を有するデバイス30を2つ備えたシステムが示されているが、実際のテスタでは数10チャンネル有するデバイスが複数個設けられるため、上記アドレス演算の回数も多くなって演算に要する時間がかなり大きくなり、システムのスループットを低下させる要因となる。なお、コントローラによりピンエレクトロニクスに設けられているレジスタへデータ設定を行なうようにしたテスタに関する発明としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
【0011】
本発明の目的は、動作条件やパラメータ等を設定するレジスタを有するチャンネルを複数備えるシステムにおいて、制御装置によりレジスタへデータ設定を行なうのに要する時間を短縮することができるデータ転送技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、複数のチャンネルを有する複数の半導体装置と、前記チャンネルを構成する回路の動作条件やパラメータを与えるデータを設定する複数のレジスタを有し、これらのレジスタに設定されたデータを前記半導体装置へ転送するデータ転送制御部と、前記複数のレジスタへ順次データを設定する制御装置と、を備えたデータ転送システムであって、前記複数のレジスタは、前記複数のチャンネルのそれぞれに対応したデータを設定するための複数の第1レジスタと、前記半導体装置の複数のチャンネルに共通のデータを設定するための第2レジスタと、を含み、前記第2レジスタは、前記複数の第1レジスタのそれぞれに対応して設けられた複数のダミーレジスタと、該複数のダミーレジスタに設定されたデータが転写される共通レジスタとを有し、前記複数のダミーレジスタはそれぞれ対応する第1レジスタと連続したアドレス領域に配置されるように構成したものである。
【0013】
上記した構成によれば、制御装置(コントローラ)は共通レジスタへデータを設定する際にアドレス演算を行なう必要がなくなり、制御装置の負担を減らしてデータ設定を行なうのに要する時間を短縮することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記複数のチャンネルは、各々DA変換器と該DA変換器の動作条件やパラメータを与えるデータを設定するレジスタとを有するようにしたものである。これにより、複数のDA変換器を備えたシステムにおいて、DA変換器の動作条件やパラメータ等を与えるレジスタへデータを設定するのに要する時間を短縮することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、複数のチャンネルを有する複数の半導体装置と、前記チャンネルを構成する回路の動作条件やパラメータを与えるデータを設定する複数のレジスタを有し、これらのレジスタに設定されたデータを前記半導体装置へ転送するデータ転送制御部と、を有するテスト実行装置と、前記複数のレジスタへ設定するデータを順次出力するテスト制御装置と、を備えたLSIテスタであって、前記複数のレジスタは、前記複数のチャンネルのそれぞれに対応したデータを設定するための複数の第1レジスタと、前記半導体装置の複数のチャンネルに共通のデータを設定するための第2レジスタと、を含み、前記第2レジスタは、前記複数の第1レジスタのそれぞれに対応して設けられた複数のダミーレジスタと、該複数のダミーレジスタに設定されたデータが転写される共通レジスタとを有し、前記複数のダミーレジスタはそれぞれ対応する第1レジスタと連続したアドレス領域に配置されるように構成したものである。
【0016】
上記した構成によれば、テスト制御装置はテスト実行装置側の共通レジスタへデータを設定する際にアドレス演算を行なう必要がなくなり、テスト制御装置の負担を減らしてデータ設定を行なうのに要する時間を短縮することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記複数のチャンネルは、各々DA変換器と該DA変換器の動作条件やパラメータを与えるデータを設定するレジスタを有するようにしたものである。これにより、複数のDA変換器を備えたLSIテスタにおいて、DA変換器の動作条件やパラメータ等を与えるレジスタへデータを設定するのに要する時間を短縮することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記テスト実行装置は、前記テスト制御装置から供給されるテストパターンデータに基づいて被検査デバイスに印加するテスト信号を生成するドライバ回路を備え、前記DA変換器は、前記ドライバ回路の出力のハイレベル側の電圧またはロウレベル側の電圧を生成するように構成したものである。これにより、テスト実行装置が被検査デバイスの複数のピンに印加するテスト信号を生成するドライバ回路を備えている場合に、ドライバ回路が出力するテスト信号のハイレベルとロウレベルを任意に設定できるとともに、ハイレベルとロウレベルを何通りも変えた検査を行なう場合に、検査前のレジスタへのデータ設定に要する時間を短縮して、トータルの検査時間を減少させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、動作条件やパラメータ等を設定するレジスタを有するチャンネルを複数備えるシステムにおいて、制御装置によりレジスタへデータ設定を行なうのに要する時間を短縮することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明に係るLSIテスタの一実施形態を示す。
【0022】
この実施形態のLSIテスタは、図1に示すように、テスタコントローラTSCを備えテストパターンデータを送信するテスト制御装置としてのテスタ本体10と、テスト実行装置として機能するピンエレクトロニクスと呼ばれるテストカード20を複数枚有するテストヘッドとから構成される。また、図1には示されていないが、テストカード20は、テスタ本体10から転送されるテストパターンデータを格納するパターンメモリ、該メモリに格納されたデータに基づいて被検査デバイスに印加するテストパターンを生成するパターンジェネレータを備える。
【0023】
この実施形態では、テスタ本体10は、テストパターンデータを送信する機能の他、テストカード20のレジスタに対して動作条件やパラメータ等の設定、テスト開始指令などを行う機能を有する。テストカード20は、4つのチャンネルCH1〜CH4を備えた2つの半導体デバイス30A,30Bと、これらのデバイス30A,30Bの各チャンネルCH1〜CH4の動作条件やパラメータ等を与えるデータを転送し動作を制御するデータ転送制御部としてのデバイス制御部40とを備えている。
【0024】
デバイス制御部40には、上記デバイス30Aに対応したデバイス毎レジスタ群41Aと、デバイス30Bに対応したデバイス毎レジスタ群41Bとが設けられている。そして、上記デバイス毎レジスタ群41A,41Bには、テスタコントローラTSCによってデバイス30Aの各チャンネルCH1〜CH4の動作条件やパラメータ等を与えるデータが設定されるチャンネル毎レジスタ群REG1−1〜REG1−4と、4つのチャンネルCH1〜CH4に共通のデータが設定されるチャンネル共通レジスタCREG1とが設けられている。さらに、この実施形態においては、上記チャンネル毎レジスタ群REG1−1〜REG1−4と対をなすようにダミーチャンネル共通レジスタDCREG1−1〜DCREG1−4が設けられている。
【0025】
同様に、デバイス毎レジスタ群41Bには、デバイス30Bの各チャンネルCH1〜CH4の動作条件やパラメータ等を与えるデータが設定されるチャンネル毎レジスタ群REG2−1〜REG2−4と、4つのチャンネルCH1〜CH4に共通のデータが設定されるチャンネル共通レジスタCREG2と、上記チャンネル毎レジスタ群REG2−1〜REG2−4と対をなすダミーチャンネル共通レジスタDCREG2−1〜DCREG2−4が設けられている。
【0026】
上記ダミーチャンネル共通レジスタDCREG1−1〜DCREG1−4とチャンネル共通レジスタCREG1およびダミーチャンネル共通レジスタDCREG2−1〜DCREG2−4とチャンネル共通レジスタCREG2は、同一のビット構成を備えている。これとともに、ダミーチャンネル共通レジスタDCREG1−1〜DCREG1−4にデータが設定されると、そのデータはそのままチャンネル共通レジスタCREG1に転送されて同一の値が設定される。また、ダミーチャンネル共通レジスタDCREG2−1〜DCREG2−4にデータが設定されると、そのデータはそのままチャンネル共通レジスタCREG2に転送されて同一の値が設定されるように構成されている。なお、ダミーチャンネル共通レジスタDCREG1−1〜DCREG1−4に設定されるデータは同一、ダミーチャンネル共通レジスタDCREG2−1〜DCREG2−4に設定されるデータも同一である。
【0027】
さらに、上記チャンネル毎レジスタ群REG1−1〜REG1−4に設定されたデータは上記デバイス30Aの対応するチャンネルCH1〜CH4内のレジスタに転送され、チャンネル共通レジスタCREG1に転写されたデータはデバイス30Aの4つのチャンネルCH1〜CH4内のレジスタに同時に転送される。上記チャンネル毎レジスタ群REG2−1〜REG2−4に設定されたデータは上記デバイス30Bの対応するチャンネルCH1〜CH4内のレジスタに転送され、チャンネル共通レジスタCREG2に転写されたデータはデバイス30Bの4つのチャンネルCH1〜CH4内のレジスタに同時に転送される。
【0028】
ここで、デバイス制御部30内のレジスタからデバイス30A,30B内のレジスタへデータ転送するのに要する時間よりも、テスタコントローラTSCからデバイス制御部30内のレジスタへデータ転送するのに要する時間の方が短くて済むようになっている。これにより、テストカード20内のデータ転送速度がテスタコントローラとテストカード間のデータ転送速度よりも遅い場合にも、テスタコントローラTSCはデバイス制御部30内のデータ転送速度に合わせてゆっくりとデータを転送する必要がなくなる。つまり、デバイス制御部30がバッファとして機能することによりテスタコントローラTSCのスループットが向上するようになる。
【0029】
また、この実施形態では、チャンネル毎レジスタ群REG1−1〜REG1−4に対応してダミーチャンネル共通レジスタDCREG1−1〜DCREG1−4を設け、チャンネル毎レジスタ群REG2−1〜REG2−4に対応してダミーチャンネル共通レジスタDCREG2−1〜DCREG2−4を設けている。そして、図2(A)に示すように、チャンネル毎レジスタ群REG1−1とダミーチャンネル共通レジスタDCREG1−1を、アドレス空間において同一の領域A1すなわち連続したアドレスに配置する。
【0030】
また、同様に、REG1−2とDCREG1−2をアドレス空間の同一領域A2に、REG1−3とDCREG1−3をアドレス空間の同一領域A3に、REG1−4とDCREG1−4をアドレス空間の同一領域A4に、それぞれ配置する。さらに、REG2−1とDCREG2−1をアドレス空間の同一領域に、REG2−2とDCREG2−2をアドレス空間の同一領域に、REG2−3とDCREG2−3をアドレス空間の同一領域に、REG2−4とDCREG2−4をアドレス空間の同一領域に、それぞれ配置する。これによって、テスタコントローラTSCは、チャンネル共通レジスタCREG1,CREG2のデータを設定する際に、設定するレジスタを指定するアドレスを演算によって求める必要がなく、単にアドレスカウンタを更新するだけでよい。そのため、テスタコントローラTSCの負担が軽減され、レジスタへのデータ設定に要する時間を短縮することができるようになる。
【0031】
次に、上記デバイス40のチャンネルの具体的な例について説明する。チャンネルの一例としては、例えば図3に示すようなDA変換器25a,25bとその動作条件やパラメータ等を設定するレジスタ群24a,24bの組合せがある。
【0032】
ピンエレクトロニクスと呼ばれるテストカード20には、テスタ本体10のテスタコントローラTSCから供給されたテストパターンデータを格納するパターンメモリ21や、格納されたパターンデータに基づいて被検査デバイスDUTへ入力するテストパターンを発生するパターン発生器22、および該テストパターンに基づいて被検査デバイスDUTへ印加するテスト信号を生成し出力するドライバ回路23が設けられている。
【0033】
さらに、このドライバ回路23から出力するテスト信号のハイレベルとロウレベルは、ある範囲内で任意に設定することができるように構成されており、そのため電圧レベルデータが設定されるレジスタ群24a,24bと、該レジスタへの設定データに基づいてドライバ回路へ供給する電圧を生成して被検査デバイスDUTへ印加する信号のハイレベルVIHとロウレベルVILを規定するDA変換器25a,25bが設けられている。レジスタ群24aとDA変換器25a、レジスタ群24bとDA変換器25bがそれぞれ1つのチャンネルを構成している。
【0034】
上記のような構成を有するピンエレクトロニクスを備えたLSIテスタにおいて、ドライバ回路が出力するテスト信号のハイレベルとロウレベルを何通りも変えた検査を行なう場合、各検査の実行前にデバイス制御部内のレジスタ群24a,24bへデータを設定し直す必要があるが、前記実施形態を適用することによりレジスタへのデータ設定に要する時間を短縮し、トータルの検査時間を減少させることができる。
【0035】
図3にはチャンネルが2つ分しか示されていないが、被検査デバイスには数10本のピンを有するものがあり、それらのピンに同時にテスト信号を印加して検査したり複数の被検査デバイスを同時に検査できるようにするため、テストカードには数10〜数100個のDA変換器を含むチャンネルが設けられることがある。そのため、LSIテスタを構成するテストカードには、図1に示すように、複数のチャンネルを内蔵するデバイス30が複数個使用される。
【0036】
レジスタ群24a,24bに設定されるチャンネル毎のデータとしては、DA変換器の出力値、ゲイン、オフセット補正値等があり、レジスタ群24a,24bに設定されるチャンネル共通データとしては、デバイス全体のオフセット補正値、リセット信号やロード信号の制御ビット、温度センサなどからの検出信号に基づくアラームクリアの制御ビット等を含むコントロールレジスタの設定データ等がある。
【0037】
また、チャンネルの例としては、被検査デバイスから出力される信号を判定するコンパレータの比較電圧を発生するDA変換器とレジスタ群との組合せ、被検査デバイスの各ピンのDC測定を行うための電圧や電流を生成するための電圧を発生するDA変換器とレジスタ群との組合せ(SVI)、基準となる信号に基づいてリセット信号やトリガ信号などを所定のタイミングで出力するためのシリアルリレーと各信号のタイミング(遅延)を規定するデータを設定するためのレジスタ群の組合せ、などがある。
【0038】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、4つのチャンネルを有するデバイスを2個使用した場合のLSIテスタシステムを説明したが、1つのデバイスに内蔵されるチャンネルは4つに限定されるものではないし、デバイスの数も2個に限定されるものでない。
【0039】
また、以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるLSIテスタに適用した場合を説明したが、信号や電圧、電流等を処理または生成する回路を複数備えるとともに各処理(生成)回路毎の動作条件やパラメータ等を設定可能なレジスタ群を備えたシステムに広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るデータ転送システムの一実施形態であるLSIテスタにおけるテストカード内の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】(A)は本発明の一実施形態であるLSIテスタにおけるデバイス制御部内のレジスタ群のアドレス空間内での配置を示す説明図、(B)は本発明に先立って検討したLSIテスタにおけるデバイス制御部内のレジスタ群のアドレス空間内での配置を示す説明図である。
【図3】LSIテスタを構成するテストカードとしてのピンエレクトロニクスカードの具体的な構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明に先立って検討したLSIテスタにおけるレジスタへのデータ設定方式を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
10 テスタ本体
20 テストカード(ピンエレクトロニクス)
21 パターンメモリ
22 パターン発生器
23 ドライバ回路
24a,24b レジスタ
25a,25b DA変換器
30A,30B 複数チャンネルを有するデバイス(半導体装置)
40 デバイス制御部(データ転送制御部)
41A,41B デバイス毎レジスタ群
TSC テスタコントローラ(制御装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネルを有する複数の半導体装置と、
前記チャンネルを構成する回路の動作条件やパラメータを与えるデータを設定する複数のレジスタを有し、これらのレジスタに設定されたデータを前記半導体装置へ転送するデータ転送制御部と、
前記複数のレジスタへ順次データを設定する制御装置と、を備えたデータ転送システムであって、
前記複数のレジスタは、前記複数のチャンネルのそれぞれに対応したデータを設定するための複数の第1レジスタと、前記半導体装置の複数のチャンネルに共通のデータを設定するための第2レジスタと、を含み、
前記第2レジスタは、前記複数の第1レジスタのそれぞれに対応して設けられた複数のダミーレジスタと、該複数のダミーレジスタに設定されたデータが転写される共通レジスタとを有し、前記複数のダミーレジスタはそれぞれ対応する第1レジスタと連続したアドレス領域に配置されていることを特徴とするデータ転送システム。
【請求項2】
前記複数のチャンネルは、各々DA変換器と該DA変換器の動作条件やパラメータを与えるデータを設定するレジスタとを有することを特徴とする請求項1に記載のデータ転送システム。
【請求項3】
複数のチャンネルを有する複数の半導体装置と、前記チャンネルを構成する回路の動作条件やパラメータを与えるデータを設定する複数のレジスタを有し、これらのレジスタに設定されたデータを前記半導体装置へ転送するデータ転送制御部と、を有するテスト実行装置と、
前記複数のレジスタへ設定するデータを順次出力するテスト制御装置と、
を備えたLSIテスタであって、
前記複数のレジスタは、前記複数のチャンネルのそれぞれに対応したデータを設定するための複数の第1レジスタと、前記半導体装置の複数のチャンネルに共通のデータを設定するための第2レジスタと、を含み、
前記第2レジスタは、前記複数の第1レジスタのそれぞれに対応して設けられた複数のダミーレジスタと、該複数のダミーレジスタに設定されたデータが転写される共通レジスタとを有し、前記複数のダミーレジスタはそれぞれ対応する第1レジスタと連続したアドレス領域に配置されていることを特徴とするLSIテスタ。
【請求項4】
前記複数のチャンネルは、各々DA変換器と該DA変換器の動作条件やパラメータを与えるデータを設定するレジスタを有することを特徴とする請求項3に記載のLSIテスタ。
【請求項5】
前記テスト実行装置は、前記テスト制御装置から供給されるテストパターンデータに基づいて被検査デバイスに印加するテスト信号を生成するドライバ回路を備え、
前記DA変換器は、前記ドライバ回路の出力のハイレベル側の電圧またはロウレベル側の電圧を生成することを特徴とする請求項4に記載のLSIテスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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