説明

データ送受信システム

【課題】 パソコンや専用の端末、再生装置等を用いなくても、画像の再生を可能にするデータ送受信システムを提供する。
【解決手段】 IP電話機3Bが接続されている、受信者のルータ3Aから動画受信のアクセスがあると、コンテンツ管理サーバ20は、この受信者のIPアドレスにより、この受信者のIP電話機3Bの電話番号を、SIPサーバ30を使用して取得する。そして、コンテンツ管理サーバ20は、SIPサーバ30から取得したIP電話機3Bの電話番号と、あらかじめ指定されている送信者のIP電話機1Bの電話番号とを基に、SIPサーバ30に対して動画データの送信を指示する。SIPサーバ30は、コンテンツ管理サーバ20から受け取った指示に含まれるIPアドレスに対して、指示された動画データを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像等のデータを送受信するためのデータ送受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルムービーカメラ等によって撮影された映像等の動画データ(動画ファイル)は、インターネットを活用することで、自宅に居ながらにして送信したい相手に送ることができる。受信側でも、同様にインターネットを経由して、動画データを受信することができる。
【0003】
動画データを相手に送信するために、
a1.電子メールに動画データを添付して送信する
a2.オンラインストレージを利用して動画データ共有する
a3.FTPソフトを利用して動画データを送信する
という方法がある。これらの方法により、動画データを相手先へ送信することができる。動画データの受信者はパソコンでデータを受け取る。受け取った動画データを視聴する場合には、通常、受信者はパソコンで再生する。また、受け取った動画データをテレビで見たい場合、受信者は、CD、DVD等の大容量記憶媒体にコピーし、その媒体をDVDレコーダー等で再生する。このような方法によって、動画データの受信者はテレビで映像を視聴している。
【0004】
こうした従来の状況に対して、大容量の動画データを送信する方法としては、次のシステムがある(例えば、特許文献1参照。)。このシステムは、インターネットプロトコル(Internet−Protocol)を用いた電話機(以下、「IP電話機」という)を利用し、接続されたIP電話機に対して動画データを配信する。配信された動画データによりIP電話機が画像を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−110736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の方法やシステムには次の課題がある。上記a1〜a3の方法によれば、受信した動画データを視聴するために、受信者がパソコンを必要とする、という課題がある。また、この方法では、動画データをテレビで見たい場合、CD、DVD等の大容量記憶媒体に、受信した動画データをコピーする必要があり、DVD等を再生する再生装置も必要である。
【0007】
一方、先に述べたシステムでは、動画を表示するために、動画データから動画を表示する機能を持つ、特別なIP電話機を必要とする。つまり、このシステムでは、専用の表示端末を必要とする、という課題がある。
【0008】
この発明の目的は、前記の課題を解決し、パソコンや専用の端末、再生装置等を用いなくても、画像の再生を可能にするデータ送受信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、インターネットを使用して音声通話を行うIP電話機の電話番号と、この電話番号に対応するIPアドレスとを記憶しているSIPサーバを、画像データを送受信するために利用するデータ送受信システムであって、受信者のIP電話機の電話番号に対応する送信者のIP電話機の電話番号を記憶する第1のデータベースと、前記画像データを送信する送信者のIP電話機の電話番号と、該画像データを受信する受信者のIP電話機の電話番号と、該画像データを識別する識別情報とを、1組にして記憶する第2のデータベースとを記憶する記憶装置と、前記識別情報の画像データを記憶する配信装置と、画像データを受信するためのアクセスが受信者の通信装置からあると、該通信装置のIPアドレスを前記SIPサーバに送信することで該IPアドレスに対応する電話番号を該SIPサーバから受信し、該SIPサーバから得た受信者の電話番号に対応する送信者の電話番号を前記第1のデータベースから取得し、該SIPサーバから得た受信者の電話番号と、該第1のデータベースから得た送信者の電話番号とを基に、画像データの識別情報を第2のデータベースから取得し、該識別情報の画像データを前記IPアドレスに送信する送信指示を前記配信装置に送信する管理装置と、を備え、前記配信装置は、前記管理装置からの送信指示を受け取ると、前記識別情報に対応する画像データを読み出し、指示されたIPアドレスに対して該画像データを送信する、ことを特徴とするデータ送受信システムである。
【0010】
請求項1の発明では、第1の記憶装置が、受信者のIP電話機の電話番号に対応する送信者のIP電話機の電話番号を記憶する第1のデータベースと、画像データを送信する送信者のIP電話機の電話番号と、画像データを受信する受信者のIP電話機の電話番号と、画像データを識別する識別情報とを、1組にして記憶する第2のデータベースとを記憶している。また、第2の記憶装置が記識別情報の画像データを記憶している。こうした状態のときに、管理装置は、画像データを受信するためのアクセスが受信者の通信装置からあると、通信装置のIPアドレスをSIPサーバに送信することでIPアドレスに対応する電話番号をSIPサーバから受信する。この後、管理装置は、SIPサーバから得た受信者の電話番号に対応する送信者の電話番号を第1のデータベースから取得し、SIPサーバから得た受信者の電話番号と、第1のデータベースから得た送信者の電話番号とを基に、画像データの識別情報を第2のデータベースから取得する。この後、管理装置は、識別情報の画像データをIPアドレスに送信する送信指示を第2の記憶装置に送信する。第2の記憶装置は、管理装置からの送信指示を受け取ると、識別情報に対応する画像データを読み出し、指示されたIPアドレスに対して画像データを送信する。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載のデータ送受信システムにおいて、前記管理装置は、画像データと共に該画像データを受信する受信者のIP電話機の電話番号を、送信者の通信装置から受信すると、該通信装置のIPアドレスを前記SIPサーバに送信することで該IPアドレスに対応する電話番号を該SIPサーバから受信し、送信者の該通信装置から受信した電話番号と、該SIPサーバから受信した電話番号と、該画像データの識別情報とを、1組にして前記第2のデータベースに記憶すると共に該画像データを前記配信装置に記憶する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2のいずれか1項に記載のデータ送受信システムにおいて、前記受信者の通信装置には受信装置が接続され、前記受信装置は、テレビと、該テレビによる前記インターネットの利用を可能にするセットトップボックスとを備え、該セットトップボックスは前記通信装置から画像データを受け取ると、該画像データにより画像を該テレビに表示する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、パソコンや専用の端末等を不要にして、画像データを得ることを可能にする。また、この発明によれば、IP電話機の電話番号と通信装置のIPアドレスとを利用して、画像データを得ることができるので、複雑なIDやパスワードを用いるログインのための操作を不要にすることができる。さらに、この発明によれば、画像を視聴する受信者の電話番号として、SIPサーバから得たものを用いるので、セキュリティを強化することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、画像データの送信は、受信者の電話番号と、送信者の通信装置のIPアドレスとで行うことができ、複雑なID・パスワードを用いるログイン処理が不要である。また、この発明によれば、画像データを記憶する際に必要とする送信者の電話番号として、SIPサーバから得たものを用いるので、セキュリティを強化することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、セットトップボックスを介在して、テレビを通信装置に接続することにより、テレビを用いた画像の視聴を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1によるデータ送受信システムを示す構成図である。
【図2】電話帳データベースの一例を示す図である。
【図3】保存データの一例を示す図である。
【図4】配信処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】保存情報データベースの一例を示す図である。
【図6】設定情報データベースの一例を示す図である。
【図7】設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】設定画面の一例を示す図である。
【図9】保存処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】送信ホームページの一例を示す図である。
【図11】視聴処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】動画視聴画面の一例を示す図である。
【図13】動画データの送信を示すタイムチャートである。
【図14】動画データの受信を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、この発明の各実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0018】
(実施の形態1)
この実施の形態によるデータ送受信システムを図1に示す。このデータ送受信システムは、インターネットNWを使用してIP電話機による音声通話を行うIP電話網を、画像データを配信する配信サービスに利用している。図1ではユーザ1〜ユーザ4に対して、データ送受信システムが画像データの配信サービスを提供している。画像データは、コンテンツデータであり、動画を表示するための動画データおよび写真等の静止画を表示するための静止画データ等である。この実施の形態では、画像データとして動画データを例として説明する。
【0019】
まず、ユーザ1〜ユーザ4が持つ各装置について説明する。図1では、ユーザ1はルータ1Aに対してIP電話機1Bとパソコン(PC)1Cとを接続している。ルータ1Aは、パソコン1Cを含むユーザ1のネットワークをインターネットNWに接続するための通信装置であり、インターネットNWによるデータの送受信を可能にする。データの送受信のために、ルータ1Aには固有のIPアドレスが割り当てられている。図1では、ルータ1AのIPアドレスは「11.22.33.3」であ。IP電話機1Bは、インターネットNWを利用して、音声等の送受信を行う。IP電話機1Bには、インターネットNWを利用して通信を行うための、固有の電話番号が割り当てられている。図1では、IP電話機1Bの電話番号は「111−1111」である。同じように、ユーザ2はルータ2Aに対してIP電話機2Bとパソコン(PC)2Cとを接続している。ルータ2AのIPアドレスが「11.22.33.4」であり、IP電話機2Bの電話番号が「111−2222」である。
【0020】
さらに、図1では、ユーザ3はルータ3Aに対してIP電話機3Bと、セットトップボックス(STB)3Cとを接続している。セットトップボックス3Cは、リモコン3Cによって操作される。セットトップボックス3Cは、テレビ3Dと共に用いられる装置であり、テレビ3Dを使用して各種のサービスをインターネットNWから受けることを可能にする。この実施の形態では、セットトップボックス3Cは、ルータ3Aを用いて、インターネットNWに対するテレビ3Dの接続を可能にする機能を、少なくとも持つ。つまり、ユーザ3側では、通信装置であるルータ3Aに対して、セットトップボックス3Cとテレビ3Dとから成る受信装置が接続されている。そして、インターネットNWに対する接続操作等は、セットトップボックス3Cのリモコン3Cによって行われる。
【0021】
ユーザ3のルータ3Aはユーザ1のルータ1Aと同様であり、ルータ3AのIPアドレスは「55.66.77.8」である。また、ユーザ3のIP電話機3Bはユーザ1のIP電話機1Bと同様であり、IP電話機3Bの電話番号は「333−4444」である。
【0022】
同じように、ユーザ4はルータ4Aに対して、IP電話機4Cとセットトップボックス(STB)4Cとを接続している。さらに、セットトップボックス4Cには、テレビ(TV)4Dが接続されている。セットトップボックス4Cはリモコン4Cで操作される。ユーザ4のルータ4AのIPアドレスは「55.66.77.9」であり、IP電話機4Cの電話番号が「333−5555」である。
【0023】
こうしたIP電話機1B〜4BとインターネットNWとSIPサーバ30とから成るIP電話網を利用する、この実施の形態によるデータ送受信システムは、コンテンツ配信サーバ10と、コンテンツ管理サーバ20とを備え、コンテンツ配信サーバ10とコンテンツ管理サーバ20とは、配信サービスを行う配信サービス提供者側に設置されている。次に、コンテンツ配信サーバ10とコンテンツ管理サーバ20とSIPサーバ30とについて説明する。
【0024】
SIPサーバ30は、IP電話サーバであり、IP電話サービスを提供する提供者側に設置されている。SIPサーバ30は、IP電話網を利用する各ユーザ、この実施の形態では、ユーザ1〜ユーザ4のIPアドレスと、このIPアドレスに対応する電話番号とを、電話帳データベースに記憶している。この電話帳データベースの一例を図2に示す。図2の電話帳データベースDB1には、ユーザ14のIPアドレス「11.22.33.3」と、このIPアドレスに対応するIP電話機の電話番号「111−1111」とを1組とし、この1組が1つのデータとして記憶されている。同じように、ユーザ2〜ユーザ4についても、IP電話機と電話番号とが記憶されている。
【0025】
SIPサーバ30は、特定のIPアドレスに対応するIP電話機の電話番号を問い合わせる問合わせメッセージを、インターネットNWから受信すると、電話帳データベースを参照して、このメッセージに含まれるIPアドレスに対応する電話番号を調べる。このとき、SIPサーバ30は、問合わせメッセージに含まれるIPアドレスが電話帳データベースに登録されているかをチェックする。また、SIPサーバ30は、問合わせメッセージにIP電話機の電話番号が含まれていると、この番号が電話帳データベースに登録されているかをチェックする。この後、SIPサーバ30は、問合わせメッセージを送信したコンテンツ管理サーバ20に対して、調べた電話番号を付加した応答メッセージをインターネットNWで送信する。
【0026】
コンテンツ配信サーバ10は、動画データを配信するためのコンピュータである。コンテンツ配信サーバ10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13とを備えている。通信部11は、インターネットNWとのデータの送受信を可能にする。制御部12は、通信部11を経て、コンテンツ管理サーバ20から保存用の動画データを受信すると、この動画データをファイルとして、記憶部13に記憶する。記憶部13に記憶されている保存データの一例を図3に示す。この保存データでは、各ファイル名に応じた動画データが、例えば日付順に記憶されている。日付は動画データの属性データに含まれている。動画データの属性データには、動画のタイトルや、動画データの作成者なども含まれている。コンテンツ配信サーバ10は動画データの記憶が終了すると、動画データのデータ保存の完了通知をコンテンツ管理サーバ20に送信する。
【0027】
コンテンツ配信サーバ10の制御部12は、通信部11を経て、コンテンツ管理サーバ20から配信指示を受信すると、図4に示す、動画データの配信処理を行う。制御部12は、配信処理を開始すると、受信情報である配信指示に含まれるファイル名を調べ(ステップS1)、このファイル名に応じた動画データを、保存データ(図3)から読み出す(ステップS2)。この後、制御部12は、受信情報である配信指示に含まれるIPアドレスを調べる(ステップS3)。次に、制御部12は、ステップS2で読み出した動画データを、ステップS3で調べたIPアドレス宛に、通信部11を経てインターネットNWに送信する(ステップS4)。なお、インターネットNWに接続されたパソコン等に対するデータなどの送受信は、通信部11を経て行われるが、以下では通信部11の記載を省略する。ステップS4が終了すると、制御部12は配信処理を終了する。
【0028】
コンテンツ管理サーバ20は、画像データの配信サービスに関する各種の処理を行うと共に配信サービスに必要とするデータを記憶するコンピュータである。コンテンツ管理サーバ20は、通信部21と、制御部22と、記憶部23とを備えている。通信部21は、コンテンツ配信サーバ10の通信部11と同様に、インターネットNWとのデータの送受信を可能にする。
【0029】
コンテンツ管理サーバ20の記憶部23は、画像データの配信サービスに必要とするデータを記憶する。このために、記憶部23は、制御部22の制御により、動画データの保存情報を、保存情報データベースに記憶する。保存情報データベースの一例を図5に示す。この保存情報データベースDB2では、動画データの保存情報として、動画データを送信した側のIP電話機の電話番号を発信番号とし、動画データを受け取る側のIP電話機の電話番号を着信番号として記憶し、送受信される動画データの識別情報としてファイル名を記憶する。
【0030】
コンテンツ管理サーバ20の記憶部23は、制御部22の制御により、どのユーザに動画を送るかを表す設定情報データベースを記憶する。この設定情報データベースの一例を図6に示す。この設定情報データベースDB3では、動画データを受信するユーザ(受信者)と、このユーザ(受信者)のIP電話機の電話番号とが記憶されている。さらに、このユーザ(受信者)が受け取る、動画データの送信元のIP電話機の電話番号が記憶されている。この設定情報データベースDB3により、例えば、IP電話機の電話番号「333−4444」のユーザ(受信者)は、IP電話機の電話番号「111−1111」のユーザ(送信者)と「111−2222」のユーザ(送信者)とからの動画データを受信する、という関係が表されている。
【0031】
コンテンツ管理サーバ20の制御部22は、動画を視聴するユーザ(受信者)、図1ではユーザ3およびユーザ4による視聴の設定をするために、設定処理を行う。コンテンツ管理サーバ20に対して、視聴の設定をするためのアクセスがユーザ(受信者)からあると、制御部22は、図7に示す設定処理を開始し、設定画面をユーザ(受信者)のテレビ等に表示する(ステップS21)。ステップS21でテレビ等に表示される設定画面の一例を図8に示す。この設定画面には、動画の送信元のユーザ名、このユーザ(送信者)の電話番号を入力する入力欄201〜204が設けられている。さらに、設定画面には、入力欄201〜204に入力されたデータを新規登録するか削除するかを指定するための登録ボタン205、削除ボタン206が設けられている。
【0032】
ステップS21が終了すると、制御部22は、設定画面の操作されたボタンが新規登録であるかどうかを判断する(ステップS22)。ステップS22で、操作されたボタンが新規登録であると、制御部22は、コンテンツ管理サーバ20にアクセスしたユーザ(受信者)の電話番号に対して、設定画面の入力欄201〜204に入力されたデータ、つまり送信元のデータを設定情報データベースに登録する(ステップS23)。一方、ステップS22で、操作されたボタンが削除であると、制御部22は、設定画面の入力欄201〜204に入力されたデータ(送信元のデータ)を設定情報データベースから削除する(ステップS24)。ステップS23またはステップS24が終了すると、制御部22は設定処理を終了する。
【0033】
コンテンツ管理サーバ20の制御部22は、データ送受信用のホームページに対して動画送信のためのアクセスがユーザ(送信者)のパソコンからあると、図9に示す、動画データの保存処理を行う。制御部22は、保存処理を開始すると、通信部21を経て、送信ホームページ(HP)を該当のパソコンに表示する(ステップS41)。なお、インターネットNWに接続されたパソコン等に対するデータなどの送受信は、通信部21を経て行われるが、以下では通信部21の記載を省略する。ステップS41でパソコンに表示される、送信ホームページ(HP)の一例を図10に示す。この送信ホームページには、動画の送り先(受信者)の相手先電話番号、動画のタイトル、送信ファイル、および送り先が電子メールを利用していれば、相手先メールアドレスを入力する入力欄211〜214が設けられている。さらに、送信ホームページには、入力欄211〜214に入力されたデータを保存動画データとして送信するための送信ボタン215が設けられている。
【0034】
ステップS41の後、制御部22は、パソコンから相手先(受信者)の電話番号、動画データのタイトル、動画データ等を受信し(ステップS42)、送信ホームページにアクセスした送信元(送信者)のIPアドレスを調べる(ステップS43)。この後、制御部22は、電話番号を問い合わせる問合わせメッセージを生成し(ステップS44)、この問合わせメッセージにステップS43で調べたIPアドレス、つまり送信元(送信者)のIPアドレスと、相手先(受信者)の電話番号とを付加してSIPサーバ30に送信する(ステップS45)。
【0035】
ステップS45の後、制御部22は、SIPサーバ30から応答メッセージを受信すると(ステップS46)、このメッセージに付加されている電話番号、つまりアクセスしてきた送信元(送信者)のIP電話機の電話番号を発信番号とし、保存動画データが示す相手先(受信者)の電話番号を着信番号とし、さらに、保存動画データが示す送信ファイルの名前をファイル名とし、これらをセットにして保存情報データベースに登録すると共に動画データをコンテンツ配信サーバ10に保存する(ステップS47)。この後、コンテンツ配信サーバ10からのデータ保存の完了通知により、動画データの登録完了をホームページに表示する(ステップS48)。
【0036】
ステップS48が終了すると、制御部22は、保存動画データの相手先メールアドレスの有無を調べる(ステップS49)。ステップS49で電子メールのアドレスがあると、このメールアドレスに対して、画像が登録されたことを表す電子メールを作成する(ステップS50)。ステップS50で作成される電子メールとしては、例えば「”○○”さんから、『○月○日遠足』が登録されました」というようなものがある。制御部22は、ステップS50で作成した電子メールを送信する(ステップS51)。そして、ステップS51が終了するか、また、ステップS49で相手先メールアドレスが無ければ、制御部22は保存処理を終了する。
【0037】
コンテンツ管理サーバ20のデータ送受信用のホームページに対して、動画視聴のアクセスがユーザ(受信者)のテレビ等からあると、制御部22は、図11に示す、動画データの視聴処理を行う。制御部22は、視聴処理を開始すると、アクセスしてきたユーザ(受信者)のIPアドレスを調べる(ステップS61)。この後、制御部22は、電話番号を問い合わせる問合わせメッセージを生成し(ステップS62)、この問合わせメッセージにステップS61で調べたIPアドレス、つまりアクセスしてきたユーザ(受信者)のIPアドレスを付加してSIPサーバ30に送信する(ステップS63)。
【0038】
ステップS63の後、制御部22は、SIPサーバ30から応答メッセージを受信すると(ステップS64)、このメッセージに付加されている電話番号、つまりアクセスしてきた着信先(受信者)のIP電話機の電話番号を調べる(ステップS65)。次に、制御部22は、ステップS65で得た着信先(受信者)の電話番号に対応する送信元電話番号を、設定情報データベースを参照して調べる(ステップS66)。
【0039】
ステップS66が終了すると、制御部22は、ステップS65で得た着信先の電話番号と、ステップS66で得た送信元電話番号との両方にヒットするデータを、保存情報データベースから抽出する(ステップS67)。この後、制御部22は、コンテンツ配信サーバ10に対して、抽出したデータに対応する動画データの有無を問い合わせて、データの有りの通知をコンテンツ配信サーバ10から受け取ることにより、抽出した動画データを確認する(ステップS68)。ステップS68が終了すると、制御部22は、ステップS67で抽出したデータを示す受信ホームページ(動画視聴画面)をテレビ等に表示する(ステップS69)。ステップS69で表示される、受信ホームページの一例を図12に示す。制御部22は、ステップS67で抽出した動画データのファイル名を選択欄221〜224に表示し、動画データの属性データを基に、動画の作成者やタイトル、日付を表示する。
【0040】
ステップS69が終了すると、制御部22は、ユーザ(受信者)のテレビ等から動画選択情報を受信する(ステップS70)。動画選択情報は、ユーザ(受信者)のテレビ等に動画視聴画面が表示された場合に、この画面の選択欄が選択されたときに、選択欄のファイル名を含む情報である。この動画選択情報には、ユーザ(受信者)のIPアドレスなども含まれる。ステップS70の後、制御部22は、動画の配信を指示する配信指示を生成すると共に、この配信指示に対して、動画選択情報を基にして、動画データのファイル名と、ユーザ(受信者)である着信先のIPアドレスとを付加する(ステップS71)。
【0041】
この後、制御部22は、ステップS71で生成した配信指示をコンテンツ配信サーバ10に送信して(ステップS72)、視聴処理を終了する。
【0042】
このように、コンテンツ管理サーバ20は、動画を視聴するための各種の処理を行う。次に、この実施の形態の作用について説明する。
【0043】
まず、動画データの着信先である動画視聴者(受信者)は、送信元である動画送信者を設定する。このために、例えば図1では、ユーザ3は、リモコン3Cを用いてセットトップボックス3Cを操作し、コンテンツ管理サーバ20にアクセスする。これにより、コンテンツ管理サーバ20は設定処理を行う。この処理が行われると、コンテンツ管理サーバ20は、設定画面(図8)を開いたユーザ(受信者)と、このユーザ(受信者)の電話番号と、動画送信者の送信元電話番号とを、設定情報データベースに登録する。例えば、ユーザが図1のユーザ3である場合、設定情報データベースには、ユーザ3に対応して、このユーザ3の電話番号「333−4444」と、動画送信者であるユーザ1の送信元電話番号「111−1111」と、同じく動画送信者であるユーザ2の送信元電話番号「111−2222」とが登録される。
【0044】
こうした設定が終了すると、設定処理を行ったユーザ(受信者)のテレビによる、登録された動画の視聴が可能な状態になる。
【0045】
次に、ユーザ(送信者)が動画データをコンテンツ管理サーバ20に送信する場合について、図13のタイムチャートを参照して説明する。タイムチャートのステップS101で、ユーザはパソコンを操作して、コンテンツ管理サーバ20のデータ送受信用のホームページにアクセスする。この後、ステップS102で、受信者の電話番号、送信する動画データ、動画データのタイトルをアップロードする。これらのステップは、コンテンツ管理サーバ20が行う保存処理のステップS41〜S42に該当する。
【0046】
データがアップロードされると、SIPサーバ30は、タイムチャートのステップS103で、コンテンツ管理サーバ20から入力された受信者の電話番号をチェックする。このステップにより受信者の加入がチェックされる。また、SIPサーバ30は、ステップS104で、転送されたIPアドレスをチェックする。このステップにより送信者の加入がチェックされる。この後、SIPサーバ30は、ステップS105により、転送されたIPアドレスから、送信者の電話番号を返す。これらのステップは、コンテンツ管理サーバ20が行う保存処理のステップS43〜S46と、SIPサーバ30の処理とに該当する。
【0047】
コンテンツ管理サーバ20は、SIPサーバ30から電話番号を受け取ると、タイムチャートのステップS106で、送信者および受信者の両方の電話番号を付加してデータを保存する。この後、ステップS107で、コンテンツ配信サーバ10によるデータの保存が完了すると、ステップS108により、動画送信者に対して、送信完了を通知する。これらのステップは、コンテンツ管理サーバ20が行う保存処理のステップS47、S48に該当する。
【0048】
ここで、動画送信者が電子メールのメールアドレスを送信した場合には、タイムチャートのステップS109により、このメールアドレスに対して、送信有りの通知を行う。このステップは、コンテンツ管理サーバ20が行う保存処理のステップS49〜S51に該当する。
【0049】
この後、ユーザ(受信者)が動画を視聴する場合について、図14のタイムチャートを参照して説明する。タイムチャートのステップS201で、ユーザ(受信者)はリモコンを操作して受信画面を表示し、ステップS202で、テレビは受信ホームページへアクセスする。
【0050】
受信ホームページがアクセスされると、タイムチャートのステップS203で、コンテンツ管理サーバ20は、ユーザ(受信者)のアクセスしてきたIPアドレスをSIPサーバ30に転送する。これらのステップは、コンテンツ管理サーバ20が行う視聴処理のステップS61〜S63に該当する。SIPサーバ30は、入力されたユーザ(受信者)のIPアドレスをチェックする。これにより、受信者の加入がチェックされる。この後、ステップS204で、SIPサーバ30は、IPアドレスからユーザの電話番号を返す。これらのステップは、コンテンツ管理サーバ20が行う視聴処理のステップS64と、SIPサーバ30の処理とに該当する。
【0051】
タイムチャートのステップS205で、コンテンツ管理サーバ20は、電話番号を受け取ると、この受信者の電話番号と、受信者が予め登録している、送信者の電話番号との両方が合致するデータを検索する。コンテンツ配信サーバ10は、ステップS206でデータ有りを通知する。これらのステップは、コンテンツ管理サーバ20が行う視聴処理のステップS65〜S68に該当する。
【0052】
タイムチャートのステップS207で、コンテンツ管理サーバ20は、2つの電話番号に合致するデータをセットトップボックスに送ると、データがテレビ画面に表示される。この後、ステップS208で、ユーザ(受信者)がリモコンを操作して動画を選択すると、ステップS209で、セットトップボックスは、コンテンツ管理サーバ20に対して、選択された動画データの配信を指示する。これらのステップは、コンテンツ管理サーバ20が行う視聴処理のステップS69、S70に該当する。
【0053】
タイムチャートのステップS210で、コンテンツ管理サーバ20は、コンテンツ配信サーバ10に対して、選択された動画データの配信を指示する。このステップは、コンテンツ管理サーバ20が行う視聴処理のステップS71、S72に該当する。コンテンツ配信サーバ10は、動画データの配信の指示を受け取ると、ステップS211で、ユーザ(受信者)のセットトップボックスに対して、選択された動画データを配信する。このステップは、コンテンツ配信サーバ10の配信処理に該当する。ユーザ(受信者)のセットトップボックスが動画データを受信すると、ステップS212で、ユーザのテレビは動画を表示し、ユーザが動画を視聴することができる。なお、ユーザ(受信者)がパソコン(図示を省略)をルータに接続していれば、このパソコンを用いた動画の視聴が可能である。
【0054】
こうして、この実施の形態により、電子メールで送信できなかった大容量のファイルである動画データを簡単に送信でき、受信者もパソコンや専用の端末を不要にして、しかも、日常使用するテレビの操作だけで、簡単に視聴することを可能にする。また、DVD等を再生する再生装置も不要である。
【0055】
また、この実施の形態により、動画データのやり取りは、相手先の電話番号だけで行うことができ、複雑なID・パスワードを用いるログイン処理が不要である。
【0056】
また、この実施の形態により、動画データを登録する送信者の電話番号として、送信者のIPアドレスを基にSIPサーバ30から得た電話番号を用い、動画を視聴する受信者の電話番号として、同じく受信者のIPアドレスを基にSIPサーバ30から得た電話番号を用いるので、なりすまし等が困難であり、セキュリティが強固なため、安心して動画データの配信を行うことができる。
【0057】
また、簡単に動画データの送受信が行えるため、この仕組みを利用するユーザの利用機会の増加が可能である。さらに、これらの点から、顧客満足度の向上が可能である。
【0058】
さらに、この実施の形態により、SIPサーバを使用して、受信者のルータのIPアドレスから電話番号を取得しているので、セキュリティの強化と、コンテンツ管理サーバ20による電話帳の保存を不要にすることが可能である。
【0059】
なお、この実施の形態では、動画を視聴するユーザがセットトップボックスを利用したが、テレビ自体がインターネットNWに対応していれば、セットトップボックスの使用は不要である。
【0060】
(実施の形態2)
この実施の形態では、コンテンツ管理サーバ20の制御部22は、保存処理をする前に、次の監視処理を行う。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
【0061】
この実施の形態では、動画データの保存を許可する相手の電話番号の一覧を、コンテンツ管理サーバ20の制御部22が許可リスト(図示を省略)として、あらかじめ記憶部23に記憶している。そして、制御部22は、動画データの送信者の電話番号を受信したときに、この電話番号が許可リストにあるかどうかを調べる。もし、送信者の電話番後が許可リストにあると、制御部22は保存処理を開始する。
【0062】
こうして、この実施の形態によれば、許可した送信者からの動画データだけを保存することができる。これにより、コンテンツ管理サーバ20の記憶部23の負担を軽減することができる。
【0063】
(実施の形態3)
この実施の形態では、コンテンツ管理サーバ20の制御部22は、保存処理をする前に、次の監視処理を行う。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
【0064】
この実施の形態では、動画データの保存を許可しない相手の電話番号の一覧を、コンテンツ管理サーバ20の制御部22が不許可リスト(図示を省略)として、あらかじめ記憶部23に記憶している。そして、制御部22は、動画データの送信者の電話番号を受信したときに、この電話番号が不許可リストにあるかどうかを調べる。もし、送信者の電話番後が不許可リストにあると、制御部22は受信した動画データを破棄する。
【0065】
こうして、この実施の形態によれば、不許可とした送信者からの画像データを破棄するので、迷惑画像等を排除することができる。これにより、実施の形態2と同様に、コンテンツ管理サーバ20の記憶部23の負担を軽減することができる。
【0066】
(実施の形態4)
この実施の形態では、コンテンツ管理サーバ20の制御部22は、次の監視処理を定期的に行う。なお、この実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。
【0067】
この実施の形態では、コンテンツ管理サーバ20の制御部22は、記憶部23に保存した動画データの経過期間を調べる。そして、制御部22は、記憶部23に保存した動画データが所定期間、例えば1週間を経過したときに、この動画データを記憶部23から破棄する。
【0068】
こうして、この実施の形態によれば、受信してから所定期間が経過した動画データを破棄するので、コンテンツ管理サーバ20の記憶部23の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0069】
1A〜4A ルータ(通信装置)
1B〜4B IP電話機
3C、4C セットトップボックス(受信装置)
3D、4D テレビ(受信装置)
10 コンテンツ配信サーバ(配信装置)
11 通信部
12 制御部
13 記憶部
20 コンテンツ管理サーバ(管理装置)
21 通信部
22 制御部
23 記憶部(記憶装置)
30 SIPサーバ
DB1 電話帳データベース
DB2 保存情報データベース(第2のデータベース)
DB3 設定情報データベース(第1のデータベース)
NW インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットを使用して音声通話を行うIP電話機の電話番号と、この電話番号に対応するIPアドレスとを記憶しているSIPサーバを、画像データを送受信するために利用するデータ送受信システムであって、
受信者のIP電話機の電話番号に対応する送信者のIP電話機の電話番号を記憶する第1のデータベースと、前記画像データを送信する送信者のIP電話機の電話番号と、該画像データを受信する受信者のIP電話機の電話番号と、該画像データを識別する識別情報とを、1組にして記憶する第2のデータベースとを記憶する記憶装置と、
前記識別情報の画像データを記憶する配信装置と、
画像データを受信するためのアクセスが受信者の通信装置からあると、該通信装置のIPアドレスを前記SIPサーバに送信することで該IPアドレスに対応する電話番号を該SIPサーバから受信し、該SIPサーバから得た受信者の電話番号に対応する送信者の電話番号を前記第1のデータベースから取得し、該SIPサーバから得た受信者の電話番号と、該第1のデータベースから得た送信者の電話番号とを基に、画像データの識別情報を第2のデータベースから取得し、該識別情報の画像データを前記IPアドレスに送信する送信指示を前記配信装置に送信する管理装置と、
を備え、
前記配信装置は、前記管理装置からの送信指示を受け取ると、前記識別情報に対応する画像データを読み出し、指示されたIPアドレスに対して該画像データを送信する、
ことを特徴とするデータ送受信システム。
【請求項2】
前記管理装置は、画像データと共に該画像データを受信する受信者のIP電話機の電話番号を、送信者の通信装置から受信すると、該通信装置のIPアドレスを前記SIPサーバに送信することで該IPアドレスに対応する電話番号を該SIPサーバから受信し、送信者の該通信装置から受信した電話番号と、該SIPサーバから受信した電話番号と、該画像データの識別情報とを、1組にして前記第2のデータベースに記憶すると共に該画像データを前記配信装置に記憶する、
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ送受信システム。
【請求項3】
前記受信者の通信装置には受信装置が接続され、
前記受信装置は、テレビと、該テレビによる前記インターネットの利用を可能にするセットトップボックスとを備え、該セットトップボックスは前記通信装置から画像データを受け取ると、該画像データにより画像を該テレビに表示する、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のデータ送受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−216892(P2012−216892A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78919(P2011−78919)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】