データ送受信装置及び同装置の位置制御プログラム
【課題】送受信手段と媒体に付加されたRFID素子との通信に関する最適な位置関係を、短時間で精度良く決定することができるデータ送受信装置等を提供する。
【解決手段】移動手段103、104、110により、送受信手段107と媒体122の少なくとも一方を任意の複数の位置に移動させたときのRFID素子108または送受信手段107の受信電磁波の強度を各位置で測定し、測定値に基づいて、送受信手段とRFID素子との最適位置関係を決定する。そして、送受信手段と媒体の少なくとも一方を、前記決定された最適位置関係となるように、前記移動手段を介して移動させる。
【解決手段】移動手段103、104、110により、送受信手段107と媒体122の少なくとも一方を任意の複数の位置に移動させたときのRFID素子108または送受信手段107の受信電磁波の強度を各位置で測定し、測定値に基づいて、送受信手段とRFID素子との最適位置関係を決定する。そして、送受信手段と媒体の少なくとも一方を、前記決定された最適位置関係となるように、前記移動手段を介して移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録用紙やカード等の媒体に付加されたRFID(Radio Frequency Identification )素子とデータ送受信を行うデータ送受信装置、及びデータ送受信装置を媒体に対して送受信を行うのに最適な位置関係に配置するための位置制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路チップとアンテナを備えたRFID素子は、非接触で情報を書き込み/読み出し可能なことから、このRFID素子を記録用紙、ICカード、ICタグ等の媒体に付加して利用することが広く提案されるようになっている。
【0003】
このような媒体に付加されたRFID素子との間での情報の書き込み/読み出しは、アンテナを有する送受信手段を介して行われるが、情報の書き込み/読み出しを行うためには、RFID素子と送受信手段が、アンテナの位置関係や周辺環境等、データ送受可能な要件を満たさなければならない。
【0004】
そこで、特許文献1には、RFID素子とデータ送受信装置との良好なデータ送受信を行わせるために、
(1)予めRFID素子のアンテナの位置を登録し、登録情報に合せてRFID素子に対して送受信手段を移動させる技術
(2)RFID素子との送受信可能位置を検出し送受信手段を移動させる技術
が開示されている。
【特許文献1】特開2003−296669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前述した(1)の技術については、ユーザが位置情報を調査の上登録する必要があるため手間がかかり、また入力ミスにより動作不良を引き起こす恐れがあるという問題があった。
【0006】
また、(2)の技術については、送受信手段を移動させながらRFID素子と送受信動作を行って通信可能域を確認し、確認結果に基づいて、RFID素子に通信接続される送受信手段の位置を算出するというものであるため、通信可能域の確認精度を上げるには、送受信確認のポイント数を増やす必要があるが、そうすると確認に時間がかかるという問題があった。
【0007】
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、送受信手段と媒体に付加されたRFID素子との通信に関する最適な位置関係を、短時間で精度良く決定することができるデータ送受信装置及び同装置の位置制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は以下の手段によって達成される。
【0009】
(1)媒体に付加されたRFID素子とデータの送受信を行う送受信手段と、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を移動させる移動手段と、前記送受信手段と前記RFID素子の位置関係を検出する位置検出手段と、前記RFID素子または前記送受信手段が受信している電磁波の強度を測定する測定手段と、前記移動手段により、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を任意の複数の位置に移動させたときの前記測定手段による各位置での受信電磁波強度の測定値に基づいて、前記送受信手段と前記RFID素子との最適位置関係を決定する最適位置決定手段と、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を、前記最適位置決定手段により決定された最適位置関係となるように、前記移動手段を介して移動させる移動制御手段と、を備えたことを特徴とするデータ送受信装置。
【0010】
(2)前記移動手段は、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を、相手に対して平行な平面内に設定されたXY座標における複数の移動ポイントに沿って移動させ、前記測定手段は、前記複数の移動ポイントで受信電磁波強度を測定する前項1に記載のデータ送受信装置。
【0011】
(3)前記測定手段は、前記RFID素子により負荷変調された信号をデータ送受信手段で受信し復調することにより得られた信号の大きさに基づいて、前記送受信手段が受信している電磁波の強度を測定する前項1に記載のデータ送受信装置。
【0012】
(4)前記測定手段は、前記送受信手段からの信号がRFID素子のアンテナで受信されたときに発生する電圧についてのデータであって、かつデータ送受信手段に返信されてきたデータに基づいて、前記RFID素子が受信している電磁波の強度を測定する前項1に記載のデータ送受信装置。
【0013】
(5)前記最適位置決定手段による送受信手段と前記RFID素子の最適位置関係の決定は、測定手段により測定された各位置での受信電磁波強度の測定値を、前記各位置と受信電磁波強度との関係が予め規定された曲線へ当てはめて、その曲線の頂点位置を算出することにより行われる前項1に記載のデータ送受信装置。
【0014】
(6)前記送受信手段とRFID素子による通常のデータ送受信動作と並行して、前記移動手段は前記送受信最適位置の近傍において送受信手段と媒体の少なくとも一方を移動させ、かつ前記測定手段は各移動位置の電磁波の強度を測定し、前記最適位置決定手段は、前記測定手段により測定された電磁波強度の変化量に基づいて、前記送受信手段の最適位置の補正を行う前項1に記載のデータ送受信装置。
【0015】
(7)前記測定手段により測定した最適位置での電磁波強度の測定値が所望の値に達していない場合にはエラー処理を行うエラー処理手段を備えている前項1に記載のデータ送受信装置。
【0016】
(8)前記エラー処理は、前記送受信手段とRFID素子の位置関係を変更する処理を含むものである前項7に記載のデータ送受信装置。
【0017】
(9)前記測定手段による電磁波強度の測定結果が一定の条件となった区間では、前記測定手段による電磁波強度の測定サンプリング数を増加させる前項1に記載のデータ送受信装置。
【0018】
(10)前記送受信手段とRFID素子との最適位置関係の決定動作を行いながら、前記送受信手段は前記RFID素子とデータの送受信を行う前項1に記載のデータ送受信装置。
【0019】
(11)前記媒体は連続的に繋がっている前項1に記載のデータ処理装置。
【0020】
(12)前記媒体へは印刷手段によりデータが印刷される前項11に記載のデータ送受信装置。
【0021】
(13)前記媒体は相互にカットされている前項1に記載のデータ送受信装置。
【0022】
(14)前記媒体へは印刷手段によりデータが印刷される前項13に記載のデータ送受信装置。
【0023】
(15)用紙からなる前記媒体にデータを印刷可能な画像形成装置に組み込まれ、前記最適位置関係の決定動作は、前記画像形成装置の給紙口変更後、マシントラブル後、紙詰まり発生後、電源投入後の少なくともいずれかに行われる前項1に記載のデータ送受信装置。
【0024】
(16)媒体に付加されたRFID素子とデータの送受信を行う送受信手段と前記媒体の位置関係を検出するステップと、前記RFID素子または前記送受信手段が受信している電磁波の強度を測定するステップと、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を任意の複数の位置に移動させたときの各位置での受信電磁波強度の測定値に基づいて、前記送受信手段と前記RFID素子との最適位置関係を決定するステップと、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を、前記決定された最適位置関係となるように移動させるステップと、をコンピュータに実行させるためのデータ送受信装置の位置制御プログラム。
【発明の効果】
【0025】
前項(1)に係る発明によれば、送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を任意の複数の位置に相対的に移動させたときの、RFID素子または前記送受信手段が受信している受信電磁波の強度の各位置での測定値に基づいて、送受信手段とRFID素子との最適位置関係が決定されるから、位置関係によって変化する受信電磁波の強度が最も強い位置を最適位置と決定すれば良く、短時間で精度良く最適な位置関係を決定することができる。
【0026】
前項(2)に係る発明によれば、XY座標を用いて最適位置関係が決定されるから、決定処理が容易となる。
【0027】
前項(3)に係る発明によれば、RFID素子により負荷変調された信号をデータ送受信手段で受信し復調することにより得られた信号の大きさに基づいて、前記送受信手段が受信している電磁波の強度が測定されるから、電磁波強度を確実に測定することができる。
【0028】
前項(4)に係る発明によれば、前記送受信手段からの信号がRFID素子のアンテナで受信されたときに発生する電圧についてのデータであって、かつデータ送受信手段に返信されてきたデータに基づいて、前記RFID素子が受信している電磁波の強度が測定されるから、電磁波強度を確実に測定することができる。
【0029】
前項(5)に係る発明によれば、最適位置決定手段による送受信手段と前記RFID素子の最適位置関係の決定は、測定手段により測定された各位置での受信電磁波強度の測定値を、前記各位置と受信電磁波強度との関係が予め規定された曲線へ当てはめて、その曲線の頂点位置を算出することにより行われるから、測定回数が少なくて済み、さらに短時間で最適位置関係を決定することができる。
【0030】
前項(6)に係る発明によれば、送受信手段の最適位置の補正が行われるから、最適位置にずれが生じてもこれに合わせて送受信部とRFID素子の位置関係が補正され、データの送受信を常に確実に行うことができる。
【0031】
前項(7)に係る発明によれば、最適位置での電磁波強度の測定値が所望の値に達していない場合にはエラー処理が行われるから、不確実なデータ送受信が実行されるのを防止することができる。
【0032】
前項(8)に係る発明によれば、エラー処理には、送受信手段とRFID素子の位置関係を変更する処理が含まれるから、最適位置の修正を行うことができる。
【0033】
前項(9)に係る発明によれば、電磁波強度の測定結果が一定の条件となった区間では、電磁波強度の測定サンプリング数を増加させるから、より精度の高い最適位置の決定を行うことができる。
【0034】
前項(10)に係る発明によれば、送受信手段とRFID素子との最適位置関係の決定動作と同時に、送受信手段とRFID素子との間で本来のデータ送受信が行われるから、本来のデータ送受信が最適位置関係の決定動作により妨げられることがなく、両者を効率的に行うことができる。
【0035】
前項(11)に係る発明によれば、連続的につながっている媒体のRFID素子と送受信手段の最適位置関係を確保することができる。
【0036】
前項(12)に係る発明によれば、ユーザは連続的につながっている媒体にデータを印刷することができる。
【0037】
前項(13)に係る発明によれば、相互にカットされている媒体のRFID素子と送受信手段の最適位置関係を確保することができる。
【0038】
前項(14)に係る発明によれば、ユーザはカットされている各媒体にデータを印刷することができる。
【0039】
前項(15)に係る発明によれば、画像形成装置の給紙口変更、マシントラブル、紙詰まり発生、電源投入の少なくともいずれかが発生したときは、その後に送受信手段とRFID素子との最適位置関係の決定動作が行われるから、両者が最適位置関係に再設定されて確実なデータ送受信を再開することができる。
【0040】
前項(16)に係る発明によれば、コンピュータにより、短時間で精度良く送受信手段とRFID素子との最適な位置関係を決定することができる。
【実施例1】
【0041】
以下、本発明の一実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0042】
図1(A)は、プリンタ等の画像形成装置に設けられた、RFID素子との間でデータ送受信を行うためのデータ通信ブロックを示す平面図、図1(B)は同じく中央部付近の正面断面図である。
【0043】
このデータ通信ブロックは、作像手段(印刷手段)を備えた作像ブロックの前もしくは後に形成されている。
【0044】
図1において、符号123は、前プロセスから搬送された用紙を静電吸着等の吸着手段によって吸着して搬送する搬送ベルトであり、駆動ローラ181と従動ローラ182の間に掛け渡されている。符号124,125は押さえローラである。この搬送ベルトはモータ駆動される駆動ローラ181の間欠回転により、所定ステップ毎の送りや戻しが可能となされている。
【0045】
搬送ベルト123の上方には、データ送受信装置の構成要素の一つであり、用紙122に付加されたRFID素子とデータの送受信を行う送受信部107が、用紙122と対向可能となるように移動自在に配置されている。この実施形態では、搬送ベルト123で搬送される用紙122と平行な平面内において、用紙の搬送方向と直行する方向をX方向、用紙の搬送方向をY方向とするXY座標が設定され、送受信部107が後述するモータによってXY座標の任意の位置に移動できるものとなされている。
【0046】
さらに、搬送ベルト123の上方の所定位置には、送受信部107の位置基準を明らかにするためのRFIDホーム位置センサ105と、搬送されてきた用紙の先端を検出するため反射型フォトセンサ等からなる用紙先端検出センサ106が設けられている。なお図1では、用紙122として相互にカットされた1枚ものの用紙が使用されている例を示している。
【0047】
図2は、この発明の一実施形態に係るデータ送受信装置の構成を示すブロック図である。
【0048】
このデータ送受信装置は、MPU100、X軸モータドライバ101、Y軸モータドライバ102、X軸モータ103、Y軸モータ104、前述したRFIDホーム位置センサ105、用紙先端検出センサ106、送受信部107、搬送モータドライバ109、搬送モータ110を備えている。
【0049】
前記MPU100は、データ送受信装置の全体を統括的に制御するものである。具体的には、送受信部107を制御して用紙122に付加されたRFID素子108と通信を行ったり、各ドライバ101、102、109を介して各モータ103、104、110を駆動制御する。
【0050】
前記X軸モータドライバ101はX軸モータ103を駆動し、Y軸モータドライバ102はY軸モータ104を駆動し、搬送モータドライバ109は搬送モータ110を駆動する。
【0051】
前記X軸モータ103は送受信部107を図1のX方向に、Y軸モータ104は同じくY方向にそれぞれ移動させるものである。また、搬送モータ110は、搬送ベルト123を走行させる駆動ローラ181を回転駆動するものである。各モータは、ステッピングモータ等から構成されている。
【0052】
また、この実施形態では、前記MPU100は、RFIDホーム位置センサ105、用紙先端検出センサ106からの信号と各モータの駆動ステップ数等から、送受信部107の現在の座標位置(RFIDホーム位置センサ105からの移動量)及び用紙122の位置を検出できるようになっており、ひいては送受信部107と用紙122の相対的な位置関係を検出できるものとなされている。
【0053】
前記送受信部107は、MPU100から転送されるコマンドやデータをRFID素子108へ送り出したり、逆にRFID素子108からのデータをMPU100へ送り返すRFID制御ICからなるデジタル処理部107aと、デジタルデータをアンテナに乗せるためにアナログデータに変換したり、アンテナからのデータをデジタルデータに変換するアナログ処理部107bと、アンテナ107cを備えている。
【0054】
一方、RFID素子108は、送受信部107から送られる磁界を受けるためのアンテナ108aと、アンテナが受けたアナログデータやコマンドをデジタルデータやコマンドに変換したり、デジタル処理部108cから受け取ったデジタルデータをアナログデータとし、アンテナを駆動するアナログ処理部108bと、コマンドに従ってデジタルデータをメモリに転送したり、メモリから取り出したりするデジタル処理部108cを備えている。
【0055】
次に、RFID素子108もしくは送受信部107が受信している電磁波の強度を測定する手段を説明する。
【0056】
図3は、送受信部107のアナログ処理部107bと、RFID素子108のアナログ処理部108bの基本構成を示す回路図である。
【0057】
送受信部107のデジタル処理部107aで生成されたコマンドやデータは、送信データ150としてアナログ処理部107bへ転送される。アナログ処理部107bでは、変調器132により搬送波をデータで振幅変調処理してアンテナ107cへ送る。
【0058】
アンテナ107cから放出される磁界をRFID素子108側のアンテナ108aに結合させ発生した起電圧を以下の経路で活用する。第1には、搬送波をそのままRFID素子108のシステムクロック154として使用する経路、第2には、復調器137を通してデータ成分のみ分離し受信データ155を再構成する経路、第3には、平滑してRFID素子108側のシステム電源159として活用する経路である。
【0059】
受信データ155は、デジタル処理部108cへ渡され、デジタル処理部108c内でコマンドとして実行される。
【0060】
逆にRFID素子108側から送受信部107側への返信については、デジタル処理部108c内のメモリから読み出されたデータが、返信データ158として変調器136に渡され、返信データにより負荷変調が実施される。負荷変調は、反磁界としてRFID素子108側のアンテナ108aから送受信部107側のアンテナ107cへ転送され、復調器133により返信データ成分のみが抽出され2値化受信データ151としてデジタル処理部107aへ送られる。
【0061】
まず、RFID素子108が受信している電磁波の強度を測定する手段を、図4の構成に基づいて説明する。
【0062】
RFID素子108側のアンテナ108aで受信された電磁波に比例した交流電圧が、共振用コンデンサ160に発生する。この電圧を整流・平滑し、A/D変換器156によってデジタルの受信電圧値157とする。これをRFID素子108のデジタル処理部108cへ逐次渡す。
【0063】
デジタル処理部108cは、「測定コマンド」を受け取ると受信電圧値157を返信するようにプログラムされており、この仕組みにより、RFID素子108が受信している電磁波の強度を送受信部107へ報知することができる。
【0064】
別の実施例として、RFID素子108から送信される付加変調強度を送受信部107側で測定することにより、電磁波の強度を測定する手段を、図5の構成に基づいて説明する。
【0065】
RFID素子108から返信されるデータは、搬送波に負荷変調をかけることで重畳される。送受信部107側の復調器140は、この搬送波に重畳されたデータ成分のみ分離するため整流・平滑回路さらにはローパスフィルタで構成される。分離されたデータ成分の大きさは、送受信部107が受けた電磁波の大きさに比例する。
【0066】
このアナログ値をA/D変換器141でデジタルデータ化しデジタル処理部107aで受信強度データとしたのち、MPU100へ転送する。
【0067】
次に、送受信部107を移動させながら測定した電磁波の強度と送受信部107の位置情報から、RFID素子108のアンテナ中心位置を導く方法、換言すれば用紙に付加されたRFID素子108に対して、最も精度良くデータ送受信を行うことができる送受信部107の位置の決定処理を説明する。
【0068】
第1の方法を、X方向移動距離に対する受信電磁波の強度分布を概念的に示す図6と、フローチャート図7を参照して説明する。なお、図7のフローチャートに示す処理は、MPU100が図示しない記録媒体に記録されたプログラムに従って動作することにより実行される。
【0069】
図7において、まずステップT201で変数nを0にセットし、ステップT202で、予め決められたサンプリング間隔S1でX軸モータ103により送受信部107を移動させ、ステップT203で測定コマンドを送り、ステップT204でRFID素子108からの返信を待つ。
【0070】
返信がなければ(ステップT204でNO)、ステップT206でタイムアップかどうかを判断し、タイムアップでなければ(ステップT206でNO)、ステップT206で引き続き返信を待つ。タイムアップであれば(ステップT206でYES)、ステップT207でデータ検出フラグが1かどうかを調べる。データ検出フラグが1でなければ(ステップT207でNO)、ステップT208で移動終了かどうかを判断し、終了であれば(ステップT208でYES)、本処理を終了する。終了でなければ(ステップT208でNO)、ステップT202に戻って、サンプリング間隔S1分だけ送受信部107を移動させる。
【0071】
ここで、図6の点線で示すようなX方向移動距離に対する受信電磁波の強度分布があると仮定すると、サンプリングポイント(測定位置)1や2では、電磁波強度が十分でないので、送受信部107とRFID素子108の間で通信自体が成立しない。通信が成立しないと、前述のように図7のステップT202に戻ってサンプリング間隔S1分だけ送受信部107を移動させ、ステップT203で測定コマンドを送る。
【0072】
サンプリングポイント3、4では十分な電磁波強度が得られるので、送受信部107とRFID素子108の間に通信が確立され(ステップT204でYES)、電磁波強度データを得ることが出来る。ステップT205では、送受信部107の位置データXn、返信データ(電磁波強度データ)Anをメモリに保存する。さらにデータ検出フラグを1にセットし、変数nをn+1にしてステップT202に戻る。
【0073】
一旦通信が確立すると、しばらくは通信の確立状態が続くので、ステップT202〜205を繰り返し、各位置についての位置データXn、返信データAnを逐次メモリに保存していく。
【0074】
一旦、通信が確立した後通信が途絶えた場合は、ステップT206でタイムアップとなり(ステップT206でYES)、データ検出フラグが1であるから(ステップT207でYES)、通信可能エリアを過ぎたものとしてサンプリング間隔S1での測定を終了する。
【0075】
そして、ステップT209に進み、保存された連続する2データのうち、最大値を示す2データをAp1、Ap2(図6では3,4の測定位置)として決定する。それぞれAp1、Ap2に対する測定位置をXp1、Xp2とする。
【0076】
サンプリングを細かくして再測定する区間が決定されたので、ステップT210で、送受信部107をXp1の位置まで戻す。そして、ステップT211で変数nに0をセットした後、ステップT212以下で、十分細かいサンプリング間隔S2での測定を行う。
【0077】
即ち、ステップT212で、送受信部107をサンプリング間隔S2分だけ移動させたのち、ステップT213で、送受信部107の位置がXp2に達したか否かを判断する。達していなければ(ステップT213でNO)、ステップT214で測定コマンドを送り、ステップT215でRFID素子108からの返信を待つ。
【0078】
返信がなければ(ステップT215でNO)、タイムアップまで待ち(ステップT217でNO)、タイムアップになれば(ステップT217でYES)、ステップT218でエラーフラグを1にセットして、本処理を終了する。
【0079】
返信があれば(ステップT215でYES)、電磁波強度データを得ることが出来るので、ステップT216では、送受信部107の位置データXn、返信データ(電磁波強度データ)Anをメモリに保存する。さらに変数nをn+1にしてステップT212に戻り、次の測定のために送受信部107をサンプリング間隔S2分だけ移動させる。
【0080】
このようにして、サンプリング間隔S2分ずつ送受信部107をXp2まで移動させながら測定を行う。送受信部107の位置がXp2に達すると(ステップT213でYES)、ステップT219で、受信波の電磁波強度が最大値となる位置を判断して、処理を終了する。図6の例では、測定ポイント3、7、6、4に対する強度データが得られ測定ポイント6の位置が最大位置であると決定する。
【0081】
このようにして、受信波の電磁波強度に基づき、送受信を行うのに最適な位置を精度良く求めることができる。
【0082】
なお、図6及び図7の例ではX方向の最適位置決定処理について説明したが、Y方向についても同様に実施することが可能である。
【0083】
次に、最適位置決定処理の第2の方法を、X方向移動距離に対する受信電磁波の強度分布を概念的に示す図8、図9及びフローチャートである図10を参照しながら説明する。なお、図10のフローチャートに示す処理も、MPU100が図示しない記録媒体に記録されたプログラムに従って動作することにより実行される。
【0084】
この方法は、予め測定される電磁界の強度分布が判っている場合に有効な方法である。例えば図8の波線曲線に示すような受信電磁波強度分布である場合、サンプリング間隔S1で測定すると有効通信エリア内にポイント3とポイント4の2対のデータを取得できる。その2対のデータの比がわかれば図8に矢印で示す頂点位置(中心位置ともいう)を推定することが可能である。この中心位置が送受信最適位置となる。このために、予め図11のようなテーブルを準備しておく。図11のテーブルは、図8の曲線上におけるサンプリング間隔S2ごとのX方向の各位置Pa〜Pgでの受信電磁波強度Aa〜Adを計算しておき、Aa/Ad、Ab/Ac、Ac/Abの各値と、中心位置との関係を規定したものである。
【0085】
すなわち、実際の測定位置がPa(曲線上の受信電磁波強度Aa)であれば次の測定位置はPd(曲線上の受信電磁波強度Ad)となるので、測定された2つのデータの比はAa/Adと同じか近似する。サンプリング間隔S1=3×S2に設定されているとすると、この場合の中心位置は第1の測定位置であるPaから3×S2の位置となる。従って、データの比Aa/Adと中心位置との関係をテーブルに規定しておくことにより、実際の2つの測定データの比がAa/Adと同じか近似すれば、テーブルを参照して中心位置を求めることができる。
【0086】
同様に、2つの測定データの比がAb/Acと同じか近似すれば、第1の測定位置はPbであり、そのときの中心位置はPbから2×S2の位置となるから、テーブルを参照して容易に算出することができる。
【0087】
同様に、2つの測定データの比がAc/Abと同じか近似すれば、第1の測定位置はPcであり、そのときの中心位置はPcから1×S2の位置となるから、テーブルを参照して容易に算出することができる。
【0088】
図10のフローチャートにおいて、まずステップT301で変数nを0にセットし、ステップT302で、サンプリング間隔S1でX軸モータ103により送受信部107を移動させ、ステップT303で測定コマンドを送り、ステップT304でRFID素子108からの返信を待つ。
【0089】
返信がなければ(ステップT304でNO)、タイムアップまで待つ(ステップT305でNO)。タイムアップであれば(ステップT305でYES)、ステップT307でデータ検出フラグが1かどうかを調べる。データ検出フラグが1でなければ(ステップT307でNO)、ステップT308で移動終了かどうかを判断し、終了であれば(ステップT308でYES)、本処理を終了する。終了でなければ(ステップT308でNO)、ステップT302に戻って、サンプリング間隔S1分だけ送受信部107を移動させて次の測定ポイントに移る。
【0090】
RFID素子108からの返信があれば(ステップT304でYES)、ステップT306で、送受信部107の位置データXn、返信データ(電磁波強度データ)Anをメモリに保存する。さらにデータ検出フラグを1にセットし、変数nをn+1にしてステップT302に戻る。
【0091】
こうして、送受信部107をサンプリング間隔S1ずつ移動させながら測定し、データを保存していく。
【0092】
一旦、通信が確立した後通信が途絶えた場合は、ステップT305でタイムアップとなり(ステップT305でYES)、データ検出フラグが1であるから(ステップT307でYES)、通信可能エリアを過ぎたものとしてサンプリング間隔S1での測定を終了する。
【0093】
そして、ステップT309に進み、取得した2つのデータから図11のテーブルにあてはめ、中心位置を算出する。例えば、2つのデータ比が図11のテーブルAa/Adと同じか近似していれば、第1のデータ位置からサンプリング間隔S2の3個分前進移動させた位置を、最適位置と決定する。
【0094】
また、2つのデータ比が図11のテーブルAb/Acと同じか近似していれば、第1のデータ位置からサンプリング間隔S2の2個分前進移動させた位置を、最適位置と決定する。
【0095】
また、2つのデータ比が図11のテーブルAc/Abと同じか近似していれば、第1のデータ位置からサンプリング間隔S2の1個分前進移動させた位置を、最適位置と決定する。
【0096】
このように、この例では予め想定した受信電磁波の強度曲線に実際のデータを当てはめ、曲線上の中心位置を最適位置として算出するから、送受信部107を細かいサンプリング間隔S2で移動させる必要がなく、簡易な構成でより短時間で最適位置を決定することができる。
【0097】
なお、図8〜図10に示した例ではX方向の最適位置決定処理について説明したが、Y方向についても同様に実施することが可能である。
【0098】
以上説明したデータ送受信装置を備えたプリンタ等の画像形成装置の全体制御を、図12に示すフローチャートを用いて説明する。
【0099】
用紙122に付加されたRFID素子108に対してデータの書き込みあるいは読み出しを行う場合、用紙122への印刷データの印字プロセスの後にRFID素子108への書き込み/読み出しを行う場合と、RFID素子108への書き込み/読み出しが終わった後に用紙122へ印刷データを印字する場合がある。ここでは、用紙122への印刷後にRFID素子108への書き込み/読み出しを実施する場合を例にとって説明する。
【0100】
ステップT401で用紙122に印刷データを印字したのち、ステップT402で、用紙122を搬送ベルト123で搬送して、データ通信ブロックへ送り込む。
【0101】
ステップT403で、用紙先端検出センサ106によって用紙の先端位置が検出されると、ステップT404で、その検出されたタイミングから予め決められた搬送ステップ数S1(サンプリング間隔S1と同じ)だけ用紙を搬送して停止させる。そして、ステップT405で、X方向のRFID素子108の検出プロセスを実施する。次いで、ステップT406で、RFID素子108が検出されたかどうかを判断し、検出されなければ(ステップT406でNO)、ステップT404に戻って再度S1ステップだけ用紙を搬送する。
【0102】
RFID素子108を検出できたら(ステップT406でYES)、図7あるいは図10に示したような前述のX方向の最適位置決定処理を実施し、ステップT408で、決定された最適位置をメモリに保存する。
【0103】
次いで、ステップT409で、送受信部107を決定した最適位置に移動させたのち、ステップT410で、用紙122をS1ステップだけ戻す。
【0104】
続いて、ステップT411で、Y方向のRFID素子108の検出プロセスを実施した後、ステップT412で、Y方向の最適位置決定処理を実施する。Y方向の最適位置決定処理もX方向の最適位置決定処理と処理内容は同じであるが、この実施形態ではY方向の移動を用紙122を搬送することにより行い、S1ステップずつ用紙を搬送して電磁波強度の測定コマンドを実施することになる。Y方向の最適位置を決定したら、ステップT413で、決定した位置に用紙122を移動させたのち、ステップT414で、その位置での電磁波強度の測定値を予め設定した閾値と比較する。十分な強度が得られた場合には(ステップT414でYES)、Y方向の最適位置(この場合は、用紙先端からのモータ送り量)をメモリに保存する。その後、本来RFID素子108に書き込む情報を書き込んだり、読み出す情報を読み出したりする。
【0105】
ステップT414で、測定した電磁波強度が予め設定した閾値より低い場合は(ステップT414でNO)、ステップT416でエラー処理を行う。エラー処理は、システムに異常がある旨を報知することでもよいが、以下に説明する中心位置の補正プロセスを実施してもよい。
【0106】
図13は、エラー処理の内容を示すフローチャートである。この処理では、測定した電磁波強度が必要な大きさを確保できていない場合に、位置を補正する処理を行うものとなされている。この例では、用紙の搬送方向(Y方向)の位置補正を行う場合について説明する。
【0107】
図12のステップT407及びステップT412の最適位置決定処理で決定された最適位置に送受信部107をセットする。そして、ステップT501で、最適位置決定処理で使用した検出ステップS1(サンプリング間隔S1)より細かいステップS2(サンプリング間隔S2)だけ用紙122を戻す。ついで、ステップT502で測定コマンドを実施し、ステップT503で電磁波強度データを取得する。
【0108】
次いで、ステップT504で、受信したデータと前回測定したデータを比較し、受信したデータが前回測定したデータより増加していれば(ステップT504でYES)、最適値は用紙の戻し方向にあることが判る。そこで、ステップT505で、戻し方向フラグに1をセットしたのち、ステップT501に戻ってさらに用紙122をS2ステップだけ戻す。
【0109】
電磁波強度データが増加しなくなるまでこの作業を繰り返し、データが増加しなくなると(ステップT504でNO)、ステップT506に進み、用紙122を戻し位置からS2ステップだけ進める。そして、ステップT507で、戻し方向フラグが1かどうかを判断し、戻しフラグが1であれば(ステップT507でYES)、ステップT513で、その位置を最適位置としてメモリに保存する。
【0110】
最初に戻し方向に用紙を搬送し(ステップT501)、電磁波強度データが増加しなかった場合は(ステップT504でNO)、用紙送り方向にS2ステップだけ送る(ステップT506)。この場合、戻し方向フラッグは1ではないから(ステップT507でNO)、ステップT508で測定コマンドを実施し、ステップT509で電磁波強度データを取得する。そして、ステップT510で、受信したデータと前回測定したデータを比較する。
【0111】
受信したデータが前回測定したデータより増加していれば(ステップT510でYES)、最適値は用紙の送り方向にあることから、ステップT506に戻ってさらに用紙122をS2ステップだけ送る。
【0112】
電磁波強度データが増加しなくなるまでこの作業を繰り返し、データが増加しなくなると(ステップT510でNO)、ステップT511に進み、用紙122を電磁界強度が増加しなくなった位置からS2ステップだけ戻し、ステップT512で、その位置を最適位置として記憶しなおす。
【0113】
図13に示した例では、Y方向の補正処理を行う場合を示したが、X方向の補正処理についても同様に行うことができる。
【0114】
このように、最適位置の決定後に補正処理を実行するから、最適位置にずれが生じてもこれに合わせて送受信部107とRFID素子108との位置関係が補正され、データの送受信を常時確実に行うことができる。
【0115】
以上説明した実施形態では、送受信部107と用紙122のY方向の相対位置移動手段として、用紙122を搬送することで説明してきたが、Y方向への送受信部107の移動手段としてステッピングモータ等のY軸モータ104を用いることにより、用紙122の戻し作業を必要とすることなく同様の制御を実施できる。この場合はまず、用紙122の全体を図1に示すようにデータ通信ブロックに搬送してから停止する。用紙122の位置は、用紙先端検出センサ106の検出タイミングを参照すれば、そのタイミングからの搬送モータ110の送り量で決定できる。後は、各フローチャートでY方向への移動手段として記されている用紙搬送を、Y軸モータ104による送受信部107の移動に置き換えればよい。
【0116】
また、今までの説明は用紙122がカット紙であることを前提として進めてきたが、図14に示すような連続紙126の上にRFID素子108を付加されたラベル128が貼り付けてあるような記録媒体を搬送する連続紙プリンタについても、同様な実施例を実現可能である。連続紙プリンタの場合は、連続紙126の端にトラクタ穴127が付加されている。このトラクタ穴の送り量をカウントすることで用紙の送り量を求めることができる。
【0117】
以上説明したようなデータ送受信装置において、RFID素子108へのデータの書き込み/読み出しに対する最適位置の決定処理は、以下の条件およびタイミングで実施されるものとする。
1.用紙の給紙口を変更する指示がされた後の第一枚目の用紙搬送時
2.マシントラブルから解除された後の第一枚目の用紙搬送時
3.紙詰まりを解除した後の第一枚目の用紙搬送時
4.電源を投入した直後の第一枚目の用紙搬送時
また、複数RFID素子108に連続的にデータの書き込み/読み出しを行う場合は、送受信部107は一定位置に固定されても良いが、データの書き込み/読み出しと同時に、受信電磁波強度の測定コマンドを実行し、常に電磁波強度が許容できる範囲にあるかどうかを監視する構成としても良い。もし、監視している電磁波強度が一定値以上下がったもしくは、変化量が一定値以上になったことが検出された場合は、送受信部107の位置をX方向もしくはY方向に移動させることで、適正位置を確保することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】(A)は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置のデータ通信ブロックを示す平面図、(B)は同じく中央部付近の正面断面図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るデータ送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】送受信部のアナログ処理部とRFID素子のアナログ処理部の基本構成を示す回路図である。
【図4】RFID素子が受信している電磁波の強度を測定する場合の、送受信部のアナログ処理部とRFID素子のアナログ処理部の構成を示す回路図である。
【図5】送受信部が受信している電磁波の強度を測定する場合の、送受信部のアナログ処理部とRFID素子のアナログ処理部の構成を示す回路図である。
【図6】最適位置の決定処理の一例を説明するために、X方向移動距離に対する受信電磁波の強度分布を概念的に示す図である。
【図7】最適位置の決定処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】最適位置の決定処理の他の例を説明するために、X方向移動距離に対する受信電磁波の強度分布を概念的に示す図である。
【図9】同じくX方向移動距離に対する受信電磁波の強度分布を概念的に示す図である。
【図10】最適位置の決定処理の他の例を示すフローチャートである。
【図11】図10の最適位置の決定処理に用いる表である。
【図12】データ送受信装置を備えた画像形成装置の全体制御を説明するためのフローチャートである。
【図13】図12のフローチャートにおけるエラー処理(ステップT417)の内容を示すフローチャートである。
【図14】(A)は、この発明の他の実施形態に係る画像形成装置のデータ通信ブロックを示す平面図、(B)は同じく中央部付近の正面断面図である。
【符号の説明】
【0119】
100 MPU(位置検出手段、測定手段、最適位置決定手段、移動制御手段、エラー処理手段)
103 X軸モータ(移動手段)
104 Y軸モータ(移動手段)
107 送受信部
108 RFID素子
110 搬送モータ(移動手段)
122 用紙(媒体)
123 搬送ベルト
【技術分野】
【0001】
この発明は、記録用紙やカード等の媒体に付加されたRFID(Radio Frequency Identification )素子とデータ送受信を行うデータ送受信装置、及びデータ送受信装置を媒体に対して送受信を行うのに最適な位置関係に配置するための位置制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路チップとアンテナを備えたRFID素子は、非接触で情報を書き込み/読み出し可能なことから、このRFID素子を記録用紙、ICカード、ICタグ等の媒体に付加して利用することが広く提案されるようになっている。
【0003】
このような媒体に付加されたRFID素子との間での情報の書き込み/読み出しは、アンテナを有する送受信手段を介して行われるが、情報の書き込み/読み出しを行うためには、RFID素子と送受信手段が、アンテナの位置関係や周辺環境等、データ送受可能な要件を満たさなければならない。
【0004】
そこで、特許文献1には、RFID素子とデータ送受信装置との良好なデータ送受信を行わせるために、
(1)予めRFID素子のアンテナの位置を登録し、登録情報に合せてRFID素子に対して送受信手段を移動させる技術
(2)RFID素子との送受信可能位置を検出し送受信手段を移動させる技術
が開示されている。
【特許文献1】特開2003−296669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前述した(1)の技術については、ユーザが位置情報を調査の上登録する必要があるため手間がかかり、また入力ミスにより動作不良を引き起こす恐れがあるという問題があった。
【0006】
また、(2)の技術については、送受信手段を移動させながらRFID素子と送受信動作を行って通信可能域を確認し、確認結果に基づいて、RFID素子に通信接続される送受信手段の位置を算出するというものであるため、通信可能域の確認精度を上げるには、送受信確認のポイント数を増やす必要があるが、そうすると確認に時間がかかるという問題があった。
【0007】
この発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、送受信手段と媒体に付加されたRFID素子との通信に関する最適な位置関係を、短時間で精度良く決定することができるデータ送受信装置及び同装置の位置制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は以下の手段によって達成される。
【0009】
(1)媒体に付加されたRFID素子とデータの送受信を行う送受信手段と、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を移動させる移動手段と、前記送受信手段と前記RFID素子の位置関係を検出する位置検出手段と、前記RFID素子または前記送受信手段が受信している電磁波の強度を測定する測定手段と、前記移動手段により、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を任意の複数の位置に移動させたときの前記測定手段による各位置での受信電磁波強度の測定値に基づいて、前記送受信手段と前記RFID素子との最適位置関係を決定する最適位置決定手段と、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を、前記最適位置決定手段により決定された最適位置関係となるように、前記移動手段を介して移動させる移動制御手段と、を備えたことを特徴とするデータ送受信装置。
【0010】
(2)前記移動手段は、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を、相手に対して平行な平面内に設定されたXY座標における複数の移動ポイントに沿って移動させ、前記測定手段は、前記複数の移動ポイントで受信電磁波強度を測定する前項1に記載のデータ送受信装置。
【0011】
(3)前記測定手段は、前記RFID素子により負荷変調された信号をデータ送受信手段で受信し復調することにより得られた信号の大きさに基づいて、前記送受信手段が受信している電磁波の強度を測定する前項1に記載のデータ送受信装置。
【0012】
(4)前記測定手段は、前記送受信手段からの信号がRFID素子のアンテナで受信されたときに発生する電圧についてのデータであって、かつデータ送受信手段に返信されてきたデータに基づいて、前記RFID素子が受信している電磁波の強度を測定する前項1に記載のデータ送受信装置。
【0013】
(5)前記最適位置決定手段による送受信手段と前記RFID素子の最適位置関係の決定は、測定手段により測定された各位置での受信電磁波強度の測定値を、前記各位置と受信電磁波強度との関係が予め規定された曲線へ当てはめて、その曲線の頂点位置を算出することにより行われる前項1に記載のデータ送受信装置。
【0014】
(6)前記送受信手段とRFID素子による通常のデータ送受信動作と並行して、前記移動手段は前記送受信最適位置の近傍において送受信手段と媒体の少なくとも一方を移動させ、かつ前記測定手段は各移動位置の電磁波の強度を測定し、前記最適位置決定手段は、前記測定手段により測定された電磁波強度の変化量に基づいて、前記送受信手段の最適位置の補正を行う前項1に記載のデータ送受信装置。
【0015】
(7)前記測定手段により測定した最適位置での電磁波強度の測定値が所望の値に達していない場合にはエラー処理を行うエラー処理手段を備えている前項1に記載のデータ送受信装置。
【0016】
(8)前記エラー処理は、前記送受信手段とRFID素子の位置関係を変更する処理を含むものである前項7に記載のデータ送受信装置。
【0017】
(9)前記測定手段による電磁波強度の測定結果が一定の条件となった区間では、前記測定手段による電磁波強度の測定サンプリング数を増加させる前項1に記載のデータ送受信装置。
【0018】
(10)前記送受信手段とRFID素子との最適位置関係の決定動作を行いながら、前記送受信手段は前記RFID素子とデータの送受信を行う前項1に記載のデータ送受信装置。
【0019】
(11)前記媒体は連続的に繋がっている前項1に記載のデータ処理装置。
【0020】
(12)前記媒体へは印刷手段によりデータが印刷される前項11に記載のデータ送受信装置。
【0021】
(13)前記媒体は相互にカットされている前項1に記載のデータ送受信装置。
【0022】
(14)前記媒体へは印刷手段によりデータが印刷される前項13に記載のデータ送受信装置。
【0023】
(15)用紙からなる前記媒体にデータを印刷可能な画像形成装置に組み込まれ、前記最適位置関係の決定動作は、前記画像形成装置の給紙口変更後、マシントラブル後、紙詰まり発生後、電源投入後の少なくともいずれかに行われる前項1に記載のデータ送受信装置。
【0024】
(16)媒体に付加されたRFID素子とデータの送受信を行う送受信手段と前記媒体の位置関係を検出するステップと、前記RFID素子または前記送受信手段が受信している電磁波の強度を測定するステップと、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を任意の複数の位置に移動させたときの各位置での受信電磁波強度の測定値に基づいて、前記送受信手段と前記RFID素子との最適位置関係を決定するステップと、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を、前記決定された最適位置関係となるように移動させるステップと、をコンピュータに実行させるためのデータ送受信装置の位置制御プログラム。
【発明の効果】
【0025】
前項(1)に係る発明によれば、送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を任意の複数の位置に相対的に移動させたときの、RFID素子または前記送受信手段が受信している受信電磁波の強度の各位置での測定値に基づいて、送受信手段とRFID素子との最適位置関係が決定されるから、位置関係によって変化する受信電磁波の強度が最も強い位置を最適位置と決定すれば良く、短時間で精度良く最適な位置関係を決定することができる。
【0026】
前項(2)に係る発明によれば、XY座標を用いて最適位置関係が決定されるから、決定処理が容易となる。
【0027】
前項(3)に係る発明によれば、RFID素子により負荷変調された信号をデータ送受信手段で受信し復調することにより得られた信号の大きさに基づいて、前記送受信手段が受信している電磁波の強度が測定されるから、電磁波強度を確実に測定することができる。
【0028】
前項(4)に係る発明によれば、前記送受信手段からの信号がRFID素子のアンテナで受信されたときに発生する電圧についてのデータであって、かつデータ送受信手段に返信されてきたデータに基づいて、前記RFID素子が受信している電磁波の強度が測定されるから、電磁波強度を確実に測定することができる。
【0029】
前項(5)に係る発明によれば、最適位置決定手段による送受信手段と前記RFID素子の最適位置関係の決定は、測定手段により測定された各位置での受信電磁波強度の測定値を、前記各位置と受信電磁波強度との関係が予め規定された曲線へ当てはめて、その曲線の頂点位置を算出することにより行われるから、測定回数が少なくて済み、さらに短時間で最適位置関係を決定することができる。
【0030】
前項(6)に係る発明によれば、送受信手段の最適位置の補正が行われるから、最適位置にずれが生じてもこれに合わせて送受信部とRFID素子の位置関係が補正され、データの送受信を常に確実に行うことができる。
【0031】
前項(7)に係る発明によれば、最適位置での電磁波強度の測定値が所望の値に達していない場合にはエラー処理が行われるから、不確実なデータ送受信が実行されるのを防止することができる。
【0032】
前項(8)に係る発明によれば、エラー処理には、送受信手段とRFID素子の位置関係を変更する処理が含まれるから、最適位置の修正を行うことができる。
【0033】
前項(9)に係る発明によれば、電磁波強度の測定結果が一定の条件となった区間では、電磁波強度の測定サンプリング数を増加させるから、より精度の高い最適位置の決定を行うことができる。
【0034】
前項(10)に係る発明によれば、送受信手段とRFID素子との最適位置関係の決定動作と同時に、送受信手段とRFID素子との間で本来のデータ送受信が行われるから、本来のデータ送受信が最適位置関係の決定動作により妨げられることがなく、両者を効率的に行うことができる。
【0035】
前項(11)に係る発明によれば、連続的につながっている媒体のRFID素子と送受信手段の最適位置関係を確保することができる。
【0036】
前項(12)に係る発明によれば、ユーザは連続的につながっている媒体にデータを印刷することができる。
【0037】
前項(13)に係る発明によれば、相互にカットされている媒体のRFID素子と送受信手段の最適位置関係を確保することができる。
【0038】
前項(14)に係る発明によれば、ユーザはカットされている各媒体にデータを印刷することができる。
【0039】
前項(15)に係る発明によれば、画像形成装置の給紙口変更、マシントラブル、紙詰まり発生、電源投入の少なくともいずれかが発生したときは、その後に送受信手段とRFID素子との最適位置関係の決定動作が行われるから、両者が最適位置関係に再設定されて確実なデータ送受信を再開することができる。
【0040】
前項(16)に係る発明によれば、コンピュータにより、短時間で精度良く送受信手段とRFID素子との最適な位置関係を決定することができる。
【実施例1】
【0041】
以下、本発明の一実施形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0042】
図1(A)は、プリンタ等の画像形成装置に設けられた、RFID素子との間でデータ送受信を行うためのデータ通信ブロックを示す平面図、図1(B)は同じく中央部付近の正面断面図である。
【0043】
このデータ通信ブロックは、作像手段(印刷手段)を備えた作像ブロックの前もしくは後に形成されている。
【0044】
図1において、符号123は、前プロセスから搬送された用紙を静電吸着等の吸着手段によって吸着して搬送する搬送ベルトであり、駆動ローラ181と従動ローラ182の間に掛け渡されている。符号124,125は押さえローラである。この搬送ベルトはモータ駆動される駆動ローラ181の間欠回転により、所定ステップ毎の送りや戻しが可能となされている。
【0045】
搬送ベルト123の上方には、データ送受信装置の構成要素の一つであり、用紙122に付加されたRFID素子とデータの送受信を行う送受信部107が、用紙122と対向可能となるように移動自在に配置されている。この実施形態では、搬送ベルト123で搬送される用紙122と平行な平面内において、用紙の搬送方向と直行する方向をX方向、用紙の搬送方向をY方向とするXY座標が設定され、送受信部107が後述するモータによってXY座標の任意の位置に移動できるものとなされている。
【0046】
さらに、搬送ベルト123の上方の所定位置には、送受信部107の位置基準を明らかにするためのRFIDホーム位置センサ105と、搬送されてきた用紙の先端を検出するため反射型フォトセンサ等からなる用紙先端検出センサ106が設けられている。なお図1では、用紙122として相互にカットされた1枚ものの用紙が使用されている例を示している。
【0047】
図2は、この発明の一実施形態に係るデータ送受信装置の構成を示すブロック図である。
【0048】
このデータ送受信装置は、MPU100、X軸モータドライバ101、Y軸モータドライバ102、X軸モータ103、Y軸モータ104、前述したRFIDホーム位置センサ105、用紙先端検出センサ106、送受信部107、搬送モータドライバ109、搬送モータ110を備えている。
【0049】
前記MPU100は、データ送受信装置の全体を統括的に制御するものである。具体的には、送受信部107を制御して用紙122に付加されたRFID素子108と通信を行ったり、各ドライバ101、102、109を介して各モータ103、104、110を駆動制御する。
【0050】
前記X軸モータドライバ101はX軸モータ103を駆動し、Y軸モータドライバ102はY軸モータ104を駆動し、搬送モータドライバ109は搬送モータ110を駆動する。
【0051】
前記X軸モータ103は送受信部107を図1のX方向に、Y軸モータ104は同じくY方向にそれぞれ移動させるものである。また、搬送モータ110は、搬送ベルト123を走行させる駆動ローラ181を回転駆動するものである。各モータは、ステッピングモータ等から構成されている。
【0052】
また、この実施形態では、前記MPU100は、RFIDホーム位置センサ105、用紙先端検出センサ106からの信号と各モータの駆動ステップ数等から、送受信部107の現在の座標位置(RFIDホーム位置センサ105からの移動量)及び用紙122の位置を検出できるようになっており、ひいては送受信部107と用紙122の相対的な位置関係を検出できるものとなされている。
【0053】
前記送受信部107は、MPU100から転送されるコマンドやデータをRFID素子108へ送り出したり、逆にRFID素子108からのデータをMPU100へ送り返すRFID制御ICからなるデジタル処理部107aと、デジタルデータをアンテナに乗せるためにアナログデータに変換したり、アンテナからのデータをデジタルデータに変換するアナログ処理部107bと、アンテナ107cを備えている。
【0054】
一方、RFID素子108は、送受信部107から送られる磁界を受けるためのアンテナ108aと、アンテナが受けたアナログデータやコマンドをデジタルデータやコマンドに変換したり、デジタル処理部108cから受け取ったデジタルデータをアナログデータとし、アンテナを駆動するアナログ処理部108bと、コマンドに従ってデジタルデータをメモリに転送したり、メモリから取り出したりするデジタル処理部108cを備えている。
【0055】
次に、RFID素子108もしくは送受信部107が受信している電磁波の強度を測定する手段を説明する。
【0056】
図3は、送受信部107のアナログ処理部107bと、RFID素子108のアナログ処理部108bの基本構成を示す回路図である。
【0057】
送受信部107のデジタル処理部107aで生成されたコマンドやデータは、送信データ150としてアナログ処理部107bへ転送される。アナログ処理部107bでは、変調器132により搬送波をデータで振幅変調処理してアンテナ107cへ送る。
【0058】
アンテナ107cから放出される磁界をRFID素子108側のアンテナ108aに結合させ発生した起電圧を以下の経路で活用する。第1には、搬送波をそのままRFID素子108のシステムクロック154として使用する経路、第2には、復調器137を通してデータ成分のみ分離し受信データ155を再構成する経路、第3には、平滑してRFID素子108側のシステム電源159として活用する経路である。
【0059】
受信データ155は、デジタル処理部108cへ渡され、デジタル処理部108c内でコマンドとして実行される。
【0060】
逆にRFID素子108側から送受信部107側への返信については、デジタル処理部108c内のメモリから読み出されたデータが、返信データ158として変調器136に渡され、返信データにより負荷変調が実施される。負荷変調は、反磁界としてRFID素子108側のアンテナ108aから送受信部107側のアンテナ107cへ転送され、復調器133により返信データ成分のみが抽出され2値化受信データ151としてデジタル処理部107aへ送られる。
【0061】
まず、RFID素子108が受信している電磁波の強度を測定する手段を、図4の構成に基づいて説明する。
【0062】
RFID素子108側のアンテナ108aで受信された電磁波に比例した交流電圧が、共振用コンデンサ160に発生する。この電圧を整流・平滑し、A/D変換器156によってデジタルの受信電圧値157とする。これをRFID素子108のデジタル処理部108cへ逐次渡す。
【0063】
デジタル処理部108cは、「測定コマンド」を受け取ると受信電圧値157を返信するようにプログラムされており、この仕組みにより、RFID素子108が受信している電磁波の強度を送受信部107へ報知することができる。
【0064】
別の実施例として、RFID素子108から送信される付加変調強度を送受信部107側で測定することにより、電磁波の強度を測定する手段を、図5の構成に基づいて説明する。
【0065】
RFID素子108から返信されるデータは、搬送波に負荷変調をかけることで重畳される。送受信部107側の復調器140は、この搬送波に重畳されたデータ成分のみ分離するため整流・平滑回路さらにはローパスフィルタで構成される。分離されたデータ成分の大きさは、送受信部107が受けた電磁波の大きさに比例する。
【0066】
このアナログ値をA/D変換器141でデジタルデータ化しデジタル処理部107aで受信強度データとしたのち、MPU100へ転送する。
【0067】
次に、送受信部107を移動させながら測定した電磁波の強度と送受信部107の位置情報から、RFID素子108のアンテナ中心位置を導く方法、換言すれば用紙に付加されたRFID素子108に対して、最も精度良くデータ送受信を行うことができる送受信部107の位置の決定処理を説明する。
【0068】
第1の方法を、X方向移動距離に対する受信電磁波の強度分布を概念的に示す図6と、フローチャート図7を参照して説明する。なお、図7のフローチャートに示す処理は、MPU100が図示しない記録媒体に記録されたプログラムに従って動作することにより実行される。
【0069】
図7において、まずステップT201で変数nを0にセットし、ステップT202で、予め決められたサンプリング間隔S1でX軸モータ103により送受信部107を移動させ、ステップT203で測定コマンドを送り、ステップT204でRFID素子108からの返信を待つ。
【0070】
返信がなければ(ステップT204でNO)、ステップT206でタイムアップかどうかを判断し、タイムアップでなければ(ステップT206でNO)、ステップT206で引き続き返信を待つ。タイムアップであれば(ステップT206でYES)、ステップT207でデータ検出フラグが1かどうかを調べる。データ検出フラグが1でなければ(ステップT207でNO)、ステップT208で移動終了かどうかを判断し、終了であれば(ステップT208でYES)、本処理を終了する。終了でなければ(ステップT208でNO)、ステップT202に戻って、サンプリング間隔S1分だけ送受信部107を移動させる。
【0071】
ここで、図6の点線で示すようなX方向移動距離に対する受信電磁波の強度分布があると仮定すると、サンプリングポイント(測定位置)1や2では、電磁波強度が十分でないので、送受信部107とRFID素子108の間で通信自体が成立しない。通信が成立しないと、前述のように図7のステップT202に戻ってサンプリング間隔S1分だけ送受信部107を移動させ、ステップT203で測定コマンドを送る。
【0072】
サンプリングポイント3、4では十分な電磁波強度が得られるので、送受信部107とRFID素子108の間に通信が確立され(ステップT204でYES)、電磁波強度データを得ることが出来る。ステップT205では、送受信部107の位置データXn、返信データ(電磁波強度データ)Anをメモリに保存する。さらにデータ検出フラグを1にセットし、変数nをn+1にしてステップT202に戻る。
【0073】
一旦通信が確立すると、しばらくは通信の確立状態が続くので、ステップT202〜205を繰り返し、各位置についての位置データXn、返信データAnを逐次メモリに保存していく。
【0074】
一旦、通信が確立した後通信が途絶えた場合は、ステップT206でタイムアップとなり(ステップT206でYES)、データ検出フラグが1であるから(ステップT207でYES)、通信可能エリアを過ぎたものとしてサンプリング間隔S1での測定を終了する。
【0075】
そして、ステップT209に進み、保存された連続する2データのうち、最大値を示す2データをAp1、Ap2(図6では3,4の測定位置)として決定する。それぞれAp1、Ap2に対する測定位置をXp1、Xp2とする。
【0076】
サンプリングを細かくして再測定する区間が決定されたので、ステップT210で、送受信部107をXp1の位置まで戻す。そして、ステップT211で変数nに0をセットした後、ステップT212以下で、十分細かいサンプリング間隔S2での測定を行う。
【0077】
即ち、ステップT212で、送受信部107をサンプリング間隔S2分だけ移動させたのち、ステップT213で、送受信部107の位置がXp2に達したか否かを判断する。達していなければ(ステップT213でNO)、ステップT214で測定コマンドを送り、ステップT215でRFID素子108からの返信を待つ。
【0078】
返信がなければ(ステップT215でNO)、タイムアップまで待ち(ステップT217でNO)、タイムアップになれば(ステップT217でYES)、ステップT218でエラーフラグを1にセットして、本処理を終了する。
【0079】
返信があれば(ステップT215でYES)、電磁波強度データを得ることが出来るので、ステップT216では、送受信部107の位置データXn、返信データ(電磁波強度データ)Anをメモリに保存する。さらに変数nをn+1にしてステップT212に戻り、次の測定のために送受信部107をサンプリング間隔S2分だけ移動させる。
【0080】
このようにして、サンプリング間隔S2分ずつ送受信部107をXp2まで移動させながら測定を行う。送受信部107の位置がXp2に達すると(ステップT213でYES)、ステップT219で、受信波の電磁波強度が最大値となる位置を判断して、処理を終了する。図6の例では、測定ポイント3、7、6、4に対する強度データが得られ測定ポイント6の位置が最大位置であると決定する。
【0081】
このようにして、受信波の電磁波強度に基づき、送受信を行うのに最適な位置を精度良く求めることができる。
【0082】
なお、図6及び図7の例ではX方向の最適位置決定処理について説明したが、Y方向についても同様に実施することが可能である。
【0083】
次に、最適位置決定処理の第2の方法を、X方向移動距離に対する受信電磁波の強度分布を概念的に示す図8、図9及びフローチャートである図10を参照しながら説明する。なお、図10のフローチャートに示す処理も、MPU100が図示しない記録媒体に記録されたプログラムに従って動作することにより実行される。
【0084】
この方法は、予め測定される電磁界の強度分布が判っている場合に有効な方法である。例えば図8の波線曲線に示すような受信電磁波強度分布である場合、サンプリング間隔S1で測定すると有効通信エリア内にポイント3とポイント4の2対のデータを取得できる。その2対のデータの比がわかれば図8に矢印で示す頂点位置(中心位置ともいう)を推定することが可能である。この中心位置が送受信最適位置となる。このために、予め図11のようなテーブルを準備しておく。図11のテーブルは、図8の曲線上におけるサンプリング間隔S2ごとのX方向の各位置Pa〜Pgでの受信電磁波強度Aa〜Adを計算しておき、Aa/Ad、Ab/Ac、Ac/Abの各値と、中心位置との関係を規定したものである。
【0085】
すなわち、実際の測定位置がPa(曲線上の受信電磁波強度Aa)であれば次の測定位置はPd(曲線上の受信電磁波強度Ad)となるので、測定された2つのデータの比はAa/Adと同じか近似する。サンプリング間隔S1=3×S2に設定されているとすると、この場合の中心位置は第1の測定位置であるPaから3×S2の位置となる。従って、データの比Aa/Adと中心位置との関係をテーブルに規定しておくことにより、実際の2つの測定データの比がAa/Adと同じか近似すれば、テーブルを参照して中心位置を求めることができる。
【0086】
同様に、2つの測定データの比がAb/Acと同じか近似すれば、第1の測定位置はPbであり、そのときの中心位置はPbから2×S2の位置となるから、テーブルを参照して容易に算出することができる。
【0087】
同様に、2つの測定データの比がAc/Abと同じか近似すれば、第1の測定位置はPcであり、そのときの中心位置はPcから1×S2の位置となるから、テーブルを参照して容易に算出することができる。
【0088】
図10のフローチャートにおいて、まずステップT301で変数nを0にセットし、ステップT302で、サンプリング間隔S1でX軸モータ103により送受信部107を移動させ、ステップT303で測定コマンドを送り、ステップT304でRFID素子108からの返信を待つ。
【0089】
返信がなければ(ステップT304でNO)、タイムアップまで待つ(ステップT305でNO)。タイムアップであれば(ステップT305でYES)、ステップT307でデータ検出フラグが1かどうかを調べる。データ検出フラグが1でなければ(ステップT307でNO)、ステップT308で移動終了かどうかを判断し、終了であれば(ステップT308でYES)、本処理を終了する。終了でなければ(ステップT308でNO)、ステップT302に戻って、サンプリング間隔S1分だけ送受信部107を移動させて次の測定ポイントに移る。
【0090】
RFID素子108からの返信があれば(ステップT304でYES)、ステップT306で、送受信部107の位置データXn、返信データ(電磁波強度データ)Anをメモリに保存する。さらにデータ検出フラグを1にセットし、変数nをn+1にしてステップT302に戻る。
【0091】
こうして、送受信部107をサンプリング間隔S1ずつ移動させながら測定し、データを保存していく。
【0092】
一旦、通信が確立した後通信が途絶えた場合は、ステップT305でタイムアップとなり(ステップT305でYES)、データ検出フラグが1であるから(ステップT307でYES)、通信可能エリアを過ぎたものとしてサンプリング間隔S1での測定を終了する。
【0093】
そして、ステップT309に進み、取得した2つのデータから図11のテーブルにあてはめ、中心位置を算出する。例えば、2つのデータ比が図11のテーブルAa/Adと同じか近似していれば、第1のデータ位置からサンプリング間隔S2の3個分前進移動させた位置を、最適位置と決定する。
【0094】
また、2つのデータ比が図11のテーブルAb/Acと同じか近似していれば、第1のデータ位置からサンプリング間隔S2の2個分前進移動させた位置を、最適位置と決定する。
【0095】
また、2つのデータ比が図11のテーブルAc/Abと同じか近似していれば、第1のデータ位置からサンプリング間隔S2の1個分前進移動させた位置を、最適位置と決定する。
【0096】
このように、この例では予め想定した受信電磁波の強度曲線に実際のデータを当てはめ、曲線上の中心位置を最適位置として算出するから、送受信部107を細かいサンプリング間隔S2で移動させる必要がなく、簡易な構成でより短時間で最適位置を決定することができる。
【0097】
なお、図8〜図10に示した例ではX方向の最適位置決定処理について説明したが、Y方向についても同様に実施することが可能である。
【0098】
以上説明したデータ送受信装置を備えたプリンタ等の画像形成装置の全体制御を、図12に示すフローチャートを用いて説明する。
【0099】
用紙122に付加されたRFID素子108に対してデータの書き込みあるいは読み出しを行う場合、用紙122への印刷データの印字プロセスの後にRFID素子108への書き込み/読み出しを行う場合と、RFID素子108への書き込み/読み出しが終わった後に用紙122へ印刷データを印字する場合がある。ここでは、用紙122への印刷後にRFID素子108への書き込み/読み出しを実施する場合を例にとって説明する。
【0100】
ステップT401で用紙122に印刷データを印字したのち、ステップT402で、用紙122を搬送ベルト123で搬送して、データ通信ブロックへ送り込む。
【0101】
ステップT403で、用紙先端検出センサ106によって用紙の先端位置が検出されると、ステップT404で、その検出されたタイミングから予め決められた搬送ステップ数S1(サンプリング間隔S1と同じ)だけ用紙を搬送して停止させる。そして、ステップT405で、X方向のRFID素子108の検出プロセスを実施する。次いで、ステップT406で、RFID素子108が検出されたかどうかを判断し、検出されなければ(ステップT406でNO)、ステップT404に戻って再度S1ステップだけ用紙を搬送する。
【0102】
RFID素子108を検出できたら(ステップT406でYES)、図7あるいは図10に示したような前述のX方向の最適位置決定処理を実施し、ステップT408で、決定された最適位置をメモリに保存する。
【0103】
次いで、ステップT409で、送受信部107を決定した最適位置に移動させたのち、ステップT410で、用紙122をS1ステップだけ戻す。
【0104】
続いて、ステップT411で、Y方向のRFID素子108の検出プロセスを実施した後、ステップT412で、Y方向の最適位置決定処理を実施する。Y方向の最適位置決定処理もX方向の最適位置決定処理と処理内容は同じであるが、この実施形態ではY方向の移動を用紙122を搬送することにより行い、S1ステップずつ用紙を搬送して電磁波強度の測定コマンドを実施することになる。Y方向の最適位置を決定したら、ステップT413で、決定した位置に用紙122を移動させたのち、ステップT414で、その位置での電磁波強度の測定値を予め設定した閾値と比較する。十分な強度が得られた場合には(ステップT414でYES)、Y方向の最適位置(この場合は、用紙先端からのモータ送り量)をメモリに保存する。その後、本来RFID素子108に書き込む情報を書き込んだり、読み出す情報を読み出したりする。
【0105】
ステップT414で、測定した電磁波強度が予め設定した閾値より低い場合は(ステップT414でNO)、ステップT416でエラー処理を行う。エラー処理は、システムに異常がある旨を報知することでもよいが、以下に説明する中心位置の補正プロセスを実施してもよい。
【0106】
図13は、エラー処理の内容を示すフローチャートである。この処理では、測定した電磁波強度が必要な大きさを確保できていない場合に、位置を補正する処理を行うものとなされている。この例では、用紙の搬送方向(Y方向)の位置補正を行う場合について説明する。
【0107】
図12のステップT407及びステップT412の最適位置決定処理で決定された最適位置に送受信部107をセットする。そして、ステップT501で、最適位置決定処理で使用した検出ステップS1(サンプリング間隔S1)より細かいステップS2(サンプリング間隔S2)だけ用紙122を戻す。ついで、ステップT502で測定コマンドを実施し、ステップT503で電磁波強度データを取得する。
【0108】
次いで、ステップT504で、受信したデータと前回測定したデータを比較し、受信したデータが前回測定したデータより増加していれば(ステップT504でYES)、最適値は用紙の戻し方向にあることが判る。そこで、ステップT505で、戻し方向フラグに1をセットしたのち、ステップT501に戻ってさらに用紙122をS2ステップだけ戻す。
【0109】
電磁波強度データが増加しなくなるまでこの作業を繰り返し、データが増加しなくなると(ステップT504でNO)、ステップT506に進み、用紙122を戻し位置からS2ステップだけ進める。そして、ステップT507で、戻し方向フラグが1かどうかを判断し、戻しフラグが1であれば(ステップT507でYES)、ステップT513で、その位置を最適位置としてメモリに保存する。
【0110】
最初に戻し方向に用紙を搬送し(ステップT501)、電磁波強度データが増加しなかった場合は(ステップT504でNO)、用紙送り方向にS2ステップだけ送る(ステップT506)。この場合、戻し方向フラッグは1ではないから(ステップT507でNO)、ステップT508で測定コマンドを実施し、ステップT509で電磁波強度データを取得する。そして、ステップT510で、受信したデータと前回測定したデータを比較する。
【0111】
受信したデータが前回測定したデータより増加していれば(ステップT510でYES)、最適値は用紙の送り方向にあることから、ステップT506に戻ってさらに用紙122をS2ステップだけ送る。
【0112】
電磁波強度データが増加しなくなるまでこの作業を繰り返し、データが増加しなくなると(ステップT510でNO)、ステップT511に進み、用紙122を電磁界強度が増加しなくなった位置からS2ステップだけ戻し、ステップT512で、その位置を最適位置として記憶しなおす。
【0113】
図13に示した例では、Y方向の補正処理を行う場合を示したが、X方向の補正処理についても同様に行うことができる。
【0114】
このように、最適位置の決定後に補正処理を実行するから、最適位置にずれが生じてもこれに合わせて送受信部107とRFID素子108との位置関係が補正され、データの送受信を常時確実に行うことができる。
【0115】
以上説明した実施形態では、送受信部107と用紙122のY方向の相対位置移動手段として、用紙122を搬送することで説明してきたが、Y方向への送受信部107の移動手段としてステッピングモータ等のY軸モータ104を用いることにより、用紙122の戻し作業を必要とすることなく同様の制御を実施できる。この場合はまず、用紙122の全体を図1に示すようにデータ通信ブロックに搬送してから停止する。用紙122の位置は、用紙先端検出センサ106の検出タイミングを参照すれば、そのタイミングからの搬送モータ110の送り量で決定できる。後は、各フローチャートでY方向への移動手段として記されている用紙搬送を、Y軸モータ104による送受信部107の移動に置き換えればよい。
【0116】
また、今までの説明は用紙122がカット紙であることを前提として進めてきたが、図14に示すような連続紙126の上にRFID素子108を付加されたラベル128が貼り付けてあるような記録媒体を搬送する連続紙プリンタについても、同様な実施例を実現可能である。連続紙プリンタの場合は、連続紙126の端にトラクタ穴127が付加されている。このトラクタ穴の送り量をカウントすることで用紙の送り量を求めることができる。
【0117】
以上説明したようなデータ送受信装置において、RFID素子108へのデータの書き込み/読み出しに対する最適位置の決定処理は、以下の条件およびタイミングで実施されるものとする。
1.用紙の給紙口を変更する指示がされた後の第一枚目の用紙搬送時
2.マシントラブルから解除された後の第一枚目の用紙搬送時
3.紙詰まりを解除した後の第一枚目の用紙搬送時
4.電源を投入した直後の第一枚目の用紙搬送時
また、複数RFID素子108に連続的にデータの書き込み/読み出しを行う場合は、送受信部107は一定位置に固定されても良いが、データの書き込み/読み出しと同時に、受信電磁波強度の測定コマンドを実行し、常に電磁波強度が許容できる範囲にあるかどうかを監視する構成としても良い。もし、監視している電磁波強度が一定値以上下がったもしくは、変化量が一定値以上になったことが検出された場合は、送受信部107の位置をX方向もしくはY方向に移動させることで、適正位置を確保することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】(A)は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置のデータ通信ブロックを示す平面図、(B)は同じく中央部付近の正面断面図である。
【図2】この発明の一実施形態に係るデータ送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】送受信部のアナログ処理部とRFID素子のアナログ処理部の基本構成を示す回路図である。
【図4】RFID素子が受信している電磁波の強度を測定する場合の、送受信部のアナログ処理部とRFID素子のアナログ処理部の構成を示す回路図である。
【図5】送受信部が受信している電磁波の強度を測定する場合の、送受信部のアナログ処理部とRFID素子のアナログ処理部の構成を示す回路図である。
【図6】最適位置の決定処理の一例を説明するために、X方向移動距離に対する受信電磁波の強度分布を概念的に示す図である。
【図7】最適位置の決定処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】最適位置の決定処理の他の例を説明するために、X方向移動距離に対する受信電磁波の強度分布を概念的に示す図である。
【図9】同じくX方向移動距離に対する受信電磁波の強度分布を概念的に示す図である。
【図10】最適位置の決定処理の他の例を示すフローチャートである。
【図11】図10の最適位置の決定処理に用いる表である。
【図12】データ送受信装置を備えた画像形成装置の全体制御を説明するためのフローチャートである。
【図13】図12のフローチャートにおけるエラー処理(ステップT417)の内容を示すフローチャートである。
【図14】(A)は、この発明の他の実施形態に係る画像形成装置のデータ通信ブロックを示す平面図、(B)は同じく中央部付近の正面断面図である。
【符号の説明】
【0119】
100 MPU(位置検出手段、測定手段、最適位置決定手段、移動制御手段、エラー処理手段)
103 X軸モータ(移動手段)
104 Y軸モータ(移動手段)
107 送受信部
108 RFID素子
110 搬送モータ(移動手段)
122 用紙(媒体)
123 搬送ベルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に付加されたRFID素子とデータの送受信を行う送受信手段と、
前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を移動させる移動手段と、
前記送受信手段と前記RFID素子の位置関係を検出する位置検出手段と、
前記RFID素子または前記送受信手段が受信している電磁波の強度を測定する測定手段と、
前記移動手段により、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を任意の複数の位置に移動させたときの前記測定手段による各位置での受信電磁波強度の測定値に基づいて、前記送受信手段と前記RFID素子との最適位置関係を決定する最適位置決定手段と、
前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を、前記最適位置決定手段により決定された最適位置関係となるように、前記移動手段を介して移動させる移動制御手段と、
を備えたことを特徴とするデータ送受信装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を、相手に対して平行な平面内に設定されたXY座標における複数の移動ポイントに沿って移動させ、前記測定手段は、前記複数の移動ポイントで受信電磁波強度を測定する請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記RFID素子により負荷変調された信号をデータ送受信手段で受信し復調することにより得られた信号の大きさに基づいて、前記送受信手段が受信している電磁波の強度を測定する請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項4】
前記測定手段は、前記送受信手段からの信号がRFID素子のアンテナで受信されたときに発生する電圧についてのデータであって、かつデータ送受信手段に返信されてきたデータに基づいて、前記RFID素子が受信している電磁波の強度を測定する請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項5】
前記最適位置決定手段による送受信手段と前記RFID素子の最適位置関係の決定は、測定手段により測定された各位置での受信電磁波強度の測定値を、前記各位置と受信電磁波強度との関係が予め規定された曲線へ当てはめて、その曲線の頂点位置を算出することにより行われる請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項6】
前記送受信手段とRFID素子による通常のデータ送受信動作と並行して、前記移動手段は前記送受信最適位置の近傍において送受信手段と媒体の少なくとも一方を移動させ、かつ前記測定手段は各移動位置の電磁波の強度を測定し、前記最適位置決定手段は、前記測定手段により測定された電磁波強度の変化量に基づいて、前記送受信手段の最適位置の補正を行う請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項7】
前記測定手段により測定した最適位置での電磁波強度の測定値が所望の値に達していない場合にはエラー処理を行うエラー処理手段を備えている請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項8】
前記エラー処理は、前記送受信手段とRFID素子の位置関係を変更する処理を含むものである請求項7に記載のデータ送受信装置。
【請求項9】
前記測定手段による電磁波強度の測定結果が一定の条件となった区間では、前記測定手段による電磁波強度の測定サンプリング数を増加させる請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項10】
前記送受信手段とRFID素子との最適位置関係の決定動作を行いながら、前記送受信手段は前記RFID素子とデータの送受信を行う請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項11】
前記媒体は連続的に繋がっている請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
前記媒体へは印刷手段によりデータが印刷される請求項11に記載のデータ送受信装置。
【請求項13】
前記媒体は相互にカットされている請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項14】
前記媒体へは印刷手段によりデータが印刷される請求項13に記載のデータ送受信装置。
【請求項15】
用紙からなる前記媒体にデータを印刷可能な画像形成装置に組み込まれ、前記最適位置関係の決定動作は、前記画像形成装置の給紙口変更後、マシントラブル後、紙詰まり発生後、電源投入後の少なくともいずれかに行われる請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項16】
媒体に付加されたRFID素子とデータの送受信を行う送受信手段と前記媒体の位置関係を検出するステップと、
前記RFID素子または前記送受信手段が受信している電磁波の強度を測定するステップと、
前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を任意の複数の位置に移動させたときの各位置での受信電磁波強度の測定値に基づいて、前記送受信手段と前記RFID素子との最適位置関係を決定するステップと、
前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を、前記決定された最適位置関係となるように移動させるステップと、
をコンピュータに実行させるためのデータ送受信装置の位置制御プログラム。
【請求項1】
媒体に付加されたRFID素子とデータの送受信を行う送受信手段と、
前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を移動させる移動手段と、
前記送受信手段と前記RFID素子の位置関係を検出する位置検出手段と、
前記RFID素子または前記送受信手段が受信している電磁波の強度を測定する測定手段と、
前記移動手段により、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を任意の複数の位置に移動させたときの前記測定手段による各位置での受信電磁波強度の測定値に基づいて、前記送受信手段と前記RFID素子との最適位置関係を決定する最適位置決定手段と、
前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を、前記最適位置決定手段により決定された最適位置関係となるように、前記移動手段を介して移動させる移動制御手段と、
を備えたことを特徴とするデータ送受信装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を、相手に対して平行な平面内に設定されたXY座標における複数の移動ポイントに沿って移動させ、前記測定手段は、前記複数の移動ポイントで受信電磁波強度を測定する請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記RFID素子により負荷変調された信号をデータ送受信手段で受信し復調することにより得られた信号の大きさに基づいて、前記送受信手段が受信している電磁波の強度を測定する請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項4】
前記測定手段は、前記送受信手段からの信号がRFID素子のアンテナで受信されたときに発生する電圧についてのデータであって、かつデータ送受信手段に返信されてきたデータに基づいて、前記RFID素子が受信している電磁波の強度を測定する請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項5】
前記最適位置決定手段による送受信手段と前記RFID素子の最適位置関係の決定は、測定手段により測定された各位置での受信電磁波強度の測定値を、前記各位置と受信電磁波強度との関係が予め規定された曲線へ当てはめて、その曲線の頂点位置を算出することにより行われる請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項6】
前記送受信手段とRFID素子による通常のデータ送受信動作と並行して、前記移動手段は前記送受信最適位置の近傍において送受信手段と媒体の少なくとも一方を移動させ、かつ前記測定手段は各移動位置の電磁波の強度を測定し、前記最適位置決定手段は、前記測定手段により測定された電磁波強度の変化量に基づいて、前記送受信手段の最適位置の補正を行う請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項7】
前記測定手段により測定した最適位置での電磁波強度の測定値が所望の値に達していない場合にはエラー処理を行うエラー処理手段を備えている請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項8】
前記エラー処理は、前記送受信手段とRFID素子の位置関係を変更する処理を含むものである請求項7に記載のデータ送受信装置。
【請求項9】
前記測定手段による電磁波強度の測定結果が一定の条件となった区間では、前記測定手段による電磁波強度の測定サンプリング数を増加させる請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項10】
前記送受信手段とRFID素子との最適位置関係の決定動作を行いながら、前記送受信手段は前記RFID素子とデータの送受信を行う請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項11】
前記媒体は連続的に繋がっている請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
前記媒体へは印刷手段によりデータが印刷される請求項11に記載のデータ送受信装置。
【請求項13】
前記媒体は相互にカットされている請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項14】
前記媒体へは印刷手段によりデータが印刷される請求項13に記載のデータ送受信装置。
【請求項15】
用紙からなる前記媒体にデータを印刷可能な画像形成装置に組み込まれ、前記最適位置関係の決定動作は、前記画像形成装置の給紙口変更後、マシントラブル後、紙詰まり発生後、電源投入後の少なくともいずれかに行われる請求項1に記載のデータ送受信装置。
【請求項16】
媒体に付加されたRFID素子とデータの送受信を行う送受信手段と前記媒体の位置関係を検出するステップと、
前記RFID素子または前記送受信手段が受信している電磁波の強度を測定するステップと、
前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を任意の複数の位置に移動させたときの各位置での受信電磁波強度の測定値に基づいて、前記送受信手段と前記RFID素子との最適位置関係を決定するステップと、
前記送受信手段と前記媒体の少なくとも一方を、前記決定された最適位置関係となるように移動させるステップと、
をコンピュータに実行させるためのデータ送受信装置の位置制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−164426(P2007−164426A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−359188(P2005−359188)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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