説明

データ録画再生装置、常時録画方法、常時録画プログラム及び記録媒体

【課題】常時録画の実行に際し、所定時間分のデータ録画領域を予め確保するのではなく、録画状態に応じてその都度一つのセグメント領域を確保しつつ常時録画を行うことで、所定のデータ領域のみを集中的に繰り返し使用してしまうことを防止する。
【解決手段】コントローラ14は、常時録画の実行に際し、常に一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行い、当該セグメント領域が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行うといった処理を繰り返すことで、所定時間分の常時録画を行うとともに、所定時間分を録画した後は、最後のセグメント領域が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行う一方、常時録画で使用した最も古い一つのセグメント領域を開放するといった処理を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの録画領域が予め設定された複数のセグメント領域に分割されている録画媒体に、設定された所定時間分のデータを常時録画する常時録画機能を備えたデータ録画再生装置、常時録画方法、常時録画プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、予め設定された所定時間分のデータを常時録画する常時録画機能を備えた録画装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。常時録画機能とは、録画装置が電源オン状態にあるときに所定時間分(例えば、30分、1時間、2時間等)の録画を常時行い、常時巻き戻し再生を可能とする機能である。
【0003】
この録画装置は、ハードディスクを使用領域、未使用領域、常時録画領域に分け、常時録画領域は0個以上のハードディスクデータを記録し、ハードディスクデータ記録単位が一定数を超えた場合に、最も古いハードディスク記録データ形式が自動的に削除されるように0個以上のハードディスクデータ記録単位で構成される循環リスト構造を形成したものである。
【特許文献1】特開2005−79891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
常時録画機能については、上記従来技術をはじめ、種々の記録方法が提案されているが、いずれも常時録画の開始時に、所定時間分のデータ領域をリングバッファとして予め確保し、そのデータ領域内で循環録画を行うようになっている。つまり、常時録画するために、予め確保した特定のセクタに録画データを書き続けることになるため、特定のセクタが酷使されることになる。そのため、特定のセクタが酷使により壊れることによって、記録媒体自体の寿命も短くなってしまうといった問題があった。
【0005】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、常時録画の実行に際し、所定時間分のデータ録画領域を予め確保するのではなく、録画状態に応じてその都度一つのセグメント領域を確保しつつ常時録画を行うことで、所定のデータ録画領域のみを集中的に繰り返し使用してしまうことを防止したデータ録画再生装置、常時録画方法、常時録画プログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のデータ録画再生装置は、データの録画領域が予め設定された複数のセグメント領域に分割されている録画媒体に、設定された所定時間分のデータを常時録画する常時録画機能を備えたデータ録画再生装置において、前記常時録画を実行する録画制御手段は、常時録画の実行に際し、前記所定時間分のデータ録画領域を予め確保することなく、常に一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行い、当該セグメント領域が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行うといった処理を繰り返すことで前記所定時間分の録画を行うとともに、所定時間分を録画した後は、最後のセグメント領域が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行う一方、常時録画で使用した最も古い一つのセグメント領域を開放するといった処理を繰り返すことで前記所定時間分の常時録画を続行することを特徴としている。
【0007】
また、本発明の常時録画方法は、データの録画領域が予め設定された複数のセグメント領域に分割されている録画媒体に、設定された所定時間分のデータを常時録画する常時録画方法であって、常時録画の実行に際し、前記常時録画を実行する録画制御手段が、常に一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行う第1ステップと、当該セグメント領域が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行う第2ステップと、を繰り返すことで前記所定時間分の録画を行い、所定時間分を録画した後は、最後のセグメント領域が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行うステップと、常時録画で使用した最も古い一つのセグメント領域を開放するステップと、を繰り返すことで前記所定時間分の常時録画を続行することを特徴としている。
【0008】
具体的に説明すると、録画媒体のデータ録画領域に、空きセグメント領域として例えばセグメント1,セグメント2,・・・,セグメント10,の10個のセグメント領域が存在しているものとし、一つのセグメント領域には常時録画モードで例えば15分のデータが録画できるものとし、常時録画の所定時間が1時間であったとすると、録画制御手段は、まず、最初の空きセグメント領域であるセグメント1を確保し、このセグメント1にデータの録画(常時録画)を行う。そして、セグメント1が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域であるセグメント2を確保し、このセグメント2にデータの録画(常時録画)を行う。そして、セグメント2が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域であるセグメント3を確保し、このセグメント3にデータの録画(常時録画)を行う。そして、セグメント3が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域であるセグメント4を確保し、このセグメント4にデータの録画(常時録画)を行う。この後、セグメント4が一杯になった時点で、録画媒体には常時録画の所定時間である1時間分のデータが録画されたことになる。ここまでは、従来の常時録画も同じである。
【0009】
ここで、従来の常時録画では、次に最初のセグメント1に戻って常時録画を上書きで継続するのであるが、本発明では、セグメント4が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域であるセグメント5を確保し、このセグメント5にデータの録画(常時録画)を行う。このとき、常時録画で使用した最も古い一つのセグメント領域であるセグメント1を開放する。すなわち、新たな空きセグメント領域を確保する一方で、常時録画で使用した最も古いセグメント領域であるセグメント1をこの時点で開放することで、常時録画の所定時間である1時間を常に確保するようにしている。従って、この後に例えば通常録画が行われた場合には、このセグメント1も空き領域として扱われ、通常録画のデータ録画領域として必要に応じ使用されることになる。
【0010】
以後同様にして、セグメント5が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域であるセグメント6を確保し、このセグメント6にデータの録画(常時録画)を行う一方、常時録画で使用した最も古いセグメント領域であるセグメント2を開放する、といった処理を順次繰り返すことになる。これにより、常時録画のデータ録画領域が、録画媒体の物理的なデータ録画領域内において順次移動することになり、特定のセクタのみを繰り返し集中して使用してしまうといった状態を回避することが可能となる。
【0011】
ここで、本発明では、録画制御手段は、通常録画が指示された場合には、通常録画と常時録画とを並行して行うようになっている。通常録画も、常時録画とは録画モードが異なるだけで、録画方法は上記常時録画と基本的に同じである。すなわち、通常録画が指示されると、録画制御手段は、その時点での空きセグメント領域を一つ確保してそのセグメント領域にデータを録画し、そのセグメント領域が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域を確保してそのセグメント領域にデータの録画を行う、といった処理を通常録画が終了するまで順次行うことになる。
【0012】
従って、通常録画と常時録画とを並行して行った場合には、録画されるセグメント領域が互いに飛び越し状態となるが、各セグメント領域は、録画媒体の情報ファイル領域(これについては後述する。)において個々に管理されるため、飛び越し状態となっても、通常録画で使用されたセグメント領域と常時録画で使用されたセグメント領域とを区別して認識することができる。従って、録画制御手段は、この情報ファイル領域を参照することで、通常録画と常時録画の録画と再生とを個別に制御することが可能である。
【0013】
また、本発明では、録画制御手段は、通常録画と常時録画を同時に実行している場合において、セグメント領域に空きがなくなった場合には、常時録画で使用している最も古い一つのセグメント領域を開放し、このセグメント領域を通常録画に使用する。すなわち、この場合には通常録画を優先して行う構成としている。従って、このような場合には、常時録画される所定時間が短くなるが、例えばこの時点でユーザに警告を出して適当な対応処置を促すようにしておけば、特に問題となることはない。
【0014】
なお、上記の常時録画方法は、その各ステップをコンピュータに実行させるための常時録画プログラムとして提供することが可能であり、この常時録画プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して提供することが可能である。ここで、記録媒体としては、データ録画再生装置にプログラム読み取り装置を内蔵し、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであってもよい。このようなプログラムメディアとしては、フロッピディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROM、MO、DVD−ROM等のディスク系、ICカードや光カード等のカード系、マスクROMやEEPROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、などがある。
【発明の効果】
【0015】
本発明のデータ録画再生装置によれば、常時録画の実行に際し、所定時間分のデータ録画領域を予め確保することなく、常に一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行い、当該セグメント領域が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行うといった処理を繰り返すことで所定時間分の録画を行うとともに、新たな空きセグメント領域を確保する一方で、常時録画で使用した最も古いセグメント領域を開放することで、常時録画の所定時間を常に確保するようにしている。これにより、常時録画のデータ録画領域が、録画媒体の物理的なデータ録画領域内において順次移動することになり、特定のセクタのみを繰り返し集中して使用してしまうといった状態を回避することができる。従って、特定のセクタが酷使により壊れることによって、録画媒体自体の寿命が短くなってしまうといった事態の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明のデータ録画再生装置の一実施形態を示すHD(ハードディスク)レコーダ1の電気的構成を示すブロック図である。ただし、本発明のデータ録画再生装置は、このようなHDレコーダに限定されるものではなく、例えばHDD内蔵のDVDレコーダ等を含む一般のデジタル映像機器や光ディスク装置等に適用可能である。
【0018】
図1に示すHDレコーダ1は、受信部11、入力制御部12、A/D変換部13、コントローラ14、HDドライブ15、D/A変換部16、出力制御部17、入力部18、メモリ部20等を備えて構成されている。
【0019】
入力部18は、スイッチ、ボタンあるいはリモコン等から構成され、ユーザの操作内容に応じた信号をコントローラ14へ出力するものである。これにより、ユーザは、種々のデータをHDレコーダ1に入力することができ、HDレコーダ1を操作して使用することができる。
【0020】
受信部11は、チューナや分離器を備えて構成されている。受信部11は、アンテナ6を介して番組の放送信号を受信し、この放送信号を入力制御部12へ入力する。放送信号はアナログ信号またはデジタル信号であり、音声信号と映像信号とを含んで構成されている。
【0021】
入力制御部12は、受信部11で受信された放送信号から音声信号と映像信号を抽出する。A/D変換部13は、上記放送信号がアナログ信号である場合には入力制御部12で抽出された映像信号及び音声信号をMPEG2(Motion PictureExpert Group 2)によりエンコード(圧縮)してコントローラ24に出力する。一方、上記放送信号がデジタル信号である場合には、映像信号及び音声信号は既にMPEG2でエンコードされているので、これら映像信号及び音声信号をそのままコントローラ14に送信する。
【0022】
コントローラ14は、CPU14a、RAM14b、ROM14cを備えて構成されている。コントローラ14は、図示しないハードディスク(録画媒体)に対する音声信号及び映像信号の読み取りや書き込みをはじめとする、HDレコーダ1の各構成要素を制御する。
【0023】
ROM14cには、HDレコーダ1全体を制御するためのプログラムが格納されている。CPU14aはROM14cに格納されたプログラムや入力部18からの信号に従い、HDレコーダ1の各構成要素を制御するための演算を行う。RAM14bはCPU14aが演算を行うための作業領域として動作する。
【0024】
HDドライブ15はコントローラ14とともに読み取り手段及び書き込み手段を形成する構成要素であり、記憶媒体(録画媒体)であるハードディスクと、ハードディスクに記憶(以下「録画」ともいう。)されているデータ(映像信号及び音声信号)の読み取り(以下「録画再生」ともいう。)、及びハードディスクへのデータ(映像信号及び音声信号)の書き込み(以下「録画」ともいう。)を行うためのヘッドとを備えて構成されている。
【0025】
D/A変換部16は、ハードディスクに録画された映像信号及び音声信号等のデータを再生する際、コントローラ14を介してこれらの信号をデコード(伸張)し、アナログ信号に変換して出力制御部17に出力する。さらに出力制御部17は、D/A変換部16で変換された映像信号及び音声信号をテレビモニタや受像管(CRT)やスピーカといった図示しない出力装置へ出力する。
【0026】
図2は、HDドライブ15に記憶される上記データ及び当該データの記憶位置についての情報等の記憶内容を模式的に示した図である。
【0027】
HDドライブ15は、映像信号及び音声信号等のデータが記録(録画)されるデータ録画領域であるセグメント領域51、ファイルの情報ファイルが記憶される情報ファイル領域52、及びシステム情報ファイルが記憶されるシステム情報領域53に分割されている。
【0028】
セグメント領域51は、本実施形態では500のセグメント領域(セグメント1〜500)に分割されている。一つのセグメント領域は、例えば8メガバイト程度の容量に分割されている。
【0029】
情報ファイル領域52は、本実施形態ではファイル1〜ファイル50の情報ファイルが記憶できるように、50に分割されている。情報ファイル領域52には、ファイル1の情報ファイルから順に、所定時間ごとに情報ファイルが記憶されていく。そして、50の領域のすべてに情報ファイルが記憶されると、古いものから、最新の情報ファイルに上書きされるようになっている。
図3は、システム情報領域53に記憶されるシステム情報ファイル、及び情報ファイル領域52に記憶されるファイルの情報ファイルに含まれる情報を模式的に示した図である。
【0030】
ファイル1〜ファイル50の各ファイルの情報ファイルには、図3に示すように、ファイル名、ファイルサイズ、録画時間、録画品質、録画ポイント、及び使用セグメントが含まれる。具体的には、情報ファイルには、その時点で録画されているのが、セグメント領域53内のどのセグメント(「使用セグメント」)の、当該セグメント内のどのポイント(「録画ポイント」)から、どの位の長さ(「録画時間」)か、という情報が含まれる。また、ファイル名は、当該セグメント内において録画中のファイルに対応するファイル名であり、ファイルサイズは当該ファイルのサイズである。ファイルサイズは、録画時間と録画品質によって変化する。録画品質は、HDレコーダ1において適宜決定することができ、入力部8に入力される情報に従って変更も可能である。録画品質としては、デジタル放送で送信されてきた映像や音声などをそのままの形でデジタル録画するTS録画と、PS(XP/SP/LP/EP等)録画がある。
【0031】
なお、HDレコーダ1において再生動作が行なわれている場合に作成されるファイルの情報ファイルは、上記した録画ポイントの代わりに、その時点で再生しているポイント(「再生ポイント」)が含まれる。
【0032】
また、HDレコーダ1では、録画が行なわれている際には、所定時間ごとに、ファイルの情報ファイルが作成されるが、録画と同時に再生が行なわれている場合には、録画についてのファイルの情報ファイルと再生についてのファイルの情報ファイルとが、作成される。
【0033】
システム情報ファイルは、図3に示すように、情報ファイル領域52における、その時点での、録画についての情報ファイルを特定するための録画ファイル番号、及び再生についての情報ファイルを特定するための再生ファイル番号を含んでいる。
【0034】
ここで、ユーザ操作によって開始される従来の通常録画(録画予約も含む)におけるコントローラ14の録画処理について、簡単に説明する。
【0035】
ユーザによって入力部18より録画開始指示が入力されると、コントローラ14は、その時点で一つの空きセグメント(例えば、セグメント1)を確保し、このセグメント1にデータの録画を行う。そして、セグメント1が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント(例えばセグメント2)を確保し、このセグメント2にデータの録画を行う。このようにして、一つのセグメント一杯まで録画を行うと、その時点で次の空きセグメントを確保することを繰り返すことによって、予め設定された録画時間分の通常録画を行うことになる。すなわち、通常録画では、セグメント単位でその都度新たな一つのセグメントを確保しつつ、録画を行うことになる。
【0036】
上記構成において、本実施形態のHDレコーダ1は、上記通常録画とは別に、常時録画機能を備えている。常時録画機能とは、HDレコーダ1が電源オン状態にあるときに所定時間分(例えば、30分、1時間、2時間等)の録画を常時行い、常時巻き戻し再生を可能とする機能である。すなわち、ハードディスクの所定のデータ記録領域に外部から入力されるデータ(放送信号)を所定時間分一時的に録画しつつ、録画した当該データに対して巻き戻し再生を行う機能である。ここで、上記所定時間は、予め提供されている複数時間の中らユーザが選択可能となっている。
【0037】
従来、この常時録画機能は、常時録画の開始時に、所定時間分のデータ録画領域をリングバッファとして予め確保し、そのデータ録画領域内で循環的に録画を行うようになっている。これに対し、本実施形態のHDレコーダ1では、常時録画の実行に際し、所定時間分のデータ録画領域を予め確保することなく、上記通常録画と同様に、常に一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を順次行っていく方式を採用している。
【0038】
以下、本実施形態においてコントローラ14が実施する常時録画動作について、図4に示すフローチャート、及び図5に示す説明図を参照して説明する。
【0039】
ここで、ハードディスクのデータ録画領域に、空きセグメント領域として、図5(a)に示すように例えばセグメント1,セグメント2,・・・,セグメント10,の10個のセグメント領域が存在しているものとし、一つのセグメント領域には常時録画モードで例えば15分のデータが録画できるものとし、常時録画の所定時間が1時間であったとする。因みに、説明の都合上、理解を簡単なものとするために、セグメント11からセグメント500まではすでに通常録画によってデータが録画されているものとする。すなわち、ここではセグメント1〜10のみに着目して常時録画動作を説明するものとする。
【0040】
この状態においてHDレコーダ1の電源がオンされると、コントローラ14は、まず、最初の空きセグメント領域であるセグメント1を確保し(ステップS1)、このセグメント1にデータの録画(常時録画)を行う(ステップS2)。この状態を図5(a)に示す。
【0041】
そして、セグメント1が一杯になった時点(ステップS3でYesと判断)で、所定時間分のデータが録画できたか否かを確認し(ステップS4)、所定時間分のデータが録画されていなければ(ステップS4でNoと判断されれば)、ステップS1に戻って次の一つの空きセグメント領域であるセグメント2を確保し、このセグメント2にデータの録画(常時録画)を行う(ステップS2)。この状態を図5(b)に示す。図5(b)中において、斜線を付したセグメントが常時録画のデータを一杯まで録画したセグメントである。
【0042】
そして、セグメント2が一杯になった時点(ステップS3でYesと判断)で、所定時間分のデータが録画できたか否かを確認し(ステップS4)、所定時間分のデータが録画されていなければ(ステップS4でNoと判断されれば)、ステップS1に戻って次の一つの空きセグメント領域であるセグメント3を確保し、このセグメント3にデータの録画(常時録画)を行う(ステップS2)。この状態を図5(c)に示す。
【0043】
そして、セグメント3が一杯になった時点(ステップS3でYesと判断)で、所定時間分のデータが録画できたか否かを確認し(ステップS4)、所定時間分のデータが録画されていなければ(ステップS4でNoと判断されれば)、ステップS1に戻って次の一つの空きセグメント領域であるセグメント4を確保し、このセグメント4にデータの録画(常時録画)を行う(ステップS2)。この状態を図5(d)に示す。
【0044】
この後、セグメント4が一杯になった時点(ステップS3でYesと判断)で、所定時間分のデータが録画できたか否かを確認する(ステップS4)。この場合、図5(e)に示すように、セグメント1〜セグメント4の4つのセグメントに常時録画のデータが録画されており、所定時間分である1時間分の録画ができている。
【0045】
そして、この場合には、コントローラ14は、次の一つの空きセグメント領域であるセグメント5を確保する(ステップS5)。その一方で、コントローラ14は、常時録画で使用した最も古い一つのセグメント領域であるセグメント1を開放する(ステップS6)。この状態を図5(f)に示す。すなわち、新たな空きセグメント領域を確保する一方で、常時録画で使用した最も古いセグメント領域であるセグメント1をこの時点で開放することで、常時録画の所定時間である1時間を超えないように(すなわち、1時間分のデータを保つように)している。従って、この後に例えば通常録画が行われた場合には、このセグメント1も空き領域(すなわち、録画可能領域)として扱われ、通常録画の録画領域として必要に応じ使用されることになる。この後、コントローラ14は、このセグメント5にデータの録画(常時録画)を行う(ステップS7)。
【0046】
そして、セグメント5が一杯になった時点(ステップS8でYesと判断)で、ステップS5に戻って、次の一つの空きセグメント領域であるセグメント6を確保する。その一方で、コントローラ14は、常時録画で使用した最も古い一つのセグメント領域であるセグメント2を開放する(ステップS6)。この状態を図5(g)に示す。すなわち、新たな空きセグメント領域を確保する一方で、常時録画で使用した最も古いセグメント領域であるセグメント2をこの時点で開放することで、常時録画の所定時間である1時間を超えないように(すなわち、1時間分のデータを保つように)している。従って、この後に例えば通常録画が行われた場合には、このセグメント2も空き領域として扱われ、通常録画の録画領域として必要に応じ使用されることになる。この後、コントローラ14は、このセグメント6にデータの録画(常時録画)を行う(ステップS7)。
【0047】
以後同様にして、セグメント6が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域であるセグメント7を確保し、このセグメント7にデータの録画(常時録画)を行う一方、常時録画で使用した最も古いセグメント領域であるセグメント3を開放する、といった処理を順次繰り返すことになる。
【0048】
これにより、常時録画のデータ録画領域が、ハードディスクの物理的なデータ録画領域内において順次移動することになり、特定のセクタのみを繰り返し集中して使用してしまうといった状態を回避することが可能となる。すなわち、図5に示す例で言えば、常時録画のためのデータ録画領域が、最初はセグメント1〜4の領域(図5(e))であったのが、その後、セグメント2〜5に移動(図5(f))し、さらにセグメント3〜6に移動(図5(g))している。
【0049】
なお、このような常時録画動作は、HDレコーダ1の電源がオフされるまで継続されることになる。
【0050】
上記常時録画動作の説明は、通常録画を行っていないことを前提とした説明となっている。しかし、コントローラ14は、通常録画が指示された場合には、通常録画と上記の常時録画とを並行して行うことになる。この場合、通常録画はTS録画、常時録画はPS録画である。上記したように、通常録画も常時録画もセグメント単位で順次録画していくことは同じである。従って、常時録画動作自体は上記図4に示すフローチャートの手順に従って処理されることになる。ただ、異なるのは、ステップS1及びステップS5で新たな空きセグメント領域を確保するときに、確保される空きセグメントの位置が必ずしも物理的に連続しないことである。
【0051】
例えば、図5(e)に示す状態においてセグメント4に常時録画を行っているときに、通常録画が指示されると、コントローラ14は、次の空きセグメント領域であるセグメント5を確保し、このセグメント5に通常録画を行うことになる。そして、この状態のときにセグメント4が一杯になった場合、コントローラ14は、セグメント5を飛ばし、次の空きセグメント領域であるセグメント6を常時録画用として確保することになる。従って、このときの常時録画用として確保されたデータ記録領域は、図5(f)のセグメント2、セグメント3、セグメント4、セグメント5という物理的に連続した領域とは異なり、セグメント2、セグメント3、セグメント4、セグメント6という物理的に飛び越した状態の常時録画領域となる。
【0052】
このように、通常録画と常時録画とを並行して行った場合には、録画されるセグメント領域が互いに飛び越し状態となるが、各セグメント1〜500は、ハードディスクの情報ファイル領域52において個々に管理されるため、飛び越し状態となっても、通常録画で使用されたセグメント領域と常時録画で使用されたセグメント領域とを区別して認識することができる。従って、コントローラ14は、この情報ファイル領域52の情報を参照することで、通常録画と常時録画の録画と再生とを個別に制御することが可能である。
【0053】
また、本実施形態では、コントローラ14は、通常録画と常時録画を同時に実行している場合において、セグメント領域に空きがなくなった場合には、常時録画で使用している最も古い一つのセグメント領域を開放し、このセグメント領域を通常録画に使用するようにしている。すなわち、この場合には通常録画を優先して行う構成としている。従って、このような場合には、常時録画される所定時間が短くなる(例えば、1時間が45分となり、30分となる)が、例えばこの時点でユーザに警告を出して適当な対応処置(過去のデータを消去して空きセグメント領域を増やすような措置)を促すようにしておけば、常時録画による巻き戻し再生時間は短くなるものの、特に問題となることはない。警告を出す手法としては、出力制御部17に接続されているテレビモニタ等の画面隅に警告メッセージを表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のデータ録画再生装置の一実施形態を示すHD(ハードディスク)レコーダの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】データ及び当該データの記憶位置についての情報等を記憶するHDドライブでの記憶内容を模式的に示した図である。
【図3】システム情報領域に記憶されるシステム情報ファイル、及び情報ファイル領域に記憶されるファイルの情報ファイルに含まれる情報を模式的に示した図である。
【図4】コントローラが実施する常時録画動作を示すフローチャートである。
【図5】コントローラが実施する常時録画動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
1 HD(ハードディスク)レコーダ
11 受信部
12 入力制御部
13 A/D変換部
14 コントローラ
15 HDドライブ
16 D/A変換部
17 出力制御部
18 入力部
20 メモリ部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの録画領域が予め設定された複数のセグメント領域に分割されている録画媒体に、設定された所定時間分のデータを常時録画する常時録画機能を備えたデータ録画再生装置において、
前記常時録画を実行する録画制御手段は、常時録画の実行に際し、前記所定時間分のデータ録画領域を予め確保することなく、常に一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行い、当該セグメント領域が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行うといった処理を繰り返すことで前記所定時間分の録画を行うとともに、所定時間分を録画した後は、最後のセグメント領域が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行う一方、常時録画で使用した最も古い一つのセグメント領域を開放するといった処理を繰り返すことで前記所定時間分の常時録画を続行することを特徴とするデータ録画再生装置。
【請求項2】
前記録画制御手段は、通常録画が指示された場合には、通常録画と前記常時録画とを並行して行うことを特徴とする請求項1に記載のデータ録画再生装置。
【請求項3】
前記録画制御手段は、前記セグメント領域に空きがなくなった場合には、前記常時録画で使用している最も古い一つのセグメント領域を開放し、このセグメント領域を通常録画に使用することを特徴とする請求項2に記載のデータ録画再生装置。
【請求項4】
データの録画領域が予め設定された複数のセグメント領域に分割されている録画媒体に、設定された所定時間分のデータを常時録画する常時録画方法であって、
常時録画の実行に際し、前記常時録画を実行する録画制御手段が、常に一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行う第1ステップと、当該セグメント領域が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行う第2ステップと、を繰り返すことで前記所定時間分の録画を行い、所定時間分を録画した後は、最後のセグメント領域が一杯になった時点で次の一つの空きセグメント領域を確保してその確保したセグメント領域に録画を行うステップと、常時録画で使用した最も古い一つのセグメント領域を開放するステップと、を繰り返すことで前記所定時間分の常時録画を続行することを特徴とする常時録画方法。
【請求項5】
請求項4に記載の常時録画方法の各ステップをコンピュータに実行させるための常時録画プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の常時録画プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−27590(P2009−27590A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190648(P2007−190648)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】