説明

トイレまたは小便器用自己粘着性分解性ブロック

【課題】トイレまたは小便器用の自己粘着性分解性洗浄ブロックを提供する。
【解決手段】水線よりも上にあり洗浄水流中にある大便器または小便器の壁に洗浄ブロックを押し付けることにより、前記壁に直接取り付けられる自己粘着性分解性洗浄ブロック。前記洗浄ブロックは、25%〜99%の固体界面活性剤と1%〜25%の液体成分を含む。前記洗浄ブロックは、洗浄ブロックの表面に着脱可能に取り付けられた基材を含んでいてもよい。使用の際には、前記基材は洗浄ブロックから除去され、洗浄ブロックの露出した表面は、洗浄ブロックを分解するすすぎ液と接するどの水線よりも上の位置にある表面に押し付けられる。次いで、所定量の洗浄ブロックがすすぎ液流と混合して前記表面または前記表面付近の液体タンクを洗浄するように、すすぎ液を洗浄ブロックと接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
該当なし。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
該当なし。
【0003】
発明の背景
1 発明の分野
本発明は、すすぎ液が洗浄ブロックを分解させ、それにより洗浄ブロックの活性成分が洗浄、消毒および/または脱臭する表面に適用される自己粘着性洗浄ブロックに関する。より詳細には、本発明はトイレまたは小便器用の自己粘着性分解性洗浄ブロックに関する。
【背景技術】
【0004】
2 関連技術の記載
種々の成分を含む分解性ブロックが、トイレまたは小便器を洗浄、消毒および/または脱臭するのに使用できることは公知である。このような分解性ブロックは、一般にトイレあるいは小便器の貯水槽(シスタンとしても知られる)中に沈められるか、またはある種のホルダー中に置かれ、次いで大便器または小便器の「縁の下」(UTR)に設置される。一旦設置されると、シスタン中または大便器若しくは小便器中において、前記ブロックはゆっくりと活性成分を放出し、水中に分解する。シスタン中に設置された分解性ブロックの場合には、ブロックはシスタンの底に沈み、その後は常に水に浸漬し得る。このように水と常に接触することは、分解性ブロックが活性成分を放出し適切な速度で分解することを確実にするために、特定の種類の配合であることが要求される。UTR製品の場合には、かかる分解性ブロックは、トイレが流されブロックが放流水ですすがれる度に分解し活性成分を放出するであろう。かかる分解性ブロックのための種々の配合に関し多くの特許が発行されている。
【0005】
例えば、米国特許第4,477,363号には、遊離の脂肪アルコール;緩衝界面活性剤;香料;塩;および染料を含む固体ケーキが教示されている。前記固体ケーキは、所定量の界面活性剤、香料および/または染料ならびに所望により含んでいてもよい他の成分を、トイレの放流に応答してトイレの便器に自動的に分配するトイレタンクの自動配水ディスペンサー(dosing dispenser)と組み合わせて使用することが意図されている。
【0006】
米国特許第4,820,449号には、モノアルキル硫酸ナトリウム、脂肪酸アルカノールアミド、および水溶性無機アルカリ塩(例えば、硫酸ナトリウム)、ならびに、所望により含んでいてもよい、カルシウム錯化カルボン酸またはそのアルカリ塩、香料、染料、抗菌剤および他の助剤を含む水洗トイレのタンク用洗浄ブロックが教示されている。前記ブロックは、著しく長い耐用年数により、一定した溶解特性により、また高い洗浄力により卓越すると考えられている。
【0007】
欧州特許第0014979号には、洗面所の衛生用の洗浄ブロック(flushing block)の製造方法が記載され、ここでは陰イオンおよび/または非イオン界面活性剤;消毒剤または漂白剤;酸;アルカリもしくは中性塩、固体無機酸または有機酸および/または錯化剤;充填剤;染料および香料;バインダー;ならびに水和水と結合する能力のある無機塩を有する粉末形態または顆粒状の混合物を水と接触させ、それにより凝固させて前記ブロックを形成している。
【0008】
米国特許第5,863,876号には、ポリアクリレートポリマーおよびラウリルベンゼンスルホン酸塩界面活性剤を含むトイレ洗浄ブロックが記載されている。前記ブロックはトイレタンク中に浸漬させるためのものであり、大便器に、特に酸化鉄により生じるリングおよびしみが形成されるのを抑制する。
【0009】
米国特許第5,945,390号および同第5,990,061号には、スルホン酸塩のような陰イオン界面活性剤、線状第1級アルコール、およびヒドロキシエチルセルロース等のバインダーを含むトイレ洗浄ブロックが記載されている。前記ブロックは、非常にゆっくりであるが、硬水または軟水中で基本的に同一の速度で侵食される。前記ブロックは、トイレタンク中または大便器の縁の下に浸漬させるためのディスペンサーと共に使用される。
【0010】
米国特許第6,184,192号には、塩素発生剤、安定剤、染料、バインダーおよび陰イオン界面活性剤を含むトイレ洗浄ブロックが開示されており、塩素発生剤、安定剤、染料、バインダーおよび界面活性剤は一緒に混合される。バインダーは耐用年数を延ばし、安定剤は塩素発生剤とバインダーとの間、ならびに塩素発生剤と染料との間の不都合な相互作用を抑制する。
【0011】
上述した特許に記載された分解性ブロックの多くは、ブロックをディスペンサー中に設置するか、または単にブロックをタンク内に設置することによりトイレタンク(シスタン)中に設置してもよい。しかし、ある種のトイレおよび小便器のデザインにあり得るように、特にシスタンが壁の背後に存在する場合には、シスタン内へのブロックの設置は使い勝手が悪い場合がある。
【0012】
分解性ブロックを大便器または小便器内に直接設置できると尚更便利であろう。しかし従来の分解性ブロックは、ホルダー内に設置し、その後大便器の縁に掛けなければならない。例えば分解性ブロックを保持するのに適する米国特許第4,777,670号およびドイツ特許第464,107号のディスペンサーを参照されたい。ホルダーが更に必要となると、そのような商品の製造がより複雑となり、より高価となる。ホルダーは更なる廃棄物を作り出すため、この方法は幾分環境にやさしくないものとなる。
【0013】
分解性ブロックの代替法が提案されてきた。米国特許第6,667,286号には、大便器を洗浄および/または消毒および/または大便器に香りを付するために、大便器の内部表面に直接適用してもよい粘性のゲル状基材が記載されている。前記基材は、適切なアプリケーターから大便器の内部表面上に直接適用でき、この内部表面に前記基材が付着する。前記基材は、洗浄水と接した後でさえも大便器の内部表面上に残存し、前記基材は通常、多数回の放流の後にのみ完全に洗い流される。前記基材は、小便器、洗面所または工業用流し台、シャワー、バスタブ、皿洗い機等のような他の表面への適用にも好適である。
【0014】
かかる付着性ゲル状基材のための種々のアプリケーターが提案されている。例えば国際公開第WO03/043906号には、かかる付着性ゲル状基材の表面への適用に使用するのに適する注射器タイプの分配装置が開示されている。国際公開第WO2004/043825号にも、かかる付着性ゲル状基材を表面に適用するための注射器タイプの分配装置が開示されている。これらのアプリケーターは、前記付着性ゲル状基材を表面にうまく適用できると考えられているが、アプリケーターが更に必要となることが、トイレ洗浄製品をより高価にしている。
【0015】
従って、分解性ブロックに関連するコストおよび廃棄物を最小限とするように、ホルダーや複雑なアプリケーターの使用を必要としない縁の下(under−the−rim)での分解性ブロックの需要が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した需要は、大便器または小便器の壁に前記ブロックを押し付けることにより、前記ブロックを水位よりもすぐ上にある大便器または小便器の内壁に直接取り付けられるように、特定の配合を有する本発明に係る分解性洗浄ブロックにより満たされる。トイレまたは小便器が流されると、洗浄ブロックは水ですすがれる。このように洗浄ブロックが断続的にすすがれることにより、洗浄ブロックがゆっくりと分解し活性成分を放出する。驚くべきことに、洗浄ブロックが断続的にすすがれることにも係らず、洗浄ブロックは壁にしっかりと付着したまま残存し、数ヶ月間そのように付着したまま残存する。最終的には洗浄ブロックは完全に分解し、大便器または小便器の壁にはもはや洗浄ブロックが存在しなくなる。この時点で、新しい洗浄ブロックを、大便器または小便器の壁に設置することができる。本発明は大便器または小便器の洗浄に特に有用であるが、すすぎ液と接触するいずれの表面を洗浄、消毒および/または脱臭するのにも有用である。
【0017】
1つの態様では、本発明は、すすぎ液中で分解する自己粘着性洗浄ブロックを提供する。前記ブロックは、75%〜99%の固体界面活性剤および1%〜25%の液体成分を含み、ここで全てのパーセンテージは、前記洗浄ブロックの全組成物に対する重量パーセントである。すすぎ液と接する位置の表面にブロックを直接取り付けられるように、洗浄ブロックは一定の粘着性および可塑性を示す。洗浄ブロックがすすぎ液によりすすがれると、洗浄ブロックはゆっくりと分解し、活性成分を前記表面上または前記表面付近に放出する。
【0018】
自己粘着性洗浄ブロックの固体界面活性剤は、好ましくはアルキル硫酸、アルケニル硫酸およびアルキルアリール硫酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸、アルケニルスルホン酸およびアルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキル硫酸、アルケニル硫酸およびアルキルアリール硫酸のアンモニウム塩ならびにアルキルスルホン酸、アルケニルスルホン酸およびアルキルアリールスルホン酸のアンモニウム塩からなる群から選択される。最も好ましくは、固体界面活性剤は、アルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩からなる群から選択される。固体界面活性剤の一例は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。前記液体成分は、水、界面活性剤、グリセリン、香料、着色剤、アルコール、バインダー、塩素発生剤、水あか除去剤、ヒドロトロープ、溶媒、キレート剤、分散剤およびそれらの混合物から選択してもよい。洗浄ブロックは、更に充填剤を含んでいてもよい。
【0019】
洗浄ブロックの一例としての形態では、洗浄ブロックは75%〜99%の固体界面活性剤および1%〜25%の液体香料を含む。洗浄ブロックの別の例としての形態では、洗浄ブロックは、75%〜99%の固体界面活性剤、1%〜25%の液体香料、および1%〜25%の液体界面活性剤を含む。洗浄ブロックの更に別の例としての形態では、洗浄ブロックは75%〜99%の固体界面活性剤、1%〜25%の液体香料、および1%〜25%の液体分散剤を含む。洗浄ブロックの更に別の例としての形態では、洗浄ブロックは75%〜99%の固体界面活性剤および1%〜25%の液体香料、および1%〜25%の液体ヒドロトロープを含む。洗浄ブロックの更に別の例としての形態では、洗浄ブロックは75%〜99%の固体界面活性剤およびグリセリン等の1%〜25%のアルコールを含む。
【0020】
別の態様では、本発明は、(i)固体界面活性剤および液体成分を含む粘着性の洗浄ブロック、ならびに(ii)前記洗浄ブロックの表面に着脱可能に取り付けられた基材(substrate)を有する洗浄用製品を提供する。洗浄用製品を使用する際には、前記基材は洗浄ブロックから取り外され、洗浄ブロックの露出した表面は、どの水線よりも上の位置において、洗浄ブロックを分解するすすぎ液と接する表面に押し付けられる。液体タンク内では、タンクが液体で満たされると、通常水線は最も高い水位となる。例えば放流後に大便器が水で完全に満たされた後は、大便器中の水線は最高の水位となる。すすぎ液が洗浄ブロックと接すると、ある量の洗浄ブロックがすすぎ液流と混合して前記表面または前記表面付近の液体タンクが洗浄される。
【0021】
1つの形態では、前記基材はプラスチックフィルムのような着脱可能なフィルムである。別の形態では、前記基材は、ブロックを曲面に適用し易い着脱可能なハンドルまたは着脱可能な曲げやすいハンドルである。第2の基材は洗浄ブロックの第2の表面に着脱可能に取り付けてもよい。洗浄ブロックから第1の基材を分離するには、洗浄ブロックから第2の基材を分離するよりも力を必要としないように、第1の基材は剥離層を含んでいてもよい。
【0022】
洗浄用製品においては、前記洗浄ブロックは、25%〜99%の固体界面活性剤および1%〜25%の液体成分を含んでいてもよく、ここで全てのパーセンテージは、前記洗浄ブロックの全組成物に対する重量パーセントである。固体界面活性剤は、アルキル硫酸、アルケニル硫酸およびアルキルアリール硫酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸、アルケニルスルホン酸およびアルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキル硫酸、アルケニル硫酸およびアルキルアリール硫酸のアンモニウム塩ならびにアルキルスルホン酸、アルケニルスルホン酸およびアルキルアリールスルホン酸のアンモニウム塩からなる群から選択してもよく;液体成分は、水、界面活性剤、グリセリン、香料、着色剤、アルコール、バインダー、塩素発生剤、水あか除去剤、ヒドロトロープ、溶媒、キレート剤、分散剤およびそれらの混合物から選択してもよい。洗浄ブロックには、充填剤が存在していてもよい。
【0023】
一例としての形態では、洗浄用製品の洗浄ブロックは、25%〜99%の固体界面活性剤および1%〜25%の液体香料を含む。別の例としての形態では、洗浄用製品の洗浄ブロックは、25%〜99%の固体界面活性剤、1%〜25%の液体界面活性剤および1%〜25%の液体香料を含む。更に別の例としての形態では、洗浄用製品の洗浄ブロックは25%〜99%の固体界面活性剤およびグリセリン等の1%〜25%のアルコールを含む。
【0024】
更に別の態様では、本発明は、表面または前記表面付近の液体タンクを洗浄するためのキットを提供する。前記キットは、アプリケーター(所望によりハンドルを有していてもよい)、ならびに固体界面活性剤および液体成分を含有する洗浄ブロックを含み、ここで前記洗浄ブロックは粘着性である。洗浄ブロックは、洗浄ブロックの表面に着脱可能に取り付けられた基材を含んでいてもよく、洗浄ブロックの第2の表面に着脱可能に取り付けられた第2の基材を更に含んでいてもよい。洗浄ブロックは、25%〜99%の固体界面活性剤および1%〜25%の液体成分を含んでいてもよい。洗浄ブロックは、25%〜99%の固体界面活性剤および1%〜25%の液体香料を含んでいてもよい。洗浄ブロックは、25%〜99%の固体界面活性剤、1%〜25%の液体界面活性剤および1%〜25%の液体香料を含んでいてもよい。
【0025】
更に別の態様では、本発明は、表面または前記表面付近の液体タンクを洗浄する方法を提供する。前記方法においては、固体界面活性剤および液体成分を含む洗浄ブロックが提供され、ここで前記洗浄ブロックは、洗浄ブロックを分解するすすぎ液が接する位置にある表面に直接取り付けられるよう粘着性である。洗浄ブロックは、どの水線よりも上にある表面に押し付けられ、所定量の洗浄ブロックがすすぎ液流と混合して前記表面または前記表面付近の液体タンクが洗浄されるように、すすぎ液が前記洗浄ブロックと接触する。
【0026】
前記方法の1つの態様では、洗浄ブロックは、洗浄ブロックの第1の表面に着脱可能に取り付けられたフィルムのような基材を有し、前記基材は洗浄ブロックから取り外され、その後洗浄ブロックの第1の表面は、洗浄される表面に押し付けられる。前記方法の別の態様では、洗浄ブロックは、洗浄ブロックの第1の表面に着脱可能に取り付けられた第1の基材と、前記洗浄ブロックの第2の表面に着脱可能に取り付けられた第2の基材とを有する。第1の基材は洗浄ブロックから取り外され、その後洗浄ブロックの第1の表面は洗浄される表面に押し付けられ、その後第2の基材は洗浄ブロックから取り外される。前記方法の更に別の態様では、洗浄ブロックは、洗浄ブロックの第1の表面に着脱可能に取り付けられた第1の基材と、洗浄ブロックの第2の表面に着脱可能に取り付けられた第2の基材とを有する。ハンドルは、洗浄ブロックの第1の基材に押し付けられ、第2の基材が洗浄ブロックから取り外される。洗浄ブロックの第2の表面は洗浄される表面に押し付けられ、ハンドルと第1の基材が洗浄ブロックから取り外される。前記方法の更に別の態様では、ハンドルは洗浄ブロックに押し付けられ、その後洗浄ブロックが洗浄される表面に押し付けられ、その後ハンドルが洗浄ブロックから取り外される。前記方法の更に別の態様では、洗浄ブロックは、製品を収容するのに使用されるホイルまたはラミネートホイルのポーチを有し、このポーチは封印部分に沿って切り取られまたは裂かれ得ることにより、ポーチ自体を製品のアプリケーターとして使用できる。
【0027】
前記方法において、洗浄される表面は大便器または小便器の内部表面であってもよく、ここですすぎ液流は放流水であり、前記液体タンクは大便器または小便器であってもよい。洗浄される表面は窓であってもよく、この場合前記すすぎ液流は、雨またはホースからの水である。洗浄される表面は、シャワーエンクロージャーまたはバスタブエンクロージャーの壁であってもよく、この場合前記すすぎ液流はシャワー水ある。洗浄される表面は、すすぎ液が洗浄ブロックに複数回接した後に残存する洗浄ブロックを使用し、洗浄用具を用いて擦ることにより更に洗浄してもよい。
【0028】
従って、本発明の利点は、従来のブロックよりもより直線的な(linear)溶解速度を有し、より直線的に(linear)活性成分を放出する自己粘着性分解性洗浄ブロックを提供することである。
【0029】
本発明の別の利点は、従来のブロックよりも浸蝕の少ない自己粘着性分解性洗浄ブロックを提供することである。
【0030】
本発明の更に別の利点は、ホルダーディスペンサーから供給されるブロックよりも目立たない自己粘着性分解性洗浄ブロックを提供することである。
【0031】
本発明の更に別の利点は、使用者による表面(例:大便器)への適用がより便利となる得る自己粘着性分解性洗浄ブロックを提供することである。
【0032】
本発明の更に別の利点は、洗浄ブロックの耐用期間が終了するまで洗浄用具を用いて大便器または小便器を洗浄するのに使用できる自己粘着性分解性洗浄ブロックを提供することである。
【0033】
本発明の更に別の利点は、トイレまたは小便器の放流中の障害が少なく、それにより放流効率の低下が最小限となる自己粘着性分解性洗浄ブロックを提供することである。
【0034】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様ならびに利点は、以下の詳細な記載、図面および添付した請求項を考慮すればより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一形態による洗浄用製品の斜視図である。
【図2】使用者の手により洗浄用製品の洗浄ブロックから取り除かれる図1の洗浄用製品の第1の保護フィルム層の斜視図である。
【図3】使用者の手により大便器の縁の下に取り付けられた(第1の保護フィルム層は除去された)図1の洗浄用製品の斜視図である。
【図4】洗浄ブロックを使用者の手により大便器の縁の下に取り付けた後に取り除かれる図1の洗浄用製品の第2の保護フィルム層の斜視図である。
【図5】本発明の第2の形態による洗浄用製品の斜視図である。
【図6】図1の多くの洗浄用製品を収容する容器の断面図である。
【図7】本発明の第3の形態による洗浄用製品の斜視図である。
【図8A】本発明の第4の形態による洗浄用製品の斜視図である。
【図8B】洗浄ブロックが大便器に適用された後の図8Aの洗浄用製品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の図面の記載において、図と図の間での同様の参照番号は同様の部分を参照するのに使用されるであろう。
【0037】
本発明の詳細な説明
本発明は、すすぎ液中で分解する自己粘着性洗浄ブロックを提供する。自己粘着性洗浄ブロックの一例としての使用においては、基材が自己粘着性洗浄ブロック上に備えられ、前記基材が洗浄ブロックから取り除かれ、洗浄ブロックの露出した表面が、洗浄ブロックを分解するすすぎ液と接する位置にあるどの水線よりも上の表面に押し付けられる。次いですすぎ液は洗浄ブロックと接触し、所定量の洗浄ブロックがすすぎ液流と混合して、前記表面または前記表面付近の液体タンクを洗浄する。
【0038】
例えば分解性ブロックの形態を有する特定の取り付け可能な大便器用洗浄剤の配合物が、大便器または小便器の壁への粘着特性を有することが見出された。適切に適用された場合には、前記分解性ブロックは、通常の放流の間はその位置に留まり、長期に亘り洗浄および/または消毒および/または脱臭できるように、トイレまたは小便器の放流に応じて断続的に活性成分をゆっくりと放出するであろう。保持器(cage)やその他のホルダーは必要ない。1つの形態では、分解性洗浄ブロックは所定の厚み(例えば約1センチメートル)に切断された押出ディスクであり、洗浄ブロックは単に押し付けることによりトイレまたは小便器の壁に設置できる。
【0039】
本発明は、とりわけ縁の下(UTR)での大便器洗浄ビジネスにおいて独自に開発されたものである。前記分解性洗浄ブロックは、他のUTR製品で現在使用されているプラスチック製の使い捨て保持器を使用する必要性が排除されるため、使い易く、様々な意味で環境に優しい低コスト製品である。更に本発明の分解性ブロックは長時間効果があることが見出され、洗浄ブロックが完全に分解し新しい洗浄ブロックとの交換が必要となる前に、活性成分を数ヶ月間(例えば2ケ月)放出することができる。
【0040】
従って、洗浄ブロックを壁に押し付けることにより、水線よりも上にあり放流水の流れ中にある大便器または小便器の壁に直接取り付けられる分解性ブロックが提供される。一実施形態では、前記洗浄ブロックは、25%〜99%の固体界面活性剤および1%〜25%の液体成分を含み、ここで全てのパーセンテージは、前記洗浄ブロックの全組成物に対する重量パーセントである。液体成分は、水、界面活性剤、グリセリン、香料、着色剤、アルコール、バインダー、水あか除去剤、ヒドロトロープ、溶媒、キレート剤、分散剤およびそれらの混合物から選択してもよい。洗浄ブロックは、更に充填剤を含んでいてもよい。最終的なブロックが固体となり、「粘着性の」濃度を保つ素材(mass)を有するように、分解性洗浄ブロックは上記で特定した比率の成分を含むべきである。洗浄ブロックは、好ましくは流動しない、即ち、ブロックは粘稠性を示さない。2つの主要な成分である固体界面活性剤と液体成分の比率は、液体とその浸透性(固体への液体吸収率)および固体界面活性剤の液体への溶解性に依存する。液体香料については、溶解するよりも吸収される方が望ましい。水を添加することは好ましくないが、少量であれば許容される。
【0041】
洗浄ブロックは、1種以上の固体界面活性剤と所望により含めてもよい1種以上の液体界面活性剤を含む。界面活性剤は目的とする洗浄特性に依存し、陰イオン、非イオン、陽イオンおよび/または両性であってもよい。洗浄ブロックは、25−99wt%の固体界面活性剤、好ましくは40−95wt%の固体界面活性剤、最も好ましくは50−90wt%の固体界面活性剤を含んでいてもよい。固体界面活性剤は表面への付着力を提供することから、付着力向上のためにある程度の濃度の固体界面活性剤が好ましい。泡立ちをより高めるためには、少なくとも70%のようなより高濃度の固体界面活性剤が使用できる。使用期間を延ばすためには、40%以下のような、より低い濃度の固体界面活性剤が使用できる。液体界面活性剤が存在する場合には、洗浄ブロック中に25wt%以下、好ましくは15wt%以下、最も好ましくは10wt%以下の濃度で含まれる。液体界面活性剤は、泡立ちを促進し、放流当たりより多くの香料を放出するブロックの溶解性を向上させる傾向がある。(全ての重量パーセントは、全洗浄ブロック組成物の重量パーセントである)
【0042】
適切な陰イオン界面活性剤には、アルキル硫酸、アルケニル硫酸およびアルキルアリール硫酸ならびにアルキルスルホン酸、アルケニルスルホン酸およびアルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩が含まれる。いくつかのこのような陰イオン界面活性剤は、一般式RSO4MまたはRSO3Mを有し、ここでRは、約8〜約20個の炭素原子を有するアルキル基若しくはアルケニル基であってもよく、またはアルキル部分が約9〜約15個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル基であってもよく、アリール部分がフェニル若しくはその誘導体であってもよく、Mがアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)であるアルキルアリール基である。あるいは、Mは窒素誘導体(例えば、アミノまたはアンモニウム)あってもよい。好ましい固体陰イオン界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが含まれる。最も好ましい固体陰イオン界面活性剤は、Unger Fabrikker社、Fredistad、ノルウェーから「UFARYL」DL85として市販されているドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。固体陰イオン界面活性剤の別の例は、Stepan社によりStepanol(登録商標)ME−Dryとして販売されている粉末状ラウリル硫酸ナトリウムである。固体陰イオン界面活性剤の別の例は、Stepan社からBio−Terge(登録商標)AS−90Bとして販売されている粉末状(C14−C16)オレフィンスルホン酸ナトリウムである。陰イオン界面活性剤の他の例は、スルホサクシネートである。
【0043】
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールスルホン酸ナトリウムを含むがこれらに限定されない有用な液体陰イオン界面活性剤を添加することもできる。水は好ましい液体ではないが、添加することはできる。
【0044】
非イオン界面活性剤の例には、ヘンケル社、米国オハイオ州シンシナティから商標名GLUCOPONとして入手可能なもののようなアルキルポリグリコシドが含まれる。アルキルポリグリコシドは、次式を有する:RO−(R’O)x−Zn、ここでRは8〜20個の炭素原子を含む一価のアルキルラジカルであり(アルキル基は、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和であってもよい)、Oは酸素原子であり、R’は2〜4個の炭素原子を含む二価のアルキルラジカルであり、好ましくはエチレンまたはプロピレンであり、xは0〜12の平均値を有する数であり、Zは5または6個の炭素原子を含む還元糖部分であり、好ましくはグルコース、ガラクトース、グルコシル、またはガラクトシル残基であり、nは約1〜10の平均値を有する数である。種々のアルキルグリコシドの詳細な議論については、本明細書中で引用される他の全ての文献と共に参照することにより本明細書中に取り込まれる米国法定発明登録H468および米国特許第4,565,647号を参照されたい。いくつかの好ましいGLUCOPONSは、以下の表Aにおける通りである(ここで、Zはグルコース部分であり、x=0である)。
【表1】

【0045】
非イオン界面活性剤の他の例には、BASF社、ドイツ、ルートウィヒスハーフェンから商標名LUTENSOLとして入手可能なもののようなアルコールエトキシレートが含まれる。これらの界面活性剤は、一般式C1325/C1527−(OC24)n−OH(アルキル基はC13/C15の混合である)を有する。特に好ましいのは、LUTENSOL AO3(n=3)、AO8(n=8)、およびAO10(n=10)である。他のアルコールエトキシレートには、Tergitol 15−S−12のような(OC24)と縮合した第2級アルカノール、Dow Surfactants社から入手可能な12(OC24)と縮合したC11−C15第2級アルカノールが含まれる。非イオン界面活性剤の他の例は、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルである。アミンオキシドも適切である。固体非イオン界面活性剤の例は、Clariant社からGenapol T−500Pとして販売される50モルのEOを有する粉末状の獣脂脂肪アルコールエトキシレートである。固体非イオン界面活性剤は、水中の溶解速度を調節するのに役立ち、表面への付着も促進することができる。
【0046】
有用な陽イオン界面活性剤には、例えば第1級アミン塩、ジアミン塩、および第4級アンモニウム塩が含まれる。
【0047】
有用な両性界面活性剤には、アルキルアミノプロピオン酸、アルキルイミノプロピオン酸、イミダゾリンカルボキシレート(imidiazoline carboxylate)、アルキルベタイン、スルホベタイン、およびスルタイン(sultaine)が含まれる。
【0048】
適切な濃度を達成しコストを最低限に維持するために、不活性な充填剤を洗浄ブロックに添加することができる。充填剤が存在する場合には、洗浄ブロック中に60wt%以下、好ましくは40wt%以下および最も好ましくは25wt%以下で含まれる。水溶性の無機塩もしくは有機塩(またはこのような塩の混合物)等の不活性塩が好ましい。例としては、種々のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の硫酸塩、塩化物、ホウ酸塩、およびクエン酸塩が含まれる。具体的な不活性塩は、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、塩化リチウム、リン酸三カリウム、ホウ酸ナトリウム、フッ化カリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸ナトリウム、硫酸マグネシウムおよびフッ化ナトリウムである。
【0049】
洗浄ブロックはアルコールを含んでいてもよい。アルコールが存在する場合には、洗浄ブロック中に25wt%以下、好ましくは15wt%以下、および最も好ましくは10wt%以下で含まれる。1つの好ましいアルコールは、Shell Oil Company社から市販されているNeodol23である。これは、C12およびC13線状第1級アルコールの混合物である。あるいは、C21未満およびC8を超える(ならびにそれらの混合物)のいかなる線状(分岐鎖でない)第1級脂肪アルコールも適切であろうと考えられる。例としては、1−ドデカノール;デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、およびオクタデカノールの混合物であるEPAL−16(Ethyl Corporation製);ならびにドデカノールとテトラデカノールの混合物であるALFOL1214(Vista Chemical Co.製)がある。別の好ましいアルコールはグリセリンである。アルコールは、水中の溶解速度を調節するのに役立ち、表面への付着を促進することができる。
【0050】
付与されるべき芳香の種類に応じて、香料を添加することもできる。香料が存在する場合には、洗浄ブロック中に25wt%以下、好ましくは15wt%以下、および最も好ましくは10wt%以下で含まれる。例えば、パイン、柑橘類およびポプリの香りが使用できる。このような香料油は基本的に水に不溶であることが特に好ましい。香料油は、製造過程における洗浄ブロックの押出しを促進するという更なる利点を有する。
【0051】
着色剤が所望により洗浄ブロック中に含まれていても良い。着色剤が存在する場合には、洗浄ブロック中に10wt%以下で含まれる。着色剤の選択は、洗浄ブロック組成物が分配される水に望ましい色に大きく依存するであろう。
【0052】
洗浄ブロックの結着性の維持を補助するために、洗浄ブロック中にバインダーを使用してもよい。バインダーが存在する場合には、洗浄ブロック中に25wt%以下、好ましくは15wt%以下、最も好ましくは10wt%以下で含まれる。好ましいバインダーは、ヒドロキシアルキルセルロース(特にヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース)等の米国特許第4,722,802号の水和セルロース材料である。ゴムバインダーを使用してもよい。例としては、グアー、キサンタン、トラガカント、カラギナン、カラヤ、またはアルギンがある。
【0053】
洗浄ブロックは塩素発生剤を含んでいてもよい。塩素発生剤が存在する場合には、洗浄ブロック中に40wt%以下、好ましくは25wt%以下、最も好ましくは10wt%以下で含まれる。塩素発生剤の限定されない例には、クロロイソシアヌル酸(トリクロロイソシアヌル酸およびジクロロイソシアヌル酸)、クロロイソシアヌレート、次亜塩素酸塩、クロロスクシンイミド、クロラミンT(ナトリウムパラ−トルエンスルホクロリン(sodium para−toluene sulfochlorine)、およびハロゲン化ヒダントイン(例えばクロロジメチルヒダントイン)が含まれる。
【0054】
水あか除去剤(lime−scale removing agent)を洗浄ブロック中に存在させてもよい。水あか除去剤が存在する場合には、洗浄ブロック中に40wt%以下、好ましくは15wt%以下、最も好ましくは10wt%以下で含まれる。水あか除去剤の例には、クエン酸またはスルファミン酸等の有機酸および無機酸が含まれるがこれらに限定されない。
【0055】
界面活性剤と他の液体との混合を促進するために、ヒドロトロープを洗浄ブロック中に存在させてもよい。ヒドロトロープが存在する場合には、洗浄ブロック中に25wt%以下、好ましくは15wt%以下、最も好ましくは10wt%以下で含まれる。陰イオンヒドロトロープの例としては、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩がある。好ましいヒドロトロープは、Stepan Chemicals社から入手可能な「Stepanate SXS」等のキシレンスルホン酸ナトリウムがある。他の典型的なヒドロトロープには、ブチルモノグリコール硫酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウムおよびクメンスルホン酸ナトリウムが含まれる。
【0056】
界面活性剤と他の液体との混合を促進するために、溶媒を洗浄ブロック中に存在させてもよい。溶媒が存在する場合には、洗浄ブロック中に25wt%以下、好ましくは15wt%以下、最も好ましくは10wt%以下で含まれる。溶媒の例としては、8個以下の炭素原子の脂肪族アルコール;6個以下の炭素原子のアルキレングリコール;アルキレン基当たり6個以下の炭素原子を有するポリアルキレングリコール;グリコール基当たり6個以下の炭素原子を有し、各アルキル基内に6個以下の炭素原子を有するアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールのモノ−またはジアルキルエーテル;およびグリコール基当たり6個以下の炭素原子を有し、各エステル基内に6個以下の炭素原子を有するアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールのモノ−またはジエステルがある。溶媒の具体例には、t−ブタノール、t−ペンチルアルコール;2,3−ジメチル−2−ブタノール、ベンジルアルコールまたは2−フェニルエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、グリセリン、エタノール、イソプロパノール、およびジプロピレングリコールモノアセテートが含まれる。1つの好ましい溶媒は、ジプロピレングリコールである。
【0057】
キレート剤を洗浄ブロック中に存在させてもよい。キレート剤が存在する場合には、洗浄ブロック中に25wt%以下、好ましくは15wt%以下、最も好ましくは10wt%以下で含まれる。キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、アクリル樹脂、無水マレイン酸アクリル系共重合体、グルコネート、ソルビトール、トリアゾール、ホスホネート、および上述したものの塩が含まれる。
【0058】
洗浄ブロックは、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸のアルカリ金属塩からなる群から選択されるポリマー等の分散剤を含んでいてもよい。分散剤が存在する場合には、洗浄ブロック中に25wt%以下、好ましくは15wt%以下、最も好ましくは10wt%以下で含まれる。前記ポリマーは、好ましくはホモポリマーであるポリアクリル酸ナトリウムである。1つの種類は、Rohm&Haas Co.社から分子量4,500のAcusol445 NDとして販売されている。他の好ましいポリマーは、ポリアクリル酸カリウムおよびポリアクリル酸自体である。
【0059】
洗浄ブロック中に含まれ得る他の添加剤は、他の洗浄剤(例えば、ほう砂)および保存剤(例えば、Dow Chemical製のDowicil(登録商標)75)である。
【0060】
ブロックの一例には、(i)39〜86%(好ましくは85%)のUfaryl DL85CJ(固体ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム85%)、(ii)8〜16の炭素原子を含み、1.6の平均重合度を有するアルキル基を有する0〜8%(好ましくは8%)のGlucopon 425N(非イオン界面活性剤:アルキルポリグルコシド)界面活性剤、(iii)0〜6%のグリセリン99%(好ましくは2%)、(iv)0〜50%硫酸ナトリウム(好ましくは0%)、および(v)5〜8%の香料(好ましくは5%)が含まれる。
【0061】
ブロックの別の例には、(i)約35wt%の粉末状非イオン脂肪アルコールエトキシレート界面活性剤;(ii)約20wt%の粉末状陰イオンラウリル硫酸ナトリウム界面活性剤;(iii)約5wt%の液体非イオンアルコールエトキシレート界面活性剤;(iv)約39wt%のクエン酸;および(v)約1wt%の香料が含まれる。
【0062】
ブロックの更に別の例には、(i)約65wt%のUfaryl DL85CJ固体陰イオンアルキルアリールスルホン酸塩;(ii)約0.0020wt%の染料;(iii)約8.5000wt%のGlucopon425N非イオン、アルキルポリグリコシド;(iv)約0.5000wt%グリセリン;(v)約19.9980wt%の硫酸ナトリウム;および約6.0000wt%の香料が含まれる。
【0063】
ブロックの更に別の例には、(i)約65wt%の固体陰イオンラウリル硫酸ナトリウム;(ii)約0.0020wt%の染料;(iii)約8.5000wt%のGlucopon425N非イオン、アルキルポリグリコシド;(iv)約0.5000wt%のグリセリン;(v)約19.9980wt%の硫酸ナトリウム;および(vi)約6.0000wt%の香料が含まれる。
【0064】
本発明の分解性ブロックは、従来の製造法を用いて製造される。例えば、前記ブロックは、溶融および注入成形(casting)により成型でき、または押し出しにより成型することができる。前記成分は一緒に混合され、固体製品へとプレスされてもよい(例えば、圧力または押出しにより)。得られた製品はゲルではない、即ち粘性を有しない。本発明の分解性ブロックは、好ましくは実施例1に記載されるような押出し法により製造される。押出工程中においては、分解性ブロックを形成する前記成分が押出機を通過するたびに、前記成分は一層均一に混合される。一般に、前記成分はまず押出機を通過して、混合された成分のスパゲティ状の太いストランドが形成される。次いでこのようなスパゲティ状のストランドは一緒にまとめられて、直径4cmの円柱のような所望の形状のロッグ、または厚さ1/4インチ(6.35mm)、幅3/4インチ(19.05mm)のストリップに押出される。一旦ロッグまたはストリップに押出されると、次いでそのロッグまたはストリップは、フライングナイフを用いて適切な幅と重さのディスク若しくは長方形に、または切断用ホイール(cutting wheel)を用いて正しい長さに薄切りすることができる。円柱状のディスクと長方形を本段落に記載したが、他の形状も可能である。従って、本発明はブロックの特定形状に何ら限定されることはない。
【0065】
得られるブロックの重要な特徴は、複数回の放流の後でさえもブロックが大便器に付着すべきことである。このブロックに意図される1つの使用法は、トイレを洗浄および/またはさっぱりとさせることであるが、この技術は他の用途(例えば、水がすすぎ液として流れるであろう戸外の窓またはその他のいずれかの場所)においても使用できることが予想される。トイレが多数回放流した後にはブロックは溶解し、殆ど残存しなくなった時には、残留物を標準的なトイレブラシと共に用いてトイレを洗浄することができる。
【0066】
前記ブロックがどの位長期間長持ちするのか(1日当たりの調節された放流回数での日数)を測定することができる。ブロックの厚みはブロックがどの位長期間長持ちするのかを決定するが、その柔軟性はブロックを切断できる薄さを制限する(例えば、切断前に冷気により冷やされたのでなければ)。香料を含むトイレ用ブロックの場合には、放流当たり香料0.01グラム(ブロック中の香料の重さをブロックを溶解するのに必要な放流の回数で除することにより計算)が放出されるような溶解度を有するのが望ましい。得られるブロックは溶解性が高い(洗浄水中に容易に溶解する)と活性成分と香料をより迅速に放出するであろうから有利となり得る。しかし、成分の比率は所望の溶解性を達成するために調節することができる。例えば、より多くの香料を添加すると溶解性が低下する傾向があり、その結果ブロックがより長持ちする。
【0067】
分解性ブロックの成分に使用される適切なパーセンテージは、分解性ブロックがブロックの形状を維持し乾燥形態で貯蔵できるように、最終的に成型された分解性ブロックが粘着性となる必要性だけでなく、前記成分が押出機を通過するのに十分に湿っているが完全には湿ってない必要性にも依存する。成型されたブロックは、好ましくは貯蔵と表面への適用に便利なように、着脱可能な基材に取り付けられる。
【0068】
従って、本発明は、(i)固体界面活性剤および液体成分を含有する粘着性洗浄ブロック、ならびに(ii)洗浄ブロックの表面に着脱可能に取り付けられた基材を有する洗浄用製品も提供する。前記洗浄用製品を使用する本発明に係る方法においては、基材を洗浄ブロックから除去し、洗浄ブロックの露出した表面を、洗浄ブロックを分解するすすぎ液と接触する位置にあるどの水線よりも上にある表面に押し付ける。次いで、所定量の洗浄ブロックがすすぎ液流と混合して前記表面または前記表面付近の液体タンクが洗浄されるように、すすぎ液を洗浄ブロックと接触させる。
【0069】
ここで図1〜4を参照すると、本発明に係る洗浄用製品の第1の形態と前記洗浄用製品を使用する一つの例示的方法が示されている。洗浄用製品10は、上述したように固体界面活性剤および液体成分を含有する洗浄ブロック20を有する。洗浄ブロック20には、本明細書中で記載するいずれの配合も適切である。洗浄ブロック20は、図においては長方形の物体として示されている。しかし、いかなる形状も可能である。
【0070】
洗浄用製品10は、洗浄ブロック20の第1の表面に付着した第1の着脱可能な基材30と洗浄ブロック20の反対側にある第2の表面に付着した第2の着脱可能な基材40を有する。第1の着脱可能な基材30と第2の着脱可能な基材40は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ならびにそれらの混合物および共重合体から選択されるがこれらに限定されないポリマーから成型されるプラスチックフィルム層等のフィルム層であってもよい。洗浄ブロックから第1の基材を分離するには、洗浄ブロックから第2の基材を分離するよりも力を必要としないことが望ましい。第1の基材30が剥離層32を含む場合には、第1の基材30をまず最初に洗浄ブロック20から分離するために、洗浄ブロック20から第1の基材30を分離するには、洗浄ブロック20から第2の基材40を分離するよりも力を必要としない場合がある。シリコーンは剥離層32の例示的な材料である。あるいは、第1の基材は、蝋紙等のより容易な剥離材料からできていてもよい。
【0071】
図2を参照すると、大便器に洗浄ブロック20を設置する第1の工程が記載されている。使用者は第1の基材30をつかみ、洗浄ブロック20から第1の基材30を剥がし、それにより洗浄ブロック20の第1の表面22を露出させている。図3を参照すると、次いで使用者は、第2の基材40をつかみ、大便器50の内壁56に洗浄ブロック20が付着するように、放流水の通り道にある大便器の縁54の下にある大便器50の内壁56に対し、洗浄ブロック20の露出した第1の表面22を押し付ける。洗浄ブロック20は、好ましくは大便器50の内壁56が湿っている時でさえ適用することができる。換言すれば、洗浄ブロック20は、大便器50の内壁56が湿っているかまたは乾燥している場合に適用することができる。しかし、洗浄ブロック20を取り付ける前に大便器50の内壁56を乾燥させる必要がないという消費者にとっての利点が存在する。図4を見ると、次いで使用者は、第2の基材40(これは、使用者の手が洗浄ブロック20と接触することから保護している)を洗浄ブロック20から剥がし、それにより洗浄ブロック20の第2の表面24を露出させている。トイレが流されると、洗浄ブロック20は水ですすがれる。このように洗浄ブロック20が断続的にすすがれると、洗浄ブロック20はゆっくりと分解し、大便器の内部表面と大便器中の水中に活性成分を放出する。
【0072】
図5を見ると、洗浄用製品10Aの第2の形態が示されている。洗浄用製品10Aは、図1〜4の洗浄用製品10におけるように、洗浄ブロック20の第1の表面に付着した着脱可能な第1の基材30を有している。洗浄用製品10Aは、洗浄ブロック20の反対側の第2の表面に付着した着脱可能な第2の基材40aも含んでいる。洗浄用製品10Aは、グリップ部分(gripping section)62と取り付け面(application surface)64を有する着脱可能なハンドル60も含む。ハンドル60の取り付け面64は、着脱可能な第2の基材40aの粘着性表面またはフック若しくはループファスナーのような適切な取り付け手段により、着脱可能な第2の基材40aに付着させる。使用者は洗浄ブロック20から第1の基材30を剥がし、それにより洗浄ブロック20の第1の表面を露出させる。使用者はハンドル60をつかみ、放流水の通り道にある大便器の縁54の下にある大便器50の内壁56に対し、洗浄ブロック20の露出した第1の表面を押し付ける。次いで、使用者はハンドル60と着脱可能な第2の基材40aを洗浄ブロック20から剥がし、それにより洗浄ブロック20の反対側にある第2の表面を露出させる。トイレが流されると、洗浄ブロック20は水ですすがれる。このように洗浄ブロック20が断続的にすすがれると、洗浄ブロック20はゆっくりと分解し、大便器の内部表面と大便器中の水中に活性成分を放出する。ハンドル60がゴムまたは硬質プラスチックのような材料から成型される場合には、洗浄用ブロック20を表面に適用するために、単に人の指を用いるよりも一層均一な圧力を達成することができる。あるいは、ハンドル60は、前記製品が適用される対象の形状に適合できる柔軟で曲げやすい材料から成型される。例えば、発泡型のハンドル(例えば発泡ポリウレタンまたはスチレンから成型された)は、洗浄ブロック20を適用した時に、大便器50のカーブにハンドル60が適合できるであろう。ハンドル60は、所望によっては、着脱可能な基材を使用せずに洗浄ブロック20を取り上げて、表面にブロックを適用するのに使用してもよい。
【0073】
ここで図6を参照すると、購入時の配送および保管のために、積み重ねた多くの洗浄用製品10を保持するのに適切な再封可能な容器70が示されている。洗浄ブロック20の第1の基材30と第2の基材40を備える洗浄用製品10を互いに積み重ねても、洗浄ブロック20が一緒に貼りつくことはない。従って、使用者は最初の洗浄ブロック20を大便器に適用し、残っている洗浄用製品10を容器70内に再封することができる。第1の洗浄ブロック20を使い切った場合には、使用者は第2の洗浄用製品10を容器70から掴み、上述したようにこれを表面に適用することができる。次の洗浄用製品(例えば、3番目、4番目、5番目等)を、表面に適用するために容器70内に供給してもよい。
【0074】
図7を参照すると、洗浄用製品110の第3の形態が示されている。洗浄用製品110は、洗浄ブロックの上面と全側面に付着した着脱可能な第1の包装材料130を有している。洗浄用製品110は、洗浄ブロックの底面に付着した着脱可能な第2の基材140も含んでいる。使用者は、まず洗浄ブロックから包装材料130を剥がし、それにより洗浄ブロックの第1の表面を露出させる。使用者は第2の基材140を掴み、放流水の通り道にある大便器の縁54の下にある大便器50の内壁56に対し、洗浄ブロックの露出した第1の表面を押し付ける。次いで、使用者は洗浄ブロックから第2の基材140を剥がし、それにより洗浄ブロック20の反対側にある第2の表面を露出させる。包装材料130は、洗浄ブロックから包装材料130を分離するには、洗浄ブロックから第2の基材140を分離するよりも力を必要としないような内部表面の剥離層を含んでいてもよい。シリコーンは剥離層の例示的な材料である。トイレが流されると、洗浄ブロック20は水ですすがれる。このように洗浄ブロック20が断続的にすすがれると、洗浄ブロック20はゆっくりと分解し、大便器の内部表面と大便器中の水中に活性成分を放出する。関連する概念においては、洗浄ブロック20は、ブロックを収容するのに使用されるホイルまたはラミネートホイルのポーチを有し、前記ポーチは封印部分に沿って切り取られるかまたは引き裂かれて、ポーチ自体をブロック20のアプリケーターとして使用することができる。
【0075】
ここで図2、8Aおよび8Bを参照すると、洗浄用製品10Bの第4の形態が示されている。洗浄用製品10Bは、図2の洗浄用製品10におけるように、洗浄ブロック20の第1の表面に付着した第1の着脱可能な基材30と洗浄ブロック20の反対側にある第2の表面に付着した第2の着脱可能な基材40とを備えている。洗浄用製品10Bは、円筒型のグリップ部分162と扇状の基部(base)163を備えた着脱可能なハンドル160も含む。アプリケータープレート164は、アプリケータープレート164に対して垂直な棒165により基部163に取り付ける。アプリケータープレート164は、図8Bに示すP方向に旋回することができる。アプリケータープレート164は、間隔を置いて外向きに伸びた一対の円筒型突起(prong)166を有する。
【0076】
使用者は、ハンドル160のグリップ部分162を掴み、アプリケータープレート164の突起166を洗浄ブロック20の第2の着脱可能な基材40に押し付ける。次いで使用者は、図2に示すように、洗浄ブロック20から第1の着脱可能な基材30を剥がし、それにより洗浄ブロック20の第1の表面22を露出させる。次いで、洗浄ブロック20の第1の表面22を、放流水の通り道にある大便器の縁54の下にある大便器50の内壁56に押し付ける。次いで、使用者は、図4に示すのと同様の方法で、洗浄ブロック20からグリップ部分162とアプリケータープレート164と第2の着脱可能な基材40を引張り、それにより図8Bに示すように洗浄ブロック20の第1の表面22を露出させる。トイレが流されると、洗浄ブロック20は水ですすがれる。このように洗浄ブロック20が断続的にすすがれると、洗浄ブロック20はゆっくりと分解し、大便器の内部表面と大便器中の水中に活性成分を放出する。ハンドル160がゴムまたは硬質プラスチックのような材料から成型される場合には、洗浄用ブロックを表面に適用するために、単に人の指を用いるよりも一層均一な圧力を達成することができる。洗浄ブロック20を適用する場合には、アプリケータープレート164を旋回させると、アプリケータープレート164を大便器50のカーブに適合させることができる。ハンドル160は、所望によっては、着脱可能な基材を使用せずに洗浄ブロック20を取り上げて、表面にブロックを適用するのに使用してもよい。
【0077】
どのように本発明の分解性ブロックが作用するのかに関しては、本発明は以下の理論に拘束されるべきではないが、その現象を説明するものと考えるいくつかの理論が存在する。1つは、分解性ブロックがトイレまたは小便器の壁に貼り付くことが可能であり、ブロックが水と接した時にブロックの液晶特性を示すことから、放流水と断続的に接触して生じる侵食により活性成分をゆっくりと放出可能なことである。本発明の分解性ブロックは、成型された初期には乾燥し粘着性を有するであろうため、このようなブロックは基材上で容易に保管することができる。しかし、分解性ブロックを大便器または小便器に持ち込むと、ブロックの外側は放流水により湿気を帯びるであろう。長期に亘り放流水に断続的に触れることにより、ブロック中の前記成分は層状になり、ブロックの外側は水溶性となり、ブロックの内側は水不溶性のままとなる。液晶はおそらくブロックの外側表面に形成されるであろうが、これによりブロックは継続的に粘着性を示し、活性成分を断続的に放出するであろう。ブロックの粘着性は、水または別の液体により湿気を帯びた場合に、最小限のエネルギーで凝集を形成する能力による場合がある。液体成分の含有量はブロックの挙動に関与する場合がある。水がブロックに浸透すると疎水性の液晶構造が形成する。この形成が起こると液晶は水溶性となり、同様の速度でブロックの成分の可溶化が起こるであろう。何らかの理論にこだわるわけではないが、この効果は、特定の液体が特定の比率と量で存在する場合に、保護性の(protective)逆六方晶相の液晶が形成されることによると考えられる。
【0078】
別の理論は、前記製品の薄いスラブと大便器の表面との間の付着力は、2つの系、即ち前記製品と大便器の表面との間の分子間引力の大きさにより主に調節されるというものである。この引力の大きさが大きい程、付着力は大きくなるであろう。この引力の大きさは、(1)前記2つの系内に含まれる分子の性質、および(2)前記2つの系の間の使用中の距離に依存するであろう。一般に、2つの系が接近する程、この引力の大きさは大きくなるであろう。大便器の表面は完全には平滑でないという事実を考慮すると、製品のレオロジーを適切に調節することによってのみ2つの系の間の距離を小さくすることができる。換言すれば、製品が効果的であるためには、製品の粘弾特性が特定の範囲内となる必要がある。製品が可塑性でない場合には、製品と大便器の表面との間に空隙が存在し、これにより付着力が低下するであろう。一方、製品が柔軟すぎる場合には製品が消耗し始め、これにより便器の表面上の所定領域内に適当な体積の製品を維持できなくなるであろう。製品は本質的に固体状であることから、その粘弾特性は、針入度計および/または適切な流動度測定技術のような技術を用いて測定されるであろう。一度粘弾特性を測定すると、良好な付着性を示すことができる製品のレオロジーの範囲を確立することができる。
【0079】
従って、本発明の別の態様は、セラミックまたは他の硬表面への最適な付着のために、前記材料が特定の硬さまたは可塑性を有することである。以下の「硬さ試験」方法を使用した場合、測定される硬さは、1/10ミリメートル針入度が20〜160、好ましくは1/10ミリメートル針入度が50〜120、より好ましくは1/10ミリメートル針入度が70〜100であるべきである。
【0080】
本発明の別の態様は、セラミックまたは他の硬表面への最適な付着のために、前記材料が特定の粘着性を有することでもある。以下の「粘着性試験」方法を使用した場合、洗浄ブロックに対する蝋紙の粘着性は、少なくとも5グラム、好ましくは少なくとも20グラム、より好ましくは少なくとも40グラムと測定される必要がある。蝋引きした表面に対する洗浄ブロックの粘着性は、少なくとも50グラム、好ましくは少なくとも60グラム、より好ましくは少なくとも80グラムと測定される必要がある。
(実施例)
【0081】
以下の実施例は本発明を例証するためのものであり、決して本発明を限定することを意図するものではない。
試験方法
1 硬さ試験
【0082】
洗浄ブロックの硬さを評価するのに使用される方法は「硬さ試験」である。硬さの測定は、押出物の表面への1/10ミリメートル針入度による。従って測定値150は、1/10ミリメートルの150倍、即ち15ミリメートルに対応する針入度となる。使用した装置は、23度の角度を有し、重量102.4グラムの大口径コーンを装着し、スピンドルの上部に重量150グラムを荷重したPrecision Penetrometer(製造番号10−R−8、Precision Scientific Co.社、米国イリノイ州シカゴにより製造)であった。試験方法の工程は:(1)試料は少なくとも1/4インチの厚さである必要がある。(2)試料を装置の台の上に設置する。(3)試験用試料の上面と底面は両方共比較的平坦である必要がある。(4)装置の目盛をZEROに設定し、コーンとスピンドルを上方の位置に戻してロックする。次の読取り用にリセットする前に、残った材料をコーンと先端部(point)からふき取る。(5)コーンの先端部が試料の表面に接するまで、コーンを備えた装置のヘッド全体をハンドル(hand wheel)を用いて下に降ろす。(6)ZEROを再度確認し、コーンとスピンドルのリリースを締め付ける。(7)10秒間リリースハンドルを保持し、ハンドルを開放する。(8)ダイアルの番号を読み取り記録する。(9)試験用試料の表面上の異なる位置について、4〜8の工程を3回繰り返す。(10)平均をとるため3回の記録した数を合計し3で除する。であった。この結果が試験した試料の硬さである。
【0083】
この「硬さ試験」に関しては、上述した試験方法を用いると、硬さの単位は1/10ミリメートルの針入度であるため、数値が大きいほど製品がより柔軟であることを示す。洗浄ブロックが柔軟すぎる場合(即ち、硬さの数値が高い)には、製品の可塑性が大きすぎることから、ブロックのような形状に製造することは困難である。製品が硬すぎる場合(即ち、硬さの数値が小さい)には、洗浄ブロックを表面に押し付けるのにより高い圧力を要し、ある程度の粘着性が失われる。乾燥した表面に適用されるであろう洗浄ブロックとしては、通常1/10ミリメートル針入度の硬さが約20〜約160であるのが好ましい。湿った表面に適用されるであろう洗浄ブロックとしては、通常1/10ミリメートル針入度の硬さが50よりも大きいことが好ましい。
2 粘着性試験
【0084】
洗浄ブロックの粘着性レベルの評価に使用される方法は「粘着性試験」である。使用する装置は:(1)少数点以下2桁まで且つ少なくとも3600グラムを秤量する秤;(2)幅約0.75インチ、長さ3インチ、および厚さ0.25インチの製品の小片;(3)幅約1インチで長さ4インチの蝋紙小片;および(4)4平方インチのセラミックタイル、であった。試験方法の工程は以下の通りであった:(1)製品の小片を取り、秤の秤量板の中央にこれを置く。(2)蝋紙の小片を取り、製品の小片の上にこれを置く。(3)蝋紙の表面が製品と接するように、指または親指を用いて蝋紙の表面上を軽く走らせる。(4)蝋紙の上にタイルを中心となるように置く。(5)秤をZeroに合わせ、次いで重さ当たり2000グラムの圧力に達するまでタイルの上をゆっくりと均等に押す。(6)タイルを取り除き、秤をゼロに設定する。(7)蝋紙の小片を製品から取り除き、除去により達した負の重さ範囲を記録する。(8)製品の小片をセラミックタイルから取り除き、除去により達した負の重さ範囲を記録する。
(実施例1)
【0085】
以下の実験は、大便器の壁にブロックを直接貼り付けることにより、トイレの縁の下タイプ(under−the−toilet−rim−type)の製品として使用される分解性ブロックの有用性を評価するために実施した。本実施例で使用した分解性ブロックは、以下の成分を使用して成型した:(1)Ufaryl DL80CW−50.00重量%;(2)硫酸ナトリウム−38.50重量%;(3)Neodol23−5.00重量%;および(4)香料−6.50重量%。染料もごく少量添加した。Ufaryl DL80 CWはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。Neodol23は、線状脂肪アルコールの12−炭素および13−炭素の混合物である。
【0086】
上述した成分の全てを、均一で湿った粉末または凝集体の混合物が形成されるまで混合した。次いで、湿った粉末を押出機Sigma Labを用いて押し出した。生成物は押出機の製麺工程(noodle stage)に一度通し、最終押出しに3回通した。製麺工程の後、生成物はスパゲッティの形状で出された。最終押出しの後、生成物はわずかに半透明な外観を有する非常に均一なロッグ形状であった。押出しはダイを使用せずにノーズコーンを通して行った。押出しは、好ましくは直径約1センチメートル未満のダイを使用することなく実施すべきである。押出しに続き、ロッグをフライングナイフを用いてディスクに切断し、各ディスクが約20〜25グラムの重さとなるようにした。
【0087】
一旦作製したら、上述した方法で成型したディスクの性能を大便器で試験した。ディスクを、水線よりも上にある大便器の内部表面に押し付けた。最初の放流では、ディスクが剥がれ落ちることはなかった。放流によりディスクが溶解し続けた。製品は2週間放流され、使用中に製品が剥がれ落ちることはなかった。
(実施例2)
【0088】
以下の表1、2、3および4に挙げた成分を使用して分解性ブロックを成型し、ここで全ての数値は、ブロックの全組成物に対する重量パーセンテージである。表において、「粘着性、湿潤」または「粘着性、乾燥」の欄の「あり(yes)」は、洗浄ブロックが表面にしっかりと押し付けられると、湿った表面または乾燥した表面の各々に貼りつくことを示す。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

(実施例3)
【0089】
以下の表5に挙げた成分を使用して分解性ブロックを成型した。ここで全ての数値は、ブロックの全組成物に対する重量パーセンテージである。
【表6】

【0090】
「硬さ試験」と「粘着性試験」は、配合番号27および28を用いて調製した試料について硬さおよび粘着性を示すために実施した。配合27は25の1/10ミリメートル針入度の硬さを有した。蝋紙を取り除く力の範囲は、5〜20グラムであった。製品を除去するのに要する力の範囲は、製品が最終的に取り外される前にトレイが秤から実際に持ち上がった時には50グラム超であった。配合28は87の1/10ミリメートル針入度の硬さを有した。蝋紙を取り除く力の範囲は、10〜40グラムであった。製品を除去するのに要する力の範囲は、製品が最終的に取り外される前にトレイが秤から実際に持ち上がった時には80グラム超であった。
【0091】
従って、本発明は、ブロックを大便器または小便器の壁に押し付けることにより、水線よりもすぐ上にある大便器または小便器の壁に直接取り付けることができる自己粘着性分解性洗浄ブロックを提供する。トイレまたは小便器が放流されると、洗浄ブロックは水ですすがれる。このように洗浄ブロックが断続的にすすがれると、洗浄ブロックはゆっくりと分解し、活性成分を放出する。洗浄ブロックが断続的にすすがれることにも係らず、洗浄ブロックは壁にしっかりと取り付けられたままとなりし、数週間そのように取り付けられたままとなることができる。最終的に洗浄ブロックは完全に分解し、大便器または小便器の壁にこれ以上洗浄ブロックが存在しなくなる。この時点で、大便器または小便器の壁に新しい洗浄ブロックを設置することができる。本発明は、大便器または小便器の洗浄に特別な有用性を見出すが、すすぎ液と接触するいかなる表面を洗浄、消毒および/または脱臭する場合にも有用である。
【0092】
本発明を現時点で好ましい形態と考えられるものに関して記載してきたが、本発明は開示した態様に限定されないことを理解すべきである。これと逆に、本発明は、添付した請求項の趣旨と範囲の内に含まれる種々の改良と均等な方法に及ぶことが意図される。以下の請求項の範囲は、かかる改良ならびに均等な配合および機能の全てを包含するように、最も広い解釈が認められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、長期間に亘り洗浄剤、消毒剤および/または脱臭剤を大便器または小便器に直接供給できる、大便器または小便器に使用するための低コストな自己粘着性分解性ブロックを提供する。更に、かかるブロックは乾燥形態で保管されることから、それらは長い保管期間を有し得る。本発明は、大便器と小便器においてのみでなく、水による断続的な流水を提供し、活性成分の断続的で長期に亘る放出を要する他のいかなるタンクにおいても使用できる。このような特定の状況においては、ブロックは、大便器または小便器で使用されるであろうよりもずっと大きいことが必要な場合がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
すすぎ液中で分解する洗浄ブロックであって、前記洗浄ブロックが、
75%〜99%の固体陰イオン界面活性剤;および
1%〜25%の液体成分を含み、
前記洗浄ブロックは、すすぎ液と接する位置にある表面に直接取り付けることができるように粘着性であり、
全てのパーセンテージは、前記洗浄ブロックの全組成物に対する重量パーセントである、洗浄ブロック。
【請求項2】
固体界面活性剤および液体成分を含有する洗浄ブロック、ここで前記洗浄ブロックが粘着性であり;および
洗浄ブロックの表面に着脱可能に取り付けられた基材、
を含む洗浄用製品。
【請求項3】
前記基材がフィルムである、請求項2に記載の洗浄用製品。
【請求項4】
前記洗浄ブロックの第2の表面に着脱可能に取り付けられた第2の基材を更に含む、請求項2に記載の洗浄用製品。
【請求項5】
前記洗浄用ブロックが、25%〜99%の固体界面活性剤を含む、請求項2に記載の洗浄用製品。
【請求項6】
前記洗浄用ブロックが、40%〜95%の固体界面活性剤を含む、請求項2に記載の洗浄用製品。
【請求項7】
洗浄ブロック中に充填剤が60%以下存在する、請求項2に記載の洗浄用製品。
【請求項8】
前記洗浄用ブロックが25%〜99%の固体界面活性剤を含み、
前記液体成分が香料であり、
非イオン界面活性剤が前記洗浄ブロック中に25%以下存在し、
アルコールが前記洗浄ブロック中に25%以下存在し、および
充填剤が前記洗浄ブロック中に60%以下存在する、
請求項2に記載の洗浄用製品。
【請求項9】
前記洗浄用ブロックが40%〜95%の固体界面活性剤を含み、
前記液体成分が香料であり、
非イオン界面活性剤が前記洗浄ブロック中に15%以下存在し、
アルコールが前記洗浄ブロック中に10%以下存在し、
充填剤が前記洗浄ブロック中に25%以下存在する、
請求項2に記載の洗浄用製品。
【請求項10】
前記洗浄ブロックが、非イオン界面活性剤を含む、請求項1に記載の洗浄ブロックまたは請求項5に記載の洗浄用製品。
【請求項11】
前記固体界面活性剤が、アルキル硫酸、アルケニル硫酸およびアルキルアリール硫酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸、アルケニルスルホン酸およびアルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキル硫酸、アルケニル硫酸およびアルキルアリール硫酸のアンモニウム塩、ならびにアルキルスルホン酸、アルケニルスルホン酸およびアルキルアリールスルホン酸のアンモニウム塩からなる群から選択される請求項1に記載の洗浄ブロックまたは請求項5に記載の洗浄用製品。
【請求項12】
前記液体成分が香料である請求項1に記載の洗浄ブロックまたは請求項5に記載の洗浄用製品。
【請求項13】
前記洗浄ブロック中にアルコールが25%以下存在する請求項1に記載の洗浄ブロックまたは請求項5に記載の洗浄用製品。
【請求項14】
前記洗浄ブロック中に非イオン界面活性剤が25%以下存在する請求項1に記載の洗浄ブロックまたは請求項5に記載の洗浄用製品。
【請求項15】
表面または前記表面付近の液体タンクを洗浄する方法であって、前記方法が、
(a)請求項2に記載の洗浄用製品を準備する工程;
(b)前記洗浄ブロックを、どの水線よりも上にある前記表面に押し付ける工程;
(c)前記洗浄ブロックから前記基材を除去する工程;および
(d)所定量の洗浄ブロックがすすぎ液流と混合して前記表面または前記表面付近の液体タンクを洗浄するように、すすぎ液を前記洗浄ブロックと接触させる工程、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2010−518243(P2010−518243A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549589(P2009−549589)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/001514
【国際公開番号】WO2008/100393
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】