説明

トイレット

【課題】一般的な住宅や各種施設等に容易に組込・設計でき、少ない床面で且つ低コストで施工できる車椅子使用者のトイレットの提供。
【解決手段】出入り口20に引き戸30を備えた車椅子Bの出入り可能なトイレットWであって、このトイレットWにおける前記出入り口20の備えられている壁体10の前記引き戸30の引き込み側に、当該壁体10に背を向けて着座使用されるように腰掛け式便器40が設けてあるトイレットW。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、住宅等に馴染みよく設置し得ると共に、単にトイレット内に侵入した態様で腰掛け式便器との間での移動を可能としたコンパクトな車椅子使用者用のトイレットを提供するものであり、また、車椅子使用者における利き腕側に対応した構成を備えたトイレットを容易に構成提供するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会の到来等に伴って、車椅子を用いて自力で各種の日常生活の処理をなしたり、介助者の介助を借りて日常生活における各種動作をなさなければなならない人が近時増加する傾向にあり、公共的な設備に限らず、一般的な家庭内においても、車椅子によって生活し得る住空間の設計がなされるようになってきている。
【0003】
かかる車椅子使用者対応の住宅設計にあっては、車椅子操作のための各種空間が随所に必要とされ、実際に用いうる居住空間量が必然的に少なくなる不具合があった。
【0004】
特に、トイレットにあっては、通例、入り口側に向かって座るように腰掛け式便器が備えられていることから、トイレット内に乗り入れた車椅子使用者は当該トイレット内においていったん車椅子を便器の向きに合わせるように反転させる必要があり、また、当該反転状態にある車椅子と腰掛け式便器との間を移動するための設備を要すること等から、トイレット設備に比較的多くの住空間を用いる必要があった。
【0005】
かかる点から、トイレルームの一側壁面に沿って、前後に離間して大便器ブースを配設し、このトイレブース間に中間部の小便器ブースを配設し、トイレブースの通路方向への突出量は大きく、中間部のトイレブースの突出量は小さく、前後のトイレブースは、対称的に出入口を備え、且つ平面視が半円形で、トイレブース内に設置された便器洗面台等の内装機器が対称的に配設され、しかも、前後のトイレブース間の中間部のトイレブースの外側には、車椅子の旋回スペースを設けたトイレルームが特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開平5−295905
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる特許文献1に示されるトイレルームでは、各トイレブースが平面視で半円形をなし、しかも、出入口の扉が弧状とされており、さらに、各ブース間に比較的広い旋回スペースを備えた構成としてある。
【0007】
また、この特許文献1に示されているトイレルームでは、トイレブースの弧状の周壁に弧状の扉が収納し得るように設けてあり、この扉を備えている周壁と反対の側にある突き出し幅の短い壁面に大便器を設け、この壁面と前記周壁との間に斜めに備えられる出入口を前記周壁に納められている弧状の扉で開閉できるようにしてある。
【0008】
このように構成されるトイレブースにあっては、周壁に向き合っている壁面に備えられている大便器に車椅子を近づかせるためには、弧状の周壁を備えたトイレブースの当該弧状部分に斜めの出入口を設ける必要があり、扉を備えるトイレブースにおける弧状部を通路側に大きく張り出した状態に設ける必要があった。
【0009】
このような構成からなるトイレルームにあっては、トイレルーム内に各弧状のトイレブースがあり、しかも、この各弧状のトイレブース間に車椅子の旋回スペースが必要とされていることから、設備コストが割高となるにも拘わらず、床面が四角形をしている当該トイレルームの効率的な使用には不適切であった。
【0010】
この発明は、かかる特許文献1に開示されているトイレルームにおける不具合を解消し、一般的な住宅に備え付けられるトイレットとしても、また、各種施設等に備え付けられるトイレットとしても、設計・製作が容易であり、しかも、少ない設置スペース内に効果的に車椅子使用者用トイレットを低コストで備え付け得るトイレットの提供をなすものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、この発明は、出入り口に引き戸を備えた車椅子の出入り可能なトイレットであって、
このトイレットにおける前記出入り口の備えられている壁体の前記引き戸の引き込み側に、当該壁体に背を向けて着座使用されるように腰掛け式便器が設けてあることを特徴とするトイレットとしてある。
【0012】
このように構成されるトイレットにあっては、床面が概ね四角形をなすように間仕切り構成される住宅や各種施設等にあって、その間仕切り構成を損なうことなく容易に組込・設計し得ると共に、一般的な間仕切り構造と同様に設計・施工をすることができ、トイレットの組込・施工に格別の材や、手間や、空間等を必要とされることがない。
【0013】
また、このように構成されるトイレットにあっては、引き戸を開けてトイレット内に車椅子を用いて単に直進することのみによって使用便器に着座可能な状態を作り出すことができ、もっとも少ない床面積で、効率的に用い得る車椅子使用者用トイレットを構成することができる。
【0014】
また、このように構成されるトイレットにあっては、当該トイレットにおける引き戸の向きを右向き、又は、左向きに設定することによって、当該トイレットを用いる各車椅子使用者における利き腕に対応したトイレットを設置することができる。
【0015】
また、前記構成に係るトイレットにおいて、前記腰掛け式便器が、その後部を壁体に接し、又は、近接して設けてあることを特徴とするトイレットでは、前記特長に併せて当該トイレットにおける出入り口の備えられている壁体の面から当該トイレット内空間を有効に用いることができる。
【0016】
また、前記構成に係るトイレットにおいて、車椅子使用者がトイレット内において車椅子と腰掛け式便器との間を移動する際に手を摺り得る位置に手摺りが備えられていることを特徴とするトイレットでは、前記特長に併せて車椅子使用者は円滑にかつ安全に車椅子と腰掛け式便器との間を行き来することができる。
【0017】
また、出入り口に引き戸を備えた車椅子の出入り可能な一対のトイレットであって、
この各トイレットにおける前記出入り口の備えられている壁体の前記引き戸の引き込み側に、当該壁体に背を向けて着座使用されるように腰掛け式便器が設けてあり、
前記一方のトイレットにおける引き戸が右方向に、他方のトイレットにおける引き戸が左方向に引き開けられるようにしてあることを特徴とするトイレットにあっては、前記特長に併せて、車椅子使用者は、各人の利き腕によって使い勝手の良い側のトイレットを選択・用いることができる。
【0018】
また、前記構成のトイレットにあって、前記一対のトイレットが通路の両側に互いに向き合うように設けてあり、しかも、当該各トイレットにおける引き戸を備えた出入り口が互いに向き合う位置に設けられていることを特徴とするトイレットでは、前記特長に併せて、使い勝手の異なる一対のトイレットを狭い設置スペース内に都合良く設置することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係るトイレットは、一般的な住宅や各種施設等において容易に組込・設計できると共に、少ない床面のトイレットとして低コストで施工でき、しかも、車椅子使用者の利き腕に対応した態様のトイレットを容易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図1〜図7に基づいて、この発明を実施するための最良の形態に係るトイレットWについて説明する。
【0021】
なお、ここで図1は当該発明を実施するための最良の形態に係るトイレットWを水平向きで断面して上方から見て、図2は、このトイレットWの要部を斜め上方から見て、また、図3〜図5は、このトイレットWの典型的な使用状態を順次に水平向きで断面して上方から見て示している。図6は、他の典型的な実施の形態に係るトイレットWを水平向きで断面して上方から見て、図7は、さらに他の典型的な実施の形態に係るトイレットW’を水平向きで断面して上方から見て示している。
【0022】
この発明を実施するための最良の形態に係るトイレットWは、出入り口20に引き戸30を備えた車椅子Bの出入り可能なトイレットWであって、
このトイレットWにおける前記出入り口20の備えられている壁体10の前記引き戸30の引き込み側に、当該壁体10に背を向けて着座使用されるように腰掛け式便器40(洋便器)が設けてあることを特徴とするトイレットWとしてある。
【0023】
このように構成されるトイレットWにあっては、床面が概ね四角形をなすように間仕切り構成される住宅や各種施設等にあって、その間仕切り構成を損なうことなく容易に組込・設計し得ると共に、一般的な間仕切り構造と同様に設計・施工をすることができ、トイレットWの組込・施工に格別の材や、手間や、空間等を必要とされることがない。
【0024】
また、このように構成されるトイレットWにあっては、引き戸30を開けてトイレットW内に車椅子Bを用いて単に直進することで使用便器40に着座可能な状態を作り出すことができ、もっとも少ない床面積で、効率的に用い得る車椅子使用者用トイレットWを構成することができる。
【0025】
また、このように構成されるトイレットWにあっては、当該トイレットWにおける引き戸30における引き込みの向きを右向き、又は、左向きに設定することによって、当該トイレットWを用いる各車椅子使用者Aにおける利き腕に対応したトイレットを設置することができる。
【0026】
なお、前記トイレットWは、いわゆる戸建て住宅や集合住宅等の住宅のトイレットとして備えられ、また、特別養護老人ホーム等の各種の施設のトイレットWとして備えられる。また、このトイレットWは、木造建造物、コンクリート造建造物等いかなる材からなる建造物にも設備して用いることができる。従って、トイレットを構成する各壁体は、トイレット空間を有効に作り出し得る間仕切り手段であればいかなる材によって構成してあってもよく、当該各壁体が順次直角に連続するようにして当該トイレットの壁体を構成してある。
【0027】
また、このトイレットWの出入り口20は、車椅子使用者Aが当該車椅子Bに乗った状態で、又は、介助者の介助のもとで出入りし得る形態を備えたものであれば、いかなる構成の出入り口20であってもよい。そして、この出入り口20を必要に応じて塞ぐ引き戸30は、当該出入り口20を効果的に開閉可能に塞ぎうるものであれば、いかなる素材からなるものであっても、また、いかなる構成からなるものであってもよい。
【0028】
また、この出入り口20を開閉可能に塞ぐ引き戸30は、当該出入り口20の備えられている壁体10内に引き込み納まるように備えられていても、当該壁体10に沿って引き込まれるように備えられていても、当該壁体10と当該壁体10と一体をなすように当該壁体10に沿って備えられている面材との間に引き込まれるように備えられていてもよい。
【0029】
また、このトイレットW内に設備される腰掛け式便器40は、腰掛け状態で用便をなし得るものであれば、水洗式、簡易水洗式、非水洗式等いかなるタイプのものであってもよく。また、いかなる素材によって構成してあってもよい。
【0030】
また、この腰掛け式便器40は、前記出入り口20の備えられている壁体10に背面を向けて着座使用する態様、すなわち、当該便器40の後部側を壁体10に向けた状態、より典型的には、その後部を壁体10に接し、又は、近接して設けるようになす。このように便器40の設置されたトイレットWでは、当該出入り口20の備えられている壁体10の面から当該トイレット内空間を有効に用いることができる。
【0031】
また、前記構成に係るトイレットWにおいて、車椅子使用者Aがトイレット内において車椅子Bと腰掛け式便器40との間を移動する際に、手を摺り得る位置、あるいは、手で握り得る位置に手摺り50を備えたトイレットとすることが好ましい。このように手摺り50を備えたトイレットWでは、車椅子使用者Aは円滑にかつ安全に車椅子Bと腰掛け式便器40との間を行き来することができる。
【0032】
かかる手摺り50は、トイレット内において、車椅子使用者Aが当該車椅子Bと腰掛け式便器40との間を行き来する際に手を摺ったり、握り用いたりし得るものであれば、いかなる形態に備えられていても、また、いかなる態様に備えられていてもよく、例えば、設置されており腰掛け式便器40の前方にあって、車椅子使用者Aが都合良く身体を支えて移動し得る高さに、この腰掛け式便器40の設置方向に直交する向きに備えられている横手摺り51、この腰掛け式便器40に着座し且つ立ち上がる際に握り且つ上下方向に移動しうる位置に縦向きに備えられている縦手摺り52、さらに当該腰掛け式便器40に着座し且つ当該着座位置から立ち上がるように前方に移動する際に身体を支え得る手摺りであり且つ当該腰掛け式便器40の側方に沿うように備えられている横手摺り53等の一種又は複数種によって構成することができる。
【0033】
また、出入り口20に引き戸30を備えた車椅子Bの出入り可能な一対のトイレットWであって、この各トイレットWにおける前記出入り口20の備えられている壁体10の前記引き戸30の引き込み側に、当該壁体10に背を向けて着座使用されるように腰掛け式便器40が設けてあり、前記一方のトイレットWにおける引き戸30が右方向に、他方のトイレットWにおける引き戸30が左方向に引き開けられるようにしてあるトイレットWにあっては、車椅子使用者Aは、各人の利き腕によって使い勝手の良い側のトイレットWを選択・用いることができる。
【0034】
また、このように対をなして備えられているトイレットWa、Wbを、通路87の両側に互いに向き合うように設け、しかも、当該各トイレットWa、Wbにおける引き戸30を備えた出入り口20が互いに向き合う位置に設けられたトイレットW’では、使い勝手の異なる一対のトイレットWa、Wbを狭い設置スペース内に使い勝手良く、しかも、コンパクトに設置することができる。
【0035】
まず、図1〜図5に示されるトイレットWについて具体的に説明する。
【0036】
この図1〜図5に示されるトイレットWは、出入り口20に右側に引き込むように設置された引き戸30を備えた車椅子Bの出入り可能なトイレットWであり、このトイレットWにおける前記出入り口20の備えられている壁体10の前記引き戸30の引き込み側に、当該壁体10に背を向けて着座使用されるように腰掛け式便器40が設けてある。
【0037】
この図示例に係るトイレットWは、四面を壁体10、11、12、13によって囲まれたほぼ四角形の床面を備えたトイレットWとしてあり、通路14に面している壁体10に車椅子Bの出入り可能な出入り口20を設けてある。この壁体10に備えられる出入り口20は、当該壁体10の左右いずれか一方側、この図示例にあっては通路14に面している当該壁体10の左側に設けてあり、当該壁体10の右側の内側に当該壁体10を背にして用便者が着座し得るように腰掛け式便器40が設けてあると共に、この腰掛け式便器40の前方、すなわち、当該腰掛け式便器40と車椅子B間を車椅子使用者Aが手を摺りながら移動し得る位置に手摺り50が設けてあり、また、この腰掛け式便器40に着座して用便をなす者の手の届く範囲にトイレットペーパー70等の必要備品が備えてある。また、この用便を済ませた車椅子使用者Aが車椅子Bに移乗して移動可能な位置に手洗い装置60が設けてある。
【0038】
かかるトイレットWに備えられる出入り口20は、当該トイレットWをコンパクトに構成する点から、この図示例にあっては、通路14に面している壁体10の左端、すなわち、この通路14に面している壁体10に直角に連続されている壁体12の厚さ相当分を残した位置から右方向に向けて車椅子Bの出入り可能な幅を備えるように当該通路14に面している壁体10に開口を設け、この開口を開閉する引き戸30を、この開口に連続している通路14に面している壁体10側に引き込み得る構成としてある。
【0039】
そして、この図示例にあっては、当該引き戸30の引き込み得る壁体10を外壁部10aと内壁部10bの二重構造とし、その間に引き戸30を引き込み収納し得る隙間を構成するようにしてある。なお、この引き戸30の引き込みに用いられる壁体10は、当該トイレットWに車椅子Bによって乗り入れた車椅子使用者Aが当該車椅子Bから、この壁体10に背を向けて腰掛け式便器40に着座し得る位置に当該腰掛け式便器40を設け得る構成としてある。
【0040】
すなわち、この引き戸30の引き込まれる壁体10は、腰掛け式便器40を、その後部が当該壁体10に接し、又は近接された状態で設置された際に、車椅子使用者Aが当該車椅子Bからこの腰掛け式便器40に対して背を当該壁体10に向けて着座し得ると共に、着座した用便者が用便をなし、しかも、再度、車椅子Bに移乗し得る必要最小限の空間を当該腰掛け式便器40の左右並びに前方に備える構成としてあり、腰掛け式便器40に着座した者の右側方に当該動作に必要最小限の隙間を残して壁体11が設けてあり、この壁体11に、前記手摺り50を構成する縦手摺り52と、当該縦手摺り52からほぼ中腰の状態で車椅子使用者Aが手を摺りながら移動し得る横手摺り51が設けてある。
【0041】
この腰掛け式便器40の前方に備えられる横手摺り51は、腰掛け式便器40に着座する向きに直交する向き、すなわち、この腰掛け式便器40の備えられている壁体10(引き戸30の引き込まれる壁体)に平行をなすように設けてある。なお、この図示例に係る横手摺り51は、その不使用時には、当該腰掛け式便器40の側方にある壁体11に沿うように起立収納可能に当該縦手摺り52に回動可能に設けてあって、水平状態に引き下ろした際に、その基部側にあるストッパー片52aが壁体11に接して当該水平状態を維持し得るようにしてある。
【0042】
また、この引き戸30の引き込まれる壁体10には、前記腰掛け式便器40に着座して用便をなす者が縋りついて姿勢を保持し得る横手摺り53が、この腰掛け式便器40における左側、すなわち、当該腰掛け式便器40における前記壁体11と反対の側に、当該壁体11に平行をなすように前記引き戸30の引き込まれる壁体10から突き出し状態に設けてある。そして、この手摺り53は、車椅子使用者Aが腰掛け式便器40との間を移動する際に、上方に起立させて収納し得るように当該壁体10に回動可能に設けてあって、水平向きに降ろした際に、その基部側にあるストッパー部53aが壁体10の面に接して当該水平状態を維持し得るようにしてある。
【0043】
また、手洗い装置60は、当該トイレット内スペースの効果的な使用の観点から、前記出入り口20に向き合っている壁体13、すなわち、腰掛け式便器40の備えられている壁体10と壁体11とのなす隅の対角線位置にある壁隅部に備えられるようにしてある。
【0044】
ついで、図6に示される第2の典型的なトイレットWについて具体的に説明する。
この図6に示されるトイレットWは、引き戸30を左向きに引き込むようにした以外の構成を前記図1〜図5に示されるトイレットWの構成と同一又は実質的に同一としてあり、当該トイレットWと同一、又は実質的に同一の構成部分には同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0045】
ここで構成されるトイレットWは、その使い勝手が前記図1〜図5に示されるトイレットWと逆向き、すなわち、車椅子使用者Aにおける利き腕が逆向きとなることから、前記図1〜図5に示されたトイレットWの使用者Aと逆の利き腕を備える車椅子使用者Aが用いて好適なトイレットWとされる。
【0046】
ついで、図7に示されるトイレットW’は、出入り口20に引き戸30を備えた車椅子Bの出入り可能な一対のトイレットWa、Wbを、この各トイレットWa、Wbにおける前記出入り口20の備えられている壁体83の前記引き戸30の引き込み側に、当該壁体83に背を向けて着座使用されるように腰掛け式便器40を設け、この一方のトイレットWaにおける引き戸30が右方向に、他方のトイレットWbにおける引き戸30が左方向に引き開けられるようにしたものであって、車椅子使用者Aが各人の利き腕に対応して使いやすいトイレットWa、Wbを選択用い得るようにしたものである。
【0047】
特に、この図示例にあっては、この一対のトイレットWa、Wbを通路87の両側に互いに向き合うように設け、しかも、当該各トイレットWa、Wbにおける引き戸30を備えた出入り口20が互いに向き合う位置となるようにして当該通路87の入り口側に設け、この各トイレットWa、Wbの通路87の行き止まりに前記各トイレットWa、Wbにおける腰掛け式便器40と並ぶ線上に健常者用の腰掛け式便器40を出入り口86を備える壁体85に平行をなすように設置し、これらの三個の各腰掛け式便器40が同一線上に並ぶように設置してある。
【0048】
すなわち、長方形状をなす設置スペースに対して直線的な後部壁体81から直角に前方に突き出す両外側壁体82、82の各内側に車椅子使用者用トイレットWa、Wbを当該両外側壁体82、82に向き合う各内側壁体83、83、及び、この外側壁体82と内側壁体83との間に備えられる前部壁体84とによって構成し、しかも、この各内側壁体83、83間を通路87とし、この各内側壁体83、83における通路87の手前側に出入り口20を設け、この各出入り口20に、その引き込み向きが逆になるように各引き戸30を設けてあり、さらに、この通路87の奥、すなわち、前記引き戸30の引き込まれる各壁体83部分と、前記後部壁体81とで囲まれた空間の前方部分にドア86aを備えた前部壁体85を設けて健常者用のトイレットWcを構成するようにしてあって、右利き、左利きの各車椅子使用者用トイレットWa、Wbと健常者用トイレットWcを効率良く狭い設置スペース内に使い勝手良く納めた構成のトイレットW’としてある。
【0049】
なお、この図7に示されるトイレットW’は、健常者用のトイレットWcを中央部に配して、通路の両側に各車椅子使用者用トイレットWa、Wbを設けた以外の構成を前記図1〜図6に示される各トイレットWの構成と同一又は実質的に同一としてある。従って、前記図1〜図6に示されるトイレットWの構成と同一又は実質的に同一の構成部分には同一の番号を付して、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】典型的なトイレットを示す平断面図
【図2】同要部の斜視図
【図3】同トイレットの使用状態の一例を示す平断面図
【図4】同トイレットの使用状態の次の一例を示す平断面図
【図5】同トイレットの使用状態の、さらに次の一例を示す平断面図
【図6】典型的な他のトイレットを示す平断面図
【図7】典型的な更に他のトイレットを示す平断面図
【符号の説明】
【0051】
A 使用者
B 車椅子
W、W’ トイレット
10壁体
20 出入り口
30 引き戸
40 腰掛け式便器
50 手摺り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入り口に引き戸を備えた車椅子の出入り可能なトイレットであって、
このトイレットにおける前記出入り口の備えられている壁体の前記引き戸の引き込み側に、当該壁体に背を向けて着座使用されるように腰掛け式便器が設けてあることを特徴とするトイレット。
【請求項2】
前記腰掛け式便器が、その後部を壁体に接し、又は、近接して設けてあることを特徴とする請求項1に記載のトイレット。
【請求項3】
車椅子使用者がトイレット内において車椅子と腰掛け式便器との間を移動する際に手を摺り得る位置に手摺りが備えられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトイレット。
【請求項4】
出入り口に引き戸を備えた車椅子の出入り可能な一対のトイレットであって、
この各トイレットにおける前記出入り口の備えられている壁体の前記引き戸の引き込み側に、当該壁体に背を向けて着座使用されるように腰掛け式便器が設けてあり、
前記一方のトイレットにおける引き戸が右方向に、他方のトイレットにおける引き戸が左方向に引き開けられるようにしてあることを特徴とするトイレット。
【請求項5】
前記一対のトイレットが通路の両側に互いに向き合うように設けてあり、しかも、当該各トイレットにおける引き戸を備えた出入り口が互いに向き合う位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のトイレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−89780(P2007−89780A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282306(P2005−282306)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】