説明

トイレ室の空気制御システム及び空気制御方法

【課題】本発明は、使用者がトイレ室を快適に使用でき、しかも、エネルギーの消費が小さく、使用コストを低く抑えることのできるトイレ室の空気制御システム及び空気制御方法の提供を目的とする。
【解決手段】エアコン2と、換気扇31を有する換気装置3と、コントローラ4とを備える。コントローラ4は、トイレ室使用開始信号及びトイレ室使用終了信号をエアコン2に送信するとともに、トイレ室使用開始信号及び換気扇作動停止信号を換気装置3に送信する。エアコン2は、低出力運転を行い、トイレ室使用開始信号を受信すると低出力運転から高出力運転に切り替え、トイレ室使用終了信号を受信すると高出力運転から低出力運転に戻す。換気装置3は、トイレ室使用開始信号を受信すると、その受信時から換気扇の作動を開始し、換気扇作動停止信号を受信すると換気扇の作動を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ室の空気を制御する空気制御システム及び空気制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、トイレ室の空気を制御するシステム等は知られている。例えばトイレ室内を暖房する暖房機器を有する便所装置が提案されている。この装置は、便所装置の使用者の操作に適した場所に設置可能であり、便所装置に対して操作指令を行うための遠隔操作盤を有し、暖房機器を、前記遠隔操作盤に設けた温度検出手段が検出した温度に応じて制御するようにしたものである(特許文献1参照)。こうすることにより、使用者が常時快適に便所装置を使用することが可能となる。
【特許文献1】特開平10−204959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1に記載のものでは、常時温度検出手段が検出した温度に応じて暖房機器を制御して作動させている。換言すれば、便所装置を使用者が使用していない場合にまで、使用者が使用している場合と同様に暖房機器を制御して作動させている。したがって、使用者が常時快適に便所装置を使用できるとしても、エネルギーの消費が大きく、使用コストが高くついてしまうという問題点がある。
【0004】
本発明は、使用者がトイレ室を快適に使用でき、しかも、エネルギーの消費が小さく、使用コストを低く抑えることのできるトイレ室の空気制御システム及び空気制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1は、トイレ室に設けられ冷房手段と暖房手段との少なくとも一方の手段を有する室温調整装置と、トイレ室の空気を換気する換気扇を有する換気装置と、これらの室温調整装置及び換気装置に制御信号を送信可能な管理装置とを備えたトイレ室の空気制御システムであって、前記管理装置は、トイレ室の使用開始および使用終了を判定するトイレ室使用開始終了判定手段を備え、このトイレ室使用開始終了判定手段によって、トイレ室の使用が開始されたと判定した場合に、トイレ室使用開始信号を少なくとも室温調整装置に送信するとともに、トイレ室の使用が終了したと判定した場合に、トイレ室使用終了信号を少なくとも室温調整装置に送信し、前記室温調整装置は、常時は低出力運転を行い、前記トイレ室使用開始信号を受信した場合にそのトイレ室使用開始信号に基づいて、前記低出力運転から、その低出力運転よりも高出力で運転する高出力運転に切り替えて運転し、前記トイレ室使用終了信号を受信した場合にそのトイレ室使用終了信号に基づいて、前記高出力運転から前記低出力運転に戻して運転し、前記換気装置は、前記トイレ室使用開始信号又は前記トイレ室使用終了信号を受信した場合にそれらの信号に基づいて、それらの信号の受信時から換気扇の作動を開始し、それらの受信時から一定時間経過した後に換気扇の作動を停止することを特徴とするトイレ室の空気制御システムを提供する。
【0006】
請求項2のように、前記管理装置は、トイレ室に設けられた検出装置から使用開始検出信号及び使用終了検出信号を受信し、その受信した信号に基づいてトイレ室の使用開始および使用終了を判定し、前記使用開始検出信号は、検出装置に設けられた検出センサによって、使用者がトイレ室に入室したことを検出された場合、又は、トイレ室に設けられた便座に使用者が着座したことを検出された場合に、前記検出装置から前記管理装置に送信され、前記使用終了検出信号は、前記検出センサによって、使用者がトイレ室から退室したことを検出された場合、又は、使用者が着座した便座から離れたことを検出された場合に、前記検出装置から前記管理装置に送信されることが好ましい。
【0007】
請求項3にように、前記室温調整装置は、前記冷房手段により生成された冷気を冷風にして、又は、前記暖房手段により生成された暖気を温風にして、前記トイレ室内に送る送風ファンを備え、前記低出力運転は、前記冷房手段又は暖房手段を作動させ、前記高出力運転は、前記冷房手段又は暖房手段の作動に加えて、少なくとも送風ファンを作動させることが好ましい。
【0008】
請求項4にように、前記管理装置は、前記使用終了検出信号を受信した後、設定時間の経過前に、前記使用開始検出信号を受信したか否かを判定する設定時間経過判定手段を備え、この設定時間経過判定手段によって、前記設定時間の経過前に受信したと判定した場合に、換気扇作動停止信号を、直ちに換気装置に送信し、前記設定時間の経過前に受信していないと判定した場合に、前記換気扇作動停止信号を、前記使用終了検出信号を受信してから前記設定時間の経過後に換気装置に送信し、前記換気装置は、前記トイレ室使用終了信号を受信しその受信した信号に基づいて、そのトイレ室使用終了信号の受信時から換気扇の作動を開始し、前記換気扇作動停止信号を受信した場合にその信号に基づいて、換気扇の作動を停止することが好ましい。
【0009】
請求項5にように、前記換気装置は、前記トイレ室の上方側に配置され、前記室温調整装置は、トイレ室内に冷気又は暖気を放出するための開口部を備え、前記開口部は、前記トイレ室内に設けられた便器を挟んで前記換気装置の斜め下方に配置されていることが好ましい。
【0010】
又、本発明の請求項6は、トイレ室に設けられ冷房手段と暖房手段との少なくとも一方の手段を有し常時は低出力運転を行う室温調整装置とトイレ室の空気を換気する換気扇を有する換気装置とこれらの室温調整装置及び換気装置に制御信号を送信可能な管理装置とを用いてトイレ室の空気を制御する空気制御方法であって、前記管理装置に、トイレ室の使用開始及び終了を判定させ、トイレ室の使用が開始されたと判定した場合に、トイレ室使用開始信号を少なくとも室温調整装置に送信させ、トイレ室の使用が終了したと判定した場合に、トイレ室使用終了信号を少なくとも室温調整装置に送信させることによって、前記室温調整装置に、前記トイレ室使用開始信号を受信した場合にその信号に基づいて、前記低出力運転から、その低出力運転よりも高出力で運転する高出力運転に切り替えて運転させるとともに、前記トイレ室使用終了信号を受信した場合にその信号に基づいて、高出力運転から低出力運転に戻して運転させ、前記換気装置に、前記トイレ室使用開始信号又は前記トイレ室使用終了信号を受信した場合にその信号に基づいて、その信号の受信時から換気扇の作動を開始させ、その信号の受信時から一定時間経過した後に換気扇の作動を停止させるようにしたことを特徴とするトイレ室の空気制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び請求項6によれば、トイレ室が使用されていない場合には、室温調整装置は常時は低出力運転を行っているため、エネルギーの消費を抑えることができる。一方、トイレ室が使用される場合は、室温調整装置が低出力運転から高出力運転に切り替わるため、例えば即座に冷気又は暖気を生成してトイレ室に送風することも可能となり、使用者に快適感を与えることができる。又、トイレ室が使用された場合には、換気装置の換気扇が作動するため、臭気をトイレ室の外に排出できる。
【0012】
請求項2によれば、検出装置の検出センサによって、使用者のトイレ室への入退室、又は、トイレ室の便座への着脱が検出された場合に検出装置から送信されてくる信号に基づいて管理装置がトイレ室の使用開始および使用終了を判定するため、トイレ室の使用の開始および終了の判定を正確且つ確実なものにできる。
【0013】
請求項3によれば、高出力運転は、冷房手段又は暖房手段の作動に加えて、少なくとも送風ファンを作動させるため、冷房手段の作動によって生成された冷気を冷風にし、あるいは、暖房手段の作動によって生成された暖気を温風にして、使用者に吹きかけることができ、使用者に効率良く快適感を与えることができる。
【0014】
請求項4によれば、換気装置は、トイレ室使用終了信号に基づいて、そのトイレ室使用終了信号の受信時から換気扇の作動を開始するため、トイレ室を使用している間は、室温調整装置の高出力運転によって生成された冷気等がトイレ室の外に逃げるのを防止でき、使用者に快適感を与え続けることができる。
【0015】
又、トイレ室を使用している間は、必ず、換気扇の作動を停止できる。これにより、換気扇の作動に伴う音の発生を防止でき、使用者の耳障りになるようなことを防止でき、使用者に落ち着いた雰囲気を提供できる。
【0016】
請求項5によれば、換気装置は、前記トイレ室の上方側に配置され、室温調整装置の開口部は、前記トイレ室に設けられた便器を挟んで換気装置の斜め下方に配置されているため、室温調整装置により生成された冷気又は暖気が換気装置の方向に流れ、その流れの途中に便器を使用する使用者を配置できる。従って、例えばトイレ室が使用されている場合に換気扇を作動させるようにすれば便器を使用する使用者に冷気又は暖気を効率良く当てることができるとともに、臭気を、その冷気又は暖気の流れに乗せて換気装置に送ることができ、臭気を即座に、しかも、効率良く、トイレ室の外に排出することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態のトイレ室の空気制御システムの概略図、図2は、本発明の第1実施形態のトイレ室の空気制御システムに用いられるコントローラを説明するためのブロック図、図3は、同システムに用いられるエアコンを説明するためのブロック図、図4は、同システムに用いられる換気装置のブロック図である。
【0019】
第1実施形態のトイレ室の空気制御システムは、図1に示すように、トイレ室1に設けられた室温調整装置としてのエアコンディショナー(エアコン)2と、トイレ室1の空気を換気する換気装置3と、これらのエアコン2及び換気装置3と相互に制御信号を有線又は無線(この実施形態では無線)により送受信可能な管理装置としてのコントローラ4とを備えている。
【0020】
コントローラ4は、この実施形態では、トイレ室1内に設けられており、図2に示すように冷暖房モード判定手段41と、トイレ室使用開始終了判定手段としての入退室判定手段42と、設定時間経過判定手段43と、送信手段44と、受信手段45とを備えている。
【0021】
冷暖房モード判定手段41は、後述するエアコン2が有する冷房手段を作動させる冷房モードか、又はエアコン2が有する暖房手段を作動させる暖房モードかを判定するもので、この実施形態では、コントローラ4に付設された温度センサ(図示せず)によって検出したトイレ室1の室温の温度情報とコントローラ4に適宜設定される冷暖房モード設定温度とに基づいて判定する。
【0022】
より詳しくは、例えば管理者や使用者等によって、冷暖房モード設定温度が25°Cと設定された場合は、温度センサによって検出された検出温度が25°C未満(検出温度<冷暖房モード設定温度)であると、暖房モードと判定し、一方、検出された温度が25°C以上(検出温度>冷暖房モード設定温度及び検出温度=冷暖房モード設定温度)であると、冷房モードと判定する。
【0023】
又、コントローラ4は、冷暖房モード判定手段41によって、暖房モードと判定した場合は、暖房モード信号を生成し、冷房モードと判定した場合は、冷房モード信号を生成する。
【0024】
入退室判定手段42は、トイレ室に設けられた検出装置から受信した使用開始検出信号及び使用終了検出信号に基づいて、トイレ室の使用開始および使用終了を判定する。
【0025】
詳しくは、トイレ室1には、図示しないが、検出センサを有する検出装置が設けられている。また、この実施形態の検出センサは、トイレ室1の内壁面に設置された赤外線センサから構成され、使用者がトイレ室1に入ってくる(入室)とその入室を検出するとともに、その入室した使用者がトイレ室1から出て行く(退室)とその退室を検出する。
【0026】
又、検出装置は、検出センサが入室を検出した場合に、トイレ室1の使用開始を検出した旨の使用開始検出信号をコントローラ4に送信し、一方、検出センサが退室を検出した場合に、トイレ室1の使用終了を検出した旨の使用終了検出信号をコントローラ4に送信する。
【0027】
そして、それらを受信したコントローラ4は、使用開始検出信号を受信した場合にその信号に基づいてトイレ室の使用が開始されたと判定し、使用終了検出信号を受信した場合にその信号に基づいてトイレ室の使用が終了したと判定する。
【0028】
又、コントローラ4は、トイレ室の使用が開始されたと判定した場合は、トイレ室1の使用が開始された旨のトイレ室使用開始信号を生成し、一方、トイレ室の使用が終了したと判定した場合は、トイレ室1の使用が終了した旨のトイレ室使用終了信号を生成する。
【0029】
設定時間経過判定手段43は、上記使用終了検出信号を検出装置から受信した後、後述の換気扇31のディレイオフ時間(遅れて切る時間)として設定した設定時間(例えば5分)経過前に、検出装置から使用開始検出信号を受信したか否かを判定する。
【0030】
送信手段44は、例えば上記トイレ室使用開始信号をエアコン2及び換気装置3に送信する。又、送信手段44は、例えば上記トイレ室使用終了信号をエアコン2に送信する。更には、送信手段44は、例えば暖房モード信号あるいは冷房モード信号をエアコン2に送信する。
【0031】
受信手段45は、例えば上記トイレ室使用開始信号等を受信した旨の応答信号をエアコン2及び換気装置3から受信する。
【0032】
又、コントローラ4は、図示しないが、記録装置であるメモリ、制御装置であるCPU、表示装置である表示部、入力装置であるボタンキー、エアコン2及び換気装置3と通信するための通信インターフェース等を備えている。
【0033】
そして、上記CPUは、図2の冷暖房モード判定手段41、入退室判定手段42、設定時間経過判定手段43、送信手段44、受信手段45として機能する。
【0034】
次に、エアコン2について説明する。この実施形態のエアコン2は、冷房手段と、暖房手段と、送風ファン26とを備えたヒートポンプ式冷温風発生装置から構成されている。
【0035】
冷房手段及び暖房手段は、例えば図1に示すように、冷媒を圧縮する圧縮機21、室外熱交換機22、室内熱交換機24等を備えているとともに、切換弁である四方弁(図示せず)を介して冷房と暖房とを切換え可能になっており、これらによって発生させた冷気又は暖気を、室内熱交換機24の上部側に開設された開口部25からトイレ室1内に放出する。又、この実施形態では、開口部25は、トイレ室1の内部におけるほぼ下方部に配設されている。
【0036】
送風ファン26は、開口部25に設けられており、この送風ファン26が作動することによって、上記発生させた冷気又は暖気を開口部25から冷風又は温風にしてトイレ室1内に出すようになっている。又、この実施形態では、送風ファン26は、斜め上方向側の後述の換気装置3の方向に冷風又は温風に吹き出し得るように構成されている。
【0037】
エアコン2は、図3に示すように、高出力運転開始手段としての送風ファン作動開始手段27と、高出力運転停止手段としての送風ファン作動停止手段28と、受信手段29と、送信手段30とを備えている。
【0038】
送風ファン作動開始手段27は、上記トイレ室使用開始信号をコントローラ4から受信した場合にそのトイレ室使用開始信号に基づいて送風ファン26を作動させる。これにより、エアコン2は、冷房手段又は暖房手段の作動のみの低出力運転から、送風ファン26の作動を加えた高出力運転に切り替えて運転を行うことになる。
【0039】
送風ファン作動停止手段28は、上記トイレ室使用終了信号をコントローラ4から受信した場合にそのトイレ室使用終了信号に基づいて送風ファン26の作動を停止させる。これにより、エアコン2は、冷房手段又は暖房手段の作動のみの低出力運転に戻して運転を行うことになる。
【0040】
受信手段29は、例えば上記トイレ室使用開始信号、トイレ室使用終了信号、暖房モード信号あるいは冷房モード信号をコントローラ4から受信する。
【0041】
送信手段30は、例えば上記トイレ室使用開始信号等を受信した旨の応答信号をコントローラ4に送信する。
【0042】
又、エアコン2は、図示しないが、記録装置であるメモリ、制御装置であるCPU、表示装置である表示部、入力装置であるボタンキー、コントローラ4と通信するための通信インターフェース等を備えている。
【0043】
そして、上記CPUは、図3の送風ファン作動開始手段27、送風ファン作動停止手段28、受信手段29、送信手段30として機能する。
【0044】
次に、換気装置3について説明する。この換気装置3は、図1に示すように、換気扇31を備え、トイレ室1における上方側であって、トイレ室1内に設けられた便器5(便器5を使用している使用者)を挟んで上記エアコン2の開口部25のななめ上方側に配設されている。
【0045】
又、換気装置3は、図4に示すように、換気扇作動開始手段32と、換気扇作動停止手段33と、受信手段34と、送信手段35とを備えている。この実施形態における換気扇作動開始手段32は、トイレ室使用開始信号を受信した場合にその信号に基づいて、その信号の受信時から換気扇31の作動を開始する。
【0046】
換気扇作動停止手段33は、コントローラ4から換気扇作動停止信号を受信した場合にその信号に基づいて、換気扇31の作動を停止する。
【0047】
受信手段34は、例えばトイレ室使用開始信号、換気扇作動停止信号をコントローラ4から受信する。
【0048】
送信手段35は、例えば上記トイレ室使用開始信号等を受信した旨の応答信号をコントローラ4に送信する。
【0049】
又、換気装置3は、図示しないが、記録装置であるメモリ、制御装置であるCPU、表示装置である表示部、入力装置であるボタンキー、コントローラ4と通信するための通信インターフェース等を備えている。
【0050】
そして、上記CPUは、図4の換気扇作動開始手段32、換気扇作動停止手段33、受信手段34、送信手段35として機能する。
【0051】
以上のように構成された上記実施形態におけるコントローラ4とエアコン2との相互の動作について、図5を参照して説明する。
【0052】
尚、コントローラ4は、上述のように管理者等によって冷暖房モード設定温度が入力されると、その入力された温度と、温度センサによる検出温度とに基づいて暖房モード又は冷房モードと判定し、暖房モードと判定した場合は、暖房モード信号を生成してエアコン2に送信し、冷房モードと判定した場合は、冷房モード信号を生成してエアコン2に送信する。そして、エアコン2は、暖房モード信号を受信した場合は、その信号に基づいて暖房手段を作動させて暖房モードで低出力運転を行い、一方、冷房モード信号を受信した場合は、その信号に基づいて冷房手段を作動させて冷房モードで低出力運転を行う。以下、この状態から説明する。
【0053】
まず、コントローラ4は、検出装置からの使用開始検出信号の受信に基づいて、トイレ室1に使用者が入室されたか否かを判定する(図5、ステップS1)。
【0054】
上記ステップS1において、トイレ室1に使用者が入室されたと判定した場合、コントローラ4は、トイレ室使用開始信号をエアコン2(及び換気装置3)に送信する(図5、ステップS2)。一方、トイレ室1に使用者が未だ入室されないと判定した場合は、コントローラ4は、トイレ室1への使用者の入室を待つ。このステップS1が上記入退室判定手段42に対応する。
【0055】
トイレ室使用開始信号を受信したエアコン2は、送風ファン26を作動させることによって低出力運転から高出力運転に切り替える(図5、ステップS11)。尚、トイレ室使用開始信号を受信したエアコン2は、受信した旨の応答信号をコントローラ4に送信するが、この説明は省略している。以下の説明においても同じである。
【0056】
コントローラ4は、検出装置からの使用終了検出信号の受信に基づいて、入室された使用者が退出されたか否かを判定する(図5、ステップS3)。
【0057】
上記ステップS3において、退出されたと判定した場合、コントローラ4は、トイレ室使用終了信号をエアコン2に送信する(図5、ステップS4)。一方、未だ退室されてないと判定した場合、コントローラ4は、退室を待つ。
【0058】
トイレ室使用終了信号を受信したエアコン2は、送風ファン26の作動を停止し、高出力運転から低出力運転に切り替える(図5、ステップS12)。
【0059】
次に、図6、図7に基づき、コントローラ4と換気装置3との相互の動作について説明する。コントローラ4が、上述したようにステップS1を経てステップS2で、トイレ室使用開始信号を(エアコン2及び)換気装置3に送信する(図6、ステップS2)と、受信した換気装置3は、そのトイレ室使用開始信号に基づいて、換気扇31の作動を開始する(図6、ステップS21)。
【0060】
その後、コントローラ4は、上述したステップS3、ステップS4を経る。そして、コントローラ4は、検出装置から使用終了検出信号を受信した後、設定時間の経過前に、再度、トイレ室への入室があったか否か、換言すれば、設定時間の経過前に、再度、検出装置から使用開始検出信号を受信したか否かを判定する(図7、ステップS5)。このステップS5が、設定時間経過判定手段43に対応する。
【0061】
上記ステップS5において、コントローラ4は、再度の入室があったと判定した場合、上記ステップS3に戻り、一方、再度の入室がないと判定した場合、コントローラ4は、検出装置から使用終了検出信号を受信してから設定時間の経過後に、換気扇作動停止信号を換気装置3に送信する(図7、ステップS6)。
【0062】
これを受信した換気装置3は、換気扇の作動を停止する(図7、ステップS22)。以上が、上記実施形態の説明であり、エアコン2と換気装置3との運転状況を、時間軸に沿って表すと図8に示すものとなる。尚、この図8では、設定時間の経過前に再度の入室がない場合を例示している。
【0063】
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態におけるコントローラ4は、設定時間経過判定手段43(図2に図示)によって、検出装置から使用終了検出信号を受信した後、設定時間の経過前に、検出装置から使用開始検出信号を受信したと判定した場合に、換気扇作動停止信号を、直ちに換気装置に送信する。一方、設定時間の経過前に受信していないと判定した場合に、換気扇作動停止信号を、検出装置から使用終了検出信号を受信してから設定時間の経過後に換気装置に送信するように構成されている。
【0064】
又、換気装置3の換気扇作動開始手段32は、コントローラ4からトイレ室使用終了信号を受信した場合にその信号に基づいて、その信号の受信時から換気扇31の作動を開始するように構成されている。その他は、先の第1実施形態のものと同構成を採っている。
【0065】
このように構成された第2実施形態におけるコントローラ4と換気装置3との相互の動作について、図9、図10を参照して、詳しく説明する。
【0066】
コントローラ4は、先の第1実施形態の場合と同様に、トイレ室1に使用者が入室されたか否か判定し(図9、ステップS101)、入室されたと判定した場合、トイレ室使用開始信号をエアコン2に送信した後(図9、ステップS102)、退出されたか否かを判定する(図9、ステップS103)。そして、退出されたと判定した場合、コントローラ4は、トイレ室使用終了信号をエアコン2及び換気装置3に送信する(図9、ステップS104)。
【0067】
トイレ室使用終了信号を受信した換気装置3は、そのトイレ室使用終了信号に基づいて、換気扇31の作動を開始する(図9、ステップS121)。
【0068】
又、コントローラ4は、検出装置から使用終了検出信号を受信した後、設定時間の経過前に、再度、トイレ室への入室があったか否か、即ち、設定時間の経過前に、検出装置から使用開始検出信号を受信したか否かを判定する(図10、ステップS105)。
【0069】
そして、再度の入室があったと判定した場合、コントローラ4は、換気扇作動停止信号を、直ちに換気装置3に送信する(図10、ステップS106)。
【0070】
一方、再度の入室がなかったと判定した場合、コントローラ4は、換気扇作動停止信号を、検出装置から使用終了検出信号を受信してから設定時間の経過後に換気装置3に送信する(図10、ステップS107)。
【0071】
換気扇作動停止信号を受信した換気装置3は、換気扇31の作動を停止する(図10、ステップS122)。以上が、上記第2実施形態の説明であり、エアコン2と換気装置3との運転状況を、時間軸に沿って表すと図11に示すものとなる。尚、この図11においても、設定時間の経過前に再度の入室がない場合を例示している。
【0072】
尚、上記実施形態では、コントローラ4は、使用者の入退室を検出する検出センサによる検出に基づいて、トイレ室の使用の開始及び終了を判定しているが、この形態のものに限らず、適宜変更し得る。
【0073】
例えば便器5に設けられた便座又は便器近傍の床面に圧力センサを設けておき、使用者が着座した場合に圧力センサにかかる圧力の変化によって、あるいは、便器の下部に距離センサを設けておき、使用者が着座した場合に使用者の足が距離センサを遮ることによる距離の変化によって、使用者が便座への着座を検出した場合の信号に基づいてトイレ室の使用の開始を判定するとともに、使用者が着座した便座から離れたことを検出した場合の信号に基づいてトイレ室の使用の終了を判定するようにしても良い。
【0074】
更には、トイレ室のドアの開閉を検出する検出センサを設置してその開閉検出センサによるドアの開閉の検出に基づいてトイレ室の使用の開始及び終了を判定しても良い。
【0075】
又、上記実施形態では、室温調整装置2として暖房手段及び冷房手段を有するとともに、送風ファンを有するエアコンから構成しているが、この形態のものに限らず、適宜変更でき、例えば室温調整装置2を、冷房手段を有さない送風ファンを有する暖房装置から構成し、あるいは、暖房手段を有さない送風ファンを有する冷房装置から構成しても良い。又、室温調整装置2を、例えばヒーターパネル等の輻射手段と送風ファンとを備えたもの、あるいは、送風ファンを有するガス又は電気式のストーブ等であっても良い。
【0076】
また、上記実施形態では、高出力運転として、送風ファンを追加的に作動するようにしているが、この形態のものに限らず、例えば室温調整装置2としてヒーターパネルを採用し、高出力運転時の発熱量を、低出力運転時の発熱量よりも高くし、又は、低出力運転時の発熱量よりも高くするとともに、ヒーターパネルに設けた送風ファンを作動させる等、適宜変更できる。
【0077】
又、上記実施形態では、換気扇を、コントローラ4から受信した換気扇停止信号に基づいて停止させているが、例えば換気装置がコントローラ4から換気扇停止信号を受信することなくトイレ室使用開始信号又は前記トイレ室使用終了信号の受信時から予め定めた一定時間経過後に換気扇の作動を停止するようにしても良い。コントローラ4が換気扇停止信号を換気装置に送信する場合において、その送信する時期は、特に限定されず、適宜変更できる。
【0078】
また、上記実施形態では、コントローラ4を、室温調整装置及び換気装置と別体のものから構成しているが、この形態のものに限らず、室温調整装置と換気装置との一方または両方に組み込むようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1実施形態のトイレ室の空気制御システムの概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態のトイレ室の空気制御システムに用いられるコントローラを説明するためのブロック図である。
【図3】同システムに用いられるエアコンを説明するためのブロック図である。
【図4】同システムに用いられる換気装置のブロック図である。
【図5】第1実施形態のコントローラとエアコンとの相互の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】第1実施形態のコントローラと換気装置との相互の動作を説明するためのフローチャートの一部である。
【図7】第1実施形態のコントローラと換気装置との相互の動作を説明するためのフローチャートの他の一部である。
【図8】第1実施形態のエアコンと換気装置との運転状況の説明図である。
【図9】第2実施形態のコントローラと換気装置との相互の動作を説明するためのフローチャートの一部である。
【図10】第2実施形態のコントローラと換気装置との相互の動作を説明するためのフローチャートの他の一部である。
【図11】第2実施形態のエアコンと換気装置との運転状況の説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1 トイレ室
2 エアコン(室温調整装置)
3 換気装置
4 コントローラ(管理装置)
31 換気扇

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に設けられ冷房手段と暖房手段との少なくとも一方の手段を有する室温調整装置と、トイレ室の空気を換気する換気扇を有する換気装置と、これらの室温調整装置及び換気装置に制御信号を送信可能な管理装置とを備えたトイレ室の空気制御システムであって、
前記管理装置は、トイレ室の使用開始および使用終了を判定するトイレ室使用開始終了判定手段を備え、このトイレ室使用開始終了判定手段によって、トイレ室の使用が開始されたと判定した場合に、トイレ室使用開始信号を少なくとも室温調整装置に送信するとともに、トイレ室の使用が終了したと判定した場合に、トイレ室使用終了信号を少なくとも室温調整装置に送信し、
前記室温調整装置は、常時は低出力運転を行い、前記トイレ室使用開始信号を受信した場合にそのトイレ室使用開始信号に基づいて、前記低出力運転から、その低出力運転よりも高出力で運転する高出力運転に切り替えて運転し、前記トイレ室使用終了信号を受信した場合にそのトイレ室使用終了信号に基づいて、前記高出力運転から前記低出力運転に戻して運転し、
前記換気装置は、前記トイレ室使用開始信号又は前記トイレ室使用終了信号を受信した場合にそれらの信号に基づいて、それらの信号の受信時から換気扇の作動を開始し、それらの受信時から一定時間経過した後に換気扇の作動を停止することを特徴とするトイレ室の空気制御システム。
【請求項2】
前記管理装置は、トイレ室に設けられた検出装置から使用開始検出信号及び使用終了検出信号を受信し、その受信した信号に基づいてトイレ室の使用開始および使用終了を判定し、
前記使用開始検出信号は、検出装置に設けられた検出センサによって、使用者がトイレ室に入室したことを検出された場合、又は、トイレ室に設けられた便座に使用者が着座したことを検出された場合に、前記検出装置から前記管理装置に送信され、
前記使用終了検出信号は、前記検出センサによって、使用者がトイレ室から退室したことを検出された場合、又は、使用者が着座した便座から離れたことを検出された場合に、前記検出装置から前記管理装置に送信されることを特徴とする請求項1記載のトイレ室の空気制御システム。
【請求項3】
前記室温調整装置は、前記冷房手段により生成された冷気を冷風にして、又は、前記暖房手段により生成された暖気を温風にして、前記トイレ室内に送る送風ファンを備え、
前記低出力運転は、前記冷房手段又は暖房手段を作動させ、
前記高出力運転は、前記冷房手段又は暖房手段の作動に加えて、少なくとも送風ファンを作動させることを特徴とする請求項1又は2記載のトイレ室の空気制御システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記使用終了検出信号を受信した後、設定時間の経過前に、前記使用開始検出信号を受信したか否かを判定する設定時間経過判定手段を備え、この設定時間経過判定手段によって、前記設定時間の経過前に受信したと判定した場合に、換気扇作動停止信号を、直ちに換気装置に送信し、前記設定時間の経過前に受信していないと判定した場合に、前記換気扇作動停止信号を、前記使用終了検出信号を受信してから前記設定時間の経過後に換気装置に送信し、
前記換気装置は、前記トイレ室使用終了信号を受信しその受信した信号に基づいて、そのトイレ室使用終了信号の受信時から換気扇の作動を開始し、前記換気扇作動停止信号を受信した場合にその信号に基づいて、換気扇の作動を停止することを特徴とする請求項2又は3に記載のトイレ室の空気制御システム。
【請求項5】
前記換気装置は、前記トイレ室の上方側に配置され、
前記室温調整装置は、トイレ室内に冷気又は暖気を放出するための開口部を備え、
前記開口部は、前記トイレ室内に設けられた便器を挟んで前記換気装置の斜め下方に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のトイレ室の空気制御システム。
【請求項6】
トイレ室に設けられ冷房手段と暖房手段との少なくとも一方の手段を有し常時は低出力運転を行う室温調整装置とトイレ室の空気を換気する換気扇を有する換気装置とこれらの室温調整装置及び換気装置に制御信号を送信可能な管理装置とを用いてトイレ室の空気を制御する空気制御方法であって、
前記管理装置に、トイレ室の使用開始及び終了を判定させ、トイレ室の使用が開始されたと判定した場合に、トイレ室使用開始信号を少なくとも室温調整装置に送信させ、トイレ室の使用が終了したと判定した場合に、トイレ室使用終了信号を少なくとも室温調整装置に送信させることによって、前記室温調整装置に、前記トイレ室使用開始信号を受信した場合にその信号に基づいて、前記低出力運転から、その低出力運転よりも高出力で運転する高出力運転に切り替えて運転させるとともに、前記トイレ室使用終了信号を受信した場合にその信号に基づいて、高出力運転から低出力運転に戻して運転させ、前記換気装置に、前記トイレ室使用開始信号又は前記トイレ室使用終了信号を受信した場合にその信号に基づいて、その信号の受信時から換気扇の作動を開始させ、その信号の受信時から一定時間経過した後に換気扇の作動を停止させるようにしたことを特徴とするトイレ室の空気制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−79798(P2009−79798A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247661(P2007−247661)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】