説明

トイレ装置

【課題】本体内のスペースをできるだけ狭めないように、便座および便蓋を本体に回動自在に取付けるようにしたトイレ装置を提供する。
【解決手段】便器2上に設けて使用し、トイレ機能部を内装した本体1と、本体に回転軸11、12で支持し、上下方向へ回動自在に設けた便座7および便蓋8とを備え、便座および便蓋の回転軸は異なる位置である本体1の左右の後外側面9と、前外側面10とにそれぞれ設けたトイレ装置で、本体1の左右の両端部に挟まれた間のスペースを確保して本体内のスペースを効率良く大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用便後の人体局部を洗浄する人体局部洗浄装置、その他等を内装した本体を便器上に設けて使用し、かつ前記本体に便座および便蓋を回動自在に軸支したトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種従来のトイレ装置は、図4〜図7に示すような構成を採用している。すなわち、41は用便後の人体の局部に温水を噴射して洗浄する人体局部洗浄装置、洗浄後の人体局部に温風を当て乾燥させる乾燥装置、便器42内の臭いを吸着する脱臭装置等(いずれも図示せず)のトイレ機能部を内装した本体で、便器42の後端部上に横長に設けている。43は便器42上に載せた便座で、44は前記便座43と便器42を開閉する便蓋で、前記便蓋44と便座43は本体41の手前において、本体41と同一面上で並設して前記本体41に上下方向へ回動自在に設けている。
【0003】
本体41は、便座43および便蓋44の左右の後端部を軸支するため、図7に示すように両端の突出端部45を残して間を後方へ下げた凹形部45aにして全体として略凹状に形成している。そして、突出端部45は内側面に階段部46を設けて上に便蓋44の回転軸47を、下に便座43の回転軸48をそれぞれ設けて便座43と便蓋44との後端部を凹形部45aに位置させて回動自在に設けている。49はトイレ機能部を動作させる操作釦を設けた操作部である。
【0004】
このような構成のトイレ装置において、本体41は便座43と便蓋44の後端部を配置して便座43と便蓋44を回動自在に取付けるため、両端の突出端部45を残して間を後方へ下げた凹形部45aを形成しているので、後方へ下がった分だけ本体41内のスペースが狭くなり、トイレ機能部等の内装の設計上で気配りをしなければならない。もちろん、前記問題は本体41内のスペースを充分に確保すれば解決するが、反対に両端の突出端部45が前へ大きく突き出ることになり、便器42の後端部上に横に本体41を配置した時に、用便のため便座43に跨る用便者が突出端部45に当らないように配慮しなければならない問題が生じる。
【0005】
また、便座43と便蓋44の後端部は、本体41の凹形部45a内に嵌めるために他よりも後端部の幅を狭くしなければならなく、設備も含め加工上において複雑になり面倒である。更に、同じ位置で回転軸47、48は便蓋44の回転軸47が上に位置しているため、便座43と略同じ大きさの便蓋44ではあるが、図4に示すように開成した直立時に、それだけ先端部が高くなる。従って、本体41の後側に手洗い機能付ロータンク(図示せず)を設けて用便後の手洗いを行なう形態のトイレ装置では、直立した便蓋44の先端部が邪魔にならないように手洗い機能付ロータンク側で設置する際に高さに配慮しなければならなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、本体内のスペースをできるだけ狭めないように、便座および便蓋を本体に回動自在に取付けるようにしたトイレ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明は、便座および便蓋の軸支部を本体の左右の外側面で
、かつ異なる位置にそれぞれ設けたトイレ装置で、前記便蓋の軸支部は前記本体の後側の左右の外側面で、前記便座の軸支部は前記本体の前側を内方へ入り込ませて設けた前外側面に設けたことを特徴とし、本体の左右の両端部に挟まれた間のスペースを確保して本体内のスペースを効率良く大きくできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、トイレ機能部を内装した本体におけるスペースを確保して本体内のスペースを効率良く大きくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
前記した本発明の目的は、各請求項に記載した構成を実施の形態とすることにより達成できるので、以下には各請求項の構成にその構成による作用を併記し併せて請求項記載の構成のうち説明を必要とする特定用語については詳細な説明を加えて、本発明の実施の形態の説明とする。
【0010】
本発明の請求項1記載に係る発明は、便器上に設けて使用し、トイレ機能部を内装した本体と、本体に軸支部で支持し、上下方向へ回動自在に設けた便座および便蓋とを備え、便座および便蓋の軸支部は本体の左右の外側面で、かつ異なる位置にそれぞれ設けたトイレ装置で、便座および便蓋の軸支部が同じ位置になく、かつ本体の左右の外側面に位置するから、本体の左右における両端部の間に位置する部分を凹状に窪ませる必要がなくなり、そして軸支部が重ならないから必要以上に本体の左右の外側面の内側への入り込みがなくなり、本体内のスペースを効率良く確保することが可能になる。
【0011】
請求項2記載に係る発明は、請求項1記載の便座の前記便蓋は閉成時に前記便座の軸支部を覆うように構成したことを特徴とするトイレ装置で、便座の軸支部と便蓋の軸支部が重ならないので、必要以上に本体の左右における外側面の内側への入り込みを少なくできることはもちろん、便座の軸支部が便蓋にカバーされ、不使用時における便座の軸支部分に埃が溜まるのを少なくできる。
【0012】
請求項3記載に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の便蓋の軸支部は、便座の軸支部と上下方向で異なる位置に設けたたトイレ装置で、便蓋は開成した直立時において、軸支部が下方に下がった分だけ先端部の高さが低くなり、本体の後側に手洗い機能付ロータンクを設けて用便後の手洗いを行なう形態のトイレ装置では、開成した便蓋の先端部が少しでも手洗い時の邪魔にならないようにできる。
【0013】
請求項4記載に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の便座および便蓋、または便蓋に自動開閉手段を設けたトイレ装置で、自動開閉手段による便座および便蓋、または便蓋の自動開閉でトイレ装置の使い勝手が良くなる。
【0014】
請求項5記載に係る発明は、請求項1〜請求項4のいずれかの記載において、便蓋は外側面を有し、その軸支部を中心に前記軸支部の軸支外側面を他の外側面より大きく形成したトイレ装置で、便蓋の軸支部の軸支外側面を他の外側面より大きくすることで補強され、開閉時の回転トルクに対する強度が増して変形を防止できる。
【0015】
請求項6記載に係る発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のトイレ装置で、便座の軸支部は前記本体の前側の左右両端部間に凸形状部を設けたことを特徴とするものである。これにより本体の左右の外側面である前外側面が必要以上の内側への入り込みがなくなり、本体内のスペースを効率良く確保することができる。従って、トイレ機能部等の本体内への内装設計も容易にできるとともに、本体の全体の小型化にも利用できるものである。
【0016】
以下本発明のトイレ装置の一実施例につき、図面に従い説明する。
【0017】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1におけるトイレ装置の便蓋を開いた状態を示す斜視図で、図2はトイレ装置における便蓋を閉じた後部分を切り欠いて便座と便蓋の軸支部分を示す側面図で、図3はトイレ装置における便蓋の閉じた後部分と本体の一部を切り欠き、かつ一部を透視で示した上面図である。
【0018】
1は便器2の後端部上に横長に配置して設けた本体で、外郭を構成する底板1aと上から被せたケース1bとの内部に、トイレ機能部である用便後の人体局部に温水を噴射して洗う人体局部洗浄装置3、温水を沸かす温水加熱装置4、洗浄後の人体局部に温風を当て乾燥させる乾燥装置5、便器2内からの臭いを空気とともに吸引して吸着し、清浄化した空気のみをトイレ室へ排気する脱臭装置6を内装している。
【0019】
7は本体1の手前において便器2上に載せた便座で、8は同じく便蓋で、これら便座7と便蓋8は本体1に上下方向へ回動自在に取付けている。本体1は、本体1内にトイレ機能部等を充分に内装するスペースを確保して、かつ便座7および便蓋8の左右の後端部を回動自在に軸支するため、図3に示すように左右の両端部における外側面の後側をそのまま残して後外側面9と、その前側を内方へやや入り込ませて前外側面10とを形成し、左右の両端部間に幅広い凸形部1cを残して全体として凸形状に構成している。
【0020】
そして、本体1の後外側面9に便蓋8の軸支部である回転軸11を、前外側面10に便座7の軸支部である回転軸12をそれぞれ設けて便座7と便蓋8との左右の後端部を凸形部1cの両側に回動自在に設けている。便座7は後面端部を、本体1の凸形部1cを抱き込むように凹状部に形成して軸支腕13を形成している。
【0021】
便蓋8は本体1の上面および便座7の全体を覆うとともに、後面を除いた外周に外側面14を設けて内側に位置する便座7の回転軸12の部分を覆い、更に軸支部である回転軸11を設けた軸支外側面15を補強するため回転軸11を中心にして他の外側面14より大きく、かつ厚く形成している。また、便蓋8の軸支部である回転軸11は、便蓋8を開成して直立させた時に便蓋8の高さ方向における先端部をできるだけ低くなるようにするため、図2に示すように便座7の軸支部である回転軸12より下方に位置させて後外側面9に設けている。
【0022】
便蓋8の回転軸11と便座7の回転軸12は、本体1の左右の前外側面10が必要以上に内側へ入り込まないようにするため、それぞれが重ならないように後外側面9と前外側面10とに互いに位置を異ならせて配置している。便座7および便蓋8は、電動モータおよびギア等で構成した自動開閉手段16を備えている。自動開閉手段16は本体1に内装し、用便者等の操作により作動し、回転軸11を介して便蓋8、そして回転軸12を介して便座7をそれぞれ開閉する。
【0023】
17は本体1の中央部に設け、トイレ機能部等の通電を主たる表示とする表示部で、18は本体1の左外側部に設け、トイレ機能部等の動作および停止、温度設定等を主として行なうスイッチ釦を有する操作部である。
【0024】
上記実施例において、トイレ装置は不使用時にあっては便蓋8が閉じている。この便蓋8は、用便者のスイッチ操作により自動開閉手段16が作動し、図1のように開成される。そして、トイレ機能部の使用は次のようにして行なわれる。便座7に用便者が着座した信号を取り込んで脱臭装置6は作動し、便器2内の臭いを吸引する。用便後は、温水加熱
装置4、人体局部洗浄装置3、乾燥装置5を動作させ、人体局部を洗浄するとともに、濡れた人体局部が温風で乾燥される。その後は、再び温水加熱装置4、人体局部洗浄装置3、乾燥装置5の動作を停止させるとともに、着座信号がなくなれば脱臭装置6も停止する。そして、自動開閉手段16を作動させ、便蓋8を閉じるものである。
【0025】
このように本実施例では、便座7の軸支部である回転軸12を本体1の左右の前外側面10に、便蓋8の軸支部である回転軸11を本体1の左右の後外側面9にそれぞれ設けて便座7および便蓋8の軸支部が同じ位置になく、かつ本体1の左右の外側面に位置するから、本体1は従来技術のように本体の左右における両端部の間に位置する部分を凹状に窪ませるのではなく、そのまま残した凸形部1cに形成し、しかも回転軸11、12が前後にずれて重ならないため本体1の左右の外側面である前外側面10が必要以上の内側への入り込みがなくなり、本体内のスペースを効率良く確保することができる。従って、トイレ機能部等の本体1内への内装設計も容易にできるとともに、本体1の全体の小型化にも利用できるものである。
【0026】
また本実施例では、便座7の軸支部である回転軸12を、便蓋8の軸支部である回転軸11よりも内側に配置し、かつ便蓋8の閉じている時の外側面14により便座7の回転軸12をカバーしているので、便座7の軸支部と便蓋8の軸支部が重ならず、本体1の左右における前外側面10の必要以上の内側への入り込みを少なくできるとともに、便座7の回転軸12部分が外から見えなくなり、不使用時における便座7の軸支部分に埃が溜まるのを防止できる。従って、便座7は長期に亘り回動を円滑に維持できる。
【0027】
更に本実施例では、便蓋8の軸支部である回転軸11を、便座7の軸支部である回転軸12より上下方向において下方に設けているので、便蓋8が本体1の上面も覆っているため少し便座7のより長いけれども、便蓋8は開成した直立時において、回転軸11が下方に下がった分だけ先端部の高さを低くできる。従って、本体1の後側に手洗い機能付ロータンク(図示せず)を設けて用便後の手洗いを行なう形態のトイレ装置では、開成した便蓋8の先端部が少しでも手洗い時の邪魔にならないようにでき、大変使い勝手を良くできる。
【0028】
更に本実施例では、自動開閉手段16により便座7および便蓋8の自動開閉ができるから、トイレ装置の使い勝手を良くできる。
【0029】
更に本実施例では、便蓋8は軸支部である回転軸11の軸支外側面15を他の外側面14より、回転軸11を中心にして大きくして補強しているので、便蓋8の開閉時の回転トルクに対する強度が増して変形を防止できるとともに、長期に亘り回動を円滑に維持できる。
【0030】
なお、上記実施例では自動開閉手段16を、便座7および便蓋8にそれぞれ設けたが、便蓋8のみに設けても良い。また、自動開閉手段16は、用便者のトイレ室への入室および退室を検知する人体検知手段の信号に基き、自動開閉の作動をするようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1におけるトイレ装置の便蓋を開いた状態を示す斜視図
【図2】同トイレ装置における便蓋の閉じた後部分を切り欠いて便座と便蓋の軸支部分を示す側面図
【図3】同トイレ装置における便蓋の閉じた後部分と本体の一部を切り欠き、かつ一部を透視で示した上面図
【図4】従来の技術におけるトイレ装置の便蓋を開いた状態を示す斜視図
【図5】同トイレ装置の便蓋と便座の軸支部分を示す拡大斜視図
【図6】同トイレ装置の上面図
【図7】同トイレ装置の便座と便蓋を外した本体部分を示す上面図
【符号の説明】
【0032】
1 本体
1c 凸形部
2 便器
7 便座
8 便蓋
9 後外側面
10 前外側面
11、12 回転軸
14 外側面
15 軸支外側面
16 自動開閉手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器上に設けて使用し、トイレ機能部を内装した本体と、前記本体に軸支部で支持し、上下方向へ回動自在に設けた便座の全体と前記本体のすくなくとも上面の一部を覆う便蓋とを備え、前記便座と便蓋の軸支部はそれぞれ異なる位置に設け、前記便蓋の軸支部は前記本体の後側の左右の外側面で、前記便座の軸支部は前記本体の前側を内方へ入り込ませて設けた前外側面に設けたことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記便蓋は閉成時に前記便座の軸支部を覆うように構成したことを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
便蓋の軸支部は、便座の軸支部と上下方向で異なる位置に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
便座および便蓋、または便蓋は自動開閉手段を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のトイレ装置。
【請求項5】
便蓋は外側面を有し、前記外側面における軸支部の軸支外側面を他の外側面より大きく形成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のトイレ装置。
【請求項6】
便座の軸支部は前記本体の前側の左右両端部間に凸形状部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−200517(P2008−200517A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99059(P2008−99059)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【分割の表示】特願2002−69706(P2002−69706)の分割
【原出願日】平成14年3月14日(2002.3.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】