説明

トグルスイッチ

【課題】操作性を損なうことなく、構造を簡単な誤動作防止機能を備えたトグルスイッチを提供することを目的とする。
【解決手段】レバー5と、接触機構が内設されたケース1と、レバー5を傾動自在に支持するブッシング7が設けられたケースカバー6からなり、レバー5を傾動操作することで接触機構の開閉を行うトグルスイッチにおいて、レバー5に段部5dが形成されるとともにブッシング7に凸部7aが形成され、レバー5が直立している時には、段部5dがブッシング7の凸部7aと係合することでレバー5がロックされて傾動操作ができず、レバー5を下方に押し下げることで段部5dと凸部7aの係合がによるロックが解除されてレバー5の傾動操作が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トグルスイッチに係り、誤動作防止機能を備えたトグルスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の誤動作防止機能を備えたトグルスイッチは、スリーブの上端に設けた切欠に、レバーに被せたキャップの係合突起を係合させてロック状態に保持するもの(下記特許文献1参照)や、スイッチレバーを2つの第1レバーと第2レバーに分け、スイッチ本体から分離した第2レバーを第1レバーに可倒自在または着脱自在に連結してなるもの(下記特許文献2参照)があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−089643号
【特許文献2】特開昭61−243625号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の誤動作防止機能では、ロック機構を構成する部品が増加するためコストや組立て工数が増加し、ロックを解除するにはキャップを引き上げる動作が必要となるため操作が煩わしかった。また、複雑なロック機構を設けずにレバーを着脱自在にした場合は、構造は簡単であるがレバーを紛失し、操作ができなくなるといった問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記状況に鑑みて、操作性を損なうことなく、構造が簡単な誤動作防止機能を備えたトグルスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕レバーと、接触機構が内設されたケースと、前記レバーを傾動自在に支持するブッシングが設けられたケースカバーからなり、前記レバーを傾動操作することで前記接触機構の開閉を行うトグルスイッチにおいて、前記レバーに段部が形成されるとともに前記ブッシングに凸部が形成され、前記レバーが直立している時には、前記段部と前記凸部が係合することで前記レバーがロックされて傾動操作不能となり、前記レバーを下方に押し下げることで前記段部と前記凸部の係合によるロックが解除されて前記レバーの傾動操作が可能となることを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載のトグルスイッチにおいて、前記接触機構は前記ケースの内側底面に埋設された固定接点と該固定接点間を傾動する可動接片からなり、前記レバーが棒状体であって、略中央部に形成された胴部に前記段部が形成され、前記胴部を挟んで一方に操作部が形成されるとともに他方に収納孔が形成され、該収納孔に弾性部材を介して滑動棒が配設され、該滑動棒の前記可動接片に当接する方向への付勢と、前記段部と前記凸部が係合する方向への付勢を前記弾性部材で共用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)レバーを押し下げないと傾動できないため、不用意に触れてもレバーが傾動せず、誤動作が防止できる。
(2)レバー押し下げてから傾動するといったスムーズな操作でロックが解除できるので、操作に煩わしさがなく、操作性を損なうことなく誤動作防止機能を備えることができる。
(3)レバーに段部を設けるだけで誤動作防止機能を実現したため部品点数が増加せず、構造が簡単である。
(4)誤動作防止機能をスイッチ本体内部に設けたので、外観がシンプルで美観が損なわれない。
(5)ロック機構を実現する特別な形状の操作部にする必要がなく、誤動作防止機能が備えられていないトグルスイッチの操作部と同形状で誤動作防止機能が実現できる。
(6)誤動作防止機能が備えられていないトグルスイッチの操作部と同形状なので、一見しただけでは誤動作防止機能が備えられていることが認識できないため、特定の操作者のみが操作可能。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例を表すトグルスイッチの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例を表すトグルスイッチのロック時の断面図である。
【図3】本発明の実施例を表すトグルスイッチのロック解除時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、レバーを押し下げることでロックを解除して、スイッチを操作することができる構成とする。よって、操作性を損なうことなく、簡単な構造で誤動作を防止することができる。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施例を表すトグルスイッチの分解斜視図、図2は本発明の実施例を表すトグルスイッチのロック時の断面図であり、図2(a)はレバー直立時を、図2(b)はロック状態を示している。図3は本発明の実施例を表すトグルスイッチのロック解除時の断面図であり、図3(a)はレバーの押し下げ時を、図3(b)はレバーの傾動時を示している。
【0012】
これらの図において、1はケース、2は可動接片、3は可動接片2上を摺動する滑動棒、4はコイルバネ、5はレバー、6はケースカバー、7はレバー5を傾動自在に支持するブッシング、8は端子、9はケース1に埋設され端子8を固定する固定接点、10は可動接片2を傾動自在に支持する受部材、11は受部材10および端子8をケース1に固定する鋲、12はケースカバー6をケース1に固定するネジ、13は六角ナット、14は座金、15は丸ナットである。レバー5は棒状体であって、略中央部の胴部5a、端部の一方に操作部5b、他方にコイルバネ4および滑動棒3を収納する収納孔5cが形成され、胴部5aに段部5dが形成されている。ケースカバー6は略板状であって、略中央部にブッシング7が結合される結合孔6aが形成され、四隅のうち2箇所にネジ12が螺合される固定孔6bが形成されている。ブッシング7は略筒状であって、開口部の一方に内側に向かって凸部7aが開口部を一周するように形成されている。
【0013】
ケース1の内側底面に固定接点9が埋設されるとともに、ケース1の裏面に配設された端子8が固定接点9で固定される。受部材10の底面に鋲11が固定され、鋲11がケース1に埋設されてケース1の内側底面の略中央部に受部材10が鋲11で固定されるとともに、ケース1の裏面に配設された端子8が鋲11で固定される。可動接片2が受部材10上に配設され、収納孔5cにコイルバネ4を介して滑動棒3が配設されたレバー5が可動接片2上に滑動棒3が当接するように配設される。そして、ケースカバー6の結合孔6aに結合されたブッシング7の開口部からレバー5の操作部5bが突出するようにケースカバー6がケース1に被され、ケース1に形成された貫通孔1aの下方からネジ12を挿入してケースカバー6の固定孔6bと螺合され、六角ナット13、座金14および丸ナット15をブッシング7の外周に配設することにより、トグルスイッチが完成される。
【0014】
以上のように構成された本発明のトグルスイッチは、六角ナット13の締め付けにより座金14と丸ナット15で操作パネル(図示せず)を挟持することで操作パネルに固定され、レバー5が直立している時は、コイルバネ4により、滑動棒3が下方に付勢されるとともにレバー5が上方に付勢されて、レバー5の段部5dとブッシング7の凸部7aが係合しているため、レバー5がロックされて、傾動操作を行うことができない。レバー5を下方に押し下げると、段部5dと凸部7aの係合が外れるため、レバー5のロックが解除されて、傾動操作が可能となり、接点2aが固定接点9と接触して導通する。同様にして逆方向に傾動させることで電路を切換えることができる。
【0015】
このように、本実施例に示すトグルスイッチは、レバー5が直立している時はレバー5がロックされて傾動操作ができず、レバー5を下方に押し下げることでレバー5のロックが解除されて傾動操作が可能となる構造としたため、操作性を損なうことなく、誤動作が防止できるという特徴を有している。
【0016】
本実施例では、ブッシングとケースカバーを別部品として結合しているが、一体的に形成してもよく、ケースカバーをケースにネジで固定しているが、嵌合などとしてもよい。また、接触機構はレバーの傾動操作によって切換えが可能な他の構成としてもよい。操作パネルへの取付けもナットによる取付け以外の他の構成としてもよく、種々の方法が考えられる。
【0017】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明のトグルスイッチは、操作性を損なうことなく、構造が簡単な誤動作防止機能を備えたトグルスイッチとして利用可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 ケース
1a 貫通孔
2 可動接片
2a 接点
3 滑動棒
4 コイルバネ
5 レバー
5a 胴部
5b 操作部
5c 収納孔
5d 段部
6 ケースカバー
6a 結合孔
6b 固定孔
7 ブッシング
7a 凸部
8 端子
9 固定接点
10 鋲
11 受部材
12 ネジ
13 六角ナット
14 座金
15 丸ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバーと、接触機構が内設されたケースと、前記レバーを傾動自在に支持するブッシングが設けられたケースカバーからなり、前記レバーを傾動操作することで前記接触機構の開閉を行うトグルスイッチにおいて、前記レバーに段部が形成されるとともに前記ブッシングに凸部が形成され、前記レバーが直立している時には、前記段部と前記凸部が係合することで前記レバーがロックされて傾動操作不能となり、前記レバーを下方に押し下げることで前記段部と前記凸部の係合によるロックが解除されて前記レバーの傾動操作が可能となることを特徴とするトグルスイッチ。
【請求項2】
請求項1記載のトグルスイッチにおいて、前記接触機構は前記ケースの内側底面に埋設された固定接点と該固定接点間を傾動する可動接片からなり、前記レバーが棒状体であって、略中央部に形成された胴部に前記段部が形成され、前記胴部を挟んで一方に操作部が形成されるとともに他方に収納孔が形成され、該収納孔に弾性部材を介して滑動棒が配設され、該滑動棒の前記可動接片に当接する方向への付勢と、前記段部と前記凸部が係合する方向への付勢を前記弾性部材で共用することを特徴とするトグルスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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