説明

トナーシール材

【課題】良好なトナーシール性能を有するとともに、ポリウレタンフォーム配合中のシリコーン系整泡剤やアミン触媒の付着、移行等による不良や不具合の発生のないトナーシール材を提供する。
【解決手段】ポリオール、イソシアネート、触媒および整泡剤を含むポリウレタンフォーム原料を発泡させてなるトナーシール材である。ポリオールがダイマー酸ポリオールであり、イソシアネート中のジフェニルメタンジイソシアネートの比率が55〜75質量%であり、触媒が反応性アミンを含み、かつ、ポリウレタンフォーム原料が、ポリオール100質量部に対し、反応性アミンを0.2〜0.5質量部にて、整泡剤を3〜5質量部にて、それぞれ含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトナーシール材に関し、詳しくは、複写機やプリンタ等の画像形成装置内で、トナーの漏出を防止するために用いられるトナーシール材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子写真技術の進歩に伴って、乾式電子写真装置等の画像形成装置においては、帯電や現像、転写、トナー供給、クリーニングなど各種用途に供される部材として、ポリウレタンフォームを用いた部材が注目されている。このようなポリウレタンフォームを用いた部材は、例えば、帯電ローラや現像ローラ、転写ローラ、トナー供給ローラ、クリーニングローラなどの弾性を有する画像形成装置用部材の形態で用いられている。
【0003】
また、上記ローラ部材の他にも、シーリング性に優れたポリウレタンフォームを用いた画像形成装置の内部部材として、トナー収容部や画像形成体等の周辺に貼り付けることで、部材の合わせ目等からのトナーの漏出や拡散を防止する機能を奏するトナーシール材がある。トナーシール材に用いられるポリウレタンフォームにおいては、通気性が低く、かつ、微細なセル構造を有していることが要求される。
【0004】
画像形成装置における現像部においては、一般に、静電潜像を保持する感光体等の画像形成体と、この画像形成体に当接して表面に担持したトナーを付着させることにより静電潜像を可視画像化する現像ローラと、この現像ローラにトナーを供給するトナー供給ローラとが設けられている。この現像部においては、トナーを、トナー収容部から、トナー供給ローラおよび現像ローラを介して画像形成体まで搬送する一連のプロセスにより、画像形成が行われる。
【0005】
一方、ポリウレタンフォームは、一般に、ポリオール、イソシアネートおよび触媒を含み、発泡に際し、発泡セルを整えるために整泡剤が用いられる。かかる整泡剤としては、ポリジメチルシロキサンとエチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合物からの水溶性ポリエーテルシロキサン、スルホン化リシノール酸のナトリウム塩やこれらとポリシロキサン・ポリオキシアルキレンコポリマーとの混合物などが挙げられる。
【0006】
また、触媒としては、有機金属触媒や第三級アミン触媒が、従来より一般的に用いられており、中でも、第三級アミン触媒が、ポリウレタン製造用の優れた触媒として知られている。この第三級アミン触媒の中でも、工業的に利用されているポリウレタン用の触媒としては、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。これらのうち、比較的低分子量で揮発性の高い触媒、例えば、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミンなどは、ポリウレタンの硬化速度やフォーム物性に大きな影響を及ぼす重要な作用をもつことが知られており、多用されている。
【0007】
ポリウレタンフォームを用いた画像形成装置用部材に係る技術としては、例えば、特許文献1に、アミン触媒やシリコーンの蒸散ないし移行を防止するための技術として、(A)ポリオールが質量平均分子量2000〜10000で、かつ、末端にエチレンオキシド5モル%以上を結合したポリエーテルポリオールの少なくとも一種を含み、(B)ポリイソシアネートがジフェニルメタンジイソシアネート又はその誘導体の少なくとも一種を含み、さらに、(C)触媒が、ポリイソシアネートと反応可能なOH基又はアミノ基を少なくとも1個以上を有する反応性アミン触媒の少なくとも1種を含むポリウレタンフォームからなる画像形成装置用部材が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、他部材の汚染が少なく劣化が生じにくい画像形成装置用高分子部材を得るための技術として、5質量%以上のエチレンオキシドを末端に有するポリエーテルポリオールを含有する、質量平均分子量2000以上10000以下のポリオール(A)と、ジフェニルメタンジイソシアネート又はその誘導体を一種類以上含有するポリイソシアネート(B)と、発泡剤と、130℃以下の沸点を有するアミン触媒(C)とを反応させてポリウレタンフォームを得るにあたり、ポリウレタンフォームを、アミン触媒(C)の沸点以上140℃以下で乾燥処理する製造方法が開示されている。さらに、特許文献3には、用途の異なるポリウレタンフォームに係る技術として、ダイマー酸ポリオールを主体とするポリオール、及び、ジフェニルメタンジイソシアネートを主体とするイソシアネートを含むポリウレタンフォーム原料を発泡させてなる止水性ポリウレタンフォームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−145594号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開2007−182497号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】特開2009−173806号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、画像形成装置用の部材にシリコーン整泡剤を含むポリウレタンフォームを用いた場合、低分子のシリコーンが気化して装置内部の接点等に付着し、導電性が低下して、ハードディスク等の読み書きエラーを引き起こすという問題があった。また、ポリウレタンフォームに含まれるシリコーン整泡剤が、装置内で接触するローラ等の他の部材に移行し、さらに画像にまで転移して、変色などの問題を生ずる場合もあった。これらの問題に対しては、反応基を有するシリコーン整泡剤を使用することが考えられるが、反応性シリコーンを使用すると、ポリウレタンフォーム原料の発泡が困難となるという難点があった。
【0011】
また、アミン触媒についても、残存するアミン触媒が部材のポリウレタンフォームから滲出して、接触する部材等を変色させたり劣化させたりする場合があり、さらに、揮発性のアミン触媒が部材から気化して、大気中の酸成分と塩を形成し、これが付着した部位で不具合を生じるなど、種々の問題を有していた。
【0012】
上記特許文献1,2に開示されているように、トナー供給ローラ等のローラ部材用のポリウレタンフォーム配合については、これまでに種々検討されてきている。しかし、トナーシール材に用いるポリウレタンフォーム配合については、これまで十分な検討がなされてきておらず、シール材としての要求性能を担保しつつ、配合成分に起因する問題の発生を抑制することのできるシール材用のポリウレタンフォーム配合の実現が望まれていた。
【0013】
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、良好なトナーシール性能を有するとともに、ポリウレタンフォーム配合中のシリコーン整泡剤やアミン触媒の付着、移行等による不良や不具合の発生のないトナーシール材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は鋭意検討した結果、ポリオールおよびイソシアネートとして所定のものを用いるとともに、触媒として、イソシアネート基と反応する官能基を有する反応性アミンを所定量にて用い、かつ、整泡剤の配合量を所定量に規定することで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、ポリオール、イソシアネート、触媒および整泡剤を含むポリウレタンフォーム原料を発泡させてなるトナーシール材であって、
前記ポリオールがダイマー酸ポリオールであり、前記イソシアネート中のジフェニルメタンジイソシアネートの比率が55〜75質量%であり、前記触媒が反応性アミンを含み、かつ、前記ポリウレタンフォーム原料が、前記ポリオール100質量部に対し、該反応性アミンを0.2〜0.5質量部にて、前記整泡剤を3〜5質量部にて、それぞれ含むことを特徴とするものである。
【0016】
本発明においては、前記ポリウレタンフォーム原料が、前記ポリオール100質量部に対し、架橋剤を1〜3質量部にて含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記構成としたことにより、良好なトナーシール性能を有するとともに、ポリウレタンフォーム配合中のシリコーン整泡剤やアミン触媒の付着、移行等による不良や不具合の発生のないトナーシール材を実現することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明のトナーシール材は、画像形成装置内において、トナーの漏出を防止するために用いられるものであって、ポリオール、イソシアネート、触媒および整泡剤を含むポリウレタンフォーム原料を発泡させて形成される。
【0019】
本発明のトナーシール材においては、上記ポリウレタンフォーム原料の構成成分のうち、ポリオールとしてダイマー酸ポリオール(ダイマー酸ポリエステルポリオール)を用いる。ダイマー酸とは、二塩基性酸であって、2つの一塩基性脂肪鎖(通常は、炭素数18)が、炭素−炭素の共有結合により、二分し結合して得られる分子量が2倍の二塩基性酸をいう。その代表的な化合物としては、リノール酸、オレイン酸を加熱することによって得られる、下記構造式で示されるものなどが挙げられる。

【0020】
ダイマー酸ポリオールは、上記ダイマー酸と短鎖のジオール、トリオールまたはポリオールとの反応生成物であり、ダイマー酸ポリエステル;ダイマー酸とポリアルキレングリコール、ポリアルキレントリオールまたは長鎖のポリオールとの反応生成物;ダイマー酸にその他のポリカルボン酸、例えば、アジピン酸を混合したものに、上記各種のジオール、トリオールまたはポリオールを反応させた反応生成物;ダイマー酸とアルキレンオキサイドとの反応生成物またはそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0021】
ダイマー酸ポリオールの数平均分子量は、好適には1000〜10000であり、また、その水酸基価は、好適には11.2〜180mg−KOH/gである。これらのダイマー酸ポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
本発明においては、ポリオールとして、上記ダイマー酸ポリオール以外のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリエーテルポリオール等のポリオールを併用してもよいが、この場合、ダイマー酸ポリオールを用いることによる本発明の効果を有効に得る上で、全ポリオール成分中のダイマー酸ポリオールの割合は80質量%以上、特には90質量%以上、さらには95質量%以上とすることが好ましく、最も好ましくはダイマー酸ポリオールのみを用いる。
【0023】
また、本発明においては、上記ポリウレタンフォーム原料の構成成分のうち、イソシアネートとしてジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることが必要である。イソシアネート中のMDIの比率は、55〜75質量%とすることが必要であり、好適には、65〜70質量%とする。このMDIの比率が少なすぎると、発泡セルの微細化が不十分となり、多すぎると、得られるポリウレタンフォームの伸びが不十分となるので、いずれにおいても、トナーシール材としての要求性能を満足できないものとなる。
【0024】
MDIとしては特に限定されるものではなく、分子量分布の広狭を問わずに用いることができ、例えば、純(ピュア)MDI(4,4’−MDI)、ポリメリックMDI、粗(クルード)MDIなどを好適に用いることができる。また、MDIと併用できるイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)等を挙げることができ、特に、MDIとTDIとを併用することが好ましい。
【0025】
本発明のトナーシール材においては、ポリオールとしてダイマー酸ポリオールを用いるとともに、イソシアネート中のMDIの比率を55〜75質量%とすることにより、得られるポリウレタンフォームのセル径を微細化することができるので、良好なシール性能が確保できる。
【0026】
さらに、本発明においては、上記ポリウレタンフォーム原料の構成成分のうち、触媒が反応性アミンを含み、かつ、反応性アミンの配合量を、ポリオール100質量部に対し0.2〜0.5質量部、好適には0.25〜0.40質量部とすることが必要である。反応性アミンはイソシアネートと反応するので、触媒として反応性アミンを用いることにより、湿熱条件下等であってもアミン触媒の気化やブリードアウト、飛散等が生じにくくなり、これにより触媒成分の付着による不具合の発生を防止できるので、印字性能を向上することが可能となる。一方で、反応性アミンを用いると、ポリウレタンの発泡が困難となり、得られるポリウレタンフォームの圧縮残留歪等の諸物性に影響を与えるので、配合量は上記範囲内とすることが必要となる。反応性アミンの配合量が少なすぎても多すぎても、ポリウレタンフォーム原料の発泡性が悪化し、実質的にポリウレタンフォームが得られないものとなる。
【0027】
反応性アミンとしては、イソシアネート基と反応する官能基を有するものであればよく、好適には、少なくとも一つの水酸基を有するアミン系化合物を用いる。このようなアミン系化合物としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール(花王(株)製,商品名:カオーライザーNo.23NP)、N,N−ジメチルアミノヘキサノール(花王(株)製,商品名:カオーライザーNo.25)、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール(DMAEE,花王(株)製,商品名:カオーライザーNo.26)、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール(DMEA)、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン(TMAEEA)、N―メチルーN’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン(MHEP)、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン(HEMO)等を挙げることができる。これらの反応性アミンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
なお、本発明においては、触媒として、上記反応性アミン以外のものを併用してもよい。併用できる触媒としては、例えば、スズ触媒等の有機金属触媒が挙げられ、その配合量は、ポリオール100質量部に対し、0.08〜0.12質量部とすることができる。
【0029】
さらにまた、本発明においては、上記ポリウレタンフォーム原料の構成成分のうち、整泡剤の配合量を、ポリオール100質量部に対し3〜5質量部、好適には3.5〜4.5質量部とすることが必要である。整泡剤の配合を上記範囲内とすることにより、従来のシリコーンの付着や移行等による不具合の発生を防止して印字性能を向上しつつ、ポリウレタンフォーム原料の発泡性を担保して、所望の連通セルを有する加工性の良好なポリウレタンフォームを得ることができる。整泡剤の配合量が少なすぎても多すぎても、ポリウレタンフォーム原料の発泡性が悪化し、実質的にポリウレタンフォームが得られないものとなる。かかる整泡剤としては、汎用のシリコーン整泡剤を用いることができ、特に制限されるものではない。特には、シロキサン含有量の低いシリコーン整泡剤が好適である。
【0030】
本発明に係るポリウレタンフォーム原料の構成成分としては、上記ポリオール、イソシアネート、触媒および整泡剤に加えて、架橋剤を、ポリオール100質量部に対し1〜3質量部にて含むことが好ましい。架橋剤を、上記配合量範囲にて配合することで、上記MDIの混合比率の適正化と併せて、得られるポリウレタンフォームの通気性をごく低い領域で適正に制御することができ、シール性をより向上することが可能となる。かかる架橋剤としては、ポリウレタンフォームの製造に使用される汎用のものを用いることができ、特に制限されない。
【0031】
本発明に係るポリウレタンフォーム原料には、さらに、通常、ポリウレタンフォームの製造に用いられる各種添加剤を配合することができる。具体的には例えば、発泡剤、顔料等の着色剤、炭酸カルシウム等の充填材、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンブラック等の導電性物質、抗菌剤などが挙げられる。このうち発泡剤としては、水、メチレンクロライド等の従来公知の一般的な発泡剤を用いることができるが、好ましくは水が用いられる。発泡剤、特に水の配合量は、ポリオール100質量部に対し、1.0〜5.0質量部とすることができる。
【0032】
本発明のトナーシール材は、上記ポリウレタンフォーム原料を用いて、常法に従い製造することができる。ポリウレタンフォーム原料の混合方法は、通常使用されるワンショット法またはプレポリマー法のいずれでもよい。また、発泡によるポリウレタンフォームの製造方法としては、スラブストック法、スプレー塗布やロールによる塗布などのキャスティング法、型内で成形するモールド法、細いノズルからキャストするディスペンサー法等を採用することができる。
【0033】
本発明のトナーシール材の通気性は、上記MDI比率および架橋剤配合量の調整により、5cc/cm/sec.以下、特には0.5〜1cc/cm/sec.程度とすることができる。また、本発明のトナーシール材は、上記MDI比率の調整によりセルを微細化することで、セル数が65個/inch以上、特には70〜80個/inch程度であるような微細なセル構造を有することが好ましい。このような低通気性かつ微細セル構造とすることにより、優れたトナーシール性能が得られるものとなる。
【0034】
さらに、本発明のトナーシール材の密度は、通常、28〜32kg/m程度とすることができる。さらにまた、本発明のトナーシール材の硬度(25%硬度)は、上記密度範囲において、100〜160N程度とすることができる。これらトナーシール材の密度および硬度は、JIS K 6400に準拠して評価することができる。本発明においては、ポリウレタンフォーム原料の構成成分の配合比率の調整により、上記諸物性を満足するトナーシール材が得られるものである。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
下記の表中に示すポリウレタンフォーム原料を、ワンショット法により混合、発泡させて、ポリウレタンフォームを得た。得られた各ポリウレタンフォームにつき、下記に従い評価を行った結果を、下記の表中に併せて示す。
【0036】
<通気性評価>
得られた各ポリウレタンフォームの通気性を、JIS L 1004のフラジール型により、フォーム厚さを10mmとして、測定した。通気性が、1cc/cm/sec.以下の場合を◎とし、1cc/cm/sec.を超える場合を×とした。
【0037】
<印字性能評価>
得られた各ポリウレタンフォームを用いて、20mm×200mm×10mm厚のトナーシール材を作製し、印字性能を評価した。印字性能は、印刷時での印字抜けがない場合を◎とし、ある場合を×とした。
【0038】
<フォーム発泡性評価>
得られた各ポリウレタンフォームにつき、発泡性を評価した。発泡性は、良好にフォームが形成され、健康泡がある場合を◎、良好にフォームは形成されているが健康泡がない場合を○、フォーム内にクラックがあるなどフォーム形成に不具合が生じた場合を△、フォームが形成されない場合を×とした。
【0039】
<フォーム伸び評価>
得られた各ポリウレタンフォームにつき、JIS K6400−5.3に準拠して、伸び率を評価した。伸び率が、80%以上である場合を◎、70%以上80%未満である場合を○、70%未満である場合を×とした。
【0040】
<セル数>
得られた各ポリウレタンフォームブロックの成長方向により水平裁断した試験片を、実体顕微鏡により観察して、長さ1inchの範囲にあるセル数を計測し、3点の測定値の平均値を求めた。フォーム外観性は、セル数が、65個/inch以上である場合を◎、60〜64個/inchである場合を○、59個/inch以下である場合を×とした。
【0041】
【表1】

*1)ダイマー酸ポリエステルポリオール,日立化成ポリマー(株)製,「TESLAC2458」(数平均分子量:2500,水酸基価:75mg−KOH/g)
*2)TDI,三井化学ポリウレタン(株)製,「コスモネートT80」
*3)MDI,住化バイエルウレタン(株)製,「44V20」(クルードMDI)
*4)反応性アミン,エアープロダクツジャパン(株)製,「DABCO NE300」
*5)シリコーン,モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製,「NIAX SILICONE L−5340」
*6)架橋剤,三井化学(株)製,「アクトコールT880」
【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
上記表中に示すように、ポリオールとしてダイマー酸ポリオールを用い、イソシアネート中のMDIを所定比率とし、かつ、触媒としての反応性アミンおよび整泡剤を所定量にて用いた各実施例においては、発泡不良等による不具合の発生なしで、良好なトナーシール性能が得られることが確かめられた。
【0046】
これに対し、比較例1では、イソシアネート中のMDIの比率が高すぎるためにフォームの伸びが不十分であり、比較例2では、イソシアネート中のMDIの比率が低すぎるためにセル数が少なくフォーム外観性が悪化した。また、比較例3,4では、反応性アミンの配合量が少なすぎるかまたは多すぎるために、発泡不良が生じてしまった。さらに、比較例5では、整泡剤の配合量が少なすぎるためにクラックが生じ、実質的にポリウレタンフォームが得られなかった。さらにまた、比較例6では、整泡剤の配合量が多すぎるために独立気泡構造となり、フォーム物性が不十分となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、イソシアネート、触媒および整泡剤を含むポリウレタンフォーム原料を発泡させてなるトナーシール材であって、
前記ポリオールがダイマー酸ポリオールであり、前記イソシアネート中のジフェニルメタンジイソシアネートの比率が55〜75質量%であり、前記触媒が反応性アミンを含み、かつ、前記ポリウレタンフォーム原料が、前記ポリオール100質量部に対し、該反応性アミンを0.2〜0.5質量部にて、前記整泡剤を3〜5質量部にて、それぞれ含むことを特徴とするトナーシール材。
【請求項2】
前記ポリウレタンフォーム原料が、前記ポリオール100質量部に対し、架橋剤を1〜3質量部にて含む請求項1記載のトナーシール材。

【公開番号】特開2013−29592(P2013−29592A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164355(P2011−164355)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】