説明

トナー回収装置

【課題】トナー回収装置において、トナーの回収効率の向上を図ると共にコストの増加を抑制可能とする。
【解決手段】均しローラ33及び現像ローラ34から剥離した残留トナーを所定の位置まで搬送する搬送装置を有するトナー回収ユニットを設け、この搬送装置として、液体トナーTを搬送するトナー搬送通路41と、このトナー搬送通路41内に搬送方向に沿って配設されて駆動回転可能に支持される回転軸42と、この回転軸42に設けられて回転に伴ってトナーを搬送すると共にトナーを攪拌する螺旋ブラシ(トナー搬送部材、トナー攪拌部材)43を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラや均しローラなどのトナー供給ローラから剥離されたトナーを搬送して回収するトナー回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性樹脂及び顔料等により構成されたトナーがキャリア内に分散された液体トナーを用いて感光体に形成された静電潜像に現像し、中間転写体に一次転写し、更に液体トナーを被印刷物の表面に転写し、転写された液体トナー中のトナーを被印刷物に定着させることにより印刷を行う電子写真印刷装置が提案されている。この電子写真印刷装置は、液体トナーにより感光体に形成された静電潜像に現像を行い、その現像されたトナー画像を中間転写体に一次転写し、更に現像されたトナー画像を転写するためのバイアス電圧が印可されたバックアップローラとのニップ部において、中間転写体上の液体トナーを被印刷物に転写して印刷を行うものである。
【0003】
この電子写真印刷装置にて、液体トナーは、貯留部からアニロックスローラにより均しローラを介して現像ローラに供給され、この現像ローラの周面から感光ドラムの静電潜像が形成された部分へ転写される。このとき、現像ローラの液体トナーは、感光ドラムの静電潜像が形成されていない部分へは転写されないことから、現像ローラは、その周面に液体トナーが残留する。この現像ローラの周面に残留した液体トナーは、ブレードにより掻き落とされ、搬送装置により貯留部に回収される。
【0004】
このようなトナーの回収装置としては、下記特許文献1、2に記載されたものがある。この特許文献1、2に記載されたトナー回収装置は、剥離された残留現像液をスプリングスクリューやスパイラル軸の回転により排出口まで搬送するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−134361号公報
【特許文献2】特開2008−111975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のトナー回収装置にあって、スプリングスクリューやスパイラル軸は、金属または樹脂などの硬質材料により形成されていることから、溝状の貯留部内で回転しても、内壁面に付着したトナーまで搬送することが難しく、トナー回収効率がよくない。また、トナーの回収効率を上げるためには、スプリングスクリューやスパイラル軸の最外周端と貯留部の内壁面との隙間を微小にしなければならず、高精度な構成部品が必要となり、製品コストが増加してしまう。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、トナーの回収効率の向上を図るトナー回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明のトナー回収装置は、トナー供給ローラから剥離した残留トナーを所定の位置まで搬送する搬送装置を有するトナー回収装置において、前記搬送装置は、トナーを搬送するトナー搬送通路と、該トナー搬送通路内に搬送方向に沿って配設されて駆動回転可能に支持される回転軸と、該回転軸に設けられて回転に伴ってトナーを搬送するトナー搬送部材と、前記回転軸に設けられて回転に伴ってトナーを攪拌するトナー攪拌部材と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、トナー搬送通路にトナー搬送部材とトナー攪拌部材を設けたことで、トナー搬送通路にある残留トナーを攪拌しながら搬送することができ、残留トナーを適正な状態で効率良く回収し、トナーの回収効率を向上することができる。
【0010】
本発明のトナー回収装置では、前記トナー攪拌部材は、ブラシであることを特徴としている。
【0011】
従って、トナー攪拌部材をブラシとすることで、トナー搬送通路にある残留トナーを適正に攪拌して適正な状態に戻すことができ、トナーの回収効率を向上することができる。
【0012】
本発明のトナー回収装置では、前記回転軸は、外周面に螺旋状をなしてブラシが固定され、該螺旋状のブラシが前記トナー搬送部材及び前記トナー攪拌部材として機能することを特徴としている。
【0013】
従って、トナー搬送部材及びトナー攪拌部材を螺旋状のブラシとして兼用することで、装置の簡素化を可能とすることができると共に、トナー搬送部材の高精度な加工を不要とし、製品コストの増加を抑制することができる。
【0014】
本発明のトナー回収装置では、前記トナー搬送通路は、底面及び該底面に連続して互いに対向する2つの側面により囲繞され、内部に前記螺旋状のブラシが配設されることを特徴としている。
【0015】
従って、螺旋状のブラシによりトナー搬送通路にあるトナーを適正に攪拌しながら搬送することができ、トナーの回収効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のトナー回収装置によれば、トナー搬送通路に、回転軸の回転に伴ってトナーを搬送するトナー搬送部材と、回転軸の回転に伴ってトナーを攪拌するトナー攪拌部材とを設けるので、残留トナーを適正な状態で効率良く回収し、トナーの回収効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施例に係るトナー回収装置が装着された印刷部を表す概略図である。
【図2】図2は、本実施例の現像ユニットを表す概略図である。
【図3】図3は、本実施例のトナー回収装置を表す正面図である。
【図4】図4は、本実施例のトナー回収装置を表す図3のIV−IV断面図である。
【図5】図5は、本実施例のトナー回収装置を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るトナー回収装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明の一実施例に係るトナー回収装置が装着された印刷部を表す概略図、図2は、本実施例の現像ユニットを表す概略図、図3は、本実施例のトナー回収装置を表す正面図、図4は、本実施例のトナー回収装置を表す図3のIV−IV断面図、図5は、本実施例のトナー回収装置を表す概略図である。
【0020】
本実施例の電子写真印刷装置は、液体現像電子写真方式の印刷機であって、給紙部と印刷部と排紙部とから構成されている。給紙部は、例えば、枚葉紙である印刷シートを1枚ずつ給紙トレイから印刷部へと供給することができる。印刷部は、供給された印刷シートの片方の面または両方の面に対して印刷を行うことができる。排紙部は、印刷部により片面または両面印刷された印刷シートを排紙トレイに排紙することができる。
【0021】
以下、本実施例の電子写真印刷装置について詳細に説明する。図1に示すように、印刷部10は、中間転写体11と、バックアップローラ12と、複数(本実施例では、4つ)の現像ユニット13,14,15,16を有している。なお、図示しないが、印刷部10は、この他に、印刷シート搬送装置、トナー定着装置などを有している。この場合、印刷部10は、プロセスカラー印刷を行うことが可能に構成されており、C(藍)、M(紅)、Y(黄)、K(墨)のプロセスカラー各色に対応する現像ユニット13,14,15,16となっている。
【0022】
中間転写体11は、バックアップローラ12と対接しており、この対接部分にニップ部(転写位置)N1が形成されている。この中間転写体11は、周面にブランケット11aが巻き付けられており、このブランケット11aは、ウレタン系導電性ゴムにより構成されており、中間転写体11は、中間転写体11は、後述する感光ドラム21とバイアス電圧差を持たせている。
【0023】
一方、バックアップローラ12は、中間転写体11に対して所定の圧力、例えば、1〜13kg/cm程度で圧力を加えるように配設されており、上述したニップ部N1を形成している。そのため、印刷シートSは、中間転写体11とバックアップローラ12との間を搬送されることで、所定のニップ圧が付与される。また、バックアップローラ12は、例えば、−800V程度の転写バイアスが印加されている。そのため、中間転写体11とバックアップローラ12のバイアス電圧との差により、液体トナーTを中間転写体11からバックアップローラ12側へ吸引する力を与え、中間転写体11から印刷シートSへの液体トナーTの静電転写を促進している。
【0024】
現像ユニット13,14,15,16は、中間転写体11の周囲にその回転方向に沿って並設されており、使用する液体トナーTの色が異なるだけで、その構成は同様のものとなっている。そのため、以下では、現像ユニット13について詳細に説明する。
【0025】
現像ユニット13は、図2に示すように、図示しない制御装置から送信された画像データに基づいて、感光ドラム21上に静電潜像を形成し、この静電潜像に対応する位置に液体トナーを供給し、感光ドラム21に形成された液体トナーTの画像を中間転写体11に転写するものである。
【0026】
ここで、液体トナーTは、熱可塑性素材と色素(顔料あるいは染料)とにより形成される粒子状のトナーが液体状のキャリア中に分散されて配合されたものであり、ここでは、キャリアとして、石油系の溶剤(例えば、非極性、パラフィン系溶剤として、ミネラルオイルなど)に、平均粒径1〜2μm程度の粒子状のトナーが重量比で10〜40パーセント程度含有されたものを液体トナーTとして用いている。
【0027】
この現像ユニット13は、感光ドラム(感光体)21、クリーニングユニット22、除電器23、帯電装置24、露光装置25、現像装置26を有して構成されている。感光ドラム21は、周面にアモルファスシリコン(a−Si)や感光性ポリマー等の感光剤を含んで形成された感光層が形成されている。この感光ドラム21は、ニップ部N2において中間転写体11と対接しており、感光ドラム21上の液体トナーTを中間転写体11側に転写可能に構成されている。
【0028】
この感光ドラム21は、その周囲に、ニップ部N2を起点として、この感光ドラム21の回転方向に沿ってその上流側から、クリーニングユニット22、除電器23、帯電装置24、露光装置25、現像装置26がそれぞれ順に感光ドラム21の表面に形成される感光層に対向して配設されている。
【0029】
クリーニングユニット22は、クリーニングブレード22aを有して構成されており、感光ドラム21の周面に残存している液体トナーTを除去して図示しないトナー回収路に排出することができる。即ち、クリーニングブレード22aは、弾性材料で形成された矩形状の板体であり、先端部が感光ドラム21の周面に接触するように支持されており、感光ドラム21の周面の液体トナーTを掻き取ることができる。
【0030】
なお、感光ドラム21から除去された液体トナーTは、図示しない液体トナー排出口52dから排出される。
【0031】
除電器23は、感光ドラム21の感光層に残留する電荷を消去する機能を有している。帯電装置24は、コロトロン型あるいはスコロトロン型等の非接触型放電方式の帯電器が、感光ドラム21の周方向に沿って複数配設されて構成されており、感光ドラム21の感光層を一様に、例えば、500V程度に帯電させる機能を有している。
【0032】
露光装置25は、感光ドラム21の軸方向に沿って発光体(例えば、LED)を棒状に配列した発光装置(LEDアレイ)により構成されており、制御装置から送られてくる画像データに基づいて、各LEDを発光させるようになっている。即ち、帯電装置24により一様に帯電されている感光ドラム21の感光層の表面に露光装置25からの光が照射されることで、光の照射部分では感光層の帯電が解除され、感光層に画像データに基づいた静電潜像を形成することができる。なお、発光装置としては、LEDアレイの代わりに、画像データに基づいて半導体レーザー等を走査して静電潜像を形成するように構成してもよい。
【0033】
現像装置26は、トナー貯留部31、アニロックスローラ32、均しローラ33、現像ローラ34、トナー帯電器35、トナー回収ユニット(トナー回収装置)36,37を有して構成されており、感光ドラム21の静電潜像が形成された部分に液体トナーTを転写可能となっている。
【0034】
トナー貯留部31には、液体トナーTが貯留されており、アニロックスローラ32の一部が液体トナーTに浸されるように、液体トナーが供給、排出可能となっている。このアニロックスローラ32は、金属製のローラであって、その周面に液体トナーTを所望の膜厚で供給するのに適した凹部(セル)が全面にわたって形成されている。このアニロックスローラ32は、感光ドラム21と同方向に回転駆動可能である。
【0035】
均しローラ33は、ウレタンゴムで形成されており、アニロックスローラ32と現像ローラ34との間に配設され、周面がこのアニロックスローラ32及び現像ローラ34に接している。また、均しローラ33は、アニロックスローラ32との接点において互いの周面が同じ方向に進む向きに回転可能となっている。
【0036】
現像ローラ34は、導電性ゴムで形成されており、感光ドラム21と接してニップ部N3を形成するように配設されている。また、現像ローラ34は、ニップ部N3において、感光ドラム21の周面と現像ローラ34の周面とが同じ方向に進む向きに回転可能となっている。更に、現像ローラ34は、周面の速度が感光ドラム21の周面の速度と同じ速度に設定されている。また、トナー帯電器35は、現像ローラ34の周面を一様に帯電させる機能を有している。
【0037】
このように導電性を有する現像ローラ34と感光ドラム21とがニップ部N3で接することにより、現像ローラ34の周面から感光ドラム21の静電潜像が形成された部分へ帯電したトナーを含む液体トナーTが転写され、現像が行われる。
【0038】
そして、現像された感光ドラム21の周面上の液体トナーTは、ニップ部N2にて中間転写体11に転写され、この中間転写体11の周面にトナーによる画像を含んだ液体トナー層を形成することができる。
【0039】
トナー回収ユニット36は、現像ローラ34の周面に残留した液体トナーTを除去して回収することができる。また、トナー回収ユニット37は、均しローラ33の周面に残留した液体トナーTを除去して回収することができる。このトナー回収ユニット36,37は、トナー供給ローラとしての均しローラ33、現像ローラ34から剥離した残留トナーを所定の位置まで搬送する搬送装置を有しており、両者はほぼ同様の構成をなしている。以下では、一方のトナー回収ユニット36について詳細に説明する。
【0040】
トナー回収ユニット36において、図3乃至図5に示すように、残留トナーを所定の位置まで搬送する搬送装置は、液体トナーTを搬送するトナー搬送通路41と、このトナー搬送通路41内に搬送方向に沿って配設されて駆動回転可能に支持される回転軸42と、この回転軸に設けられて回転に伴ってトナーを搬送すると共にトナーを攪拌するトナー搬送攪拌部材としての螺旋ブラシ43とを有して構成されている。
【0041】
即ち、左右一対の支持ブラケット51,52は、断面がL字形状をなす連結部材53が掛け渡され、この連結部材53の長手方向における各端部が基端部ボルト54,55により連結されている。この連結部材53は、トナー搬送通路41の一側面41aを構成する長手方向に沿った基部53aと、トナー搬送通路41の底面41bを構成する長手方向に沿ったフランジ部53bとが、略直角に一体に形成されて構成されている。なお、支持ブラケット51,52は、端部が図示しない現像装置26のフレームに固定される。
【0042】
連結部材53は、フランジ部53bに断面が略L字形状をなすブラケット56の基端部がボルト57により固定されている。このブラケット56は、トナー搬送通路41の他側面41cを構成する長手方向に沿った取付部56aを有しており、この取付部56aにクリーニングブレード58が固定されている。このクリーニングブレード58は、現像ローラ34の周面に接するように位置決めされており、現像ローラ34の周面から掻きとって剥離した液体トナーTをトナー搬送通路41に落とし込むことができる。
【0043】
また、連結部材53は、基部53aにカバー59がボルト60により固定されており、このカバー59は、トナー搬送通路41の天井面41dを構成している。
【0044】
回転軸42は、トナー搬送通路41内に挿通され、軸方向の一端が支持ブラケット51を貫通し、且つ、回転自在に支持されると共に、被駆動ギア61が固結されている。図示しない駆動モータは、出力軸に固結された駆動ギアがこの被駆動ギア61に噛み合っている。また、回転軸42は、軸方向の他端が支持ブラケット52に嵌入し、且つ、回転自在に支持されている。そのため、駆動モータが駆動すると、駆動力が駆動ギアから被駆動ギア61に伝達され、回転軸42を回転することができる。
【0045】
回転軸42は、支持ブラケット51,52、連結部材53、ブラケット56、カバー59に囲まれたトナー搬送通路41内にて、螺旋ブラシ43が装着されている。即ち、この螺旋ブラシ43は、トナー搬送通路41内に配設され、回転軸42の外周部にブラシが螺旋状に固定されて構成されている。このブラシとしては、例えば、ポリアミド合成樹脂により形成され、先端がトナー搬送通路41の内壁面(一側面41a、底面41b、他側面41c、天井面41d)に対して微小隙間が設定されている。
【0046】
なお、螺旋ブラシ43の先端とトナー搬送通路41の内壁面との間に、微小隙間を設定せずに、積極的に接触するようにしてもよい。この場合、螺旋ブラシ43は、トナー搬送通路41の内壁面に付着したトナー粒子を掻きとって搬送することとなり、トナー回収効率を向上できる。
【0047】
そのため、回転軸42が回転すると、螺旋ブラシ43も回転し、トナー搬送通路41に落とし込まれた液体トナーTを攪拌しながら搬送することができる。支持ブラケット52には、トナー排出部62が設けられており、螺旋ブラシ43により搬送された液体トナーTは、このトナー排出部62を通して図示しない貯留タンクに戻されて回収される。
【0048】
この場合、現像ローラ34からクリーニングブレード58により掻き落とされた液体トナーTは、トナー帯電器35(図2参照)により帯電され、且つ、現像ローラ34と感光ドラム21との間のニップ部N3にて、所定の圧力が付与されたものである。そのため、トナー搬送通路41内の液体トナーTは、含有するトナー粒子の一部が固まった状態にある。そのため、螺旋ブラシ43を回転させることで、液体トナーTを攪拌し、固まったトナー粒子をほぐすことができると同時に、搬送することができる。
【0049】
なお、ここでは、現像ローラ34のトナー回収ユニット36について説明したが、均しローラ33のトナー回収ユニット37についても同様の構成となっている。また、現像ユニット13について説明したが、他の現像ユニット14,15,16についても同様の構成となっており、各現像ユニット13〜16でそれぞれ形成されるトナー画像は、中間転写体11の周面の同位置に重なり、且つ、印刷シートSがニップ部N1を通過するタイミングに同期して、トナー画像が中間転写体11から印刷シートSの適切な位置に転写されるように配置されている。
【0050】
このように構成された本実施例の電子写真印刷装置の印刷部10では、図1及び図2に示すように、印刷シートSが印刷部10へと給紙されると、この印刷部10において、各現像ユニット13〜16により、印刷シートSの印刷面に転写されるべき静電画像が形成された感光ドラム21の周面に、対応するC(藍)、M(紅)、Y(黄)、K(墨)各色の液体トナーTが転写され、感光ドラム21上に画像が現像される。そして、感光ドラム21の周面に転写された各色の液体トナーTが、中間転写体11の同じ位置に転写され、この中間転写体11とバックアップローラ12とのニップ部N1に印刷シートSが通過するとき、中間転写体11の周面からこの印刷シートSにおける中間転写体11と接する印刷面に対して、液体トナーTが転写される。
【0051】
そして、印刷面に液体トナーTが転写された印刷シートSは、搬送され、定着装置により液体トナーTが加熱、加圧されることで定着され、印刷が終了する。
【0052】
このとき、現像ユニット13〜16における現像装置26では、アニロックスローラ32が回転することで、トナー貯留部21に貯留されている液体トナーTが掻き上げられ、周面の凹部に液体トナーTが入り込み、所定量の液体トナーTが均しローラ33に受け渡される。一方、現像ローラ34は、トナー帯電器35により周面が一様に帯電されており、均しローラ33の液体トナーTがこの現像ローラ34に受け渡される。そして、現像ローラ34は、感光ドラム21とニップ部N3で接することにより、この現像ローラ34の周面から感光ドラム21の静電潜像が形成された部分へ帯電した液体トナーTが転写され、更に、感光ドラム21の周面上の液体トナーTが、ニップ部N2にて中間転写体11に転写される。
【0053】
この場合、現像ローラ34は、液体トナーTを感光ドラム21に供給するものの、一部の液体トナーTが周面に残留する。また、均しローラ33も、液体トナーTを現像ローラ34に受け渡すものの、一部の液体トナーTが周面に残留する。そのため、トナー回収ユニット36,37は、均しローラ33及び現像ローラ34の周面に残留している液体トナーTを除去して回収する。
【0054】
即ち、現像ローラ34が回転することで、周面の液体トナーTが感光ドラム21に供給される一方、周面には液体トナーTの一部が残留する。図4に示すように、現像ローラ34は、感光ドラム21と対接する位置の下流側で、クリーニングブレード58の先端部が接触しており、このクリーニングブレード58は、現像ローラ34の周面に残留している液体トナーTを掻き取り、トナー搬送通路41内に落とす。
【0055】
トナー搬送通路41内では、螺旋ブラシ43が回転しており、クリーニングブレード58により現像ローラ34の周面から剥離した液体トナーTを、このトナー搬送通路41内で攪拌しながら搬送する。現像ローラ34の周面から剥離した液体トナーTは、トナー粒子が固まっていることから、螺旋ブラシ43が回転することでほぐされながら搬送されることとなり、トナー排出部61を通して貯留タンクに戻される。そのため、液体トナーTは、リサイクル可能な適正状態で回収されることとなる。
【0056】
このように本実施例のトナー回収装置にあっては、均しローラ33及び現像ローラ34から剥離した残留トナーを所定の位置まで搬送する搬送装置を有するトナー回収ユニット36,37を設け、この搬送装置として、液体トナーTを搬送するトナー搬送通路41と、このトナー搬送通路41内に搬送方向に沿って配設されて駆動回転可能に支持される回転軸42と、この回転軸42に設けられて回転に伴ってトナーを搬送すると共にトナーを攪拌する螺旋ブラシ(トナー搬送部材、トナー攪拌部材)43を設けている。
【0057】
従って、均しローラ33及び現像ローラ34から剥離した残留トナーは、トナー搬送通路41に落とし込まれ、回転軸42が回転することで螺旋ブラシ43が回転すると、トナー搬送通路41にある残留トナーは、この螺旋ブラシ43により攪拌されながら搬送されることとなり、帯電して固まりとなったトナー粒子をほぐしながら搬送することができ、残留トナーを適正な状態で効率良く回収し、トナーの回収効率を向上することができる。
【0058】
また、本実施例のトナー回収装置では、トナー搬送部材及びトナー攪拌部材を、螺旋ブラシ43としている。従って、トナー攪拌部材をブラシとすることで、トナー搬送通路41にある残留トナーを適正に攪拌して適正な状態に戻すことができ、トナーの回収効率を向上することができる。また、螺旋ブラシ43をトナー搬送部材及びトナー攪拌部材として機能させて兼用することで、装置の簡素化を可能とすることができる。更に、螺旋ブラシ43は、軟質であることから、トナー搬送通路41の内壁面との接触を防止する必要はなく、トナー搬送部材の高精度な加工を不要とし、製品コストの増加を抑制することができる。
【0059】
なお、上述した実施例では、トナー搬送装置及びトナー攪拌装置を回転軸42に装着した螺旋ブラシ43として2つの構成を兼用したが、この構成に限定されるものではない。例えば、回転軸に金属製または樹脂製からなる螺旋状の搬送部材(スクリューなど)を設けると共に、この搬送部材とは別に回転軸に円盤状または軸方向に沿ったブラシを設ける構成としてもよい。
【0060】
また、上述した実施例では、トナー供給ローラを均しローラ33と現像ローラ34により構成し、この均しローラ33と現像ローラ34に対してトナー回収装置(トナー回収ユニット)36,37を設けたが、一方のローラだけに設けてもよい。また、トナー供給ローラの構成は、均しローラ33と現像ローラ34に限定されるものではなく、現像ローラ34だけでもよく、また、更にローラを追加して構成してもよい。また、中間転写体11をドラム式としたが、ベルト式であってもよく、この場合、ベルト式の基体の表面をブランケットと同じ材質にすればよい。
【0061】
また、上述した実施例では、トナーを液体トナーTとして説明したが、粉体トナーであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係るトナー回収装置は、トナー搬送通路にトナー搬送部材とトナー攪拌部材を設けることで、トナーの回収効率の向上を図ると共にコストの増加を抑制可能とするものであり、いずれの種類の電子写真印刷装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 印刷部
11 中間転写体
12 バックアップローラ
13,14,15,16 現像ユニット
21 感光ドラム
22 クリーニングユニット
23 除電器
24 帯電装置
25 露光装置
26 現像装置
31 トナー貯留部
32 アニロックスローラ
33 均しローラ(トナー供給ローラ)
34 現像ローラ(トナー供給ローラ)
35 トナー帯電器
36,37 トナー回収ユニット(トナー回収装置)
41 トナー搬送通路
42 回転軸
43 螺旋ブラシ(トナー搬送装置、トナー攪拌装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー供給ローラから剥離した残留トナーを所定の位置まで搬送する搬送装置を有するトナー回収装置において、
前記搬送装置は、
トナーを搬送するトナー搬送通路と、
該トナー搬送通路内に搬送方向に沿って配設されて駆動回転可能に支持される回転軸と、
該回転軸に設けられて回転に伴ってトナーを搬送するトナー搬送部材と、
前記回転軸に設けられて回転に伴ってトナーを攪拌するトナー攪拌部材と、
を備えることを特徴とするトナー回収装置。
【請求項2】
前記トナー攪拌部材は、ブラシであることを特徴とする請求項1に記載のトナー回収装置。
【請求項3】
前記回転軸は、外周面に螺旋状をなしてブラシが固定され、該螺旋状のブラシが前記トナー搬送部材及び前記トナー攪拌部材として機能することを特徴とする請求項1に記載のトナー回収装置。
【請求項4】
前記トナー搬送通路は、底面及び該底面に連続して互いに対向する2つの側面により囲繞され、内部に前記螺旋状のブラシが配設されることを特徴とする請求項3に記載のトナー回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−175211(P2011−175211A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41009(P2010−41009)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(310016522)三菱重工印刷紙工機械株式会社 (75)
【Fターム(参考)】