説明

トナー粒子の製造装置及びトナー粒子の製造方法

【課題】トナー粒子の分散液からトナー粒子を分離・洗浄して得られた湿潤トナー粒子を脱水して得る脱水トナー粒子ケーキの含水率を効率良く低下させるトナー粒子の製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ベルトフィルター2によって得られた湿潤トナー粒子ケーキ5上部に、気体で膨張する伸縮部材を用いて密閉空間13を形成し、この空間内に圧縮気体を満たすことで該湿潤トナー粒子に気体を通気させ、脱水することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット法の如き画像形成方法における静電荷潜像を現像するためのトナーに含有されるトナー粒子の製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年トナーは、粉砕トナーと湿式で造粒するトナーとに大別されている。その大別されたトナーは、それぞれ製造装置・製造方法の構成が大きく異なる。例えば粉砕トナーは、熱可塑性樹脂中に着色剤を混練機等にて溶融混合して均一に分散する。得られた溶融混練物は冷却固化させた後、微粉砕装置により微粉砕して、更に微粉砕物を分級機によって分級して所望粒径のトナー粒子を得る。その後、トナー粒子に所定の添加剤を加えてトナーを製造する。
【0003】
一方、湿式で造粒されるトナーは、トナーを構成する材料や所望するトナー粒子形状により、懸濁重合法、乳化重合法、溶解懸濁法等、各種のトナー製造方法が提案されており、製造装置の構成も異なる。
【0004】
例えば懸濁重合法・溶解懸濁法では液状分散媒体中で所望の粒径を有するトナー粒子を形成してトナー粒子の分散液を得る。その後、濾過装置のような固液分離装置に代表される分離手段を用いてトナー粒子の分散液からトナー粒子を分離し、洗浄して不純物を除去する。得られたトナー粒子のケーキは、乾燥、そして必要に応じて分級を行い、その後は、粉砕トナーと同様に所定の添加剤を加えてトナーを製造している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、乳化重合法では、重合性単量体、重合開始剤、界面活性剤、さらに必要に応じて架橋剤、連鎖移動剤、その他添加剤を含んだ単量体組成物を水系媒体中に撹拌機を用いて分散し、重合反応を行わせ、所望の粒径を有する乳化樹脂粒子(微小樹脂粒子)を得ている。一方、着色剤を界面活性剤が含有している水系媒体中に均一に微分散させ、前記乳化樹脂粒子と会合(凝集及び融着)させて所望の粒径を有するトナー粒子分散液を得ている。
【0006】
その後、懸濁重合法、溶解懸濁法と同様にしてろ過・洗浄・乾燥・分級を経てトナーを製造している(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
この様な湿式で造粒されるトナー粒子は、液状分散媒体中で生成するため、その表面が液状分散媒体中に分散または溶解している各種成分によって影響を受け易い。例えば、懸濁重合法では液状分散媒体として、一般に各種の分散安定剤を含有する水系媒体が用いられているが、生成するトナー粒子の表面には、この分散安定剤が付着する。
【0008】
また、懸濁重合法で生成するトナーでは、帯電性を向上させるために、一般に正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を重合性単量体組成物中に含有させて重合している。極性が高い帯電制御剤は、その一部が水系分散媒体中に溶解し、生成するトナー粒子の表面に付着する。重合後のろ過・洗浄工程において、このトナー粒子の表面に付着した各種成分が十分かつ均一に洗浄、除去されていないと、トナーの摩擦帯電量の分布がブロードとなり、特に高温高湿条件下では、画像濃度が低下したり、カブリが発生し易くなる。
【0009】
更に乳化凝集法でトナー粒子を生成する場合、乳化剤として界面活性剤を多く使用する必要がある。生成するトナー粒子の表面に界面活性剤が多く残存すると、画像濃度の低下、及びカブリの発生が、懸濁重合法よりも顕著に発生する傾向がある。
【0010】
そのため、湿式で造粒するトナー粒子の製造方法において、生成したトナー粒子を分離・洗浄するための様々な方法が提案されている。
【0011】
例えば、ろ過洗浄機としてろ布と真空トレイが密着したベルトフィルターを用いて、トナー粒子分散液からトナー粒子を分離し、洗浄する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載の方法によれば、トナー粒子の分散液からトナー粒子を効率良く分離し洗浄することにより優れた画像特性を有するトナーが得られる。
【0012】
しかし近年、ユーザーによるニーズの多様化により電子写真画像は、写真画質の如き高精細な画像が求められている。電子写真画像において高精細な画像を得るため、有効な手段の1つとしてトナー粒子の小粒径化がある。粉砕法でこの小粒径化を行うと多大な粉砕エネルギーが必要なため好ましくない。一方、湿式造粒法においては、トナー粒子の小粒径化は容易である。しかし、この小粒径化を行うと、トナー粒子の分散液からトナー粒子を分離する際、従来の分離・洗浄方法であると水切れ性が低下し、得られたトナー粒子ケーキの含水率が大きくなる傾向にある。これは、トナー粒子で形成するケーキの単位容積あたりに含まれる粒子の表面積が増加するためと考えられる。水切れ性の低下は、トナー粒子の表面に付着した各種成分の洗浄不足につながる。更に、後工程の乾燥工程の負荷が増大し、トナー粒子へ熱的なダメージを与えてしまう。
【0013】
水切れ性の低下を回避するための方法として、ダイタランシー効果を利用したろ過・洗浄方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この方法では衝撃・振動によりダイタランシー効果が得られてケーキが液状化することによって含水率が低下すると記載されている。しかしながら、本発明者らの検討では所望の含水率低下を得られず、含水率を低下させる装置・方法が待望されている。
【0014】
また、圧搾ロールが具備された濾布走行式のベルトフィルターが提案されている(例えば、特許文献5参照)。この装置は、上下2つの圧搾ロールの間にケーキを通過させることで、圧搾脱水を行い、ケーキの含水率を低下させる装置である。
【0015】
トナー粒子の分散液からトナー粒子を分離・洗浄する手段としてこの装置を使用した場合、十分な圧搾効果が得られず含水率を低下させることができなかった。
【0016】
また、特許文献6に記載の濾過装置は、複数の貫通孔が具備された加圧板を濾過すべきスラリーケーキに接触させた状態で貫通孔に圧力流体を通過させることにより、前記スラリーケーキを前記加圧板及び前記圧力流体で加圧する構成となっている。前記スラリーケーキはこの双方により加圧されて、液状物質は搾り出され、スラリーケーキ裏面に具備された回収手段により回収される。この結果、濾過できるようになっている。
【0017】
トナー粒子の分散液からトナー粒子を分離・洗浄する手段としてこの装置を使用した場合、該加圧時に湿潤トナー粒子ケーキが前記加圧領域よりも外方向に押し出される、あるいはケーキ割れが発生したりして飛散するおそれがあった。このように湿潤トナー粒子ケーキが不安定な状態に陥ると十分に含水率を低下させることができない問題があった。
【0018】
また、特許文献7、8に記載の固液分離装置によれば、固液分離後に、温風をトナーケーキに送付し、トナーケーキの水分量10質量%以下まで乾燥できるとの記載がある。しかしながら、この装置では、水分量10質量%以下を達成するには、非常に長い時間を要してしまう。更に、固液分離、トナーケーキの排出にも長時間を要してしまい、生産性が著しく低下してしまう。
【0019】
このようにトナー粒子の分離・洗浄装置並びに製造方法は、洗浄性・水切れ性の向上に加え、生産性の向上も要求されている。
【0020】
【特許文献1】特開昭51−14895号公報
【特許文献2】特開平5−265252号公報
【特許文献3】特開2002−365839号公報
【特許文献4】特開2004−302099号公報
【特許文献5】特開平10−309409号公報
【特許文献6】特許第3311417号公報
【特許文献7】特開2005−156937号公報
【特許文献8】特開2005−193123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、上述の如き問題を解決したトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。即ち、本発明は、湿式で造粒されるトナー粒子の製造装置及び製造方法において、トナー粒子の分散液からトナー粒子を分離・洗浄して得られた湿潤トナー粒子を脱水して得る脱水トナー粒子ケーキの含水率を効率良く低下させるトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
更に本発明は、表面に付着した各種成分が充分に洗浄、除去され、そして、トナー粒子の熱劣化が抑制され、優れた画像特性を有するトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者は、ベルトフィルターによって得られた湿潤トナー粒子ケーキ上部に、気体で膨張する伸縮部材を用いて密閉空間を形成し、この空間内に圧縮気体を満たすことで該湿潤トナー粒子に気体が通気し、脱水できることを見出して本発明を完成させた。
【0024】
更には該伸縮部材を含むシール手段により効果的に密閉空間を形成し、湿潤トナー粒子ケーキに気体が通気することで、得られた脱水トナー粒子ケーキの含水率が充分低下することを見出し、本発明を完成させた。
【0025】
更には、脱水トナー粒子ケーキの含水率を低下させることにより、後工程である乾燥工程の負荷を軽減し、トナー粒子への熱によるダメージを抑制できることを見出した。
【0026】
更には、本発明により得られたトナー粒子は、熱劣化を抑制できるため、優れた画像特性を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【0027】
すなわち、本発明は、以下の特徴事項を有する:
水系分散媒体中で製造されたトナー粒子を分散媒体から濾別する濾布走行式ベルトフィルター用の脱水装置を有するトナー粒子の製造装置であり、該脱水装置は、濾別して得られた湿潤トナー粒子のケーキに気体を通気して脱水する通気手段と通気される気体をシールするシール手段が具備され、
(I)該シール手段は、少なくとも気体で膨張する伸縮部材を有するシールユニットであり、
(II)該通気手段は、気体吐出部を有し、該湿潤トナー粒子のケーキに気体を通気する通気ユニットであり、
該シールユニットは、少なくとも該湿潤トナー粒子のケーキと該シールユニットの間から通気する気体が漏れないように、シールを行う機構であることを特徴とするトナー粒子の製造装置;
水系分散媒体中で製造されたトナー粒子分散液を脱水装置を具備する濾布走行式ベルトフィルターを用いて、固液分離、脱水する濾過工程を含むトナー粒子の製造方法であって、該脱水装置は濾別して得られた湿潤トナー粒子のケーキに気体を通気して脱水する通気手段と通気される気体をシールするシール手段が具備され、
(I)該シール手段は、少なくとも気体で膨張する伸縮部材を含むシールユニットであり、
(II)該通気手段は、気体吐出部を有し、該湿潤トナー粒子のケーキに気体を通気する通気ユニットであり、
該シールユニットは、少なくとも該湿潤トナー粒子のケーキと該シールユニットの間から通気する気体が漏れないようにシールを行うユニットであって、該通気により湿潤トナー粒子ケーキを脱水することを特徴とするトナー粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、トナー粒子製造工程内の濾過工程において、湿潤トナー粒子ケーキから含水率を効率的に低減させ得るトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供することができる。
【0029】
また、含水率を効率的に減らせることで湿潤トナー粒子の表面に付着した各種成分の低減が可能となり、優れた画像特性を有するトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供することができる。
【0030】
また、得られた脱水トナー粒子ケーキの含水率を低減させ得ることで、後工程である乾燥工程で過度な加熱による乾燥を行う必要がなく、トナー粒子の熱劣化を軽減できる。
【0031】
また、該脱水装置のシール手段として気体で膨張する伸縮部材を用いることにより、シール手段、通気手段の双方に用いる付帯設備を共通化できるため、エネルギー効率的に優れたトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供することができる。
【0032】
また、該脱水装置のシール手段として気体で膨張する伸縮部材を用いることにより、シール圧力の微調整が低コストで簡便に行える。シール圧力が簡便に微調整できると、通気圧力とのバランス取りが容易になるため、脱水トナー粒子ケーキの含水率を適正にコントロールできるトナー粒子の製造装置及び製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明に好ましく用いられる脱水装置付き濾布走行式ベルトフィルターを図1乃至図7に示す。図1は、本発明にかかる脱水装置付き濾布走行式ベルトフィルターの概略断面図を示す。図2は、図1における脱水装置部分の拡大図、図3は、図1における脱水装置部分の斜視図を示す。図4は、本発明にかかるシール手段の拡大図である。図1、図2、図3及び図4において、1はロール、2は濾布、3は送液口、4は真空トレイ、5は湿潤トナー粒子ケーキ、6は濾布洗浄装置、7はケーキ洗浄装置、8は脱水装置、9は通気ユニット、10はシールユニットに含まれる伸縮部材であり、伸縮部材の代表例としてエアーシリンダーを用いた場合を示している。また、11はシールユニットに含まれるシール部材で矢印B方向に対する上流側シール部材11aと下流側シール部材11bの2箇所具備した例を示している。また、17は、脱水トナー粒子ケーキ、21は通気ユニット9を真空トレイ9に固定する静止部材21である。
【0034】
また、図5は、シールユニットの1部分であるシール部材11と湿潤トナー粒子ケーキ5が接触して通気する気体が漏れないようにシールする際に、少なくとも気体吐出部14とシール部材11と湿潤トナー粒子ケーキ5から構成される空間13を示す概略断面図である。図5内において、15は気体供給配管であり、気体供給配管15は側壁からバッファー室16に向けて気体を供給する構成となっている。
【0035】
また、図6は図5内のA−A’断面図であり、バッファー室16内に蓄積された気体は、気体吐出部14に設けられた穿孔18を介して空間13を圧縮気体で満たす構成となっている。
【0036】
また、図7は伸縮部材10にエアーバッグを用いた場合、シールユニットの1部分であるシール部材11と通気ユニットが接触して通気する気体が漏れないように第1のシールをし、更にシールユニットの1部分であるシール部材11と湿潤トナー粒子ケーキ5が接触して通気する気体が漏れないように第二のシールをした一例である。図7において少なくとも該第1のシールと該第2のシールを行った際、気体吐出部14とシール部材11と湿潤トナー粒子ケーキ5から、空間13は構成される。
【0037】
但し、これらは本発明に用いられる脱水装置付き濾布走行式ベルトフィルターの代表例を示したものであり、これらに限定されるものではない。
【0038】
以下、図1乃至図7を用いて本発明のトナー粒子の製造装置ならびに製造方法の好ましい一態様について説明する。
【0039】
図1、図2、図3に示すベルトフィルターは、濾布2がロール1の間に張架され、ロール1の回転により矢印Bの方向に連続又は間欠駆動される。濾布2の下方には、一体もしくは複数に分割された固定式の真空トレイ4が設置されている。この真空トレイ4は真空ポンプ(図示しない)により真空作用が得られる構造を有している。
【0040】
上記した種々の湿式造粒法により得られたトナー粒子分散液中のトナー粒子表面には、各種の分散安定剤が存在する。この分散安定剤を溶解、又は除去するため、それぞれの湿式造粒方法に適した前処理を行う。この前処理を行った後、トナー粒子分散液は、送液口3を介して濾布2上に供給され、該真空作用によりケーキ形成工程によって濾過、分離される。
【0041】
例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナー粒子表面に存在する分散剤を溶解させるために酸処理を行うが、この際、発泡現象を伴いやすい。この発泡現象はケーキ形成工程での濾過・分離効果に悪影響を及ぼし、効率を低下させる恐れがある。よって酸処理を行う際には、発泡を抑制する機器、方法を選択することが好ましい。
【0042】
濾別された濾液は、真空トレイ4に集められ、図示しない濾液管により図示しない真空タンクヘ送られる。この時、該真空作用を有効に働かせるためには、濾布2は間欠駆動させることが好ましく、真空作用が得られている間は、濾布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しないことが好ましい。濾布を連続駆動させると濾布2と真空トレイ4との密着性に不具合が生じ易く、高真空度を得るのが難しく、高真空度が得られないと濾過、分離効果が不十分となり、液状分散媒体からトナー粒子を効果的に分離することが困難となる。
【0043】
次に濾過、分離された洗浄前トナー粒子ケーキと濾布2は、ロール1の回転により矢印Bの方向に送られて、上部に1基乃至複数基のケーキ洗浄装置7を有する洗浄工程に送られる。ケーキ洗浄装置7からは、必要に応じて1種又は複数種の洗浄液が散布され、それによって洗浄前トナー粒子ケーキ中の溶解物質又は分散物質が洗浄・除去される。そして真空トレイ4に集められた濾液と共にこれらの物質は排出される。この時も上記したように高真空度を得るために、濾布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しないことが好ましい。
【0044】
次に洗浄された湿潤トナー粒子ケーキ5と濾布2は、ロール1の回転により矢印Bの方向に送られて、脱水工程に送られる。脱水工程は図1に示すように複数のスパン(図1では脱水工程が2スパンの場合を示す)に分かれていることが好ましく、矢印B方向に対して下流側のスパンに本発明にかかる脱水装置12が少なくとも1スパン設置されていることが好ましい。
【0045】
図示するように最下流側に脱水装置12を設けることにより、前スパンで絞りきれなかった水分を最終スパンでさらに絞ることができ、脱水作用が有効に働き好ましい。
【0046】
該脱水装置12は、図1乃至7に示すように通気手段とシール手段から構成されている。
【0047】
通気手段である通気ユニット9は、図4、図5及び図7に示されるが如く、真空トレイ4の上部に固定されている。具体的には、真空トレイ4の端部に固定されたケーシング8に静止シール部材を挟みボルト等の静止部材21を介して止めされていることが好ましい。静止シール部材としてはゴムパッキンを好ましく用いるが、固定部位から通気する気体が漏れないものであれば、特に限定されるものではない。上述のように通気ユニット9に具備された気体吐出部14は、真空トレイ端部に固定されているため、固定面から通気させる気体が漏れることは殆どない。また、気体吐出部14は湿潤トナーケーキ5と接触しないので、吐出部に設けられた穿孔18の詰まりや汚れが発生しづらく、通気が妨げられることもない。逆に、通気ユニットを例えば上下に駆動させた場合、装置的な精度の問題で気体吐出部が傾く可能性がある。この傾きは通気させる気体を湿潤トナー粒子ケーキ5に効率良く通過させることを困難とする。通気ユニットを上下させる場合、例えばシール部材11は気体吐出部14を囲むように全周にわたって1体ものとして設ける必要がある。この場合、通気ユニットが前記した装置的精度の問題で傾く時、シール部材11も同時に傾く。シール部材11が傾くと湿潤トナー粒子ケーキとの間に充分なシールが得られないと言う問題がある。
【0048】
このような問題を防ぐためにも湿潤トナー粒子ケーキ5とシール部材11の接触面積はできる限り少なくした方がシール精度は上がる。また、前記したケーキ形成工程、洗浄工程を経た湿潤トナー粒子ケーキ5は、ある程度凹凸をもった状態で脱水装置12の下部に送られてくる。この凹凸もシール精度を悪化させる原因であり、この影響を最小限に留めるためにもシール部材11の接触面積はできる限り少なくした方が好ましい。
【0049】
本発明では上述したように湿潤トナー粒子ケーキ5の進行方向Bに対して少なくとも上流側と下流側の2箇所具備したシール部材11a、11bでシールを行い、側面側は真空トレイと静止シール部材をもって固定シールする構成となっており、シール面積を最小限に留めているため、好ましい。
【0050】
このシール部材11は前記したベルトフィルターの間欠運動に連動して伸縮部材10によって可動し、濾布2の停止時に図5に示す様に湿潤トナー粒子ケーキ5に密着して空間13を形成する。次に形成された空間13には、通気ユニット9内のバッファー室16中に満たされた気体が、穿孔18を介して供給され、気体が均一に満たされる。この満たされた圧縮気体は、湿潤トナー粒子ケーキ5を通過して該ケーキ5に含まれる水分を減少させて、含水率が充分に低減された脱水トナー粒子ケーキ17が得られる。
【0051】
気体吐出部14の構成は、図6に示すように例えば適当な鉄板やポリプロピレン製のプレートをパンチングにより貫通した穿孔18(圧縮気体出口)を複数持つ構成となっている。
【0052】
穿孔(圧縮気体出口)数としては特に限定されないが、複数の孔が形成する孔の合計面積を、パンチング前の平板表面積に対して20%乃至70%に具備することが気体吐出部14の強度面と適当な通気量を得るためには好ましい。
【0053】
この時、通気ユニット9に設けられた気体吐出部14が湿潤トナー粒子ケーキ5のからの吹き上げ等により汚れ・詰まりを起こす場合等は、フィルター、メッシュ等で覆って汚れ・詰まりを防止しても良い。
【0054】
また、シール部材11の耐久性が湿潤トナー粒子ケーキ5との直接接触により、悪化する場合は、フィルター等でシール部材を覆い、悪化を防止しても良い。
【0055】
シールユニット内の伸縮部材10は上記した湿潤トナー粒子ケーキ5とシール部材11が接離運動が可能である物が好ましく、特にエアーシリンダー、又はダイヤフラム、エアーバッグ、空気バネであることが好ましい。
【0056】
このようにシールユニット内の伸縮部材10が気体で膨張する伸縮部材であるとシール手段、通気手段の双方に用いる付帯設備を共通化できるため、エネルギー効率的に好ましい。また、該脱水装置のシール手段として気体で膨張する伸縮部材を用いることにより、シール圧力の微調整が低コストで簡便に行えため、好ましい。シール圧力が簡便に微調整できると、通気圧力とのバランス取りが容易になるため、脱水トナー粒子ケーキ17の含水率を適正にコントロールできるため、好ましい。
【0057】
更に気体で膨張する伸縮部材10を用いるようなエアー駆動でシール部分を稼動させる場合、例えば油圧駆動と比較すると簡便な機器でシール圧力を多段で設定することが可能となる。シール圧力を多段で設定できると、脱水時間の前半と後半で通気量を変化させて適性な脱水を試みる場合便利である。シール圧力は通気圧力に応じてそれより大きい圧力に変化させるのが本発明では好ましいが、エアー駆動であると簡便にシール圧力を変更できて好ましい。特に上記したように間欠型の濾布走行方式のベルトフィルターと、本発明の脱水装置を組み合わせた場合、脱水時間はベルトフィルターの一次停止期間という非常に短い時間に限られため、上記圧力変更は即座にかつ簡易的に行う必要がある。これらの観点からも気体で膨張する伸縮部材を用いるようなエアー駆動は好ましい。
【0058】
伸縮部材10であるエアーシリンダー、又はダイヤフラム、エアーバッグ、空気バネの部材については特に限定されるものではなく、気体により膨張する部材であれば特に制限なく利用できる。
【0059】
シール部材11つまり、湿潤トナー粒子ケーキ5との接触面材質として好ましく用いることができる材質は、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレン共重合体、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、有機ポリシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレンの何れから選択される重合体であることが好ましく、該重合体の構造は、ゴム状弾性体又は気泡を含む発泡体であることが好ましい。
【0060】
該発泡体の構造はそれぞれの泡が独立構成になっている単独気泡構造やそれぞれの泡が連通している連続気泡構造、そして単独気泡構造と連続気泡構造が混合している半連続気泡構造が好ましく使用される。単独気泡構造は非常にシール性に優れるが耐久性・圧縮復元性の面で若干劣る。また、連続気泡構造は、非常に耐久性・圧縮復元性に優れるが、シール性に若干劣る。このような理由から半連続気泡は最も好ましく用いられる。
【0061】
また、ゴムの硬度は、硬度10°乃至40°であることが好ましい。10°未満であると通気圧力に耐えられず、シール性を損なう。40°より大きいと湿潤トナー粒子ケーキの凹凸に対応できず、シール性を損なう。
【0062】
尚、ゴム硬度の測定には種々の方法があるが本発明においては、決められた形の押針をスプリングの力で試料の表面に押し付けて変形を与え、試料の抵抗力とスプリングの力がバランスした位置での「試料への押し込み深さ」をもとに硬度を測定するアスカーゴム硬度計(型式C/JIS K7312準拠規格)を用いて測定した。
【0063】
本発明における気体吐出部14と濾布2の下部にある真空トレイ底面からの距離をK(図5又は7参照)とすると、15(mm)≦K≦400(mm)の範囲内になるように固定されていることが好ましい。
【0064】
上記範囲内では、通気される気体が湿潤トナー粒子ケーキ5を崩壊することなく、脱水できる。上記範囲を逸脱したK<15の場合、通気される気体がトナー粒子のケーキ面でケーキを吹き上げる。このケーキ吹き上げがおこると、湿潤トナー粒子ケーキ5が崩壊してしまうため、通気される気体が該崩壊部を通過してしまう。このように通気される気体がショートパスを起こすと脱水むらが生じてしまう為、好ましくない。
【0065】
また、400<Kの場合、シール部材11が非常に大きくなってしまい機器のコストがあがるばかりか、シールの精度も低下する為、好ましくない。
【0066】
また、本発明において、伸縮部材を膨張させる気体は圧縮空気であることが好ましい。
【0067】
更に、伸縮部材を膨張させる際の内圧P2は、100(kPa)≦P2≦800(kPa)であることが好ましい。P2<100(kPa)の場合、シール性が低下するので好ましくない。P2>800(kPa)の場合、伸縮部材の強度を増す必要があり、その結果、伸縮性が低下し過度にケーキを押し潰すという不具合が生じてしまう。
【0068】
また、通気手段から通気させる気体は、乾燥した気体であれば、特に制限なく用いることができるが、好ましくは、圧縮空気を用いる。
【0069】
通気手段より通気される気体の圧力P1は、10(kPa)≦P1≦700(kPa)であることが好ましい。10(kPa)>P1であると通気性が低下し、所望の含水率が得にくい。またP1>700(kPa)であると、脱水時に、ケーキを崩壊し、通気気体のショートパスが起こる為、均質且つ十分に脱水されたトナーケーキが得られにくい。
【0070】
通気手段からの気体の通気、シール手段による通気気体のシールは、前述したろ布の間欠駆動と連動させることが好ましい。濾布2が間欠運動している間の停止時に、通気気体の噴出、伸縮部材の膨張による通気気体のシールを行うことが良い。一方、濾布2の走行時は、通気手段からの気体の通気を止め、伸縮部材の収縮によりシールを開放することが良い。また、気体通気時にも真空トレイ4からの真空状態を形成させているのが好ましいため、濾布2と真空トレイ4が密着しており摺擦しないことが好ましい。真空トレイ4から高真空度を形成しておくと、気体通気時に濾布2上のケーキ5が良好なケーキ状態で維持される。
【0071】
脱水された脱水トナー粒子ケーキ17は、ロール1によってもたらされる曲率により、濾布2より剥離される。
【0072】
得られた脱水トナー粒子のケーキ17の含水率は30%以下であることが好ましい。30%を超えると後工程の乾燥工程への輸送に支障をきたしたり、乾燥工程自身の効率が低下して好ましくない。また、該乾燥工程は熱気流中に該脱水トナー粒子のケーキを粉粒状に分散させて、熱気流と並流に送りながら乾燥する気流乾燥であることが好ましい。気流乾燥は短時間に大量の脱水トナー粒子を低コストで乾燥が可能である。気流乾燥機としては、均質な乾燥を行う為に、サイクル管を有する気流乾燥機を用いることが好ましい。
【0073】
具体的には、フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)が好ましく用いられる。但し、上記気流乾燥機を用いる場合、被乾燥物の含水率が高くなるに従い、サイクル管内の滞留時間が増え、トナー粒子が劣化してしまい、画像特性上問題が生じやすい。
【0074】
従って、本発明に係る脱水装置にて、乾燥前の脱水トナー粒子ケーキ17の含水率を低下させることが重要となる。
【0075】
本発明のトナー粒子の製造方法は、磁性トナー粒子の製造方法にも好ましく用いることができる。例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合の磁性トナー粒子を製造する場合に使用される磁性体について、以下に説明する。
【0076】
磁性トナーに使用される磁性体は、その表面が疎水化されていることが好ましい。磁性体を疎水化する際は、水系媒体中で、磁性体粒子を一次粒径となるよう分散しつつカップリング剤を加水分解しながら表面処理する方法を用いることが非常に好ましい。この疎水化処理方法は、気相中で処理するより磁性体粒子同士の合一が生じにくく、また疎水化処理による磁性体粒子間の帯電反発作用が働くため、磁性体はほぼ一次粒子の状態で表面処理される。
【0077】
カップリング剤を水系媒体中で加水分解しながら磁性体表面を処理する方法は、クロロシラン類やシラザン類のようにガスを発生するようなカップリング剤を使用する必要がない。また、これまで気相中では磁性体粒子同士が合一しやすくて、良好な処理を施すことが困難であった高粘性のカップリング剤も使用できるようになるため、疎水化の効果は絶大である。
【0078】
本発明に係わる磁性体の表面処理において使用できるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤が挙げられ、特に好ましく用いられる。
【0079】
例えば、懸濁重合法による湿式造粒法の場合、磁性体は、重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、10乃至200質量部を用いることが好ましい。より好ましくは20〜180質量部を用いることである。10質量部未満ではトナーの着色力が乏しく、カブリの抑制も困難である。一方、200質量部を超えると、得られたトナーのトナー担持体への磁力による保持力が強まり現像性が低下したり、個々のトナー粒子への磁性体の均一な分散が難しくなるだけでなく、定着性が低下してしまう。
【0080】
なお、トナー中の磁性体の含有量の測定は、パーキンエルマー社製熱分析装置、TGA7で測定する。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃までトナーを加熱し、100℃から750℃まで間の減量質量%を結着樹脂量とし、残存質量を近似的に磁性体量とする。
【0081】
上記の磁性体は、トナー粒子に含有される着色剤としても好適に用いることができるが、本発明で製造されるトナーに好適に用いることのできる上記磁性体以外の着色剤として、カーボンブラック及び以下に示すイエロー/マゼンタ/シアンの非磁性着色剤が挙げられる。
【0082】
イエロー色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。具体的には、イエローの顔料として、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191及びC.I.バットイエロー1、3、20。イエロー染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162。これらは、単独で或いは2以上が併用して用いられる。
【0083】
マゼンタ色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。具体的には、マゼンタ顔料として以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,48;2、48;3、48;4、49,50,51,52,53,54,55,57,57;1、58,60,63,64,68,81,81;1、83,87,88,89,90,112,114,122,123,144、146,150,163,166,169,177,184,185,202,206,207,209,220,221,238、254;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35。マゼンタ染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,52,58,63,81,82,83,84,100,109,111,121,122;C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27;C.I.ディスパースバイオレット1の如き油溶染料;C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40;C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28の如き塩基性染料。これらは、単独で或いは2以上が併用して用いられる。
【0084】
シアン色に好適な着色剤としては、顔料或いは染料を用いることができる。具体的には、シアン顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66; C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45。シアン染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95。これらは、単独で或いは2以上併用して用いられる。
【0085】
着色剤は、単独で又は2種以上を混合し、また更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHP透明性及びトナー中への分散性の点から選択される。例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、着色剤の添加量は、重合性単量体又は樹脂100質量部に対して1乃至20質量部が用いられる。
【0086】
本発明で製造されるトナー粒子は離型剤を含有していても良い。本発明においてトナー粒子に使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。更には、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、或いはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックスなども使用できる。
【0087】
本発明に用いられるトナー粒子には、荷電制御剤を配合しても良い。荷電制御剤としては、公知のものが利用できる。更に、例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナー粒子を製造する場合には、重合阻害性が低く、水系分散媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料或いはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、スルフォン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0088】
本発明において例えば乳化重合法や懸濁重合法による湿式造粒法の場合、トナーに含有される重合性単量体としては以下のものが挙げられる。
【0089】
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−エチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル類;その他のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の単量体が挙げられる。
【0090】
本発明のトナーの製造方法において例えば懸濁重合法による湿式造粒法の場合、重合性単量体に樹脂を添加して重合しても良い。単量体では水溶性のため水性懸濁液中では溶解して乳化重合を起こすため使用できないアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、ニトリル基等親水性官能基含有の単量体成分をトナー中に導入したいときには、これらとスチレン又はエチレン等のビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体、或いはグラフト共重合体等の共重合体の形で、或いはポリエステル、ポリアミド等の重縮合体の形で、或いはポリエーテル、ポリイミン等の重付加重合体の形で使用が可能となる。
【0091】
これら樹脂の添加量としては、単量体100質量部に対し1乃至20質量部が好ましい。1質量部未満では添加効果が小さく、一方20質量部超添加すると重合トナーの種々の物性設計が難しくなるためである。
【0092】
更に、単量体を重合して得られるトナーの分子量範囲とは異なる分子量の重合体を単量体中に溶解して重合しても良い。
【0093】
本発明のトナーの製造方法において、重合開始剤を使用する場合は、重合反応時に半減期0.5乃至30時間であるものを、重合性単量体100質量部に対し0.5乃至20質量部の添加量で重合反応を行うと、分子量1万乃至10万の間に極大を有する重合体を得、トナーに望ましい強度と適当な溶融特性を与えることが出来る。重合開始剤例としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
【0094】
本発明のトナーを製造する際は、架橋剤を添加しても良く、好ましい添加量は重合性単量体100質部に対して0.001乃至15質量部である。
【0095】
ここで架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
【0096】
本発明において例えば懸濁重合法による湿式造粒法を選択した場合の具体的なトナー製造方法について説明する。
【0097】
まず、重合性単量体中に顔料、離型剤、可塑剤、荷電制御剤、架橋剤等トナーとして必要な成分及びその他の添加剤(例えば重合反応で生成する重合体の粘度を低下させるために入れる有機溶媒、高分子重合体、分散剤)を適宜加えて、均一に溶解または分散させて着色剤含有重合性単量体組成物を得る。この時、必要に応じて温調操作を行っても良い。この重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中にて懸濁し造粒する。
【0098】
このとき重合性単量体組成物の造粒を行うと同時に、又は造粒を行った後、重合開始剤を添加して上記組成物の重合を行う(重合工程)。重合開始剤の添加の具体的な時期としては、重合性単量体中に他の添加剤を添加する時同時に加えても良いし、水系媒体中に懸濁する直前に混合しても良い。また、造粒直後、重合反応を開始する前、重合反応中に追加の重合性単量体或いは溶媒に溶解した重合開始剤を加えることも出来る。
【0099】
造粒後は、温調を行いながら通常の撹拌機を用いて、粒子状態が維持され且つ粒子の浮遊・沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。
【0100】
トナー粒子を製造する場合には、分散安定剤として公知の界面活性剤や有機・無機分散剤が使用できる。中でも無機分散剤は有害な超微粉を生じ難く、その立体障害性により分散安定性を得ているので反応温度を変化させても安定性が崩れ難いため好ましい。無機分散剤としては、以下のものが挙げられる。燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、燐酸アルミニウム、燐酸亜鉛の如き燐酸多価金属塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩;メタ硅酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き無機塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムの如き無機水酸化物;シリカ、ベントナイト、アルミナの如き無機酸化物。
【0101】
これらの無機分散剤は、重合性単量体100質量部に対して、0.2乃至20質量部を単独で使用することが好ましい。0.001乃至0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
【0102】
界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム。
【0103】
これら無機分散剤を用いる場合には、そのまま使用しても良いが、より細かい粒子を得るため、水系媒体中にて前記無機分散剤粒子を生成させて用いることが出来る。例えば、燐酸カルシウムの場合、高速撹拌下、燐酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液とを混合して、水不溶性の燐酸カルシウムを生成させることができ、より均一で細かな分散が可能となる。この時、同時に水溶性の塩化ナトリウム塩が副生するが、水系媒体中に水溶性塩が存在すると、重合性単量体の水への溶解が抑制されて、乳化重合に依る超微粒トナーが発生し難くなるので、より好都合である。無機分散剤は、重合終了後に酸又はアルカリで溶解して、ろ過、洗浄等の次工程によりほぼ完全に取り除くことが出来る。
【0104】
前記重合工程においては、重合温度は40℃以上、一般には50乃至90℃の温度に設定して重合を行う。この温度範囲で重合を行うと、内部に封じられるべき離型剤やワックスの類が、相分離により析出して内包化がより完全となる。また、残存する重合性単量体を消費するために、重合反応終期ならば、反応温度を90乃至150℃にまで上げることは可能である。重合反応の終了後、得られたトナー粒子の分散液は本発明に係る脱水装置付きのベルトフィルターにて濾過、洗浄・脱水した後、好ましくは気流乾燥装置によって乾燥する。
【0105】
一般的に得られたトナー粒子は分級工程において所望の粒径範囲外の粗粉や微粉が除去され、トナー粒子を得ることが好ましい。なお、分級工程は、従来トナーの製造に用いられる公知の方法により行うことができ、特に限定されない。分級工程を経て得られたトナー粒子に無機微粉体の如き外添剤を混合して該トナー粒子の表面に付着させることによって、トナーを得ることができる。本発明においては、製造工程から分級工程を省き直接トナーを得ることも、また更に高精度な分級工程を行って、精度良く粗粉や微粉をカットすることも、好ましい形態の一つである。
【0106】
本発明において、トナー粒子には外添剤(流動化剤)として個数平均一次粒子径が4〜80nmの無機微粒子が添加され、トナーを得ることが好ましい形態である。
【実施例】
【0107】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。
【0108】
まず、本発明で用いたそれぞれの測定方法について以下に述べる。
【0109】
<トナーの粒度分布の測定及び個数変動係数の算定>
トナーの粒度分布は種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターを用いて行うことが好ましい。
【0110】
測定装置としてはコールターカウンターマルチサイザーIII型を用い、個数平均分布、
重量平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)及び一般的なパーソナルコンピューターを接続し、特級又は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を電解液として調製する。
【0111】
測定法としては前記電解水溶液130ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を1.5ml加え、さらに測定試料を10mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で2分間分散処理を行い、前記コールターカウンターマルチサイザーIII型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて、個数を基準として2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、トナー粒子の個数平均径(μm):D1、トナーの重量平均粒径(μm):D4等、各種値を求める。
【0112】
また上記個数分布における変動係数は下記式から算出される。
変動係数(%)=[S/D1]×100
[式中、Sはトナー粒子の個数分布における標準偏差を示す。]
【0113】
<脱水トナー粒子洗浄状態の評価>
洗浄状態は、脱水トナー粒子表面に残存する分散安定剤量によって評価した。残存分散安定剤量については、蛍光X線分析装置(RIX3000)を用い定量分析した。この残存分散安定剤量は、帯電性の観点から180ppm以下であることが好ましい。
【0114】
<含水率の測定>
本発明における含水率は、脱水トナー粒子ケーキ5gをアルミ皿に採取し、それを精秤(A[g])し、105℃に設定した乾燥機に1時間放置し、冷却後精秤(B[g])し、以下の式で計算した値である。
含水率[%]=((A−B)/A)×100
【0115】
<画像性能の評価/カブリ>
乾燥後に得られたトナー粒子100質量部に対し、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ3質量部を外添してトナーとした。このトナーを一成分系現像剤として、LBP5800;キヤノン製を用い、評価を行った。
【0116】
最初に、得られたトナーをカートリッジに100g充填し、N/L及びH/H環境下での耐久試験において、5000枚耐久後のカブリを測定した。方法としては、画出し前の普通紙の平均反射率Dr(%)をグリーンフィルターを搭載したリフレクトメーター(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER ODEL TC−6DS」)によって測定した。一方、普通紙上にベタ白画像を画出しし、次いでベタ白画像の反射率Ds(%)を測定した。カブリ:Fog(%)は下記式
Fog(%)=Dr(%)−Ds(%)
から算出する。
【0117】
(評価基準)
A:非常に良好(1.1%未満)
B:良好(1.1%以上2.5%未満)
C:普通(2.5%以上4.0%未満)
D:悪い(4%以上)
【0118】
〔実施例1〕
イオン交換水332質量部にNa3PO4・12H2Oを5質量部を投入し60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて毎秒58.3回転(3500rpm)にて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液27質量部を添加し、Ca3(PO42を含む水系媒体を得た。
【0119】
・スチレン単量体 70質量部
・n−ブチルアクリレート 30質量部
・飽和ポリエステル樹脂 8質量部
<プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(重合モル比10:12)、Tg=68℃、Mw=10000、Mw/Mn=5.12>
・HNP−5(日本精鑞社製) 8質量部
・カーボンブラック(BET比表面積=80m2/g、吸油量=120ml/100g)
8質量部
・E−88(オリエント化学工業社製) 1質量部
・亜鉛フタロシアニン 0.1質量部
上記材料を、60℃に加温し30分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0120】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミックスにて毎秒75回転(4500rpm)で15分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
【0121】
その後、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック社製)で撹拌しつつ、70℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、フルゾーン撹拌翼で撹拌を続けながら飽和水蒸気(ピュアスチーム/スチーム圧力205kPa/温度120℃)を導入した。飽和水蒸気の導入を開始から20分後、容器内の内容物の温度は100℃に達し、蒸留留分が出始めた。所定量の留分を得ることで残存モノマーを留去し、冷却してトナー粒子の分散液を得た。
【0122】
トナー粒子の分散液に塩酸を加えてトナー粒子表面のリン酸カルシウム塩を溶解した後、発泡を抑制しつつ、脱水装置12を具備したベルトフィルター(月島機械社製、シンクロフィルター改造型)に送り、下記の条件にて洗浄・脱水して、脱水トナー粒子ケーキを得た。
【0123】
<脱水装置を具備するベルトフィルターの脱水・洗浄条件>
ろ過面積:0.02m2
トナー粒子分散液供給量:180Kg/hr
処理時間:処理時間(濾布停止時間)/移動時間90sec/20sec
減圧度:−60kPa
ケーキ洗浄液7a:アルカリ水(pH10)供給スラリー中の固形分の3倍量
ケーキ洗浄液7b:純水(pH6)供給スラリー中の固形分の3倍量
通気圧(圧縮空気):250kPa
気体通気時間:80秒
シール時間(伸縮部材膨張時間):85秒(最終スパンに脱水装置を設置し、最終スパンにベルトが停止する時間90秒中の85秒間シールを行った。)
伸縮部材膨張時内圧:500kPa シールを行わない場合は、大気圧
伸縮部材材質:エアバッグ(ポリエステル、表面コート:クロロプレンゴム)
シール部材材質:クロロプレン(CR)ゴム状弾性体 単独気泡構造 硬度25°
気体吐出部と真空トレイ底面の距離K:35mm
【0124】
上記により得られた脱水トナー粒子の含水率は21質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子のケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は100ppmであり良好なものであった。
【0125】
その後、脱水トナー粒子のケーキを解砕しつつ以下の条件で気流乾燥を行いトナー粒子を得た。
【0126】
<気流乾燥機乾燥条件>
気流乾燥機(セイシン企業社製:フラッシュジェットドライヤー:配管径0.1016m)
吹込み温度:90℃
吹込み風量:10m3/min
脱水トナー粒子供給量:55kg/hr
乾燥機出口温度:40℃
【0127】
乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径(D4)は6.2μm、含水率は0.2質量%であった。
【0128】
得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0129】
〔実施例2〕
通気圧(圧縮空気)を350kPaにした以外は、実施例1と同様の方法でトナー粒子を作製した。
【0130】
濾過工程後の脱水トナー粒子の含水率は19質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は90ppmであり良好なものであった。
【0131】
また、乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.2μm、含水率は0.2質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0132】
〔実施例3〕
実施例1と同様にしてトナー粒子の分散液を得た。
【0133】
トナー粒子の分散液に塩酸を加えてトナー粒子表面のリン酸カルシウム塩を溶解した後、発泡を抑制しつつ、脱水装置12を具備したベルトフィルター(月島機械社製、シンクロフィルター改造型)に送り、下記の条件にて洗浄・脱水して、脱水トナー粒子ケーキを得た。
【0134】
<脱水装置を具備するベルトフィルターの脱水・洗浄条件>
ろ過面積:0.02m2
トナー粒子分散液供給量:180Kg/hr
処理時間:処理時間(濾布停止時間)/移動時間90sec/20sec
減圧度:−60kPa
ケーキ洗浄液7a:アルカリ水(pH10)供給スラリー中の固形分の3倍量
ケーキ洗浄液7b:純水(pH6)供給スラリー中の固形分の3倍量
通気圧(圧縮空気):250kPa
気体通気時間:80秒
シール時間(伸縮部材膨張時間):85秒(最終スパンに脱水装置を設置し、最終スパンにベルトが停止する時間90秒中の85秒間シールを行った。)
伸縮部材圧:500kPa シールを行わない場合は、脱圧力
伸縮部材材質:エアーシリンダ(CKD(株)製 セレックスシリンダ複動型)
シール部材材質:クロロプレン(CR)ゴム状弾性体 単独気泡構造 硬度25°
気体吐出部と真空トレイ底面の距離K:35mm
【0135】
上記により得られた脱水トナー粒子の含水率は18質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子のケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は85ppmであり良好なものであった。
【0136】
その後、脱水トナー粒子のケーキを解砕しつつ実施例1と同等の条件で気流乾燥を行いトナー粒子を得た。
【0137】
乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.2μm、含水率は0.2質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0138】
〔実施例4〕
通気圧(圧縮空気)を350kPaにした以外は、実施例3と同様の方法でトナー粒子を作製した。
【0139】
濾過工程後の脱水トナー粒子の含水率は15質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は80ppmであり良好なものであった。
【0140】
また、乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.2μm、含水率は0.15質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0141】
〔実施例5〕
通気圧(圧縮空気)を150kPaにした以外は、実施例3と同様の方法でトナー粒子を作製した。
【0142】
濾過工程後の脱水トナー粒子の含水率は23質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は110ppmであり良好なものであった。
【0143】
また、乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.2μm、含水率は0.3質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0144】
〔実施例6〕
通気圧(圧縮空気)を40kPaにして乾燥機への脱水トナー粒子供給量を30kg/hrにした以外は、実施例3と同様の方法でトナー粒子を作製した。
【0145】
濾過工程後の脱水トナー粒子の含水率は28質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は170ppmであり良好なものであった。
【0146】
また、乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.4μm、含水率は0.3質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0147】
〔実施例7〕
伸縮部材圧:600kPa、通気圧(圧縮空気)を400kPaにした以外は、実施例3と同様の方法でトナー粒子を作製した。
【0148】
濾過工程後の脱水トナー粒子の含水率は14質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は80ppmであり良好なものであった。
【0149】
また、乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.2μm、含水率は0.15質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0150】
〔実施例8〕
シール部接触面材質をエチレンプロピレン(EPDM)共重合体ゴム状弾性体(単独気泡構造)、硬度30°にした以外は、実施例3と同様の方法でトナー粒子を作製した。
【0151】
濾過工程後の脱水トナー粒子の含水率は19質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は90ppmであり良好なものであった。
【0152】
また、乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.2μm、含水率は0.2質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0153】
〔実施例9〕
シール部接触面材質をポリウレタンゴム状弾性体(連続気泡構造)、硬度20°にした以外は、実施例3と同様の方法でトナー粒子を作製した。
【0154】
濾過工程後の脱水トナー粒子の含水率は22質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は110ppmであり良好なものであった。
【0155】
また、乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.2μm、含水率は0.3質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0156】
〔実施例10〕
シール部接触面材質をポリウレタンゴム状弾性体(半連続気泡構造)、硬度25°にした以外は、実施例3と同様の方法でトナー粒子を作製した。
【0157】
濾過工程後の脱水トナー粒子の含水率は17質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は85ppmであり良好なものであった。
【0158】
また、乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.2μm、含水率は0.2質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0159】
〔実施例11〕
気体吐出部と真空トレイ底面の距離Kを400mmにした以外は、実施例3と同様の方法でトナー粒子を作製した。
【0160】
濾過工程後の脱水トナー粒子の含水率は24質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は140ppmであり良好なものであった。
【0161】
また、乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.3μm、含水率は0.3質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0162】
〔実施例12〕
気体吐出部と真空トレイ底面の距離Kを15mmにした以外は、実施例3と同様の方法でトナー粒子を作製した。
【0163】
濾過工程後の脱水トナー粒子の含水率は20質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は90ppmであり良好なものであった。
【0164】
また、乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.2μm、含水率は0.2質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0165】
〔実施例13〕
実施例1と同様にしてトナー粒子の分散液を得た。
【0166】
トナー粒子の分散液に塩酸を加えてトナー粒子表面のリン酸カルシウム塩を溶解した後、発泡を抑制しつつ、脱水装置12を具備したベルトフィルター(月島機械社製、シンクロフィルター改造型)に送り、下記の条件にて洗浄・脱水して、脱水トナー粒子ケーキを得た。
【0167】
<脱水装置を具備するベルトフィルターの脱水・洗浄条件>
ろ過面積:0.02m2
トナー粒子分散液供給量:180Kg/hr
処理時間:処理時間(濾布停止時間)/移動時間90sec/20sec
減圧度:−60kPa
ケーキ洗浄液7a:アルカリ水(pH10)供給スラリー中の固形分の3倍量
ケーキ洗浄液7b:純水(pH6)供給スラリー中の固形分の3倍量
通気圧(圧縮空気):250kPa
気体通気時間:80秒
シール時間(伸縮部材膨張時間):85秒(最終スパンに脱水装置を設置し、最終スパンにベルトが停止する時間90秒中の85秒間シールを行った。)
伸縮部材圧:500kPa シールを行わない場合は、脱圧力
伸縮部材材質:空気ばね スミマウント(住友電気工業社製)
シール部材材質:クロロプレン(CR)ゴム状弾性体 単独気泡構造 硬度25°
気体吐出部と真空トレイ底面の距離K:35mm
【0168】
上記により得られた脱水トナー粒子の含水率は20質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子のケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は100ppmであり良好なものであった。
【0169】
その後、脱水トナー粒子のケーキを解砕しつつ実施例1と同等の条件で気流乾燥を行いトナー粒子を得た。
【0170】
乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.2μm、含水率は0.2質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0171】
〔実施例14〕
イオン交換水332質量部にNa3PO4・12H2Oを5質量部を投入し60℃に加温した後、クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて毎秒58.3回転(3,500rpm)にて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液27質量部を添加し、Ca3(PO42を含む水系媒体を得た。
【0172】
・スチレン単量体 70質量部
・n−ブチルアクリレート 30質量部
・下記製法により得られたシランカップリング剤処理磁性体 80質量部
・飽和ポリエステル樹脂 8質量部
<プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(重合モル比10:12)、Tg=68℃、Mw=10000、Mw/Mn=5.12>
・エステルワックス(Mw=1200,Mn=750,Mw/Mn=1.6)
7質量部
・E−88(オリエント化学工業社製) 1質量部
上記材料を、60℃に加温し30分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0173】
<磁性体の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対しリン元素換算で1.5質量%のヘキサメタ燐酸ソーダ、鉄元素に対して珪素元素換算で1.5質量%の珪酸ソーダを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。
【0174】
水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
【0175】
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーを濾過、洗浄した。次に、この含水スラリーを別の水系媒体中に再分散させた後、再分散液のpHを約4.5に調整し、十分撹拌しながらn−ヘキシルトリメトキシシランを磁性酸化鉄100質量部に対し2.0質量部添加し、加水分解を行った。その後、分散液のpHを約10にし、縮合反応を行い、カップリング処理を行った。生成した疎水性磁性微粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、得られた粒子を解砕処理した。得られた磁性微粒子は、体積平均粒径が0.20μmであった。
【0176】
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2雰囲気下において、クレアミックスにて毎秒75回転(4500rpm)で15分間撹拌し、重合性単量体混合物を造粒した。
【0177】
その後、フルゾーン撹拌翼(神鋼パンテック社製)で撹拌しつつ、70℃に昇温し、10時間反応させた。重合反応終了後、フルゾーン撹拌翼で撹拌を続けながら飽和水蒸気(ピュアスチーム/スチーム圧力205kPa/温度120℃)を導入した。飽和水蒸気の導入を開始から20分後、容器内の内容物の温度は100℃に達し、蒸留留分が出始めた。所定量の留分を得ることで残存モノマーを留去し、冷却してトナー粒子の分散液を得た。
【0178】
トナー粒子の分散液に塩酸を加えてトナー粒子表面のリン酸カルシウム塩を溶解した後、発泡を抑制しつつ、脱水装置3を具備したベルトフィルター(月島機械社製、シンクロフィルター改造型)に送り、実施例1の条件にて脱水・洗浄して、脱水トナー粒子のケーキを得た。
【0179】
上記により得られた脱水トナー粒子の含水率は15質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は70ppmであり良好なものであった。
【0180】
その後、脱水トナー粒子のケーキを解砕しつつ実施例1と同条件で気流乾燥を行いトナー粒子を得た。
【0181】
乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.3μm、含水率は0.2質量%であった。
【0182】
この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0183】
〔実施例15〕
実施例3において脱水機の条件を下記のような条件にする以外は同様な条件にて脱水トナー粒子を得た。
【0184】
脱水装置を具備するベルトフィルターの脱水・洗浄条件>
ろ過面積:0.02m2
トナー粒子分散液供給量:180Kg/hr
処理時間:処理時間(濾布停止時間)/移動時間90sec/20sec
減圧度:−60kPa
ケーキ洗浄液7a:アルカリ水(pH10)供給スラリー中の固形分の3倍量
ケーキ洗浄液7b:純水(pH6)供給スラリー中の固形分の3倍量
通気圧1(圧縮空気):250kPa
通気圧2(圧縮空気):400kPa
気体通気時間1(通気圧1の時):40秒
気体通気時間2(通気圧2の時):40秒
シール時間1(伸縮部材膨張時間/通気時間1の際のシール時間に該当):43秒
シール時間2(伸縮部材膨張時間/通気時間2の際のシール時間に該当):42秒
(最終スパンに脱水装置を設置し、最終スパンにベルトが停止する時間90秒中の合計85秒間シールを行った。)
伸縮部材圧1:500kPa (シール時間1の間)
伸縮部材圧2:600kPa (シール時間2の間)
但し、シールを行わない場合は、脱圧力
伸縮部材材質:エアーシリンダ(CKD(株)製 セレックスシリンダ複動型)
シール部材材質:クロロプレン(CR)ゴム状弾性体 単独気泡構造 硬度25°
気体吐出部と真空トレイ底面の距離K:35mm
【0185】
得られた脱水トナー粒子の含水率は16質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子のケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は80ppmであり良好なものであった。
【0186】
その後、脱水トナー粒子のケーキを解砕しつつ実施例1と同条件で気流乾燥を行いトナー粒子を得た。
【0187】
乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.2μm、含水率は0.2質量%であった。
【0188】
この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0189】
〔比較例1〕
脱水装置を稼動させないことと、乾燥機への脱水トナー粒子の供給量を20kg/hrにした以外は、実施例1と同様の方法でトナー粒子を作製した。
【0190】
濾過工程後の湿潤トナー粒子(未脱水)の含水率は35質量%であった。また、この時の湿潤トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は250ppmであった。
【0191】
また、乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.5μm、含水率は0.5質量%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0192】
〔比較例2〕
脱水装置を稼動させないことと、乾燥機への脱水トナー粒子の供給量を20kg/hrにした以外は実施例13と同様にしてトナー粒子を作製した。
【0193】
濾過工程後の湿潤トナー粒子の含水率は30%であった。また、この時の湿潤トナー粒子ケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は230ppmであった。
【0194】
また、乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.6μm、含水率は0.4%であった。この得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0195】
〔比較例3〕
実施例1と同様にして得られたトナー粒子の分散液を、図8に示す態様の圧搾ロールを具備するベルトフィルターに送り、下記の条件にて脱水・洗浄して、脱水トナー粒子のケーキを得た。
【0196】
<圧搾ロールを具備するベルトフィルターの脱水・洗浄条件>
ろ過面積:0.02m2
トナー粒子分散液供給量:180Kg/hr
処理時間:処理時間(濾布停止時間)/移動時間 90sec/20sec
減圧度:−60kPa
ケーキ洗浄液10a:アルカリ水(pH10)供給スラリー中の固形分の3倍量
ケーキ洗浄液10b:純水(pH6) 供給スラリー中の固形分の3倍量
上部圧搾ロール:回転可能に固定。
下部圧搾ロール:回転可能及び上部圧搾ロールに加圧可能に駆動。
下部圧搾ロール押付け圧:0.3Mpa
【0197】
上記により得られた脱水トナー粒子の含水率は31質量%であった。また、この時の脱水トナー粒子のケーキの洗浄状態を上記した蛍光X線分析装置で分析したところ残存する分散安定剤量は230ppmであった。
【0198】
その後、脱水トナー粒子のケーキを解砕しつつ、供給量を20kg/hrに減らした以外は実施例1の条件で気流乾燥を行いトナー粒子を得た。
【0199】
乾燥工程後のトナー粒子の重量平均粒径は6.4μm、含水率は0.3質量%であった。
【0200】
得られたトナー粒子を、前述した画像性能の評価方法に従い評価を行った。結果を表1に示す。
【0201】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】濾布走行式ベルトフィルター及び脱水装置を含んだ濾過システムの側面図を示す。
【図2】脱水装置の側面図を示す。
【図3】脱水装置の斜視図を示す。
【図4】本発明にかかるシール手段の拡大図を示す。
【図5】気体吐出部とシール部材と湿潤トナー粒子ケーキから構成される空間を示す概略断面図を示す。
【図6】図5内のA−A’断面図を示す。
【図7】気体吐出部とシール部材と湿潤トナー粒子ケーキから構成される空間を示す概略断面図の他の例を示す。
【図8】従来の他の固液分離及び脱水装置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0203】
1 ロール
2 濾布
3 送液口
4 真空トレイ
5 湿潤トナー粒子ケーキ
6 濾布洗浄装置
7 7a、7b、7c ケーキ洗浄装置
8 脱水装置
9 通気ユニット
10 伸縮部材
11 11a、11b シール部材
12 脱水装置
13 空間
14 気体吐出部
15 気体供給配管
16 バッファー室
17 脱水トナーケーキ
18 穿孔
19 上部圧搾ロール
20 下部圧搾ロール
21 静止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系分散媒体中で製造されたトナー粒子を分散媒体から濾別する濾布走行式ベルトフィルターに用いる脱水装置を有するトナー粒子の製造装置であり、該脱水装置は、濾別して得られた湿潤トナー粒子のケーキに気体を通気して脱水する通気手段と通気される気体をシールするシール手段が具備され、
(I)該シール手段は、少なくとも気体で膨張する伸縮部材を有するシールユニットであり、
(II)該通気手段は、気体吐出部を有し、該湿潤トナー粒子のケーキに気体を通気する通気ユニットであり、
該シールユニットは、少なくとも該湿潤トナー粒子のケーキと該シールユニットの間から通気する気体が漏れないように、シールを行う機構であることを特徴とするトナー粒子の製造装置。
【請求項2】
該濾布走行式ベルトフィルターは、真空トレイの上部を濾布が走行し、該濾布にてトナー粒子を分散媒体から濾別して湿潤トナー粒子ケーキを形成する構成であり、該真空トレイは、濾布の下部から真空引きができることを特徴とする請求項1に記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項3】
該通気ユニットは、少なくとも前記気体吐出部と該気体吐出部の上部に具備された気体を蓄積させるバッファー室を有し、前記した真空トレイに静止部材を介して固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項4】
該シールユニットは該濾布走行式ベルトフィルターの濾布進行方向に対して少なくとも上流側と下流側の2箇所に具備され、該通気ユニットから通気する気体が漏れないように、シールを行う機構であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項5】
該シールユニットは、少なくとも(1)該湿潤トナー粒子のケーキと該シールユニットの間、又は、少なくとも(2)該湿潤トナー粒子のケーキと該シールユニットの間、と通気ユニットと該シールユニットの間から通気する気体が漏れないように、シールを行う機構であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項6】
該伸縮部材はダイヤフラム又はエアーバッグとされ、気体が供給・排出されることにより伸縮して変形する構成とされたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項7】
該伸縮部材はエアーシリンダーとされ、気体が供給・排出されることにより伸縮して変形する構成とされたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項8】
少なくとも該シールユニットと該湿潤トナー粒子ケーキの接触面材質が、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレン共重合体、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、有機ポリシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレンの何れから選択される重合体であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項9】
該重合体の構造が、ゴム状弾性体であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項10】
該重合体の構造が、気泡を含む発泡体であることを特徴とする請求項8又は9に記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項11】
該発泡体の構造が、連続気泡構造、半連続気泡構造、或いは、単独気泡構造であることを特徴とする請求項10に記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項12】
少なくとも前記(I)気体吐出部(II)シールユニット(III)湿潤トナー粒子ケーキから構成される空間に該気体吐出部から気体を吐出し、該湿潤トナー粒子ケーキに通気して脱水することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項13】
前記気体吐出部は穿孔を有し、穿孔より気体を吐出することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項14】
該気体吐出部と濾布の下部にある真空トレイ底面からの距離をKとすると、15(mm)≦K≦400(mm)の範囲内になるように通気ユニットは固定されていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項15】
前記ベルトフィルターが濾布間欠運動型のベルトフィルターであることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項16】
前記シール部材の駆動は、前記濾布間欠運動型ベルトフィルターの間欠運動と連動していることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載のトナー粒子の製造装置。
【請求項17】
水系分散媒体中で製造されたトナー粒子分散液を脱水装置を具備する濾布走行式ベルトフィルターを用いて、固液分離、脱水する濾過工程を含むトナー粒子の製造方法であって、該脱水装置は濾別して得られた湿潤トナー粒子のケーキに気体を通気して脱水する通気手段と通気される気体をシールするシール手段が具備され、
(I)該シール手段は、少なくとも気体で膨張する伸縮部材を含むシールユニットであり、
(II)該通気手段は、気体吐出部を有し、該湿潤トナー粒子のケーキに気体を通気する通気ユニットであり、
該シールユニットは、少なくとも該湿潤トナー粒子のケーキと該シールユニットの間から通気する気体が漏れないようにシールを行うユニットであって、該通気により湿潤トナー粒子ケーキを脱水することを特徴とするトナー粒子の製造方法。
【請求項18】
該濾布走行式ベルトフィルターは、真空トレイの上部を濾布が走行し、該濾布にてトナー粒子を分散媒体から濾別して湿潤トナー粒子ケーキを形成する構成であり、該真空トレイは、濾布の下部から真空引きができることを特徴とする請求項17に記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項19】
該通気ユニットは、少なくとも前記気体吐出部と該気体吐出部の上部に具備された気体を蓄積させるバッファー室を有し、前記した真空トレイに静止部材を介して固定されていることを特徴とする請求項17又は18に記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項20】
該シールユニットは該濾布走行式ベルトフィルターの濾布進行方向に対して少なくとも上流側と下流側の2箇所に具備され、該通気ユニットから通気する気体が漏れないように、シールを行うことを特徴とする請求項17乃至19のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項21】
該シールユニットは、少なくとも(1)該湿潤トナー粒子のケーキと該シールユニットの間、又は、少なくとも(2)該湿潤トナー粒子のケーキと該シールユニットの間、と通気ユニットと該シールユニットの間から通気する気体が漏れないように、シールを行うことを特徴とする請求項17乃至20のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項22】
該伸縮部材はダイヤフラム又はエアーバッグであり、気体が供給・排出されることにより伸縮して変形する構成とされたことを特徴とする請求項17乃至21のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項23】
該伸縮部材はエアーシリンダーであり、気体が供給・排出されることにより伸縮して変形する構成とされたことを特徴とする請求項17乃至21のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項24】
少なくとも該シールユニットと該湿潤トナー粒子ケーキの接触面材質が、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレン共重合体、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、有機ポリシロキサン、ポリエチレン、ポリプロピレンの何れから選択される重合体であることを特徴とする請求項17乃至23のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項25】
該重合体の構造が、ゴム状弾性体であることを特徴とする請求項17乃至24のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項26】
該重合体の構造が、気泡を含む発泡体であることを特徴とする請求項24又は25に記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項27】
該発泡体の構造が、連続気泡構造、半連続気泡構造、或いは、単独気泡構造であることを特徴とする請求項26に記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項28】
少なくとも前記(I)気体吐出部(II)シールユニット(III)湿潤トナー粒子ケーキから構成される空間に該気体吐出部から気体を吐出し、該湿潤トナー粒子ケーキに通気して脱水することを特徴とする請求項17乃至27のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項29】
前記気体吐出部は穿孔を有し、穿孔より気体を吐出することを特徴とする請求項17乃至28のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項30】
該気体吐出部と濾布の下部にある真空トレイ底面からの距離をKとすると、15(mm)≦K≦400(mm)の範囲内になるように通気ユニットは固定されていることを特徴とする請求項17乃至29のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項31】
前記ベルトフィルターが濾布間欠運動型のベルトフィルターであることを特徴とする請求項17乃至30のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項32】
前記シール部材の駆動は、前記濾布間欠運動型ベルトフィルターの間欠運動と連動していることを特徴とする請求項17乃至31のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項33】
通気手段により通気される気体の圧力P1は、
10(kPa)≦P1≦700(kPa)
であることを特徴とする請求項17乃至32のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項34】
該トナー粒子は、重合性単量体及び着色剤を少なくとも有する重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合して生成したトナー粒子であることを特徴とする請求項17乃至33のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項35】
該トナー粒子は、水系分散媒体中で微小樹脂粒子と着色剤を少なくとも凝集させることにより生成したトナー粒子であることを特徴とする請求項17乃至34のいずれかに記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項36】
該着色剤は非磁性着色剤であることを特徴とする請求項34又は35に記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項37】
該着色剤はシランカップリング剤で処理された磁性体であることを特徴とする請求項34又は35に記載のトナー粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−112153(P2008−112153A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260712(P2007−260712)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】