説明

トポイソメラーゼII阻害剤、ビス−ジオキシピペラジン及び放射線を用いた癌治療

本発明は、治療を必要としている被験体に、有効量のトポイソメラーゼII毒、例えばエトポシドを、ビス-ジオキシピペラジン、例えばデクスラゾキサンと組み合わせて投与し、放射線を用いて該被験体をさらに治療することを含む、腫瘍細胞の治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、放射線、トポイソメラーゼII阻害剤及びビス-ジオキシピペラジン(bis-dioxypiperazine)の3つの組み合わせを用いた脳腫瘍の治療、並びに脳腫瘍に罹患し放射線療法を受けている患者の治療方法において使用するための、トポイソメラーゼII阻害剤とビス-ジオキシピペラジンの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
最も多頻度の原発部位としての肺(50%)又は乳房(20%)において癌の経過中に脳転移があると診断された癌患者は癌患者の25%である(1-3)。局所的な積極的治療に適していない患者は、依然として対症療法の中心となっている全脳放射線療法(WBRT)を受けている。診断後の生存期間中央値はわずか3〜4ヶ月間であり、約40%の症例において、脳での進行は死への過程である(4-6)。
【0003】
化学療法も選択肢となることが多く、トポイソメラーゼII標的薬物の中で最も広範囲に研究されている薬物は、例えばエトポシド、テニポシド及びドキソルビシンである。これらの薬物は、核酵素トポイソメラーゼIIを「毒する」。トポイソメラーゼIIは、DNA代謝中に二本鎖DNAを切断して再結合し、別のDNA鎖を通過させる(7)。エトポシドは「クランプ開環(open-clamp)」構造中でDNA-トポイソメラーゼII複合体を安定化して再閉鎖を阻害し、これによってDNA損傷、鎖切断及び細胞死をもたらす(8)。
【0004】
トポイソメラーゼIIを介した細胞毒性のほか、エトポシドと放射線療法との組み合わせもまたin vitroで相乗的殺細胞をもたらす(9-13)。相乗効果は、薬のインキュベーションが同時的で放射線照射後である場合、及び一部の細胞の死滅(fractional cell-kill)の臨界値に達する場合に得られ、用量が重要であることを示している。この相互作用の背後の機構はよく知られておらず、DNA損傷修復の妨害及び放射線誘発損傷の固定化に関する推測は未だに明らかになってはいない。
【0005】
エピポドフィロトキシンであるエトポシド及びテニポシドは、原発性脳腫瘍の患者及び転移性脳腫瘍の患者の両方において、放射線療法と組み合わせて試験されており、脳転移を伴うSCLC(Small Cell Lung Cancer:小細胞肺癌)においては、テニポシド単独を用いた後の応答率が33%であったのに対して、WBRTとテニポシドとの併用後の応答率は57%であり、毒性は増加しなかったが、生存期間の増加は見られなかった(14)。
【0006】
デクスラゾキサン(ICRF-187)もまたトポイソメラーゼIIを標的とするが、上記の毒とは対照的に、デクスラゾキサンはこの酵素を触媒的に阻害し、DNA-トポイソメラーゼII複合体の「クランプ閉環」構造を安定化させ、毒によるDNA損傷に対する該酵素の感受性を低下させる(15;16)。
【0007】
in vitroでは、デクスラゾキサンはトポイソメラーゼII毒により誘発されるDNA鎖切断の形成を阻害し、且つクローン原性アッセイにおいてエトポシドの毒性に拮抗する(17)。
【0008】
WO97/24044は腫瘍治療のための併用療法として、トポイソメラーゼII毒のビス-ジオキシピペラジン誘導体との併用を開示する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の開示
発明者らは、放射線療法を受けている被験体の脳腫瘍の治療における、デクスラゾキサンと組み合わせたエトポシドの作用を研究している。試験動物の生存期間は、デクスラゾキサン単独又は放射線療法単独のいずれかのみと併せたエトポシドの使用と比較して、この3つの組み合わせによって驚くほど伸びたことが見出されている。
【0010】
従って、第1の態様において、本発明は、治療を必要とする被験体に有効量のトポイソメラーゼII毒をビス-ジオキシピペラジンと組み合わせて投与し、放射線を用いて該被験体をさらに治療することを含む、腫瘍細胞の治療方法を提供する。
【0011】
他の態様において、この方法は、放射線療法を受けている患者の腫瘍治療における同時使用、個別使用又は連続使用のための複合製剤としての、トポイソメラーゼII毒及びビス-ジオキシピペラジンを提供する。
【0012】
別の態様において、本発明は、腫瘍治療における、トポイソメラーゼII毒及びビス-ジオキシピペラジンの同時使用、個別使用又は連続使用、並びに電離放射線源の個別使用又は連続使用のための複合製剤としての、トポイソメラーゼII毒、ビス-ジオキシピペラジン及び電離放射線源を提供する。
【0013】
或いは、本発明は、腫瘍治療における、個別使用又は連続使用のための複合製剤としての、トポイソメラーゼII毒、ビス-ジオキシピペラジン及び電離線を含む電磁放射線を提供する。
【0014】
本発明はまた、腫瘍治療のために放射線療法を受けている患者の治療における、同時使用、個別使用又は連続使用のための複合製剤としての医薬品の製造のための、ビス-ジオキシピペラジンと組み合わせたトポイソメラーゼII毒の使用も提供する。
【0015】
本発明は、放射線療法を受けている被験体であって、トポイソメラーゼII毒の投与時にはビス-ジオキシピペラジンを用いた治療を受けている被験体の、腫瘍の治療における医薬品の製造のための、トポイソメラーゼII毒の使用をさらに提供する。
【0016】
本発明は、放射線療法を受けている被験体であって、ビス-ジオキシピペラジンの投与時にはトポイソメラーゼII毒を用いた治療を受けている被験体の腫瘍の治療における医薬品の製造のための、ビス-ジオキシピペラジンの使用をさらに提供する。
【0017】
別の態様において、本発明は、腫瘍に対する放射線療法を用いて被験体を治療する方法であって、該患者は治療の前24時間以内にトポイソメラーゼII毒及びビス-ジオキシピペラジンの投与を受けている、被験体を治療する方法を提供する。
【0018】
別の態様において、本発明は、治療の前24時間以内にトポイソメラーゼII毒及びビス-ジオキシピペラジンの投与を受けている患者の治療のための医薬品の製造における、電磁放射線の使用を提供する。
【0019】
被験体は、任意の動物被験体又はヒト被験体であってよい。好ましくは、被験体はヒトの患者である。しかしながら、獣医学的用途、例えば大型哺乳動物、イヌなどの家庭のペットへの適用もまた意図される。
【0020】
特定の態様において、腫瘍は中枢神経系の腫瘍である。この腫瘍は、小細胞肺癌又は非小細胞肺癌などの原発性腫瘍の伝播から生じる脳転移を含む。
【0021】
本明細書において用いられる、治療という用語は、腫瘍細胞を殺し、又は腫瘍細胞の増殖を阻害するための任意の治療を含む。このような治療としては、腫瘍の重篤性を緩和することを目的とした治療、例えば腫瘍を治すこと又は腫瘍に伴う症状の軽減を与えることを目的とした治療が挙げられる。腫瘍が発達する危険性がある個体において、特に転移の場合、さらにCNSにおける転移の場合、腫瘍の発達を妨げ又は抑止するための予防的治療もまた挙げられる。例えば治療は、従来の方法によって検出するには大きくなりすぎる前の微小転移巣の殺傷に向けられてもよい。
【0022】
別の態様において、本発明は、転移性腫瘍細胞、例えばCNSの転移性腫瘍細胞を含む腫瘍細胞の治療のin vitro法であって、トポイソメラーゼII毒、ビス-ジオキシピペラジン及び電離放射線治療の同時使用、個別使用又は連続使用を含む上記治療方法に関する。このようなin vitro法は、この治療法に対するこれらの細胞の応答性を測定するために、患者から得た細胞のサンプルに対して行うことができる。細胞の応答性は、患者が本発明による治療上の処置に応答する可能性があるか否かを決定するため、及び/又は治療の構成成分の好適な用量を決定するために使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
発明の詳細な説明
本知見は、トポイソメラーゼII毒及びビス-ジオキシピペラジンの使用が、放射線療法にさらされている環境にこれらが投与される場合により効果的であることを示唆する。
【0024】
「同時」投与という語は、トポイソメラーゼII毒とビス-ジオキシピペラジンとを単回投与で、同一の投与経路により被験体に投与することを意味する。
【0025】
「個別」投与という語は、トポイソメラーゼII毒、ビス-ジオキシピペラジン及び、場合によっては放射線を、2つの異なる投与経路により被験体に同時に投与することを意味する。この投与は、例えば1つの構成成分が注入により投与され、この注入の間にもう1つの構成成分が経口的に与えられる場合に行うことができる。
【0026】
「連続」という語は、第2の薬剤を投与する時点で、最初に投与した薬剤の活性が存在し、被験体中で持続していることを条件として、2つ又は3つの構成成分を異なる時点で投与することを意味する。例えば、ビス-ジオキシピペラジンは、CNSの外側の非腫瘍組織における保護作用がトポイソメラーゼII毒の投与前に確立するように、最初に投与することができる。2つの薬剤は両方とも、電磁放射線の照射前に投与してよい。
【0027】
1つの実施形態において、3つの構成成分は連続的に投与され、最初にビス-ジオキシピペラジンを、第2にトポイソメラーゼII毒を投与し、第3に放射線を照射する。望ましくはトポイソメラーゼII毒を、ビス-ジオキシピペラジン投与の24時間以内、好ましくは12時間以内、より好ましくは4時間以内、そして最も好ましくは1時間以内に投与する。
【0028】
或いは、トポイソメラーゼII毒とビス-ジオキシピペラジンとを同時に又は個別に投与し、その後放射線を照射してもよい。
【0029】
上記のいずれの実施形態においても、放射線は、最後に投与するいずれかの化学薬剤の投与に続いて照射することができる。望ましくは放射線を、第2の化学薬剤投与の24時間以内、好ましくは12時間以内、より好ましくは4時間以内、そして最も好ましくは1時間以内に照射する。
【0030】
本発明によれば、トポイソメラーゼII毒は、エトポシド (VP-16)、リン酸エトポシド、テニポシド(VM-26)(VP-16より約10倍強力な効力を有する)、m-AMSA (m-アムサクリン)、ダウノルビシン、及びミトキサントロンを含む薬物である。さらに、酵素がDNA中に切断可能複合体を作った段階で核酵素トポイソメラーゼIIの追放(relegation)段階を阻害するトポイソメラーゼII毒はいずれも、本発明により使用することができる。
【0031】
好ましいトポイソメラーゼII毒は、エトポシド 9-[[4,6-O-(1R)-エチリデン-β-D-グルコピラノシル]オキシ]-5,8,8a,9-テトラヒドロ-5-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)-(5R,5aR,8aR,9S)-フロ[3',4':6,7]ナフト[2,3-d]-1,3-ジオキソール-6(5aH)-オン)であり、これは遊離化合物又はその塩、特にリン酸塩の形態で用いることができる。
【0032】
本発明において用いることができるビス-ジオキシピペラジン化合物は、一般式I:
【化1】

【0033】
[式中、R1はR2と同じではなく、R1及びR2は、水素、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキルである。この化合物は、(-)左旋性、(+)右旋性又は(+/-)ラセミの形態であってよい。好ましくは、R1はメチルであり、R2は水素である]
に示す構造を有するビス(3,5-ジオキソピペラジン-l-イル)アルカンである。
【0034】
本発明において使用するための好ましいビス-ジオキシピペラジンは、デクスラゾキサン((S)-(+)-1,2-ビス(3,5-ジオキソピペラジン-1-イル)プロパン)であり、ICRF-187又はZinecard(商標)としても知られている。
【0035】
本発明において、トポイソメラーゼ毒とビス-ジオキシピペラジンとの組合わせは、エトポシドとデクスラゾキサンであることが好ましい。
【0036】
本発明において使用する化学薬剤は、望ましい投与経路用に適切に製剤化される。薬剤又はこの薬剤を含有する医薬組成物を、任意の好都合な投与経路により被験体に投与することができるが、通常この経路は注射、特に静脈内注射である。
【0037】
投与する化学薬剤及び照射する放射線の用量は、個々の患者のニーズを考慮して、最終的には医師の判断に委ねられる。
【0038】
通常、トポイソメラーゼII毒は体重1kg当たり1〜100 mgの用量範囲で投与されるだろう。例えば、体重1kg当たり10〜50 mgの薬剤を投与することができる。
通常、ビス-ジオキシピペラジンは体重kg当たり約10〜約100 mg、例えば20〜50 mgの用量で投与することができる。
【0039】
照射する放射線の量は、約1〜100 Gy(グレイ)、さらに好ましくは10〜50 Gyであり、照射分画スケジュールで、少照射量のシリーズとして与えることができる。
【0040】
本発明において使用するための化学薬剤は、1投与単位のビス-ジオキシピペラジン及び製薬上許容される担体、並びに1投与単位のトポイソメラーゼII毒及び製薬上許容される担体を含む医薬キットの形で提供することができる。このキットは、2投与単位が2つの個別のバッグに分けられている、1つの輸液系における2投与単位をさらに含むことができる。
【0041】
投与単位は、従来の薬の製剤法によって、希釈に好適な濃縮物中に活性成分を乾燥物質として含むことが可能であり、例えばトポイソメラーゼII毒用の錠剤の形が挙げられる。
【0042】
1つの実施形態において、このキットは、個別の容器に入った2投与単位、例えば患者に個別に投与することができる輸液バッグを含む。別の実施形態において、2つの容器は、例えばY型チューブによって1つの点滴チューブに接続される。さらに、付加的な容器、例えば中性の液体を含む容器をキットに接続し、これによって各薬の個別の点滴の間に点滴チューブを洗い流すことができる。
【0043】
このように、他の態様において、本発明は、患者の治療方法において放射線と併せて用いるための上記のキットを提供する。
【0044】
下記の実施例は、本発明の例示である。
【実施例】
【0045】
材料及び方法
動物:
Taconic M&B (Ry, Denmark)のB6D2F1雌マウスを、9つのケージの中で、水及びBrogaarden (Gentofte, DK)のAltromi実験食へのアクセスを自由にして飼育した。プロトコルに含めたこれらのマウスの重さは19〜22グラムであった。実験中臨床的に悪化した動物は安楽死させた。この実験はDanish Animal Experimentation Inspectorateの承認を得た。
【0046】
腫瘍移植:
0日目に、短い時間のCO2麻酔中に、30μLの生理食塩水中の総量15 x 104のEhrlich Ascites腫瘍細胞を右側大脳半球中に移植し、3日目に治療した。治療は以下のとおりにスケジュールした:デクスラゾキサンをt=0分、エトポシドをt=20分に投与し、放射線治療をt=50分に行った。放射線療法の手順の前に、コンプライアンスを達成するため軽い麻酔を投与した。
【0047】
生存期間の計算:
実験的治療の後に得た生存期間中央値を、全ての症例において最も有効な治療法であった放射線療法後に得た生存期間中央値(MS; median survival)のパーセントとして表した。このようにして、発明者らは簡単で信頼できる比較方法を得た。
【0048】
放射線療法単独と比較した化学放射線療法の有効性を以下のとおり計算した:
【数1】

【0049】
放射線療法単独と比較した化学療法後の生存期間中央値(MS)を以下のとおり計算した:
【数2】

【0050】
放射線療法単独と比較した、化学療法単独後の生存期間中央値における絶対的な数字の差は、以下のとおり単純に計算した:
式 3) 生存期間の差(日数) = MS 放射線療法 - MS 化学療法
個別の実験的治療グループ内の生存期間をまとめて、Kaplan-Meierプロットで示した。放射線療法単独と比較した、実験グループでの生存を比較するLogrank試験からのP値を示す。
【0051】
In vitro実験:
エトポシドを用いた腹腔内治療の後、エトポシド投与後150分以内で、総エトポシド曲線下面積(AUC)の約95%を占める(自身の実験、データ公表せず)。In vivoでの効果がin vitroで再現できるか否か試験するため、発明者らはin vivoでの薬物動態をできる限り厳密に模倣した。照射前に、Ehrlich Ascites腫瘍細胞をエトポシド又はデクスラゾキサン中で30分間インキュベートし、その後照射後の薬物インキュベーションをさらに120分間行い、結果として曝露の全持続時間は150分となった。細胞は、軟寒天にプレーティングする前に新鮮な培地の中で2回洗浄した。3週間後に生存コロニーの数(50細胞以上)を測定した。
【0052】
相互作用の計算:
生存率を、100%=未治療対照となるように正規化し、片対数プロットで示した。
【0053】
この組み合わせ指数を、Biosoft (Cambridge, United Kingdom)のCalcusyn Softwareを用いて、Chou及びTalalay(20)によって提唱されたとおりに計算した。実験薬物に関する用量効果曲線を得ることができることが組み合わせ指数を計算するための必要条件であり、デクスラゾキサンを用いることができなかったため、併用療法の効果の推定はこのようにグラフ化された。
【0054】
放射線療法:
X-放射線を、Stabilipan (Siemens, Germany)により300kV、12 mAで発生した。線量速度は、毎分4.7 Gyであった。
【0055】
薬物及び材料:
デクスラゾキサン(Zinecard(登録商標))をPharmacia(Kalamazoo, MI)から入手し、さらにRinger-lactate(乳酸リンゲル液)中で希釈した。エトポシド(Vepesid(商標))を、投与準備済みの溶液としてPharmacia A/S(Copenhagen, DK)から入手し、等張な生理食塩水中で最終濃度まで希釈した。3H-エトポシドをMoravek(CA,USA)から入手し、-20℃に保持した。薬物は全て腹腔内(ip.)経路により投与した。
【0056】
血液脳関門及び血液腫瘍関門の組織学的評価:
hypnorm/dormicumによる麻酔の後に、25μLのエバンスブルー色素又は80μLのリサミングリーンを尾静脈経由で投与した。色素を循環させた後、動物を、4%のホルマリン溶液で5分間経心的に灌流させた。脳を4%のホルマリン中に保持し、200μMの厚さの切片をビブラトーム上で切り取り、染色を視覚的に評価した。動物を脳及び腫瘍の染色の評価に含める前に臓器のポジティブ染色の確認を行った。エバンスブルー色素とリサミングリーンをSigma-Aldrich (Vallensbaek, DK)から入手し、等張な生理食塩水中で2%溶液としてフレッシュな色素溶液を調製した。
【0057】
トリチウム標識したエトポシドを用いた、脳及び腫瘍の取り込み:
トリチウム標識したエトポシドを、「非放射性の(cold)」エトポシド 9.0 mg/ml、「非放射性の」エトポシド 0.9 mg/ml又は等張な生理食塩水のいずれかと混合し、最終量を全て200μLとした。投与の10分後、マウスをCO2で麻酔し、血液を採取して血漿を分離した。さらに、治効実験と同様に、1つのグループのマウスをデクスラゾキサン125 mg/kgで前処理し、その後、続くエトポシド分布に及ぼす影響を記載のとおりに評価した。
【0058】
腫瘍及び非罹患の対側の脳を外科用顕微鏡下で取り出し、重さを量り、超音波処理した。Packard (US)の液体シンチレーションカウンタ中で活性を測定し、脳及び腫瘍中の、1グラム当たりのカウント数を同時血漿値と比較した。
【0059】
結果
用量設定及び実現可能性調査:
初期実験で、脳腫瘍に罹患しているマウスを5 Gy〜20 Gyの照射量の単発の放射線療法単独により治療した。最長の生存期間中央値は10 Gyの照射後に得られた。生存期間は15 Gyの照射後変化せず、20 Gy照射後は、10 Gyの照射後に得られた生存期間と比較して生存期間が事実上減少することが観察されたので、腫瘍を抑制するよりも毒性を増した。
【0060】
その後、腫瘍に罹患していない健康なマウスで同時化学療法と放射線療法の耐容性を調査した。多様な療法の組合わせに放射線療法を加えても、死亡率及び罹患率において差異は見られなかった。
【0061】
治療効能(治効)の調査:
全ての実験において、放射線療法単独を施した後の生存期間は化学療法単独を施した後の生存期間よりも優れていたため、方法に記載の通り、他の治療法の組合わせと比較する「標準生存期間」として用いた。同時放射線療法を伴うエトポシド90 mg/kg及びデクスラゾキサン125 mg/kgの併用後の生存期間は、化学療法単独及び放射線療法単独と比較して著しく増加した(式1)(図1A)。
【0062】
エトポシド90 mg/kgをデクスラゾキサン125 mg/kgと併用した後の生存期間は、試験した他の全ての化学療法治療より優れていた。生存期間中央値は、放射線療法後に得られた生存期間の60%であり(表1)、(式2)、「無効な治療により失われた」のは2日間のみであった(式3)。
【0063】
デクスラゾキサン125 mg/kgは生存期間を少し増加させたが、放射線療法と比較した場合に、5日間が「無効な治療により失われた」ため、やはり最も悪い治療法であった(式3)(表1)。
【0064】
エトポシド34 mg/kg自体は生存期間を増加させたが、放射線療法後の生存期間を増加させることはなかった(図1B)。一方、エトポシド34 mg/kgを投与する前にデクスラゾキサン125 mg/kgの投与を行った実験では、放射線療法への小さいが著しい影響が見られた(図1C)。
【0065】
デクスラゾキサン125 mg/kg(図1D)と溶媒のいずれも、放射線療法と組合わせた場合に、生存期間に影響を及ぼさないこともまた観察された。
【0066】
染色法による血液-脳関門及び血液-腫瘍関門の評価:
治効実験を目的として、記載通りの前処理を行い、3日目にエバンスブルー色素、リサミングリーン及び3H-エトポシドを用いた実験を行った。
【0067】
評価に含めたマウスは全て、大脳の外側を陽性に染色した。エバンスブルー色素及びリサミングリーンを、各5匹のマウス2グループで個別に試験した。いずれのグループも脳又は腫瘍組織の着色は見られず、血液脳関門(BBB)の完全性が損なわれていないことを示していた。
脳及び腫瘍の3H-エトポシド取り込みの評価:
エトポシドの投与量の増加とデクスラゾキサンを用いた前処理のいずれも脳/血漿の比率(分散分析(ANOVA): p=0.37)を変化させなかった(表2)。
【0068】
腫瘍の薬物取り込みは、脳における取り込みより高かったが、低用量のエトポシドを用いた治療の後の取り込みを除いて、統計上は重要ではない(表2)。正常な脳内と同様に、エトポシド、ビヒクルの用量又はデクスラゾキサンを用いた前前処理による、腫瘍での取り込みへの影響は見られなかった(ANOVA: p=0.35)(表2)。
【0069】
In vitro併用療法:
増加濃度のエトポシドを1.25 Gy又は7.5 Gyと組合わせたところ、発散する生存曲線から、7.5 Gyとの組合せで相乗的殺細胞が得られたことが示された(図2A)。
【0070】
Chou及びTalalayの方法による組合わせ指数の計算は、相乗的相互作用の程度がエトポシド用量の増加と共に増大するという図示的説明を裏付けるものであった。1.25 Gyは必要な損傷量未満であり、このためエトポシドとの組合せで殺細胞の増加をもたらさなかったということもまた推測することができた(表3)。
【0071】
デクスラゾキサンは単独では無毒であり、一定用量のデクスラゾキサンを、増加する放射線療法の線量と組合わせることによって化学放射線療法の効果を調査した。デクスラゾキサンの添加を伴う、又は伴わない放射線による生存曲線はほとんど分離不可能であり、このように放射性を高める効果が得られなかったことが示された (図2B)。
【0072】
考察
脳転移(BM)の診断はほぼ常に致死的であり、約40%の患者は脳における進行の直接の結果として死亡する。臨床成績を改善するためにWBRTの投与の種々の用量及びスケジュールが研究されている。しかし、20、30及び40 Gyを2〜4週間にわたって照射した後の生存率は、20 Gyを1週間照射した後の生存率より良くはなく(6)、10 Gyの単発照射及び6 Gy x 2回照射の後の反応持続時間は20 Gyを1週間照射した後より少し短いが、2つの治療法は、その他の点では同程度であった(21)。腫瘍領域に対するフィールドを30 Gyからそれ以上へ縮小することを伴う、脳転移を有する153人の患者における70,4 Gyまでの線量増加放射線療法の試みは、脳での進行による死亡に影響を及ぼさなかった(22)。
【0073】
脳転移におけるWBRTの効果はプラトーに達しており、WBRTに非細胞傷害性を加えることによって効果を増す試みは、生存率に関しては満足できるものではない(23)。肺癌に罹患している患者の対症WBRTにモテキサフィンガドリニウム(motexafin gadolinium)を加えることから神経認知機能に関する利益が示され(24)、現在のところこの有力な手掛かりを臨床試験で調査している。
【0074】
新たな標的薬物がWBRT(25)による治効を改善することができればよいが、伝統的な細胞傷害性物質が化学放射線療法のプロトコルで成功裏に用いられていることに留意しなければならない(26)。
【0075】
臨床的癌治療における血液-脳関門の重要性は争点となっている:小細胞肺癌(SCLC)では、同時性脳転移における応答率は約66%であり、一方、遅発性転移においては応答率は約36%であって(27)、解剖学上の局在性というよりもむしろ、治療の失敗の原因として、固有に獲得した治療抵抗性を示していた。
【0076】
しかし乳癌において、脳の内側及び外側の腫瘍内に同程度のHER2発現が見られるにも関わらず(29)、HER2抗体トラスツズマブを用いた治療期間中に脳転移(BM)が頻繁に診断されるのは(28)、血液脳関門の通過がうまくいかないことによって生じている可能性が高い。
【0077】
薬物の取り込み、血液-脳関門の障害、及び腫瘍血管新生の程度は、実験用腫瘍の範囲内で局所的に変化する(30)。従って、臨床上大きな反応を得た後でも、コントラストを強めた造影により境界を画定された領域の範囲内及びすぐ外側の腫瘍細胞は依然として、標準の投与量を用いたときに薬物の標的指向が不十分な場合があり得る。
【0078】
SCLCから生じた脳転移に罹患している患者においては、WBRT後の応答率は50%であり(31)、1日目、3日目及び5日目にテニポシド150 mg/m2を投与した後の応答率は33%であった(32)。その後の比較第III相試験では、テニポシドとWBRTの同時投与後の応答率が57%であったのと比較して、テニポシド単独投与後の応答率は22%であった(14)。同様に、併用療法後、脳における進行までの時間は著しく延びた(p=0.005)一方、生存期間中央値は3.2ヶ月から3.5ヶ月へとわずかに伸びただけであった(p=0.087)。
【0079】
このことは、無傷の血液脳関門の後ろ側又は腫瘍の血管形成がうまくいかない部分の中に存在する微視的な腫瘍細胞沈着物が、併用薬物療法によって影響を受けなかったことを示す。
【0080】
in vivoモデルにおいてデクスラゾキサンは、エトポシド34 mg/kg自体による抗癌作用に影響を及ぼさず(表1)、事実上最長の生存期間は、エトポシド90 mg/kgの投与と、デクスラゾキサン125 mg/kgによる前処理の後に得られ、デクスラゾキサン自体は放射線療法の作用後の生存期間に影響を及ぼさなかった。同様にin vitroでは、デクスラゾキサンと同時放射線療法は、放射線療法単独と比較して、生存期間に影響を及ぼさなかった。
【0081】
対照的に、放射線療法と組合わせたエトポシドは、in vitro実験だけでなくin vivoモデルでも相乗的殺細胞をもたらした。
【0082】
in vitro実験から得た組合わせ指数の計算から(表3)、エトポシドの最も低い濃度において上記の組合せから得られた相互作用が事実上拮抗したこと、及び相乗作用が増加濃度を用いて得られたことが分かる。
【0083】
脳/血漿指数は、エトポシドの用量による影響は受けておらず、エトポシドと溶媒の量とは正比例するため、発明者らは、溶媒それ自体は脳の取り込みに影響を及ぼしていないと結論づけることができた。さらに発明者らは、デクスラゾキサンが血液脳関門(BBB)の機能性及びエトポシドの取り込みに影響を与えなかったことを見出した。
【0084】
発明者らは、腫瘍/血漿指数は脳/血漿指数より高いが、より大きい標準偏差からも明らかなように実験上のばらつきもまた高いことを見出したが、データはむしろエトポシド投与後に脳腫瘍の外科的切除を受けている患者から得たデータと似ている(33)。
【0085】
このマウスモデルは、このように臨床上見られる重要な特徴を共有していた:親油性の高い薬物は、親水性の薬物より容易に血液脳関門(BBB)を通過し、脳/腫瘍の薬物取り込み比は臨床試験で見出された比と似ており、WBRT後の生存期間の増加は最適な放射線療法線量でプラトーに達し、この量を超えると生存期間ではなく毒性が増加した。
【0086】
発明者らは、WBRTとエトポシドとの併用療法後に生存期間が著しく増加し、この生存期間の利益は組織内薬物濃度に依存するように見えることをin vivoで示した。その後のin vitro実験で発明者らがこの効果を極めて正確に再現することができたため、in vivoで観察されたこの効果が細胞レベルでの相乗的相互作用の結果であった可能性が高い。
【0087】
発明者らの知見は、2つの潜在的に重要な臨床上の意義につながる:臨床上これら2つのモダリティーを組合せる場合は、関連の組織内薬物濃度を実現することの重要性を考慮すべきであり、同時的な、脳の放射線療法及び薬物療法を用いた臨床試験の結果を解釈する場合は、総応答の増加と、延命利益の明らかな欠如との間の矛盾は、恐らく照射野の範囲内の併存薬物濃度の差により説明することができるだろう。
【0088】
上記明細書中に記載した全ての刊行物及び特許は、参照により本明細書中に組み込まれる。記載された発明の多様な変更及び変形は、本発明の範囲及び思想から逸脱することなく当業者に明らかである。本発明が具体的な好ましい実施形態に関して記載されているとしても、特許請求の範囲に記載された発明がこのような具体的な実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。
【0089】
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【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1A、1B、1C及び1Dは、in vivo動物試験の結果を示す: A: エトポシド90 mg/kg + デクスラゾキサン125 mg/kg (□)、10 Gy (◇)、エトポシド90 mg/kg + デクスラゾキサン125 mg/kg及び同時10 Gy (△) 生理食塩水 (○)。データは3つの個別の実験から得た(各グループにつきマウス25匹)。B: エトポシド34 mg/kg (□)、10 Gy (◇)、エトポシド34 mg/kg及び同時10 Gy (△) 生理食塩水 (○)。データは3つの個別の実験から得た(各グループにつきマウス26匹)。C: エトポシド34 mg/kg + デクスラゾキサン125 mg/kg (□)、10 Gy (◇)、エトポシド34 mg/kg + デクスラゾキサン125 mg/kg及び同時10 Gy (△) 生理食塩水 (○)。データは2つの個別の実験から得た(各グループにつきマウス18匹)。D: デクスラゾキサン125 mg/kg (□)、10 Gy (◇)、デクスラゾキサン125 mg/kg及び同時10 Gy (△) 生理食塩水 (○)。データは2つの個別の実験から得た(各グループにつきマウス16匹)。
【図2】図2A及び2Bは、エトポシド若しくはデクスラゾキサン単独、又は同時放射線療法を用いた処理後の、クローン原性生存率の片対数プロットを示す。各生存曲線は2つの個別の実験の平均値を表し、各平均値は3通りにプロットされている。生存は、未処理の対照と比較して、処理後に計数したコロニーのまま測定した。バーは2つの各実験で得られた平均値を表す。A: エトポシド単独 (□)、エトポシドと放射線療法1.25 Gy (○)、エトポシドと放射線療法7.5 Gy (◇)。増加濃度のエトポシドと固定用量の7.5 Gyを用いて処理した後の生存曲線は下方に発散し、相乗的殺細胞を示している。B: 放射線療法単独(□)、放射線療法とデクスラゾキサン25 μM (○)、放射線療法とデクスラゾキサン125μM (◇)。デクスラゾキサンと放射線療法との組み合わせからは全く効果が得られない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要としている被験体に、有効量のトポイソメラーゼII毒をビス-ジオキシピペラジンと組み合わせて投与し、放射線を用いて該被験体をさらに治療することを含む、腫瘍細胞の治療方法。
【請求項2】
トポイソメラーゼII毒がエトポシドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ビス-ジオキシピペラジンがデクスラゾキサンである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
腫瘍がCNS腫瘍である、請求項1、2又は3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
放射線治療を受けている患者の腫瘍治療における同時使用、個別使用又は連続使用のための複合製剤としての、トポイソメラーゼII毒及びビス-ジオキシピペラジン。
【請求項6】
腫瘍治療における、トポイソメラーゼII毒及びビス-ジオキシピペラジンの同時使用、個別使用又は連続使用、並びに電離放射線源の個別使用又は連続使用のための複合製剤としての、トポイソメラーゼII毒、ビス-ジオキシピペラジン及び電離放射線源。
【請求項7】
腫瘍治療における、個別使用又は連続使用のための複合製剤としての、トポイソメラーゼII毒、ビス-ジオキシピペラジン及び電離放射線。
【請求項8】
トポイソメラーゼII毒がエトポシドである、請求項7に記載の使用のための複合製剤。
【請求項9】
ビス-ジオキシピペラジンがデクスラゾキサンである、請求項7又は8に記載の使用のための複合製剤。
【請求項10】
腫瘍がCNS腫瘍である、請求項7、8又は9のいずれか1項に記載の使用のための複合製剤。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−527428(P2007−527428A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501380(P2007−501380)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000670
【国際公開番号】WO2005/084754
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(506295609)
【Fターム(参考)】