トラクタ
【課題】従来装置は、満タンまで給油すると警報ブザーで報知されるから、キースイッチを切り忘れることはほとんどないが、給油を途中で終了した場合、キースイッチを切り忘れてONのまま車両を離れる場合があり、バッテリーの蓄電を浪費する課題があった。
【解決手段】車体1に搭載された燃料タンク2を覆うカバー3には、給油時に開閉できる蓋4付きの給油口5が開口して設けられ、該給油口5の外側には、給油時に給油タンク6を載置できるタンク載せ台7が、使用状態と格納状態とに切り替え可能に装備して設けられたトラクタにおいて、前記給油口5の蓋4を開くか、又は前記タンク載せ台7上に給油タンク6を載せると、関連して前記燃料タンク2の満タン予告回路8に電流が流れる構成としたことを特徴とするトラクタの構成とする。
【解決手段】車体1に搭載された燃料タンク2を覆うカバー3には、給油時に開閉できる蓋4付きの給油口5が開口して設けられ、該給油口5の外側には、給油時に給油タンク6を載置できるタンク載せ台7が、使用状態と格納状態とに切り替え可能に装備して設けられたトラクタにおいて、前記給油口5の蓋4を開くか、又は前記タンク載せ台7上に給油タンク6を載せると、関連して前記燃料タンク2の満タン予告回路8に電流が流れる構成としたことを特徴とするトラクタの構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料の給油時に給油準備操作に関連して満タン予告回路に電流が流れる構成としたトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から作業車両、例えば、トラクタやコンバイン等の燃料タンクに燃料の給油を行う場合、燃料が溢れる等の不具合を回避する技術が特許公報上にも多数公開されている。例えば、特開平11−153468号公開特許公報に示されている公知の技術がその1つである。
【0003】
該公報には、その明細書と添付図面に、つぎのとおり記載されている。
「エンジンを停止させて燃料タンク16内での燃料の動揺を極力抑制させた状態において、給油作業を行いながら、その給油作業時に燃料を入れ過ぎてタンク16から燃料が溢れる等の不具合を適切に回避させる。
【0004】
回転数センサS3にてエンジンの停止が検出された状態で、燃料タンク16への燃料補給中であることが判別され、更にその燃料補給中が判別された状態で燃料タンク16内の燃料が満量状態になったことが判別されると、タンク内の燃料が満了状態であることが警報ブザー8による音や表示部1による警報表示によって警報される。」
と記載されている。
【0005】
このように、該公報に記載された公知の技術は、従来の課題を解決した実用的に優れた発明であって、その補給作業時に燃料を入れ過ぎてタンクから燃料が溢れる等の不具合を適切に回避できるものである。
【特許文献1】特開平11−153468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前項で出願人が提示した特許文献1に記載されている公知の技術は、車体に搭載されたエンジンに燃料を供給する燃料タンクが、操縦部の床面下側に備えられ、その給油口から燃料の給油ができる構成となっている。そして、燃料タンクには、フロートからなる燃料センサが内装され、液面の高さが検出できる構成となっており、更に、前記燃料センサが燃料タンク内の燃料が満量状態であることを検出すると、満量警報手段に検出情報を入力するように接続した構成となっている。
【0007】
そして、上記満量警報制御手段は、前記燃料センサが燃料の増加を入力すると、給油中であると判別し、燃料が満量状態に達したと判別すると、満量警報作動を行う構成となっている。そして、特許文献1に記載された公知技術は、満量状態に達すると、該公報の図4(ハ)に示すように、文字情報としてメッセージの表示があり、同時に警報ブザーを断続的に発音作動させることができる。
【0008】
そして、オペレータは、その後、キーSWをOFFに操作して一連の給油作業を終了して車両から離れることになる。
このような、従来装置の場合、一連の給油作業において、満タンまで給油すると警報ブザー等で報知されるから、キーSWを切り忘れることは少ないが、給油作業を満タンに達する前に、途中で終了した場合、キーSWをONのままで切り忘れ、車両を離れる場合がある。特に、近年増加している高齢のオペレータの場合、SWの切り忘れが多く発生し、バッテリーの蓄電を無駄に浪費する課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この出願は、上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、つぎの如き技術手段を講じている。すなわち、車体(1)に搭載された燃料タンク(2)を覆うカバー(3)には、給油時に開閉できる蓋(4)付きの給油口(5)が開口して設けられ、該給油口(5)の外側には、給油時に給油タンク(6)を載置できるタンク載せ台(7)が、使用状態と格納状態とに切り替え可能に装備して設けられたトラクタにおいて、前記給油口(5)の蓋(4)を開くか、又は前記タンク載せ台(7)上に給油タンク(6)を載せると、関連して前記燃料タンク(2)の満タン予告回路(8)に電流が流れる構成としたことを特徴とするトラクタとしたものである。
【0010】
満タン予告回路(8)への通電と遮断においてキースイッチON・OFFの操作を不要としたものである。したがって、請求項1に記載した発明は、給油作業中に燃料タンク(2)が満タンに達すれば、当然電気的な手段によって警報を発し、オペレーターに警告する。
【0011】
そして、この発明は、給油作業が終了すると、タンク載せ台(7)を格納状態に切り替えて収納した後、給油口(5)の蓋(4)を閉める。すると、満タン予告回路(8)は、上記操作に関連して電流が遮断され、キースイッチのOFF操作を不要としており、キースイッチの切り忘れを未然に防止している。
【0012】
つぎに、請求項2に記載した発明は、車体(1)に搭載された燃料タンク(2)を覆うカバー(3)には、給油時に開閉できる蓋(4)付きの給油口(5)が開口して設けられ、該給油口(5)の外側には、給油時に給油タンク(6)を載置できるタンク載せ台(7)が、使用状態と格納状態とに切り替え可能に装備して設けられたトラクタにおいて、前記燃料タンク(2)は、側方に装備したライト(9)を照射すると内部に充填された燃料が透視できる素材で構成され、前記給油口(5)の蓋(4)を開くか、又は前記タンク載せ台(7)上に給油タンク(6)を載せると、関連して前記ライト(9)の電気回路(10)に電流が流れる構成としたことを特徴とするトラクタとしたものである。
【0013】
満タンの予告に代えて、前記燃料タンク(2)に側方からライト(9)を照射して内部に充填された燃料を透視し、オペレータが視覚的に満タン状態を確認できる簡便な安い構成を採用した。
【0014】
この発明によれば、オペレーターは、キースイッチのON、OFF操作をする必要がなく、切り忘れの発生がないから、高齢者でも安心して給油作業ができる。
【発明の効果】
【0015】
まず、請求項1の発明は、給油口(5)の蓋(4)を開くか、又は前記タンク載せ台(7)上に給油タンク(6)を載せると、関連して前記燃料タンク(2)の満タン予告回路(8)に電流が流れる構成にしているから、満タン予告回路(8)への通電と遮断とのキースイッチ操作を不要とした優れた特徴がある。
【0016】
そして、請求項1に記載した発明は、給油作業中に燃料タンク(2)が満タンに達すれば、満タン予告回路(8)が機能して電気的な手段によって警報を発しオペレーターに警告する特徴がある。そして、この発明は、給油作業が終了すると、タンク載せ台(7)を格納状態に切り替えて収納した後、給油口(5)の蓋(4)を閉めて車体(1)を離れても、前記のとおり、キースイッチ操作が不要であるから、満タン予告回路(8)の電流が遮断されており、キースイッチの切り忘れを防止でき、バッテリー上がりを防止できるようになる。
【0017】
そして、請求項2の発明は、満タンの予告に代えて、前記燃料タンク(2)に側方からライト(9)を照射して内部に充填された燃料を透視し、オペレータが視覚的に満タン状態を確認できる簡便で、安い構成にした特徴がある。
【0018】
更に、この発明によれば、オペレーターは、キースイッチのON、OFF操作が不要であるから、切り忘れの発生がなく、バッテリー上がりを防止できて高齢者でも安心して給油作業ができる特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明を、図面に示す農業用トラクタに装備している実施例を具体的に説明する。
まず、トラクタ11は、図5に示すように、車体1の後部に左右一対の駆動用の後輪を軸架し、前部にはステアリングハンドルによって操舵される左右の前輪を軸架して、従来から広く普及している構成としている。そして、トラクタ1は、前記ステアリングハンドルの前方側をボンネット12で覆い、車体1に搭載した燃料タンク2を内装し、その前側に装備したエンジン13に燃料の供給ができる構成としている。そして、給油口5は、図2に示すように、燃料タンク2を覆うカバー3、すなわち、前記ボンネット12内にある燃料タンク2のすぐ上側に小窓を開口して形成し、これに開閉自由にした蓋4を設けて構成している。
【0020】
そして、タンク載せ台7は、前記給油口5の外側に設け、給油時に例えばポリタンク15等の給油タンク6を載置できるように、外側に折り曲げて突出させて使用状態に切り替え可能にして設けており、不使用時には邪魔にならない位置に格納状態に切り替えて収納できる構成としている。
【0021】
なお、図4の実施例に示すように、前記給油口5の蓋4とタンク載せ台7とを一体にして兼用にする構成でも良い。具体的には、実施例のタンク載せ台7は、図4に示すように、端部を前後方向の枢着軸14で車体1に開閉自在に枢着し、閉めたときには、給油口5を塞いでロックでき、開くとポリタンク(給油タンク6)15の載置台になる位置で固定できる構成としている。
【0022】
つぎに、満タン予告回路8は、図1に示すように、バッテリー16と、燃料タンク2内に装備したフロート式の油面検出センサ18のスイッチ19と、警報ブザー20と、タンク載せ台7の検出スイッチ21とを一連の状態に結線して回路を構成している。そして、実施例は、図面に示すように、上記検出スイッチ21を前記タンク載せ台7の下側に臨ませて配置し、給油タンク6を載せて台7が下がるとONとなり、自動的に通電する構成としている。したがって、満タン予告回路8は、給油作業を終了して前記タンク載せ台7を使用状態から格納状態に切り替えると、自動的に検出スイッチ21がOFFに切り替わって電流が遮断される構成となっている。
【0023】
つぎに、図3に示した実施例は、燃料タンク2の側方にライト9を装備し、そのライト9を燃料タンク2に照射して内部の燃料充填量をオペレータの目視によって確認する簡便で、安い構成にしている。この場合、燃料タンク2は、側方に装備したライト9を照射すると内部に充填された燃料が透視できる素材で形成し、ライト9は、図面に示すように、バッテリー16と、検出スイッチ21とを備えた電気回路に構成している。そして、前記検出スイッチ21は、図面に示すように、前述したタンク載せ台7に代えて給油口5の蓋4の下部回動部22に臨ませて配置し、蓋4が開いている間、ONとなり、逆に、給油口5の蓋4を閉めると、OFFに切り替わる構成にしている。
【0024】
このように、検出スイッチ21は、前述したタンク載せ台7の使用状態を検出して通電するか、或いは、給油口5の蓋4の開きを検出して通電する構成のいずれか一方を選択して使用すればよい。いずれにしても、前記した満タン予告回路8、及び電気回路は、給油作業中には検出スイッチ21がタンク載せ台7か、又は蓋4を検出してONとなり、給油作業が完了すると、検出状態がなくなってOFFとなるものである。要するに、検出スイッチ21は、燃料タンク2に給油する場合の前作業として必ず行う準備作業中にONの状態になり、作業が終了すると関連する収納操作によってOFFになり、目的を達することができる。
【0025】
このようにして、燃料の給油作業を行うと、図1に示した実施例の場合には、燃料タンク2が満タンに達すると、フロートの油面検出センサ18が検出してスイッチ19がONとなって警報ブザーを発してオペレータに満タン状態を知らせ、図3の実施例の場合には、ライト9を燃料タンク2に照射しながら、オペレータが視覚的にタンク2の内部を確認して満タンを知ることができる。したがって、エンジンを始動するためのキースイッチにて電源のみを入り状態にする必要がなくなるので、給油後にキースイッチを切り状態にするのを忘れてしまいバッテリー上がりになるのを防止することができる。
【0026】
つぎに、給油時の満タン警報装置について別実施例を説明する。
図6、乃至図8に示した実施例は、給油時にボンネット12を開放するトラクタ11に使用する構成で、満タン警報回路中に設けた検出スイッチ21は、図7に示すように、ボンネット12が開くと、これを検出してONとなり、ボンネット12を閉めるとOFFとなる構成としている。そして、回路中には、警報ランプ(LED)25と満量検出スイッチ26とを接続している。16はバッテリーを示している。
【0027】
そして、油面検出センサ18は、図6、及び図8に示すように、フロート式に形成して油面を検出できる構成として燃料タンク2内に装置し、実施例の場合、通常の油面計として使用する検出器を兼用として使用する構成とした。図8の27は、油面計(メーター)を示している。
【0028】
このように構成した実施例は、給油に際してボンネットを開けると、満タン警報回路中に設けた検出スイッチ21が、ボンネット12の開きを検出してONとなり、警報態勢になる。そして、給油作業を開始すると、フロート式油面センサ18は、燃料タンク2に供給される燃料の油面を検出しながら、通常と同様に作動して、満量に達すると、満量検出スイッチ26が入りとなって通電し、回路中の警報ランプ(LED)25が点灯して警報する。
【0029】
そして、満タン警報回路は、給油作業が完了してボンネット12を閉めると、検出スイッチ21がOFFとなり、スイッチの切り忘れを未然に防止できるものである。
つぎに、トラクタ11における燃料タンク2の支持取付構造に関する実施例を、図9、及び図10に基づき説明する。
【0030】
図面に示した実施例の場合、燃料タンク2は、左右両側に2分割して前部のメインフレーム30と後方に配置しているロプスフレーム31とに着脱自由に連結して支持した取付構造としている。この場合、後部のロプスフレーム31は、図9に示すように、左右一対の取付支柱32を下方の車体1に強固に固着し、上部に安全フレームを取り付ける横向きにして車幅方向に延長した構成としている。そして、燃料タンク2は、後部をロプスフレーム31に設けた取付ステー33にボルト34によって着脱自由に取り付けて支持し、前部はメインフレーム30の後部に左右両外側に突出させて設けた支持具35,35にブラケット36,36とねじにより支持した構成としている。
【0031】
そして、フェンダー37は、図10に示すように、後部内側を前記ロプスフレーム31に着脱自由に固着して前記燃料タンク2の上方を覆いながら前方まで延長して構成している。実施例の場合、フェンダー37と燃料タンク2とは、両者の間に係りのない状態で独立して取り付けられ、自由に着脱ができる構成となっている。
【0032】
このように、燃料タンク2は、ロプスフレーム31に直接取り付けるのではなく、取付ステー33を介してボルト34,34で固着しているから、取付構成が簡単になり実用的な効果がある上に、万一、ロプスが変形(トラクタの転倒等)するようなことがあってもタンク2にまで影響を受けない特徴がある。
【0033】
そして、実施例の場合、燃料タンク2は、周囲の部材に関係なく、タンクのみを自由に着脱できる利点があり、周囲のメンテナンス時には有効である。そして、フェンダー37は、前述のとおり、ロプスフレーム31に取り付けて燃料タンク2とは縁を切った支持構成を選択したから、従来の如く、補強部材も不要となり、低コストで製作できる利点がある。そして、燃料タンク2は、上記の取り付け構成にも関連し、強度上も強さが余り必要となくなり、樹脂化が可能となり全体として軽量とすることができる特徴もある。
【0034】
つぎに、ボンネット12の開閉時における係止装置(ロック装置)40について、数個の実施例を説明する。
従来から、ボンネット12は、その内部に形成されているエンジンルーム41に搭載されたエンジン13を中心にして、その周辺に複数のエンジン補器類が装置され、更に、これらのメンテナンス(エアクリーナーの清掃、エンジンオイルやハーネスのメンテ等々)が必要であり、その際、エンジンルーム41を大きく開放してメンテナンス作業が容易で迅速にできる構成にすることが必要になる。
【0035】
そのために、以下説明する各実施例は、ボンネット12を取り外し、又は回動支点を設けて大きく開放できる構成とし、それの係止装置(ロック装置)40に関するものである。
【0036】
まず、第1実施例は、図11、及び図12に示すように、ボンネット12の後部に抜き差し自在の係止ピン42を設け、内部の車体43側に設けた係止孔44に挿し込んで係止可能とし、前部にロック杆45を前後に沿わせて後ろ向きに設けた構成としている。そして、前記ロック杆45は、図12に示すように、左右一対のスプリングフック46,46の間に強制的に挿入して弾力的に保持(係止)される構成としている。
【0037】
このように、ボンネット12は、開放時には強制的に上方に持ち上げると、まず、後部の係止ピン42が係止孔44から上方に外れ、前部の前記ロック杆45が挟持状態にある左右一対のスプリングフック46,46を下側から押し開いて上側に外れ、上方に開放できる。そして、エンジンルーム41は、ボンネット12を開放して内部を広く開放できるから、メンテナンス作業を容易に、迅速に行うことができる特徴がある。
【0038】
そして、ボンネット12は、メンテナンス後の装着作業では、上述の開放時の外し操作を逆に操作すれば、元の状態に係止することができるものとなっている。
なお、図13図に示した第2実施例の係止装置40も、第1実施例に類似の構成となっている。
【0039】
つぎに、第3実施例は、図14、乃至図16に示すように、ボンネット12の後部を、内部の車体43に枢着して回動支点Pを設けて前部を上方に回動できる構成としている。そして、ボンネット12は、下側のアクスルブラケット48に固定した係止プレート49に係止孔50を設け、この係止孔50にボンネット12の下部に設けた係止レバー51のフック52を挿脱自由に挿入して係止する構成としている。そして、前記係止レバー51は、図16に示すように、フック52を係止孔50に挿入して保持(係止)できる構成としている。
【0040】
このように、第3実施例は、係止装置40を前側の低い位置に設けているから、開閉操作位置が低く、」背の低い人でも開閉操作が楽にできるものとなった。
つぎに、図17に示した第4実施例は、第3実施例で説明した係止レバー51のフック52に代えてスプリングフック46,46を設け、アクするブラケット48に固定されているピン55に係止される構成となっている。
【0041】
つぎに、図18に示された第5実施例は、車体43の固定側にあるアクスルブラケット48に、内側に向けてスプリング56で張圧された係止レバー51を支持し、外側に引き出し操作(スプリング56に抗しながら)可能に設け、そのうち側にボンネット12に一体とした係止プレート49を設けた構成となっている。
【0042】
この場合、実施例は、前記係止プレート49に設けた係止孔50に前記係止レバーの先端部分が挿入嵌合できる構成とし、係止(ロック)できる構成となっている。
つぎに、図19、及び図20に示された第6実施例は、ボンネット12の係止装置40の係脱操作を運転席からできるように、ステアリングハンドルの下方側部寄りの位置に係脱操作レバー58を設けて構成している。そして、ボンネット12は、後部に回動支点Pを設けて前部が上方に開閉できる構成とし、前部側に係止装置40を設けた構成としている。そして、係止装置は、図20に示すように、ラジエータのブラケット59に回動可能に軸架した係止用フック60を、前記係脱操作レバー58に押し引き可能な操作ワイヤー61で接続して回動操作ができる構成にしている。一方、ロック杆45は、ボンネットカバー12側に固着され、そのボンネット12が閉まった位置に達すると、前記係止用フック60の回動範囲に達して、運転席にある係脱操作レバー58の操作で係合ロックができる構成としている。
【0043】
以上述べたように、第1実施例から第6に至る6つの各実施例は、具体的にはいずれも新規な構成ではなく、従来から各種の係止装置として使用されているが、開放式ボンネット12の係止装置40として簡便に、低コストで応用できる装置として採用したものである。
【0044】
つぎに、トラクタのフルターン機構に関し、小型トラクタに採用する油圧機器の配置等の実施例を、図21、乃至図25に基づいて具体的に説明する。
まず、トラクタのフルターン機構は、既に広く知られているように、前輪の操舵操作に関連して旋回外側の車輪を変速して旋回走行を効率よく行わんとする旋回時の変速制御機構であるが、実施例の場合、走行ミッション装置65の車輪伝動軸66の下手側に変速装置67を接続して設け、該変速装置67を経由して後輪伝動軸68と前輪伝動軸69とを軸架した構成としている。
【0045】
そして、変速用油圧シリンダ70は、前記変速装置67の側部で同一室に内装され、変速軸71の内部を移動するシフトキー72に接続させたキーシフトピン73にチエンジフオーク74でシフト自在に連結した構成としている。この場合、シフトキー72は、図22、乃至図24に示すように、コントロール装置75によって制御されるコントロールバルブを介して送油される作動油により、複動シリンダの変速用油圧シリンダ70、ロット76、チエンジフォーク74、キーシフトピン73を介して変速ギヤ77,78の間を切り替え移動して変速作用を行う構成となっている。なお、前記変速装置67は、図22に示すように、上記変速ギヤ77,78にそれぞれ噛合している変速ギヤ79,80の一方に伝達された変速動力が、前輪伝動軸69に伝動する構成としている。
【0046】
そして、フルターン機構のコントロール装置75は、具体的な図示は省略するが、前記変速装置67の室外に配置して設け、前記変速用油圧シリンダ70に作動油を送る配管で接続し、コントロールバルブによって制御される作動油が圧送される構成としている。
【0047】
そして、前記チエンジフオーク74は、図23、及び図24に示すように、複動式シリンダ(変速用油圧シリンダ70と同一)70のロット76の端部と、前記キーシフトピン73との間を連結するが、その場合、キーシフトピン73側を二又形状にして挿入して着脱自在に連結した構成としている。
【0048】
したがって、変速用油圧シリンダ70は、チエンジフオーク74が外し易く、分解組み立てが楽にできる特徴があり、メンテナンスに当たり点検が容易にできる利点がある。
つぎに、油圧回路は、図25に示すように、トラクタに装備した各油圧機器の回路と一連のシステムに組み込んだ構成とするが、1個の油圧ポンプ81に接続された油圧回路において、フルターン機構の油圧機器を最も上手側に配置して設けている。そして、フルターン機構の減圧弁82は、図面から解るように、パワステ用分流弁83より上流側に配置して構成している。このように構成することによって、実施例は、1個の油圧ポンプ81から送油される限られた作動油において、コントロールバルブ(コントロール装置75)の応答性を良好に保って、変速ができる特徴がある。特に、実施例の如く、キーシフトタイプ(図22、乃至図24参照)の変速機構の構成では、操舵時におけるタイヤの切れ角度と、前輪の変速タイミングとが適正に合致することが必要であって、操舵角に対して変速タイミングが狂うと、異常な機械音の発生が起こり、効果的な旋回走行が期待できないものとなる。
【0049】
そして、上記パワステ用分流弁83は、フルターン機構の減圧弁82に一体構成にして、限られた狭いスペースに装置できる構成としている。更に、油圧回路中のメインリリーフバルブ84は、減圧弁82と接続して一体に構成している。
【0050】
このように構成すると、実施例は、外部油圧取出しとして使用する場合、メインリリーフバルブ84を共用することが容易にできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】満タン予告回路の概略図
【図2】給油口の蓋を開いた状態のトラクタの斜面図
【図3】燃料タンクを照射するライトの電気回路の概略図
【図4】給油口の蓋とタンク載せ台とを一体構成とした実施例の斜面図
【図5】トラクタの斜面図
【図6】油面検出センサの斜面図
【図7】別実施例の警報回路図
【図8】油面検出センサと油面計
【図9】燃料タンクの支持構成を示す斜面図
【図10】前図9の燃料タンク上にフェンダーを取り付けた斜面図
【図11】第1実施例に係る係止装置を設けたボンネットの側面図
【図12】前図11の係止装置の斜面図
【図13】第2実施例に係る係止装置の斜面図
【図14】第3実施例に係る係止装置を設けたボンネットの側面図
【図15】第3実施例に係る係止装置の斜面図
【図16】第3実施例に係る係止装置の正面図
【図17】第4実施例の係止装置の斜面図
【図18】第5実施例の係止装置の斜面図
【図19】第6実施例の係止装置を設けたボンネットの側面図
【図20】第6実施例の係止装置の斜面図
【図21】フルターン機構を装備したトラクタの一部の側面図
【図22】フルターン機構の変速装置の側面図
【図23】変速装置のチエンジフオークの正面図
【図24】変速用油圧シリンダと関連機構の一部断面した平面図
【図25】フルターン機構の油圧回路図
【符号の説明】
【0052】
1 車体 2 燃料タンク
3 カバー(ボンネット12) 4 蓋
5 給油口 6 給油タンク(ポリタンク15)
7 タンク載せ台 8 満タン予告回路
9 ライト 10 電気回路。
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料の給油時に給油準備操作に関連して満タン予告回路に電流が流れる構成としたトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から作業車両、例えば、トラクタやコンバイン等の燃料タンクに燃料の給油を行う場合、燃料が溢れる等の不具合を回避する技術が特許公報上にも多数公開されている。例えば、特開平11−153468号公開特許公報に示されている公知の技術がその1つである。
【0003】
該公報には、その明細書と添付図面に、つぎのとおり記載されている。
「エンジンを停止させて燃料タンク16内での燃料の動揺を極力抑制させた状態において、給油作業を行いながら、その給油作業時に燃料を入れ過ぎてタンク16から燃料が溢れる等の不具合を適切に回避させる。
【0004】
回転数センサS3にてエンジンの停止が検出された状態で、燃料タンク16への燃料補給中であることが判別され、更にその燃料補給中が判別された状態で燃料タンク16内の燃料が満量状態になったことが判別されると、タンク内の燃料が満了状態であることが警報ブザー8による音や表示部1による警報表示によって警報される。」
と記載されている。
【0005】
このように、該公報に記載された公知の技術は、従来の課題を解決した実用的に優れた発明であって、その補給作業時に燃料を入れ過ぎてタンクから燃料が溢れる等の不具合を適切に回避できるものである。
【特許文献1】特開平11−153468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前項で出願人が提示した特許文献1に記載されている公知の技術は、車体に搭載されたエンジンに燃料を供給する燃料タンクが、操縦部の床面下側に備えられ、その給油口から燃料の給油ができる構成となっている。そして、燃料タンクには、フロートからなる燃料センサが内装され、液面の高さが検出できる構成となっており、更に、前記燃料センサが燃料タンク内の燃料が満量状態であることを検出すると、満量警報手段に検出情報を入力するように接続した構成となっている。
【0007】
そして、上記満量警報制御手段は、前記燃料センサが燃料の増加を入力すると、給油中であると判別し、燃料が満量状態に達したと判別すると、満量警報作動を行う構成となっている。そして、特許文献1に記載された公知技術は、満量状態に達すると、該公報の図4(ハ)に示すように、文字情報としてメッセージの表示があり、同時に警報ブザーを断続的に発音作動させることができる。
【0008】
そして、オペレータは、その後、キーSWをOFFに操作して一連の給油作業を終了して車両から離れることになる。
このような、従来装置の場合、一連の給油作業において、満タンまで給油すると警報ブザー等で報知されるから、キーSWを切り忘れることは少ないが、給油作業を満タンに達する前に、途中で終了した場合、キーSWをONのままで切り忘れ、車両を離れる場合がある。特に、近年増加している高齢のオペレータの場合、SWの切り忘れが多く発生し、バッテリーの蓄電を無駄に浪費する課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この出願は、上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、つぎの如き技術手段を講じている。すなわち、車体(1)に搭載された燃料タンク(2)を覆うカバー(3)には、給油時に開閉できる蓋(4)付きの給油口(5)が開口して設けられ、該給油口(5)の外側には、給油時に給油タンク(6)を載置できるタンク載せ台(7)が、使用状態と格納状態とに切り替え可能に装備して設けられたトラクタにおいて、前記給油口(5)の蓋(4)を開くか、又は前記タンク載せ台(7)上に給油タンク(6)を載せると、関連して前記燃料タンク(2)の満タン予告回路(8)に電流が流れる構成としたことを特徴とするトラクタとしたものである。
【0010】
満タン予告回路(8)への通電と遮断においてキースイッチON・OFFの操作を不要としたものである。したがって、請求項1に記載した発明は、給油作業中に燃料タンク(2)が満タンに達すれば、当然電気的な手段によって警報を発し、オペレーターに警告する。
【0011】
そして、この発明は、給油作業が終了すると、タンク載せ台(7)を格納状態に切り替えて収納した後、給油口(5)の蓋(4)を閉める。すると、満タン予告回路(8)は、上記操作に関連して電流が遮断され、キースイッチのOFF操作を不要としており、キースイッチの切り忘れを未然に防止している。
【0012】
つぎに、請求項2に記載した発明は、車体(1)に搭載された燃料タンク(2)を覆うカバー(3)には、給油時に開閉できる蓋(4)付きの給油口(5)が開口して設けられ、該給油口(5)の外側には、給油時に給油タンク(6)を載置できるタンク載せ台(7)が、使用状態と格納状態とに切り替え可能に装備して設けられたトラクタにおいて、前記燃料タンク(2)は、側方に装備したライト(9)を照射すると内部に充填された燃料が透視できる素材で構成され、前記給油口(5)の蓋(4)を開くか、又は前記タンク載せ台(7)上に給油タンク(6)を載せると、関連して前記ライト(9)の電気回路(10)に電流が流れる構成としたことを特徴とするトラクタとしたものである。
【0013】
満タンの予告に代えて、前記燃料タンク(2)に側方からライト(9)を照射して内部に充填された燃料を透視し、オペレータが視覚的に満タン状態を確認できる簡便な安い構成を採用した。
【0014】
この発明によれば、オペレーターは、キースイッチのON、OFF操作をする必要がなく、切り忘れの発生がないから、高齢者でも安心して給油作業ができる。
【発明の効果】
【0015】
まず、請求項1の発明は、給油口(5)の蓋(4)を開くか、又は前記タンク載せ台(7)上に給油タンク(6)を載せると、関連して前記燃料タンク(2)の満タン予告回路(8)に電流が流れる構成にしているから、満タン予告回路(8)への通電と遮断とのキースイッチ操作を不要とした優れた特徴がある。
【0016】
そして、請求項1に記載した発明は、給油作業中に燃料タンク(2)が満タンに達すれば、満タン予告回路(8)が機能して電気的な手段によって警報を発しオペレーターに警告する特徴がある。そして、この発明は、給油作業が終了すると、タンク載せ台(7)を格納状態に切り替えて収納した後、給油口(5)の蓋(4)を閉めて車体(1)を離れても、前記のとおり、キースイッチ操作が不要であるから、満タン予告回路(8)の電流が遮断されており、キースイッチの切り忘れを防止でき、バッテリー上がりを防止できるようになる。
【0017】
そして、請求項2の発明は、満タンの予告に代えて、前記燃料タンク(2)に側方からライト(9)を照射して内部に充填された燃料を透視し、オペレータが視覚的に満タン状態を確認できる簡便で、安い構成にした特徴がある。
【0018】
更に、この発明によれば、オペレーターは、キースイッチのON、OFF操作が不要であるから、切り忘れの発生がなく、バッテリー上がりを防止できて高齢者でも安心して給油作業ができる特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明を、図面に示す農業用トラクタに装備している実施例を具体的に説明する。
まず、トラクタ11は、図5に示すように、車体1の後部に左右一対の駆動用の後輪を軸架し、前部にはステアリングハンドルによって操舵される左右の前輪を軸架して、従来から広く普及している構成としている。そして、トラクタ1は、前記ステアリングハンドルの前方側をボンネット12で覆い、車体1に搭載した燃料タンク2を内装し、その前側に装備したエンジン13に燃料の供給ができる構成としている。そして、給油口5は、図2に示すように、燃料タンク2を覆うカバー3、すなわち、前記ボンネット12内にある燃料タンク2のすぐ上側に小窓を開口して形成し、これに開閉自由にした蓋4を設けて構成している。
【0020】
そして、タンク載せ台7は、前記給油口5の外側に設け、給油時に例えばポリタンク15等の給油タンク6を載置できるように、外側に折り曲げて突出させて使用状態に切り替え可能にして設けており、不使用時には邪魔にならない位置に格納状態に切り替えて収納できる構成としている。
【0021】
なお、図4の実施例に示すように、前記給油口5の蓋4とタンク載せ台7とを一体にして兼用にする構成でも良い。具体的には、実施例のタンク載せ台7は、図4に示すように、端部を前後方向の枢着軸14で車体1に開閉自在に枢着し、閉めたときには、給油口5を塞いでロックでき、開くとポリタンク(給油タンク6)15の載置台になる位置で固定できる構成としている。
【0022】
つぎに、満タン予告回路8は、図1に示すように、バッテリー16と、燃料タンク2内に装備したフロート式の油面検出センサ18のスイッチ19と、警報ブザー20と、タンク載せ台7の検出スイッチ21とを一連の状態に結線して回路を構成している。そして、実施例は、図面に示すように、上記検出スイッチ21を前記タンク載せ台7の下側に臨ませて配置し、給油タンク6を載せて台7が下がるとONとなり、自動的に通電する構成としている。したがって、満タン予告回路8は、給油作業を終了して前記タンク載せ台7を使用状態から格納状態に切り替えると、自動的に検出スイッチ21がOFFに切り替わって電流が遮断される構成となっている。
【0023】
つぎに、図3に示した実施例は、燃料タンク2の側方にライト9を装備し、そのライト9を燃料タンク2に照射して内部の燃料充填量をオペレータの目視によって確認する簡便で、安い構成にしている。この場合、燃料タンク2は、側方に装備したライト9を照射すると内部に充填された燃料が透視できる素材で形成し、ライト9は、図面に示すように、バッテリー16と、検出スイッチ21とを備えた電気回路に構成している。そして、前記検出スイッチ21は、図面に示すように、前述したタンク載せ台7に代えて給油口5の蓋4の下部回動部22に臨ませて配置し、蓋4が開いている間、ONとなり、逆に、給油口5の蓋4を閉めると、OFFに切り替わる構成にしている。
【0024】
このように、検出スイッチ21は、前述したタンク載せ台7の使用状態を検出して通電するか、或いは、給油口5の蓋4の開きを検出して通電する構成のいずれか一方を選択して使用すればよい。いずれにしても、前記した満タン予告回路8、及び電気回路は、給油作業中には検出スイッチ21がタンク載せ台7か、又は蓋4を検出してONとなり、給油作業が完了すると、検出状態がなくなってOFFとなるものである。要するに、検出スイッチ21は、燃料タンク2に給油する場合の前作業として必ず行う準備作業中にONの状態になり、作業が終了すると関連する収納操作によってOFFになり、目的を達することができる。
【0025】
このようにして、燃料の給油作業を行うと、図1に示した実施例の場合には、燃料タンク2が満タンに達すると、フロートの油面検出センサ18が検出してスイッチ19がONとなって警報ブザーを発してオペレータに満タン状態を知らせ、図3の実施例の場合には、ライト9を燃料タンク2に照射しながら、オペレータが視覚的にタンク2の内部を確認して満タンを知ることができる。したがって、エンジンを始動するためのキースイッチにて電源のみを入り状態にする必要がなくなるので、給油後にキースイッチを切り状態にするのを忘れてしまいバッテリー上がりになるのを防止することができる。
【0026】
つぎに、給油時の満タン警報装置について別実施例を説明する。
図6、乃至図8に示した実施例は、給油時にボンネット12を開放するトラクタ11に使用する構成で、満タン警報回路中に設けた検出スイッチ21は、図7に示すように、ボンネット12が開くと、これを検出してONとなり、ボンネット12を閉めるとOFFとなる構成としている。そして、回路中には、警報ランプ(LED)25と満量検出スイッチ26とを接続している。16はバッテリーを示している。
【0027】
そして、油面検出センサ18は、図6、及び図8に示すように、フロート式に形成して油面を検出できる構成として燃料タンク2内に装置し、実施例の場合、通常の油面計として使用する検出器を兼用として使用する構成とした。図8の27は、油面計(メーター)を示している。
【0028】
このように構成した実施例は、給油に際してボンネットを開けると、満タン警報回路中に設けた検出スイッチ21が、ボンネット12の開きを検出してONとなり、警報態勢になる。そして、給油作業を開始すると、フロート式油面センサ18は、燃料タンク2に供給される燃料の油面を検出しながら、通常と同様に作動して、満量に達すると、満量検出スイッチ26が入りとなって通電し、回路中の警報ランプ(LED)25が点灯して警報する。
【0029】
そして、満タン警報回路は、給油作業が完了してボンネット12を閉めると、検出スイッチ21がOFFとなり、スイッチの切り忘れを未然に防止できるものである。
つぎに、トラクタ11における燃料タンク2の支持取付構造に関する実施例を、図9、及び図10に基づき説明する。
【0030】
図面に示した実施例の場合、燃料タンク2は、左右両側に2分割して前部のメインフレーム30と後方に配置しているロプスフレーム31とに着脱自由に連結して支持した取付構造としている。この場合、後部のロプスフレーム31は、図9に示すように、左右一対の取付支柱32を下方の車体1に強固に固着し、上部に安全フレームを取り付ける横向きにして車幅方向に延長した構成としている。そして、燃料タンク2は、後部をロプスフレーム31に設けた取付ステー33にボルト34によって着脱自由に取り付けて支持し、前部はメインフレーム30の後部に左右両外側に突出させて設けた支持具35,35にブラケット36,36とねじにより支持した構成としている。
【0031】
そして、フェンダー37は、図10に示すように、後部内側を前記ロプスフレーム31に着脱自由に固着して前記燃料タンク2の上方を覆いながら前方まで延長して構成している。実施例の場合、フェンダー37と燃料タンク2とは、両者の間に係りのない状態で独立して取り付けられ、自由に着脱ができる構成となっている。
【0032】
このように、燃料タンク2は、ロプスフレーム31に直接取り付けるのではなく、取付ステー33を介してボルト34,34で固着しているから、取付構成が簡単になり実用的な効果がある上に、万一、ロプスが変形(トラクタの転倒等)するようなことがあってもタンク2にまで影響を受けない特徴がある。
【0033】
そして、実施例の場合、燃料タンク2は、周囲の部材に関係なく、タンクのみを自由に着脱できる利点があり、周囲のメンテナンス時には有効である。そして、フェンダー37は、前述のとおり、ロプスフレーム31に取り付けて燃料タンク2とは縁を切った支持構成を選択したから、従来の如く、補強部材も不要となり、低コストで製作できる利点がある。そして、燃料タンク2は、上記の取り付け構成にも関連し、強度上も強さが余り必要となくなり、樹脂化が可能となり全体として軽量とすることができる特徴もある。
【0034】
つぎに、ボンネット12の開閉時における係止装置(ロック装置)40について、数個の実施例を説明する。
従来から、ボンネット12は、その内部に形成されているエンジンルーム41に搭載されたエンジン13を中心にして、その周辺に複数のエンジン補器類が装置され、更に、これらのメンテナンス(エアクリーナーの清掃、エンジンオイルやハーネスのメンテ等々)が必要であり、その際、エンジンルーム41を大きく開放してメンテナンス作業が容易で迅速にできる構成にすることが必要になる。
【0035】
そのために、以下説明する各実施例は、ボンネット12を取り外し、又は回動支点を設けて大きく開放できる構成とし、それの係止装置(ロック装置)40に関するものである。
【0036】
まず、第1実施例は、図11、及び図12に示すように、ボンネット12の後部に抜き差し自在の係止ピン42を設け、内部の車体43側に設けた係止孔44に挿し込んで係止可能とし、前部にロック杆45を前後に沿わせて後ろ向きに設けた構成としている。そして、前記ロック杆45は、図12に示すように、左右一対のスプリングフック46,46の間に強制的に挿入して弾力的に保持(係止)される構成としている。
【0037】
このように、ボンネット12は、開放時には強制的に上方に持ち上げると、まず、後部の係止ピン42が係止孔44から上方に外れ、前部の前記ロック杆45が挟持状態にある左右一対のスプリングフック46,46を下側から押し開いて上側に外れ、上方に開放できる。そして、エンジンルーム41は、ボンネット12を開放して内部を広く開放できるから、メンテナンス作業を容易に、迅速に行うことができる特徴がある。
【0038】
そして、ボンネット12は、メンテナンス後の装着作業では、上述の開放時の外し操作を逆に操作すれば、元の状態に係止することができるものとなっている。
なお、図13図に示した第2実施例の係止装置40も、第1実施例に類似の構成となっている。
【0039】
つぎに、第3実施例は、図14、乃至図16に示すように、ボンネット12の後部を、内部の車体43に枢着して回動支点Pを設けて前部を上方に回動できる構成としている。そして、ボンネット12は、下側のアクスルブラケット48に固定した係止プレート49に係止孔50を設け、この係止孔50にボンネット12の下部に設けた係止レバー51のフック52を挿脱自由に挿入して係止する構成としている。そして、前記係止レバー51は、図16に示すように、フック52を係止孔50に挿入して保持(係止)できる構成としている。
【0040】
このように、第3実施例は、係止装置40を前側の低い位置に設けているから、開閉操作位置が低く、」背の低い人でも開閉操作が楽にできるものとなった。
つぎに、図17に示した第4実施例は、第3実施例で説明した係止レバー51のフック52に代えてスプリングフック46,46を設け、アクするブラケット48に固定されているピン55に係止される構成となっている。
【0041】
つぎに、図18に示された第5実施例は、車体43の固定側にあるアクスルブラケット48に、内側に向けてスプリング56で張圧された係止レバー51を支持し、外側に引き出し操作(スプリング56に抗しながら)可能に設け、そのうち側にボンネット12に一体とした係止プレート49を設けた構成となっている。
【0042】
この場合、実施例は、前記係止プレート49に設けた係止孔50に前記係止レバーの先端部分が挿入嵌合できる構成とし、係止(ロック)できる構成となっている。
つぎに、図19、及び図20に示された第6実施例は、ボンネット12の係止装置40の係脱操作を運転席からできるように、ステアリングハンドルの下方側部寄りの位置に係脱操作レバー58を設けて構成している。そして、ボンネット12は、後部に回動支点Pを設けて前部が上方に開閉できる構成とし、前部側に係止装置40を設けた構成としている。そして、係止装置は、図20に示すように、ラジエータのブラケット59に回動可能に軸架した係止用フック60を、前記係脱操作レバー58に押し引き可能な操作ワイヤー61で接続して回動操作ができる構成にしている。一方、ロック杆45は、ボンネットカバー12側に固着され、そのボンネット12が閉まった位置に達すると、前記係止用フック60の回動範囲に達して、運転席にある係脱操作レバー58の操作で係合ロックができる構成としている。
【0043】
以上述べたように、第1実施例から第6に至る6つの各実施例は、具体的にはいずれも新規な構成ではなく、従来から各種の係止装置として使用されているが、開放式ボンネット12の係止装置40として簡便に、低コストで応用できる装置として採用したものである。
【0044】
つぎに、トラクタのフルターン機構に関し、小型トラクタに採用する油圧機器の配置等の実施例を、図21、乃至図25に基づいて具体的に説明する。
まず、トラクタのフルターン機構は、既に広く知られているように、前輪の操舵操作に関連して旋回外側の車輪を変速して旋回走行を効率よく行わんとする旋回時の変速制御機構であるが、実施例の場合、走行ミッション装置65の車輪伝動軸66の下手側に変速装置67を接続して設け、該変速装置67を経由して後輪伝動軸68と前輪伝動軸69とを軸架した構成としている。
【0045】
そして、変速用油圧シリンダ70は、前記変速装置67の側部で同一室に内装され、変速軸71の内部を移動するシフトキー72に接続させたキーシフトピン73にチエンジフオーク74でシフト自在に連結した構成としている。この場合、シフトキー72は、図22、乃至図24に示すように、コントロール装置75によって制御されるコントロールバルブを介して送油される作動油により、複動シリンダの変速用油圧シリンダ70、ロット76、チエンジフォーク74、キーシフトピン73を介して変速ギヤ77,78の間を切り替え移動して変速作用を行う構成となっている。なお、前記変速装置67は、図22に示すように、上記変速ギヤ77,78にそれぞれ噛合している変速ギヤ79,80の一方に伝達された変速動力が、前輪伝動軸69に伝動する構成としている。
【0046】
そして、フルターン機構のコントロール装置75は、具体的な図示は省略するが、前記変速装置67の室外に配置して設け、前記変速用油圧シリンダ70に作動油を送る配管で接続し、コントロールバルブによって制御される作動油が圧送される構成としている。
【0047】
そして、前記チエンジフオーク74は、図23、及び図24に示すように、複動式シリンダ(変速用油圧シリンダ70と同一)70のロット76の端部と、前記キーシフトピン73との間を連結するが、その場合、キーシフトピン73側を二又形状にして挿入して着脱自在に連結した構成としている。
【0048】
したがって、変速用油圧シリンダ70は、チエンジフオーク74が外し易く、分解組み立てが楽にできる特徴があり、メンテナンスに当たり点検が容易にできる利点がある。
つぎに、油圧回路は、図25に示すように、トラクタに装備した各油圧機器の回路と一連のシステムに組み込んだ構成とするが、1個の油圧ポンプ81に接続された油圧回路において、フルターン機構の油圧機器を最も上手側に配置して設けている。そして、フルターン機構の減圧弁82は、図面から解るように、パワステ用分流弁83より上流側に配置して構成している。このように構成することによって、実施例は、1個の油圧ポンプ81から送油される限られた作動油において、コントロールバルブ(コントロール装置75)の応答性を良好に保って、変速ができる特徴がある。特に、実施例の如く、キーシフトタイプ(図22、乃至図24参照)の変速機構の構成では、操舵時におけるタイヤの切れ角度と、前輪の変速タイミングとが適正に合致することが必要であって、操舵角に対して変速タイミングが狂うと、異常な機械音の発生が起こり、効果的な旋回走行が期待できないものとなる。
【0049】
そして、上記パワステ用分流弁83は、フルターン機構の減圧弁82に一体構成にして、限られた狭いスペースに装置できる構成としている。更に、油圧回路中のメインリリーフバルブ84は、減圧弁82と接続して一体に構成している。
【0050】
このように構成すると、実施例は、外部油圧取出しとして使用する場合、メインリリーフバルブ84を共用することが容易にできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】満タン予告回路の概略図
【図2】給油口の蓋を開いた状態のトラクタの斜面図
【図3】燃料タンクを照射するライトの電気回路の概略図
【図4】給油口の蓋とタンク載せ台とを一体構成とした実施例の斜面図
【図5】トラクタの斜面図
【図6】油面検出センサの斜面図
【図7】別実施例の警報回路図
【図8】油面検出センサと油面計
【図9】燃料タンクの支持構成を示す斜面図
【図10】前図9の燃料タンク上にフェンダーを取り付けた斜面図
【図11】第1実施例に係る係止装置を設けたボンネットの側面図
【図12】前図11の係止装置の斜面図
【図13】第2実施例に係る係止装置の斜面図
【図14】第3実施例に係る係止装置を設けたボンネットの側面図
【図15】第3実施例に係る係止装置の斜面図
【図16】第3実施例に係る係止装置の正面図
【図17】第4実施例の係止装置の斜面図
【図18】第5実施例の係止装置の斜面図
【図19】第6実施例の係止装置を設けたボンネットの側面図
【図20】第6実施例の係止装置の斜面図
【図21】フルターン機構を装備したトラクタの一部の側面図
【図22】フルターン機構の変速装置の側面図
【図23】変速装置のチエンジフオークの正面図
【図24】変速用油圧シリンダと関連機構の一部断面した平面図
【図25】フルターン機構の油圧回路図
【符号の説明】
【0052】
1 車体 2 燃料タンク
3 カバー(ボンネット12) 4 蓋
5 給油口 6 給油タンク(ポリタンク15)
7 タンク載せ台 8 満タン予告回路
9 ライト 10 電気回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(1)に搭載された燃料タンク(2)を覆うカバー(3)には、給油時に開閉できる蓋(4)付きの給油口(5)が開口して設けられ、該給油口(5)の外側には、給油時に給油タンク(6)を載置できるタンク載せ台(7)が、使用状態と格納状態とに切り替え可能に装備して設けられたトラクタにおいて、前記給油口(5)の蓋(4)を開くか、又は前記タンク載せ台(7)上に給油タンク(6)を載せると、関連して前記燃料タンク(2)の満タン予告回路(8)に電流が流れる構成としたことを特徴とするトラクタ。
【請求項2】
車体(1)に搭載された燃料タンク(2)を覆うカバー(3)には、給油時に開閉できる蓋(4)付きの給油口(5)が開口して設けられ、該給油口(5)の外側には、給油時に給油タンク(6)を載置できるタンク載せ台(7)が、使用状態と格納状態とに切り替え可能に装備して設けられたトラクタにおいて、前記燃料タンク(2)は、側方に装備したライト(9)を照射すると内部に充填された燃料が透視できる素材で構成され、前記給油口(5)の蓋(4)を開くか、又は前記タンク載せ台(7)上に給油タンク(6)を載せると、関連して前記ライト(9)の電気回路(10)に電流が流れる構成としたことを特徴とするトラクタ。
【請求項1】
車体(1)に搭載された燃料タンク(2)を覆うカバー(3)には、給油時に開閉できる蓋(4)付きの給油口(5)が開口して設けられ、該給油口(5)の外側には、給油時に給油タンク(6)を載置できるタンク載せ台(7)が、使用状態と格納状態とに切り替え可能に装備して設けられたトラクタにおいて、前記給油口(5)の蓋(4)を開くか、又は前記タンク載せ台(7)上に給油タンク(6)を載せると、関連して前記燃料タンク(2)の満タン予告回路(8)に電流が流れる構成としたことを特徴とするトラクタ。
【請求項2】
車体(1)に搭載された燃料タンク(2)を覆うカバー(3)には、給油時に開閉できる蓋(4)付きの給油口(5)が開口して設けられ、該給油口(5)の外側には、給油時に給油タンク(6)を載置できるタンク載せ台(7)が、使用状態と格納状態とに切り替え可能に装備して設けられたトラクタにおいて、前記燃料タンク(2)は、側方に装備したライト(9)を照射すると内部に充填された燃料が透視できる素材で構成され、前記給油口(5)の蓋(4)を開くか、又は前記タンク載せ台(7)上に給油タンク(6)を載せると、関連して前記ライト(9)の電気回路(10)に電流が流れる構成としたことを特徴とするトラクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2010−30510(P2010−30510A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196555(P2008−196555)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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