トラック移動方法並びに記録再生方法及び装置
記録再生装置及び方法と、トラック移動方法、具体的には、効率的にトラックを探す装置及び方法と、記録媒体に対するデータ記録/再生方法を開示する。トラック移動方法は、レンズが現在トラックから他のトラックへと移動する時に、トラック移動距離に対応するレンズ部と記録媒体間の間隔を変更させることを含む。これにより、レンズ部と記録媒体の衝突を最小化または予防し、記録媒体に対するデータ記録/再生時に、記録/再生を行うトラックを効率的に探すことが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック移動方法並びに記録再生方法及び装置に関する。より詳細には、効率的にトラックを移動させて、データを記録媒体に記録し、及び/またはデータを記録媒体から再生する装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光記録再生装置は、CD(compact disc)やDVD(digital versatile disc)等のディスクにデータを記録し、及び当該ディスクからデータを再生する。消費者の嗜好の変化によって高解像度の動画処理技術が必要となっている。また、動画圧縮技術が発達するに伴い、高密度記録媒体が要求されている。光ヘッド、すなわち、光ピックアップに関連する技術は、高密度記録媒体の開発に必要である。
【0003】
記録媒体における記録密度は、記録媒体の記録層に照射される光の直径(diameter)に依存する。すなわち、記録媒体に照射される集束した光の直径が小さいほど、記録密度は高くなる。この時、集束した光の直径は2種類のファクターで決定される。一つは、集束時に使われるレンズの開口数(Numerical Aperture:NA)であり、もう一つは、レンズによって集束される光の波長である。
【0004】
集束光は波長が短いので、記録密度が増加する。したがって、記録媒体の記録密度を高めるために、波長の短い光が用いられる。すなわち、青色光は赤色光に比べて記録密度をより高めることができる。
【0005】
しかしながら、一般的なレンズを使用したファーフィールド(Far Field)記録ヘッドは光の回折限界があるので、光の直径を減らすには制限があった。このため、ニアフィールド光学(Near Field Optics)に基づいて、光の波長よりも小さい単位の情報を保存し、読み出すことのできるニアフィールド記録(Near Field Recording:NFR)装置が開発されている。
【0006】
ニアフィールド形成レンズを用いたニアフィールド光記録装置は、対物レンズよりも屈折率の高いニアフィールド形成レンズを用いて回折限界以下の光を得ることができ、この光は、消衰波(Evanescent wave)の形態で界面に近接した記録媒体に伝播され、高密度のビット情報を保存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、かかる従来技術では下記のような問題点があった。
【0008】
すなわち、上記の消衰波を維持するためにレンズは記録媒体と近接した距離を維持しなければならず、そのため、記録媒体の面振れ(axial vibration)やピックアップ駆動時のチルト(tilt)を考慮する時、ニアフィールド形成レンズの底面と記録媒体との衝突を避け難いという問題点があった。
【0009】
特に、記録媒体上において所望の地点を探していくために、ピックアップから発生する光を現在トラックから目標トラックへと移動させる場合、衝突の可能性が増大するという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、関連技術の不具合や限界による一つ以上の問題点を実質的に減少させるトラック移動方法、並びに記録再生装置及びその方法を対象とする。
【0011】
上記課題を解決するために発明された本発明の目的は、トラック移動の効率的な方法と該方法を用いた記録再生方法及び装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、レンズ部のトラック移動時に生じる衝突によるエラーを最小化できるトラック移動方法と、該方法を用いた記録再生方法及び装置を提供することにある。
【0013】
本発明の目的は、レンズ部が現在トラックから他のトラックへの移動時に、トラック移動の距離に相応する記録媒体とレンズ部間の間隔(gap)を変更させる段階を含むトラック移動方法を提供することによって達成される。このレンズと記録媒体間の間隔は、トラック移動距離によって段階的に変更可能である。
【0014】
本発明の他の側面において、レンズと記録媒体間の間隔を制御信号を用いて均一に調節する段階であって、当該間隔は、レンズ部がトラックを移動する時に、トラック移動距離に対応するオフセット(offset)を制御信号に適用することによって変更される記録再生方法が提供される。ここで、オフセットは、トラック移動距離によって段階的に変化し、オフセットのレベルはトラック移動距離に比例することができる。
【0015】
本発明のさらに他の側面において、(a)記録媒体の現在トラックから他のトラックへのトラック探索命令を受信し、(b)レンズと記録媒体間の間隔を第1のレベルに変更し、前記レンズまたは光ピックアップをトラック探索命令に相応する目標トラックへ移動させ、(c)レンズと記録媒体間の間隔を到達トラックにおいて初期状態に変更し、現在トラックの位置をチェックし、(d)レンズと記録媒体間の間隔を第2のレベルに変更し、トラックがカウントされると、到達トラックから目標トラックへとレンズまたは光ピックアップを漸次移動させる、ことを含む記録媒体に対してデータ記録再生する方法が提供される。ここで、第1のレベルは、第2のレベルよりも大きくすることができる。
【0016】
本発明のさらに他の側面において、レンズを含み、光源(optical source)から放出された光ビームを記録媒体に照射するピックアップと、記録媒体から反射された光ビームによって生成されるギャップ制御信号に応じて記録媒体とレンズ間の間隔をフィードバック制御するギャップサーボと、レンズ部のトラック移動時に、レンズと記録媒体間の間隔を変更させるギャップ制御信号に、トラック移動距離に対応するオフセットを適用する制御部と、を含む記録再生装置が提供される。ここで、制御部は、トラック移動距離によって変化するオフセットを段階的に適用し、トラック移動距離によって当該間隔を変更する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、レンズ部と記録媒体間の衝突を予防または最小化でき、記録媒体のデータ記録及び再生時に効率的にトラック探索を行い、記録/再生を実行できる。
【0018】
本発明では、レンズ部のトラック移動時に生じる衝突によるエラーを最小化できるトラック移動方法と該方法を用いた記録再生方法及び装置も提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る光ピックアップ及び記録媒体の好適な実施形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書において、「記録媒体」とは、データが記録されているか、または記録することができる全ての媒体のことを意味し、具体的には光ディスクが挙げられる。また、「記録再生装置」とは、記録媒体にデータを記録したり、記録されたデータを再生したりすることができる全ての装置のことを意味する。なお、以下の説明では、本発明の説明の便宜上のため、及びより深い理解のためにニアフィールドを用いる記録再生装置が取り上げられるが、これに本発明が限定されることはない。
【0020】
また、本発明で使われる用語は、一般的に知られ、かつ使われている用語から選択したが、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、その場合には、該当する説明部分で詳細にその意味を記載する。さらに、単純な用語の名称ではなく用語が持つ意味を以って本発明を把握すべきことが求められる。
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る記録再生装置を詳細に説明する。可能なかぎり、図面中では同一または類似の構成要素を示すために同一の参照符号を使用する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る記録再生装置の構成を概略的に示す図である。この記録再生装置の構成を、図2及び図3を参照して詳細に説明する。
【0023】
光ピックアップ(P/U)1は、光を記録媒体に照射し、記録媒体から反射された光を集光して信号を生成する。光ピックアップ1を構成する光学系(図示せず)は、図2に示すように構成可能である。すなわち、光ピックアップ1を構成する光学系は、光源10、分離合成部20、30、レンズ部40及び光検出部(photo-detector)60、70を含むことができる。
【0024】
光源10には、直進性(rectilinear propagation property)に富むレーザーが使われることができる。したがって、光源10は、例えば、レーザーダイオード(Laser diode)とすることができる。そして、光源10から放出されて記録媒体に照射される光は、平行光とすることができる。したがって、光源から放出された光の経路上に、光の経路を平行にするコリメータなどのレンズを含むように構成することができる。
【0025】
分離/合成部20、30は、同じ方向から入射した光の経路を分離したり、またはそれぞれ異なる方向から入射した光の経路を合成したりする。本実施形態では、第1の分離/合成部20と第2の分離/合成部30が含まれる。第1の分離/合成部20は、入射した光の一部は通過させ、一部は反射させる(本実施形態において、第1の分離/合成部20はNBS(Non-polarized Beam Splitter)である)。そして、第2の分離/合成部30は、偏光方向によって特定方向の偏光のみを通過させる(本実施形態において、第2の分離/合成部30は、PBS(Polarized Beam Splitter)である)。例えば、直線偏光を用いる場合、第2の分離/合成部30は垂直方向の偏光成分のみを通過させ、水平方向の偏光成分は反射させるように構成することができる。逆に、水平方向の偏光成分のみを通過させ、垂直方向の偏光成分は反射させるように構成することもできる。
【0026】
レンズ部40は、光源10から放出された光を記録媒体50に照射する。本発明の一実施形態に係るレンズ部40は、図3に示すように、対物レンズ41と、該対物レンズ41を通過した光が記録媒体に入射する経路上に設けられたニアフィールド形成レンズ42を含む。すなわち、対物レンズ41の他に、屈折率の高いニアフィールド形成レンズ42を備えることによってレンズ部40の開口数(NA)を高め、これを通じて消衰波(Evanescent wave)を形成する。ここで、ニアフィールド形成レンズ42は、具体的には、SIL(Solid Immersion Lens)とすることができ、または球形のレンズを切削して形成される半球形または超半球形(球より小さく、半球よりは大きい高さを持つ球形の一部を超半球という)のレンズとすることができる。
【0027】
また、レンズ部40を含む光ピックアップ1の光学系は、記録媒体50に近接して位置する。レンズ部40と記録媒体50の相対的な位置関係は、次の通りである。レンズ部40と記録媒体50を光波長の約1/4(すなわち、λ/4)以下に近接させると、レンズ部40に臨界角以上で入射した光の一部は記録媒体50の表面から全反射されるのではなく、記録層に到達するために記録媒体50を通過する消衰波を形成する。記録層に到達する消衰波は記録再生に用いることができる。しかし、レンズ部40及び記録媒体50間の間隔がλ/4以上に狭まると、光の波長は消衰波の性質を失い、記録媒体50の表面から完全に反射する元来の波長に戻ってくる。したがって、通常、ニアフィールドを用いる記録再生装置ではレンズ部40と記録媒体50間の間隔が約λ/4を越えないように維持される。ここで、λ/4がニアフィールドの限界となる。
【0028】
光検出部60、70は、反射光を受光し、受光した反射光を変換して電気的な信号を生成する。本実施形態では、第1の光検出部60と第2の光検出部70を含む。第1の光検出部60または第2の光検出部70は、記録媒体50の信号トラック方向や半径方向に特定分割、例えば2分割した2個の光検出素子PDA、PDBを含むことができる。ここで、光検出素子PDA、PDBは、受光した光量に比例する電気信号A、Bを生成する。または、光検出部60または70は、記録媒体50の信号トラック方向と半径方向にそれぞれ2分割した4個の光検出素子PDA、PDB、PDC、PDDを含むことができる。光検出部60、70に含まれる光検出素子の構成は本実施形態に限定されず、必要に応じて様々な変形が可能である。
【0029】
図1の信号生成部2は、光ピックアップ1から生成された信号を用いてデータ再生に必要なRF信号、サーボ制御に必要なギャップエラー信号GE及びトラッキングエラー信号TEを生成する。これらの信号については、図4で詳細に後述する。
【0030】
制御部3は、光検出部または信号生成部2で生成された信号を受信し、制御信号または駆動信号(drive signal)を生成する。例えば、制御部3は、ギャップエラー信号GEを信号処理し、レンズ部40と記録媒体50間の間隔制御のための駆動信号をギャップサーボ駆動部4に出力する。または、トラッキングエラー信号TEを信号処理し、トラッキング制御のための駆動信号をトラッキングサーボ駆動部5に出力する。
【0031】
また、制御部3は、トラック探索命令(track seek command)があるか、トラックを探索する必要がある場合、トラックの移動距離によってレンズ部40または光ピックアップ1が移動するように、駆動信号をトラッキングサーボ駆動部5またはスレッドサーボ駆動部6に出力する。
【0032】
この時、制御部3は、レンズ部40と記録媒体50間の間隔制御のためのギャップエラー信号GEに、トラックの移動距離に相応するオフセットを与えることができる。これにより、レンズ部のトラック移動時に、レンズ部40または光ピックアップ1が上下移動することができる。これについては具体的に後述する。
【0033】
ギャップサーボ駆動部4は、光ピックアップ1内のアクチュエータ(図示せず)を駆動させることによって光ピックアップ1または光ピックアップのレンズ部40を上下に移動させる。これによって、レンズ部40と記録媒体50間の間隔を一定に維持することができる。
【0034】
ギャップサーボ駆動部4は、フォーカスサーボの役割も兼ねることができる。例えば、制御部3のフォーカス制御のための信号によって、光ピックアップ1または光ピックアップのレンズ部40が記録媒体50の回転と共に上下の動きをトレースするようにすることもできる。
【0035】
トラッキングサーボ駆動部5は、光ピックアップ1内のトラッキングアクチュエータ(図示せず)を駆動させることによって光ピックアップ1または光ピックアップのレンズ部40を半径方向に動かして光の位置を修正する。これにより、光ピックアップ1または光ピックアップのレンズ部40は、記録媒体50に設けられた所定のトラックをトレースできる。また、トラッキングサーボ駆動部5はトラック探索命令(track seek command)に応じて光ピックアップ1または光ピックアップのレンズ部40を半径方向に移動させることができる。
【0036】
スレッドサーボ駆動部6は、光ピックアップ1を動かせるために設けられたスレッドモーター(図示せず)を駆動させることによってトラック探索命令に応じて光ピックアップ1を半径方向に移動させることができる。
【0037】
このような記録再生装置には、PC(personal computer)などのホストを含めることができる。該ホストは、インターフェースを通じて記録/再生命令をマイクロコンピュータ100に伝送し、デコーダ7から再生されたデータを受信し、記録するデータをエンコーダ8に伝送する。そして、マイクロコンピュータ100は、ホストの記録/再生命令によってデコーダ7、エンコーダ8及び制御部3を制御する。
【0038】
ここで、インターフェースは、通常、ATAPI(Advanced Technology Attached Packet Interface)110を使用すると良い。ここで、ATAPI110は、CDやDVDドライブなどの光記録/再生装置とホスト間のインターフェース規格であり、光記録/再生装置はデコードされたデータをホストに伝送する。ATAPI110は、デコードされたデータをホストで処理可能なパケット形態のプロトコルに変換して当該プロトコルを伝送する。
【0039】
以下では、本発明の一実施形態に係る記録再生装置の光ピックアップ1において、光学系の作動順序は光源10から放出された光の進行方向を基準に説明し、それ以外は信号のフローを基準にして説明する。
【0040】
ピックアップ1の光源10から放出された光は、第1の分離/合成部20に入射し、その一部は第1の分離/合成部20から反射され、一部は第1の分離/合成部20を通過して第2の分離/合成部30に入射する。第2の分離/合成部30は、前記線偏光された光において垂直偏光成分は通過させ、水平偏光成分は反射させる(その逆も可能である)。第2の分離/合成部30を通過した光の経路上には偏光変換面(図示せず)がさらに含まれることができ、この偏光変換面については詳細に後述する。
【0041】
第2の分離/合成部30を通過した光は、レンズ部40に入射する。ここで、レンズ部40の対物レンズに入射した光は、ニアフィールド形成レンズを通過しながら消衰波を生成する。具体的に説明すると、臨界角以上の角度でニアフィールド形成レンズに入射した光は、レンズの表面と記録媒体50の表面から全反射する。そして、臨界角を越えない角度でニアフィールド形成レンズに入射した光は、記録媒体50の記録層に反射される。この過程で生成される消衰波は、記録媒体50の記録層に到達して記録/再生を行う。
【0042】
記録媒体50から反射された光は、再びレンズ部40を通じて第2の分離/合成部30に入射する。この時、上記のように、第2の分離/合成部30に入射する光の経路上に偏光変換面(図示せず)を設けることができる。この偏光変換面は、記録媒体50に入射する光と記録媒体50から反射された光の偏光方向を変換する。例えば、偏光変換面を1/4波長板(QWP:Quarter wave plate)にすれば、この1/4波長板は、記録媒体50に入射する光を左円偏光させ、逆方向に進行する反射光を右円偏光させる。結果的に、1/4波長板を通過した反射光は、入射光と異なる方向に偏光方向が変換され、反射光と入射光の偏光方向は互いに90度の差を持つこととなる。したがって、第2の分離/合成部30を通過し、記録媒体50に入射した水平偏光成分のみが、記録媒体50から反射されて再び第2の分離/合成部30に入射する時に、垂直偏光成分に変換される。この反射光中の該垂直偏光成分は第2の分離/合成部30から反射され、該反射された光は第2の光検出部70に入射する。
【0043】
一方、本発明のニアフィールド記録再生装置においてレンズ部40の開口数(NA)は1より大きいので、レンズ部40を通じて光が照射され反射される過程で光の偏光方向に歪みが生じる。すなわち、第2の分離/合成部30に入射する反射光の一部は偏光方向の歪みによって水平偏光成分を有し、第2の分離/合成部30を通過することとなる。この通過した反射光は、第1の分離/合成部20に入射する。そして、第1の分離/合成部20は、入射した光の一部を通過させ、一部を反射させる。この第1の分離/合成部20から反射された光は第1の光検出部60に入射する。
【0044】
第1の光検出部60と第2の光検出部70は、受光した反射光の光量に相応する電気的な信号をそれぞれ出力する。信号生成部2は、光検出部60、70から出力された電気的な信号を用いてギャップエラー信号GE、トラッキングエラー信号TEまたはRF信号を生成する。
【0045】
次に、信号生成部2で生成される信号を、図4を参照しつつ具体的に説明する。ここで、第1の光検出部60及び第2の光検出部70は、例えば、図4に示すようにそれぞれ2個の光検出素子を含む。
【0046】
第1の光検出部60を構成する2個の光検出素子はそれぞれ、受光した光量に相応する電気的信号A、Bを出力する。なお、第2の光検出部70を構成する2個の光検出素子はそれぞれ、受光した光量に相応する電気的信号C、Dを出力する。
【0047】
信号生成部2は、第1の光検出部60から出力されたA、B信号を用いて、レンズと記録媒体の間隔を制御するためのギャップエラー信号(Gap Error signal)GEを生成できる。このギャップエラー信号GEは、第1の光検出部60を構成する光検出素子から出力される信号を加算して生成することができる。このようにして生成されるギャップエラー信号GEは、下記の式(1)で示される。
【0048】
【数1】
【0049】
ここで、ギャップエラー信号GEは、光量に相応する電気的な信号の総和に該当するので、第1の光検出部60によって受光された反射光の光量に比例するようになる。
【0050】
信号生成部2は、第2の光検出部70から出力されたC、D信号を用いて、記録再生を行うためのRF信号またはトラッキング制御のためのトラッキングエラー信号(Tracking Error signal)TEを生成することができる。RF信号は、第2の光検出部70を構成する光検出素子から出力される信号を加算して生成することができ、RF=C+Dのように表すことができる。また、トラッキングエラー信号TEは、当該光検出素子から出力される信号の差によって生成することができ、TE=C−Dのように表すことができる。
【0051】
ギャップエラー信号GEは、図5に示すように、ニアフィールド内ではレンズ部40と記録媒体50間の間隔Gに比例し、ニアフィールドを外れたファーフィールドでは、一定の大きさを持つ。これについて具体的に説明すると、次の通りである。臨界角以上の角で入射する光が記録媒体50の表面から全反射する時、レンズ部40と記録媒体50間の間隔Gは、ニアフィールドの大きさと同一、または、より大きくなる。すなわち、ニアフィールド限界(つまり、ニアフィールドとファーフィールドとの境界)であるλ/4と同一、または、それ以上になるわけである。一方、レンズ部40と記録媒体50間の間隔Gがλ/4より小さいと、臨界角またはそれ以上の角で入射する光の一部は、レンズ部40と記録媒体50が互いに接触していなくても、記録媒体50を通って記録層に到達する。この場合、レンズ部40と記録媒体50間の間隔Gが小さいほど、全体的に見て、記録媒体50を通過する光量は多くなり、記録媒体50から反射される光量は減る。そして、当該間隔が大きくなるほど、全体的に見て、記録媒体50を通貨する光量は減り、記録媒体50から反射される光量は増加する。したがって、ニアフィールド内では、記録媒体の表面から反射される反射光の強度がレンズ部40と記録媒体50間の間隔Gに比例する関係を示す。また、反射光の強度は、間隔Gが上述したニアフィールドの限界(すなわち、ニアフィールドとファーフィールドとの境界)であるλ/4以上になると、一定の値を持つ。
【0052】
反射光の強度に比例するギャップエラー信号GEの強度も、上記の如く、ニアフィールド内では間隔Gに比例し、ニアフィールド外では一定の値(最大値)を持つ。このような原理から、ニアフィールドでレンズ部40と記録媒体50間の間隔Gを一定に維持するとギャップエラー信号GEは一定の値を持つ。すなわち、ギャップエラー信号GEが一定の値を持つようにフィードバック制御することによって、レンズ部40と記録媒体50間の間隔Gを一定に維持するように制御可能である。
【0053】
このようにギャップエラー信号GEを用いてレンズ部40と記録媒体50間の間隔を一定に維持するように制御する方法について、図5及び図6を参照して以下のように詳細に説明する。
【0054】
反射光の信号を検出するのに適合するレンズ部40と記録媒体50間の間隔xを設定する(S10)。該設定された間隔xから検出されるギャップエラー信号GE(y)を検出する(S11)。該検出されたギャップエラー信号GE(y)を保存する(S12)。ここで、yは、レンズ部40と記録媒体50の衝突可能性が増加しないようにニアフィールド限界(λ/4)の10〜20%より大きい値に設定することができる。また、yは、レンズ部40と記録媒体50が遠ざかりニアフィールドを外れる可能性が増加しないように、ニアフィールド限界(λ/4)の80〜90%より小さな値に設定することができる。上記の過程は、記録媒体50に対するデータ記録再生過程の前に行われることができる。
【0055】
回転する記録媒体50に対するデータ記録再生過程で、記録媒体50のトラックに照射された光は反射されて第1の光検出部60に受光される。そして、信号生成部2は、第1の光検出部60から出力される信号を用いてギャップエラー信号GEを生成する。この時、検出されるギャップエラー信号GE(y1)が、保存されているギャップエラー信号GE(y)に該当するか否かを判断する(S13)。検出されるギャップエラー信号GE(y1)が、保存されたギャップエラー信号GE(y)に該当すると、設定された間隔を維持しているという意味であるので、その状態のまま継続して記録/再生過程を行う(S14)。一方、検出されるギャップエラー信号GE(y1)が、保存されたギャップエラー信号GE(y)に該当しないと、間隔に変化が生じたことを意味するので、レンズ部40を駆動することによってレンズ部40と記録媒体50間の間隔を調整することができる。このように記録/再生過程で検出されるギャップエラー信号GEを用いてレンズ部40をフィードバック制御することによって、レンズ部40と記録媒体50間の間隔を一定に維持することができる。
【0056】
以下、トラック探索が必要であるか、トラック探索命令が入力された場合における、トラックの移動方法及び記録再生方法を、図7〜図10を参照しつつ具体的に説明する。
【0057】
図7は、ニアフィールド形成レンズと記録媒体間の間隔Gが一定な時にチルト(tilt)が許容される最大角を示す図である。レンズ部40が記録媒体50と接する先端部を拡大してみると、レンズ部40は記録媒体50から一定間隔Gの分だけ隔たって位置する。この時、レンズ部40のチルトまたは記録媒体50の面振れ(axial vibration)などの外乱(disturbance)によってレンズ部40と記録媒体50とが衝突するチルト限界角(θ)は、式(2)によって決定される。
【0058】
【数2】
【0059】
ここで、Gは、レンズ部40と記録媒体50間の間隔を表し、Rは、記録媒体50と対面するレンズ部40の底面直径の1/2を表す。例えば、間隔Gは20nmに設定し、レンズ部40の直径を40μmとする場合、チルト限界角は0.057゜となる。すなわち、チルト限界角が極めて小さいから、レンズ部がトラック移動を行う場合、微細なチルトによってニアフィールド形成レンズが記録媒体50に衝突する可能性が高い。
【0060】
図8A及び図8Bは、レンズ部40と記録媒体50間の間隔Gの変化によるチルト限界角の計算値を示す。図示のように、チルト限界角は、間隔Gの増加に比例して線形的に増加する。したがって、レンズ部がトラックを移動する時にレンズ部40を記録媒体50に対して垂直に駆動させることによってチルト限界角を増加させると、トラック移動時にレンズ部40の記録媒体50への衝突が防止される。
【0061】
<トラック移動方法の第1の実施例>
以下、本発明の第1の実施形態に係るトラック移動方法を、図9及び図10を参照しつつ具体的に説明する。本発明に係るトラック移動方法は、スレッドサーボ駆動部6などの粗動モーター(coarse motor)によって光ピックアップ1全体を動かしてトラックを探す方法(ラフ探索(rough seek)ともいう)と、アクチュエータ(図示せず)などの光ピックアップ1内の微細駆動部によってレンズ部40を駆動する方法(ファイン探索(fine seek)ともいう)を含む。ここで、光ピックアップ1またはレンズ部40の半径方向への移動時に、光ピックアップ1またはレンズ部40は上下方向に移動することができる。
【0062】
ここでは、ニアフィールドの限界(上述のように、ニアフィールドの限界はλ/4になりうる)内で、信号の観察を最もし易いニアフィールド限界の20%に該当する間隔Gでギャップサーボを作動する場合を取り上げて説明する。図9に示すように、ニアフィールド限界の20%に該当する間隔Gを維持するように制御する場合、図6で説明したようにギャップサーボを作動し、レンズ部40と記録媒体50が一定の間隔を維持するようにフィードバック制御する。
【0063】
この時、トラック探索命令が入力されるか、トラック探索が要求されると、レンズ部40と記録媒体50間の間隔をニアフィールド限界の80%以内の範囲で増加させることによって、チルト限界角を増加させることができる。ここでいう80%は、実験的に決定される値であり、レンズ部40と記録媒体50間の間隔がチルトや面振れによるニアフィールドの限界を外れない範囲となる。これにより、レンズ部のトラック移動時にレンズ部40と記録媒体50との衝突可能性を最小化することができる。
【0064】
また、同図に示すように、トラックの移動距離が1cmと長い場合には80%水準まで間隔を増加させ、トラックの移動距離が1mmと相対的に短い場合には、40%水準まで間隔を増加させることができる。すなわち、トラックの移動距離によってそれぞれ異なる間隔を段階的に調整することができる。トラック移動距離によって間隔を制御する方法の具体的な実施例を、図10を参照しつつ説明する。
【0065】
すなわち、トラックの移動距離が1cmを超過する場合には、レンズ部のトラック移動時にニアフィールド限界の80%までレンズ部40と記録媒体50間の間隔を増加させることが可能である。これにより、トラックの移動距離が長い場合に生じる衝突可能性を最小化することが可能である。また、トラックの移動距離が1mmを超え、かつ1cm以下の場合には、レンズ部のトラック移動時にニアフィールド限界の60〜80%の範囲までレンズ部40と記録媒体50間の間隔を増加させる。トラックの移動距離が500μmを超え、かつ1mm以下の場合には、レンズ部のトラック移動時にニアフィールド限界の40〜80%の範囲までレンズ部40と記録媒体50間の間隔を増加させる。トラックの移動距離が100μmを超え、かつ500μm以下の場合には、レンズ部のトラック移動時にニアフィールド限界の30〜80%までレンズ部40と記録媒体50間の間隔を増加させる。トラックの移動距離が100μm以下の場合には、レンズ部のトラック移動時にレンズ部40と記録媒体50間の間隔を変化させずにトラックが移動するようにする。
【0066】
ここで説明されたニアフィールド限界のパーセントの値は、好適な基準値を示したもので、基準値より小さくなっても良い。本実施形態にはトラック移動距離の範囲が例示されているが、これに限定されず、様々な変更が可能である。
【0067】
<トラック移動方法の第2の実施例>
本発明の第2の実施形態に係るトラック移動方法を、図11を参照しつつ詳細に説明する。ただし、ここでは、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0068】
図11は、本発明の一実施形態に係る記録再生方法において、レンズ部40と記録媒体50間の間隔変化を示す図である。同図のように、本発明に係る記録再生方法においてトラック移動方法は4つの段階からなる。これら各段階を順次に詳細に説明する。
【0069】
第1段階は、記録再生装置における記録及び/または再生の段階である。この段階は、挿入された記録媒体50からデータを再生し、記録媒体50にデータを記録する段階であり、トラック探索命令が入力される前の駆動状態である。記録及び/または再生段階において、レンズ部40と記録媒体50とは一定の間隔を維持する。この時の間隔を第0レベル(G0)とする。
【0070】
この第0レベル(G0)は以下の通り決定される。第一に、レンズ部(特に、ニアフィールド形成レンズ)は、ニアフィールドに位置した光波長λの1/4よりも小さい間隔だけ記録媒体から隔たって位置する。第0レベル(G0)は、外乱と記録密度などを考慮して決定される。レンズ部がニアフィールドに位置しているとしても、レンズ部がニアフィールドの限界点(すなわち、光波長の1/4近傍)に近付いていると、レンズ部が安定的にニアフィールドに在るとは判断し難い。レンズ部がニアフィールドに属しているといっても記録媒体50にあまりにも近付いている場合には、記録媒体50の面振れなどの外乱が生じやすく、光スポット(spot)が大きくなるから、記録密度が低くなる。したがって、かかる要素を考慮して第0レベル(G0)を決定すべきであり、これは20〜30nmの範囲に該当する。
【0071】
また、本発明に係る記録再生装置は、第0レベル(G0)を維持するようにリアルタイムでサーボ機能を実行できるが、このサーボ機能については後述する。
【0072】
光ピックアップ1のサーボ制御部により、レンズ部40によって集光した光が記録媒体50のトラック上に置かれるようにする。記録媒体から反射されてきた光は、レンズ部40で集光され光検出部60に入射される。これにより、反射光の光量に相応するギャップエラー信号GEが生成される。このギャップエラー信号GEは制御部3に入力され、間隔Gの制御のための駆動信号が生成され、この駆動信号はギャップサーボ駆動部4に出力される。これによってギャップサーボ駆動部4はギャップアクチュエータ(図示せず)を駆動させ、光ピックアップ1のレンズ部40と記録媒体50間の間隔を調節し、第0レベル(G0)に位置するようにリアルタイムに制御する。すなわち、第0レベル(G0)でデータの記録及び/または再生が可能になり、サーボが行われる。
【0073】
光記録再生装置において、トラック探索命令が第0レベル(G0)に維持される状態で入力されると、第2段階〜第4段階による過程によってトラックが探索される。すなわち、第2段階〜第4段階は、トラック探索段階である。ここで、トラック探索動作は、記録媒体50に/からデータを記録及び/または再生するに当たり、記録媒体の第1のトラックから第2のトラックへと探索命令に応じて光ピックアップが目標トラックに位置するように移動させることを示す。すなわち、光ピックアップ1のレンズ部40を半径方向に移動させ、記録媒体50の目標トラック上にレーザー光を正確に位置させることをいう。
【0074】
本発明に係るトラック移動方法は、粗動モーター系によって光ピックアップ1全体を動かしてトラックをジャンプするラフ探索(rough seek)段階(第2段階)と、光ピックアップ1内のアクチュエータ(図示せず)を用いてトラックをジャンプするファイン探索(fine seek)段階(第4段階)の2段動作で行われる。この時、レンズ部40の上下方向の駆動、すなわち垂直移動が伴われる。また、ラフ探索動作からファイン探索動作に切り替わる際には、レンズ部を第0レベル(G0)に移動して位置情報を確認する段階(第3段階)がさらに含まれる。この時、レンズ部40を上下方向に駆動することによって、レンズ部のトラック移動時にチルト限界角を増加させる。
【0075】
トラック探索動作、すなわち、本発明に係る第2〜第4段階を、図11を参照して説明する。
【0076】
トラック探索動作において、現在トラックから目標トラックまでの範囲におけるトラック数を計算し、ジャンプすべきトラック数が数百〜数千トラックである場合には、スレッドサーボ駆動部6がスレッドモーター(sled motor)を用いて目標トラック近くに光ピックアップ1を動かせるラフ探索(rough seek)が行われる。ラフ探索命令が入力されると(a)、光ピックアップ1のレンズ部40を垂直に駆動する。すなわち、ラフ探索段階ではレンズ部40が垂直に移動するので、記録媒体50とレンズ部40間の間隔Gは第0レベル(G0)よりも大きくなる。したがって、間隔の増加によってチルト限界角も増加する。この時のレンズ部40と記録媒体50間の間隔を第1レベル(G1)とする。
【0077】
この第1レベル(G1)は、チルト限界角を最大化するために可能な限り大きく設定することが効果的である。すなわち、レンズ部40と記録媒体50間の間隔、すなわち第1レベル(G1)は、サーボが駆動される第0レベル(G0)よりも大きい。したがって、第1レベル(G1)では記録媒体に対するデータの記録/再生は行われず、トラックはカウントされない。また、第1レベル(G1)は、レンズ部がニアフィールド外に移動するのを防止するように、最大λ/4とすることが好ましい。
【0078】
第3段階では、レンズ部40がラフ探索命令に相応する位置に移動した場合(b)、レンズ部40を垂直に駆動する。すなわち、レンズ部40を元来の位置である第0レベル(G0)に垂直移動させ、現在位置のトラック情報を収集する。
【0079】
移動したトラックの位置情報が収集されると、現在トラックの位置と目標トラックとのずれ、すなわち、誤差を演算する。この誤差がファイン探索(fine seek)段階の開始基準(reference)である特定の範囲内にないと、再びラフ探索を行うこととなる(図示せず)。これに対し、誤差が一定の範囲内にあるとファイン探索命令が入力される(c)。この時、ファイン探索の開始基準である特定の範囲は、千〜数百トラックに設定され、1000トラックとすることができる。
【0080】
第4段階では、ファイン探索命令が入力されると、レンズ部40は再び垂直に駆動される。この時、垂直駆動されたレンズ部40と記録媒体50間の間隔を第2レベル(G2)とする。この第2レベル(G2)は、第0レベル(G0)よりは大きく第1レベル(G1)よりは小さい。すなわち、第0レベル(G0)よりはチルト限界角が大きいが、アクチュエータを用いてファイン探索が行われるので、ラフ探索段階よりはチルト限界角が小さい。
【0081】
この時、ファイン探索段階で、第2レベル(G2)に位置するレンズ部40は、トラックがカウントされながら、アクチュエータの駆動によって目標トラックへと移動する。すなわち、第2レベル(G2)では、データの記録/再生は実行されないが、トラックはカウント可能である。
【0082】
レンズ部40が目標トラックへと移動すると、レンズ部40を垂直に駆動して第0レベル(G0)に位置させる。目標トラックに位置したレンズ部40は、第0レベル(G0)を維持しながら、再び記録及び/または再生段階を行う。
【0083】
このような動作を繰り返すことによって目標トラックの位置を正確に探索することができる。ラフ探索段階及びファイン探索段階において、レンズ部40を垂直に駆動し、レンズ部40と記録媒体50との衝突を防止しながら記録/再生を可能にする。
【0084】
本実施形態において、垂直駆動は、物理的方法や信号処理方法(signaling method)を用いて行うことができる。信号処理方法において、間隔の変化に対応するオフセット(offset)は、間隔の調整のためにギャップエラー信号GEに適用される。目標トラックに到達する時、反対のオフセット(opposite offset)がギャップエラー信号GEに適用され、最初にサーボが行われる時にレンズ部40と記録媒体50間の間隔が維持されるようにする。説明の便宜上、本発明において、ギャップエラー信号GEのオフセットは変わるとしたが、本発明がギャップエラー信号GEが用いられる場合に限定されることはない。オフセットを信号に適用する方法の他、レンズ部40または光ピックアップ1を駆動するための方法及び装置が、レンズ部のトラック移動時にトラック移動距離によるレンズ部40と記録媒体50間の間隔を変更するために含まれることができる。
【0085】
<トラック移動方法の第3の実施例>
本発明の第3の実施形態に係るトラック移動方法は、図12〜図14を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本実施形態では、第2の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0086】
当該方法を説明するに先立ち、本実施形態に適用可能な記録再生装置において、特に制御部3の構造を詳細に説明する。図1に示す記録及び再生装置において、制御部3は図12に示すように構成されることができる。
【0087】
図12は、本発明に係る制御部3の詳細な内部構造を示す。サーボイコライザ(servo-equalizer)301は、図1の信号生成部2からギャップエラー信号GEまたはトラッキングエラー信号TEを受信し、フィードバック制御によってエラーを補償するための補償ゲインを調節する。第2の実施形態の方法と同様に、レンズ部40と記録媒体50間の間隔は、レンズ部40の位置によって変化する(例えば、レンズが第0レベルG0に位置した場合と第1レベルG1位置した場合)。したがって、該間隔によってエラー信号の補償ゲインを変化させることによって、より効率的にエラーを補償できる。すなわち、レンズ部40が記録媒体50の近くに位置した場合は、ギャップエラーマージンが少ないから補償ゲインは減少する。逆に、レンズ部40が記録媒体50から相対的に遠く離れている場合は、ギャップエラーマージンが大きいので補償ゲインは増加し、エラー信号はフィードバック制御されて、エラーを補償し、それによって効率的にシステム駆動させることができる。サーボイコライザ301は、レンズ部40が第0レベルG0に位置する場合か第1レベルG1に位置する場合かに応じてゲインを変化させ、システムを駆動できるようにする。ドライバ302は、サーボイコライザ301から受信したエラー信号及び補償ゲインを乗じた値に該当する電圧信号を電流信号(current signal)に変換し、これをギャップサーボ駆動部4、トラッキングサーボ駆動部5またはスレッドサーボ駆動部6に伝達する。ギャップサーボ駆動部4、トラッキングサーボ駆動部5またはスレッドサーボ駆動部6は、スレッドモーター108または光ピックアップ1のアクチュエータ(図示せず)を駆動することとなる。
【0088】
図13及び図14は、レンズ部40または光ピックアップ1が、本発明の実施形態に係るトラック探索方法において段階的に移動する場合を示す。
【0089】
この移動は、第1の実施形態、第2の実施形態、またはその他のトラック移動方法に適用可能である。説明の便宜上、第2の実施形態を取り上げる。
【0090】
図13は、記録及び/または再生過程におけるレンズ部40及び記録媒体50間の間隔の変化を示す図である。上記の実施形態と同様に、説明の便宜上、例えば、レンズ部40または光ピックアップ1が1番目のトラックから2番目のトラックへ移動するケースを説明する。本実施形態において、第2の実施形態と同一な部分についてはその説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0091】
図13で、時間間隔0〜t0は記録及び再生段階または現在トラックの位置を読み取る段階であり、図11の第1段階に対応する。時間間隔t1〜t6は図11の第2段階に該当し、t7以降は第3段階以降に該当する。この時間間隔について詳細に説明する。
【0092】
時間t0でトラック探索命令が受信されると、ギャップサーボ駆動部4の駆動によってレンズ部40と記録媒体50間の間隔が第0レベルG0から第1レベルG1へと段階的に変化する。本発明において、レンズ部40は一気に移動するのではなく、ラフ探索のためにギャップサーボ駆動部4によって第0レベル(G0)から第1レベル(G1)に段階的に移動し、外乱やサーボエラーによる影響を最小限に抑えることができる。ギャップサーボ駆動部4によるレンズ部40の垂直移動の単位は、実施形態によって多様に具現されうる。垂直移動のための時間間隔(t0〜t1、t6〜t7)を均一に約100等分することができる。垂直移動する区間(t0〜t1、t6〜t7)の初期には、レンズ部40は小さい距離だけ上昇または下降する。この移動距離は次第に増加する。レンズ部は、目標レベルに近付くにつれて移動距離を減少させながら上昇または下降することができる。
【0093】
レンズ部40は、時間t1で第1レベルG1に到達すると、t1〜t2間の遅延時間D1が経過した後に、水平移動する。遅延時間D1の間隔は、約1〜10msにセットされうる。レンズ部が時間間隔が経過した後に水平移動すると、レンズ部が第1レベルG1に垂直移動した直後に水平移動する場合に比べて、外乱やサーボエラーの影響を低減することができる。t2〜t5区間では、レンズ部40はスレッドサーボ駆動部6またはアクチュエータ(図示せず)の駆動によって第2トラックへと水平移動する。レンズ部40は、レンズ部が第2トラックに到達し、そこから遅延時間D2(t5〜t6)が経過してから垂直に移動する。この時、遅延時間D2は約1〜10ms程度にセットされうる。t6〜t7では、t0〜t1時間間隔と同様に、レンズ部40が段階的に垂直移動し、第0レベルG0へと移動する。この時、t6〜t7の時間間隔の方向はt0〜t1のそれと反対であり、したがって、レンズ部は第0レベルG0に移動する。
【0094】
レンズ部40が第2トラックに正確に到達できなかった場合は、図11に示すように、t7時間以降にファイン探索動作が行われうる。レンズ部が第2トラックに正確に到達した場合は再生及び/または記録動作が行われる。
【0095】
制御部3は、レンズ部40が第0レベル(0〜t0及びt7以後の時間間隔)にある時は、サーボイコライザ301のゲインを第1の補償ゲインX1に設定し、レンズ部40が第1レベルにある時は、第1の補償ゲインX1より大きい第2の補償ゲインX2に設定し、エラーを補償する。実施形態によれば、時間間隔t0〜t1及びt6〜t7の前にゲインを変更しても良く、時間間隔t0〜t1及びt6〜t7以降にゲイン変更しても良い。一実施形態として、図13では、t0でレンズ部40が第1レベルG1へと垂直移動する前に補償ゲインをX1からX2に変更し、レンズ部40が第0レベルに垂直移動してからt7で補償ゲインをX2からX1へと変更した。
【0096】
図14は、本発明に係るレンズ部40の効率的な水平移動速度を示す。すなわち、外乱やサーボエラーは、レンズ部40の水平移動速度を適切に調節することによって最小化される。図14の時間軸は図13の時間軸に対応する。その詳細は以下の通りである。
【0097】
レンズ部40の水平移動時において、レンズ部40は第1トラックから第2トラックまで等速度で移動するのではなく、レンズ部40の速度を時間と共に変化させる。例えば、レンズ部40は、最初移動時から加速し(t2〜t3区間)、レンズ部の速度がv1に到達してからは等速度で移動し(t3〜t4区間)、レンズ部が目標地点に近接すると減速してから目標地点に停止することができる(t4〜t5区間)。
【0098】
図14に示すレンズ部の移動速度は、トラック探索方法によって様々になりうる。ここで、レンズ部40を水平移動させるアクチュエータ(図示せず)または光ピックアップ1を水平移動させるスレッドサーボ駆動部6は、上記の速度変化プロファイルを持つことができる。
【0099】
本発明の要旨及び範囲を逸脱しない範囲内で様々な修正及び改変ができることは、当業者には自明である。したがって、特許請求の範囲に記載された権利範囲とその同等範囲内でなされる修正及び改変はいずれも本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る光ピックアップの光学系の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るレンズ部と記録媒体を概略的に示す側断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る信号生成部で生成される信号のフローを示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態においてレンズ部及び記録媒体間の間隔とギャップエラー信号(GE)との相関関係を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施形態に係るレンズ部と記録媒体間の間隔を制御する方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係るレンズ部の末端と記録媒体を示す部分側断面図である。
【図8A】レンズ部と記録媒体間のチルト限界角と間隔を示すテーブルである。
【図8B】レンズ部と記録媒体間のチルト限界角と間隔を示すグラフである。
【図9】本発明によってレンズ部がトラックを移動する時、レンズ部と記録媒体間の間隔変化を示すグラフである。
【図10】トラック移動距離に相応するレンズ部と記録媒体間の変化した間隔を示すテーブルである。
【図11】本発明の他の実施形態によってレンズ部がトラックを移動する時、レンズ部と記録媒体間の間隔変化を示すグラフである。
【図12】本発明の一実施形態に係る制御部の内部構造を詳細に示す図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るレンズ部と記録媒体間の間隔の変化を示すグラフである。
【図14】本発明の実施形態に係るレンズ部の効率的な水平移動速度を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック移動方法並びに記録再生方法及び装置に関する。より詳細には、効率的にトラックを移動させて、データを記録媒体に記録し、及び/またはデータを記録媒体から再生する装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光記録再生装置は、CD(compact disc)やDVD(digital versatile disc)等のディスクにデータを記録し、及び当該ディスクからデータを再生する。消費者の嗜好の変化によって高解像度の動画処理技術が必要となっている。また、動画圧縮技術が発達するに伴い、高密度記録媒体が要求されている。光ヘッド、すなわち、光ピックアップに関連する技術は、高密度記録媒体の開発に必要である。
【0003】
記録媒体における記録密度は、記録媒体の記録層に照射される光の直径(diameter)に依存する。すなわち、記録媒体に照射される集束した光の直径が小さいほど、記録密度は高くなる。この時、集束した光の直径は2種類のファクターで決定される。一つは、集束時に使われるレンズの開口数(Numerical Aperture:NA)であり、もう一つは、レンズによって集束される光の波長である。
【0004】
集束光は波長が短いので、記録密度が増加する。したがって、記録媒体の記録密度を高めるために、波長の短い光が用いられる。すなわち、青色光は赤色光に比べて記録密度をより高めることができる。
【0005】
しかしながら、一般的なレンズを使用したファーフィールド(Far Field)記録ヘッドは光の回折限界があるので、光の直径を減らすには制限があった。このため、ニアフィールド光学(Near Field Optics)に基づいて、光の波長よりも小さい単位の情報を保存し、読み出すことのできるニアフィールド記録(Near Field Recording:NFR)装置が開発されている。
【0006】
ニアフィールド形成レンズを用いたニアフィールド光記録装置は、対物レンズよりも屈折率の高いニアフィールド形成レンズを用いて回折限界以下の光を得ることができ、この光は、消衰波(Evanescent wave)の形態で界面に近接した記録媒体に伝播され、高密度のビット情報を保存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、かかる従来技術では下記のような問題点があった。
【0008】
すなわち、上記の消衰波を維持するためにレンズは記録媒体と近接した距離を維持しなければならず、そのため、記録媒体の面振れ(axial vibration)やピックアップ駆動時のチルト(tilt)を考慮する時、ニアフィールド形成レンズの底面と記録媒体との衝突を避け難いという問題点があった。
【0009】
特に、記録媒体上において所望の地点を探していくために、ピックアップから発生する光を現在トラックから目標トラックへと移動させる場合、衝突の可能性が増大するという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、関連技術の不具合や限界による一つ以上の問題点を実質的に減少させるトラック移動方法、並びに記録再生装置及びその方法を対象とする。
【0011】
上記課題を解決するために発明された本発明の目的は、トラック移動の効率的な方法と該方法を用いた記録再生方法及び装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、レンズ部のトラック移動時に生じる衝突によるエラーを最小化できるトラック移動方法と、該方法を用いた記録再生方法及び装置を提供することにある。
【0013】
本発明の目的は、レンズ部が現在トラックから他のトラックへの移動時に、トラック移動の距離に相応する記録媒体とレンズ部間の間隔(gap)を変更させる段階を含むトラック移動方法を提供することによって達成される。このレンズと記録媒体間の間隔は、トラック移動距離によって段階的に変更可能である。
【0014】
本発明の他の側面において、レンズと記録媒体間の間隔を制御信号を用いて均一に調節する段階であって、当該間隔は、レンズ部がトラックを移動する時に、トラック移動距離に対応するオフセット(offset)を制御信号に適用することによって変更される記録再生方法が提供される。ここで、オフセットは、トラック移動距離によって段階的に変化し、オフセットのレベルはトラック移動距離に比例することができる。
【0015】
本発明のさらに他の側面において、(a)記録媒体の現在トラックから他のトラックへのトラック探索命令を受信し、(b)レンズと記録媒体間の間隔を第1のレベルに変更し、前記レンズまたは光ピックアップをトラック探索命令に相応する目標トラックへ移動させ、(c)レンズと記録媒体間の間隔を到達トラックにおいて初期状態に変更し、現在トラックの位置をチェックし、(d)レンズと記録媒体間の間隔を第2のレベルに変更し、トラックがカウントされると、到達トラックから目標トラックへとレンズまたは光ピックアップを漸次移動させる、ことを含む記録媒体に対してデータ記録再生する方法が提供される。ここで、第1のレベルは、第2のレベルよりも大きくすることができる。
【0016】
本発明のさらに他の側面において、レンズを含み、光源(optical source)から放出された光ビームを記録媒体に照射するピックアップと、記録媒体から反射された光ビームによって生成されるギャップ制御信号に応じて記録媒体とレンズ間の間隔をフィードバック制御するギャップサーボと、レンズ部のトラック移動時に、レンズと記録媒体間の間隔を変更させるギャップ制御信号に、トラック移動距離に対応するオフセットを適用する制御部と、を含む記録再生装置が提供される。ここで、制御部は、トラック移動距離によって変化するオフセットを段階的に適用し、トラック移動距離によって当該間隔を変更する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、レンズ部と記録媒体間の衝突を予防または最小化でき、記録媒体のデータ記録及び再生時に効率的にトラック探索を行い、記録/再生を実行できる。
【0018】
本発明では、レンズ部のトラック移動時に生じる衝突によるエラーを最小化できるトラック移動方法と該方法を用いた記録再生方法及び装置も提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る光ピックアップ及び記録媒体の好適な実施形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書において、「記録媒体」とは、データが記録されているか、または記録することができる全ての媒体のことを意味し、具体的には光ディスクが挙げられる。また、「記録再生装置」とは、記録媒体にデータを記録したり、記録されたデータを再生したりすることができる全ての装置のことを意味する。なお、以下の説明では、本発明の説明の便宜上のため、及びより深い理解のためにニアフィールドを用いる記録再生装置が取り上げられるが、これに本発明が限定されることはない。
【0020】
また、本発明で使われる用語は、一般的に知られ、かつ使われている用語から選択したが、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、その場合には、該当する説明部分で詳細にその意味を記載する。さらに、単純な用語の名称ではなく用語が持つ意味を以って本発明を把握すべきことが求められる。
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る記録再生装置を詳細に説明する。可能なかぎり、図面中では同一または類似の構成要素を示すために同一の参照符号を使用する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る記録再生装置の構成を概略的に示す図である。この記録再生装置の構成を、図2及び図3を参照して詳細に説明する。
【0023】
光ピックアップ(P/U)1は、光を記録媒体に照射し、記録媒体から反射された光を集光して信号を生成する。光ピックアップ1を構成する光学系(図示せず)は、図2に示すように構成可能である。すなわち、光ピックアップ1を構成する光学系は、光源10、分離合成部20、30、レンズ部40及び光検出部(photo-detector)60、70を含むことができる。
【0024】
光源10には、直進性(rectilinear propagation property)に富むレーザーが使われることができる。したがって、光源10は、例えば、レーザーダイオード(Laser diode)とすることができる。そして、光源10から放出されて記録媒体に照射される光は、平行光とすることができる。したがって、光源から放出された光の経路上に、光の経路を平行にするコリメータなどのレンズを含むように構成することができる。
【0025】
分離/合成部20、30は、同じ方向から入射した光の経路を分離したり、またはそれぞれ異なる方向から入射した光の経路を合成したりする。本実施形態では、第1の分離/合成部20と第2の分離/合成部30が含まれる。第1の分離/合成部20は、入射した光の一部は通過させ、一部は反射させる(本実施形態において、第1の分離/合成部20はNBS(Non-polarized Beam Splitter)である)。そして、第2の分離/合成部30は、偏光方向によって特定方向の偏光のみを通過させる(本実施形態において、第2の分離/合成部30は、PBS(Polarized Beam Splitter)である)。例えば、直線偏光を用いる場合、第2の分離/合成部30は垂直方向の偏光成分のみを通過させ、水平方向の偏光成分は反射させるように構成することができる。逆に、水平方向の偏光成分のみを通過させ、垂直方向の偏光成分は反射させるように構成することもできる。
【0026】
レンズ部40は、光源10から放出された光を記録媒体50に照射する。本発明の一実施形態に係るレンズ部40は、図3に示すように、対物レンズ41と、該対物レンズ41を通過した光が記録媒体に入射する経路上に設けられたニアフィールド形成レンズ42を含む。すなわち、対物レンズ41の他に、屈折率の高いニアフィールド形成レンズ42を備えることによってレンズ部40の開口数(NA)を高め、これを通じて消衰波(Evanescent wave)を形成する。ここで、ニアフィールド形成レンズ42は、具体的には、SIL(Solid Immersion Lens)とすることができ、または球形のレンズを切削して形成される半球形または超半球形(球より小さく、半球よりは大きい高さを持つ球形の一部を超半球という)のレンズとすることができる。
【0027】
また、レンズ部40を含む光ピックアップ1の光学系は、記録媒体50に近接して位置する。レンズ部40と記録媒体50の相対的な位置関係は、次の通りである。レンズ部40と記録媒体50を光波長の約1/4(すなわち、λ/4)以下に近接させると、レンズ部40に臨界角以上で入射した光の一部は記録媒体50の表面から全反射されるのではなく、記録層に到達するために記録媒体50を通過する消衰波を形成する。記録層に到達する消衰波は記録再生に用いることができる。しかし、レンズ部40及び記録媒体50間の間隔がλ/4以上に狭まると、光の波長は消衰波の性質を失い、記録媒体50の表面から完全に反射する元来の波長に戻ってくる。したがって、通常、ニアフィールドを用いる記録再生装置ではレンズ部40と記録媒体50間の間隔が約λ/4を越えないように維持される。ここで、λ/4がニアフィールドの限界となる。
【0028】
光検出部60、70は、反射光を受光し、受光した反射光を変換して電気的な信号を生成する。本実施形態では、第1の光検出部60と第2の光検出部70を含む。第1の光検出部60または第2の光検出部70は、記録媒体50の信号トラック方向や半径方向に特定分割、例えば2分割した2個の光検出素子PDA、PDBを含むことができる。ここで、光検出素子PDA、PDBは、受光した光量に比例する電気信号A、Bを生成する。または、光検出部60または70は、記録媒体50の信号トラック方向と半径方向にそれぞれ2分割した4個の光検出素子PDA、PDB、PDC、PDDを含むことができる。光検出部60、70に含まれる光検出素子の構成は本実施形態に限定されず、必要に応じて様々な変形が可能である。
【0029】
図1の信号生成部2は、光ピックアップ1から生成された信号を用いてデータ再生に必要なRF信号、サーボ制御に必要なギャップエラー信号GE及びトラッキングエラー信号TEを生成する。これらの信号については、図4で詳細に後述する。
【0030】
制御部3は、光検出部または信号生成部2で生成された信号を受信し、制御信号または駆動信号(drive signal)を生成する。例えば、制御部3は、ギャップエラー信号GEを信号処理し、レンズ部40と記録媒体50間の間隔制御のための駆動信号をギャップサーボ駆動部4に出力する。または、トラッキングエラー信号TEを信号処理し、トラッキング制御のための駆動信号をトラッキングサーボ駆動部5に出力する。
【0031】
また、制御部3は、トラック探索命令(track seek command)があるか、トラックを探索する必要がある場合、トラックの移動距離によってレンズ部40または光ピックアップ1が移動するように、駆動信号をトラッキングサーボ駆動部5またはスレッドサーボ駆動部6に出力する。
【0032】
この時、制御部3は、レンズ部40と記録媒体50間の間隔制御のためのギャップエラー信号GEに、トラックの移動距離に相応するオフセットを与えることができる。これにより、レンズ部のトラック移動時に、レンズ部40または光ピックアップ1が上下移動することができる。これについては具体的に後述する。
【0033】
ギャップサーボ駆動部4は、光ピックアップ1内のアクチュエータ(図示せず)を駆動させることによって光ピックアップ1または光ピックアップのレンズ部40を上下に移動させる。これによって、レンズ部40と記録媒体50間の間隔を一定に維持することができる。
【0034】
ギャップサーボ駆動部4は、フォーカスサーボの役割も兼ねることができる。例えば、制御部3のフォーカス制御のための信号によって、光ピックアップ1または光ピックアップのレンズ部40が記録媒体50の回転と共に上下の動きをトレースするようにすることもできる。
【0035】
トラッキングサーボ駆動部5は、光ピックアップ1内のトラッキングアクチュエータ(図示せず)を駆動させることによって光ピックアップ1または光ピックアップのレンズ部40を半径方向に動かして光の位置を修正する。これにより、光ピックアップ1または光ピックアップのレンズ部40は、記録媒体50に設けられた所定のトラックをトレースできる。また、トラッキングサーボ駆動部5はトラック探索命令(track seek command)に応じて光ピックアップ1または光ピックアップのレンズ部40を半径方向に移動させることができる。
【0036】
スレッドサーボ駆動部6は、光ピックアップ1を動かせるために設けられたスレッドモーター(図示せず)を駆動させることによってトラック探索命令に応じて光ピックアップ1を半径方向に移動させることができる。
【0037】
このような記録再生装置には、PC(personal computer)などのホストを含めることができる。該ホストは、インターフェースを通じて記録/再生命令をマイクロコンピュータ100に伝送し、デコーダ7から再生されたデータを受信し、記録するデータをエンコーダ8に伝送する。そして、マイクロコンピュータ100は、ホストの記録/再生命令によってデコーダ7、エンコーダ8及び制御部3を制御する。
【0038】
ここで、インターフェースは、通常、ATAPI(Advanced Technology Attached Packet Interface)110を使用すると良い。ここで、ATAPI110は、CDやDVDドライブなどの光記録/再生装置とホスト間のインターフェース規格であり、光記録/再生装置はデコードされたデータをホストに伝送する。ATAPI110は、デコードされたデータをホストで処理可能なパケット形態のプロトコルに変換して当該プロトコルを伝送する。
【0039】
以下では、本発明の一実施形態に係る記録再生装置の光ピックアップ1において、光学系の作動順序は光源10から放出された光の進行方向を基準に説明し、それ以外は信号のフローを基準にして説明する。
【0040】
ピックアップ1の光源10から放出された光は、第1の分離/合成部20に入射し、その一部は第1の分離/合成部20から反射され、一部は第1の分離/合成部20を通過して第2の分離/合成部30に入射する。第2の分離/合成部30は、前記線偏光された光において垂直偏光成分は通過させ、水平偏光成分は反射させる(その逆も可能である)。第2の分離/合成部30を通過した光の経路上には偏光変換面(図示せず)がさらに含まれることができ、この偏光変換面については詳細に後述する。
【0041】
第2の分離/合成部30を通過した光は、レンズ部40に入射する。ここで、レンズ部40の対物レンズに入射した光は、ニアフィールド形成レンズを通過しながら消衰波を生成する。具体的に説明すると、臨界角以上の角度でニアフィールド形成レンズに入射した光は、レンズの表面と記録媒体50の表面から全反射する。そして、臨界角を越えない角度でニアフィールド形成レンズに入射した光は、記録媒体50の記録層に反射される。この過程で生成される消衰波は、記録媒体50の記録層に到達して記録/再生を行う。
【0042】
記録媒体50から反射された光は、再びレンズ部40を通じて第2の分離/合成部30に入射する。この時、上記のように、第2の分離/合成部30に入射する光の経路上に偏光変換面(図示せず)を設けることができる。この偏光変換面は、記録媒体50に入射する光と記録媒体50から反射された光の偏光方向を変換する。例えば、偏光変換面を1/4波長板(QWP:Quarter wave plate)にすれば、この1/4波長板は、記録媒体50に入射する光を左円偏光させ、逆方向に進行する反射光を右円偏光させる。結果的に、1/4波長板を通過した反射光は、入射光と異なる方向に偏光方向が変換され、反射光と入射光の偏光方向は互いに90度の差を持つこととなる。したがって、第2の分離/合成部30を通過し、記録媒体50に入射した水平偏光成分のみが、記録媒体50から反射されて再び第2の分離/合成部30に入射する時に、垂直偏光成分に変換される。この反射光中の該垂直偏光成分は第2の分離/合成部30から反射され、該反射された光は第2の光検出部70に入射する。
【0043】
一方、本発明のニアフィールド記録再生装置においてレンズ部40の開口数(NA)は1より大きいので、レンズ部40を通じて光が照射され反射される過程で光の偏光方向に歪みが生じる。すなわち、第2の分離/合成部30に入射する反射光の一部は偏光方向の歪みによって水平偏光成分を有し、第2の分離/合成部30を通過することとなる。この通過した反射光は、第1の分離/合成部20に入射する。そして、第1の分離/合成部20は、入射した光の一部を通過させ、一部を反射させる。この第1の分離/合成部20から反射された光は第1の光検出部60に入射する。
【0044】
第1の光検出部60と第2の光検出部70は、受光した反射光の光量に相応する電気的な信号をそれぞれ出力する。信号生成部2は、光検出部60、70から出力された電気的な信号を用いてギャップエラー信号GE、トラッキングエラー信号TEまたはRF信号を生成する。
【0045】
次に、信号生成部2で生成される信号を、図4を参照しつつ具体的に説明する。ここで、第1の光検出部60及び第2の光検出部70は、例えば、図4に示すようにそれぞれ2個の光検出素子を含む。
【0046】
第1の光検出部60を構成する2個の光検出素子はそれぞれ、受光した光量に相応する電気的信号A、Bを出力する。なお、第2の光検出部70を構成する2個の光検出素子はそれぞれ、受光した光量に相応する電気的信号C、Dを出力する。
【0047】
信号生成部2は、第1の光検出部60から出力されたA、B信号を用いて、レンズと記録媒体の間隔を制御するためのギャップエラー信号(Gap Error signal)GEを生成できる。このギャップエラー信号GEは、第1の光検出部60を構成する光検出素子から出力される信号を加算して生成することができる。このようにして生成されるギャップエラー信号GEは、下記の式(1)で示される。
【0048】
【数1】
【0049】
ここで、ギャップエラー信号GEは、光量に相応する電気的な信号の総和に該当するので、第1の光検出部60によって受光された反射光の光量に比例するようになる。
【0050】
信号生成部2は、第2の光検出部70から出力されたC、D信号を用いて、記録再生を行うためのRF信号またはトラッキング制御のためのトラッキングエラー信号(Tracking Error signal)TEを生成することができる。RF信号は、第2の光検出部70を構成する光検出素子から出力される信号を加算して生成することができ、RF=C+Dのように表すことができる。また、トラッキングエラー信号TEは、当該光検出素子から出力される信号の差によって生成することができ、TE=C−Dのように表すことができる。
【0051】
ギャップエラー信号GEは、図5に示すように、ニアフィールド内ではレンズ部40と記録媒体50間の間隔Gに比例し、ニアフィールドを外れたファーフィールドでは、一定の大きさを持つ。これについて具体的に説明すると、次の通りである。臨界角以上の角で入射する光が記録媒体50の表面から全反射する時、レンズ部40と記録媒体50間の間隔Gは、ニアフィールドの大きさと同一、または、より大きくなる。すなわち、ニアフィールド限界(つまり、ニアフィールドとファーフィールドとの境界)であるλ/4と同一、または、それ以上になるわけである。一方、レンズ部40と記録媒体50間の間隔Gがλ/4より小さいと、臨界角またはそれ以上の角で入射する光の一部は、レンズ部40と記録媒体50が互いに接触していなくても、記録媒体50を通って記録層に到達する。この場合、レンズ部40と記録媒体50間の間隔Gが小さいほど、全体的に見て、記録媒体50を通過する光量は多くなり、記録媒体50から反射される光量は減る。そして、当該間隔が大きくなるほど、全体的に見て、記録媒体50を通貨する光量は減り、記録媒体50から反射される光量は増加する。したがって、ニアフィールド内では、記録媒体の表面から反射される反射光の強度がレンズ部40と記録媒体50間の間隔Gに比例する関係を示す。また、反射光の強度は、間隔Gが上述したニアフィールドの限界(すなわち、ニアフィールドとファーフィールドとの境界)であるλ/4以上になると、一定の値を持つ。
【0052】
反射光の強度に比例するギャップエラー信号GEの強度も、上記の如く、ニアフィールド内では間隔Gに比例し、ニアフィールド外では一定の値(最大値)を持つ。このような原理から、ニアフィールドでレンズ部40と記録媒体50間の間隔Gを一定に維持するとギャップエラー信号GEは一定の値を持つ。すなわち、ギャップエラー信号GEが一定の値を持つようにフィードバック制御することによって、レンズ部40と記録媒体50間の間隔Gを一定に維持するように制御可能である。
【0053】
このようにギャップエラー信号GEを用いてレンズ部40と記録媒体50間の間隔を一定に維持するように制御する方法について、図5及び図6を参照して以下のように詳細に説明する。
【0054】
反射光の信号を検出するのに適合するレンズ部40と記録媒体50間の間隔xを設定する(S10)。該設定された間隔xから検出されるギャップエラー信号GE(y)を検出する(S11)。該検出されたギャップエラー信号GE(y)を保存する(S12)。ここで、yは、レンズ部40と記録媒体50の衝突可能性が増加しないようにニアフィールド限界(λ/4)の10〜20%より大きい値に設定することができる。また、yは、レンズ部40と記録媒体50が遠ざかりニアフィールドを外れる可能性が増加しないように、ニアフィールド限界(λ/4)の80〜90%より小さな値に設定することができる。上記の過程は、記録媒体50に対するデータ記録再生過程の前に行われることができる。
【0055】
回転する記録媒体50に対するデータ記録再生過程で、記録媒体50のトラックに照射された光は反射されて第1の光検出部60に受光される。そして、信号生成部2は、第1の光検出部60から出力される信号を用いてギャップエラー信号GEを生成する。この時、検出されるギャップエラー信号GE(y1)が、保存されているギャップエラー信号GE(y)に該当するか否かを判断する(S13)。検出されるギャップエラー信号GE(y1)が、保存されたギャップエラー信号GE(y)に該当すると、設定された間隔を維持しているという意味であるので、その状態のまま継続して記録/再生過程を行う(S14)。一方、検出されるギャップエラー信号GE(y1)が、保存されたギャップエラー信号GE(y)に該当しないと、間隔に変化が生じたことを意味するので、レンズ部40を駆動することによってレンズ部40と記録媒体50間の間隔を調整することができる。このように記録/再生過程で検出されるギャップエラー信号GEを用いてレンズ部40をフィードバック制御することによって、レンズ部40と記録媒体50間の間隔を一定に維持することができる。
【0056】
以下、トラック探索が必要であるか、トラック探索命令が入力された場合における、トラックの移動方法及び記録再生方法を、図7〜図10を参照しつつ具体的に説明する。
【0057】
図7は、ニアフィールド形成レンズと記録媒体間の間隔Gが一定な時にチルト(tilt)が許容される最大角を示す図である。レンズ部40が記録媒体50と接する先端部を拡大してみると、レンズ部40は記録媒体50から一定間隔Gの分だけ隔たって位置する。この時、レンズ部40のチルトまたは記録媒体50の面振れ(axial vibration)などの外乱(disturbance)によってレンズ部40と記録媒体50とが衝突するチルト限界角(θ)は、式(2)によって決定される。
【0058】
【数2】
【0059】
ここで、Gは、レンズ部40と記録媒体50間の間隔を表し、Rは、記録媒体50と対面するレンズ部40の底面直径の1/2を表す。例えば、間隔Gは20nmに設定し、レンズ部40の直径を40μmとする場合、チルト限界角は0.057゜となる。すなわち、チルト限界角が極めて小さいから、レンズ部がトラック移動を行う場合、微細なチルトによってニアフィールド形成レンズが記録媒体50に衝突する可能性が高い。
【0060】
図8A及び図8Bは、レンズ部40と記録媒体50間の間隔Gの変化によるチルト限界角の計算値を示す。図示のように、チルト限界角は、間隔Gの増加に比例して線形的に増加する。したがって、レンズ部がトラックを移動する時にレンズ部40を記録媒体50に対して垂直に駆動させることによってチルト限界角を増加させると、トラック移動時にレンズ部40の記録媒体50への衝突が防止される。
【0061】
<トラック移動方法の第1の実施例>
以下、本発明の第1の実施形態に係るトラック移動方法を、図9及び図10を参照しつつ具体的に説明する。本発明に係るトラック移動方法は、スレッドサーボ駆動部6などの粗動モーター(coarse motor)によって光ピックアップ1全体を動かしてトラックを探す方法(ラフ探索(rough seek)ともいう)と、アクチュエータ(図示せず)などの光ピックアップ1内の微細駆動部によってレンズ部40を駆動する方法(ファイン探索(fine seek)ともいう)を含む。ここで、光ピックアップ1またはレンズ部40の半径方向への移動時に、光ピックアップ1またはレンズ部40は上下方向に移動することができる。
【0062】
ここでは、ニアフィールドの限界(上述のように、ニアフィールドの限界はλ/4になりうる)内で、信号の観察を最もし易いニアフィールド限界の20%に該当する間隔Gでギャップサーボを作動する場合を取り上げて説明する。図9に示すように、ニアフィールド限界の20%に該当する間隔Gを維持するように制御する場合、図6で説明したようにギャップサーボを作動し、レンズ部40と記録媒体50が一定の間隔を維持するようにフィードバック制御する。
【0063】
この時、トラック探索命令が入力されるか、トラック探索が要求されると、レンズ部40と記録媒体50間の間隔をニアフィールド限界の80%以内の範囲で増加させることによって、チルト限界角を増加させることができる。ここでいう80%は、実験的に決定される値であり、レンズ部40と記録媒体50間の間隔がチルトや面振れによるニアフィールドの限界を外れない範囲となる。これにより、レンズ部のトラック移動時にレンズ部40と記録媒体50との衝突可能性を最小化することができる。
【0064】
また、同図に示すように、トラックの移動距離が1cmと長い場合には80%水準まで間隔を増加させ、トラックの移動距離が1mmと相対的に短い場合には、40%水準まで間隔を増加させることができる。すなわち、トラックの移動距離によってそれぞれ異なる間隔を段階的に調整することができる。トラック移動距離によって間隔を制御する方法の具体的な実施例を、図10を参照しつつ説明する。
【0065】
すなわち、トラックの移動距離が1cmを超過する場合には、レンズ部のトラック移動時にニアフィールド限界の80%までレンズ部40と記録媒体50間の間隔を増加させることが可能である。これにより、トラックの移動距離が長い場合に生じる衝突可能性を最小化することが可能である。また、トラックの移動距離が1mmを超え、かつ1cm以下の場合には、レンズ部のトラック移動時にニアフィールド限界の60〜80%の範囲までレンズ部40と記録媒体50間の間隔を増加させる。トラックの移動距離が500μmを超え、かつ1mm以下の場合には、レンズ部のトラック移動時にニアフィールド限界の40〜80%の範囲までレンズ部40と記録媒体50間の間隔を増加させる。トラックの移動距離が100μmを超え、かつ500μm以下の場合には、レンズ部のトラック移動時にニアフィールド限界の30〜80%までレンズ部40と記録媒体50間の間隔を増加させる。トラックの移動距離が100μm以下の場合には、レンズ部のトラック移動時にレンズ部40と記録媒体50間の間隔を変化させずにトラックが移動するようにする。
【0066】
ここで説明されたニアフィールド限界のパーセントの値は、好適な基準値を示したもので、基準値より小さくなっても良い。本実施形態にはトラック移動距離の範囲が例示されているが、これに限定されず、様々な変更が可能である。
【0067】
<トラック移動方法の第2の実施例>
本発明の第2の実施形態に係るトラック移動方法を、図11を参照しつつ詳細に説明する。ただし、ここでは、第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0068】
図11は、本発明の一実施形態に係る記録再生方法において、レンズ部40と記録媒体50間の間隔変化を示す図である。同図のように、本発明に係る記録再生方法においてトラック移動方法は4つの段階からなる。これら各段階を順次に詳細に説明する。
【0069】
第1段階は、記録再生装置における記録及び/または再生の段階である。この段階は、挿入された記録媒体50からデータを再生し、記録媒体50にデータを記録する段階であり、トラック探索命令が入力される前の駆動状態である。記録及び/または再生段階において、レンズ部40と記録媒体50とは一定の間隔を維持する。この時の間隔を第0レベル(G0)とする。
【0070】
この第0レベル(G0)は以下の通り決定される。第一に、レンズ部(特に、ニアフィールド形成レンズ)は、ニアフィールドに位置した光波長λの1/4よりも小さい間隔だけ記録媒体から隔たって位置する。第0レベル(G0)は、外乱と記録密度などを考慮して決定される。レンズ部がニアフィールドに位置しているとしても、レンズ部がニアフィールドの限界点(すなわち、光波長の1/4近傍)に近付いていると、レンズ部が安定的にニアフィールドに在るとは判断し難い。レンズ部がニアフィールドに属しているといっても記録媒体50にあまりにも近付いている場合には、記録媒体50の面振れなどの外乱が生じやすく、光スポット(spot)が大きくなるから、記録密度が低くなる。したがって、かかる要素を考慮して第0レベル(G0)を決定すべきであり、これは20〜30nmの範囲に該当する。
【0071】
また、本発明に係る記録再生装置は、第0レベル(G0)を維持するようにリアルタイムでサーボ機能を実行できるが、このサーボ機能については後述する。
【0072】
光ピックアップ1のサーボ制御部により、レンズ部40によって集光した光が記録媒体50のトラック上に置かれるようにする。記録媒体から反射されてきた光は、レンズ部40で集光され光検出部60に入射される。これにより、反射光の光量に相応するギャップエラー信号GEが生成される。このギャップエラー信号GEは制御部3に入力され、間隔Gの制御のための駆動信号が生成され、この駆動信号はギャップサーボ駆動部4に出力される。これによってギャップサーボ駆動部4はギャップアクチュエータ(図示せず)を駆動させ、光ピックアップ1のレンズ部40と記録媒体50間の間隔を調節し、第0レベル(G0)に位置するようにリアルタイムに制御する。すなわち、第0レベル(G0)でデータの記録及び/または再生が可能になり、サーボが行われる。
【0073】
光記録再生装置において、トラック探索命令が第0レベル(G0)に維持される状態で入力されると、第2段階〜第4段階による過程によってトラックが探索される。すなわち、第2段階〜第4段階は、トラック探索段階である。ここで、トラック探索動作は、記録媒体50に/からデータを記録及び/または再生するに当たり、記録媒体の第1のトラックから第2のトラックへと探索命令に応じて光ピックアップが目標トラックに位置するように移動させることを示す。すなわち、光ピックアップ1のレンズ部40を半径方向に移動させ、記録媒体50の目標トラック上にレーザー光を正確に位置させることをいう。
【0074】
本発明に係るトラック移動方法は、粗動モーター系によって光ピックアップ1全体を動かしてトラックをジャンプするラフ探索(rough seek)段階(第2段階)と、光ピックアップ1内のアクチュエータ(図示せず)を用いてトラックをジャンプするファイン探索(fine seek)段階(第4段階)の2段動作で行われる。この時、レンズ部40の上下方向の駆動、すなわち垂直移動が伴われる。また、ラフ探索動作からファイン探索動作に切り替わる際には、レンズ部を第0レベル(G0)に移動して位置情報を確認する段階(第3段階)がさらに含まれる。この時、レンズ部40を上下方向に駆動することによって、レンズ部のトラック移動時にチルト限界角を増加させる。
【0075】
トラック探索動作、すなわち、本発明に係る第2〜第4段階を、図11を参照して説明する。
【0076】
トラック探索動作において、現在トラックから目標トラックまでの範囲におけるトラック数を計算し、ジャンプすべきトラック数が数百〜数千トラックである場合には、スレッドサーボ駆動部6がスレッドモーター(sled motor)を用いて目標トラック近くに光ピックアップ1を動かせるラフ探索(rough seek)が行われる。ラフ探索命令が入力されると(a)、光ピックアップ1のレンズ部40を垂直に駆動する。すなわち、ラフ探索段階ではレンズ部40が垂直に移動するので、記録媒体50とレンズ部40間の間隔Gは第0レベル(G0)よりも大きくなる。したがって、間隔の増加によってチルト限界角も増加する。この時のレンズ部40と記録媒体50間の間隔を第1レベル(G1)とする。
【0077】
この第1レベル(G1)は、チルト限界角を最大化するために可能な限り大きく設定することが効果的である。すなわち、レンズ部40と記録媒体50間の間隔、すなわち第1レベル(G1)は、サーボが駆動される第0レベル(G0)よりも大きい。したがって、第1レベル(G1)では記録媒体に対するデータの記録/再生は行われず、トラックはカウントされない。また、第1レベル(G1)は、レンズ部がニアフィールド外に移動するのを防止するように、最大λ/4とすることが好ましい。
【0078】
第3段階では、レンズ部40がラフ探索命令に相応する位置に移動した場合(b)、レンズ部40を垂直に駆動する。すなわち、レンズ部40を元来の位置である第0レベル(G0)に垂直移動させ、現在位置のトラック情報を収集する。
【0079】
移動したトラックの位置情報が収集されると、現在トラックの位置と目標トラックとのずれ、すなわち、誤差を演算する。この誤差がファイン探索(fine seek)段階の開始基準(reference)である特定の範囲内にないと、再びラフ探索を行うこととなる(図示せず)。これに対し、誤差が一定の範囲内にあるとファイン探索命令が入力される(c)。この時、ファイン探索の開始基準である特定の範囲は、千〜数百トラックに設定され、1000トラックとすることができる。
【0080】
第4段階では、ファイン探索命令が入力されると、レンズ部40は再び垂直に駆動される。この時、垂直駆動されたレンズ部40と記録媒体50間の間隔を第2レベル(G2)とする。この第2レベル(G2)は、第0レベル(G0)よりは大きく第1レベル(G1)よりは小さい。すなわち、第0レベル(G0)よりはチルト限界角が大きいが、アクチュエータを用いてファイン探索が行われるので、ラフ探索段階よりはチルト限界角が小さい。
【0081】
この時、ファイン探索段階で、第2レベル(G2)に位置するレンズ部40は、トラックがカウントされながら、アクチュエータの駆動によって目標トラックへと移動する。すなわち、第2レベル(G2)では、データの記録/再生は実行されないが、トラックはカウント可能である。
【0082】
レンズ部40が目標トラックへと移動すると、レンズ部40を垂直に駆動して第0レベル(G0)に位置させる。目標トラックに位置したレンズ部40は、第0レベル(G0)を維持しながら、再び記録及び/または再生段階を行う。
【0083】
このような動作を繰り返すことによって目標トラックの位置を正確に探索することができる。ラフ探索段階及びファイン探索段階において、レンズ部40を垂直に駆動し、レンズ部40と記録媒体50との衝突を防止しながら記録/再生を可能にする。
【0084】
本実施形態において、垂直駆動は、物理的方法や信号処理方法(signaling method)を用いて行うことができる。信号処理方法において、間隔の変化に対応するオフセット(offset)は、間隔の調整のためにギャップエラー信号GEに適用される。目標トラックに到達する時、反対のオフセット(opposite offset)がギャップエラー信号GEに適用され、最初にサーボが行われる時にレンズ部40と記録媒体50間の間隔が維持されるようにする。説明の便宜上、本発明において、ギャップエラー信号GEのオフセットは変わるとしたが、本発明がギャップエラー信号GEが用いられる場合に限定されることはない。オフセットを信号に適用する方法の他、レンズ部40または光ピックアップ1を駆動するための方法及び装置が、レンズ部のトラック移動時にトラック移動距離によるレンズ部40と記録媒体50間の間隔を変更するために含まれることができる。
【0085】
<トラック移動方法の第3の実施例>
本発明の第3の実施形態に係るトラック移動方法は、図12〜図14を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本実施形態では、第2の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0086】
当該方法を説明するに先立ち、本実施形態に適用可能な記録再生装置において、特に制御部3の構造を詳細に説明する。図1に示す記録及び再生装置において、制御部3は図12に示すように構成されることができる。
【0087】
図12は、本発明に係る制御部3の詳細な内部構造を示す。サーボイコライザ(servo-equalizer)301は、図1の信号生成部2からギャップエラー信号GEまたはトラッキングエラー信号TEを受信し、フィードバック制御によってエラーを補償するための補償ゲインを調節する。第2の実施形態の方法と同様に、レンズ部40と記録媒体50間の間隔は、レンズ部40の位置によって変化する(例えば、レンズが第0レベルG0に位置した場合と第1レベルG1位置した場合)。したがって、該間隔によってエラー信号の補償ゲインを変化させることによって、より効率的にエラーを補償できる。すなわち、レンズ部40が記録媒体50の近くに位置した場合は、ギャップエラーマージンが少ないから補償ゲインは減少する。逆に、レンズ部40が記録媒体50から相対的に遠く離れている場合は、ギャップエラーマージンが大きいので補償ゲインは増加し、エラー信号はフィードバック制御されて、エラーを補償し、それによって効率的にシステム駆動させることができる。サーボイコライザ301は、レンズ部40が第0レベルG0に位置する場合か第1レベルG1に位置する場合かに応じてゲインを変化させ、システムを駆動できるようにする。ドライバ302は、サーボイコライザ301から受信したエラー信号及び補償ゲインを乗じた値に該当する電圧信号を電流信号(current signal)に変換し、これをギャップサーボ駆動部4、トラッキングサーボ駆動部5またはスレッドサーボ駆動部6に伝達する。ギャップサーボ駆動部4、トラッキングサーボ駆動部5またはスレッドサーボ駆動部6は、スレッドモーター108または光ピックアップ1のアクチュエータ(図示せず)を駆動することとなる。
【0088】
図13及び図14は、レンズ部40または光ピックアップ1が、本発明の実施形態に係るトラック探索方法において段階的に移動する場合を示す。
【0089】
この移動は、第1の実施形態、第2の実施形態、またはその他のトラック移動方法に適用可能である。説明の便宜上、第2の実施形態を取り上げる。
【0090】
図13は、記録及び/または再生過程におけるレンズ部40及び記録媒体50間の間隔の変化を示す図である。上記の実施形態と同様に、説明の便宜上、例えば、レンズ部40または光ピックアップ1が1番目のトラックから2番目のトラックへ移動するケースを説明する。本実施形態において、第2の実施形態と同一な部分についてはその説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0091】
図13で、時間間隔0〜t0は記録及び再生段階または現在トラックの位置を読み取る段階であり、図11の第1段階に対応する。時間間隔t1〜t6は図11の第2段階に該当し、t7以降は第3段階以降に該当する。この時間間隔について詳細に説明する。
【0092】
時間t0でトラック探索命令が受信されると、ギャップサーボ駆動部4の駆動によってレンズ部40と記録媒体50間の間隔が第0レベルG0から第1レベルG1へと段階的に変化する。本発明において、レンズ部40は一気に移動するのではなく、ラフ探索のためにギャップサーボ駆動部4によって第0レベル(G0)から第1レベル(G1)に段階的に移動し、外乱やサーボエラーによる影響を最小限に抑えることができる。ギャップサーボ駆動部4によるレンズ部40の垂直移動の単位は、実施形態によって多様に具現されうる。垂直移動のための時間間隔(t0〜t1、t6〜t7)を均一に約100等分することができる。垂直移動する区間(t0〜t1、t6〜t7)の初期には、レンズ部40は小さい距離だけ上昇または下降する。この移動距離は次第に増加する。レンズ部は、目標レベルに近付くにつれて移動距離を減少させながら上昇または下降することができる。
【0093】
レンズ部40は、時間t1で第1レベルG1に到達すると、t1〜t2間の遅延時間D1が経過した後に、水平移動する。遅延時間D1の間隔は、約1〜10msにセットされうる。レンズ部が時間間隔が経過した後に水平移動すると、レンズ部が第1レベルG1に垂直移動した直後に水平移動する場合に比べて、外乱やサーボエラーの影響を低減することができる。t2〜t5区間では、レンズ部40はスレッドサーボ駆動部6またはアクチュエータ(図示せず)の駆動によって第2トラックへと水平移動する。レンズ部40は、レンズ部が第2トラックに到達し、そこから遅延時間D2(t5〜t6)が経過してから垂直に移動する。この時、遅延時間D2は約1〜10ms程度にセットされうる。t6〜t7では、t0〜t1時間間隔と同様に、レンズ部40が段階的に垂直移動し、第0レベルG0へと移動する。この時、t6〜t7の時間間隔の方向はt0〜t1のそれと反対であり、したがって、レンズ部は第0レベルG0に移動する。
【0094】
レンズ部40が第2トラックに正確に到達できなかった場合は、図11に示すように、t7時間以降にファイン探索動作が行われうる。レンズ部が第2トラックに正確に到達した場合は再生及び/または記録動作が行われる。
【0095】
制御部3は、レンズ部40が第0レベル(0〜t0及びt7以後の時間間隔)にある時は、サーボイコライザ301のゲインを第1の補償ゲインX1に設定し、レンズ部40が第1レベルにある時は、第1の補償ゲインX1より大きい第2の補償ゲインX2に設定し、エラーを補償する。実施形態によれば、時間間隔t0〜t1及びt6〜t7の前にゲインを変更しても良く、時間間隔t0〜t1及びt6〜t7以降にゲイン変更しても良い。一実施形態として、図13では、t0でレンズ部40が第1レベルG1へと垂直移動する前に補償ゲインをX1からX2に変更し、レンズ部40が第0レベルに垂直移動してからt7で補償ゲインをX2からX1へと変更した。
【0096】
図14は、本発明に係るレンズ部40の効率的な水平移動速度を示す。すなわち、外乱やサーボエラーは、レンズ部40の水平移動速度を適切に調節することによって最小化される。図14の時間軸は図13の時間軸に対応する。その詳細は以下の通りである。
【0097】
レンズ部40の水平移動時において、レンズ部40は第1トラックから第2トラックまで等速度で移動するのではなく、レンズ部40の速度を時間と共に変化させる。例えば、レンズ部40は、最初移動時から加速し(t2〜t3区間)、レンズ部の速度がv1に到達してからは等速度で移動し(t3〜t4区間)、レンズ部が目標地点に近接すると減速してから目標地点に停止することができる(t4〜t5区間)。
【0098】
図14に示すレンズ部の移動速度は、トラック探索方法によって様々になりうる。ここで、レンズ部40を水平移動させるアクチュエータ(図示せず)または光ピックアップ1を水平移動させるスレッドサーボ駆動部6は、上記の速度変化プロファイルを持つことができる。
【0099】
本発明の要旨及び範囲を逸脱しない範囲内で様々な修正及び改変ができることは、当業者には自明である。したがって、特許請求の範囲に記載された権利範囲とその同等範囲内でなされる修正及び改変はいずれも本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る光ピックアップの光学系の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るレンズ部と記録媒体を概略的に示す側断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る信号生成部で生成される信号のフローを示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態においてレンズ部及び記録媒体間の間隔とギャップエラー信号(GE)との相関関係を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施形態に係るレンズ部と記録媒体間の間隔を制御する方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係るレンズ部の末端と記録媒体を示す部分側断面図である。
【図8A】レンズ部と記録媒体間のチルト限界角と間隔を示すテーブルである。
【図8B】レンズ部と記録媒体間のチルト限界角と間隔を示すグラフである。
【図9】本発明によってレンズ部がトラックを移動する時、レンズ部と記録媒体間の間隔変化を示すグラフである。
【図10】トラック移動距離に相応するレンズ部と記録媒体間の変化した間隔を示すテーブルである。
【図11】本発明の他の実施形態によってレンズ部がトラックを移動する時、レンズ部と記録媒体間の間隔変化を示すグラフである。
【図12】本発明の一実施形態に係る制御部の内部構造を詳細に示す図である。
【図13】本発明の他の実施形態に係るレンズ部と記録媒体間の間隔の変化を示すグラフである。
【図14】本発明の実施形態に係るレンズ部の効率的な水平移動速度を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック移動方法であって、
レンズがあるトラックから他のトラックへと移動するとき、トラック移動距離に対応してレンズと記録媒体間の間隔を変更するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
レンズと記録媒体間の前記間隔は、トラック移動距離に従って段階的に変化することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レンズと記録媒体間の前記間隔は、トラック移動距離が大きくなるにつれて、チルト限界角を増加させるために増加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記間隔を初期状態に戻すステップと、
到達したトラックが目標トラックか否かを判定するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
到達したトラックが目標トラックでない場合、レンズまたは光ピックアップを目標トラックへと移動させるようにトラック移動距離に従ってレンズと記録媒体間の前記間隔を変更するステップをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
トラック移動方法であって、
レンズと記録媒体間の間隔をあらかじめ定められたレベルに変更するステップと、
あるトラックから他のトラックへとレンズを水平移動させるステップと
を含み、
レンズと記録媒体間の前記間隔が段階的に変更されることを特徴とする方法。
【請求項7】
レンズと記録媒体間の間隔変更に続くあらかじめ定められた時間遅延の後に前記レンズが水平移動することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記レンズの水平移動速度は、レンズが水平移動する時に時間と共に変更することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記水平移動速度は、初期の時間区間で漸次増加し、最後の時間区間で漸次減少することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記水平移動速度は、初期の時間区間と最後の時間区間の間の時間区間では等速度であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
記録再生方法であって、
レンズと記録媒体間の間隔を制御信号を用いて均一に調節するステップを含み、
前記間隔は、レンズ部のトラック移動時にトラック移動距離に対応するオフセットを制御信号に適用することによって変更されることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記オフセットは、トラック移動距離に対応して段階的に変化することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記オフセットのレベルはトラック移動距離に比例することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
レンズと記録媒体間の前記間隔は、ニアフィールド限界の20%〜80%の範囲内となるように制御されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
記録媒体に対するデータ記録再生方法であって、
(a)レンズと記録媒体間の間隔を第1のレベルに変更し、トラックを移動しながら前記レンズを目標トラックへと移動させるステップと、
(b)前記間隔を第2のレベルに変更し、トラックの数をカウントしながら、前記レンズまたは光ピックアップを到達トラックから目標トラックに少しずつ移動させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
(c)前記間隔を到達トラックで初期状態に変更し、現在トラックの位置を検査するステップをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(c)は、ステップ(a)及び/またはステップ(b)の後に行われることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のレベルは前記第2のレベルよりも大きいことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(a)は、ステップ(c)で検査される現在トラックの位置が、少なくともあらかじめ定められた距離だけ目標トラックから離れている時に、繰り返し行われることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(a)は、現在トラックと目標トラックとの差が少なくとも1000トラックの時に、繰り返し行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
レンズと記録媒体間の前記間隔は、ニアフィールド限界の20%〜80%の範囲となるように制御されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(a)において、レンズと記録媒体間の前記間隔は段階的に変化することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項23】
レンズと記録媒体間の間隔変化に続くあらかじめ定められた時間遅延の後に前記レンズが水平移動することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記レンズの水平移動速度は、レンズまたは光ピックアップの他のトラックへの移動時に時間と共に変化することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記水平移動速度は、初期の時間区間で漸次増加し、最後の時間区間で漸次減少することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
記録再生装置であって、
レンズを含み、光源から放出された光ビームを記録媒体に照射するピックアップと、
記録媒体から反射される光ビームによって生成されるギャップ制御信号を用いてレンズと記録媒体間の間隔を調節するギャップサーボと、
トラック移動距離に対応するオフセットをギャップ制御信号に適用し、レンズ部のトラック移動時に前記間隔を変更する制御部と
を含むことを特徴とする装置。
【請求項27】
前記制御部は、トラック移動距離に従って変化するオフセットを段階的に適用し、トラック移動距離に従って前記間隔を変更することを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記オフセットのレベルはトラック移動距離に比例することを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記ギャップ制御信号の強度は、レンズと記録媒体間の間隔に比例することを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項30】
前記ギャップサーボは、前記ギャップ制御信号があらかじめ定められた値に維持されるようにフィードバック制御し、レンズと記録媒体間の間隔をギャップ制御信号に含まれるオフセットに従って変更することを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項31】
レンズと記録媒体間の前記間隔は、ニアフィールド限界の80%を超過しないことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
レンズと記録媒体間の前記間隔を変更させるレンズ駆動部またはピックアップ駆動部をさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項33】
前記制御部は、エラー信号の補償ゲインを増加させたり、または減少させたりすることによってレンズと記録媒体間の前記間隔を制御することを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項1】
トラック移動方法であって、
レンズがあるトラックから他のトラックへと移動するとき、トラック移動距離に対応してレンズと記録媒体間の間隔を変更するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
レンズと記録媒体間の前記間隔は、トラック移動距離に従って段階的に変化することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レンズと記録媒体間の前記間隔は、トラック移動距離が大きくなるにつれて、チルト限界角を増加させるために増加することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記間隔を初期状態に戻すステップと、
到達したトラックが目標トラックか否かを判定するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
到達したトラックが目標トラックでない場合、レンズまたは光ピックアップを目標トラックへと移動させるようにトラック移動距離に従ってレンズと記録媒体間の前記間隔を変更するステップをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
トラック移動方法であって、
レンズと記録媒体間の間隔をあらかじめ定められたレベルに変更するステップと、
あるトラックから他のトラックへとレンズを水平移動させるステップと
を含み、
レンズと記録媒体間の前記間隔が段階的に変更されることを特徴とする方法。
【請求項7】
レンズと記録媒体間の間隔変更に続くあらかじめ定められた時間遅延の後に前記レンズが水平移動することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記レンズの水平移動速度は、レンズが水平移動する時に時間と共に変更することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記水平移動速度は、初期の時間区間で漸次増加し、最後の時間区間で漸次減少することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記水平移動速度は、初期の時間区間と最後の時間区間の間の時間区間では等速度であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
記録再生方法であって、
レンズと記録媒体間の間隔を制御信号を用いて均一に調節するステップを含み、
前記間隔は、レンズ部のトラック移動時にトラック移動距離に対応するオフセットを制御信号に適用することによって変更されることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記オフセットは、トラック移動距離に対応して段階的に変化することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記オフセットのレベルはトラック移動距離に比例することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
レンズと記録媒体間の前記間隔は、ニアフィールド限界の20%〜80%の範囲内となるように制御されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
記録媒体に対するデータ記録再生方法であって、
(a)レンズと記録媒体間の間隔を第1のレベルに変更し、トラックを移動しながら前記レンズを目標トラックへと移動させるステップと、
(b)前記間隔を第2のレベルに変更し、トラックの数をカウントしながら、前記レンズまたは光ピックアップを到達トラックから目標トラックに少しずつ移動させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
(c)前記間隔を到達トラックで初期状態に変更し、現在トラックの位置を検査するステップをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(c)は、ステップ(a)及び/またはステップ(b)の後に行われることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のレベルは前記第2のレベルよりも大きいことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(a)は、ステップ(c)で検査される現在トラックの位置が、少なくともあらかじめ定められた距離だけ目標トラックから離れている時に、繰り返し行われることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(a)は、現在トラックと目標トラックとの差が少なくとも1000トラックの時に、繰り返し行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
レンズと記録媒体間の前記間隔は、ニアフィールド限界の20%〜80%の範囲となるように制御されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(a)において、レンズと記録媒体間の前記間隔は段階的に変化することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項23】
レンズと記録媒体間の間隔変化に続くあらかじめ定められた時間遅延の後に前記レンズが水平移動することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記レンズの水平移動速度は、レンズまたは光ピックアップの他のトラックへの移動時に時間と共に変化することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記水平移動速度は、初期の時間区間で漸次増加し、最後の時間区間で漸次減少することを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
記録再生装置であって、
レンズを含み、光源から放出された光ビームを記録媒体に照射するピックアップと、
記録媒体から反射される光ビームによって生成されるギャップ制御信号を用いてレンズと記録媒体間の間隔を調節するギャップサーボと、
トラック移動距離に対応するオフセットをギャップ制御信号に適用し、レンズ部のトラック移動時に前記間隔を変更する制御部と
を含むことを特徴とする装置。
【請求項27】
前記制御部は、トラック移動距離に従って変化するオフセットを段階的に適用し、トラック移動距離に従って前記間隔を変更することを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記オフセットのレベルはトラック移動距離に比例することを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記ギャップ制御信号の強度は、レンズと記録媒体間の間隔に比例することを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項30】
前記ギャップサーボは、前記ギャップ制御信号があらかじめ定められた値に維持されるようにフィードバック制御し、レンズと記録媒体間の間隔をギャップ制御信号に含まれるオフセットに従って変更することを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項31】
レンズと記録媒体間の前記間隔は、ニアフィールド限界の80%を超過しないことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
レンズと記録媒体間の前記間隔を変更させるレンズ駆動部またはピックアップ駆動部をさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項33】
前記制御部は、エラー信号の補償ゲインを増加させたり、または減少させたりすることによってレンズと記録媒体間の前記間隔を制御することを特徴とする請求項26に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−531803(P2009−531803A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502659(P2009−502659)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【国際出願番号】PCT/KR2007/001355
【国際公開番号】WO2007/108635
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(596066770)エルジー エレクトロニクス インコーポレーテッド (384)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【国際出願番号】PCT/KR2007/001355
【国際公開番号】WO2007/108635
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(596066770)エルジー エレクトロニクス インコーポレーテッド (384)
【Fターム(参考)】
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