説明

トラマドールおよびケトプロフェンを組合せて含む薬学的組成物

本発明は活性成分の組合せを含む薬学的組成物に関連する。より具体的には、トラマドールおよびケトプロフェンの組合せを含む安定な薬学的組成物である。さらに、活性成分は、それらの接触を妨げる薬学的形態および/または製品に賦形される固体形態における組合せ。補足すると、本発明はまた、痛みを軽減するのに有用な経口医薬の製造におけるケトプロフェンおよびトラマドールの組合された使用、並びにトラマドールおよびケトプロフェンの組合せを含む経口薬学的組成物により痛みを軽減する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分の組合せを含む薬学的組成物に関連する。より具体的には、トラマドールおよびケトプロフェンの組合せを含む安定な薬学的組成物である。さらに、活性成分が、それらの接触を妨げる薬学的形態および/または製品に賦形された固体形態にある組合せ。補足すると、本発明はまた、疼痛を緩和するために有用な経口用医薬の製造におけるケトプロフェンおよびトラマドールの組合せた使用、並びにトラマドールおよびケトプロフェンの組合せを含む経口用医薬組成物で疼痛を緩和するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2-((ジメチルアミノ)メチル)-1-(m-メトキシフェニル)-シクロヘキサノール(CAS RN: 27203-92-5)の化学名を持つトラマドールは、中度から重度の神経因性疼痛の対症療法に用いられるオピオイド鎮痛薬である。トラマドール(通常、塩酸塩の形態に賦形される)の常用量は、一日50 mg投与量2回 (two daily 50 mg doses) からなるが、一日400 mgに達してもよい。トラマドールは、最初に肝臓で排除される。経口投与後、トラマドールは大量に肝臓で代謝される。経口的に投与された用量の約30%は、代謝されずに尿中に排出され、一方で、当該用量の60%は代謝産物の形態で排出される。
【0003】
2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオン酸(CAS RN: 22071-15-4)の化学名を持つケトプロフェンは、顕著な鎮痛特性、抗炎症特性、解熱特性、および抗リウマチ特性を有する非ステロイド抗炎症剤(NSAI)である。ケトプロフェンは、通常、酸形態に賦形され、その通常の薬量学は、一日100 mg投与量2回 (two daily 100 mg doses)または一日50 mg投与量3回 (three daily 50 mg doses)である。ケトプロフェンの正確な代謝については不明であるが、肝臓で大量に代謝されることが確認されている。
【0004】
多くの薬物との相互作用にもかかわらず、トラマドールおよびパラセタモールの組合せを含む市販品(Ultracet(登録商標)、Janssen Cilag)の注目すべき存在に示されるように、首尾よく特定の組合せに用いられている。
【0005】
トラマドールと特定のNSAIとの強力な相乗効果に関する実験からのデータは、特許US5516803(イブプロフェンとの組合せにおけるトラマドール)および公報EP546676 A1(NSAI、特にイブプロフェンとの組合せにおけるトラマドール)を参照する2000年8月12日付けのコミュニケーションにおいて提供される。さらに、注射可能な形態におけるトラマドールとケトプロフェンの組合された使用は、以下に記載されているが;Siyam et al.(Co-Administration of Tramadol and Ketoprofen Produces Marked Antinociceptive Synergy with Reduced Side-Effects, Anesthesiology 2003; 99: A996)およびTuncer et al.(Adding ketoprofen to intravenous patient-controlled analgesia with tramadol after major gynecological cancer surgery: a double-blinded, randomized, placebo-controlled clinical trial, Euro J Gynaecol Oncol. 2003; 24 (2): 181-4))、しかしながら、これら公報に、トラマドールおよびケトプロフェンが経口投与される際のこれら薬剤の相乗作用の存在を確認する実験データは含まれていないことが強調されるべきである。
【0006】
至適な有効性および安全なプロファイルを備え、並びに投与が非常に容易な製品を得ることを目的として、本発明者らは、ここにおいて、経口投与されるトラマドールとケトプロフェンとの組合せが、ケトプロフェンの抗炎症特性および鎮痛特性と関連したトラマドールの高い鎮痛ポテンシャルのためにとりわけ興味深いものであり得ることを確認した。
【0007】
しかしながら、活性成分が接触した製剤中で生じる物理化学的相互作用により、薬剤の生物学的利用能を変化させる可能性のある溶解しにくい高粘着性の塊が形成されることが証明された。
【0008】
固体の薬学的形態に賦形される際に、相互作用の問題を解決し薬剤の生物学的利用能を不変に保つという目的で、ここにおいて発明者らは、それらの接触を防止および/または当該2つの活性成分の間の相互作用を妨害する薬学的形態および/または製品にトラマドールとケトプロフェンを賦形することがとりわけ興味深いことを確認した。
【0009】
ここで発明者らが知る限り、トラマドールおよびケトプロフェンの特定の組合せを含む薬学的組成物の経口投与の有効性および安全性に関する、または活性成分同士の接触を提供する薬学的形態および/または薬学的製品に賦形される際にのそのような活性成分間の物理化学的な相互作用に関するどのような刊行物も、現在の技術水準においては存在しない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1:単離および異なる割合で組合されたトラマドール塩酸塩およびケトプロフェンの示差走査熱量測定 (DSC) による熱分析曲線。
【発明の詳細な説明】
【0011】
第一の側面において、本発明は、トラマドール、ケトプロフェンおよび任意の一またはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤の組合せを含む経口投与されるべき薬学的組成物を含む。
【0012】
本発明に従うと、用語、組合せ(combination)は、トラマドールおよびケトプロフェンが投与量の単一単位(a single unit of dosage)(即ち、単一の錠剤またはカプセル)に含まれる製品、並びに当該薬剤の併用投与のためのキットの形態(即ち、トラマドール錠剤とケトプロフェン錠剤とを組合せるブリスター型包装(blister type packaging)、またはトラマドール錠剤を含むバイアルとケトプロフェン錠剤を含むバイアルとのセット)にある製品を含む。
【0013】
本発明によると、トラマドールの用語は、塩基を含まない形態 (base free form)のトラマドール並びにトラマドール塩またはこれらの溶媒和物でもあると考えられるべきである。好ましい実施形態において、トラマドールは塩酸塩の形態である。
【0014】
本発明によると、ケトプロフェンの用語は、酸形態のケトプロフェン並びに有機塩基または無機塩基を伴うケトプロフェン塩および水和物またはこれらの溶媒和物でもあると考えられるべきである。好ましい実施形態において、ケトプロフェンはその酸形態である。
【0015】
薬学的に許容される賦形剤の例には、刊行物Remington’s pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania, USAに記載されるものが含まれる。
【0016】
第二の側面において、本発明は、トラマドールおよびケトプロフェンが、当該2つの活性成分の接触を妨げる薬学的形態および/または製品に賦形される固体の薬学的組成物を含み、これは、示差走査熱量測定 (DSC) による試験からもわかるように(図1)、トラマドールおよびケトプロフェン間の物理化学的相互作用は共融混合物の形成を導くからである。
【0017】
2つの活性成分の接触を妨げる薬学的形態の例は次の通りである:少なくとも1つの中間バリア層を持ち、それぞれの活性成分が別々の層に配置される三重層錠剤;トラマドールに基づく顆粒およびケトプロフェンに基づく顆粒が分離されて、より具体的にはコーティングされて含まれるカプセル;コーティングされたケトプロフェン結晶およびコーティングされたトラマドール結晶を含むカプセルおよび/または錠剤;トラマドール錠剤およびケトプロフェン錠剤が分離されて、より具体的にはコーティングされて含まれるカプセル。
【0018】
2つの活性成分の接触を妨げる薬学的製品の例は次の通りである:トラマドール錠剤およびケトプロフェン錠剤が分離されて含まれるブリスター型包装;ケトプロフェンカプセルを含むバイアルとトラマドールカプセルを含むバイアルとのセット;トラマドールのアンプルとケトプロフェンのアンプルが固体形態で分離されて含まれるバイアル-アンプルのセット。
【0019】
本発明は、活性成分の放出の種類に限定されるものではなく、即時性放出(immediate release)、制御された放出 (controlled release)、徐放 (timed release)、速崩壊 (rapid disintegration) 等を有する製品が含まれる。
【0020】
本発明は、薬学的に許容される用量におけるケトプロフェンおよびトラマドールの組合せに関する。本発明の説明的側面によれば、しかしながら、本発明の範囲の幅を限定するものではないが、これらの用量には、各投与でトラマドール50 mg用量および各投与でケトプロフェン50 mg用量が含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
第三の側面において、本発明は疼痛を軽減する医薬の製造におけるトラマドールとケトプロフェンの組合された使用を含む。
【0022】
第四の側面において、本発明はトラマドールとケトプロフェンの組合された投与を含む疼痛を軽減する方法に関する。治療するに相応しい可能性のある疼痛の例は、これらに限定するものではないが、以下が含まれる;歯痛、頭痛(頭痛)、片頭痛、腹および骨盤の痛み、リウマチ痛、神経痛、熱痛、インフルエンザおよび一般的な風邪の諸症状、咽喉痛、腰痛 (lumbalgia)、筋肉痛(筋肉痛)、斜頸(斜頸)、関節痛 (articular pain)、下肢痛、挫傷、捻挫、腱炎、テニス肘、腰痛 (lumbago)、関節痛 (arthralgia)、外傷後疼痛、坐骨神経痛、滑液包炎、膨満 (distensions)、軽度の静脈炎 (minor phlebitis)、脊柱疼痛状態 (脊髄痛)、スポーツでの軽度の怪我、静脈瘤性疼痛、静脈瘤性炎症、挫傷 (血腫)、急性、亜急性および慢性の激痛 (手術後、腫瘍、心筋梗塞、外傷性傷害、骨折)ならびに診断手段および治療手段からの急性疼痛。
【0023】
好ましい側面によると、本発明はトラマドールおよびケトプロフェンの同時投与(simultaneous administration)またはトラマドールおよびケトプロフェンの分離投与(separate administration)であるが、それぞれの薬剤の服用間には60分未満の時間的な間隔のある投与を含む。
【0024】
製剤の例および実験例の詳細な記載を以下に提供し、本発明を説明するが、その範囲を限定するものではない。
【0025】
[例]例 例1:50 mgトラマドール錠剤の製造
バッチサイズ:4,000錠
【表1】

【0026】
- 成分(a)、(b)および(c)を40メッシュによって篩過する。粉末を混合造粒器(mixer-granulator)に移し、5分間混合する。
【0027】
- 成分(d)を60メッシュによって篩過し、3分間混合する。
【0028】
- 結果生じた最終混合物を11×6.5 mmのパンチを用いて、以下の特徴を有する楕円形錠剤に圧縮した:平均重量:200 mg;サイズ:11×6.5 mm;硬度:5~12.0 kPa;105℃/10分での錠剤湿度:最大6%;破砕性:最大1%。
【表2】

【0029】
- 溶液が透明になるまで、持続的な攪拌の下、(h)を200 mL含む適切な容器に(e)を加える(I)。
【0030】
- (h)を50 mL含む適切な容器に(f)および(g)を加えることにより色素懸濁液を調製し、攪拌器により3分間均質化する(II)。
【0031】
- 均質な懸濁液が形成されるまで、穏やかな攪拌の下、(I)および(II)を混合する(コーティング懸濁液)。
【0032】
- 強制空気循環 (forced air circulation) を有する適切なコーティング装置中で、コーティング懸濁液を散布により錠剤の中心部に適用する。
【0033】
錠剤の中心部の平均重量:200 mg;コーティングした錠剤の平均重量:206 mg。
【0034】
例2:50 mgケトプロフェン錠剤の製造
バッチサイズ:4,000錠
【表3】

【0035】
- 成分(a)、(b)および(c)を40メッシュによって篩過する。粉末を混合造粒器に移し、5分間混合する。
【0036】
- 成分(d)を60メッシュによって篩過し、3分間混合する。
【0037】
- 結果生じた最終混合物を、11×6.5 mmのパンチを用いて、以下の特徴を有する楕円形錠剤に圧縮した:平均重量:200 mg;サイズ:11×6.5 mm;硬度:5~12.0 kPa;105℃/10分での錠剤湿度:最大6%;破砕性:最大1%。
【表4】

【0038】
- 溶液が透明になるまで、持続的な攪拌の下、(g)を200 mL含む適切な容器に(e)を加える(I)。
【0039】
- (g)を50 mL含む適切な容器に(f)を加えることにより色素懸濁液を調製し、攪拌器により、3分間均質化する(II)。
【0040】
- 均質な懸濁液が形成されるまで、穏やかな攪拌の下、(I)および(II)を混合する(コーティング懸濁液)。
【0041】
- 強制空気循環を有する適切なコーティング装置中で、コーティング懸濁液を散布により錠剤の中心部に適用する。
【0042】
錠剤の中心部の平均重量:200 mg;コーティングした錠剤の平均重量:206 mg。
【0043】
例3:単一ブリスター中にトラマドール錠剤およびケトプロフェン錠剤を含むキット
50 mgトラマドール錠剤(例1)および50 mgケトプロフェン錠剤(例2)はダブルバブルPVDCブリスター(double bubble PVDC blister)に封入された。アルミニウムラミネートにより封をした後、そのような14個のブリスターは、12時間ごとにブリスターの内容を投与するための説明書 (instructions)とともに段ボール箱に詰められた。
【0044】
例4:ブリスターパック中にトラマドール錠剤およびケトプロフェン錠剤を含むキット
2つの50 mgトラマドール錠剤(例1)はダブルバブルブリスターに封入された。2つの50 mgケトプロフェン錠剤(例2)はダブルバブルブリスター(double bubble blister)に封入された。アルミニウムラミネートにより封をした後、2つのブリスターはそれぞれ、2つの穴を持った2つの列を有する軽量段ボールバッキング(a light cardboard backing)に接着され、2つの穴は、ブリスターの挿入を可能にし、ブリスター封入錠剤の2列を形成するような様式で整列している。そして、バブル(bubble)は当該穴から露出し、そのため単一のトラマドール錠剤および単一のケトプロフェン錠剤より成る各列を有する。このようなパックが5つ、トラマドール錠剤およびケトプロフェン錠剤からなる2つの錠剤列の内容がそれぞれ処方された量で投与されるための説明書とともに段ボール箱に詰められた。
【0045】
例5:トラマドールに基づく錠剤およびケトプロフェンに基づく錠剤を含むカプセルの製造
50 mgトラマドール錠剤(例1)および50 mgケトプロフェン錠剤(例2)は0サイズ(zero size)のゼラチンカプセルに封入された。
【0046】
例6:50 mgケトプロフェン顆粒化粉末の製造
【表5】

【0047】
- 成分(a)、(b)および(c)を40メッシュによって篩過する。
【0048】
- 粉末を混合造粒器に移し、5分間混合する。
【0049】
- 成分(d)を60メッシュによって篩過し、顆粒化するために加え、5分間混合する。
【0050】
例7:組合されているが、隔離されている(isolated)トラマドールおよびケトプロフェンを含むカプセルの製造
特異的にコーティングされたトラマドールの50 mg錠剤(例1)および顆粒化したケトプロフェン100 mg (例6)を適切な大きさの硬ゼラチン製カプセルに封入する。
【0051】
例8:隔離されることなく組合された顆粒化トラマドールおよび顆粒化ケトプロフェンを含むカプセルの製造
バッチ量(batch amount):3181カプセル
【表6】

【0052】
- 成分(a)、(b)、(c)および(d)を25メッシュによって篩過する:
- 5分間混合し、その後あらかじめ篩過しておいたステアリン酸マグネシウムを加え、さらに2分間混合する。
【0053】
- 混合した顆粒220 mgを適切な大きさの硬ゼラチンカプセルに封入する。
【0054】
例9:活性成分同士が隔離されずに組合されたトラマドールおよびケトプロフェンを含むカプセルと、活性成分同士が隔離されて組合されたトラマドールおよびケトプロフェンを含むカプセルとの安定性比較データ
活性成分同士が隔離されずに組合された顆粒化トラマドールおよび顆粒化ケトプロフェンを含むカプセル(例8)と、コーティングされたトラマドール錠剤(例1)および顆粒化ケトプロフェン(例6)を含む例7により製造されたカプセルは、別々に密封されたガラスバイアル(glass vials)中に置かれた。そしてバイアルは、国立健康調査機関(Anvisa)のRE1(2005)に従ってオーブン内(温度40℃、相対湿度75%)に置かれた。カプセルは、30~60日の期間の後に評価された。わずか30日後には、顆粒化トラマドールおよび顆粒化ケトプロフェンの混合物を隔離することなく含むカプセルの内壁に、溶解困難なペースト状の塊が形成されたことが確認できた。一方、コーティングされたトラマドール錠剤および顆粒化ケトプロフェンを含むカプセルは、実質的に変化しないままであった。
【0055】
例10:トラマドール塩酸塩単独、ケトプロフェン単独、およびトラマドール塩酸塩とケトプロフェンの組合せから得られた示差走査熱量測定 (DSC) データ
トラマドール塩酸塩とケトプロフェンとの相互作用は、活性成分単独および組合せについて実施されたDSC試験により評価された;活性成分は、15:85〜85:15の比率でトラマドール塩酸塩の融解に対応するピークの抑制を示し、共融混合物を形成することが確認された。
【0056】
図1は、活性成分単独および異なる割合でのDSC曲線を示す。これらは、TA-2920セル(TA-instruments(登録商標))を使って、10〜200℃の温度範囲で、密封されたアルミニウムカプセルにより、約3.0 mgのサンプルを用いて昇温速度10℃/min、動的窒素環境下、流量50 mL/minで得られた。
【0057】
本発明はここにおける記載に限定されるものではないが、本発明のスピリット(spirit)および範囲内で、あらゆる修正および適合をさらに組み込むものであることは強調されるべきである。
【0058】
例11:薬剤の単独使用と比較した、トラマドール塩酸塩とケトプロフェンの組合せの使用の安全性および有効性の評価
7日間にわたる急性の腰痛 (acute lombalgia) の治療において、薬剤の組合せの使用の有効性、安全性、および耐性を評価するために、171人の評価可能な患者に対して、多施設臨床試験、第三相臨床試験、二重盲式臨床試験、無作為臨床試験が有資格医師により行われるだろう。
【0059】
臨床試験は以下について評価するべきである:(a) 単独で使用される薬剤と比較した、急性および亜急性腰痛の治療におけるトラマドール塩酸塩およびケトプロフェンの組合せの使用の有効性;(b) 単独で使用される薬剤と比較した、急性および亜急性腰痛の治療におけるトラマドール塩酸塩およびケトプロフェンの組合せの使用の安全性および耐性。
【0060】
この臨床試験を行うために、患者は以下の基準に従って選ばれるべきである:(a) 18〜75歳の男女;(b) 45日まで存続する急性または亜急性腰痛の状態で、持続的で、膝まで広がる最大放射を伴う腰部領域の疼痛触感に応答して移動しようとする試みの後に増加する疼痛を伴う状態。患者には、初期症状または再発性の疼痛を経験する患者を含んでもよい;(c) アナログビジュアルスケール(Analog Visual Scale) (AVS)の評価は、60 mm以上の基礎評価とする;(d) 倫理評議会の要求する、認識 (awareness) および自由同意(free consent)の規約についての署名。
【0061】
選ばれた患者は3つのグループに分けられ、以下の治療を受けるべきである:(グループ1)50 mgトラマドール塩酸塩+50 mgケトプロフェン;(グループ2)50 mgトラマドール塩酸塩;(グループ3)50 mgケトプロフェン。患者は食事時間に、または軽食と一緒に、8時間ごとに1カプセル、合計9カプセルを服用するように勧められる。最初の3日の後、患者は、治療の終わり(7日目)まで必要な時および疼痛に応じてカプセルを服用することが求められ、1日3カプセルを超えてはならず、服用と服用の間は最低8時間空けなければならない。バックアップ処方 (back-up medication)は750 mgパラセタモールとする。
【0062】
有効性を確認するために、評価は4日目と8日目の2回の往診に分けるべきである。
【0063】
4日目の往診は以下について評価するべきである:(a) AVSによる基礎レベル(1日目)との関係での痛みの減少;(b) バイタルサインおよび身体的評価;(c) 基礎スコア(1日目)と比較したRonald Morrisのクオリティ・オブ・ライフ・アンケートのスコアの変化;(d) 実際の患者の全体的な評価。
【0064】
8日目の往診は以下について評価するべきである:(a) AVSによる基礎レベル(1日目)との関係での痛みの減少;(b) バイタルサインおよび身体的評価;(c) 10 mm以下のAVCスコアとして定義される有意な疼痛鎮静の前に起こる日数;(d) 基礎スコア(1日目)と比較したRonald Morrisのクオリティ・オブ・ライフ・アンケートのスコアの変化;(e) バックアップ処方の使用;(f) 医師による患者の全体的評価;(g) 実際の患者による治療の全体的評価。
【0065】
治療の安全性を確かめるため、以下について評価されるべきである:(a) 不利なイベント(adverse event)の自発的報告;および (b) 治療のコンプライアンス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラマドール、その塩または溶媒和物、ケトプロフェン、その塩または溶媒和物、および、任意の一またはそれ以上の薬学的に許容される賦形剤の経口投与のための組合せを含む薬学的組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の薬学的組成物であって、トラマドールは当該ケトプロフェンと接触していない薬学的組成物。
【請求項3】
請求項1および2に記載の薬学的組成物であって、トラマドールおよびケトプロフェンを別々の投与量単位に含む薬学的組成物。
【請求項4】
先行する請求項のいずれか1項に記載の薬学的組成物であって、トラマドール投与量の単位およびケトプロフェン投与量の単位を隔離したまま含むブリスター型包装の形態である薬学的組成物。
【請求項5】
先行する請求項1、2および3のいずれか1項に記載の薬学的組成物であって、トラマドール投与量の単位を含むバイアルとケトプロフェン投与量の単位を含む他のバイアルとを隔離したままのセットの形態である薬学的組成物。
【請求項6】
請求項1および2に記載の薬学的組成物であって、単一投与量単位(a single dose unit)にトラマドールおよびケトプロフェンを含む薬学的組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の薬学的組成物であって、錠剤である薬学的組成物。
【請求項8】
請求項6に記載の薬学的組成物であって、硬カプセル剤である薬学的組成物。
【請求項9】
請求項7に記載の薬学的組成物であって、トラマドールを含む層が、少なくとも1つの中間バリア層によりケトプロフェンを含む層と物理的に隔離されている多層錠剤(multiple layered tablet)である薬学的組成物。
【請求項10】
請求項8に記載の薬学的組成物であって、トラマドールの顆粒または錠剤およびケトプロフェンの顆粒または錠剤を含むカプセルである薬学的組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の薬学的組成物であって、前記トラマドールまたはケトプロフェンの顆粒または錠剤がコーティングされている薬学的組成物。
【請求項12】
疼痛を軽減するための薬剤の調剤におけるトラマドールおよびケトプロフェンの組合された使用。
【請求項13】
請求項12に記載の使用であって、トラマドールおよびケトプロフェンの同時投与またはケトプロフェンおよびトラマドールの分離投与であるが、いずれかの薬剤の服用間に60分未満の時間的間隔のある投与を含む使用。
【請求項14】
請求項12または13に記載の使用であって、各投与でのトラマドールが約50 mgの用量にあり、各投与でケトプロフェンが約50 mgの用量にある使用。
【請求項15】
請求項12、13、または14に記載の使用であって、一日投与量2回のトラマドールおよび一日投与量2回のケトプロフェンの薬量学からなる使用。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか1項に記載の使用であって、前記疼痛が、歯痛、頭痛(頭痛)、片頭痛、腹および骨盤の痛み、リウマチ痛、神経痛、熱痛、インフルエンザおよび一般的な風邪の諸症状、咽喉痛、腰痛 (lumbalgia)、筋肉痛(筋肉痛)、斜頸(斜頸)、関節痛 (articular pain)、下肢痛、挫傷、捻挫、腱炎、テニス肘、腰痛 (lumbago)、関節痛 (arthralgia)、外傷後疼痛、坐骨神経痛、滑液包炎、膨満 (distensions)、軽度の静脈炎 (minor phlebitis)、脊柱疼痛状態 (脊髄痛)、スポーツでの軽度の怪我、静脈瘤性疼痛、静脈瘤性炎症、挫傷 (血腫)、急性、亜急性および慢性の激痛 (手術後、腫瘍、心筋梗塞、外傷性傷害、骨折)ならびに診断手段および治療手段からの急性疼痛で形成される群を含む使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−516789(P2010−516789A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547495(P2009−547495)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【国際出願番号】PCT/BR2008/000024
【国際公開番号】WO2008/092219
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(509214171)ユーロファルマ・ラボラトリオス・エルティーディーエー. (1)
【氏名又は名称原語表記】Eurofarma Laboratorios Ltda.
【住所又は居所原語表記】Av. Vereador Jose Diniz, 3465, Campo Belo 04603−003, Sao Paulo−SP, Brazil
【出願人】(508072899)バイオラブ・サヌス・ファーマセウティカ・エルティーディーエー. (6)
【Fターム(参考)】