説明

トランスフェクション薬剤

本発明は、細胞内への薬物送達促進化合物、組成物および方法を提供する。薬剤には、遺伝子およびアンチセンス核酸などのポリペプチド、ポリヌクレオチドおよびその他の分子などを含有させることが可能である。実施形態のなかには、その薬剤が調製剤であるものもあり、その調製剤は、細胞内に導入する場合、細胞活性または細胞機能を調節することが可能である。この化合物、組成物および方法は、遺伝子などの薬剤を、組織または器官として存在する細胞と同様に個別細胞内に導入するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2003年6月4日に出願された米国特許出願第60/475,926号および米国特許出願第10/455,215号の優先権、および本明細書とともに同日付で出願されたPCT出願第___________号、代理人整理番号016930−000851の優先権を主張するものであり、これらに開示されているものは、すべての目的に対して完全に参照によって援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、治療薬およびそれ以外の薬剤を細胞へ送達するための新規化合物、新規組成物、およびその方法に関する。本発明の化合物類および方法類を用いて、送達させることができる薬剤としては、遺伝子、ポリペプチド、タンパク質、その他の分子がある。その細胞は、個別細胞としてまたは生物組織もしくは生物器官として存在することが可能である。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
ある化合物を細胞内に送達することは、多くの診療方法および治療方法のための最初の重要な工程である。たとえば、遺伝子療法は、治療およびその他の目的での使用に非常に有望なツールであり、そのツールでは、核酸を細胞へと送達する必要がある。たとえば、遺伝子を移送する方法を用いて新生物類を治療する様々な方法が開発されている。悪性形質転換および悪性化を引き起こす特定の遺伝子座の特定の損傷を修正するための方法が開発されている(Spandidos et al.,Anticancer Res.10:15431554(1990);Banerjee et al.,Cancer Res.52:6297−6304(1992))。遺伝子または遺伝子産物の形質転換を抑制する技術類を用いれば、優性の発癌遺伝子の過剰発現に対処することができる。腫瘍抑制遺伝子の機能が失われている場合、このような方法を用いて対処すれば、野生型腫瘍抑制遺伝子の機能を再構成させることができる可能性がある(Goodrich et al.,Cancer Res.52:1968−1973(1992))。
突然変異の修正を実現させるこのような方法のほかに、特異的および選択的に腫瘍細胞を根絶するために、複数の遺伝子技術が開発されている。このような分子化学療法による方法は、腫瘍細胞中における毒素遺伝子の特異的発現に依存する(Abe et al.,Proc Soc Exp Biol Med.203:354−359(1993))。さらに、遺伝子を移送する方法によって抗腫瘍免疫化を獲得する方法も用いられてきた。遺伝子免疫を強化するこれらの方法では、遺伝子免疫拒絶反応技術を用いて腫瘍の免疫認識を高める。このため、癌の遺伝子療法を完成させようと様々な方法が開発されている。
【0004】
膀胱癌では、p53およびRBなど複数の腫瘍抑制遺伝子に突然変異が多発していることが観察されている(Fujimoto et al、Cancer Res.52:1393−1398(1992));Cairns et al.,Oncogene 6:2305−2309(1991)。このような腫瘍抑制遺伝子の遺伝子損傷の場合、野生型の当該腫瘍抑制遺伝子を復帰させることによって、悪性表現型の復帰突然変異の発生が明らかになる(Spandidos,Id.;Banerjee,Id.)。
【0005】
膀胱癌は、癌の罹病率および致死率の重要な要因の一つである。癌による致死率では、膀胱癌は、成人男子が10位であり、成人女性は12位である。(Cancer Facts and Figures、Amer.Can.Soc.5:11(1995))。膀胱癌の治療には、全身化学療法と併用することが多い補助化学療法または補助免疫療法、表在性膀胱腫瘍の経尿道的切除術、膀胱部分切除術、放射線療法などがあり、複数の治療法が有効である。このように治療に選択肢があるにもかかわらず、全体的な生存率には明確な変化はみられない(同文献)。このため、膀胱癌の治療のために新しい治療モダリティを開発する必要がある。
【0006】
選択的治療法として、複数の遺伝子療法戦略が開発されている。(Brewster et al.,Eur Urol 25:177−182(1994); Takahashi et al.,Proc Natl Acad Sci USA 88:5257−5261(1991);Rosenberg、SA、J.Clin Oncol.10:180−199(1992)など参照)。ヒトまたはヒト以外の動物の癌治療および癌以外の病気の治療が成果をあげるかどうかは、細胞に侵入する治療薬の量が適切であるかどうか、また、治療薬を吸収する標的細胞の比率が十分であるかどうかによる。
【0007】
その他の治療薬およびその他の調製剤などの多くは、たとえば、ポリペプチド類または低分子などである。また、ある標的細胞集団に到達する薬剤量は、治療効果に多大な影響を与えることもある。このため、細胞または細胞集団に送達する薬剤量を高めることができる化合物および方法などが必要である。本発明は、この必要性およびこれ以外の必要性を満たす。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、細胞への薬剤の送達を促進させることができる化合物、組成物および方法を提供する。一実施形態において、本発明は、式Iの送達を促進させる化合物を提供する。
【0009】
【化9】

式中、
およびRは、各々独立して水素およびヒドロキシル基からなる群から選択されるメンバーであり;
mおよびnは、各々独立して約0〜2から選択され;
は−NRからなる群から選択され、式中のRおよびRは、各々独立して水素、糖残基、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアシル、必要に応じて置換されているアシルオキシ、および第四級アンモニウム塩−NRXからなる群より選択されるメンバーであり、式中のR、RおよびRは独立して水素およびC〜Cのアルキルからなる群より選択されるメンバーであり、Xはハロゲンおよび必要に応じて置換されているカルボキシレートからなる群より選択される負に帯電したイオン結合する対イオンである。また、製剤を投与することによって、細胞に薬剤を送達する方法を提供し、その製剤には式Iの送達促進化合物を含有する。
【0010】
好ましい実施形態は、式Iの送達促進化合物が式IIを含むことである。
【0011】
【化10】

さらに別の実施形態では、本発明は、薬剤を細胞に送達するための組成物を提供する。その組成物には、送達させる薬剤および式Iの送達促進化合物を含有する。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、癌をある治療薬の治療上有効な量を細胞へ投与することによる膀胱癌などの癌の治療法であり、この治療薬は、式Iの化合物からなる緩衝液中で製剤化される。
【0013】
上記目的、その他の目的ならびに複数の態様および利点が、以下の詳細な説明および図面を読み進めるうちに、さらに明らかになるであろう。
【0014】
(発明の詳細な説明)
(I.定義)
本明細書では、用語「アルキル」は、分枝鎖、非分枝または環状の炭化水素置換基、もしくはそれらの組み合わせを意味し、完全飽和、モノ不飽和−またはポリ不飽和である可能性があり、また二価置換基および多価置換基を含むことができ、指定された炭素原子の数を含有する(たとえば、C〜C10は、炭素数1〜10の炭素を意味する)。飽和炭化水素置換基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、オクタ−デシル、2−メチルペンチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロペンチルメチルなどの基があるが、これに限定されるものではない。このような置換基を、鎖に通常結合する1個または複数の官能基によって任意に置換することもできる。この官能基は、ヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨード、メルカプトまたはチオ、シアノ、アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、カルボキシル、ニトロ、アミノ、アルコキシル、アミドなどがあり、カルボキシメチル、トリフルオロメチル、3−ヒドロキシヘキシル、2−カルボキシプロピルなどのアルキル置換基を形成するものである。不飽和アルキル置換基は、1個または複数の二重結合または三重結合を含有するものである。不飽和アルキル基の例には、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−プロピニル、3−プロピニル、3−ブチニルのほか、高級同族および異性体などがあるが、これに限定されるものではない。この置換基も、飽和炭化水素についての説明と同じく、当該鎖に通常結合する1個または複数の官能基で置換することができる。
【0015】
用語「アリール」は、ポリ不飽和炭化水素、一般的に芳香族炭化水素の置換基を意味し、この置換基は、単環式または多環式(最高三環)である可能性があり、縮合するかまたは共有結合している。用語「ヘテロアリール」は、N,OならびにSから選択された0〜4個のヘテロ原子を含むアリール基(またはアリール環)を指し、ここで窒素原子および硫黄原子は、任意に酸化され、また窒素原子(1個または複数)は任意に四級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合させることが可能である。アリール基およびヘテロアリール基の例には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、6−キノリルなどがあるが、これに限定するものではない。上記アリールおよびヘテロアリールの環構造では、該環構造に通常結合する1個または複数の官能基とさらに置換することが可能であり、この官能基は、ヒドロキシル、ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨード、メルカプト、チオ、シアノ、アルキルチオ、カルボキシル、ニトロ、アミノ、アルコキシルまたはアミドなどがある。
【0016】
用語「アシル」は、−C(O)R−置換基を意味し、以下に限定されるものではないが、ベンゾイル、スクシニル、アセチル、プロピオニルまたはブチリルなどがあり、式中、Rは、上記に定義したとおりアルキルまたはアリールである。
【0017】
用語「ヒドロキシル」は置換基−OH−を意味する。
【0018】
用語「アルコキシ」は、置換基−OR−を意味し、式中、Rはアルキルである。
【0019】
用語「アミノ」は、アミン結合(−NRR’)を意味し、式中、RおよびR’は独立して水素置換基、アルキル置換基またはアリール置換基である。
【0020】
用語「カルボキシレート」は置換基−OC(O)R−を意味し、式中、Rは必要に応じて置換されているアルキルまたはアリールである。
【0021】
用語「アシルオキシ」は、置換基−(CRR’)C(O)OR”−を意味し、式中、RおよびR’は独立してアルキル置換基、アリール置換基または水素置換基からなる群から選択され、R’’は水素置換基もしくはアルキル置換基であり、mは1〜8までの整数である。
【0022】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は置換基がF,Cl、Br、またはIであることを指す。
【0023】
用語「糖残基」は単糖置換基を指し、その単糖置換基には、ホモ−オリゴ糖置換基(1種の単糖からなるオリゴ糖)として、またはヘテロ−オリゴ糖置換基(2種以上の単糖からなるオリゴ糖)として結合している二つ以上の単糖置換基を含有する。好ましい実施形態では、ホモ−オリゴ糖置換基およびヘテロ−オリゴ糖置換基は、2〜10個の単糖ユニットからなる。単糖類には、ペントースまたはヘキソースの残基などがあり、その残基は、環状または非環状(開鎖)形式として存在することができる。単糖が開鎖式である場合、水素基(アルドース中において)またはヒドロキシメチル基(ケトース中において)を除去することによってつなぎ、結合を形成させる。さらに、カルボニル炭素の酸素原子は、任意にRR’−に置換することが可能であり、式中、RおよびR’は独立して結合、アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、水素、アミノ置換基およびアルコキシ置換基から選択される。オリゴ糖類には、ペントース−ペントース二糖基、ヘキソース−ヘキソース二糖基、ペントース−ヘキソース二糖基、およびヘキソースペントース二糖基などを含有することが好ましい。単糖は、リボース、アラビノース、キシロースおよびリキソース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、またはタロースからなる群から選択することが可能であり、これにより単糖上の1つ以上のヒドロキシル基は、水素、アルキル置換基、アルコキシ置換基、アミノ置換基、またはアシル置換基に置換することが可能である。
【0024】
(II.一般的な合成)
本発明は、上皮組織内に存在する細胞など、薬剤の細胞内への運搬を向上させる、送達促進化合物および製剤を提供する。本発明の化合物および製剤により、増殖または病状などに関係のある細胞過程を調節することが可能な薬剤、細胞へ侵入するか、および/または薬剤を吸収する組織または器官内の細胞集団を増加させる薬剤などの薬剤の量を増加させることが可能である。本発明の送達促進化合物を用いて、薬剤を細胞へ送達する方法も複数、提供する。
【0025】
一部の態様では、本発明の化合物は、式Iによって表わされる。
【0026】
【化11】

式中、
およびRは各々独立して水素およびヒドロキシル基の群から選ばれたメンバーであり;
mおよびnは各々独立しておおよそ0〜2から選択され;
は−NRからなる群から選択され、式中、RおよびRは各々独立して水素、糖残基、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアシル、必要に応じて置換されているアシルオキシ、第四級アンモニウム塩−NRXの群から選ばれたメンバーであり、式中、R、RおよびRは独立して水素およびC〜Cのアルキル群から選ばれたメンバーであり、Xは、ハロゲンおよび必要に応じて置換されているカルボキシレートからなる群から選択され、負電荷イオンにより結合した対イオンである。式Iの好ましい化合物を表1に示す。
【0027】
1つの具体的な実施形態では、式Iの化合物は、図1および図2に示すとおり、一般的な方法を用いて合成することが可能である。図1および図2には、本発明の1つの特定の実施形態を例示しているが、これらは一例にすぎず、本明細書の請求項の範囲に限定されるべきではない。当業者であれば、図1および図2に例示する反応スキームに対して行うことのある変形、代替、変更がこれ以外にも数多くあることがわかるであろう。図1では、コール酸2が、トリエチルアミンなどアミン塩基の存在下でクロロギ酸エステルと反応し、混合無水物の中間体を形成する。この中間体は、その後、モノ保護トリアミン1と反応し、コーリックアミド化合物3を産生する。メタノール溶媒中、塩酸による酸性条件下でコーリックアミド3を処理することによって、この場合はt−ブトキシカルボニルである保護基を失うことになり、第一級アミン4が生成される。図2には、還元的アミノ化条件下で第一級アミン4と2当量のラクトースを結合させ、粗残基4を提供するところを示す。この残基は、シリカゲルクロマトグラフィーで精製される。別法として、図1および図2に明示していないが、第一級アミン4は、ヨウ化メチルまたはヨウ化エチルなどのアルキルハロゲン化物とアルキル化させるか、または塩酸若しくは酢酸などの酸とプロトン化させることが可能であり、これによって本発明の第四級アンモニウム塩を得られる。本発明の化合物を生成するこのような方法により、本発明の一部の態様を示す。
【0028】
別の具体的な実施形態では、図3および図4に示すとおり、一般的な方法を用いて式Iの化合物を合成することが可能である。図3および図4は、本発明の1つの特定の実施形態を説明するための一例にすぎず、本明細書の請求項の範囲に限定するべきではない。当業者であれば、ここで示した反応スキームに対して行われる別の変形、代替、変更などが数多くあることがわかるであろう。図3に示すとおり、たとえば、結合試薬としてジシクロヘキシルカルボジミドを使用することによって、二糖類の酸6をトリアミンに結合させ、ラクトビオニックージアミン7を提供する。図4は、アミン塩基の存在下でクロロギ酸エステルでコール酸2を処理してコール酸の混合無水物の形成を示す。アシル化剤としてコール酸の混合無水物を用いてラクトビオニックージアミン7を脱アシル化させ、粗製物8を得る。その粗製物8を、ジクロロメタンで粉砕することによって精製する。本発明の化合物を生成するこのような方法により、本発明の一部の態様を示す。
【0029】
(III.送達促進化合物)
本発明は、ある目的の薬剤を製剤化する場合、その薬剤の細胞への送達促進ための送達促進化合物を提供する。一部の実施形態では、細胞が組織または器官中に存在する場合もある。本明細書では、送達促進化合物は、薬剤の細胞、組織または器官への送達促進化合物を指す。好ましい化合物を表1に示す。
【0030】
【化12】

表1には、コール酸置換基を含む化合物を示すが、当業者は、化合物の送達促進性質を損なわずに、コール酸を他のステロイド性置換基と置換することができることは容易にわかるであろう。本発明を実施するにあたって、送達が向上されるメカニズムを必ず理解する必要はないが、様々なメカニズムのいずれかによって送達が向上されることを記載する。このようなメカニズムの1つに、組織または器官の上皮表面にある保護的グリコサミノグリカン(GAG)層が、送達促進化合物によって失われることが挙げられる。特に好ましい化合物は、以下に示す式IIおよび式IIIの化合物である。
【0031】
【化13】

本発明の送達促進化合物および方法は、ある分子を細胞に送達する必要がある場合に多くの用途で有用である。たとえば、多くの病態を診断および/または治療するには、ある薬剤を疾病過程に関連のある細胞内へ侵入させる必要があることが多い。他の実施例では、組換えDNA技術を用いて、細胞培養物内または組換え生物内のいずれかにおいて、目的のタンパク質類を生成する。ある化合物を細胞内に導入することが望ましい状況の例がさらに数多くあることは、当業者には周知であろう。本発明の化合物および方法を用いれば、標的細胞または標的組織へ目的の薬剤を多く送達させることができるので、上記のような用途のそれぞれの有効性を改善することができる。
【0032】
送達促進化合物を含有しない製剤を投与した場合に細胞に送達される薬剤量と比較すると、送達促進化合物を含有する製剤では、薬剤を細胞に投与すると、細胞に送達される薬剤量が増加することになる。本明細書の「送達促進」とは、各細胞に侵入する薬剤の複個数が増加するか、または、たとえば薬剤を吸収する組織または器官内の細胞集団が増加するかのいずれか一方または両方であることを指す。ある薬剤を細胞または細胞集団に送達させる場合、好ましい実施形態では、送達促進化合物が少なくともおおよそ20%増加し、さらに好ましいのは、少なくともおおよそ50%増加し、特に好ましいのは、少なくともおおよそ100%増加することである。これは、送達促進化合物を含有せずに細胞に投与した場合の送達された薬剤量と比較したものである。
【0033】
治療薬または診断薬などの薬剤の細胞への送達の向上に、ある特定の化合物または製剤が有効であるかどうかを当業者に周知の様々な方法で、測定することが可能である。たとえば、ある検出試薬は、標的細胞に投与される送達向上製剤に含有させることが可能である。送達向上型製剤で処置した細胞内の検出試薬の量と、送達促進化合物を含まない製剤で処置した細胞内で検出された試薬とを比較する。一例として、目的の薬剤が遺伝子または遺伝子を含有するベクターであれば、製剤中にレポーター遺伝子を含有させることが可能であり、その発現を直ちに検出することができる。調製剤がポリペプチドである場合、一例として、送達促進製剤中に存在するポリペプチドにラベルを付け、製剤投与後標的細胞中に発見されるラベルの存在および数を検出することによって送達促進化合物の試験を行うことが可能である。同様に、ポリペプチド類およびポリヌクレオチド以外の分子を調製剤として使用する場合は、分子にラベルを付け、標的細胞集団に侵入するラベルの数を検出することができる。
【0034】
本発明の送達促進化合物に使用することのできる糖質は、単糖類であるか、または、ホモオリゴ糖若しくはヘテロオリゴ糖中で結合している2つ以上の単糖を含有しているものとすることができる。ペントースおよび/またはヘキソース残基などの単糖類が好ましい。たとえば、糖基はペントース単糖基、ヘキソース単糖基、ペントース−ペントース二糖基、ヘキソース−ヘキソース二糖基、ペントース−ヘキソース二糖基、およびヘキソース−ペントース二糖基の群から選ぶことができる。
【0035】
実施形態のなかには、送達促進化合物の式Iに3個以上の単糖類からなる糖残基としてRを含有するものもある。好ましいのは、糖類には1〜10個までの単糖を含有することであり、さらに好ましいのは、1〜4個の単糖類であり、もっとも好ましいのは、おおよそ2〜3個の単糖類であることである。たとえば、三糖を使用すると、溶解度の高い化合物を提供することが可能である.
ある用途では、他の化合物に比して、水溶性が高いおよび/または送達向上の活性が高い送達促進化合物を使用することが望ましい。このような化合物は、本発明によって提供される。たとえば、本発明は、式Iの化合物を提供するものであり、式中のRはカチオン基である。適切なカチオン基は、たとえばテトラメチル成分、アンモニウム成分、およびそれらの塩類を含む。このような化合物の実施例は、表1に示すとおりA−TMAおよびA−HCIである。その他の化合物は三糖以上であり、式Iの化合物中の糖基若しくは糖基類内にある水溶性および/または送達向上の活性が改善されている。
【0036】
一部の態様では、本発明は、細胞に送達される薬剤を含む製剤および送達促進化合物を提供する。製剤中の送達促進化合物の濃度は、使用される送達促進特定の化合物、緩衝液、pH、標的組織もしくは標的器官および投与量などの複数の因子に依存する。送達促進化合物の濃度は1%〜50%(v/v)の範囲内にあることが多く、好ましい範囲は10%〜40%(v/v)であり、特に好ましい範囲は15%〜30%(v/v)である。本発明の製剤中では、本発明の送達促進化合物は、おおよそ0.002〜2mg/mlの範囲内で使用することが好ましい。さらに好ましい範囲は、おおよそ0.02〜2mg/mlであり、特に好ましい範囲は、おおよそ0.1〜1mg/mlである。
【0037】
本発明の送達促進複数の化合物は、一般に、化合物を溶解することができる溶媒中で製剤化されるが、化合物の一部のみ可溶化された製剤でも適用することができる。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)は、このような化合物に対する適切な可溶化剤の一例であり、またその他の例は、当業者に周知である。様々な医薬製剤用に対してこのような薬剤の溶解性を得るためには、さらに特定の賦形剤および添加剤が望ましいであろうということは、当業者はわかるであろう。たとえば、公知の洗浄剤、脂肪酸エステル、界面活性剤などの可溶化剤は、適切な濃度で添加することが可能であり、使用している様々な溶媒中の化合物の可溶化を促進することが可能である。製剤が洗浄剤を含む場合、患者に投与される最終製剤の洗浄剤濃度は、臨界ミセル濃度(CMC)のおおよそ0.5〜2倍であることが好ましい。適切な洗浄剤としては、既に示したものが挙げられる。
【0038】
(IV.調整剤)
本発明の送達促進化合物は、タンパク質、抗体核酸、アンチセンスRNA、低分子などの調整剤を細胞へ送達するのを向上させるために有用である。たとえば、送達促進化合物は、薬剤を細胞へ送達するために有用であり、その細胞は、上皮膜を有する組織または器官など、あらゆる組織または器官の一部である。
【0039】
送達促進化合物(たとえば、浸透を向上させる化合物)を用いる送達に適している薬剤のなかには、本明細書生物学的プロセスを調節することのできる薬剤を指す「調整剤」であるものがある。このようなプロセスに示されているように、たとえば、細胞成長、細胞分化、細胞増殖(癌などの新生物疾患を含む)、細胞調節、代謝経路または生合成経路、遺伝子発現などがある。調整剤は、免疫応答(自己免疫疾患など)、細菌性病原体および真菌性病原体による感染のほか、調整剤を導入することによって調整することができるその他のあらゆる生物学的プロセスなどにも影響を与えることが可能である。
【0040】
治療薬は、調整剤の一例であり、送達促進薬剤を用いて送達することが可能である。このような薬剤は、疾病を引き起こす細胞過程を調整するのに有用である。本明細書では用語「治療薬」には、以下に限定されるものではないが、治療用タンパク質、抗体、治療用遺伝子、ベクター(プラスミドベクターまたはウイルスベクター)などがあり、治療用遺伝子、アンチセンス核酸またはその他の治療用核酸配列を含有する(三重鎖核酸など)。本発明では、用語「治療用遺伝子」を細胞内に導入され治療効果を達成する核酸配列を指すものとする。このような治療用遺伝子の例としては、以下に限定されるものではないが、腫瘍抑制遺伝子、自殺遺伝子、アンチセンス核酸分子、三重鎖形成核酸分子、サイトカインをコードする遺伝子、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−δ、その他のインターフェロンなどI型インターフェロンおよびII型インターフェロンをコードする遺伝子、インターロイキン(たとえば、IL−1、IL−2、IL−4、Il−6、IL−7およびIL−10)をコードする遺伝子のほか、GM−CSFなどのコロニー刺激因子がある。治療用遺伝子は、天然または遺伝子組換えのウイルス内に存在することもある。上記遺伝子のほか、これら遺伝子の治療用タンパク質、すなわち該遺伝子によってコードするタンパク質およびまたはポリペプチド類も本発明の範囲内である。このような治療用タンパク質の例には、以下に限定されるものではないが、サイトカイン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−δ、インターフェロン−γ、インターロイキン(たとえば、IL−1、IL−2、IL−4、Il−6、IL−7およびIL−10)などのI型およびII型インターフェロンのほか、GM−CSFなどのコロニー刺激因子がある。このほかの例では、上記タンパク質の抗体などの抗体が、本発明の調整剤となる。以下に限定されるものではないが、抗インターフェロン−α、抗インターフェロン−β、抗インターフェロン−δ、抗インターフェロン−γなどのI型およびII型インターフェロンに対する抗体のほか、抗−インターロイキン(たとえば、抗IL−1、抗IL−2、抗IL−4、抗Il−6、抗IL−7および抗IL−10)がある。
【0041】
一部の実施形態では、インターフェロンポリペプチドまたは抗体は、I型またはII型インターフェロンであり、これらは一般にアルファ−インターフェロン、ベータ−インターフェロン、ガンマ−インターフェロンならびにオメガ−インターフェロン(α−インターフェロン、β−インターフェロン、γ−インターフェロンならびにω−インターフェロンなど)およびその組み合わせとして指定され、アルファ−インターフェロンのコンセンサス配列を含有する。実施形態のなかには、アルファ−インターフェロンが、アルファ1またはアルファ2インターフェロンであるものがある。実施形態のなかには、タンパク質がインターフェロンα−2βまたは抗インターフェロンα−2bであるものがある。その他のインターフェロンには、インターフェロンα−2β、融合インターフェロンα−/2α−1、インターフェロンα−2e、ヒトα1またはヒトα2インターフェロンなどがある。
【0042】
実施形態のなかには、インターフェロンがハイブリッドインターフェロンであるものがある。インターフェロンの異なるサブタイプ配列の組み合わせを含むハイブリッドアルファ−インターフェロン遺伝子の構造(たとえば、αとΔ、αとβおよびαとF)は、米国特許第4,414,150号、米国特許第4,456,748号、および米国特許第4,678,751号に開示されている。米国特許第4,695,623号、米国特許第4,897,471号および米国特許第5,831,062号には、新規なヒト白血球インターフェロンポリペプチド類が開示されており、コンセンサスヒト白血球インターフェロンと呼ばれている。このポリペプチド類には、天然アルファインターフェロンのサブタイプであるポリペプチド類の各位置に見られる共通または優性のアミノ酸を含むアミノ酸配列がある。本発明の一実施形態では、ハイブリッドインターフェロンは、インターフェロンα2α1である。
【0043】
一実施形態では、インターフェロンは、インターフェロン−アルファである。組換えインターフェロンαは、たとえば、クローン化させて、大腸菌内に発現させたものがある(たとえば、Weissmann et al.,Science、209:1343−1349(1980);Sreuli et al.,Science、209:1343−1347(1980);Goeddel et al.,Nature、290:20−26(1981);Henco et al.,J.Mol.Biol、185:227−260(1985))。インターフェロンがヒトインターフェロンアルファである実施形態もある。インターフェロンアルファが、インターフェロンアルファ2aまたはインターフェロンアルファ2bである実施形態もある。
【0044】
本明細書では、用語「インターフェロン」は、インターフェロンのクラスおよびサブクラスをすべて、欠失、挿入、または置換による変異のほか、タンパク質類、ポリペプチド類および抗体類なども含むものとする。一実施形態では、インターフェロン遺伝子/タンパク質は、インターフェロン−α遺伝子/タンパク質である。組換えインターフェロンαは、たとえば、クローン化されており、いくつかの基によって大腸菌内に発現している(たとえば、Weissmann et al.,Science、209:1343−1349(1980);Sreuli et al.Science、209:1343−1347(1980);Goeddel et al.,Nature、290:20−26(1981);Henco et al.,J.Mol.Biol、185:227−260(1985))。ある実施形態のなかには、系のインターフェロン遺伝子がヒトヌクレオチドまたはポリペプチド配列に由来するものがある。ヒトインターフェロンアルファは、たとえば、少なくとも24亜種を含むタンパク質ファミリーである(Zoon、K.C.,Interferon、9:1(1987)、Gresser、I.,ed.,Academic Press、NY)。インターフェロンアルファは、本来、細胞内の抗ウイルス状態を誘発することができる薬剤として説明されてきたが、現在では、多面発現性のあるリンフォカインとして知られており、多くの免疫系の機能に影響を及ぼす(Openakker et al.,Experimentia、45:513)1989))。ある実施形態では、インターフェロンアルファが、インターフェロンアルファ2aまたはインターフェロンアルファ2b(たとえば、国際公開公報91/18927号参照)である場合もあるが、いずれのインターフェロンアルファを使用してもよい。
【0045】
インターフェロンIFN−α(アルファインターフェロンまたはインターフェロンアルファなど)遺伝子、タンパク質または抗体などの薬剤組成物には、治療効果のある適応症が数多くあり、その適応症とは、ヘアリーセル白血病、カポジ肉腫、腎細胞癌、非ホジキンリンパ腫、T細胞白血病、多発性および慢性骨髄性白血病、悪性黒色腫、膀胱細胞癌、大腸癌(5−FUを用いる)、尖圭コンジローム、ライノウイルス、およびB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、非A非Bウイルス(NANB)肝炎、または肝炎δウイルス(HDV)感染などの結果生じる様々な慢性ウイルス性肝炎(Pestka、AIDA Research & Human Retroviruses、8(5):776−786(1992))などである。IFN−αはまた、骨髄増殖症候群を伴う患者の巨核球形成および血小板増多症のコントロールに対して有効性が高いことがわかった(Talpaz et al.,Annals Int.Med.,99:789−792(1983);Gisslinger et al.,、Lancet、i:634−637(1989);Ganser et al.,Blood、70:1173−1179(1987))。
【0046】
実施形態のなかには、本発明の組成物が、送達促進化合物を含む緩衝液中に含まれる「治療効果のある」量の治療薬を含むものもある。本明細書では「治療効果のある」とは、病状に伴う症状の予防、軽減、治癒を指す。
【0047】
送達促進薬剤およびこのような薬剤を含有する製剤を使用すると、目的の遺伝子、タンパク質または抗体を器官および組織の特定の細胞内にある細胞へ送達させることを促進することも可能である。このような遺伝子は、たとえば、商用目的であるタンパク質をコードすることが可能である。一例として、薬剤および製剤を使用し、哺乳類から産出された乳汁中に分泌される栄養上重要なタンパク質をコードする遺伝子を哺乳類の乳房組織に送達することが可能である。このような薬剤および製剤のこのほかの使用法は、当業者には明らかである。
【0048】
送達促進薬剤およびこのような薬剤を含有する製剤は、また、診断薬を細胞、器官および組織へ送達するのに有用である。診断薬の例には、細胞内に発現すると容易に検出することができるタンパク質をコードする標識遺伝子(β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼなどがあるが、これに限定されるものではない)および標識核酸プローブ(放射性標識プローブなど)がある。
【0049】
(V.遺伝子送達用ベクター)
細胞へ送達させる薬剤が遺伝子である場合、遺伝子をベクター内へ組み入れることが可能である。このような目的で使用するベクターの例には、標的細胞内の目的遺伝子の発現を指示することができる発現プラスミドがある。このほかの例には、ベクターがウイルスベクター系であるものがあり、その系では、標的細胞を形質移入できるウイルスゲノム内に目的遺伝子を取り込ませる。標的細胞内で発現するように目的遺伝子を設計する場合、所望の標的宿主細胞内において遺伝子の発現を導くことができる発現遺伝子配列および制御配列に遺伝子を結合させることが可能である。このため、標的細胞内に適切な状態で遺伝子を発現させることができる。
【0050】
本願発明を実施するのに有用なウイルスベクター系には、たとえば、天然ウイルスベクター系または組換えウイルスベクター系などがある。特定の用途によって、適切なウイルスベクターには、複製型ウイルスベクター、複製欠損型ウイルスベクター、および条件的に複製するウイルスベクターなどがある。たとえば、ウイルスベクターは、ゲノム由来とすればよく、そのゲノムには、ヒトアデノウイルスまたはウシアデノウイルス、ワクチニアウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス、マウス微小ウイルス(MVM)、HIV、シンドビスウイルスのほかレトロウイルス(ラウス肉腫ウイルスを含むが限定するものではない)、およびMoMLV(モロニーマウス白血病ウイルス)がある。一般に、目的の遺伝子をこのようなベクターに挿入し、遺伝子構成を通常ウイルスDNAとともにまとめ、感受性の高い宿主細胞に感染させ、目的遺伝子を発現させる。組換えウイルスベクターは、タンパク質IX遺伝子が欠失しているアデノウイルスベクター送達系が好ましい(国際公開公報95/11984号を参照。この公報を、すべての目的に対して完全に参照することよって本明細書に援用する)。
【0051】
本明細書では、「組換え」は核酸およびタンパク質によってエンコード化された核酸およびタンパク質を指し、ここで、核酸は、組換えDNA技術法によって構築される。また、「遺伝子工学」ともいう。
【0052】
p53遺伝子または網膜芽細胞腫腫瘍抑制遺伝子などの調節遺伝子を含む薬剤組成物を、薬剤組成物の治療的に有効な量の送達促進薬剤を含有する緩衝液中で製剤化された組換えウイルスベクターの送達系に含ませ、本発明の教示に従って投与することができる。たとえば、製剤化された組換えアデノウイルスベクターの送達系中に含まれる治療用遺伝子の治療的有効量の範囲は、おおよそ1×10〜1×1012粒子/mlであり、さらに一般的な範囲はおおよそ1×10〜5×1011粒子/mlであり、最も一般的な範囲は1×10〜1×1011粒子/ml(PN/ml)である。
【0053】
(VI.遺伝子送達系)
本明細書では、「遺伝子送達系」は、ある細胞に薬剤を送達するためのあらゆる方法を指す。本薬剤は、遺伝子送達系に組み込んだ後、送達促進化合物を含有する製剤を用いて細胞へ送達させる。
【0054】
本発明の実施形態のなかには、取り込まれやすいように(被覆ピットの陥入およびエンドソーム内部への取込みなど)、遺伝子構成またはその他の薬剤を、DNA結合部(Wu et al.,J.Biol.Chem.263:14621−14624(1988);国際公開公報92/06180号)など適切な結合部を介して細胞受容体リガンドに抱合させたものもある。たとえば、遺伝子の構成は、ポリリジン成分を介して肝細胞のアシアロ糖タンパク質受容体のリガンドであるアシアロ−oromucocidに結合させることが可能である。
【0055】
同様に、遺伝子構成を含むために使用するウイルスエンベロープは、 受容体に対して特異的な受容体リガンドまたは抗体を添加することによって修飾することが可能であり、受容体をエンドサイトーシスを介して特異的細胞内に取込ませることができる(国際公開公報93/20221号、国際公開公報93/14188号、国際公開公報94/06923号などを参照)。本発明の実施形態のなかには、本発明のDNA構成をアデノウイルス粒子などのウイルスタンパク質に結合させて、エンドサイトーシスが促進される(Curiel et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 88:8850−8854(1991))ようにしたものもある。他の実施形態では、本願発明の分子抱合体に、微小管阻害剤(国際公開公報/9406922号)、インフルエンザウイルスの赤血球凝集素を模倣する合成ペプチド(Plank et al.,J.Biol.Chem.269:12918−12924(1994))、およびSV40T抗原などの核移行シグナル(国際公開公報93/19768号)などがある。
【0056】
本発明の実施形態のなかには、調製剤がアンチセンス核酸であるものもある。アンチセンス核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして提供されることが可能である(たとえば、Murayama et al.,Antisense Nucleic Acid Drug Dev.7:109−114(1997)を参照)。アンチセンス核酸をコードする遺伝子も提供することが可能であり、このような遺伝子は、送達促進化合物を用いて製剤化することが可能であり、また、当業者に周知の方法で細胞内に導入することが可能である。たとえば、ウイルスベクター内にあるアンチセンス核酸をコードする遺伝子を導入することができるそのウイルスは、たとえば、B型肝炎ウイルス(Ji et al.,J.Viral Hepat.4:167−173 (1997)などを参照)、アデノ随伴ウイルス(Xiao et al.,Brain Res.756:76−83(1997)などを参照)がある。また、その他の系には、HVJリポソーム法による遺伝子送達系(Kaneda et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.811−200−308(1997)などを参照);「ペプチドベクター」(Vidal et al.,CR Acad.Sci III 32:279−287(1997)などを参照);エピソームベクターまたはプラスミドベクター内の遺伝子など(Cooper et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94:6450−6455(1997)、Yew et al.,Hum Gene Ther.8:575−584(1997)などを参照); ペプチドDNA凝集体内の遺伝子など(たとえば、Niidome et al.,J.Biol.Chem.272:15307−15312(1997)を参照);脂質ベクターシステム(Lee et al.,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.14:173−206(1997)を参照)内の「naked DNA」など(たとえば、米国特許第5,580,859号および米国特許第5,589,466号参照)、高分子を被膜したリポソーム(1993年5月25日にMarinらによって出願された米国特許第5,213,804号;1991年5月7日にWoodleらによって出願された米国特許第5,013,556号);カチオン性リポソーム(1994年2月1日にEpandらによって出願された米国特許第5,283,185号;1996年11月26日にJessee、J.Aによって出願された米国特許第5,578,475号;1994年1月18日にRoseらによって出願された米国特許第5,279,833号、1994年8月2日にGebeyehuらによって出願された米国特許第5,334,761号;)、ガス封入微粒子、(1996年8月6日にUngerらによって出願された米国特許第5,542,935号)、リガンドを対象とした封入巨大分子(1992年4月28日発行のLowらによる米国特許第5,108,921号、1996年5月18日に発行のCurielらによる米国特許第5,521,291号;1996年9月10日発行のGromanらによる米国特許第5,554,386号、1992年11月24日に発行のWuらによる米国特許第5,166,320号)などがあるが、これに限定されるものではない。
【0057】
(VII.タンパク質送達系)
本明細書では、「タンパク質送達系」は、ある細胞に薬剤を送達するあらゆる方法を指す。薬剤は、送達促進化合物を含有する製剤を用いて細胞へ送達させるタンパク質送達系に使用することが可能である。タンパク質および送達促進化合物の送達は、同時にすることもできるし、最初にタンパク質を投与してから送達促進薬剤を投与したり、最初に送達促進薬剤を送達してからタンパク質を送達したりするなど組み合わせることもできる。
【0058】
様々な系があり、たとえば、リポソーム送達系、直接注入または接触、高分子被膜されたリポソーム、カチオン性リポソーム、ガス封入微粒子、リガンドを対象とした封入巨大分子、パッチ、およびその他の従来のタンパク質送達のプラットフォームなどがある。
【0059】
(VIII.医薬製剤)
医薬目的で使用する場合、本発明の製剤には送達促進化合物を含有する緩衝液が含まれる。本緩衝液は、医薬的に受容可能であれば、リン酸緩衝生理食塩水またはリン酸ナトリウム/硫酸ナトリウム、トリス緩衝液、グリシン緩衝液、グリシン緩衝液、滅菌水など、いずれの緩衝液でも構わない。これ以外の緩衝液は、GoodらによってBiochemistry5:467(1966)に記載されている緩衝液などがあり、当業者には周知である。アデノウイルスベクターの送達系にある調節遺伝子からなる薬剤組成物中の本緩衝液のpHは、たとえば、一般的な範囲は6.4〜8.4であり、好ましい範囲は7〜7.5であり、特に好ましい範囲は7.2 〜7.4である。
【0060】
本発明の組成物は、さらに安定剤、展色剤のほか医薬的に受容可能な担体または媒体を含有することができる。医薬的に受容可能な担体は、生理学的に受容可能な化合物を含むことができ、その化合物は、たとえば、腫瘍抑制遺伝子からなる組換えアデノウイルスベクター送達系を安定化させるために作用する。生理学的に受容可能な化合物には、たとえば、グルコース、スクロースまたはデキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸またはグルタチオンなどの酸化防止剤、キレート剤、低分子量のタンパク質またはその他の安定剤、賦形剤などがある。このほか、生理学的に受容可能な化合物には、湿潤剤、乳化剤、分散剤または防腐剤などがあり、これらは、微生物の成長または作用を阻止するのに特に有用である。各種防腐剤は、たとえば、フェノールおよびアスコルビン酸などがよく知られている。医薬的に受容可能な担体は、投与ルートおよび本明細書に記載の組換えアデノウイルスベクター送達系および特定の腫瘍抑制遺伝子の特定の生理化学的性質に依存して選択することは、当業者には周知である。担体、安定剤または補助の例は、Martin、Remington’s Pharm.Sci.,15th Ed.(Mack Publ.Co.,Easton、PA 1975)に記載されており、参照によって援用される。
【0061】
(IX.製剤の投与)
実施形態のなかには、送達促進化合物が調製剤を製剤化するときの緩衝液中に含まれるものもある。送達促進化合物は、調製剤の前または調製剤とともに投与することが可能である。実施形態のなかには、送達促進化合物に、患者へ投与する直前に送達促進化合物の製剤と混合することによって調節した調製剤を備えるものもある。別の実施形態では、送達促進化合物および調製剤をバイアルに入れ、投与の担当者に提供する。
【0062】
薬剤組成物が、送達促進薬剤も含有する組換えアデノウイルスベクター送達系に含有される腫瘍抑制遺伝子を含む場合、緩衝液中で製剤化された約5分〜3時間の範囲内で、薬剤組成物を投与することが可能である。好ましいのは、おおよそ10〜120分であり、特に好ましいのは、おおよそ15〜90分である。別の実施形態では、腫瘍抑制遺伝子を含む組換えアデノウイルスベクター送達系を投与する前に、送達促進薬剤を投与してもよい。腫瘍抑制を含む組換えアデノウイルスベクター送達系を投与する前に、送達促進薬剤を投与する場合には、おおよそ30秒〜1時間の範囲であればよい。好ましいのはおおよそ1〜10分であり、特に好ましいのは、おおよそ1〜5分である。
【0063】
調製剤を送達促進薬剤を含む緩衝液中で製剤化した場合、その調製剤は、たとえば、腫瘍内投与または膀胱内投与など当業者に周知のあらゆる送達方法を用いて、癌組織などの新生物組織を含むあらゆる組織または器官へ送達することができる。組織および器官には、あらゆる組織または器官があり、胃腸管、膀胱、気道、肺などの上皮膜がある。以下に限定されるものではないが、膀胱癌および上部気道癌、外陰部癌、頚部癌、膣癌または気管支癌などがあり、局所の転移性腹膜腫瘍、細気管支肺胞上皮癌、転移性胸膜癌;口腔癌および扁桃癌、上咽頭腫瘍、鼻腫瘍、喉頭腫瘍、食道腫瘍、胃腫瘍、大腸および直腸腫瘍、胆嚢腫瘍または皮膚若しくは黒色腫などがある。
【0064】
本発明の実施形態のなかには、治療薬が、特に粘膜用のゲル製剤および局所ゲル製剤など、粘膜剤、局所製剤および/またはバッカル剤に製剤化されるものもある。典型的な浸透向上組成物には、ポリマーマトリクス、経皮的送達用の粘膜付着性のゲル調製などがあり、米国特許第5,346,701号に開示されている。このような製剤は、特に癌の治療に有用である。対象となる癌は、口腔癌、頭部癌、頸部癌(気管気管支の上皮癌など)皮膚癌(黒色腫、基底細胞腫、扁平上皮癌など)、腸粘膜および膣粘膜の癌、子宮頸癌などである。
【0065】
本発明の実施形態のなかには、眼に投与するための眼科用剤に製剤化される治療薬もある。このような製剤は、任意のp53遺伝子の送達とともに、網膜芽細胞腫(RB)遺伝子を眼へ送達する場合に有用である。
【0066】
(X.処理方法)
本発明の製剤は、一般に、細胞への薬剤送達促進のために投与する。細胞は、上皮膜または組織培養内などの分離細胞の組織の一部として提供することが可能である。細胞は、インビボ、エクスビボまたはインビトロで得ることが可能である。
【0067】
送達促進化合物および調製剤を含有する製剤は、インビボまたはエクスビボなど様々な方法によって、目的組織内へ導入することができる。本発明の実施形態のなかには、微量注入法、リン酸カルシウム沈殿法、リポソーム融合法、または微粒子銃などの方法によって、調製剤を細胞へ導入するものもある。さらに別の実施形態では、治療薬は、目的の組織によって直接吸収される.
本発明の実施形態のなかには、本発明の組成物をエクスビボにて患者から外植された細胞または器官へ投与し、その後患者へ戻すものもある。治療用遺伝子の構成をエクスビボにて投与する例は、Arteaga et al.,Cancer Researtch 56(5);1098−1103(1996);Nolta et al.,Proc Natl.Acad.Sci.USA 93(6): 2414−9(1996);Koc et al.,Seminars in Oncology 23(1):46−65(1996);Raper et al.,Annals of Surgery 223(2):116−26(1996);Dalesandro et al.,J.Thorac Cardi.Surg.,11(2):416−22(1996);およびMakarov et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93(1):402−6(1996)などに記載されている。一実施形態では、本発明がタンパク質、抗体などの調整剤をSYN−3と組み合わせて投与することによって、膀胱癌を治療する方法を提供する。
【実施例】
【0068】
下記の実施例は、説明を目的としたのもであって、本発明の範囲を限定するものではない。下記の実施例では、「g」はグラムを意味し、「ml」はミリリットル、「mol」はモル、「C」は 摂氏温度、「min.」は分、「DMF」はジメチルホルムアミドを意味する。ほかに規定がない限り、温度はすべて摂氏温度である。
【0069】
(実施例1:化合物A−DLの合成(図1および図2参照))
下記は、A−DLとしても知られている化合物5を合成する場合に利用する方法体系に関するものであり、下記に化合物1および3〜5の合成の詳細および精製に用いる工程を示す。
【0070】
(A.使用する材料および試薬)
t−ブチルオキシカルボニル無水物
N−(3−アミノプロピル)−1,3−ジアミンプロパン
コール酸
クロロギ酸イソブチル
トリエチルアミン
シアノボロ水素化ナトリウム
ラクトース
5%塩酸
酢酸
(B.実験手順)
化合物1;N−(3−アミノプロピル)−1,3−ジアミンプロパン(50−mmol)のCHCl(150mL)溶液を十分に撹拌しながら、その中にt−ブチルオキシカルボニル無水物(10.0mmol)のCHCl(50mL)溶液を5℃で20分かけて滴下した。この混合物を2時間撹拌し、その後溶媒を除去し、その残留物を再びHO(200mL)中に溶解させた。この水溶液をその後、CHCl(8*50mL)で抽出した。MeCN:AcOH:HO(4:1:1)を用いてRF値0.35の該生成物と共に薄層クロマトグラフィー(TLC)にかけ、検出するためにリンモリブデン酸を用いた。無極性不純物を含有する初期の抽出液は廃棄した。所望の有機抽出液を貯留し、NaSO4で乾燥させた上で濃縮することによって所望のN−BOCアミン1(BOCOに対して5.53mmol、55%)得た。
【0071】
化合物3:DMF(80mL)に溶かしたコール酸2(8.94mmol)を5℃で10分間、クロロギ酸イソブチル(9.25mmol)とトリエチルアミン(14.3mmol)とで処理した。その後、化合物1(3.57mmol)を添加して、混合物を72時間、常温で撹拌させた。RF値が0.35である所望の生成物と共にCHCl:MeOH(3:1)を用いて、TLCでその反応を監視した。本溶媒を蒸発させ、その後シリカカラム上において精製し(シリカ100g、CHCl:MeOH(5:1)で)化合物2(1.90mmol、53%)を得た。
【0072】
化合物4:化合物3(1.90mmol)をMeOH(50mL)に溶かしたHCIの5%溶液中に溶解させ、常温で15時間撹拌させた。RF値0.5の所望の生成物を用いて、その反応をTLC(CHCl:MeOH(3:1))で監視した。この溶媒をトルエンとともに同時蒸発させ、MeOH中に再び溶解した。溶液を塩基性樹脂(IRA−400、OH)で処理し、CHCl:MeOH:Et3N;H20(60:30:5:5)を用いてシリカゲル上で精製し、化合物3(0.72mmol、38%)を得た。
【0073】
化合物5(A−DL):化合物4(2.48mmol)をMeOH(200mL)に溶解させ、酢酸(4mL)およびラクトース(6.0mmol)を添加した(図2参照)。この溶液を加熱し、還流させ、続いてシアノボロ水素化ナトリウム(6.0mmol)を添加した。3時間後、さらにシアノボロ水素化ナトリウム(6.0mmol)を添加し、さらに12時間還流させてその反応物を撹拌した。4:1:1のAcCN;AcOH:H20の溶媒系を用いてTLCでこの反応を監視した。RF値の低い2種の新規主要化合物が観察され(約0.1および0.05)、その後化合物4およびラクトースを得た。この2種がA−RLBおよびA−DL(RF値の低いA−DLを伴う)に相当する。溶媒を蒸発させ、その残留物をI:1のMeOH:HOの溶液で溶解させ、逆相シリカゲルカラム上で精製した。徐々にメタノールの割合を増加させることによって、未反応の化合物3およびラクトースが得られ、その後A−DLおよびA−RLBが溶離した。A−DLおよびA−RLBを含有するフラクションを貯留し、濃縮した。CHCl;MeOH;HO;Et3N(60:30:3:5)を溶媒として用いて、その残留物をシリカゲルカラム上(シリカ150g)で精製した。所望の化合物5(A−DL、0.61mmol25%)と共に、A−RLB0.26mmolを回収した。
【0074】
(実施例2:化合物A−LB(Syn3)の合成(図3および図4を参照))
下記は、化合物8の合成に活用する方法体系に関するものであり、A−LBとしても知られている。下記に、化合物5〜6の合成の詳細および精製に必要な工程を記載する。
【0075】
(A.使用する材料および試薬)
N−(3−アミノプロピル)−1,3−ジアミノプロパン
コール酸
ジシクロヘキシルカルボジミド
クロロギ酸イソブチル
トリエチルアミン
ラクトビオン酸
(B.実験)
化合物7:ラクトビオン酸6のメタノール(60mL)溶液(716mg、2mmol)を加熱し、還流した。本溶液に、DCC(500mg、2.5mmol)を添加し、生成された溶液を還流時に撹拌した。2時間後、N−(3−アミノプロピル)−1,3−ジアミンプロパン(800mL、5.7mmol)を添加し、生成された溶液をさらに1時間撹拌した。反応溶液を常温まで低下させ、濃縮し、粗製物7を得た。粗製アミド7をジクロロメタンと粉砕させ精製し、7(2.72g、5.7mmol)を粘着性のある吸湿性固体として得た。
【0076】
化合物8:DMF(60mL)中のコール酸2(4.1g、10mmol)の溶液を0℃まで冷却した。この溶液にクロロギ酸イソブチル(1.2mL、10.2mmol)とトリエチルアミン(1.4mL、10.4mmol)を添加し、生成された溶液を10分間撹拌後、DMF(40mL)中に5(2.5g、5.3mmol)を添加した。反応溶液を72時間撹拌後、濃縮し、粗製物8を得た。粗製物をカラムクロマトグラフィーで精製し、純物質8(A−LB)を得た。
【0077】
(実施例3:SYN3製剤内の膀胱内投与後、IFNタンパク質の膀胱内への取込み)
本例では、SYN3を製剤で投与した場合、SYN3はインターフェロンタンパク質の組織レベルが上昇することによってインターフェロンタンパク質の吸収を向上させることを示す。
【0078】
方法。ハイブリッドIFNタンパク質およびIFNα2bタンパク質(イントロンA)を用いた。比較するために、時刻t=0の時点でのハイブリッドタンパク質も用いた。イソフルランを用いて非近交系HSDラットに麻酔をかけた。処理前の尿を採取した。膀胱には、カテーテルおよび潤滑剤を用いて、経尿道的にカテーテルを埋め込んだ。被験物質を膀胱に投与し、カテーテルを埋め込んだまま尿道を2.0Gで縫合した。45分後(0時間)、被験物質を除去し、被験動物をホームゲージに戻した。屠殺直前にラットから尿サンプルを採取した。膀胱は、尿採集後、その日のうちにラットから収集した。その組織を凍結し、IFN応答性遺伝子のアップレギュレーションを測定した。
【0079】
【化14】

(材料)
Harlan Sprague−Dawley雌ラット38匹
IACB:トリス−グリセロール製剤 7.57×1011P/ml
IHCB:vPBS製剤 1.10×1012P/ml
SYN3:6×原液(6mg/ml)
イントロンA:使用した参照バイアル:1mlの滅菌したnanopure中でdH2o(10MIU/ml)で中和させた。950μlのイントロンAを3,008μlのPBS(2.4MIU/ml)で希釈した。
希釈させたイントロンA625μlをPBSまたはSYN3(6mg/ml)のいずれか125μlに添加した。
IFNα2α1タンパク質:105μg/ml=105×10pg/ml
1.34×10IU/ml
1.28×10IU/mg。
【0080】
IACBは、インターフェロンα2b用の組換えアデノウイルスベクターであり、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータおよびE1領域欠損がある。IHCBは、ハイブリッドインターフェロンα2α1用の組換えアデノウイルスベクターであり、CMVプロモータおよびE1領域の欠損を含む。
【0081】
(被験物質の調製)
最終濃度2.4 MIU/mのIFNα2bを調製する(注射用滅菌水1ml中、1個の参照用バイアルを溶解する)
イントロンA濃縮 950μl
PBS 3,008μl
IFNα2bをPBS中で調整する:
イントロンA @2.4 MIU/ml 625μl
PBS 125μl
SYN3中のIFNα2bを調製する:
イントロンA @2.4 MIU/ml 625 μl
SYN3 125μl
SYN3中のrAd−IFNα2b (IACB)を調製する:
IACB 66μl
SYN3 250μl
トリス−グリセロール緩衝液1184μl
IFNα2α1タンパク質(2.2ml)の濃度を調製する:
IFNα2α1タンパク質 243μl
PBS 1957μl
IFNα2α1/PBS:
IFNα2α1タンパク質 625μl
PBS 125μl
IFNα2α1/SYN3:
IFNα2α1タンパク質 625μl
SYN3 125μl
【0082】
【化15】

(賦形剤の最終濃度)
SYN3:(120mg/20ml)/6=1mg/ml
クエン酸水和物:(1.6mg/20ml)/6=0.01333mg/ml
クエン酸二水和物:(5.1mg/20ml)/6=0.0425mg/ml
ヒドロキシ−シクロデキストリン:(1000mg/20ml)6=8.33mg/ml
ポリソルベート80(Tween−80):(60mg/20ml)/6=0.5mg/ml。
【0083】
組織ホモジネート内に存在するIFNα2bの量は、ELISAアッセイ(PBL)によって決定した。Bradfordタンパク質アッセイによってタンパク質の濃度を測定した。組織内のIFNレベルは、pg IFN/mg組織と表した。図5に示すとおり、SYN3製剤中のIFNα2bが送達されると、検出できるIFNα2bのタンパク質の量が、治療後最長24時間までに約15倍増加することになる。図6は、特定の時点を示す。さらに、ハイブリッドIFNタンパク質(IFNα2α1)の送達も、SYN3製剤中での送達によって向上された。IFNα2bタンパク質とおおよそ同じレベルの組織濃度で検出された。
【0084】
(実施例4:SYN3(図4化合物8)製剤中のIFNタンパク質を投与後の膀胱の尿路上皮におけるインターフェロンの生物学的効果を分析)
本例では、IFNの組織濃度が上昇することによって、生物応答が測定可能になる場合を検討した。生物活性を評価するために、RT−PCRによって、IFNタンパク質(イントロンAおよび「一般的な」インターフェロン(IFNA/D;IFNα2α1)のいずれも)を用いて処理した後のラットの膀胱ホモジネート内のIFN応答性遺伝子の発現を監視した。測定を行ったラット遺伝子は下記の通りである。2’,5’−オリゴアデニル酸合成酵素(2’,5’−OAS)、インターフェロン−によるp78タンパク質(MxAMX1)(MX1)をエンコード化した遺伝子、インターフェロン制御因子1(IRF−1)およびインターフェロンγIFNγ(IFNγは通常、IFN応答性遺伝子とはみなされないが、BCGなどの病原体に曝露後発現することがあり、また組換えアデノウイルスによって生じることもある)。その方法は、主に上記実施例3に記載した。1時間後、被験物質を取り除き、被験動物をホームケージに戻した。ラットは、指示された時間に(0時間=処理直後)屠殺し、そのサンプルを液体N2で瞬間冷凍し、FT−PCR法に用いるために提出した。
【0085】
【化16】

【0086】
【化17】

(必要材料)
Harlan Sprague−Dawley雌ラット38匹;プロトコール04−634から転用
LACB:トリス−グリセロール製剤 7.57x1011P/ml
IHCB:vPBS製剤 1.10x1012P/ml
SYN3:6x原液(6mg/ml)
D−PBS
トリス−グリセロール緩衝液:
無菌WFI
IFNα2α1タンパク質:105μg/ml=105x10pg/ml
1.34x10IU/ml
1.28x10IU/mg
(被験物質の調製)
((1)IFNα2b/PBS:5ml@2 MIU/ml最終濃度)
・注射用滅菌水1ml中に1個の参照バイアル(10 MIU/vial)を中和させる
イントロンA濃度 1,000μl
PBS 4,000μl
((2)IFNα2b/SYN3:10 ml@2MIV/ml最終濃度)
・注射用滅菌水2mlで2個の参照バイアルを中和させる
イントロンA濃度 2,000μl
PBS 6,334μl
SYN3 1,666μl
(IACB/SYN3:4.5ml@1.0x1011P/ml SYN3)
IACB 660μl
SYN3 750μl
トリス−グリセロール緩衝液 3,090μl
(IFNα2α/PBS:4ml@1MIU/ml最終濃度)
IFNα2α1タンパク質 298μl
PBS 3,702μl
(IFNα2α1/SYN3:6ml@1MIU/ml最終濃度)
IFNα2α1タンパク質 444μl
PBS 4,556μl
SYN3 1,000μl
(IHCB/SYN3 4.0ml@1.0x1011 P/ml SYN3)
IHCB 364μl
SYN3 667μ
トリス−グリセロール緩衝液 2,969μl。
【0087】
被験動物を屠殺し、RT−PCR法用に液体窒素を用いて膀胱を採集した。主要解析は、上記遺伝子のmRNAレベルと、イントロンA/PBSを送達後観察されるレベルとを比較するために行った。遺伝子活性化のレベルをイントロンA/PBSグループ(1.0)に合わせて標準化した。
【0088】
この結果から、SYN3を添加すると、PBS製剤中のタンパク質が同量送達された場合と比較して、周知である下流でのIFN−活性化遺伝子(2’−5’OAS,MX1)の発現が増加したことがわかった。2MIU/mlのIFNα2bの代わりに、1MIU/mlを投与したが、SYN3中のハイブリッドタンパク質(BS:IFNα2α1/SYN3)が発現し、さらに十分な生物応答が得られた。SYN3の製剤中に投与した場合、イントロンA(IFNα2b)とハイブリッドIFN(IFNα2α1)のいずれもラットOASおよびMX1遺伝子の発現が増加したが、いずれも、rAd−IFNα2bまたはrAd−IFNα2α1を投与後に得られたレベルより若干劣っていた。
【0089】
本明細書に記載した実施例および実施形態は、説明のみを目的としているものであり、この点を考慮して数多くの修正および変更は、当業者に提案するものであり、また、本出願の精神および視野の範囲内、また特許請求の範囲内に含まれるものであることは、当業者にはわかるであろう。本明細書に挙げられている刊行物、特許、および特許出願はいずれも、すべての目的に対して完全に参照によって援用される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、式Iの特定の化合物の合成に有用な中間化合物の合成を示す。
【図2】図2は、本発明の化合物を形成するために糖残基を中間体へ結合させることを示す。
【図3】図3は、式Iの特定化合物の合成に有用な中間体化合物の合成を示す。
【図4】図4は、本発明の化合物を形成するために、コール酸残基を中間体へ結合させることを示す。
【図5】図5は、ELISAアッセイ(PBL)を用いて決定した組織ホモジネートに存在するIFNα2bの量を示す。タンパク質の濃度は、Bradfordタンパク質アッセイを用いて測定した。組織内に存在するIFNのレベルは pg IFN/mg組織と示す。
【図6】図6は、ELISAアッセイ(PBL)を用いて決定した組織ホモジネート内に存在するIFNα2bの量を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物であって、ここで、
およびRは、各々独立して水素およびヒドロキシル基からなる群より選択されるメンバーであり、
mおよびnは、各々独立して約0〜2から選択され;
は−NRからなる群より選択され、ここでRおよびRは、各々独立して水素、糖残基、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアシル、必要に応じて置換されているアシルオキシ、および第四級アンモニウム塩−NRXからなる群より選択されるメンバーであり、ここでR、RおよびRは独立して水素およびC〜Cアルキルからなる群より選択されるメンバーであり、そしてXはハロゲンおよび必要に応じて置換されているカルボキシレートからなる群より選択される負に帯電したイオン結合する対イオンである、化合物。
【請求項2】
およびRがいずれもヒドロキシル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mおよびnがそれぞれ1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、式II:
【化2】

を有する、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
は水素であり;そして
は水素、糖残基、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアシル、および必要に応じて置換されているアシルオキシからなる群より選択されるメンバーである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が式III:
【化3】

を有する、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
がスクシニルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
がアシルオキシである、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
がトリメチルアンモニウム塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
がトリエチルアンモニウム塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
薬剤を細胞に送達するための組成物であって、該組成物は該薬剤および式I:
【化4】

の送達促進化合物を含み、ここで、
およびRは、各々独立して水素およびヒドロキシル基からなる群より選択されるメンバーであり;
mおよびnは、各々独立して約0〜2から選択され;
は−NRからなる群から選択され、ここでRおよびRは、各々独立して水素、糖残基、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアシル、必要に応じて置換されているアシルオキシ、および第四級アンモニウム塩−NRXからなる群より選択されるメンバーであり、ここでR、RおよびRは独立して水素およびC〜Cアルキルからなる群より選択されるメンバーであり、そしてXはハロゲンおよび必要に応じて置換されているカルボキシレートからなる群より選択される負に帯電したイオン結合する対イオンである、組成物。
【請求項12】
およびRがいずれもヒドロキシル基である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
mおよびnがそれぞれ1である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が式II:
【化5】

を有する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
が水素であり;そして
が水素、糖残基、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアシル、および必要に応じて置換されているアシルオキシからなる群より選択されるメンバーである、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物が式III:
【化6】

を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
がスクシニルである、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
がアシルオキシである、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
がトリメチルアンモニウム塩である、請求項11に記載の組成物。
【請求項20】
がトリエチルアンモニウム塩である、請求項11に記載の組成物。
【請求項21】
前記薬剤が診断薬である、請求項11に記載の組成物。
【請求項22】
前記薬剤が前記細胞内に存在する場合、該薬剤が細胞内の生物学的プロセスを調節する、請求項11に記載の組成物。
【請求項23】
前記生物学的プロセスが、細胞成長、細胞分化,細胞増殖、代謝経路または生合成経路、遺伝子発現、疾患に関連するプロセス、および免疫応答からなる群より選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記薬剤が、ポリヌクレオチドまたはタンパク質を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項25】
前記ポリヌクレオチドが、アンチセンス核酸、三重鎖形成核酸、および生物学的プロセスを調節するポリペプチドをコードする遺伝子を含む核酸からなる群より選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記遺伝子が、腫瘍抑制遺伝子である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記腫瘍抑制遺伝子が、網膜芽細胞腫遺伝子およびp53遺伝子からなる群より選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物が、高分子マトリクスをさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物が、粘膜付着剤をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項30】
前記薬剤が、タンパク質を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
前記タンパク質が、インターフェロンである、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記インターフェロンが、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−δ、およびインターフェロン−γ、ならびにこれらの融合インターフェロンからなる群より選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記インターフェロンが、インターフェロンα−2β、融合インターフェロンα−/2α−1およびインターフェロンα−2eからなる群より選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記インターフェロンが、ヒトα1インターフェロンまたはヒトα2インターフェロンである、請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
前記タンパク質が、抗体である、請求項30に記載の組成物。
【請求項36】
前記抗体が、抗インターフェロン−α、抗インターフェロン−β、抗インターフェロン−δ、抗インターフェロン−γ、抗インターロイキン、抗IL−1、抗IL−2、抗IL−4、抗Il−6、抗IL−7および抗IL−10からなる群から選択される、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
薬剤を細胞に送達する方法であって、該方法は、式I:
【化7】

の化合物を含む組成物中で該細胞に該薬剤を投与する工程を包含し、ここで、
およびRは、各々独立して水素、およびヒドロキシル基からなる群より選択されるメンバーであり;
mおよびnは各々独立して約0〜2から選択され;
は−NRからなる群より選択され、ここでRおよびRは各々独立して、水素、糖残基、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアシル、必要に応じて置換されているアシルオキシ、および第四級アンモニウム塩−NRXからなる群より選択されるメンバーであり、ここでR、RおよびRは独立して水素およびC〜Cアルキルからなる群より選択されるメンバーであり、そしてXはハロゲンおよび必要に応じて置換されているカルボキシレートからなる群より選択される負に帯電したイオン結合する対イオンである、方法。
【請求項38】
細胞増殖抑制遺伝子または腫瘍抑制遺伝子をコードする組換えウイルスベクターを式I:
【化8】

の化合物と組み合わせて投与することにより、膀胱癌を処置する方法であって、ここで、
およびRは、各々独立して水素およびヒドロキシル基からなる群より選択されるメンバーであり;
mおよびnは、各々独立して約0〜2から選択され;
は−NRからなる群から選択され、ここでRおよびRは、各々独立して水素、糖残基、必要に応じて置換されているアルキル、必要に応じて置換されているアシル、必要に応じて置換されているアシルオキシ、および第四級アンモニウム塩−NRXからなる群より選択されるメンバーであり、ここでR、RおよびRは独立して水素およびC〜Cアルキルからなる群より選択されるメンバーであり、そしてXはハロゲンおよび必要に応じて置換されているカルボキシレートからなる群より選択される負に帯電したイオン結合する対イオンである、方法。
【請求項39】
前記腫瘍抑制遺伝子が、RB56、RB110、RB94、P53、およびP53δ13〜19からなる群より選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記細胞増殖抑制遺伝子が、インターフェロンの遺伝子である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記インターフェロンが、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−δ、およびインターフェロン−γ、ならびにこれらの融合インターフェロンからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記インターフェロンが、インターフェロンα−2β、融合インターフェロンα−/2α−1およびインターフェロンα−2eからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記インターフェロンが、ヒトα1インターフェロンまたはヒトα2インターフェロンである、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記膀胱癌が、表在性膀胱癌である、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記式Iの化合物が、可溶化剤をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記薬剤が、治療薬である、請求項37に記載の方法。
【請求項47】
前記薬剤が、診断薬である、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
前記送達促進化合物の濃度が、約0.002mg/ml〜約2mg/mlである、請求項37に記載の方法。
【請求項49】
前記送達促進化合物の濃度が、約0.02mg/ml〜約2mg/mlである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記送達促進化合物の濃度が、約0.2mg/ml〜約2mg/mlである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記送達促進化合物以外の洗浄剤の非存在下において、該送達促進化合物が水溶液中に可溶である、請求項37に記載の方法。
【請求項52】
前記送達促進化合物以外の洗浄剤の非存在下において、水溶液中の該送達促進化合物の溶解度が、少なくとも約1mg/mlである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記薬剤が、グリコサミノグリカン(GAG)層を通過して送達される、請求項37に記載の方法。
【請求項54】
前記GAG層が、器官を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記GAG層が、上皮組織を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記上皮組織が、胃腸管、皮膚、肺、および粘膜からなる群より選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記投与が、膀胱内投与によって行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項58】
前記薬剤が、タンパク質である、請求項37に記載の方法。
【請求項59】
前記薬剤が、遺伝子である、請求項37に記載の方法。
【請求項60】
前記遺伝子が、ベクターにおいて投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記ベクターが、ウイルスベクターである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクターからなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項63】
前記ウイルスベクターが、1×10粒子/ml〜5×1011粒子/mlのウイルスベクター濃度を有する懸濁液として投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項64】
前記懸濁液中のウイルスベクター濃度が、1×10粒子/ml〜1×1011粒子/mlである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記遺伝子が、治療遺伝子である、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
前記治療遺伝子が、腫瘍抑制遺伝子である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記腫瘍抑制遺伝子が、p53である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記腫瘍抑制遺伝子が、網膜芽細胞腫遺伝子である、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記網膜芽細胞腫腫瘍抑制遺伝子が、全長RBタンパク質をコードする、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記網膜芽細胞腫腫瘍抑制遺伝子が、p56RBをコードする、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記細胞が、癌細胞である、請求項65に記載の方法。
【請求項72】
前記癌細胞が、膀胱癌細胞である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記癌細胞が、組織として提供される、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記送達促進化合物が、前記薬剤を投与する前に投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項75】
前記送達促進化合物が、前記薬剤と共に投与される、請求項38に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−526219(P2007−526219A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515161(P2006−515161)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/017612
【国際公開番号】WO2004/108898
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(399025284)カンジ,インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】