説明

トリアジン基を含むジアミン化合物、それにより製造されたポリアミック酸及び液晶配向膜

【課題】特定構造の新規のトリアジン系ジアミン化合物を用いることで、優れた印刷特性、液晶展延性及び高いプレチルトを有するとともに、実際の工程時の不良発生率を減少した液晶配向膜を提供する。
【解決手段】下記の化学式1により示されるトリアジン基を含むジアミン化合物を構成する。
【化23】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアジン基を含むジアミン化合物、それにより製造されたポリアミック酸及び液晶配向膜に関するもので、詳しくは、特定構造のトリアジン基を含むジアミン化合物、前記ジアミン化合物を含むジアミン成分(a)及び酸二無水物成分(b)を反応して得たポリアミック酸、並びに前記ポリアミック酸をイミド化して得た液晶配向膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶配向膜用ポリイミド樹脂は、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフタル酸二無水物(BPDA)などの芳香族酸二無水物(acid dianhydride)と、パラフェニレンジアミン(p-PDA)、メタフェニレンジアミン(m-PDA)、4,4-メチレンジアニリン(MDA)、2,2-ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(HFDA)、メタビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(m-BAPS)、パラビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(p-BAPS)、4,4-ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)、4,4-ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(HF-BAPP)などの芳香族ジアミンとを重縮合して製造している。
【0003】
従来のように芳香族酸二無水物及び芳香族ジアミンのみを使用する場合、得られたポリイミド液晶配向膜は、熱安全性、耐薬品性、機械的性質などには優れているが、電荷移動錯体(charge transfer complex)の形成により、液晶の透明性及び溶解性だけでなく、電気光学特性も良好でない。前記問題点を解決するために、日本特開平11-84319号明細書では、脂肪族環状酸二無水物単量体あるいは脂肪族環状ジアミンを導入したポリイミド(PI)系液晶配向膜を開示しており、日本特開平06-136122号明細書では、側鎖を有する機能性ジアミンまたは側鎖を有する機能性酸二無水物などを用いて液晶のプレチルト角を増加するとともに安定性を向上できるPI系液晶配向膜を開示している。
【0004】
しかしながら、本発明者たちの研究によると、前記技術によるPI系配向膜には、高いプレチルト角を発現するために、表面張力及び極性に不適切なポリイミドが用いられるため、液晶の注入時、液晶の展延性が良好でなく、最終配向膜から多様な欠陥が発生し、プレチルト角の調節可能な幅も満足できる程度ではない。
【0005】
最近、液晶表示素子市場が成長するにつれて、高品質の表示素子に対する要求が持続的に高まるとともに、液晶表示素子の大面積化が急速に行われることで、生産性の高い配向膜が大いに要求されつつある。そのため、当該技術分野では、広範囲における液晶のプレチルト角を容易に調節するとともに、実際のLCD生産工程に適用するときの不良発生率を減少し、電気光学特性に優れ、信頼性が高く、かつ、液晶の展延性に優れた液晶配向膜の開発が切実に要求されている。
【0006】
そこで、本発明者たちは、前記問題点を解決するために研究した結果、高い極性を有するトリアジンを含む特定構造の新規のジアミン化合物を用いてポリアミック酸を得た後、これをイミド化して配向膜を製造する場合、1〜90゜の範囲内で所望の値のプレチルト角を実現できるとともに、液晶配向特性および電気光学的性質に優れ、印刷性及び液晶の展延性に優れた液晶配向膜を製造できることを確認した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特定構造の新規のトリアジン系ジアミン化合物を用いることで、優れた印刷特性、液晶の展延性及び高いプレチルト角を有するとともに、実際の工程時の不良発生率を減少した液晶配向膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、下記の化学式1により示されるトリアジン基を含むジアミン化合物に関するものである。
【0009】
【化11】

【0010】
また、本発明は、前記化学式1のジアミン化合物をジアミン成分100モル%に対して0.1モル%以上の量に含むジアミン成分(a)、および酸二無水物成分(b)を反応して製造したポリアミック酸に関するものである。
【0011】
また、本発明は、ポリアミック酸の溶媒に溶解して得た液晶配向処理剤、およびこの液晶配向処理剤を基板にコーティングし、これを全体または部分的にイミド化して得た液晶配向膜に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、優れた液晶配向性、優れた電圧保全率などの電気光学的特性、高耐熱性、可視光線領域における高透過性、優れた液晶の展延性を有するとともに、プレチルト角を容易に調節できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0014】
前記化学式1によるトリアジン基を含むジアミン化合物において、前記Cは、好ましくは、線状または分岐状の脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基、1以上の炭素-炭素二重結合を含む環状炭化水素基、または縮合された飽和あるいは不飽和環状炭化水素基であるか、下記の式により表現される基であることを特徴とするジアミン化合物である。
【0015】
【化12】

【0016】
前述した脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基、1以上の炭素-炭素二重結合を含む環状炭化水素基、または縮合された飽和または不飽和環状炭化水素基は、-H、-CH、-CF、-F、-Br、-Cl、-CN、-OH及び-NOからなる群から選択された1以上の基に置換される。
【0017】
本発明による前記ジアミン化合物を例示すると、下記のようである。
【0018】
【化13】

【0019】
さらに、本発明は、前記化学式1のジアミン化合物をジアミン混合物100モル%に対して0.1モル%以上の量に含むジアミン成分(a)と、酸二無水物成分(b)とを反応して製造した、下記の化学式2の反復単位を有するポリアミック酸を提供する。
【0020】
【化14】

【0021】
本発明者たちの研究によると、トリアジン基を含む特定構造のジアミン化合物をポリアミック酸製造時のジアミン成分に用いることで、最終ポリイミドのプレチルト角の調節可能な幅が広くなってその調節が容易になり、優れた配向性を示す。
【0022】
前記化学式1のジアミン化合物のジアミン成分(a)内の含量は、ジアミン成分100モル%に対して0.1乃至100モル%、好ましくは、1乃至60モル%、より好ましくは、2乃至30モル%を占めている。
【0023】
本発明の場合、化学式1によるジアミン化合物の含量によってプレチルトが調節されるので、液晶ディスプレイのモードによっては、前記ジアミン化合物のみを用いてポリアミック酸を製造し、これをイミド化して液晶配向膜に用いることもできるが、必要によっては、下記の化学式3により示される芳香族ジアミン化合物及び/または下記の化学式4により示されるポリシロキサン系ジアミン化合物をさらに混合して用いることもできる。
【0024】
【化15】

【0025】
【化16】

【0026】
前記化学式3で、Yは、好ましくは、下記により構成された群から選択された2価の有機基である。
【0027】
【化17】

【0028】
より好ましくは、化学式3による芳香族環状ジアミン化合物の例として、パラフェニレンジアミン(p-PDA)、4,4-メチレンジアニリン(MDA)、4,4-オキシジアニリン(ODA)、メタビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(m-BAPS)、パラビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(p-BAPS)、2,2-ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)、2,2-ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(HF-BAPP)などがあるが、これに限定されるのではない。
【0029】
前記化学式4によるポリシロキサン系ジアミン化合物の好ましい例として、下記の化合物が挙げられる。
【0030】
【化18】

【0031】
前記化学式3による芳香族系ジアミンを追加する場合、生成される最終ポリイミド液晶配向膜の機械的強度が増加し、前記化学式4によるポリシロキサン系ジアミンを追加する場合、最終的に得たポリイミド液晶配向膜の接着性が向上して機械的強度が増加する。
【0032】
前記芳香族環状ジアミン、ポリシロキサンジアミンまたは両者の混合物の使用量は、全体のジアミン含量対比0〜99モル%、好ましくは40〜98モル%、より好ましくは70〜97モル%である。芳香族環状ジアミンとポリシロキサンジアミンとの混合物を用いる場合、両者の混合比は、0.5:99.5モル%乃至99.5:0.5モル%である。
【0033】
本発明によるポリアミック酸の製造時に用いられる酸二無水物成分(b)としては、1種またはそれ以上の、下記の化学式5により示される芳香族環状酸二無水物であるか、1種またはそれ以上の、下記の化学式6により示される脂肪族環状酸二無水物であるか、または、前記芳香族環状酸二無水物と脂肪族環状酸二無水物との混合物として、その混合比が1:99モル%乃至99:1モル%であるものを用いる。
【0034】
【化19】

【0035】
【化20】

【0036】
より好ましくは、前記化学式5で、4価の芳香族環状有機基Xは、下記の基から選択される。
【0037】
【化21】

【0038】
より好ましくは、前記化学式6で、4価の脂肪族環状有機基X’は、下記の基から選択される。
【0039】
【化22】

【0040】
本発明のポリアミック酸の製造時に用いられる芳香族環状酸二無水物により、0.1μm程度に塗布された配向膜は、液晶の一方向配向性を誘導するために適用されるラビング工程に耐え、200℃以上の高温加工工程に対する耐熱性を維持し、優れた耐薬品性を発現できるようになる。このような芳香族環状酸二無水物には、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフタル酸二無水物(BPDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物(6-FDA)などがあるが、これに限定されることはない。
【0041】
前記芳香族環状酸二無水物の含量は、用いられる酸二無水物の全体含量対比10〜80モル%、より好ましくは10〜50モル%である。ここで、芳香族環状酸二無水物が10モル%未満である場合は、配向膜の機械的特性及び耐熱性などが低下し、80モル%を超える場合は、電圧保全率などの電気的特性が低下するようになる。
【0042】
本発明のポリアミック酸の製造時に用いられる脂肪族環状酸二無水物により、一般の有機溶媒に対する不溶性、電荷移動錯体による可視光線領域における低い透過性、分子構造的に高い極性による電気光学特性の低下などの問題点を補完する。前記脂肪族環状酸二無水物には、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチルシクロへキサン-1,2-ジカルボン酸無水物(DOCDA)、ビシクロオクテン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(BODA)、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(CHDA)などがあるが、これに限定されることはない。
【0043】
前記脂肪族環状酸二無水物の含量は、用いられる全体の酸二無水物含量対比20乃至90モル%であり、好ましくは50乃至90モル%である。
【0044】
本発明によるポリアミック酸は、一般に用いられるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、またはテトラヒドロフラン(THF)などの非プロトン性極性溶媒において非常に良好な溶解性を示している。本発明者の研究によると、前記優れた溶解性は、脂肪族環状酸二無水物の導入と、極性の大きいトリアジン構造を含む機能性ジアミンの主鎖部分および重合体の自由体積を大きくする側鎖部分の存在と、によるものである。最近は、液晶表示素子の大型化、高解像度化及び高品質化により配向剤の印刷性が非常に重要となっている。そのため、このような溶媒に対する優れた溶解性および高い極性は、非常に重要な要素であり、ポリアミック酸が液晶配向膜に適用されるとき、基質に対する印刷性に良い影響を及ぼすようになる。
【0045】
本発明のポリアミック酸は、数平均分子量が10,000乃至500,000g/mol、好ましくは10,000乃至300,000g/molの範囲であり、イミド化が進行された場合、イミド化率あるいはポリアミック酸の構造によって、ガラス転移度は、200乃至350℃の範囲になる。
【0046】
本発明によるポリアミック酸を用いてポリイミド系液晶配向膜を得るためには、前記ポリアミック酸を所定の溶媒に溶解して製造した液晶配向処理剤を基板に塗布した後、これを全体または部分的にイミド化する。
【0047】
本発明で液晶配向処理剤を製造するために用いる溶媒は、特別に制限されてないが、好ましくは、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、またはテトラヒドロフラン(THF)などの非プロトン性極性溶媒を用いる。
【0048】
基板に塗布した後、イミド化は、高温オーブン内あるいは熱板(Hot plate)上で180乃至250℃の温度で5分乃至30分程度行い、目的に応じて、イミド化度は、30乃至99%程度で行われる。
【0049】
本発明によるポリアミック酸をイミド化して得た液晶配向膜は、可視光線領域で90パーセント以上の高い透過度および優れた液晶の配向性を示すとともに、プレチルト角を1乃至90゜の範囲内で容易に調整できる。また、前記化学式1のジアミン化合物が含まれることで、高分子の屈折率および誘電率が低下し、得られた液晶配向膜の電気光学的特性が向上するようになる。
【0050】
以下、具体的な実施例及び比較例により本発明の構成及び効果を詳しく説明する。これら実施例は、本発明をより明確に理解させるためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0051】
製造例1:2,4-ジクロロ-6-ヘキサデシル-1,3,5-トリアジンの製造)
マグネシウム2.7gをテトラヒドロフラン200mlに入れて撹拌して完全に溶解した後、前記溶液にブロモヘキサデカン(31.1g)のテトラヒドロフラン(200ml)溶液を滴加した後、得られた溶液を65℃に昇温し、6時間の間撹拌して反応した。その後、得られた反応溶液を塩化シアヌル(Cyanuric chloride:15g)のテトラヒドロフラン(250ml)溶液に徐々に滴加して12時間の間反応した。反応終結後、減圧蒸留して得られた濃縮液を真空蒸留により精製し、純粋な2,4-ジクロロ-6-ヘキサデシル-1,3,5-トリアジンを製造した。
【0052】
製造例2:2,4-ジニトロフェノキシ-6-ヘキサデシル-1,3,5-トリアジンの製造)
製造例1で得られた反応物(9.7g)のジクロロメタン(100ml)溶液を4-ニトロフェノール21.62g、水酸化ナトリウム6.22gの水溶液に添加した後、還流して24時間の間反応した。反応終結後、水溶液層は分離し、残留ジクロロメタン層を1N濃度の水溶液で抽出した後、超純水で複数回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、残留ジクロロメタンを減圧蒸留して反応物を固化した後、得られた固体を無水条件で再結晶して白色の2,4-ジニトロフェノキシ-6-ヘキサデシル-1,3,5-トリアジンを製造した。
【0053】
製造例3:2,4-ジアミノフェノキシ-6-ヘキサデシル-1,3,5-トリアジンの製造)
製造例2で得られた2,4-ジニトロフェノキシ-6-ヘキサデシル-1,3,5-トリアジン14.5gをテトラヒドロフラン300mlに溶解して、前記溶液にPd/C1.4gを添加した後、50psi圧力の水素を加えて60℃で12時間の間反応した。反応終結後、ろ過によりパラジウムを除去し、減圧蒸留により固体生成物を得た。その後、生成物を再び再結晶をして純粋な2,4-ジアミノフェノキシ-6-ヘキサデシル-1,3,5-トリアジンを製造した。最終生成物は、大気中の保存安全性に比較的優れた白色の固体であって、H-NMRスペクトルによりその構造が確認され、これに対するDSCも行われた(図1及び図2を参照)。
【実施例1】
【0054】
撹拌器、温度調節装置、窒素ガス注入装置及び冷却器が装着された四つ口フラスコに窒素を通過しながら、ジアミン成分として、4,4-メチレンジアニリン0.95molおよび製造例3で得た2,4-ジアミノフェノキシ-6-ヘキサデシル-1,3,5-トリアジン0.05molを入れ、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を入れて溶解した。得られた溶液に、酸二無水物成分として、固体状態の5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチルシクロへキサン-1,2-ジカルボン酸無水物(DOCDA)0.5molおよびピロメリット酸二無水物(PMDA)0.5molを入れて激烈に撹拌した。このときの固形分含量は、質量比で15重量%であり、温度は25℃未満に維持しながら24時間の間反応してポリアミック酸溶液(PAA-1)(分子量:50,000〜150,000g/mol)を製造した。
【0055】
次いで、得られたポリアミック酸溶液を0.1μm厚さでITOガラス基板に塗布し、210℃の温度で10分間硬化して液晶配向膜を得た後、ラビング工程を経て液晶の配向性及びプレチルト角を測定し、液晶配向膜の印刷性を判断するためにITOガラス基板に配向膜を塗布した後、肉眼および光学顕微鏡により展延特性および終端の巻き特性を観察して印刷性を評価した。より具体的に、配向膜の表面をラビング機でラビングし、二つの基板のラビング方向を相互反対方向に平行にした後、80μmのセルギャップを維持するようにセルを接合して液晶セルを得た後、前記セルに液晶化合物を充填し、配向性を直交偏光された光学顕微鏡により観察した後、結晶回折法によりプレチルト角を測定して下記の表1に示した。
【0056】
また、電気的特性を調査するために、ITOパターンをしたガラス基板の表面上にポリアミック酸溶液を0.1μmの厚さで塗布し、セルのラビング方向を90゜にして接合した後、セルのギャップを5μmに均一に維持してテストセルを製造し、その電圧保全率を測定して下記の表1に示した。
【実施例2】
【0057】
4,4-メチレンジアニリンを0.9mol用い、2,4-ジアミノフェノキシ-6-ヘキサデシル-1,3,5-トリアジンを0.1mol用いたことを除いては、前記実施例1と同一の方法でポリアミック酸溶液(PAA-2)を得た後、液晶の配向性、プレチルト角及び電圧保全率を測定した。その測定結果は、下記の表1に示した。
【実施例3】
【0058】
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチルシクロへキサン-1,2-カルボン酸無水物(DOCDA)0.5molの代わりに、シクロブタン無水物(cyclobutane dianhydride)0.5molを用いたことを除いては、前記実施例1と同一の方法でポリアミック酸(PAA-3)を得た後、液晶の配向性、プレチルト角及び電圧保全率を測定した。その測定結果は、下記の表1に示した。
【実施例4】
【0059】
5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチルシクロへキサン-1,2-カルボン酸無水物(DOCDA)0.5molの代わりに、シクロブタン無水物0.5molを用いたことを除いては、前記実施例2と同一の方法でポリアミック酸(PAA-4)を得た後、液晶の配向性、プレチルト角及び電圧保全率を測定した。その測定結果は、下記の表1に示した。
【実施例5】
【0060】
4,4-メチレンジアニリンを用いてなく、2,4-ジアミノフェノキシ-6-ヘキサデシル-1,3,5-トリアジンを1.0mol用いたことを除いては、前記実施例1と同一の方法でポリアミック酸(PAA-5)を得た後、液晶の配向性、プレチルト角及び電圧保全率を測定した。その測定結果は、下記の表1に示した。
【0061】
比較例1)
2,4-ジアミノフェノキ-6-ヘキサデシル-1,3,5-トリアジンを用いてなく、その代わりに2,4-ジアミノ-1-ヘキサデシルオキシベンゼンを用いたことを除いては、前記実施例2と同一の方法でポリアミック酸(PAA-6)を得た。また、前記実施例2と同一の方法で液晶の配向性、プレチルト角及び電圧保全率を測定し、その結果は、下記の表1に示した。
【0062】
【表1】

【0063】
前記表1に示すように、本発明の液晶配向膜は、電圧保全率が常温で99%以上、60℃から97%以上であって、電気光学的特性に非常に優れており、物理的、電気光学的特性の著しい低下なしに液晶のプレチルト角を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】製造例3で製造されたジアミン化合物のH-NMRスペクトルを示した図である。
【図2】製造例3で製造されたジアミン化合物のDSC結果を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1により示されるトリアジン基を含むジアミン化合物。
【化1】

【請求項2】
前記化学式1で、前記Cは、未置換であるか、-H、-CH、-CF、-F、-Br、-Cl、-CN、-OH、及び-NOからなる群から選択された1以上の基に置換された線状または分岐状の脂肪族炭化水素基、飽和環状炭化水素基、1以上の炭素-炭素二重結合を含む環状炭化水素基、または縮合された飽和または不飽和環状炭化水素基であるか、
下記の各式により表現される基であることを特徴とする請求項1記載のジアミン化合物。
【化2】

【請求項3】
請求項1または請求項2によるジアミン化合物をジアミン成分100モル%に対して0.1モル%以上の量に含むジアミン成分(a)、および酸二無水物成分(b)を反応して製造した、下記の反復単位を含むポリアミック酸。
【化3】

【請求項4】
前記ジアミン成分(a)は、下記の化学式3により示される芳香族ジアミン化合物及び/または下記の化学式4により示されるポリシロキサン系ジアミン化合物をさらに含むことを特徴とする請求項3記載のポリアミック酸。
【化4】

【化5】

【請求項5】
前記化学式3で、Yは、下記のように構成された群から選択された2価の有機基であることを特徴とする請求項4記載のポリアミック酸。
【化6】

【請求項6】
前記酸二無水物(b)は、1種以上の下記化学式5により示される芳香族環状酸二無水物であるか、1種以上の下記化学式6により示される脂肪族環状酸二無水物であるか、または、前記芳香族環状酸二無水物と脂肪族環状酸無水物との混合物として、その混合比が1:99モル%乃至99:1モル%であることを特徴とする請求項3記載のポリアミック酸。
【化7】

【化8】

【請求項7】
化学式5で、Xは、下記の基から選択され、
【化9】

化学式6で、X’は、下記の基から選択されることを特徴とする請求項6記載のポリアミック酸。
【化10】

【請求項8】
前記ポリアミック酸の数平均分子量は、10,000乃至300,000g/molであることを特徴とする請求項3記載のポリアミック酸。
【請求項9】
請求項3によるポリアミック酸の溶液を含む液晶配向処理剤。
【請求項10】
請求項9による液晶配向処理剤を基板にコーティングし、これを全体または部分的にイミド化して得た液晶配向膜。
【請求項11】
請求項10による液晶配向膜を含む液晶表示素子。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−511696(P2006−511696A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518195(P2005−518195)
【出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【国際出願番号】PCT/KR2004/000102
【国際公開番号】WO2004/090017
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(505122313)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】Cheil Industries Inc.
【Fターム(参考)】