説明

トリカブト含有アルカロイドまたはその誘導体を含んでなる細胞増殖抑制剤

【課題】新規な細胞増殖抑制剤の提供。
【解決手段】トリカブト由来のアルカロイドまたはその誘導体を含んでなる細胞増殖抑制剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリカブトに含まれるアルカロイドまたはその誘導体を含んでなる細胞増殖抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
トリカブトからは多数のアルカロイドが単離され、多くの誘導体が合成されている。しかしながらそれらの細胞増殖抑制作用については知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明はトリカブトに由来するアルカロイドまたはその誘導体を含んでなる細胞増殖抑制剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、下記の構造式(I):
【化1】

で表されるアルカロイド化合物1〜17のいずれかを含んでなる細胞増殖抑制剤を提供する。
【0005】
本発明はまた、下記の構造式(II):
【化2】

で表されるアルカロイド化合物18又は19を含んでなる細胞増殖抑制剤を提供する。
【0006】
本発明はまた、下記の構造式(III ):
【化3】

で表されるアルカロイド化合物20を含んでなる細胞増殖抑制剤を提供する。
【0007】
本発明は更に、下記の構造式(IV):
【化4】

で表されるアルカロイド化合物21〜26のいずれかを含んでなる細胞増殖抑制剤を提供する。
【0008】
本発明はまた、下記の構造式(V):
【化5】

で表されるアルカロイド化合物27を含んでなる細胞増殖抑制剤を提供する。
【0009】
本発明はまた、下記の構造式(VI):
【化6】

で表されるアルカロイド化合物28〜31のいずれかを含んでなる細胞増殖抑制剤を提供する。
【0010】
本発明は更に、下記の構造式(VII ):
【化7】

で表されるアルカロイド化合物32又は33を含んでなる細胞増殖抑制剤を提供する。
【0011】
本発明は更に、下記の構造式(VIII):
【化8】

で表されるアルカロイド化合物34を含んでなる細胞増殖抑制剤を提供する。
【0012】
本発明はまた、下記の構造式(IX):
【化9】

で表されるアルカロイド化合物35〜39のいずれかを含んでなる細胞増殖抑制剤を提供する。
【0013】
本発明の細胞増殖抑制剤の有効成分である、トリカブト由来のアルカロイド化合物はいずれも既知化合物であるが、それらの細胞増殖抑制作用は知られていない。
本発明の細胞増殖抑制剤は、経口投与剤又は非経口投与剤の抗癌剤として有望視される。本発明の細胞増殖抑制剤はまた、生化学研究において、細胞増殖を制御するためにも有用である。
次に、本発明の細胞増殖抑制剤の活性成分であるアルカロイド化合物の細胞増殖抑制効果を実施例により説明する。
【実施例】
【0014】
実施例1. ヒト臍帯血由来造血前駆細胞に対する細胞増殖抑制効果
試験方法
試験細胞:
ヒト臍帯血由来CD34陽性造血前駆細胞(弘前大学医学部倫理委員会の承認を受けて採取した臍帯血から磁気ビーズ法により分離したもの)
培地条件:
イスコフ改変培地(IMDM)を基礎培地とし、ヒト遺伝子組換えトロンボポエチン(TPO)を最終濃度50ng/mlとなるように添加した無血清培地(BIT9500)
【0015】
被験アルカロイド溶液の調製:
被験物質の粉末をジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解し、1mg/mlとした。
培養条件:
24ウエル培養プレートに上記の造血前駆細胞を5,000個/ウエル播種し、上記のようにして調製した各被験溶液を、1000倍希釈となるように添加混合し、二酸化炭素インキュベーター中で14日間培養した。対照には被験液と同じ希釈のDMSOを添加した。
【0016】
結果の解析・評価
細胞は、細胞計数分析装置Z1型(コールター製)を用いて計数し、対照の細胞数を1として、各被験物質についての相対増殖率を算出した。試験は3回実施した。図1に示すとおり、ほとんどの被験物質は、無血清培養条件下で、造血前駆細胞の増殖に対する抑制効果を示した。
【0017】
実施例2. ヒト神経膠腫由来株化細胞に対する増殖抑制効果
試験方法
試験細胞:
ヒト神経膠腫由来株化細胞A172
培地条件:
10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)
【0018】
被験アルカロイド溶液の調製:
被験物質の粉末をジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解し、1mg/mlとした。
培養条件:
24ウエル培養プレートに上記のヒト神経膠腫由来株化細胞A172を2,000個/ウエル播種し、上記のようにして調製した各被験溶液を、1000倍希釈となるように添加混合し、二酸化炭素インキュベーター中で14日間培養した。対照には被験液と同じ希釈のDMSOを添加した。
【0019】
結果の解析・評価
細胞は、細胞計数分析装置Z1型(コールター製)を用いて計数し、対照の細胞数を1として、各被験物質についての相対増殖率を算出した。試験は3回実施した。図2に示すとおり、被験物質のうち12化合物で、腫瘍由来樹立細胞の増殖に対する抑制効果を示した。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、トリカブト由来の各種アルカロイドまたはその誘導体の、ヒト臍帯血由来CD34陽性造血前駆細胞に対する増殖抑制効果を示すグラフである。
【図2】図2は、トリカブト由来の各種アルカロイドまたはその誘導体の、ヒト神経膠腫由来株化細胞に対する増殖抑制効果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造式(I):
【化1】

で表されるアルカロイド化合物1〜17のいずれかを含んでなる細胞増殖抑制剤。
【請求項2】
下記の構造式(II):
【化2】

で表されるアルカロイド化合物18又は19を含んでなる細胞増殖抑制剤。
【請求項3】
下記の構造式(III ):
【化3】

で表されるアルカロイド化合物20を含んでなる細胞増殖抑制剤。
【請求項4】
下記の構造式(IV):
【化4】

で表されるアルカロイド化合物21〜26のいずれかを含んでなる細胞増殖抑制剤。
【請求項5】
下記の構造式(V):
【化5】

で表されるアルカロイド化合物27を含んでなる細胞増殖抑制剤。
【請求項6】
下記の構造式(VI):
【化6】

で表されるアルカロイド化合物28〜31のいずれかを含んでなる細胞増殖抑制剤。
【請求項7】
下記の構造式(VII ):
【化7】

で表されるアルカロイド化合物32又は33を含んでなる細胞増殖抑制剤。
【請求項8】
下記の構造式(VIII):
【化8】

で表されるアルカロイド化合物34を含んでなる細胞増殖抑制剤。
【請求項9】
下記の構造式(IX):
【化9】

で表されるアルカロイド化合物35〜39のいずれかを含んでなる細胞増殖抑制剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−217389(P2007−217389A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42705(P2006−42705)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(504229284)国立大学法人弘前大学 (162)
【Fターム(参考)】