説明

トリガースイッチ

【課題】 トリガーの内部に蓄積される塵埃が容易に外部に放出できるような構造にすること、制御素子をスイッチに一体に組み込むために設けたカバーの開口部に対して、この開口部から侵入する塵埃が可動接片側に容易に侵入しないような構造にしたトリガースイッチを提供する。
【解決手段】 トリガーの摺動操作に基づいてケース内部のスイッチ機構をスイッチング操作するトリガースイッチであって、前記ケースを覆うカバーの外側側壁面に露出した状態で制御素子を配置し、この制御素子を配置する室と前記スイッチ機構を構成する室との間に塵埃を遮蔽するための防塵壁を施したことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリガースイッチに関し、詳しくは、電動工具に使用されるトリガースイッチの内部のスイッチ機構において、トリガーに溜まった塵埃を除去する機構、及び開放部に取付けたスイッチング素子に対して内部への塵埃の侵入を防ぐ防塵用壁を設けた構造のトリガースイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトリガースイッチは、図26に示すように、縦長の箱形状に形成され内部にスイッチ機構を組み込み、外部のトリガー111からの操作動作を伝達する摺動操作子112を上部位置に備え、且つ側面を開口にしたケース113と、ケース113の側面の開口面を塞ぐと共に、外側に制御素子(FET)114を露出するように開けた開放部115を備えたカバー117と、手の指で操作できるトリガー111と、ケース113にカバー117を装着し、その外周位置に配置した放熱板(図示せず)とを備えた構成になっている。
【0003】
ケース113は、図27及び図28に示すように、一面を開口にしたスイッチ機構を組み込むスイッチ室120と、制御素子114を載置する制御素子載置部122とを備えている。
このスイッチ室120を覆うように摺動回路基板124が配置され、制御素子載置部122とスイッチ室120との間には一定の開放面123がある。
又、スイッチ室120に連通した側面には摺動操作子112の摺動軸121を係合する円筒半欠け形状の同軸係合穴128を設け、この同軸係合穴128を挟んだ上下位置に突出形成したトリガーガイドリブ127a、127bを備えた構造となっている。
そして、このスイッチ室120上部から摺動回路基板124を載置し、制御素子載置部122に制御素子(FET)114を載せることで組み立てる。
【0004】
カバー117は、図27及び図29に示すように、上述したようにケース113の側面の開口面を塞ぐと共に、ケース113に備えた制御素子(FET)114を露出させるために切り欠いて形成された開放部115を備え、摺動回路基板124の上を覆うカバー部125とからなり、開放部115とカバー部125との間は連通した構成になっている。
【0005】
カバー部125の上部位置には摺動操作子112の摺動軸121を係合する円筒半欠け形状の同軸係合穴126を設け、この同軸係合穴126を挟んだ上下位置に突出形成したトリガーガイドリブ129a、129bを備えた構造となっている。
【0006】
摺動操作子112は、図27及び図30、図31に示すように、所謂、スイッチ機構を形成するもので、トリガー111の操作により、モータへの電源の供給を可能にすること、トリガー111の操作具合に応じてモータの速度を制御すること、トリガー111の操作具合によりモータへの電源を短絡して供給すること、及びモータ停止時にモータを短絡すること、の4つの機能を一つの摺動操作で行うことができる構成になっている。これらの構成については後述する。
【0007】
トリガー111は、図27及び図32、図33乃至図35に示すように、楕円柱形状に形成され、側壁に把持部111aを形成し、その把持部111aの反対側に摺動操作子112の摺動軸121を係合する軸係合部131を備え、この軸係合部131を挟んだ上下においてトリガー111の動きをガイドするトリガーガイドリブ129a、129b、127a、127bを収納できる凹部からなるリブ係合部132a、132bを備えた構成になっている。
又、トリガー111の頂部においては直方体形状のトリガーストッパー部145を形成してなる。このトリガーストッパー部145は、切替操作部118(図27参照)が中立点のときに、トリガー111の引き込みを制止するものである。
【0008】
このような構造をしたトリガー111は、摺動操作子112の摺動軸121の先端側を軸係合部131に係合させて嵌合させると同時に、トリガーガイドリブ129a、129b、127a、127bをリブ係合部132a、132bに収納させることでトリガー111の動きをガイドする機能を持たせる。
トリガーガイドリブ129a、129b、127a、127bがリブ係合部132a、132bに係合する状態は、図35において、上部のトリガーガイドリブ129b、127bがリブ係合部132bの上端部に隙間を持たせないで係合させ、下部のトリガーガイドリブ127a、129aがリブ係合部132aの下端部に隙間を持たせないで係合させる構成になっている。
【0009】
このような構造をしたトリガー111が摺動軸121に係合させて、把持部111aを持って操作すると、図35に示すように、工具を使用しているうちに、トリガー111内部に蓄積した塵埃134はリブ係合部132a、132bの奥方向に蓄積され、その量が多くなるとトリガーガイドリブ129b、129a、127b、127aの動きが阻害され、最悪トリガー111を最後まで引くことが出来ない。
【0010】
摺動操作子112は、図30及び図31に示すように、棒状に形成し自由端部にトリガー111を取り付けることができる摺動軸121と、摺動軸121の基部側であって頂面に平行に2つの摺動子136a、136bを配置してモータの回転速度を制御する速度制御部137を設け、この速度制御部137に対して側壁面に制御素子を短絡する可動接片上を摺動する摺動ノブ138を備えた制御素子短絡部139、制御素子短絡部139に並んだ位置にモータを制御するFETに電源を供給する可動接片上を摺動する摺動ノブ141を備えた電源供給制御部142、電源供給制御部142の反対側方向で摺動軸121の基部側にモータを短絡状態にしてブレーキをかけるためのモータ短絡部143(図31参照)を設けた構造になっている。
モータ短絡部143は、スプリング150eを介在させた摺動ノブ150dを係合穴135に係合させ、その上部から片持ち状態でモータ短絡端子片150を係合させた構成となっている。
これら、速度制御部137、制御素子短絡部139、電源供給制御部142、モータ短絡部143により駆動する導電性の金属部材で形成されている端子片は、図27に示すように、モータ駆動端子片146、プラス電源供給端子片147、制御素子短絡端子片148、マイナス電源供給端子片149、モータ短絡端子片150 、第1可動接片151、第2可動接片152の7つの接片から構成されている。
【0011】
モータ駆動端子片146は、図27及び図42に示すように、板部材の下部側を折り曲げて第1可動接片151の接点部とコンタクトする第1接点153を備え、上部位置に摺動回路基板124のFETのソース側に接続するFET接点部154を備えた構造となっている。
【0012】
プラス電源供給端子片147は、図27及び図42に示すように、細長い導電性部材で形成され、細長い板部材の頂部を折り曲げて舌状に形成し、切替操作部118で使用する切替接点のうち第1切替接点155を備え、この第1切替接点155よりも下部位置で折り曲げて形成した第1短絡156、この第1短絡156の上部位置に摺動回路基板124に係合する凸部157を有し、この凸部157より下部位置で凸部157と反対方向に二割形状に突出形成したダイオードと接続するためのダイオード接続部158を備え、下端部にプラス電源と接続するための端子部159を備えた構造となっている。
【0013】
制御素子短絡端子片148は、図27及び図42に示すように、板部材を直角に折り曲げ、その折り曲げた端部を更に外方向に略180度折り曲げて舌状に形成された切替操作部118で使用する切替接点のうち第2切替接点161を備え、この第2切替接点161を形成する基部側の平板状の部分が第2短絡162、直角に曲げた反対方向の略中間位置を直交する方向に切欠き折り曲げてFETのドレイン、ソースを短絡させて駆動させるための第2可動接片152の接点部とコンタクトする第2接点163を備え、その第2接点163よりも下部位置で上部側にFETのドレインと接続するFET接点部164を備え、このFET接点部164と反対側にダイオード116と接続するためのダイオード接続部165を備えた構成になっている。
【0014】
マイナス電源供給端子片149は、図27に示すように、細長い板部材の上部を直角方向に折り曲げ、その折り曲げた板部材に第1可動接片151を揺動自在に載置するための第1可動接片支持部166を備え、その第1可動接片支持部166の板幅分反対側に第2可動接片152を揺動自在に載置するための第2可動接片支持部167を備え、反対側端部にはマイナス電源に接続するためのマイナス端子部168を備えた構成になっている。
【0015】
モータ短絡端子片150は、図27及び図31、図42に示すように、摺動操作子112の速度制御部137の反対側方向に配置されているもので、摺動操作子112が復帰バネ144の付勢力により外方向に付勢されているときに、プラス電源供給端子片147の第1短絡156と制御素子短絡端子片148の第2短絡162とを電気的に接続することでモータ電極間を短絡させブレーキをかける。
このモータ短絡端子片150は、金属性板部材の一端部を円弧状に形成して第1接点部150aと、他端部を円弧状に形成して第2接点部150bと、その端部を外方向に折り曲げた係止部150cとから形成されている。
【0016】
このような形状をした4つの接片(146、147、148、149)は、ケース113に収容される。先ず、図42に示すように、ケース113の開口面からみた場合に、スイッチ機構を形成する空間の底部中央位置であって第1の接点153をケース113の開口部に対して直交する位置関係にしてモータ駆動端子片146を挿入して取付け、次にケース113に取り付けられる摺動軸121側の前方側の壁面にプラス電源供給端子片147を取付け、ケース113に取り付けられる摺動軸121と反対側の後方の壁面に制御素子短絡端子片148を取付け、最後に第1及び第2可動接片151、152を取付けたマイナス電源供給端子片149をケース113の略中央位置に取り付ける。
【0017】
図27に戻って、摺動軸121は、ケース113とカバー117で構成される同軸係合穴126、128に係合され、その同軸係合穴126、128には、パッキン169を収納するパッキン収納部170を設けた構造になっている。
【0018】
電源供給制御部142は、図42に示すように、摺動操作子112の摺動軸121の押込み具合に連動して摺動ノブ141が第1可動接片151の表面を摺動しながらすすみ、接点を第1接点153にコンタクトさせることで、モータへの電源を供給するように制御する。
第1可動接片151は、図36乃至図38に示すように、長尺の導電性板部材で形成され、その一方の端部に電源を供給するための接点171を設け、略中間位置の幅端に第1可動接片支持部166の載置部166aに係合するための凹状に形成した係合部172を備えた構成になっている。
このような第1可動接片151は、マイナス電源供給端子片149に備えてある第1可動接片支持部166の載置部166aの位置に第1可動接片151の裏面を合わせることで取付ける。
この第1可動接片151の接点171は、OFFのときはケース113に配置されているモータ駆動端子片146の第1接点153と対峙した位置関係(図42参照)となっている。
【0019】
このようにして第1可動接片151が配置され、その配置された第1可動接片151の上面に摺動操作子112の摺動ノブ141(図42参照)を載せる。摺動ノブ141は、内部にスプリングが組み込まれ、常時付勢した状態に維持することができる。即ち、第1可動接片151の上面に配置されると、その摺動ノブ141は、第1可動接片151の上面を付勢した状態となる。そして、摺動操作子112を動作させないときにはスプリング144で押し込まれた状態になっているので、摺動ノブ141の位置は、第1可動接片151をシーソー運動させるための支軸となる第1可動接片支持部166を境にして図43で右側の後方端であり、接点171が上方向に向いた状態、即ち、第1接点153から離れた状態となっている。
このとき、摺動操作子112の下部位置に設けてあるモータ短絡部143のモータ短絡端子片150の第1接点部150aが制御素子短絡端子片147の第1短絡156と接触して接続し、且つプラス電源供給端子片148の第2短絡162と、モータ短絡端子片150の第2接点部150bが接続してモータ電極間を短絡させ、モータへの電源供給を遮断した状態になっている。
【0020】
この状態で摺動操作子112が押し込まれると摺動軸121が動き、図43に示すように、摺動操作子112の下部位置に設けてあるモータ短絡部143のモータ短絡端子片150の第1接点部150aがプラス電源供給端子片147の第1短絡156から離れ、第1接点部150aと第2接点部150bの両者が制御素子短絡端子片148の第2短絡162に接触して接続される。第1接点部150aが第1短絡156から離れることによりモータへの電源供給を可能な状態にする。
そして、その摺動軸121に連動して動く押圧部材である摺動ノブ141が第1可動接片151の上面を摺動しながら接点171方向に動く。
すると、摺動ノブ141がマイナス端子149の第1可動接片支持部166を越えると、第1可動接片151が水平方向に戻され、接点171が第1接点153にコンタクトする。これで、図示しない、モータに電源が供給される体制ができ、あとは速度制御部137の制御により、モータの回転速度が制御される。
【0021】
速度制御部137は、図27、図30及び図31、図44、図46に示すように、摺動操作子112に連結され、摺動操作子112に連動する並行に並べて配置された2つの摺動子136a、136bと、摺動操作子112に連動する摺動子136a、136bに弾性接触するための摺動接触子181、182、183、184を備えた摺動回路基板124(図46参照)と、から大略構成されている。
【0022】
摺動回路基板124は、表面に回路素子を搭載し、裏面に摺動子136a、136bと摺動する摺動接触子181、182、183、184を備えた構造になっている。
【0023】
摺動子136a、136bは導電性部材であって細長い板状部材で形成され、全体として弓状になるように形成された両側端部を二股形状に形成し、その二股形状に形成した先端部を上方向折り曲げて更に下方向に折り曲げて接点となし、中央位置に穴を開けて基部から突出したボスに係合した構造となっている。
【0024】
このような構造をした速度制御部137は、摺動操作子112が復帰バネ144に抗してトリガー111で操作されると摺動子136a、136bが摺動回路基板124の摺動接触子181、182、183、184に接触し、この接触状態は、電源供給制御部142の電源スイッチのオン状態等に関連してモータに対して、回転率0パーセントから略100パーセントまで制御し、モータ回転率略100パーセントにおいては制御素子短絡部139が動作して短絡状態に制御することで、モータに略100パーセントの電源が供給される。
【0025】
制御素子短絡部139は、図27、図30、図39乃至図41、図44、図45に示すように、電源供給制御部142の摺動ノブ141と同じように摺動ノブ138で第2可動接片152の上を摺動しながら接点をオンさせるものである。
【0026】
第2可動接片152は、図39乃至図41に示すように、長尺の導電性板部材で形成され、その一方の端部に制御素子を短絡させるための接点185を設け、略中間位置の幅端に第2可動接片支持部167の係止部186に係合するための凹状に形成された係合部187を備えた構成になっている。
このような第2可動接片152は、マイナス電源供給端子片149に備えてある第2可動接片支持部167の係止部186の位置に設けた載置部189に係合部187を合わせて取付ける。
この第2可動接片152の接点185は、OFFのときはケース113に配置されている制御素子短絡端子片148の第2接点163(図44参照)と対峙した位置関係となっている。
【0027】
このようにして第2可動接片152が配置され、その配置された第2可動接片152の上面に摺動操作子112の摺動ノブ138を載せる。摺動ノブ138は、内部にスプリングが組み込まれ、常時付勢した状態に維持することができる。即ち、第2可動接片152の上面に配置されると、その摺動ノブ138は、第2可動接片152の上面を付勢した状態となる。そして、摺動操作子112を動作させないときにはスプリング144で押し込まれた状態になっているので、摺動ノブ138の位置は、第2可動接片152をシーソー運動させるための支軸となる第2可動接片支持部167を境にして図44で右側の後方端であり、接点185が上方向に向いた状態、即ち、第2接点163から離れた状態(図44参照)となっている。
【0028】
このような構造からなる制御素子短絡部139において、先ず、図44に示す状態において、摺動操作子112が押されると、連結してある制御素子短絡部139の摺動ノブ138が第2可動接片152上面を摺動しながら同じ方向に動く。そして、図45に示すように、更に摺動操作子112が押されると、摺動ノブ138が第2可動接片152の上面を摺動しながら第2可動接片支持部167位置を通過することで接点185が第2接点163方向に動き、接点185が第2接点163にコンタクトすることで制御素子を短絡させてモータを略100%回転させることができるのである。
【0029】
上記説明したスイッチ機構について、図47に示す等価回路を参照して説明すると、トリガー111が操作されていないときのは復帰スプリング144の復帰力により摺動操作子112が押され、モータ短絡端子片150が第1短絡156と第2短絡162とに接続して短絡させモータへの電源供給を遮断する。
トリガー111を押し込むとトリガー111に連結された摺動操作子112も可動し、モータ短絡端子片150も動き、第1短絡156と第2短絡162とから離れ、モータへの電源供給が可能になる。
更に、トリガー111が押されると第1可動接片151がオンし、制御素子の制御が可能になる。
そして、ある程度の操作量に達すると第2可動接片152がオンし、電源電圧を略100%モータに印加させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2003−109451号公報(第3頁〜4頁 第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
しかしながら、従来技術で説明したトリガースイッチにおいては、通常樹脂(プラスティック)で成形されているため、開放部(ヒケ防止による肉逃げ)が一方向からのみ形成され、更に、この開放部を利用して、他部品からトリガーガイドリブを附設している。
そのため、このトリガーが動くごとに開放部に塵埃が蓄積し、その蓄積された塵埃は開放部内部に蓄積され、放出することなく溜まり、リブと干渉するようになると、トリガーがフルストロークまで引ききれなくなる不具合が生じるという問題がある。
【0032】
また、電動工具への組み込みを容易にするために、制御素子(FET)とスイッチ自体との一体化が要求され、そのため、スイッチのカバーに開口部を設けて、そこに制御素子を配設するように工夫されているが、その開放された開口部に隣接する位置には、可動接片が収納されているが、カバーの一部に開口部を設けたことで、その開口部から侵入した塵埃が可動接片が組み込まれているスイッチ機構の部屋にまで及んでしまうという問題がある。この問題を防止するために、防塵対策として、カバーの開放部又はその周囲を防塵ゴムを採用することで、塵埃の侵入を防ぐことができるが、専用のパッキン等が必要になり、コストアップになるという問題がある。
更に、従来品はスイッチ機構部とFET収納部が一体のためFETの熱がスイッチ内部にこもってしまうという問題もある。
【0033】
従って、トリガーの内部に蓄積される塵埃が容易に外部に放出できるような構造にすること、制御素子をスイッチに一体に組み込むために設けたカバーの開口部に対して、この開口部から侵入する塵埃がスイッチ機構である可動接片側に容易に侵入しないような構造に解決しなければならない課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0034】
上記課題を解決するために、本願発明のトリガースイッチは、次に示す構成にすることである。
【0035】
(1)トリガースイッチは、トリガーの摺動操作に基づいてケース内部のスイッチ機構をスイッチング操作するトリガースイッチであって、前記ケースを覆うカバーの外側側壁面に露出した状態で制御素子を配置し、この制御素子を配置する室と前記スイッチ機構を構成する室との間に塵埃を遮蔽するための防塵壁を施したことである。
(2)前記トリガーは、該トリガーのスライド動作をガイドするためのトリガーガイドリブが挿入されるリブ係合部に塵埃が排出される開放部を設けたことを特徴とする(1)に記載のトリガースイッチである。
【発明の効果】
【0036】
本発明により、トリガーには、リブが係合する開放部に加えて、この開放部に連通した空間が底部及び頂部に設けたことにより、リブが係合したときに発生する塵埃をこの連通した空間を介して外に放出することができるため、トリガー内部に塵埃が蓄積することを回避することが可能になり、トリガーがフルストロークまで引ききれなくなる不具合になることを未然に防止することができる。
また、カバーに設けた制御素子を開放状態にする開口部を設けると共に、この開口部を境にした位置に防塵壁を設けた構造にすることで、開口部から侵入した塵埃がスイッチ機構部側に侵入することを回避することができる。
又、スイッチ機構部とFET収納部を独立させてあるため、FETの熱がスイッチ機構部へ影響しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るトリガースイッチの表面側の外観を示す斜視図である。
【図2】同、トリガースイッチの裏面側の外観を示す斜視図である。
【図3】同、トリガースイッチを構成する部品の配置関係を示す斜視図である。
【図4】同、ケースの構成を示した斜視図である。
【図5】同、カバーの構成を示した斜視図である。
【図6】同、摺動操作子の外観を示す斜視図である。
【図7】同、摺動操作子の裏面側からみた斜視図である。
【図8】同、トリガースイッチを構成するトリガーと摺動操作子との関係を示した斜視図である。
【図9】同、トリガーの断面図である。
【図10】同、トリガーの一部断面図である。
【図11】同、端子片の組み立て状態と摺動操作子の動作状態を示した説明図である。
【図12】同、端子片の組み立て状態と摺動操作子の動作状態を示した説明図である。
【図13】同、第2可動接片を係合する支持部を抜粋して示した斜視図である。
【図14】同、第2可動接片がオンした状態を示した斜視図である。
【図15】同、摺動回路基板を表面側を示した説明図である。
【図16】同、第1及び第2可動接片を支持する支持部を示した斜視図である。
【図17】同、第1可動接片の斜視図である。
【図18】同、第1可動接片と支持部との関係を示す説明図である。
【図19】同、第2可動接片支持部を抜粋して示した斜視図である。
【図20】同、第2可動接片を示す斜視図である。
【図21】同、補助ブラシを示す斜視図である。
【図22】同、第2可動接片を支持部に係合させた様子を示す斜視図である。
【図23】同、制御関係の等化回路図である。
【図24】同、切替操作部を示した斜視図である。
【図25】同、切替操作部を示す平面図である。
【図26】従来技術におけるトリガースイッチの斜視図である。
【図27】同、トリガースイッチを構成する部品の配置関係を示す斜視図である。
【図28】同、ケースの構成を示した斜視図である。
【図29】同、カバーの構成を示した斜視図である。
【図30】同、摺動操作子の外観を示す斜視図である。
【図31】同、摺動操作子の裏面側からみた斜視図である。
【図32】同、トリガースイッチを構成するトリガーと摺動操作子との関係を示した斜視図である。
【図33】同、トリガーの断面図である。
【図34】同、トリガーの一部断面図である。
【図35】同、トリガーの組み立て状態と摺動操作子の動作状態を示した説明図である。
【図36】同、第1可動接片を係合する支持部を抜粋して示した斜視図である。
【図37】同、第1可動接片の斜視図である。
【図38】同、第1可動接片が支持部に係合している状態を示した説明図である。
【図39】同、第2可動接片を係合する支持部を抜粋して示した斜視図である。
【図40】同、第2可動接片の斜視図である。
【図41】同、第2可動接片を支持部に係合させた様子を示す斜視図である。
【図42】同、端子片の組み立て状態と摺動操作子の動作状態を示した説明図である。
【図43】同、端子片の組み立て状態と摺動操作子の動作状態を示した説明図である。
【図44】同、第2可動接片を係合する支持部を抜粋して示した斜視図である。
【図45】同、第2可動接片がオンした状態を示した斜視図である。
【図46】同、摺動回路基板を表面側を示した説明図である。
【図47】同、制御関係の等化回路図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本願発明に係るトリガースイッチの実施形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0039】
本願発明に係るトリガースイッチは、図1、図2及び図3に示すように、縦長の箱形状に形成され内部にスイッチ機構を組み込み、外部のトリガー11からの操作動作を伝達する摺動操作子12を上部位置に備え、且つ側面を開口にしたケース13と、ケース13の側面の開口面を塞ぐと共に、外側に制御素子(FET)14を露出するように開けた開放部15を備えたカバー17と、手の指で操作できるトリガー11と、ケース13の頂面に位置しモータの回転切替えをする切替操作部18と、ケース13にカバー17を装着し、その外周位置に配置した放熱板19とを備えた構成になっている。
【0040】
ケース13は、図3、図4に示すように、一面を開口にしたスイッチ機構を組み込むスイッチ室20と、制御素子14を載置する制御素子載置部22とを備え、制御素子載置部22とスイッチ室20との境界線上には線状の突起で形成した2つの第1及び第2防塵壁23a、23bを設けた構造となっている。
又、スイッチ室20に連通した側面には摺動操作子12の摺動軸21を係合する円筒半欠け形状の同軸係合穴28を設け、この同軸係合穴28を挟んだ上下位置に突出形成したトリガーガイドリブ29a、29bを備えた構造となっている。
そして、このスイッチ室20上部から摺動回路基板24を載置し、制御素子載置部22に制御素子(FET)14を載せることで組み立てる。
【0041】
カバー17は、図3及び図5に示すように、上述したようにケース13の側面の開口面を塞ぐと共に、ケース13に備えた制御素子(FET)14を露出させるために切り欠いて形成された開放部15を備え、摺動回路基板24の上を覆うカバー部25とからなり、開放部15とカバー部25との境界線上にはケース13に備えてある第1防塵壁23aと第2防塵壁23bとの間に挿入する第3防塵壁23cを備えた構成になっている。
【0042】
このような構成のカバー17は、上記説明したケース13に被せるわけであるが、被せたときに、第1防塵壁23aと第2防塵壁23bの間に第3防塵壁23cを挿入するようにして被せることで、載置されているFET14の領域からスイッチ室20の領域への隙間をなくした構成にすることができる。これは、開放された状態で備えたFET14に対して内部に塵埃の侵入を防止する防塵壁を施すことができ、スイッチ室20への塵埃の侵入を防止することができる。また、FET14が載置されている制御素子載置部22とスイッチ室20との間に防塵壁(第1〜第3防塵壁23a、23b、23c)を施すことで、FET14で発生する熱を遮蔽することができ、スイッチ室20への熱の影響を回避することができる。
又、カバー部25の上部位置には摺動操作子12の摺動軸21を係合する円筒半欠け形状の同軸係合穴26を設け、この同軸係合穴26を挟んだ上下位置に突出形成したトリガーガイドリブ27a、27bを備えた構造となっている。
この開放部15に臨まして配置されたFET14はその表面がカバー17の側壁面と面一になる。即ち、FET14を開放部15から臨ました状態で放熱板19を取り付けると、その放熱板19の内壁面にFET14の面が直接に接触させることができる構造となっているのである。
【0043】
図1及び図2、図3に示す放熱板19は、カバー17の側壁面とケース13の側壁面を覆う形状に形成され、連結部19aに連結された一方の面19bがケースに収納されているFET14の素子表面に直接触れ、連結部19aに連結された他方の面19cがケース13の側壁面を覆う大きさに形成され、FET14に直接触れる面19bからの熱はカバー17を覆う面19bに直接拡散されると同時に連結部19aを経由してケース13の側壁面を覆う面19cにまで拡散することで、FET14からの発熱を均一に発散させることができる構造になっている。
【0044】
摺動操作子12は、図3、図6及び図7に示すように、所謂、スイッチ機構を形成するもので、トリガー11の操作により、モータへの電源の供給を可能にすること、トリガー11の操作具合に応じてモータの速度を制御すること、トリガー11の操作具合によりモータへの電源を短絡して供給すること、及びモータ停止時にモータを短絡すること、の4つの機能を一つの摺動操作で行うことができる構成になっている。これらの構成については後述する。
【0045】
トリガー11は、図3、図8、図9及び図10に示すように、楕円柱形状に形成され、側壁に把持部11aを形成し、その把持部11aの反対側に摺動操作子12の摺動軸21を係合する軸係合部31を備え、この軸係合部31を挟んだ上下においてトリガーの動きをガイドするトリガーガイドリブ(29a、)29b、(27a、)27bを収納できる空洞からなるリブ係合部32a、32bを備え、このリブ係合部32a、32bに連通した把持部11a側に内部が空洞にして上部端が開放の開口部33を備えた構成になっている。
又、トリガー11の頂部においては直方体形状のトリガーストッパー部45を形成してなる。このトリガーストッパー部45は、切替操作部18が中立点のときに、トリガー11の引き込みを制止するものである。
【0046】
このような構造をしたトリガー11は、摺動操作子12の摺動軸21の先端側を軸係合部31に係合させて嵌合させると同時に、トリガーガイドリブ29a、29b、27a、27bをリブ係合部32a、32bに収納させることでトリガー11の動きをガイドする機能を持たせる。
トリガーガイドリブ29a、29b、27a、27bがリブ係合部32a、32bに係合する状態は、図9において、上部のトリガーガイドリブ27b、29bがリブ係合部32bの上端部に隙間を持たせて係合させ、下部のトリガーガイドリブ27a、29aがリブ係合部32aの下端部に隙間を持たせて係合させる構成になっている。
【0047】
このような構造をしたトリガー11が摺動軸21に係合させて、把持部11aを持って操作すると、図10に示すように、工具を使用しているうちに、トリガー11内部に蓄積した塵埃34は開口部33内に蓄積されるが、トリガー11を操作することでトリガーガイドリブ27a、29aがリブ係合部32aの奥方向に行ったときに、開口部33に蓄積されている塵埃34を開口部33の上端部の開放位置(矢印A方向)から外部に排出され、或は、トリガーガイドリブ27a、29aが係合されているリブ係合部32aの隙間を伝って本体側方向(矢印B方向)に排出される。
【0048】
このように、トリガー11を使用しているときに蓄積される塵埃をトリガーガイドリブ27a、29aの動きを利用してトリガー11の外部に排出する構成にすることで、トリガー11に蓄積された塵埃に基づくトリガー11の操作の不具合を回避することができるのである。
【0049】
摺動操作子12は、図3、図6及び図7に示すように、棒状に形成し自由端部にトリガー11を取り付けることができる摺動軸21と、摺動軸21の基部側であって頂面に平行に2つの摺動子36a、36bを配置してモータの回転速度を制御する速度制御部37を設け、この速度制御部37に対して側壁面に制御素子を短絡する可動接片上を摺動する摺動ノブ38を備えた制御素子短絡部39、制御素子短絡部39に並んだ位置にモータを制御するFETに電源を供給する可動接片上を摺動する摺動ノブ41を備えた電源供給制御部42、電源供給制御部42の反対側方向で摺動軸21の基部側にモータを短絡状態にしてブレーキをかけるためのモータ短絡部43(図7参照)を設けた構造になっている。
モータ短絡部43は、スプリング50eを介在させた摺動ノブ50dを係合穴35に係合させ、その上部から片持ち状態でモータ短絡端子片50を係合させた構成となっている。
【0050】
これら、速度制御部37、制御素子短絡部39、電源供給制御部42、モータ短絡部43により駆動する導電性の金属部材で形成されている端子片は、図3に示すように、モータ駆動端子片46、プラス電源供給端子片47、制御素子短絡端子片48、マイナス電源供給端子片49、モータ短絡端子片50、第1可動接片51、第2可動接片52の7つの接片から構成されている。
【0051】
モータ駆動端子片46は、図3及び図11に示すように、板部材の下部側を折り曲げて第1可動接片51の接点部とコンタクトする第1接点53を備え、上部位置に摺動回路基板24のFETのソース側に接続するFET接点部54を備えた構造となっている。
【0052】
プラス電源供給端子片47は、図3及び図11に示すように、細長い導電性部材で形成され、細長い板部材の頂部を折り曲げて舌状に形成し、切替操作部18で使用する切替接点のうち第1切替接点55を備え、この第1切替接点55よりも下部位置で折り曲げて形成した第1短絡56、この第1短絡56の上部位置に摺動回路基板24に係合する凸部57を有し、この凸部57より下部位置で凸部57と反対方向に二割形状に突出形成したダイオード16と接続するためのダイオード接続部58を備え、下端部にプラス電源と接続するための端子部59を備えた構造となっている。
【0053】
制御素子短絡端子片48は、図3及び図11に示すように、板部材を直角に折り曲げ、その折り曲げた端部を更に外方向に略180度折り曲げて舌状に形成された切替操作部18で使用する切替接点のうち第2切替接点61を備え、第2切替接点61を形成する基部側の平板状の部分が第2短絡62、直角に曲げた反対方向の略中間位置を直交する方向に切欠き折り曲げてFETのドレイン、ソースを短絡させて駆動させるための第2可動接片52の接点部とコンタクトする第2接点63を備え、その第2接点63よりも下部位置で上部側にFET14のドレインと接続するFET接点部64を備え、このFET接点部64と反対側にダイオード16と接続するためのダイオード接続部65を備えた構成になっている。
【0054】
マイナス電源供給端子片49は、図3及び図11に示すように、細長い板部材の上部を直角方向に折り曲げ、その折り曲げた板部材に第1可動接片51を揺動自在に載置するための第1可動接片支持部66を備え、その第1可動接片支持部66の板幅分反対側に第2可動接片52を揺動自在に載置するための第2可動接片支持部67を備え、反対側端部にはマイナス電源に接続するためのマイナス端子部68を備えた構成になっている。
【0055】
モータ短絡端子片50は、図3、図7及び図11に示すように、摺動操作子12の速度制御部37の反対側方向に配置されているもので、摺動操作子12が復帰バネ44の付勢力により外方向に付勢されているときに、プラス電源供給端子片47の第1短絡56と制御素子短絡端子片48の第2短絡62とを電気的に接続することでモータ電極間を短絡させブレーキをかける。
このモータ短絡端子片50は、金属性板部材の一端部を円弧状に形成して第1接点部50aと、他端部を円弧状に形成して第2接点部50bと、その端部を外方向に折り曲げた係止部50cとから形成されている。
【0056】
このような形状をした5つの接片は、ケース13に収容される。先ず、図11に示すように、ケース13の開口面からみた場合に、スイッチ機構を形成する空間の底部中央位置にモータ駆動端子片46を挿入して取付け、次にケース13に取付けられる摺動軸121側の前方側の壁面にプラス電源供給端子片47を取付け、ケース13の後方の壁面に制御素子短絡端子片48を取付け、最後に第1及び第2可動接片51、52を取付けたマイナス電源供給端子片49をケース13の略中央位置に取り付ける。
【0057】
図3に戻って、摺動軸21は、ケース13とカバー17で構成される同軸係合穴26、28に係合され、その同軸係合穴26、28には、パッキン69を収納するパッキン収納部70を設けた構造になっている。
【0058】
電源供給制御部42は、図11に示すように、摺動操作子12の摺動軸21の押込み具合に連動して摺動ノブ41が第1可動接片51の表面を摺動しながらすすみ、接点を第1接点53にコンタクトさせることで、モータへの電源を供給するように制御する。
第1可動接片51は、図11、図16、図17及び図18に示すように、長尺の導電性板部材で形成され、その一方の端部に電源を供給するための接点71を設け、略中間位置の幅端に第1可動接片支持部66の載置部66aに係合するための凹状に形成した係合部72を備え、その係合部72より後端位置に補助ブラシ73を係合させるための補助ブラシ係合部74を備えた構成になっている。
このような第1可動接片51は、補助ブラシ73を取付けることで第1可動接片支持部66に係合したときに容易に脱落しない構造となっており、マイナス電源供給端子片49に備えてある第1可動接片支持部66の載置部66aの位置に第1可動接片51の裏面を合わせると共に開口部66bに補助ブラシ73のバネ片76を挿入させて取付ける。
補助ブラシ73は、第1可動接片支持部66と第1可動接片51のバウンドを防止し、接触不具合を防止する役割を有する。
この第1可動接片51の接点71は、OFFのときはケース13に配置されているモータ駆動端子片46の第1接点53と対峙した位置関係(図11参照)となっている。
【0059】
このようにして第1可動接片51が配置され、その配置された第1可動接片51の上面に摺動操作子12の摺動ノブ41(図11参照)を載せる。摺動ノブ41は、内部にスプリングが組み込まれ、常時付勢した状態に維持することができる。即ち、第1可動接片51の上面に配置されると、その摺動ノブ41は、第1可動接片51の上面を付勢した状態となる。そして、図11(A)、(B)に示すように、摺動操作子12を動作させないときには復帰バネ44で押し込まれた状態になっているので、摺動ノブ41の位置は、第1可動接片51をシーソー運動させるための支軸となる第1可動接片支持部66を境にして図11で右側の後方端であり、接点71が上方向に向いた状態、即ち、第1接点53から離れた状態となっている。
このとき、摺動操作子12の下部位置に設けてあるモータ短絡部43のモータ短絡端子片50の第1接点部50aがプラス電源供給端子片47の第1短絡56と接触して接続し、且つ制御素子短絡端子片48の第2短絡62と、モータ短絡端子片50の第2接点部50bが接続してモータが短絡しており、モータへの電源供給を遮断した状態になっている。
【0060】
この状態で摺動操作子12が引き込まれると摺動軸21が動き、図12(A)、(B)に示すように、摺動操作子12の下部位置に設けてあるモータ短絡部43のモータ短絡端子片50の第1接点部50aがプラス電源供給端子片47の第1短絡56から離れ、第1接点部50aと第2接点部50bの両者が制御素子短絡端子片48の第2短絡62に接触して接続される。第1接点部50aが第1短絡56から離れることによりモータへの電源供給を可能な状態にする。
そして、その摺動軸21に連動して動く押圧部材である摺動ノブ41が第1可動接片51の上面を摺動しながら接点71方向に動く。
すると、摺動ノブ41がマイナス端子40の第1可動接片支持部66を越えると、第1可動接片51が水平方向に戻され、接点71が第1接点53にコンタクトする。これで、図示しない、モータに電源が供給される体制ができ、あとは速度制御部37の制御により、モータの回転速度が制御される。
【0061】
速度制御部37は、図3、図6、図7、図13及び図15に示すように、摺動操作子12に連結され、摺動操作子12に連動する並行に並べて配置された2つの摺動子36a、36bと、摺動操作子12に連動する摺動子36a、36bに弾性接触するための摺動接触子81、82、83、84を備えた摺動回路基板24(図15参照)と、から大略構成されている。
【0062】
摺動回路基板24は、表面に回路素子を搭載し、裏面に摺動子36a、36bと摺動する摺動接触子81、82、83、84を備えた構造になっている。
【0063】
摺動子36a、36bは導電性部材であって細長い板状部材で形成され、全体として弓状になるように形成された両側端部を二股形状に形成し、その二股形状に形成した先端部を上方向折り曲げて更に下方向に折り曲げて接点となし、中央位置に穴を開けて基部から突出したボスに係合した構造となっている。
【0064】
このような構造をした速度制御部37は、摺動操作子12が復帰バネ44に抗してトリガー11で操作されると摺動子36a、36bが摺動回路基板24の摺動接触子81、82、83、84に接触し、この接触状態は、電源供給制御部42の電源スイッチのオン状態等に関連してモータに対して、回転率0パーセントから略100パーセントまで制御し、モータ回転率略100パーセントにおいては制御素子短絡部39が動作して短絡状態に制御することで、モータに略100パーセントの電源が供給される。
【0065】
制御素子短絡部39は、図3、図13及び図14に示すように、電源供給制御部42の摺動ノブ41と同じように摺動ノブ38で第2可動接片52の上を摺動しながら接点をオンさせるものである。
第2可動接片52は、図19乃至図22に示すように、長尺の導電性板部材で形成され、その一方の端部に制御素子を短絡させるための接点85を設け、略中間位置の幅端に第2可動接片支持部67の載置部67aに係合するための凹状に形成された係合部87を備え、その係合部87より後端位置に補助ブラシ91を係合させるための補助ブラシ係合部88を備えた構成になっている。
補助ブラシ91は、第1可動接片51に取付けた補助ブラシ73と同様の形状をしているが、取付けかたが互いに逆方向になるように取付けるようになっている。
このような第2可動接片52は、補助ブラシ91を取付けることで第2可動接片支持部67に係合したときに容易に脱落しない構造となっており、マイナス電源供給端子片47に備えてある第2可動接片支持部67の載置部67aに第2可動接片52の裏面を合わせると共に開口部67bに補助ブラシ91のバネ片92を挿入させて取付ける。
補助ブラシ71は、第1可動接片支持部67と第2可動接片52のバウンドを防止し、接触不具合を防止する役割を有する。
この第2可動接片52の接点85は、OFFのときはケース13に配置されている制御素子短絡端子片48の第2接点63(図13参照)と対峙した位置関係となっている。
【0066】
このようにして第2可動接片52が配置され、その配置された第2可動接片52の上面に摺動操作子12の摺動ノブ38を載せる。摺動ノブ38は、内部にスプリングが組み込まれ、常時付勢した状態に維持することができる。即ち、第2可動接片52の上面に配置されると、その摺動ノブ38は、第2可動接片52の上面を付勢した状態となる。そして、摺動操作子12を動作させないときにはスプリングで押し込まれた状態になっているので、摺動ノブ38の位置は、第2可動接片52をシーソー運動させるための支軸となる第2可動接片支持部67を境にして図13で右側の後方端であり、接点85が上方向に向いた状態、即ち、第2接点63から離れた状態(図13参照)となっている。
【0067】
このような構造からなる制御素子短絡部39において、先ず、図13に示す状態において、摺動操作子12が押されると、連結してある制御素子短絡部39の摺動ノブ38が第2可動接片52上面を摺動しながら同じ方向に動く。
そして、図14に示すように、更に摺動操作子12が押されると、摺動ノブ38が第2可動接片52の上面を摺動しながら第2可動接片支持部67位置を通過することで接点85が第2接点63方向に動き、接点85が第2接点63にコンタクトすることで制御素子を短絡させてモータを略100%回転させることができるのである。
【0068】
上記説明したスイッチ機構について、図23に示す等価回路を参照して説明すると、トリガー11が操作されていないときのは復帰スプリング44の復帰力により摺動操作子12が押され、モータ短絡端子片50の第1接点部50aが第1短絡56に、第2接点部50bが第2短絡62に接続してモータ電極間を短絡させモータへの電源供給を遮断する。
トリガー11を押し込むとトリガー11に連結された摺動操作子12も可動し、モータ短絡端子片50も動き、第1接点部50aと第1短絡56とが離れ、モータへの電源供給が可能になる。
更に、トリガー11が押されると第1可動接片51がオンし、制御素子の制御が可能になる。
そして、ある程度の操作量に達すると第2可動接片52がオンし、電源電圧を略100%モータに印加させることができる。
【0069】
切替操作部18は、図24(A)、(B)及び図3に示すように、扇状に形成されたレバー95の先端部分にノブ96を突出形成し、そのノブ96と離れた位置に連続して一段ずらして略台形形状に形成した切替端子部97を備え、レバー95と切替端子部97の接合点の下部方向に突出形成したレバー中心軸98を備えた構成になっている。
レバー95の先端側であってノブ96と反対方向には先端が丸み帯びた形状のレバー突起99を備えた構成になっている。
切替端子部97は、2つの接続片101a、101bをハの字状に係合して回動させることで、接点の接続を替えるもので、制御素子短絡端子片48の頂部に備えてある第2切替接点61、プラス電源供給端子片47の頂部に備えてある第1切替接点55、第1切替端子片102に備えた第3切替接点103、第1切替端子片102に備えた第4切替接点104、第2切替端子片105に備えてある第5切替接点106、の5つの接点に2つの接続片101a、101bを切替えることでモータの正逆回転を制御する。
【0070】
レバー95と切替端子部97との接合点に備えたレバー中心軸98が、ケース13の中心穴107に係合して切替端子部97の回動の中心となる。この切替端子部97には、ハの字状に形成された接続片101a、101bを係合する孔108a、108b及び溝109a、109bを備え、その孔108a、108b及び溝109a、109bを結ぶ中心位置に設けた穴100a、100bにスプリング110を係合することで、接続片101a、101bの中心位置を常に付勢する構成となっている。
【0071】
二つの接続片101a、101bは、細長く形成された両端部を同一方向に略垂直に折り曲げて形成された係合凸部113a、113bと、この係合凸部113a、113bの反対側の面が接点(第4切替接点104と第1切替接点55、第5切替接点106と第2切替接点61或は第1切替接点55と第5切替接点106、第3切替接点103と第2切替接点61)と接触する接触面を形成し、両端に設けた係合凸部113a、113b側の中心位置がスプリング110の付勢力を得て、接触面を常時接点方向に押圧している構成となっている。
このような構成からなる切替操作部18は、レバー95のノブ96を手で一定方向に動かすことで、接続片101bが第1切替接点55と第4切替接点104に接続し、接続片101aが第5切替接点106と第2切替接点61に接続する。ノブ96を他方方向に動かすことで、接続片101bが第1切替接点55と第5切替接点106に接続し、接続片101aが第3切替接点103と第2切替接点61に接続する。
【0072】
そして、図25に示すように、レバー95が中立状態で、操作部(トリガー)11を引き込む方向(矢印A方向)に動かした時、トリガーストッパー部45の先端がレバー突起99で制されトリガー11の引き込みが制止される。
【産業上の利用可能性】
【0073】
トリガーには、リブが係合する開放部に加えて、この開放部に連通した空間が底部及び頂部に設けたことにより、リブが係合したときに発生する塵埃をこの連通した空間を介して外に放出することができるため、トリガー内部に塵埃が蓄積することを回避することが可能になり、トリガーの操作不具合になることを未然に防止するトリガースイッチを提供する。
【0074】
更に、カバーに設けた制御素子を開放状態にする開口部を設けると共に、この開口部を境にした位置に防塵壁を設けた構造にすることで、開口部から侵入した塵埃がスイッチ機構部側に侵入することを回避することができるトリガースイッチを提供する。
【符号の説明】
【0075】
11 トリガー
12 摺動操作子
13 ケース
14 制御素子
15 開放部
17 カバー
18 切替操作部
19 放熱板
19a 連結部
19b 面
20 スイッチ室
21 摺動軸
22 制御素子載置部
23a 第1防塵壁
23b 第2防塵壁
23c 第3防塵壁
24 摺動回路基板
25 カバー部
26 同軸係合穴
27a トリガーガイドリブ
27b トリガーガイドリブ
28 同軸係合穴
29a トリガーガイドリブ
29b トリガーガイドリブ
31 軸係合部
32a リブ係合部
32b リブ係合部
33 開口部
34 塵埃
36a 摺動子
36b 摺動子
37 速度制御部
38 摺動ノブ
39 制御素子短絡部
41 摺動ノブ
42 電源供給制御部
43 モータ短絡部
44 復帰バネ
45 トリガーストッパー部
46 モータ駆動端子片
47 プラス電源供給端子片
48 制御素子短絡端子片
49 マイナス電源供給端子片
50 モータ短絡端子片
50a 第1接点部
50b 第2接点部
50c 係止部
50d 摺動ノブ
50e スプリング
51 第1可動接片
52 第2可動接片
53 第1接点
54 FET接合部
55 第1切替接点
56 第1短絡
57 凸部
58 ダイオード接続部
59 端子部
61 第2切替接点
62 第2短絡
63 第2接点
64 FET接合部
65 ダイオード接続部
66 第1可動接片支持部
66a 載置部
66b 開口部
67 第2可動接片支持部
67a 載置部
67b 開口部
68 マイナス端子部
69 パッキン
70 パッキン収納部
71 接点
72 係止部
73 補助ブラシ
74 載置部
75 開口部
76 バネ片
81 摺動接触子
82 摺動接触子
83 摺動接触子
84 摺動接触子
85 接点
88 補助ブラシ係合部
91 補助ブラシ
92 バネ片
95 レバー
96 ノブ
97 切替端子部
98 レバー中心軸
99 レバー突起
100a 穴
100b 穴
101a 接続片
101b 接続片
102 第1切替端子片
103 第3切替端子片
104 第4切替端子片
105 第2切替端子片
106 第5切替端子片
107 中心穴
108a 孔
108b 孔
109a 溝
109b 溝
110 スプリング
113a 係合凸部
113b 係合凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリガーの摺動操作に基づいてケース内部のスイッチ機構をスイッチング操作するトリガースイッチであって、
前記ケースを覆うカバーの外側側壁面に露出した状態で制御素子を配置し、この制御素子を配置する室と前記スイッチ機構を構成する室との間に塵埃を遮蔽するための防塵壁を施したことを特徴とするトリガースイッチ。
【請求項2】
前記トリガーは、該トリガーのスライド動作をガイドするためのトリガーガイドリブが挿入されるリブ係合部に塵埃が排出される開放部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のトリガースイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【公開番号】特開2012−94553(P2012−94553A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−32573(P2012−32573)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【分割の表示】特願2007−222700(P2007−222700)の分割
【原出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(301040796)佐鳥エス・テック株式会社 (26)
【Fターム(参考)】