説明

トリガー組成物を有する高吸収性ポリマー組成物

本発明は、膨潤、収縮および再膨潤挙動を示す吸収性組成物に関する。特に、本発明の吸収性組成物は、水性液体にさらされた後に、膨潤して液体を吸収し、そして収縮して吸収性組成物から液体を遊離し、さらに再膨潤し、液体を吸収する。膨潤、収縮および再膨潤挙動は、吸収性複合体における向上した液体分配を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高吸収性ポリマー組成物とは、水膨潤性で不水溶性であり、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を含む水溶液中で、少なくともそれ自体の質量の約10倍から約25倍以上もの質量を吸収することができる材料をいうのが通常である。本発明は、水、水性液体および血液を吸収する、高吸収性ポリマー組成物(superabsorbent polymer compositions)に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸収性ポリマーは、架橋され、部分的に中和されたポリマーであり、膨潤とヒドロゲルの生成を伴って、大量の水性液体、または尿もしくは血液のような体液、を吸収し、かつ高吸収性材料の一般的な定義にしたがって、ある圧力下でそれらを保持することができる。高吸収性ポリマー組成物は表面架橋、表面処理および他の処理のような、高吸収性ポリマーの後処理を含み得る。高吸収性ポリマー粒子は、高吸収性ポリマーまたは高吸収性ポリマー組成物の粒子である。頭文字SAPも、高吸収性ポリマー組成物およびその粒子の代わりに用いられ得る。高吸収性ポリマー組成物ならびにその使用および製造についての包括的な調査が、F.L.Buchholz およびA.T.Graham (編者)による「Modern Superabsorbent Polymer Technology」,Wiley-VCH, New York, 1998 によりなされている。
【0003】
商業的に入手し得る高吸収性ポリマー組成物は、架橋ポリアクリル酸または架橋デンプン−アクリル酸グラフトポリマーであり、そこではカルボキシル基の一部が水酸化ナトリウム溶液または水酸化カリウム溶液で中和されている。
【0004】
高吸収性ポリマー組成物の主な用途は、衛生用品、たとえば乳幼児用おむつ、失禁用製品または衛生タオルに用いられる吸収剤複合体にある。適合性、快適性および審美的な理由、ならびに環境面から、衛生用品をもっと小さく、薄くする傾向が増大している。これは、これらの用品において高体積の綿毛繊維の含有量を減少させることにより達成される。衛生用品における体液の一定の合計保持容量を確保するために、もっと高い含有量の高吸水性ポリマー組成物がこれらの衛生用品において用いられている。
【0005】
吸収剤複合体における液体分配(fluid distribution)は、分配に利用し得る遊離液体の量、吸収剤複合体の構造および材料、ならびに時間的要因に依存するのが通常である。しかし、吸収剤物品のコア(cores)に有用な、現在の吸収剤複合体は、不適切である、すなわち望ましい液体分配特性よりも劣る、のが通常であり得る。必ずしもすべての高吸収性ポリマー組成物が液体を吸収するとは限らないので、乏しい液体分配は吸収剤複合体の十分な利用効率を低下させる。
【0006】
吸収剤複合体において液体分配を改良するために、この分野で知られている1つの可能な解決法は、遅い吸収性速度を有する高吸収性ポリマー組成物を用いることである。遅い吸収性速度の高吸収性ポリマー組成物を用いる理論は、ゲルブロッキングを消散または遅延させて、それにより液体が侵襲標的領域(insult target area)から分配するように、もっと多い遊離液体と時間を与えることである。しかし、分配は遅い高吸収剤を用いて向上され得るが、吸収剤複合体は必要な漏れ保護を与えないのが典型的である。
【0007】
遅い吸収性の高吸収性ポリマー組成物の使用において見られ得るように、閉じ込め(lockup)と分配の機能の間に衝突がある。1つの課題は、高吸収性ポリマー組成物に液体を閉じ込め、SAP膨潤により複合体構造を開放(open up)するのに必要な時間が比較的長いことである。吸収剤製品のコアに入るのが困難であり、使用時に吸収剤製品からの液体漏れの原因と考えられるのは、液体侵襲時に標的領域にある、この遊離液体である。漏れを減少させるために、高吸収性ポリマー組成物は、液体供給速度と同様な速度で液体を閉じ込める必要があり、その結果、吸収剤製品は、適切な液体ハンドリング機能性を有する。しかし、高吸収性ポリマー組成物が液体を吸収すると、液体侵襲後に分配されるべき遊離液体がないので、液体の分配は減少する。急速に液体を閉じ込め、ついでこの液体を分配されるように徐々に遊離する能力を有する高吸収性ポリマー組成物を用いることは、望ましい漏れおよび分配挙動を生じさせる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】F.L.Buchholz およびA.T.Graham (編者)「Modern Superabsorbent Polymer Technology」,Wiley-VCH, New York, 1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
液体分配特性を向上させるが、他の吸収特性を維持し、それにより高吸収性ポリマー組成物の吸収能力を最大限にする高吸収性ポリマー組成物に対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、液体の分配を向上させる多機能材料を利用する吸収剤組成物に関する。現在の市販高吸収性ポリマー組成物は、膨潤し、液体を吸収するように作用する。本発明は、膨潤し、液体を吸収し;さらに収縮(deswell)し、膨潤高吸収性ポリマー組成物から液体を遊離し得;さらに再膨潤し、付加的な液体侵襲から液体を吸収し得る、吸収剤組成物の使用に関する。
【0011】
本発明の吸収剤組成物は、高吸収性ポリマー組成物およびトリガー組成物(triggering composition)を含む。本発明のトリガー組成物は、高吸収性ポリマーを誘発(trigger)して収縮(deswell)または再膨潤(reswell)する、水溶性化学品を含む。
【0012】
本発明の高吸収性ポリマー組成物は、液体の吸収の間に膨潤し、そして1つの態様において、トリガー組成物により誘発されて、収縮し液体を遊離し得る。誘発された収縮により遊離された遊離液体は、ついで、最初の侵襲が生じた、膨潤高吸収性ポリマー組成物から分配される。1つの態様において、収縮した高吸収性ポリマー組成物は、第2のトリガー組成物により誘発されて再膨潤し、液体を吸収し得る。その膨潤−収縮−再膨潤のサイクルは、侵襲液体が吸収剤複合体にわたって閉じ込められ、遊離され、分配されるのを可能にし、ついで続く液体侵襲の際に再膨潤し、全吸収剤複合体の吸収剤容量を十分に利用し、漏れを最小限にすることができる。
【0013】
本発明のもう1つの態様において、高吸収性ポリマー組成物は、トリガー化学品の溶解度変化により誘発されて、収縮し再膨潤し得る。本発明の1つの態様において、吸収剤組成物は、アニオン官能基を有する高吸収性ポリマー組成物、2価以上の、イオン化された原子価を持つカチオンXを含む第1水溶性化学品からなる第1トリガー組成物、ならびにアニオンYを含む第2水溶性化学品からなる第2トリガー組成物を含み得、ここで第1水溶性化学品のカチオンXは、第2水溶性化学品のアニオンYと錯体形成(complexing)することができ、溶解度積定数(solubility product constant)Ksp<10−5を有する塩を形成する。
【0014】
さらに、本発明は、トリガー組成物からの活性剤の遊離について選ばれた遊離プロファイルを有するトリガー組成物、ならびにそのようなトリガー組成物の調製方法に関する。異なる吸収剤用途および/またはトリガー組成物は、特異的(singular)遊離プロファイルまたはS字状(sigmoidal) 遊離プロファイルのような、異なる種類の遊離プロファイルを要求し得る。1つの態様において、トリガー組成物の遊離プロファイルは、水溶性化学品の表面に塗布される適切な被覆ポリマーを選ぶことにより調節され得る。もう1つの態様において、さらに遊離プロファイルは、被覆ポリマーを塗布する被覆方法を調整することにより調節され得る。
【0015】
さらに、本発明は、膨潤−収縮−再膨潤挙動を示す吸収剤組成物、ならびにその膨潤−収縮−再膨潤サイクルのタイミングを調節する方法に関する。本発明の1つの態様は、高吸収性ポリマー組成物、第1水溶性固体化学品を遊離するための、選択された遊離プロファイルを有する第1トリガー組成物、ならびに第2トリガー組成物から第2水溶性固体化学品を遊離するための遊離プロファイルを有する第2トリガー組成物、を含む吸収剤組成物であり、ここで第1水溶性化学品は、水性液体にさらされた後であって、第1水溶性化学品が約100%遊離される前に、第2水溶性化学品よりも高い累積的な遊離を有する。液体を吸収/遊離するタイミングは、第1および第2のトリガー組成物について、適切な遊離プロファイルを選定することにより、および/または第1および第2のトリガー組成物の遊離速度を調整することにより、および/または高吸収性ポリマー組成物の吸収速度を変えることにより、および/または高吸収性ポリマー組成物、第1トリガー組成物および第2トリガー組成物の混合比を変えることにより、調節され得る。頭字語1stTCおよび2ndTCは、ここではそれぞれ第1トリガー組成物および第2トリガー組成物の代わりに用いられ得る。
【0016】
本発明のさらなる1つの態様は、膨潤−収縮−再膨潤サイクルにおいて改良された吸収容量効率と質量効率(mass efficiency)を有する高吸収性ポリマー組成物に関する。その吸収容量効率の改良は、通常、市販の高吸収性ポリマー組成物を含む吸収剤組成物と比較して、吸収剤組成物の膨潤または再膨潤能力の増加をいう。その質量効率は、同一量の収縮液体量を達成するが高吸収性ポリマーに関して収縮トリガー組成物の比較的少ない%の利用をいう。その容量効率改良は、高吸収性ポリマー組成物の中和および架橋の程度を調整することにより、および/または高吸収性ポリマー組成物の吸収速度を変えることにより、および/または高吸収性ポリマー組成物、第1トリガー組成物および第2トリガー組成物の混合比を変えることにより達成され得る。さらに、その質量効率改良は、同様にして達成され得る。
【0017】
本発明の多くの他の特徴と利点は以下の記載から明らかであろう。その記載においては、言及は本発明の典型的態様についてなされている。このような態様は本発明の全範囲を表すものではない。したがって、言及は、本発明の全範囲を解釈するための請求項についてなされるべきである。簡潔の点から、本明細書に示される値のいかなる範囲も範囲内のすべての値を意図し、問題の特定範囲内の実数値である終点を持つ、下位の範囲を引用する請求項を支持するものと解釈されるべきである。仮定上の例証例(hypothetical illustrative example)として、1〜5の範囲の、本明細書の開示は、次の範囲:1〜5;1〜4;1〜3;1〜2;2〜5;2〜4;2〜3;3〜5;3〜4;および4〜5のいかなる範囲についても請求項を支持すると考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の前述および他の特徴、態様および利点は、次の説明、請求項および添付図面により、もっとよく理解されるであろう。
【図1】ポリ(メタ)アクリレート被覆スルファミン酸の遊離プロファイルのプロット図である。
【図2】ポリ(メタ)アクリレート被覆ギ酸カルシウムの遊離プロファイルのプロット図である。
【図3】酢酸セルロースおよび酢酸セルロース/エチルセルロース被覆ギ酸カルシウムの遊離プロファイルのプロット図である。
【図4】ポリ(メタ)アクリレート被覆炭酸ナトリウムの遊離プロファイルのプロット図である。
【図5】マレイン酸変性ポリプロピレン被覆炭酸ナトリウムの遊離プロファイルのプロット図である。
【図6】特定のSAP製品の第1トリガー組成物との種々のブレンドについての、膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図である。
【図7】特定のSAP製品の第1トリガー組成物および第2トリガー組成物との種々のブレンドについての、膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図である。
【図8】高吸収性ポリマー組成物SAP−Bならびにトリガー組成物1stTC‐Aおよび2ndTC‐Bについての、膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図である。
【図9】SAP−CおよびSAP−Dの、トリガー組成物1stTC‐Aおよび2ndTC‐Bとの種々のブレンドについての膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図である。
【図10】特定のSAP製品ならびにトリガー組成物1stTC‐Cおよび2ndTC‐Aについての、膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図である。
【図11】高吸収性ポリマー組成物SAP−Bの、第1および第2トリガー組成物との種々のブレンドについての、膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図である。
【図12】高吸収性ポリマー組成物SAP−Dの、トリガー組成物1stTC‐Fおよび2ndTC‐Cとの種々のブレンドについての、膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図である。
【図13】膨潤/収縮/再膨潤試験のための装置である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(定義)
本発明の開示に使用されるとき、”comprises”、”comprising”、および他の ”comprises”(からなる、含む)に由来する用語は、特徴、要素、整数、ステップ、または成分の存在を述べるオープンエンド型の用語であることが意図され、1つ以上の特徴、要素、整数、ステップ、成分またはそれらの群の存在または付加を除外することを意図するものではない。
【0020】
用語「吸収剤物品」(”absorbent article”)は、液体を吸収して含むことができるデバイスをいうのが通常である。たとえば、パーソナルケア用吸収性物品は、身体から排出される種々の流体を吸収し含むために皮膚に対して、または近くに置かれるデバイスをいう。
【0021】
用語「吸収剤複合体」(”absorbent composite”)は、繊維、発泡体、不織布、フィルムまたは他のキャリア材料を含む(これらに限定されない)他の成分を有する高吸収性ポリマー組成物または吸収剤組成物の混合物をいうのにここでは用いられる。
【0022】
用語「吸収剤組成物」(”absorbent composition”)は、高吸収性ポリマー組成物および少なくとも1つのトリガー組成物の組み合わせをいう。
【0023】
用語「被覆」(“coating”)は、表面を覆われた物質の層を意味するのにここでは用いられる。用語「錯体化」(“complexing”)は、リガンド(たとえばアニオン)および金属イオンの組み合わせによる分子の形成を記述するのにここでは用いられる。
【0024】
吸収性ポリマーに関して用いられる、用語「架橋された」(”crosslinked”)は、通常水溶性である材料に実質的に水不溶性であるが膨潤性を有効に与える如何なる手段をもいう。このような架橋は、たとえば物理エンタングルメント(もつれ)(physical entanglement)、結晶ドメイン、共有結合、イオン結合型錯体(ionic complexes)および会合、水素結合のような親水性会合、疎水性会合、またはファンデルワールス力、を含む。
【0025】
用語「脱着する」(“desorb”)は、ここでは高吸収性ポリマー組成物が液体を遊離することを意味するのに用いられる。
【0026】
用語「収縮する」(“deswell”)は、ここでは液体が高吸収性ポリマー組成物から脱着される間に生じる高吸収性ポリマー組成物のサイズ減少をいうのに用いられる。
【0027】
用語「使い捨て可能な」(”disposal”)は、ここでは1回の使用後に吸収性物品として、洗濯され、修繕され、または再使用される、ようには意図されない吸収性物品をいう。このような使い捨て可能な吸収性物品の例は、パーソナルケア用吸収性物品、健康/医療用吸収性物品、および家庭/産業用吸収性物品を含むが、これらに限定されない。
【0028】
用語「乾燥高吸収性ポリマー組成物」は、湿分約10%未満の高吸収性ポリマー組成物をいうのが通常である。
【0029】
用語「多価イオン」(“multivalent ions”)は、ここでは1つ以上の電子の損失により創り出されるカチオン(陽イオン)として、または1つ以上の電子の獲得により創り出されるカチオン(陰イオン)として、多数の電子の損失または獲得により形成される、電気的に荷電された原子または原子群を意味するのに用いられる。
【0030】
用語「粒子」(”particle”, “particulate”等)は、用語「高吸収性ポリマー」とともに用いられるとき、個別の(discrete)単位の形状をいう。その単位は、フレーク、繊維、凝集体、顆粒、粉、球、粉末等、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。粒子は所望の形状を有していてもよい:たとえば、立方体、棒状、多面体、球状、または半球状、円筒状、半円筒状、角のある(angular)、凹凸のある(irregular)、等である。針、フレーク、繊維のような、高アスペクト比を持つ形状もここに含まれる。用語「粒子」(”particle”, “particulate”)は、個々の粒子等よりも多くからなる凝集体も含み得る。さらに、粒子またはそれらのいかなる所望の凝集体も1つの種類よりも多くから構成され得る。
【0031】
用語「ポリマー」(“polymer”)は、ホモポリマー、コポリマー、たとえばブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー、ターポリマー等、およびブレンドならびにそれらの改質、を含むが、それらに限定されない。さらに、そうでなように特に限定されていなければ、用語「ポリマー」は、すべての可能な配置異性体物質を含む。これらの配置はアイソタクチック、シンジオタクチック、およびアタクチック対称を含むが、それらに限定されない。
【0032】
ここで用いられる用語「ポリオレフィン」(“polyolefin”)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、エチレンビニルアセテートコポリマー等、それらのホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等、およびブレンドならびにそれらの改質、を通常含むが、それらに限定されない。用語「ポリオレフィン」は、その可能なすべての構造を含み、アイソタクチック、シンジオタクチック、およびランダム対称を含むが、それらに限定されない。コポリマーはアタクチックおよびブロックコポリマーを含む。
【0033】
用語「遊離プロファイル」(“release profile”)は、ここでは時間の関数として、トリガー組成物から溶液に遊離される活性剤の量をいい、時間の関数としてトリガー組成物中に存在する活性剤の合計量の%として表される。累積遊離として示されるのが典型的であり、個々の物質の溶液中への活性剤遊離の概要の図として示され得る。
【0034】
用語「再膨潤」(“reswell”)は、ここでは液体が収縮後に高吸収性ポリマー組成物により吸収される間に生じる高吸収性ポリマー組成物のサイズの増加をいうのに用いられる。
【0035】
用語「特異的遊離プロファイル」(“singular release profile”)は、凹型の下向き曲線により表される遊離プロファイルをいう。その最初の遊離速度は、速いが、次第に遅くなる。
【0036】
用語「S字状遊離プロファイル」(“sigmoidal release profile”)は、凹型の上向き、ついで凹型の下向きの曲線により表される遊離プロファイルをいう。最初の遅延(lag)相、険しい中間遊離相、そして遅い最終遊離相により特徴付けられるのが通常である。
【0037】
用語「溶解度積定数」(“solubility product constant”)は、溶液中の固体とその個別イオンの間の平衡について定義される簡易化平衡定数(Ksp)である。その値は、化合物が水中で解離する度合いを示す。塩についてのKsp表示は、イオン濃度の積であり、各濃度は溶解度平衡に関する平均のとれた式におけるイオンの係数(coefficient)に等しい力に上昇される。
【0038】
用語「高吸収性材料」は、水膨潤性で不水溶性の有機または無機材料をいい、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を含む水溶液中で、少なくともそれ自体の質量の約10倍、または少なくともそれ自体の質量の約15倍、または少なくともそれ自体の質量の約25倍の質量を、最適の条件下で吸収することができる、高吸収性ポリマーおよび高吸収性ポリマー組成物を含む。
【0039】
用語「高吸収性ポリマー組成物」は、本発明にしたがって表面添加剤を含む高吸収性ポリマーをいう。
【0040】
用語「高吸収性ポリマー」(“superabsorbent polymer”)および「高吸収性ポリマー予備生成物」(“superabsorbent polymer preproduct”)は、ここで述べられる高吸収性ポリマーの製造し、材料を乾燥し、そしてクラッシャーで粗摩砕(coarse grinding)する全段階を実施して、製造される材料をいう。
【0041】
用語「表面架橋」(“surface crosslinking”)は、高吸収性ポリマー粒子の表面近くの機能的架橋のレベルが高吸収性ポリマー粒子の内部の機能的架橋のレベルよりも通常高いことを意味する。ここで用いられるように、「表面」は粒子の外側境界を説明する。多孔質高吸収性ポリマー粒子について、露出された内部表面も表面の定義に含まれる。
【0042】
用語「膨潤」(“swell”)は、ここでは液体が高吸収性ポリマー組成物により吸収される間に生じる高吸収性ポリマー組成物のサイズ増加をいうのに用いられる。
【0043】
用語「熱可塑性」(“thermoplastic”)は、熱にさらされると軟化し、そして室温に冷却されると非軟化状態にもどる材料を説明する。
【0044】
用語「トリガー組成物」(“triggering composition”)は、ここでは遊離されるときに、高吸収性ポリマー組成物に、要求されるとおりに収縮または再膨潤を生じさせる化学品を含む材料をいうのに用いられる。
【0045】
用語「wt%」は、ここで用いられ、高吸収性ポリマー組成物の成分に言及するとき、特に異なって特定されなければ、乾燥高吸収性ポリマー組成物の質量に基づいて解釈されるべきである。
【0046】
これらの用語は、本明細書の残りの部分において追加言語で定義され得る。
【0047】
本発明による吸収剤組成物は、その組成物が大量の尿もしくは他の体液を急速に吸収する性質を有し、衛生タオル、おむつもしくは創傷被覆材のような多くの製品に使用され得る。本発明による吸収剤組成物は、液体を急速に閉じ込め(lockup)、ついで徐々にこの液体を遊離する能力を有するので、その液体は吸収剤組成物全体に分配され得、吸収剤複合体の比較的高い利用効率をもたらし得、その結果、従来の現在の吸収剤製品に比較して、基材(basis)質量の減少した、またはさらに良好な適合のための狭いクロッチ(crotch)をもつ、高度に成形された吸収剤複合体を有する、比較的薄い物品にもっと好適に利用される。さらに、このような吸収剤複合体は、おむつ構成内で綿毛のない均一な高吸収性層として使用するのに適切であり得、比較的薄い衛生物品の可能性をもたらす。
【0048】
さらに、本発明の吸収剤組成物は、さらなる用途に適切な吸収剤物品に使用され得る。特に、本発明の吸収剤組成物は、水または水性液体用の吸収剤製品のための吸収剤複合体に使用され得、望ましくは体液の吸収のための構成に、発泡および非発泡のシート様構造に、包装材料に、土壌改良剤として、または活性化合物キャリアとして、植物成長のための構成に、用いられ得る。このために、紙または綿毛または合成繊維と混合することにより、または紙、綿毛または不織布の間に吸収剤組成物粒子を分配することにより、またはキャリア材料に加工することにより、ウェブに加工される。さらに、それらは、創傷用包帯、包装、農業用吸収剤、食品用トレイまたはパッド、等のような吸収剤複合体の用途に適している。
【0049】
本発明の1つの態様において、高吸収性ポリマー組成物は膨潤し、液体を吸収し、そしてトリガー組成物が適用されるとき、収縮して液体を遊離することができ、そして第2のトリガー組成物が適用されるとき、再膨潤および液体の吸収が再び生じ得る。「膨潤」は、液体が高吸収性ポリマー組成物により吸収される間に生じる高吸収性ポリマー組成物のサイズ増加をいう。高吸収性ポリマー組成物において生じる膨潤のために、液体は吸収されなければならない;したがって、高吸収性ポリマー組成物が膨潤するということは、高吸収性ポリマー組成物が液体を吸収することをも意味する。「収縮」は、液体が高吸収性ポリマー組成物から脱着される間に生じる高吸収性ポリマー組成物のサイズ減少をいうのに用いられる。高吸収性ポリマー組成物において生じる収縮のために、吸収された液体は脱着、すなわち高吸収性ポリマー組成物から遊離されなければならない;したがって、高吸収性ポリマー組成物が収縮されるということは、高吸収性ポリマー組成物が液体を遊離することを意味する。「再膨潤」は、液体が収縮後に高吸収性ポリマー組成物により吸収される間に生じる高吸収性ポリマー組成物のサイズの増加をいう。
【0050】
本発明の高吸収性ポリマー組成物は、トリガー組成物が適用された後、収縮し、液体を脱着することができる。本発明の1つの態様において、高吸収性ポリマー組成物が、吸収された液体で飽和または実質的に飽和された後に、トリガー組成物が作用する。トリガー組成物は、高吸収性ポリマー組成物に、収縮させ、吸収された液体を遊離させ得る。
【0051】
高吸収性ポリマー組成物およびトリガー組成物は、約1:0.01〜約1:10、または約1:0.1〜約1:2の質量比で吸収剤組成物中に存在し得る。吸収剤組成物は、高吸収性ポリマー組成物の約10〜約90wt%、第1トリガー組成物の約5〜約60wt%、第2トリガー組成物の約5〜約60wt%含み得る。
【0052】
ここで述べるトリガー組成物は、ベビー用おむつのようなパーソナルケア製品に組み入れられるとき、複合体製品から容易に移行し得ないようなサイズであり得る。通常、トリガー組成物は、約5μm〜約1000μm、約50μm〜約1000μm、約100μm〜約850μm、または約150μm〜約850μmの粒径を有する。
【0053】
トリガー組成物は、ブレンド、カプセル化、被覆、バインダー材料を用いた取り付け(attaching)、プリント、ラミネート、戦略的ブレンド、および/または複合体のポケットへの配置、それらの組み合わせ、または他の手段、により、吸収剤複合体に適用され得る。トリガー組成物は、時間遅延効果を有し、そのような効果が消却されるときに作用し始めるにすぎない。
【0054】
本発明の1つの態様において、トリガー組成物の少なくとも1つは、高吸収性ポリマー組成物から空間的に分離される。
【0055】
本発明の高吸収性ポリマー組成物は、液体の吸収時に膨潤し、そして1つの態様において、第1のトリガー組成物により誘発されて収縮して、液体を遊離し得る。さらに、その収縮された高吸収性ポリマー組成物は、第2のトリガー組成物により誘発されて再膨潤して、液体を吸収し得る。その膨潤−収縮−再膨潤サイクルは、多数回繰り返され得る。
【0056】
本発明のもう1つの態様において、高吸収性ポリマー組成物は、トリガー組成物化学品の溶解度の変化により誘発されて、収縮され、そして再膨潤され得る。本発明の1つの態様において、吸収剤組成物は、アニオン官能基を有する高吸収性ポリマー組成物;2つ以上のイオン化された原子価を有するカチオンXを含む、第1の水溶性化学品からなる第1のトリガー組成物;ならびにアニオンYを含む、第2の水溶性化学品からなる第2のトリガー組成物、を含み得、ここで第1の水溶性化学品のカチオンXは、第2の水溶性化学品のアニオンYと錯体を形成すること(complexing)ができ、溶解度積定数Ksp<10−5を有する塩を形成する。これにより制限する意図はないが、第1のトリガー組成物と高吸収性ポリマーとの間のイオン交換反応は、高吸収性ポリマーを誘発して収縮させ、吸収された液体を遊離させる、ゲルネットワーク中にイオン性架橋を生じさせ得ると仮定される。第2のトリガー組成物と収縮された高吸収性ポリマーの間のイオン交換反応は、イオン性架橋の少なくとも1部を除去し得、その結果、高吸収性ポリマーは再膨潤して、さらに液体を吸収し得る。
【0057】
ここで述べられる第1の水溶性化学品は、2以上のイオン化された原子価を有するカチオンを含む。その第1の化学品の具体例は、たとえば塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、ギ酸亜鉛および硫酸亜鉛を含む。
【0058】
ここで述べる第2のトリガー組成物の水溶性化学品は、第1のトリガー組成物の化学品と不溶性塩を形成し得るアニオンを含む。そのアニオンは、F-、HCO3-、CO32-、PO3-、SO2-、シュウ酸塩、クエン酸塩、硫化物およびポリリン酸塩アニオンから選ばれ得る。この化学品の具体例は、たとえばフッ化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫酸ナトリウムまたはトリポリリン酸ナトリウムを含む。
【0059】
ここで述べるトリガー組成物は、水溶性化学品の調節された遊離を達成するためのポリマー被覆材料を含み得る。被覆材料の具体例は、たとえばポリ(メタ)アクリレートコポリマー、ポリアクリレートコポリマー、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース、ポリエチレングリコール、マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリオレフィンコポリマーまたはそれらの組み合わせを含む。ある好適な態様において、本発明の被覆に用いられるポリマー被覆は、低含量の四級アンモニウム基を有するアクリル酸およびメタクリル酸のエステルの共重合物を含む。このような共重合物は、アンモニオメタクリレートコポリマーといわれることが多く、Rohm Pharma AG より、たとえば「Eudragit」(登録商標)の商品名で商業的に入手し得る。ある態様において、本発明の被覆に用いられるポリマー被覆は、マレイン酸変性ポリプロピレンを含み得る。
【0060】
もう1つの態様において、吸収剤組成物は、水性液体にさらされた後に水溶性化学品を遊離する、選定された遊離プロファイルをそれぞれ有する第1および第2のトリガー組成物を含み得、第1の水溶性化学品は、第1の水溶性化学品が100%遊離される前に、第2の水溶性化学品よりも高い累積的遊離を有する。その遊離プロファイルは、特異的遊離プロファイルまたはS字状遊離プロファイルから選ばれる。
【0061】
もう1つの態様において、吸収剤組成物は、それぞれ遊離プロファイルを有する第1および第2のトリガー組成物を含み得、そこでは後述する試験手順の遊離プロファイル測定法により測定して、約50wt%〜100wt%の水溶性固体化学品が、水性液体にさらされた後、約240分間未満で第1および第2のトリガー組成物から遊離される。
【0062】
もう1つの態様において、吸収剤組成物は、部分的に中和された架橋ポリアクリル酸からなる高吸収性ポリマー組成物を含み得、それは、約40モル%〜60モル%の中和された酸性官能基ならびにここで説明される遠心保持容量(Centrifuge Retention Capacity)試験により示されるような、吸収剤1gあたりの塩化ナトリウム0.9%溶液少なくとも約15g(g/g)、または少なくとも約25g/g、または少なくとも約30g/g、または約25g/g〜約60g/g、の遠心保持容量を有する。
【0063】
もう1つの態様において、吸収剤組成物は、約0.05wt%〜10.0wt%のブローイング剤を含み得る高吸収性ポリマー組成物を含み得る。ブローイング剤は、天然もしくは合成レジン、アクリロニトリル−ブタジエン、粘性硬化性(viscous settable)セラミック材料、ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、オレフィンコポリマー、ポリ芳香族オレフィン、スチレン化合物または重合されたハロ−ジオレフィンから選ばれ得るレジンによりカプセル化され得る。もう1つの態様において、吸収剤組成物は、後述するボルテックス試験(Vortex Test)(渦巻き試験)で測定して、渦巻き時間45秒以下である高吸収性ポリマー組成物を含む。ここで説明される高吸収性ポリマー組成物の吸収速度の増加は、膨潤−収縮−再膨潤サイクルにおける膨潤および再膨潤容量を改良し得ることが見出された。
【0064】
本発明のもう1つの態様において、質量効率および吸収能力効率は中和度の低下および高吸収性ポリマーの内部架橋の低下により改良され得ることがわかった。本発明のもう1つの態様において、高吸収性ポリマー組成物は、70%未満の中和度を有し得る。特に、吸収剤組成物は、約40モル%〜60モル%の酸性官能基が中和され、約6.0未満のpHを有する、部分的に中和された架橋ポリアクリル酸を含む高吸収性ポリマー組成物、第1の水溶性化学品を含む第1のトリガー組成物、ならびにpHが約10以上である第2のトリガー組成物からなり、そこでは吸収剤組成物は膨潤−収縮−再膨潤挙動を示し、得られる膨潤高吸収性ポリマー組成物は、最初の高吸収性ポリマー組成物より高いpHを有する。ここで説明される高吸収性ポリマー組成物は、トリガー組成物に比較的敏感である。もう1つの態様において、第1のトリガー組成物は、スルファミン酸(アミドスルホン酸、アミド硫酸、アミノスルホン酸およびスルファミド酸としても知られている)またはCa2+のような多価カチオンを有する水溶性化学品を含み、そして第2のトリガー組成物は炭酸ナトリウムのような塩基または塩基性物質を含む。本発明の1つの利点は、高吸収性ポリマーに関して第1および第2のトリガー組成物の比較的少ない%が同一量の収縮液体および再膨潤容量を達成するのに利用され得ることである。さらに、ここで記載される吸収剤組成物は、市販の高吸収性ポリマーを含む吸収剤組成物に比べて、膨潤および再膨潤容量の増加を示す。
【0065】
本発明のもう1つの態様において、高吸収性ポリマー組成物ならびに第1および第2のトリガー組成物は粒状であり、そして高吸収性ポリマー組成物粒子ならびに第1および第2のトリガー組成物粒子は、US標準20メッシュ篩いを通過し、US標準100メッシュ篩い上に保持される測定により、約150μm〜約850μmの粒径を有する。
【0066】
本発明のもう1つの態様において、吸収剤組成物は、ブローイング剤を含む高吸収性ポリマー組成物;第1の水溶性固体化学品を含む第1のトリガー組成物、ここで第1のトリガー組成物は、トリガー組成物からその水溶性固体化学品を遊離する遊離プロファイルを有し、その遊離プロファイルは特異遊離プロファイルまたはS字状遊離プロファイルから選ばれ;ならびに第2の水溶性固体化学品を含む第2のトリガー組成物、ここで第2のトリガー組成物は、トリガー組成物から第2の水溶性固体化学品を遊離するS字状遊離プロファイルを有する、からなり、第1の水溶性化学品は、水性液体にさらした後に、そして約100%遊離の前に、第2の水溶性化学品よりも高い累積的遊離を有する。
【0067】
本発明のもう1つの態様において、吸収剤組成物は、部分的に中和された架橋ポリアクリル酸からなり、第1の吸収容量を有する高吸収性ポリマー組成物;第1のトリガー組成物;ならびに第2のトリガー組成物からなり、そこでは高吸収性ポリマー組成物ならびに第1および第2のトリガー組成物は粒状であり、そして高吸収性ポリマー組成物ならびに第1および第2のトリガー組成物は約150μmより大きく、約1000μmより小さい粒径を有する。
【0068】
本発明のもう1つの態様において、吸収剤組成物は、高吸収性ポリマー組成物;および水溶性固体化学品からなるトリガー組成物からなり、そこではそのトリガー組成物は、トリガー組成物からその水溶性固体化学品を遊離する遊離プロファイルを有し、その遊離プロファイルは特異遊離プロファイルまたはS字状遊離プロファイルから選ばれ、高吸収性ポリマー組成物およびトリガー組成物は粒状であり、そして高吸収性ポリマー組成物およびトリガー組成物は約150μmより大きく、約1000μmより小さい粒径を有する。
【0069】
ここで述べられる水溶性固体化学品は、スルファミン酸、クエン酸、ギ酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム、塩化バリウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ギ酸亜鉛、硫酸亜鉛、フッ化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫酸ナトリウムまたはトリポリリン酸ナトリウムから選ばれる。
【0070】
本発明のもう1つの態様において、吸収剤組成物は、高吸収性ポリマー組成物;第1の水溶性固体化学品を含む第1のトリガー組成物、ここで第1のトリガー組成物は、トリガー組成物からその水溶性固体化学品を遊離する遊離プロファイルを有し、その遊離プロファイルは特異遊離プロファイルまたはS字状遊離プロファイルから選ばれ;ならびに第2の水溶性固体化学品を含む第2のトリガー組成物、ここで第2のトリガー組成物は、トリガー組成物から第2の水溶性固体化学品を遊離する遊離プロファイルを有し、その遊離プロファイルは特異遊離プロファイルまたはS字状遊離プロファイルから選ばれる、からなり;ここで第1の水溶性化学品は、水性液体にさらした後に、そして約100%遊離の前に、第2の水溶性化学品よりも高い累積的遊離を有する。
【0071】
本発明の吸収剤組成物の利点は、膨潤−収縮−再膨潤サイクルにおけるタイミングが高吸収性ポリマー組成物の吸収速度、第1および第2のトリガー組成物の遊離速度、ならびに高吸収性ポリマー組成物およびトリガー組成物の混合比、のようなパラメータを調整することにより調節され得ることである。
【0072】
さらに、本発明は、水溶性固体化学品;およびその水溶性化学品の約0.1wt%〜約50wt%の量で水溶性化学品を被覆する重合性被覆材料からなるトリガー組成物に関し、そのトリガー組成物は、試験手順における遊離プロファイル測定法で測定されるような、トリガー組成物から水溶性固体化学品を遊離する、特異またはS字状遊離プロファイルを有し、トリガー組成物は粒状であり、そして約1000μmより小さい粒径を有する。
【0073】
もう1つの態様において、トリガー組成物は、スルファミン酸、クエン酸、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、ギ酸亜鉛、硫酸亜鉛、フッ化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫酸ナトリウムまたはトリポリリン酸ナトリウムから選ばれる水溶性固体化学品からなり、その水溶性固体化学品は、ポリ(メタ)アクリレートコポリマー、ポリアクリレートコポリマー、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース、ポリエチレングリコール、ポリオレフィンコポリマーまたはそれらの組み合わせ、から選ばれる重合性被覆で被覆され;そして、そのトリガー組成物は、試験手順における遊離プロファイル測定法で測定されるような、トリガー組成物から水溶性固体化学品を遊離する、特異またはS字状遊離プロファイルを有し、トリガー組成物は粒状であり、そして約150μmより大きく、約1000μmより小さい粒径を有する。
【0074】
本発明のもう1つの態様は、a.水溶性固体化学品;およびb.その水溶性化学品の約0.1wt%〜約50wt%の量で水溶性化学品を被覆する重合性被覆材料からなるトリガー組成物を含み、ここで、そのトリガー組成物は、水性液体にさらされた後、トリガー組成物から水溶性固体化学品を遊離する遊離プロファイルを有し、その遊離プロファイルは特異遊離プロファイルまたはS字状遊離プロファイルから選ばれる。
【0075】
本発明のもう1つの態様において、約50wt%〜100wt%の水溶性固体化学品は、最初の侵襲後に約240未満でトリガー組成物から遊離される。
本発明のもう1つの態様において、トリガー組成物は、スルファミン酸、ギ酸カルシウム、フッ化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム、塩化バリウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、硫化ナトリウム、またはトリポリリン酸ナトリウムから選ばれる水溶性固体化学品からなり;その水溶性固体化学品は、ポリ(メタ)アクリレートコポリマー、ポリアクリレートコポリマー、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース、ポリエチレングリコール、ポリオレフィンコポリマーまたはそれらの組み合わせ、から選ばれる重合性被覆で被覆される。ある好適な態様において、本発明の被覆に用いられるポリマー被覆は、低含量の四級アンモニウム基を有するアクリル酸およびメタクリル酸のエステルの共重合物を含む。このような共重合物は、アンモニオメタクリレートコポリマーといわれることが多く、Rohm Pharma AG より、たとえば「Eudragit」(登録商標)の商品名で商業的に入手し得る。本発明のある態様において、アクリル被覆は水性分散体の形態で使用される2つのアクリルレジンの混合物に由来し、Rohm Pharmaより、それぞれ「Eudragit」(登録商標)RL 30Dおよび「Eudragit」(登録商標)RS 30Dの商品名で入手し得る。「Eudragit」(登録商標)RL 30Dおよび「Eudragit」(登録商標)RS 30Dは、低含量の四級アンモニウム基を有するアクリル酸およびメタクリル酸のエステルの共重合体であり、アンモニウム基の、残りの中性(メタ)アクリル酸のエステルに対するモル比が「Eudragit」(登録商標)RL 30Dで1:20、そして「Eudragit」(登録商標)RS 30Dで1:40である。平均分子量は約150,000である。
【0076】
本発明の種々の態様は、トリガー組成物、または第1のトリガー組成物もしくは第2のトリガー組成物のような形態(form)を含み、それは水溶性固体化学品とその水溶性化学品の約0.1wt%〜約50wt%の量で、すなわちこれらの2つの境界の間の量で、水溶性化学品を被覆する重合性被覆材料とからなり、ここでトリガー組成物は、トリガー組成物の水性液体の侵襲後にトリガー組成物から水溶性固体化学品を遊離する遊離プロファイルを有し得、その遊離プロファイルは、特異遊離プロファイルまたはS字状遊離プロファイルから選ばれる。
【0077】
さらに、本発明は、トリガー組成物から活性剤を遊離する、選ばれた遊離プロファイルを有するトリガー組成物、ならびにそのようなトリガー組成物の調製方法に関する。1つの態様において、トリガー組成物の遊離プロファイルは、水溶性化学品の表面に塗布される適切な被覆ポリマーを選ぶことにより調節され得る。もう1つの態様において、遊離プロファイルは、被覆ポリマーを塗布する被覆方法を調整することにより調節され得る。
【0078】
本発明によるトリガー組成物は、被覆され、調節された遊離組成物調製する当業者に知られている種々の方法により調製され得る。トリガー組成物は、実験室で、または大規模の工業的方法で、連続または不連続で調製され得る。
【0079】
トリガー組成物を調製する第1の方法の態様は、次のステップを含み得る:
a.水溶性固体化学品粒子を用意する;
b.容器中にその水溶性化学品を入れる;
c.水溶性固体化学品粒子を流動化する;
d.その流動化粒子上に重合性被覆材料を噴霧する;および
e.被覆された粒子をたとえば約50℃で約2日間乾燥する。
【0080】
トリガー組成物を調製する第2の方法の態様は、次のステップを含み得る:
a.ミキサー中で水溶性固体化学品粒子を撹拌する;
b.水溶性固体化学品粒子に重合性被覆材料を添加する;および
c.被覆された粒子をたとえば約50℃で約2時間乾燥する。
【0081】
トリガー組成物を調製する第3の方法の態様は、流動床法であり、次のステップを含み得る:
a.重合性被覆材料、タルク、およびクエン酸トリメチルの被覆溶液を調製する;
b.水溶性固体化学品粒子を流動化する;
c.水溶性固体化学品粒子上に被覆溶液を噴霧する;および
d.被覆された粒子をたとえば約40℃で約24時間乾燥する。
【0082】
トリガー組成物の安定化された製品は、可塑化されたアクリルポリマーのガラス転移温度(Tg)より高い温度で、必要時間、被覆された基材(substrate)を炉加熱に供することにより得ることができ、個々の処方についての温度および時間の最適化は実験的に決定される。
【0083】
本発明の硬化され、被覆された組成物は、室温および大気湿度で長期間貯蔵されるとき(たとえば長期(実時間)試験)、および加速された貯蔵条件で試験されるとき、安定な溶解プロファイルを与える。
【0084】
本発明の態様において示されるように、高吸収性ポリマーは、高吸収性ポリマーの質量に基づいて、約55wt%〜約99.9wt%の重合性不飽和酸基含有モノマーの初期重合により得られる。適切なモノマーはいかなるカルボキシル基を含有するものであってもよく、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、または2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはそれらの混合物である。酸基の少なくとも約50wt%、または酸基の少なくとも約75wt%がカルボキシル基であり得る。
【0085】
酸基は少なくとも約25モル%の程度まで中和され得、すなわち酸基はナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩として存在し得る。ある態様において、中和度は少なくとも約40モル%、少なくとも約50モル%、少なくとも約60モル%、少なくとも約70モル%、または約40モル%〜約60モル%であり得る。ある態様において、アクリル酸またはメタクリル酸の重合により得られるポリマーを利用するのが望ましく、そのカルボキシル基は内部架橋剤の存在下に、約50モル%〜約80モル%の程度まで中和される。
【0086】
ある態様において、エチレン性不飽和モノマーと共重合され得る適切なモノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ジメチルアミノアルキル(メタ)−アクリレート、エトキシ化(メタ)−アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドまたはアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを含み得るが、これらに限定されない。このようなモノマーは、共重合されたモノマーの質量の0wt%〜約40wt%の範囲で存在し得る。
【0087】
本発明の高吸収性ポリマーは、さらに内部架橋剤を含み得る。内部架橋剤は、少なくとも2つのエチレン性不飽和2重結合を有するか、または1つのエチレン性不飽和2重結合と、重合性不飽和酸基含有モノマーの酸基と反応性である1つの官能基とを有し、あるいは、その酸基と反応性であるいくつかの官能基が内部架橋剤として用いられ得、内部架橋剤は重合性不飽和酸基含有モノマーの重合時に存在するのが望ましい。
【0088】
内部架橋剤の例は、メチレンビスアクリル−または−メタクリルアミドまたはエチレンビスアクリルアミドのような脂肪族不飽和アミド;ポリオールまたはアルコキシ化ポリオールのエチレン性不飽和酸との脂肪族エステル、たとえばブタンジオールまたはエチレングリコール、ポリグリコールもしくはトリメチロールプロパンのジ(メタ)アクリレートまたはトリ(メタ)アクリレート;約1〜約30モルのアルキレンオキシドでオキシアルキル化、望ましくはエトキシ化、されていてもよいトリメチロールプロパンのジまたはトリアクリレートエステル;グリセロールおよびペンタエリスリトール、ならびに約1〜約30モルのエチレンオキシドでオキシエチレン化された、グリセロールおよびペンタエリスリトール、のアクリレートおよびメタクリレートエステル;アリル化合物、たとえばアリル(メタ)アクリレート、約1〜約30モルのエチレンオキシドと反応された、アルコキシ化アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、ジオール、ポリオール、ヒドロキシアリルまたはアクリレート化合物およびリン酸もしくは亜リン酸のアリルエステル;ならびに架橋可能なモノマー、たとえば不飽和アミド(たとえばメタクリルアミドまたはアクリルアミド)のN-メチロール化合物、およびそれから誘導されるエーテル類。多価金属塩のようなイオン架橋剤も使用され得る。上述の架橋剤の混合物も使用され得る。内部架橋剤の含量は、重合性不飽和酸基含有モノマーの合計量に基づいて、約0.001wt%〜約5wt%、たとえば約0.2wt%〜約3wt%である。
【0089】
本発明のもう1つの態様において、全モノマー溶液質量に基づいて、約0.05wt%〜約10wt%または約0.2wt%〜約5wt%のブローイング剤がモノマー溶液に添加され得る。ブローイング剤は、重合が開始される前に、と同時に、またはすぐ後に、添加され得る。ブローイング剤は、ハイドロゲルが形成された後に添加しても有効ではなく、ゲル化ポリマーの切断または乾燥後に添加しても有効ではない。ブローイング剤の量を変えることにより、ブローイング剤の遊離は、得られるハイドロゲルの最も有利なミクロセル構造を与えるように調節され得る。
【0090】
ブローイング剤は、炭酸塩または重炭酸塩を含み得、塩、混合塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウムもしくは炭酸マグネシウム(加水分解)、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸バリウム、これらの重炭酸塩、およびこれらの水和物、アゾ化合物もしくは他のカチオン、ならびに天然に賛成する炭酸塩、たとえばドロマイト、またはそれらの混合物を含む。ブローイング剤は、Mg2+、Ca2+、Zn2+、等の多価カチオンの炭酸塩を含み得る。いくつかの多価遷移金属カチオンが使用され得るが、それらのいくつか、たとえば第2鉄カチオンは、着色を生じ得、還元−酸化反応もしくは水中で加水分解平衡に供され得る。これは最終ポリマー生成物の品質制御の困難を導き得る。さらに、Ni2+、Ba2+、Cd2+、およびHg2+等の他の多価カチオンも潜在的毒性または皮膚感作性のために不適である。好適なブローイング剤はMgCOであり、式(MgCO・Mg(OH)・5HOで表され得る。もう1つの好適なブローイング剤は(NHCOである。MgCOおよび(NHCOは混合物でも使用され得る。
【0091】
このようなブローイング剤はレジンカプセル化され得る。このようなブローイング剤のカプセル化は、本発明により加熱または重合されるモノマー溶液中に分散されるとき、二酸化炭素のようなガスの、調節可能な遅延された遊離をもたらす。カプセルかの方法は、溶媒溶液に希釈され得るレジンで個々のブローイング剤を被覆することからなる。使用される溶媒は、適用される被覆の性質に依存して、有機または無機溶媒であり得、たとえば水である。通常、シール被覆といわれる、第2の被覆もカプセル化されたブローイング剤上に適用され得る。
【0092】
本発明の高吸収性ポリマーにおいて、ブローイング剤のカプセル化に使用されるレジンは、天然もしくは合成レジン、ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)、オレフィンコポリマー(たとえば、エチレンおよびエチルビニルアセテートのコポリマー)、ポリ芳香族オレフィン、スチレン化合物および重合されたハロ−ジオレフィン(ネオプレン、エチレン−プロピレンコポリマー)、塩化ポリビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸誘導体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ−アルファメチルスチレンおよびポリスチレン)、デンプン、ゼラチン、およびセルロースを含み得るが、これらに制限されない。好適なレジン材料はポリエチレングリコールのようなポリオールを含む。
【0093】
0wt%〜約95wt%の適切な溶媒がレジンに添加され、溶液を形成し、ブローイング剤上に被覆され得る。レジン溶液は、カプセル化化合物の質量に基づいて約10wt%〜約80wt%、またはカプセル化化合物の質量に基づいて約30wt%〜約70wt%、の量でブローイング剤上に適用され得、そしてタンブリングもしくはスプレーを含む(これらに限定されない)、この分野で一般に用いられているカプセル化法で適用され得る。レジンでカプセル化する目的は、重合プロセスの後半ステージまでモノマー溶液中のブローイング剤によるガス遊離を遅らせ、ハイドロゲルのミクロセル構造を制御し、改良するものである。
【0094】
レジン状基材(resinous substrate)によるブローイング剤のカプセル化は、室温で達成され得るが、上昇された温度が好適である。レジン状基材は、カプセル化化合物の質量に基づいて約30wt%〜約70wt%であり得る。
【0095】
さらに、本発明の高吸収性ポリマー組成物は、重合性不飽和酸基含有モノマーに基づいて、約50〜約1000ppmの熱開始剤を含み得る。熱開始剤は、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、および過硫酸アンモニウムのような過硫酸塩;過酸化水素、過酸化ベンゾイル、過酸化t−ブチル、および過酸化メチルエチルケトンのような過酸化物;t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、およびt−ブチルペルオキシイソブチレートのようなペルオキシエステル;ならびにアゾニトリル化合物、アゾアミジン化合物、環状アゾアミジン化合物、アゾアミド化合物、アルキルアゾ化合物、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン) ジヒドロクロライド、および2,2-アゾビス(2-(2−イミダゾリン‐2-イル)プロパン) ジヒドロクロライドのようなアゾ化合物、を含み得る。
【0096】
いくつかの態様において、開始剤がフリーラジカル重合の開始のために使用され得る。適切な開始剤はアゾもしくはペルオキソ化合物、レドックス系またはUV開始剤、増感剤、および/または放射を含むが、これらに限定されない。
【0097】
重合後に、高吸収性ポリマーは高吸収性ポリマー粒子に調製され得る架橋ハイドロゲルとなる。ついで、高吸収性ポリマー粒子は、表面架橋剤の添加および熱処理により、表面架橋され得る。通常、表面架橋は、粒子内部の架橋密度に関して、高吸収性粒子の近くでポリマーマトリックスの架橋密度を増加させると考えられるプロセスである。
【0098】
ある特定の態様において、望ましい表面架橋剤は、ポリマー鎖のペンダント基と反応性である1以上の官能基(通常、酸基である)を持つ化学品を含む。表面架橋剤は、乾燥高吸収性ポリマー組成物の質量に基づいて、約0.001wt%〜約5wt%の量で存在し得、たとえば、乾燥高吸収性ポリマー組成物の質量に基づいて、約0.1wt%〜約3wt%であり、たとえば約0.1wt%〜約1wt%である。本出願人は表面架橋剤の添加後の熱処理が望ましいことを見出した。
【0099】
表面架橋剤は、カルボン酸またはカルボキシル基と反応することができる官能基を含み得る化合物である。表面架橋剤は、アルコール、アミン、アルデヒドのような2つの官能基を含み得、そして炭酸エステル基は使用され得る。多数の異なる官能基を持つ架橋剤分子も使用され得、たとえばポリオール、ポリアミン、ポリアミノアルコールおよびアルキレンカーボネートである。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリプロピレングリコール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシ化ソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、エトキシ化トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、エトキシ化ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネートは使用され得る。ポリオールおよびエチレンカーボネートが表面架橋剤として使用され得る。
【0100】
表面架橋剤は、アルキレンカーボネートであり得、ついで加熱することにより表面架橋して、高吸収性ポリマー粒子の表面架橋密度およびゲル強度特性を改良し得る。特に、表面架橋剤は、ポリマー粒子をアルキレンカーボネート表面架橋剤の水性アルコール溶液と混合することにより、高吸収性ポリマー粒子上に被覆される。アルコールの量は、アルキレンカーボネートの溶解性により決定され、種々の理由からできる限り低く保たれる。適切なアルコールは、メタノール、イソプロパノール、エタノール、ブタノール、またはブチルグリコール、ならびにこれらのアルコールの混合物である。ある態様において、溶媒は水が望ましく、乾燥高吸収性ポリマーの質量に基づいて、約0.3wt%〜約5.0wt%の量で使用されるのが通常である。他の態様において、アルキレンカーボネート表面架橋剤は、アルコールなしで水に溶解される。なお他の態様において、アルキレンカーボネート表面架橋剤は、たとえば無機キャリア材料(たとえば、二酸化ケイ素(SiO))との粉体混合物から、またはアルキレンカーボネートの昇華による蒸気状態で、使用され得る。
【0101】
望ましい表面架橋特性を達成するために、アルキレンカーボネートは粒子状の高吸収性ポリマー上に均一に供給される。この目的のために、混合が、この分野で知られている適切なミキサー中で行われ、たとえば流動床ミキサー、パドルミキサー、回転ドラムミキサー、またはツインワーム(twin−worm)ミキサーである。さらに、粒子状の高吸収性ポリマーの製造におけるプロセスの1つのステップの間に、粒子状の高吸収性ポリマーの被覆を実行することができる。1つの特定の態様において、この目的のための適切なプロセスは、逆懸濁重合プロセスである。
【0102】
被覆処理に続くことができる熱処理は、次のように実行され得る。一般的に、熱処理は、約100℃〜約300℃の温度である。もし高度に反応性のエポキシド架橋剤が使用されると、もっと低い温度も可能である。しかし、もしアルキレンカーボネートが使用されると、熱処理は約150℃〜約250℃の温度が適切である。この特定の態様において、その処理温度は滞留時間およびアルキレンカーボネートの種類に依存する。たとえば、約150℃の温度で、熱処理は1時間以上実行される。これに対して、約250℃の温度では、所望の表面架橋特性を達成するために、数分間(たとえば、約0.5分間〜約5分間)で十分である。熱処理はこの分野で知られている一般的なドライヤーまたはオーブン内で実行され得る。
【0103】
本発明の高吸収性ポリマー組成物は、さらに、乾燥高吸収性ポリマー組成物の質量に基づいて、ポリマーの表面に0〜約5wt%の多価金属塩を含み得る。その多価金属塩は、好ましくは水溶性である。金属カチオンの例は、Al、Fe、Zr、Mg、およびZnのカチオンを含む。金属カチオンは、Alのように少なくとも+3の原子価を有し得る。多価金属塩におけるアニオンの例は、ハロゲン化物、クロロハイドレート、硫酸塩、乳酸塩、硝酸塩、および酢酸塩を含む。このような多価金属塩の例は、硫酸アルミニウムおよび乳酸アルミニウムを含む。硫酸アルミニウムの形態は、水和硫酸アルミニウム、好ましくは12〜14の水和物を有する硫酸アルミニウムである。多価金属塩の混合物も使用され得る。
【0104】
ポリマーおよび多価金属塩は、当業者によく知られている手段を用いて、乾式ブレンドで、または水性溶液のような溶液中で、適切に混合され得る。
【0105】
乾式ブレンドを用いて、バインダーは塩と高吸収性ポリマーの実質的に均一な混合物が維持されるのを確実にするのに十分な量で使用され得る。バインダーは、水または少なくとも150℃の沸点を有する非揮発性の有機化合物であり得る。バインダーの例は、水、ポリオール(たとえば、プロピレングリコール、グリセリンおよびポリ(エチレングリコール))を含む。
【0106】
ある態様において、本発明の高吸収性ポリマー組成物は、乾燥高吸収性ポリマー組成物に基づいて、約5wt%まで、そして約0.001wt%〜約5wt%、そして約0.01wt%〜約0.5wt%の、ポリマー被覆を含み、その被覆は、たとえば熱可塑性被覆、またはカチオン被覆、または熱可塑性被覆とカチオン被覆の組み合わせである。ある特定の態様において、ポリマー被覆は固体、乳濁、懸濁、コロイドもしくは可溶化状態またはそれらの組み合わせであり得るポリマーであるのが望ましい。本発明に適したポリマー被覆は、熱可塑性溶融温度を持つ熱可塑性被覆を含むが、これに限定されるものではない。そこでは、ポリマー被覆は、熱可塑性溶融温度で、処理される高吸収性ポリマーの温度と一致した、またはその温度に追随される、粒子表面に適用される。
【0107】
使用され得る熱可塑性ポリマーの例は、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、スチレンポリブタジエン、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)、エチレンアルキルメタクリレートコポリマー(EMA)、ポリプロピレン(PP)、マレイン酸変性(maleted)ポリプロピレン、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、ポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィン類のすべてのファミリーのブレンド、たとえばPP,EVA,EMA,EEA,EBA,HDPE,MDPE,LDPE,LLDPE,および/またはVLDPEのブレンド、を含むが、これらに限定されるものではない。熱可塑性ポリマーは水溶解性および分散可能性のような付加的利点を有するように官能化され得る。
【0108】
本発明のポリマー被覆は、カチオンポリマーをさらに含み得る。ここで用いられるカチオンポリマーは、官能基または水性溶液中でイオン化に際して+に荷電されたイオンとなる能力を持つ基を含む、ポリマーまたはポリマー混合物をいう。
【0109】
カチオンポリマーの適切な官能基は、1級、2級、または3級アミノ基、イミノ基、アミド基、および四級アンモニウム基を含むが、これらに限定されない。合成カチオンポリマーの例は、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アミノプロパノールビニルエーテル)、ポリ(アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)の塩、または部分塩を含むが、これらに限定されない。ポリ(ビニルアミン)は、BASF Corporation(ニュージャージー州マウントオリーブ)から入手し得るLUPAMIN(登録商標)9095を含むが、これに限定されない。天然系カチオンポリマーの例は、部分脱アセチル化キチン、キトサンおよびキトサン塩を含むが、これらに限定されない。ポリアスパラギン、ポリリジン、ポリグルタミンおよびポリアルギニンのような合成ポリペプチドも適切なカチオンポリマーである。
【0110】
本発明の高吸収性ポリマー組成物は、乾燥高吸収性ポリマー組成物の質量に基づいて0〜約5wt%、または0.05〜約2.0%の多価金属塩を含み得る。多価金属塩は、高吸収性ポリマー組成物の表面に適用され得る。多価金属塩は水溶性であり得る。金属カチオンの例は、Al、Fe、Zr、Mg、およびZnのカチオンを含む。金属カチオンは少なくとも+3の原子価を有し得、Al3+が最も好ましい。多価金属塩におけるアニオンの例は、ハロゲン化物、クロロハイドレート、硫酸塩、乳酸塩、硝酸塩、および酢酸塩を含み、塩化物、硫酸塩、クロロハイドレート、および酢酸塩が好適であり、硫酸塩が最も好適である。硫酸アルミニウムが最も好適な多価金属塩であり、商業的に容易に入手し得る。多価金属塩は、12〜14の水和物を有する硫酸アルミニウムのような硫水和硫酸アルミニウム、のような硫酸アルミニウムであり得る。多価金属塩は乳酸アルミニウムであってもよい。多価金属塩の混合物も使用され得る。
【0111】
本発明による高吸収性ポリマー組成物は、乾燥高吸収性ポリマー組成物に基づいて約0.01wt%〜約2wt%、または0.01wt%〜約1wt%の水不溶性無機金属化合物を含み得る。水不溶性無機金属化合物は高吸収性ポリマー組成物の表面に適用され得る。水不溶性無機金属化合物はアルミニウム、チタン、カルシウムまたは鉄から選ばれるカチオン、およびリン酸塩、ホウ酸塩またはクロム酸塩から選ばれるアニオンを含むが、これらに限定されない。水不溶性無機金属化合物の例は、リン酸アルミニウムおよび不溶性金属ホウ酸塩を含む。不溶性金属ホウ酸塩は、ホウ酸チタン、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸鉄、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガン、またはホウ酸カルシウムから選ばれる。化学式TiBOはホウ酸チタン(III)TiBO3のようなホウ酸チタンもしくは類似化合物を示すためにここで用いられる。さらに、その化学式は、ホウ酸チタン(III)TiBO3が過酸化水素で処理されてホウ酸チタン(IV)を得るような場合も示す。水不溶性無機金属化合物は、約2μm未満の質量平均粒径を有し得、そして約1μm未満の質量平均粒径を有し得る。
【0112】
無機金属化合物は、高吸収性ポリマー粒子の表面に乾燥した、物理形状で付着され得る。このために、高吸収性ポリマー粒子は微細に分割された無機金属化合物と十分に混合され得る。微細に分割された無機金属化合物は高吸収性ポリマー粒子に室温付近で添加され、均一な混合物となるまで混合され得る。この目的のため、混合は、この分野で知られている適切なミキサー中で行われ、たとえば流動床ミキサー、パドルミキサー、回転ドラムミキサー、またはツインワーム(twin−worm)ミキサーである。微細に分割された水不溶性無機金属化合物との高吸収性ポリマー粒子の混合は、表面架橋の前または後に行われ、たとえば表面架橋剤の適用中である。
【0113】
あるいは、微細に分割された水不溶性無機金属化合物の懸濁液が調製され、粒子状の水吸収性ポリマーに付着され得る。その懸濁液は、たとえばスプレーにより付着され得る。懸濁液を調製するための有用な分散媒体は、水、アルコール類のような有機溶媒、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ケトン類、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、または水と上記の有機溶媒との混合物を含む。他の有用な分散媒体は、分散助剤、界面活性剤、保護コロイド、粘度調節剤、および懸濁液の調製を助ける補助剤を含む。懸濁液は、室温から分散媒体の沸点未満の範囲の温度で、好ましくは室温付近で、上述のように、一般的な反応ミキサーまたは混合および乾燥システムで、付着され得る。微細に分割された水不溶性無機金属化合物を、表面架橋剤の溶液中で分散させることにより、懸濁液の付着を表面架橋剤ステップと一緒にすることが適切である。あるいは、懸濁液も表面架橋段階の前または後に適用され得る。スラリーの適用は乾燥ステップにより続かれ得る。
【0114】
ある態様において、本発明による高吸収性ポリマー組成物は、さらに乾燥高吸収性ポリマー組成物に基づいて0wt%〜約5wt%、または約0.01wt%〜約3wt%のシリカを含み得る。シリカの例は、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、二酸化ケイ素、ケイ酸、およびケイ酸塩を含む。ある特定の態様において、きわめて微細な二酸化ケイ素が望ましい。製品はDegussa Corporation (ニュージャージー州パーシパニー)から入手し得るSIPERNAT 22SおよびAEROSIL 200を含む。ある態様において、その無機粉体の粒径は1000μm以下、たとえば100μm以下であり得る。
【0115】
ある態様において、高吸収性ポリマー組成物は、乾燥高吸収性ポリマー組成物に基づいて0wt%〜約30wt%、たとえば約0.1wt%〜約5wt%の水溶性ポリマー、たとえば部分もしくは完全加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、デンプンもしくはデンプン誘導体、ポリグリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、またはポリアクリル酸をさらに含み得る。
【0116】
ある態様において、付加的な表面添加剤が高吸収性ポリマー粒子とともに任意に使用され得、たとえば、シクロデキストリン、ゼオライト、無機もしくは有機塩、および類似の物質のような匂い結合物質(odor-binding substances);凝結防止剤、流動調節剤、界面活性剤、粘度調節剤、等である。さらに、表面添加剤は表面改質の間にいくつかの役割を演じるように使用され得る。たとえば、単一の添加剤は、界面活性剤、粘度調節剤であり得、そしてポリマー鎖を架橋するように反応し得る。
【0117】
ある態様において、本発明による高吸収性ポリマー組成物は、熱処理ステップ後に、水で処理され得、その結果、高吸収性ポリマー組成物は高吸収性ポリマー組成物の質量の約10wt%までの水含量を有する。この水は、上述のように高吸収性ポリマーに添加される1以上の表面添加剤とともに添加され得る。
【0118】
本発明による高吸収性ポリマー組成物は、2つの方法により調製されるのが望ましい。組成物は大規模な工業的方法で、連続的に、または非連続的に調製され得、本発明による後架橋が適宜実行され得る。
【0119】
1つの方法によれば、アクリル酸のような部分的に中和されたモノマーは、架橋剤およびさらなる成分の存在下に水性溶液中でフリーラジカル重合によりゲルに転換され得、そのゲルは細分化され、乾燥され、摩砕され、そして所望の粒径に篩い分けされ得る。この重合は連続的にまたは非連続的に実行され得る。本発明に関して、高容量の高吸収性ポリマー組成物粒子は、粉砕および篩い分けを含む製造プロセスに依存する。高吸収性ポリマー粒子の粒径分布は正規分布またはベル形状曲線に似ていることが当業者に周知である。種々の理由のために、粒径分布の正規分布はいずれかの方向に非対称となり得ることも知られている。
【0120】
本発明の高吸収性ポリマー粒子は、約50〜約1000μm、または約150〜約850μmの範囲の粒径を含むのが通常である。本発明は、約300〜約600μmの粒径を有する少なくとも約40wt%の粒子、約300〜約600μmの粒径を有する少なくとも約50wt%の粒子、または約300〜約600μmの粒径を有する少なくとも約60wt%の粒子、を含み、それらはU.S.スタンダード30メッシュ篩いを通過し、U.S.スタンダード50メッシュ篩い上に残る。さらに、本発明の高吸収性ポリマー粒子の粒径分布は、約600μmより大きいサイズを有する約30wt%未満の粒子、そして約300μmより小さいサイズを有する約30wt%未満の粒子、を含み得、それらは、たとえばW.S.Tyler,Inc.(オハイオ州メンター)から入手し得るRO−TAP(登録商標)Mechanical Sieve Shaker Model Bを用いて測定される。
【0121】
粒子の形態は、高吸収性ポリマー組成物の物理的形態の例により使用され得るが、本発明はこの形態に限定されず、上述のような、繊維、発泡体、薄膜、ビーズ、棒状、等の他の形態にも適用し得る。ある態様において、高吸収性ポリマー組成物が粒または顆粒状で存在するとき、これらの粒子は、高吸収材産業でよく知られている篩いプロセスに基づいて約150μm〜約850μmのサイズを有するのが望ましい。
【0122】
もう1つの方法によれば、逆懸濁および乳化重合も本発明による生成物の調製に使用され得る。これらのプロセスによれば、アクリル酸のような、モノマーの水性の、部分的に中和された溶液は、保護コロイドおよび/または乳化剤の助けで疎水性の有機溶媒中に分散され得、そして重合がフリーラジカル開始剤により開始される。内部表面架橋剤はモノマー溶液に溶解され得、これと共に計測され、または重合時に別々にもしくは任意に添加される。グラフトベースとしての水溶性ポリマーの添加はモノマー溶液を経由して、または有機溶媒に直接導入することにより、任意に行われる。ついで、水が混合物から共沸で除去され、ポリマーはろ過され、任意に乾燥される。内部架橋は、モノマー溶液中に溶解された多官能架橋剤中で、および/または重合ステップでの適切な架橋剤とポリマーの官能基との反応により、実行され得る。
【0123】
本発明の高吸収性ポリマー組成物は、ここで示される試験手順により測定される、渦巻き時間が約45秒以下、または約45秒〜約5秒の渦巻き時間、または約40秒〜約10秒、または約35秒〜約15秒であり得る。さらに、高吸収性ポリマー組成物は、遠心保持容量(CRC)試験で測定されたCRCが約15g/g〜約60g/g、または約20g/g以上、または約20g/g〜約60g/g、または約25g/g以上、または約25g/g〜約60g/gであり得る。
【0124】
これらの方法の成果は高吸収性予備生成物である。ここで用いられる高吸収性予備生成物は、高吸収剤の製造のための全段階を繰り返すことにより製造され、材料の乾燥、クラッシャーでの粗摩砕、および850μmより大きく、かつ約150μmより小さい粒子の除去、を含む。
試験手順
特に述べなければ、以下に述べるすべての試験方法で用いられる試験液体は、0.9%塩化ナトリウム水性溶液であり、Ricca Chemical Company (テキサス州アーリントン)から入手し得る。特に述べなければ、すべての試験は、約70°Fで、相対湿度10〜60%で行われた。
遠心保持容量試験
遠心保持容量(CRC)試験は、飽和され制御された条件下で遠心に供された後に、高吸収性ポリマーが液体を保持する能力を測定する。得られる保持容量は、試料のg質量につき保持される液体のgとして示される(g/g)。試験されるべき試料は、U.S.スタンダード30メッシュスクリーンを予備篩い分けされ、U.S.スタンダード50メッシュスクリーン上に保持される粒子から調製される。その結果、高吸収性ポリマー試料は、約300〜約600μmの範囲の大きさである。粒子は手でまたは自動的に予備篩い分けされ得る。
【0125】
保持容量は、約0.2gの、予め予備篩い分けされた高吸収性ポリマー試料を水透過性バッグに入れることにより測定され、試験溶液(0.9wt%NaCl蒸留水溶液)を試料により自由に吸収されるようにする。熱シールし得るティーバッグ材料は大部分の用途によく働き、たとえばDexter Corporation (米国コネチカット州ウィンザーロックスに営業所を有する)から、モデル名1234T熱シール性フィルター紙として入手し得る。そのバッグは、バッグ材料の5インチ×5インチ(約12.5×7.5cm)試料を半分に折り曲げて、開放端の2つを熱シールして、2.5インチ×3インチの長方形のポーチを形成することにより得られる。熱シールは材料の端の内側に約0.25cmである。資料がポーチに入れられると、ポーチの残りの開放端も熱シールされる。さらに、空のバッグも対照として役立つように調製される。3つの試料が、試験されるべき各高吸収性ポリマー組成物について調製される。シールされたバッグは約23℃で試験溶液を含むパンに浸され、完全に濡れるまでバッグは保持される。濡らした後に、試料は約30分間、溶液内に残り、ついで溶液から取り出され、非吸収性の平らな表面上に一時的に置かれる。
【0126】
ついで、濡れたバッグはバスケットに入れられ、そこでは濡れたバッグは互いに分離され、バスケットの外周端に置かれ、バスケットは試料を妬く50のgフォースに供する能力を有する適切な遠心装置である。1つの適切な遠心装置はCLAY ADAMS DYNAC II モデル#0103であり、水捕集バスケット、ディジタルrpmゲージ、および機械加工された排水バスケットを有し、平らなバッグ試料を保持し、排水するのに適合されている。多数の試料が遠心されると、試料は回転時にバスケットをバランスさせるために遠心装置内で対向する位置に置かれる。バッグ(濡れた空のバッグを含む)は、1600rpm(たとえば、変動が約280〜約300フォースである、約290フォースの目標gフォースを得るために)で、3分間、遠心される。gフォースは、急速加速もしくは重力、海抜で9.8m/秒に等しい、を受ける、身体への慣性力の単位である。バッグは取り出され、計量されるが、空のバッグが最初に計量され、ついで高吸収性ポリマー組成物試料を含むバッグが計量される。高吸収性ポリマー試料により保持される溶液の量は、バッグ自体により保持される溶液の量を考慮すると、吸収性ポリマーの遠心保持容量(CRC)であり、吸収性ポリマーのgあたりの液体のgとして表される。もっと詳しくは、保持容量は次式により決定される:
(遠心後の試料/バッグ−遠心後の空のバッグ−乾燥試料質量)÷乾燥試料質量
3つの試料が試験され、その結果は高吸収性ポリマー組成物の遠心保持容量(CRC)を決定するために平均される。CRC測定の偏差は±0.5であり、CRCは高吸収性ポリマー組成物のバッチにより変動することが知られている。
高吸収性ポリマーpH試験
この試験は、高吸収性ポリマーの0.9%食塩水溶液のpHを測定する。
必要な材料
1.pH計
2.pH電極(Brinkman, Unitrode, PN#2091074 または同等物)
3.250mLビーカー
4.500rpm可能な撹拌プレート
5.撹拌棒(約3cm)
6.0.9%食塩水(水性塩化ナトリウム溶液、Riccaからのpart number 7213.09-5
または同等物)
7.秤量ボート
8.天秤(精度0.0001g)
9.タイマー(NIST記録可)
10.メスシリンダー(クラスA,100mL容量)
11.超純水
手順
1.250mLビーカーを得る。
【0127】
2.メスシリンダーで0.9%食塩水150mLを測定し、250mLビーカーに
食塩水を注ぐ。
【0128】
3.ビーカーに撹拌棒を入れる。
【0129】
4.秤量ボートを天秤に載せて風袋を秤量する。
【0130】
5.秤量ボートに入れて高吸収剤を秤量する。
【0131】
6.250mLビーカーに試料を注ぐ。
【0132】
7.試料IDでビーカーにラベルを貼る。
【0133】
8.500rpmで撹拌プレート上にビーカーを載せる。
【0134】
9.タイマーをスタートさせる(3分)。試料を3分間撹拌させる。
【0135】
10.3分間経過後、ビーカーにpH計を浸す。
【0136】
11.穏やかに試料撹拌続ける。
【0137】
12.タイマーを6分間に設定する。
【0138】
13.タイマーをスタートさせ、pHを測定する。
【0139】
14.時間経過後(6分間)、測定値を記録する。
【0140】
15.試料からpH電極を取り除き、超純水で十分にすすぐ。
Vortex(渦巻き)時間
概括的説明:Vortex試験は、磁気撹拌プレート上で、60回転/分で50mL食塩溶液を撹拌することにより創り出される渦巻きを終わらせるのに高吸収性ポリマー組成物に要求される時間(秒)を測定する。渦巻きを終わらせのにかかる時間は、高吸収性ポリマー組成物の自由膨潤吸収速度の指標である。
装置および材料
1.100mLビーカー
2.600rpm可能な、プログラムできる磁気撹拌プレート(たとえばPMC IndustriesからDataplate RTM Model #721として商業的に入手できる)
3.リングなし磁気撹拌棒7.9×32mm、テフロン(商標)被覆(たとえばBaxter DiagnosticsからS/PRIM(商標)シングルパック撹拌棒(取り外しできるピボットリング付き)として商業的に入手できる)
4.ストップウォッチ
5.天秤(精度±0.01g)
6.0.87w/w%食塩水溶液、Baxter Diagnosticsから入手できるBlood Bank Saline (ここでは0.9wt%食塩水溶液と同等物と考えられる)
7.秤量紙
8.標準条件雰囲気を有する部屋:温度23℃±1℃および相対湿度50%±0.2%
試験手順
1.食塩水溶液50g±0.01gを測定し、100mLビーカーに注ぐ。
【0141】
2.ビーカーに磁気撹拌棒を入れる。
【0142】
3.600rpmに磁気撹拌プレートプログラムする。
【0143】
4.磁気撹拌棒が作動されるように磁気撹拌プレートの中央にビーカーを載せる。渦巻きの底部は磁気撹拌棒の最上部近くにするべきである。
【0144】
5.試験されるべき高吸収性ポリマー組成物2g±0.01gを秤量紙上で秤量する。
【0145】
注:高吸収性ポリマー組成物は受領したままで試験される(すなわち、ここで述べられるような吸収剤複合体になる)。粒径がこの試験に影響することが知られているが、特定の粒径への篩い分けはなされない。
【0146】
6.食塩水溶液が撹拌されている間に、試験されるべき高吸収性ポリマー組成物を食塩水溶液にすばやく注ぎ、ストップウォッチをスタートさせる。試験されるべき高吸収性ポリマー組成物は、渦巻きの中央とビーカーの縁の間に添加されるべきである。
【0147】
7.食塩水溶液の表面が平らになったときにストップウォッチを止めて、時間を記録する。
【0148】
8.秒で記録された時間は、Vortex Time(渦巻き時間)として報告される。
吸収性組成物の膨潤/収縮/再膨潤
膨潤/収縮/再膨潤試験は、吸収性組成物の時間に対する液体吸収容量を測定しようとするものである。装置の配置は図13に示される。この試験のための適切な装置は図13に示される。この装置の一端は0.9%食塩水溶液を含む液体貯槽である。装置の他端は、吸収性組成物を保持するためのシリンダー8、および吸収性組成物に食塩水溶液を供給するための、小さなプラスチック箱4である。たとえば、底部に篩いフィルター布(400メッシュ=36μm)を有するPlexiglas(商標)シリンダー(シリンダー内径25mm、高さ33mm)が試験に用いられ得る。箱4の上部プレートは、上に孔(およそ1mm)を有する。1枚のフィルター紙7が、吸収性組成物と食塩水溶液とを良好に接触させるために、シリンダー8と箱4の間に置かれる。箱4は、電子秤6上のスタンド5上に置かれ、秤6は測定中、吸収性組成物の質量変化を記録するためのコンピュータに接続されている。箱4は、フレキシブルチューブ3により貯槽1に接続されている。
【0149】
測定に先立ち、貯槽1の高さは、貯槽1の液面が箱4の上面と同一レベルであるように、適切なレベルに調節される。
【0150】
試験が次のように開始される。
【0151】
1.試験試料をシリンダー8に添加し、試験試料の最上部にプラスチックピストンを
置く。
【0152】
2.シリンダーの底部が液体と接触するように箱4上にシリンダーを載せる。
【0153】
3.試験試料の質量変化の記録をすぐに開始する。
【0154】
試験は240分後に停止される。吸収性組成物の吸収容量は、吸収性組成物中の高吸収性ポリマーの質量による液体吸収を分割して算出される。膨潤/収縮/再膨潤曲線は、吸収容量対時間をプロットして得られる。
遊離プロファイル測定−被覆スルファミン酸の遊離
室温(23℃)で、被覆スルファミン酸を脱イオン水に浸漬し、ORION pH計(モデルNo.290A)およびpH電極(モデルORION 8-172BNWP)を用いて、溶液のpHを測定することにより、スルファミン酸の遊離が測定された。
【0155】
被覆されたスルファミン酸(2.00g)は、ティーバッグ内に密封された。脱イオン水1800gが、磁気撹拌棒(10mm×70mm)付ガラスビーカー内に添加された。ビーカーは、磁気撹拌機上に載せられ、溶液は200rpmで撹拌された。ティーバッグは水中に浸された。少量の液体(約20g)が表4に示される時間で取り出された。除去された溶液の実際の質量が記録された。除去された溶液のpHがpH計で測定された。電極からのデータは、スルファミン酸の標準溶液で生じた検量曲線を用いて遊離スルファミン酸の濃度に変換された。遊離スルファミン酸の%は、遊離スルファミン酸の質量および被覆試料中のスルファミン酸の合計質量に基づいて算出され得る。
被覆ギ酸カルシウムの遊離
ギ酸カルシウムの遊離が、遊離ギ酸カルシウムの濃度がVarian Inductively Coupled Plasma (モデルNo. Vista MPX Radical)を用いて測定されたことを除けば、「遊離プロファイル測定−被覆スルファミン酸の遊離」と同一の手順により測定された。
被覆炭酸ナトリウムの遊離
Accumentナトリウム選択電極(Fisher Scientific,#13-620-503)を用いて、遊離炭酸ナトリウムが、遊離ギ酸カルシウムの濃度が、Varian Inductively Coupled Plasma (モデルNo. Vista MPX Radical)を用いて、ナトリウムイオンの遊離に続いて測定されたことを除けば、「遊離プロファイル測定−被覆スルファミン酸の遊離」と同一の手順により測定された。
【実施例】
【0156】

次の例およびその例のための予備生成物が本発明を説明するために用意されるが、請求項の範囲を限定するものではない。特に説明がないかぎり、パーセンテージは質量に基づく。
高吸収性ポリマー組成物
予備生成物B
撹拌機および冷却コイル付ポリエチレン容器に、1167gの50%NaOHおよび2032gの蒸留水が添加され、20℃に冷却された。ついで、500gの氷アクリル酸が苛性ソーダ溶液に添加され、溶液は再び20℃に冷却された。3.75gのポリエチレングリコールモノアリルエーテルアクリレート、3.75gのエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートSARTOMER(登録商標)454製品、および1000gの氷アクリル酸が、第1の溶液に添加され、ついで4〜6℃に冷却された。窒素がモノマー溶液に約10分間吹き込まれた。冷却コイルが容器から取り外された。直ちに、開始剤の添加前に、47gの被覆FMCグレード50炭酸ナトリウムがモノマー溶液にブローイング剤として添加された(被覆ブローイング剤は、300gの炭酸ナトリウム粉末にポリエチレングリコール8000溶液9g(16.5wt%水溶液)をスプレーすることにより調製された。被覆粉末は、重合バッチで使用される前に少なくとも1時間、室温で緩和された。)。そのモノマー溶液に、50gの1wt%過酸化水素水溶液、150gの2wt%過硫酸ナトリウム水溶液、および45gの0.5wt%エリソルビン酸ナトリウム水溶液が添加され、重合反応が開始された。
【0157】
撹拌機は停止され、開始されたモノマーは、20分間、重合に供された。得られるハイドロゲルはHobart 4M6市販押出機で切断、押出され、ついでProcter &Schwartz Model 062強制空気炉において175℃で、乾燥された。すなわち、20インチ×40インチの、孔を空けたトレイ上で、上方流10分間と下向き流6分間であり、最終生成物の水分レベルは5wt%未満であった。乾燥材料はプロデバProdeva モデル315−Sクラッシャー中で粗く摩砕され、MPI666−F 3段ローラミル中で粉砕し、生成物はMinox MTS 600DS3Vで篩い分けされ、850μmより大きい粒子および150μmより小さい粒子を除去した。生成物は、CRC38g/gおよび渦巻き時間32秒を有していた。
予備生成物C
撹拌機および冷却コイル付ポリエチレン容器に、1333gの50%NaOHおよび3988gの蒸留水が添加され、20℃に冷却された。ついで、800gの氷アクリル酸が苛性ソーダ溶液に添加され、溶液は再び20℃に冷却された。3.6gのポリエチレングリコールモノアリルエーテルアクリレート、3.6gのエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートSARTOMER(登録商標)454製品、および1600gの氷アクリル酸が、第1の溶液に添加され、ついで4〜6℃に冷却された。窒素がモノマー溶液に約10分間吹き込まれた。冷却コイルが容器から取り外された。そのモノマー溶液に、80gの1wt%過酸化水素水溶液、120gの2wt%過硫酸ナトリウム水溶液、および72gの0.5wt%エリソルビン酸ナトリウム水溶液が添加され、重合反応が開始された。
【0158】
撹拌機は停止され、開始されたモノマーは、20分間、重合に供された。得られるハイドロゲルはHobart 4M6市販押出機で切断、押出され、ついでProcter &Schwartz Model 062強制空気炉において175℃で、乾燥された。すなわち、20インチ×40インチの、孔を空けたトレイ上で、上方流10分間と下向き流6分間であり、最終生成物の水分レベルは5wt%未満であった。乾燥材料はプロデバProdeva モデル315−Sクラッシャー中で粗く摩砕され、MPI666−F 3段ローラミル中で粉砕し、生成物はMinox MTS 600DS3Vで篩い分けされ、850μmより大きい粒子および150μmより小さい粒子を除去した。生成物は、CRC36.2g/gおよび渦巻き時間60秒を有していた。
予備生成物D
撹拌機および冷却コイル付ポリエチレン容器に、972gの50%NaOHおよび1976gの蒸留水が添加され、20℃に冷却された。ついで、583gの氷アクリル酸が苛性ソーダ溶液に添加され、溶液は再び20℃に冷却された。2.625gのポリエチレングリコールモノアリルエーテルアクリレート、2.625gのエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートSARTOMER(登録商標)454製品、および1167gの氷アクリル酸が、第1の溶液に添加され、ついで4〜6℃に冷却された。窒素がモノマー溶液に約10分間吹き込まれた。冷却コイルが容器から取り外された。直ちに、開始剤の添加前に、51.8gの被覆FMCグレード50炭酸ナトリウムがモノマー溶液にブローイング剤として添加された(被覆ブローイング剤は、300gの炭酸ナトリウム粉末にポリエチレングリコール8000溶液9g(16.5wt%水溶液)をスプレーすることにより調製された。)。そのモノマー溶液に、50gの1wt%過酸化水素水溶液、150gの2wt%過硫酸ナトリウム水溶液、および45gの0.5wt%エリソルビン酸ナトリウム水溶液が添加され、重合反応が開始された。
【0159】
撹拌機は停止され、開始されたモノマーは、20分間、重合に供された。得られるハイドロゲルはHobart 4M6市販押出機で切断、押出され、ついでProcter &Schwartz Model 062強制空気炉において175℃で、乾燥された。すなわち、20インチ×40インチの、孔を空けたトレイ上で、上方流10分間と下向き流6分間であり、最終生成物の水分レベルは5wt%未満であった。乾燥材料はプロデバProdeva モデル315−Sクラッシャー中で粗く摩砕され、MPI666−F 3段ローラミル中で粉砕し、生成物はMinox MTS 600DS3Vで篩い分けされ、850μmより大きい粒子および150μmより小さい粒子を除去した。生成物は、CRC34.1g/gおよび渦巻き時間29秒を有していた。
予備生成物E
予備生成物Eは、50%NaOH、ポリエチレングリコールモノアリルエーテルアクリレート、およびエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートの量が、それぞれ1066g、2.4gおよび2.4gに変更されたことを除いて、予備生成物Cの製造方法を用いて製造された。生成物は、CRC34.1g/gおよび渦巻き時間70秒を有していた。
予備生成物F
予備生成物Fは、ポリエチレングリコールモノアリルエーテルアクリレート、およびエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートの量が、それぞれ1.75gおよび1.75gに変更されたことを除いて、予備生成物Dの製造方法を用いて製造された。生成物は、CRC40.1g/gおよび渦巻き時間26.3秒を有していた。
高吸収性ポリマー組成物A (SAP-A)
高吸収性ポリマー組成物Aは、ニューカロライナ州グリーンスボローのStockhausen
Inc.により製造された、商業的に入手し得る高吸収性製品Favor(登録商標)SXM-9300
である。それは約65%〜約75%の中和度を有する。
高吸収性ポリマー組成物B (SAP-B)
予備生成物Bは、25wt%水性溶液を用いて、0.5% Sipernat(登録商標)22sを用いて、1wt%エチレンカーボネートおよび3wt%水で被覆された。被覆された予備生成物Bは対流炉内で185℃で、45分間加熱された。ついで、表面架橋された粒子は、1000ppmポリエチレングリコール8000(平均分子量8000を有するポリエチレングリコール)および5%水で後処理された。
高吸収性ポリマー組成物C (SAP-C)
予備生成物Cは、25wt%水性溶液を用いて、0.5% Sipernat(登録商標)22sを用いて、1wt%エチレンカーボネートおよび3wt%水で被覆された。被覆された予備生成物Cは対流炉内で150℃で、40分間加熱された。ついで、表面架橋された粒子は、500ppmポリエチレングリコール8000(平均分子量8000を有するポリエチレングリコール)および2%水で後処理された。
高吸収性ポリマー組成物D (SAP-D)
予備生成物Dは、25wt%水性溶液を用いて、0.5% Sipernat(登録商標)22sを用いて、1wt%エチレンカーボネートおよび3wt%水で被覆された。被覆された予備生成物Dは対流炉内で165℃で、40分間加熱された。ついで、表面架橋された粒子は、500ppmポリエチレングリコール8000(平均分子量8000を有するポリエチレングリコール)および2%水で後処理された。
高吸収性ポリマー組成物E (SAP-E)
予備生成物Eは、25wt%水性溶液を用いて、0.5% Sipernat(登録商標)22sを用いて、1wt%エチレンカーボネートおよび3wt%水で被覆された。被覆された予備生成物Eは対流炉内で150℃で、40分間加熱された。ついで、表面架橋された粒子は、500ppmポリエチレングリコール8000(平均分子量8000を有するポリエチレングリコール)および2%水で後処理された。
高吸収性ポリマー組成物F (SAP-F)
予備生成物Fは、20wt%水性溶液を用いて、0.5% Sipernat(登録商標)22sを用いて、1wt%エチレンカーボネートおよび3wt%水で被覆された。被覆された予備生成物Fは対流炉内で155℃で、40分間加熱された。ついで、表面架橋された粒子は、1000ppmポリエチレングリコール8000(平均分子量8000を有するポリエチレングリコール)および5%水で後処理された。
【0160】
前述の高吸収性ポリマー組成物は、以下の表Aに示される特性を有する。
【0161】
【表1】

【0162】
トリガー組成物の例
【0163】
【表2】

【0164】
表AおよびBにおける、略語SAP−A,SAP−B,SAP−C,SAP−D,SAP−E,SAP−F,1stTC‐A、1stTC‐B、1stTC‐C、1stTC‐D、1stTC‐E、1stTC‐F、1stTC‐G、2ndTC‐A、2ndTC‐B、2ndTC‐C、2ndTC‐D、2ndTC‐E、および2ndTC‐Fは次の例において用いられ得る。
例1 ポリ(メタアクリレート)被覆スルファミン酸の調製(1stTC‐Aおよび1stTC‐B)
ポリマー溶液または分散体が水溶性固体化学品の表面にスプレーされ、被覆層が形成された。この目的によく適合するのは、ポリ(メタアクリレート)分散体、たとえばEvonik Pharma Polymers から商業的に入手し得るEUDRAGIT(登録商標)RS 30Dである。被覆ポリマー分散体は、次の処方により調製される。
【0165】
EUDRAGIT(登録商標)RS 30D(30%水性分散体) 1200g
クエン酸トリエチル 36g
タルク 180g
水 1464g
被覆材料の混合物は高架式撹拌機を用いて容器内で撹拌された。混合物は、水溶性固体化学品を被覆するのに用いる前に、良好な混合を確実にするために少なくとも15分間撹拌された。
【0166】
Sigma-Aldrich Companyから入手された、約800gのスルファミン酸粒子(US篩シリーズ100〜20メッシュの粒子)が、Glatt WSG 5流動床装置内に入れられた。Glattユニットは、上部スプレー挿入物の挿入により上部スプレーを備えるように置かれ、150μmフィルターバッグが利用された。スルファミン酸粒子を流動化するのに用いられる空気は、空気中の水蒸気を除去するように調節された。被覆材料は、被覆材料温度約25℃、噴霧空気圧力2.0bar、およびスプレー流速8g/分/Kgで付着された。被覆材料が付着された後、被覆粒子は40℃で、24時間、乾燥された。被覆生成物は、5wt%〜10wt%のポリマー被覆を有して生成された。
【0167】
スルファミン酸の遊離は、上述の「遊離プロファイル測定−被覆スルファミン酸の遊離」の試験方法に記載されるように、pH計を用いて測定された。その結果は、表1に示される。
【0168】
【表3】

【0169】
図1は、ポリ(メタ)アクリレート被覆スルファミン酸の遊離プロファイルのプロット図である。これらのトリガー組成物はS字状遊離プロファイルを示した。そして、遊離速度は被覆ポリマーの量により調節された。
例2 ポリ(メタ)アクリレート被覆ギ酸カルシウムの調製(1stTC‐Cおよび1stTC‐D)
例1に示される概括的手順が、ギ酸カルシウム粒子(Fisher Scientificから商業的に入手し得る)にEUDRAGIT(登録商標)RS 30Dを付着するのに用いられた。被覆粒子は、5wt%〜10wt%のポリマー被覆を含んでいた。
【0170】
ギ酸カルシウムの遊離は、上述の「被覆ギ酸カルシウムの遊離」の試験方法に記載され概括的手順により測定された。その結果は、表2に示される。
【0171】
【表4】

【0172】
図2は、ポリ(メタ)アクリレート被覆ギ酸カルシウムの遊離プロファイルのプロット図である。これらのトリガー組成物は特異的遊離プロファイルを示した。そして、遊離速度は被覆ポリマーの量により調節された。
例3 酢酸セルロースで被覆されたギ酸カルシウム(1stTC‐E)
ギ酸カルシウム粒子(Fisher Scientificから商業的に入手し得、表4に示される粒径)400gが、Kitchen―Aid(商標)ミキサー内で撹拌された。酢酸セルロース溶液(Eastman(商標)CA-398-3、アセトン中で20%)45mLが注射器を用いて2分間にわたって粒子に滴下された。混合物を1分間撹拌後に、被覆粒子が空気乾燥され、ついで炉内で50℃で、2時間乾燥された。乾燥された材料は、篩い分けされて850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。ギ酸カルシウムの遊離プロファイルは、「被覆ギ酸カルシウムの遊離」の試験方法に記載され概括的手順により測定された。その結果は、表3に示される。
例4 酢酸セルロースおよびエチルセルロースで被覆されたギ酸カルシウム(1stTC‐F)
ギ酸カルシウム粒子(Fisher Scientificから商業的に入手し得、表4に示される粒径)400gが、Kitchen―Aid(商標)ミキサー内で撹拌された。酢酸セルロース溶液(Eastman(商標)CA-398-3、アセトン中で20%)60mLが注射器を用いて2分間にわたって粒子に滴下された。混合物を1分間撹拌後に、被覆粒子は空気乾燥された。ついで、粒子はエチルセルロース溶液(Sigma-Aldrichから商業的に入手し得、10cP、エタノール中で20%)70mLで同様な方法で第2の被覆層を与えられた。ついで、試料は炉内で50℃で、2時間乾燥された。乾燥された材料は、篩い分けされて850μmより大きい粒子と150μmより小さい粒子を除去した。ギ酸カルシウムの遊離プロファイルは、「被覆ギ酸カルシウムの遊離」の試験方法に記載され概括的手順により測定された。その結果は、表3に示される。
【0173】
【表5】

【0174】
図3は、酢酸セルロースおよび酢酸セルロース/エチルセルロース被覆ギ酸カルシウムの遊離プロファイルのプロット図である。これらのトリガー組成物は特異的遊離プロファイルを示した。
例5 カルボキシメチルセルロースナトリウムで被覆されたギ酸カルシウムの調製(1stTC‐G)
ギ酸カルシウム粒子(Fisher Scientificから商業的に入手し得、表4に示される粒径)400gが、Kitchen―Aid(商標)ミキサー内で撹拌された。カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)溶液(水中で1%)40mLが注射器を用いて1分間にわたって粒子に滴下された。混合物をさらに1分間撹拌後に、被覆粒子は炉内で110℃で、30分間乾燥された。ついで、試料は、20/80メッシュ篩い(US篩いシリーズ)を用いて篩い分けされた。80メッシュ篩い上の粒子が集められ、生成物320gを生じた。被覆粒子は水中で速い遊離速度を示し、1分間で77%遊離され、2分間で100%遊離された。被覆試料は、表4に示されるように、未被覆試料よりも大きい粒径を有していた。
【0175】
【表6】

【0176】
例6 ポリ(メタ)アクリレート被覆炭酸ナトリウムの調製(2ndTC‐Aおよび2ndTC‐D)
例1に示される概括的手順が、炭酸ナトリウム粒子(Sigma-Aldrichから商業的に入手し得、US篩いシリーズで100-20メッシュの粒径)にEUDRAGIT(登録商標)RS 30Dを付着するのに用いられた。被覆粒子は、5wt%、10wt%、18wt%、または27wt%のポリマー被覆を含んでいた。
【0177】
炭酸ナトリウムの遊離は、上述の「被覆炭酸ナトリウムの遊離」の試験方法に記載され概括的手順により測定された。その結果は、表5に示される。
【0178】
【表7】

【0179】
図4は、ポリ(メタ)アクリレート被覆炭酸ナトリウムの遊離プロファイルのプロット図である。これらのトリガー組成物はS字状遊離プロファイルを示した。
例7 MPP被覆炭酸ナトリウムの調製(2ndTC‐E、2ndTC‐F)
炭酸ナトリウム粒子(100-20メッシュ)400gが1ガロンプラスチックバケツに入れられた。バケツは粒子を流動化するためにRetchシェーカー上に載せられた。マレイン酸変性ポリプロピレン(MPP)エマルンション(ニューヨーク州チェススターのCHEMCORから商業的に入手し得、水中で20%)がスプレーガンを用いて20分間にわたって粒子にスプレーされた。被覆粒子は、炉内で50℃で、2時間乾燥された。被覆粒子は、2wt%または6wt%のポリマー被覆を含んでいた。
【0180】
炭酸ナトリウムの遊離は、上述の「被覆炭酸ナトリウムの遊離」の試験方法に記載され概括的手順により測定された。その結果は、表6に示される。
【0181】
【表8】

【0182】
図5は、マレイン酸変性ポリプロピレン被覆炭酸ナトリウムの遊離プロファイルのプロット図である。これらのトリガー組成物は特異的遊離プロファイルを示した。
例8〜13
不溶性塩の形成によるSAP膨潤/収縮
ニューカロライナ州グリーンスボローのStockhausen Inc.により製造された、商業的に入手し得る高吸収性ポリマー組成物であるFavor(登録商標)SXM-9300が、不溶性塩の生成により誘発される膨潤および収縮を示すのに用いられる。高吸収性ポリマーは多価カチオンを含む塩溶液にまずさらされた。ついで、その第1の塩の多価カチオンと錯体を形成し得るアニオンを含む、第2の塩にさらされ、溶解度積定数Ksp<10−5を有する不溶性塩を生成する。比較例13において、KClが第1のトリガー化学品として使用され、そしてNaSOが第2のトリガー化学品として使用された。
【0183】
特に、高吸収性ポリマー組成物0.20gがティーバッグに入れられた。高吸収性ポリマー試料の第1遠心保持容量が標準試験法により試験された。ついで、ティーバッグは、0.9%塩化ナトリウム溶液10gに特定量の第1トリガー化学品を溶解させて調製された収縮溶液に浸漬された。浸漬時間10分後に、バッグは遠心機内に置かれ、そして保持容量が測定されて第2遠心保持容量が得られた。ついで、バッグは、0.9%塩化ナトリウム溶液20gに特定量の第2トリガー化学品を溶解させて調製された再膨潤溶液に浸漬された。浸漬時間20分後に、バッグは遠心機内に置かれ、そして保持容量が測定されて第3遠心保持容量が得られた。試験結果は表7に示される。表7に示される溶解度積定数は、第1トリガー化学品のカチオンと第2トリガー化学品のアニオンから形成される塩に帰する。それらはオンライン源から得られる:
http://www.csudh.edu/oliver/chemdata/data-ksp.htm.
【0184】
【表9】

【0185】
例8〜12の結果は、2以上のイオン化された原子価を有するカチオンを含む塩溶液に膨潤SAPをさらすことによりSAPを収縮する能力を示した。さらに、その結果は、第1塩のカチオンと錯体を形成して溶解度積定数Ksp<10−5を有する不溶性塩を生成し得るアニオンを含む第2塩溶液の存在下に、収縮されたSAPが再膨潤し得ることを示した。例13において、第1塩のカチオン(K)は2より小さいイオン化された原子価を有し、そして第2塩のアニオン(SO2−)は第1塩(KCl)のカチオン(K)と可溶性塩を形成する。この場合、高吸収性ポリマーは有効な収縮および再膨潤を示さなかった。わずかに減少した2ndおよび3rdTCRC容量は、その可溶性の第1および第2塩により生じる塩毒作用が主たる原因である。
例14〜16
不溶性塩の形成によるSAP膨潤/収縮
表8は、遠心保持容量試験からの、SAP−B、SAP−D、およびSAP−Fについての膨潤/収縮/再膨潤評価結果を示す。比較的低い中和度を有する高吸収性ポリマー(SAP−DおよびSAP−F、40〜60%のDN)は、普通の中和度を有するSAP−A(約70%のDN)に比べて改良された再膨潤容量を示した。
【0186】
【表10】

【0187】
例17〜21
低DN高吸収性ポリマーの膨潤/収縮
40〜60%の中和度(DN)を有する高吸収性ポリマーがSXM−9300のような、商業的に入手し得る高吸収性ポリマーに勝る、質量効率および再膨潤容量改良を示すのに用いられた。スルファミン酸が第1トリガー化学品として使用され、そして炭酸ナトリウムが第2トリガー化学品として使用された。評価は、例8〜13に記載される概括的手順にしたがって実施された。その結果は表9に示される。
【0188】
【表11】

【0189】
表9から明らかなように、比較的低い中和度を有する高吸収性ポリマー(SAP−CおよびSAP−E)は、SXM−9300のような、普通の中和度を有するポリマーに比べて改良された再膨潤容量および質量効率を示した。
例22
SXM−9300およびポリ(メタ)アクリレート被覆スルファミン酸を含む吸収性組成物が、吸収性組成物の膨潤/収縮挙動を示すために用いられた。SXM−9300および被覆スルファミン酸の混合物(トリガー組成物1stTC‐Aまたは1stTC‐B)は、底部スクリーンを有する注射器内に入れられ、吸収容量が、「吸収性組成物の膨潤/収縮/再膨潤試験」に記載される概括的手順によって測定された。その結果は表10に示される。
【0190】
【表12】

【0191】
表10および図6における結果から、膨潤容量および収縮時間は、トリガー組成物におけるポリマー被覆レベルにより、ならびにSAPとトリガー組成物の混合比により、調節されたことが理解され得る。
例23〜27
表11は、高吸収性ポリマー組成物、スルファミン酸を含む第1トリガー組成物、および炭酸ナトリウムのような塩基性材料を含む第2トリガー組成物、を含む吸収性組成物を示す。その膨潤/収縮/再膨潤曲線は、「吸収性組成物の膨潤/収縮/再膨潤試験」に記載される概括的手順によって測定された。
【0192】
【表13】

【0193】
図7は、例23〜24について、表11に示されるような、SXM−9300と第1および第2トリガー組成物との乾式混合物の膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図である。これらの例において、再膨潤ステップの開始点は、第2トリガー組成物の遊離速度により調節された。
【0194】
図8は、表11に示されるような、例25の膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図である。これらの例において、カプセル化ブローイング剤を含む高吸収性ポリマー組成物SAP−Bは、SXM−9300に比べて速い吸収速度による膨潤容量の改良があった。
【0195】
図9は、表11に示されるような、例26〜27の膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図である。これらの例において、約50%DNを有する高吸収性ポリマー組成物SAP−CおよびSAP−Dは、SXM−9300に比べて、膨潤および再膨潤容量ならびに質量効率の改良があった。SAP−Dは、その速い吸収速度によりSAP−Cよりも改良された膨潤容量を示した。
例28〜32
表12は、高吸収性ポリマー組成物、多価カチオンを含む第1トリガー組成物、およびその第1の塩の多価カチオンと錯体を形成し溶解度積定数Ksp<10−5を有する不溶性塩を生成し得るアニオンを含む第2トリガー組成物、を含む吸収性組成物を示す。その膨潤/収縮/再膨潤曲線は、「吸収性組成物の膨潤/収縮/再膨潤試験」に記載される概括的手順によって測定された。
【0196】
【表14】

【0197】
図10は、表12に示されるような、例28についての膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図であり、膨潤/収縮/再膨潤試験で測定された。これらの例において、高吸収性ポリマーは、0.9%食塩水溶液にさらした後に、膨潤/収縮/再膨潤挙動を示した。
【0198】
図11は、表12に示されるような、例29〜30についての膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図であり、膨潤/収縮/再膨潤試験で測定された。これらの例において、カプセル化ブローイング剤を含む高吸収性ポリマー組成物SAP−Bは、SXM−9300に比べて改良された膨潤容量を与えた。
【0199】
図12は、表12に示されるような、例31〜32についての膨潤/収縮/再膨潤曲線のプロット図であり、膨潤/収縮/再膨潤試験で測定された。これらの例において、カプセル化ブローイング剤を含み、約50%DNを有する高吸収性ポリマー組成物SAP−Dは、改良された膨潤および再膨潤容量ならびに質量効率の改良の利点を示した。
【0200】
実施例以外の、成分、反応条件等、明細書および請求項で用いられる、量を表すすべての数字は、特に異なる記載がなければ、用語「約」により変更しえると理解されるべきである。したがって、反対の指摘がなければ、明細書および請求項に示される数値パラメーターは、本発明により得られる所望の特性に応じて、変更し得る近似である。請求項の範囲への均等の適用を制限するものではなく、数値パラメーターは有意な数字および四捨五入アプローチに照らして解釈されるべきである。
【0201】
本発明の広範な範囲を示す数字による範囲およびパラメーターは近似であるにもかかわらず、具体的な例に示される数値はできる限り正確に報告されている。しかし、数値は、個別の試験測定法にみられる標準偏差から必然的に生じる誤差を本来的に含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.アニオン官能基を有する高吸収性ポリマー組成物;
b.2価以上の、イオン化された原子価を持つカチオンXを含む第1水溶性化学品からなる第1トリガー組成物;ならびに
c.アニオンYを含む第2水溶性化学品からなる第2トリガー組成物、
を含む吸収性組成物であり、ここで第1水溶性化学品のカチオンXは、高吸収性ポリマー組成物のアニオン官能基と錯体形成(complexing)することができ;そして第2水溶性化学品のアニオンYはカチオンXと錯体形成して溶解度積定数(solubility product constant)Ksp<10−5を有する塩を形成し得る。
【請求項2】
高吸収性ポリマー組成物の約10〜約90wt%、第1トリガー組成物の約5〜約60wt%、および第2トリガー組成物の約5〜約60wt%含み得る請求項1に記載の吸収性組成物。
【請求項3】
高吸収性ポリマー組成物ならびに第1および第2トリガー組成物が粒子状であり、そしてその粒径は、約150μm〜約850μmの範囲にある請求項1または2に記載の吸収性組成物。
【請求項4】
第1トリガー組成物が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、ギ酸亜鉛および硫酸亜鉛から選ばれる水溶性化学品を含む請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性組成物。
【請求項5】
第2トリガー組成物が、フッ化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫酸ナトリウムまたはトリポリリン酸ナトリウムから選ばれる水溶性化学品を含む請求項1〜4のいずれかに記載の吸収性組成物。
【請求項6】
第1水溶性化学品がギ酸カルシウムであり、そして第2水溶性化学品が炭酸ナトリウムである請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性組成物。
【請求項7】
第1および第2トリガー組成物の少なくとも1つが、ポリ(メタ)アクリレートコポリマー、ポリアクリレートコポリマー、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース、ポリエチレングリコール、マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリオレフィンコポリマーまたはそれらの組み合わせから選ばれるポリマー被覆材料を含む請求項1〜6のいずれかに記載の吸収性組成物。
【請求項8】
第1および第2トリガー組成物が、水性液体にさらされた後に水溶性固体化学品を遊離するための、選択された遊離プロファイルを有し、そして第1水溶性化学品は、第1水溶性化学品が約100%遊離される前に、第2水溶性化学品よりも高い累積的な遊離を有する請求項1〜7のいずれかに記載の吸収性組成物。
【請求項9】
遊離プロファイルが、特異的遊離プロファイルまたはS字状遊離プロファイルから選ばれる請求項1〜8のいずれかに記載の吸収性組成物。
【請求項10】
試験手順の遊離プロファイル測定法により測定して、約50wt%〜100wt%の水溶性固体化学品が、水性液体にさらされた後、約240分間未満でトリガー組成物から遊離される請求項1〜9のいずれかに記載の吸収性組成物。
【請求項11】
高吸収性ポリマー組成物は、部分的に中和された架橋ポリアクリル酸を含み、約40モル%〜60モル%の中和された酸性官能基および少なくとも約25g/g〜約60g/gの遠心保持容量を有する請求項1〜10のいずれかに記載の吸収性組成物。
【請求項12】
高吸収性ポリマー組成物は、約0.05〜10.0wt%のブローイング剤を含む請求項1〜11のいずれかに記載の吸収性組成物。
【請求項13】
ブローイング剤は、天然もしくは合成レジン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、粘性硬化性セラミック材料、ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、オレフィンコポリマー、ポリ芳香族オレフィン、スチレン化合物または重合されたハロ−ジオレフィンから選ばれ得るレジンによりカプセル化される請求項12に記載の吸収性組成物。
【請求項14】
ブローイング剤は炭酸塩またはその化合物を含む請求項12または13に記載の吸収性組成物。
【請求項15】
レジンがポリエチレングリコールを含む請求項13に記載の吸収性組成物。
【請求項16】
高吸収性ポリマー組成物は、45秒以下の渦巻き時間を有する請求項1〜15のいずれかに記載の吸収性組成物。
【請求項17】
a.約40モル%〜60モル%の酸性官能基が中和され、約6.0未満のpHを有する、部分的に中和された架橋ポリアクリル酸を含む高吸収性ポリマー組成物;
b.第1水溶性化学品からなる第1トリガー組成物;ならびに
c.pHが約10以上である第2水溶性化学品からなる第2のトリガー組成物、
を含む吸収性組成物であり、ここで吸収性組成物は水性液体と接触するとき、高吸収性ポリマー組成物は、膨潤−収縮−再膨潤挙動を示し、得られる膨潤高吸収性ポリマー組成物は、a.の高吸収性ポリマー組成物より高いpHを有する。
【請求項18】
第1トリガー組成物が酸もしくは酸性材料からなる請求項17に記載の吸収性組成物。
【請求項19】
a.ブローイング剤を含む高吸収性ポリマー組成物;
b.第1水溶性固体化学品を含む第1トリガー組成物であり、ここで第1トリガー組成物はトリガー組成物から水溶性固体化学品を遊離するための遊離プロファイルを有し、その遊離プロファイルは特異的遊離プロファイルまたはS字状遊離プロファイルから選ばれる;ならびに
c.第2水溶性固体化学品を含む第2トリガー組成物であり、ここで第2トリガー組成物はトリガー組成物から第2水溶性固体化学品を遊離するためのS字状遊離プロファイルを有し、ここで第1水溶性化学品は、水性液体にさらされた後であって、約100%遊離される前に、第2水溶性化学品よりも高い累積的な遊離を有する、
からなる吸収性組成物。
【請求項20】
高吸収性ポリマー組成物は、約40モル%〜60モル%の酸性官能基が中和され、少なくとも約25g/gの遠心保持容量を有する、部分的に中和された架橋ポリアクリル酸を含む請求項17〜19のいずれかに記載の吸収性組成物。
【請求項21】
a.部分的に中和された架橋ポリアクリル酸からなり、第1の吸収容量を有する高吸収性ポリマー組成物;
b.第1のトリガー組成物;ならびに
c.第2のトリガー組成物、
からなる吸収性組成物であり、ここで高吸収性ポリマー組成物ならびに第1および第2のトリガー組成物は粒状であり、そして高吸収性ポリマー組成物粒子ならびに第1および第2のトリガー組成物粒子は約150μmより大きく、約1000μmより小さい粒径を有する。
【請求項22】
請求項17〜21のいずれかに記載の吸収性組成物であり、高吸収性ポリマー組成物ならびに第1および第2のトリガー組成物は約150μm〜約850μmの粒径を有し、吸収性組成物が、水性液体と接触されるとき、高吸収性ポリマー組成物に液体を吸収させ膨潤高吸収性ポリマー組成物を形成させ、第1トリガー組成物は膨潤高吸収性ポリマー組成物と結合して膨潤高吸収性ポリマー組成物から液体の一部を収縮させ、得られる収縮された膨潤高吸収性ポリマー組成物は第1の吸収容量よりも20%以上小さい第2の吸収容量を有し;そして第2トリガー組成物が膨潤高吸収性ポリマー組成物ならびに第1トリガー組成物の組み合わせと接触するとき、得られる高吸収性ポリマー組成物は、第2の吸収容量より大きい第3の吸収容量を有する、吸収性組成物。
【請求項23】
a.高吸収性ポリマー組成物;ならびに
b.水溶性固体化学品を含む第1トリガー組成物であり、ここでトリガー組成物はトリガー組成物から水溶性固体化学品を遊離するための遊離プロファイルを有し、その遊離プロファイルは特異的遊離プロファイルまたはS字状遊離プロファイルから選ばれる、
からなる吸収性組成物であり、ここで高吸収性ポリマー組成物およびトリガー組成物は粒状であり、そして高吸収性ポリマー組成物粒子およびトリガー組成物粒子は約150μmより大きく、約1000μmより小さい粒径を有する。
【請求項24】
a.水溶性固体化学品;ならびに
b.水溶性化学品の約0.1wt%〜約50wt%の量で、水溶性化学品を被覆する重合性被覆材料からなるトリガー組成物であり、ここでトリガー組成物は、試験手順の遊離プロファイル測定法により測定して、トリガー組成物から水溶性固体化学品を遊離するための特異的またはS字状遊離プロファイルを有し、そしてトリガー組成物は粒状であり、約1000μmより小さい粒径を有する。
【請求項25】
トリガー組成物が約150μm〜約850μmの粒径を有する請求項24に記載のトリガー組成物。
【請求項26】
a.スルファミン酸、クエン酸、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、ギ酸亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫酸ナトリウム、またはトリポリリン酸ナトリウムから選ばれる水溶性固体化学品、を含むトリガー組成物であり;
b.該水溶性固体化学品は、ポリ(メタ)アクリレートコポリマー、ポリアクリレートコポリマー、ポリ(メタ)アクリレート酢酸セルロース、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース、ポリエチレングリコール、ポリオレフィンコポリマーまたはそれらの組み合わせ、から選ばれる重合性被覆で被覆され;
そして、そのトリガー組成物は、試験手順における遊離プロファイル測定法で測定して、トリガー組成物から水溶性固体化学品を遊離する、特異またはS字状遊離プロファイルを有し、トリガー組成物は粒状であり、そして約150μmより大きく、約1000μmより小さい粒径を有する、トリガー組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−511136(P2011−511136A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545159(P2010−545159)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/032424
【国際公開番号】WO2009/097420
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(508160093)エボニック ストックハウゼン,インコーポレイティド (5)
【Fターム(参考)】