説明

トリテルペン化合物、その製造方法及びそれを有効成分として含有する発癌プロモーション抑制組成物

【課題】新規なトリテルペン化合物、その製造方法及びそれを有効成分として含有する癌抑制剤の提供。
【解決手段】カバノアナタケに含有する成分の各種トリテルペンを抽出し、トリテルペンの新規物質も含むそれらの構造を決定し、各物質における発ガンのプロモーション段階を抑制する癌抑制剤を開発した。それらの製造方法も開示した。またトリテルペンであるイノトジオールが、悪性の強いp388マウスリンパ性白血病細胞に対する抑制効果を持つことも明らかにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
新規なトリテルペン化合物、その製造方法及びそれを有効成分として含有する癌抑制剤に関する発明。
【背景技術】
【0001】
高齢化社会に入りますます健康を渇望する人が増加している。ウイルスの変種も最新の課題として取りざたされている。その中に癌は重い課題として人類を迎え撃っている。診療及び治療法の開発等により、癌は昨今と比べるとずっと「治る病気」となりつつあるが、高齢化社会の進行とともに羅患者と死亡者は依然として増加している。日本癌学会の発表によると現在、死亡統計上3人に1人は癌によって死亡していると報告されている。癌の抑制については、羅患後の医療だけではなく、癌が発生する前にその発生を抑えようとする考え方、即ち癌予防に対する関心も近年高まりつつある。
癌の抑制のうち羅患後の治療において、悪性腫瘍、即ち癌に対する治療法は早期発見・外科的手術とともに化学療法が併用されているが、臨床的に実用又は試用されている多くの抗癌剤は、例えば、固形癌に対して必ずしも充分に満足できる効果を有するものではないと言わざるを得ない場合が存在している。
一方、癌の抑制のうち癌予防において、化学物質による癌発症(化学発癌)の機構に関しては、近年、発癌イニシエーション及び発癌プロモーションと呼ばれる二つの過程を経由すると考える発癌二段階説が広く認められている。
【0002】
イニシエーションとは、発癌イニシエーターと総称される物質が、正常細胞のDNAに不可逆的に損傷を与えて潜在性細胞(initiated cell)に変化させる過程であり、発癌プロモーションとは、発癌プロモーターと総称される物質が、発癌イニシエーターで生じた発癌潜在性細胞に働きかけ、それを癌細胞に導く過程である。発癌イニシエーション及び発癌プロモーションの両方の過程を抑えることができれば、癌の発生を抑制することが可能となる。とりわけ、発癌プロモーションの抑制は、正常細胞に復帰することのできない潜在性細胞を既に保有する固体に対しても有効な発癌抑制手段となる。
【発明の技術分野】
【0003】
木材腐朽菌キノコの新規トリテルペン、具体的にはカバノアナタケ[学名Inonotusobliquus]に含有されるトリテルペンの製造方法とその発癌プロモーション抑制活性を持つ組成物及び抗癌剤に関する。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記前者の治療の観点からは、腫瘍の縮小・撲滅及び成長の抑制に有効な医薬となり得るよう殺癌細胞活性化合物の開発が切望されており、一方、上記後者発癌の予防の観点からは、発癌プロモーションを抑制する活性を有する成分を含有し発癌の抑制に有効な医薬品、食品等の発癌プロモーション抑制化合物の開発が切望されていてカバノアナタケの化合物からそうした作用をもつ抗癌剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、担子菌キノコ類、中でもカバノアナタケ菌核から分離精製されたトリテルペン化合物類が、発癌のプロモーションを抑制する活性(以下、発癌プロモーション抑制活性と記すこともある。)を有することを見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、
1.式(I)で示されるトリテルペン化合物又はその薬学的に許容される塩。
2.前項1記載のトリテルペン化合物又はその薬学的に許容される塩を担子菌キノコ類、中でもカバノアナタケ菌核から抽出する工程を有することを特徴とするトリテルペン化合物の製造方法。
【0006】
本発明化合物には不斉炭素が存在するが、発癌プロモーション抑制活性を有する限り可能な立体配置の化合物が全て含まれる。
カバノアナタケにおけるトリテルペン成分に関しては申らの抽出方法[文献:申有英 他,Eurasian J.For.Res.1:43−50(2000);日本木材学会北海道支部講演集 第30号 平成10年11月p75−77;Yusoo Shin et.al.,International Journal of Medicinal Mushrooms Vol.2,pp.201−207(2000)]で示されているが、それはエタノール抽出方法を用いるためカバノアナタケに含有されるトリテルペン成分の全体を抽出することは、他の成分が混在しているため不適であった。また、トリテルペン成分が抽出されてもごく一部分であった。種々検討した結果、クロロホルムによる抽出方法を表1に示すごとく確立するに至った。これはエタノール抽出方法の約1000倍の抽出効率があった。クロロホルムの後、メタノールで抽出を行った。メタノールエキスにはトリテルペン画分は溶出されない。
【0007】
また、本成分のトリテルペンにおけるin vitro EBV−EA誘導化抑制活性およびin vivo発癌プロモーション抑制活性、すなわち生体(マウス)を実験系に取り入れ証明したものは今迄になかった。本技術をすべて開示している訳ではないが,日本薬学会125年会(3月31日)において本成分の一部およびin vitroマウス白血病細胞P388のスクリーニングの結果を明らかにしている.
【0008】
本発明化合物のプロモーション抑制活性を測定する方法としては、例えば、EBV−EA誘導試験法[文献:Konishi,T.et al.,Biol.Pharm.Bull.,21,993(1998)]が挙げられる。この試験法は、12−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート(以下TPAと記す。)、テレオシジン等の発癌プロモーターが、バーキットリンパ腫由来エプスタイン・バー・ウイルス潜在感染ヒトリンパ芽球様細胞株(Raji細胞、ATCCから入手可能)中に潜在するエプスタイン・バー・ウイルス(以下、EBVと記す。)を活性化する現象に基づいた方法であり、当該測定の工程としては、まず前記のような発癌プロモーターと被検物質とをRaji細胞に接触させ、発癌プロモーターによるEBV活性化を被検物質が抑制する効力を測定する。当該方法で測定されたEBV活性化抑制活性とin vivo発癌プロモーション抑制活性との高い相関性が、多くの化合物で示されている。
【0009】
さらにまた、プロモーション抑制活性は、げっ歯類を用いたin vivo二段階発癌実験によって調べることもできる。例えば、マウスの背中の毛を手術用バリカン等で刈り落とし、背中の皮膚に、アセトン又はメタノール等の有機溶媒に溶解した7,12−ジメチルベンズアントラセン(以下、DMBAと記す。)を適量、例えば、約1μg〜1000μg程度塗布する。DMBA塗布より一定期間(例えば、1週間)経過した後から、被検物質とを一定頻度(例えば、週2回程度)で皮膚に塗布する。具体的に例えば、前記のようにDMBAを塗布した皮膚に、まずアセトン又はメタノール等の有機溶媒に溶解した被検物質を塗布し、約1時間後に、アセトン又はメタノール等の有機溶媒に溶解したTPAを適量(例えば、約0.1μg〜10μg程度)塗布する。このような処理を行いながら、一定期間(例えば、約10〜50週間程度)に渡って経時的に観察を行い、処理を行った背中の皮膚に腫瘍の発生したマウスの数及び発生した腫瘍の数を測定する。被検物質とTPAを塗布した群における腫瘍の発生したマウスの数及び発生した腫瘍の数を、被検物質の代わりに溶媒を塗布した群における腫瘍の発生したマウスの数及び発生した腫瘍の数と比較することにより、被検物質の発癌プロモーション抑制活性を調べることができる。
【0010】
本発明の発癌プロモーション抑制組成物は、例えば、本発明化合物を含む天然由来の抽出物若しくはその加工品、本発明化合物自体、或いは、本発明化合物と、医薬担体若しくは賦形剤、食品成分又は化粧品成分等とが混合されてなる組成物等を含み、腫瘍や癌の発生を抑制し、かつ、発生した腫瘍や癌を治療する医薬品、食品又は化粧品等として利用され得る。用いられる医薬担体若しくは賦形剤、食品成分又は化粧品成分等は、当該癌抑制剤の具体的用途に応じて適宜選択することができる。また、抑制剤の形態も、具体的用途に応じて、例えば、種々の固体や液体の形態とすることができる。
【0011】
例えば、本発明化合物を医薬品として用いる場合には、その投与形態を必要に応じて適宜選択することができる。具体的な形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の経口剤、注射剤、経皮吸収剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、坐剤等の非経口剤等をあげることができる。これら製剤は常法に準じて製造すればよい。
【実施例】
【0012】
以下、実施例により本研究を更に詳細に説明するが、本研究はこれらによって限定されるものではない。
参考1(本化合物の調製)
北海道名寄市(株)サラダメロン構内において採取されたカバノアナタケの菌核10kgを細かく刻み、20Lのクロロホルム、60℃にて2週間浸漬し、濾過後、濾液を減圧下、溶媒を留去して、クロロホルムエキス200gを得た。表1に示すように当該エキス全量をクロロホルムに溶かし、クロロホルムで調製したシリカゲル(シリカゲル60,メルク社製)3.5kgを用いたカラムクロマトグラフィーに供し、クロロホルム及び酢酸エチルの混合溶媒(クロロホルム:酢酸エチル=10:1)を流して1Lずつ分画を行い、フラクション40−46を集めた画分A(18.0g,7x1L)及びフラクション47−52を集めた画分B(49.0g,6x1L)を得た。次にクロロホルム:酢酸エチル=5:1を流して1Lずつ分画を行い、フラクション62−70を集めた画分C(3.0g,9x1L)及びフラクション71−79を集めた画分D(6.0g,9x1L)を得た。さらにクロロホルム:酢酸エチル=2:1を流して1Lずつ分画を行い、フラクション80−105を集めた画分E(12.5g,26x1L)を得た。以上得られた各画分をさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィー及びODSとメタノール系による高速液体クロマトグラフィーにより分離精製し、化合物の単離を行った。画分Aをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、クロロホルムで溶出するフラクションより化合物3、クロロホルム:酢酸エチル=5:1で溶出するフラクションより化合物6及び7、さらにクロロホルム:酢酸エチル=2:1で溶出するフラクションより化合物8及び9をそれぞれ得た。画分Bからはクロロホルムで溶出するフラクションより化合物1、4、5および11を得た。画分Dからはクロロホルムで溶出するフラクションより化合物10を、画分Eからはクロロホルム:酢酸エチル=5:1で溶出するフラクションより化合物2を得た。
【0013】
【表1】

【0016】
試験例1(プロモーション抑制活性の測定)
参考1で得られた化合物1、2、2−アセテート、3、4、5、6、7、7アセテート及び11について、EBV活性化抑制試験法(Konishi,T.et.al.,Biol.Pharm.Bull.,21,993(1998))により、プロモーション抑制活性の測定を行った。パーキットリンパ腫由来EBV潜在感染ヒトリンパ芽球細胞株(Raji細胞)の培養には、PPMI 1640培地(日水製薬)に10v/v%となるように牛胎仔血清(GIBCO−BRL)を加えた培地を使用した。この培地で培養した場合のEBVの活性化率(Raji細胞の自然誘発率)は、0.1%以下であった.前記培地で培養したRaji細胞の培養液を1x10細胞/mlとなるように調製し、DMSOに溶解した酪酸(終濃度4mM)とTPA(終濃度20ng/ml)とを加えて、COインキュベーター中で 37℃にて48時間培養した後、得られた培養液の塗沫標本を作製した。上咽頭がん患者血清を用いた間接蛍光抗体法によりEBV初期抗原(EBV−EA)を染色し、陽性細胞(該初期抗原の発現した細胞)の発現率を測定してこれを陽性コントロール(100)とした。一方、前記と同様に調製したRaji細胞の培養液に、DMSOにを染色し、陽性細胞(該初期抗原の発現した細胞)の発現率を測定してこれを陽性コントロール(100)とした。一方、前記と同様に調製したRaji細胞の培養液に、DMSOに溶解した酪酸(終濃度4mM)とTPA(終濃度20ng/ml)
および被験化合物を加えて同様に培養した後、陽性細胞の発現率を測定し陽性コントロ−ル(100)に対する割合(%)を求めた。各試験において、少なくとも500細胞を測定し、また3回の繰り返し実験を行った。なお毎回、TPAおよび被験化合物は添加せず酪酸だけを添加した系(陰性コントロール)と上記陽性コントロールについての試験を併行して行った。
【0017】
測定結果を表2に示した。いずれの化合物についても、用量相関的にEBV−EAの活性化の抑制が認められた。なお,化合物1、2、2−アセテート、3、4、5、6、7、7アセテート及び11はいずれの試験においても、細胞に対する強い毒性は認められなかった。マウス及び豚では0.1g(体重1k当り)経口投与でも毒性はでない。
【表2】

【0018】
試験例2(マウス皮膚2段階発癌実験におけるプロモーション抑制活性の測定)
参考1で得られた化合物1について、マウスを用いた2段階発癌実験法により、プロモーション抑制活性の測定を行った。6週齢のICR雌マウスの背部の毛を剃り、0.1mlに溶解した化合物1を前記のDMBA塗布部位に塗布し、溶媒処置群には、化合物1に替えてアセトン(0.1ml)を塗布した。次いで1時間後に、被験化合物処置群および溶媒処置群のいずれにも、前記の塗布部位に、0.1mlのアセトンに溶解したTPA(1mg,1.7nmol)を塗布し、以後週2回の頻度で、20週に亘ってTPAを同様に塗布した。マウスは1群当たり3匹を使用した。プロモーション抑制活性は、パピローマが発生したマウスの数と、マウス1匹当たりのパピローマ発生数の平均値とを被験化合物処置群と溶媒処置群とで比較することにより判定した。その結果、図2および3に示すように、化合物1はTPAによる発癌プロモーションに対し抑制活性を示した。


(図2)マウス皮膚二段階発癌実験法により、化合物1のプロモーション抑制活性を測定した結果を示す図である。横軸は、TPA及び被検化合物を皮膚に塗布したプロモーションの期間(週)を示す。縦軸は、各処理群におけるパピローマの発生頻度を百分率にて示す。
(図3)マウス皮膚二段階発癌実験法により、化合物1のプロモーション抑制活性を測定した結果を示す図である。横軸は、TPA及び被検化合物を皮膚に塗布したプロモーションの期間(週)を示す。縦軸は、各処理群における個体あたりのパピローマの発生数を個数にて示す。
【0019】
P388マウスリンパ性白血病細胞に対する増殖阻害活性試験を代表としてトリテルペン4種でおこなった。(被検物1,2,5,7は化合物1,2,5,7と同じ表現である。)以下の方法で行い結果をえた。
P388マウスリンパ性白血病細胞に対する増殖阻害活性試験
[方法]
10%牛胎児血清含有イーグルMinimum Essential Mediumを用いて,P388マウスリンパ性白血病細胞を37℃で培養し、約7×10cell/mlになったところで培養液を900rpm、5分間、遠心分離した。上澄液を捨て、残った細胞に一定量の培地を加え1×10cell/ml(初濃度)の細胞浮遊液を調節した。一方、検体をDMSOで溶解(10mg/ml)し,培地で200,20,2μg/mlになるように希釈した。またコントロールの溶液はDMSOの濃度が2,0.2,0.02%になるように希釈した。96穴マイクロプレートの各穴に検体又はコントロールの溶液と細胞の浮遊溶液を各々100μl入れ、COインキュベーター内で37℃、13日間培養した後、MTT(6mg/ml,リン酸緩衝液)25μlを加え、細胞を染色する。4時間後さらにドデシル硫酸ナトリウム(20%,0.02N HCl)50μlを加えホルマゾンを溶解し,一夜放置後マイクロプレートリーダー(BIO RAD model450)で吸光度を測定した.
次式よりgrowth(G)%を計算し,片対数グラフを用いて細胞の増殖を50%抑制する濃

度ED50(μg/ml)を求めた。
【0020】
[結果]
試験結果を以下の表3に示した。4個の被検化合物(トリテルペン化合物)(1),(2),(5)及び(7)のうち、(2)を除くすべての化合物に縁やかな細胞増殖阻害活性が認められた。((2)は結晶の凝結がつよい。)
【表3】


以上のようにカバノアナタケ由来のトリテルペン化合物に抗癌活性があきらかとなったから癌抑制や生理活性著大なものがある。
【0021】
化合物1
NMRスペクトルH NMR(CDCl):δ0.73(3H,s),0.81(3H,s),0.88(3H,s),0.94(3H,d,J=6.5Hz),0.84(3H,s),1.00(3H,s),1.65(3H,s),1.75(3H,s),3.24(1H,dd,J=11.8,4.5Hz),3.67(1H,ddd,J=9.0,5.2,4.4Hz),5.18(1H,m).マススペクトルm/z:442(29)[M],427(34),411(44),409(16),372(28),357(59),339(16),299(18),187(23),69(100).
化合物2
NMRスペクトルH NMR(CDCl):δ0.75(3H,s),0.81(3H,s),0.89(3H,s),0.97(3H,s),1.00(3H,s),1.59(3H,s),1.62(3H,s),3.22(1H,dd,J=11.8,4.8Hz).マススペクトルm/z:456(60)[M],441(66),423(100),395(11),301(10),281(17),187(19).
化合物3
NMRスペクトルH NMR(CDCl):δ0.69(3H,s),0.81(3H,s),0.88(3H,s),0.91(3H,d,J=6.5Hz),0.98(3H,s),1.00(3H,s),3.22(1H,dd,J=11.8,4.8Hz),5.10(1H,m).マススペクトルm/z:442(77)[M],427(62),409(100),391(26),357(15),327(10),299(10),273(11),259(11),255(10).
化合物4
NMRスペクトルH NMR(CDCl):δ0.69(3H,s),0.81(3H,s),0.87(3H,s),0.91(3H,d,J=6.5Hz),0.98(3H,s),1.00(3H,s),3.22(1H,dd,J=11.8,4.8Hz),4.01(1H,m),4.82(1H,s),4.93(1H,s),マススペクトルm/z:442(77)[M],427(62),409(100),391(26),357(15),327(10),299(10),273(11),259(11),255(10).
化合物5
NMRスペクトルH NMR(CDCl):δ0.69(3H,s),0.81(3H,s),0.90(3H,s),0.96(3H,s),1.00(3H,s),1.57(3H,s),1.68(3H,s),3.24(1H,dd,J=11.5,4.4Hz),5.04(1H,m),9.46(1H,d,J=5.5Hz).マススペクトルm/z:440(54)[M],425(100),407(97),389(16),358(68),299(59),288(51),281(59),273(30),247(24).
化合物6
NMRスペクトルH NMR(CDCl):δ0.73(3H,s),0.80(3H,s),0.90(3H,s),0.97(3H,s),0.99(3H,s),1.20(3H,s),1.22(3H,s),3.23(1H,dd,J=11.5,4.4Hz),3.72(1H,m).マススペクトルm/z:458(45)[M],443(32),425(100),407(90),389(13),299(45),281(28),
化合物7
NMRスペクトルH−NMR(CDCl):δ0.71(3H,s,H−18),0.81(3H,s,H−29),0.86(3H,s,H−30),0.88(3H,d,J=6.5Hz,H−21),0.98(3H,s,H−19),1.00(3H,s,H−28),1.05(1H,dd,J=12.8,3.0Hz,H−5),1.19(1H,m,H−15α),1.22(3H,s,H−27),1.23(3H,s,H−26),1.23(1H,td,J=13.5,4.2Hz,H−1α),1.40(1H,ddd,J=12.0,10.8,7.2Hz,H−17),1.48(1H,m,H−16β),1.50(1H,m,H−6β),1.58(1H,tdd,J=13.5,11.7,4.2Hz,H−2β),1.62(1H,m,H−15β),1.65(1H,m,H−23β),1.66(1H,m,H−2α),1.67(1H,m,H−6α),1.70(1H,m,H−12),1.73(1H,td,J=13.5,4.2Hz,H−1β),1.83(1H,m,H−16α),1.83(1H,d quint.,J=12.0,6.7Hz,H−20),2.01(1H,m,H−11),2.01(1H,m,H−23α),2.04(1H,m,H−7),3.23(1H,dd,J=11.7,4.6Hz,H−3),3.92(1H,dd,J=6.4,4.1Hz,H−24),4.26(1H ddd,J=10.3,6.6,3.7Hz,H−22).13C−NMR(CDCl):δ12.3(C−21),15.4(C−29),15.7(C−18),18.2(C−6),19.1(C−19),21.0(C−11),21.2(C−26),24.3(C−30),26.5(C−7),27.3(C−16),27.5(C−27),27.8(C−2),28.0(C−28),30.9(C−12),31.0(C−15),33.3(C−23),35.6(C−1),37.0(C−10),38.5(C−20),38.9(C−4),45.0(C−13),47.8(C−17),49.3(C−14),50.4(C−5),78.1(C−22),78.5(C−24),79.0(C−3),81.7(C−25),134.2(C−8),134.5(C−9).マススペクトルm/z:458(52)[M],443(75),425(66),407(11),339(17),314(10),311(10),301(11),283(12),115(100),71(68).
化合物8
NMRスペクトルH−NMR(CDCl):δ0.72(3H,s,H−18),0.81(3H,s,H−29),0.87(3H,s,H−30),0.93(3H,d,J=6.7Hz,H−21),0.98(3H,s,H−19),1.00(3H,s,H−28),1.05(1H,dd,J=12.5,2.5Hz,H−5),1.18(1H,m,H−15α),1.23(1H,td,J=12.6,3.8Hz,H−1α),1.41(1H,m,H−16β),1.44(1H,ddd,J=12.7,9.6,7.3Hz,H−17),1.50(1H,m,H−6β),1.58(1H,m,H−2β),1.58(1H,m,H−23β),1.63(1H,m,H−15β),1.67(1H,dqd,J=12.7,9.6,3.2Hz,H−20),1.67(1H,m,H−23α),1.68(1H,m,H−2α),1.68(1H,m,H−6α),1.68(1H,m,H−12β),1.73(1H,m,H−12α),1.73(3H,s,H−27),1.74(1H,dt,J=12.6,3.8Hz,H−1β),1.78(1H,m,H−16α),2.01(1H,m,H−11),2.04(1H,m,H−7),3.23(1H,dd,J=11.8,4.5Hz,H−3),3.98(1H ddd,J=10.2,3.2,2.8Hz,H−22),4.36(1H,t,J=4.8Hz,H−24),4.94(1H,q,J=1.8Hz,H−26A),5.11(1H,q,J=1.2Hz,H−26B).13C−NMR(CDCl):δ12.6(C−21),15.4(C−29),15.7(C−18),18.2(C−6),19.1(C−19),19.3(C−27),21.0(C−11),24.3(C−30),26.5(C−7),27.2(C−16),27.8(C−2),28.0(C−28),31.0(C−12),31.0(C−15),33.1(C−23),35.6(C−1),37.0(C−10),38.9(C−4),42.8(C−20),44.8(C−13),47.2(C−17),49.4(C−14),50.4(C−5),70.3(C−22),73.5(C−24),79.0(C−3),110.2(C−26),134.1(C−8),134.6(C−9),147.3(C−25).マススペクトルm/z:458(9)[M],357(75),339(18),311(13),159(10).
化合物9
NMRスペクトルH−NMR(CDCl):δ0.72(3H,s,H−18),0.81(3H,s,H−29),0.87(3H,s,H−30),0.94(3H,d,J=6.7Hz,H−21),0.98(3H,s,H−19),1.00(3H,s,H−28),1.05(1H,dd,J=13.0,2.3Hz,H−5),1.21(1H,ddd,J=14.2,9.3,2.5Hz,H−15α),1.23(1H,td,J=12.6,3.8Hz,H−1α),1.45(1H,m,H−16β),1.46(1H,ddd,J=12.7,9.6,7.3Hz,H−17),1.51(1H,m,H−6β),1.52(1H,m,H−23β),1.54(1H,m,H−23α),1.58(1H,qd,J=13.5,3.2Hz,H−2β),1.63(1H,m,H−15β),1.67(1H,m,H−2α),1.68(1H,m,H−6α),1.70(1H,dqd,J=12.7,6.7,3.0Hz,H−20),1.69(1H,m,H−12β),1.71(1H,m,H−12α),1.74(1H,dt,J=12.6,3.8Hz,H−1β),1.76(3H,s,H−27),1.78(1H,m,H−16α),2.02(1H,m,H−11),2.04(1H,m,H−7),3.24(1H,dd,J=11.7,4.5Hz,H−3),3.96(1H dt,J=9.2,3.0Hz,H−22),4.26(1H,dd,J=9.2,3.5Hz,H−24),4.84(1H,dq,J=3.8,1.8Hz,H−26A),5.01(1H,quint.,J=1.2Hz,H−26B).13C−NMR(CDCl):δ12.7(C−21),15.4(C−29),15.8(C−18),17.9(C−27),18.2(C−6),19.1(C−19),21.0(C−11),24,4(C−30),26.5(C−7),27.2(C−16),27.8(C−2),28.0(C−28),30.9(C−12),30.9(C−15),34.6(C−23),35.6(C−1),37.0(C−10),38.9(C−4),42.5(C−20),44.8(C−13),47.3(C−17),49.4(C−14),50.4(C−5),74.6(C−22),76.5(C−24),79.0(C−3),110.8(C−26),134.1(C−8),134.6(C−9),147.6(C−25).マススペクトルm/z:458(9)[M],357(75),339(18),311(13),159(10).
化合物10
NMRスペクトルH NMR(CDCl):δ0.70(3H,s),0.81(3H,s),0.88(3H,s),0.92(3H,d,J=6.5Hz),0.98(3H,s),1.00(3H,s),3.24(1H,dd,J=11.2,4.6Hz),3.62(2H,m).マススペクトルm/z:402(37)[M],387(100),369(90),273(16),187(27).
化合物11
NMRスペクトルH NMR(CDCl):δ0.72(3H,s),0.81(3H,s),0.90(3H,s),0.99(3H,s),1.00(3H,s),1.61(3H,s),1.69(3H,s),3.24(1H,dd,J=11.7,4.3Hz),3.68(1H,dd,J=11.2,4.6Hz),3.73(1H,dd,J=11.2,3.0Hz),5.12(1H,m).マススペクトルm/z:442(57)[M],427(49),409(28),189(12),187(11),109(100).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で示されるトリテルペン化合物又はその薬学的に許容される塩。
【化1】

【請求項2】
請求項1記載のトリテルペン化合物又はその薬学的に許容される塩を担子菌キノコから抽出する工程を有することを特徴とするトリテルペン化合物の製造方法。
【請求項3】
担子菌キノコがカバノアナタケである請求項1および2記載のトリテルペン化合物の製造方法
【請求項4】
哺乳動物(人も含む)にたいして、請求項1記載のトリテルペン化合物又はその薬学的に許容される塩あるいはそのプロドラッグの有効成分量を投与することを特徴とする癌抑制剤。
【請求項5】
前記トリテルペン化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分として1以上含有することからなる請求項4記載の癌抑制剤。
【請求項6】
前記トリテルペン化合物又はその薬学的に許容される塩を他の抗がん剤と併用することからなる請求項4記載の癌抑制剤
【請求項7】
前記請求項1記載のトリテルペン化合物又はその薬学的に許容される塩を有効成分とし、他の食品や医薬に含有することからなる発癌プロモーション抑制組成物
【請求項8】
出発材料として(1)カバノキ類の立ち木に天然に生育したカバノアナタケ菌糸、または菌核(2)カバノキ類の立ち木に人口的に植菌し生育させたカバノアナタケ菌核または菌糸、(3)これらカバノアナタケ菌核または菌糸が、繁殖した立ち木の樹皮及び木質部の組織と共に採取したカバノアナタケ菌核または菌糸、(4)固形培地で人工培養したカバノアナタケ菌糸、または菌核(5)固形培地で人口培養した後、培地と共に採取したカバノアナタケ菌糸、または菌核、(6)液体培養した後、培養液と共に採取した菌糸を選び、いずれか選ばれた出発材料からトリテルペン化合物を抽出することからなる請求項3に記載の癌抑制剤。
【請求項9】
担子菌キノコの抽出の工程で少なくとも第一段階でクロロホルムを使用することからなる請求項1記載の製造方法
【請求項10】
前記担子菌キノコは請求項8にあるカバノアナタケである請求項9記載の製造方法

【公開番号】特開2007−63244(P2007−63244A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278702(P2005−278702)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(592142496)
【Fターム(参考)】