説明

トリメチロールプロパンの色の向上法

【課題】トリメチロールプロパン(TMP)の色を向上する方法の提供。
【解決手段】TMPの色を向上する方法であって、次の段階、(a)着色の原因となる不純物を含みかつ約9未満のpHを有する、TMPの粗製の水性ベース溶液を供給し;(b)上記ベース溶液を、アルカリ性材料と、前記ベース溶液のpHを11より高くするのに十分な時間、及び着色の原因となる不純物を上記アルカリ性材料と反応させるのに十分な温度で、接触させ;(c)段階(b)からの生じた溶液を、十分な時間、冷却し、(d)段階(c)の前記ベース溶液を有機酸と、それのpHを約9未満に下げるのに十分な時間、接触させ;(e)段階(d)の上記ベース溶液から有機溶剤を用いてTMPを抽出し;(f)上記有機溶剤からTMPを分離し;及び(g)段階(f)からの前記TMPを精製して、0.20未満のフタル酸色及び8未満の硫酸着色度を有するTMPを生成する、段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリメチロールプロパン(TMP)の製造法、より具体的には低色(low color)TMPを得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下TMPと称するトリメチロールプロパンは、例えばコーティング樹脂、粉体塗料、発泡体及びポリエステルの製造の分野で使用される工業的に非常に重要な三価アルコールである。
【0003】
従来、TMPは、n−ブチルアルデヒド及びホルムアルデヒドから製造されている。塩基で触媒されたアルドール反応は、先ず第一反応段階でn−ブチルアルデヒド及び二当量のホルムアルデヒドから2,2−ジメチロールブチルアルデヒドを生じさせる。次いで、2,2−ジメチロールブチルアルデヒドは、第二反応段階で、例えばカニッツァロ(Cannizzaro)反応において更なるホルムアルデヒド及び塩基との反応によって、TMP含有反応混合物に転化することができ、この反応混合物中、使用した塩基のギ酸塩も更なる反応生成物として生ずる。
【0004】
上記の反応段階1及び2は、別々にまたは一つの作業段階のいずれかで行うことができる。塩基触媒反応段階1、並びに塩基量に関して化学量論的な反応段階2の両方に使用される塩基は、場合によりそれぞれ独立して、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物または炭酸塩、あるいは第三アミンであることができる。
【0005】
例えば、上記の別個の反応段階または単一の作業段階で行われる反応段階1及び2に第三アミンを使用する場合には、これは有機カニッツァロプロセスとして知られている。無機塩基、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物または炭酸塩を使用する場合は、これは応じて無機カニッツァロプロセスとして知られる。更なる反応生成物として生ずるギ酸アンモニウム類または無機ギ酸塩類の異なる物理的及び化学的性質は、TMP含有反応混合物のための非常に様々な仕上げ方法を要求する。
無機カニッツァロプロセスは、TMPが良好な純度で生じ、そして例えば水酸化カルシウムが塩基として使用された場合には、副生成物がギ酸カルシウムであるという利点を持つ。生じたギ酸カルシウムは、様々な用途、例えば動物栄養の添加物として、建築材料工業に、皮革工業における助剤として、高光沢紙の製造における助剤として、洗浄水(scrubbing water)の処理に、及び煙の脱硫に使用することができる。
【0006】
上記カニッツァロプロセスで得ることができるTMP含有反応混合物は、一般的に、不純物を原因とする強い着色を有する。APHA(American Public Health Association(米国公衆衛生協会))またはハーゼンによる色数によって評価することができるこの着色は、幾つかの用途において障害となる。この理由のため、仕上げ処理は、通例では、洗浄作業、例えば酸処理、抽出及び/または多段階蒸留からなる。このような多段階蒸留は、一般的に、高額で場所を取るカラム設備を必要とし、これは、装置の面でコスト高及び不便であり、それ故、経済的な観点からは全く魅力がない。
【0007】
無機カニッツァロプロセスからのTMP含有反応混合物の仕上げのためには様々な技術が知られている。例えば、独国特許第DD−P45078号明細書(特許文献1)は、無機カニッツァロプロセスから得られたTMP含有反応混合物を、水と共沸混合物を形成する第二環状脂肪族アルコールと混合する仕上げ方法を開示している。次いで、水をこのアルコールと一緒に共沸蒸留により留去し、そして析出したアルカリ金属またはアルカリ土類金属ギ酸塩を濾過によって除去する。過剰のアルコールを留去した後、得られた粗製TMPは蒸留して更に精製する。
【0008】
独国特許第DD287251号明細書(特許文献2)は、TMPから沸騰成分または“高沸点物(high boilers)”(通常このように呼ばれる)を除去する方法を開示している。高沸点物の例には、TMPの二次反応生成物、特にホルマール類(formals)が挙げられ、これらは、TMPよりも高い沸点を有し、それ故、粗製TMPを減圧蒸留した場合には蒸留残渣中に蓄積される。開示された方法では、kg当たり0.02〜0.05kgの酸を添加すると、高沸点物のうちの多くが少なくとも部分的にTMPに再び転化される。独国特許第DD287251号明細書(特許文献2)によると、この方法は、精製されたTMPを増加させることが確認されている。
【0009】
英国特許第1290036号明細書(特許文献3)も、無機カニッツァロプロセスによって得られたTMP含有反応混合物中の高沸点物を分解する方法を開示している。この方法は、カチオン交換樹脂を加えそして50℃〜140℃に加熱して、TMPと類似の沸点を持ちそしてTMPの沸点で分解しがちな存在するホルマール類を転化し、簡単に留去できる異なる沸点を有する生成物とすることを含む。
【0010】
Russellらの米国特許第3,097,245号明細書(特許文献4)は、50〜200のAPHA色数を有するTMPを製造する方法を開示している。この色数は、反応時間を7時間未満に制限し、反応混合物を7未満のpHに酸性化し、及び原料化合物の濃度を5〜20重量%に制限することによって達成される。この反応の後にも、カチオン交換樹脂及び強塩基性第四アンモニウムアニオン交換体で、得られた溶液を処理する。
【0011】
上記の方法の全てに共通しているのは、生成物のエコバランス及び経済的な調製性の両方を悪化させるか、または相当な装置を必要とし、応じて許容可能な色数を有する生成物を生じさせるには財務コストがかかり不便な、化学処理法を行う必要があることである。
従来技術にはTMPを精製する様々な方法に溢れる一方で、無機カニッツァロプロセスによって製造されたTMP含有反応混合物から純粋なTMPを、高い収量及び低色で得ることを可能にする効率のよい方法の提供に対する要望がなおある。ここで“低色(low color)”という用語は、以下にリスト、説明するASTM規格手順に従って測定して、非常に低いAPHA色数、すなわち50またはそれ未満の色数、典型的には0.4または0.20未満のフタル酸(無水フタル酸)色、及び/または8未満の硫酸着色度(ACID WASH color)のことを指す。
a) ASTM, Annual Book of ASTM Standards(1987),Section 6,Volume 6.03(Paint) Standard D 1544−80,pages 284−286(非特許文献1)
b) ASTM,Annual Book of ASTM Standards(1961),Section 8,Standard D 1544−58T,pages 728−30(非特許文献2)
c) “Calibration of HunterLab Color QUEST for Gardner Color”,SJM 07−97(非特許文献3)
それ故、本発明は、低反応色(low reacted color)(本明細書では互換的に“低色”と言う)トリメチロールプロパン(TMP)を得るための方法に関する。上述のように、トリメチロールプロパンは、強アルカリ性水酸化物、例えば苛性溶液の存在下にn−ブチルアルデヒド及びホルムアルデヒドの縮合及びクロスカニッツァロ反応によって製造される。反応器溶液からのTMPの除去は、生成物を、水溶液と、TMP用有機溶剤、例えば乳酸エチル、イソブタノール、酢酸ブチル及び類似物などとの間に分割することによって行うことができる。TMPは、次いで、例えば蒸留によって有機相から除去される。有機相からのTMPの除去及びTMPからの苛性物質の更なる除去のための他の方法は、TMPが不溶性の第二の溶剤を、水性相を分離するのには十分であるが、TMPを分離するのには十分ではない量で加え、水相を除去し、次いで蒸留によって第一の溶剤を除去することである。典型的には、第二の溶剤は非極性溶剤、例えばキシレンである。このTMP/第二有機溶剤混合物を沈降させ、そして分離したTMPをデカンテーションによって取り出す。この後者の方法は、Palmerらの米国特許第3,956,406号明細書(特許文献5)に記載されている。これらの方法は、一般的に、約5〜10ガードナー単位(GU)の硫酸着色度または約100〜300APHAの無水フタル酸色を有する生成物を生成する。歴史的には、従来技術では、低反応色TMPは、TMPを製造する反応中に生じた着色の原因となる不純物を抽出、浸出または更に別の精製によって得られてきた。
【0012】
Cheungらの米国特許第5,603,835号明細書(特許文献6)は、TMPを生成する反応で生じる着色の原因となる不純物を抽出する方法を開示している。この方法は、精製された最終のTMPを有機溶剤で抽出することを含み、ここでこの有機溶剤は、その中に着色体が可溶性であるが、TMPは不溶性のものである。この抽出は、3またはそれ未満のガードナー単位の硫酸着色度を有するTMP生成物を約85%を超える収率で与えると報告されている。このTMP生成物の無水フタル酸色は、約100APHA未満であることも報告されている。低色TMPは、高純度TMPと類似していないことを注意しなくてはならない。TMPの硫酸着色度は、TMPを有機溶剤で抽出し、後に抽出物を硫酸で洗浄し、そして反応色を、例えば測色計で監視して、ガードナー単位(GU)値を得ることによって測定される。TMPサンプルの純度は、一般的に、(再)結晶化技術などの技術によって向上/高められる。再結晶化は、ホルムアルデヒドとブチルアルデヒドとの反応によって生ずる塩を除去し得るが、TMP生成物中に見出される着色体不純物は必ずしも除去しない。Palmerら(US’406号)は、TMPの高められたサンプル純度について論じており、他方、Cheungら(US’835号)は、TMPの高められた色について論じている。US’406号及びUS’835号の両方とも、所望のTMP生成物のために或る種の抽出プロセスを必要とする。
【0013】
Suppleeらの米国特許第5,948,943号明細書(特許文献7)では、粗製TMPを、有機溶剤と水との混合物中で加熱し、1相の溶液を形成し、この溶液を放冷して、少なくとも二つの相に分離する。水性溶液から回収されたTMPは、向上された色を示す。
【0014】
国際公開第2008/116826号パンフレット(特許文献8)は、活性炭で処理することによる低い色値を有するTMPの製造方法を開示している。
【0015】
Zgorzelskiらの米国特許第6,117,277号明細書(特許文献9)は、アルコールの一般的な精製方法を開示しており、少量のアルカリ金属水酸化物の存在下に前記アルコールを蒸留することによって行う。
【0016】
Poppeの米国特許第7,126,018号明細書(特許文献10)は、ポリオールエステルの製造方法を開示している。この方法は、ポリオール、例えばプロピレングルコールと、脂肪酸エステル、例えば植物油脂肪酸メチルエステルとを、触媒及びホウ化水素の存在下にエステル化して、向上された色を有するポリオールエステルを生成することからなる。
【0017】
更に、Dernbachらの米国特許第6,586,642号明細書(特許文献11)は、蒸留によって既に精製されたTMPを、カラーインデックスの向上のために水素化することを教示している。
【0018】
TMPの製造及び色の問題に関する他の先行技術文献は、米国特許第3,097,245号明細書(特許文献4)、米国特許第3,185,274号明細書(特許文献12)、米国特許第4,514,578号明細書(特許文献13)、米国特許第6,034,285号明細書(特許文献14)、米国特許第6,034,284号明細書(特許文献15)、米国特許第6,187,971号明細書(特許文献16)、米国特許第6,344,592号明細書(特許文献17)、米国特許第6,692,616号明細書(特許文献18)、米国特許第7,057,080号明細書(特許文献19)、米国特許第7,211,701号明細書(特許文献20)、及び米国特許第7,253,326号明細書(特許文献21)である。これらの文献及びそれらに引用されている文献は、その内容の全てが本明細書に掲載されたものとする。
【0019】
他の方法が、様々な硫酸着色度を有する生成物を製造してきた。しかし、多くの用途において、最初の粗製TMPと比較して、より低い硫酸着色度または他の色分析値を有するTMP生成物を得ることが望ましく、この低色が経済的に効率よく得られることが望ましい。それで、当技術分野では、高められた効率で、低色TMPを得るための方法が模索され続けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】独国特許第DD−P45078号明細書
【特許文献2】独国特許第DD287251号明細書
【特許文献3】英国特許第1290036号明細書
【特許文献4】米国特許第3,097,245号明細書
【特許文献5】米国特許第3,956,406号明細書
【特許文献6】米国特許第5,603,835号明細書
【特許文献7】米国特許第5,948,943号明細書
【特許文献8】国際公開第2008/116826号パンフレット
【特許文献9】米国特許第6,117,277号明細書
【特許文献10】米国特許第7,126,018号明細書
【特許文献11】米国特許第6,586,642号明細書
【特許文献12】米国特許第3,185,274号明細書
【特許文献13】米国特許第4,514,578号明細書
【特許文献14】米国特許第6,034,285号明細書
【特許文献15】米国特許第6,034,284号明細書
【特許文献16】米国特許第6,187,971号明細書
【特許文献17】米国特許第6,344,592号明細書
【特許文献18】米国特許第6,692,616号明細書
【特許文献19】米国特許第7,057,080号明細書
【特許文献20】米国特許第7,211,701号明細書
【特許文献21】米国特許第7,253,326号明細書
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】ASTM, Annual Book of ASTM Standards (1987), Section 6, Volume 6.03 (Paint) Standard D 1544−80, pages 284−286
【非特許文献2】ASTM, Annual Book of ASTM Standards (1961), Section 8, Standard D 1544−58T, pages 728−30
【非特許文献3】“Calibration of HunterLab Color QUEST for Gardner Color”, SJM 07−97
【非特許文献4】Sartomer Company; Standard Test Method #183, revision 1; May 1990
【発明の概要】
【0022】
本発明は、トリメチロールプロパンの色を向上する方法であって、次の段階、すなわち
(a)着色の原因となる不純物を含みかつ約9未満のpHを有する、トリメチロールプロパンの粗製の水性ベース溶液を供給し;
(b)上記ベース溶液を、アルカリ性材料と、前記ベース溶液のpHを11より高くするのに十分な時間、及び着色の原因となる不純物を上記アルカリ性材料と反応させるのに十分な温度で、接触させ;
(c)段階(b)からの生じた溶液を、十分な時間、冷却し、
(d)段階(c)の前記ベース溶液を有機酸と、それのpHを約9未満に下げるのに十分な時間、接触させ;
(e)段階(d)の上記ベース溶液から有機溶剤を用いてトリメチロールプロパンを抽出し;
(f)上記有機溶剤からトリメチロールプロパンを分離し; 及び
(g)段階(f)からの前記トリメチロールプロパンを精製して、0.20未満のフタル酸色及び8未満の硫酸着色度を有するトリメチロールプロパンを生成する、
段階を含む。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、トリメチロールプロパンの製造方法に関し、より具体的には、高められた効率及び向上した色をもって、ブチルアルデヒド及びホルムアルデヒドからトリメチロールプロパンを製造する方法に関する。
【0024】
粗製TMP含有反応混合物中に存在する痕跡量のアルデヒド類及び/またはアルデヒドタイプの材料が、完成したTMP生成物のカラーインデックスに重大な悪影響を有すること、及び粗製の既に中和されたTMP溶液にアルカリ性材料/剤を添加することが後でのカラーインデックスを向上することが見出された。これらの痕跡量のアルデヒド及び/またはアルデヒド材料に対するアルカリ性材料の効果の正確な機序は不明であり、そして本発明者らは、この説明によってどのようにも制限されることは望まない。しかし、添加するべきアルカリ性物質の量は非常に限られており、そして下流のプロセスにおいて重大なファクターを構成する。なぜならば、アルカリ性物質は、次の抽出段階においてTMP及び酢酸エチルまたは他のエステルのエステル交換を触媒するからである。このようなエステル交換は幾つかの有害な効果を持つ。TMPアセテート(または他のエステル)が生じ、これは、TMPから分離するのが非常に困難である。加えて、価値のあるTMPがアセテート(エステル)に転化され、これはTMPの収量を低下させる。TMPは大規模な製造プロセスで製造されるため、このエステル交換段階で生ずる少量のTMPアセテート(エステル)でさえ、大きな生成物の損失、低下した効率及び悪い経済性を招く。
【0025】
本発明の第二の部分は、新たに加えられたアルカリ性材料(これは、調製されたばかりのアルカリ性水性TMP溶液に加えられる)の殆どを中和するのに適した量で酸性化合物を加えることによって、この高いpHの事柄/問題を解消する。酸性化合物は、蒸留、抽出及び精製などの更なる処理段階を進める直前に、粗製TMP高アルカリ性溶液に加えられる。
【0026】
それ故、本発明は、後で蒸留、抽出及び精製段階を行う、水性ベース溶液からTMPを回収するための改善された方法であって(例えば、粗製の水性ベースTMP溶液を生成し、過剰のホルムアルデヒド類を留去し、過剰の水を蒸発し、エステル化合物である有機溶剤相中にTMPを抽出し、そして上記有機溶剤からTMPを分離し、そして最後にTMPを精製する)、アルカリ性物質を、中和された水溶液に加え、次いで、着色の原因となる材料と反応させるのに十分な時間の後、添加されたアルカリ性物質の少なくとも50モル%を中和するのに十分な量で酸性物質を添加し、その直後に、上記有機溶剤で抽出して、TMPの有機溶液を得、そしてこれを既知の方法で精製することを含むことを特徴とする上記方法を含む。
【0027】
驚くべきことに、酢酸エチルなどのエステル化合物を用いて行われる抽出段階にはいる直前に、添加されたアルカリ性物質の部分的な中和を起こすための酸性物質の使用を組み合わせることが、有機抽出媒体から分離されたTMP(及び精製されたTMP)のカラーインデックスを大きく低下させる。更に、TMPアセテートの形成及びエステル交換反応を効果的に抑制できる。
【0028】
アルコールへのアルカリ性物質の添加が、そのカルボニル価、それ故前記アルコール中のアルデヒド含有量を減少させることは従来知られているが(Zgorzelskiらの米国特許第6,117,277号明細書(9)参照、これは異なる分野に関する)、上記の従来技術は、酸性化合物での更なる部分的な中和も、反応プロセスの抽出仕上げ処理のいずれも開示していない。更に、上記従来技術は、エステル交換副反応に付随する問題に関するものではなく、TMPを製造する本発明に付随する問題とは基本的に異なっている。
【0029】
上記の改善された方法に関して、アルカリ性材料は、粗製水性ベースTMP溶液を約pH6.5〜7.5から約pH10〜14、好ましくは約pH12〜13.5に上昇させることができる任意の材料である。このようなアルカリ性材料には、限定はされないが、アルカリ金属材料(例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、及びフランシウムの錯体、好ましくはNAOH、KOH)、及びアルカリ土類金属材料(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びラジウムの錯体)などが挙げられる。
【0030】
アルカリ性材料を粗製TMP溶液と接触させた後は、アルデヒド材料が、TMPの最終の色に悪影響を及ぼさないようにこれを十分に分解及び/または不活性化するために、混合物全体を、約1分〜約60分、好ましくは約5分〜約30分の期間、攪拌することが必要である。この段階の間、混合物を約50℃以上、好ましくは約50℃〜約150℃の温度に加熱、維持することも重要である。この加熱された反応段階の後は、次の段階に進む前に、生じた溶液を室温にまたは約15℃〜約30℃の範囲に冷却する。
【0031】
このアルカリ性材料/アルデヒド材料反応段階の後、次いで、生じたTMP溶液のpHを、上述の理由から低下させることが重要である。pHは、pHを約10〜14から約9.5未満、例えば7〜9に低下させるのに十分な量の有機酸の添加によって低下させる。有機酸の例には、限定はされないが、乳酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、及びシュウ酸などが挙げられる。
【0032】
以下の技術的事項は、従来技術及び本発明を更に説明し、そして向上されたTMP色をもって大きく改善された効率的なプロセスを達成するために、どのように従来技術が本発明をそれらのプロセスに簡単に組み入れることができるかを説明するために提示される。
【0033】
上述のように、ブチルアルデヒド、ホルムアルデヒド及び水酸化ナトリウムなどの塩基材料の水性媒体中での反応によってトリメチロールプロパンを製造することは当技術分野において周知である。
【0034】
この反応において、1モルの所望のトリメチロールプロパン当たり1モルのギ酸ナトリウムが生ずることは明らかである。ギ酸ナトリウムからのトリメチロールプロパンの分離は困難である。なぜならば特に、トリメチロールプロパンは水中に無限に可溶性であり、水性溶液からは容易には晶
出しないからである。水の大部分を蒸発させ、次いで、ギ酸ナトリウムを混合物から析出させるトリメチロールプロパン用の有機溶剤を加え、その後、ギ酸ナトリウムを濾別することによって、トリメチロールプロパンを水性反応混合物から単離することが提案された。次いで、溶剤は、それに溶解されているトリメチロールプロパンから蒸発させて除去する。この方法は、商業的な作業には容易には適さない。水の蒸発の最中に、混合物は、それが装置中に固形の析出物を形成しがちとなるほどに濃縮される。更に、こうして製造されたトリメチロールプロパンは、なおも相当量の水、ギ酸ナトリウム、未反応のホルムアルデヒド、及び或る商業的な目的にとって問題となる望ましくない、着色の原因となる材料を含む。
【0035】
(着色の原因となる材料を分解させる独特な特徴を提供する)本発明では、トリメチロールプロパン、過剰の水、未反応のホルムアルデヒド、及び(初期反応後に生ずる)ギ酸ナトリウムを含む水性混合物を、ホルムアルデヒド及びギ酸ナトリウムを除去するために蒸留する(これらは、次いで、最初の反応容器にリサイクルすることができる)。TMP、水、及び着色の原因となる材料を含む残りの混合物は更に蒸留して、余剰量の水を除去する。この時点で、約7〜9のpHを有する生じた混合物を、pH値を約10以上、好ましくは約10〜14に高めるために、十分な量のアルカリ性材料、例えば水酸化カリウムと接触させる。この混合物を50℃以上に加熱し、そしてこの温度に、例えば約30分間維持する。熱及び上昇したpHは、着色の原因となる材料の分解を引き起こし、これらを、所望の最終色品質にとって無害なものとする手段を供する。アルカリ性材料/アルデヒド材料の加熱された反応は、反応が実質的に完了することを保証するために十分な時間、例えば1分間〜約60分間行われる。この生じた高アルカリ性水性混合物は、次いで冷却し、そして水性有機酸、例えば酢酸、ギ酸、シュウ酸及び類似物なとど接触させ、TMP混合物全体のpHを約7〜9の範囲に低める。次いで、このTMP混合物を抽出段階に付し、ここでTMPを有機溶剤、例えば酢酸エチルで抽出して、二つの不混和性の相、すなわち一つは水性酢酸エチル中のトリメチロールプロパンの溶液、他は水中のギ酸ナトリウム溶液の相を供する。有利には、この処理は、含水率が約30〜60%、好ましくは約40〜45%のトリメチロールプロパンとギ酸ナトリウムとの供給混合物を用いて連続的な向流様式で行われる。
【0036】
水性酢酸エチルからのトリメチロールプロパンの回収のためには、抽出物を蒸留して酢酸エチル及び水を蒸発させることができる。この蒸留からの残留物は、少量の低揮発性不純物を含む粗製トリメチロールプロパンである。実質的に純粋なトリメチロールプロパンは、この粗製生成物を大気圧未満の圧力で蒸留することによって得ることができる。トリメチロールプロパンは、3mmHg絶対圧下に約142℃で沸騰する。
【0037】
他の精製/回収法では、水性酢酸エチル中のトリメチロールプロパンの抽出物は蒸留して、水の全てを酢酸エチル−水共沸混合物として除去することができ、その後、残った抽出物は、例えば冷却によって処理して、トリメチロールプロパンの結晶化を引き起こすことができる。
【0038】
上記のトリメチロールプロパンとギ酸ナトリウムとの混合物は、水性媒体中で、ブチルアルデヒド、過剰のホルムアルデヒド及び水酸化ナトリウムを含む混合物を連続的に反応させ、この混合物を蒸留して連続的にホルムアルデヒドを除去し、残留物流に加熱された条件下に連続的にKOHを加え、生じたTMP溶液を冷却し、冷却されたTMP溶液に連続的に酢酸を添加して、生じた溶液のpHを約7に低下させ、そしてこの部分的に中和されたTMP溶液を抽出及び精製工程に付して、トリメチロールプロパンを単離する段階を含む方法によって有利に製造される。
【0039】
本発明の方法では、反応体、すなわちホルムアルデヒド、ブチルアルデヒド及び水酸化ナトリウムは、有利には、混合域中で一緒に混合して、上記の反応体を含む連続水性流を形成する。混合の取り扱いの簡便さ及び均一性のために並びに反応を最も満足な形で開始させるためには、望ましくは、ホルムアルデヒド及び水酸化ナトリウムをそれらの水溶液の形で反応域に供給する。反応体は、それらの個々の流れとして混合域に供給してもよいし、または二種のアルデヒドを、これを混合域中で水酸化ナトリウムと混合する前に、一緒にブレンドしてもよい。それで、水性ホルムアルデヒドは、ブチルアルデヒドと連続的にブレンドして、水性混合アルデヒド類の流れを生じさせることができ、そしてアルカリ金属水酸化物の水溶液は、混合域中でこの流れ中に導入することができる。水酸化ナトリウムを、他のアルデヒドの不存在下に一方のアルデヒドと別に混合することはあまり望ましくない。というのも、これらのアルデヒド類はそれぞれ、水酸化ナトリウムの存在下で不所望な自己縮合を起こしやすいからである。
【0040】
最良の結果のためには、ホルムアルデヒドを、ブチルアルデヒドとの反応に理論的に必要な量に対し実質的に過剰に混合域中に供給する。すなわち、ブチルアルデヒド1モルに対し、少なくとも約6モル、例えば約6〜10モル、好ましくは約8〜10モルのホルムアルデヒドを供給する。このように高割合でホルムアルデヒドを使用することにより、反応がより完璧になり、トリメチロールプロパンの収量が高まる。また、このような高割合のホルムアルデヒドの使用は、所望のトリメチロールプロパンを、反応した混合物から単離することを困難にする望ましくない熱に弱い化合物の形成を抑制する。
【0041】
また、反応に理論的に必要な量に対し過剰の量の水酸化ナトリウムを使用することも有利である。それで、ブチルアルデヒド1モルに対して、好ましくは約1.01〜1.2モルの水酸化ナトリウムを供給する。しかし、あまり過剰過ぎる量の水酸化ナトリウム、例えば約1.5モルを超える量の水酸化ナトリウムはあまり望ましくない。というのも、これは、副反応を促進し、そして反応生成物からのトリメチロールプロパンの単離を阻害するからである。混合すると、反応体は激しく反応し始める。混合域中の条件は、均一な混合物を生じさせるための実質的に完璧な混合が迅速に、例えば1分間以内の期間内に、起こるようなものであるべきである。このためには、混合域は、適当に設計された混合ポンプ、または乱流が起こる管、またはオリフィスミキサー、または適当な攪拌機を備えた容器の形であることができる。混合域段階の後、反応する混合物は、連続流中で他の領域に通して、そこで反応が進行する。この他の領域は、任意の適当な構造の装置、すなわち反応器、例えば、それを通る混合物の再循環または逆混合(back−mixing)を最小限にするための内部バフルが備えられた円筒状容器を含むことができる。反応器の容積及びそれを通る混合物の流速は、実質的に完全な反応を可能にし、それで反応温度においてトリメチロールプロパンを生成させるのに十分な期間、材料が反応器中に残るような容積、流速である。
【0042】
ブチルアルデヒド、ホルムアルデヒド及び水酸化ナトリウムの間の発熱反応は、反応混合物の温度を上昇させる。最良の結果のためには、この温度は、約50〜60℃の範囲内のピーク値まで上昇するべきであり; この際、これより温度が高いと、副反応及び追加的な着色を招き易く、他方、温度がこれより低くなると、所望の反応が、効率のよい実作業にとって遅すぎる速度で進行する。有利には、反応器は、断熱式に、すなわち熱を加えることも反応熱を除去することも実質的に無く、行われる。反応混合物中にかなりの量の水が存在するために、混合物の熱容量は比較的高く、そのため反応の発熱は、混合物の温度を所望の範囲を超えるレベルまでは高めない。例えば、反応体は、約25〜30℃の初期温度で混合することができ、そして存在する水の量に依存して、温度の断熱的上昇は25〜30℃となり得る。ブチルアルデヒドに対する水の比率として表した水の量は、有利には約15:1〜16:1の間である。反応混合物の総重量を基準にして、含水量は好ましくは約75〜80%である。この含水量は、有利には、上述の通り、ホルムアルデヒド及び水酸化ナトリウムを水溶液の形で供給することによって得られ、この際、ホルムアルデヒドは、好ましくは、ホルムアルデヒドを約20重量%の量で含む水溶液として供給される。適当ならば、反応する混合物の温度を最適な範囲に維持するために反応器を加熱または冷却してもよいが、このような処置は、断熱式作業と比べるとあまり望ましくない。
【0043】
混合物/溶液が反応器から出る時には、これはアルカリ性であり、一般的に約7〜8のpHを有し、次いでこれは、過剰のホルムアルデヒド類を除去するために粗製TMP溶液の蒸留に付される。次いで、過剰の水を蒸発させて除去する。この時点で、アルドール縮合、クロスカニッツァロ、クライゼン−シュミット縮合などを介して、色の原因となる材料と反応させそしてこれらを分解するか及び/または色の品質に関して無効にするために、生じた粗製TMP溶液のpHは10を超えるpHに高められ及び少なくとも50℃を超える温度に加熱される。この段階は1分間〜約60分間の期間にわたり行われる。次いで溶液を冷却し、その後、有機酸を加えてpHを約7〜9に低下させる。酸性化を行わない場合には、高pHレベルは、下流の精製工程に悪影響を及ぼす。
【0044】
酸性材料を添加した後、なおも過剰の未反応のホルムアルデヒドが存在する場合には、これは、大気圧下にまたは大気圧を超える圧力下に行われる第二の蒸留段階によって除去することができる。ホルムアルデヒドは、それの非常に薄い水溶液として蒸留され、この際、実質的に全ての未反応ホルムアルデヒドの除去を保証するために、十分な量の水がそこに存在すべきか、または蒸留されている混合物に十分な量の水を添加するべきである。水性蒸留物は、そのままでまたは精製した後に、リサイクルして、また新たなブチルアルデヒドと反応させてもよい。
【0045】
ホルムアルデヒドの除去の後、粗製TMP/反応混合物は水の蒸発によって濃縮して約30〜60重量%、好ましくは40〜45重量%の含水率とする。これは、約70〜40重量%、好ましくは60〜55重量%の固形分含有率に相当する。得られた溶液を、次いで上述のように、酢酸エチルで抽出して二つの相を形成させる。一つの簡便で効率のよい抽出方法では、抽出は、実質的に液体で満たされた充填塔中で行われる。酢酸エチルを塔の底部近くで導入し、そして処理すべき水溶液を、酢酸エチルを導入する所よりも上の所で塔に供給する。トリメチロールプロパンと少量の水を含む酢酸エチル相は密度が比較的低く、よって頂部から抜き出され、他の相は、塔の底部から排出される。約40〜90℃、好ましくは約50〜70℃の温度において抽出が最も効率よく進行することが判明した。
【0046】
一つの手順では、酢酸エチルは、抽出すべき溶液の導入箇所で、事実上は塔の殆どの部分にわたり、それが塔中で連続的な相を形成するような速度で塔中に導入される。酢酸エチル相からギ酸ナトリウムが実質的に完全に除去されることを保証するために、抽出すべき混合物の導入箇所よりも上の箇所で水の流れを塔中に導入する。塔への供給速度が、処理すべき水溶液1ポンド当たり、約3.5(例えば3.4〜3.6)ポンドの酢酸エチル及び0.15〜0.20ポンドの追加の水が供給されるような速度である場合に、この抽出工程において際立った結果が得られた。
【0047】
ギ酸カリウムの含有量が極めて少ないトリメチロールプロパンを製造するのに非常に効率的な他の手順では、酢酸エチルは、抽出すべき混合物の導入箇所で、事実上は塔の殆どの部分にわたり、不連続相を構成する。上記の抽出手順によって得られる酢酸エチル中のトリメチロールプロパンの溶液は、様々な方法で処理してそれからトリメチロールプロパンを回収することができる。一つの簡便な方法では、酢酸エチルは、例えば大気圧下に飽和蒸気を用いて、水蒸気蒸留によって上記溶液から除去し、そしてトリメチロールプロパンを含む生じた混合物をバキュームフラッシュ(vacuum flash)し(例えば、5mmHgの絶対圧、180℃の液体温度、及び153℃の蒸気温度)、高沸点物を残留物として除去し、そしてバキュームフラッシュからの蒸留物を、蒸留カラムに、このカラムの頂部近くの箇所で供給し、この際、蒸気カラムは、大気圧未満の圧力、例えば30mmHg絶対基部圧力(base pressure)下に維持される。トリメチロールプロパンは、この最後のカラムの基部の近くで側流として除去され、そしてこのカラムからの残留物は、バキュームフラッシャーにリサイクルされ、他方、揮発性不純物は頭頂から抜き出される。
【0048】
トリメチロールプロパンの他の回収方法は、例えば無水酢酸エチル中のトリメチロールプロパンの溶液からの、結晶化及び再結晶化を含む。結晶化は、例えば酢酸エチル中のトリメチロールプロパンの加熱された40%溶液を20℃の温度に冷却することによって、行うことができる。トリメチロールプロパンを高められた温度での蒸留または他の操作に付するときは、加熱されたトリメチロールプロパンと空気との接触を避けることがしばしば望ましい。これは不純物の形成を防ぐことを助ける。望ましいならば、窒素や二酸化炭素などの不活性ガスで系を覆うことによって、空気を排除してもよい。
【0049】
以下の例及び分析手順は本発明を更に例示するためのものである。全ての割合は、特に記載がなければ、重量に基づく値である。
【実施例】
【0050】
例: 一般
トリメチロールプロパン(TMP)の硫酸着色度
1.範囲
この方法は、トリメチロールプロパン(TMP)の硫酸着色度を測定するために使用する。結果は、ガードナーカラー単位で報告する。
2.利用可能な文献
1.Sartomer Company; Standard Test Method #183, revision 1; May 1990(非特許文献4)
3.方法の概要
TMPとトルエンとの混合物を攪拌しながら60℃に加熱する。次いで、トルエン相をデカントし、そして少体積の硫酸と混合する。次いで硫酸をトルエンから分離し、そしてTMPの“硫酸着色度”を、硫酸のカードナーカラーを測定することによって決定する。
4.装置
1.Hach DR/4000分光光度計、またはこれと同等の装置。
【0051】
2.ガラス製分光光度計サンプルセル、マッチドセット、1cmパス。
【0052】
3.ホットプレート/マグネチックスターラー、またはサンプルを攪拌しながら62±2℃に加熱できる同等のデバイス。
【0053】
4.ガラスビーカー、約150〜250ml。
【0054】
5.±0.1gまたはより高精度に測定可能な分析用天秤。
【0055】
6.メスシリンダー、50ml。
【0056】
7.タイマー。
【0057】
8.分液漏斗、約125ml、サポートラック付き。
【0058】
9.25mlメスシリンダー、または硫酸を測定できる類似の器具。
5.試薬。
【0059】
1.トルエン、A.C.S.試薬等級またはより高級の等級品、≦1ガードナー単位の硫酸着色度を有する。
【0060】
2.硫酸、A.C.S.試薬等級またはより高級の等級品。
6.安全性
1.ヒーター付近で作業する場合は火傷の恐れがあるので注意するべきである。
【0061】
2.化学品を用いて作業する場合には適切なPPE(個人用保護具)を常に着用すべきである。
【0062】
3.濃硫酸は非常に腐食性である。トルエンは可燃性である。トルエン蒸気の吸入は避けるべきである。予防措置及び本方法で使用する化学品を取り扱うための更に別の指示について然るべきMSDSを参照されたい。
7.手順
注: 本方法は技術によって左右される(technique sensitive)。一貫した結果は、全ての体積、温度などが正確に測定されていない限り得られない。最終の色は安定していないため、攪拌、振盪及び沈降についての規定の期間は正確に守らなければならない。
【0063】
1.天秤を用いて、10.0gのTMPをビーカー中に秤量する。
【0064】
2.46.2mlのトルエン及びマグネチックスターラーバーをビーカーに加える。このTMP/トルエン混合物を、マグネチックスターラーで混合物を急速に攪拌しながら、62±2℃に加熱する。
3.サンプルを60〜64℃で5.0分間攪拌する。
【0065】
注1:混合物の温度を64℃超にならないようにする。
【0066】
注2:全てのTMPが溶融した時に、上記の5.0分間の処理を開始する。
4.スターラーを停止し、そして熱源から混合物を取り除く。TMPが沈降/分離したら直ぐに、37.5mlのトルエンをメスシリンダーにデカントする。
5.上記メスシリンダーから分液漏斗にトルエンを移し、そして12.5mlの濃硫酸をこの分液漏斗に加える。
6.この漏斗に栓をし、そして30±5秒間激しく振盪する。圧力を解法するために必要ならば漏斗をガス抜きする。
7.このトルエン/硫酸混合物を4.0分間沈降させる。分液漏斗から十分な硫酸を1cmUVセルに排出して、ガードナーカラー測定を行うためのチューブを十分に満たす。
【0067】
注: 段階6の不十分な振盪は、低い硫酸着色度の結果を招く。段階7で規定した4.0分間内に分離しないトルエン/硫酸エマルションが生じた場合には、分析を繰り返し、段階6の時に激しさを比較的弱めにしてサンプルを振盪する。
8.UVセルの外側表面が清潔で乾燥していることを確実にする。
9.UVセルを満たした直後に硫酸のガードナーカラーを測定する。Hach DR/4000の場合には、手順は次の通りである:
a)装置のスイッチを入れ、スタートアップルーチンを完了させる。
【0068】
b)Hach Method1664“カラー,ガードナー”を選択する。
【0069】
c)標準のセルホルダが正しい位置に取り付けられているので、それに空のUVセルを差し込み、そして“ゼロ”を押す。
【0070】
d)装置をゼロ値に合わせた後、空のセルを取り出し、サンプルセルを差し込み、そして“リード”を押す。
ハンダーラブカラークエスト装置の使用
測色計からのガードナーカラー(HunterLab Color quest)の読み取り
a)ソフトウェアーのツールバーの“センサー”をクリックし、そして“標準化”を選択する。
【0071】
b)次のウインドウで、“UVアウト”をクリックし、そして“OK”をクリックする。
【0072】
c)サンプル室に黒色のカードを、これが光路を完全に塞ぐように置く。
【0073】
d)使用者に黒色のカードをサンプル室に置いたかどうかを尋ねるスクリーンで“OK”をクリックする。
【0074】
e)“OK”をクリックし、そしてサンプル室から黒色のカードを取り除き、そしてサンプルチューブ用に設計されたサンプルホルダに置き換える。
【0075】
f)ホルダにブランクサンプルチューブを置く。このブランクサンプルチューブは、0.1N HClのみを含むべきである。
【0076】
g)使用者に白色のタイル(white tile)を反射ポート(reflectance port)に置いたかどうかを尋ねるスクリーンで“OK”をクリックする。
【0077】
h)もう一度“OK”をクリックする。
【0078】
i)読み取るべきサンプルチューブをサンプルホルダに置く。サンプルチューブ中の材料が光路中に完全に見えることを確実にする。
【0079】
j)“リードサム(Read SAM)”をクリックする。
【0080】
注:サンプルは、サンプルの読み取りの前に測色計のサンプル室内になければならない。
【0081】
k)スクリーンの指定域にサンプル名をタイプし、そして“OK”をクリックする。
【0082】
l)結果が、“ガードナー10mm”の下にスクリーン上に表示される。
【0083】
m)追加のサンプルを読み取るために段階I〜Kを繰り返す。
【0084】
n)段階A〜Hに従い20mmセル用に測色計を再標準化し、この際、脱イオン水を含む20mmセルが白色タイルに使用されることを確実にする。
8.報告
分光光度計の表示スクリーン上に示されたガードナーカラー値を用いて、硫酸着色度を一つまたはそれ以上の然るべき箇所に記録する。
9.品質
1.“ブランク”は、試薬の新しいボトル(トルエンまたは酸のいずれか)を最初に使用するときは必ず分析すべきである。以上に概要を示した手順に従うが、但しセクション7の段階1は省略する。ブランク用には、セクション7の段階7で得られる溶液は≦1のガードナー単位の色を有するべきである。ブランクが>1の場合には、新しいブランクを調製するか及び/またはより良い試薬を入手する。
【0085】
2.分析の確度及び精度は、この方法には未だ確定していない。
【0086】
3.この方法は、今回は、統計的プロセス制御によって監視していない。
ガードナー比色装置及び測色計を用いたポリオールの反応性色(Reactive Color)
1.範囲
この方法は、200℃で30分間、無水フタル酸と反応させた時の、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール及びトリメチロールプロパンのガードナーカラーの測定手順を記載する。
2.利用可能な文献
a) ASTM, Annual Book of ASTM Standards(1987),Section 6,Volume 6.03(Paint) Standard D 1544−80, pages 284−286(非特許文献1)
b) ASTM, Annual Book of ASTM Standards(1961),Section 8,Standard D 1544−58T, pages 728−30(非特許文献2)
c) “Calibration of HunterLab Color QUEST for Gardner Color”, SJM 07−97(非特許文献3)
3.方法の概要
この方法は、測色計及び比色装置の両方によってカードナーカラーを測定するための手順を記載する。
4.装置
a) カラーホイールを備えたカードナー/へリッジバーニッシュ(Hellige Varnish)比色装置。カラーホイールは1〜9のガードナー単位を有する。
【0087】
b) サンプルチューブ、13×100mm。
【0088】
c) ハンターラブ測色計または同等の装置。
【0089】
d) コンピューター。
【0090】
注: この方法で使用したソフトウェアーは、ハンターラブユニバーサルソフトウェアーである。
【0091】
e) ヒューレットパッカードディスクジェット500プリンターまたは同等の装置
f) 温度を200±5℃に制御可能な加熱ブロック。
【0092】
g) 振動ミキサー。
【0093】
h) タイマー。
【0094】
i) サンプルチューブホルダ。
5.試薬
無水フタル酸、ACS試薬等級(99%+)。
6.安全性
a)重大な火傷を招く恐れがあるので、加熱ブロック付近で作業する場合には注意すべきである。
【0095】
b)化学品を用いて作業する時には必ずグローブを着用すべきである。
【0096】
c)予防措置、及びこの方法で使用する化学品の取り扱いに関しての更なる指示についてはMSDSを参照されたい。
7.手順
a)全てのサンプルについて、先ずサンプルをチューブに入れ、その後、無水フタル酸を入れ、これが最終的には上側になる。
【0097】
b)TMPサンプルについては、サンプルと無水フタル酸とを約1:1の比率、好ましくはそれぞれ1.2gの量でサンプルチューブに入れる。注:T204残渣などのサンプルの場合は、過剰のPA、約1.3g〜1.0gのサンプルを使用し、装置を読み取りの状態にした後に、示度に1.22を掛けて最終の結果とする。
【0098】
c)NPGサンプルの場合には、1.6gのPA及び1.0gのサンプルを計り取ることによって過剰のPAを使用する。装置示度に1.3を掛ける。付属書Aは使用せずまたは如何なるファクターも引かない。
【0099】
d)サンプルチューブを加熱ブロック中に置く。温度が200±5℃となることを確実にする。
【0100】
e)タイマーを30分にセットする。
【0101】
f)サンプルチューブを加熱ブロック中に10分間置いておく。その後、サンプルチューブを加熱ブロックから取り出し、そしてこのサンプルチューブを振動ミキサーの上に置く。サンプルが十分に混合されるまで攪拌する。サンプルの混合時に渦巻き流(vortex)が観察されることを確実にする。良くも悪くもない読み取りを招く恐れのある回転流(swirl)も生じ得るので、これにも注意すべきである。
【0102】
g)サンプルチューブを、残りの20分間、再び加熱ブロック中に入れる。
【0103】
h)30分の反応時間の後、サンプルチューブを加熱ブロックから引き抜き、そしてこのチューブを、DI水で満たしたトレー中に置くことによって冷却する。このトレー中に5分間置く。水がサンプルチューブ内に入り込まないことを確実にする。5分後、測色計によって読み取る。ビーカーの側面に触れる時に水道水が低温であり、温かくないように注意されたい。水を取り替える必要がある場合もある。
【0104】
i)サンプルチューブの外側を拭って、反応からの材料を除去する。
測色計からのカードナーカラーの読み取り:
a.ソフトウェアーのツールバー上の“センサー”をクリックし、そして“標準化”を選択する。
b.次のウインドウで、“UVアウト”をクリックし、そして“OK”をクリックする。
c.黒色のカードを、これが光路を完全に塞ぐようにサンプル室内に入れる。
d.使用者に、黒色のカードをサンプル室内に入れたかどうかを尋ねるスクリーンで“OK”をクリックする。
e.“OK”をクリックし、黒色のカードをサンプル室から取り出し、そしてサンプルチューブ用に設計されたサンプルホルダと入れ替える。
f.ブランクサンプルチューブをホルダに入れる。このブランクサンプルチューブは0.1N HClのみを含むべきである。
g.使用者に、白色のタイルを反射ポートに置いたかどうかを尋ねるスクリーンで“OK”をクリックする。
h.再び“OK”をクリックする。
i.読み取るべきサンプルチューブをサンプルホルダ中に入れる。サンプルチューブ中の材料が、光路中に完全に見られることを確実にする。
j.“リードサム”をクリックする。
【0105】
注:サンプルは、それの読み取りの前に測色計のサンプル室内になければならない。
k.スクリーンの指定の領域にサンプル名をタイプし、そして“OK”をクリックする。
l.結果が、“ガードナー10mm”の下にスクリーン上に表示される。
m.追加のサンプルを読み取るために段階I〜Kを繰り返す。
n.段階A〜Hに従い測色計を20mmセル用に再標準化し、この際、脱イオン水を含む20mmセルが白色のタイルに使用されることを確実にする。
比色ホイールによるカードナーカラーの読み取り:
a)空のサンプルチューブを、比色装置の左側の部屋に入れる。
b)反応したサンプル及び無水フタル酸を含むサンプルチューブを、装置の右側の部屋に入れる。
c)注:サンプル全体が見えるように部屋内でサンプルチューブを調節する。
d)適当な照明に対して接眼レンズを通して見る。
e)カラーホイールを回転させて、サンプルの色を決定する。
【0106】

8.報告
測色計を用いる場合には、得られる結果は、テーブルを用いて真のカードナー単位に補正しなければならない。付属書Aを参照されたい(付属書Aの写しは、装置にテープで貼り付けてある)。このテーブルは、補正されたガードナー単位と一緒に測色計から読み取ることのできるガードナー単位のリストである。この表は、ASTM法D1544−58Tによって調製されたガードナースタンダードを分析して生成した曲線に基づく。SJM07−97レター参照。結果は、ロットサンプルについては小数点第1位で四捨五入したガードナー単位で、プロセスサンプルについては小数点第2位で四捨五入して報告する。
9.精度
測色計及び比色装置(目視)を用いて、ペンタエリトリトール工業等級品及びトリメチロールプロパンの両方の20個のサンプルについて対比調査を行った。トリメチロールプロパンについての比較からの結果は表1に示し、ペンタエリトリトール工業等級品についての比較からの結果は表2に示す。
【0107】
【表1】

【0108】
【表2】

【0109】
【表3】

【0110】
次に、1ロットのペンタエリトリトール工業等級品の15のサンプルと、1つのトリメチロールプロパンプロセスサンプルとのセットにつき、測色計を用いて統計的調査を行った。ペンタエリトリトール工業等級品ロットについての結果は、測色計では16の%RSDを示し、他方、比色装置では%RSDは0であった。トリメチロールプロパンプロセスサンプルの結果は、測色計では27の%RSDを示し、他方、比色装置では%RSDは32であった。
10.品質管理
1.この方法は、統計的管理プロセスによって監視され、この際、指定のトリメチロールプロパンロットが、日常のサンプル(daily samples)と一緒に分析される。
【0111】
2.モニターのための毎日のサンプル結果が統計的に“管理下(in control)”でない場合及び/または結果が製品規格範囲内にない場合には常に適切な行動がとられる。トラブルシューティング法は、行動の適切な目的を決定するために、熟練した分析家、実験化学者、または技術顧問が関与するべきである。
【0112】
APHAに対するガードナーカラーの対応は、以下に示すように実質的に線状である。
【0113】
【表4】

【0114】
例1
本明細書の先の部分に記載の手順を用いてTMPの粗製水溶液を調製し、次いで蒸留及び蒸発に付した。この時点でこの粗製TMP溶液を、上記の手順を用いて色について分析した。この粗製TMP(pH7.5及び35℃)は、1.4のフタル酸色(APHA241)及び10の硫酸着色度を有した。この粗製TMPのサンプルを容器に加え、次いで50重量%濃度の水酸化カリウム水溶液を、混合物のpHが13.5に一定になるまで前記容器に加えた。この混合物を30分間90℃に加熱し、そして室温(20℃)に冷却した。上記容器中の生じた冷却されたTMP溶液に、生じるTMP混合物が8.0のpHで安定するまで、30重量%ギ酸を加えた。次いで、このTMP溶液を、上記に概要を記載した溶剤抽出及び精製手順に付し、次いで最終TMP生成物の色を分析した。最終TMP生成物は、0.1のフタル酸色(APHA21)及び6.0の硫酸着色度を有していた。
例2
例1に記載の手順を、水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウムを使用したことを除き繰り返した。粗製TMP溶液は、1.1のフタル酸色(APHA176)及び11の硫酸着色度で、7.0のpH及び30℃であった。水酸化ナトリウムの55重量%溶液を加えてpHを12.1とし、次いでこの混合物を50℃で30分間加熱し、次いで室温に冷却した。この時点で、酢酸の水溶液をTMP溶液に加えてpHを7.5に下げた。最終のTMP生成物は、0.3のフタル酸色(APHA43)及び5.0の硫酸着色度を有していた。
【0115】

例3
例1に記載の手順を、水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウムを使用したことを除き繰り返した。粗製TMP溶液は、1.4のフタル酸色(APHA224)及び9の硫酸着色度で、7.6のpH及び32℃であった。水酸化ナトリウムの45重量%溶液を加えてpHを12.0とし、次いでこの混合物を50℃に30分間加熱し、次いで室温に冷却した。この時点で、酢酸の水溶液をTMP溶液に加えてpHを7.8に下げた。最終のTMP生成物は、0.5のフタル酸色(APHA72)及び6.5の硫酸着色度を有していた。
【0116】

例4〜19
上記の例1〜3に記載の情報を用いて、本明細書の第一の部に概要を示した手順及び方法を使用したTMPの商業的製造について二日間の試験を行った。蒸発器から来てそして加熱ジャケットを備えたフラッシャー(flasher)容器に送られる粗製TMP溶液の残渣に水酸化カリウム水溶液を導入するために注入管を供した。次いで、残留TMP溶液は、加工の前に温度を下げるために他の容器に供給した。次いで、この後者の容器からの冷却されたTMP残渣に他の注入管を備え付けて、そこからpHを下げるための酢酸の導入を可能にした。KOH及び酢酸を加えた後にTMP溶液のサンプルを得るために、サンプルポートを設けた。オフラインのpH分析器は、プロセス条件を監視するためにサンプルを分析するのに簡単に利用できた。この二日間の期間の間、TMPの15個のサンプルを集めそして分析した。最初の粗製TMP溶液(15)は、1.2の初期フタル酸色(APHA200)及び10.3の硫酸着色度の平均値となった。KOHは45%水溶液であり、そしてKOH添加後の混合物の平均pHは12.5であった。加熱は、50℃の温度で平均で30分の時間行った。抽出及び精製段階に通した後に、最終のTMPサンプルを分析した。15個のサンプルの平均フタル酸色は0.14(APHA31)であり、硫酸着色度は5.8であった。色の低下は、TMP品質をかなり向上させ、そして非常に望ましい商業製品を与える。この向上されたプロセスの独特な面の一つは、全体的な商業的プロセス効率が約1〜2%向上したという事実である。
【0117】
それ故、この改良された方法は、約0〜約6の範囲の硫酸着色度及び約0〜約50のAPHA単位の範囲のフタル酸色を有するTMPの製造のための効率のよい方法を提供することを明らかに把握できる。
【0118】
上記の技術的事項は、TMP及び色の向上及び改善されたそれのプロセス効率に関連するものである一方、本発明の他の面は、他の多価アルコールも同様の方法で処理して望ましい最終結果を達成することが可能であるということである。特に適用可能なものは、ホルムアルデヒドをより高級のアルデヒドと縮合することによって製造できる任意の多価アルコールである。実際には、カルボニル基に対してアルファ位にある酸性水素原子を有する任意のアルカナールが好適なより高級なアルデヒドである。使用できる原料は、線状または分枝状であることができるかあるいは脂肪環式基も含むことができる炭素原子数2〜24の脂肪族アルデヒドである。他の適当な原料は、カルボニル基に対しアルファ位にメチレン基を含むことを条件に、芳香脂肪族アルデヒドである。一般的に、炭素原子数8〜24、好ましくは炭素原子数8〜12のアラルキルアルデヒド、例えばフェニル−アセトアルデヒドが原料として使用される。炭素原子数2〜12の脂肪族アルデヒドが好ましく、例としては、3−エチル−、3−n−プロピル−、3−イソプロピル−、3−n−ブチル−、3−イソブチル−、3−sec−ブチル−及び3−tert−ブチル−ブタナール及び対応するn−ペンタナール類、n−ヘキサナール類及びn−ヘプタナール類; 4−エチル−、4−n−プロピル−、4−イソプロピル−、4−n−ブチル−、4−イソブチル−、4−sec−ブチル−及び4−tert−ブチル−ペンタナール類、−n−ヘキサナール類及び−n−ヘプタナール類; 5−エチル−、5−n−プロピル−、5−イソプロピル−、5−n−ブチル−、5−イソブチル−、5−sec−ブチル−及び5−tert−ブチル−n−ヘキサナール類及び−n−ヘプタナール類; 3−メチルヘキサナール及び3−メチルヘプタナール; 4−メチルペンタナール、4−メチルヘプタナール、5−メチルヘキサナール及び5−メチルヘプタナール; 3,3,5−トリメチル−n−ペンチル−、3,3−ジエチルペンチル−4,4−ジエチルペンチル−、3,3−ジメチル−n−ブチル−、3,3−ジメチル−n−ペンチル−、5,5−ジメチルヘプチル−、3,3−ジメチルヘプチル−、3,3,4−トリメチルペンチル−、3,4−ジメチルヘプチル−、3,5−ジメチルヘプチル−、4,4−ジメチルヘプチル−、3,3−ジエチルヘキシル−、4,4−ジメチルヘキシル−、4,5−ジメチルヘキシル−、3,4−ジメチルヘキシル−、3,5−ジメチルヘキシル−、3,3−ジメチルヘキシル−、3,4−ジエチルヘキシル−、3−メチル−4−エチルペンチル−、3−メチル−4−エチルヘキシル−、3,3,4−トリメチルペンチル−、3,4,4−トリメチルペンチル−、3,3,4−トリメチルヘキシル−、3,4,4−トリメチルヘキシル−及び3,3,4,4−テトラメチルペンチルアルデヒド; C〜C12−n−アルカナール類が特に好ましい。
それで本発明の枠内において特に好ましい多価アルコールは、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ネオペンチルグリコール及びペンタエリトリトールであり、トリメチロールプロパンが非常に特に好ましい。
【0119】
本発明を以上詳細に説明したが、本発明の趣旨及び範囲内での改変は、当業者には非常に明らかである。上記の検討、当技術分野での関連する知識、並びに背景技術及び詳細な説明の欄に関連して上述した先行技術文献(なお、これらの先行技術文献の開示は全て本明細書に掲載されたものとする)から見て、更なる説明は不要であると思料する。加えて、本発明の面及び様々な態様の部分は、全体的にまたは部分的に組み合わせまたは相互交換することができると理解されるべきである。更に、当技術分野の通常の技術を有する者は、上記の説明は例としてのみ記載されたものであって、本発明を限定することを意図したものではないことを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 着色の原因となる不純物を含みかつ約9未満のpHを有する、トリメチロールプロパンの粗製水性ベース溶液を供給する段階;
b) 上記ベース溶液とアルカリ性材料とを、前記ベース溶液のpHを11より高い値に高めるのに十分な時間、及び着色の原因となる不純物を前記アルカリ性材料と反応させるのに十分な温度で、接触させる段階;
c) 段階(b)からの生じた溶液を十分な時間冷却する段階;
d) 段階(c)の上記ベース溶液を、それのpHを約9.5未満に下げるのに十分な時間、有機酸と接触させる段階:
e) 段階(d)の上記ベース溶液から、有機溶剤によりトリメチロールプロパンを抽出する段階;
f) 上記の有機溶剤からトリメチロールプロパンを分離する段階; 及び
g) 段階(f)からの上記トリメチロールプロパンを精製して、0.20未満のフタル酸色及び8未満の硫酸着色度を有するトリメチロールプロパンを生じさせる段階、
を含む、トリメチロールプロパンの色の向上方法。
【請求項2】
アルカリ性材料が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルカリ性材料が水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
段階b)において、温度が約50℃〜約150℃である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
段階c)において、冷却温度が約10℃〜約50℃である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
段階b)において、時間が約1分間〜約60分間である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
段階d)において、pHが約7〜約9であり、有機酸が酢酸である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
着色の原因となる不純物を含むTMPの粗製水溶液を用意し、この溶液を蒸留してそれから過剰の水を蒸発させ、この溶液からTMPを抽出し、そして抽出されたTMPを精製する段階を含むトリメチロールプロパン(TMP)の色の向上方法であって、蒸発段階の後に粗製TMP溶液にアルカリ性材料を加えて、着色の原因となる不純物と反応させる段階、TMP溶液を冷却する段階、次いで有機酸をそれに加えてTMP溶液を部分的に中和する段階、次いで抽出及び精製段階を進めて、向上した色を有するTMPを生成させる段階を含むことを特徴とする、前記方法。


【公開番号】特開2011−132230(P2011−132230A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283915(P2010−283915)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(510336071)オクセア・ビショップ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (1)
【Fターム(参考)】