説明

トリメチロールプロパンの色数を改善する方法

本発明は、無機カニッツァロ法に従って得られたままの反応溶液を、正確に定義されたpH値を順守しながら処理することによって、低い色数を有するトリメチロールプロパンを生成する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機カニッツァロ法によって得られた粗反応溶液の正確に定義されたpH値における処理(work−up)により、低い色数を有するトリメチロールプロパンを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トリメチロールプロパン(以下TMPと記載する)は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリマー発泡体、可塑剤、アルキド樹脂、保護塗料、潤滑剤、テキスタイル用仕上げ剤、およびエラストマーを生産する業界で広く使用される。さらに、一部の工業用途でグリセロールに代えて用いられる。
【0003】
工業規模では、TMPは、例えば第1のステップにおいてブタナールとホルムアルデヒドとのアルドール縮合、および第2のステップにおいて第1のステップのアルドール縮合生成物とホルムアルデヒドとの交差カニッツァロ反応を含むカニッツァロ法で調製される。この方法が化学量論量の水酸化ナトリウムまたは水酸化カルシウムなどの無機塩基の消費と共に進行するとき、無機カニッツァロ法とも呼ばれる。第1のステップにおいてアルドール縮合生成物として生成されたジメチロールブタナールは、第2のステップにおいて過剰のホルムアルデヒドと反応して、不均化反応によりTMPと、使用された塩基に応じて、対応するギ酸塩、例えばギ酸ナトリウムまたはギ酸カルシウムとを生成する。
【0004】
市販グレードのTMPは通常、不純物の存在によって引き起こされる色を有する。しかし、一部の用途、例えば特に透明なポリエステルまたは特定の表面コーティング原材料の生産において、この色は障害となる。TMPの色数の改善が実現されると言われている種々の異なる処理方法については、文献に記載されている。
【0005】
カニッツァロ法で得ることができるTMP含有反応混合物の処理は一般に、反応混合物中に残存している残留塩基の中和を含む。この中和の後に、典型的には濃縮ステップならびに無機副産物および有機二次生成物の除去が行われる。後者は、しばしば蒸留で分別される。
【0006】
(特許文献1)には、50から200の範囲のAPHA色数を有するTMPを調製する方法が記載されている。この色数は、温度、反応時間、pH、および出発化合物の濃度についてカニッツァロ反応の特定反応条件を順守することによって実現される。さらに、その反応の後に、得られた粗TMP溶液のイオン交換樹脂による処理が行われる。
【0007】
(特許文献2)には、粗TMP溶液のエーテルまたはエステルによる抽出後処理を行うことによって、100未満のAPHA色数を有するTMPを調製する方法が開示されている。
【0008】
上記のTMPの色数を改善する2つの方法には、特定条件を正確に順守しなければならず、さらにイオン交換樹脂の使用または少なくとも1つの溶媒の導入を要するので技術的に複雑であるという欠点がある。
【0009】
(特許文献3)には、カニッツァロ法で調製されたTMPを精製する水素化が記載されている。ニッケル、亜鉛、モリブデン、または銅触媒上で水素化を行い、蒸留すると、含有率約98%のTMPが得られる。得られたTMPは無色であると記載されているが、色数は報告されていない。しかし、実際には、この方法で得ることができる色数が多くの用途では満足できるものでないことがわかった。
【0010】
水素化によってTMPの色数を改善する別法が、(特許文献4)に記載されている。この場合、TMPは、生成後に蒸留により精製され、その後好ましくは、水素加圧下に不均一系触媒で処理される。水素化によって実現される色数は、事前の複式蒸留によりさらに改善することができる。
【0011】
しかし、色数を改善する水素化プロセスにはすべて、装置の経費が高く、触媒摩耗により得られたTMPの品質が低下するという欠点がある。触媒のコストによっても、経済効率が低下する。
【0012】
(特許文献5)には、TMPの色数を改善する方法が記載されている。その方法では、蒸留により予備精製された、好ましくは>95%の純度を有するTMPに、熱処理を好ましくは160から240℃の温度で施し、その後TMPを、好ましくは蒸留により再び精製する。熱処理ステップにおいて、色を付与する2次成分が、より高沸点で比較的不揮発性の成分に変換される。しかし、この方法の欠点は、これらのより高沸点の2次成分を除去し、低い色数を有するTMPを得るために、熱処理の後に、別の精製ステップ、例えば蒸留を行わなければならないこと、またはこの精製ステップと熱処理を連動させなければならないことである。
【0013】
(特許文献6)には、粗TMPが蒸留される薄膜蒸発器による処理が記載されている。粗TMPは、まず中和され、次いで遠心にかけられ、高速蒸発器を経て、その後最後の精製の前に約4〜8、好ましくは5〜6のpHになる。得られたTMPの色数は、APHA 0を達成することができる。この方法の欠点は、酸をプロセスの2か所で添加しなければならないことである。中和およびpHの調整にどのような酸が使用されるか記載されていない。(特許文献7)には、低いAPHA数を有するTMPを調製する方法が記載されている。その方法では、n−ブチルアルデヒドとホルムアルデヒドを無機塩基の存在下で反応させて、TMP含有反応混合物が得られ、これらの反応混合物から、水および無機塩を少なくとも部分除去し、得られた粗TMPを、蒸留により1つまたは複数の低沸点物質分画、主にTMPを含有する1つまたは複数の中間分画、ならびに1つまたは複数の高沸点物質分画および/または低沸点物質分画に分離して、高沸点物質および低沸点物質を少なくとも部分除去する。
【0014】
(特許文献7)の実施例は、縮合反応後、反応混合物がギ酸によってpH6に調整されていることを示しているが、中和について論じられておらず、色数と関連付けられていない。その後、反応混合物を濃縮し、ギ酸カルシウムを濾取し、混合物をさらに濃縮し、次いで得られた粗TMP混合物を薄膜蒸発器によって蒸留する。薄膜蒸発器からの塔頂留出物は、含有率94.9%およびAPHA色数148であり、その後の蒸留ステップにおいて純度99.4%または99.1%およびAPHA色数13または8に至る。比較例では、純度99.3%およびAPHA色数22が得られている。この方法によって、良好な色数を有するTMPが得られるが、この色数を実現するために、蒸留の際に48という高い還流比が使用されるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第3,097,245号明細書
【特許文献2】米国特許第5,603,835号明細書
【特許文献3】SU−A 125552号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第199 63 442号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第100 29 055号明細書
【特許文献6】独国特許出願公告第1493048号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第10164264号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、先行技術の欠点を克服する、低い色数を有するTMPを調製する効率的な方法を提供することが、依然として目的となっている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは今回、無機塩基の存在下、ブチルアルデヒドとホルムアルデヒドを反応させて、TMP含有反応混合物を生成し、その後TMP含有反応混合物の処理を行うことによって、低い色数を有するTMPを調製する方法において、TMP含有反応混合物の処理が、TMP含有反応混合物のpHを、50℃の温度に基づいて4.50から5.90の値に調整するステップを含み、pHの調整が、好ましくは有機カルボン酸を使用して実施されることを特徴とする方法を見出した。
【0018】
本発明の範囲は、以下に示された成分、数値範囲、およびプロセスパラメータの所望の可能な組合せを全体としてまたは好ましい範囲としてすべて包含する。
【0019】
反応の際のホルムアルデヒドとブチルアルデヒドのモル比は、例えば2.5から6.0、好ましくは3.0から5.0、特に好ましくは3.0から4.0、非常に特に好ましくは3.1から3.5である。
【0020】
反応の際の無機塩基の塩基当量とブチルアルデヒドのモル比は、例えば0.8から2.5、好ましくは1.0から2.0、特に好ましくは1.0から1.4、非常に特に好ましくは1.05から1.2である。
【0021】
無機塩基として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩を使用することが好ましく、水酸化ナトリウムおよび水酸化カルシウムが特に好ましくは、水酸化カルシウムがはるかにより好ましい。水酸化カルシウムが使用されるとき、これは、例えば純度が80%を超える、好ましくは90%、特に好ましくは95%のテクニカルグレード製品として使用することができる。
【0022】
したがって、水酸化カルシウムとブチルアルデヒドのモル比は、例えば0.4から1.25、好ましくは0.5から1.0、特に好ましくは0.5から0.7、非常に特に好ましくは0.525から0.6とすることができる。
【0023】
ホルムアルデヒドは、好ましくは含有率10から50重量%の水溶液として使用される。好ましい変形において、含有率25から40重量%のホルムアルデヒドが使用される。反応混合物に水を追加することができ、これによって反応の選択性が改善されるが、水の量が多くなるため処理にかかる経費が増大する。
【0024】
さらに、ホルモース反応を回避または少なくとも抑制することができる少なくとも1つの化合物を、反応の際に添加することができる。好適な化合物は、当業者に周知のものであり、例えば米国特許第2,186,272号明細書、米国特許第2,329,515号明細書、欧州特許出願公開第510 375 A号明細書、独国特許出願公開第41 23 062号明細書、および独国特許出願公開第41 26 730号明細書に記載されている。これらは、例えば銅、鉄、マンガン、クロム、ニッケル、コバルト、銀、白金、鉛、モリブデン、タングステン、ビスマス、バナジウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、ハフニウムの金属塩(任意選択的に、空気によるスパージングと組み合わせる)、または酸素もしくはホウ素化合物を包含する。硫酸鉄(II)およびその水和物、さらには硫酸鉄(III)およびその水和物などの鉄塩が好ましい。化合物の使用量は、反応混合物の全量に基づいて例えば50から1000ppmとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
反応を実施するには、最初に少なくとも一部分のホルムアルデヒドおよび無機塩基を反応容器に仕込み、ブチルアルデヒドおよび任意選択的に一部分のホルムアルデヒドを3分から180分、好ましくは15分から120分、特に好ましくは20分から60分かけて加えることが好ましい。
【0026】
反応の際の温度は、例えば20から90℃、好ましくは20から60℃とすることができる。
【0027】
好ましい変形において、ブチルアルデヒドの添加時の温度は、制御された形、例えば本質的に直線的に20から60℃に上昇させる。
【0028】
添加が完了した後、混合物を最終温度で、さらに例えば5分から180分、好ましくは30分から90分撹拌する。
【0029】
別の好ましい操作モードにおいて、反応は、例えば管型反応器、容器カスケード、または平板熱交換器で連続的に実施される。
【0030】
反応後に得られたTMP含有反応混合物は、典型的には9.0から11.0の範囲のpHを有する。
【0031】
次いで、得られたTMP含有反応混合物のpHを、50℃の温度に基づいて4.50から5.90、好ましくは4.50から5.60、特に好ましくは5.00から5.60、非常に特に好ましくは5.25から5.45に調整する。この調整は、好ましくは有機カルボン酸を使用して実施される。
【0032】
好適な有機カルボン酸は、ギ酸、酢酸、n−ブタン酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸などのジカルボン酸、さらにはクエン酸などのトリカルボン酸も包含する。好ましい有機カルボン酸は、モノカルボン酸であり、ギ酸が非常に特に好ましい。
【0033】
驚くべきことに、TMPの色数は、その後の処理で調整されたpHによって簡単に影響を受ける恐れがある。現状では、挙げられた範囲のpHが低いほど、色数は典型的には低くなる。
【0034】
しかし、その後の処理における温度および滞留時間に応じて、低いpH値では、TMPホルメートの生成などの2次反応が起こり、最終的にはTMPの収率を低下させる可能性がある。さらに、過剰に低いpHは、粗TMP中の残留ホルムアルデヒドの分解を招き、したがって第1の蒸留の際に発泡が起り、安定なプラント操作が妨げられる。
【0035】
当業者が、優れた色数と高い収率を一緒に実現することができる、中和におけるpHを、直前の反応で選択されることになるパラメータに応じて予備実験によって決定することは容易である。
【0036】
pHの調整後の別の処理は、本質的に周知の方式で実施することができる。この処理は、回分式または連続式で実施することができ、その後の処理は連続式で行われることが好ましい。
【0037】
本発明の方法の好ましい実施形態において、本発明によるpHの調整後の別の処理は、少なくとも下記のステップを含む:
a)調整されたTMP含有反応混合物から、一部分の水および任意選択的にホルムアルデヒドを除去するステップ、
b)調整されたTMP含有反応混合物から、ギ酸カルシウムを分離して、TMP含有粗溶液を生成するステップ、
c)TMP含有粗溶液から、高沸点物質を分離して、粗TMPを生成するステップ、
d)ステップc)に従って得られた粗TMPを蒸留して、低い色数を有するTMPを生成するステップ。
【0038】
好ましい実施形態において、ステップa)からd)のうちの1つを前もって実施することなく、ブチルアルデヒドとホルムアルデヒドを無機塩基の存在下で反応させて、TMP含有反応混合物を生成した後、結果的にTMP含有反応混合物のpHを、50℃の温度に基づいて4.50から5.90の値に調整する。
【0039】
さらに好ましい実施形態において、本発明によるpHの調整後の別の処理は、ステップa)からd)を記載された順序で含む。
【0040】
ステップa)は好ましくは、例えば多段式操作モードの蒸留により異なる圧力レベルで実施される。水に加えて、過剰のホルムアルデヒドもここで、通常は少なくとも部分除去される。水の除去過程において、特に水酸化カルシウムが塩基として使用されるとき、無機ホルマートが沈澱することがあり、これらはステップb)において分別される。
【0041】
ステップb)は、例えば濾過、沈降およびデカンテーション、または遠心、好ましくは濾過または遠心により実施することができる。
【0042】
分離の際の温度は、例えば20から90℃、好ましくは50から90℃とすることができる。
【0043】
ステップa)およびb)を1回または複数回、任意選択的に繰り返すことができる。
【0044】
ステップc)は、好ましくは蒸留により実施される。好ましい実施形態において、蒸留は、短い滞留時間を可能にする薄膜蒸発器もしくは短行程蒸発器または他の好適な装置によって実施される。ステップc)において、高沸点物質が、ステップb)に従って得られた粗TMP溶液から分別される。本願では、高沸点物質は、TMPより高い温度で沸騰し、または認識できるほどの蒸気圧をもたない化合物である。高沸点物質の例は、ジTMPおよびビスTMPホルマール、さらにはTMPの高次オリゴマーおよびホルマールである。
【0045】
90重量%を超える純度の粗TMPが、典型的にはステップc)で得られる。
【0046】
ステップd)において、ステップc)に従って得られた粗TMPは、蒸留によりさらに精製される。これは、好ましい実施形態において、第1の塔においてTMPから最初に分別される低沸点物質がもたらすことができる。この文脈では、低沸点物質は、TMPより低い沸点を有する化合物であり、例えば2−ヒドロキシメチル−1−ブタノール、1−メトキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)ブタン、および1−[(メトキシ)メチルオキシ]−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)ブタンである。TMPは、この塔の塔底部で得られ、その後別の塔の塔頂部で蒸留される。ステップd)は、熱連結型塔を使用して単一蒸留ステップで実施することもできる。周知の代替形態は、分割装置、例えば分割壁を備えたまたは備えていないサイドオフテイク塔であり、そこから、純粋なTMPを側留として引き抜くことができる。
【0047】
代替実施形態において、ステップc)およびd)を同時に1回の蒸留で実施することもでき、ステップc)について記載された装置は、同じように使用することができる。
【0048】
低い色数および高い純度を有するTMPが、本発明に従って記載されたように得られる。
【実施例】
【0049】
全般:
APHA色数[白金−コバルトスケールによる色の分類、DIN ISO 6271を参照のこと]をDr.LangeからのLico 300光度計を用いて決定した。このために、4から5gのTMPを11mmの円形セルに入れ、円形セルシリコーン栓によって閉じ、TMPを100℃で溶融させ、測定した。各試料について、測定を2回実施し、それらの値の平均を求めた。
【0050】
実施例1
高沸点物質除去後の粗生成物の色数に及ぼすpHの調整の影響
回分式で、3.15モル当量の32重量%強度(% strength by weight)のホルムアルデヒドを水で希釈し、室温で0.56モル当量の水酸化カルシウムと混和した。1.00モル当量のブチルアルデヒドを、50分かけて容器に入り込ませ、その結果混合物が50℃に温まった。ブチルアルデヒドの量は、全質量に基づいて10重量%であり、トリメチロールプロパンの最終濃度は、15から15.3重量%であった。反応後に、混合物を50℃でさらに40分間撹拌し、ギ酸によって、pHを表に示された値に調整した。その後、反応混合物を、三段式蒸発器で50から80℃の温度および130から260mbarの圧力において連続的に濃縮して、残存水分量30から33重量%を実現した。次いで、沈殿したギ酸カルシウムを75から80℃で分別し、80から100mbarおよび100℃で、残存水分量を1.5重量%に低減した。沈殿した固形物、主にギ酸カルシウムをデカンターによって分別し、粗TMPから残留低沸点物質を10mbarおよび140から150℃で除去した。低沸点物質が除去された粗TMPを、短行程蒸発器で3mbarおよび130から140℃において、60%が蒸発されるまで塔頂部で蒸留した。短行程蒸発器の塔底生成物を、残留TMPを10重量%未満しか含有しない塔底生成物が得られるように、並列にした3台の薄膜蒸発器(TFE)で5から10mbarおよび170℃の温度において、塔頂部でさらに濃縮した。
【0051】
粗留出液を合わせて、低沸点物質を第1の塔で塔底部温度230℃、頭頂部温度154℃および塔頂部圧力30mbarにおいて除去した。これらの塔からの塔底生成物を、別の塔で塔底部温度220℃および頭頂部温度136℃、12mbarにおいて塔頂部で蒸留し、その後TMP含有量は>99重量%であった。
【0052】
薄膜蒸発器後の粗TMPおよび第2の蒸留塔後の最終生成物の試料を採取し、APHA色数を決定した。
【0053】
【表1】

【0054】
実施例から、分離段が1枚しかない薄膜蒸発器によって実施される低沸点物質の除去によってでさえ、はっきりと低い色の粗生成物がより低いpHで得られることがわかる。充填前に最後の蒸留を行った後のTMPのAPHA色数は、滞留時間を考慮に入れて決定した。TMPはすべての場合において、純度が99.4重量%から99.8重量%の範囲であった。
【0055】
実験から、pHのわずかな低下でさえ、色数が著しく改善されることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機塩基の存在下、ブチルアルデヒドとホルムアルデヒドを反応させて、TMP含有反応混合物を生成し、その後前記TMP含有反応混合物の処理を行うことによって、TMPを調製する方法であって、前記処理が、前記TMP含有反応混合物のpHを、ギ酸によって50℃の温度に基づいて5.25から5.45の値に調整するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩が、無機塩基として使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理が、少なくとも下記のステップ:
a)前記調整されたTMP含有反応混合物から、水および任意選択的にホルムアルデヒドを除去するステップ、
b)前記調整されたTMP含有反応混合物から、固体構成要素を分離して、TMP含有粗溶液を生成するステップ、
c)前記TMP含有粗溶液から、高沸点物質を分離して、粗TMPを生成するステップ、
d)ステップc)に従って得られた前記粗TMPを蒸留して、低い色数を有するTMPを生成するステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)およびb)を、少なくとも1回繰り返すことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップc)およびd)が同時に実施されることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。

【公表番号】特表2013−501035(P2013−501035A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523346(P2012−523346)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061459
【国際公開番号】WO2011/015644
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】