説明

トルクセンサ

【課題】冷媒供給路を簡易な加工で形成できるようにして製造コストを低減すると共に、管路抵抗の低減の追求に適したトルクセンサを提供する。
【解決手段】中空軸状をなし軸方向一端2cに駆動力が入力され軸方向他端2dに負荷が入力されて駆動側X1と負荷側X2との間で捩れを伴いながらトルクを伝達するトルク伝達軸2と、中空軸状をなしトルク伝達軸2の内周側においてトルク伝達軸2に嵌合することによりトルク伝達軸2と共に二重の中空軸となる嵌合軸8と、軸受5を介してトルク伝達軸及び前記嵌合軸を一体回転可能に支持する固定支持部6とを備え、嵌合状態において嵌合軸8の外周面8bに軸方向Xに沿って延びる溝部81を設け、溝部81とその対向面たるトルク伝達軸2の内周面2aとの間に、冷媒を軸受5に供給するためのスラスト路71が形成されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルク伝達軸を支持する軸受への冷媒供給を適正化したトルクセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電磁作用により回転駆動するモータ等の駆動装置のシャフトに作用するトルクを検出するトルクセンサが知られている。例えば特許文献1には、中空軸状をなし軸方向両端がそれぞれ駆動装置のシャフト及び負荷装置のシャフトに接続され駆動側と負荷側との間で捩れを伴いながらトルクを伝達するカップリングとしてのトルク伝達軸と、トルク伝達軸の内周面に取り付けられトルク入力によって内周面に生じる歪みを検出する歪ゲージ等の歪検出部と、トルク伝達軸の中空空間に収納され歪検出部の検出結果をトルク伝達軸の外部に送信するテレメータ等の送信部とを備え、送信部から受信した検出結果に基づきトルク伝達軸に作用するトルクの大きさを算出する歪ゲージ式トルクセンサが開示されている。この種のトルクセンサは、駆動装置に片持ち状態で取り付けられ又は一体に組み込まれるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭51−131677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、モータ等の駆動装置の高速駆動化に伴い、例えば五万回転/毎分などの高速回転に対応したトルクセンサが望まれる。高速回転化にあたり、遠心力によってトルク伝達軸が破壊されることを防止するためにトルク伝達軸の径を細くする必要がある。上記のようなトルク伝達軸の内部に送信部を収納する歪ゲージ式トルクセンサにおいては、軸径を細くすると、軸自体が撓みやすくなることに加え、送信部の収納スペースを確保するために軸自体を軸方向に沿って長軸にしなければならず、一般的な片持ち支持構造では、軸の撓みが問題となり成立せず、トルク伝達軸を軸受を介して支持する構造にする必要がある。
【0005】
このような軸受支持構造の場合、特に高速回転では軸受の摩耗や発熱が問題となり、軸受に対して潤滑油などの冷媒を供給する必要があるが、トルク伝達軸の内部には、冷媒との接触を嫌う歪検出部や送信部を始めとする電子部が配置されているため、これら電子部の配置されている中空空間を冷媒の流路として利用することができない。軸受に冷媒を供給するにあたり、各電子部に冷媒が至らないように設計する必要がある。
【0006】
上記事項を考慮して、軸受に冷媒を供給する冷媒供給路を設けるためには、トルク伝達軸の外周面及び内周面の間に軸方向に沿って冷媒を流通させるスラスト路としての穴を、軸方向一端から他端に向けてドリル等の切削工具を用いた加工により形成することが一つの有効な手段として考えられる。
【0007】
しかしながら、トルク伝達軸が小径且つ長軸である場合には、軸方向に沿って深い穴を空けるという加工が困難であるうえ、一般的な長さのドリル等の切削工具では穴を空けられず、長尺状のドリル等の特殊な切削工具を用いなければならず、製造コストが増大してしまい、量産に適したものとは言えない。
【0008】
また、この場合、冷媒供給路としての穴の径が小さく且つ穴の横断面が円形となるので管路抵抗が増大し、軸受への冷媒供給が十分になされないおそれも考えられる。管路抵抗を低減するためには、穴の横断面の形状を自由に設計可能であることが望ましい。
【0009】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、冷媒供給路を簡易な加工で形成できるようにして製造コストを低減すると共に、管路抵抗の低減の追求に適したトルクセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0011】
すなわち、本発明のトルクセンサは、中空軸状をなし軸方向一端に駆動力が入力され軸方向他端に負荷が入力されて駆動側と負荷側との間で捩れを伴いながらトルクを伝達するトルク伝達軸と、前記トルク伝達軸の内周面に取り付けられ前記トルク伝達軸に対するトルク入力によって前記内周面に生じる歪みを検出する歪検出部とを具備し、前記歪検出部の検出結果に基づき前記トルク伝達軸に作用するトルクの大きさを算出するトルクセンサであって、中空軸状をなし前記トルク伝達軸の外周側又は内周側のいずれかにおいて前記トルク伝達軸に嵌合することにより前記トルク伝達軸と共に二重の中空軸となる嵌合軸と、前記トルク伝達軸及び前記嵌合軸が一体に回転可能となるように両軸のうち外周側にある軸を軸受を介して支持する固定支持部とを備え、嵌合状態において前記トルク伝達軸及び前記嵌合軸の互いに対向する内外周面の少なくとも一方の面に、軸方向一端側から軸方向他端側に向かって延びる溝部を設け、嵌合状態において前記溝部と当該溝部の対向面との間に、軸方向の一方から導入される冷媒を前記軸受に供給するためのスラスト路が形成されるようにしたことを特徴とする。
【0012】
このように、嵌合状態においてトルク伝達軸又は嵌合軸の互いに対向する内外周面の少なくとも一方の面に、軸方向一端側から軸方向他端側に向かって延びる溝部を設け、両軸を嵌合させることにより溝部とその対向面との間に冷媒を軸受に供給するためのスラスト路が形成されるようにしているので、トルク伝達軸が小径且つ長軸であっても、その軸方向に沿って長い穴を空けるといった困難且つコストの高い加工をすることなく、両軸の内周面又は外周面の少なくとも一方に溝部を設けるといった比較的容易な加工を行うことによりスラスト路を形成でき、製造コストを低減することができる。しかも、スラスト路は溝部によって形成されるので、軸端からドリル等の切削工具で穴を形成してスラスト路とする場合に比して、スラスト路の断面積や断面形状を比較的自由に形成でき、管路抵抗の低減を追求するうえでも好ましい。
【0013】
スラスト路から冷媒が流出することを防止するためには、嵌合状態において前記トルク伝達軸及び前記嵌合軸の互いに対向する内外周面のうち前記スラスト路の周方向両側及び軸方向両側における内外周面の間に、封止構造が形成されていることが好ましい。
【0014】
冷媒を軸受に適切に供給するためには、前記トルク伝達軸又は前記嵌合軸のうち嵌合状態で内周側となる軸は、その軸中心を通り軸方向一端から冷媒が導入される導入路と、前記導入路から外周に向けて延在し前記導入路と前記スラスト路とを接続する接続路とを有することが効果的である。
【0015】
軸全体での荷重バランスの調整を簡易化するためには、前記溝部は複数設けられて対をなしており、対をなす溝部同士は軸中心回りに対称となる位置に配置されていることが望ましい。
【0016】
軸受の冷却効率を向上させるためには、前記軸受は、複数箇所で支持するように軸方向に沿って複数配置され、前記スラスト路は、複数の軸受と径方向で重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0017】
外部環境の電磁的な影響を受けにくくして、適切な信号の受信及び給電を実現するためには、前記トルク伝達軸の外周に設けられる回転側アンテナ部と、前記回転側アンテナ部の外周側に対向配置され前記回転側アンテナ部との磁気結合によって前記検出結果を示す信号を受信するための固定側アンテナ部とを備え、前記固定支持部は、両アンテナ部の周囲を包囲する位置に配置され、その少なくとも一部が両アンテナから電気的に絶縁した導電性部材で構成されていることが効果的である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上説明したように、トルク伝達軸に嵌合して二重の中空軸となる嵌合軸を設け、嵌合状態においてトルク伝達軸及び嵌合軸の互いに対向する内外周面の少なくとも一方の面に溝部を設けるといった比較的容易な加工を行うことにより、溝部とその対向面との間に冷媒供給用のスラスト路を形成できるので、軸方向に沿って長い穴を空けるといった困難且つコストの高い加工を施工することを避けて、製造コストを低減することが可能となる。しかも、加工容易な溝部の形状を調整することで、スラスト路の断面積や断面形状を自由に形成でき、管路抵抗の低減を追求することも可能となる。したがって、製造コストを低減させると共に、管路抵抗の低減の追求に適したトルクセンサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るトルクセンサの構成を示す断面図。
【図2】同トルクセンサを適用したモータ等の駆動装置を模式的に示す図。
【図3】嵌合軸の構成図、並びに、トルク伝達軸と嵌合軸の嵌合状態を示す図。
【図4】アンテナ部の構成を示す断面図。
【図5】本発明の他の実施形態に係るトルク伝達軸及び嵌合軸を示す構成図。
【図6】本発明の上記以外の実施形態に係るトルク伝達軸及び嵌合軸を示す断面図。
【図7】本発明の上記以外の実施形態に係るトルク伝達軸及び嵌合軸を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係るトルクセンサを、図面を参照して説明する。
【0021】
トルクセンサTsは、図1に示すように、駆動装置と負荷装置との間に介在するトルク伝達軸2に作用するトルクの大きさを測定する装置であり、略中空軸状をなし軸方向両端2c,2dがそれぞれ駆動側(駆動装置M)及び負荷側(負荷装置)に接続され駆動側及び負荷側の間で捩れを伴いながらトルクを伝達するトルク伝達軸2と、トルク伝達軸2の内部に内部空間SP1を形成する内周面2aに取り付けられトルク伝達軸2に対するトルク入力によりトルク伝達軸2に生じる歪みを検出する歪ゲージを用いた歪検出部4と、歪検出部4の検出結果をトルク伝達軸2の外部に送信する送信部30と、送信部30からアンテナ部33を介して受信した検出結果に基づきトルク伝達軸2に作用するトルクの大きさを算出するトルク演算部31と、略中空軸状をなしトルク伝達軸2の内周側においてトルク伝達軸2に嵌合することによりトルク伝達軸2と共に二重の中空軸となる嵌合軸8とを有している。このトルクセンサTsは、図2に例示するように、トルク伝達軸2の軸方向一端2cと駆動力出力軸M3a(シャフト)とを接続してトルクセンサTsを備えたモータ等の駆動装置Mを構成するために利用される。なお、本明細書においては、軸方向をXとし、駆動側をX1とし、負荷側をX2として説明する。
【0022】
トルク伝達軸2は、図1に示すように、内部に内部空間SP1が形成された略中空軸状をなす鋼材で構成され、その内周面2aの横断面の形状は嵌合軸8の外周面8bの横断面に対応する形状にしてある。そして、この内部空間SP1に嵌合軸8を駆動側X1から圧入するしまりばめによって、嵌合軸8の外周面8bとトルク伝達軸2の内周面2aとを接触させた嵌合状態にしている。トルク伝達軸2の軸方向一端2c(駆動側X1の端部2c)は、回転駆動するモータ等の駆動装置Mの駆動力出力軸M3a(シャフト)とスプライン接続等により関連付けられて駆動装置Mにより駆動力が入力され、トルク伝達軸2の軸方向他端2d(負荷側X2の端部2d)は、負荷装置のシャフトとスプライン接続等により関連付けられて負荷装置により負荷が入力される。
【0023】
嵌合軸8は、図3(a)及び図3(c)に示すように、内部に中空空間SP0が形成された有底の略中空軸状をなすガラスエポキシ樹脂等の樹脂で構成されている。嵌合軸8の内部に設けられる中空空間SP0は、軸方向一端8c側(駆動側X1)が閉止される一方で、軸方向他端8d側(負荷側X2)が開口部8eを介して開放されている。嵌合状態においては、図1に示すように、開口部8eを介して、歪検出部4の配置されたトルク伝達軸2内部の内部空間SP1と、嵌合軸8内部の中空空間SP0とが連通している。この嵌合軸8において送信部30を収納するための中空空間SP0は、軸方向に沿った長尺状をなし、図3(a)に示すように、軸中心Cnを通り負荷側X2の端部8d(軸方向一端)から駆動側X1(軸方向他端側)に向かう第一の穴8hと、軸方向Xに直交するラジアル方向X3に沿って貫通する第二の穴8hとを導通して形成されている。すなわち、中空空間SP0は、負荷側X2だけでなく、軸方向Xに直交するラジアル方向X3にも開放されたものとなる。これら第一の穴8h及び第二の穴8hは、ドリル及びワイヤーカットなどの加工により空けられる。なお、図1に示すように、トルク伝達軸2との嵌合状態において、トルク伝達軸2の内周面2aに設けられた突状の嵌合軸支持部20と、嵌合軸8の軸方向他端8d(負荷側X2の端部8d)とを当接させることにより、軸方向における嵌合軸8の位置決めがなされる。
【0024】
図1に示すように、歪検出部4は、機械的な寸法の微小な変化を電気信号として検出するシート状の歪ゲージを用いたもので、トルク伝達軸2の内部に内部空間SP1を形成し且つ軸心Cnを中心とする円形に沿った内周面2aに接着剤を介して貼付されている。歪検出部4の貼付位置は、上記嵌合軸支持部20よりも負荷側X2に設定されている。この歪検出部4として用いられる歪ゲージは、金属抵抗体の抵抗値を利用するものであるので、歪検出部4自体や周囲の温度によって抵抗値が変化し、検出結果に影響(検出誤差等)が生じる。トルク伝達軸2の外周面2bのうち軸受5に接触する部位から歪検出部4の設置される部位までの間には、外周面2bに漏れ出た冷媒を遠心力で振り切ることにより、負荷装置への冷媒の流出を防ぐためのV字状をなす冷媒振切部2vが設けられている。
本実施形態では、互いに軸心Cnを中心として対称となる位置に歪検出部4をそれぞれ取り付けて歪検出部4を一対又は複数対とし、複数の歪ゲージを既知の4ブリッジ法でブリッジ回路を構成するように接続している。
【0025】
送信部30は、図1及び図3(a)に示すように、プリント基板などの板状部位30aを有し、歪検出部4に電圧を印加し且つ歪検出部4で検出した検出結果を示す歪信号をトルク伝達軸2の外部へ送信するテレメータを用いたもので、嵌合軸8における中空空間SP0内に配置されて、中空空間SP0の内面8aに設けられた取付部80に保持されている。
【0026】
取付部80は、図1及び図3(a)に示すように、送信部30の板状部位30aの端部を差し込み可能なスリットであり、中空空間SP0を形成する内面8aに複数形成されている。具体的には、図3(a)及び図3(c)に示すように、中空空間SP0を有底筒状の中空部とみなした場合に、底部に対応する内面8aに第一の取付部80aが形成されていると共に、開口部8e近傍の内周面8aに対をなす第二の取付部80b・80bが形成されている。第一の取付部80aは、軸方向Xに直交するラジアル方向X3に沿って形成されたスリットであり、送信部30の板状部位30aの駆動側X1先端部に係合する。第二の取付部80b・80bは、軸心Cnを中心として対称となる位置において軸方向Xに沿って形成されたスリットであり、送信部30の板状部位30aの負荷側X2の両側端部に係合する。すなわち、取付部80(第一の取付部80a,第二の取付部80b)は、軸方向Xに沿った送信部30のスライド動作を許容する方向を向いて配置されていると共に、回転方向への送信部30の回転動作を禁止する方向を向いて配置されていると言える。また同様に、取付部80は、軸方向Xに沿った複数箇所で送信部30を支持し、且つ、軸方向Xに直交する方向(ラジアル方向X3)に沿った複数箇所で送信部30を支持するように、嵌合軸8の内面8aの複数箇所に設けられていると言える。
【0027】
図1に示すように、トルク伝達軸2の外周側には、アンテナ部33が設けられている。また、トルク伝達軸2の外部には、送信部30から送信された歪信号(検出結果を示す信号)をアンテナ部33を介して受信してトルクの大きさを演算処理により算出するトルク演算部31と、送信部30に対して電力を非接触でアンテナ部33を介して供給する電力供給部32とが設けられている。アンテナ部33は、図1及び図4に示すように、環状をなしトルク伝達軸2の外周に設けられる回転側アンテナ部33aと、略環状をなし回転側アンテナ部33aの外周側に対向配置される固定側アンテナ部33bとを有している。回転側アンテナ部33aは、導線を巻回したコイルであり、固定側アンテナ部33bとの磁気結合によって電力供給部32から電力を受け、固定側アンテナ部33bは、アルミニウムで構成され、回転側アンテナ部33aとの磁気結合によって送信部30から歪信号を受信する。
【0028】
すなわち、図1に示すように、電力供給部32からアンテナ部33を介して送信部30に電力が供給され、歪検出部4に電圧が印加される。そして、トルク伝達軸2にトルクが作用すると、トルク伝達軸2に捩れが生じ、この捩れがトルク伝達軸2の内周面2aに貼付された歪検出部4によって歪量として検出される。歪検出部4で検出した歪量に対応する歪信号が送信部30からトルク演算部31に送信され、トルク演算部31が歪信号(歪検出部4の検出結果)に基づいてトルクの大きさを算出する。
【0029】
トルク伝達軸2は、図1に示すように、軸受5を介して固定支持部6に回転可能に支持されている。軸受5は、ボールベアリング等の転がり軸受を用いたもので、トルク伝達軸2を複数箇所(本実施形態では二箇所)で支持するように軸方向に沿って複数(本実施形態では二つ)配置されている。具体的には、アンテナ部33の軸方向両側に配置されている。
【0030】
固定支持部6は、図1に示すように、略有底円筒状をなし駆動側X1の基端部60aが駆動装置MのハウジングM1にボルト等の止着具を介して取り付けられる筒状支持部60と、筒状支持部60の負荷側X2の開口60kを閉止する蓋状支持部61とから構成されている。蓋状支持部61は、筒状支持部60の先端部60bにOリング等の封止部材を介在させた状態でボルト等の止着具により取り付けられている。筒状支持部60及び蓋状支持部61により形成される内部空間SP2に軸受5が配置されており、固定支持部6は、筒状支持部60及び蓋状支持部61の底部61btを軸方向Xに沿って貫通する位置に配置されたトルク伝達軸2を軸受5を介して回転可能に支持し、トルク伝達軸2及び嵌合軸8を一体に回転可能にしている。軸受5は、トルク伝達軸2の外周面2bに形成された突状の回転側軸受支持部64aと、蓋状支持部61の底部61bt及び筒状支持部60を足場とする固定側軸受支持部64bとにより抱き込まれて軸方向に固定されている。
【0031】
筒状支持部60は、駆動装置MのハウジングM1に取り付けられた状態で下部となる側面部位に下向き孔60hが形成されており、この下向き孔60hを閉止する位置に絶縁性蓋部63がOリング等の封止部材や図示しないボルトなどの止着具を用いて着脱可能に取り付けられている。絶縁性蓋部63には、軸受5に供給された潤滑油などの冷媒を外部に排出するための排出口60ejが形成されている。
【0032】
また、絶縁性蓋部63は、図1及び図4に示すように、上記のアンテナ部33を構成する固定側アンテナ部33bを通電部33cを介して支持する。アンテナ部33は、その周囲が、導電性部材からなる筒状支持部60及び導電性部材からなる蓋状支持部61と、絶縁性蓋部63とによって包囲されている。
【0033】
図1に示すように、トルク伝達軸2の軸方向一端2c側(駆動側X1)から導入される冷媒を内部空間SP1に連通しないように軸受5に供給する冷媒供給路7が設けられている。具体的には、図3(a)、図3(b)及び図3(c)に示すように、嵌合軸8の外周面8bに、軸方向一端8c側(駆動側X1)から軸方向他端8d側(負荷側X2)に向けて延びる溝部81が設けられており、図1及び図3(d)に示すように、トルク伝達軸2及び嵌合軸8の嵌合状態において、溝部81とその溝部81の対向面(トルク伝達軸2の内周面2a)との間に、軸方向Xの一方から導入される冷媒を軸受5に供給するためのスラスト路71が形成されるようにしている。すなわち、切欠部とも呼べる溝部81が設けられることにより、トルク伝達軸2の内周面2aと嵌合軸8の外周面2bとの間を広げてスラスト路71が形成されることになる。冷媒供給路7の管路抵抗は、路の横断面積が変わらない場合に、その横断面形状が円形のときに最大となる一方で、正方形のときに最小となることが知られている。本実施形態におけるスラスト路71の横断面は、略矩形状をなし、管路抵抗が最大となる円形に比べて管路抵抗を低減させている。
【0034】
スラスト路71以外に冷媒供給路7を構成するものとして、図1及び図3(a)〜(c)に示すように、導入路70及び接続路72が設けられている。導入路70は、嵌合状態で内側となる嵌合軸8の軸中心Cnを通り軸方向一端8c(駆動側X1)から冷媒を導入する路であり、接続路72は、導入路70から外周に向けて延在し導入路70とスラスト路71とを接続する路である。スラスト路71は、図1に示すように、軸受5と径方向で重なる位置、すなわちトルク伝達軸2の肉を介して軸受5を冷却する位置に配置されている。また、スラスト路71には、各々の軸受5に冷媒を噴出する噴射路73が複数設けられており、スラスト路71を基幹路とし、噴射路73を分岐路として、各々の軸受5に冷媒を供給する流路が一つのスラスト路71から分岐して形成される。この噴射路73に対応して固定側軸受支持部64bは、噴射路73と径方向で重合する位置にあり、噴射路73から供給された冷媒を軸受5に案内する湾曲した案内面64xが形成されている。
【0035】
溝部81は、図3(d)に示すように、複数(本実施形態では二つ)設けられて対をなし、対をなす溝部81・81は軸中心Cn回りに対称となる位置に配置されており、図1に示すように、各々の接続路72を介して導入路70の先端部にある分岐部70aと接続されている。これにより、軸全体での荷重バランスをとっている。
【0036】
図3に示すように、嵌合軸8の外周面2bに形成される溝部81は、その軸方向両側の肉を残した状態で切り欠いて設けられるので、嵌合状態において嵌合軸8の外周面2bのうち溝部81の軸方向両側及び周方向両側の外周面と、トルク伝達軸2の内周面とが接触する。トルク伝達軸2に嵌合軸8を嵌め込む際には、これら内周面と外周面との間に弾性を有する接着剤を塗布しておく。このようにすると、接着剤によって、嵌合軸8の外周面8b及びトルク伝達軸2の内周面2aのうちスラスト路71の周方向両側及び軸方向両側における内外周面2a・8bの間に封止構造8xが形成されることになる。ここでいう封止構造は、内周面2aと外周面8bとの間を冷媒が通過しない程度に狭めた構造をいい、本実施形態では、弾性を有する接着剤を封止部材として内外周面2a・8bの間に介在させることで封止構造8xを実現している。このような封止構造8xによってスラスト路71から送信部30を収納する中空空間SP0に冷媒が流入することを適切に防止している。さらに、接着剤が弾性を有するので、トルク伝達軸2へのトルク入力によって内周面2aに生じる応力が嵌合軸8に与える影響を低減させている。
【0037】
なお、図2に概念図を用いて模式的に示すように、駆動装置Mは周知のモータ等を用いたもので、ハウジングM1に固定され磁界を発生する固定子M2と、固定子M2に対して回転可能な状態でハウジングM1に支持され磁界を受けて回る回転子M3とを有し、固定子M2への通電制御により磁界を変化させ、固定子M2と回転子M3との間に反発力や吸引力等を作用させて回転子M3を回転させ、電気エネルギーから回転駆動力を出力するものである。回転子M3の駆動力出力軸M3a(シャフト)に上記トルク伝達軸2が接続されてトルク伝達軸2に駆動力が入力されるように構成するとともに、ハウジングM1に固定支持部6を取り付けてある。また、駆動装置Mを構成する駆動力出力軸M3aは、出力軸用の軸受M4により回転可能に支持されるとともに、内部に冷媒を通して出力軸用の軸受M4や図示しない発熱部を始めとする機構部品に冷媒を供給する流路M5の一部を構成するものであり、トルク伝達軸2の内部に形成される導入路70は、出力軸M3aから冷媒が導入されるように構成されている。勿論、トルク伝達軸2と駆動力出力軸M3a(シャフト)とを同一部材として一体に形成してもよく、また、固定支持部6とハウジングM1とを同一部材として一体に形成してもよい。この場合、トルクセンサ及び駆動装置を合わせた装置全体の軸方向寸法を小形化することも可能となる。図2に示す駆動装置Mは概念図で示したものにすぎず、この図示の駆動装置に限定されるものではない。また駆動装置にはモータ以外のものを用いてもよい。
【0038】
以上のように、本実施形態のトルクセンサTsは、中空軸状をなし軸方向一端2cに駆動力が入力され軸方向他端2dに負荷が入力されて駆動側X1と負荷側X2との間で捩れを伴いながらトルクを伝達するトルク伝達軸2と、トルク伝達軸2の内周面2aに取り付けられトルク伝達軸2に対するトルク入力によって内周面2aに生じる歪みを検出する歪検出部4とを具備し、歪検出部4の検出結果に基づきトルク伝達軸2に作用するトルクの大きさを算出するトルクセンサであって、中空軸状をなしトルク伝達軸2の内周側においてトルク伝達軸2に嵌合することによりトルク伝達軸2と共に二重の中空軸となる嵌合軸8と、トルク伝達軸2及び嵌合軸8が一体に回転可能となるように両軸2・8のうち外周側にある嵌合軸8を軸受5を介して支持する固定支持部6とを備え、嵌合状態においてトルク伝達軸2及び嵌合軸8の互いに対向する内外周面2a・8bの一方の外周面8bに、軸方向一端8c側から軸方向他端8d側に向かって延びる溝部81を設け、嵌合状態において溝部81と溝部81の対向面(トルク伝達軸2の内周面2a)との間に、軸方向Xの一方(駆動側X1)から導入される冷媒を軸受5に供給するためのスラスト路71が形成されるようにしている。
【0039】
このように、嵌合状態においてトルク伝達軸2又は嵌合軸8の互いに対向する内外周面2a・8bの一方の外周面8bに、軸方向一端8c側から軸方向他端8d側に向かって延びる溝部81を設け、両軸2・8を嵌合させることにより溝部81とその対向面(トルク伝達軸2の内周面2a)との間に冷媒を軸受5に供給するためのスラスト路71が形成されるようにしているので、トルク伝達軸2が小径且つ長軸であっても、その軸方向Xに沿って長い穴を空けるといった困難且つコストの高い加工をすることなく、両軸2・8の内周面2a又は外周面8bの一方(外周面8b)に溝部81を設けるといった比較的容易な加工を行うことによりスラスト路71を形成でき、製造コストを低減することができる。しかも、スラスト路71は溝部81によって形成されるので、軸端からドリル等の切削工具で穴を形成してスラスト路71とする場合に比して、スラスト路71の断面積や断面形状を比較的自由に形成でき、管路抵抗の低減を追求するうえでも好ましい。
【0040】
さらに、本実施形態では、嵌合状態においてトルク伝達軸2及び嵌合軸8の互いに対向する内外周面2a・8bのうちスラスト路71の周方向両側及び軸方向両側における内外周面2a・8bの間に、封止構造8xが形成されているので、上記構成を採用した場合であっても、スラスト路71から冷媒が流出することを適切に防止することができる。ここでいう封止構造8xは、内外周面2a・8bの間を冷媒が通過しない程度に狭めた構造をいい、この構造は、内外周面の間に封止部材を介在させることで実現している。封止部材としては、弾性を有する接着剤を用いている。他の例として、例えば、図6(a)に示すように、外周側にあるトルク伝達軸の内周面に軸方向全域に亘り溝部を形成した場合には、図6(c)に示すように、内周側にある嵌合軸508の外周面508bに、溝部の軸方向両端部に対応する位置に凸部508tを設け、トルク伝達軸と嵌合軸508を嵌合した場合に、スラスト路の軸方向両側に封止構造が形成されるようにしてもよい。
【0041】
さらにまた、本実施形態では、トルク伝達軸2又は嵌合軸8のうち嵌合状態で内周側となる嵌合軸8は、その軸中心Cnを通り軸方向一端8cから冷媒が導入される導入路70と、導入路70から外周に向けて延在し導入路70とスラスト路71とを接続する接続路72とを有するものである。このように構成すると、トルク伝達軸2の回転により作用する遠心力によって冷媒が導入路70、接続路72及びスラスト路71を順に巡って軸受5に供給されるので、トルク伝達軸2の細径化に伴い冷媒供給路7の径が細くなり且つ冷媒に粘度の高いものを用いたとしても適切に冷媒を軸受5へ供給可能な高速回転に適したトルクセンサTsを提供することが可能となる。
【0042】
さらにまた、本実施形態では、溝部81は複数設けられて対をなしており、対をなす溝部同士81・81は軸中心Cn回りに対称となる位置に配置されているので、軸全体での荷重バランスの調整を簡易化することが可能となる。特に本実施形態では、二つの溝部を一対にして、各々の溝部81・81を軸中心Cn回りに対称となる位置に配置しているので、内部の中空空間SP0を広く形成するうえでも好ましい。
【0043】
上記に加え、本実施形態では、軸受5は、複数箇所で支持するように軸方向Xに沿って複数配置され、スラスト路71は、複数の軸受5・5と径方向で重なる位置に配置されているので、軸受5への冷媒供給だけでなくトルク伝達軸2の肉を介しても軸受5を冷却することになり、軸受5の冷却効率を向上させることが可能となる。よって、高速回転に適したトルクセンサを適用することが可能となる。
【0044】
その他、本実施形態では、トルク伝達軸2の外周に設けられる回転側アンテナ部33aと、回転側アンテナ部33aの外周側に対向配置され回転側アンテナ部33aとの磁気結合によって歪検出部4の検出結果を示す信号を受信するための固定側アンテナ部33bとを備え、固定支持部6は、両アンテナ部33a・33bの周囲を包囲する位置に配置され、その少なくとも一部の筒状支持部60及び蓋状支持部61が両アンテナ部33a・33bから電気的に絶縁した導電性部材で構成されているので、固定支持部6を電磁シールドとして利用でき、回転側及び固定側のアンテナ部33a・33bが外部環境の電磁的な影響を受けにくくなり、適切な検出結果の受信と給電とを実現することが可能となる。
【0045】
本実施形態の駆動装置Mは、上記トルクセンサTsとハウジングM1とを備え、出力軸M3aから回転駆動力を出力するものであって、出力軸M3aとトルク伝達軸2の軸方向一端2cとを接続してトルク伝達軸2に駆動力が入力されるように構成するとともに、固定支持部6とハウジングM1とを接続しているので、トルクセンサTsと駆動装置Mとを適切にユニット化することが可能となる。
【0046】
さらに、本実施形態の駆動装置Mは、出力軸M3aが、出力軸用の軸受M4により回転可能に支持されるとともに、内部に冷媒を通して出力軸用の軸受M4に冷媒を供給する流路M5の一部を構成するものであり、導入路70が、出力軸M3aから冷媒が導入されるように構成されているので、駆動装置Mの出力軸M3aを支持するための軸受M4を始めとする機構部品への冷媒の供給源と、トルク伝達軸2や歪検出部4を冷却するための冷媒の供給源とを共通化することができ、冷媒の供給源を並設する必要がなくなり、供給源に対するメンテナンス性の向上や製造コストの低減、装置の小型化を追求することが可能となる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0048】
例えば、本実施形態では、トルクセンサTsは、駆動装置Mに組み込まれて構成されているが、単独で構成することも可能である。また、冷媒供給路7は、軸方向一端2c側(駆動側)から冷媒を導入しているが、軸方向他端2d側(負荷側)から冷媒を導入するようにしてもよい。また、本実施形態では、接続路72は、径方向に沿ってほぼ直線上に延びているが、湾曲していてもよい。
【0049】
さらに、本実施形態では、嵌合軸8がトルク伝達軸2の内周側においてトルク伝達軸2に嵌合するようにしているが、図5に示すように、嵌合軸108がトルク伝達軸102の外周側においてトルク伝達軸102に嵌合することにより、トルク伝達軸102と共に二重の中空軸となるようにし、トルク伝達軸102の外周面102bに溝部181を設け、溝部181とその対向面(嵌合軸108の内周面108a)との間にスラスト路171を形成してもよい。
【0050】
さらにまた、上記で述べた実施形態では、溝部は、嵌合状態においてトルク伝達軸及び嵌合軸の互いに対向する内外周面の一方の外周面に設けているが、図6(a)に示すように、互いに対向するトルク伝達軸202の内周面202a及び嵌合軸208の外周面208bのうち一方の外周面208bに、溝部281を設けてもよい。また、図6(b)に示すように、互いに対向するトルク伝達軸302の内周面302a及び嵌合軸308の外周面308bのうち両方の面302a・308bに、溝部381を設けてもよい。勿論、トルク伝達軸を内周側に配置し、嵌合軸を外周側に配置した場合も同様である。
【0051】
さらに、本実施形態では、冷媒を軸方向の一方たる駆動側X1から導入しているが、軸方向Xの他方の負荷側X2から導入するように構成してもよい。冷媒供給路を構成する導入路や接続路は、内周側にある軸に形成されるので、図5に示すように、トルク伝達軸102が内周側に配置される場合には、このトルク伝達軸102の内部に設けられる。
【0052】
また、本実施形態では、図1に示すように、固定側アンテナ部33bは、絶縁性蓋部63に支持されているが、他の絶縁性部材を介して筒状支持部60又は蓋状支持部61に支持させてもよい。
【0053】
さらにまた、本実施形態では、トルク伝達軸2の内周面2aと嵌合軸8の外周面8bとの間に形成される封止構造8xは、弾性を有する接着剤で実現されているが、その他の接着剤を封止部材として内外周面の間に介在させてもよい。その他には、ただ単にトルク伝達軸に嵌合軸を圧入したしまりばねによって実現してもよいし、図7に示すように、トルク伝達軸2の内周面2aと、嵌合軸408の外周面408bとの間に、Oリング等の封止部材slを介在させてもよい。すなわち、本発明における封止構造8xは、内外周面の間を冷媒が通過しない程度に狭めた構造をいい、この構造としては、例えば、内周面に外周面を圧入したしまりばめ等で実現されてもよく、内外周面の間に封止部材を介在させることで実現してもよい。封止部材としては、Oリングや弾性を有する接着剤等が挙げられる。
【0054】
また、本実施形態では、トルク伝達軸に嵌合軸をしまりばめによって嵌合させているが、他の嵌合としては、すきまばめ、中間ばめ等が挙げられる。また、本実施形態では、トルク伝達軸2への圧入を容易にするために、嵌合軸8はガラスエポキシ樹脂などの樹脂としているが、嵌合軸を、トルク伝達軸と同様に鋼材で構成してもよく、さらには、アルミや銅などの非鉄金属で構成してもよい。
【0055】
さらに、歪検出部として歪ゲージを例として述べているが、トルク伝達軸に生じる歪みを検出できるものであれば歪ゲージ以外のものでもよい。例えば、圧電素子を用いてもよいし、トルク伝達軸の内周面に応力に応じて発光する材を塗布して受光センサで検出するようにしてもよい。
【0056】
さらにまた、トルク伝達軸2は、駆動装置又は負荷装置のシャフトに接続できるものであれば、フランジやスプライン形状に限定されるものではない。例えばキーによって接続する形状でもよい。
【0057】
さらにまた、本実施形態では、冷媒供給路7に流通させる冷媒は、潤滑油などの液体であるが、窒素などの気体であってもよい。スラスト路を流通させた冷媒は、全てを軸受に供給してもよいし、一部を負荷装置側に供給するようにしてもよい。
【0058】
その他、検出した歪信号のトルク演算部31への伝送や電力供給部32から歪検出部4への電力供給は無線だけでなく、例えばスリップリングを用いた有線で行ってもよい。
【0059】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0060】
2…トルク伝達軸
2a…トルク伝達軸の内周面
33a…回転側アンテナ部
33b…固定側アンテナ部
4…歪検出部
5…軸受
6…固定支持部
8…嵌合軸
8x…封止構造
81…溝部
8b…嵌合軸の外周面
2a・8b…内外周面
70…導入路
71…スラスト路
72…接続路
X…軸方向
X1…駆動側(軸方向一端側)
X2…負荷側(軸方向他端側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空軸状をなし軸方向一端に駆動力が入力され軸方向他端に負荷が入力されて駆動側と負荷側との間で捩れを伴いながらトルクを伝達するトルク伝達軸と、前記トルク伝達軸の内周面に取り付けられ前記トルク伝達軸に対するトルク入力によって前記内周面に生じる歪みを検出する歪検出部とを具備し、前記歪検出部の検出結果に基づき前記トルク伝達軸に作用するトルクの大きさを算出するトルクセンサであって、
中空軸状をなし前記トルク伝達軸の外周側又は内周側のいずれかにおいて前記トルク伝達軸に嵌合することにより前記トルク伝達軸と共に二重の中空軸となる嵌合軸と、
前記トルク伝達軸及び前記嵌合軸が一体に回転可能となるように両軸のうち外周側にある軸を軸受を介して支持する固定支持部とを備え、
嵌合状態において前記トルク伝達軸及び前記嵌合軸の互いに対向する内外周面の少なくとも一方の面に、軸方向一端側から軸方向他端側に向かって延びる溝部を設け、嵌合状態において前記溝部と当該溝部の対向面との間に、軸方向の一方から導入される冷媒を前記軸受に供給するためのスラスト路が形成されるようにしたことを特徴とするトルクセンサ。
【請求項2】
嵌合状態において前記トルク伝達軸及び前記嵌合軸の互いに対向する内外周面のうち前記スラスト路の周方向両側及び軸方向両側における内外周面の間に、封止構造が形成されている請求項1に記載のトルクセンサ。
【請求項3】
前記トルク伝達軸又は前記嵌合軸のうち嵌合状態で内周側となる軸は、その軸中心を通り軸方向一端から冷媒が導入される導入路と、前記導入路から外周に向けて延在し前記導入路と前記スラスト路とを接続する接続路とを有する請求項1又は2に記載のトルクセンサ。
【請求項4】
前記溝部は複数設けられて対をなしており、対をなす溝部同士は軸中心回りに対称となる位置に配置されている請求項1〜3のいずれかに記載のトルクセンサ。
【請求項5】
前記軸受は、複数箇所で支持するように軸方向に沿って複数配置され、前記スラスト路は、複数の軸受と径方向で重なる位置に配置されている請求項1〜4のいずれかに記載のトルクセンサ。
【請求項6】
前記トルク伝達軸の外周に設けられる回転側アンテナ部と、前記回転側アンテナ部の外周側に対向配置され前記回転側アンテナ部との磁気結合によって前記検出結果を示す信号を受信するための固定側アンテナ部とを備え、
前記固定支持部は、両アンテナ部の周囲を包囲する位置に配置され、その少なくとも一部が両アンテナから電気的に絶縁した導電性部材で構成されている請求項1〜5のいずれかに記載のトルクセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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