説明

トルクテノウイルス(TorqueTenoVirusu:TTV)単離株および組成物

本発明は、トルクテノウイルス(「TTV」)の新規な遺伝子型を含む、トルクテノウイルスの新規なヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を対象とするものであり、その全ては、ブタおよび他の動物における疾患を治療および予防するためのワクチンの調製において有用である。本発明の実施に従って提供されるワクチンは、複数のブタTTVの遺伝子型および単離株に対して効果的である。診断用および治療用のポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体もまた、ウイルスの増殖およびワクチンの調製において有用な感染性クローンであるため、本発明の特徴である。本発明の特に重要な態様には、TTV ORF1タンパク質またはそのペプチド断片を抗原として提供するワクチンが含まれる。
【図7】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年10月16日に出願された米国仮特許出願第61/196468号に対する米国特許法第119条に基づく利益および優先権を主張するものである。本明細書において、米国国内段階の目的上、米国仮特許出願第61/196468号の出願の全内容が、参照により、完全に説明されるのと同程度に、完全な形で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、トルクテノウイルス(「TTV」)の新規な遺伝子型を含む、トルクテノウイルスの新規なヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を対象とするものであり、その全ては、ブタおよび他の動物における疾患を治療および予防するためのワクチンの調製において有用である。本発明の実施に従って提供されるワクチンは、複数のブタTTVの遺伝子型および単離株に対して効果的である。診断用および治療用のポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体もまた、ウイルスの増殖およびワクチンの調製において有用な感染性クローンであるため、本発明の特徴である。特に重要なものとして、単一のTTVオープンリーディングフレームの、とりわけORF1またはORF2からの発現タンパク質、ならびにORF1およびORF2にコードされた完全長タンパク質の断片を抗原として包含するワクチンが開示される。
【背景技術】
【0003】
輸血伝染性ウイルスとも呼ばれるトルクテノウイルス(「TTV」)は、通常、サーコウイルス科(Circoviridae)に属している。TTVがヒトの輸血患者から最初に単離されたことは、広く認識されている(例えば、Nishizawaら、Biochem.Biophys.Res.Comm.vol.241、1997、pp.92〜97を参照されたい)。その後、TTVまたはTTV様ウイルスは、ブタを含む他の哺乳動物から同定されており、多くの株または単離株が公表されている(例えば、McKeownら、Vet.Microbiol.vol.104、2004、pp 113〜117を参照されたい)。
【0004】
その後の研究は、TTVおよびTTV様ウイルスが非常に一般的であることを示しているが、TTVの発生機序、およびそれが他の病状(例えば、他のウイルスおよび細菌によって生じるもの)に及ぼし得る寄与は、依然として明らかではない。例えば、TTV感染は、ヒトにおいて、さらには健康な個体も含めて一般的であると考えられ、このような感染は、無症候性であることが多く、それが数年にわたることもあり得る。さらに、細胞培養物においてウイルスを増殖させることが一般的に不可能であること、および明らかな機構的疾患モデルが全く存在しないことが、TTVの生態のあらゆる全体的特徴付けを困難にしている。TTVウイルス血症が、他のウイルス疾患(例えば、肝炎またはHIV/AIDS)に罹患しているヒト患者において増大しているにもかかわらず、TTVが実際は非病原性であり、既知の病状との何らかの明らかな実際の関連が待たれているということを示唆する、多数の医学的文献も存在する。例えば、Biaginiら、Vet.Microbiol.vol.98、2004、pp.95〜101を参照されたい。
【0005】
ブタに関して、状況は同様である。TTV感染が、豚サーコウイルス疾患(およびその様々な臨床的兆候、例えば、離乳後多臓器性発育不良症候群、および肺病変を合併する呼吸器疾患)、およびPRRSVに関連する疾患(豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス)などの、多くの疾患と関連していること、および多くの疾患の一因となることを示唆する、多数の研究が存在する。例えば、公開された国際特許出願WO2008/150275およびWO2008/127279を参照されたい。Krakowkaらはまた、PDNS(豚皮膚炎腎症症候群)と呼ばれる、豚におけるしばしば致命的な疾患について報告しており、PDNSは、播種性血管内凝固症候群の兆候として記載されており、また、PDNSに、血清型1 TTVとPRRSVウイルスによる混合感染が関与する可能性があった(Am.J.Vet Res、vol 69(12)、2008、pp.1615〜1622)。PDNS疾患はまた、豚サーコウイルス疾患(特に、PCV−2)と関連しており、細菌感染とも関連していた。したがって、多数の研究が成し遂げられているが、依然として、豚のTTV感染を具体的な病理と決定的に関連付ける研究はほとんどない。とはいえ、TTV感染が多くの病状を強化し得るということは、かなり明らかになってきている。したがって、全体的なTTVの生態についての本発明者らの理解を進めるため、かつ、TTVが一因となり得る多くの病状に対して、直接的または間接的にワクチン接種するための、高親和性抗体などの、例えば、高度に免疫化する、TTVのペプチド断片または全ウイルス粒子などの、様々なクラスのTTV試薬が必要とされている。
【0006】
したがって、TTVがブタにおける疾患の主な原因因子であるという可能性は存在するが、多くのブタ疾患が、2つ以上のウイルスの存在を必要とする、または特定の「第1の」病原体の第1の効果がTTV感染によって強化されるという可能性がより高いと考えられる。前述したように、ブタの多くの疾患が、罹患しているまたは罹患している可能性のある動物に抗TTV薬を投与することにより、治療され得るまたは減少し得る可能性がある。TTVへの関心が十分に高まっているにもかかわらず、効果的なワクチンは、いまだ存在しない。
【0007】
TTVは、負極性の一本鎖環状DNAからなる、小さな、エンベロープを有さないウイルスである。ゲノムには、3つの主要なオープンリーディングフレームである、ORF1、ORF2、およびORF3が含まれ、これらはオーバーラップし、ORF1は、カプシドタンパク質をコードする。(上記、Biaginiら)。その詳細な議論については、参照することにより組み込まれる以下の参照文献、Kakkolaら、Virology、vol.382(2008)、pp.182〜189;Mushahwarら、Proc.Natl.Acad.Sci、USA、vol 96、(1999)pp.3177〜3182;ならびに、2007年12月13日に2008年のために受理された、T.KekarainenおよびJ.Segales、「Torque teno virus infection in the pig and its potential role as a model of human infection」、The Veterinary Journalを参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
比較的単純なゲノムにもかかわらず、細胞培養物において、または他のインビトロでの方法によって、このウイルスを増殖させることは、一般的に非常に困難である。本発明は、感染性クローンを介するものを含む、TTVのインビトロでの増殖を可能にする、組換え構築物を対象とする。より具体的には、本発明は、効果的なワクチンがTTVから実は作製することができるという発見を対象とし、最も具体的には、TTV抗原が、単一のORFの発現産物またはその断片である場合である。好ましい実施形態において、本発明は、ORF1タンパク質ワクチンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、TTVにより直接的に生じる病状、およびTTVが一因となるまたはTTVにより強化される病状が含まれる、トルクテノウイルス(TTV)の感染により生じる動物における疾患または障害を、治療または予防する方法を提供する。好ましい実施例において、治療される動物はブタである。TTVにより強化され得る、また、本発明の実施に従って治療または予防され得る、ブタにおける病状には、豚サーコウイルス(PCV)、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRS)により生じる、または前記ウイルスに関連する病状が含まれる。
【0010】
本発明にはまた、混合ワクチン、すなわち、抗原の二価または多価の組合せを投与する選択肢が含まれ、前記組合せには、非TTV病原体に対する、生抗原、修飾生抗原、または不活化抗原と、アジュバントの適切な選択とが含まれ得る。
【0011】
本明細書において開示される固有のTTVアミノ酸配列に一部基づいて、本発明はまた、上記のTTVワクチンでワクチン接種された豚動物と、TTVの野外株に感染した豚動物とを区別するための診断キットを提供する。
【0012】
本発明の代表的な実施形態には、
(a)-(a)遺伝子型2配列TTV13(配列番号1)のDNA、遺伝子型2配列TTV10(配列番号2)のDNA、またはTTVカプシドタンパク質もしくは前記タンパク質の断片をコードする、前記DNAの断片、
(a)-(a)ttvg1−7(配列番号4)、ttvGT1−17(配列番号5)、ttvGT1−21(配列番号6)、ttvgt1−27(配列番号3)、ttvgt1−178(配列番号7)からなる群から選択される遺伝子型1配列のDNA、またはTTVカプシドタンパク質もしくは前記タンパク質の断片をコードする、前記DNAの断片、
(b)(a)における任意の配列の相補体、
(c)65℃の、0.5MのNaHPO、7%SDS、1mMのEDTAにおける、フィルターに結合したDNAとのハイブリダイゼーション、および68℃の、0.1×SSC/0.1%SDS中での洗浄として定義される、ストリンジェントな条件下で、(a)または(b)の配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド、
(d)(a)または(b)のポリヌクレオチドと少なくとも70%同一のポリヌクレオチド、
(e)(a)または(b)のポリヌクレオチドと少なくとも80%同一のポリヌクレオチド、
(f)(a)または(b)のポリヌクレオチドと少なくとも90%同一のポリヌクレオチド、
および
(g)(a)または(b)のポリヌクレオチドと少なくとも95%同一のポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチドを包含する、単離されたポリヌクレオチド配列が含まれる。
【0013】
本発明はさらに、任意のこのようなDNAポリヌクレオチド配列の相補体であるRNAポリヌクレオチド分子、ならびに、任意のこのようなRNAまたはDNAポリヌクレオチドの発現のためのベクターおよびプラスミド、ならびに、このようなヌクレオチド配列から発現されるTTVウイルスのためのベクターおよびプラスミドを提供するものであり、前記ウイルスは、生ウイルスであるか、または完全にもしくは部分的に弱毒化されている。
【0014】
本発明はまた、前述のポリヌクレオチド配列、および感染性クローンとして機能する対応するヌクレオチド配列を包含する、DNAワクチンを提供する。
【0015】
本発明は、遺伝子型2TTV13(配列番号1)もしくは遺伝子型2TTV10(配列番号2)のポリヌクレオチドのオープンリーディングフレームのいずれかによってコードされるポリペプチド、または前記ポリペプチドもしくはその断片と少なくとも90%同一のポリペプチドを提供するものであり、これには、さらなる他の同一のアミノ酸が、保存的な置換によって置き換えられるという選択肢が含まれる。
【0016】
本発明はまた、(全て血清型1の)ttvg1−7(配列番号10)、ttvGT1−17(配列番号11)、ttvGT1−21(配列番号12)、ttvgt1−27(配列番号13)、およびttvgt1−178(配列番号9)のORF1ポリヌクレオチドのオープンリーディングフレームのいずれかによってコードされるポリペプチド、または前記ポリペプチドもしくはその断片と少なくとも90%同一のポリペプチドを提供するものであり、これには、さらなる他の同一のアミノ酸が、保存的な置換によって置き換えられるという選択肢が含まれる。
【0017】
当技術分野において報告されている、TTVに対する効果的なワクチンの提供に対する(または他の疾患を強化するTTVの能力の制限に対する)継続的な失敗にもかかわらず、本発明は、単一のTTVオープンリーディングフレームの発現の結果生じるポリペプチドまたはその混合物を好ましくは包含する、このような効果的なワクチンを提供する。好ましい実施形態において、ポリペプチドはORF1から発現し、好ましい混合物には、ORF1およびORF2、ならびにORF1およびORF3のポリペプチドの組合せが含まれる。
【0018】
さらに好ましい実施形態において、また、本明細書において開示される十分なポリペプチド配列情報を利用して、(a)TTV13(配列番号1)もしくはTTV10(配列番号2)のカプシドタンパク質の最初の100個のN末端アミノ酸、または(b)それと少なくとも90%同一のアミノ酸配列、または(c)そのアルギニンに富んだ領域、によって定義される抗原を有するポリペプチドワクチンがさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(パネルAおよびB)免疫学的方法によるORF1タンパク質の検出を示す写真である。
【図2】アフィニティー精製に6×Hisタグを用いた、大腸菌(E.coli)における、コドンを最適化されたTTVg1ORF1タンパク質の発現の成功を証明する写真である。
【図3】ワクチン接種ORF1タンパク質が(CHO細胞内の人工染色体への組み込みの後に)発現される、Chromos構築物pcTV−TTV1−7 ORF1(酵母インベルターゼを加えたもの)発現プラスミドについてのベクターマップを示す図である。
【図4】同一性パーセントを編集したものを含む、様々なTTV株についての系統樹を示す図である。
【図5】(パネルA、B、およびC)様々なTTV単離株から発現されるORF1タンパク質の、共通のアルギニンに富んだ領域の同定を示す図である。
【図6】アセンブルされたTTVg1−178についてのベクターマップを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)-(a)遺伝子型2配列TTV13(配列番号1)のDNA、遺伝子型2配列TTV10(配列番号2)のDNA、またはTTVカプシドタンパク質もしくは前記タンパク質の断片をコードする、前記DNAの断片、
(a)-(a)ttvg1−7(配列番号4)、ttvGT1−17(配列番号5)、ttvGT1−21(配列番号6)、ttvgt1−27(配列番号3)、およびttvgt1−178(配列番号7)からなる群から選択される遺伝子型1配列のDNA、またはTTVカプシドタンパク質もしくは前記タンパク質の断片をコードする、前記DNAの断片、
(b)(a)における配列の相補体、
(c)65℃の、0.5MのNaHPO、7%SDS、1mMのEDTAにおける、フィルターに結合したDNAとのハイブリダイゼーション、および68℃の、0.1×SSC/0.1%SDS中での洗浄として定義される、ストリンジェントな条件下で、(a)または(b)の配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド、
(d)(a)または(b)のポリヌクレオチドと少なくとも70%同一のポリヌクレオチド、
(e)(a)または(b)のポリヌクレオチドと少なくとも80%同一のポリヌクレオチド、
(f)(a)または(b)のポリヌクレオチドと少なくとも90%同一のポリヌクレオチド、
および
(g)(a)または(b)のポリヌクレオチドと少なくとも95%同一のポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチドを包含する、単離されたポリヌクレオチド配列。
【請求項2】
請求項1に記載のDNAポリヌクレオチド配列の相補体であるRNAポリヌクレオチド分子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のポリヌクレオチドを包含するベクターまたはプラスミド。
【請求項4】
請求項3に記載のベクターまたはプラスミドを包含する宿主細胞。
【請求項5】
請求項1に記載のヌクレオチド配列から発現されるウイルスであって、生ウイルスであるか、または完全にもしくは部分的に弱毒化されているウイルス。
【請求項6】
請求項5に記載のウイルスを包含するワクチン。
【請求項7】
請求項1に記載のポリヌクレオチド配列を包含するDNAワクチン。
【請求項8】
TTV13(配列番号1)もしくはTTV10(配列番号2)のポリヌクレオチドのオープンリーディングフレームのいずれかによってコードされるポリペプチド、または前記ポリペプチドもしくはその断片と少なくとも90%同一のポリペプチド。
【請求項9】
ttvg1−7(配列番号10)、ttvGT1−17(配列番号11)、ttvGT1−21(配列番号12)、およびttvgt1−27(配列番号13)のポリヌクレオチドのオープンリーディングフレームのいずれかによってコードされるポリペプチド、または前記ポリペプチドもしくはその断片と少なくとも90%同一のポリペプチド。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載のポリペプチドを包含するワクチン。
【請求項11】
(a)TTV13(配列番号1)もしくはTTV10(配列番号2)のカプシドタンパク質の最初の100個のN末端アミノ酸、(b)それと少なくとも90%同一のアミノ酸配列、または(c)そのアルギニンに富んだ領域、を包含するペプチド。
【請求項12】
請求項11に記載のペプチドを包含するワクチン組成物。
【請求項13】
請求項8、9、または11に記載のタンパク質またはペプチドに特異的に結合する、モノクローナル抗体組成物またはポリクローナル抗体組成物。
【請求項14】
ORF1、ORF2、またはORF3からなる群から選択されるオープンリーディングフレームによってコードされる1つまたは複数のポリペプチドを包含するワクチン。

【図7】Chromos発現g1TTV ORF1が、チャレンジ対照と比較して、肺病変を有意に低減させたこと、ならびに、同様にチャレンジ対照と比較して、g1TTVウイルス血症の程度および期間を低減させることを実証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
配列表の簡単な説明
配列番号1は、遺伝子型gt2 TTV10 DNA配列を示す。
【0021】
配列番号2は、遺伝子型2gt2 TTV13 DNA配列を示す。
【0022】
配列番号3は、遺伝子型1 ttvgt1−27 DNA配列を示す。
【0023】
配列番号4は、遺伝子型1 ttvgt1−7 DNA配列を示す。
【0024】
配列番号5は、遺伝子型1 ttvgt1−17 DNA配列を示す。
【0025】
配列番号6は、遺伝子型1 ttvgt1−21 DNA配列を示す。
【0026】
配列番号7は、遺伝子型1 ttvgt1−178 DNA配列を示す。
【0027】
配列番号8は、TTV株AY823991 ORF1のアミノ酸配列を示す。
【0028】
配列番号9は、TTV株ttvgt1−178 ORF1(TTV遺伝子型1)のアミノ酸配列を示す。
【0029】
配列番号10は、TTV株ttvgt1−7 ORF1のアミノ酸配列を示す。
【0030】
配列番号11は、TTV株ttvgt1−17 ORF1のアミノ酸配列を示す。
【0031】
配列番号12は、TTV株ttvgt1−21 ORF1のアミノ酸配列を示す。
【0032】
配列番号13は、TTV株ttvgt1−27 ORF1のアミノ酸配列を示す。
【0033】
配列番号14は、TTV株gt2 TTV10 ORF1(遺伝子型2)のアミノ酸配列を示す。
【0034】
配列番号15は、TTV株gt2 TTV13 ORF1のアミノ酸配列を示す。
【0035】
配列番号16は、既知の株AY823991、遺伝子型2のDNA配列を示す。
【0036】
配列番号17は、既知の株AY823990、遺伝子型1のDNA配列を示す。
【0037】
配列番号18は、pUC57 GenScript(登録商標)ベクター中にクローニングされた、大腸菌(E.coli)についてコドンを最適化された、76057−3 TTVカプシドコード配列を示す。
【0038】
配列番号19は、Invitrogen pET101/D−TOPO(登録商標)発現プラスミド中にクローニングされた、大腸菌(E.coli)についてコドンを最適化された、76057−4 TTVカプシドコード配列を示す。
【0039】
配列番号20は、pUC57 GenScript(登録商標)ベクター中にクローニングされた、サッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)にコドンを最適化された、76057−5 TTVカプシドコード配列を示す。
【0040】
配列番号21は、酵母インベルターゼ発現タグ(YI)を有する、ttvgt1−7 ORF1をコードする構築物についてのDNA配列を示す。
【0041】
配列番号22は、アミド化された形態のC末端のAAと共に用いられる、残基167〜185に対応するORF1カプシドタンパク質から得られるttvgt1ペプチド配列(対応するAY823990配列に基づいた番号付け)を示す。
【0042】
配列番号23は、残基459〜479に対応するORF1カプシドタンパク質から得られるttvgt1ペプチド配列(対応するAY823990配列に基づいた番号付け)を示す。
【0043】
配列番号24は、残基612〜637に対応するORF1カプシドタンパク質から得られるttvgt1ペプチド配列(対応するAY823990配列に基づいた番号付け)を示す。
【0044】
配列番号25は、TTV株AY823990 ORF1のアミノ酸配列を示す。
【0045】
配列番号26〜29は、プライマー配列を定義する。
【0046】
配列についての記載に関連して、当業者であれば、多くのわずかに異なる省略形、例えば、g1TTV、TTVg1、遺伝子型1 TTV、血清型1 TTV、gt1TTVなどが、特定の血清型についてほぼ同じ意味で一般に用いられることが認識されよう。同様の状況が遺伝子型2にも当てはまる。
【0047】
以下の定義および導入事項は、明細書内で適用可能である。
【0048】
「豚(porcine)」および「ブタ(swine)」という用語は、本明細書においてほぼ同じ意味で用いられ、イノシシ科の構成要員である任意の動物、例えば豚(pig)を言う。「哺乳動物」には、ヒトを含む、哺乳綱の任意の温血脊椎動物が含まれる。
【0049】
本発明のための「感染性DNA分子」は、適切な宿主細胞における、機能的ウイルス粒子への、ウイルスの複製、転写、および翻訳に必要なエレメントをコードするDNA分子である。
【0050】
同様に、「単離されたポリヌクレオチド分子」は、存在する場合は、自然に生じる状態からある程度検出可能な程度に精製された、本発明のポリヌクレオチド分子を包含する物質の組成物を言う。
【0051】
本発明の目的では、第2のポリヌクレオチド分子(RNAまたはDNAのいずれか)のヌクレオチド配列は、第1のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列に「相同」であるか、または前記第1のポリヌクレオチド分子に対する「同一性」を有しており、第2のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列は、遺伝暗号の縮重に基づいて、第1のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列と同一のポリアミノ酸をコードするか、または本発明の実施において有用となるように、第1のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列によってコードされるポリアミノ酸に十分に類似したポリアミノ酸をコードする。相同なポリヌクレオチド配列はまた、センス鎖およびアンチセンス鎖のことを言い、全ての場合において、任意のこのような鎖の相補体を言う。本発明の目的では、ポリヌクレオチド分子は、本発明の実施において有用であり、したがって、相同であるかまたは同一性を有しており、これは、例えば標準的なハイブリダイゼーション技術または増幅技術によって、感染した豚の体液試料または組織試料におけるTTVウイルスまたはウイルスポリヌクレオチドの存在を検出するための、診断用プローブとして用いることができる。通常、第2のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列は、それが、BLASTNアルゴリズム(米国国立衛生研究所の、NCBIとしても知られている国立バイオテクノロジー情報センター(Bethesda、Maryland、USA))に基づいて、第1のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列に対して少なくとも約70%のヌクレオチド配列同一性を有する場合、第1のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列に相同である。本発明の実施に従った計算についての具体的な実施例において、BLASTP 2.2.6[Tatusova TAおよびTL Madden、「BLAST 2 sequences− a new tool for comparing protein and nucleotide sequences」(1999)FEMS Microbiol Lett.174:247〜250]が参照される。簡潔に述べると、2つのアミノ酸配列が、ギャップオープニングペナルティー10、ギャップ伸長ペナルティー0.1、ならびに、HenikoffおよびHenikoffの「blosum62」スコアリングマトリクス(Proc.Nat.Acad.Sci.USA 89:10915〜10919.1992)を用いて、アラインメントスコアを最適化するためにアラインされる。次に、同一性パーセントが、同一マッチの総数×100を、長い方の配列の長さ+2つの配列をアラインするために長い方の配列中に導入されたギャップの数で割ったものとして計算される。
【0052】
好ましくは、相同なヌクレオチド配列は、少なくとも約75%のヌクレオチド配列同一性を有し、さらに好ましくは、少なくとも約80%、85%、90%、および95%のヌクレオチド配列同一性を有する。遺伝暗号は縮重するため、相同なヌクレオチド配列は、任意の数の「サイレント」な塩基変化、すなわち、それでもなお同一のアミノ酸をコードする、ヌクレオチド置換を含み得る
【0053】
相同なヌクレオチド配列はさらに、サイレントではない突然変異、すなわち、コードされるポリアミノ酸においてアミノ酸の違いをもたらす、塩基の置換、欠失、または付加を含有し得るが、それは、配列が、第1のヌクレオチド配列によってコードされるポリアミノ酸と少なくとも約70%同一性を維持しているか、または他の形で本発明の実施に有用である場合に限る。これに関して、全体的なタンパク質機能を不活化しないと通常は認識される、特定の保存的なアミノ酸置換がなされてもよく、例えば、正に荷電したアミノ酸(また逆も同様である)である、リジン、アルギニン、およびヒスチジンに関するもの、負に荷電したアミノ酸(またその逆も同様である)である、アスパラギン酸およびグルタミン酸に関するもの、ならびに、中性に荷電したアミノ酸(全ての場合において、ここでも、また逆も同様である)の特定の群である、(1)アラニンおよびセリン、(2)アスパラギン、グルタミン、およびヒスチジン、(3)システインおよびセリン、(4)グリシンおよびプロリン、(5)イソロイシン、ロイシン、およびバリン、(5)メチオニン、ロイシン、およびイソロイシン、(6)フェニルアラニン、メチオニン、ロイシン、およびチロシン、(6)セリンおよびスレオニン、(7)トリプトファンおよびチロシン、(8)そして例えばチロシン、トリプトファン、およびフェニルアラニンに関するものである。
【0054】
相同なヌクレオチド配列は、例えば上記のBLASTNを用いることによる、ヌクレオチド配列の比較によって決定することができる。あるいは、相同なヌクレオチド配列は、選択された条件下でのハイブリダイゼーションによって決定することができる。例えば、第2のポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列は、中程度にストリンジェントな条件下で、例えば、65℃の、0.5MのNaHPO、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mMのEDTAにおける、フィルターに結合したDNAとのハイブリダイゼーション、および42℃の、0.2×SSC/0.1%SDS中での洗浄(Ausubelら編、Protocols in Molecular Biology、Wiley and Sons、1994、pp.6.0.3〜6.4.10を参照されたい)で、または以下に定義されるTTVウイルスをコードする配列のハイブリダイゼーションを他の形でもたらす条件下で、配列番号1の相補体にハイブリダイズする場合、配列番号1(または任意の他の特定のポリヌクレオチド配列)に相同である。ハイブリダイゼーション条件における変更は、経験的に決定することができるか、またはプローブのグアノシン/シトシン(GC)塩基対の長さおよびパーセンテージに基づいて、正確に計算することができる。ハイブリダイゼーション条件は、Sambrookら(編)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor、New York(1989)、pp.9.47〜9.51において記載されている通り計算することができる。
【0055】
別の実施形態において、第2のヌクレオチド配列は、高度にストリンジェントな条件下で、例えば、当技術分野において知られているような、65℃の、0.5MのNaHPO、7%SDS、1mMのEDTAにおける、フィルターに結合したDNAとのハイブリダイゼーション、および68℃の、0.1×SSC/0.1%SDS中での洗浄で、配列番号1の相補体にハイブリダイズする場合、配列番号1(または本発明の任意の他の配列)に相同である。
【0056】
本発明の単離されたポリヌクレオチド分子および単離されたRNA分子に、合成分子と、インビトロでのクローニングおよび転写などの組換え技術を介して得られた分子との両方が含まれることが、さらに理解される。
【0057】
本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチド
本発明の代表的な実施形態には、
(a)-(a)遺伝子型2配列TTV13(配列番号1)のDNA、遺伝子型2配列TTV10(配列番号2)のDNA、またはTTVカプシドタンパク質(Capsid protein)もしくは前記タンパク質の断片をコードする、前記DNAの断片、
(a)-(a)ttvg1−7(配列番号4)、ttvGT1−17(配列番号5)、ttvGT1−21(配列番号6)、ttvgt1−27(配列番号3)、ttvgt1−178(配列番号7)からなる群から選択される遺伝子型1配列のDNA、またはTTVカプシドタンパク質もしくは前記タンパク質の断片をコードする、前記DNAの断片、
(b)(a)における任意の配列の相補体、
(c)65℃の、0.5MのNaHPO、7%SDS、1mMのEDTAにおける、フィルターに結合したDNAとのハイブリダイゼーション、および68℃の、0.1×SSC/0.1%SDS中での洗浄として定義される、ストリンジェントな条件下で、(a)または(b)の配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド、
(d)(a)または(b)のポリヌクレオチドと少なくとも70%同一のポリヌクレオチド、
(e)(a)または(b)のポリヌクレオチドと少なくとも80%同一のポリヌクレオチド、
(f)(a)または(b)のポリヌクレオチドと少なくとも90%同一のポリヌクレオチド、
および
(g)(a)または(b)のポリヌクレオチドと少なくとも95%同一のポリヌクレオチド
からなる群から選択されるポリヌクレオチドを包含する、単離されたポリヌクレオチド配列が含まれる。
【0058】
本発明はまた、遺伝子型2TTV13(配列番号1)もしくは遺伝子型2TTV10(配列番号2)のポリヌクレオチドのオープンリーディングフレームのいずれかによってコードされるポリペプチド、または前記ポリペプチドもしくはその断片と少なくとも90%同一のポリペプチドを提供するものであり、これには、さらなる他の同一のアミノ酸が、保存的な置換によって置き換えられるという選択肢が含まれる。
【0059】
本発明はまた、(全て血清型1の)ttvg1−7(配列番号10)、ttvGT1−17(配列番号11)、ttvGT1−21(配列番号12)、ttvgt1−27(配列番号13)、およびttvgt1−178(配列番号9)のORF1ポリヌクレオチドのオープンリーディングフレームのいずれかによってコードされるポリペプチド、または前記ポリペプチドもしくはその断片と少なくとも90%同一のポリペプチドを提供するものであり、これには、さらなる他の同一のアミノ酸が、保存的な置換によって置き換えられるという選択肢が含まれる。
【0060】
好ましい実施形態において、ポリペプチドはORF1から発現し、好ましい混合物には、ORF1およびORF2、ならびにORF1およびORF3のポリペプチドの組合せが含まれる。
【0061】
さらに好ましい実施形態において、TTVポリペプチドに基づいたワクチンがさらに提供され、前記ワクチンにおいて、抗原は、
(a)TTV13(配列番号1)もしくはTTV10(配列番号2)のORF1カプシドタンパク質の最初の300個のN末端アミノ酸、または(b)それと少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(b)TTV13(配列番号1)もしくはTTV10(配列番号2)のORF1カプシドタンパク質の最初の200個のN末端アミノ酸、または(b)それと少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(c)TTV13(配列番号1)もしくはTTV10(配列番号2)のORF1カプシドタンパク質の最初の100個のN末端アミノ酸、または(b)それと少なくとも90%同一のアミノ酸配列、
(d)(全て血清型1の)ttvg1−7(配列番号10)、ttvGT1−17(配列番号11)、ttvGT1−21(配列番号12)、ttvgt1−27(配列番号13)、およびttvgt1−178(配列番号9)のいずれかのORF1カプシドタンパク質の最初の300個のN末端アミノ酸、またはそれと少なくとも90%同一のポリペプチド、
(e)(全て血清型1の)ttvg1−7(配列番号10)、ttvGT1−17(配列番号11)、ttvGT1−21(配列番号12)、ttvgt1−27(配列番号13)、およびttvgt1−178(配列番号9)のいずれかのORF1カプシドタンパク質の最初の200個のN末端アミノ酸、またはそれと少なくとも90%同一のポリペプチド、
(f)(全て血清型1の)ttvg1−7(配列番号10)、ttvGT1−17(配列番号11)、ttvGT1−21(配列番号12)、ttvgt1−27(配列番号13)、およびttvgt1−178(配列番号9)のいずれかのORF1カプシドタンパク質の最初の100個のN末端アミノ酸、またはそれと少なくとも90%同一のポリペプチド
によって定義される。
【0062】
さらなる遺伝子操作
本発明により提供されるDNA配列およびアミノ酸配列の情報はまた、ウイルス遺伝子およびそれらがコードする遺伝子産物の構造および機能の系統的分析も可能にする。本発明のウイルス遺伝子産物をコードするポリヌクレオチドについての知識もまた、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを認識しそれにハイブリダイズする、アンチセンスポリヌクレオチド、またはその断片を利用可能にする。完全長の、および断片状のアンチセンスポリヌクレオチドが、この態様において有用である。当業者であれば、本発明の断片状のアンチセンス分子に、(i)特定のRNAを特異的に認識しそれにハイブリダイズするもの(本発明のウイルスポリペプチドをコードするDNAの配列比較によって決定される)、および(ii)コードされるタンパク質の変異体をコードするRNAを認識しそれにハイブリダイズするもの、が含まれることが理解されよう。他のTTVペプチドをコードするRNA/DNAにハイブリダイズするアンチセンスポリヌクレオチドもまた、分子群についての特徴的配列または特性配列を同定するための配列比較によって、同定可能である。このような技術(実施例8を参照されたい)はさらに、TTVポリペプチドにおける抗原性ドメインの研究において有用であり、サーコウイルス科(Circoviridae)の、TTV以外の関係の薄い構成要員への宿主動物の感染と区別するためにも用いることができる。
【0063】
実施例4は、本発明の構築物のための、酵母および大腸菌(E.coli)における発現の増強のための、効果的なコドンの最適化に関するガイダンスを提供する。
【0064】
ワクチン製剤
本発明のワクチンは、標準的な緩衝液、安定剤、希釈剤、保存剤、および/または可溶化剤などの、ヒトを含む(適用可能である場合)動物に許容可能な担体を含めるための、一般に認められている常法に従って製剤することができ、また、持続放出を容易にするために製剤することができる。希釈剤には、水、生理食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどが含まれる。等張性のための添加剤には、とりわけ、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースが含まれる。安定剤には、とりわけ、アルブミンが含まれる。修飾生ワクチンの製剤において特に有用なものを含む、他の適切なワクチン賦形剤および添加剤は、当業者に知られているか、または明らかであろう。例えば、参照することにより本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Science、第18版、1990、Mack Publishingを参照されたい。
【0065】
本発明のワクチンはさらに、例えばとりわけアジュバントまたはサイトカインなどの、1つまたは複数のさらなる免疫調節成分を包含し得る。本発明のワクチンにおいて用いることができるアジュバントの非限定的な例には、RIBIアジュバント系(Ribi Inc.、Hamilton、MT)、ミョウバン、水酸化アルミニウムゲルなどの無機物ゲル、水中油型エマルジョン、例えばフロイント完全アジュバントおよび不完全アジュバントなどの油中水型エマルジョン、ブロックコポリマー(CytRx、Atlanta GA)、QS−21(Cambridge Biotech Inc.、Cambridge MA)、SAF−M(Chiron、Emeryville CA)、AMPHIGEN(登録商標)アジュバント、サポニン、Quil A、または他のサポニン画分、モノホスホリル脂質A、イオン性多糖、およびアブリジン脂質アミンアジュバントが含まれる。本発明のワクチンにおいて有用な水中油型エマルジョンの非限定的な例には、修飾SEAM62製剤およびSEAM1/2製剤が含まれる。修飾SEAM62は、5%(v/v)のスクアレン(Sigma)、1%(v/v)のSPAN(登録商標)85洗浄剤(ICI Surfactants)、0.7%(v/v)のTWEEN(登録商標)80洗浄剤(ICI Surfactants)、2.5%(v/v)のエタノール、200μg/mlのQuil A、100μg/mlのコレステロール、および0.5%(v/v)のレシチンを含有する、水中油型エマルジョンである。修飾SEAM1/2は、5%(v/v)のスクアレン、1%(v/v)のSPAN(登録商標)85洗浄剤、0.7%(v/v)Tween 80洗浄剤、2.5%(v/v)のエタノール、100μg/mlのQuil A、および50μg/mlのコレステロールを含有する、水中油型エマルジョンである。ワクチンに含めることのできる、他の免疫調節物質には、例えば、1つまたは複数のインターロイキン、インターフェロン、または他の既知のサイトカインが含まれる。
【0066】
さらなるアジュバント系により、ヘルパーT細胞のエピトープとB細胞のエピトープとの両方の組合せが可能になり、それにより、1つまたは複数のタイプの、共有結合したT−Bエピトープ構造がもたらされ、それは、WO2006/084319、WO2004/014957、およびWO2004/014956において記載されているように、さらに脂質付加され得る。
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、ORFI TTVタンパク質もしくは他のTTVタンパク質、またはその断片は、5%のAMPHIGEN(登録商標)と共に製剤される。
【0068】
本発明のワクチンは、本発明のウイルス、感染性DNA分子、プラスミド、またはウイルスベクターの持続放出のために製剤されていてもよい。このような持続放出製剤の例には、生体適合性ポリマーの複合物、例えばポリ乳酸、乳酸グリコール酸共重合体、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲンなどと組み合わされた、ウイルス、感染性DNA分子、プラスミド、またはウイルスベクターが含まれる。薬剤送達賦形剤における分解性ポリマーの構造、選択、および使用は、参照することにより本明細書に組み込まれる、A.Dombら、1992、Polymers for Advanced Technologies 3:279〜292を含む、いくつかの刊行物において概説されている。医薬品製剤におけるポリマーの選択および使用におけるさらなるガイダンスは、当技術分野において知られている文書において、例えば、参照することにより同様に本明細書に組み込まれる、Drugs and the Pharmaceutical Sciences、Vol.45、M.Dekker、NYにおける、M.ChasinおよびR.Langer(編)、1990、「Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems」において見ることができる。別法として、またはさらに、ウイルス、プラスミド、またはウイルスベクターを、投与および有効性を向上させるために、マイクロカプセル化することができる。抗原をマイクロカプセル化するための方法は、当技術分野において周知であり、例えば、参照することにより全て本明細書に組み込まれる、米国特許第3,137,631号、米国特許第3,959,457号、米国特許第4,205,060号、米国特許第4,606,940号、米国特許第4,744,933号、米国特許第5,132,117号、および国際特許公開WO95/28227において記載されている技術を含む。
【0069】
リポソームもまた、ウイルス、プラスミド、ウイルスタンパク質、またはウイルスベクターの持続放出をもたらすために用いることができる。リポソーム製剤の作製方法および使用方法に関する詳細は、とりわけ、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第4,016,100号、米国特許第4,452,747号、米国特許第4,921,706号、米国特許第4,927,637号、米国特許第4,944,948号、米国特許第5,008,050号、および米国特許第5,009,956号において見ることができる。
【0070】
上記のワクチンのいずれかの効果的な量は、低用量のウイルス、ウイルスタンパク質、プラスミド、またはウイルスベクターから開始し、その後、効果をモニタリングしながら投与量を増大させる、従来の手段によって決定することができる。効果的な量は、ワクチンを単回投与した後、またはワクチンを複数回投与した後に、得ることができる。動物当たりの最適な用量を決定する際、既知の因子を考慮に入れることができる。これらには、動物の種、サイズ、年齢、および全身状態、動物における他の薬剤の存在などが含まれる。実際の投与量は、好ましくは、他の動物研究から得られる結果の考察の後に選択される(例えば、以下の実施例2および3を参照されたい)。
【0071】
適切な免疫応答が達成されているかどうかを検出する1つの方法は、ワクチン接種後の動物におけるセロコンバージョンおよび抗体力価を決定することである。ワクチン接種のタイミング、およびブースター投与がもしある場合、その数は、好ましくは、全ての関連する因子の分析に基づいて医師または獣医師によって決定され、前記因子の一部は、上記に記載している。
【0072】
本発明のウイルス、タンパク質、感染性DNA分子、プラスミド、またはウイルスベクターの効果的な用量は、ワクチン接種される動物の体重などの、当業者によって決定され得る因子を考慮して、既知の技術を用いて決定することができる。本発明のワクチンにおける、本発明のウイルスの用量は、好ましくは、約10から約10pfu(プラーク形成単位)の範囲であり、より好ましくは、約10から約10pfuの範囲であり、最も好ましくは、約10から約10pfuの範囲である。本発明のワクチンにおける、本発明のプラスミドの用量は、好ましくは、約0.1μgから約100mgの範囲であり、より好ましくは、約1μgから約10mgの範囲であり、さらに好ましくは、約10μgから約1mgの範囲である。本発明のワクチンにおける、本発明の感染性DNA分子の用量は、好ましくは、約0.1μgから約100mgの範囲であり、より好ましくは、約1μgから約10mgの範囲であり、さらに好ましくは、約10μgから約1mgの範囲である。本発明のワクチンにおける、本発明のウイルスベクターの用量は、好ましくは、約10pfuから約10pfuの範囲であり、より好ましくは、約10pfuから約10pfuの範囲であり、さらに好ましくは、約10から約10pfuの範囲である。適切な投与量は、約0.5mlから約10mlの範囲であり、さらに好ましくは、約1mlから約5mlの範囲である。
【0073】
本発明の実施に従う、ウイルスタンパク質ワクチンまたはウイルスペプチドワクチンのための適切な用量は、通常は、用量当たり1から50マイクログラムの範囲であるか、または標準的な方法によって決定され得る、それより多い量であり、アジュバントの量はそれぞれのこのような物質に関して認められた方法によって決定される。ブタのワクチンに関連する、本発明の好ましい実施例において、動物についての最適な年齢標的は、約1日から21日であり、これは、離乳前の時点で、マイコプラズマハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)などの他の計画的なワクチン接種にも対応し得る。さらに、雌の種豚のためのワクチン接種の好ましいスケジュールには、年に1回の再ワクチン接種スケジュールでの、同様の用量が含まれる。
【0074】
抗体
本発明によってまた意図されるものは、抗TTV抗体(例えば、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、豚抗体、および本発明のTTVポリペプチドを特異的に認識するCDR配列を含む化合物を含む、CDR移植抗体)である。「特異的な」という用語は、本発明の抗体の可変領域が、TTVポリペプチドのみを認識し、結合する(すなわち、ポリペプチド群において見られる配列の同一性、相同性、または類似性にもかかわらず、関連するポリペプチドから単一のTTVポリペプチドを区別することができる)ことを示し、またこれは、抗体の可変領域の外側の配列、特にAb分子の定常領域における配列との相互作用を介して、他のタンパク質(例えば、黄色ブドウ球菌(S.aureus)のタンパク質A、またはELISA技術における他の抗体)と相互作用することが(場合により)可能である。本発明の抗体の結合特異性を決定するためのスクリーニングアッセイは周知であり、当技術分野において日常的に実施されている。このようなアッセイの包括的な議論については、Harlowら(編)、Antibodies A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY(1988)、Chapter 6を参照されたい。本発明のTTVポリペプチドの断片を認識し、結合する抗体が、上記に定義したように、前記断片が由来する本発明のTTVポリペプチドに対して第一に、かつ最も特異的であるならば、これらの抗体もまた意図される。
【0075】
明確にするために、「抗体」は、特異的抗原に対する免疫応答の結果生じる、前記特異的抗原に結合し得る免疫グロブリン分子を言う。免疫グロブリンは、「定常」領域および「可変」領域を有する、「軽鎖」ポリペプチド鎖および「重鎖」ポリペプチド鎖からなる、血清タンパク質であり、定常領域の組成に基づいて、いくつかのクラス(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM)に分けられる。抗体は、例えば、Fv、Fab’、F(ab’)、などを含む様々な形態で、また、一本鎖で存在し得、1つまたは複数の抗体一本鎖ポリペプチド配列の全てまたは一部を含有する、合成ポリペプチドを含む。
【0076】
診断キット
本発明はまた、診断キットを提供する。キットは、TTVウイルスの野外株に自然に感染した豚動物と、本明細書において記載されるTTVワクチンのいずれかでワクチン接種された豚動物とを区別するために有益であり得る。また、TTVウイルスの野外株に感染している可能性のある動物を、臨床症候が現れる前に検出することができ、群れから排除することができる、またはナイーブなもしくはワクチン接種された動物から分離して置いておくことができるという理由からも、キットは有益であり得る。キットには、特定されたTTVウイルスの特定の成分に対する抗体の存在について、豚動物から得られる試料を分析するための試薬が含まれる。本発明の診断キットには、成分として、野外株には存在するが目的のワクチンには存在しない、またはその逆である、ORF1、2、または3から得られる1つまたは複数のペプチドが含まれ得、このような適切なペプチドドメインの選択は、明細書の実施例1および2において提供される広範なアミノ酸配列決定によって可能となる。当技術分野において知られているように、本発明のキットは、成分として、融合タンパク質を介して提供されるペプチドを代わりに含み得る。本発明のための「融合ペプチド」または「融合タンパク質」という用語は、TTVウイルスタンパク質の少なくとも一部、好ましくはORF1と、異種ペプチドまたはタンパク質とからなる、一本鎖ポリペプチドを意味する。
【実施例】
【0077】
(実施例1)
ブタTTV完全ゲノムのクローニング
A.TTV遺伝子型2
製造者のプロトコルに従って、DNA血液ミニキット(Qiagen)を用いて、豚の血清からDNAを精製した。DNAは、カラムから、50μLのTris−EDTA緩衝液において溶出した。次に、DNAを、ランダムプライムローリングサークル増幅によって増幅した。簡潔に述べると、5μLの精製DNAおよび100ngのランダムヘキサマー(Invitrogen)を、71μlの水に添加し、95℃で3分間にわたり加熱し、氷上で冷却した。次に、1mMのdNTP、100ngのランダムヘキサマー(Invitrogen)、1×phi29ポリメラーゼ緩衝液、および1μLのphi29ポリメラーゼを添加し、反応物を30℃で一晩インキュベートした。
【0078】
全容積の5分の1を、EcoRIで消化し、0.8%Eゲル(Invitrogen)上で電気泳動して、2.7kBの断片の存在を検出した。EcoRI消化された材料を、製造者のプロトコルに従って、Qiagen PCR精製キットを用いて精製し、EcoRIで消化された/シュリンプアルカリホスファターゼ処理された、pGem3zf(+)ベクター(Promega)中にライゲーションした。ライゲーションされたDNAを用いて、化学的にコンピテントな大腸菌(E.coli)DH5αを形質転換した。形質転換された大腸菌(E.coli)を、LB/amp寒天プレート上で選択した。
【0079】
プラスミドDNAを、形質転換したコロニーから単離し、EcoRIで消化して、およそ2.7kBのインサートの存在を確認した。4つのクローン(4、7、10、および13)を選択し、配列決定のためにACGT,Inc.に提出した。配列データのアラインメントは、クローン10および13がTTVの公表されている配列に対する相同性を示し、TTV遺伝子型1よりも遺伝子型2に、より近くアラインされたことを示した。これらのクローンは、それ以降、TTV10およびTTV13と名付けた。
【0080】
PAH TTV遺伝子型2についての配列決定データの分析
公開されているTTV遺伝子型2 AY823991 DNA配列(配列番号16)に対するTTV13(配列番号2)およびTTV10(配列番号1)のヌクレオチドアラインメント
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【0081】
【表1】
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【0082】
TTV13は、これまでに公開されているAY823991の配列と比較すると、92%の同一性を示す。しかし、TTV10は、AY823991またはTTV13のいずれかとの間でわずかに76%の類似性を示し、関連のない遺伝子型であると考えられ得る。
【0083】
AY823991 ORF1(配列番号8)との、TTV10(配列番号14)およびTTV13(配列番号15)についての、PAH TTV遺伝子型ORF1のアミノ酸アラインメント

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【0084】
公開されている配列とのTTV10 TTV13 ORFのアミノ酸アラインメント
【0085】
【表2】
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【0086】
アミノ酸レベルでは、TTV10 ORFは、公開されている配列に対してわずか65%の相同性を示し、TTVの固有の表現型を表し得る。
【0087】
バキュロウイルスの発現のためのTTV遺伝子型2 ORF1のクローニング
上記に得られた配列データに基づいて、Invitrogen Gateway(登録商標)システムを用いて、バキュロウイルスにおける発現のためにTTV10およびTTV13からのORFをクローニングするために、プライマーを設計した。
【0088】
TTV13 ORFについて:Ttv13Rev1211:5’cgt act cga gtc aca gtg ttt tca tcc(配列番号26)、TTV13For1211:5’cta ggt acc atg cct tac aga cgc tat(配列番号27)
【0089】
TTV10 ORFについて:tt10for1207:5’cta ggt acc atg cct ttc cac cgc tat(配列番号28)、およびttvrev1207:cgt act cga gct ata ggg tcc tga at(配列番号29)
【0090】
pGem中にEcoRIをクローニングすると、ORF1のリーディングフレームが中断されるため、pGem内のTTVインサートを、EcoRI消化によって単離し、ゲル精製し、標準的なライゲーション条件を用いて再環状化した。4℃で一晩ライゲーションした後、65℃でリガーゼを不活化し、反応物を、製造者のプロトコルに従って、QuiQuick精製キット(Qiagen)を用いて精製した。
【0091】
TTVORF13を、上記のTTV13フォワードプライマーおよびリバースプライマー(それぞれ0.15μM)、1×Hi Fidelity酵素緩衝液中の0.2mMのdNTPを用いて、再環状化したTTV13ゲノムDNAとExpand Hi−Fidelity(登録商標)酵素(Roche)とを用いてPCR増幅した。PCR条件は、95℃で4分間を1サイクル、94℃で15秒間の変性と、55℃で30秒間のアニーリングと、68℃で1.5分間の伸長とを35サイクル、および72℃で7分間の伸長を1サイクルであった。
【0092】
同様に、TTVORF10を、上記のTTV10フォワードプライマーおよびリバースプライマー(それぞれ0.15μM)、1×Hi Fidelity酵素緩衝液中の0.2mMのdNTPを用いて、再環状化したTTV10ゲノムDNAとExpand Hi−Fidelity(登録商標)酵素(Roche)とを用いてPCR増幅した。PCR条件は、95℃で4分間を1サイクル、94℃で15秒間の変性と、56℃で30秒間のアニーリングと、68℃で1.5分間の伸長とを35サイクル、および72℃で7分間の伸長を1サイクルであった。
【0093】
PCR産物を、製造者のプロトコルに従って、QiaQuick PCR精製キット(Qiagen)を用いて精製した。PCR TTV10Orf1生成物とTTV13Orf1生成物との両方、およびGatewayエントリープラスミドであるpENTR3Cを、Kpnlで消化した。消化されたDNAを、QIAquick PCR増幅キットを用いて精製し、その後、XhoIで消化した。QIAquick精製の後、TTV10 ORF1またはTTV13ORF1のDNAを、標準的なライゲーション手順を用いて、pENTR3C中にライゲーションした。室温で2時間ライゲーションした後、ライゲーションされたDNAを用いて、化学的にコンピテントな大腸菌(E.coli)DH5αを形質転換した。形質転換されたコロニーを、カナマイシンを用いて選択した。形質転換された大腸菌(E.coli)からプラスミドを精製し、ORF1 DNAの挿入を、制限断片分析によって検証した。
【0094】
次に、TTV10 ORF1またはTTV13 ORF1を含有するpENTR3Cプラスミドを、His6×またはGSTタンパク質のN末端からTTV Orf1リーディングフレームまでをコードする、InvitrogenのデスティネーションベクターであるpDEST10またはpDEST20中に挿入した。TTV Orf1のオープンリーディングフレームを含有する組換えpDESTベクターを用いて、DH10Bac大腸菌(E.coli)を形質転換した。組換えバクミドDNAを単離し、標準的なプロトコルに従って、SF9細胞のトランスフェクションに用いた。ネイティブなOrf1を含有する組換えバキュロウイルスを、プラーク精製によって単離した。組換えバキュロウイルスの確認を、PCRを用いて行った。
【0095】
バキュロウイルスの発現のための、ネイティブなTTVOrf1の構築
標準的なPCRを用いて、BamH1制限部位を、TTV10 Orf1における開始コドンから上流に、またはXbaI制限部位を、TTV Orf13における開始コドンから上流に組み込んだ。これらの構築物を、pFastBac導入ベクター中にクローニングし、大腸菌(E.coli)DH10Bacを形質転換するために用いた。得られた組換えバクミドを次に、SF9細胞をトランスフェクトするために用いた。ネイティブなOrf1を含有する組換えバキュロウイルスを、プラーク精製によって単離した。組換えバキュロウイルスの確認を、PCRを用いて行った。
【0096】
大腸菌(E.coli)の発現のためのTTV遺伝子型2 ORF1のクローニング
細菌系におけるGST融合タンパク質の発現のために、完全長TTVOrf10もまた、PGex−6p−1ベクター中にクローニングした。TTV ORFは、アルギニンに富んだアミノ末端を含有する。タンパク質産生が細菌発現系において増大し得たかどうかを判定するために、アルギニンに富んだセグメントを、Orf1のオープンリーディングフレームのヌクレオチド368に位置し、pGex−6p−1のGSTコード領域とインフレームの、都合の良い制限部位(EcoR1)で、TTVOrf13から除去した。このクローンにより、高度にアルギニンに富んだセグメントを含有する、アミノ末端の100個のアミノ酸が除去された。
【0097】
B.TTV遺伝子型1
豚の骨髄から得られる細胞DNA全体を、増幅反応の有効性を向上させるために一本鎖結合タンパク質を添加したことを除いて、上記の手順に従って、ローリングサークル増幅によって増幅した。増幅産物は、EcoR1での消化、QIAquick PCR増幅キット(Qiagen)を用いた精製、およびシュリンプアルカリホスファターゼで事前に処理されたpGem3zf(+)ベクター中へのライゲーションであった。推定TTVゲノムDNAを含有する組換えベクターを、EcoR1および/またはBamH1での制限消化に基づいて選択した。およそ2.7kBのインサートを含有するプラスミドを精製し、ORF1配列の配列決定のためにACGT,Inc.に提出して、遺伝子型を確認した。完全なゲノム、すなわち、高度にG/Cに富んだ領域を含有する領域は、完全には配列決定されなかった。
【0098】
PAH TTV遺伝子型1のための配列決定データの分析
PAH TTV7(配列番号4)、TTV17(配列番号5)、TTV21(配列番号6)、およびTTV27(配列番号3)と、公開されている配列であるAY823990(配列番号17)とのヌクレオチドアラインメント。
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【0099】
PAH TTV配列と公開されている配列の間のヌクレオチド同一性
【0100】
【表3】
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TTVgt1−27は、公開されている配列であるAY823990との最大の相同性を示し、91%の同一性を示す。TTVgt1−7、17、および21は、85〜87%の同一性を示す。TTVgt1−7およびTTVgt1−21は、99%のヌクレオチド同一性を共有する。
【0101】
Orf1アミノ酸のアラインメント
以下に、公開されているAY823990配列(配列番号25)と、TTV7(配列番号10)、TTV17(配列番号11)、TTV21(配列番号12)、およびTTV27(配列番号13)についての対応するアミノ酸配列との比較を提供する。
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【0102】
【表4】
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【0103】
タンパク質の疎水性プロットは、親水性の5つの領域を示し、これは、潜在的に抗原性である、表面が露出した領域を示し得る。これらの領域の2つは、アミノ末端およびカルボキシ末端にあり、また、アルギニンに富んでおり、かつ高度に保存されている。アミノ酸190とアミノ酸232との間の、高度に保存された親水性領域が観察され、これは、抗原性部位として作用し得る可能性がある。アミノ酸295とアミノ酸316との間の、およびアミノ酸415とアミノ酸470との間の、残りの親水性領域もまた、抗原性である。
【0104】
さらに、ORF1についての推定開始コドンおよびコード領域が、ttvgt1−27 ヌクレオチド517〜2435、ttvg1−7 ヌクレオチド517〜2435、ttvgt1−17 ヌクレオチド517〜2436、ttvgt1−21 ヌクレオチド517〜2439、ttv10 ヌクレオチド487〜2346、およびttv13 ヌクレオチド477〜2363であることが決定されている。ORF2についての推定開始コドンおよびコード領域は、ttvgt1−27 ヌクレオチド428〜646、ttvg1−7 ヌクレオチド428〜643、ttvgt1−17 ヌクレオチド428〜643、ttvgt1−21 ヌクレオチド428〜646、ttv10 ヌクレオチド404〜610、およびttv13 ヌクレオチド394〜597である。
【0105】
組換えバキュロウイルスを用いた、TTV ORF1タンパク質の発現
次に、昆虫細胞および組換えバキュロウイルスを用いて遺伝子型2TTV ORF1タンパク質を発現させるために、一連の実験に着手した。タンパク質発現の最適化を、3つの細胞系(SF9、SF21、およびHi Five)、複数の媒質構成(ExCell 420、SF900 III SFM、Express Five SFM)、様々な細胞密度(5e5、1e6、2e6、および4e6細胞/ml)、ならびに様々な感染多重度(0.005、0.1、0.5、2.0)を用いて行い、得られた培養物を、感染後7日間にわたり、毎日モニタリングした。
【0106】
細胞の密度および生存能力について経過をモニタリングし、細胞のサイズおよびウイルス力価のモニタリングによって、感染をモニタリングした。タンパク質発現を、SDS−PAGE、クマシーゲル分析、およびウェスタンブロッティングによってモニタリングした。適切な対照を確実にするため、陰性対照および陽性対照を、全ての実験の間にわたり維持した。全ての実験により、標的タンパク質の発現を確認することができたが、最適な条件は、2×10細胞/mlの細胞密度および0.1のMOIで、ExCell 420媒質(Sigma、SAFC)中で維持されたSF9細胞を用い、プロセスを3日間の感染の後に終わらせたときに見られた。組換え発現したタンパク質のいくつかは、得られた上清中に存在するが、ほとんどは、細胞ペレット中に位置していた可能性がある。
【0107】
ウェスタンブロッティング(GSTタグ)を用いたタンパク質発現の確認
Invitrogenデスティネーションベクター(pDEST10)は、GSTタンパク質のN末端からTTV Orf1リーディングフレームまでを含有していたため、結果として得られる、およそ95kDのGST−ORF1融合タンパク質が生成し、これは、市販されているウサギ抗GST(CALBIOCHEM)抗体を用いて検出された。95kDの融合タンパク質のうち、およそ68kDはORF1であると考えられ、25kDはGSTタンパク質であると考えられる。市販されている抗体は、TTV ORF1タンパク質の標準化された検出には利用不可能であり、抗GST抗体の使用が必要となった。
【0108】
ウサギ抗TTV ORF1抗体の生産
既知のTTV試薬が最初は使用不可能であったため、抗TTV ORF1抗体を生産するための試みに着手した。TTV ORF1組換えタンパク質を調製するための、最適化された発現プロトコルに従って、市販されているBaculogold GST精製キットを用いて、得られた材料をさらに精製した。次に、精製されたTTV10およびTTV13 ORF1タンパク質を用いてウサギを超免疫化し、それによって、その後、ORF1組換えタンパク質に対する抗体を産生させた。
【0109】
タンパク質の検出に関して、図1Aの試料レーンは以下の通りであった(右から左)。
【0110】
【表5】
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【0111】
レーン2、4、および6は、後にウサギの免疫化に用いられる、精製された95kDのTTV13 ORF1融合タンパク質を示し、図1Aを参照されたい。
【0112】
ウサギ抗ORF1タンパク質を用いた、ネイティブなTTV ORF1の検出
さらなる発現実験を、ネイティブなTTV ORF1組換えバキュロウイルスを用いて行った。この組換えバキュロウイルスは、6×HisタグまたはGST融合タグを用いることなく構築し、したがって、特異的な抗TTV ORF1抗体を必要とする。したがって、ネイティブなタンパク質の発現を確認するため、および試薬の反応性を確認するために、発現後のウェスタンブロット分析を、ウサギ抗TTV ORF1抗体を用いて行った。ウェスタンブロット分析は、ほぼTTV ORF1の予測されたサイズである、およそ69kDでのかすかな反応、およびおよそ49kDでのさらなるバンドに対する反応を示した(図1Bを参照されたい)。49kDのタンパク質バンドは知られていない。69kDでのかすかなバンド発生は、ネイティブなTTV ORF1構築物におけるタンパク質発現が低いこと、またはウサギの免疫化から得られる抗体が少ないことのいずれかに関連すると仮定される。この特定の分析において、抗原または抗体の精製が行われなかったことに注意されたい。レーン5(図1Bにおける矢印を参照されたい)は、抗TTV ORF1ウサギポリクローナル抗体を用いた、ネイティブなTTV ORF1の発現における、約69kDおよび49kDのタンパク質に対する固有の反応を示す。
【0113】
したがって、抗原としてのカプシドタンパク質に対する抗体の結合が示され、ここで、抗原は、TTV配列のみを提供し、タグ付けはされていなかった。
【0114】
図6Bの試料レーンは以下の通りであった(右から左)。
【0115】
【表6】
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【0116】
(実施例2)
戻し継代(backpassaging)
肝臓を、帝王切開で産まれた初乳無摂取(CDCD)豚から、無菌状態で回収した。肝組織を、固有のqPCRアッセイにおいてg1TTVおよびg2TTVについて試験し、g1TTVのみについて陽性であることを確認した。次に、10%(wt/vol)の肝臓ホモジネートを、抗生物質および抗真菌剤を含有する媒質において調製した。最後に、ホモジネートを、遠心分離によって澄明化し、g1TTVp0と称し、−70℃で凍結した。得られたg1TTVホモジネートを、通常の試験によって、外来ウイルス、細菌、およびマイコプラズマが存在しないように試験した。十分な試験の後、2ミリリットルの新たに解凍されたg1TTVp0を、6頭の11日齢のノトバイオートの子豚のそれぞれにIP接種した。接種後およそ12日目に、豚を安楽死させ、骨髄、脾臓、および肝臓を無菌状態で回収した。得られた肝臓のそれぞれを、qPCRによって、g1TTVに富んでいること、およびg2TTVについて陰性であることを確認した。次に、肝臓ホモジネートを、上記の得られた肝臓のそれぞれから調製し、標識し、g1TTVp1としてアリコート化し、−70℃に置いた。さらなる2継代目(g1TTVp2)を、g1TTVp1から生じさせた。
【0117】
(実施例3)
若豚における3つのトルクテノウイルス(TTV)ワクチンの有効性の評価
本研究は、約7日齢で、また再び離乳時(約21日齢)に投与し、その後約5週齢でチャレンジを行った、3つのTTVワクチン候補の有効性を評価するために行われた。
【0118】
この研究は、TTVの製剤を筋肉内注入された豚における、予備的な免疫原性の評価を提供した。先に述べたように、TTVは、負極性の一本鎖環状DNAゲノムを有する、小さな、エンベロープを有さないウイルスである。ゲノムには、非翻訳領域および少なくとも3つの主要なオーバーラップするオープンリーディングフレームが含まれる。豚TTVは遍在的であり、様々な地理的領域から回収される血清試料におけるウイルスのPCR検出は、33〜100%の豚における有病率を示す。McKeownら、Vet.Microbiol.(2004)104:113〜117。Krakowkaら、AJVR(2008)69:1623〜1629は、g1−TTVを接種された豚が、臨床兆候は有さなかったが、接種後に、間質性肺炎、一過性の胸腺委縮、膜性子宮体腎症、および肝臓におけるリンパ球性から組織球性の軽度の浸潤を発症したことを報告した。本研究は、TTVワクチンの3つの異なる製剤の比較を提供し、これらの試作製剤のいずれかが、チャレンジ対照群と比較したときに、数値的にまたは統計的に区別され得るかどうかを評価した。
【0119】
材料および方法
動物:6頭の、臨床的に健康な、異種交配で妊娠した、PRRSVまたはマイコプラズマハイオニューモニエ(M hyo)により生じる疾患(または同一の生物に対するワクチン接種)の経験がない、PRRSVおよびマイコプラズマハイオニューモニエ(M hyo)に血清反応陰性のメスが、Lincoln Trail/Puregenic Pork、Alton、ILから供給され、出産のおよそ3週間前に、Pfizer Animal Health Research Farm in Richland、MIに送られた。必要であれば、雌豚を、注入可能なプロスタグランジン(Lutalyse(登録商標))を用いて、2日間または3日間以内に出産するように誘導した。これらの雌豚から産まれた正常な子豚を、割り当ての設計に従って、研究に割り当てた。豚を、同腹子ごとに処理に対してランダム化し、各同腹子は、各処理に割り当てられた少なくとも1頭の子豚を有していた。
【0120】
飼育:ワクチン接種段階の間、豚を、BL−2分離設備内で、交叉哺育を行うことなく、それらの母親と共に飼育した。豚は、二次ワクチン接種のときまで、同腹子ごとに飼育したままとした。二次ワクチン接種後の豚を、さらなる施設に移し、2つの部屋で飼育し(1つの部屋はNTX(ワクチン接種されておらず、かつ、チャレンジもされていない対照)動物を含有し、第2の部屋はワクチン接種動物を含有する)、各部屋は、檻当たり4から8頭の豚を含有する。
【0121】
飼料:出産の後、雌豚には、必要に応じて、泌乳中の雌豚のための餌を与えた。子豚には、離乳の前には、餌付け飼料および代用乳を摂取させた。離乳すると、子豚には、選択が自由な、年齢に適した餌を与えた。水は、全ての動物に対して自由に摂取可能であった。
【0122】
割り当て/ランダム化:豚を、同腹子ごとに、処理に対してランダム化した。各同腹子は、各処理に割り当てられた少なくとも1頭の子豚を有していた。
【0123】
研究設計
【0124】
【表7】
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【0125】
マスキング:ワクチンは、ワクチン接種の前に数値コードを用いてマスキングした。調査員、ワクチン投与者、および研究員は、処理についてマスキングされており、動物の福祉のために処理情報が必要とされない限り、マスキングコードを知る機会を有さなかった。
【0126】
動物用治験薬
【0127】
【表8】
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【0128】
チャレンジ材料の調製:g1TTV継代1を、qPCRによって、g1TTVについて陽性であり(7.6×10e8から1.6×10e9個のDNAコピー/2mL)、g2TTVについて陰性である、試験した肝臓ホモジネートから誘導した。適切な数のボトルを冷凍室から取り出し、チャレンジの直前に解凍した。次に、アリコートをボトルの1つから取り出し、その後の再滴定のために保持した。チャレンジストックを氷上に載せて調査設備まで移し、チャレンジ手順の間、氷上に維持した。チャレンジ用量は、2.0mLのストック溶液(2.0mL、腹腔内)に等しい。したがって、各豚に送達された用量は、7.6×10e8から1.6×10e9個のDNAコピー/2mLであると予想される。チャレンジの後、チャレンジストックのアリコートを、チャレンジ用量を確認するための滴定のために保った。
【0129】
全身的な健康の所見:動物は、有資格者によって毎日観察され、全身的な健康の所見が記録された。
【0130】
体重:全ての豚は、0日目、チャレンジ日(28日目)、および剖検時に体重測定した。全ての体重を記録した。
【0131】
ワクチン接種:およそ7日齢(0日目)で、処理群(T01からT04群)当たりおよそ10頭のランダムに割り当てられた豚を、表1において記載したようにワクチン接種した。豚の右頸部に、割り当てに従って、単回用量シリンジ分(2.0mLの筋肉内(IM)用量)のIVP、または2mLのIM用量の対照を注入した。同一のIVPまたは対照の二次用量を、離乳時(およそ21日齢)に左頸部に投与した。
【0132】
血液試料採取:0日目、14日目(ワクチン接種の前)、およびチャレンジ前の28日目(同様に、31日目、34日目、37日目、および40日目)の前に、g1TTVの状態のために、血液試料を、5mLまたは9mLの血清分離管(体重に依存する)を用いて、全ての豚から回収した(qPCR−Pfizer−VMRD Laboratory Sciences)。血清試料は、現場職員が少なくとも3つの個別の試験管にアリコート化し、−80℃で保存した。
【0133】
【表9】
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【0134】
チャレンジ:およそ5週齢で、子豚に、割り当てに従って、2.0mL(IPまたはIN)の用量のTTV単離株を接種した。チャレンジ材料を、マスキングの目的で、処理コードによって特定される設備に輸送した。
【0135】
チャレンジ後の直腸温度を、チャレンジ前の28日目、ならびに31日目、34日目、37日目、および40日目に、1日1回記録した。
【0136】
剖検:40日目に、全ての動物を安楽死させ、剖検した。剖検の際に、肺病変を、以下の方法を用いてスコア付けした:1)数値スコア(0、1、2、3)、ならびに2)各肺葉(左肺上葉、左肺中葉、左肺下葉、右肺上葉、右肺中葉、右肺下葉、および副葉)についての硬化のパーセンテージをスコア付けし、病変を伴って観察された肺葉のパーセンテージとして記録した。肝臓、腎臓、胸腺、およびリンパ節もまたスコア付けした。血液試料もまた、安楽死の前に採取した。組織を、以下の表において示すように回収した。
【0137】
【表10】
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【0138】
安全性および/または有効性の評価に関して、交絡する二次的な疾患状態は検出されなかった。動物は、プロトコルに従ってワクチン接種およびチャレンジを行った。予後の基準に関して、肉眼による病変または顕微鏡による病変の減少、qPCRによるウイルス血症の減少、および熱、体重減少、または死亡の発生の減少のいずれかまたは全てにおける低減を用いた。両側検定。
【0139】
分析の方法
剖検の際、肺病変を、以下の方法を用いてスコア付けした:1)数値スコア(0=病変なし、1=軽度の病変、2=中度の病変、3=重度の病変)、ならびに2)各肺葉(左肺上葉、左肺中葉、左肺下葉、右肺上葉、右肺中葉、右肺下葉、および副葉)についての硬化のパーセンテージをスコア付けし、病変を伴って観察された肺葉のパーセンテージとして記録した。
【0140】
病変を有する肺全体のパーセンテージを、固定効果、処理、および変量効果の同腹子を有する一般線形混合モデルを用いて、変換および分析した。パラメータ推定値の線形結合を、有意な(P≦0.10)処理効果について試験した後に先験的対比(priori contrast)において用いた。10%レベルの有意性(P≦0.10)を用いて、統計的な差を評価した。
【0141】
qPCRデータは、分析の前に、適切なlog変換を用いて変換される。変換された力価は、一般線形反復測定混合モデル分析を用いて分析される。処理または時点相互作用効果による処理が有意である場合(P≦0.10)、一対処理比較を、各時点で行う。各時点について、処理の最小二乗平均、90%信頼区間、極小および極大を計算し、逆変換する。記述統計学、平均、標準偏差、および範囲を、チャレンジ前の各処理および研究日について計算する。
【0142】
研究結果および考察
肺の病変
観察される肺病変の全体的なパーセンテージは、全ての処理群を通して低かったが、有意な差が見られた。T01(Chromos発現g1TTV ORF1)は、T02(バキュロウイルス発現g2TTV ORF1)およびT04(チャレンジ対照)の両方と比較して、有意に少ない肺病変を生じた。チャレンジウイルスは感染性g1TTVからなるものであったため、バキュロウイルスから得られる遺伝子型2ORF1がもたらした肺病変が、チャレンジ対照と比較して極めて少なかったわけではないことは、驚くべきことではないかもしれない。しかし、興味深いことに、それは、十分ではないものの、チャレンジ対照と比較して数値的に低い肺病変スコアをもたらし、それは、用量およびアジュバントの選択の最適化の際に、ある程度のレベルの交差防御が、異なるTTV遺伝子型の間で可能であることを示す。不活化チャレンジウイルス(T03、g1TTVp1死滅ウイルス)が生g1TTVチャレンジウイルスに対する交差防御をもたらさないことは驚くべきことであり、これは、T03とT04との間で統計的な差が全くないことにより証明された。交差防御のこの驚くべき喪失はさらに、g1TTV ORF1(T01 Chromos)などの本発明の新規なワクチンの獣医学的重要性を増すものである。
【0143】
【表11】
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【0144】
【表12】
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【0145】
g1TTV qPCR
TTV qPCRウイルス血症データの分析(図7)により、T01(Chromos g1TTV ORF1)が、T04(チャレンジ対照)と比較して、数値的に低いTTV qPCR値を有することが明らかにされる。ウイルス血症の程度および期間の減少が見られ、これは、肺病変の低減と共に、有効性の指標である。さらに、T02(バキュロウイルスg2TTV ORF1)は、T04(チャレンジ対照)と比較して、ウイルス血症の程度および期間の数値的低減を示すが、それは短い期間である。このことは、数値的に低い肺病変と組み合わせて、いくつかの遺伝子型の交差防御(g2TTV ORF1ワクチン対g1TTV チャレンジウイルス)が観察されたことを示す。最適化された用量およびアジュバントを用いて、広範な遺伝子型の交差防御が実現可能であることが示唆され得る。興味深いことに、(T03)g1TTVp1 KVは、チャレンジ対照と比較して、TTV qPCRウイルス血症における低減をもたらさない。この所見は、肺病変データと併せて、組換え発現したg1TTV ORF1(T01)がワクチンとしての有効性をもたらすという新規な発見を、さらに例証するものである。
【0146】
(実施例4)
6Hisタグを有する完全長タンパク質としてのg1TTV ORF1の、コドンの最適化および組換え発現、ならびに抗体によるその検出。
大腸菌(E.coli)およびサッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の両方についてのコドンの最適化および遺伝子合成のために、TTVg1ヌクレオチド配列を、GenScript(Piscataway、New Jersey、USA)に提出した。両方のケースにおいて、コドンを最適化された遺伝子を、製品としてのGenScript pUC57ベクター中にクローニングした。GenScript OptimumGene(商標)コドン最適化分析は、コドンの使用の偏り、GC含有量、CpGジヌクレオチド含有量、mRNAの二次構造、可能性のある潜在的スプライシング部位の同定、早期のポリA部位の存在、内部のchi部位およびリボソーム結合部位、陰性CpGアイランド、RNA不安定モチーフ(ARE)、阻害部位(INS)、様々な種類の反復配列(直接反復配列、逆反復配列、および二分染色体を含む)、ならびにクローニングに干渉し得る制限部位を含む、多くのパラメータの分析を伴う。翻訳の性能もまた、翻訳開始Kozak配列、Shine−Dalgarno配列によって向上し得、またその結果、停止コドンによる翻訳の終結の有効性が増大する。
【0147】
配列番号18〜20は、大腸菌(Escherichia coli)(配列番号18〜19)およびサッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(配列番号20)の両方についてコドンを最適化された、TTVカプシド遺伝子を提供する。大腸菌(E.coli)の配列は非常に類似しているが、市販されているpET101/D−TOPO発現ベクター(Invitrogen)中に遺伝子をクローニングして76057−4(配列番号19)を生じさせるためには、さらなるCAヌクレオチドがN末端に付加されなくてはならない。pET101/D−TOPO発現ベクターはまた、精製のために、C末端のV5タグおよび6×Hisを有しているが、76057−3(配列番号18)および76057−4についての配列は、それ以外は同一である。発現した、コドンを最適化されたTTVg1タンパク質は、63kDのタンパク質に対して、アミノ末端に10アミノ酸防御ペプチド、ならびにカルボキシ末端にV5エピトープおよび6×Hisタグに対応する32個のアミノ酸が付加されていることにより、およそ68kDのサイズである(図2)。
【0148】
76057−5についての配列(配列番号20)は、サッカロマイセスセレビシエ(S.cerevisiae)についてコドンを最適化されており、したがって、これは、大腸菌(E.coli)の配列とわずかに異なる。さらに、この配列は、N末端の10個のアミノ酸からなる防御ペプチドを欠いており(これは大腸菌(E.coli)配列には付加されていた)、これはまた、酵母ベクター中への遺伝子のサブクローニングのために、N末端にフランキング制限エンドヌクレアーゼ部位であるNotIを、C末端にAatIIを有している。
【0149】
さらに、10アミノ酸防御ペプチドは、アミノ末端に融合されるとタンパク質の安定性を増大させることが示されているため、前記ペプチドが、大腸菌(E.coli)の発現のために、TTVg1配列のN末端に付加されたことに注意されたい。制限部位は、完全長タンパク質の評価のためにペプチドを取り出すことができるように、遺伝子操作されている。コドンを最適化されたTTVg1の発現を、防御ペプチドのN末端の融合を有するおよび有さない、pET101/D−TOPOベクターにおいて評価した。サッカロマイセスセレビシエ(S.cerevisiae)についてコドンを最適化されたTTVg1配列も、インビボでの抗体応答を引き起こすために用いられ得る、酵母において表面発現タンパク質を産生する可能性を有するpESC−Trpベクター中にサブクローニングした。
【0150】
(実施例5)
TTVペプチドの結合および抗体生産(ポリクローナルおよびモノクローナル)
ウサギポリクローナル抗体を、実施例2において調製した、バキュロウイルス発現g2TTV GST−ORF1タンパク質に対して作製した。2頭のウサギを超免疫化したが、1頭のウサギのみが応答した。ウサギ抗血清は、ブタにおいて増殖させたg1TTV全ウイルスの様々な調製物に対して交差反応し、また、免疫化抗原である、バキュロウイルス発現g2TTV ORF1に対しても反応する。しかし、ウサギ抗体は、実施例2において記載した、アミノ末端から取り出された100アミノ酸N末端アルギニンリッチ領域を有する、大腸菌(E.coli)発現g2TTV ORF1に対して応答しなかった。これは、主要抗原エピトープが、切断されたg2TTV ORF1においては存在しない、100アミノ酸領域内にあり得ること、およびこの領域において、g1TTVとg2TTVとの間に相同性があることを示唆し得る。
【0151】
モノクローナル抗体は、完全長g1TTV ORF1、または他のg1TTV抗原に対して生成することができる。他の可能性のある免疫化抗原には、g1TTV全ウイルス、g2TTV GST−ORF1(バキュロウイルス)、g1TTV GST切断ORF1(大腸菌(E.coli))、およびg2TTV GST切断ORF1(大腸菌(E.coli))が含まれる。ペプチドライブラリーを、抗原性の線状エピトープを同定するために生成することができる。例えば、10アミノ酸のオーバーラップを有する18merのペプチドを用いて、TTVゲノムをカバーすることができる。そして、ペプチドは、g1TTV ORF1またはg2TTV ORF1モノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体に対するそれらの全体的な反応性を決定するために、ウェスタンブロットまたはELISAにおいて用いることができ、それにより、免疫原性ドメインをさらに同定することができる。
【0152】
ウサギポリクローナル抗体もまた、KLHに架橋した3つのg1TTV ORF1ペプチドに対して作製することができ、その後、ペプチド−オボアルブミン結合体を用いてスクリーニングすることができる。ペプチド−KLH結合体もまた、モノクローナル抗体を産生するために用いることができる。この点において、1つの実施形態において、異なる株に由来するものを含む、g1TTV ORF1ペプチドの複数のコピーが、共に結合し得る。
【0153】
特定の実施例において、ペプチドが生成されると(CPC Scientific)、これらは次にKLHまたはオボアルブミン(Proteos Coによる)に結合する。KLHに結合したペプチドは、ウサギの免疫化に用いたが、一方、オボアルブミンに結合したペプチドは、血清をスクリーニングするために用いる(すなわち、キャリアータンパク質ではなく、ペプチドに対する抗体を検出するため)。
【0154】
(実施例6)
ポリクローナル抗体の生成のためのペプチド配列
以下のペプチド配列を、ポリクローナル抗体の生成のために、TTVg1(AY823990に基づく番号付け)から選択し、それぞれ配列番号22〜24と表す。
1.[L167C]TTV(167〜185)−NH:CKDQDYWFWWDTDFKELYA−NH(19aa、pI 4)
2.TTV(459〜479):DFGHHSRFGPFCVKNEPLEFQ(21aa、pI 6.9)
3.[Cys612]−TTV(612〜637):CTWKRLRRMVREQLDRRMDHKRQRLH(26aa、pI 13)
【0155】
3つのペプチドのそれぞれは、キャリアータンパク質への選択的なペプチド結合を可能にするための、配列中に存在する単一のシステイン残基を有する。[L167C]TTV(167〜185)−NHおよび[Cys612]−TTV(612〜637)において、追加のシステイン残基をN末端に付加したが、一方、TTV(459〜479)においては、470位に存在する天然のcysがある。さらに、[L167C]TTV(167〜185)−NHは、アミド化されたC末端を有し、酸性度の低いペプチドをもたらす。ペプチドは、様々なTTV単離株についての配列同一性に基づいて選択した。さらに、C末端断片[Cys612]−TTV(612〜637)は、表面露出していると考えられる。ペプチドは、CPC Scientificでの固相ペプチド合成による注文生産であり、95%を超える純度で得られた。
【0156】
(実施例7)
Chromos系を用いた、TTVg1ORF1タンパク質の発現
Chromos ACE系は、3つの主要な成分からなるタンパク質発現プラットフォームである。第1の成分は、Platform ACEと呼ばれる、中性の、機能的な哺乳動物人工染色体であり、これは、修飾されたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系の遺伝物質中に存在する。第2の成分は、ACE標的化ベクターであり、これは、Platform ACE上に標的遺伝子をロードするために用いられるプラスミドである。第3の要素は、部位特異的な、一方向のインテグラーゼであり、これは、Platform ACE上への標的遺伝子の直接的なおよび特異的なロードを触媒する。ACE系に関するさらなる情報は、カナダのChromos Molecular Systems,Inc.のウェブサイトで知ることができるか、または604−415−7100で当該企業に直接連絡することによって知ることができ、ここで、技術のライセンスが入手可能である。
【0157】
Chromos ACE系は、従来のタンパク質生産プラットフォームを上回る、多くの顕著な利点を有する。その第1は、速度である。Chromos ACE系は、選択された遺伝子の、迅速な、効率的な、かつ再現可能な挿入を可能にする。第2の利点は、発現である。高レベルのタンパク質が達成可能であり、長時間、構成的に発現される。第3の利点は、安定性である。Chromos ACE系は、選択的な制御されたタンパク質発現を可能にする。簡潔に述べると、PCRを用いて、TTV7 ORF1 g1 DNAの両端に制限部位を付加した。さらに、酵母インベルターゼの配列を、別のPCR調製物の5’末端に付加した。次に、増幅配列を制限酵素で処理し、プラスミドpCTV927中にサブクローニングした。DNA配列は、ACTG Inc.によって検証された。次に、CHk2(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を、リポフェクタミン2000(Invitrogen)を用いて、プラスミドでトランスフェクトし、ハイグロマイシンBを用いて、選択圧を加えた。10個の単一細胞クローンを、SDS PAGEおよびウェスタンブロッティングを用いて、TTVタンパク質の産生について分析した。
【0158】
より具体的には、ACE標的化ベクターpCTV−TTV7ORF1+YIを、以下のようにして生成した(図3を参照されたい)。遺伝子TTV7ORF1を、PCR産物として得た。プライマーを、酵母インベルターゼ分泌シグナル、および遺伝子の5’末端の制限部位EcoRVを含有するように設計した。第2のプライマーを、遺伝子の3’末端の制限部位Kpnlを含有するように設計した。これらの配列を、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて、遺伝子TTV7ORF1に付加した。次に、修飾された遺伝子を、ACE標的化ベクターATVCHS4Hyg中にサブクローニングし、このベクターは、下流の抗生物質選択に適したハイグロマイシン耐性マーカーを含有していた。新たなプラスミドを、pCTV−TTV7ORF1+YIと名付けた。
【0159】
TTV7ORF1/酵母インベルターゼおよび一方向のラムダインテグラーゼをそれぞれコードする、プラスミドpCTV−TTV7ORF1+YIおよびpSIO343を、Platform ACEを含有するChk2細胞系中にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞は、Chk2−TTV7ORF1+YIと名付けた。これらの細胞を、96ウェルプレート中に播種し、単一細胞クローンの形成についてモニタリングした。ハイグロマイシンを含有する媒質を各96ウェルプレートに添加し、ACE標的化ベクターを含有する細胞クローンを選択した。単一細胞クローンを同定すると、そのうちの12個を24ウェルプレート中に拡大増殖させ、次に6ウェルプレートに広げた。最後に、クローンを、懸濁細胞培養物中に拡大増殖させた。培養物Chk2−TTV7ORF1+YI #75を用いて、その後の実験用ワクチンの調製のために、細胞を有さない上清を生成した。
【0160】
図7は、Chromos発現g1TTV ORF1が、チャレンジ対照と比較して、肺病変を有意に低減させたこと、ならびに、同様にチャレンジ対照と比較して、g1TTVウイルス血症の数値的程度および期間を低減させたことを示す。ワクチン接種は、0日目および14日目であり、チャレンジは28日目であった。検出されたg1TTVコピーの幾何平均は、指数関数的であると報告され、すなわち、1.00E+00は1であり、4.25E+00は4.25であり、4.42E+01は44.2であると報告された。
【0161】
(実施例8)
核局在シグナル
図4および5は、本発明の5つのTTV gt1ウイルスおよび本発明の2つのTTV gt2(またはgt2様)ウイルスからのORF1(カプシドタンパク質)のアミノ酸アラインメントの7つの方法を提供する。gt1カプシドは、gt2カプシドに約22.3から23.2%しか同一ではないため、当然のことながら、多くのギャップおよびミスマッチが存在する。しかし、5つのgt1カプシドは、互いに85.6から99.7%同一である。2つのgt2カプシド(TTV10およびTTV13)は、同様に66.8%同一である。
【0162】
2つの既知のタイプのNLSシグナル(Pat7およびPat4、例えば米国特許第7,544,362号を参照されたい)を、検査によって同定した。図5において、NLSシグナルに下線が引かれている。全ての7個のカプシドが、pat7タイプおよびpat4タイプの両方の、複数のNLSを含有することに注意されたい。遺伝子型間で保存されているものもあり、遺伝子型内で保存されているものもあり、そして保存されていないものもある。ほとんどはN末端の近くにあり、そこで、オーバーラップするポリNLS領域を形成する傾向がある。これらのアルギニンに富んだモチーフの多くは、哺乳動物において実質的に免疫原性であり、これらを含有するペプチドは、抗TTV抗体の生成において有用である。
【0163】
(実施例9)
感染性クローンの構築のためのクローン断片
以下に、オーバーラップするクローンから、アミノ酸配列が配列番号9で示されるTTV遺伝子型1株ttvg1−178(配列番号7を参照されたい)を構築するための基礎を提供する。
【0164】
要約すると、共にTTV環状ゲノムの全体にわたる、2つのTTV断片(1900bpおよび2200bp)を、個別のpCR2.1TA(Invitrogen)クローニングベクター中に個別にクローニングした。クローン断片は、クローン1:680sから2608a=およそ1900bp、およびクローン2:1340sから764a=およそ2200bpであった。
【0165】
これを達成するために、本発明の株(ttvgt1−27、−7、−17、および−21)ならびに公開されている配列(AY823990(g1)およびAB076001−(Sd−TTV31))から生成したコンセンサス配列を用いて、PCRプライマーを設計した。680sおよび2608a、または1340sおよび764aの配列に対応するプライマー対を用いて、TTVチャレンジ株に感染した豚の肝臓ホモジネート試料から抽出したDNAからPCR産物を増幅した。これらのPCR断片を、キットに同梱されていた指示書を用いて、InvitrogenのpCR2.1−TOPO TAベクター中にクローニングした。クローンを次に、2880塩基のゲノム全体にわたりDNA配列を生成するために用い、配列は、公開されている配列GQ120664.1およびAY823990.1に86%相同であることが明らかになった。
【0166】
完全に正確な配列を、以後、完全長の感染性クローンの構築のために組み合わせる。
【0167】
(実施例10)
g1TTVについての感染性クローン
g1TTV dsDNA断片のクローニング。g1TTVは、一本鎖DNA(ssDNA)ウイルスである。g1TTVの断片は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、二本鎖DNA(dsDNA)に変換される。g1TTVのdsDNA断片は次に、pUCに基づいたプラスミドクローニングベクター中にクローニングされ、大腸菌(E.coli)中に形質転換される。g1TTVの断片は、g1TTVゲノムの1つの完全長dsDNA同等物より小さい。
【0168】
g1TTV dsDNAコンカテマーの増幅。完全長g1TTV dsDNAゲノム同等物のコンカテマーを、φ29のポリメラーゼ増幅キット(例えば、illustra TempliPhi)を用いて生成する。完全長g1TTV dsDNA断片を、適切な制限エンドヌクレアーゼ(RE)部位でコンカテマーを消化することにより生成する。これらの完全長g1TTV dsDNA断片は、プラスミドベクター中にクローニングすることができる。あるいは、コンカテマーまたはクローニングされていない断片(REの消化から得られる)は、その後の分子生物学的構築における即時のクローニングを伴うことなく、用いることができる(以下を参照されたい)。
【0169】
g1TTVゲノムの縦列重複。g1TTVゲノムの縦列重複をコードするプラスミド構築物を次に生成する。構築物内の縦列重複は、およそ、g1TTVゲノムの完全長dsDNA同等物の1.2コピーよりも大きい。プラスミドにおける縦列重複は、(1)適切なRE部位を採用するサブクローニング、(2)縦列重複のPCRアセンブリー、または(3)他の分子生物学的方法を用いて生成される。縦列重複の生成のための鋳型は、g1TTV dsDNA断片および/または完全長g1TTV dsDNAクローン(φ29のポリメラーゼ増幅によって得られる)である。
【0170】
インビボでの組換えおよびg1TTVウイルスの生成。縦列重複プラスミド構築物は、g1TTVウイルスと同一ではない。縦列重複構築物はdsDNAであるが、ウイルスはssDNAであり、この構築物は、g1TTVゲノムの1.2個を超える完全長dsDNA同等物をコードするが、ウイルスは1つの完全長同等物のみを有し、この構築物は遮断プラスミド配列を含有するが、ウイルスはウイルス配列のみを有する。真正のg1TTVウイルスを生成するために、縦列重複プラスミド構築物をブタに導入するか(接種、注入、エレクトロポレーション、または他の導入方法によって)、または組織培養細胞中に導入し(トランスフェクション、エレクトロポレーション、または他の導入方法によって)、ここで、プラスミド構築物を、相同配列で組換えして、g1TTVゲノムの単位長さのdsDNA同等物を再生する。g1TTVゲノムのdsDNA同等物は、g1TTVウイルスの生活環の、推定される複製中間体である。この推定されるdsDNAの複製中間体の存在は、真正のssDNA g1TTVの産生をもたらす。
【0171】
g1TTV ORF発現構築物のコトランスフェクションにより、g1TTVウイルスのインビボでの生成が可能になる。環状dsDNA g1TTVゲノムが、ウイルス生産をもたらし得ることが予想される。g1TTVのdsDNA形態が複製可能ではないという予想外の事実において、dsDNAの複製中間体からのg1TTVの複製の開始のためには、g1TTV ORFの即時の発現が必要となり得る。g1TTV ORFへの転写プロモーター(例えば、CMV)の融合体などの、g1TTV ORFをインビボで転写させるプラスミド構築物を作製することができる。あるいは、g1TTV ORFへの転写プロモーター(例えば、T7)の融合体などの、g1TTV ORF転写産物をインビトロで生成させる、プラスミド構築物を作製することができ、その後、インビトロ転写キットが使用される。g1TTV ORF発現プラスミドまたはg1TTV ORF発現RNA転写産物のいずれかを、縦列重複プラスミド構築物と共に、豚に共注入するか、または細胞中にコトランスフェクトして、g1TTVウイルスを得ることができる。
【0172】
g1TTVウイルス産生の検出。これまでのところ、全g1TTVウイルスは、組織培養細胞においては増殖させることができない。g1TTVウイルスの生成は、免疫試薬(例えば、α−g1TTV抗体)によって、または分子的方法(例えば、qPCR)によって検出される。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−505653(P2012−505653A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532091(P2011−532091)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/005662
【国際公開番号】WO2010/044889
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】