説明

トルク伝達装置

【目的】 トルク伝達装置であって、周方向に作用する蓄力器を備えた緩衝装置の作用に抗して支承部を介して互いに回動可能な少なくとも2つの質量体を有しており、1つの質量体−一次質量体−が内燃機関の出力軸に結合可能であり、かつ別の質量体−二次質量体−が摩擦クラッチを介して動力伝達装置の入力軸に結合可能である形式のものにおいて、所要スペースが半径方向でも軸線方向でも小さくなるようにし、さらに、トルク伝達装置の耐用年数を増大させて、例えば自動車へのトルク伝達装置の信頼の高い使用を可能にする。
【構成】 蓄力器が摩擦クラッチの摩擦面の半径方向内側で周方向に延びる少なくともほぼ閉じられた室内に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トルク伝達装置であって、周方向に作用する蓄力器を備えた緩衝装置の作用に抗して支承部を介して互いに回動可能な少なくとも2つの質量体を有しており、1つの質量体−第1の質量体−が内燃機関の出力軸に結合可能であり、かつ別の質量体−第2の質量体−が摩擦クラッチを介して動力伝達装置の入力軸に結合可能である形式のものに関する。
【0002】
【発明の課題】本発明の課題は、トルク伝達装置を改善して、所要スペースが半径方向でも軸線方向でも小さくなるようにすることである。さらに、与えられた組込スペース内で摩擦クラッチの有効なできるだけ大きな摩擦直径を可能にし、若しくは必要な摩擦直径において装置全体の寸法をコンパクトに維持したい。さらに、本発明の課題はトルク伝達装置の耐用年数を増大させて、例えば自動車へのトルク伝達装置の信頼の高い使用を可能にすることである。
【0003】
【発明の構成】前記課題を解決するために本発明の構成では、蓄力器が摩擦クラッチの摩擦面の半径方向内側で周方向に延びる少なくともほぼ閉じられた室内に配置されている。
【0004】さらに本発明の別の課題が、トルク伝達装置をユニットとして内燃機関の出力軸にできるだけ簡単に取り付けるようにすることにある。さらにこのようなトルク伝達装置の経済的な製造、組み立てが可能であるようにしたい。
【0005】さらに本発明の課題は、構成部材の数量を少なくし、材料使用量、及び材料くずをできるだけ少なくして、天然資源を保護し、かつ加工過程の減少、エネルギの節減、並びにこれまで使用された処理添加物の削減によって環境を保護することである。
【0006】さらに本発明の別の課題は、トルク伝達装置の構成部材を該部材に作用する超過モーメントに対して保護しかつこの超過モーメントをトルク伝達装置の後方に接続された動力伝達装置若しくは駆動系への前記超過モーメントの伝達を防止することにある。
【0007】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、室が蓄力器を少なくとも半径方向外側の範囲で取り囲んでいる。
【0008】さらに有利には、室が少なくとも半径方向外側の範囲で蓄力器の輪郭に適合されている。
【0009】本発明に基づくトルク伝達装置の構成にとって有利には、室が少なくとも2つの壁によって形成されており、少なくとも1つの壁が第2の質量体に結合されている。
【0010】一般的に有利には、室の少なくとも1つの壁が第2の質量体を支持している。
【0011】本発明に基づくトルク伝達装置にとって有利には、必要に応じて支承部が滑り支承部として構成され、また場合によっては転がり支承部として構成されている。
【0012】有利には、蓄力器がコイルばね若しくは脚ばねを用いて構成されている。
【0013】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、室が少なくとも半径方向内側でほぼシールされていて、少なくとも部分的にグラファイト粉末のような乾乾燥潤滑剤で満たされており、この場合、室がラビリンスシールを介してシールされている。
【0014】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、室が少なくともほぼシールされていて、粘稠性の媒体若しくはパスタ状の媒体で少なくとも部分的に満たされており、これによって室が摩擦クラッチの摩擦面の半径方向の内側に配置されている。
【0015】さらに有利には、支承部が室内に配置されていて、従って潤滑剤に接している。一般的に有利には、支承部が蓄力器の半径方向内側に配置されている。
【0016】本発明に基づくトルク伝達装置の有利な構成では、室の第2の壁を形成するカバー薄板が蓄力器の半径方向外側で、室の第1の壁を形成するカバー薄板に溶接若しくはつば出しによって堅く結合されており、この場合、結合部が室の壁間でO・リングを用いてシールされている。
【0017】本発明に基づくトルク伝達装置においては、室の壁を形成するカバー薄板が蓄力器のための負荷区分を有しており、この場合に有利には、負荷区分が互いに向き合わされた軸線方向の圧刻部によって形成されており、該圧刻部が軸線方向で蓄力器間の中間室内に突出している。
【0018】本発明に基づくトルク伝達装置において特に有利には、カバー薄板が第2のはずみ車に結合されており、カバー薄板が第2の質量体の摩擦面と逆の側に枢着され、即ち対向圧力板に後ろ側から係合している。
【0019】カバー薄板が第2の質量体に形状接続的に、若しくは摩擦接続的に或いは力伝達可能に結合されている。
【0020】一般的にトルク伝達装置において有利には、トルク制限機構若しくは滑りクラッチが動力伝達路内に配置されていて、トルクが内燃機関側から見て第1の質量体から、室内に突入していて蓄力器を負荷するフランジ部分を介して蓄力器へ、そこからトルク制限機構の、蓄力器の半径方向外側に設けられて摩擦クラッチの半径方向外側に位置する摩擦区分内にわずかに突入する摩擦面へ伝達されかつ、そこから第2の質量体へ伝達されるようになっている。
【0021】さらに有利には、摩擦接続的な結合部が軸線方向でプレストレスをかけられており、この場合、皿ばねが軸線方向のプレストレスに必要な軸線方向力を生ぜしめるようになっている。
【0022】有利には軸線方向力が皿ばねの操作によって変えられるようになっており、皿ばねの操作が第1の質量体によって行われるようになっている。操作部材が第1の質量体と一体的に構成されている。
【0023】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、カバー薄板が摩擦材料を介在して第2の質量体に結合されており、摩擦材料が熱絶縁部を形成している。
【0024】さらに有利には、室の壁を形成するカバー薄板が支承部によって保持され若しくは支承部に支えられている。
【0025】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、蓄力器が他方で負荷区分に支えられており、この負荷区分が室内に突入するフランジに配置されており、フランジが蓄力器の半径方向内側で第1の質量体に結合されている。フランジと第1の質量体との結合が固定ねじを用いて行われており、この固定ねじが第1の質量体若しくはトルク伝達装置を内燃機関の出力軸に結合するために役立っている。
【0026】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、2つのフランジを設けてあり、両方のフランジが外径範囲で互いに堅く結合されている。両方のフランジがトルク伝達装置をクランク軸に固定するために役立つ固定ねじの範囲で互いに接触している。また有利には、両方のフランジがフランジの外径と固定ねじとの間の半径方向の区分で互いに軸線方向に隔てられている。
【0027】一般的に、トルク伝達装置において特に有利には、第1の質量体に結合された1つの若しくは両方のフランジの負荷区分がコイルばねによって構成された蓄力器に適合されており、蓄力器のばね端部巻条がばね中央巻条にほぼ同じである。
【0028】有利には。フランジの負荷区分が入れ子式に組み込まれた内側ばね及び外側ばねのために段付けされている。カバー薄板が、入れ子式に組み込まれた内側ばね及び外側ばねのための段付けされてた負荷区分を有している。負荷区分がダブル押し込みによって形成されている。
【0029】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、第1の質量体とフランジとが互いに直接に座を介してセンタリングされている。さらに有利には、フランジが、内燃機関の出力軸上でトルク伝達装置をセンタリングするためのセンタリング座を有している。フランジが支承部を支持していると有利である。
【0030】特に有利には、蓄力器を負荷するための2つのフランジを設けてあり、一方のフランジが、トルク伝達装置を内燃機関の出力軸に取り付け、かつ出力軸に対してセンタリングして、支承部を受容し、第1の質量体をセンタリングするために用いられている。
【0031】本発明に基づくトルク伝達装置の有利な構成では、半径方向内側に位置する室シールがそれぞれ皿ばね状の構成部材によって行われており、この構成部材が一方で、室壁を形成するカバー薄板若しくは該カバー薄板に結合された構成部分と協働し、かつ他方で該構成部分と隣接のフランジ若しくはフランジに結合された構成部分と協働するようになっている。
【0032】例えば予め組み立てられたモジュールとして製造されるトルク伝達装置にとって有利には、フランジに結合されてかつ皿ばね状のシール部材と協働する構成部材が固定ねじのロックのために用いられている。
【0033】この場合に有利には、カバー薄板が、固定ねじを貫通させるための切欠き、若しくは固定ねじの操作のための工具を貫通させる切欠きを有している。切欠きがつばによって取り囲まれている。つばが皿ばね状のシール部材と協働するようになっている。皿ばね状のシール部材が経済的に実施可能な摩擦緩衝装置である。
【0034】本発明に基づくトルク伝達装置の有利な構成では、蓄力器若しくは室と摩擦クラッチの、第2の質量体に設けられた摩擦面とが軸線方向の同じ範囲に、軸線方向で互いに合致するように配置されている。さらにコンパクト化にとって有利には、支承部と固定ねじの頭部とが軸線方向の同じ範囲に配置されている。
【0035】特に有利には、蓄力器若しくは室が半径方向で固定ねじの頭部と摩擦クラッチの、第2の質量体に設けられた摩擦面との間に配置されている。室の、固定ねじの頭部に向けられた側がフランジの壁によって形成されている。
【0036】一般的にトルク伝達装置の特に有利な構成でゃ、次に述べる7つの構成部材のうちの少なくとも4つの構成部材:−伝達軸の成形部−支承部−固定ねじの頭部−半径方向内側の室壁−蓄力器−半径方向外側の室壁−第2の質量体の摩擦面が半径方向に一列に配置されており、構成部材が互いに重ならない異なる直径範囲に配置されている。
【0037】さらに有利には、少なくとも4つの構成部材が軸線方向で同じ範囲に配置されている。支承部が固定ねじの頭部の半径方向内側に配置されている。固定ねじの頭部が支承部と蓄力器との間に配置されている。
【0038】さらに有利には、蓄力器と固定ねじの頭部とが隣接してかつ軸線方向で同じ範囲に配置されている。室を形成する壁が半径方向で蓄力器と固定ねじの頭部との間に位置している。
【0039】多くの場合に有利には、支承部が固定ねじの頭部の半径方向外側に配置されている。
【0040】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、緩衝装置の蓄力器が直径に対する長さの4乃至10の範囲の比を、即ち大きな比を有している。有利には、蓄力器が周囲の70%と95%との間の区分に亙って延びている。少なくとも1つの蓄力器が周囲の140°よりも大きなセクタに亙って延びている。
【0041】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、蓄力器がほぼ組み込み状態に相応する半径にあらかじめ湾曲されている。蓄力器が複数のばね段部から成っている。
【0042】トルク伝達装置において一般的に有利には、蓄力器がコイルばねから成っており、コイルばねのばね端部巻条がばね中央巻条にほぼ相応し、即ち研削もされず、当接もされず、もっぱら線材に対してほぼ直角な面で切断されている。
【0043】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、蓄力器と半径方向外側の室壁との間に摩耗防止部材が設けてあり、摩耗防止部材に蓄力器が少なくとも遠心力下で支えられている。
【0044】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、摩擦クラッチのクラッチカバーが第2の質量体上にセンタリングされている。摩擦クラッチのクラッチカバーが第2の質量体を軸線方向で取り囲んでおり、この場合、クラッチカバーが第2の質量体上に、軸線方向に延びて該質量体を取り囲む区分でセンタリングされている。
【0045】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、クラッチカバーが溶接によって第2の質量体に堅く、即ち分解不能に若しくは分離不能に結合されている。
【0046】さらに別の構成にとって有利には、クラッチカバーが第2の質量体に分離可能に、例えばねじ若しくはピンを介して結合されている。
【0047】有利にはクラッチカバーが、例えばドイツ国特許出願第P4232320号明細書に記載してあるように、例えばクラッチ薄板を代替するために自動的に分離されるようになっている。
【0048】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、摩擦クラッチのクラッチ板の支持薄板が室の輪郭にほぼ適合されている。クラッチ板の支持薄板に若しくはクラッチ板へ向けられて室壁を形成するカバー薄板にカバー薄板の切欠きの範囲に潤滑剤はねのけ輪郭若しくは潤滑剤はねのけ薄板が設けられている。
【0049】有利には、クラッチ板の支持薄板が固定ねじの貫通のための切欠き、若しくは固定ねじを操作する工具の貫通のための切欠きを有している。
【0050】摩擦クラッチの圧力板がリング状の基板及び舌片から成る皿ばねによって負荷されるようになっているトルク伝達装置において有利には、皿ばねの輪郭がクラッチ板の支持薄板に対して少なくとも皿ばねと支持薄板との互いに接近している位置で少なくともほぼ適合されており、皿ばねが舌片の範囲に、固定ねじを貫通させるための切欠き、若しくは固定ねじ操作する工具を貫通させるための切欠きを有している。
【0051】一般的にトルク伝達装置において有利には、皿ばねが摩擦クラッチの圧力板に配置された圧力板突起部を貫通させるための切欠きを有しており、この場合に切欠きが簡単に舌片を省略することによって形成されてよい。
【0052】トルク伝達装置において一般的に有利には、圧力板を摩擦クラッチのクラッチカバーに対して回動不能に、しかしながら軸線方向移動可能に結合する板ばねが、クラッチカバーの、圧力板と逆の側に配置されている。
【0053】軸線方向の所要スペースに関連して有利には、圧力板が摩擦面と逆の側を、クラッチカバー側の皿ばね支承部の輪郭に適合され、即ち例えば凹所を有しており、この凹所に皿ばね支承手段(線材リング及び線材リングの保持部材)が圧力板の遮断状態で少なくとも部分的に入り込むようになっている。
【0054】有利には、圧力板とクラッチカバー側の皿ばね支承部の一部分とが摩擦クラッチの遮断位置において軸線方向及び半径方向で重なり合っており、その結果、皿ばね支承部が圧力板の対応する凹所に入り込める。
【0055】本発明に基づくトルク伝達装置において有利な構成では、クラッチカバー側の皿ばね支承部が、クラッチカバーと一体に形成された舌片によって構成されており、圧力板が摩擦面と逆の側を舌片の輪郭に適合されている。
【0056】さらに特に有利には、第1の質量体が少なくとも部分的に室の、該質量体に向けられた部分の輪郭に適合されている。
【0057】経済的に有利には、第1の質量体がほぼ薄板から製造されている。
【0058】第1の質量体が始動歯環を保持しているさらに有利には、例えばドイツ国特許出願第P4315209号明細書に記載してあるように、始動歯環が折り重ねられた薄板部分によって形成されており、該薄板部分の壁面が互いに接している。
【0059】有利には、始動歯環が第1の質量体と一体的に構成されている。一次側の慣性モーメントを増大するために有利には、第1の質量体が質量リングを有しており、質量リングが鋳造部材によって、若しくは折り重ねられた薄板部材によって形成されている。
【0060】本発明に基づくトルク伝達装置において特に有利には、質量リングがクラッチカバーの軸線方向の区分を取り囲みかつ該区分を少なくとも部分的に軸線方向で覆っている。
【0061】有利には、緩衝装置が荷重摩擦装置を有しており、荷重摩擦装置が蓄力器の半径方向外側に、若しくは摩擦クラッチの中間の摩擦直径の半径方向外側に配置されている。
【0062】一般的にトルク伝達装置において有利には、荷重摩擦装置が、半径方向で隔てられた2つの摩擦面を備える少なくとも1つの摩擦部分を有している。摩擦部分が第1の質量体との摩擦結合部を有している。摩擦部分が第2の質量体の負荷部分によって負荷可能である。このような荷重摩擦装置において有利には、摩擦部分と負荷部分とが周方向で遊びを有している。複数の摩擦部分が負荷部分に対して異なる遊びを有している。摩擦クラッチのクラッチカバーの軸線方向に延びる区分が荷重摩擦装置の構成部分である。第1の質量体の質量リングを荷重摩擦装置の構成部分として用いてある。荷重摩擦装置が、質量リングによってクラッチカバーの軸線方向の区分を取り囲む範囲に配置されている。
【0063】例えばヒステリシス装置の機能にとって有利には、荷重摩擦装置が少なくとも1つの蓄力器を有しており、蓄力器が半径方向に作用するようになっている。
【0064】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、荷重摩擦装置が第1の質量体内に配置された少なくとも1つの摩擦シューによって形成されており、摩擦シューがクリップ係合されている。さらに有利には、荷重摩擦装置が周囲に分配された複数の摩擦シューを有している摩擦シューの少なくとも摩擦面若しくは摩擦シューが例えばPTFE、PEEK、PA6.6のようなプラスチックから成っている。
【0065】本発明に基づくトルク伝達装置の耐久性にとって特に有利に、クラッチ板の支持薄板及び又は皿ばねが、特にトルク伝達装置の通気のための別の切欠きを有している。摩擦クラッチのクラッチカバーの軸線方向の区分に通気開口が設けられている。摩擦クラッチのクラッチカバーの半径方向の区分に通気開口が設けられている。第1の質量体に通気開口が設けられている。室の半径方向外側で第2の質量体に通気開口が設けられている。
【0066】本発明に基づくトルク伝達装置において有利な形式では、通気がクラッチ板の支持薄板を貫流する空気流によって、室壁に沿って室の外側で第2の質量体の通気開口を介して第1の質量体の方向へ行われるようになっている。
【0067】温度の条件をさらに改善するために、第1の質量体に、室壁へ向けられかつ第2の質量体に沿って流れる空気流のための通気開口が設けられている。さらに有利には第1の質量体に、第2の質量体へ向けた空気流のための通気開口が設けられている。
【0068】トルク伝達装置の有利な構成では、第2の質量体の摩擦面と逆の側が熱導出の改善のために表面拡大されている。圧力板の摩擦面と逆の側が熱導出の改善のために表面拡大されている。表面拡大部が圧刻部若しくは例えばフライス加工による凹所によって形成されている。有利には表面拡大部及び又は通気開口が送風機羽根状に構成されている。
【0069】本発明に基づくトルク伝達装置の有利な構成においては、トルク伝達装置が摩擦クラッチ及びクラッチ板を含めて予め組み立て可能なユニットを形成しており、このユニットが固定ねじを用いて内燃機関と逆の側から内燃機関の出力軸にねじ固定可能である。固定ねじがユニット内に含まれ、若しくはユニット内に紛失しないように保持されている。
【0070】本発明に基づくトルク伝達装置においては有利には、摩擦クラッチが押圧式のクラッチとしても、引っ張り式のクラッチとしても構成できる。
【0071】一般的にトルク伝達装置において有利には、第2の質量体、トルク制限機構、若しくは滑りクラッチ及び周方向に作用する蓄力器が半径方向で一列に配置されており、蓄力器が、ほぼ閉じられて周方向に延びる室内に配置されている。
【0072】本発明に基づくトルク伝達装置において有利には、支承部が半径方向で一列に配置されている。トルク制限機構若しくは滑りクラッチが半径方向で蓄力器と第2の質量体との間に配置されている。
【0073】
【実施例】図1に分割式のはずみ車1、即ちトルク伝達装置を示してあり、該はずみ車は内燃機関のクランク軸(図示せず)に取り付け可能な第1の質量体2若しくは一次質量体並びに第2の質量体3若しくは二次質量体を有している。第2の質量体3に摩擦クラッチ4がクラッチ板5を介在して取り付けられており、このクラッチ板を介して動力伝達装置(図示せず)が接続並びに遮断可能である。クラッチ板5はここでは剛性的に構成されているものの、別の実施例として摩擦部材及び又は緩衝部材を有し、若しくはライニングばねを備えて構成されていてもよい。
【0074】質量体2,3は図示の実施例では質量体に堅く結合された構成部材を介在して支承部6を介して互いに回転可能に支承されている。支承部は、第1の質量体2若しくはトルク伝達装置、即ちはずみ車1を内燃機関の出力軸に組み込むための固定ねじ8を貫通させる孔7の内側に配置されている。ここでは単列の玉軸受から成る支承部6は、潤滑剤貯蔵室を備えたシールキャップ6aを有しており、シールキャップ6aは熱絶縁体としても役立ち、第2の質量体3から支承部6への熱流量を減少させ、若しくは熱移動を阻止する。両方の質量体2と3との間では緩衝装置9が作用していて、この場合、緩衝装置はコイル圧縮ばね10を有しており、コイル圧縮ばねがリング状の室11内に配置されており、このリング状の室がほぼトーラス状(torusartig)の部分12を形成している。ここで用いられて図示してあるコイル圧縮ばね10は適当に異なって構成された蓄力部材、例えば脚ばねによって代替され得る。リング状の室11は少なくとも部分的に乾燥潤滑剤、例えばグラファイト粉末、若しくはパスタ状(pastoes)のビスコース媒体、例えば油又はグリスで満たされている。
【0075】第1の質量体2は、有利には薄板材料から製作若しくは絞り成形された構成部材13を有しており、この構成部材13が第1の質量体2、若しくは分割式のはずみ車1全体を内燃機関の出力軸に取り付けるため、若しくは出力軸に結合された軸に取り付けるために用いられる。構成部材13がほぼ半径方向に延びるフランジ状の区分14を有しており、この区分14が半径方向内側でフランジ15を支持しており、このフランジの半径方向に延びる区分15aが固定ねじ8のための孔7と合致する孔若しくは貫通開口を備えている。支承部6を形成する単列の転がり軸受は内レース、即ち内側リング16で以てフランジ15の軸線方向の端部区分15bの外側の周面若しくは支持肩部に受容されている。支承部6を形成する転がり軸受の外レース、即ち外側リング17に第2の質量体3が支えられている。
【0076】ほぼ半径方向に延びる区分14は半径方向外側で、内燃機関側に向かって軸線方向に湾曲する区分18内に移行しており、この区分18は半径方向外側で内燃機関と逆の側へ軸線方向に離されて半径方向に延びる区分に移行しており、この区分が始動歯環19を形成している。始動歯環19の形成のために、構成部材13の半径方向外側の区分で該構成部材の材料が変形されて折り合わされており、従って再び半径方向内側に向いた脚部20が形成されており、この脚部は壁面で構成部材13の半径方向外側の区分に接している。始動歯環19の成形部若しくは歯部は構成部材の半径方向外側の範囲の折り曲げの後に薄板成形部内にもたらされ得る。このような成形部若しくは歯部は、例えばフライス加工若しくはブローチ加工のような切削加工によって形成されていてもよい。さらに、成形部若しくは歯部は圧印加工、即ち材料内の流動過程(Fliessvorgang)によって形成されてもよい。さらに成形部若しくは歯部は打ち抜き加工によって形成されてもよい。このような成形部若しくは歯部の別の製造方法が、エネルギーの高いビーム、例えばレーザービームを用いて成形部を切り出し成形することにある。有利には、構成部材13は始動歯環19の少なくとも成形部若しくは歯部の範囲で他の範囲よりも高い硬度を有している。このように部分的に若しくは局所的に高い硬度は誘導加熱焼き入れ若しくは表面硬化によって得られる。
【0077】回転軸線を中心として回転するはずみ車(二分割質量はずみ車)1の質量慣性モーメントを高めるために、内燃機関に連結可能な第1の質量体2が質量リング21を有している。質量リング21は薄板部材によって形成されており、この薄板部材が軸線方向に向いた2つの脚部22及び23並びに半径方向に向いた2つの脚部24及び25を有しており、従って質量リング21がほぼL字形の横断面を有している。質量リング21は、例えばドイツ国特許出願第P4315209号明細書に記載してあるように、もともと平らな薄板片を相応に折り曲げることによって薄板折り曲げ部分として製造されている。
【0078】軸線方向に延びる両方の脚部22及び23は図示の実施例では半径方向で互いに接触している。半径方向外側の脚部22は半径方向内側の脚部23よりも短く構成されていて、軸線方向に延びる端部区分22aで以て始動歯環19の軸線方向に延びる脚部20に当接している。質量リング21のこのような製造に際して、質量リングの輪郭が例えば、はずみ車を受容するケーシング若しくはクラッチハウジングの内側輪郭に適合させられており、従って何ら接触が生じるようなことはない。このために図示の実施例では質量リング21に、円錐台状に延びる面として構成された面取部22bが形成されている。面取部22bを形成するために押しのけられた材料は、半径方向外側の脚部22の材料厚さを大きくするために用いられている。
【0079】半径方向内側の脚部23は内燃機関の方向に向いていて、始動歯環19の軸線方向の範囲で曲げ部若しくは湾曲部23aを形成して質量リング21の半径方向に延びる脚部25に移行している。質量リング21は湾曲部23a及び半径方向に延びる脚部25で以て第1の質量体2の湾曲する区分18の、内燃機関と逆の側に接触している。この接触範囲の半径方向内側で脚部25が第2の質量体3の方向に向かって軸線方向にずらされた区分25aを有しており、この区分25aが壁面で以て、半径方向に延びる第2の脚部24の壁面に接している。脚部24は区分25aを越えて半径方向外側へ延びていて、軸線方向に延びる脚部23に対して半径方向の間隔を置いて終わっている。質量リング21は湾曲部23aの区分で、周囲に分配して切欠き26内に配置された複数の溶接部27を介して第1の質量体2に堅く結合されている。
【0080】フランジ15は第1の質量体2にセンタリングして結合されている。このようなセンタリングは図示の実施例ではセンタリング座部28を介して行われており、このセンタリング座部が構成部材13内の中央の対応する切欠きと協働している。第1の質量体2上でのフランジ15のセンタリング及び場合によっては固定は、個別の突出部29を介して行われてよく、このような突出部は図示の実施例ではフランジ15の材料を用いて内燃機関と逆の側から押し出し成形されている。さらに、フランジ15は半径方向内側に別のセンタリング座部30を有しており、このセンタリング座部は例えばクランク軸上でのはずみ車1のセンタリングのために用いられる。
【0081】フランジ15は半径方向に延びる区分15aの半径方向外側でまず傾斜して半径方向外側へ内燃機関側から離れる方向に延びて、次いで半径方向外側の区分で再び半径方向に延びている。この半径方向外側の区分でフランジ15は第2のフランジ31に堅く結合されている。このような堅い結合はここでもフランジ15の材料を押し出して結合突出部32を形成することによって行われている。この結合突出部32の半径方向内側で、フランジ31はほぼ半径方向に内側に延びていて、内燃機関側から離れる方向に軽い湾曲部33を有している。湾曲部33の半径方向内側でフランジ31は内燃機関の方向へ向かって軸線方向に延びる区分31aに移行しており、この区分31aは再び半径方向内側へ延びる区分31bに移行している。半径方向の区分31bはフランジ15の半径方向の区分15aに接していて、かつ同じく固定ねじ18を貫通させるための切欠きを有しており、この場合、半径方向の区分31bの内燃機関とは逆の側が固定ねじ18の頭部のための支持部を形成している。
【0082】フランジ15及び31は半径方向外側の区分若しくは湾曲部33の範囲にコイル圧縮ばね10の形の蓄力器のための負荷区分34及び35を有している。この負荷区分34及び35は特に図3から明らかなように、半径方向に延びる張り出し部15c及び31cによって形成されており、この張り出し部は周方向に作用するコイル圧縮ばね10間の中間室内に突出している。さらに特に図3から明らかなように、コイル圧縮ばね10の装着点、換言すれば負荷の開始点は内側ばね及び外側ばねにとって同じに、若しくは異なって、即ち段階的に構成されていてよい。張り出し部31c及び15cは軸線方向で合致しないように、即ち合同にならないように構成されていてよい。張り出し部15c,31c若しくは負荷区分34,35は、コイル圧縮ばね10の、それぞれ該張り出し部若しくは負荷区分と協働するばね端部に適合するように構成されている。
【0083】負荷区分34及び35と協働するばね端部は、図示の実施例ではもっぱら1つの切断箇所だけしか有しておらず、先行のばね巻条に当接されていることもなく、端部範囲でばね中心軸線に対して垂直に研削されていることもない。このことは、コイル圧縮ばね10のばね端部巻条がコイル圧縮ばね10の内側の別の任意の各巻条にほぼ相応し、即ち例えば1つのねじに類似して実質的にほぼ同じリードを有していることを意味している。これによって、ばね端部巻条がばね作用を生ぜしめる巻条として使用され、従ってばね作用を生ぜしめない巻条は省略され、これによってスプリング容量(Federungskapazitaet)が増大され、若しくはばねブロック長さが小さくできる。ばね端部の前述の構成においてはさらに利点として、ばね線材がもっぱら切断されるだけでよく、従ってそうでない場合には必要な作業過程、例えば最後のばね巻条を先行する巻条に当接させること並びに平らな支持面を得るためにばね端部を研削することが省略される。
【0084】相応に適合された負荷区分と関連した前述のばね構造は、二分割質量はずみ車の図示の実施例に限定されるものではなく、別の任意の装置、例えば緩衝器にも使用できる。さらに、両方のフランジ15及び30を1つの部分、例えば1つの焼結部分若しくは鍛造部分によって代替して、コイル圧縮ばね10のための負荷区分34及び35を相応に適合させることも可能である。
【0085】両方のフランジ15及び30、若しくはこのフランジを代替する焼結部分或いは鍛造部分は、コイル圧縮ばね10に適合された負荷区分34及び35の範囲に付加的にコイル圧縮ばね10のための回動防止部分を形成するように構成されていてもよい。このような回動防止部分は、コイル圧縮ばねをほんらい規定された位置に正確に保持して案内しかつ巻条軸線に関連して回動させないように作用している。これにより利点として、自由なばね端部巻条が負荷区分34及び35の常に同じ箇所に当接していて、確実に完全なスプリング能力(Federungsvermoegen)若しくはスプリング容積で以て振動エネルギーを吸収するために用いられる。
【0086】蓄力器、即ちコイル圧縮ばね10は内側ばねで負荷区分36a及び37aに支えられ、かつ外側ばねで負荷区分36b及び37bに支えられている。負荷区分37a,37bと36a,36bとは周方向で見て同じ高さに配置されていてもよく、またずらして配置されていてもよい。これによって、蓄力器負荷開始位置を目的に応じて規定することができる。負荷区分36a,36bは第1のカバー薄板38に配置されており、このカバー薄板は半径方向内側で支承部6、図示の実施例では単列の玉軸受の外側リング17に支えられていて、半径方向外側で第2の質量体3を支持している。
【0087】このために、カバー薄板38は半径方向内側の区分に軸線方向で内燃機関に向かって延びる肩部39を有しており、この肩部の内径は外側リング17をシールキャップ6aと一緒に受容できるように規定されている。肩部39は内燃機関と逆の側に直径縮小部40を有しており、この直径縮小部はカバー薄板38と支承部6との間の軸線方向の固定部として若しくは軸線方向のストッパとして用いられる。カバー薄板38は直径縮小部(横断面縮小部)40から内燃機関と逆の方向に傾斜して半径方向外側へ延びており、この場合、薄板区分41がほぼ直線的に延びている。
【0088】直線的な薄板区分41は貫通孔42を有しており、この貫通孔は固定ねじ8の頭部を受容して固定ねじ8をはずみ車1の組み立てられていない状態若しくは組み込まれていない状態ではずみ車1の回転軸線に対してほぼ同軸的な位置に固定できるように規定されている。直線的な薄板区分41は半径方向外側で、横断面円弧状の区分43に移行しており、この区分43はコイル圧縮ばね10の外側輪郭に少なくともほぼ適合されていてコイル圧縮ばねを軸線方向及び半径方向で少なくとも部分的に取り囲んでいる。区分43の、内燃機関に向いた側の端部が、半径方向外側に延びる半径方向区分44に接続しており、この半径方向区分44が軸線方向でカバー薄板38と構成部材13との間に配置されたカバー薄板46の半径方向区分45に堅く結合されている。両方のカバー薄板38及び46の結合部はO・リング47を用いて半径方向外側に対してシールされている。
【0089】カバー薄板46は半径方向区分45の半径方向内側でO・リング47を部分的に取り囲んでいて、かつ内燃機関から離れる方向へ軸線方向に延びる区分で以て、カバー薄板38によって取り囲まれた室内に突入している。これによって、リング状の室11若しくは部分12のシールが保証され、かつ同時にカバー薄板38及び46が互いにセンタリングされる。さらにカバー薄板46はほぼ半径方向内側へ向かってコイル圧縮ばね10の外側輪郭に適合して、第1の質量体2の構成部材13とフランジ15との間を延びている。
【0090】カバー薄板46は負荷区分37a及び37bの半径方向内側に、軸線方向で内燃機関に向かってずらされた区分48を有しており、この区分48が皿ばね49を支持しており、この皿ばね49が半径方向内側にフランジ15に対する接触部を有し、これによって室11の半径方向内側に対するシール部を形成している。この場合、皿ばね49はカバー薄板46の範囲でもフランジ15上でもセンタリングされている。別の皿ばね50がフランジ31とカバー薄板38との間で室11の半径方向内側に対するシールのために用いられている。このために、皿ばね50は外径で以てフランジ31の湾曲部33に接し、かつ内径で以てフランジ31の軸線方向に延びる区分31aの範囲でカバー薄板38に接している。皿ばね50のセンタリングのために、カバー薄板38が周囲に分配された複数のセンタリング突起部51を有しており、センタリング突起部はカバー薄板38の材料を部分的にずらすことによって形成されている。周囲に分配された複数のセンタリング突起部51の代わりに、円形リング状に閉じた付加部を設けること、若しくは他方で皿ばね50を相応にフランジ31でセンタリングすることも可能である。
【0091】カバー薄板38及び46の半径方向外側の半径方向区分44及び45が第2の質量体3を支持している。この場合、半径方向区分44及び45は第2の質量体3の摩擦面と逆の側に配置されており、従って密度の損なわれた場合、若しくはO・リング47の故障に際して室11内の媒体若しくは潤滑剤が第1の質量体2の方向に向けられ、クラッチ板5の摩擦ライニングの摩擦作用が損なわれるようなことはなく、摩擦クラッチ4が引き続き完全なトルクを伝達できる。第2の質量体3との結合は図1の実施例ではつば出し薄板52を介して行われ、このつば出し薄板が半径方向外側へ延びる結合区分53で第2の質量体3の摩擦面側に接しており、この場合、結合区分53はカバー薄板の半径方向区分44及び45の切欠きを軸線方向に貫通して第2の質量体の内側を覆っている。さらにつば出し薄板52は内燃機関側に舌片54を有しており、舌片54は組み立てられた状態で同じく半径方向外側に向いていて、両方のカバー薄板38及び46を質量体3に固定している。舌片54ははじめの状態では軸線方向に内燃機関に向かって延びていて、第2の質量体3、つば出し薄板52並びにカバー薄板38,45の組み立て及び位置決めの後に塑性変形させられて、図1に示すように半径方向外側に向けられている。
【0092】摩擦クラッチ4及びクラッチ板5から成るクラッチ装置と一緒に、はずみ車1が1つの構成ユニットを形成しており、この構成ユニットが予め組み立てて、発送され、ストックされ、内燃機関のクランク軸に簡単かつ合理的に組み込まれ、このような構成により種々の作業過程、例えばクラッチ板のためのセンタリング過程、クラッチ板の装着作業過程、摩擦クラッチの取付け過程、センタリングピンの挿入過程、クラッチ板自体のセンタリング、並びにねじの差込、摩擦クラッチのねじ固定、及びセンタリングピンの取り除き過程が省略される。
【0093】構成部材13のフランジ状の区分14及びフランジ15の孔内に固定ねじ8が既に組み込まれ、若しくは受容されていて、有利には紛失防止状態で、例えばたわみ可能な部材によって保持されており、たわみ可能な部材はその保持力をねじ8のねじ込みに際して克服されるように規定されている。
【0094】クラッチ板5は構成ユニットの回転軸線に対して予備センタリングされた状態で圧力板55と第2の質量体3の摩擦面との間に緊定されており、このような状態で、クラッチ板5に設けられた開口56を介してねじ回し工具がクラッチ装置若しくは構成ユニットを内燃機関のクランク軸に取り付ける際に運動させられるようになっている。さらに図示の実施例から明らかなように、開口56は固定ねじ8の頭部よりも小さくなっており、従って、固定ねじ8がクラッチ装置若しくは構成ユニット内に申し分なくかつ紛失防止された状態で確実に保持される。
【0095】皿ばね57内にも舌片57aの範囲にねじ回し工具を貫通させるための切欠き若しくは開口を設けてあり、この切欠き若しくは開口は図面には詳細には示してない。この場合、切欠き若しくは開口が舌片57a間に存在するスリットを拡大若しくは広げることによって形成されてもよい。皿ばね57内の開口とクラッチ板5内の開口56とは軸線方向で互いに重なり合っていて、従って固定ねじ8のねじ込み、ひいては内燃機関のクランク軸へのクラッチ装置の取り付けのために組み立て工具の通しを可能にする。
【0096】皿ばね57を介して操作可能な摩擦クラッチ4は、クラッチカバー60の側に1つの旋回支持部58を有し、かつクラッチカバー60と逆の側に1つの旋回支持部59を有している。線材リングによって形成された旋回支持部58及び59は、周囲に分配された条片61によって保持されている。条片61はクラッチカバー60と一体的に構成されて、クラッチカバーの材料を相応に変形させることによって形成されている。クラッチカバー60と逆の側で条片61は旋回支持部59を少なくとも部分的に軸線方向及び半径方向で取り囲んでいる。旋回支持部58の固定が旋回支持部58の半径方向外側でクラッチカバー60に圧刻成形された条溝62によって保証されている。環状の閉じられた条溝62の代わりに、周囲に分配された複数の部分条溝が設けられてよい。圧力板55は図面から明らかなように、少なくとも条片61の範囲で条片の輪郭にかつ別の範囲で旋回支持部59の輪郭に適合されている。然し乍ら図示の実施例と異なって、条片61に適合させた形状を周囲全体に亙って一様に維持していてもよい。
【0097】圧力板55の持ち上げ運動のため及びトルク伝達のために板ばね部材63を設けてあり、この板ばね部材は図2に示してあるように、一方ではリベット64を介してケーシング若しくはクラッチカバー60に結合されかつ、他方ではリベット65を介して圧力板55に結合されている。圧力板55へのリベット固定は圧力板突出部66の範囲で行われており、圧力板突出部は図示の実施例では半径方向内側へ突出していてクラッチ板5の摩擦ライニングの半径方向内側に配置されている。圧力板突出部66は皿ばね57の切欠きを軸線方向に貫通しており、従って、板ばね部材63がクラッチカバー60の、圧力板55と逆の側に配置されている。このような板ばね構造は分割式のはずみ車への使用に限定されるものではなく、全く一般的に別のタイプのクラッチにも例えば従来のはずみ車とも関連して用いられる。皿ばね内の必要な切欠き67は特に図2に示してあるように、皿ばねの舌片57aの一部分の省略によって、若しくは完全な舌片57aの省略によって形成される。皿ばねの舌片57aはクラッチ板5の支持薄板の輪郭に適合されていて、図示のクラッチ構造においては摩擦クラッチ4の遮断位置で摩擦クラッチに対してほぼ平行に延びている。
【0098】カバー薄板38の貫通孔42及びクラッチ板5の開口56の他に、クラッチカバー60内、クラッチ板5内、第2の質量体3内、及び第1の質量体2の構成部材13内に、装置全体の冷却のためにも役立つ別の開口68,69,5a,70,71若しくは貫通孔を設けてある。装置全体の十分な冷却によって特に、トーラス状の部分12内に受容されるパスタ状の媒体、例えばグリスを過度に加熱し、その結果、媒体の粘稠度を低下させて媒体を流動化させてしまうようなことが避けられる。高められた熱負荷は構成ユニットの寿命にネガチブに作用する。熱導出のさらなる改善のために、第2の質量体3及び又は圧力板55に表面拡大部72を設けていてよく、表面拡大部は送風機羽根状に構成されていてよい。
【0099】第2の質量体3に結合されたクラッチカバー60は、ほぼ円筒状に構成された軸線方向の区分73、少なくともほぼ半径方向に延びる区分74を有しており、この半径方向に延びる区分74に皿ばね57が旋回可能に支承されている。軸線方向の区分73が第2の質量体3を軸線方向で取り囲んでいて、この質量体にピン結合部を介して若しくは溶接によって軸線方向でも回転方向でも堅く連結されている。別の形式の結合が例えばドイツ国特許出願第4117584号明細書に記載されている。
【0100】軸線方向の区分73の一部分若しくは軸線方向に向けられた舌片75が軸線方向で第2の質量体3を越えて内燃機関の方向に延びている。舌片75の軸線方向の端部区分が、質量リング21若しくは慣性体の半径方向内側の脚部(半径方向区分)24と半径方向外側の脚部(軸線方向区分)23によって制限された軸線方向の部分内に突入している。質量リング21によって取り囲まれた前記部分内に摩擦装置76を配置してあり、この摩擦装置は軸線方向の舌片75を介して制御可能である。摩擦装置76は、例えば図5に示してあるように少なくとも1つの摩擦シュー77を有している。摩擦シュー77は、ほぼ組み込み室若しくは組み込み半径に適合された1つのプラスチック部材78及び該プラスチック部材78を半径方向に拡開する単数若しくは複数の蓄力器79から成っている。摩擦シュー77は半径方向内側に係止輪郭80を有していて、該係止輪郭と質量リング21とを協働させることによって軸線方向で固定されている。図1の実施例では、係止輪郭80が円錐状の面から成っており、この場合、円錐状の面の先端が内燃機関の方向に向けられており、円錐状の面は脚部24の対応するアンダカット部、即ち同じく円錐状の切欠きに係合している。
【0101】図4に示す摩擦シュー177は摩擦シュー77に対して異なる構造を有している。この場合には、はじめ平らなプラスチック部材178が、板ばねとして作用するはじめは同じく直線的な丸線材179と一緒に、質量リング21によって取り囲まれた湾曲する室内に変形して組み込むことに基づき半径方向にプレストレスをかけられている。さらに図4から明らかなように、軸線方向の舌片75が摩擦シュー77若しくは177に対して距離81を有しており、これによって摩擦作用が遊び、即ち距離81を経る所定の回動角の後に生ぜしめられる。複数の摩擦シュー77若しくは177を周囲に分配する場合には、距離を異なって構成して、これによって段階的な摩擦作用を生ぜしめることも可能である。摩擦シュー77若しくは177を軸線方向の舌片75間に遊びなしにはめ込むことも可能である。摩擦シュー77,177にとって異なる材料を用いることによって、若しくは摩擦シュー77,177を半径方向の異なるプレストレスで組み込むことによって摩擦力を段階的にすること若しくは調節することも可能である。
【0102】図6では、これまで説明した構成部材と類似若しくは同じ構成部材にはさらに100を加えた符号を付けてある。
【0103】分割式のはずみ車101は前述のはずみ車1と構造的にほぼ同じであるものの、相違点として転がり支承部の代わりに滑り支承部から成る支承部106を有している。支承部106の形成のためにフランジ115の軸線方向の端部区分115b内の外側の周面若しくは支持肩部に、図6の実施例ではプラスチック製の支承ブッシュ106bの形の滑り支承材料が設けられている。支承ブッシュ106bは軸線方向の端部区分115bの自由端部からまず内燃機関の方向に延びて、次いで湾曲して半径方向外側に向いた区分106bに移行しており、この区分がフランジ115の支持区分115dに接触しており、かつ支承ブッシュの半径方向内側に向いたつば106cがフランジ115の端部区分115bの自由端部に接している。カバー薄板138のまず軸線方向で内燃機関に向かって延びる肩部139は、内周で支承ブッシュ106bを取り囲んでいて、内燃機関側の自由端部で支承ブッシュ106bの経過若しくは半径方向外側に向いた区分106dの経過に適合している。このような構造により、カバー薄板138、ひいては第2の質量体103が半径方向でも内燃機関に向かう軸線方向でも支えられる。ここに示した実施例と異なって、半径方向力成分及び軸線方向力成分の支持を別個の支承シェル構成部材によって行うことも可能である。
【0104】クラッチ板105の支持薄板とそのボス若しくはボスフランジとの結合が、図1の実施例と同じようにリベットを介してではなく、摩擦溶接結合部105bを介して行われている。さらに、この結合はボスフランジの材料を用いることによって行うこともでき、その結果、付加的な結合部材が不必要である。従ってこのような結合はわずかな構成部材で経済的に行われる。
【0105】図6のbはクラッチ板105の支持薄板とそのボス若しくはボスフランジとの別の結合部105cを示している。支持薄板が貫通孔156の範囲で変形されて、ボスフランジにかしめ結合されている。即ち、クラッチ板105の支持薄板の材料がボスフランジを軸線方向に貫通して、貫通孔156を中心として半径方向外側へ変形されて、アンダカットを形成しており、このアンダカットがクラッチ板105のボスフランジを不動に受容している。このようにして少ない構成部材での長期耐久性の結合部が得られる。かしめの行われる大きな貫通孔及び貫通孔の配置される円の大きな直径によって支持薄板の厚さが減少させられる。
【0106】別の実施例が図7に示してあり、この場合も類似若しくは同じ構成部材には該構成部材の符号にさらに100を加えた符号を付けてある。
【0107】図7に示すはずみ車(二分割質量はずみ車)201は、第2の質量体203とカバー薄板246との結合を図1の実施例に対して異にしている。カバー薄板246が延長された半径方向区分245を有しており、この半径方向区分が半径方向で第2の質量体203を被っていて、半径方向外側の端部で内燃機関から離れる方向に向いた軸線方向区分245aに移行している。カバー薄板246の軸線方向区分245aが第2の質量体203を少なくとも部分的に軸線方向に被っていて、第2の質量体と一緒にピンを介してクラッチカバー260の軸線方向に延びる区分273に堅く結合されている。第2の質量体203の半径方向内側の範囲で、カバー薄板246がはじめは軸線方向で内燃機関から離れる方向に向いた舌片246aを介してカバー薄板238に堅く結合されており、このために舌片246aがカバー薄板238の半径方向区分244を軸線方向に貫通して、これらの部材の組み立ての後に第2の質量体203の側で塑性変形させられて半径方向内側に向けられている。舌片246aは直接にカバー薄板246の材料から形成されており、従って図1のつば出し薄板52のような付加的なつば出し薄板が省略される。この実施例の別の利点として、第2の質量体203から両方のカバー薄板238及び246への熱移動、ひいては潤滑剤への直接作用が減少させられている。さらに特に冷却のためにカバー薄板246の半径方向区分245の付加的な切欠き245bが役立っている。
【0108】摩擦装置279のために、図4に示す構造の摩擦シュー177を設けてあり、この摩擦シューが係止輪郭180で質量体221の脚部224の後ろ側に係合している。このような構造の摩擦シュー177においては脚部224の半径方向外側の制限面が軸線平行に維持でき、これによって図1の円錐形の構造のための加工過程が省略され、経済的な製造が可能である。
【0109】図8には本発明に基づくトルク伝達装置の別の実施例が示してあり、この場合も類似若しくは同じ構成部材には該構成部材の符号にさらに100を加えた符号を付けてある。
【0110】図1に示すはずみ車1に対する違いとして、分割式のはずみ車(二分割質量はずみ車)301がほぼS字形横断面の質量リング321を有しており、この質量リングが摩擦装置376を取り囲むように受容している。この摩擦装置376は構造、配置、及び機能の点でこれまで述べた摩擦装置にほぼ相応している。
【0111】これまで述べたトルク伝達装置に対する違いとして、はずみ車301は、作用的に第2の質量体303と室311を形成するカバー薄板338及び346との間に配置されたトルク制限機構若しくは滑りクラッチ381を有している。第2の質量体303とカバー薄板338及び346との結合がつば出し薄板352を介して図1に関連して述べた形式に類似して行われる。第2の質量体303とつば出し薄板352若しくはカバー薄板338との間に摩擦ライニングの形の摩擦材料382が配置されている。この摩擦材料は、潤滑剤を受容する室311の方向への熱絶縁としても用いられる。薄板部材313に向けられたカバー薄板346の半径方向区分345とつば出し薄板352の変形された保持舌片354との間に、軸線方向力を生ぜしめる皿ばね383を配置してあり、この皿ばねが第2の質量体303、つば出し薄板352並びに半径方向区分344及び345を互いに締め付けており、従って摩擦材料(摩擦ライニング)382に生じる摩擦に基づき所定のトルク若しくは周方向に作用する所定の力が滑りクラッチ381から、ひいては分割式のはずみ車301から伝達される。
【0112】皿ばね383の圧着力、ひいては伝達可能なトルクは第1の質量体302と第2の質量体303との最大の相対回動の範囲で減少するように調節可能であり、従って一次側と二次側とが滑りクラッチ381の少なくとも部分的に開いている場合に互いにさらに回動でき、その結果、不都合な超過モーメントが別の構成部材に対して遮断され、若しくは後続の動力伝達装置への不都合な超過モーメントの伝達が避けられる。このために皿ばね383が、特に図9に明確に示すように該皿ばねの平面から内燃機関の方向に向かって傾斜させられた舌片383aを有しており、この舌片が薄板部材313の対応して形成された乗り上げ面313aと協働するようになっている。
【0113】第1の質量体302と第2の質量体303との相対回動に際して、舌片383aと乗り上げ面313aとが互いに接近して、所定の回動角を経た後に互いに接触する。同じ方向での引き続く相対回動に際して、舌片383aが乗り上げ面313a上を滑動して、皿ばね383を軸線方向へ第1の質量体302の薄板部材313に接近させ、これによって皿ばね力が減少させられる。皿ばね力のこのような減少によって滑りクラッチ381の少なくとも部分的な開きが生じ、従って第2の質量体303が該質量体に取り付けられた摩擦クラッチ304と一緒にカバー薄板338及び346に対して滑る。この場合、滑りクラッチ381は相対運動の一方向でも両方向でも有効であり、換言すれば両方向で同じに、即ち対称的に構成されていてよく、又は異なって構成されていてもよい。図8の実施例ではトルク制限機構若しくは滑りクラッチ381が二次側にかつ半径方向で(一列に)第2の質量体303とコイル圧縮ばね(蓄力器)310との間に配置されている。
【0114】図10に示すはずみ車(二分割質量はずみ車)は同じく図1のはずみ車にほぼ類似しており、機能的に同じ若しくは類似する構成部材には同じくさらに100を加えた符号を付けてある。
【0115】図10に示すはずみ車401においては、フランジ415と431とはフランジ431の半径方向の距離(幅)全体にわたって互いに接触しており、即ち軸線方向で互いに隔てられた区分は存在していない。さらに、第1の質量体402の構成部材(薄板部材)413が第1の質量体402若しくははずみ車401全体を内燃機関の出力軸上にセンタリングするためのセンタリング座部430を有している。フランジ415と431とは唯一の部材で構成されていてよく、唯一の部材が鋳造品、鍛造品、若しくは焼結品から成っていてよい。
【0116】図10の実施例では室411の半径方向内側の制限面が別個の部材484によって形成されており、この部材がこの場合にはプラスチックから成っていて、付加的に半径方向内側の区分で固定ねじ408を案内し若しくは固定ねじの傾倒を防止できるように固定ねじの頭部を取り囲んでいてよい。さらに、部材484は半径方向内側で、シールとして作用する皿ばね450を取り囲んでおり、この皿ばねは他方でカバー薄板438と協働するようになっている。ねじ回し工具を差し込むため、若しくは固定ねじ408を通過させるために役立つ切欠き442は、軸線方向の付加部若しくはつば442aによって取り囲まれており、この付加部若しくはつばの内周は固定ねじ408をはずみ車401の組み込まれていない状態で受容して支え、かつトルク伝達装置の回転軸線に対してほぼ同軸的な位置に保持できるように適合させられている。付加部若しくはつば442aは外周の半径方向外側の区分に例えば皿ばね450の組込のための補助センタリング部分を形成している。
【0117】第2の質量体403は図示の実施例では周囲に分配された複数の固定プレート485を用いてクラッチカバー460の軸線方向の区分473に結合されている。特に図11から明らかなように、固定プレート485は半径方向の突出部を有しており、この突出部がクラッチカバー460の軸線方向の区分473の切欠きを貫通している。固定プレート485はねじ485aを用いて第2の質量体403の摩擦面と逆の側にねじ固定されており、この場合、ねじが第1の質量体402の通気のためにも役立つ開口485bを介してねじ込まれる。固定プレート485と第2の質量体403との間の接触面を異なって形成することによって、半径方向及び軸線方向の異なる緊定力を生ぜしめることができる。
【0118】第1の質量体402の構成部材413は、通気のためにも役立つ別の開口471及び471aを有しており、半径方向内側の開口471aがほぼ室411の範囲に配置されている。これによって、室411に直接に触れて室内の潤滑剤の不当な加熱を防止する空気流が生じる。さらに図10から明らかなように、構成部材413の、内燃機関と逆の側が室411の範囲で該室の輪郭にほぼ適合されている。
【0119】図12には負荷区分436a,436bの配置を示してあり、この負荷区分に対して対称的に負荷区分437a,437bが形成されている。負荷区分436a,436b,437a,437bは、付加的な部材を用いることなしに、カバー薄板438及び446の材料を軸線方向に変形させることによって形成されている。図12に示すように負荷区分436a,436bの段部を周方向で達成するために、カバー薄板の材料の軸線方向での変形部がダブル押し込み(Doppel-einzug)によって形成されてよい。
【0120】図示のはずみ車401は別個の摩擦装置を有していないが、アイドリング運転範囲のための摩擦装置並びに負荷運転範囲のための摩擦装置を備えて構成されてよい。クラッチ板405の支持薄板が同じくカバー薄板438の輪郭にほぼ適合させられていて、室411の範囲並びに該室の半径方向外側の範囲に冷却空気流を通過させるための通気開口を有しており、冷却空気流が室の壁、即ちカバー薄板438に沿って流れて、第2の質量体403の通気開口470を通って第1の質量体402の方向に流出する。
【0121】図13に示すはずみ車(二分割質量はずみ車)501においては、フランジ415及び431並びに部材484の機能が唯一のフランジ515に統合されている。このフランジ515は同じく鋳造品、鍛造品、若しくは焼結品から後処理なしに製造されていてよく、その結果、第1の質量体502が組み立て後処置なしに装着できる。焼結品から成るフランジ515は経済的であり、それというのは図10のプラスチック部材484のような付加的なプラスチックシール部材が省略されるからであり、かつ支承部506のための座部515b及び内燃機関の出力軸への組込のためのセンタリング座部530も付加的な後処置なしに形成されるからである。
【0122】図14においても、類似若しくは同じ構成部材には該構成部材の符号にさらに100を加えた符号を付けてある。
【0123】図14に示すはずみ車(二分割質量はずみ車)601は、内燃機関の出力軸(図示せず)に取付け可能な第1及び第2の質量体602,603を有している。第2の質量体603には摩擦クラッチ604がクラッチ板605を介在して取り付けられており、クラッチ板のボスが動力伝達装置(図示せず)の入力軸に、若しくは該入力軸と結合された軸に受容される。ここでは1実施例として剛性的に構成されたクラッチ板605は別の構造を有し、例えばライニング弾性体を備えて構成されていてよい。
【0124】両方の質量体602と603とは該質量体に結合された構成部分を含めて、この実施例では転がり軸受から成る支承部606を介して互いに回動可能に支承されており、この支承部はこの実施例では、内燃機関の出力軸へのトルク伝達装置の組み立てのための固定ねじ608を貫通させる孔607の半径方向外側に配置されている。両方の質量体602,603間で作用する緩衝装置609は例えばコイル圧縮ばね610若しくは脚部ばねを有しており、このコイル圧縮ばね若しくは脚部ばねはリング状の室611内に受容されており、リング状の室611は半径方向外側の範囲でほぼトーラス状の部分612を成している。この場合、リング状の室611は少なくとも潤滑剤の媒体で充填可能である。
【0125】第1の質量体602は有利には薄板材料から製造された構成部材613によって形成されており、この構成部材がはずみ車601を内燃機関のクランク軸へ取り付けるために役立っている。この場合、構成部材613が内周にほぼ半径方向に延びるフランジ状の区分614を有しており、この区分が半径方向内側でフランジ615を支持しており、このフランジの半径方向の区分615aが固定ねじ608のための切欠き607と合致する孔を有している。図示の単列の玉軸受、即ち支承部606は外側リング617で以てフランジ615の軸線方向の端部区分615bの内周面若しくは支持面内に受容されている。支承部606の転がり軸受の内側リング616に第2の質量体603が支えられている。ほぼ半径方向に延びる区分614は、軸線方向で内燃機関に向けて湾曲された湾曲部618の後に始動歯環619に移行しており、この場合、始動歯環は第1の質量体602と一体的に構成されている。始動歯環619はここでも例えば図1に関連して述べた方法で形成されている。半径方向内側に向いた脚部620は構成部材(薄板部材)613に溶接されていて、この溶接範囲で内燃機関から離れる方向に向いた軸線方向区分620aに移行しており、この軸線方向区分が再び半径方向の区分620bに移行しており、この区分がはずみ車601の回転軸線の方向に延びている。
【0126】回転軸線を中心として回転するはずみ車601の質量慣性モーメントを高めるために、内燃機関に連結可能な第1の質量体602が質量リング621を有しており、この質量リングは図示の実施例では鋳造品として構成されている。質量リング621は少なくとも部分的に、構成部材613の、内燃機関と逆の側に接していて、かつ半径方向外側で軸線方向区分620aに隣接している。第1の質量体602内への質量リング621の取付けが、この場合にはつば出し、即ち半径方向の区分620bによって行われ、この区分620bははじめは軸線方向区分620aの延長線上に延びていて、塑性変形によって図14に示してあるように半径方向内側に向けられている。
【0127】フランジ615は第1の質量体602にセンタリングして結合されており、この場合、センタリングが例えばセンタリング座部628を介して行われ、このセンタリング座部が構成部材613の中央の対応する切欠きと協働するようになっている。さらに、フランジ615は半径方向内側に別のセンタリング座部630を有しており、このセンタリング座部は組み込まれた状態ではずみ車601を出力軸上でセンタリングする。
【0128】フランジ615は該フランジの半径方向区分615aの半径方向外側でまず軸線方向に内燃機関から離れる方向へ(図示の実施例では固定ねじ608の頭部の端部範囲まで)延びて、次いで再び半径方向で外側へ延びている。フランジ615は半径方向外側の部分にコイル圧縮ばね610のための負荷区分634を形成しており、この負荷区分634は半径方向外側へ延びる張り出し部615cによって構成されており、この張り出し部は周方向に作用可能な蓄力器、即ちコイル圧縮ばね610間の中間室内に突出している。フランジ615、若しくは該フランジの軸線方向の端部区分615bの半径方向外側に位置する負荷区分634は、図1に関連して述べるようにばね端部に適合して構成されていてよい。
【0129】蓄力器、即ちコイル圧縮ばね610は他方で、図1で述べるように異なる範囲に分配されていてよい負荷区分636,637を負荷するようになっている。負荷区分636は第1のカバー薄板638に配置されており、このカバー薄板が半径方向内側で支承部606に、即ちここでは単列の転がり軸受の内側リング616に支えられ、かつ半径方向外側で第2の質量体603を支持している。カバー薄板638は半径方向内側の部分に軸線方向で内燃機関へ向かって延びる肩部639を形成しており、この肩部が外周に内側リング616を受容している。カバー薄板638は支承部606の半径方向内側で、周囲に分配された固定ねじ608の範囲を半径方向内側へ延びる区分641に移行している。
【0130】カバー薄板638の半径方向内側の区分641が貫通孔642を有しており、この貫通孔がはずみ車601の組み込まれていない状態で固定ねじ608の頭部を固定して、固定ねじをはずみ車601の回転軸線に対してほぼ平行な位置に保持するように適合されている。カバー薄板638は支承部606の半径方向外側で室611の室壁を形成し、かつコイル圧縮ばね610を少なくとも部分的に取り囲んでいて、次いで外側に向いた半径方向区分644に移行しており、この半径方向区分が、軸線方向でカバー薄板638と構成部材613との間に配置された第2のカバー薄板646の半径方向区分645に、図示の実施例では溶接によって堅く結合されている。コイル圧縮ばね610とトーラス状の部分612若しくはリング状の室611の半径方向外側の部分との間に摩耗防止部材612aを設けてあり、この摩耗防止部材は図示の実施例ではシェル状にコイル圧縮ばね610を取り囲んでいる。
【0131】半径方向区分644は半径方向区分645を越えて突出していて、既に述べたように、外周部分を折り曲げて半径方向内側に向いた脚部644aを形成している。この脚部644aの半径方向外側の部分は直接に半径方向区分644に接しているのに対して、脚部644aの半径方向内側の部分は半径方向区分644から軸線方向の間隔を置いて位置している。脚部644aはリング状の室611の半径方向外側の制限部の近くまで延びている。前記軸線方向の間隔を通して冷却空気流が導かれ、次いで半径方向区分644の軸線方向の切欠き644bを通して流過させられ、次いで質量リング621と第2の質量体603との間の中間室を通して半径方向外側へ導かれる。
【0132】カバー薄板646は負荷区分637の半径方向内側で軸線方向に内燃機関に向けて段付けされた区分648を形成しており、この区分648が皿ばね649を支えており、この皿ばねは半径方向内側でフランジ615と接触していて、ひいては室611を半径方向内側に対してシールしている。この場合、皿ばね649のセンタリングがカバー薄板646によっても、フランジ615によっても行われる。別の皿ばね650が室611をフランジ615とカバー薄板638との間で半径方向内側に対してシールしている。このために、皿ばね650が外周で以てフランジ615にセンタリングして保持され、かつ内周で以て弾性的にカバー薄板638に接している。この実施例では、皿ばね650、即ち室611のシール部材が支承部606の半径方向内側に配置されている。このような配置によって、リング状の室611が乾燥した若しくはパスタ状の潤滑剤で、それも少なくとも運転中、即ちはずみ車601の回転に際して支承部606を潤滑剤に接触させるように満たされる得る。はずみ車601は同じく、摩擦クラッチ604及びクラッチ板605から成るクラッチ装置と一緒に構成ユニットとして構成されていてよく、このような構成ユニットは既に述べたようにあらかじめ組み立てられる。この場合、クラッチ板605は構成ユニットの回転軸線に対してあらかじめセンタリングされた位置で圧力板655と第2の質量体603の摩擦面との間に緊定されている。
【0133】皿ばね657を介して操作可能な摩擦クラッチ604はクラッチカバー660に旋回支持部658を有し、かつクラッチカバーと逆の側に旋回支持部659を有しており、旋回支持部は、摩耗を補償する後調節装置686の構成部分であり、この後調節装置はドイツ国特許出願公開第4239291号明細書に記載の装置と類似して構成されていてよい。トルク伝達のため及び圧力板の持ち上げ運動のために、板ばね部材663を設けてあり、この板ばね部材が一方でリベットを介してケーシング若しくはクラッチカバー660に結合され、かつ他方でリベット665を介して圧力板655に結合されている。この場合、圧力板655とのリベット固定はクラッチ板605の摩擦ライニングの半径方向内側並びに負荷区分666aの半径方向外側で行われており、この負荷区分666aは皿ばね657の半径方向外側区分に接している。
【0134】固定ねじ608及び工具を通すため、並びに冷却のための切欠きが、これまで述べた実施例に類似して図14の実施例にも設けられていてよい。
【0135】第2の質量体603の半径方向外側の区分がクラッチカバー660を支持しており、このクラッチカバーが第2の質量体に堅く結合されている。クラッチカバー660と第2の質量体603若しくは半径方向区分644との結合は、図示の実施例では固定舌片674aを介して行われ、この固定舌片は組み立てられていない状態では少なくともほぼ軸線方向に延びていて、第2の質量体603の押し込み若しくは装着の後に塑性変形させられて、図14に示してあるように、半径方向内側に向かって第2の質量体603の対応する切欠き内に係合し、第2の質量体を軸線方向でも周方向でも堅く結合している。
【0136】本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、種々の実施例に関連して述べた特徴若しくは部材を組み合わせて成る変化例も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づくトルク伝達装置の断面図
【図2】図1の矢印II方向で見た部分平面図
【図3】可能なばね配置を示す平面図
【図4】摩擦装置の部分断面図
【図5】別の実施例の摩擦装置の摩擦シューを示す図
【図6】本発明に基づくトルク伝達装置の別の実施例の部分断面図
【図7】本発明に基づくトルク伝達装置の別の実施例の断面図
【図8】本発明に基づくトルク伝達装置の別の実施例の部分断面図
【図9】図8の矢印IX方向で見た部分平面図
【図10】本発明に基づくトルク伝達装置の別の実施例の部分断面図
【図11】図10の矢印XIに沿った部分断面図
【図12】図10の矢印XIIに沿った部分断面図
【図13】本発明に基づくトルク伝達装置の別の実施例の部分断面図
【図14】本発明に基づくトルク伝達装置の別の実施例の部分断面図
【符号の説明】
1 はずみ車、 2,3 質量体、 4 摩擦クラッチ、 5 クラッチ板、 5a 開口、 6 支承部、 6a シールキャップ、 7孔、 8 固定ねじ、 9 緩衝装置、 10 コイル圧縮ばね、 11 室、 12 部分、 13 構成部材、 14 区分、 15 フランジ、 15a 区分、 15b 端部区分、 15c 張り出し部、16 内側リング、 17 外側リング、 18 区分、 19 始動歯環、 20 脚部、 21 質量リング、 22 脚部、 22a端部区分、 22b 面取部、 23 脚部、 23a 湾曲部、24, 25 脚部、 25a 区分、 26 切欠き、 27 溶接部、 28 センタリング座部、 29 突出部、 30 センタリング座部、 31 フランジ、 31a,31b 区分、 31c 張り出し部、 32 結合突出部、 33 湾曲部、 34,35,36a,36b,37a,37b 負荷区分、 38 カバー薄板、 39 肩部、40 直径縮小部、 41 薄板区分、 42 貫通孔、 43 区分、44,45 半径方向区分、 46 カバー薄板、 47 O・リング、 48 区分、 49,50 皿ばね、 51 センタリング突起部、52 つば出し薄板、 54 舌片、 55 圧力板、 56 開口、 57 皿ばね、 57a 舌片、 58,59 旋回支承部、 60 クラッチカバー、 61 条片、 62 条溝、 63 板ばね部材、 64,65 リベット、 66 圧力板突出部、 67 切欠き、68,69,70,71 開口、 73 区分、 75 舌片、 76摩擦装置、 77 摩擦シュー、 78 プラスチック部材、 79 蓄力器、 80 係止輪郭、 81 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】 トルク伝達装置において、周方向に作用する蓄力器を備えた緩衝装置の作用に抗して支承部を介して互いに回動可能な少なくとも2つの質量体を有しており、1つの質量体−第1の質量体−が内燃機関の出力軸に結合可能であり、かつ別の質量体−第2の質量体−が摩擦クラッチを介して動力伝達装置の入力軸に結合可能であり、この場合、蓄力器が摩擦クラッチの摩擦面の半径方向内側で周方向に延びる少なくともほぼ閉じられた室内に配置されていることを特徴とするトルク伝達装置。
【請求項2】 室が蓄力器を少なくとも半径方向外側の範囲で取り囲んでいる請求項1記載のトルク伝達装置。
【請求項3】 室が少なくとも半径方向外側の範囲で蓄力器の輪郭に適合されている請求項1又は2記載のトルク伝達装置。
【請求項4】 室が少なくとも2つの壁によって形成されており、少なくとも1つの壁が第2の質量体に結合されている請求項1から3のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項5】 室の少なくとも1つの壁が第2の質量体を支持している請求項1から4のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項6】 支承部が滑り支承部として構成されている請求項1から5のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項7】 支承部が転がり支承部として構成されている請求項1から5のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項8】 蓄力器がコイルばねを用いて構成されている請求項1から7のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項9】 蓄力器が脚ばねを用いて構成されている請求項1から7のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項10】 室が少なくとも半径方向内側でほぼシールされていて、少なくとも部分的に乾燥潤滑剤で満たされている請求項1から9のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項11】 室がラビリンスシールを介してシールされている請求項10記載のトルク伝達装置。
【請求項12】 室が少なくともほぼシールされていて、粘稠性の媒体若しくはパスタ状の媒体で少なくとも部分的に満たされている請求項1から9のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項13】 支承部が室内に配置されている請求項1から12のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項14】 支承部が蓄力器の半径方向内側に配置されている請求項1から13のいずれか1記載のトルク伝達装置。
【請求項15】 室の第2の壁を形成するカバー薄板が蓄力器の半径方向外側で、室の第1の壁を形成するカバー薄板に堅く結合されている請求項1から14のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項16】 結合部が室の壁間でO・リングを用いてシールされている請求項15記載のトルク伝達装置。
【請求項17】 室の壁を形成するカバー薄板が蓄力器のための負荷区分を有している請求項1から16のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項18】 負荷区分が互いに向き合わされた軸線方向の圧刻部によって形成されており、該圧刻部が軸線方向で蓄力器間の中間室内に突出している請求項17記載のトルク伝達装置。
【請求項19】 カバー薄板が第2のはずみ車に結合されている請求項1から18のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項20】 カバー薄板が第2の質量体の摩擦面と逆の側に枢着されている請求項19記載のトルク伝達装置。
【請求項21】 カバー薄板が第2の質量体に形状接続的に結合されている請求項1から20のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項22】 カバー薄板が第2の質量体に摩擦接続的に結合されている請求項1から20のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項23】 トルク制限機構が動力伝達路内に配置されていて、トルクが内燃機関側から見て第1の質量体から、室内に突入していて蓄力器を負荷するフランジ部分を介して蓄力器へ伝達され、そこからトルク制限機構の、蓄力器の半径方向外側に設けられて摩擦クラッチの半径方向外側に位置する摩擦区分内にわずかに突入する摩擦面へ伝達されてかつ、そこから第2の質量体へ伝達されるようになっている請求項1から22のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項24】 摩擦接続的な結合部が軸線方向でプレストレスをかけられている請求項22又は23記載のトルク伝達装置。
【請求項25】 皿ばねが軸線方向のプレストレスに必要な軸線方向力を生ぜしめるようになっている請求項24記載のトルク伝達装置。
【請求項26】 軸線方向力が皿ばねの操作によって変えられるようになっている請求項25記載のトルク伝達装置。
【請求項27】 皿ばねの操作が第1の質量体によって行われるようになっている請求項26記載のトルク伝達装置。
【請求項28】 操作部材が第1の質量体と一体的に構成されている請求項27記載のトルク伝達装置。
【請求項29】 カバー薄板が摩擦材料を介在して第2の質量体に結合されている請求項22から28のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項30】 摩擦材料が熱絶縁部を形成している請求項29記載のトルク伝達装置。
【請求項31】 室の壁を形成するカバー薄板が支承部によって保持されている請求項1から30のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項32】 蓄力器が他方で負荷区分に支えられており、この負荷区分が室内に突入するフランジに配置されており、フランジが蓄力器の半径方向内側で第1の質量体に結合されている請求項1から31のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項33】 フランジと第1の質量体との結合が固定ねじを用いて行われており、この固定ねじが第1の質量体若しくはトルク伝達装置を内燃機関の出力軸に結合するために役立っている請求項32記載のトルク伝達装置。
【請求項34】 2つのフランジを設けてあり、両方のフランジが外径範囲で互いに堅く結合されている請求項32又は33記載のトルク伝達装置。
【請求項35】 両方のフランジがトルク伝達装置をクランク軸に固定するために役立つ固定ねじの範囲で互いに接触している請求項32から34のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項36】 両方のフランジがフランジの外径と固定ねじとの間の半径方向の区分で互いに軸線方向に隔てられている請求項32から35のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項37】 第1の質量体に結合された1つの若しくは両方のフランジの負荷区分がコイルばねによって構成された蓄力器に適合されており、蓄力器のばね端部巻条がばね中央巻条にほぼ同じである請求項1から36のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項38】 フランジの負荷区分が入れ子式に組み込まれた内側ばね及び外側ばねのために段付けされている請求項1から37のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項39】 カバー薄板が、入れ子式に組み込まれた内側ばね及び外側ばねのための段付けされてた負荷区分を有している請求項1から38のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項40】 負荷区分がダブル押し込みによって形成されている請求項39記載のトルク伝達装置。
【請求項41】 第1の質量体とフランジとが互いに直接に座を介してセンタリングされている請求項1から40のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項42】 フランジが、内燃機関の出力軸上でトルク伝達装置をセンタリングするためのセンタリング座を有している請求項1から41のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項43】 フランジが支承部を支持している請求項1から42のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項44】 蓄力器を負荷するための2つのフランジを設けてあり、一方のフランジが、トルク伝達装置を内燃機関の出力軸に取り付け、かつ出力軸に対してセンタリングして、支承部を受容し、第1の質量体をセンタリングするために用いられている請求項1から43のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項45】 半径方向内側に位置する室シールがそれぞれ皿ばね状の構成部材によって行われており、この構成部材が一方で、室壁を形成するカバー薄板若しくは該カバー薄板に結合された構成部分と協働し、かつ他方で該構成部分と隣接のフランジ若しくはフランジに結合された構成部分と協働するようになっている請求項1から44のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項46】 フランジに結合されてかつ皿ばね状のシール部材と協働する構成部材が固定ねじのロックのために用いられている請求項1から45のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項47】 カバー薄板が、固定ねじを貫通させるための切欠きを有している請求項1から46のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項48】 カバー薄板が、固定ねじの操作のための工具を貫通させる切欠きを有している請求1から46のいずれか1項項記載のトルク伝達装置。
【請求項49】 切欠きがつばによって取り囲まれている請求項47又は48記載のトルク伝達装置。
【請求項50】 つばが皿ばね状のシール部材と協働するようになっている請求項49記載のトルク伝達装置。
【請求項51】 皿ばね状のシール部材が摩擦緩衝装置である請求項45から50のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項52】 蓄力器と摩擦クラッチの、第2の質量体に設けられた摩擦面とが軸線方向の同じ範囲に配置されている請求項1から51のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項53】 支承部と固定ねじの頭部とが軸線方向の同じ範囲に配置されている請求項1から52のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項54】 蓄力器が半径方向で固定ねじの頭部と摩擦クラッチの、第2の質量体に設けられた摩擦面との間に配置されている請求項1から53のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項55】 室の、固定ねじの頭部に向けられた側がフランジの壁によって形成されている請求項1から54のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項56】 次に述べる7つの構成部材のうちの少なくとも4つの構成部材:−伝達軸の成形部−支承部−固定ねじの頭部−半径方向内側の室壁−蓄力器−半径方向外側の室壁−第2の質量体の摩擦面が半径方向に一列に配置されている請求項1から55のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項57】 構成部材が互いに重ならない異なる直径範囲に配置されている請求項56記載のトルク伝達装置。
【請求項58】 少なくとも4つの構成部材が軸線方向で同じ範囲に配置されている請求項56又は57記載のトルク伝達装置。
【請求項59】 支承部が固定ねじの頭部の半径方向内側に配置されている請求項1から58のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項60】 固定ねじの頭部が支承部と蓄力器との間に配置されている請求項1から59のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項61】 蓄力器と固定ねじの頭部とが隣接してかつ軸線方向で同じ範囲に配置されている請求項1から60のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項62】 室を形成する壁が半径方向で蓄力器と固定ねじの頭部との間に位置している請求項1から61のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項63】 支承部が固定ねじの頭部の半径方向外側に配置されている請求項1から58のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項64】 緩衝装置の蓄力器が直径に対する長さの比を4乃至10の範囲で有している請求項1から63のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項65】 蓄力器が周囲の70%と95%との間の区分に亙って延びている請求項1から64のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項66】 少なくとも1つの蓄力器が周囲の140°よりも大きなセクタに亙って延びている請求項1から65のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項67】 蓄力器がほぼ組み込み状態に相応する半径にあらかじめ湾曲されている請求項1から66のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項68】 蓄力器が複数のばね段部から成っている請求項1から67のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項69】 蓄力器がコイルばねから成っており、コイルばねのばね端部巻条がばね中央巻条にほぼ相応している請求項1から68のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項70】 蓄力器と半径方向外側の室壁との間に摩耗防止部材が設けてあり、摩耗防止部材に蓄力器が少なくとも遠心力下で支えられている請求項1から69のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項71】 摩擦クラッチのクラッチカバーが第2の質量体上にセンタリングされている請求項1から70のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項72】 摩擦クラッチのクラッチカバーが第2の質量体を軸線方向で取り囲んでいる請求項1から71のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項73】 摩擦クラッチのクラッチカバーが第2の質量体上に、軸線方向に延びて該質量体を取り囲む区分でセンタリングされている請求項71記載のトルク伝達装置。
【請求項74】 クラッチカバーが溶接によって第2の質量体に結合されている請求項71から73のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項75】 クラッチカバーが第2の質量体に分離可能に結合されている請求項66から68のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項76】 クラッチカバーが自動的に分離されるようになっている請求項71から75のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項77】 摩擦クラッチのクラッチ板の支持薄板が室の輪郭にほぼ適合されている請求項1から76のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項78】 クラッチ板の支持薄板に若しくはクラッチ板へ向けられて室壁を形成するカバー薄板にカバー薄板の切欠きの範囲に潤滑剤はねのけ輪郭若しくは潤滑剤はねのけ薄板が設けられている請求項1から77のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項79】 クラッチ板の支持薄板が固定ねじの貫通のための切欠きを有している請求項1から78のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項80】 支持薄板が固定ねじを操作する工具の貫通のための切欠きを有している請求項1から78のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項81】 摩擦クラッチの圧力板がリング状の基板及び舌片から成る皿ばねによって負荷されるようになっており、皿ばねの輪郭がクラッチ板の支持薄板に対して少なくとも皿ばねと支持薄板との互いに接近している位置で少なくともほぼ適合されている請求項1から80のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項82】 皿ばねが舌片の範囲に、固定ねじを貫通させるための切欠きを有している請求項81記載のトルク伝達装置。
【請求項83】 皿ばねが舌片の範囲に、固定ねじ操作する工具を貫通させるための切欠きを有している請求項81記載のトルク伝達装置。
【請求項84】 皿ばねが摩擦クラッチの圧力板に配置された圧力板突起部を貫通させるための切欠きを有している請求項1から83のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項85】 切欠きが舌片を省略することによって形成されている請求項84記載のトルク伝達装置。
【請求項86】 圧力板を摩擦クラッチのクラッチカバーに対して回動不能に、しかしながら軸線方向移動可能に結合する板ばねが、クラッチカバーの、圧力板と逆の側に配置されている請求項1から85のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項87】 圧力板が摩擦面と逆の側を、クラッチカバー側の皿ばね支承部の輪郭に適合されている請求項1から86のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項88】 圧力板とクラッチカバー側の皿ばね支承部の一部分とが摩擦クラッチの遮断位置において軸線方向及び半径方向で重なり合っている請求項87記載のトルク伝達装置。
【請求項89】 クラッチカバー側の皿ばね支承部が、クラッチカバーと一体に形成された舌片によって構成されている請求項1から88のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項90】 圧力板が摩擦面と逆の側を舌片の輪郭に適合されている請求項89記載のトルク伝達装置。
【請求項91】 第1の質量体が少なくとも部分的に室の、該質量体に向けられた部分の輪郭に適合されている請求項1から90のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項92】 第1の質量体がほぼ薄板から製造されている請求項1から91のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項93】 第1の質量体が始動歯環を保持している請求項1から92のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項94】 始動歯環が折り重ねられた薄板部分によって形成されており、該薄板部分の壁面が互いに接している請求項1から93のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項95】 始動歯環が第1の質量体と一体的に構成されている請求項1から94のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項96】 第1の質量体が質量リングを有している請求項1から95のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項97】 質量リングが鋳造部材によって形成されている請求項96記載のトルク伝達装置。
【請求項98】 質量リングが折り重ねられた薄板部材によって形成されている請求項96記載のトルク伝達装置。
【請求項99】 質量リングがクラッチカバーの軸線方向の区分を取り囲みかつ該区分を少なくとも部分的に軸線方向で覆っている請求項96から98のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項100】 緩衝装置が荷重摩擦装置を有している請求項1から99のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項101】 荷重摩擦装置が蓄力器の半径方向外側に配置されている請求項100記載のトルク伝達装置。
【請求項102】 荷重摩擦装置が摩擦クラッチの中間の摩擦直径の半径方向外側に配置されている請求項100又は101記載のトルク伝達装置。
【請求項103】 荷重摩擦装置が、半径方向で隔てられた2つの摩擦面を備える少なくとも1つの摩擦部分を有している請求項100から102のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項104】 摩擦部分が第1の質量体との摩擦結合部を有している請求項100から103のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項105】 摩擦部分が第2の質量体の負荷部分によって負荷可能である請求項100から104のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項106】 摩擦部分と負荷部分とが周方向で遊びを有している請求項100から105のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項107】 複数の摩擦部分が負荷部分に対して異なる遊びを有している請求項100から106のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項108】 摩擦クラッチのクラッチカバーの軸線方向に延びる区分が荷重摩擦装置の構成部分である請求項100から107のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項109】 第1の質量体の質量リングが荷重摩擦装置の構成部分である請求項100から108のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項110】 荷重摩擦装置が、質量リングによってクラッチカバーの軸線方向の区分を取り囲む範囲に配置されている請求項100から109のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項111】 荷重摩擦装置が少なくとも1つの蓄力器を有している請求項1から110のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項112】 蓄力器が半径方向に作用するようになっている請求項111記載のトルク伝達装置。
【請求項113】 荷重摩擦装置が第1の質量体内に配置された少なくとも1つの摩擦シューによって形成されている請求項1から112のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項114】 摩擦シューがクリップ係合されている請求項113記載のトルク伝達装置。
【請求項115】 荷重摩擦装置が周囲に分配された複数の摩擦シューを有している請求項113又は114記載のトルク伝達装置。
【請求項116】 摩擦シューの少なくとも摩擦面若しくは摩擦シューがプラスチックから成っている請求項113から115のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項117】 クラッチ板の支持薄板及び又は皿ばねが、特にトルク伝達装置の通気のための別の切欠きを有している請求項1から116のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項118】 摩擦クラッチのクラッチカバーの軸線方向の区分に通気開口が設けられている請求項1から117のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項119】 摩擦クラッチのクラッチカバーの半径方向の区分に通気開口が設けられている請求項1から118のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項120】 第1の質量体に通気開口が設けられている請求項1から119のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項121】 室の半径方向外側で第2の質量体に通気開口が設けられている請求項1から120のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項122】 通気がクラッチ板の支持薄板を貫流する空気流によって、室壁に沿って室の外側で第2の質量体の通気開口を介して第1の質量体の方向へ行われるようになっている請求項1から121のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項123】 第1の質量体に、室壁へ向けられかつ第2の質量体に沿って流れる空気流のための通気開口が設けられている請求項1から122のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項124】 第1の質量体に、第2の質量体へ向けた空気流のための通気開口が設けられている請求項1から123のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項125】 第2の質量体の摩擦面と逆の側が熱導出の改善のために表面拡大されている請求項1から124のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項126】 圧力板の摩擦面と逆の側が熱導出の改善のために表面拡大されている請求項1から125のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項127】 表面拡大部及び又は通気開口が送風機羽根状に構成されている請求項117から126のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項128】 トルク伝達装置が摩擦クラッチ及びクラッチ板を含めて予め組み立て可能なユニットを形成しており、このユニットが固定ねじを用いて内燃機関と逆の側から内燃機関の出力軸にねじ固定可能である請求項1から129のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項129】 固定ねじがユニット内に含まれている請求項128記載のトルク伝達装置。
【請求項130】 固定ねじがユニット内に紛失しないように保持されている請求項129記載のトルク伝達装置。
【請求項131】 摩擦クラッチが押圧式のクラッチとして構成されている請求項1から130のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項132】 摩擦クラッチが引っ張り式のクラッチとして構成されている請求項1から130のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項133】 第2の質量体、トルク制限機構、若しくは滑りクラッチ及び周方向に作用する蓄力器が半径方向で一列に配置されている請求項1から132のいずれか1項記載のトルク伝達装置。
【請求項134】 蓄力器が、ほぼ閉じられて周方向に延びる室内に配置されている請求項133記載のトルク伝達装置。
【請求項135】 支承部が半径方向で一列に配置されている請求項133又は134記載のトルク伝達装置。
【請求項136】 トルク制限機構若しくは滑りクラッチが半径方向で蓄力器と第2の質量体との間に配置されている請求項133から135のいずれか1項記載のトルク伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開平7−98043
【公開日】平成7年(1995)4月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−137413
【出願日】平成6年(1994)6月20日
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (236)
【氏名又は名称原語表記】LUK LAMELLEN UND KUPPLUNGSBAU GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG