説明

トルク調節可能なヒンジ

【課題】
市販の金属ヒンジと同様に蓋体や開閉扉のような回動体を有する物品に取り付け、取り付けた物品の回動体の重量や形状に応じてトルクの調節が可能なヒンジを提供する。
【解決手段】
取付孔を設けた第1および第2リーフと、両リーフを相互に回転可能に接続し且つ第1リーフとともに回動するピボットとを備え、第2リーフにおいて、ピボットに密に嵌装し且つバレル部および平行延長部を有するプラスチック制動部材と、制動部材の外周面と対応する内周面を有する保持金具と、第2リーフに固着し且つ制動部材および保持金具の平行延長部の貫通孔を通過するボルトと、該ボルトにねじ込む調節ナットとで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市販の金属ヒンジと同様に蓋体や開閉扉のような回動体を有する物品に取り付けることができる制動回動のヒンジに関し、且つ取り付けた物品の回動体の重量や形状に応じてトルクの調節が可能なヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の家具、建具、日用品、容器、電気製品、鍵盤楽器またはその付属品において、蓋や窓のような開閉部材を持っているものは数多く存在し、例えば、図8に示すような鍵盤蓋と開閉リッド102を備えたグランドピアノ100、開閉フロント板を有するライティングデスク、開閉式の鏡板を取り付けた鏡台、蓋付きの宝石箱やオルゴールなどである。これらの商品では、開閉部材に市販の金属ヒンジ104を取り付け、該ヒンジによって開閉部材を回転自在に構成している。
【0003】
従来の金属ヒンジは、一連の管部に挿入したピボットによって2枚のリーフを相互に回転可能に接続し、該リーフの一方を蓋体に且つ他方を本体に木ネジや釘で固着する。この種のヒンジは、蓋体の荷重がリーフに掛かるならば該蓋体を任意の開口角度で静止できず、蓋体を部分的に開いた状態で手を離すと全開になるかまたは元のように閉じてしまう。この開閉作動は衝撃的に行われ、使用者が蓋体に指を詰めて怪我をしたり、蓋体や本体を損傷することになる。
【0004】
制動回動の金属ヒンジとして、実開昭53−140857号、本発明者らが出願した特開平9−217545号、特開2003−248527号などが存在する。これらのヒンジの取り付けにより、家具や建具などの蓋が開閉可能になるうえに、その蓋を任意の開口角度で静止でき、しかも開閉開始時に若干空回りすることもない。これらのヒンジを取り付けると、回動体の荷重がリーフに掛かってもその開閉作動が衝撃的に行われることがなく、使用者が回動体に指を詰めたり本体を損傷することを回避できる。
【特許文献1】実開昭53−140857号公報
【特許文献2】特開平9−217545号公報
【特許文献3】特開2003−248527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の金属ヒンジに関して、実開昭53−140857号に開示する蝶番は、トルク調節が可能であっても、金属部材で回転軸を締め付けるため、該回転軸の制動が十分に行われにくく、嫌な金属音が発生するとともに耐久性を欠く。さらに、締め付けネジの下方部とナットがリーフ裏面から突出しているので、取付可能な物品が限定されるという問題がある。一方、特開平9−217545号または特開2003−248527号に開示するヒンジは、中間バレル部において制動部材、保持金具および締め付け部材を有する点で同様であり、回転軸を十分に制動することができるうえに耐久性の点でも問題はない。
【0006】
特開平9−217545号に開示のヒンジは、締め付けネジの下端部がリーフ裏面から突出しているので取付可能な物品が限定され、締め付けネジを緩めすぎるとヒンジから脱落して紛失するおそれがある。また、特開2003−248527号に開示のヒンジでは、締め付け部材は単なるピンであり、ピン下端面がリーフ裏面と一致しているので取付可能な物品が限定されることはないが、該ピンを回してトルクを調節することはできず、用途が限定されてしまう。
【0007】
本発明は、従来の金属ヒンジに関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、家具、建具や容器などに取り付けるヒンジについてさらに改善を加え、取り付けるべき物品の回動体によってトルクの調節が可能なヒンジを提案するものである。すなわち、本発明の目的は、調節ナットを回すだけで、取り付けた物品の回動体の重量や形状に応じてトルクを容易に調節可能であるヒンジを提供することである。本発明の他の目的は、物品の回動部分に取り付けやすく、調節ナットを紛失することがないトルク調節可能なヒンジを提供することである。本発明の別の目的は、故障が少なく且つ美観的に優れたトルク調節可能なヒンジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るトルク調節可能なヒンジは、取付孔を設けた第1および第2リーフと、両リーフを相互に回転可能に接続し且つ第1リーフとともに回動するピボットとを備える。本発明に係るヒンジは、第2リーフにおいて、ピボットに密に嵌装し且つバレル部および平行延長部を有するプラスチック制動部材と、制動部材の外周面と対応する内周面を有する保持金具と、第2リーフに固着し且つ制動部材および保持金具の平行延長部の貫通孔を通過するボルトと、該ボルトにねじ込む調節ナットとで構成する。本発明に係るヒンジは、調節ナットを介して保持金具で制動部材を内方へ締め付けることにより、両リーフを任意の開口角度で静止できる。
【0009】
本発明に係るトルク調節可能なヒンジにおいて、ボルトの皿頭基部の座面をセレーション加工し、この溝付き基部を第2リーフの対応孔にかしめ止めすることにより、ボルトの空回りを防止するとともに、ボルト下端面をリーフ水平部の裏面と合致させると好ましい。望ましくは、ボルトの先端部に円板ストッパをかしめ止めすることにより、調節ナットを緩めてもボルトから脱落することがない。
【0010】
本発明に係るヒンジは、第2リーフにおいて、ピボットに密に嵌装し且つバレル部および平行延長部を有するプラスチック制動部材と、制動部材の外周面と対応する内周面を有する保持金具と、制動部材および保持金具の平行延長部の貫通孔を通過する調節部材と、フランジ部を有する2個のプラスチックスリーブとで構成してもよい。本発明に係るヒンジは、両スリーブをピボットに嵌装し、各スリーブのフランジ部が第1および第2リーフの軸受部間に位置するとともに、各スリーブの後端部を保持金具の側面と隣接させる。好ましくは、金属弾性片をボルトに嵌装して制動部材の両延長部間に介在させ、調節ナットを緩めた際に弾性片の弾力によって制動部材を開放する。
【0011】
本発明を図面によって説明すると、本発明に係るトルク調節可能なヒンジ1(図1)は、図8に示す従来の金属ヒンジ104と同様に、開閉リッド102のような回動体に一方のリーフ3または5を取り付け、ピアノ本体に他方のリーフ5または3を取り付ける。この明細書において、第1リーフおよび第2リーフは、2枚のリーフを単に説明のために区別して使用しているだけであり、第2リーフがピボット10とともに回動し、第1リーフにプラスチック制動部材16(図5)、保持金具18、ボルト28を含むバレル部20を設置することも当然可能である。
【0012】
ヒンジ1は、図1および図2に示すように、複数個の取付孔2を設けた第1および第2リーフ3,5からなる。第1リーフ3にはピボット10を水平に固着し、該ピボットに嵌装するバレル部20を第2リーフ5に取り付ける。バレル部20つまり制動部材16と保持金具18の横幅は、図1に例示のような比較的狭い横幅から第2リーフ5の軸受部12,14の内寸と等しい横幅まで広げることは任意であり、調節ナット40をねじ込むボルト28を複数本立設することも可能である。
【0013】
ピボット10には、その一端部または両端部において、第1リーフ3に水平に固着するための断面異形部を形成し、該異形部の断面形状に応じた貫通孔、凹みや盲孔などを第1リーフ3の軸受部7または8に設ける。ピボット10は、第1リーフ3の軸受部7,8にかしめ止めまたは溶接することも可能である。所望に応じて、ピボット10の周端などに環状溝(図示しない)を設け、該環状溝に適宜の係止金具を嵌め込み、該係止金具によって第1リーフ3から脱離することを防いでもよい。
【0014】
プラスチック制動部材16は、図5に示すように、その内周面が円形断面である湾曲部24と、該湾曲部の両端から外方へ平行に延設する延長部26,26を備えることにより、保持金具18とともに回転または静止し、且つピボット10の周面と接触する湾曲部24の内周面が摩擦面となる。制動部材16の延長部26,26は、通常の状態で所定の縦間隙を有し、この間隙の存在によって湾曲部24の内方変形によるピボット10の締め付けが可能となる。この縦間隙は、その距離が大きすぎると調節ナット40を締め付けても弾性片30を変形しないため、該弾性片の高さよりも狭くなるように定める。
【0015】
保持金具18は、制動部材16の外周面と密接する湾曲部36および延長部27,27を有する。調節ナット40が上方延長部27に作用することにより、保持金具18の湾曲部36を介して制動部材16を内方へ締め付ける。保持金具18の湾曲部36は、制動部材16の外周面の全体または一部を取り囲む。延長部27,27は、図示のようなほぼ同じ長さであっても長さが異なっていてもよく、第2リーフの一部を横長に延長してから湾曲させて保持金具を形成することも可能である。
【0016】
制動力を調節する部材は、ボルト28と調節ナット40の組み合わせが好ましく、場合によっては単なる頭付きネジ部材を用いてもよい。調節部材としての調節ナット40を回すと、保持金具18および制動部材16を内方へ締め付け、該制動部材にピボット10の制動力を付与する。調節ナット40は、そのねじ込み量によって制動部材16に付与する制動力を容易且つ微妙に調整でき、使用者の好みに応じた開閉作動に設定できる。また、十字穴や六角穴付の平頭ネジや六角頭ネジなどの頭付きネジ部材ならば、第2リーフ5または保持金具18の下方延長部のネジ孔へねじ込めばよい。
【0017】
ボルト28は、第2リーフ5の裏面縦中央に設けた皿孔32(図3)から垂直に立設し、その円錐状基部38を皿孔32内に嵌め込んでかしめ止めすることにより、ボルト28の下端面は第2リーフ5の裏面と合致する(図5参照)。ボルト28は、その円錐状基部38の座面をセレーション加工し、一方、皿孔32は単なる円形であっても、溝付き基部38に対応させて溝付き加工しておいてもよい。円錐状基部38の座面は、金型または転造によるセレーション加工によって溝付きに形成される。ボルト28は、その円錐状基部38を溝付き皿孔32から挿通し、ボルト基部38を皿孔32内にかしめ止めする。
【0018】
一方、ボルト28の先端部には、円板ストッパ42の中心貫通孔を嵌合してかしめ止めする。このストッパは、ボルト先端部に溶接や接着剤で固定しても、ボルト先端部を直径方向に塑性変形したり、ボルト28の直径方向にピン(図示しない)を貫通させてもよい。調節ナット40が極端に緩められても、該ナットはストッパ42で止まってボルト28から脱落することがない。
【0019】
弾性片30は、一般にバネ鋼製であり、制動部材16の延長部26,26間に介在させる(図4参照)。弾性片30は、図7に示すような台形、W形や波形側面の板材であっても、皿バネ、バネ座金、歯付座金、波形座金のような円形材でもよい。弾性片30は、調節ナット40を緩めた際に、その弾力によって制動部材16の延長部26,26間を大きく開くことにより、両リーフ3,5が相互に自由回動することを可能とする。また、弾性片30は、締め付け時に制動部材16の上方延長部27の変形を減らし、その損傷を未然に防ぐ。
【0020】
プラスチックスリーブ22は、用途に応じて任意の色に着色した耐磨耗性のプラスチックであり、通常は白色であると好ましい。スリーブ22は、図6に示すようなフランジ部23を有する円筒形であり、その内径はピボット10の直径にほぼ等しく、その外径は第2リーフ5の軸受部12,14の貫通孔の直径にほぼ等しい。2個のスリーブ22をピボット10に嵌装した際に、各フランジ部23は軸受部7と12の間または軸受部8と14の間に位置し、スペーサとしての機能を有する。また、各スリーブ22の後端部は、バレル部20における制動部材16の側面と隣接して遮蔽することにより、該制動部材が油などで汚染されることを未然に防止する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るトルク調節可能なヒンジは、蓋体や開閉扉のような回動体を任意の回転位置で静止できるうえに耐久性が高く、しかもその制動力を適宜に調節でき、多くの取付個所および異なる荷重の回動体に適用できる。本発明のヒンジは、両リーフの裏面にボルト下端部のような突起物がないから、通常の金属ヒンジと同様に容易に取り付けることができる。本発明のヒンジにおいて、ボルトは固定されているので制動力を調節するにはナットを回すだけでよく、該ナットはヒンジから脱落することがなく、ケアレスミスでヒンジが使用不能になることが発生しない。
【0022】
本発明のヒンジは、ピボットを2本のプラスチックスリーブでカバーしており、該スリーブはスペーサとして両スリーブの滑らかな回動と美観を高める点で好ましい。両スリーブは、その後端部で制動部材16の側面を遮蔽することにより、該制動部材が油などで汚染されて制動力が低下することを未然に防止する。
【0023】
本発明に係るヒンジは、蓋体や開閉扉のような回動体を有する家具、建具、容器や鍵盤楽器などについて、該回動体と基材との接続個所に木ネジや釘で取り付ければよい。本発明のヒンジにより、家具や建具などの蓋や開閉扉が開閉可能になるうえに任意の開口角度で静止できる。したがって、本発明のヒンジにより、回動体の荷重がリーフに掛かってもその開閉作動が衝撃的に行われることがなく、使用者が回動体に指を詰めたり本体を損傷することを回避できる。
【実施例1】
【0024】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明に係るトルク調節可能なヒンジ1は主として金属製であり、図1および図2に例示するように、複数個の取付孔2である皿孔を設けた長方形平面の第1および第2リーフ3,5で構成する。第1および第2リーフ3,5は、両端部を直角に折り曲げた浅いU字形断面である。
【0025】
第1リーフ3は、その両端部を直角に折り曲げた軸受部7,8によってピボット10を水平に支持する。ピボット10は、軸受部7,8にかしめ止めして固着することによって第1リーフとともに回動する。また、ピボット10の両端部を異形断面に成形し、この両端部を軸受部7,8の異形貫通孔に嵌入して固着してもよい。
【0026】
第2リーフ5は、第1リーフ3よりも幅が狭く、その両端部を直角に折り曲げた軸受部12,14の貫通孔(図示しない)をピボット10と嵌合することにより、第2リーフ5はピボット10の周面を回動する。第2リーフ5の中央部には、プラスチック制動部材16(図5)および該制動部材を覆う保持金具18を含むバレル部20を設置する。軸受部12,14の貫通孔の内径は、ピボット10の直径よりも大きく、該ピボットにはプラスチックスリーブ22(図6)を嵌装するため、該スリーブの外径とほぼ等しい。
【0027】
プラスチックスリーブ22は、フランジ部23を有する円筒形であり、その内径はピボット10の直径にほぼ等しい。2個のスリーブ22を図1のようにピボット10に嵌装した際に、各フランジ部23は軸受部7と12の間または軸受部8と14の間に位置する。また、各スリーブ22の後端部は、バレル部20における制動部材16の側面と隣接する。スリーブ22,22は、ピボット10の保護と美観のために用い、通常は白色であるが、ヒンジ1の取付個所に応じて任意の色に着色できる。
【0028】
第2リーフ5において、バレル部20は、図5に示すように、ピボット10に嵌装する湾曲部24および延長部26,26を有するプラスチック制動部材16と、該制動部材の外周面と対応する内周面を有する保持金具18と、制動部材16の延長部26,26および保持金具18の延長部27,27の貫通孔を通過するボルト28と、該制動部材の延長部26,26間に介在させる弾性片30とを有する(図4参照)。ボルト28は、第2リーフ5の裏面縦中央に設けた皿孔32(図3)から垂直に立設する。
【0029】
制動部材16は、耐磨耗性エンジニアリングプラスチック(例えば、炭素含有のポリアセタール樹脂)の射出成形品であり、保持金具18はバネ鋼製であると好ましい。弾性片30(図7)は、例えば波形断面の薄いバネ鋼製の板材であり、該弾性片の中心にボルト28を挿通する貫通孔34を設ける。制動部材16の延長部26,26に設けた貫通孔は、保持金具18の延長部27,27の貫通孔と垂直方向で整列し、両貫通孔はボルト28の直径よりも僅かに大きい。保持金具18は、制動部材16の湾曲部24の形状と対応する湾曲部36と平行延長部27,27を有し、その横幅は制動部材16のそれと等しい。
【0030】
ボルト28は、その円錐状基部38(図3)の座面をセレーション加工し、この溝付き基部に対応する皿孔32は単なる円形である。ボルト28は、制動部材16の延長部26,26および保持金具18の延長部27,27の貫通孔に挿通させ、その円錐状基部38を皿孔32内に嵌め込んでかしめ止めする。ボルト基部38を皿孔32内に十分に嵌め込むことにより、ボルト28の下端面は第2リーフ5の裏面と合致する(図5参照)。ついで、ボルト上方から調節ナット40をねじ込む。ボルト28の先端部には、円板ストッパ42の中心貫通孔を嵌合してかしめ止め、調節ナット40を極端に緩めても、該ナットはストッパ42で止まってボルト28から脱落することがない。
【0031】
ヒンジ1において、ピボット10は第1リーフ3とともに回転・静止し、一方、制動部材16および保持金具18を含むバレル部20は第2リーフ5とともに回転・静止する。袋レンチ(図示しない)などで調節ナット40を回し、制動部材16および保持金具18を適宜に締め付けると、ピボット10の外周面と制動部材16の内周面とが摩擦面となり、両リーフ3,5を任意の開口角度で静止できる。調節ナット40を回す際に、ボルト28の円錐状基部38を溝付き皿孔32にかしめ止めしたことにより、該ボルトが空回りすることはない。
【0032】
調節ナット40を適宜に回すと、保持金具18を介して制動部材16を内方へ締め付ける力を変更でき、ピボット10に対する制動部材16の回動制動力を正確に調節できる。この際に、調節ナット40を極端に緩めても、該ナットはストッパ42で止まってボルト28から脱落せず、制動部材16の延長部26,26間が弾性片30の弾力で大きく開かれることにより、該制動部材の湾曲部24がピボット10の周面と接触しなくなり、両リーフ3,5は相互に自由回動する。
【0033】
ヒンジ1は、蓋体や開閉扉などの回動体を有する家具や建具などについて、通常のヒンジと同様に、該蓋体と家具などの本体との接続個所に木ネジで取り付ける。例えば、図8においてグランドピアノ100の開閉リッド102のために金属ヒンジ104の代わりに使用すると、該リッドを任意の開放位置で静止できる。ヒンジ1は、寸法に応じて約5〜20kg重の荷重を受けることができ、長期間使用しても開閉作動は一定であり、該ヒンジは数万回以上の開閉試験に耐えうる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るトルク調節可能なヒンジを示す平面図である。
【図2】図1のヒンジを示す斜視図である。
【図3】図1のヒンジの裏面を示す平面図である。
【図4】図1のヒンジにおいて主として第2リーフを示す側面図である。
【図5】図1のA−A線に沿って切断したヒンジを拡大して示す横断面図である。
【図6】本発明で用いるプラスチックスリーブを拡大して示す縦断面図である。
【図7】本発明で用いる金属弾性片を拡大して示す斜視図である。
【図8】金属ヒンジの取付け例を示すグランドピアノの斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 トルク調節可能なヒンジ
2 取付孔
3 第1リーフ
5 第2リーフ
10 ピボット
16 プラスチック制動部材
18 保持金具
20 バレル部
22 プラスチックスリーブ
28 ボルト
30 弾性片
32 溝付き皿孔
38 ボルトの円錐状基部
40 調節ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付孔を設けた第1および第2リーフと、両リーフを相互に回転可能に接続し且つ第1リーフとともに回動するピボットとを備えるヒンジであって、第2リーフにおいて、ピボットに密に嵌装し且つバレル部および平行延長部を有するプラスチック制動部材と、制動部材の外周面と対応する内周面を有する保持金具と、第2リーフに固着し且つ制動部材および保持金具の平行延長部の貫通孔を通過するボルトと、該ボルトにねじ込む調節ナットとで構成し、調節ナットを介して保持金具で制動部材を内方へ締め付けることで両リーフを任意の開口角度で静止できるトルク調節可能なヒンジ。
【請求項2】
ボルトの皿頭基部の座面をセレーション加工し、この溝付き基部を第2リーフの対応孔にかしめ止めすることにより、ボルトの空回りを防止するとともに、ボルト下端面をリーフ水平部の裏面と合致させる請求項1記載のヒンジ。
【請求項3】
ボルトの先端部に円板ストッパをかしめ止めすることにより、調節ナットを緩めてもボルトから脱落することがない請求項1記載のヒンジ。
【請求項4】
取付孔を設けた第1および第2リーフと、両リーフを相互に回転可能に接続し且つ第1リーフとともに回動するピボットとを備えるヒンジであって、第2リーフにおいて、ピボットに密に嵌装し且つバレル部および平行延長部を有するプラスチック制動部材と、制動部材の外周面と対応する内周面を有する保持金具と、制動部材および保持金具の平行延長部の貫通孔を通過する調節部材と、フランジ部を有する2個のプラスチックスリーブとで構成し、両スリーブをピボットに嵌装し、各スリーブのフランジ部が第1および第2リーフの軸受部間に位置するとともに、各スリーブの後端部を制動部材の側面と隣接させ、両リーフを任意の開口角度で静止できるヒンジ。
【請求項5】
金属弾性片をボルトに嵌装して制動部材の両延長部間に介在させ、調節ナットを緩めた際に弾性片の弾力によって制動部材を開放する請求項1,2または4記載のヒンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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