説明

トレイ付き脚立

【課題】左右支柱間に踏み部材を備えてなる前側の昇降用脚体と、この昇降用脚体を支持する後側の支持脚体とを備え、左右支柱間の上端側に、トレイを、左右支柱の上端側間から後方に延出する使用姿勢と、支柱に沿った収納姿勢とに姿勢変更自在とすると共に使用姿勢から上方回りで回動させることにより収納姿勢へと姿勢変更自在に設けたトレイ付き脚立において、トレイが各姿勢から他の姿勢へと容易に回動しないよう構成する。
【解決手段】
昇降用脚体の支柱5の上端側に回動規制部33を設けると共に、使用姿勢及び収納姿勢において前記回動規制部33に係合することによりトレイ4の姿勢変更動作を規制し且つトレイ4を強制的に回動させることにより回動規制部33から外れてトレイ4の姿勢変更動作を許容する係合部28をトレイ4に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ付き脚立に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トレイ付き脚立として特許文献1に記載の脚立がある。
この脚立は、前側の昇降用脚体と、この昇降用脚体を支持する後側の支持脚体と、昇降用脚体の上端側に設けられたトレイとを備えている。
昇降用脚体は左右一対の支柱と、この左右支柱間に設けられた複数の踏み部材とを備えてなる。
【0003】
左右支柱はパイプ材からなり、この左右支柱の上端同士は該支柱を形成するパイプ材によって形成された連結杆によって一体的に連結されている。
トレイには左右支柱の上端同士を連結する前記連結杆に左右方向の軸心回りに回動自在に外嵌する枢支部が設けられ、該トレイが連結部に左右方向の軸心回りに回動自在に支持されている。
【0004】
このトレイは、前記連結部回りに回動させることにより使用姿勢と収納姿勢とに姿勢変更自在とされている。
このトレイは使用姿勢では支柱の上端側から後方に延出していると共に上面が上を向いており、この使用姿勢でトレイ上面側に工具等の物品が載置可能とされている。
この使用姿勢では、トレイの左右両側下部の前端側の接当部が支柱に後側から接当することにより、該トレイの下方回動が止められてトレイが使用姿勢に維持される。
【0005】
また、この使用姿勢からトレイを上方回りに回動させることにより、トレイが左右支柱の上部間に位置する収納姿勢に姿勢変更可能とされている。
この収納姿勢では、トレイの左右両側下部の後部側に設けられた接当部が支柱に前側から接当することにより、該トレイの後方回動が止められてトレイが収納姿勢に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6000497明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来の脚立にあっては、トレイの各姿勢から他の姿勢への姿勢変更動作を規制するものがないので、トレイを使用姿勢にした状態においてトレイに何かが当たると、該トレイが傾いてトレイ上のものが転がり落ちる惧れがある。また、トレイを収納姿勢にして脚立を移動させる際には、トレイが揺動し、例えば、該トレイが作業者等に当たる惧れがある。
【0008】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するトレイ付き脚立を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
請求項1に係る発明では、左右一対の支柱間に踏み部材を備えてなる前側の昇降用脚体と、この昇降用脚体を支持する後側の支持脚体とを備え、
左右支柱間の上端側に、トレイの一端側を配置して該トレイの一端側を左右軸回りに回動自在に支持し、
前記トレイを、左右支柱の上端側間から後方に延出する使用姿勢と、支柱に沿った収納姿勢とに姿勢変更自在とすると共に使用姿勢から上方回りで回動させることにより収納姿勢へと姿勢変更自在とし、
前記支柱の上端側に回動規制部を設けると共に、使用姿勢及び収納姿勢において前記回動規制部に係合することによりトレイの姿勢変更動作を規制し且つトレイを強制的に回動させることにより回動規制部から外れてトレイの姿勢変更動作を許容する係合部をトレイに設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、昇降用脚体は左右各支柱の上端側に設けられた上端具を備え、この上端具にトレイを回動自在に支持し、
前記上端具の左右方向の内側面に、前記回動規制部と、使用姿勢において収納姿勢から使用姿勢へと回動する方向の回動を止める第1ストッパ部と、収納姿勢において使用姿勢から収納姿勢へと回動する方向の回動を止める第2ストッパ部とを設け、
トレイの側面に前記係合部を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明では、前記係合部は、トレイの側面から左右方向外方に突出し且つトレイの使用姿勢において前後方向に長い突条に形成され、
前記回動規制部は、使用姿勢においてトレイの収納姿勢への回動を規制する第1の回動規制部と、収納姿勢においてトレイの使用姿勢への回動を規制する第2の回動規制部とが設けられ、
第1の回動規制部は、上端具の内側面から左右方向内方に突出し且つトレイの使用姿勢における係合部に沿う突条に形成され、
第2の回動規制部は、上端具の内側面から左右方向内方に突出し且つトレイの収納姿勢における係合部に沿う突条に形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、収納姿勢においてトレイが昇降用脚体から上方に突出しないように該昇降用脚体の左右支柱間に収まるよう構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るトレイ付き脚立によれば、係合部と回動規制部とによって、トレイの各姿勢から他の姿勢への回動が規制されるので、トレイを使用姿勢とした状態においてトレイに何かが当たってもトレイが容易に傾くことはなく、これによって、トレイに何かが当たってトレイ上のものが転がり落ちるのを極力防止することができる。また、トレイを収納姿勢とした状態において、トレイの揺動が規制され、これによって、脚立を移動させる際にトレイが揺動して作業者に当たるのを防止することができる。
【0014】
また、トレイを強制的に回動させることにより、回動規制部から係合部が外れてトレイの姿勢変更動作が許容されるので、トレイの姿勢変更動作を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は脚立の正面図、(b)は脚立の側面図である。
【図2】脚立の斜視図であり、(a)は開脚状態の脚立を示し、(b)は折畳み状態の脚立を示す。
【図3】(a)は開脚状態の脚立上部の正面図、(b)は折畳み状態の脚立上部の側面図である。
【図4】トレイの姿勢変更動作を示す側面図である。
【図5】使用姿勢における昇降用脚体上部の側面図である。
【図6】図5のA−A線矢視断面図である。
【図7】図5のB−B線矢視断面図である。
【図8】図5のC矢視図である。
【図9】収納姿勢における昇降用脚体上部の側面図である。
【図10】図9のD矢視図である。
【図11】図9のE−E線矢視断面図である。
【図12】上端具の斜視図である。
【図13】(a)はトレイの平面図、(b)はトレイの正面、(c)はトレイの背面図である。
【図14】(a)は図13のF−F線矢視断面、(b)は図13のG−G線矢視断面、(c)は図13のH−H線矢視断面、(d)は図13のK−K線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図3において、符号1は本発明に係るトレイ付き脚立1を示している。
以下の説明において、左右方向内方とは脚立1の左右方向の端部側から脚立1の左右方向中央に向かう方向をいい、左右方向外方とは脚立1の左右方向端部側から脚立1の左右方向中央とは反対側に向かう方向という。
【0017】
この脚立1は、前側の昇降用脚体2と、この昇降用脚体2を支持する後側の支持脚体3と、昇降用脚体2の上部に設けられたトレイ4とから構成されている。
昇降用脚体2は、左右一対の支柱5と、この左右支柱5間に上下方向に間隔をおいて備えられた1つ又は複数の踏み部材6と、左右支柱5の上端側に設けられた上端具7と、左右支柱の下端側に設けられた下端具8と、左右各支柱5の上部で且つトレイ4の下方側に設けられた支持ブラケット9とから主構成されている。
【0018】
支持脚体3は、左右一対の支柱11と、この左右支柱11の上部同士を連結する上連結杆12と、左右支柱の下部同士を連結する下連結杆13と、左右支柱11の下端側に設けられた下端具14とから主構成されている。
支持脚体3の左右支柱11は、左右方向で同じ側に位置する昇降用脚体2の左右支柱5の後方側に位置し、該支持脚体3の左右支柱11の上端側が支持ブラケット9に左右方向の軸心回りに回動自在に取り付けられていて、該支持脚体3の左右支柱11を左右軸回りに回動させることにより昇降用脚体2に対して支持脚体3が近接離反自在とされている。
【0019】
脚立1は、図1(b)、図2(a)、図3(a)に示すように、昇降用脚体2の支柱5と支持脚体3の支柱11との間隔が下方に行くに従って漸次広がる開脚状態が使用状態であり、該脚立1の開脚状態では、該脚立1を水平面に設置した状態において、昇降用脚体2の支柱5は上方に向かうに従って後方に移行する傾斜状(後傾状)とされ、支持脚体3の支柱11は上方に向かうに従って前方に移行する傾斜状(前傾状)とされている。
【0020】
この開脚状態から支持脚体3を昇降用脚体2に対して近接させることにより、脚立1が、図2(b)、図3(b)に示すように、昇降用脚体2の支柱5の後側に支持脚体3の支柱11が沿うように位置する折畳み状態にすることが可能とされている。
また、前記昇降用脚体2の左右支柱5間の間隔及び支持脚体3の左右支柱11間の間隔は下方に向かうに従って漸次広がるよう構成されている。
【0021】
昇降用脚体2の踏み部材6は、本実施形態では、上下方向に間隔をおいて3つ設けられ、最上部の踏み板6Aと、中間部及び最下部の踏み桟6Bで構成されている。
踏み板6Aは、前部が昇降用脚体2の左右支柱5に左右方向の軸心回りに回動自在に取り付けられ、後部に支持脚体3の上連結杆12に係脱自在に係合する係合具15を有する。
【0022】
この踏み板6Aの係合具15を脚立1の開脚状態において上連結杆12に係合させることにより脚立1が開脚状態に保持される。
前記踏み板6Aの前後中間部には連動部材16の一端側が枢支連結され、この連動部材16の他端側は支持脚体3の上連結杆12に外嵌されていて、該連動部材16によって脚立1の開脚状態における支持脚体3の後方への回動が規制される。
【0023】
また、脚立1を開脚状態にした状態において上連結杆12に対する係合具15の係合を外して踏み板6Aを上方に回動させると、連動部材16を介して支持脚体3が昇降用脚体2側に引き寄せられて脚立1が折畳み状態となる。
各踏み桟6Bは、左右端部が昇降用脚体2の左右支柱5に固定され、該左右支柱5を連結している。
【0024】
前記トレイ4は、図4に示すように、前端側(一端側)が左右の上端具7間(昇降用脚体2の左右支柱5間の上端側)に配置されていて、該前端側が上端具7に(支柱5側に)左右方向の軸心回りに回動自在に枢支連結されている。
このトレイ4は、左右上端具7間(昇降用脚体2の左右支柱5間の上端側)から後方に延出していてトレイ4の上面が上を向く使用姿勢(図3(a)、図5等参照)と、昇降用脚体2の支柱5に沿っていてトレイ4の上面が後を向く収納姿勢(図3(b)、図9等参照)とに姿勢変更自在であると共に使用姿勢から上方回りで回動させることにより収納姿勢へと姿勢変更自在とされている。
【0025】
トレイ4が使用姿勢の状態で該トレイ4上に物品が載置可能とされ、トレイ4が収納姿勢の状態では該トレイ4が昇降用脚体2から上方に突出しないように該昇降用脚体2の左右支柱5間に収まるよう構成されている。
トレイ4は、図13及び図14に示すように、平面視で左右方向に長い矩形状に形成されている。
【0026】
このトレイ4は、内外の周壁17,18と、底壁19と、縁部側上壁20と、リブ壁21とから主構成されている。
内外の周壁17,18は前壁17a,18aと後壁17b,18bと左側壁17c,18cと右側壁17d,18dとからなり、内周壁17の前壁17aは外周壁18の前壁18a上部後方に位置し、内周壁17の後壁17bは外周壁18の後壁18b上部前方に位置し、内周壁17の左側壁17cは外周壁18の左側壁18cの上部右方に位置し、内周壁17の右側壁17dは外周壁18の右側壁18d上部左方に位置している。
【0027】
内周壁17の上端と外周壁18の上端とは、全周にわたって縁部側上壁20によって接続されている。底壁19は内周壁17の下端側に位置していて、該底壁19の前後左右の縁部が内周壁17の前後壁17a,17b及び左右側壁17c,17dの下端に接続されている(したがって、当該トレイ4の底壁19は上げ底状となっている)。
リブ壁21は、底壁19及び縁部側上壁20の下方側に前後方向及び左右方向に設けられていて格子状に設けられている。
【0028】
外周壁18の左側壁18cの前部右方及び外周壁18の右側壁18dの前部左方には支持壁22がそれぞれ設けられ、外周壁18の左右側壁18c,18d及び左右支持壁22には、これら壁部18c,18d,22を貫通する枢支孔23が左右方向同心状に形成されている。
内外周壁17,18の後壁17b,18bの左右方向中央側は前方に向けて凹んでおり、外周壁18の後壁18bの凹み部分24に、トレイ4を姿勢変更する際につまむための把手部25が設けられている。この把手部25は、図4(d)に示すように、後方に向かうに従って上方に移行する傾斜状に形成されている。
【0029】
また、トレイ4の上面側の左右両側後部には受け凹部26が前後一対設けられている。この受け凹部26は、縁部側上壁20の左右側部の後部及び内外周壁17,18の左右側壁17c,17d,18c,18dの後部を、上方から下方に向けて凹設することで、側面視下方に向けて凸となる円弧状の凹部に形成されている。
この受け凹部26には、左右方向で対応する受け凹部26にわたって蛍光灯のような細長円筒体を載置することにより、該細長円筒体が転がり落ちることなく載置可能である。
【0030】
また、底壁19の後部には、上下方向の軸心を有し且つ上下端部が開口状で径の異なる複数の保持筒27A,27Bが設けられている(本実施形態では、左右両側に大径筒27Aが設けられ、この左右大径筒27Aの間に3つの小径筒27Bが左右方向に間隔をおいて設けられている)。
この保持筒27A,27Bには、電球やグロー球等の口金を挿入することにより、該電球等が保持可能である。
【0031】
また、底壁19上には、工具やボルト、ビス等の物品が載置可能である(したがって、トレイ4の上面側が物品の載置側の面とされている)。
また、トレイ4の左右両側面4a(外周壁18の左右側壁18c,18dの左右方向外側面)の前部には前後方向に長い(トレイ4の左右両側前部における上面に沿って長い)突条からなる係合部28が設けられている。
【0032】
この係合部28は、枢支孔23の後方に間隔をおいて設けられていると共に、枢支孔23と略同じ高さ位置に設けられている。
また、係合部28は、トレイ4の外周壁18の左右側壁18c,18dの外側面から左右方向外方に向けて突出形成されていると共に、長手方向に直交する断面形状が左右方向外方にむけて凸となる半円状とされている。
【0033】
前記構成のトレイ4は樹脂で一体形成されている。
前記上端具7は、図4〜図12に示すように、昇降用脚体2の各支柱5上端部に取り付けられる端具本体31と、トレイ4の各姿勢における過回動を阻止するストッパ32と、トレイ4の各姿勢から他の姿勢への姿勢変更動作を規制する回動規制部33とから主構成されている。
【0034】
端具本体31は、前壁34と、後壁35と、左右方向内外の側壁36,37と、上壁38と、前後一対のリブ壁39とから主構成されている。
前記前後壁34,35と内外側壁36,37と上壁38とから下方開放状の支柱嵌合部が形成され、この支柱嵌合部は昇降用脚体2の支柱5の上端側に上方から外嵌している(支柱嵌合部に昇降用脚体2の支柱5の上端側が下方から挿入されている)。
【0035】
また、内外側壁36,37及び支柱5を貫通するリベット41(又はボルト・ナット等の締結具)によって、上端具7の支柱5からの外れ止めが図られている(支柱5の上端具7からの抜け止めが図られている)。
端具本体31の内側壁36の下部、外側壁37の後端側下部及び後壁35の下部は、前壁34下端よりも下方に延出され、外側壁37の前部及び前後方向中途部の下端は前壁34下端と同位置に形成されている。
【0036】
内側壁36の後部は、上下方向にわたって後壁35から後方に延出しており、この内側壁36の後方延出部分36aは後方に向かうに従って上下幅が漸次幅狭となるように形成されている。
前記リブ壁39は内外側壁37の対向面間に設けられ、後壁35と平行状に内外側壁37の上下方向にわたって設けられている。また、前後のリブ壁39は前後壁34,35の中央から前後に振り分け状に設けられている。
【0037】
この各リブ壁39の上部は内外側壁37の対向面間にわたって設けられ、各リブ壁39の下部は内外側壁37の対向面から対向方向に所定量延出するように設けられており、この各リブ壁39の下部が昇降用脚体2の支柱5の左右側面に形成された支柱長手方向の溝部42に嵌入している。
上端具7の前上部で且つ昇降用脚体2の支柱5の上方側には内外側壁36,37を左右方向に貫通する支持孔43が形成され、上端具7の内側面及び外側面の支持孔43の周囲にボス44が設けられている。
【0038】
前記トレイ4の前部は左右の上端具7間に挿入状され、上端具7の支持孔43及びトレイ4の枢支孔23にわたって挿通されたリベット(又はボルト等)からなる支軸45によってトレイ4前部の左右両側部が左右方向で同じ側に位置する上端具7に枢支連結されている。
トレイ4に設けられた前記係合部28はトレイ4の側面4aの上端具7の内側面7aに対向する面に設けられており、上端具7に設けられた前記ストッパ32と回動規制部33は上端具7の内側面7aに設けられている。
【0039】
前記ストッパ32及び回動規制部33は上端具7の内側面7aから左右方向内方に向けて突出形成されている。
ストッパ32は、使用姿勢において収納姿勢から使用姿勢へと回動する方向(この方向を展開方向Xという)の回動を止める第1ストッパ部46と、収納姿勢において使用姿勢から収納姿勢へと回動する方向(この方向を収納方向Yという)の回動を止める第2ストッパ部47と、これら第1ストッパ部46と第2ストッパ部47とを連結する連結部48とからL字形に形成されている。
【0040】
第1ストッパ部46は、図5、図7に示すように、前後方向に長く且つ板面が上下を向く板状に形成され、この第1ストッパ部46上面にトレイ4の外周壁18の側壁18c,18d及び支持壁22の下面が接当することにより使用姿勢におけるトレイ4の展開方向Xの回動(下方回動)が阻止される。
第2ストッパ部47は、図9,図11に示すように、下方に行くに従って前方に移行する傾斜方向に長く且つ板面が前後を向く板状に形成され、この第2ストッパ部47にトレイ4の左右両側上面(縁部側上壁20の左右側部前部の上面)が接当することにより収納姿勢におけるトレイ4の収納方向Yの回動(後方回動)が阻止される。
【0041】
回動規制部33として、使用姿勢においてトレイ4の収納方向Yの回動を規制する第1の回動規制部33Aと、収納姿勢においてトレイ4の展開方向Xの回動を規制する第2の回動規制部33Bとが設けられている。
第1の回動規制部33Aは、トレイ4の使用姿勢における係合部28に沿うように上端具7の内側面のボス44から後方に延出していて、前後方向に長い突条に形成されている。
【0042】
この第1の回動規制部33Aは、図5、図7に示すように、トレイ4の使用姿勢において係合部28の上側に位置し、且つ突出側が係合部28と上下方向で対向するように平面視においてオーバーラップしている。これによって、トレイ4の収納方向Yの回動が規制され、該トレイ4が使用姿勢に保持され、使用姿勢においてトレイ4に何かが当たってトレイ4上の物が該トレイ4上から落ちるのを防止することができる。
【0043】
そして、トレイ4の把持部25等を把持して該トレイ4を使用姿勢から強制的に収納方向Yに回動させると、トレイ4等が弾性変形をすることにより係合部28が第1の回動規制部33Aを乗り越えて該第1の回動規制部33Aから収納方向Y側へと外れ、トレイ4の姿勢変更動作が許容される。
図6に示すように、トレイ4の使用姿勢において上端具7の内側面とトレイ4の側面との隙間が後方に行くに従って漸次小さくなっていることから、第1の回動規制部33Aは後方に向かうに従って左右方向の突出幅が漸次幅狭となるように形成されていて、該第1の回動規制部33Aと係合部28とのオーバーラップ幅(オーバーラップ代)が該係合部28の長手方向にわたって同じ幅となるように構成されている。
【0044】
第2の回動規制部33Bは、トレイ4の収納姿勢における係合部28に沿うように上端具7の内側面のボス44から前斜め下方に延出していて、上下方向に長い突条に形成されている。
この第2の回動規制部33Bは、図9、図11に示すように、トレイ4の収納姿勢において係合部28の前側に位置し、且つ突出側が係合部28と前後方向で対向するように正面視においてオーバーラップしている。これによって、トレイ4の展開方向Xの回動が規制され、該トレイ4が収納姿勢に保持され、トレイ4を収納姿勢にした状態において脚立1を移動させる際にトレイ4が揺動するのを防止することができる。
【0045】
そして、トレイ4の把持部25等を把持して該トレイ4を収納姿勢から強制的に展開方向Xに回動させると、トレイ4が弾性変形をすることにより係合部28が第2の回動規制部33Bを乗り越えて該第2の回動規制部33Bから展開方向X側へと外れ、トレイ4の姿勢変更動作が許容される。
図10に示すように、トレイ4の収納姿勢において上端具7の内側面とトレイ4の側面との隙間が下方に行くに従って漸次大きくなっていることから、第2の回動規制部33Bは下方に向かうに従って左右方向の突出幅が漸次幅広となるように形成されていて、該第2の回動規制部33Bと係合部28とのオーバーラップ幅(オーバーラップ代)が該係合部28の長手方向にわたって同じ幅となるように構成されている。
【0046】
また、上端具7の内側面7aには、第1ストッパ部46の後部下面から下方側に延びるリブ壁49と、第2回動規制部33Bの下端から後方側に延び且つ第2ストッパ部47の下端側の接続されたリブ壁50とが設けられている。
前記構成の上端具7は樹脂で一体形成されている。
前記構成のトレイ付き脚立1において、係合部28と回動規制部33とは共に突条に形成されているが、係合部28と回動規制部33の一方を他方が嵌る凹形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
2 昇降用脚体
3 支持脚体
4 トレイ
5 支柱
6A 踏み部材(踏み板)
6B 踏み部材(踏み桟)
7 上端具
28 係合部
33A 第1の回動規制部
33B 第2の回動規制部
46 第1ストッパ部
47 第2ストッパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の支柱(5)間に踏み部材(6)を備えてなる前側の昇降用脚体(2)と、この昇降用脚体(2)を支持する後側の支持脚体(3)とを備え、
左右支柱(5)間の上端側に、トレイ(4)の一端側を配置して該トレイ(4)の一端側を左右軸回りに回動自在に支持し、
前記トレイ(4)を、左右支柱(5)の上端側間から後方に延出する使用姿勢と、支柱(5)に沿った収納姿勢とに姿勢変更自在とすると共に使用姿勢から上方回りで回動させることにより収納姿勢へと姿勢変更自在とし、
前記支柱(5)の上端側に回動規制部(33)を設けると共に、使用姿勢及び収納姿勢において前記回動規制部(33)に係合することによりトレイ(4)の姿勢変更動作を規制し且つトレイ(4)を強制的に回動させることにより回動規制部(33)から外れてトレイ(4)の姿勢変更動作を許容する係合部(28)をトレイ(4)に設けたことを特徴とするトレイ付き脚立。
【請求項2】
昇降用脚体(2)は左右各支柱(5)の上端側に設けられた上端具(7)を備え、この上端具(7)にトレイ(4)を回動自在に支持し、
前記上端具(7)の左右方向の内側面(7a)に、前記回動規制部(33)と、使用姿勢において収納姿勢から使用姿勢へと回動する方向(X)の回動を止める第1ストッパ部(46)と、収納姿勢において使用姿勢から収納姿勢へと回動する方向(Y)の回動を止める第2ストッパ部(47)とを設け、
トレイ(4)の側面(4a)に前記係合部(28)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のトレイ付き脚立。
【請求項3】
前記係合部(28)は、トレイ(4)の側面(4a)から左右方向外方に突出し且つトレイ(4)の使用姿勢において前後方向に長い突条に形成され、
前記回動規制部(33)は、使用姿勢においてトレイ(4)の収納姿勢への回動を規制する第1の回動規制部(33A)と、収納姿勢においてトレイ(4)の使用姿勢への回動を規制する第2の回動規制部(33B)とが設けられ、
第1の回動規制部(33A)は、上端具(7)の内側面から左右方向内方に突出し且つトレイ(4)の使用姿勢における係合部(28)に沿う突条に形成され、
第2の回動規制部(33B)は、上端具(7)の内側面から左右方向内方に突出し且つトレイ(4)の収納姿勢における係合部(28)に沿う突条に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトレイ付き脚立。
【請求項4】
収納姿勢においてトレイ(4)が昇降用脚体(2)から上方に突出しないように該昇降用脚体(2)の左右支柱(5)間に収まるよう構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトレイ付き脚立。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−72174(P2013−72174A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209576(P2011−209576)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000136170)株式会社ピカコーポレイション (46)
【Fターム(参考)】