説明

トレイ向け成形用金型およびトレイの成形方法

【課題】長尺構造物を収納するトレイを成形するのに用いる金型およびトレイの成形方法を提供する。
【解決手段】複数のブロック金型14が装着可能なキャビティを有するベース金型12と、トレイの仕様に応じて選択されて、該キャビティに装着される複数のブロック金型14とを有し、複数のブロック金型はそれぞれ、互いに平行に収納される複数の長尺構造物の矩形収納エリアの短辺の長さに相当する長さを備え、前記キャビティに当接可能な底面と、賦形面を構成する上面とを有し、それぞれ長尺構造物の端部あるいは中間部が収まり可能な大きさを備え、長手方向に互いに所定間隔を隔てた複数の凹部74が設けられ、該複数の凹部74に嵌合可能な複数の入れ駒78は、賦形面を構成する上面を有し、長尺構造物の仕様に応じて、前記複数の入れ駒78および前記複数のブロック金型14の中からを選択して配置されてることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ向け成形用金型およびトレイの成形方法に関し、より詳細には、円形断面のシャフト状の長尺構造物を収納するトレイを成形するのに用いる金型を効率的に準備可能なトレイ向け成形用金型およびトレイの成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷物、製品、車両エンジン、車両用シャフト等の重量物を収納して、搬送し、保管するのに、軽量で剛性があることから樹脂製トレイが用いられてきた。
樹脂製トレイは、金型を用いて成形されることから、収納する物品の大きさ、外形あるいは内部構造ごとに、それに適した収納リセスを形成するための金型を準備する必要があった。
この場合、収納品ごとに専用の金型を準備する1成形品―1金型による成形方法では、多品種少ロットの物品を収納するためのトレイにあっては相対的に金型コストが高くなり
実用的でない。
この点、汎用金型を志向したブロック金型が特許文献1に開示されている。
より詳細には、特許文献1には、片面使用タイプの樹脂製パレットを対象に、上下方向に貫通する開口部を有する下半体の成形用に、金型を固定金型と可動金型とで構成し、いずれかの金型をベース金型として、その金型にリブ形成用入れ駒式の金型を取り付け、リブの本数や肉厚等を変更した入れ駒式の金型を交換することにより、リブの本数が少ない軽量タイプや、リブの本数が多い高強度タイプを成形する点が開示されている。
しかしながら、このような汎用金型によれば、以下のような技術的問題点が存する。
すなわち、金型の部品点数が多く、成形作業効率が低く、管理コストがかさむ点である。
特に、収納品が円形断面のシャフト状の長尺構造物である場合には、収納品がトレイの底面に形成される収納エリア内で転がり、故障、破損等が生じないように、底面に収納品の輪郭に合致する溝を設け、この溝内に収納品を嵌め込んで、収納品を位置決めする必要がある。
この場合、収納品全体の輪郭に応じてブロック金型を準備するとすれば、金型点数が多くなり、頻に耐えない。
【0003】
さらに、このような収納すべき製品がマイナーチェンジされた場合に、同種の形態であるにも係わらず、そのたびにベース金型に対してブロック金型を作り直し、ベース金型に対する配置を変更するのでは、金型の準備に相当な手間を要し、効率的な成形を行うのが困難である。
このように、収納品すべき製品がマイナーチェンジされた際、それに応じて小回りのきく効率的な金型の準備が業界内で要望されている。
【0004】
この点、特許文献2には、対向配置した一対の分割金型の間に成形すべき溶融状態の樹脂材料を配置して、一対の分割金型を型締することにより、内部に密閉空間を形成し、密閉空間内からブロー圧をかけて、樹脂材料をキャビティに対して押し付けてブロー成形する技術が開示され、特に、金型のキャビティに対して脱着可能な入れ駒を用意し、成形品に応じて入れ駒を選択する点が開示されている。
しかしながら、入れ駒は、たとえば成形品の表面にマークを刻字する等、単に成形品の一部の賦形を変更するに過ぎず、成形品全体の外形、大きさを変更するものではない。
【特許文献1】特開2007−160894号公報
【特許文献2】特開2006−16035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、円形断面のシャフト状の長尺構造物を収納するトレイを成形するのに用いる金型を効率的に準備可能なトレイ向け成形用金型およびトレイの成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本発明の樹脂製トレイの成形用金型は、
円形断面のシャフト状の長尺構造物を収納する樹脂製トレイを成形するのに用いる金型であって、
複数のブロック金型それぞれが装着可能なキャビティを有するベース金型と、成形すべきトレイの仕様に応じて選択されて、該キャビティに装着される複数のブロック金型とを有し、
複数のブロック金型はそれぞれ、互いに平行に収納される複数の長尺構造物の矩形収納エリアの短辺の長さに相当する長さを備え、前記キャビティに当接可能な底面と、賦形面を構成する上面とを有し、
該上面には、それぞれ長尺構造物の端部あるいは中間部が収まり可能な大きさを備え、長手方向に互いに所定間隔を隔てた複数の凹部が設けられ、
さらに、該複数の凹部に嵌合可能な複数の入れ駒を有し、
該複数の入れ駒はそれぞれ、賦形面を構成する上面を有し、
それにより、長尺構造物の仕様および/または配置に応じて、前記複数の入れ駒および前記複数のブロック金型の中から成形に必要な入れ駒およびブロック金型を選択し、選択した入れ駒を選択したブロック金型のどの凹部に嵌合するかを選択し、該キャビティに対向して配置される溶融状態の樹脂材料を成形するのに用いる構成としている。
【0007】
以上の構成を有する樹脂製トレイの成形用金型によれば、円形断面のシャフト状の複数の長尺構造物を互いに平行に収納するトレイを成形する際、長尺構造物の全体を嵌め込む溝をトレイの底面から下方に突出する形態で収納エリアに設けることなく、長尺構造物の端部とその中間部とを床面から突出した部分に形成する溝に嵌め込むことにより長尺構造物が収納エリア内で位置決め可能である点を利用して、長尺構造物の仕様および配置に応じて、複数の入れ駒および複数のブロック金型の中から成形に必要な入れ駒およびブロック金型を選択し、選択した入れ駒を選択したブロック金型のどの凹部に嵌合するかを選択することで、ベース金型のキャビティ上に装着されたブロック金型の上面の凹部、およびブロック金型の凹部に嵌め込まれた入れ駒の上面により賦形面を構成し、キャビティに対向して配置される溶融状態の樹脂材料を成形するのに用いることが可能である。
その際、長尺構造物の仕様、たとえばシャフト径、シャフト長、拡径部の径、位置がマイナーチャンジされて、それによりトレイに収納される長尺構造物の本数、配置あるいは支持位置が変更される場合、ブロック金型については、矩形収納エリアにおける長手方向の配置を変更する一方、入れ駒については、配置変更されたブロック金型の嵌め込むべき凹部を変更することにより、いちいちブロック金型をすべて変更する必要なしに、小回りのきく形態で金型を準備することが可能であり、これにより、円形断面のシャフト状の長尺構造物を収納するトレイを成形するのに用いる金型を効率的に準備可能である。

【0008】
また、前記複数のブロック金型の少なくとも2つにおいて、前記複数の凹部はそれぞれ、ブロック金型の一方の側面に抜け、長尺構造物のシャフト径に相当する幅を有し、一方の側面同士を対向させて、前記矩形収納エリアの長辺に相当する間隔を隔てて配置され、
前記複数の入れ駒は、前記上面に一方の側面に抜け、長尺構造物のシャフト径に相当する幅を有する凹部を備えるタイプと、前記上面に亘って延び両側面に抜け、長尺構造物のシャフト径に相当する幅を有する凹部を備えるタイプと、前記上面がほぼ平らなタイプとを有するのがよい。
さらに、シャフト状の長尺構造物が、中間拡径部を有する場合、前記複数のブロック金型の少なくとも2つ、およびこれらに設けられる前記入れ駒において、前記凹部の底面の前記キャビティの表面からの高さは、該中間拡径部の径以上に設定され、それにより、長尺構造物の両端部が、対応する前記ブロック金型あるいは前記入れ駒の前記凹部の底面により支持されるのがよい。
【0009】
さらにまた、前記キャビティは、所定のピッチの格子状に複数のねじ穴が設けられた平面状をなし、前記複数のブロック金型はそれぞれ、該複数のねじ穴に螺合可能な固定ねじにより、前記キャビティに固定可能な貫通ネジ穴を有し、さらに、前記複数のねじ穴に螺合可能なねじ山部と、該ねじ山部の端部に設けられたねじ頭とを有するねじを有し、
前記キャビティの前記複数のねじ穴のうち、前記複数のブロック金型が装着されないねじ穴には、前記ねじが螺合され、前記ねじ頭により前記ねじ穴が閉鎖されるのがよい。

【0010】
上記課題を達成するために、本発明の樹脂製トレイの成形用方法は、
円形断面のシャフト状の長尺構造物を収納する樹脂製トレイの成形方法であって、
成形すべきトレイの仕様に応じて、ベース金型に対して装着すべきブロック金型を選択する段階と、
選択したブロック金型の凹部に嵌め込むべき入れ駒と、嵌め込むべき凹部を選択する段階と、
選択したブロック金型をベース金型のキャビティに固定するとともに、選択したブロック金型の凹部に選択した入れ駒を固定することにより、固定されたブロック金型および入れ駒の上面により賦形面を構成する段階と、
溶融状態の熱可塑性樹脂材料を前記キャビティからはみ出すように前記キャビティに対して対向して配置する段階と、
溶融状態の熱可塑性樹脂材料を前記キャビティに対して押し付けることにより、溶融状態の熱可塑性樹脂材料を賦形する段階と、を有し、
それにより、熱可塑性樹脂材料のキャビティに対向する面と反対側の面には、前記ブロック金型および前記入れ駒の上面により、熱可塑性樹脂材料の所定位置に長尺構造物を収納する溝部が形成される、構成としている。

【0011】
さらに、熱可塑性樹脂材料は、金型の上方より押し出された筒状パリソンでもよい。
また、前記ブロック金型の選択段階は、選択した前記ブロック金型のベース金型のキャビティへの固定位置を選択する段階を含むのがよい。
さらにまた、樹脂製トレイの成形方法であって、
成形すべきトレイの仕様に応じて、ベース金型に対して装着すべきブロック金型を選択する段階と、
選択したブロック金型の凹部に嵌め込むべき入れ駒と、嵌め込むべき凹部を選択する段階と、
選択したブロック金型をベース金型のキャビティに固定するとともに、選択したブロック金型の凹部に選択した入れ駒を固定することにより、固定されたブロック金型および入れ駒の上面により賦形面を構成する段階と、
溶融状態のシート状熱可塑性樹脂材料を前記キャビティからはみ出すように前記キャビティに対して対向して配置する段階と、
溶融状態のシート状熱可塑性樹脂材料を前記キャビティに対して押し付けることにより、溶融状態のシート状熱可塑性樹脂材料を賦形する段階と、を有し、
それにより、シート状熱可塑性樹脂材料のキャビティに対向する面と反対側の面には、前記ブロック金型および前記入れ駒の上面により、シート状熱可塑性樹脂材料の所定位置に収納物を収納する溝部が形成される、構成を有するのでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
成形品がトレイであり、トレイの内部にシャフト状の長尺構造物Sを収納する場合として、本発明に係る樹脂製トレイの成形用金型およびこの成形用金型を用いる成形方法の第1実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
シャフト状の長尺構造物Sは、円形断面の軸方向を中心とする回転対称構造物で、たとえば、回転駆動力を伝達するシャフトのような重量物であり、中間拡径部を有する。
【0013】
まず、トレイTの成形装置について、以下に説明する。
トレイTの成形装置は、溶融樹脂の押出装置と、押出装置の下方に配置された、金型の型締装置とを有し、押出装置から押出された溶融状態の筒状パリソンをシート状熱可塑性樹脂として型締装置に送り、型締装置により溶融状態のシート状熱可塑性樹脂を成形するようにしている。
押出装置は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、押出スリットを通じて所定の長さの連続的な筒状パリソンが押し出され、シート状熱可塑性樹脂とされて、型締装置の分割金型10の間に垂下される。
【0014】
図7に示すように、押出スリット91は、鉛直下向きに配置され、押出スリット91から押し出された筒状パリソンは、そのまま押出スリット91から垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようにしている。押出スリット91の下方には、一方が駆動ローラー、他方が被駆動ローラーである一対のローラー92が配置され、押出スリット91から垂下する筒状パリソンは、一対のローラー92の間を通過する際、下方に送り出されるとともに扁平されてシート状熱可塑性樹脂とされ、分割金型10の間に配置される。
【0015】
型締装置は、一対の分割形式の金型と、金型駆動装置とを有する。
2つの分割形式の金型は、キャビティを対向させた状態で配置され、それぞれキャビティが略鉛直方向に沿うように配置される。それぞれのキャビティ表面には、溶融状態のシート状熱可塑性樹脂に基づいて成形される成形品の外形、および表面形状に応じて凹凸が設けられる。
2つの分割形式の金型は、互いに同様な構造を有するので、以下にその一方について説明する。
【0016】
図1ないし図3を参照して、樹脂製トレイの成形用金型10について説明すれば、樹脂製トレイの成形用金型10は、ベース金型12と、複数のブロック金型14とを有し、ベース金型12は、複数のブロック金型14それぞれを装着する平面状の装着面16を有し、複数のブロック金型14は、後に説明するように、成形対象品であるトレイTの仕様に応じて、選択されて装着面16の所定位置に装着されるようにしており、複数のブロック金型14それぞれは、装着面16に当接可能な底面18と、賦形面39を構成する側面20とを有する(図4参照)。
【0017】
図2に示すように、装着面16は、成形対象品の最大寸法に見合う面積を有し、装着面16には、所定のピッチpの格子状に複数のネジ受け孔22(タップ孔)が設けられる。たとえば、装着面16は、横2000mm、縦1125mm、ネジ受け孔22のピッチpは、50mmである。後に説明するように、複数のブロック金型14はそれぞれ、その形態に応じて、底面18に、ネジ受け孔22に螺合可能なネジ部24を有したり、別途固定ネジ26により、ネジ受け孔22に螺合するようにしている。
複数のブロック金型14は、互いに連結して装着面16上に環状体28を構成する第1タイプと、環状体28内の装着面16上に装着される第2タイプとに大別される。
【0018】
図3に示すように、第1タイプについて、直線外形の拡張ブロック30と、L字外形のコーナーブロック32とを有し、成形品の仕様、特に輪郭に適合するように、複数の拡張ブロック30と、4つのコーナーブロック32とをそれぞれの端面34を突き合わせる形態で連結して、装着面上に環状体28を形成し、環状体28の環状頂部36がピンチオフ部38を構成するとともに、装着面16の環状体28の内側部分がキャビティ31を構成するようにしている。
【0019】
より詳細には、図4に示すように、拡張ブロック30およびコーナーブロック32は、ともにL字断面を有し、鉛直部40の頂部には、ピンチオフ部38が形成され、ピンチオフ部38の内側には、成形品の立ち壁を形成する賦形面39が環状体28内部のキャビティ31に対して直立し、一方、水平部42には、ブロック金型14を装着面16に螺合するためのネジ孔43が設けられ、固定ネジ26により、水平部42を外向きにして装着面16に固定されるようにしている(図5参照)。
【0020】
図3に示すように、拡張ブロック30は、直線長さの異なるものが所要個数準備され(たとえば、長さが50mm、75mm、100mmおよび500mmの4種類)、成形品の輪郭に応じて、4つのコーナーブロック32それぞれを、成形品の四隅に対応する位置に装着面16に固定した後、横方向および縦方向に隣合うコーナーブロック32同士の間に、横方向および縦方向の距離に応じて、適宜拡張ブロック30を選択して、装着面16に固定するようにしている(図において、横方向には、50mm、75mmおよび500mmを1つずつ配置し、縦方向には、50mmを1つ、100mmを2つ、500mmを1つ配置している)。
【0021】
このように、2つの分割形式の金型それぞれにおいて、キャビティ31のまわりには、ピンチオフ部38が形成され、このピンチオフ部38は、キャビティ31のまわりに環状に形成され、対向する金型に向かって突出する。これにより、2つの分割形式の金型を型締する際、それぞれのピンチオフ部38の先端部が当接することにより内部に密閉空間が形成される。
【0022】
図1に示すように、第2タイプのブロック金型14は、環状体28の内側に整列配置されている。なお、キャビティ31への固定方法は、第1タイプのブロック金型の場合と同様である。より詳細には、6つのブロック金型14Aないし14Fはそれぞれ、互いに平行に収納される複数の長尺構造物Sの矩形収納エリアの短辺の長さに相当する長さを備え、キャビティ31に当接可能な底面と、賦形面を構成する上面72とを有する。このようなブロック金型により、後に説明するように、トレイTの底面200には、図11に示すように、ブロック金型の外形に相当する突起部202がトレイTの長手方向に間隔を隔てて6つ形成される。
6つのブロック金型は、互いにキャビティ31の長手方向(溶融樹脂の押し出し方向、図1で左右方向)に所定の間隔を隔て配置され、上面72には、それぞれ長尺構造物Sの端部あるいは中間部が収まり可能な大きさを備え、長尺構造物Sの仕様および配置に応じて、長手方向に互いに所定間隔を隔てた複数の凹部74が設けられる。
特に、キャビティ31の上端および下端それぞれに配置されるブロック金型14Aおよび14Fにおいては、複数の凹部74はそれぞれ、ブロック金型の一方の側面76に抜け、長尺構造物Sのシャフト径に相当する幅を有し、一方の側面76同士を対向させて、矩形収納エリアの長辺に相当する間隔を隔てて配置される。これにより、図11に示すように、成形したトレイTにおいて、長尺構造物Sの細径の端部が収まる溝部90が形成される。
これに対して、ブロック金型14Bおよび14Eにおいては、凹部74に入れ駒78が配置される。より具体的には、ブロック金型14Bについては、1つおきに3か所の凹部74に、ブロック金型14Eについては、1つおきに2か所の凹部74に、それぞれ入れ駒78を固定する。
【0023】
入れ駒78は、複数の凹部74に嵌り込み可能な形状を有し、複数の入れ駒78はそれぞれ、賦形面を構成する上面80を有し、それにより、長尺構造物Sの仕様および/または配置に応じて、複数の入れ駒78および複数のブロック金型14の中から成形に必要なブロック金型14を選択し、選択した入れ駒78を選択したブロック金型14のどの凹部74に嵌合するかを選択し、キャビティ31に対向して配置される溶融状態の樹脂材料を成形するのに用いるようにしている。
凹部74に嵌り込んだ入れ駒78の上面80は、凹部74のまわりの対応するブロック金型14の上面72と滑らかに連続的な面を形成するようにするのが好ましい。
図6に示すように、複数の入れ駒78は、上面80に一方の側面82に抜け、長尺構造物Sのシャフト径に相当する幅Wを有する凹部84を備えるタイプA(図6(A))と、上面80に亘って延び両側面82、86に抜け、長尺構造物Sのシャフト径に相当する幅Wを有する凹部84を備えるタイプB(図6(B))と、上面80がほぼ平らなタイプC(図6(C))とを有する。タイプAは、長尺構造物Sの端部を収納する溝部を形成する場合、タイプBは、長尺構造物Sの中間部を収納する溝部を形成する場合、タイプCは、ブロック金型14により形成される突起部202により長尺構造物Sを支持しない場合に特に適している。
【0024】
複数の入れ駒78は、下面に凹部74にねじ込み可能な固定ねじ(図示せず)を有するか、あるいは上面80から下面に抜けるねじ穴(図示せず)を有し、別途の固定ねじ(図示せず)により凹部74に固定するようにしている。なお、ねじ穴は、賦形面を構成する上面には、設けないようにする。
特に、シャフト状の長尺構造物Sが、中間拡径部を有する場合、ブロック金型14B、E、およびこれらに設けられる入れ駒78において、凹部74の底面のキャビティ31の表面からの高さは、中間拡径部の径以上に設定され、それにより、長尺構造物Sの両端部が、対応するブロック金型14の凹部74あるいは入れ駒78の凹部84の底面により支持されるようにしている。
【0025】
さらに、ブロック金型14とは別に、ネジ受け孔22に螺合可能なネジ山部と、ネジ山部の端部に設けられたネジ頭とを有するネジが用意され、キャビティ31のネジ受け孔22のうち、ブロック金型14が装着されないネジ受け孔22には、ネジが螺合され、ネジ頭によりネジ受け孔22が閉鎖されるようにしている。
【0026】
なお、環状体28の外側の装着面16には、図2に示すように、ピンチオフ部38の高さと同一のスペーサ69が、ブロック金型14と同様に、装着面16に螺合され、金型の型締時におけるピンチオフ部38への荷重負荷を軽減することにより、ピンチオフ部38を保護しており、構成する環状体28のサイズに応じて、スペーサ69の設置位置を調整することにより、ピンチオフ部38を有効に保護することが可能である。
【0027】
金型駆動装置については、従来と同様のものであり、その説明は省略するが、2つの分割形式の金型はそれぞれ、金型駆動装置により駆動され、開位置において、2つの分割金型10の間に、シート状熱可塑性樹脂が配置可能なようにされ、一方閉位置において、2つの分割金型10のピンチオフ部38が当接し、環状のピンチオフ部38が互いに当接することにより、2つの分割金型10内に密閉空間が形成されるようにしている。
分割金型10には、金型を型締したときに両金型により形成される密閉空間内に吹き込み圧をかけることが可能なように、金型外部から圧縮エアーを密閉空間内に導入するために密閉空間内と外気とが通じる連通孔を設ける。尚、従来既知のブローピン(図示せず)を設置することもできる。
【0028】
トレイTの樹脂材料は、熱可塑性樹脂であり、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、または非晶性樹脂などで、より具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)である。
【0029】
以上の構成を有するトレイTの成形装置を利用したトレイTの製造方法について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0030】
まず、成形すべきトレイTの仕様に応じて、ベース金型12に装着すべき複数のブロック金型14を選択する。より詳細には、トレイTの輪郭に適合する環状体28を形成するために、第1タイプの拡張ブロック30およびコーナーブロック32を選択するとともに、第2タイプのブロック金型14を選択し、設置位置を決定する。
具体的には、図11に示すように、中間拡径部を有するシャフト状の長尺構造物Sを5本、トレイTの長辺に沿って互い違いにオフセット配置することから、2本の長尺構造物Sの両終端部に対応する位置、3本の長尺構造物Sの両終端部に対応する位置、5本の長尺構造物Sの中間部に対応する位置それぞれ、計6か所に、ブロック金型14Aないし14Fを固定する。
【0031】
次いで、選択したブロック金型14それぞれを装着面16の所定位置に螺合して固定し、環状体28を形成するとともに、環状体28の内部にキャビティ31を構成する。
次いで、ブロック金型14それぞれにおいて、採用すべき入れ駒78を選択して、ブロック金型14の対応する凹部74に固定する。
より詳細には、ブロック金型14Bについては、1つおきに3か所の凹部74に、ブロック金型14Eについては、1つおきに2か所の凹部74に、それぞれ入れ駒78を固定する。
この場合、長尺構造物Sの細径の終端部を収容することから、Aタイプの入れ駒78を採用し、入れ駒78の上面80に設けた凹部84に終端部を収納するようにする。
次いで、キャビティ31内でブロック金型14が装着されないネジ受け孔22のすべてに対して、ネジを螺合させて、ネジ受け孔22を閉鎖する。
【0032】
次いで、図7において、押出スリット91から、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出すことにより、熱可塑性樹脂はスウェルし、溶融状態の筒状パリソンが下方に垂下するように所定の厚みにて所定押出速度で押し出される。
次いで、筒状パリソンは、一対のローラー92の間を通過することにより、下方に送り出されるとともに扁平され、シート状熱可塑性樹脂となり、分割金型10の間に配置される。
次いで、図8に示すように、分割金型10を型締して、金型内に密閉空間を形成する。
【0033】
次いで、ブローピンを介して型締された金型内の密閉空間からブロー圧をかけることにより、シート状熱可塑性樹脂を対応する金型のキャビティ31に向かって押し付けることにより、シート状熱可塑性樹脂を賦形する。より詳細には、図9に示すように、環状体28の賦形面39により、周壁203が賦形されるとともに、シート状熱可塑性樹脂のキャビティ31に対向する面には、ブロック金型14により、ブロック金型14の外形に応じた形状が賦形され、それにより、シート状熱可塑性樹脂のキャビティ31に対向する面と反対側の面に向かって突起部202が形成され、突起部202の上面には、ブロック金型14の凹部74、あるいはブロック金型14に設けた入れ駒78の凹部84により、長尺構造物Sを収容可能な溝部90が形成される。
【0034】
次いで、図10に示すように、分割金型10を型開きして、成形されたトレイTを取り出し、ピンチオフ部38の外側のバリ部分Bを切断し、以上で成形が完了する。
以上のように、溶融状態の筒状パリソンを間欠的に押し出すたびに、以上のような工程を繰り返すことにより、トレイTを次々に成形することが可能であり、押出成形により熱可塑性樹脂を間欠的に溶融状態の筒状パリソンとして押し出し、押し出された筒状パリソンをシート状熱可塑性樹脂として、金型を用いて所定の形状に賦形することが可能である。また同様に筒状パリソンとして押し出すのでなく、直接Tダイよりシート状の熱可塑性樹脂を溶融状態として押し出して金型を用いて所定の形状に賦形することも可能である。
【0035】
さらに樹脂製トレイの成形方法の変形例として、成形材料として、上述のように、押し出し装置から下方に押し出された溶融状態のシート状熱可塑性樹脂を直接成形せずに、いったんシート状に成形した樹脂材料を成形直前に再加熱して溶融状態にするのでもよい。
【0036】
また、成形手順として、上述のように、分割金型10を型締することにより、分割金型10内に密閉空間を形成し、この密閉空間からブロー圧をかけることにより、シート状熱可塑性樹脂を成形するだけでなく、分割金型10を型締する前にキャビティ31とシート状熱可塑性樹脂との間に密閉空間を形成し、キャビティ31側からシート状熱可塑性樹脂を吸引することにより、樹脂材料を予備賦形し、さらに分割金型10を型締後、同様に密閉空間からブロー圧をかけることにより、シート状熱可塑性樹脂を本賦形するのでもよい。
この場合、たとえば、分割金型10に対して、他方の金型に向かって移動可能に外嵌する型枠(図示せず)を準備し、分割金型10の内部には、真空吸引室(図示せず)を設け、真空吸引室を吸引穴(図示せず)を介してキャビティ31と連通させ、真空吸引室から吸引穴を介して吸引することにより、キャビティ31に向かってシート状熱可塑性樹脂を吸着させて、キャビティ31の外表面に沿った形状に賦形するようにしてもよい。より具体的には、シート状熱可塑性樹脂をキャビティ31に対向させた状態で、型枠を分割金型10に対して、シート状熱可塑性樹脂に向かって、金型10に対向するシート状熱可塑性樹脂の外表面に当たるまで移動させ、次いで、金型10のキャビティ31、型枠の内周面、および金型10に対向するシート状熱可塑性樹脂の外表面により構成された密閉空間を通じて、真空吸引室から吸引穴を介して吸引すればよい。
【0037】
この方法によれば、本賦形前に予備賦形することにより、複雑な形状の成形であっても良好な成形性を確保することができる。さらに、分割金型10を型締する際、キャビティ31側からシート状熱可塑性樹脂を吸引しつつ密閉空間からブロー圧をかけることにより、シート状熱可塑性樹脂を賦形するのでもよい。この方法によれば、吸引によりキャビティ31の凹部74に溜まった空気を除去しつつブロー圧をかけることにより、同様に良好な成形性を確保することが可能である。
以上の成形方法により成形されるトレイTは、以下の構成を有する。
【0038】
図11に示すように、成形品であるトレイTは、底面200が矩形状の容器であり、底面200が長尺構造物Sの収納スペースを構成し、底面200には、長尺構造物Sの収納位置に応じて、所定位置に突起部202が6つ形成され、それぞれの突起部202の上面には、長尺構造物Sを収容する溝部90が形成される。
【0039】
また、底面200は、成形の際、溶融状態の樹脂材料のキャビティ31に対向する面と反対側の面により形成されることから、収納面には、キャビティ31のネジ受け孔22に螺合されたネジの扁平なネジ頭により、格子状に配置された円形形状の複数の出っ張り部(図示せず)が形成され、複数の出っ張り部により、長尺構造物Sの位置決めに利用することが可能である。
【0040】
トレイTは、成形されたシート状樹脂の一体物であり、トレイTの厚みを構成するシート状樹脂の厚みは、トレイTに収納する長尺構造物Sの重さに応じて、適宜定められる。なお、長尺構造物Sの重さが重い場合、たとえば長尺構造物Sが金属製のエンジンパーツである場合には、後に説明する樹脂製トレイの成形において、押し出し装置から押し出された溶融状態の筒状パリソンを成形する前に、前述のように、一対のローラー92の間を通過させることにより筒状パリソンを押しつぶして、パリソンの厚みの2倍に相当する厚みのシート状に加工して、成形してもよい。
以上の構成を有する樹脂製トレイの成形用金型によれば、円形断面のシャフト状の複数の長尺構造物Sを互いに平行に収納するトレイTを成形する際、長尺構造物Sの全体を嵌め込む溝をトレイTの底面から下方に突出する形態で収納エリアに設けることなく、長尺構造物Sの端部とその中間部とを床面から突出した部分に形成する溝に嵌め込むことにより長尺構造物Sが収納エリア内で位置決め可能である点を利用して、長尺構造物Sの仕様および配置に応じて、複数の入れ駒78および複数のブロック金型14の中から成形に必要な入れ駒78およびブロック金型14を選択し、選択した入れ駒78を選択したブロック金型14のどの凹部74に嵌合するかを選択することで、ベース金型のキャビティ31上に装着されたブロック金型14の上面72の凹部74、およびブロック金型14の凹部74に嵌め込まれた入れ駒78の上面80により賦形面を構成し、キャビティ31に対向して配置される溶融状態の樹脂材料を成形するのに用いることが可能である。
その際、長尺構造物Sの仕様、たとえばシャフト径、シャフト長、拡径部の径、位置がマイナーチャンジされて、それによりトレイTに収納される長尺構造物Sの本数、配置あるいは支持位置が変更される場合、ブロック金型14については、矩形収納エリアにおける長手方向の配置を変更する一方、入れ駒78については、配置変更されたブロック金型14の嵌め込むべき凹部74を変更することにより、いちいちブロック金型14をすべて変更する必要なしに、小回りのきく形態で金型を準備することが可能であり、これにより、円形断面のシャフト状の長尺構造物Sを収納するトレイTを成形するのに用いる金型を効率的に準備可能である。

【0041】
以下に、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、トレイTに収納するべきシャフト状の長尺構造物Sの端部の構造が若干変更されたことに伴い、第1実施形態においては、Aタイプの入れ駒78を採用したのに対して、本実施形態においては、Cタイプの入れ駒78を採用している点にある。
【0042】
図12に示すように、より詳細には、シャフト状の長尺構造物Sの配置すべき本数(5本)、およびトレイT内の配置は、第1実施形態と同様であり、それに伴い、ブロック金型の配置に変更はないが、シャフト状の長尺構造物Sの端部の構造が、第1実施形態においては、細径シャフトで終端するのに対して、本実施形態においては、拡径シャフトで終端している。
このことから、金型ブロック14Bおよび14Eそれぞれにおいて、第1実施形態においては、細径シャフトの終端部を収容するのに、Aタイプの入れ駒78を採用し(金型ブロックにおいては、1つおきに3基、金型ブロックにおいては、1つおきに2基)、細径シャフトの端面を入れ駒78の凹部74内に収容したが、本実施形態においては、拡径シャフトの終端部を収容するのに、第1実施形態と同様な位置に、Cタイプの入れ駒78を採用し、拡径シャフトの終端面を入れ駒78により形成される突起部の側面に当てることにより、位置決めしている。
【0043】
なお、ベース金型12の装着面16に対して、第1タイプのブロック金型14により、成形すべきトレイTの輪郭に応じて、環状体28を形成して、環状体28の内部にキャビティ31を形成するとともに、環状体28の環状頂部36がピンチオフ部38を形成し、ピンチオフ部38の内側側面20がトレイTの周壁203を成形する賦形面39を構成する点では、第1実施形態と共通である。
【0044】
このようなトレイTの成形方法について、第1実施形態とほぼ同様であるが、溶融状態の樹脂材料のキャビティ31に対向する面と反対側の面が長尺構造物Sを収納する収納面を構成し、装着面16に設けられるネジ受け孔22について、キャビティ31内でブロック金型が設置されないネジ受け孔22を閉鎖するのに用いられるネジのネジ頭は、収納面に長尺構造物Sを位置決めするのに利用可能な程度の出っ張り部が形成されるほどの扁平な形状を有するのが好ましい。
トレイTを1個取りするのであれば、分割金型10を用いずに、単一の金型を用いて、この金型のキャビティ31とシート状熱可塑性樹脂との間に密閉空間を形成し、キャビティ31側から吸引することにより、シート状熱可塑性樹脂を成形してもよい。
【0045】
それに対して、一度の成形によりトレイTを2個取りする場合には、2条の熱可塑性樹脂製シートを分割金型10の間に配置して、分割金型10それぞれに対応して、トレイTを成形する際、対応する熱可塑性樹脂製シートには、それぞれの金型に設けたブロック金型に対応して、対向する金型に向かって突起する突起部202が成形されることから、分割金型10を型締するときに、各熱可塑性樹脂製シートに形成される突起部202同士が溶着しないように、ピンチオフ部38同士が突き合わされたときにも、突起部202の頂部同士が溶着しないように突起部202の高さ、すなわちブロック金型14の高さをピンチオフ部38の高さより低く設定する必要がある。
以上のように、従来技術によれば、トレイT内の収納物の変更により、成形すべき金型が変更され、場合により金型自体を交換する必要があったところ、本実施形態のように、第1実施形態で採用した入れ駒78のタイプのみを変更するだけで、効率的に対処することが可能である。
【0046】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
たとえば、本実施形態においては、シャフト状の長尺構造物Sの端部あるいは中間部を収容するのに、ブロック金型の凹部74に入れ駒78を設け、入れ駒78の上面に設ける凹部74を端部あるいは中間部が収容可能な形状としたが、それに限定されることなく、端部あるいは中間部の形状に応じて、入れ駒78自体を設けることなく、ブロック金型の凹部74により収容可能な形状を賦形してもよい。
また、本実施形態においては、ベース金型12の平面状の装着面16にブロック金型14をネジ固定する場合を説明したが、それに限定されることなく、たとえば、ベース金型12の装着面16に凹部を設け、それに嵌合可能な凸部をブロック金型14に設け、嵌合させたうえでネジ固定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態に係る樹脂製トレイの成形用金型の平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る樹脂製トレイの成形用金型のブロック金型により環状体を形成した状態の全体斜視図である。
【図3】図1の樹脂製トレイの成形用金型におけるブロック金型による環状体のみを示す部分斜視図である。
【図4】ブロック金型の一部を示す斜視図である。
【図5】図1の樹脂製トレイの成形用金型の部分断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る樹脂製トレイの成形用金型に用いられる入れ駒の概略平面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る樹脂製トレイの成形方法において、樹脂トレイTを成形する態様であって、一対の成形用金型間に溶融状態のシート状熱可塑性樹脂を配置した状態を示す断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る樹脂製トレイの成形方法において、一対の成形用金型の型締を行って空気の圧力により溶融樹脂をキャビティ面に沿った形状に成形する状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る樹脂製トレイの成形方法において、ブロック金型および入れ駒により溶融樹脂が賦形される状況を示す部分模式断面図である。
【図10】図8の状態から冷却後に一対の成形用金型を開いて成形品を取り出す状態を示す断面である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る樹脂製トレイの成形方法により成形されたトレイTの斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る樹脂製トレイの成形金型により成形されたトレイTの斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
T トレイ
S 長尺構造物
10 樹脂製トレイの成形用金型
12 ベース金型
14 ブロック金型
16 装着面
18 底面
20 側面
22 ネジ受け孔
24 ネジ部
26 固定ネジ
28 環状体
30 拡張ブロック
32 コーナーブロック
31 キャビティ
34 端面
36 環状頂部
38 ピンチオフ部
40 鉛直部
42 水平部
70 底面
72 上面
74 凹部
76 一方の側面
78 入れ駒
80 上面
82 一方の側面
84 凹部
86 他方の側面
90 溝部
200 底面
202 突起部
203 周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形断面のシャフト状の長尺構造物を収納する樹脂製トレイを成形するのに用いる金型であって、
複数のブロック金型それぞれが装着可能なキャビティを有するベース金型と、成形すべきトレイの仕様に応じて選択されて、該キャビティに装着される複数のブロック金型とを有し、
複数のブロック金型はそれぞれ、互いに平行に収納される複数の長尺構造物の矩形収納エリアの短辺の長さに相当する長さを備え、前記キャビティに当接可能な底面と、賦形面を構成する上面とを有し、
該上面には、それぞれ長尺構造物の端部あるいは中間部が収まり可能な大きさを備え、長手方向に互いに所定間隔を隔てた複数の凹部が設けられ、
さらに、該複数の凹部に嵌合可能な複数の入れ駒を有し、
該複数の入れ駒はそれぞれ、賦形面を構成する上面を有し、
それにより、長尺構造物の仕様および/または配置に応じて、前記複数の入れ駒および前記複数のブロック金型の中から成形に必要な入れ駒およびブロック金型を選択し、選択した入れ駒を選択したブロック金型のどの凹部に嵌合するかを選択し、該キャビティに対向して配置される溶融状態の樹脂材料を成形するのに用いることを特徴とするトレイ向け成形用金型。
【請求項2】
前記複数のブロック金型の少なくとも2つにおいて、前記複数の凹部はそれぞれ、ブロック金型の一方の側面に抜け、長尺構造物のシャフト径に相当する幅を有し、一方の側面同士を対向させて、前記矩形収納エリアの長辺に相当する間隔を隔てて配置され、
前記複数の入れ駒は、前記上面に一方の側面に抜け、長尺構造物のシャフト径に相当する幅を有する凹部を備えるタイプと、前記上面に亘って延び両側面に抜け、長尺構造物のシャフト径に相当する幅を有する凹部を備えるタイプと、前記上面がほぼ平らなタイプとを有する、請求項1に記載のトレイ向け成形用金型。
【請求項3】
シャフト状の長尺構造物が、中間拡径部を有する場合、前記複数のブロック金型の少なくとも2つ、およびこれらに設けられる前記入れ駒において、前記凹部の底面の前記キャビティの表面からの高さは、該中間拡径部の径以上に設定され、それにより、長尺構造物の両端部が、対応する前記ブロック金型あるいは前記入れ駒の前記凹部の底面により支持される、請求項2に記載のトレイ向け成形用金型。
【請求項4】
前記キャビティは、所定のピッチの格子状に複数のねじ穴が設けられた平面状をなし、
前記複数のブロック金型はそれぞれ、該複数のねじ穴に螺合可能な固定ねじにより、前記キャビティに固定可能な貫通ネジ穴を有し、
さらに、前記複数のねじ穴に螺合可能なねじ山部と、該ねじ山部の端部に設けられたねじ頭とを有するねじを有し、
前記キャビティの前記複数のねじ穴のうち、前記複数のブロック金型が装着されないねじ穴には、前記ねじが螺合され、前記ねじ頭により前記ねじ穴が閉鎖される、請求項1に記載のトレイ向け成形用金型。
【請求項5】
円形断面のシャフト状の長尺構造物を収納する樹脂製トレイの成形方法であって、
成形すべきトレイの仕様に応じて、ベース金型に対して装着すべきブロック金型を選択する段階と、
選択したブロック金型の凹部に嵌め込むべき入れ駒と、嵌め込むべき凹部を選択する段階と、
選択したブロック金型をベース金型のキャビティに固定するとともに、選択したブロック金型の凹部に選択した入れ駒を固定することにより、固定されたブロック金型および入れ駒の上面により賦形面を構成する段階と、
溶融状態の熱可塑性樹脂材料を前記キャビティからはみ出すように前記キャビティに対して対向して配置する段階と、
溶融状態の熱可塑性樹脂材料を前記キャビティに対して押し付けることにより、溶融状態の熱可塑性樹脂材料を賦形する段階と、を有し、
それにより、熱可塑性樹脂材料のキャビティに対向する面と反対側の面には、前記ブロック金型および前記入れ駒の上面により、熱可塑性樹脂材料の所定位置に長尺構造物を収納する溝部が形成される、ことを特徴とする樹脂製トレイの成形方法。
【請求項6】
熱可塑性樹脂材料は、金型の上方より押し出された筒状パリソンである、請求項5に記載の成形方法。
【請求項7】
前記ブロック金型の選択段階は、選択した前記ブロック金型のベース金型のキャビティへの固定位置を選択する段階を含む、請求項5に記載の成形方法。
【請求項8】
樹脂製トレイの成形方法であって、
成形すべきトレイの仕様に応じて、ベース金型に対して装着すべきブロック金型を選択する段階と、
選択したブロック金型の凹部に嵌め込むべき入れ駒と、嵌め込むべき凹部を選択する段階と、
選択したブロック金型をベース金型のキャビティに固定するとともに、選択したブロック金型の凹部に選択した入れ駒を固定することにより、固定されたブロック金型および入れ駒の上面により賦形面を構成する段階と、
溶融状態のシート状熱可塑性樹脂材料を前記キャビティからはみ出すように前記キャビティに対して対向して配置する段階と、
溶融状態のシート状熱可塑性樹脂材料を前記キャビティに対して押し付けることにより、溶融状態のシート状熱可塑性樹脂材料を賦形する段階と、を有し、
それにより、シート状熱可塑性樹脂材料のキャビティに対向する面と反対側の面には、前記ブロック金型および前記入れ駒の上面により、シート状熱可塑性樹脂材料の所定位置に収納物を収納する溝部が形成される、ことを特徴とする樹脂製トレイの成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−139932(P2012−139932A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294575(P2010−294575)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】