説明

トレイ自動搬送システム及び移載装置

【課題】工業用酵素を生産するためのトレイをカセットに自動で積み込み/積み下ろしができかつ工業用酵素を生産する上での衛生面及び培養中の環境管理面に優れるトレイ自動搬送システム及び移載装置を提供することを課題とする。
【解決手段】工業用酵素を生産するためのトレイを自動で搬送するトレイ自動搬送システムであって、複数のトレイTを積載するカセットCは、上下方向に延びる四本の支柱と、対向する支柱間に上下方向に複数設けられた横材を有し、複数のトレイTをカセットCに積み込む移載装置2は、積み込み時にトレイTがカセットCの対向する位置に設けられた二本の横材に載置される前にトレイTが二本の横材間を移動するときにトレイTを支持部26aで支持する支持機構26を有することを特徴とし、複数のトレイTをカセットCから積み下ろす移載装置も同様の支持機構を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用酵素を生産するためのトレイを自動で搬送するトレイ自動搬送システム及び移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
古くから醤油製造等で行われている酵素の生産では、培養トレイ(以下、「トレイ」と記載)を用いて、蒸した小麦(ふすま)と麹菌をトレイに入れ、トレイを所定環境下の室(むろ)に搬入し、室で数日間培養し、培養後に室からトレイを搬出し、トレイから中身を取り出して酵素を抽出する。このような酵素の培養工場では、室との間を循環する搬送コンベアでトレイを1個ずつ搬送し、室(むろ)内に設置した棚に手作業で設置し、培養完了後にも手作業でトレイを1個ずつ棚から取り出し、コンベアで搬出する。培養工場では、大量のトレイを取り扱う(例えば、1生産ロット当り約5000セット)。そのため、このような積み込み/積み下ろしを手動で行うは大変な作業であり、自動化が望まれている。
【0003】
カセットでの積み込み/積み下ろしを自動化した技術が各種提案されている。特許文献1や特許文献2には、複数のガラス板や電子回路板を自動で一枚ずつカセットに収納するとともに、カセットからガラス板を自動で一枚ずつ取り出す装置が開示されている。また、特許文献3には、本体フレーム内に複数の麹蓋を自動で積み重ねるとともに、積状麹蓋から麹蓋を取り出す自動製麹装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−235231号公報
【特許文献2】特開昭60−102329号公報
【特許文献3】実開平3−105300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
工業用酵素を培養する場合、衛生面での清潔性が要求される。そのため、トレイは、1回の培養で使用される毎に、水洗浄され、オートクレーブ殺菌される。また、カセットも、1回の培養で使用される毎に、水洗浄され、乾燥される。そのため、トレイとカセットは、洗浄しやすく雑菌が繁殖し難いくい形状が要求される。トレイについては、直接原料が接するため、使用される毎に蒸気滅菌を行う。ちなみに、トレイ内に雑菌があると、酵素を正常に培養できなくなる。
【0006】
また、工業用酵素を培養する場合、培養中の環境管理も要求される。酵素を一定の環境下で培養するためには、カセットに積載したトレイの中身に対する温湿度管理が重要となる。そのため、室内に収納されているカセットに積載状態のトレイ個々の周囲に十分な隙間(空間)を確保し、室内での温湿度制御された空調気流が十分にトレイ個々の全面に行き渡るようにする必要がある。
【0007】
しかし、特許文献1の場合、カセットの側面や上下面が板で密封されているので、酵素の培養には適していない。また、特許文献2の場合、カセット自体が上下方向に移動しながら積み下ろし等を行っているので、上下方向に2階分のスペースを要し、カセット下部に水が溜まる虞がある。水が溜まると、雑菌が繁殖し易くなる。また、特許文献3の場合、麹蓋の下部に複数の通気孔が設けられているが、酵素の培養にはこの程度の通気孔では不十分である。
【0008】
そこで、本発明は、工業用酵素を生産するためのトレイをカセットに自動で積み込み/積み下ろしができかつ工業用酵素を生産する上での衛生面及び培養中の環境管理面に優れるトレイ自動搬送システム及び移載装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るトレイ自動搬送システムは、工業用酵素を生産するためのトレイを自動で搬送するトレイ自動搬送システムであって、複数のトレイを積載するカセットと、カセットを搬送する搬送コンベアと、搬送コンベアにおけるトレイの積み込み箇所又は/及びトレイの積み下ろし箇所に配置され、複数のトレイをカセットに積み込み又は/及び複数のトレイをカセットから積み下ろす移載装置とを備え、カセットは、上下方向に延びる四本の支柱と、対向する支柱間に上下方向に複数設けられた横材を有し、複数のトレイを対向する位置に設けられた二本の横材に載置し、移載装置は、積み込み時にトレイがカセットの対向する位置に設けられた二本の横材に載置される前にトレイが二本の横材間を移動するときにトレイを支持部で支持する、又は/及び、積み下ろし時にカセットの対向する位置に設けられた二本の横材に載置されていたトレイが二本の横材間を移動するときにトレイを支持部で支持する支持機構を有することを特徴とする。
【0010】
このトレイ自動搬送システムでは、室との間を循環する搬送コンベアの所定の箇所に積み込み用/積み下ろし用の移載装置が配置されている。そして、トレイ自動搬送システムでは、積み込み用の移載装置によって工業用酵素を生産するための複数のトレイをカセットに自動で積み込み、そのカセットを搬送コンベアで室に搬送し、培養後に室から搬送コンベアでカセットを搬送し、積み下ろし用の移載装置によってカセットから複数のトレイを自動で積み下ろす。
【0011】
特に、カセットは、上下方向に延びる四本の支柱と、対向する支柱間に上下方向に複数設けられた横材で構成されている。したがって、カセットに積載されているときの各トレイは、カセットの対向する位置に設けられた二本の横材に載置され、下面で二本の横材とだけ接触している。そのため、室で培養中、カセットで積載状態の各トレイの周囲には隙間が十分に確保され、室内での温湿度制御された空調気流が各トレイの全面に十分に行き渡る。また、カセットは、四本の支柱と横材からなる単純な構造をしているので、洗浄、乾燥し易い形状である。また、トレイについては従来からのトレイを適用できるので、トレイについても洗浄、乾燥、滅菌し易い形状である。
【0012】
このような構成のカセットの場合、二本の横材だけでトレイを支持するので、積み込み中に一方の横材側からトレイを他方の横材側へ押し込んでトレイを移動させるとあるいは積み下ろし中に二本の横材に載置されていたトレイを引っ張ってトレイを移動させると、移動中には一本の横材だけで支持されるので途中でトレイが落下する。そこで、移載装置は、積み込み/積み下ろし中にトレイを支持するための支持機構を有している。積み込み用の移載装置の場合、支持機構によって、トレイがカセットの二本の横材に載置される前に、トレイが二本の横材間を移動しているときにトレイを支持部で支持する。積み下ろし用の移載装置の場合、支持機構によって、カセットの二本の横材に載置されていたトレイが二本の横材間を移動するときにトレイを支持部で支持する。この支持機構によって、上記のような単純構造のカセットでも、トレイの積み込み中/積み下ろし中の落下を防止できる。
【0013】
このように、このトレイ自動搬送システムは、工業用酵素を生産するためのトレイをカセットに自動で積み込み/積み下ろしができ、工業用酵素を生産する上での衛生面及び培養中の環境管理面に優れている。また、カセット全体を上下移動させなくてよいので、システム全体のスペースを抑制でき、カセット下部に水が溜まるようなこともない。
【0014】
本発明の上記トレイ自動搬送システムでは、移載装置は、トレイを支持する支持部を水平方向で回転し、積み込み時又は/及び積み下ろす時に支持部を対向する二本の横材間に位置させる回転機構を有すると好適である。
【0015】
このトレイ自動搬送システムの移載装置は、支持機構の支持部を水平方向で回転させる回転機構を有している。移載装置では、回転機構によって、カセットをトレイに積み込むときやカセットからトレイを積み下ろすときに、支持部を水平方向に回転させて、カセットの搬送に邪魔にならない所定の退避位置からカセットの対向する二本の横材間の位置(支持部でトレイを支持する位置)に移動させる。このような回転機構によって支持機構の支持部を回転移動させることにより、移載装置の構造を簡単化でき、スペースも抑制できる。
【0016】
本発明の上記トレイ自動搬送システムでは、移載装置は、トレイを支持部で支持しているときにはカセットを搬送コンベアによる搬送中の位置よりも下方に位置させ、支持部による支持終了後にカセットを搬送コンベアによる搬送中の位置に戻す構成としてもよい。
【0017】
このトレイ自動搬送システムの移載装置では、トレイを支持部で支持しているとき(すなわち、トレイの移動中)にはカセットを搬送コンベアによる搬送中の位置よりも下方に位置させておくことにより、トレイが横材に接することなく支持部だけに支持されて対向する横材間を移動してゆく。そして、移載装置では、支持部による支持終了後(すなわち、トレイの移動終了後)にカセットを搬送コンベアによる搬送中の位置に戻すことにより、カセットが搬送コンベアで搬送可能になるとともに積み込む場合にはトレイが対向する二本の横材に載置される。このような構成とすることにより、移載装置の構造を簡単化できる。
【0018】
本発明の上記トレイ自動搬送システムでは、移載装置は、トレイを支持部で支持しているときには支持部をカセットの対向する二本の横材よりも上方に位置させ、支持部による支持終了後に支持部を下方に移動させる構成としてもよい。
【0019】
このトレイ自動搬送システムの移載装置では、トレイを支持部で支持しているときには支持部を対向する二本の横材よりも上方に位置させことにより、トレイが横材に接することなく支持部だけに支持されて対向する横材間を移動してゆく。そして、移載装置では、支持部による支持終了後に支持部を下方に移動させることにより、積み込む場合にはトレイが対向する二本の横材に載置される。
【0020】
本発明に係る移載装置は、工業用酵素を生産するためのトレイをカセットに積み込む移載装置であって、カセットは、複数のトレイを積載するカセットであり、上下方向に延びる四本の支柱と、対向する支柱間に上下方向に複数設けられた横材を有し、複数のトレイを対向する位置に設けられた二本の横材に載置し、移載装置は、積み込み時にトレイがカセットの対向する位置に設けられた二本の横材に載置される前にトレイが二本の横材間を移動するときにトレイを支持部で支持する支持機構を有することを特徴とする。この本発明の移載装置では、トレイを支持する支持部を水平方向で回転し、積み込み時に支持部を対向する二本の横材間に位置させる回転機構を有すると好適である。
【0021】
本発明に係る移載装置は、工業用酵素を生産するためのトレイをカセットから積み下ろす移載装置であって、カセットは、複数のトレイを積載するカセットであり、上下方向に延びる四本の支柱と、対向する支柱間に上下方向に複数設けられた横材を有し、複数のトレイを対向する位置に設けられた二本の横材に載置し、移載装置は、積み下ろし時にカセットの対向する位置に設けられた二本の横材に載置されていたトレイが二本の横材間を移動するときにトレイを支持部で支持する支持機構を有することを特徴とする。この本発明の移載装置では、トレイを支持する支持部を水平方向で回転し、積み下ろし時に支持部を対向する二本の横材間に位置させる回転機構を有すると好適である。
【0022】
本発明の上記移載装置では、トレイを支持部で支持しているときにはカセットを下方に移動させ、支持部による支持終了後にカセットを上方に移動させて元の高さ位置に戻す構成としてもよい。あるいは、本発明の上記移載装置では、トレイを支持部で支持しているときには支持部をカセットの対向する二本の横材よりも上方に位置させ、支持部による支持終了後に支持部を下方に移動させる構成としてもよい。
【0023】
本発明の上記移載装置は、上記した本発明に係るトレイ自動搬送システムの移載装置と同様の装置であり、上記で説明したトレイ自動搬送システムの移載装置の動作と同様に動作する。したがって、本発明の上記移載装置を用いることにより、上記した本発明に係るトレイ自動搬送システムの効果と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、工業用酵素を生産するためのトレイをカセットに自動で積み込み/積み下ろしができ、工業用酵素を生産する上での衛生面及び培養中の環境管理面に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係るトレイローダーの斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るトレイアンローダーの斜視図である。
【図3】本実施の形態に係るトレイローダー/トレイアンローダーにおけるトレイをカセットに対してプッシュ/プルするときの拡大断面図である。
【図4】本実施の形態に係るカセットの斜視図である。
【図5】本実施の形態に係るトレイであり、(a)が斜視図であり、(b)が側面図である、(c)が側断面図である。
【図6】本実施の形態に係る培養工場の平面図であり、(a)が1日目午前であり、(b)が1日目午後である。
【図7】本実施の形態に係る培養工場の平面図であり、(a)が2日目午前であり、(b)が2日目午後である。
【図8】カセットからトレイの落下を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明に係るトレイ自動搬送システム及び移載装置の実施の形態を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
本実施の形態では、本発明に係るトレイ自動搬送システム及び移載装置を、工業用酵素の培養工場に設けられたトレイ自動搬送システムに適用する。本実施の形態に係る培養工場は、トレイにふすまと麹菌を入れて5日間培養するために、5個×2組(計10個)の室を有している。本実施の形態に係るトレイ自動搬送システムは、トレイのカセットへの積み込み、そのトレイを積載したカセットの室への搬送(搬入)、5日間培養後のカセットを室から搬送(搬出)、カセットからトレイの積み下ろしを全て自動化したシステムである。
【0028】
まず、図4を参照して、本実施の形態に係るカセットCについて説明する。図4は、本実施の形態に係るカセットの斜視図である。
【0029】
カセットCは、全体が直方体形状であり、上下方向に延びる四本のフレーム柱Ca1,Ca2,Ca3,Ca4を備えている。四本のフレーム柱Ca1,Ca2,Ca3,Ca4の上端側は、四本のフレーム横さんCb1,Cb2,Cb3,Cb4によって隣り合うフレーム柱Ca,Ca間をそれぞれ連結している。四本のフレーム柱Ca1,Ca2,Ca3,Ca4の下端側は、四本のフレーム横さんCc1,Cc2,Cc3,Cc4によって隣り合うフレーム柱Ca,Ca間をそれぞれ連結している。対向する二本のフレーム横さんCc1,Cc3の下面には、カセットCの搬送時に搬送コンベアに接する台座Cd1,Cd3が設けられている。二本のフレーム柱Ca1,Ca2間(二本のフレーム柱Ca3,Ca4間)の長さは、トレイTの幅よりも広い幅である。一方、二本のフレーム柱Ca2,Ca3間(二本のフレーム柱Ca4,Ca1)間の長さは、トレイTの幅よりも狭い幅である。本実施の形態では、フレーム柱Ca1,Ca2,Ca3,Ca4が特許請求の範囲に記載する四本の支柱に相当する。
【0030】
二本のフレーム柱Ca1,Ca2間には、トレイ受けさんCe1,Ce2,Ce3,・・・,Ce20が上下方向一定間隔で二十本設けられる。また、二本のフレーム柱Ca3,Ca4間には、トレイ受けさんCf1,Cf2,Cf3,・・・,Cf20が上下方向一定間隔で二十本設けられる。二本のフレーム柱Ca1,Ca2間と二本のフレーム柱Ca3,Ca4間とは対向する位置関係であり、トレイ受けさんCe1,Ce2,Ce3,・・・,Ce20とトレイ受けさんCf1,Cf2,Cf3,・・・,Cf20とはそれぞれ対向する位置関係である。トレイ受けさんCe,Cfが設けられる上下方向の間隔は、トレイTの高さよりも長い間隔である。トレイ受けさんCe1,Ce2,Ce3,・・・,Ce20とトレイ受けさんCf1,Cf2,Cf3,・・・,Cf20とは、対向する受けさん同士が同じ高さ位置になるように配置される。トレイ受けさんCe,Cfの断面形状は、逆L字形状である。カセットCは、対向するトレイ受けさんCe,Cf間にトレイTをそれぞれ載置でき、20個のトレイTを積載できる。なお、本実施の形態では、トレイ受けさんCf1,・・・,Cf20,Cf1,・・・,Cf20が特許請求の範囲に記載する複数の横材に相当する。
【0031】
次に、図5を参照して、本実施の形態に係るトレイTについて説明する。図5は、本実施の形態に係るトレイであり、(a)が斜視図であり、(b)が側面図である、(c)が側断面図である。
【0032】
トレイTは、アルミニウム材で形成され、蓋Taと皿Tbからなる。蓋Taは、図5(b)に示すように側面視して台形状であり、図5(c)に示すように側面断面が略コ字形状である。皿Tbは、図5(b)に示すように側面視して台形状であり、図5(c)に示すように側面断面が略コ字形状である。蓋Taが皿Tbよりも一回り大きく、皿Tbに蓋Taが覆うようにトレイTが構成される。この蓋Taと皿TbからなるトレイTには、ふすまと麹菌からなる酵素培地Eが収納される。なお、トレイTの大きさとしては、例えば、縦×横が1000×1000(mm)であり、高さが50(mm)である。
【0033】
図6、図7を参照して、本実施の形態に係るトレイ自動搬送システム1が設けられる培養構造について説明する。図6、図7は、本実施の形態に係る培養工場の平面図である。
【0034】
培養工場には、5日間の培養を行うために室R1,R2,R3,R4,R5がある。トレイ自動搬送システム1は、ふすまと麹菌が入れられたトレイTをカセットCへ自動で積み込むトレイローダー2と、5日間培養後にカセットCからトレイTを自動で積み下ろすトレイアンローダー3を備えている。また、トレイ自動搬送システム1は、カセットCを搬送するために、室R1,R2,R3,R4,R5、トレイローダー2、トレイアンローダー3間を循環するカセット搬送コンベア4を備えている。このカセット搬送コンベア4は、図1等に示すように二本のレール4a,4aを備えており、この二本のレール4a,4a上にカセットCの台座Cd1,Cd3が載置される。
【0035】
図1及び図3を参照して、トレイローダー2について説明する。図1は、本実施の形態に係るトレイローダーの斜視図である。図3は、本実施の形態に係るトレイローダー/トレイアンローダーにおけるトレイをカセットに対してプッシュ/プルするときの拡大断面図である。
【0036】
トレイローダー2は、一個ずつ搬送されてくるトレイTを20個等間隔で上下方向に積み上げ、その積み上げた20個のトレイTをカセット搬送コンベア4における搬送時の高さ位置よりも下方に位置するカセットCに押し込み(プッシュ)、この押し込み時にトレイTが落下しないように両側から支持し、押し込み後にカセットCを搬送時の高さ位置まで上昇させてカセットCのトレイ受けさんCe,CfにトレイTを支持させる。そのために、トレイローダー2は、トレイ供給コンベア20、プッシャフレーム21、プッシャシリンダ22、トレイプッシャレール23、トレイアキュムレータ24、スイングガイドフレーム25、スイングガイド26を備えている。
【0037】
トレイ供給コンベア20は、ふすまと麹菌が入れられたトレイTをトレイアキュムレータ24へ順次搬送するコンベアである。トレイ供給コンベア20は、二本のベルト20a,20aを備えている。二本のベルト20a,20aは、平行に配置され、その間隔がトレイTの幅よりも狭い幅である。ベルト20a,20aは、二個のベルト車(図示せず)に輪状に掛けられて回転する。
【0038】
プッシャフレーム21は、二本のプッシャシリンダ22,22を水平に支持するフレームである。二本のプッシャシリンダ22,22は、トレイプッシャレール23を押圧して20個のトレイTをトレイアキュムレータ24からカセットCまで押し込むためのシリンダである。二本のプッシャシリンダ22,22は、上下に平行に配置され、水平方向に保持される。プッシャシリンダ22は、ピストン22aを水平方向に往復運動させる。このピストン22aのストロークは、トレイアキュムレータ24で積み上げられたトレイTをカセット搬送コンベア4上のカセットCまで押し込むために必要な長さである。トレイプッシャレール23は、ピストン22a,22aの前端に取り付けられ、二枚の板状部材が垂直に配置され、トレイアキュムレータ24で上下方向に積み上げられた20個のトレイTを側面から同時に押圧するためのものである。
【0039】
トレイアキュムレータ24は、トレイ供給コンベア20で1個ずつ搬送されてきたトレイTを上下方向に20個等間隔で積み上げるアキュムレータである。トレイアキュムレータ24,24は、トレイ供給コンベア20を挟んで一対で配置される。トレイアキュムレータ24は、多数のアキュムレータ羽根24aと二本のベルト24b,24bを備えている。アキュムレータ羽根24aは、板状であり、トレイTの幅よりも少し長い程度の長さを有している。アキュムレータ羽根24aは、その側面が二本のベルト24b,24bにそれぞれ取り付けられ、ベルト24bの上面に対して垂直に設けられる。上下に隣接するアキュムレータ羽根24aが取り付けられる間隔は、カセットCでの上下に隣接するトレイ受けさんCe(Cf)の間隔と同じ間隔である。ベルト24bは、上下方向に配置され、上下に配置される二個のベルト車(図示せず)に輪状に掛けられて回転する。対向するトレイアキュムレータ24,24では、同期してベルト24bが回転し、トレイ供給コンベア20でトレイTを対向する二枚のアキュムレータ羽根24a,24aで下側から一個ずつすくい上げ、20個のトレイTを対向する二枚のアキュムレータ羽根24a,24aにそれぞれ載せて積み上げる。この際、各ベルト24bは、内側のアキュムレータ羽根24aが上昇し、外側のアキュムレータ羽根24aが下降するように回転する。
【0040】
スイングガイドフレーム25は、スイングガイド26を支持するフレームである。スイングガイドフレーム25は、上下方向に延びる二本のフレーム柱25a,25aが培養工場の床面に垂設され、フレーム柱25a,25aの上端がフレーム横さん25bで連結されている。二本のフレーム柱25a,25aの間隔は、カセットCのフレーム柱Ca1,Ca2間よりも少し広い間隔である。
【0041】
スイングガイド26は、トレイアキュムレータ24で上下方向に積み上げられた20個のトレイTがカセット搬送コンベア4における搬送時の高さ位置よりも下方に位置するカセットCに押し込まれているときに、20個のトレイTが落下しないようにそれぞれ支持するガイドである。ちなみに、トレイTを単純にカセットCに押し込んだ場合、図8に示すように、トレイTはカセットCの一本のトレイ受けさんでしか支持されないので、途中でトレイTが落下する。
【0042】
スイングガイド26,26は、カセット搬送コンベア4における積み込み位置に位置するカセットCを挟み込むように一対で配置される。スイングガイド26は、20組のガイド26a、ガイドフレーム26b、連結フレーム26c,26cを備えている。ガイド26aは、トレイTがカセットCに押し込まれているときにトレイTを支持する支持部である。ガイド26aは、直方体形状であり、カセットCのフレーム柱Ca2,Ca3間よりも狭い長さを有している。ガイド26aは、上下で二種類の部材で形成されており、上部がトレイTが滑りやすくなるようにプラスチックであり、下部がスチールである。ガイドフレーム26bは、ガイド26aを水平に保持した状態で支持し、ガイド26aを90度水平回転させるためのフレームである。ガイドフレーム26bは、ガイド26aよりも細い直方体形状であり、ガイド26aを十分に支持できる長さを有している。ガイドフレーム26bは、スイングガイドフレーム25のフレーム柱25aに垂直に取り付けられ、床面やカセット搬送コンベア4の搬送面に対して平行である。ガイド26aとガイドフレーム26bとは、二本の連結フレーム26c,26cによって連結される。上下に隣接するガイドフレーム26bが取り付けられる間隔(すなわち、上下に隣接するガイド26aの間隔)は、カセットCで上下に隣接するトレイ受けさんCe(Cf)の間隔と同じ間隔である。
【0043】
スイングガイドフレーム25は、20本のガイドフレーム26bが垂設されているフレーム柱25aを90度回転させるアクチュエータ(図示せず)を備えている。この90度回転は、ガイドフレーム26b(すなわち、ガイド26a)がカセット搬送コンベア4に対して平行となる位置と垂直となる位置との間を回転する。ガイドフレーム26bがカセット搬送コンベア4に対して垂直となる位置まで回転したときに、図3に示すように、ガイド26aがトレイTの端部を支持できる位置になるように、スイングガイドフレーム25及びスイングガイド26の各部材の配置や長さが調整されている。
【0044】
なお、本実施の形態では、トレイローダー2が特許請求の範囲に記載する積み込み用の移載装置に相当し、スイングガイドフレーム25及びスイングガイド26が特許請求の範囲に記載する回転機構に相当し、スイングガイド26が特許請求の範囲に記載する支持機構に相当し、ガイド26aが特許請求の範囲に記載する支持部に相当する。
【0045】
図2及び図3を参照して、トレイアンローダー3について説明する。図2は、本実施の形態に係るトレイアンローダーの斜視図である。図3は、本実施の形態に係るトレイローダー/トレイアンローダーにおけるトレイをカセットに対してプッシュ/プルするときの拡大断面図である。
【0046】
トレイアンローダー3は、カセット搬送コンベア4における5日間培養後のカセットCから20個のトレイTを同時に引き出し(プル)、この引き出し時にトレイTが落下しないように両側から支持し、引き出した20個のトレイTから一個ずつ積み下ろし、一個ずつトレイTを排出する。そのために、トレイアンローダー3は、トレイ排出コンベア30、プラーフレーム31、プラーシリンダ32、トレイプラーレール33、トレイアキュムレータ34、スイングガイドフレーム35、スイングガイド36を備えている。
【0047】
トレイ排出コンベア30は、5日培養後のトレイTをトレイアキュムレータ34から順次搬送するコンベアである。トレイ排出コンベア30は、二本のベルト30a,30aを備えており、トレイローダー2のトレイ供給コンベア20と同様の構成である。
【0048】
プラーフレーム31は、二本のプラーシリンダ32,32を水平に支持するフレームである。二本のプラーシリンダ32,32は、トレイプラーレール33を引っ張って20個のトレイTをカセットCから引き出すためのシリンダである。プラーシリンダ32は、ピストン32aを備えており、トレイローダー2のプッシャシリンダ22と同様の構成である。トレイプラーレール33は、ピストン32a,32aの前端に取り付けられ、二枚の板状部材が垂直に配置され、カセットCに積載されている20個のトレイTを側面からトレイアキュムレータ34まで引き出すためのものである。トレイプラーレール33には、上下方向等間隔で20個のトレイグラブメカニズム33aが取り付けられている。トレイグラブメカニズム33aは、トレイTを側面から上下に挟み込んで把持する機構を有している。トレイプラーレール33がプラーシリンダ32,32のピストン32a,32aによってカセットCの近傍まで押し出されたときに20個のトレイグラブメカニズム33aが上下に開いた状態から閉じてトレイTをそれぞれ挟み込んで把持し、ピストン32a,32aの引き込み中は把持状態を維持し、ピストン32a,32aが引き込まれて20個のトレイTがトレイアキュムレータ34の位置まできたときにトレイグラブメカニズム33aが上下に開いて把持状態を解除する。
【0049】
トレイアキュムレータ34は、20個等間隔で積み上げられているトレイTを一個ずつ積み下ろすアキュムレータである。トレイアキュムレータ34,34は、トレイ排出コンベア30を挟んで一対で配置される。トレイアキュムレータ34は、多数のアキュムレータ羽根34aと二本のベルト34b,34bを備えており、トレイローダー2のトレイアキュムレータ24と同様の構成である。対向するトレイアキュムレータ34,34では、トレイグラブメカニズム33aの把持状態が解除されると、20個のトレイTが対向する二枚のアキュムレータ羽根34a,34a上にそれぞれ載置される。そして、対向するトレイアキュムレータ34,34では、同期してベルト34bが回転し、積み重ねられたトレイTが徐々に下降し、トレイTを一枚ずつトレイ排出コンベア30に載せる。この際、各ベルト34bは、内側のアキュムレータ羽根34aが下降し、外側のアキュムレータ羽根34aが上昇するように回転する。
【0050】
スイングガイドフレーム35は、スイングガイド36を支持するフレームである。スイングガイドフレーム35は、二本のフレーム柱35a,35aとフレーム横さん35bを備えており、トレイローダー2のスイングガイドフレーム25と同様の構成である。
【0051】
スイングガイド36は、20個のトレイTを積載したカセットCがカセット搬送コンベア4の搬送時の高さ位置よりも下方に移動したときから20個のトレイTがトレイアキュムレータ34まで引き出されるまで20個のトレイTが落下しないようにそれぞれ支持するガイドである。スイングガイド36,36は、カセット搬送コンベア4における積み下ろし位置に位置するカセットCを挟み込むように一対で配置される。スイングガイド36は、20組のガイド36a、ガイドフレーム36b、連結フレーム36c,36cを備えており、トレイローダー2のスイングガイド26と同様の構成である。
【0052】
なお、本実施の形態では、トレイアンローダー3が特許請求の範囲に記載する積み下ろし用の移載装置に相当し、スイングガイドフレーム35及びスイングガイド36が特許請求の範囲に記載する回転機構に相当し、スイングガイド36が特許請求の範囲に記載する支持機構に相当し、ガイド36aが特許請求の範囲に記載する支持部に相当する。
【0053】
カセット搬送コンベア4は、カセットCの積み込み位置/積み下ろし位置を十分に含む区間が搬送面に対して下方に上下移動する機構を備えている。この搬送面よりも下方に移動する距離は、トレイアキュムレータ24で積み上げた20個のトレイTをカセットCに押し込み中/カセットCに積載された20個のトレイTをトレイアキュムレータ34までの引き出し中に、各トレイTがカセットCのトレイ受けさんCe,Cfの上面よりも少し高い位置になるように調整された距離である(例えば、カセットCで上下に隣接するトレイ受けさんCe(Cf)の間隔の1/3〜1/4程度)。
【0054】
図1〜図7を参照して、トレイ自動搬送システム1の動作について説明する。ここでは、図6、図7に沿って、培養の1日目午前、1日目午後、2日目午前、2日目午後の動作について説明する。図6は、本実施の形態に係る培養工場の平面図であり、(a)が1日目午前であり、(b)が1日目午後である。図7は、本実施の形態に係る培養工場の平面図であり、(a)が2日目午前であり、(b)が2日目午後である。
【0055】
図6(a)を参照して、培養の1日目午前について説明する。図6(a)の各室R1,R2,R3,R4,R5に示す各数値「1」、「2」、「3」、「4」、「5」は、培養経過日数を示し、例えば、室R5は「5」なので、培養5日経過している。そこで、カセット搬送コンベア4が、この室R5に収納されているトレイT(培養済みの麹が入ったトレイ)を積載したカセットCgを、トレイアンローダー3まで順次搬送する。
【0056】
図2に示すように、トレイアンローダー3では、まず、カセット搬送コンベア4で搬送されてきたカセットCが積み下ろし位置で停止する。そして、カセット搬送コンベア4に対して平行であったスイングガイド36,36がカセットC側に90度回転し、各ガイド36aが各トレイT端部下方に位置する。同時に、プラーシリンダ32,32のピストン32a,32aが伸び、トレイプラーレール33,33がカセットC側に前進する。さらに、カセット搬送コンベア4において積み下ろし位置を十分に含む区間が搬送面に対して下方に沈み、カセットC全体が下方に少し移動する。これによって、各トレイTが一対のスイングガイド36,36の対向するガイド36a,36aにそれぞれ載置され、対向するガイド36a,36aが各トレイTをそれぞれ支持する。
【0057】
対向するガイド36a,36aによって各トレイTを支持すると、カセットCの近傍位置まで前進しているトレイプラーレール33,33に取り付けられた各トレイグラブメカニズム33a,33aが、閉じて各トレイTをそれぞれ把持する。そして、プラーシリンダ32,32のピストン32a,32aが縮み、トレイプラーレール33,33が後退する。この際、各トレイTは、カセットCのトレイ受けさんCe,Cf間を移動するが、スイングガイド36の対向するガイド36a,36aによってそれぞれ支持されているので、落下しない。ピストン32a,32aが最後まで縮むと、各トレイグラブメカニズム33a,33aが、開いて、各トレイTをそれぞれ離す。そして、各トレイTが、一対のトレイアキュムレータ34,34の対向するアキュムレータ羽根34a,34aにそれぞれ載置される。この際、カセット搬送コンベア4において積み下ろし位置を十分に含む区間が、搬送面まで上昇する。同時に、カセット搬送コンベア4に対して垂直であったスイングガイド36,36が90度回転し、各ガイド36aがカセット搬送コンベア4に平行する位置まで開く。そして、カセット搬送コンベア4が、空になったカセットChをトレイローダー2側に搬送する。この空のカセットChは、再使用される前に、洗浄、乾燥される。
【0058】
各トレイTを対向するアキュムレータ羽根34a,34aでそれぞれ載置すると、トレイアキュムレータ34,34では、ベルト34b,34bが回転し、回転内側の対向するアキュムレータ羽根34a,34aが下降している。この回転によって、各トレイTが下方に移動し、トレイTが一個ずつトレイ排出コンベア30のベルト30a,30a上に載置される。トレイアキュムレータ34,34での回転は、トレイ排出コンベア30上での隣接するトレイT,T間の間隔を一定以上の保持するために、トレイTがトレイ排出コンベア30に載置される毎に一旦停止する。そして、トレイ排出コンベア30が、トレイTc一個ずつ搬送する。トレイアンローダー3では、室R5に収納されていた全てのカセットCに対してこの動作繰り返す。
【0059】
トレイ排出コンベア30では、各トレイTcを順次搬送する。搬送された各トレイTは、酵素が抽出され、蓋Taと皿Tbが再使用される前に洗浄、滅菌、乾燥される。その後、各トレイTには、ふすまと麹菌が入れられる。
【0060】
図6(b)を参照して、培養の1日目午後について説明する。ふすまと麹菌が入れられると、トレイ供給コンベア20が、そのトレイTdをトレイローダー2に順次搬送する。また、カセット搬送コンベア4が、洗浄等後の空のカセットCiを、トレイローダー2に順次搬送する。
【0061】
図1に示すように、トレイローダー2では、トレイ供給コンベア20によってトレイアキュムレータ24,24までトレイTdが一個ずつ搬送される。この際、一対のトレイアキュムレータ24,24では、ベルト24b,24bが回転しており、回転内側の対向するアキュムレータ羽根24a,24aが上昇している。トレイ供給コンベア20によって搬送されてきた各トレイTは、対向するアキュムレータ羽根24a,24aに押し込まれ、対向するアキュムレータ羽根24a,24a上に載置される。トレイアキュムレータ24,24での回転は、トレイTdが押し込まれて対向するアキュムレータ羽根24a,24a上に完全に載置されるまで一旦停止する。各トレイTが対向するアキュムレータ羽根24a,24a上に載置されると、トレイアキュムレータ24,24での回転が開始し、各トレイTが上方に移動する。そして、トレイアキュムレータ24,24に、20個のトレイTが積み上げられる。
【0062】
この際、カセット搬送コンベア4で搬送されていきた空のカセットCiが積み込み位置で停止する。そして、カセット搬送コンベア4に対して平行であったスイングガイド26,26がカセットC側に90度回転し、カセットCの受けさんCe,Cf間に位置する。さらに、カセット搬送コンベア4において積み込み位置を十分に含む区間が搬送面に対して下方に沈み、カセットC全体が下方に少し移動する。
【0063】
そして、プッシャシリンダ22,22のピストン22a,22aが伸び、トレイプッシャレール23,23がカセットC側に前進する。トレイプッシャレール23,23は、トレイアキュムレータ24,24で積み上げられている20個のトレイTをカセットC側に押圧する。これによって、各トレイTは、カセットCに押し込まれる。この際、各トレイTは、カセットCのトレイ受けさんCe,Cf間を移動するが、一対のスイングガイド26,26の対向するガイド26a,26aによってそれぞれ支持されているので、落下しない。
【0064】
各トレイTがカセットCに押し込まれると、カセット搬送コンベア4において積み込み位置を十分に含む区間が、搬送面まで上昇する。これによって、カセットCが上昇し、各トレイTが、カセットCの対向するトレイ受けさんCe,Cfにそれぞれ載置される。同時に、カセット搬送コンベア4に対して垂直であったスイングガイド26,26が90度回転し、各ガイド26aがカセット搬送コンベア4に平行する位置まで開く。そして、カセット搬送コンベア4が、20個のトレイTを積載したカセットCjを空いている室R5まで搬送する。また、プッシャシリンダ22,22のピストン22a,22aが縮み、トレイプッシャレール23,23が後退する。トレイローダー2では、室R5に収納する全てのカセットCに対してこの動作繰り返す。
【0065】
図7(a)を参照して、培養の2日目午前について説明する。2日目になると、室R4が培養5日経過しているので、カセット搬送コンベア4が、この室R4に収納されているトレイTを積載したカセットCkを、トレイアンローダー3まで順次搬送する。トレイアンローダー3では、1日目午前と同様の動作により、各カセットCkからトレイTを積み下ろす。そして、カセット搬送コンベア4が空になったカセットClをトレイローダー2側に搬送し、この空のカセットClは再使用される前に洗浄、乾燥される。また、トレイ排出コンベア30がトレイTe一個ずつ搬送し、この各トレイTから酵素が抽出され、蓋Taと皿Tbが再使用される前に洗浄、滅菌、乾燥される。その後、各トレイTには、ふすまと麹菌が入れられる。
【0066】
図7(b)を参照して、培養の2日目午後について説明する。ふすまと麹菌が入れられると、トレイ供給コンベア20が、トレイTfをトレイローダー2に順次搬送する。また、カセット搬送コンベア4が、洗浄等後の空のカセットCmをトレイローダー2に順次搬送する。トレイローダー2では、1日目午後と同様の動作により、各カセットCに20個のトレイTfを積み込む。そして、カセット搬送コンベア4が、20個のトレイTfを積載したカセットCnを空いている室R4まで搬送する。
【0067】
以上のような同様の動作を、作業対象の室を毎日変えながら、繰り返し行い、5日周期で酵素を培養する。
【0068】
このトレイ自動搬送システム1によれば、トレイローダー2及びトレイアンローダー3によって工業用酵素を生産するためのトレイTをカセットCに自動で積み込み/積み下ろしができ、工業用酵素を生産する上での衛生面及び培養中の環境管理面に優れている。
【0069】
つまり、カセットCを基本構造として四本のフレーム柱Caと対向するフレーム柱間の受けさんCe,Cfからなる単純な構造をしているので、室で培養中、カセットCで積載状態の各トレイTの周囲には隙間が十分に確保され、室内での温湿度制御された空調気流が各トレイTの全面に十分に行き渡る。また、カセットCは、単純な幾何学形状なので、洗浄、乾燥し易い形状である。また、トレイTについても蓋Taと皿Tbから単純な構造なので、洗浄、乾燥、滅菌し易い形状である。
【0070】
トレイローダー2及びトレイアンローダー3は、スイングガイド26,36による支持機構によってカセットCでの積み込み/積み下ろしするときにトレイTをガイド26a,36aで支持するので、トレイTの積み込み中/積み下ろし中の落下を防止できる。また、トレイローダー2及びトレイアンローダー3は、スイングガイド26,36及びスイングガイドフレーム25,35の回転機構によってガイド26a,36aを水平方向に回転させて、ガイド26a,36aをカセットCの搬送に邪魔にならない所定の退避位置から対向する受けさんCe,Cf間に位置させる構造とすることにより、構造を簡単化でき、スペースも抑制できる。
【0071】
また、トレイローダー2及びトレイアンローダー3では、トレイTをスイングガイド26,36のガイド26a,36aで支持しているとき(すなわち、トレイTの移動中)にカセットCをカセット搬送コンベア4による搬送中の位置よりも下方に位置させ、支持終了後(すなわち、トレイTの移動終了後)にカセットCをカセット搬送コンベア4による搬送中の位置に戻す構成とすることにより、スイングガイド26,36等の構造を簡単化できる。
【0072】
また、このトレイ自動搬送システム1は、システム全体を1階分のスペースで構築でき(カセットC全体を2階分のスペースで上下移動するような構成でない)、システム全体のスペースを抑制でき、カセットC下部に水が溜まるようなこともない。
【0073】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0074】
例えば、本実施の形態では本発明のトレイ自動搬送システムを適用した培養工場の一例を示したが、室の数や配置、各コンベアの配置、トレイローダー及びトレイアンローダーの数や配置、カセットでのトレイの積載数、室当りのカセットの収納数、培養日数等については特に限定するものではない。また、トレイローダーとトレイアンローダー両方を有するシステムに適用したが、一方だけを有するシステムに適用してもよい。
【0075】
また、本実施の形態ではトレイローダー、トレイアンローダーにガイドを水平回転させて移動させるスイングガイドを構成したが、2段階の平行移動等の他の移動方法でガイドを移動させてもよい。
【0076】
また、本実施の形態では積み込み時/積み下ろし時にカセットをカセット搬送コンベアにおける搬送時の高さ位置よりも下方に位置させ、積み込み/積み下ろし終了後にカセットをカセット搬送コンベアにおける搬送時の高さ位置に戻す構成としたが、カセット自体を上下移動させずに、スイングガイドのガイド自体を上下移動させる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…トレイ自動搬送システム、2…トレイローダー、20…トレイ供給コンベア、20a…ベルト、21…プッシャフレーム、22…プッシャシリンダ、22a…ピストン、23…トレイプッシャレール、24…トレイアキュムレータ、24a…アキュムレータ羽根、24b…ベルト、25…スイングガイドフレーム、25a…フレーム柱、25b…フレーム横さん、26…スイングガイド、26a…ガイド、26b…ガイドフレーム、26c…連結フレーム、3…トレイアンローダー、30…トレイ排出コンベア、30a…ベルト、31…プラーフレーム、32…プラーシリンダ、32a…ピストン、33…トレイプラーレール、33a…トレイグラブメカニズム、34…トレイアキュムレータ、34a…アキュムレータ羽根、34b…ベルト、35…スイングガイドフレーム、35a…フレーム柱、35b…フレーム横さん、36…スイングガイド、36a…ガイド、36b…ガイドフレーム、36c…連結フレーム、4…カセット搬送コンベア、4a…レール、C…カセット、Ca1,Ca2,Ca3,Ca4…フレーム柱、Cb1,Cb2,Cb3,Cb4,Cc1,Cc2,Cc3,Cc4…フレーム横さん、Cd1,Cd3…台座、Ce1,・・・,Ce20,Cf1,・・・,Cf20…トレイ受けさん、T…トレイ、Ta…蓋、Tb…皿。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業用酵素を生産するためのトレイを自動で搬送するトレイ自動搬送システムであって、
複数の前記トレイを積載するカセットと、
前記カセットを搬送する搬送コンベアと、
前記搬送コンベアにおける前記トレイの積み込み箇所又は/及び前記トレイの積み下ろし箇所に配置され、複数の前記トレイを前記カセットに積み込み又は/及び複数の前記トレイを前記カセットから積み下ろす移載装置と、
を備え、
前記カセットは、上下方向に延びる四本の支柱と、対向する前記支柱間に上下方向に複数設けられた横材を有し、複数の前記トレイを対向する位置に設けられた二本の前記横材に載置し、
前記移載装置は、積み込み時に前記トレイが前記カセットの対向する位置に設けられた二本の前記横材に載置される前に前記トレイが前記二本の横材間を移動するときに前記トレイを支持部で支持する、又は/及び、積み下ろし時に前記カセットの対向する位置に設けられた二本の前記横材に載置されていた前記トレイが前記二本の横材間を移動するときに前記トレイを支持部で支持する支持機構を有することを特徴とするトレイ自動搬送システム。
【請求項2】
前記移載装置は、前記トレイを支持する支持部を水平方向で回転し、積み込み時又は/及び積み下ろす時に前記支持部を前記対向する二本の横材間に位置させる回転機構を有することを特徴とする請求項1に記載のトレイ自動搬送システム。
【請求項3】
前記移載装置は、前記トレイを前記支持部で支持しているときには前記カセットを前記搬送コンベアによる搬送中の位置よりも下方に位置させ、前記支持部による支持終了後に前記カセットを前記搬送コンベアによる搬送中の位置に戻すことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトレイ自動搬送システム。
【請求項4】
前記移載装置は、前記トレイを前記支持部で支持しているときには前記支持部を前記カセットの前記対向する二本の横材よりも上方に位置させ、前記支持部による支持終了後に前記支持部を下方に移動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトレイ自動搬送システム。
【請求項5】
工業用酵素を生産するためのトレイをカセットに積み込む移載装置であって、
前記カセットは、複数の前記トレイを積載するカセットであり、上下方向に延びる四本の支柱と、対向する前記支柱間に上下方向に複数設けられた横材を有し、複数の前記トレイを対向する位置に設けられた二本の前記横材に載置し、
前記移載装置は、積み込み時に前記トレイが前記カセットの対向する位置に設けられた二本の前記横材に載置される前に前記トレイが前記二本の横材間を移動するときに前記トレイを支持部で支持する支持機構を有することを特徴とする移載装置。
【請求項6】
前記トレイを支持する支持部を水平方向で回転し、積み込み時に前記支持部を前記対向する二本の横材間に位置させる回転機構を有することを特徴とする請求項5に記載の移載装置。
【請求項7】
工業用酵素を生産するためのトレイをカセットから積み下ろす移載装置であって、
前記カセットは、複数の前記トレイを積載するカセットであり、上下方向に延びる四本の支柱と、対向する前記支柱間に上下方向に複数設けられた横材を有し、複数の前記トレイを対向する位置に設けられた二本の前記横材に載置し、
前記移載装置は、積み下ろし時に前記カセットの対向する位置に設けられた二本の前記横材に載置されていた前記トレイが前記二本の横材間を移動するときに前記トレイを支持部で支持する支持機構を有することを特徴とする移載装置。
【請求項8】
前記トレイを支持する支持部を水平方向で回転し、積み下ろし時に前記支持部を前記対向する二本の横材間に位置させる回転機構を有することを特徴とする請求項7に記載の移載装置。
【請求項9】
前記トレイを前記支持部で支持しているときには前記カセットを下方に移動させ、前記支持部による支持終了後に前記カセットを上方に移動させて元の高さ位置に戻すことを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか1項に記載の移載装置。
【請求項10】
前記トレイを前記支持部で支持しているときには前記支持部を前記カセットの前記対向する二本の横材よりも上方に位置させ、前記支持部による支持終了後に前記支持部を下方に移動させることを特徴とする請求項5〜請求項8いずれか1項に記載の移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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