説明

トロンビンレセプタアンタゴニストとしてのヒンバシン類似物

【課題】トロンビンレセプタアンタゴニストを提供すること。
【解決手段】式(I)の複素環置換した三環式化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩が開示されている:


ここで、nおよびnは、別個に、0〜2である;Hetは、必要に応じて置換した単環式、二環式または三環式のヘテロ芳香族基である;Bは、アルキルまたは必要に応じて置換したアルケニルである;R22は、−COR23またはカルボキシ、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミドまたはアミノ酸誘導体である;R23は、ハロアルキル;アルケニル;ハロアルケニル;アルキニル;必要に応じて置換したシクロアルキル;シクロアルキル−アルキル;アリール;アリールアルキル;ヘテロアリール;ヘテロシクロアルキル;または−COOHおよび/または−SOH置換アルキルである;R、R、R、R、R10およびR11は、本明細書中で定義したとおりである。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
トロンビンは、異なる細胞型において、種々の活性を有することが知られており、トロンビンレセプタは、ヒト血小板、血管平滑筋細胞、内皮細胞および線維芽細胞のような細胞型に存在していることが知られている。従って、トロンビンレセプタアゴニストは、血栓症、炎症、アテローム性動脈硬化症および繊維増殖症だけでなく、トロンビンおよびそのレセプタが病理学的役割を果たす他の障害の処置において有用であると予想される。
【0002】
トロンビンレセプタアンタゴニストペプチドは、トロンビンレセプタ上のアミノ酸の置換基が関与している構造活性研究に基づいて、同定されている。Bernatowiczら、J.Med.Chem.,39(1996),p.4879〜4887では、強力なトロンビンレセプタアンタゴニストであるとして、テトラペプチドおよびペンタペプチド(例えば、N−トランス−シンナモイル−p−フルオロPhe−p−グアニジノPhe−Leu−Arg−NHおよびN−トランス−シンナモイル−p−フルオロPhe−p−グアニジノPhe−Leu−Arg−Arg−NH)が開示されている。ペプチドトロンビンレセプタアンタゴニストはまた、WO 94/03479(これは、1994年2月17日に公開された)でも開示されている。
【0003】
カンナビノイドレセプタは、G−タンパク質結合レセプタのスーパーファミリーに属する。それらは、主に神経細胞のCBレセプタおよび主に末梢のCBレセプタに分類される。これらのレセプタは、アデニル酸シクラーゼおよびCa+2およびKの流れを変調することにより、それらの生物学的作用を発揮する。CBレセプタの効果は、主に、中枢神経系に関連しているのに対して、CBレセプタは、気道狭窄、免疫調節および炎症に関係した末梢効果を有すると考えられている。そういうものとして、選択的CBレセプタ結合剤は、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、骨粗鬆症、腎虚血、脳卒中、脳虚血、腎炎、肺や消化管の炎症障害、および気道障害(例えば、可逆性気道閉塞、慢性喘息および気管支炎)に関連した疾患の制御の際に、治療有用性を有すると予想される(R.G.Pertwee,Curr.Med.Chem.6(8),(1999),635)。
【0004】
ヒンバシンは、次式のピペリジンアルカロイドであり、これは、ムスカリンレセプタアンタゴニストとして同定されている:
【0005】
【化6】

(+)−ヒンバシンの全合成は、非特許文献1に開示されている。
【非特許文献1】Chackalamannilら、J.Am.Chem Soc.,118(1996),p.9812〜9813
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、以下を提供する。
(項目1)
以下の構造式により表わされる化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩:
【化1】


ここで、
Rは、H、C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、(C〜C)アルキル−アミノ、(C〜C)−ジアルキルアミノ、(C〜C)アルコキシ、−COR16、−COOR17、−SOR16、−SO16、−SONR1718、−NR17SO18、−NR16COR16a、−NR16COOR16a、−NR16CONR、フルオロ−(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフロオロ(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、アリール(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アミノ−(C〜C)−アルキル、アリールおよびチオ(C〜C)アルキルからなる群から別個に選択される1〜3個の置換基である;
およびRは、H、C〜Cアルキル、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ−(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキル、アリールおよびチオ(C〜C)アルキルからなる群から別個に選択される;またはRおよびRは、一緒になって、=O基を形成する;
は、H、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アリールオキシ、アリール(C〜C)アルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリール(C〜C)アルキルオキシ、(C〜C)シクロアルキルオキシ、−SOR16、−SO17、−SONR1819、−SR18、−SOH、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、−OC(O)R32、−OC(O)NR3334、−(CR3334OR32、−NR、−NR33COOR32、−NR33COOR32、−NR33S(O)32、−NR33CONR3334、−NR33S(O)NR3334、−(CR3334NR、−(CR3334NR33COR32、−(CR3334NR33COR32、−(CR3334NR33S(O)32、−(CR3334NR33CONR3334、−(CR3334NR33S(O)NR3334、(C〜C)アルキル、ハロゲン、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、−CN、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、−P(O)(ORまたは置換(C〜C)アルキルであって、ここで、該置換(C〜C)アルキルは、ハロゲン、−OH、−NH、アリール、−COOH、−SOH、チオおよび(C〜C)アルキルチオからなる群から別個に選択される1〜3個の置換基で置換されている;
nは、1、2、3または4である;
n1およびn2は、別個に、0〜3であるが、但し、両方共に0になることはない;
Hetは、5〜14個の原子を有する単環式、二環式または三環式ヘテロ芳香族基であり、該ヘテロ芳香族基は、1〜13個の炭素原子および1〜4個のヘテロ原子から構成され、該ヘテロ原子は、N、OおよびSからなる群から別個に選択され、ここで、環窒素は、C〜Cアルキル基と共に、N−オキシドまたは四級基を形成でき、ここで、Hetは、炭素原子環メンバーにより、Bに結合され、ここで、該Het基は、1〜4個の置換基Wで置換され、Wは、別個に、以下からなる群から選択される:C〜Cアルキル;−NR;−NHCOR26;−NHSO16;R21−アリール;アリールであって、ここで、隣接炭素は、メチレンジオキシ基と共に、環を形成する、アリール;およびR21−ヘテロアリール;
およびRは、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から別個に選択されるか、またはRおよびRは、一緒になって、−(CH−、−(CH−、−(CH−または−(CHNR−(CH−であり、それらが結合する窒素原子と共に、環を形成する;
は、Hまたは(C〜C)アルキルである;
、R10およびR11は、Rおよび−ORからなる群から別個に選択される;
は、H、OH、−NR、C〜Cアルコキシ、ハロゲンまたはハロ(C〜C)アルキルである;
Bは、−(CH)n−またはシスまたはトランス−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、ここで、nは、0〜5であり、nおよびnは、別個に、0〜2であり、そしてR12およびR12aは、H、C〜Cアルキルおよびハロゲンからなる群から別個に選択される;
16およびR16aは、C〜Cアルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から別個に選択される;
17、R18およびR19は、H、C〜Cアルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から別個に選択される;
21は、H、−CF、−OCF、ハロゲン、−NO、−CN、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、−NH、(C〜C)−アルキル−アミノ、ジ−((C〜C)アルキル)アミノ、アミノ(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキルアミノ(C〜C)アルキル、ジ−((C〜C)アルキル)−アミノ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、−COOR17、−COR17、−CONR2425、−NHCOR16、−NHSO16、−NHSOCHCF、−SONR2425、−NR29C(O)NR2425、−SO30、−P(O)(OR29、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルおよび−CR29(=NOR28)からなる群から別個に選択される1〜3個の置換基である;
22は、−COR23、−S(O)R31、−S(O)31、−SONR2425または−COOR27である;
23は、ハロ(C〜C)アルキル;C〜Cアルケニル;ハロ(C〜C)アルケニル;C〜Cアルキニル;C〜C−シクロアルキル;(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル;置換(C〜C)シクロアルキルであって、該置換(C〜C)シクロアルキルは、ハロ、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されている、置換(C〜C)シクロアルキル;アリール;アリール(C〜C)アルキル;ヘテロアリール;ヘテロシクロアルキル;置換(C〜C)アルキルであって、該置換(C〜C)アルキルは、−COOHおよび−SOHからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されている、置換(C〜C)アルキル;または
【化2】


であって、ここで、R35およびR36は、H、アルキルまたはR37置換C〜Cアルキルからなる群から別個に選択され、ここで、R37は、HO−、HS−、CHS−、−NH、フェニル、p−ヒドロキシフェニルおよびインドリルからなる群から選択される;
24およびR25は、H、C〜Cアルキル、ハロ(C〜C)アルキル、C〜Cアルケニル、ハロ(C〜C)アルキル、C〜Cアルキニル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、ハロ(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシからなる群から別個に選択される;
26は、C〜Cシクロアルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルキルアミノである;
27は、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)−アルキル、(C〜C)−シクロアルキル、カルボキシ(C〜C)アルキル、スルホ(C〜C)アルキルまたは置換(C〜C)アルキルであって、該置換(C〜C)アルキルは、NR1819およびカルボキシで置換されている、置換(C〜C)アルキル;
28は、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジルまたは(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルである;
29およびR30は、HおよびC〜Cアルキルからなる群から別個に選択される;
31は、(C〜C)アルキル;ハロ(C〜C)アルキル;C〜Cアルケニル;ハロ(C〜C)アルキル;C〜Cアルキニル;C〜C−シクロアルキル;置換(C〜C)シクロアルキルであって、該置換(C〜C)シクロアルキルは、ハロ、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されている、置換(C〜C)シクロアルキル;アリール;アリール(C〜C)アルキル;ヘテロアリール;ヘテロシクロアルキル;置換(C〜C)アルキルであって、該置換(C〜C)アルキルは、−COOHおよび−SOHからなる群から別個に選択される1〜3個の置換基で置換されている、置換(C〜C)アルキル;または(C〜C)アルコキシである;
32は、R35−(C〜C)アルキル、R35−(C〜C)シクロアルキル、R35−(C〜C)アルケニル、R35−(C〜C)−アルキニルまたはR35−アリールであり、ここで、R35は、H、−COOH、−NH、−SOH、=Oおよび=NOR28からなる群から選択される1個または2個の置換基である;そして
33およびR34は、H、(C〜C)アルキルおよびC〜C−シクロアルキルからなる群から別個に選択される、
化合物。
(項目2)
n1およびn2の合計が、3である、項目1に記載の化合物。
(項目3)
、R10およびR11が、HおよびC〜Cアルキルからなる群から別個に選択され、RおよびRが、それぞれ、水素であり、Rが、H、OHまたはC〜Cアルコキシであり、そしてRが、H、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、C〜Cシクロアルキル、−CN、(C〜C)アルキル、−COOR17または−NRからなる群から別個に選択される、項目1に記載の化合物。
(項目4)
Rが、H、ハロゲン、OH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシまたはアミノである、項目1に記載の化合物。
(項目5)
Bが、−CH=CH−であり、Hetが、ピリジル、W−置換ピリジル、キノリルまたはW−置換キノリルであり、Wが、−NR、−NHCOR26、−NHSO16、R21−アリールまたはヘテロアリールであり、そしてR21が、H、−CF、−OCF、ハロゲン、−CN、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、−NHおよび−CR29(=NOR28)からなる群から別個に選択される1〜3個の置換基である、項目1に記載の化合物。
(項目6)
22が、−COR23、−S(O)31または−COOR27であり、R23が、C〜C−シクロアルキル;置換(C〜C)シクロアルキルであって、該置換(C〜C)シクロアルキルは、ハロ、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシからなる群から別個に選択される1〜3個の置換基で置換されている、置換(C〜C)シクロアルキル;(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル;アリール;またはアリール(C〜C)アルキルであり、R31が、(C〜C)アルキル、C〜C−シクロアルキル、アリールまたはアリール(C〜C)アルキルであり、そしてR27が、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルまたは(C〜C)シクロアルキルである、項目1に記載の化合物。
(項目7)
以下:
次式の化合物:
【化3】


であって、ここで、WおよびR22は、以下の表:
【表1】





で定義したとおりである、化合物、
および次式の化合物:
【化4】


であって、ここで、Wは、以下の表:
【表2】


で定義したとおりである、化合物、
からなる群から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目8)
項目1に記載の少なくとも1種の化合物の有効量および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
(項目9)
トロンビンレセプタを阻害する医薬品を調製するための、項目1に記載の化合物の使用。
(項目10)
血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性梗塞、血栓塞栓発作、末梢血管病、炎症性疾患、呼吸器疾患、脳虚血または癌を治療する医薬品を調製するための、項目1に記載の化合物の使用。
(項目11)
次式の化合物からなる群から選択される、化合物:
【化5】


であって、ここで、WおよびZは、以下の表:
【表3】





で定義したとおりである、化合物。
【0007】
本発明は、式Iにより表わされるトロンビンレセプタアンタゴニストまたはその薬学的に受容可能な塩に関する:
【0008】
【化7】

ここで、
Rは、H、C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、(C〜C)アルキル−アミノ、(C〜C)−ジアルキルアミノ、(C〜C)アルコキシ、−COR16、−COOR17、−SOR16、−SO16、−SONR1718、−NR17SO18、−NR16COR16a、−NR16COOR16a、−NR16CONR、フルオロ−(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフロオロ(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、アリール(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、アミノ−(C〜C)−アルキル、アリールおよびチオ(C〜C)アルキルからなる群から別個に選択される1〜3個の置換基である;
およびRは、H、C〜Cアルキル、フルオロ(C〜C)アルキル、ジフルオロ(C〜C)アルキル、トリフルオロ−(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、アリール(C〜C)アルキル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキル、アリールおよびチオ(C〜C)アルキルからなる群から別個に選択される;またはRおよびRは、一緒になって、=O基を形成する;
は、H、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アリールオキシ、アリール(C〜C)アルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリール(C〜C)アルキルオキシ、(C〜C)シクロアルキルオキシ、−SOR16、−SO17、−SONR1819、−SR18、−SOH、−C(O)OR17、−C(O)NR1819、−OC(O)R32、−OC(O)NR3334、−(CR3334OR32、−NR、−NR33COOR32、−NR33COR32、−NR33S(O)32、−NR33CONR3334、−NR33S(O)NR3334、−(CR3334NR、−(CR3334NR33COOR32、−(CR3334NR33COR32、−(CR3334NR33S(O)32、−(CR3334NR33CONR3334、−(CR3334NR33S(O)NR3334、(C〜C)アルキル、ハロゲン、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、−CN、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、−P(O)(ORまたは置換(C〜C)アルキルであって、ここで、該置換(C〜C)アルキルは、ハロゲン、−OH、−NH、アリール、−COOH、−SOH、チオおよび(C〜C)アルキルチオからなる群から別個に選択される1〜3個の置換基で置換されている;
nは、1、2、3または4である;
n1およびn2は、別個に、0〜3であるが、但し、両方共に0になることはない;
Hetは、5〜14個の原子の単環式、二環式または三環式のヘテロ芳香族基であり、該ヘテロ芳香族基は、1〜13個の炭素原子および1〜4個のヘテロ原子を含み、該ヘテロ原子は、N、OおよびSからなる群から別個に選択され、ここで、環窒素は、C〜Cアルキル基と共に、N−オキシドまたは四級基を形成でき、ここで、Hetは、炭素原子環メンバーにより、Bに結合され、ここで、該Het基は、1〜4個の置換基Wで置換され、Wは、別個に、以下からなる群から選択される:
〜Cアルキル;
−NR;−NHCOR26;−NHSO16
21−アリール;アリールであって、ここで、隣接炭素は、メチレンジオキシ基と共に、環を形成する;およびR21−ヘテロアリール;
およびRは、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から別個に選択されるか、またはRおよびRは、一緒になって、−(CH−、−(CH−、−(CH−または−(CHNR−(CH−であり、それらが結合する窒素原子と共に、環を形成する;
は、Hまたは(C〜C)アルキルである;
、R10およびR11は、Rおよび−ORからなる群から別個に選択される;
は、H、OH、−NR、C〜Cアルコキシ、ハロゲンまたはハロ(C〜C)アルキルである;
Bは、−(CH)n−またはシスまたはトランス−(CH)nCR12=CR12a(CH)nであり、ここで、nは、0〜5であり、nおよびnは、別個に、0〜2であり、そしてR12およびR12aは、H、C〜Cアルキルおよびハロゲンからなる群から別個に選択される;
16およびR16aは、C〜Cアルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から別個に選択される;
17、R18およびR19は、H、C〜Cアルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から別個に選択される;
21は、H、−CF、−OCF、ハロゲン、−NO、−CN、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、−NH、(C〜C)−アルキル−アミノ、ジ−((C〜C)アルキル)アミノ、アミノ(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキルアミノ(C〜C)アルキル、ジ−((C〜C)アルキル)−アミノ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、−COOR17、−COR17、−CONR2425、−NHCOR16、−NHSO16、−NHSOCHCF、−SONR2425、−NR29C(O)NR2425、−SO30、−P(O)(OR29、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルおよび−CR29(=NOR28)からなる群から別個に選択される1〜3個の置換基である;
22は、−COR23、−S(O)R31、−S(O)31、−SONR2425または−COOR27である;
23は、ハロ(C〜C)アルキル;C〜Cアルケニル;ハロ(C〜C)アルケニル;C〜Cアルキニル;C〜C−シクロアルキル;(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル;置換(C〜C)シクロアルキルであって、該置換(C〜C)シクロアルキルは、ハロ、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されている;アリール;アリール(C〜C)アルキル;ヘテロアリール;ヘテロシクロアルキル;置換(C〜C)アルキルであって、該置換(C〜C)アルキルは、−COOHおよび−SOHから別個に選択される1〜3個の置換基で置換されている;または
【0009】
【化8】

であって、ここで、R35およびR36は、H、アルキルまたはR37置換C〜Cアルキルからなる群から別個に選択され、ここで、R37は、HO−、HS−、CHS−、−NH、フェニル、p−ヒドロキシフェニルおよびインドリルからなる群から選択される;
24およびR25は、H、C〜Cアルキル、ハロ(C〜C)アルキル、C〜Cアルケニル、ハロ(C〜C)アルキル、C〜Cアルキニル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、ハロ(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシからなる群から別個に選択される;
26は、C〜Cシクロアルキル、アリール、アリール(C〜C)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルキルアミノである;
27は、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)−アルキル、(C〜C)−シクロアルキル、カルボキシ(C〜C)アルキル、スルホ(C〜C)アルキルまたは置換(C〜C)アルキルであって、該置換(C〜C)アルキルは、NR1819およびカルボキシで置換されている;
28は、H、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジルまたは(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキルである;
29およびR30は、HおよびC〜Cアルキルからなる群から別個に選択される;
31は、(C〜C)アルキル;ハロ(C〜C)アルキル;C〜Cアルケニル;ハロ(C〜C)アルキル;C〜Cアルキニル;C〜C−シクロアルキル;置換(C〜C)シクロアルキルであって、該置換(C〜C)シクロアルキルは、ハロ、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されている;アリール;アリール(C〜C)アルキル;ヘテロアリール;ヘテロシクロアルキル;置換(C〜C)アルキルであって、該置換(C〜C)アルキルは、−COOHおよび−SOHから別個に選択される1〜3個の置換基で置換されている;または(C〜C)アルコキシである;
32は、R35−(C〜C)アルキル、R35−(C〜C)シクロアルキル、R35−(C〜C)アルケニル、R35−(C〜C)−アルキニルまたはR35−アリールであり、ここで、R35は、H、−COOH、−NH、−SOH、=Oおよび=NOR28からなる群から別個に選択される1個または2個の置換基である;そして
33およびR34は、H、(C〜C)アルキルおよびC〜C−シクロアルキルからなる群から別個に選択される。
【0010】
本発明はまた、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、血小板凝集、血液凝固、癌、炎症性疾患または呼吸器疾患を治療する際に式Iの化合物を使用する方法に関し、該方法は、このような治療が必要な哺乳動物に式Iの化合物を投与する工程を包含する。特に、本発明は、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性発作、血栓塞栓発作、末梢血管病、脳虚血、癌、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、骨粗鬆症、腎虚血、脳卒中、腎炎、肺および消化管の炎症性障害、可逆性気道閉塞、慢性の喘息または気管支炎を治療する際に式Iの化合物を使用する方法に関する。本発明の化合物は、列挙した疾患のうちの1つより多い疾患を同時に治療する際に有用であり得ると考えられる。
【0011】
他の局面では、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア中に式Iの少なくとも1種の化合物を含有する薬学的組成物に関する。
【0012】
さらに他の局面では、本発明は、以下の構造式により表わされる新規化合物に関する:
【0013】
【化9】

ここで、WおよびZは、以下の表で定義したとおりである:
【0014】
【表4】



(詳細な説明)
本発明は、置換した三環式のヒンバシン誘導体に関し、これは、抗血栓活性、抗血小板凝集活性、抗アテローム硬化活性、抗再狭窄活性および抗血液凝固活性の1つまたはそれ以上を有する。本発明の化合物で治療される血栓症関連疾患には、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、高血圧、狭心症、不整脈、心不全、心筋梗塞、糸球体腎炎、血栓性発作および血栓塞栓発作、末梢血管病、他の心臓血管疾患、脳虚血、炎症性疾患、神経変性疾患および癌だけでなく、トロンビンおよびそのレセプタが病理学的役割を果たす他の障害が挙げられる。トロンビンレセプタアンタゴニストはまた、プロテアーゼ活性化レセプタ(PAR)アンタゴニストとして、知られている。
【0015】
本発明の化合物はまた、カンナビノイド(CB2)レセプタに結合し、炎症性疾患または呼吸器疾患(例えば、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、骨粗鬆症、腎虚血、脳卒中、脳虚血、腎炎、肺および消化管の炎症性疾患の1つ以
上)および気道障害(例えば、可逆性気道閉塞、慢性の喘息または気管支炎)を治療する際に有用である。
【0016】
式Iの構造における変数の好ましい定義は、以下のとおりである:
n1およびn2の合計は、好ましくは、2〜3、さらに好ましくは、3である。n1が1であり、そしてn2が2であるか、またはn1が0であり、そしてn2が3である式Iの化合物は、特に好ましい。
【0017】
Rは、好ましくは、H、C〜Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノおよび(C〜C)アルコキシからなる群から選択される1個の置換基である。
【0018】
およびRは、好ましくは、HおよびC〜Cアルキルからなる群から別個に選択される;さらに好ましくは、Rは、C〜Cアルキルであり、そしてRは、Hである。
【0019】
は、好ましくは、H、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、C〜Cシクロアルキル、−CN、(C〜C)アルキル、−COOR17または−NRであり、さらに好ましくは、H、ヒドロキシまたは(C〜C)アルキルである。
【0020】
Hetは、好ましくは、ピリジルまたはキノリルであり、これは、炭素原子環メンバーにより、Bに結合され、そしてWから選択される1〜4個の置換基で置換されている。
【0021】
Wは、好ましくは、−NR、−NHCOR26、−NHSO16、R21−アリールおよびヘテロアリールから選択される。
【0022】
およびRは、好ましくは、H、C〜CアルキルおよびC〜Cシクロアルキルからなる群から別個に選択されるか、またはRおよびRは、一緒になって、−(CH−、−(CH−または−(CH−であり、それらが結合する窒素原子と共に、環を形成する。
【0023】
、R10およびR11は、好ましくは、Hまたは(C〜C)アルキルである。
【0024】
は、好ましくは、H、OHまたはC〜Cアルコキシである。
【0025】
Bは、好ましくは、トランス−CH=CH−である。
【0026】
16は、好ましくは、C〜Cアルキルである。
【0027】
21は、好ましくは、H、−CF、−OCF、ハロゲン、−CN、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、−NHおよび−CR29(=NOR28)からなる群から別個に選択される1〜3個の置換基である。
【0028】
22は、好ましくは、−COR23、−S(O)31または−COOR27である。
【0029】
23は、好ましくは、C〜Cシクロアルキル;以下からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換された(C〜C)シクロアルキル:ハロ、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシおよびC〜Cアルコキシ;(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキル;アリール;およびアリール(C〜C)アルキルである。さらに好ましくは、R23は、C〜Cシクロアルキル;(C〜C)シクロアルキル(C〜C)アルキルまたはアリール−(C〜C)アルキルであり、特に、シクロプロピル、シクロプロピルメチルおよびベンジルである。
【0030】
27は、好ましくは、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)−アルキルまたは(C〜C)−シクロアルキルである。
【0031】
28は、好ましくは、HまたはC〜Cアルキルである。
【0032】
31は、好ましくは、(C〜C)アルキル、C〜Cシクロアルキル、アリールまたはアリール(C〜C)アルキルであり、さらに好ましくは、(C〜C)アルキルまたはアリール(C〜C)アルキルであり、特に、(C〜C)アルキルまたはベンジルである。
【0033】
特に定義しない限り、「アルキル」または「低級アルキル」との用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキル鎖を意味し、そして「アルコキシ」とは、同様に、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味する。
【0034】
フルオロアルキル、ジフルオロアルキルおよびトリフルオロアルキルとは、その末端炭素が1個、2個または3個のフルオロ原子で置換されたアルキル鎖(例えば、−CF、−CHCF、−CHCHFまたは−CHCHF)を意味する。ハロアルキルとは、1〜3個のハロ原子で置換されたアルキル鎖を意味する。
【0035】
「アルケニル」とは、鎖内に1個またはそれ以上の二重結合を有する1〜6個の炭素原子の直鎖または分枝の炭素鎖を意味し、これらは、共役または非共役である。同様に、「アルキニル」とは、鎖内に1個またはそれ以上の三重結合を有する1〜6個の炭素原子の直鎖または分枝の炭素鎖を意味する。アルキル鎖、アルケニル鎖またはアルキニル鎖が2個の他の変数と結合して二価となるとき、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレンとの用語が使用される。ハロアルケニルとは、1〜3個のハロ原子で置換されたアルケニル鎖を意味する。
【0036】
「シクロアルキル」とは、3〜6個の炭素原子の飽和炭素環を意味するのに対して、「シクロアルキレン」とは、対応する二価の環を意味し、ここで、他の基との結合点は、全ての位置および異性体を含む。ハロシクロアルキルとは、1〜3個のハロ原子で置換されたシクロアルキル環を意味する。
【0037】
Het上の置換基としての「ヘテロシクロアルキル」とは、4〜7個の原子の飽和環を意味し、これは、3〜4個の炭素原子および1〜3個のヘテロ原子から構成され、このヘテロ原子は、−O−、−S−および−NR−からなる群から選択され、炭素原子を介して、その分子の残りの部分に結合されている。ヘテロシクロアルキル基の例には、2−アゼチジニル、2−ピロリジニル、テトラヒドロチオフェン−2−イル、テトラヒドロ−2−フラニル、4−ピペリジニル、2−ピペラジニル、テトラヒドロ−4−ピラニル、2−モルホリニルおよび2−チオモルホリニルがある。
【0038】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素ラジカルを意味する。
【0039】
およびRが、それらが結合する窒素と一緒になって、環を形成するとき、その形成された環は、1−ピロリジニル、1−ピペリジニルおよび1−ピペラジニルであり、ここで、このピペラジニル環はまた、その4−位置窒素で、R基により置換され得る。
【0040】
「ジヒドロキシ(C〜C)アルキル」とは、2個の異なる炭素原子上の2個の水酸基で置換されたアルキル鎖を意味する。
【0041】
「アリール」とは、フェニル、ナフチル、インデニル、テトラヒドロナフチルまたはインダニルを意味する。
【0042】
「ヘテロアリール」とは、5〜10個の原子の単環式、二環式またはベンゾ縮合ヘテロ芳香族基を意味し、これは、2〜9個の炭素原子および1〜4個のヘテロ原子から構成され、このヘテロ原子は、N、OおよびSからなる群から別個に選択されるが、但し、それらの環は、隣接酸素および/またはイオウ原子を含まない。環窒素のN−オキシドもまた、環窒素がC〜Cアルキル基で置換されて四級アミンを形成する化合物と同様に、含まれる。単環式ヘテロアリール基の例には、ピリジル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、フラニル、ピロリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニルおよびトリアゾリルがある。二環式ヘテロアリール基の例には、ナフチジル(例えば、1,5または1,7)、イミダゾピリジル、ピリド[2,3]イミダゾリル、ピリドピリミジルおよび7−アザインドリルがある。ベンゾ縮合ヘテロアリール基の例には、インドリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ベンゾチエニル(すなわち、チオナフテニル)、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾキサゾリルおよびベンゾフラザニルがある。全ての位置異性体(例えば、1−ピリジル、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジル)は、考慮される。W−置換ヘテロアリールは、置換した環の炭素原子が上で定義した置換基を有するこのような基、または隣接炭素原子がアルキレン基またはメチレンジオキシ基と共に環を形成するこのような基を意味する。
【0043】
「Het」との用語は、すぐ上で定義したような単環式、二環式およびベンゾ縮合ヘテロアリール基だけでなく、三環式基(例えば、ベンゾキノリニル(例えば、1,4または7,8)またはフェナントロリニル(例えば、1,7;1,10;または4,7)により、例示される。Het基は、炭素環メンバーにより、B基に結合される(例えば、Hetは、2−ピリジル,3−ピリジルまたは2−キノリルである)。
【0044】
隣接炭素原子がアルキレン基と環を形成するヘテロアリール基の例には、2,3−シクロペンテノピリジン、2,3−シクロヘキシノピリジンおよび2,3−シクロヘプテノピリジンがある。
【0045】
22が−COR23であり、そしてR23が、
【0046】
【化10】

であるとき、この基は、アミノ酸のアシルラジカルである。
【0047】
【化11】

は、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン(trytophan)、メチオニン、セリン、スレオニン、システイン、シスチン、またはチロシンから選択される天然に生じるアミノ酸である。
【0048】
上記記載(ここで、例えば、RおよびRは、置換基の群から別個に選択されると言われている)は、RおよびRが別個に選択されるが、また、RおよびR変数が分子内で1回より多く現れる場合、それらの出現例が別個に選択されることを意味する。当業者は、これらの置換基の大きさおよび性質が、存在できる置換基の数に影響を与えることを認識している。
【0049】
本発明の化合物は、少なくとも1個の非対称炭素原子を有し得、従って、全ての異性体(ジアステレオマーおよび回転異性体を含めて)は、本発明の一部と考えられる。本発明は、純粋な形態および混合物(ラセミ混合物を含めて)で、(+)−異性体および(−)−異性体を含む。異性体は、光学的に純粋な出発物質または光学的に濃縮した出発物質を反応させることにより、または式Iの化合物の異性体を分離することにより、いずれかによって、従来の技術を使用して、調製され得る。
【0050】
本発明の典型的な好ましい化合物は、以下の立体配置を有する:
【0051】
【化12】

絶対立体配置を有する化合物は、さらに好ましい。
【0052】
当業者は、式Iのある種の化合物について、一方の異性体が他の異性体よりも高い薬理活性を示し得ることを認識している。
【0053】
塩基性基を有する本発明の化合物は、有機酸および無機酸と薬学的に受容可能な塩を形成できる。塩形成に適当な酸の例には、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、および当業者に周知の他の鉱酸およびカルボン酸がある。この塩は、その遊離塩基形態を、塩を生成するのに十分な量の所望の酸と接触することにより、調製される。この遊離塩基形態は、この塩を適切な希薄塩基水溶液(例えば、希薄炭酸水素ナトリウム水溶液)で処理することにより、再生され得る。この遊離塩基形態は、ある種の物理的特性(例えば、極性溶媒中での溶解性)の点で、それらの各個の塩とはある程度異なるが、この塩は、その他の点では、本発明の目的上、その各個の遊離塩基形態と等価である。
【0054】
本発明のある種の化合物(例えば、カルボキシル基を有する化合物)は、酸性である。これらの化合物は、無機塩基および有機塩基と薬学的に受容可能な塩を形成する。このような塩の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、リチウム塩、金塩および銀塩がある。また、薬学的に受容可能なアミン(例えば、アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、N−メチルグルカミンなど)で形成される塩も、含まれる。
【0055】
本発明の化合物は、一般に、当該技術分野で公知の方法(例えば、下記の方法)により、調製される。下記の一般手順および実施例では、以下の略語が使用される:Etは、エチルであり、Meは、メチルであり、Bnは、ベンジルであり、Acは、アセチルであり、AcOHは、酢酸であり、THFは、テトラヒドロフランであり、DMFは、ジメチルホルムアミドであり、rtは、室温であり、Davis試薬は、(1S)−(+)−(10−ショウノウスルホニル)−オキサジリジンであり、LHMDSは、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドであり、4−ジメチルアミノピリジンは、DMAPであり、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンは、DBUであり、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドは、DCCであり、そしてヨウ化トリメチルシリルは、TMSIである。
【0056】
式I−Aの化合物(ここで、Bは、−CH=CH−であり、Hetは、W−置換ピリジルであり、R、R、R、R、R、R10およびR11は、各々水素であり、Rは、メチルであり、そしてR22は、−COEtである)は、図式1で示したように、調製できる:
図式1:
【0057】
【化13】

アルデヒド1は、2段階変換により、ジエン酸2に変換された。この酸は、塩化オキサリルを使用して、その酸塩化物に変換され、これは、次いで、アルコール3とカップリングされて、エステル4が得られた。このアルキンは、シス−アルケン5に選択的に還元され、これは、熱環化すると、生成物6が得られた。ジベンジル化に続く二重結合還元により、三環式酸7が得られた。この酸は、その酸塩化物を介して、アルデヒドIIBに変換され、これは、ホスホネートIIIとカップリングされて、I−Aが得られた。
【0058】
式I−Aの化合物では、そのカルバミン酸エチル基は、図式2で示すように、切断でき、アミンIA−1が得られ、これは、多種多様な求電子試薬(例えば、酸塩化物、塩化スルホニル、イソシアネート、クロロホルムなど)で処理でき、アミド、スルホンアミド、尿素およびカーバメートなどが得られる。
【0059】
図式2:
【0060】
【化14】

式IIBのアルデヒドはまた、図式3で示すように、ホスホネート8とカップリングでき、I−A3が得られ、これは、カーバメートI−A4に変換できる。I−A3およびI−A4の両方は、Suzukiカップリング、Stilleカップリング、Buchwaldアミノ化などのような方法を使用して、多様なアナログに変換できる(図式4)。
【0061】
図式3:
【0062】
【化15】

図式4:
【0063】
【化16】

臭化アリールI−A3はまた、図式5で示すように、アニリンI−A5に変換でき、これは、多くの容易に利用できる求電子試薬(例えば、塩化物、スルホンアミド、イソシアネートなど)で処理でき、対応する誘導体I−A6が得られる。
図式5:
【0064】
【化17】

そのラクトン部分のα−位置は、官能化でき、例えば、Rが水素である式I−Aの化合物は、Davis試薬((1S)−(+)−(10−ショウノウスルホニル)−オキサジリジン)およびLHMDSで処理することにより、RがOHである対応する化合物に変換できる。
【0065】
当業者に公知の類似の方法を使用して、他の必要に応じて置換したHet基および他の「R」変数を含有する化合物を調製できる。当業者はまた、これらの方法が光学活性化合物またはラセミ化合物を調製するのに同等に適用できることを認識している。
【0066】
が水素である式Iの化合物は、酸化剤(例えば、SeO)と共に加熱することにより、Rがヒドロキシである対応する化合物に変換できる。
【0067】
WがアリールまたはR21−アリールである式IIIのホスホネートは、トリフルオロメチル−フェニル置換化合物IIIaを調製するすぐ下の方法と類似の方法により、調製できる。
【0068】
【化18】

市販のヒドロキシピリジン誘導体は、無水トリフリック酸を使用して、対応するトリフレートに変換され、これは、次いで、Suzuki条件下にて、Pd(0)の存在下で、市販のボロン酸とカップリングされる。得られた生成物は、n−ブチルリチウムで処理することに続いてクロロリン酸ジエチルでクエンチすることにより、そのホスホネートに変換される。
【0069】
上記方法の出発物質は、市販されているか、当該技術分野で公知であるか、または当該技術分野で周知の手順により調製される。
【0070】
上記方法に関与していない反応基は、通常の保護基(これは、反応後に、標準的な手順により除去できる)との反応中に、保護できる。以下の表Aは、一部の典型的な保護基を示す:
(表A)
【0071】
【表5】

【実施例】
【0072】
以下は、出発物質および式Iの化合物を調製する実施例である。
【0073】
(調製1)
【0074】
【化19】

工程1:
【0075】
【化20】

5,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1,3−ジカルボン酸1−エチルエステル3−メチルエステル(35.4g、166mmol)のCHCl(600ml)溶液に、−78℃で、1M DIBAL(365ml、365mmol、2.2当量)のCHCl溶液をゆっくりと加え、その混合物を、1.5時間攪拌した。その反応を、1リットルの飽和Rocelle塩の水溶液の添加によりクエンチし、有機層を分離した。その水層を2×250mlのCHClで抽出し、合わせた有機層をブライン500mlで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮し、得られた粗製物を40%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフィーにかけて、オイルとして、17g(55%)のアルコールを得た。
【0076】
上記アルコール(17.0g、92mmol)のCHCl(150ml)溶液に、rtで、NaHCO(15.4g、183mmol、2当量)およびDess−Martin試薬(46.7g、110mmol、1.2当量)を加え、その懸濁液を45分間攪拌した。これには、EtO(300ml)と、Na・5HO(70g、282mmol、2当量)およびNaHCO(15.4g、183mmol、2当量)のHO(600mL)中の溶液とを加えた。その混合物を、2層が透明になるまで、激しく攪拌した。その有機層を分離し、水層をEtO(2×150mL)で抽出した。合わせた有機層を各300mlのNa/NaHCO水溶液およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして蒸発させて、15.3g(91%)のオイルを得た。HRMS:184.0966(MH)。
【0077】
工程2:
【0078】
【化21】

60%NaH(4.35g、109mmol、1.3当量)のTHF(300ml)懸濁液に、0℃で、ホスホノ酢酸トリエチル(20ml、109mmol、1.3当量)を滴下し、その混合物を、0℃で、30分間攪拌した。これに、工程1の生成物(15.3g、83.5mmol)を加え、その混合物を、0℃で、30分間攪拌した。この反応を、NHCl水溶液600mlの添加によりクエンチして、THFを蒸発させ、その水性スラリーをEtO(3×200ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン200mlで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、そして15%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフィーにかけて、19.9g(94%)のオイルを得た。MS:254(MH)。
【0079】
工程3:
【0080】
【化22】

CHOH、THFおよびHO(各々100ml)中の工程2の生成物(19.9g、79mmol)の溶液に、KOH(13.3g、237mmol、3当量)を加え、その混合物を、rtで、2時間攪拌した。この混合物をHO(200ml)で希釈し、1N HClで約pH2まで酸性化し、そしてEtOAc(3×200ml)で抽出した。合わせた有機層を各200mlのHOおよびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして蒸発させて、17.0g(96%)の淡黄色固形物を得た。HRMS:226.1083(MH)。
【0081】
工程4:
【0082】
【化23】

ジエン酸(17.0g、76mmol)のCHCl(400mL)溶液に、rtで、塩化オキサリル(13.2ml、151mmol、2当量)およびDMF(120μl、1.6mmol、2mol%)を加えた。この混合物を1時間攪拌し、濃縮し、そして無水トルエン100mlと共に蒸発させて、その酸塩化物を得た。
【0083】
上記酸塩化物のCHCl(200mL)溶液に、0℃で、DMAP(925mg、7.6mmol、0.1当量)、工程3の生成物(15.4g、75mmol、1.0当量)のCHCl(15ml)溶液を加え、続いて、EtN(12.7ml、91mmol、1.2当量)を加えた。その混合物を、0℃で、1.5時間攪拌し、次いで、EtO(600ml)で希釈した。その溶液を、HO(200mL)、1N HCl(2×200mL)、NaHCO水溶液(200ml)およびブライン200mLで洗浄した。それを無水MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、そして20%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフィーにかけて、20g(78%)の樹脂を得た。HRMS:412.1764(MH)。
【0084】
工程5:
【0085】
【化24】

工程4の生成物(10g、29mmol)、キノリン(700μl、5.9mmol、0.2当量)およびLindlar触媒(1.0g、10重量%)のTHF(150ml)懸濁液を、1気圧のH下にて、2.5時間攪拌した。他のバッチの工程4の生成物10gを、同様に、Lindlar触媒で還元した。これらのバッチを合わせ、セリットで濾過し、蒸発させ、その残留物をEtOAc(600ml)に再溶解した。それを、1N
HCl(3×200ml)およびブライン(200ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして蒸発させて、20gの樹脂を得、これを、工程6にて、直ちに、ディールス−アルダー反応に使用した。HRMS:414.1919(MH)。
【0086】
工程6:
【0087】
【化25】

工程5(20.0g)のトルエン500ml溶液を、圧力容器中にて、185℃で、6時間加熱した。それをrtまで冷却し、DBU(1.8ml、12mmol、0.2当量)で1時間処理し、濃縮し、そして25%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフィーにかけて、11.3g(56%)の環化エキソ生成物を得た。HRMS:414.1923(MH)。
【0088】
工程7:
【0089】
【化26】

工程6の生成物(11.2g、27mmol)、10%Pd−C(1.2g、10重量%)のEtOAc(200ml)懸濁液を、その反応が完結するまで、1気圧のH下にて、攪拌した。それをセリットで濾過し、濃縮し、そしてCHOH(200ml)に再溶解した。これに、PtO(900mg)を加え、その懸濁液を、50気圧のH下にて、パール容器中で、振盪した。その混合物をセリットで濾過し、そして濃縮して、8.5gの樹脂を得た。HRMS:326.100(MH)。
【0090】
工程8:
工程7の生成物(415mg、1.28mmol)のCHCl(10ml)溶液に、rtで、塩化オキサリル(225μl、2.58mmol、2当量)を加え、続いて、DMF(1滴)を加えた。その溶液を、rtで、1時間攪拌し、その時点で、気体は発生しなかった。それを濃縮し、そして無水トルエンと共沸蒸留して、その酸塩化物を得た。この酸塩化物を6mlの無水トルエンに溶解し、0℃まで冷却し、そしてPd(PPh(74mg、0.064mmol、5mol%)を加え、続いて、BuSnH(520μl、1.93mmol、1.5当量)を加えた。その混合物を、0℃で、3時間攪拌し、濃縮し、そして50%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフィーにかけて、樹脂として、360mg(91%)の表題化合物を得た。MS:310.1(MH)。
【0091】
(調製2)
【0092】
【化27】

3−ホルミル−5,6−ジヒドロ−2H−ピランを、対応するアミン類似物について上で記述した手順と類似の手順を使用して、その三環式アルデヒドに変換した。
【0093】
(調製3)
【0094】
【化28】

反応図式:
【0095】
【化29】

このホスホネート(3.49g、11.3mmol、2当量)のTHF(50ml)溶液に、0℃で、LHMDSの1M THF(11.3ml、11.3mmol、2当量)溶液を加えた。10分間攪拌した後、Ti(OPr)(3.4ml、11.3mmol、2当量)を加え、続いて、調製1(1.75g、5.7mmol、1当量)のTHF(10ml)溶液を加え、その混合物を、N下にて、1時間攪拌した。この反応混合物を5%酒石酸水溶液(100ml)に注ぎ、EtOAc(3×100ml)で希釈した。合わせた有機層をブライン(150ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして乾燥状態まで蒸発させた。5%CHOH−CHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製すると、淡黄色発泡体として、1.80g(70%)の表題化合物が得られた。
【0096】
【化29A】

(調製4)
【0097】
【化30】

調製3(0.270g、0.58mmol)のCHCl(15ml)溶液に、TMSI(624μl、4.4mmol、7.5当量)を加え、その混合物を還流状態まで加熱した。6時間後、この混合物をNaHCO水溶液(30ml)に注ぎ、そしてCHCl(3×15ml)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして乾燥状態まで蒸発させて、209mgのアミンを得た(92%)。
【0098】
上記生成物のCHCl(15ml)溶液に、0℃で、EtN(97μl、0.69mmol、1.3当量)およびクロロギ酸2−メトキシエチルエステル(68μl、5.9mmol、1.1当量)を加えた;その混合物を、N下にて攪拌しつつ、rtまでゆっくりと暖めた。1時間後、この混合物を水(30ml)上に注ぎ、そしてCHCl(3×15ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして乾燥状態まで蒸発させた。3%CHOH−CHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製すると、白色固形物として、183mgの表題化合物が得られた(69%)。
【0099】
【化30A】

(調製5)
【0100】
【化31】

工程1:
【0101】
【化32】

このチオピランエナルは、McGinnis and Robinson,J.Chem.Soc.,404(1941),407の手順に従って、調製した。
【0102】
工程2:
【0103】
【化33】

60%NaH(6.3g、158mmol、1.3当量)のTHF(200ml)懸濁液に、0℃で、ジエチルホスホノ酢酸メチル(29ml、158mmol、1.3当量)を滴下し、その混合物を、0℃で、30分間攪拌した。この溶液を、次いで、工程1の生成物(15.6g、122mmol)のTHF(100ml)溶液に移し、そして0℃で、1時間攪拌した。この反応を、NHCl水溶液(500ml)の添加によりクエンチして、THFを蒸発させた。その水相をEtO(3×200ml)で抽出し、合わせた有機層をHOおよびブライン(各200ml)で洗浄した。この溶液をMgSOで乾燥し、濃縮し、得られた残留物を5%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフィーにかけて、13.0g(58%)のオイルを得た。
【0104】
【化33A】

工程3:
【0105】
【化34】

THFおよびMeOH(各50ml)中の工程2の生成物(13.0g、70.6mmol)の溶液に、KOH(11.9g、212mmol、3.0当量)のHO(50ml)溶液を加えた。その混合物を、rtで、1時間攪拌し、HO(200ml)で希釈し、1N HClで酸性化した。その水相をEtOAc(3×200ml)で抽出し、そして合わせた有機層をHOおよびブライン(各300ml)で洗浄した。この溶液をMgSOで乾燥し、濾過し、そして蒸発させて、11.66g(97%)の淡黄色固形物を得た。
【0106】
【化33B】

工程4:
【0107】
【化35】

4(5.2g)のEtOAc(120ml)溶液に、Lindlar触媒(520mg)を加え、その懸濁液を、1気圧のH下にて、攪拌した。45分後、触媒の他の部分(500mg)を加え、その混合物を、さらに、30分間攪拌した。この混合物をセリットパッドで濾過し、そして蒸発させて、5.2g(99%)の所望アルケンを得た。
【0108】
【化35A】

工程5:
【0109】
【化36】

工程3の生成物(2.45g、14.39mmol)のCHCl(60ml)溶液に、0℃で、DCC(3.27g、15.85mmol、1.1当量)を加え、続いて、DMAP(352mg、2.88mmol、0.2当量)を加え、その混合物を、0℃で、30分間攪拌した。これに、工程4のアルコール3.27g(15.85mmol、1.1当量)のCHCl(10ml)溶液を加え、その混合物を、0℃で、5時間、そしてrtで、1時間攪拌した。その溶液をEtO(350ml)で希釈し、そしてクエン酸水溶液(2×200ml)、NaHCO水溶液200mlおよびブライン200mlで洗浄した。この溶液をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、得られた残留物を6%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフィーにかけて、2.1g(41%)の樹脂を得た。
【0110】
【化36A】

工程6:
【0111】
【化37】

工程5の生成物(2.1g、5.85mmol)のm−キシレン(50ml)溶液を、封管中にて、200℃で、6時間加熱した。その溶液をrtまで冷却し、そしてDBU(178μl、1.19mmol、0.2当量)と共に、1時間攪拌し、濃縮し、そして15%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフィーにかけて、1.44g(69%)の所望エキソ生成物を得た。
【0112】
【化37A】

工程7:
【0113】
【化38】

工程6の生成物(750mg、2.09mmol)のCHCl(10ml)溶液に、−78℃で、CHCl中のBBr(1M溶液4.2ml)を加えた。その溶液を、−78℃で、30分間、そして0℃で、30分間攪拌し、次いで、KCO水溶液(100ml)に注いだ。その水相をEtO(2×50ml)で洗浄し、その有機層をKCO水溶液(50ml)で抽出した。合わせた水相を1N HClで酸性化し、そしてEtOAc(3×50ml)で抽出した。そのEtOAc層をブライン(50ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして蒸発させて、500mg(89%)の酸を得た。
【0114】
【化38A】

工程8:
【0115】
【化39】

工程7の生成物(500mg、1.86mmol)のMeOH(30ml)溶液に、AcOH(3ml)およびPtO(250mg)を加え、その懸濁液を、40PsiのH下にて、パール容器中で、1.5日間振盪した。その触媒をセリットパッドで濾過により除き、その溶液を濃縮し、得られた残留物をAcOH−MeOH−CHCl混合物(0.5:2:97.5v/v/v/)に溶解し、そして短SiOカラムで濾過して、樹脂として、400mg(79%)の還元生成物を得、これは、放置すると、固化した。
【0116】
【化39A】

工程9:
工程8の生成物(97mg、0.36mmol)のCHCl(4ml)溶液に、塩化オキサリル(94μl)を加え、続いて、DMF(1滴)を加えた。その溶液を、rtで、1時間攪拌し、そして濃縮して、粗酸塩化物を得、これをトルエン(3ml)に溶解し、そして0℃まで冷却した。Pd(PPh(42mg、0.04mmol、0.1当量)を加え、続いて、BuSnH(94μl)を加えた。その混合物を、0℃で、3時間攪拌し、濃縮し、そして25%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフィーにかけて、白色固形物として、73mg(80%)のアルデヒドを得た。
【0117】
【化39B】

(調製6)
【0118】
【化40】

工程1:
【0119】
【化41】

δ−バレロラクタムをTHF(250ml)に溶解し、そして−78℃まで冷却した。n−BuLi(28.44ml、1.1当量、ヘキサン中の2.5M溶液)を滴下した。その混合物を30分間攪拌し、次いで、クロロギ酸エチル(6.49ml、1.05当量)を加え、この混合物をrtまで暖めた。水を加え、その有機層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥し、そして濃縮して、11.57gのオイルを得た。
【0120】
【化41A】

工程2:
【0121】
【化42】

工程1の生成物をTHF(250ml)に溶解し、その溶液を−78℃まで冷却した。LHMDS(65ml、1当量、THF中の1M溶液)を滴下し、得られた混合物を30分間攪拌した。2−[N,N−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)−アミノ]−5−クロロピリジンのTHF(73ml)溶液を滴下した。得られた混合物を10分間攪拌し、そしてrtまで暖めた。水を加え、その有機層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥し、そして濃縮した。クロマトグラフィー(ヘキサン中5〜10%EtOAc)にかけると、12.0gのオイルが得られた。
【0122】
【化42A】

工程3:
【0123】
【化43】

ボランジメチルスルフィド錯体(5.82ml、1.05当量)をTHFに溶解し、そして0℃まで冷却した。(1R)−(+)−α−ピネン(22.56ml、2.32当量)を滴下し、その混合物を、0℃で、1時間、そしてrtで、2時間攪拌した。この混合物を−35℃まで冷却し、エチルプロピオレート(6.2ml、1当量)を滴下した;その混合物を、−35℃で、45分間、そしてrtで、3時間攪拌した。アセトアルデヒド(48ml)を加え、この混合物を、40〜41℃で、一晩加熱した。減圧下にて、揮発性有機成分を慎重に除去して、その生成物とα−ピネンとの混合物(NMRにより1:2.3)29gを得た。この生成物について特徴的なH NMR(400MHz、CDCl)は、以下を含む:
【0124】
【化43A】

工程4:
【0125】
【化44】

Pd(OAc)(592mg、10%)および2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル(1.57g、20%)をTHF(100ml)に溶解した。その混合物を、N下にて、10分間攪拌し、次いで、THF(32ml)中の工程2の生成物(8g)および工程3の生成物(20g、1.5当量)の混合物を加えた。次いでKF(4.6g)を加え、そしてその混合物を、55℃で、一晩加熱した。この混合物をrtまで冷却し、そしてEtOAcで希釈した。この混合物をNaHCO(飽和)、NHCl(飽和)で洗浄し、最後に、MgSOで乾燥した。減圧下にて溶媒を除去することに続いて、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の10%EtOAc)にかけると、6g(89%)の無色オイルが得られた。
【0126】
【化44A】

工程5:
工程4から得た生成物を、MeOHとTHF(66ml)の1:1混合物に溶解した。1N NaOH(52ml)の溶液を加え、その混合物を、出発物質が残留しなくなるまで、2.5時間攪拌した。
【0127】
この混合物を、2N HClで、pH1まで酸性化し、そしてEtOAcで抽出した。これらの抽出物をNHCl(飽和)で洗浄し、乾燥し、そして減圧下にて濃縮して、5gの固形物を得た。
【0128】
【化44B】

(実施例1)
【0129】
【化45】

ホスホネート(156mg、0.42mmol、2.0当量)のTHF(1ml)溶液に、0℃で、2.5MのBiLiのヘキサン溶液(170μl、0.42mmol、2.0当量)を加え、その混合物を、30分間攪拌した。これに、調製5(53m、0.21mmol)のTHF(1.5ml)溶液を加え、その混合物を、0℃で、1時間攪拌した。この反応を、NHCl水溶液(20ml)の添加によりクエンチして、THFを蒸発させ、その水相をCHCl(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO水溶液(15ml)およびブライン(15ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、そして40%EtOAc−ヘキサンでクロマトグラフィーにかけて、90mg(91%)の樹脂を得た。HRMS:474.1721。
【0130】
実施例1のチオピラン化合物は、以下の手順により、対応するスルホキシド(1A)およびスルホン(1B)に変換できる:
【0131】
【化46】

実施例1A(70mg、0.15mmol)のAcOH(2ml)溶液に、CHSOH(50μl、5当量)およびNaBO・4HO(30mg、0.19mmol、1.3当量)を加え、その混合物を、rtで、一晩攪拌した。酢酸を蒸発させ、得られた残留物をNaHCO−NaSO混合水溶液(25mL)に取り込み、そしてCHCl(3×15ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20ml)で抽出し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、そして薄層クロマトグラフィーで精製して、11mgのスルホキシド異性体1、4mgのスルホキシド異性体2および36mgのスルホンを得た。
【0132】
スルホキシド異性体1:HRMS:490.1661(MH);
スルホキシド異性体2:
【0133】
【化46A】

(実施例2)
一般手順:
【0134】
【化47】

このホスホネート(2当量)のTHF溶液に、0℃で、ヘキサン中の2.5M BuLi(2当量)を加えた。約2時間攪拌した後、Ti(OPr)(2.0当量)を加え、続いて、アルデヒドのTHF(1.0当量)溶液を加えた。その混合物を、rtで、30分間攪拌し、酒石酸ナトリウムカリウム水溶液で希釈し、そしてEtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、そしてカラムクロマトグラフィーで精製して、生成物を得た。
【0135】
この一般方法により、次式の化合物を調製した:
【0136】
【化48】

ここで、WおよびZは、以下の表で定義したとおりである:
【0137】
【表6】


(実施例3)
【0138】
【化49】

実施例2D(380mg、0.79mmol)のTHF(7mL)溶液に、−78℃で、LHMDSの1M THF(0.95ml、0.95mmol、1.2当量)溶液を加えた;その混合物を、−78℃で、30分間、0℃で、30分間攪拌し、次いで、−78℃まで冷却した。これに、(1S)−(+)−(10−ショウノウスルホニル)オキサジリジン(275mg、1.1mmol、1.5当量)のTHF(2mL)溶液を加えた。この溶液を、rtまで暖めつつ、一晩攪拌した。それをNHCl水溶液(100ml)で希釈し、THFを蒸発させ、その水相をEtOAc(3×30ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、そして2%CHOH−CHClでクロマトグラフィーにかけて、94mgの樹脂を得た。HRMS:495.2291(MH
(実施例4)
一般手順:
【0139】
【化50】

カーバメートおよびヨウ化トリメチルシリル(5当量)の溶液を、約5時間還流し、そしてNaHCO水溶液で希釈した。その水層をCHClで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、そのアミンを得た。
【0140】
上記アミンのCHCl溶液をEtN(5当量)および酸塩化物(3当量)で処理し、その反応に続いて、薄層クロマトグラフィーにかけた。この反応が完結した後、それを標準的な水性ワークアップにかけ、その粗生成物を分取薄層クロマトグラフィーまたはカラムクロマトグラフィーで精製して、そのアミドを得た。
【0141】
このアミンは、多くの求電子試薬(例えば、塩化スルホニル、イソシアネート、クロロホルメートおよびアルデヒドなど)で同様に処理し、適切な誘導体が得られ得る。次式の化合物は、この経路で処理した:
【0142】
【化51】

ここで、WおよびR22は、以下の表で定義したとおりである:
【0143】
【表7】



(実施例5)
【0144】
【化52】

一般手順:
調製3または4の生成物およびW−B(OH)(ここで、Wは、必要に応じて置換したフェニルまたはヘテロアリールである)、KCO(4当量)およびPd(PPh(5〜10mol%)のPhMe−EtOH−HO(4:2:1v/v/v)溶液を、100℃で、その反応が完結するまで加熱した。その反応混合物をHOで希釈し、EtOAcで抽出し、その有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、そしてクロマトグラフィーで精製して、所望の化合物を得た。これらの化合物は、さらに誘導体化できる。
【0145】
この方法を使用して、次式の化合物を調製した:
【0146】
【化53】

ここで、R23およびWは、以下の表で定義したとおりである:
【0147】
【表8】


(実施例6)
【0148】
【化54】

調製3(100mg、0.22mmol)のトルエン(5ml)溶液に、Pd(OAc)(5mg、0.022mmol、0.1当量)、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(13mg、0.022mmol、0.1当量)および2−トリブチルスタニルピリジン(119mg、0.32mmol、1.5当量)を加えた。その混合物をNで5分間泡立たせ、次いで、圧力チューブ中にて、100℃まで加熱した。16時間後、この混合物をNHCl水溶液(15ml)に注ぎ、そしてEtOAc(3×15ml)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして乾燥状態まで蒸発させた。2%CHOH−CHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに続いて、60%EtOAc−ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製すると、30mg(30%)の生成物が得られた。HRMS:462.2401(MH
類似の手順を使用して、以下の化合物6Aを調製した:
【0149】
【化55】

(実施例7)
【0150】
【化56】

調製3(100mg、0.22mmol)の乾燥トルエン(5ml)溶液に、ピロリジン(36μl、0.43mmol、2当量)、リン酸カリウム(137mg、0.65mmol、5当量)、Pd(OAc)(3mg、0.014mmol、0.065当量)および2−(ジシクロヘキシル−ホスフィノ)ビフェニル(10mg、0.028mmol、0.13当量)を加えた。その混合物をNで5分間泡立たせ、次いで、圧力チューブ中にて、100℃まで加熱した。16時間後、この混合物を水(15ml)に注ぎ、そしてEtOAc(3×15ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(15ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして乾燥状態まで蒸発させた。5%CHOH−CHClで溶出する薄層クロマトグラフィーで調製物を精製すると、10mgの固形物が得られた。HRMS:454.2696(MH
類似の手順を使用して、以下の化合物を調製した:
【0151】
【化57】

(実施例8)
【0152】
【化58】

調製3(1.0g、2.18mmol)のエチレングリコールジメチルエーテル(25mL)に、ベンゾフェノンイミン(550μl、3.27mmol、1.5当量)、リン酸カリウム(1.51g、6.6mmol、3当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(200mg、0.22mmol、0.1当量)および2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル(153mg、0.44mmol、0.2当量)を加えた。その混合物をNで5分間泡立たせ、次いで、圧力チューブ中にて、4時間にわたって、100℃まで加熱した。次いで、この混合物をセライトで濾過し、そして乾燥状態まで蒸発させた。CHCl(25ml)中のこの残留物に、濃HCl水溶液(545μl、6.6mmol、3当量)を加え、その混合物を、rtで、攪拌した。16時間後、この混合物をCHCl(25ml)で希釈し、1N NaOH水溶液(50ml)に注ぎ、そしCHCl(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、そして乾燥状態まで蒸発させた。2%CHOH−CHClで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーで精製すると、550mg(63%)の表題化合物が得られた。MS:400(MH
実施例8の化合物を求電子試薬(例えば、酸塩化物、塩化スルホニル、イソシアネートなど)で処理して、以下の化合物を得た。
【0153】
【化59】

ここで、−NHC(O)R26は、以下の表で定義したとおりである:
【0154】
【表9】

(実施例9)
調製6の生成物および調製1、調製3および実施例5の一般手順を使用して、以下の構造の化合物を調製した。
【0155】
【化60】

ここで、Wは、以下の表で定義したとおりである:
【0156】
【表10】

本発明はまた、本発明の式Iの少なくとも1種の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物に関する。好ましくは、この組成物中では、式Iの1種または2種の化合物、さらに好ましくは、式Iの1種の化合物が存在している。式Iの化合物は、任意の通常の経口投薬形態(例えば、カプセル剤、錠剤、粉剤、カシュ剤、懸濁液または溶液)で投与され得る。これらの処方および薬学的組成物は、通常の薬学的に受容可能な賦形剤および添加剤ならびに通常の技術を使用して、調製され得る。このような薬学的に受容可能な賦形剤および添加剤には、非毒性で相溶性の充填剤、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、防腐剤、酸化防止剤、潤滑剤、香料、増粘剤、着色剤、乳化剤などが挙げられる。
【0157】
上で列挙した疾患または状態を処置するための式Iの化合物の1日用量は、約0.001〜約100mg/体重1kg/日、好ましくは、約0.001〜約10mg/体重1kg/日である。70kgの平均体重については、その投薬レベルは、約0.1〜約700mgの薬物/日であり、これは、単回用量または2〜4回に分けた用量で与えれる。しかしながら、正確な用量は、担当医により決定され、投与する化合物の効力、患者の年齢、体重、状態および応答に依存している。
【0158】
以下の処方は、本発明の投薬形態の一部を例示している。各々では、「活性化合物」との用語は、式Iの化合物を示す。
【0159】
(実施例A−錠剤)
【0160】
【表11】

製造方法:
適切なミキサー中にて、10〜15分間にわたって、品目番号1および2を混合する。この混合物を品目番号3で顆粒化する。もし必要なら、湿った顆粒を粗い篩い(例えば、1/4インチ、0.63cm)に通して粉砕する。湿った顆粒を乾燥させる。乾燥した顆粒を、もし必要なら、篩い分けし、そして品目番号4と混合し、10〜15分間混合する。品目番号5を加え、1〜3分間混合する。この混合物を、適切な錠剤機にて、適切な大きさおよび重量に圧縮する。
【0161】
(実施例B−錠剤)
【0162】
【表12】

製造方法:
適切なブレンダー中にて、10〜15分間にわたって、品目番号1、2および3を混合する。品目番号4を加え、1〜3分間混合する。この混合物を、適切なカプセル化機にて、適切なツーピース硬質ゼラチンカプセルに充填する。式Iの化合物の活性は、以下の手順により、決定できる。
【0163】
(トロンビンレセプタアンタゴニストのためのインビトロ試験手順)
([H]haTRAPの調製)
A(pF−F)R(ChA)(hR)(I−Y)−NH(1.03mg)および10%Pd/C(5.07mg)をDMF(250μl)およびジイソプロピルエチルアミン(10μl)に懸濁した。その容器をトリチウムラインに装着し、液体窒素中で凍結し、そして脱気した。次いで、そのフラスコにトリチウムガス(342mCi)を加え、これを、室温で、2時間攪拌した。この反応が完結すると、過剰なトリチウムを除去し、反応したペプチド溶液をDMF(0.5ml)で希釈し、そして濾過して、その触媒を除去した。回収した粗ペプチドのDMF溶液を水で希釈し、そして凍結乾燥して、不安定なトリチウムを除去した。その固形ペプチドを水に再溶解し、凍結乾燥プロセスを繰り返した。トリチウム化したペプチド([H]haTRAP)を0.1%TFA水溶液0.5mlに溶解し、そして以下の条件を使用して、HPLCで精製した:カラム、Vydac C18、25cm×9.4mm I.D.;移動相、(A)水中の0.1%TFA、(B)CHCN中の0.1%TFA;勾配、30分間で100/0〜40/60の(A/B);流速、5ml/分;検出、215nmでのUV。[H]haTRAPの放射化学純度は、HPLCで分析した場合、99%であった。18.4Ci/mmolの比活性で14.9mCiのバッチを得た。
【0164】
(血小板膜の調製)
North Jersey Blood Center(East Orange,NJ)から得た血小板濃縮物20単位から、48時間以内の収集で、Natarajanらの方法(Natarajanら、Int.J.Peptide Protein Res.45:145〜151(1995))の改変を使用して、血小板膜を調製した。全ての工程は、認可されたバイオハザード安全条件下にて、4℃で、実行した。血小板を、100×gで、4℃で、20分間遠心分離して、赤血球を除去した。その上澄み液をデカントし、そして3000×gで、15分間遠心分離して、血小板をペレット状にした。血小板を10mM Tris−HCI、pH7.5、150mM NaCl、5 mM EDTAに再懸濁して、200mlの全容量にし、そして4400×gで、10分間遠心分離した。この工程をさらに2回繰り返した。血小板を5mM Tris−HCI、pH 7.5、5mM EDTAに再懸濁して、約30mlの最終容量にし、そしてDounceホモジナイザー中にて、20ストロークで、ホモジナイズした。膜を41,000×gでペレット化し、40〜50mLの20mM Tris−HCl、pH7.5、1mM EDTA、0.1mMジチオトレイトールに再懸濁し、そして10mlアリコートを液体N中で凍結し、そして−80℃で保存した。膜調製を完結するために、アリコートを解凍し、プールし、そして5ストロークのDounceホモジナイザーでホモジナイズした。膜をペレット化し、そして10mMトリエタノールアミン−HCl、pH 7.4、5mM
EDTAで3回洗浄し、そして20〜25mL 50mM Tris−HCl、pH7.5、10mM MgCl、1mM EGTAおよび1%DMSOに再懸濁した。膜のアリコートを液体N中で凍結し、そして−80℃で保存した。膜は、少なくとも3ヶ月間、安定であった。20単位の血小板濃縮物から、典型的には、250mgの膜タンパク質が得られた。タンパク質濃度は、Lowryアッセイ(Lowryら、J.Biol.Chem.、193:265〜275(1951))で決定した。
【0165】
(高処理能力トロンビンレセプタ放射性リガンド結合アッセイ)
トロンビンレセプタアンタゴニストを、Ahnらのトロンビンレセプタ放射性リガンド結合アッセイ(Ahnら、Mol.Pharmacol.、51:350〜356(1997))の改変を使用して、スクリーニングした。このアッセイは、96ウェルNuncプレート(Cat.No.269620)にて、200μlの最終アッセイ容量で、実行した。血小板膜および[H]haTRAPを、結合緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.5、10mM MgCl、1mM EGTA、0.1%BSA)中にて、それぞれ、0.4mg/mlおよび22.2nMまで希釈した。試験化合物のストック溶液(100%DMSO中で10mM)を、100%DMSO中にて、さらに希釈した。特に明記しない限り、各ウェルに、希釈化合物溶液10μlおよび放射性リガンド(5%DMSO中で10nMの最終濃度)90μlを加え、そして100μlの膜(40μgのタンパク質/ウェル)を加えることにより、その反応を開始した。この結合は、5%DMSOによっても、それ程阻害されなかった。化合物を、3つの濃度(0.1、1および10μM)で試験した。それらのプレートを覆い、Lab−Line Titer Plate Shakerにて、室温で、1時間にわたって、穏やかにボルテックス混合した。Packard UniFilter GF/Cフィルタープレートを、0.1%ポリエチレンイミン中にて、少なくとも1時間にわたって、浸漬した。インキュベートした膜を、Packard FilterMate Universal Harvesterを使用して収穫し、そして300μlの氷冷した50mM Tris−HCl、pH7.5、10mM MgCl、1mM EGTAで、4回、迅速に洗浄した。各ウェルに、MicroScint 20シンチレーションカクテル(25μl)を加え、それらのプレートをPackard TopCount Microplate Scintillation Counterで数えた。その特異的結合は、全結合−非特異的結合として定義され、これは、過剰の(50μM)未標識haTRAPの存在下にて、観察した。[H]haTRAPの化合物がトロンビンレセプタに結合することによって阻害される%は、以下の関係から計算した:
阻害%=
全結合−試験化合物の存在下での結合 × 100
全結合−非特異的結合
(物質)
A(pF−F)R(ChA)(hR)Y−NHおよびA(pF−F)R(ChA)(hR)(I−Y)−NHは、AnaSpec Inc.(San Jose、CA)から特注合成した。これらのペプチドの純度は、>95%であった。トリチウムガス(97%)は、EG & G Mound、Miamisburg Ohioから購入した。このガスを引き続いて装填し、そしてIN/US Systems Inc.で保存した。Trisorber.MicroScint 20シンチレーションカクテルを、Packard Instrument Co.から得た。
【0166】
(カニクイザル全血薬剤投与および血液収集におけるエキソビボ血小板凝集のプロトコル)
椅子に座らせた意識のあるカニクイザルを30分間平衡化する。試験薬剤を注入するために、上腕静脈に、針カテーテルを挿入する。他の上腕静脈または伏在静脈には、他の針カテーテルを挿入し、そして血液サンプリングに使用する。その化合物を経口投与する実験では、1本のカテーテルだけを使用する。真空採血管(vacutainer tube)(これは、抗凝固剤として、トロンビン阻害剤CVS 2139(100μg/0.1ml生理食塩水)を含有する)にて、ベースライン血液試料(1〜2ml)を集める。次いで、薬剤を、30分間にわたって、静脈内から注入する。この薬剤注入中の5、10、20、30分および薬剤注入が終了した30、60、90分後に、血液試料(1ml)を集める。PO実験では、これらの動物に、胃管栄養法カニューレを使用して、この薬剤を投薬する。投薬の0、30、60、90、120、180、240、300、360分後、血液試料を集める。この血液0.5mlを全血凝集に使用し、そして他の0.5mlを、薬剤またはその代謝物の血漿濃度を決定するために使用する。この血液試料を下記のように収集した直後に、凝集を実行する。
【0167】
(全血凝集)
血液試料0.5mlを生理食塩水0.5mlに加え、そしてChronolog全血血小板凝集計にて、37℃まで暖める。同時に、そのインピーダンス電極を、生理食塩水中にて、37℃まで暖める。この血液試料を、攪拌棒と共に、加熱ブロックウェルに入れ、このインピーダンス電極を血液試料に入れ、収集ソフトウェアを開始する。このソフトウェアをベースラインが安定化するまで実行し、次いで、20Ω較正検査を実行する。20Ωは、このコンピューターソフトウェアで作成されるグラフの4ブロックに等しい。調節可能容量ピペット(5〜25μl)により、アゴニスト(haTRAP)を加え、その凝集曲線を10分間記録する。アゴニストに続く6分の最大凝集は、記録した値である。
【0168】
(インビトロ血小板凝集手順)
Bednarらの方法(Bednar、B.、Condra、C.、Gould、R.J.、and Connolly、T.M.、Throm.Res.、77:453−463(1995))に従って、血小板凝集研究を実行した。健康なヒト被験体(これは、少なくとも7日間、アスピリンを摂取しなかった)から、抗凝固剤としてACDを使用する静脈穿刺により、血液を得た。富血小板血漿は、15℃で、100×gで、15分間にわたって遠心分離することにより、調製した。血小板を3000×gでペレット化し、そして緩衝化生理食塩水(これは、1mM EGTAおよび20μg/mlアピラーゼを含有する)中で、2回洗浄して、凝集を阻止した。凝集は、室温で、緩衝化生理食塩水(これは、0.2mg/mlヒトフィブリノーゲンを補充した)中にて、実行した。試験化合物および血小板を、96ウェルの平底プレートにて、60分間プレインキュベートした。0.3μM haTRAPまたは0.1U/mlトロンビンを加えることにより、そしてLab Line Titer Plate Shaker(7速)を使用して、この混合物を急速にボルテックスすることにより、凝集を開始した。凝集割合は、Spectromax Plate Readerにて、405nmで、光透過率の増加として、モニターした。
【0169】
(インビボ抗腫瘍手順)
S.Even−Ramら、Nature Medicine,4,8(1988),p.909〜914で報告された手順に従って、ヌードマウスにおけるヒト乳癌モデルの試験を行う。
【0170】
上記試験手順を使用して、インビトロトロンビンレセプタアンタゴニストアッセイにおいて、本発明の化合物は、IC50値(すなわち、トロンビンレセプタの50%阻害が観察された濃度)が約1〜約2000nMの範囲であることが分かり、好ましい化合物は、約1〜約100nMの範囲のIC50値を有していた。
【0171】
本発明は、上で述べた特定の実施態様に関連して記述されているものの、その多くの代替、改変および変更は、当業者に明らかである。このような全ての代替、改変および変更は、本発明の精神および範囲内に入ると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本実施例に記載の化合物。

【公開番号】特開2009−29820(P2009−29820A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238716(P2008−238716)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【分割の表示】特願2003−536240(P2003−536240)の分割
【原出願日】平成14年10月16日(2002.10.16)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】