説明

トークン及びその選別装置

【課題】本発明の第1の目的は、種類が多く、かつ、安価なトークンを提供することである。
本発明の第2の目的は、重量感があり、種類が多く、かつ、安価なトークンを提供することである。
本発明の第3の目的は、上記トークンの選別のための選別装置を提供することである。
【解決手段】 円板形のトークンにおいて、内部にリング形通路を形成した樹脂製トークン本体と、前記リング形通路に重力に基づいて移動可能な非接触被検知体を配置してなるトークンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム場や遊戯場等において使用される代用貨幣としてのトークンに関する。
詳しくは、種類が多く、かつ、安価なトークンに関する。
さらに詳しくは、ICトークン擬きであって、かつ、重量感を有する樹脂製のトークンに関する。
なお、本明細書で使用する「トークン」は、ゲーム機用のメダル、自動販売機作動のためのトークン等を包含する。
【背景技術】
【0002】
従来のトークンは、主に金属により作られている(例えば特許文献1参照)。
トークンを金属により作る場合、外観及びコストを考慮すると使用金属は限定されるため、種類には限度がある。
したがって、近隣のゲーム場において同一材質のトークンが使用されることが想定され、混入の恐れがある。
トークンは、代用貨幣機能があるため、他店トークンが混入することは好ましくない。
また、他店のトークンの厚みや直径は、僅かに異なるため、トークン処理機において詰まる問題があった。
また、第2の従来技術として、金属材料からなるリング状の心材を樹脂で被覆したトークンが知られている(例えば、特許文献2参照)。
トークンは、取り扱いの便のため直径は大きくとも40ミリ程度である。
また、金属心材は検知のため、その幅が3ミリ程度必要であり、さらに、トークンはガイドレール上を転動するため、心材を非接触検知装置に対し必ず相対させるためリング形にせねばならず、不要部が多い。
そのため、心材として最も安価な鉄を使用せざるを得ず、実用上の種類は制約を受ける問題がある。
さらに、第3の従来技術として、樹脂中に金属粉を混入、もしくは、金属フィルムと樹脂を層状にしたトークンが知られている(例えば、特許文献3参照)。
このものも、第1及び第2従来技術と同様に種類が少ない問題がある。
さらにまた、第4の従来技術として、ICタグを埋め込んだICトークンが知られている(例えば、特許文献4参照)。
このものは、ICタグを用いるため、ICとアンテナのモジュールが安くなったとはいえ、未だ高価であり、俄に採用することができない。
【0003】
【特許文献1】特開2001−58280(図1及び2、1−4頁)
【特許文献2】特開昭59−151283号(図1−3、2−4頁)
【特許文献3】ヨーロッパ特許1082921(図1−3、2−4頁)
【特許文献4】特開2003−331243(図1−4、2−3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の目的は、種類が多く、かつ、安価なトークンを提供することである。
本発明の第2の目的は、重量感があり、種類が多く、かつ、安価なトークンを提供することである。
本発明の第3の目的は、上記トークンの選別のための選別装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するため、本発明にかかるトークンは以下のように構成されている。
円板形のトークンにおいて、内部にリング形通路を形成したトークン本体と、前記リング形通路に重力に基づいて移動可能な非接触被検知体を配置してなるトークンである。
【発明の効果】
【0006】
この構成によれば、円板形のトークンは、選別装置のガイドレールを転動する。
非接触被検知体は、トークンの転動中、リング形通路において重力に基づいて移動する。
すなわち、リング形通路において、トークン本体の転動による移動力と非接触被検知体に加わる重力による静止力とが釣り合う位置に大凡位置する。
換言すれば、非接触被検知体は、トークン本体の転動による移動力と非接触被検知体の重力による移動力とが釣り合う位置においてほぼ静止状態になる。
さらに換言すれば、トークンが転動する場合、非接触被検知体はほぼ一定位置において静止状態になる。
したがって、非接触被検知体は、ほぼ静止した位置において非接触検知装置によって検知される大きさであればよい。
よって、非接触被検知体は最小限の大きさで良いので、材料として、鉄の他、黄銅、や銅等の比較的安価な材料を使用でき、トークンの種類を増やすことができる利点がある。
【0007】
本発明は、非接触被検知体が、特徴部を有することが好ましい。
この構成により、非接触被検知体に特徴部としての孔や鋸歯状凹凸等を形成することにより、それらの大きさ若しくは数等によっても種類を増加できる利点がある。
さらに、特徴部の数や形状等を変更することにより、さらに種類を増やすことができる利点がある。
換言すれば、特徴部の種類に対応してトークンの種類を増やすことが出来る利点がある。
【0008】
本発明は、特徴部が通孔であることが好ましい。
この構成により、特徴部が通孔であるから、非接触被検知体の加工と同時に通孔を形成することができるので、安価に製造できる利点がある。
【0009】
本発明は、前記リング形通路の外周に非接触検知可能リングを配置することが好ましい。
この構成により、非接触検知可能リングの材質等を真偽判別の要素に追加することができるので、さらにトークンの種類を増加することができる利点がある。
さらに、この非接触検知可能リングによってトークン本体を補強することができるので、機械的払出装置によって自動的に払い出すことができる利点がある。
さらにまた、非接触検知可能リングによりトークンの重量が増加するので、選別装置におけるトークンの転動速度の安定化に寄与すると共に、重量感によって高級感を演出することができる。
【0010】
本発明は、前記非接触被検知体が、前記リング形通路を転がる非接触検知可能転動体であることが好ましい。
この構成により、トークンが転動する場合、転動体はトークン本体の転動によって与えられる転動力と重力による静止力とが釣り合う位置においてほぼ静止状態になる。
すなわち、転動体はリング形通路の最低部に大凡位置し続ける。
したがって、この転動体の位置に相対して非接触検知装置を配置することにより、転動体の材質等の特徴を検知できる。
転動体は、ほぼ一定位置において転動するため、非接触検知装置によって検知可能な最小の円板形であるため、プレス打ち抜き等により、量産可能であり、使用材料も少ないことから、安価に製造できる利点がある。
さらに、非接触検知可能転動体の数を適宜設定することにより、トークンの種類を増加することができる利点がある。
【0011】
本発明は、前記非接触被検知体が、前記トークンの中心に配置した軸に回転自在の非接触検知可能回転体であることが好ましい。
この構成により、トークン本体が転動する場合、回転体は軸との摩擦接触による回転力と重力により発生する静止力とが釣り合う位置であるリング形通路の大凡最低部に位置し続ける。
したがって、回転体の通過位置に相対して非接触検知装置を配置することにより、回転体の材質等の特徴を検知できる。
回転体は、非接触検知装置によって検知可能な最小の板形にすることができるため、プレス打ち抜き等により、量産可能であり、安価に製造できる利点がある。
さらに、非接触検知可能回転体の形状を適宜設定することにより、トークンの種類を増加することができる利点がある。
【0012】
本発明は、前記非接触検知可能転動体が、金属で作られていることが好ましい。
この構成により、金属は比重が大きいのでトークンの重量が増加し、重量感があり、高級感を演出するトークンにすることが出来る。
さらに、転動体はプレスの打ち抜き加工で作ることが出来るので、安価に製造できる利点がある。
【0013】
本発明は、前記非接触検知可能回転体が、金属で作られていることが好ましい。
この構成により、金属は比重が大きいのでトークンの重量が増加し、重量感があるトークンにすることが出来る。
さらに、転動体はプレスの打ち抜き加工で作ることが出来るので、安価に製造できる利点がある。
【0014】
本発明は、トークン投入口と、前記投入口から投入されたトークンが転動するガイドレールと、前記ガイドレールに沿って配置した非接触検知装置と、前記非接触検知装置の出力に基づいてトークンの真偽を判別する判別装置とを有するトークンの選別装置であることが好ましい。
【0015】
この構成により、内部にリング形通路を形成した樹脂製トークン本体と、前記リング形通路に重力に基づいて移動可能な非接触被検知体を配置してなるトークンは、トークン投入口に投入された後、ガイドレール上を転動する。
このトークン本体の転動過程において、トークン本体から受ける転動力と非接触被検知体の重力による静止力とが釣り合ったリング形通路の所定の位置においてほぼ静止する。
トークンが転動するガイドレールに沿って配置された非接触検知装置は、非接触被検知体の移動経路に相対している。
したがって、非接触検知装置が非接触被検知体に相対した場合、非接触被検知体の特徴を検知することができる。
トークン本体は転動しているが、非接触被検知体は自重によりほぼ静止状態に保たれるため、非接触被検知体に設けた孔や文字等を識別することができる。
したがって、非接触被検知体に施した形態を正確に判別できることから、使用されるトークンの真偽を選別することができる利点を有する。
【0016】
本発明のトークンの選別装置は、前記非接触検知装置が光学式検知装置であることが好ましい。
この構成において、非接触検知装置が光学式である場合、検知に用いられる光の幅は狭幅にすることができる。
前記非接触被検知体は、トークン本体の転動によってほぼ静止状態とはいえ所定の範囲で揺れながらトークン本体と共に移動する。
よって、前記非接触検知体に孔が形成されている場合、当該孔の揺れの範囲を考慮した範囲が当該孔の実質的な大きさになる。
トークン本体の大きさは、利用者が手の平に握ることができる大きさに制限される。
そうすると、前記非接触検知体の大きさはトークン本体の大きさに制限されるため、大きく出来ず、孔の数が制限される。
孔の数が制限された場合、トークンの種類を増やすことが出来ない不都合がある。
しかし、光を遮蔽するには当該光の幅を遮る幅を有していればよいので、光の幅が狭幅の場合、限られた範囲においてより多くの遮蔽部を配置することができる。
よって、限られた範囲においてより多くの遮蔽部を配置できるので、可及的にトークンの種類を増やすことが出来る利点がある。
【0017】
本発明において、トークンの選別装置の前記光学式検知装置は、前記ガイドレールを挟んで対向配置された投光器と受光器を含んでいることが好ましい。
この構成において、非接触検知装置は、ガイドレール、換言すればトークンの転動通路をはさんで対向配置された投光器と受光器によって構成される透過形光学式検知装置である。
透過形光学式検知装置は、光の幅を狭くできるので、好ましい。
透過形光学式検知装置においては、レーザー式が比較的安価に、かつ、極めて狭い光幅を構成できるので好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
円板形のトークンにおいて、内部にリング形通路を形成した樹脂製トークン本体と、前記リング形通路に重力に基づいて移動可能な金属製非接触被検知体を配置し、前記リング形通路の外周に非接触検知可能リングを配置してなるトークンである。
また、本発明は、トークン投入口と、前記投入口から投入されたトークンが転動するガイドレールと、前記ガイドレールに沿って配置した非接触検知装置と、前記非接触検知装置の出力に基づいてトークンの真偽を判別する判別装置とを有するトークン選別装置である。
【実施例1】
【0019】
まず、実施例1を図1を参照して説明する。
図1(A)は、実施例1のトークンの正面図、(B)は、(A)におけるA―A線断面図、(C)は、実施例1の第2本体を取り除いた状態のトークンの正面図、(D)は、実施例1のリングの別の実施例の断面図である。
本実施例のトークン100は、皿形の第1本体102及びその蓋である第2本体104よりなるトークン本体106及び非接触被検知体108を含んでいる。
第1本体102は、樹脂により射出成型された円板形であって、同一軸線112回りに円柱形の支軸114及びその周囲に円リング形の凹部116が形成されている。
換言すれば、第1本体102の側壁118は、凹部116の底壁を構成する。
【0020】
第2本体104は、第1本体102と同一樹脂にて成型された円板である。
第2本体104は、凹部116の周縁に形成した円形段部120に挿入され、接着、又は、溶着されて第1本体102と一体化される。
第2本体104の中央部に形成された円孔122に支軸114の先端部を挿入し、接着又は融着により固定してある。
これにより、第2本体104及び第1本体102の側壁118は、一体化され、補強される。
【0021】
トークン100は、凹部116及び第2本体104により、軸線112を中心とする薄いリング形の通路124を有している。
凹部116の外周に、非接触検知可能リング126を埋設することが好ましい。
非接触検知可能リング126は、比重の大きな金属により形成することにより、トークン100の重量が増加するので利用者が手に持った際にトークン100の高級感を醸し出すことができる。
また、トークン本体106が樹脂製であることにより、ICタグを内蔵したICトークンの雰囲気を醸し出すことができるので、不正抑制のための心理的効果を与えることができる。
【0022】
この非接触検知可能リング126の材料は、鉄、黄銅、銅等の比較的安価な材料から打ち抜きプレス加工により安価に製造することが好ましい。
また、トークン100の厚みは、厚くとも4ミリ程度であることから、通路124を形成する第1本体102の側壁118と第2本体104の厚みは厚くできないので、トークン100の周方向からに受ける外力に対し強度が小さい。
【0023】
しかし、非接触検知可能リング126を配置することにより、その外力を強度の大きな非接触検知可能リング126によって受けるので、強度を高めることができる。
トークン100の強度が高いため、トークン100を機械的に払い出すことが出来る利点がある。
【0024】
さらに、この非接触検知可能リング126の存在を非接触センサにより検知、または、非接触検知可能リング126の材質等を検知することにより、真偽判別に利用できる。
したがって、非接触検知可能リング126の有無、及び、非接触検知可能リング126の材質等を変更することにより、トークン100の種類を増やすことができる利点がある。
なお、非接触検知可能リング126は、図1(D)に示すように全周を樹脂で被覆することなく、その外周を露出させてもよい。
【0025】
次に非接触被検知体108を説明する。
非接触被検知体108は、トークン100の特徴を表す主体であり、例えば後述の非接触被検知装置408によってその特徴を検知され、その特徴に基づいて真偽が判別される。
非接触被検知体108は、例えば異なる材質の金属板により製造され、その材質を判別することにより、その真偽が判別される。
【0026】
非接触被検知体108は、比較的安価で比重の大きな材料、例えば、鉄、等の金属板から、打ち抜きプレス加工により製造することが好ましい。
すなわち、非接触被検知体108を安価に大量生産できるので、トークン100を安価に製造することが出来るからである。
非接触被検知体108の材料として、鉄の他、黄銅、真鍮、銅、白銅及びステンレスは、入手性がよく、比重が大きく、かつ、比較的安価であり、使用に適している。
【0027】
非接触被検知体108の材質は、金属に限らず、例えば、磁性粉を焼き固めたプレートであってもよい。
さらに、非接触被検知体108の幅等の形状を特徴として検知することができる。
すなわち、非接触被検知体108は非接触で検知できる性質を有していればよい。
したがって、非接触被検知体108の材質及び形状等の種類によって、トークン100の種類が決定される。
【0028】
実施例1において、非接触被検知体108は非接触検知可能回転体130である。
非接触検知可能回転体130は、黄銅製であり、扇形に形成され、通路124に配置されている。
支軸114を扇形の頂部に穿孔された円形の軸孔132に挿入することにより、非接触検知可能回転体130は、凹部116内において支軸114を中心に回動自在である。
【0029】
換言すれば、非接触検知可能回転体130は、リング形通路124において、重力に基づいて移動可能である。
さらに換言すれば、非接触検知可能回転体130はトークン本体106が転動した場合、自重によりほぼ垂下した状態を保つことができる。
【0030】
トークン本体106がガイドレール138上を転動する場合、非接触検知可能回転体130は、支軸114との摩擦接触により軸孔132を介して一方向に向かう回転力を受け、また、重力によって前記方向と反対方向へ向かう回転力を受ける。
したがって、非接触検知可能回転体130は支軸114を中心に所定角度揺動するが、大凡所定位置において静止した状態を保つ。
【0031】
したがって、この静止位置に相対して非接触検知装置408を配置することにより、非接触検知可能回転体130の材質等の特徴を検知することができる。
さらに、第1本体102及び第2本体104を不透明にすることにより、非接触被検知体108の材質を外見から判断することが出来ないので、偽造防止効果がある。
【実施例2】
【0032】
次に実施例2を図2を参照して説明する。
図2(A)は、実施例2の第2本体を取り除いた状態のトークンの正面図、(B)は、(A)におけるB―B線断面図である。
実施例2は、実施例1の非接触被検知体108に特徴部200を付加したものである。
特徴部200は、非接触被検知体108自体による特徴以外の特徴を表す機能を有している。
具体例を挙げれば、特徴部200は、非接触被検知体108に穿孔した孔、刻設した文字・記号、印刷した文字・記号、非接触被検知体108に埋め込んだ異材料等である。
【0033】
実施例2における特徴部200は、三個の円形の通孔202である。
しかし、通孔202は、一つ以上であれば良く、かつ、円形に限定されない。
複数の通孔202を穿孔する場合、一つの非接触検知装置408よって検知出来るよう、各通孔202のガイドレール138からの距離が同一になるよう、各通孔202は所定の直線204上に配置されている。
【0034】
したがって、非接触被検知体108自体の特徴に追加して、特徴部200の特徴を真偽判別のために利用することができるので、非接触被検知体108、換言すれば、トークン100の種類を増加することができる。
非接触被検知体108、換言すれば、非接触検知可能回転体130は前述のように、トークン本体106がガイドレール138上を転動する場合、支軸114に対し所定量揺動する。
この揺動による影響を受けずに通孔202を検知できるようにしなければならない。
【0035】
このため、通孔202の揺動方向の長さ、換言すれば、通孔202の直径はその揺動量よりも大きく設定される。
さらに、通孔202が実施例2のように複数設けられる場合、それら通孔202の間隔は揺動量よりも大きく設定される。
特徴部200が実施例のように通孔202により構成される場合、非接触検知可能回転体130の打ち抜きと同一行程にて穿孔できるので、安価に製造出来る利点がある。
【0036】
なお、特徴部200が刻設または印刷した文字・記号の場合、トークン本体106の樹脂を通して画像処理により認識する必要がある。
その場合、第1本体102及び第2本体104は、可視光を通さず、非可視光が通す樹脂、例えば、可視光カット樹脂であるアクリル樹脂やエポキシ樹脂にて成型する必要がある。
【実施例3】
【0037】
次に第3実施例を図3を参照して説明する。
図3(A)は、実施例3のトークンの正面図、(B)は、(A)におけるC―C線断面図、(C)は、実施例3の第2本体を取り除いた状態のトークンの正面図である。
第1実施例と同一部には同一符号を付して説明を省略し、異なる構成を説明する。
非接触検知可能リング302の内周面304は、樹脂によって被覆されず、凹部116の外周面を形成している。
【0038】
したがって、段部120は、非接触検知可能リング302と第1本体102とによって形成され、通路124は非接触検知可能リング126の内周面304、側壁118及び第2本体104により構成される。
通路124には非接触検知可能転動体306である円板形の非接触被検知体308が移動可能に配置されている。
【0039】
非接触被検知体308は実施例1と同様に金属板等にて形成された円板である。
非接触被検知体308の直径は、内周面304と支軸114の外周面との間の距離よりも小径かつ、通路124の厚みよりも薄いので、自重により通路124を自由に移動することができる。
【0040】
なお、側壁118及び第2本体104の強度が十分な場合、支軸114を設けないことができる。
この場合、通路124はリング形ではなく、円板形になるが、この円板形であっても、本発明のリング形通路の範囲に含むものである。
非接触被検知体308には、特徴部310を付設することが出来る。
特徴部310は、実施例1同様に通孔312、文字、記号等である。
【0041】
トークン本体106がガイドレール138上を転動する場合、非接触被検知体308は非接触検知可能リング302の内周面304の転がりにより斜面上に位置した状況になる。
非接触被検知体208は、自重によってこの斜面上を転がり落ち、最も低い位置に静止しようとする。
【0042】
したがって、非接触被検知体208は、大凡内周面304による転がり力と静止力とが釣りあう位置において回転する。
この釣り合い位置に相対して非接触被検知体308の非接触検知装置を配置することにより、非接触被検知体308の特徴を検知することができる。
【0043】
非接触被検知体308の特徴は、非接触検知体308の材質、大きさ及び数である。
さらに、特徴部312の有無、特徴部312の大きさ、特徴部312の数等及びそれら組み合わせを真偽判別のため組み合わせることができる。
したがって、これら非接触被検知体308の特徴及び特徴部310を組み合わせることにより、トークン100の種類を増やすことができる。
なお、側壁118及び第2本体104の側面にプリントシールを貼付することにより、トークン100の装飾性を高めることができる。
【0044】
次にこれらトークン100の選別装置400を図4を参照して説明する。
図4は、実施例1から3のトークンの選別装置の概要図である。
選別装置400は、例えばゲーム機402に内蔵される。
選別装置400は、トークンの投入口404、投入口404から投入されたトークン100が転動するガイドレール406、ガイドレール406に沿って配置した非接触検知装置408、及び、非接触検知装置408の出力に基づいてトークンの真偽を判別する判別装置410を含んでいる。
【0045】
まず、投入口404を説明する。
選別装置400の前面に縦長スリット形の投入口404が形成される。
この投入口404の長手寸法は、トークン100の直径よりも僅かに大きく、幅はトークン100の厚みよりも僅かに大きく形成されている。
したがって、真トークン100の直径又は幅よりも大きいサイズのトークンは投入口404に投入することができない。
【0046】
投入口404に続いて投入口404から遠ざかる方向に伸びる傾斜通路412が形成される。
この傾斜通路412は、下流側ほど下になる下向き傾斜ガイドレール406によって形成されている。
【0047】
また、下向きガイドレール406の両側には、トークン100の幅よりも僅かに間隔を開けてガイド側壁(図示せず)が配置される。
これらガイド側壁の一方は、ジャムしたトークン100を返却口414に戻すため、傾斜通路412の幅を広げるよう移動可能である。
したがって、トークン100は傾斜通路412において、その側面をガイド側壁に案内されつつ、ガイドレール406上を転動する。
【0048】
次に非接触検知装置408を説明する。
非接触検知装置408は、トークン100の特徴を検知する機能を有し、傾斜通路412に相対して配置され、ガイド側壁に固定されている。
非接触検知装置408は、リング126、302の特徴を検知するための第1センサ416と、非接触被検知体108、308の特徴を検知するための第2センサ418を含んでいる。
【0049】
第1センサ416は、リング126、302の材質を検知する機能を有する。
第1センサ416は、例えばコイルであり、リング126、302の側面に相対して配置される。
傾斜通路412における第1センサ416よりもガイドレール406から離れた側壁に、第2センサ418が取り付けられる。
【0050】
第2センサ418は、第1センサ416と同様に、例えばコイルであり、非接触被検知体108、308の側面に相対して配置される。
そして、第1センサ416及び第2センサ418は、ガイドレール406に直交する線Y上に配置される。
【0051】
傾斜通路412の下流には、上下方向に伸びる振分通路420が設けられ、振分ゲート422が配置される。
振分ゲート422は、通常スプリング(図示せず)によって振分通路420に突出される。
したがって、傾斜通路412から落下した偽貨や異なるゲーム場のトークンは、振分ゲート422によって返却通路424に案内され、返却口414に戻される。
【0052】
正トークン100は、ゲート422がソレノイド426の励磁によってによって振分通路420から退出させられたとき、受入口428に落下し、保留部(図示せず)に保留される。
受入口428にトークン100が落下する途上において、トークン100は受入センサ430によって検知される。
受入センサ430は、例えば、トークン100によって接触子432が押動されるマイクロスイッチ434である。
【0053】
次に判別装置410を説明する。
判別装置410は、マイクロプロセッサ436であり、ROM438に記憶されたプログラムに基づいてRAM440に随時情報を書き込み、読み込みしつつ所定の処理を行う。
【0054】
詳述すれば、第2センサ418から発振回路446及びA/D変換回路448を介して非接触被検知体108、308の材質等、特徴部200、310の有無や大きさ等に関する信号を得ることができる。
また、第1センサ416から発振回路442及びA/D変換回路444を介してリング126、302の材質の特徴に関する信号を得ることができる。
【0055】
したがって、これら特徴に関する信号がマイクロプロセッサ436において基準値と比較され、真偽を判別される。
そして特徴の内の一つを選択し、それが真である場合、または、選択した複数の特徴の全てが真である場合、正トークンとして判別する。
【0056】
正トークン100である場合、ソレノイド426がドライバ450を介して所定時間励磁され、ゲート422が振分通路420から退出されるので、トークン100は受入口428に落下する。
この落下途中において、トークン100は接触子432を移動させるので、入金信号をゲーム機402に出力し、ゲームのスタートが可能な状態にする。
【0057】
偽トークンである場合、ソレノイド426が励磁されないので、ゲート422が振分通路420に突出したままであるので、偽トークン100は返却通路424を通って返却口414へ案内される。
【実施例4】
【0058】
次に実施例4を図5から図8を参照して説明する。
図5(A)は、実施例4の第2本体を取り除いた状態のトークンの正面図、(B)は、(A)におけるD―D線断面図である。
図6は、実施例4のトークンの選別装置の概要図である。
図7は、図6におけるY線に沿った断面図である。
図8は、実施例4の作用説明図である。
【0059】
実施例4は、実施例2の非接触被検知体108の特徴部200を狭幅のスリット500にすると共に非接触検知装置408を光学式検知装置502、具体的にはレーザー式透過形検知装置504に変更した例である。
【0060】
まず、実施例4の特徴部であるスリット500を説明する。
非接触検知可能回転体130には、実施例2における円形の通孔202に替えて狭幅であって垂直方向に長い矩形スリット500が等間隔で複数個、並設されている。
スリット500は、遮光壁508によって区切られている。
スリット500の幅は、トークン100がガイドレール406上を転動する過程において予想される非接触検知可能回転体130の揺動が発生した場合であっても、光学式検知装置502の光束の幅以上の開口がスリット500に形成される大きさに設定してある。
換言すれば、非接触検知可能回転体130が揺動した場合であっても、一つのスリット500に対し投光器506からの光束の幅以上の開口が形成されるように設定してある。
また、遮光壁508の幅は、可及的に狭く形成することが好ましい。
具体的には、投光器506から投光される光の幅と同等の幅を有することが好ましい。
この構成により、非接触検知可能回転体130が振り子のように左右に揺動しつつ移動した場合であっても、必ずスリット500に対応する開口が形成され、かつ、遮光壁508に対応する壁が形成される。
【0061】
次に実施例4のトークン100に適する選別装置510を図6及び図7を参照して説明する。
図4と同様部には同一符号を付して説明を省略し、異なる構成を説明する。
第2センサ418に相当する位置に光学式検知装置502が配置されている。
換言すれば、トークン100がガイドレール406を転動する場合、非接触検知可能回転体130に形成されたスリット500に相対する位置に配置されている。
光学式検知装置502は、ガイドレール406を挟んで対向配置された投光器506及び受光器512を含んでいる。
換言すれば、投光器506と受光器512は、傾斜通路412を挟んで対向配置された透過形光学式検知装置513である。
【0062】
具体的には、傾斜通路412を構成する固定ガイド側壁514に受光器512が固定され、所定の間隔で固定ガイド側壁514に平行に配置される可動ガイド側壁516に投光器506が固定されている。
投光器506は、光束の幅(直径)を小さくできるので、レーザー発光器が好ましい。
受光器512の出力は、AD変換回路516によってアナログからデジタル信号に変換され、次いで比較回路518において基準値と比較され、受光量が所定値以上の場合、Hの信号、したがって、スリット500を透過した光を受光したことを意味する受光信号を出力し、所定値以下の場合、Lの信号、すなわち、受光しなかったことを意味する遮光信号を出力する。
【0063】
次に本実施例4の作用を説明する。
トークン100がガイドレール406上を転動した場合、支軸114と軸孔132との間の摩擦により、非接触検知可能回転体130は図8において時計方向の回転力を受ける。
これにより、非接触検知可能回転体130が静止状態における標準位置NPから時計方向に回転した位置CPに回動し、同時にスリット500は二点鎖線示するに位置500Cに位置する。
非接触検知可能回転体130が位置CPに位置した場合、重力による反時計方向への回転力が前記摩擦による時計方向の回転力よりも大きくなり、非接触検知可能回転体130は反時計方向へ回転して二点鎖線示位置CCに回動し、同時にスリット500は鎖線示位置500CCに回動する。
非接触検知可能回転体130が位置CCに位置した場合、重力による反時計方向の回動力よりも前記支軸114と軸孔132との間の摩擦による時計方向の回動力が大きくなるため、前述のように非接触検知可能回転体130は時計方向に回動される。
非接触検知可能回転体130は、トークン100が転動中、おおよそ位置CPとCCとの間を揺動する。
投光器506からの光束は、スリット500の揺動位置500CPと500CCとが重なる位置に配置されているため、スリット500が通過する毎に必ず受光器512に受光される。
受光器512が受光した場合、その出力はAD変換回路516によってデジタル変換された後、比較回路518において基準値と比較される。
比較回路518は、受光量が基準値よりも多いので、Hの受光信号を出力する。
したがって、マイクロプロセッサ436は、比較回路518からのHの受光信号の数を判断することにより、トークン100の種類を判別することができる。
換言すれば、スリット500の数に基づく受光信号の数によってトークン100の種類を判別する。
特に、投光器506からレーザー光を用いた場合、光束の幅を極めて小さくできるので、限られた大きさの非接触検知可能回転体130に、より多くのスリット500を穿孔できる。
よって、より多くの特徴部200を形成出来るので、トークン100の種類を増加することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1(A)は、実施例1のトークンの正面図、(B)は、(A)におけるA―A線断面図、(C)は、実施例1の第2本体を取り除いた状態のトークンの正面図、(D)は、実施例1のリングの別の実施例の断面図である。
【図2】図2(A)は、実施例2の第2本体を取り除いた状態のトークンの正面図、(B)は、(A)におけるB―B線断面図である。
【図3】図3(A)は、実施例3のトークンの正面図、(B)は、(A)におけるC―C線断面図、(C)は、実施例3の第2本体を取り除いた状態のトークンの正面図である。
【図4】図4は、実施例1から3のトークンの選別装置の概要図である。
【図5】図5(A)は、実施例4の第2本体を取り除いた状態のトークンの正面図、(B)は、(A)におけるD―D線断面図である。
【図6】図6は、実施例4のトークンの選別装置の概要図である。
【図7】図7は、図6におけるY線に沿った断面図である。
【図8】図8は、実施例4の作用説明図である。
【符号の説明】
【0065】
100 トークン
106 トークン本体
108、308 非接触被検知体
114 軸
124 通路
126、302 非接触検知可能リング
130 非接触検知可能回転体
200、310 特徴部
202、312 通孔
306 非接触検知可能転動体
404 投入口
406 ガイドレール
408 非接触検知装置
410 判別装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板形のトークン(100)において、内部にリング形通路(124)を形成したトークン本体(106)と、前記リング形通路に重力に基づいて移動可能な非接触被検知体(108、308)を配置してなるトークン。
【請求項2】
前記非接触被検知体が、特徴部(200、310)を有する請求項1のトークン。
【請求項3】
前記特徴部が通孔(202、312)である請求項2のトークン。
【請求項4】
前記リング形通路の外周に非接触検知可能リング(126、302)を配置してなる請求項1のトークン。
【請求項5】
前記非接触被検知体が、前記リング形通路を転がる非接触検知可能転動体(306)である請求項1、2または4のトークン。
【請求項6】
前記非接触被検知体が、前記トークンの中心に配置した軸(114)に回転自在の非接触検知可能回転体(130)である請求項1、2または4のトークン。
【請求項7】
前記非接触検知可能転動体が、金属で作られている請求項5のトークン。
【請求項8】
前記非接触検知可能回転体が、金属で作られている請求項6のトークン。
【請求項9】
トークン(100)の投入口(404)と、
前記投入口から投入されたトークンが転動するガイドレール(406)と、
前記ガイドレールに沿って配置した非接触検知装置(408)と、
前記非接触検知装置の出力に基づいてトークンの真偽を判別する判別装置(410)と
を有するトークンの選別装置。
【請求項10】
前記非接触検知装置が光学式検知装置であることを特徴とする請求項9のトークンの選別装置。
【請求項11】
前記光学式検知装置が前記ガイドレールを挟んで対向配置された投光器と受光器を含んでいることを特徴とする請求項10のトークンの選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−309710(P2006−309710A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9338(P2006−9338)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】