説明

ドアロック用チャイルドプロテクタ装置

【課題】ブッシュひいてはチャイルドプロテクタ部材を円滑に動作させるのに有利なドアロック用チャイルドプロテクタ装置の提供。
【解決手段】インサイドオープンレバー2と、アウトサイドオープンレバーと、インサイドオープンレバーの作動力をアウトサイドオープンレバーに伝達させ得るブッシュ4と、チャイルドプロテクタ部材5とを有する。チャイルドプロテクタ部材は、インサイドオープンレバーの作動力をブッシュに伝達させないチャイルドプロテクタオン位置と、インサイドオープンレバーの作動力をブッシュを介してアウトサイドオープンレバーに伝達させるチャイルドプロテクタオフ位置とに切り替可能とされている。チャイルドプロテクタ部材は、浮き上がりを抑制させ、且つ、チャイルドプロテクタオン位置とチャイルドプロテクタオフ位置とに移動可能となるように、第1係合部61、第2係合部によって基部1に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドアロック用チャイルドプロテクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ドアを開放させるために車内側から動作が伝達されるオープンレバー(1)と、ドアを開放させるために車内側から動作が伝達されるインサイドレバー(2)と、インサイドレバー(2)と係脱可能なブッシュ(3)と、ブッシュ(3)を支持するチャイルドプロテクタ部材(4)とを備えるドアロック装置を開示する。チャイルドプロテクタ部材(4)がチャイルドプロテクタオン位置とチャイルドプロテクタオフ位置とに切り替えられるように、チャイルドプロテクタ部材(4)は、2つの係合部によってベース(5)に対して浮き上がりを抑制させつつスライド可能に支持されている。また、チャイルドプロテクタ部材(4)は、二つの係合部を結ぶ直線から離れる方向に延出する案内面(43f,43s)が一体的に形成された案内部(43)を備えている。この案内面(43f,43s)がブッシュ(3)を摺動可能に支持している。
【0003】
なお、チャイルドプロテクタ部材(4)が前記チャイルドプロテクタオン位置に配置されると、インサイドレバー(2)の作動力をブッシュ(3)に伝達させず且つオープンレバー(1)に伝達させない状態となる。そのため、チャイルドプロテクタが有効となり、車内側からのドアの開放が不能となり、ドアの閉鎖状態が維持される。また、チャイルドプロテクタ部材(4)が前記チャイルドプロテクタオフ位置に配置されると、インサイドレバー部材(2)の作動力がブッシュ(3)を介してオープンレバー(1)に伝達される状態となる。そのため、チャイルドプロテクタが無効となり、車内側からドアの開放が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−169948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術によれば、案内部(43)は2つの係合部にて両持支持されているものの、2つの係合部を結ぶ直線から離れる方向に延出された案内面(43f,43s)は、その端部が自由端となっている。そのため、案内部(43)は実質的には片持支持となっている。従って、インサイドレバー(2)の作動力をブッシュ(3)を介してオープンレバー(1)に伝達させるとき、ブッシュ(3)を介して案内部(43)は、片持支持された部位を支点として外側に向けて撓むおそれがある。このような、チャイルドプロテクタ部材(4)およびブッシュ(3)の変形を抑制するには改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、チャイルドプロテクタ部材およびブッシュの耐久性および長寿命化が図られ、チャイルドプロテクタ装置の信頼性を向上することが可能なドアロック用チャイルドプロテクタ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1に係るドアロック用チャイルドプロテクタ装置は、車内側からのドアロックの解除を制限させるチャイルドプロテクタ機能を発揮するドアロック用チャイルドプロテクタ装置であって、
基部と、基部に移動可能に支持されたインサイドオープンレバーと、基部に設けられ、インサイドオープンレバーの作動力が伝達されてドアロックを解除させるように動作可能なアウトサイドオープンレバーと、インサイドオープンレバーとアウトサイドオープンレバーとの間に設けられ、インサイドオープンレバーの作動力を前記アウトサイドオープンレバーに伝達させ得るブッシュと、基部に設けられ、インサイドオープンレバーの作動力をアウトサイドオープンレバーに伝達させない状態にブッシュの位置を設定させるチャイルドプロテクタオン位置と、インサイドオープンレバーの作動力を前記ブッシュを介してアウトサイドオープンレバーに伝達させる状態にブッシュの位置を設定させるチャイルドプロテクタオフ位置とに、ブッシュを切り替可能なチャイルドプロテクタ部材とを具備しており、
チャイルドプロテクタ部材は、チャイルドプロテクタ部材がチャイルドプロテクタオン位置と前記チャイルドプロテクタオフ位置とに切り替えられるように、2以上の係合部によって基部に対して浮き上がりを抑制させつつスライド移動可能に支持されており、ブッシュは、チャイルドプロテクタ部材と基部との間に介在する。
【0008】
上記したように本発明に係るドアロック用チャイルドプロテクタ装置によれば、チャイルドプロテクタ部材は、前記チャイルドプロテクタ部材が前記チャイルドプロテクタオン位置と前記チャイルドプロテクタ部材オフ位置とに切り替えられるように、2以上の係合部によって基部に対して浮きあがりを抑制させつつスライド可能に支持されている。そのため、前記ドアロックを解除すべく、インサイドオープンレバーの作動力をブッシュを介してアウトサイドオープンレバーに伝達させるとき、チャイルドプロテクタ部材の変形が抑制される。また、前記ブッシュは、前記チャイルドプロテクタ部材と前記基部との間に介在する。そのため、前記インサイドオープンレバーの作動力により前記ブッシュに加わるモーメント力によって、ブッシュが傾く変形をしようとすると、チャイルドプロテクタ部材および基部がブッシュの当該変形を抑制する。それ故、インサイドオープンレバーの作動力をブッシュを介してアウトサイドオープンレバーに良好に伝達させることができる。従って、チャイルドプロテクタ部材およびブッシュの過剰変形が抑制される。よって、チャイルドプロテクタ部材およびブッシュの耐久性および長寿命化が図られ、チャイルドプロテクタ装置の信頼性が向上する。
【0009】
(2)請求項2に係るドアロック用チャイルドプロテクタ装置によれば、請求項1において、チャイルドプロテクタ部材は、チャイルドプロテクタ部材の厚み方向に突出する補強部を有することを特徴とする。補強部によりチャイルドプロテクタ部材の剛性が高くなる。このためチャイルドプロテクタ部材の変形が一層抑制され、ブッシュの変形が更に抑制される。この結果、インサイドオープンレバーの作動力をブッシュを介してアウトサイドオープンレバーに伝達させるとき、ブッシュの変形が抑制されるため、インサイドオープンレバーの作動力をブッシュを介してアウトサイドオープンレバーに良好に伝達させることができる。従って、チャイルドプロテクタ部材およびブッシュの過剰変形、チャイルドプロテクタ部材およびブッシュの耐久性および長寿命化が図られ、チャイルドプロテクタ装置の信頼性が向上する。補強部はリブが例示される。
【0010】
(3)請求項3に係るドアロック用チャイルドプロテクタ装置によれば、請求項2において、補強部は、ブッシュを包囲すると共にブッシュを遊動可能に支持しつつ収容する収容空間を形成するリブである。リブは、チャイルドプロテクタ部材の剛性を高めてチャイルドプロテクタ部材の浮き上がりを更に抑制させてブッシュの変形を更に抑制させる作用と、ブッシュを包囲すると共にブッシュを遊動可能に支持しつつ収容する収容空間を形成する作用とを併有する。ブッシュは、チャイルドプロテクタ部材のリブで形成された収容空間内に遊動可能とされているため、ブッシュの動作の円滑性が確保される。更にブッシュはチャイルドプロテクタ部材の収容空間内に収容されているため、ブッシュの離脱が抑制される。
【0011】
(4)請求項4に係るドアロック用チャイルドプロテクタ装置によれば、請求項1〜3のうちの一項において、基部は、ハウジング本体とハウジング本体に被着されるカバーとを備えており、インサイドオープンレバーはハウジング本体に組み付けられており、ブッシュおよびチャイルドプロテクタ部材はカバーに組み付けられていることを特徴とする。まず、インサイドオープンレバーを組み付けたハウジング本体を用意する。そしてハウジング本体に対してカバーを被着させる。その後、ブッシュをカバーに組み付け、更にチャイルドプロテクタ部材をカバーに組み付ける。このためハウジング本体をひっくり返すことなく、ブッシュおよびチャイルドプロテクタ部材を組み付けることができ、組み付け性を改善できる。
【0012】
(5)請求項5に係るドアロック用チャイルドプロテクタ装置によれば、請求項1〜4の何れか一項に記載のドアロック用チャイルドプロテクタ装置において、ブッシュはアウトサイドオープンレバーが当接する押圧軸を有し、チャイルドプロテクタ部材が前記チャイルドプロテクタオフ位置に設定された場合において、前記押圧軸は前記2以上の係合部の何れか2つを結ぶ直線に対して交差する一側および他側に移動可能であり、
インサイドオープンレバーが初期位置にある場合におけるブッシュの押圧軸の位置が前記一側に配置され、インサイドオープンレバーがフルストローク位置にある場合におけるブッシュの押圧軸の位置が前記他側に配置される。この場合、押圧軸は、インサイドオープンレバーのストローク中に係合部の何れか2つを結ぶ直線を通る。なお、該直線上が最もブッシュおよびチャイルドプロテクタ部材の変形が抑制される。よって、より好適にチャイルドプロテクタ部材およびブッシュの過剰変形が抑制される。その結果、チャイルドプロテクタ部材およびブッシュの耐久性および長寿命化が図られ、チャイルドプロテクタ装置の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドアロックを解除すべく、インサイドオープンレバーの作動力をブッシュを介してアウトサイドオープンレバーに伝達させるとき、基部に対するチャイルドプロテクタ部材の浮き上がりが抑制される。ひいては、ブッシュの変形が抑制される。このようにインサイドオープンレバーの作動力をブッシュを介してアウトサイドオープンレバーに伝達させるとき、ブッシュの変形が抑制されるため、インサイドオープンレバーの作動力をブッシュを介してアウトサイドオープンレバーに良好に伝達させることができる。従って、チャイルドプロテクタ部材およびブッシュの過剰変形、チャイルドプロテクタ部材およびブッシュの耐久性および長寿命化が図られ、チャイルドプロテクタ装置の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係り、カバーの斜視図である。
【図2】チャイルドプロテクタ部材の表側を示す斜視図である。
【図3】チャイルドプロテクタ部材の裏側を示す斜視図である。
【図4】ハウジング本体に被着させたカバーにブッシュおよびチャイルドプロテクタ部材を組み付ける直前の状態を示す斜視図である。
【図5】ハウジング本体に被着させたカバーにブッシュおよびチャイルドプロテクタ部材を組み付けた状態を示す側面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図5のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】図5のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】(A−1)はチャイルドプロテクタ部材をチャイルドプロテクタオフ位置に設定した状態においてインサイドオープンレバーが旋回動作する前の状態を示す図であり、(A−2)はチャイルドプロテクタ部材をチャイルドプロテクタオフ位置に設定した状態においてインサイドオープンレバーが旋回動作した後の状態を示す図であり、(B−1)はチャイルドプロテクタ部材をチャイルドプロテクタオン位置に設定した状態においてインサイドオープンレバーが旋回動作する前の状態を示す図であり、(B−2)はチャイルドプロテクタ部材をチャイルドプロテクタオン位置に設定した状態においてインサイドオープンレバーが旋回動作した後の状態を示す図である。
【図10】ブッシュをチャイルドプロテクタ部材の収容空間内に組み付けた状態を示す側面図である。
【図11】(A)はチャイルドプロテクタ部材をチャイルドプロテクタオフ位置に設定した状態においてインサイドオープンレバーが旋回動作する前後の状態を示す図であり、(B)はチャイルドプロテクタ部材をチャイルドプロテクタオン位置に設定した状態においてインサイドオープンレバーが旋回動作した前後の状態を示す図である。
【図12】実施形態2に係り、シール部材の態様を示す断面図である。
【図13】実施形態2に係り、カバーに装備されているシール部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ドアロック用チャイルドプロテクタ装置は、車両のドアにドアロック装置と共に搭載されているものであり、ドアロックの解除を制限させるチャイルドプロテクタ機能を発揮するため、車両走行時等において子供などの悪戯操作でドアロックが解除されることを抑えることができる。
【0016】
図4は、ブッシュ4およびチャイルドプロテクタ部材5を組み付ける直前の状態を示す斜視図である。図5は、ブッシュ4およびチャイルドプロテクタ部材5を基部1に組み付けた状態を示す側面図である。図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図である。図7は、図5のVII−VII線に沿った断面図である。図8は、図5のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【0017】
図4に示すように、本実施形態に係るチャイルドプロテクタ装置は、ハウジング本体10にカバー11を被着させた基部1と、連結部20をもつインサイドオープンレバー2と、ドアロックを解除させる動作を行うアウトサイドオープンレバー3と、インサイドオープンレバー2とアウトサイドオープンレバー3との間に介在し且つインサイドオープンレバー2のドア開放用作動力をアウトサイドオープンレバー3に伝達させる伝達部材として機能するブッシュ4と、チャイルドプロテクタ機能を発揮するためのチャイルドプロテクタ部材5とを有する。インサイドオープンレバー2は、車室側のドア開放用のインサイドハンドルからのケーブル28等の部材に連結されており、車室側からのドア開放力で動作する部材である。アウトサイドオープンレバー3は、車外側のアウトサイドハンドルからのドア開放力で動作する部材である。
【0018】
図4に示すように、基部1は、ドアロック機構を搭載するハウジング本体10と、ハウジング本体10に溶着等で合わせ面12を介して接合されたカバー11とを備えている。図1は、ハウジング本体10に接合する前のカバー11を示す。カバー11は樹脂製であり偏平な盤状をなしており、カバー11から突設された第1係合部61と、第1取付開口14と、第2取付開口15と、第3取付開口16とを有する。第1係合部61は、第1係合軸61aと、第1係合軸61aから互いに離間する方向(矢印W方向,チャイルドプロテクタ部材5のスライド移動方向である矢印B1,B2に対してカバー11の面方向に沿って交差する方向)に向けて外方に突出された2個一対の第1係合片61cと、カバー11の表面から膨出する膨出部61dとを有する。膨出部61dは、ブッシュ4の厚みに相当しており、チャイルドプロテクタ部材5の矢印B1,B2方向のスライド移動を円滑にさせる。
【0019】
図2はチャイルドプロテクタ部材5の表側を示す。図3はチャイルドプロテクタ部材5の裏側を示す。図2および図3に示すように、チャイルドプロテクタ部材5は偏平な樹脂製の板状をなしており、円弧状に延設された円弧長孔50をもつ板状の本体51と、本体51の先端側に設けられた直状の案内孔52と、案内孔52を形成する直状の案内壁52cをもつ二股状の腕53と、腕53に対して反対側に向けて本体51に延設された板状の副部54と、副部54に形成された軸端面55eをもつ突起軸状の操作部55とをもつ。更に、チャイルドプロテクタ部材5は、節度突起57をもつ弾性腕56と、弾性腕56に弾性力を与える溝状の孔部58とを有する。
【0020】
円弧長孔50は、チャイルドプロテクタ部材5のスライド移動方向である矢印B1,B2に対してチャイルドプロテクタ部材5の面方向に沿って交差する方向である矢印W2、W3方向に向けて延設されている。節度突起57はカバー11の節度領域19mの節度部19(図1参照)と摩擦係合して、チャイルドプロテクタ部材5を矢印B1,B2方向に移動させるとき、後述するチャイルドプロテクタオン位置Aonとチャイルドプロテクタオフ位置Aoffとにそれぞれチャイルドプロテクタ部材5を保持できる。なお、チャイルドプロテクタ部材5の操作部55については、ドア開放時にユーザが指先等で操作部55を操作できるようにドアのインナーパネルの開口から突出させて露出させる。ドアが閉鎖されているときには、操作部55は露出しないようにドアトリムで隠蔽される。
【0021】
さて、図4は、チャイルドプロテクタ部材5およびブッシュ4などをカバー11に組付ける直前の状態を示す。図5は、チャイルドプロテクタ部材5およびブッシュ4などをカバー11に組付けた状態を示す。図5において、インサイドオープンレバー2は、ドア開放時にケーブル28によって動作される部材であり、基部1に設けられており、ドアロック解除方向である矢印OP方向およびその反対方向に旋回可能とされている。図8に示すように、インサイドオープンレバー2は、これの厚み方向においてハウジング本体10の部位10xとカバー11の部位11xとで挟まれるように支持されており、ハウジング本体10に形成されている突起状の旋回軸18に旋回可能に嵌合している。
【0022】
図9(A−1)(A−2)(B−1)(B−2)は作動状態を示す。図9(A−1)(A−2)(B−1)(B−2)は複雑化を回避するために簡易的に示す。図9(A−1)は、インサイドオープンレバー2の初期位置を示す。図9(A−2)は、インサイドオープンレバー2のフルストローク位置を示す。図10は、ブッシュ4を収容するチャイルドプロテクタ部材5付近を示す。図9(A−1)(A−2)および図10から理解できるように、チャイルドプロテクタ部材5がチャイルドプロテクタオフ位置Aoffに保持された状態において、インサイドオープンレバー2をこれの初期位置(図9(A−1))から、フルストローク位置(図9(A−2))まで移動させるべく、ケーブル28によってドアロック解除方向である矢印OP方向に移動させるとき、インサイドオープンレバー2の作動力がブッシュ4を介してアウトサイドオープンレバー3の受圧部3aに伝達される。よって、ドア開放時において、アウトサイドオープンレバー3はドアロックを解除させるように動作する。
【0023】
図4はチャイルドプロテクタ部材5およびブッシュ4を示す。図4に示すように、ブッシュ4は樹脂を基材としており、凹部40cを形成する二股状のアーム40をもつ板状のベース部41と、ベース部41のうちアーム40と反対側に設けられ軸端面42eをもつ押圧軸42と、押圧軸42に対して反対方向に同軸的に突出する案内軸43とを有する。案内軸43は、チャイルドプロテクタ部材5の円弧長孔50に案内されつつ円弧長孔50に沿って矢印W2,W3方向に移動できるように嵌合されている。このためブッシュ4は、チャイルドプロテクタ部材5に対して矢印W2,W3方向(チャイルドプロテクタ部材5のスライド方向である矢印B1,B2方向に交差すると共にチャイルドプロテクタ部材5の本体51の面方向に沿った方向に相当)に揺動可能とされている。このように案内軸43はチャイルドプロテクタ部材5の円弧長孔50に移動可能に嵌合されている。この場合、矢印B1,B2方向において、案内軸43とチャイルドプロテクタ部材5の円弧長孔50の周縁50fとの間には、隙間がほとんどない。このため、チャイルドプロテクタ部材5が矢印B1方向にスライド移動すれば、ブッシュ4は同方向にチャイルドプロテクタ部材5と一体となって直ちにほぼ同量移動する。これに対して、チャイルドプロテクタ部材5が矢印B2方向にスライド移動すれば、ブッシュ4はチャイルドプロテクタ部材5と一体となって直ちに同方向にほぼ同量移動する。このためチャイルドプロテクタ部材5を移動させれば、ブッシュ4も確実に同方向にほぼ同量移動できる。
【0024】
上記したようにブッシュ4において、押圧軸42および案内軸43は、ブッシュ4のベース部41に対して互いに反対方向に立設する方向に、つまり、ベース部41の厚み方向において互いに反対方向に突設されている(図4参照)。チャイルドプロテクタ部材5の厚み方向において、ブッシュ4はカバー11とチャイルドプロテクタ部材5との間に配置される(図6参照)。このようなブッシュ4は、インサイドオープンレバー2とアウトサイドオープンレバー3との間に配置されている。ここで、車両のドアロックが解除されるとき、ブッシュ4は、インサイドオープンレバー2の作動力(ドアロック解除用の作動力)をアウトサイドオープンレバー3に伝達させ得る動力伝達部材として機能することができる。
【0025】
チャイルドプロテクタ部材5は基部1のうちのカバー11に取り付けられているものであり、矢印B1,B2方向にスライド移動してブッシュ4と共にチャイルドプロテクタオン位置Aonとチャイルドプロテクタオフ位置Aoffとに切り替えるようにスライド移動可能とされている。ここで、チャイルドプロテクタオン位置Aonは、ドアロックの解除を制限させるチャイルドプロテクタ機能を発揮(オン)させる位置である。チャイルドプロテクタオン位置Aonでは、車内側からインサイドハンドルを操作しても、ドアロックの解除は制限されており、ドアロックは解除されない。このようなチャイルドプロテクタオン位置Aonでは、インサイドオープンレバー2の作動力(ドアロック解除用の作動力)をブッシュ4に伝達させず、且つ、ブッシュ4を介してアウトサイドオープンレバー3に伝達させない状態に、チャイルドプロテクタ部材5の位置およびブッシュ4の位置は設定される。
【0026】
これに対してチャイルドプロテクタオフ位置Aoffは、ドアロックの解除を制限させるチャイルドプロテクタ機能を発揮させない(オフさせる)位置である。このようなチャイルドプロテクタオフ位置Aoffでは、インサイドオープンレバー2の作動力(ドアロック解除用の作動力)をブッシュ4を介してアウトサイドオープンレバー3に伝達させる状態に、チャイルドプロテクタ部材5の位置およびブッシュ4の位置は設定される。このようなチャイルドプロテクタオフ位置Aoffでは、インサイドオープンレバー2がドアロック解除方向(矢印OP方向)に作動されると、その作動力はブッシュ4を介してアウトサイドオープンレバー3に良好に伝達され、ドアロックは解除される。
【0027】
さて本実施形態によれば、図5において、チャイルドプロテクタ部材5は、カバー11に形成されている第1係合部61および第2係合部62(2以上の係合部)によって、矢印B1,B2方向に基部1のカバー11に対してスライド移動可能に支持されている。第1係合部61および第2係合部62は、チャイルドプロテクタ部材5が基部1のカバー11から過剰に浮き上がることを抑制させるように、チャイルドプロテクタ部材5をカバー11に支持している。ここで、チャイルドプロテクタ部材5が矢印B1方向(チャイルドプロテクタオン方向)に直状にスライド移動すると、チャイルドプロテクタ部材5の位置およびブッシュ4の位置は自動的にチャイルドプロテクタオン位置Aonとされる。これに対して、チャイルドプロテクタ部材5が矢印B2方向(チャイルドプロテクタオフ方向)に直状にスライド移動すると、チャイルドプロテクタ部材5の位置およびブッシュ4の位置は自動的にチャイルドプロテクタオフ位置Aoffとなる。
【0028】
更に説明を加える。図5から理解できるように、第1係合部61の第1係合軸61aは、チャイルドプロテクタ部材5の案内孔52に嵌合している。第1係合部61の第1係合片61cは、矢印W方向(チャイルドプロテクタ部材5が移動する矢印B1,B2方向に対してチャイルドプロテクタ部材5の本体51の面方向に沿って交わる方向)に突設されているため、チャイルドプロテクタ部材5の案内孔52を区画する案内壁52cを抜け止め状態で支持する。更に説明すると、図6に示すように、第1係合部61の第1係合片61cは、チャイルドプロテクタ部材5の案内孔52を区画する案内壁52cをこれがカバー11から浮き上がり方向(矢印U方向)に過剰に浮き上がることを抑えるように支持する。すなわち、図6に示すように、第1係合部61の第1係合片61cは、チャイルドプロテクタ部材5の案内孔52を区画する案内壁52cを抜けないようにチャイルドプロテクタ部材5を支持している。このようにチャイルドプロテクタ部材5の本体51がカバー11から浮き上がり方向(矢印U方向)に過剰に浮き上がることは、抑えられている。なお、前述したように第1係合部61は基部1のうちカバー11に一体的に突設されている(図1参照)。
【0029】
上記したようにチャイルドプロテクタ部材5は基部1のうちカバー11において矢印B1,B2方向にスライド移動可能に設けられている。チャイルドプロテクタ部材5が矢印B1,B2方向にスライド移動するとき、第1係合部61の第1係合軸61aは、チャイルドプロテクタ部材5の案内孔52の直状の案内壁52cに沿って同方向に相対移動することができる。第1係合軸61aは軸状をなすため、更に、案内壁52cは矢印B1,B2方向に延びる直状であるため、第1係合軸61aと案内壁52cとの摩擦抵抗ひいては摺動抵抗は軽減される。
【0030】
更に、第2係合部62について説明を加える。図7は、チャイルドプロテクタ部材5がカバー11から浮き上がることをカバー11の第2係合部62によって抑制する係合構造を示す。図7に示すように、チャイルドプロテクタ部材5のうち軸状の操作部55の反対側に突出する突部59cには、抜け止め部59が径外方向(図3および図7に示す矢印W5方向)に突設されている。ここで、矢印W5方向は、チャイルドプロテクタ部材5のスライド方向である矢印B1,B2方向と交差すると共にチャイルドプロテクタ部材5の本体51の面に沿った方向を示す(図3参照)。抜け止め部59は、操作部55よりも径大な舌状をなしている。抜け止め部59は、カバー11のうち操作部55を通過させる通孔62xの周縁である第2係合部62(カバー11の一部)で覆われている。従って、チャイルドプロテクタ部材5の副部54が浮き上がり方向(矢印U方向)に過剰に浮き上がりことが抑制されている。以上説明したようにブッシュ4を支持するチャイルドプロテクタ部材5は、第1係合部61および第2係合部62(2以上の係合部)によって、基部1のカバー11に矢印B1,B2方向にスライド移動可能に、且つ、基部1のカバー11からチャイルドプロテクタ部材5が浮き上がり方向(矢印U方向)に過剰に浮きがることが抑制されている。図8に示すように、インサイドオープンレバー2は、基部1を構成するハウジング本体10とカバー11とに挟まれて支持されている。ハウジング本体10に旋回軸18が形成されている。インサイドオープンレバー2は、旋回軸18を中心として旋回できるようにハウジング本体10側に支持されている。
【0031】
更に説明を加える。図9(A−1)(A−2)は、ユーザやアクチュエータなどが操作部55を矢印B2方向に操作させることにより、チャイルドプロテクタ部材5を矢印B2方向(チャイルドプロテクタオフ方向)にスライド移動させてブッシュ4と共にチャイルドプロテクタオフ位置Aoffに切り替えた状態を示す。ドアロックを解除する場合には、図9(A−1)(A−2)から理解できるように、チャイルドプロテクタオフ位置Aoffでは、ユーザまたはアクチュエータなどの操作により、インサイドオープンレバー2が旋回軸18を中心としてドアロック解除方向である矢印OP方向に旋回させる。すると、そのインサイドオープンレバー2の第1レバー部21および第2レバー部22が旋回軸18を中心として同方向に旋回する。更に、インサイドオープンレバー2の第2レバー部22がブッシュ4の押圧軸42を矢印M1方向(図9(A−2)参照)に押圧し、アウトサイドオープンレバー3の受圧部3aを矢印M1方向に作動させる。これによりドアロックを解除させることができる。この場合、インサイドオープンレバー2の第2レバー部22の旋回軌跡内にブッシュ4の押圧軸42は位置する。
【0032】
上記した図9(A−1)(A−2)に示すチャイルドプロテクタオフ位置Aoffでは、チャイルドプロテクタ部材5は、チャイルドプロテクタオフ位置Aoffに保持されたまま動作せず、押圧軸42を有するブッシュ4のみがチャイルドプロテクタ部材5の収容空間51e内において矢印W2,W3方向に揺動する構造とされている。このため、チャイルドプロテクタ部材5に一体成形されている操作部55も動かない。従って、操作部55をドアパネルから露出させるためにドアのインナーパネルに形成する開口も必要以上に大きくされない利点が得られる。
【0033】
これに対して、図9(B−1)(B−2)は、ユーザまたアクチュエータなどが操作部55を矢印B1方向(チャイルドプロテクタオン方向)に操作させることにより、チャイルドプロテクタ部材5をブッシュ4と共に同方向にスライド移動させてチャイルドプロテクタオン位置Aonに切り替えた状態を示す。図9(B−2)に示すように、インサイドオープンレバー2の第2レバー部22とブッシュ4の押圧軸42との間には隙間LBが形成されている。この場合、インサイドオープンレバー2の第2レバー部22の旋回軌跡の外部にブッシュ4の押圧軸42は位置する。このため、ケーブル28によってインサイドオープンレバー2が旋回軸18を中心としてドアロック解除方向である矢印OP方向に旋回させるときであっても、そのインサイドオープンレバー2の第2レバー部22が同方向に旋回するものの、ブッシュ4の押圧軸42に非接触となり、空振りする。このようにインサイドオープンレバー2が旋回軸18を中心として矢印OP方向に旋回したとしても、第2レバー部22はブッシュ4の押圧軸42に係合しない。ひいてはアウトサイドオープンレバー3はドアロック解除方向に作動しない。これによりドアロックは解除されず、安全性が確保される。
【0034】
さて本実施形態によれば、前述したように、ユーザなどが操作部55を矢印B2方向に操作させてチャイルドプロテクタ部材5をチャイルドプロテクタオフ位置Aoffに切り替えた状態において、インサイドオープンレバー2がドアロック解除方向である矢印OP方向に旋回すると、そのインサイドオープンレバー2の第2レバー部22が同方向に旋回し、ブッシュ4の押圧軸42を矢印M1方向(ドアロック解除方向)に押圧させ、アウトサイドオープンレバー3を同方向に作動させ、これによりドアロックを解除させる。ここで、図11(A)は図9(A−1)に対応する。図11(B)は図9(B−1)に対応する。
【0035】
図11(A)に示すように、インサイドオープンレバー2の第2レバー部22がブッシュ4の押圧軸42を押圧する部位をC1として示す。ブッシュ4がアウトサイドオープンレバー3を押圧する部位をC2として示す。部位C1,C2については、押圧軸42の軸長方向において所定距離ΔLA(図11(A)参照)離間してオフセットされている。このため、上記したようにブッシュ4の押圧軸42が押圧されるとき、ブッシュ4を傾かせるモーメントを発生させる要因となり得る。すなわち、チャイルドプロテクタオフ位置Aoffでは、インサイドオープンレバー2がドアロック解除方向である矢印OP方向に旋回し、インサイドオープンレバー2の第2レバー部22がブッシュ4の押圧軸42を矢印M1方向(図11(A)では、図11(A)を示す紙面の厚み方向の下方)に押圧するため、ブッシュ4の押圧軸42にモーメントが発生し、モーメントに起因してブッシュ4の押圧軸42が傾くおそれがある。ひいてはブッシュ4が変形するおそれがある。この場合、ブッシュ4を支持しているチャイルドプロテクタ部材5が基部1のカバー11に対して浮き上がるおそれがある。この結果、チャイルドプロテクタ部材5で支持されているブッシュ4の動作の円滑性が阻害され、チャイルドプロテクタ部材5およびブッシュ4の動作のロス発生、異音発生のおそれがあり、更にチャイルドプロテクタ部材5およびブッシュ4の耐久性および寿命の低下などを招くおそれがある。
【0036】
この点本実施形態によれば、前述したように、チャイルドプロテクタ部材5は、基部1のカバー11側の第1係合部61および第2係合部62によってカバー11に矢印B1,B2方向にスライド移動可能に支持されつつも、基部1のカバー11からの浮き上がりが抑制されている。このためインサイドオープンレバー2の第2レバー部22がブッシュ4の押圧軸42を矢印M1方向(ドアロック解除方向)に押圧するときであっても、ブッシュ4の押圧軸42に発生するモーメントが起因してブッシュ4が基部1に対して浮き上がることが抑制される。この結果、チャイルドプロテクタ部材5で支持されているブッシュ4の動作の円滑性が阻害されることが抑えられる。よって異音発生、ブッシュ4の耐久性および寿命の低下などが抑えられる。
【0037】
更に本実施形態によれば、図3および図10に示すように、チャイルドプロテクタ部材5は補強部としてのリブ51cを有する。リブ51cは、チャイルドプロテクタ部材5の本体51の厚み方向、即ち、チャイルドプロテクタ部材5が移動する方向(矢印B1,B2方向)に対して交差する方向に突出する。このように本体51にリブ51cが形成されているため、チャイルドプロテクタ部材5はコの字形状をなす断面を有する。このようなリブ51cはチャイルドプロテクタ部材5を補強してチャイルドプロテクタ部材5の剛性を強化させる。このためチャイルドプロテクタ部材5の曲げ変形が抑制され、チャイルドプロテクタ部材5の浮き上がりが更に抑制される。このようにチャイルドプロテクタ部材5が高剛性化されるため、チャイルドプロテクタ部材5で支持されているブッシュ4のベース部41の傾きを抑えることができる。この結果、ドア開放時においてインサイドオープンレバー2の作動力をブッシュ4の押圧軸42を介してアウトサイドオープンレバー3に伝達させるとき、チャイルドプロテクタ部材5の浮き上がりが抑制され、ひいてはブッシュ4の変形が抑制される。このため、前述したモーメントが発生するとしても、インサイドオープンレバー2の作動力をブッシュ4を介してアウトサイドオープンレバー3に良好に伝達させることができる。従って、チャイルドプロテクタ部材5およびブッシュ4の過剰変形、異音の発生が抑制され、チャイルドプロテクタ部材5およびブッシュ4の更なる耐久性および長寿命化が図られ、チャイルドプロテクタ装置の信頼性が更に向上する。リブ51cはチャイルドプロテクタ部材5の本体51の輪郭に沿って延設されているため、本体51ひいてはチャイルドプロテクタ部材5の全体の剛性強化に有利である。図3に示すように、チャイルドプロテクタ部材5の円弧長孔50の輪郭にもリブ51cが形成されている。よって、円弧長孔50の周縁の剛性が強化され、円弧長孔50の周縁の歪みが抑えられ、ブッシュ4の案内軸43は円弧長孔50に沿って更に円滑に移動できる利点が得られる。但し、リブ51cは上記輪郭に沿っていない場合でも良い。
【0038】
本実施形態によれば、図10に示すように、チャイルドプロテクタ部材5のリブ51cは、偏平な収容空間51eを形成している。収容空間51eは、ブッシュ4の板状のベース部41の外周を包囲すると共に、ブッシュ4のベース部41を遊動可能に支持しつつ収容する。
【0039】
上記したように、リブ51cは、チャイルドプロテクタ部材5の剛性を高めてブッシュ4の浮き上がりを更に抑制させる作用と、ブッシュ4のベース部41を包囲すると共にブッシュ4をチャイルドプロテクタ部材5の収容空間51e内において遊動可能に収容する作用とを併有する。このようにブッシュ4はチャイルドプロテクタ部材5等の別部材に強固に拘束されている構造ではない。ブッシュ4の板状のベース部41は、チャイルドプロテクタ部材5のうちリブ51cで形成された偏平な収容空間51e内において、矢印W2,W3方向に遊動可能に支持されつつ収容されており、収容空間51e内であれば自由に動作できる。よって、収容空間51e内におけるブッシュ4のベース部41の動作の自由性が高い。従ってチャイルドプロテクタオフ位置Aoffのとき、図9(A)に示すように、ブッシュ4の案内軸43はチャイルドプロテクタ部材5の円弧長孔50に沿ってこれの一端50mから他端50nにかけて矢印W2,W3方向に自由に動作できる。なお、図10から理解できるようにブッシュ4の二股状のアーム40,40は、リブ51cの部位51coに接近または接触しているため、アーム40,40は揺動可能でありつつも部位51coによって規制される。従って、ブッシュ4については、アーム40,40を回転中心域としつつ、案内軸43が矢印W2,W3方向に沿って遊動することになる。
【0040】
更に本実施形態によれば、図4に示すように、基部1は、ハウジング本体10と、ハウジング本体10に被着されるカバー11とを備えている。ここで、インサイドオープンレバー2はハウジング本体10に組み付けられている。ブッシュ4およびチャイルドプロテクタ部材5はカバー11に組み付けられている。具体的には、図4から理解できるように、インサイドオープンレバー2を組み付けたハウジング本体10を用意する。そしてハウジング本体10に対して溶着またはボルト留め等でカバー11を被着させる。その後、ブッシュ4を矢印K1方向(図4参照,ブッシュ4の押圧軸42の軸長方向)に沿って移動させてカバー11に組み付ける。更にチャイルドプロテクタ部材5を矢印B2方向(図4参照,チャイルドプロテクタ部材5の長さ方向)に沿ってスライドさせてカバー11に組み付ける。このためハウジング本体10をひっくり返すことなく、ブッシュ4およびチャイルドプロテクタ部材5を基部1のカバー11に組み付けることができ、組み付け性を改善できる。
【0041】
更に本実施形態によれば、ブッシュ4は、アウトサイドオープンレバー3が当接する押圧軸42を有する。チャイルドプロテクタ部材5がチャイルドプロテクタオフ位置Aoffに設定された場合において、ブッシュ4の押圧軸42は、第1係合部61と第2係合部62とを結ぶ直線に対して交差する一側(図9(A−1)および他側(図9(A−2))に移動可能である。また、インサイドオープンレバー3が初期位置(図9(A−1))にある場合におけるブッシュ4の押圧軸42の位置が一側に配置され、インサイドオープンレバー3がフルストローク位置(図9(A−2))にある場合におけるブッシュ4の押圧軸42の位置が他端に配置される。
【0042】
つまり、押圧軸42がインサイドオープンレバー3のストローク中に、第1係合部61と第2係合部62とを結ぶ直線を通る。なお、該直線上に押圧軸42が配置されたときが最もブッシュ4およびチャイルドプロテクタ部材5の変形を抑制させることができる。よって、より好適にチャイルドプロテクタ部材5の変形を抑制させることができる。よって、より好適にチャイルドプロテクタ部材5およびブッシュ4の過剰変形が抑制される。その結果、チャイルドプロテクタ部材5およびブッシュ4の耐久性および長寿命化が図られ、チャイルドプロテクタ装置の信頼性を向上させることができる。
【0043】
(実施形態2)
図12および図13は実施形態2を示す。図12はハウジング本体10とカバー11とで形成された基部1を示す(内部構造は図略)。図13は基部1のカバー11側を示す。カバー11の表面のうち上部側には、ゴムや軟質樹脂系等のシール材料で形成されたシール部材9が設けられている。シール部材9は、インサイドオープンレバー2を作動させるためのドア開放用の操作ハンドルに繋がるケーブル28の上側を覆っている。シール部材9は、基部1の電気コネクタ部400の外周側を包囲するCリング状の第1シール部91と、縦部92aおよび横部92bで形成されたL状をなす第2シール部92と、第1シール部91と第2シール部92とを繋ぐ中間シール部93とを一体的に成形している。この場合、シール部91〜93が特許文献1のように別部材で、且つ、コネクタ部のシール部材がドーナツ状に一体に形成された場合に比較して、シール材料の歩留まり改善に貢献できる。更に図13に示すように、中間シール部93はケーブル28の上方を覆うため、雨水等がケーブル28にかかることが抑制される。ここで、第1シール部91はC形状をなしており、第2シール部92の縦部92aに対向する切欠94をもつ。切欠94はシール材料の歩留まり改善に貢献できる。シール部91〜93の厚み方向の反発弾性力を均一にできる。
【0044】
但し、電気コネクタ部400に対する保護性を向上させるべく、電気コネクタ部400を包囲する第1シール部91のシール性を高める場合には、第1シール部91がインナーパネル300(図12参照)に押圧されたとき、第1シール部91の厚み方向の反発弾性力が大きめとなり易い場合がある。この場合、もし第1シール部91の反発弾性力が過剰であると、第1シール部91と中間シール部93とが一体的に連設されているため、中間シール部93がインナーパネル300に押圧されている押圧力が微視的ではあるが弱まるおそれがある。この場合、時間が経過すると、シール材料の材質や条件によっては、インナーパネル300と中間シール部93との押圧力が弱まり、中間シール部93によるシール性が低下するおそれがある。しかし本実施形態によれば、第1シール部91のうち中間シール部93側には切欠94が形成されているため、第1シール部91の厚み方向の反発弾性力が過剰になったとしても、それが中間シール部93に伝搬されることが抑制される。ひいてはインナーパネル300に対する中間シール部93によるシール性が良好に確保される。但し場合によっては、第1シール部91はCリングに替えて、中間シール部93と連続するOリングとすることもできる。
【0045】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。例えば、本実施例のチャイルドプロテクタ部材5については、その剛性を高めるために、その輪郭に沿ってリブ51cが形成されている例を説明したが、リブ51cは、剛性を高めたい箇所のみに形成されていても良いし、間欠的に形成されていても良い。
【符号の説明】
【0046】
1は基部1、10はハウジング本体、11はカバー、18は旋回軸、2はインサイドオープンレバー、20は連結部、3はアウトサイドオープンレバー、4はブッシュ、41はベース部、42は押圧軸、43は案内軸、5はチャイルドプロテクタ部材、50は円弧長孔、51cはリブ、52cは案内壁、52は案内孔、53は腕、54は副部、55は操作部、61は第1係合部、62は第2係合部、9はシール部、400は電気コネクタ部、ffAonはチャイルドプロテクタオン位置、Aoffはチャイルドプロテクタオフ位置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内側からのドアロックの解除を制限させるチャイルドプロテクタ機能を発揮するドアロック用チャイルドプロテクタ装置であって、
基部と、
前記基部に移動可能に支持されたインサイドオープンレバーと、
前記基部に設けられ、前記インサイドオープンレバーの作動力が伝達されて前記ドアロックを解除させるように動作可能なアウトサイドオープンレバーと、
前記インサイドオープンレバーと前記アウトサイドオープンレバーとの間に設けられ、前記インサイドオープンレバーの作動力を前記アウトサイドオープンレバーに伝達させ得るブッシュと、
前記基部に設けられ、前記インサイドオープンレバーの作動力を前記アウトサイドオープンレバーに伝達させない状態に前記ブッシュの位置を設定させるチャイルドプロテクタオン位置と、前記インサイドオープンレバーの作動力を前記ブッシュを介して前記アウトサイドオープンレバーに伝達させる状態に前記ブッシュの位置を設定させるチャイルドプロテクタオフ位置とに、前記ブッシュを切り替可能なチャイルドプロテクタ部材とを具備しており、
前記チャイルドプロテクタ部材は、前記チャイルドプロテクタ部材が前記チャイルドプロテクタオン位置と前記チャイルドプロテクタオフ位置とに切り替えられるように、2以上の係合部によって前記基部に対して浮き上がりを抑制させつつスライド移動可能に支持されており、
前記ブッシュは、前記チャイルドプロテクタ部材と前記基部との間に介在するドアロック用チャイルドプロテクタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドアロック用チャイルドプロテクタ装置において、前記チャイルドプロテクタ部材は、前記チャイルドプロテクタ部材の厚み方向に突出する補強部を有するドアロック用チャイルドプロテクタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のドアロック用チャイルドプロテクタ装置において、前記補強部は、前記ブッシュを包囲すると共に前記ブッシュを遊動可能に支持しつつ収容する収容空間を形成するリブであるドアロック用チャイルドプロテクタ装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のドアロック用チャイルドプロテクタ装置において、前記基部は、ハウジング本体と前記ハウジング本体に被着されるカバーとを有し、前記インサイドオープンレバーは前記ハウジング本体に組み付けられており、前記ブッシュおよび前記チャイルドプロテクタ部材は前記カバーに組み付けられているドアロック用チャイルドプロテクタ装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のドアロック用チャイルドプロテクタ装置において、
前記ブッシュは前記アウトサイドオープンレバーが当接する押圧軸を有し、
前記チャイルドプロテクタ部材が前記チャイルドプロテクタオフ位置に設定された場合において、前記押圧軸は前記2以上の係合部の何れか2つを結ぶ直線に対して交差する一側および他側に移動可能であり、
前記インサイドオープンレバーが初期位置にある場合における前記ブッシュの押圧軸の位置が前記一側に配置され、前記インサイドオープンレバーがフルストローク位置にある場合における前記ブッシュの押圧軸の位置が前記他側に配置されるドアロック用チャイルドプロテクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−154138(P2012−154138A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16266(P2011−16266)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】