説明

ドアロック装置

【課題】連動レバーの作動不良を防止すると共に、組付けが容易なドアロック装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ラッチ機構と、ラッチ機構を切替可能なロック機構と有し、ロック機構を配設する第1ケース部材11と第2ケース部材34とからなるハウジングと、第1ケース部材11に回動可能に支持された連動レバー72と、連動レバー72を軸周りに付勢する弾性部材71と、開口部36と、開口部36からハウジングの外側に露出した連動レバー72の端部に設けられた連結部74とを備えたドアロック装置において、第1ケース部材11が、連動レバー72の回動軌跡内に突設され、連動レバー72を開口部36に一致する挿通位置に保持する第1係合部27と、連動レバー72を挿通位置から弾性部材71の付勢力に抗して回動した初期位置に保持する第2係合部30とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに装着されるドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアには、車体に固定された略U字形状をなすストライカに係脱可能に係止するドアロック装置が配設されている。このドアロック装置は、ストライカを係止するラッチ機構と、該ラッチ機構によるストライカの係止を解除するロック機構とを備えている。
【0003】
特許文献1には、ラッチ機構、ロック機構および電動アクチュエータなどを1つの閉鎖ハウジング内に収容保持するドアロック装置が記載されている。図12に示すように、このドアロック装置101では、例えばインナードアハンドルに連結されたケーブル102を閉鎖ハウジング103内の連動レバー104に連結するために、閉鎖ハウジング103に連動レバー104を外部に露出させる開口部105を設ける必要がある。
【0004】
しかし、連動レバー104の回転始めの位置をケーブル連結部106が開口部105を挿通したままの位置に設定すると、閉鎖ハウジング103の変形などによって開口部105の縁が連動レバー104に引っ掛かり作動不良を起こす恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−203738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、連動レバーの作動不良を防止すると共に、組付けが容易なドアロック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明のドアロック装置は、
ストライカを係脱可能なラッチ機構と、
前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除可能なアンロック位置と、前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除不可能なロック位置とに切替可能なロック機構と有し、
前記ロック機構を配設する第1ケース部材と、前記第1ケース部材を被覆する第2ケース部材とからなるハウジングと、
前記ハウジング内において、前記第1ケース部材に設けられた支持軸に回動可能に支持された連動レバーと、
前記連動レバーの端部を前記ハウジングの外側に露出させる前記第2ケース部材に設けられた開口部と、
前記開口部から前記ハウジングの外側に露出した前記連動レバーの端部に設けられ、外部の操作部材の操作に連動して移動する操作伝達部材を連結する連結部とを備えたドアロック装置において、
前記第1ケース部材は、
前記連動レバーの回動軌跡内に突設され、前記連動レバーと係合し前記連動レバーを前記開口部に一致する挿通位置に位置決めする第1係合部と、
前記第1係合部に係合する前記連動レバーの外形よりも前記支持軸側に突設され、前記連動レバーと係合し、前記連動レバーを前記挿通位置から回動した初期位置に位置決めする第2係合部と、
を備えたものである。
【0008】
上記構成により、連動レバーが第1係合部により挿通位置に位置決めされるので、第1ケース部材に第2ケース部材を被せる際に、連動レバーの連結部を開口部を貫通させ第2ケース部材の外部に露出させる作業が容易になる。また、連動レバーが第2係合部により挿通位置から回動した初期位置に位置決めされるので、第2ケース部材の変形などにより開口部の縁が連結部に引っ掛かって、連結部が作動不良を引き起こすのを防止することができる。
【0009】
前記連動レバーが前記挿通位置にある状態で、前記連動レバーと対向して係止する移動阻止面を備えることが好ましい。
これにより、第2ケース部材を第1ケース部材に組み付ける際に、不意に連動レバーが支持軸の軸方向に移動して、連動レバーと第1係合部との係合が解除するのを防止する。よって、連動レバーを挿通位置に確実に保持し、第1ケース部材への第2ケース部材の組み付け性を向上することができる。
【0010】
前記連動レバーを前記第1係合部、および第2係合部に向けて付勢する弾性部材を設けることが好ましい。
これにより、連動レバーと第1係合部および第2係合部との係合状態を確実に維持することができ、組み付け性を更に向上することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のドアロック装置によれば、組み付け時に、連動レバーが第1係合部により挿通位置に位置決めされるので、第1ケース部材に第2ケース部材を被せる際に、連動レバーの連結部を開口部を貫通させ第2ケース部材の外部に露出させる作業が容易となる。また、組み付け後に、連動レバーが第2係合部により挿通位置から回動した初期位置に位置決めされるので、第2ケース部材の変形などにより開口部の縁が連結部に引っ掛かって、連結部が作動不良を引き起こすのを防止することができる。また、移動阻止面が連動レバーと対向して係止するので、第2ケース部材を第1ケース部材に組み付ける際に、不意に連動レバーが支持軸の軸方向に移動して、連動レバーと第1係合部との係合が解除されるのを防止する。よって、連動レバーを挿通位置に確実に保持し、第1ケース部材への第2ケース部材の組み付け性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るドアロック装置がアンロック状態にある状態を示す正面図。
【図2】本発明の実施形態に係るドアロック装置がロック状態にある状態を示す正面図。
【図3】(A)は(B)のA−A線断面図、(B)は図1の第1ケース部材のロック機構配設部を示す正面図。
【図4】(A)は図3の第1係合部および第2係合部の部分拡大正面図、(B)は(A)のB−B線断面図。
【図5】図1の第1ケース部材に第2ケース部材を組み付け、各連結部にケーブルを接続した状態を示す正面図。
【図6】ドアロック装置のラッチ機構を示し、(A)はドア開放状態を示す側面図、(B)はドア閉塞状態を示す側面図。
【図7】(A)は図1のインナーレバーが挿通位置にある状態を示す部分拡大正面図、(B)は(A)のB−B線拡大断面図。
【図8】図7(A)の第1ケース部材に第2ケース部材を被せた状態を示す部分拡大正面図。
【図9】(A)は図1のインナーレバーが初期位置にある状態を示す部分拡大正面図、(B)は(A)のB−B線拡大断面図。
【図10】第1ケース部材に第2ケース部材を組み付けた状態で、図9(A)の初期位置にあるインナーレバーを示す部分拡大正面図。
【図11】図5のドアロック装置に、カバーを組み付けた状態を示す正面図。
【図12】従来のドアロック装置を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0014】
図1および図2は、本発明の実施形態に係るドアロック装置を示す。このドアロック装置は、車両の開閉可能なドアに装着され、車体に配設したストライカ1(図6(B)参照)に係脱可能に係止するものである。このドアロック装置は、ストライカ1に係止するラッチ機構と、該ラッチ機構によるストライカ1の係止状態を解除可能にアンロックまたは解除不可能にロックするロック機構とが配設されている。
【0015】
ロック機構を構成する各部品を配設する第1ケース部材11は、図3(A)に示すように、ロック機構配設部12とラッチ機構配設部17とを備えた平面視L字形状のものである。ロック機構配設部12には、図3(B)に示すように、後述するロックプレート57および連動レバーであるインナーレバー72を回動可能に軸着する支持軸である取付軸部13a,13bが設けられている。また、図中、ロックプレート57の取付軸部13aの右側および上方には、後述するキーリンク77を保持するため鉛直方向に2つのキーリンク保持溝18が形成されている。インナーレバー72の取付軸部13bの周りには、取付軸部13bと同心円上に周壁19が形成されている。また、取付軸部13bの左側部には、後述するノブレバー65を回動可能に配設するための軸穴14が設けられている。この軸穴14の更に上部左側には、駆動モータ配設部15とカム部材配設部16とが設けられている。
【0016】
そして、第1ケース部材11の下縁から第1ケース部材11に直角に立ち上がる下縁部11aの内面には、本発明に係る第1係合部27と第2係合部30とが取付軸部13bに向かって突設されている。図4(A)および図4(B)に示すように、第1係合部27と第2係合部30とは、下縁部11aと周壁19との間に、第2係合部30が第1係合部27よりも取付軸部13bに近くなるように、段状に第1ケース部材11に一体成形されている。第1係合部27の取付軸部13bと対向する面は、インナーレバー72と係合可能に水平方向に第1ケース部材11に向かって延びる半円柱面からなる係合面により構成されている。第2係合部30の取付軸部13bと対向する面は、第1係合部27よりも取付軸部13bに近接しており、インナーレバー72と係合可能に水平方向に第1ケース部材11に向かって延びる半円柱面からなる係合面により構成されている。第1係合部27と第2係合部30との間には、インナーレバー72に対向するように鉛直方向に延びる移動阻止面31が形成されている。
【0017】
本実施形態では、第1係合部27が下縁部11aの内面に突設されている。しかし、第1係合部27はインナーレバー72の回動軌跡内でインナーレバー72と係合するのであれば、配設場所、および形状は特に限定されない。また、本実施形態では、第2係合部30が第1係合部27と取付軸部13bを中心とする同じ半径上に形成されている。しかし、第2係合部30は、第1係合部27に係合するインナーレバー72の外形Lよりも取付軸部13b側に配設されるのであれば、配設場所、および形状は特に限定されない。
【0018】
図5は、第1ケース部材11と共にハウジングを構成する第2ケース部材34を示し、第1ケース部材11のロック機構配設部12に装着されている。第2ケース部材34には、ノブレバー65のノブレバー側連結部67が貫通して外側に突出する第1開口部35と、インナーレバー72のインナーハンドル連結部74が貫通して外側に突出する第2開口部36とが設けられている。この第2開口部36は、インナーハンドル連結部74の形状に一致するように形成されている。また、ロック状態などの信号線や電力線などを電気的に接続するためのコネクタ37が貫通するコネクタ接続口38が設けられている。
【0019】
第1ケース部材11のラッチ機構配設部17に装着されるサブケース20は、ラッチ機構配設部17に配置されるラッチ機構のフェンスブロック21の側を覆っている。図6(A)および図6(B)に示すように、このフェンスブロック21には、ストライカ1を挿通する空間となる挿通凹部22が、ラッチ機構配設部17に向けて窪むように設けられている。この挿通凹部22の上側には、ラッチ機構を構成するフォーク39が取付部23に回動可能に装着されている。挿通凹部22の下側には、クロー45が取付部24に回動可能に装着されている。取付部24の左側には、クロー45の操作受部49を挿通してラッチ機構配設部17内に突出させる挿通穴25が設けられている。
【0020】
そして、ラッチ機構は、ストライカ1を係脱可能に係止するフォーク39と、該フォーク39に係合してフォーク39がストライカ1を保持した状態を維持するクロー45とを備えている。このラッチ機構は、ドアの閉じ力に伴うストライカ1の押圧で図6(A)から図6(B)に示すように、フォーク39が反時計回りに回動する。そして、クロー45の係止部47がフォーク39に係止することにより、フォーク39によるストライカ1の係止状態を維持する。この状態で、クロー45の操作受部49が上向きに作動されると、クロー45が時計回りに回動されることにより、フォーク39とクロー45の係止が解除される。その結果、フォーク39が図示しないスプリングの付勢力で図6(A)に示す開放位置に回動し、ストライカ1の係止を解除する。
【0021】
また、第1ケース部材11に組み付けるロック機構は、図1および図2に示すように、クロー45の操作受部49に係止してクロー45を係止解除方向に作動させるためのリンク50と、該リンク50によるクロー45の作動を可能または不可能とするためのロックプレート57とを備えている。
【0022】
リンク50は、インナーレバー72またはアウターレバー86の作動力を下端の受動部51で受けることにより、上方向に移動する。図1に示すアンロック位置では、略中央の操作部53がクローの操作受部49に係合して、クロー45を係止解除方向に作動させる。そのため、ラッチ機構によるストライカ1の係止を解除できる。また、リンク50は、上方のロックプレート連結部54がロックプレート57に連結され、このロックプレート57の回動によりアンロック位置およびロック位置に移動される。図2に示すロック位置では、操作部53がクロー45の操作受部49と係合不可能な位置に離間する。このため、アウターレバー86またはインナーレバー72によって上方向に移動されても、クロー45を係止解除方向に作動できない。よって、ラッチ機構によるストライカ1の係止を解除できない。
【0023】
インナーレバー72は、ドアの車内側に設けたインナードアハンドル(図示せず)に連結されるとともに、リンク50の受動部51に係合され、該リンク50をクロー45の解除操作受部49の側に向けて作動(スライド)させる。このインナーレバー72は、第1ケース部材11の取付軸部13bに回動可能に取り付けられる取付部73を備えている。インナーレバー72は、取付部73の周りに設けられた弾性部材であるコイルスプリング71により時計方向に付勢されている。インナーレバー72には、図5に示すように、第2ケース部材34の第2開口部36から第2ケース部材34の外側に突出するように延び、インナードアハンドルに連結されるインナードアケーブル(操作伝達部材)76に接続されたインナーハンドル連結部74が設けられている。また、インナーレバー72には、組付状態で取付部73を中心とする回転軌跡上にリンク50の受動部51が位置するように、略J字形状をなすリンク作動部75が設けられている。
【0024】
このインナーレバー72は、第1ケース部材11に取り付けられた状態では、第2係合部30に係合し、第2ケース部材34の第2開口部36からずれた初期位置に位置決め保持されている。そして、インナードアハンドルが操作されると、図5に示すように、第2ケース部材34から外側に突出したインナーハンドル連結部74がインナードアケーブル76により左向きに引っ張られ、第2開口部36から取付軸部13b周りに反時計方向に約6°回動した実線で示す初期位置から二点差線で示す略鉛直の操作位置まで回動する。この結果、インナーレバー72が反時計回りに回動することにより、下端のリンク作動部75がリンク50の受動部51に係合し、リンク50を上向きに移動させる。
【0025】
アウターレバー86は公知のレバーであり、第1ケース部材11を貫通して内外に延び、回動可能に取り付けられている。ドアの車外側に設けたアウターハンドル(図示せず)が操作されると、受動部51内に連結される先端のリンク連結部88が上向きに移動することにより、リンク50を上向きに移動させる。
【0026】
ロックプレート57は、第1ケース部材11の取付軸部13aに回動可能に取り付けられている。このロックプレート57は、後述するキースイッチレバー83またはノブレバー65によって時計回りに回動させることにより、下端に設けられたリンク係着部61が左側に移動し、リンク50をアンロック位置からロック位置へ移動させる。また、反時計回りに回動されることにより、リンク係着部61が右側へ移動し、リンク50をロック位置からアンロック位置へ移動させる。なお、ロックプレート57は、キースイッチレバー83によるアンロック作動を突出したアンロック作動受動部64で受け、キースイッチレバー83によるロック作動を右側縁部で受ける。また、ノブレバー65によるアンロック作動およびロック作動を、リンク係着部61と逆側に位置するノブレバー係着部63で受ける。
【0027】
キースイッチレバー83は、ドアの車外側に露出するように配設したシリンダ錠(図示せず)にキーリンク77を介して連結され、第1ケース部材11の取付軸部13aに、ロックプレート57とともに回動可能に取り付けられている。このキースイッチレバー83は、楕円形の挿通孔を有する連結部84を備えており、この連結部84がキーリンク77の下端に形成された下側円形突起部78と係合している。キーリンク77は、キーリンク保持溝18に上下方向に移動可能に保持されており、上端には上側円形突起部79が設けられている。この上側円形突起部79は、シリンダ錠に従動して時計方向または反時計方向に軸81回りに回動するキーロータ82aの楕円形挿通孔82bと係合している。キーロータ82aの回動により、キーリンク77を介してキースイッチレバー83が時計回りに回動されると、ロックプレート57を介してリンク50をロック位置に移動させる。また、キースイッチレバー83が反時計回りに回動されることにより、ロックプレート57を介してリンク50をアンロック位置に回動させる。
【0028】
ノブレバー65は、第1ケース部材11の軸穴14に回動可能に軸着されている。ノブレバー65の一端に形成されたノブレバー側連結部67は、図5に示すように、ドアの車内側に設けたロックノブ(図示せず)に連結されたロックノブケーブル66と第1開口部35を介して接続されている。ノブレバー65の他端にはロックプレート係着部69が設けられており、ロックプレート57のノブレバー係着部63に係合されている。そして、ロックノブの操作に連動してロックプレート57を作動させ、リンク50をロック位置またはアンロック位置に移動させる。具体的には、ノブレバー65はロックノブケーブル66によって反時計回りに回動されることにより、先端のロックプレート係着部69がロックプレート57をロック位置に回動させる。また、時計回りに回動されることにより、ロックプレート係着部69がロックプレート57をアンロック位置に回動させる。さらに、軸穴14の上方には、背部に位置するカム部材92のカム溝94に係合するカム受部70が突設されている。
【0029】
カム部材92に隣接する駆動モータ90は、出力軸91を介してカム部材92を正転または逆転させる。このカム部材92は、ノブレバー65のカム受部70と対向するように回転可能に配設されている。カム部材92において、ノブレバー65の側に対向する上面側には、中心側から外周部に向けて中心からの距離が徐々に広がるようにカム溝94が凹設されている。そして、このカム部材92は、カム受部70が中心側に移動するように回転されることにより、ノブレバー65およびロックプレート57を介してリンク50をロック作動させ、カム受部70が外周側に移動するように回転されることにより、ノブレバー65およびロックプレート57を介してリンク50をアンロック作動させるように構成している。
【0030】
次に、第1ケース部材11へのインナーレバー72と第2ケース部材34との組付について説明する。
【0031】
インナーレバー72の取付部73をコイルスプリング71を介して取付軸部13bに取り付けると、インナーレバー72はコイルスプリング71により取付軸部13bの周りに時計方向に付勢される。これにより、図7(A)に示すように、インナーレバー72は第1係合部27に係合して挿通位置に位置決め保持される。また、図7(B)に示すように、インナーレバー72は移動阻止面31に当接するので、第1ケース部材11に向かう移動が規制されている。これにより、第2ケース部材34を第1ケース部材11に組み付ける際に、不意にインナーレバー72が第1ケース部材11に向かって移動し、インナーレバー72と第1係合部27との係合が解除するのを防止する。よって、インナーレバー72を挿通位置に確実に保持し、第1ケース部材11への第2ケース部材34の組み付け性を向上することができる。
【0032】
この状態で、第1ケース部材11に第2ケース部材34を被せると、インナーレバー72は挿通位置に位置決めされているので、インナーハンドル連結部74が第2ケース部材34の第2開口部36を挿通する(図8参照)。従って、第1ケース部材11に第2ケース部材34を被せる際に、第1ケース部材11に支持されたインナーハンドル連結部74を第2開口部36を貫通させ第2ケース部材34の外部に露出させる作業が容易になる。
【0033】
次に、インナーレバー72をコイルスプリング71の付勢力に抗して反時計方向に回転操作すると、インナーレバー72と移動阻止面31との係合が解除され、インナーレバー72は第1ケース部材11に向かって移動可能となる。この状態で、インナーレバー72と第2ケース部材34とを一緒に、図8中奥側に移動させて、第1ケース部材11に第2ケース部材34を組み付ける。組み付けた後、インナーレバー72の操作を解除すると、インナーレバー72はコイルスプリング71の付勢力によって時計回りに回動し、図9(A),(B)に示すように、第2係合部30と係合する。これにより、インナーレバー72のインナーハンドル連結部74は、図10に示すように初期位置に保持される。従って、第2ケース部材34の変形などにより第2開口部36の縁がインナーハンドル連結部74に引っ掛かって、インナーハンドル72が作動不良を引き起こすのを防止することができる。
【0034】
そして、第1ケース部材11と第2ケース部材34とをねじ止めし、インナーハンドル連結部74にはインナードアケーブル76を、ノブレバー側連結部67にはロックノブケーブル66を取り付ける。最後に、図11に示すようにカバー96を第2ケース部材34にねじ止めして組み付けることで、第1,第2開口部35,36と、インナーハンドル連結部74、およびノブレバー側連結部67を封鎖し、外部からの水の侵入、および、外部からノブレバー65が操作されることによる盗難の防止を図っている。
【0035】
本実施形態では、連動レバーを車内のインナーハンドルにケーブル76を介して連結されたインナーレバー72としている。しかし、連動レバーは、ケース部材の開口部から外部に露出する連結部を備えたものであれば、どのような形態のレバーでもよい。
【0036】
また、本実施形態においては、インナーレバー72を第1係合部27、および、第2係合部30に向けて付勢するコイルスプリング71を設けているが、コイルスプリング71がない場合でも、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、コイルスプリング71がない場合でも、組み付け時には、インナーレバー72が第1係合部27により挿通位置に位置決めされるので、第1ケース部材11に第2ケース部材34を被せる際に、インナーレバー72のインナーハンドル連結部74を第2開口部36を貫通させ第2ケース部材34の外部に露出させる作業が容易となり、また、組み付け後には、インナーレバー72が第2係合部30により初期位置に位置決めされるので、第2ケース部材34の変形などにより第2開口部36の縁がインナーハンドル連結部74に引っ掛かって、インナーハンドル連結部74が作動不良を引き起こすのを防止することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ストライカ
11 第1ケース部材
13b 取付軸部(支持軸)
27 第1係合部
30 第2係合部
31 移動阻止面
34 第2ケース部材
36 第2開口部
71 コイルスプリング(弾性部材)
72 インナーレバー(連動レバー)
74 インナーハンドル連結部
76 インナードアケーブル(操作伝達部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカを係脱可能なラッチ機構と、
前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除可能なアンロック位置と、前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除不可能なロック位置とに切替可能なロック機構と有し、
前記ロック機構を配設する第1ケース部材と、前記第1ケース部材を被覆する第2ケース部材とからなるハウジングと、
前記ハウジング内において、前記第1ケース部材に設けられた支持軸に回動可能に支持された連動レバーと、
前記連動レバーの端部を前記ハウジングの外側に露出させる前記第2ケース部材に設けられた開口部と、
前記開口部から前記ハウジングの外側に露出した前記連動レバーの端部に設けられ、外部の操作部材の操作に連動して移動する操作伝達部材を連結する連結部とを備えたドアロック装置において、
前記第1ケース部材が、
前記連動レバーの回動軌跡内に突設され、前記連動レバーと係合し前記連動レバーを前記開口部に一致する挿通位置に位置決めする第1係合部と、
前記第1係合部に係合する前記連動レバーの外形よりも前記支持軸側に突設され、前記連動レバーと係合し、前記連動レバーを前記挿通位置から回動した初期位置に位置決めする第2係合部と、
を備えたことを特徴とするドアロック装置。
【請求項2】
前記連動レバーが前記挿通位置にある状態で、前記連動レバーと対向して係止する移動阻止面を備えたことを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項3】
前記連動レバーを前記第1係合部、および第2係合部に向けて付勢する弾性部材を設けたことを特徴とする請求項1、または、2に記載のドアロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−107425(P2012−107425A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256939(P2010−256939)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】