説明

ドアロック装置

【課題】スイッチ機構を小型化することで製造コストを削減することができるドアロック装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ラッチ機構と、リンク35、およびロックプレート50を有するロック機構と、ロックプレート50に近接したコネクタ104と、キー操作力伝達機構55,61,68と、キー操作力伝達機構55,61,68の作動を検出するキー操作検出スイッチ91,93とを備え、キー操作力伝達機構55,61,68は、キーシリンダ58に従動するキーレバー68と、キーレバー68に連結されたキーリンク61と、キーリンク61に連結され、ロックプレート50と係合するキーサブレバー55とを備え、キー操作検出スイッチ91,93を、キーサブレバー55に配設された第1可動接点91と、第1可動接点91と選択的に導通する第1固定接点93とによって構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに装着されるドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアには、車体に固定された略U字形状をなすストライカに係脱可能に係止するドアロック装置が配設されている。このドアロック装置は、ストライカを係止するラッチ機構と、該ラッチ機構によるストライカの係止を解除するロック機構とを備えている。
【0003】
前記機構を備えたドアロック装置において、例えば特許文献1には、キーシリンダが直結されるキーレバーと一体的に回動するコンタクトと、キーレバーの周りに配設されキーレバーの回転に応じて前記コンタクトと選択的に導通する第2ターミナルとを有するキー操作検出スイッチが記載されている。第2ターミナルは、電動モータに電力を供給する第1ターミナルと共にコネクタ内部まで延び、外部と接続可能な状態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−026826号公報
【0005】
しかし、前述したドアロック装置では、車両のレイアウトなどによってドアのキーシリンダとコネクタとの距離が長くなると、キーシリンダと対応する位置に設けられるキーレバーとコネクタなどとの距離が長くなる。すると、コンタクトとコネクタとを導通するキー操作検出スイッチ用の第2ターミナルが長くなり、第2ターミナルを配設するスイッチ基板が大型化してしまい、スイッチの製造コストが増大するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、スイッチ機構を小型化することで製造コストを削減することができるドアロック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明のドアロック装置は、
ストライカを係脱可能なラッチ機構と、
該ラッチ機構を操作可能なアンロック位置と操作不可能なロック位置との間を移動するリンク、および該リンクを前記アンロック位置とロック位置との間を移動させるロックプレートを有するロック機構と、
前記ロックプレートに近接して配置されたコネクタと、
ドアに配設したキーシリンダの操作力を前記ロック機構のロックプレートに伝達するキー操作力伝達機構と、
前記コネクタに接続され、前記キー操作力伝達機構の作動を検出するキー操作検出スイッチと、
を備えたドアロック装置において、
前記キー操作力伝達機構は、
前記ドアに配設されたキーシリンダの操作に応じて回動するキーレバーと、
該キーレバーに連結されて往復移動するキーリンクと、
該キーリンクに連結され、前記ロックプレートと同軸上に回動可能に配置されると共に、前記ロックプレートと係合する係合部を有するキーサブレバーとを備え、
前記キー操作検出スイッチを、
前記キーサブレバーに配設された第1可動接点と、
該第1可動接点と選択的に導通する第1固定接点とによって構成したものである。
【0008】
第1可動接点をキーサブレバーに配設することで、第1可動接点と、キーサブレバーと係合するロックプレートに近接して配置されたコネクタとの間の距離を短くし、ドアロック装置内に第1可動接点、第1固定接点およびコネクタを集約して配置することができる。これにより、キー操作検出スイッチを小型化することができると共に、製造コストを削減することができる。また、第1可動接点を配置したキーサブレバーをロックプレートと同軸上に設けたので、これら各部材の配置スペースを小さくし、ドアロック装置を小型化することができる。
【0009】
前記ロックプレートに配設された第2可動接点と、該第2可動接点と選択的に導通する第2固定接点とによって構成されるロック状態検出スイッチを更に設けることが好ましい。
キー操作検出スイッチとロック状態検出スイッチとをそれぞれ、同軸上に設けられたキーサブレバーとロックプレートとに設けたため、両スイッチを集約的に配置し、配置スペースを小さくすることができる。
【0010】
前記第1固定接点と、前記第2固定接点とを同一のスイッチ基板上に設けることが好ましい。
更に、第1および第2固定接点を同一のスイッチ基板上に設けることで、部品点数を削減でき、製造コストを削減することができる。
【0011】
少なくとも前記ロック機構、キー操作伝達機構およびキー操作検出スイッチを収納するハウジングを備え、
前記ハウジングには、前記キーサブレバーの前記第1可動接点が設けられた一側面とは反対側の他側面を支持する支持凸部を設けると共に、該支持凸部に隣接して配置された前記キーリンクに、前記キーサブレバーの他側面を支持する支持面を設けることが好ましい。
【0012】
ハウジングの支持凸部とキーリンクの支持面とが、キーサブレバーの他側面を支持する。従って、第1可動接点と第1固定接点との接触力の反力によってキーサブレバーがハウジングに向かって付勢され、傾くことを防止することができる。これにより、キーサブレバーが傾くことにより第1可動接点と第1固定接点との接触力が不足することを防ぎ、両接点間の導通不良を防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のドアロック装置によれば、第1可動接点をキーサブレバーに配設することで、キーサブレバーと係合するロックプレートに近接して配置されたコネクタと第1可動接点との間の距離を短くし、ドアロック装置内の電気部品を集約して配置することができる。これにより、キー操作検出スイッチを小型化することができると共に、製造コストを削減することができる。また、キー操作検出スイッチの第1可動接点を配置したキーサブレバーをロックプレートと同軸上に設けたので、これら各部材の配置スペースを小さくすると共に、キー操作検出スイッチを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るドアロック装置がアンロック状態にある状態を示す正面図。
【図2】本発明の実施形態に係るドアロック装置がロック状態にある状態を示す正面図。
【図3】(A)は(B)のA−A線断面図、(B)は図1の第1ケース部材のロック機構配設部を示す正面図。
【図4】ドアロック装置のラッチ機構を示し、(A)はドア開放状態を示す側面図、(B)はドア閉塞状態を示す側面図。
【図5】図4のラッチ機構とキーシリンダとの関係を示す側面図。
【図6】(A)は図1のロックプレートの拡大正面図、(B)は図1のキーサブレバーの拡大正面図。
【図7】図1のキーリンクの拡大正面図。
【図8】図6(A)のロックプレート、図6(B)のキーサブレバーおよび図7のキーリンクを組み立てた状態を示す部分拡大正面図。
【図9】図1の第1ケース部材にスイッチ基板を被せた状態を示す正面図。
【図10】(A)、(B)、(C)は各状況でのスイッチ基板の固定接点と可動接点との接続状態を示す概略図。
【図11】図1のアンロック状態からキーシリンダをロック操作した状態を示す正面図。
【図12】図2のロック状態からキーシリンダをアンロック操作した状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1および図2は、本発明の実施形態に係るドアロック装置を示す。このドアロック装置は、車両の開閉可能なドアに装着され、車体に配設したストライカ1(図4(B)参照)に係脱可能に係止するものである。このドアロック装置は、ストライカ1に係止するラッチ機構と、該ラッチ機構によるストライカ1の係止状態を解除可能にアンロックまたは解除不可能にロックするロック機構とが配設されている。
【0017】
ロック機構を構成する各部品を配設する第1ケース部材11は、図3(A)に示すように、ロック機構配設部12とラッチ機構配設部13とを備えた平面視L字形状のものである。ロック機構配設部12には、図3(B)に示すように、後述するロックプレート50およびインナーレバー40を回動可能に軸着する支持軸である取付軸部14a,14bが設けられている。取付軸部14aの上側には、上方に向かって湾曲する円弧状の支持凸部16が図中手前側に向けて突設されている。また、取付軸部14aの右側および斜め上方には、後述するキーリンク61を保持するため鉛直方向に2つのキーリンク保持溝17が形成されている。支持凸部16と、この支持凸部16に近接するキーリンク保持溝17との間には、所定の間隔Lが設けられている。取付軸部14bの左側部には、後述するノブレバー75を回動可能に配設するための軸穴18が設けられている。この軸穴18の更に上部左側には、駆動モータ配設部19とカム部材配設部20とが設けられている。そして、第1ケース部材11のロック機構配設部12に装着される第2ケース部材21は、第1ケース部材11と共にハウジングを構成している。
【0018】
第1ケース部材11のラッチ機構配設部13に装着されるサブケース24は、ラッチ機構配設部13に配置されるラッチ機構のフェンスブロック25の側を覆っている。図4(A)および図4(B)に示すように、このフェンスブロック25には、ストライカ1を挿通する空間となる挿通凹部26が、ラッチ機構配設部13に向けて窪むように設けられている。この挿通凹部26の上側には、ラッチ機構を構成するフォーク27が取付部27aに回動可能に装着されている。挿通凹部26の下側には、クロー28が取付部28aに回動可能に装着されている。取付部28aの左側には、クロー28の操作受部30を挿通してラッチ機構配設部13内に突出させる挿通穴31が設けられている。
【0019】
そして、ラッチ機構の前記フォーク27はストライカ1を係脱可能に係止し、前記クロー28はフォーク27に係合して、フォーク27がストライカ1を保持した状態を維持する。このラッチ機構は、ドアの閉じ力に伴うストライカ1の押圧で図4(A)から図4(B)に示すように、フォーク27が反時計回りに回動する。そして、クロー28の係止部29がフォーク27に係止することにより、フォーク27によるストライカ1の係止状態を維持する。この状態で、クロー28の操作受部30が上向きに作動されると、クロー28が時計回りに回動されることにより、フォーク27とクロー28の係止が解除される。その結果、フォーク27が図示しないスプリングの付勢力で図4(A)に示す開放位置に回動し、ストライカ1の係止を解除する。
【0020】
また、第1ケース部材11に組み付けるロック機構は、図1および図2に示すように、クロー28の操作受部30に係止してクロー28を係止解除方向に作動させるためのリンク35と、該リンク35によるクロー28の作動を可能または不可能とするためのロックプレート50とを備えている。
【0021】
リンク35は、インナーレバー40またはアウターレバー46の作動力を下端の受動部36で受けることにより、上方向に移動する。図1に示すアンロック位置では、略中央の操作部37がクロー28の操作受部30に係合して、クロー28を係止解除方向に作動させる。そのため、ラッチ機構によるストライカ1の係止を解除できる。また、リンク35は、上方のロックプレート連結部38がロックプレート50に連結され、このロックプレート50の回動によりアンロック位置およびロック位置に移動される。図2に示すロック位置では、操作部37がクロー28の操作受部30と係合不可能な位置に離間する。このため、アウターレバー46またはインナーレバー40によって上方向に移動されても、クロー28を係止解除方向に作動できない。よって、ラッチ機構によるストライカ1の係止を解除できない。
【0022】
インナーレバー40は、ドアの車内側に設けたインナードアハンドル(図示せず)に連結されるとともに、リンク35の受動部36に係合され、該リンク35をクロー28の解除操作受部30の側に向けて作動(スライド)させる。このインナーレバー40は、第1ケース部材11の取付軸部14bに回動可能に取り付けられる取付部41を備えている。インナーレバー40には、第2ケース部材21の開口部から第2ケース部材21の外側に突出するように延び、インナードアハンドルに連結されるインナーハンドル連結部42が設けられている。また、インナーレバー40には、組付状態で取付部41を中心とする回転軌跡上にリンク35の受動部36が位置するように、略J字形状をなすリンク作動部43が設けられている。更に、インナーレバー40には、ノブレバー75がロック位置に位置している状態で、このノブレバー75の係合受け部79に係合してノブレバー75およびロックプレート50を介してリンク35をアンロック位置に移動させる係合部44が設けられている。
【0023】
アウターレバー46は図5に示すように、第1ケース部材11を貫通して内外に延び、回動可能に取り付けられている。このアウターレバー46には、第1ケース部材11から外部に突出する部分に、ドアの車外側に設けたアウターハンドル(図示せず)を接続するアウターハンドル接続部48が設けられている。アウターハンドルが操作されると、受動部36内に連結される先端のリンク連結部47が上向きに移動することにより、リンク35を上向きに移動させる。
【0024】
ロックプレート50は、第1ケース部材11の取付軸部14aに回動可能に取り付けられている。このロックプレート50は図6(A)に示すように、取付軸部14aに嵌合する環状取付部50aと、円弧状をなす下側外周縁に外方に向かって突出するリンク係着部51と、このリンク係着部51の逆側に略U字形状のノブレバー係着部53とを備えている。リンク係着部51は、後述するキーサブレバー55またはノブレバー75によって時計回りに回動させることにより左側に移動し、リンク35をアンロック位置からロック位置に移動させる。また、反時計回りに回動されることにより右側に移動し、リンク35をロック位置からアンロック位置に移動させる。ノブレバー係着部53は、ノブレバー75によるアンロック作動およびロック作動を受ける。更に、ロックプレート50は、環状取付部50aから上方に向かって突出するアンロック作動受動部52と、環状取付部50aとリンク係着部51との間の縁部に形成された右側縁部54を有している。アンロック作動受動部52がキーサブレバー55によるアンロック作動を受け、右側縁部54はキーサブレバー55によるロック作動を受ける。
【0025】
キーサブレバー55は、ドアの車外側に露出するように配設したキーシリンダ58(図5参照)に従動するように、第1ケース部材11の取付軸部14aに、ロックプレート50とともに回動可能に取り付けられている。キーサブレバー55は常時、図1および図2に示す中立位置にある。このキーサブレバー55は、取付軸部14aに嵌合する環状取付部55a(図6(B)参照)を頂部とした略扇型形状である。キーサブレバー55は一方の縁部に設けられた第1係合部(係合部)57aと、他方の縁部側に位置しキーサブレバー55の裏面から図中奥方向に向かって突出する第2係合部(係合部)57bと、第1係合部57aと第2係合部57bの間に設けられ、楕円形の挿通孔を有する連結部56とを備えている。第1係合部57aは、キーサブレバー55が時計方向に回動することにより、ロックプレート50の右側縁部54と当接しロック作動を伝達する。第2係合部57bは、キーサブレバー55が反時計方向に回動することにより、ロックプレート50のアンロック作動受動部52と当接しアンロック作動を伝達する。連結部56は、キーリンク61の下端に形成された下側円形突起部62と嵌合している。
【0026】
キーリンク61は、図7に示すように、鉛直方向に延びる棒状であり、キーリンク保持溝17に上下方向に往復可能に保持されている。キーリンク61の上端には上側円形突起部63が、下側の側部には図中手前側に向かって立ち上がりキーサブレバー55と当接し保持する支持面64が、それぞれ設けられている。上側円形突起部63は、キーシリンダ58に従動して時計方向または反時計方向に軸67回りに回動するキーレバー68の楕円形挿通孔69と嵌合している。キーレバー68は図5に示すように、キーシリンダ58に連結し、キーシリンダ58に差し込まれたキー(図示せず)の回動と共に一体的に回転する回転ロッド71に接続されている。この構成により、キーシリンダ58に差し込まれたキーを回動することで、回転ロッド71と共にキーレバー68も回動する。なお、キーサブレバー55、キーリンク61およびキーレバー68がキー操作力伝達機構を構成している。
【0027】
ノブレバー75は、第1ケース部材11の軸穴18に回動可能に軸着されている。ノブレバー75の一端に形成されたノブレバー側連結部76は、第2ケース部材21の開口部を介してドアの車内側に設けたロックノブ(図示せず)に連結されている。ノブレバー75の他端にはロックプレート係着部77が設けられており、ロックプレート50のノブレバー係着部53に係合されている。そして、ロックノブの操作に連動してロックプレート50を作動させ、リンク35をロック位置またはアンロック位置に移動させる。具体的には、ノブレバー75はロックノブによって反時計回りに回動されることにより、先端のロックプレート係着部77がロックプレート50をロック位置に回動させる。また、時計回りに回動されることにより、ロックプレート係着部77がロックプレート50をアンロック位置に回動させる。軸穴18の上方には、背部に位置するカム部材84のカム溝85に係合するカム受部78が突設されている。更に、ノブレバー75には、このノブレバー75がロック位置に移動している状態でのみ、インナーレバー40の回動動作を受ける係合受け部79が設けられている。
【0028】
カム部材84に隣接する駆動モータ81は後述するコネクタ104(図9参照)内に直接、接続されるモータ用ターミナル87を介して、コネクタ104から電力を供給されている。また、駆動モータ81は出力軸82を介してカム部材84を正転または逆転させる。このカム部材84は、ノブレバー75のカム受部78と対向するように回転可能に配設されている。カム部材84において、ノブレバー75の側に対向する上面側には、中心側から外周部に向けて中心からの距離が徐々に広がるようにカム溝85が凹設されている。そして、このカム部材84は、カム受部78が中心側に移動するように回転されることにより、ノブレバー75およびロックプレート50を介してリンク35をロック作動させる。他方で、カム受部78が外周側に移動するように回転されることにより、ノブレバー75およびロックプレート50を介してリンク35をアンロック作動させるように構成している。
【0029】
次に、図1および図2を参照して、本発明に係るキー操作検出スイッチと、ロック状態検出スイッチについて説明する。
【0030】
キー操作検出スイッチは、キーサブレバー55の移動位置を検出することにより、キーリンク61、キーレバー68および回転ロッド71を介してキーシリンダ58がアンロック操作またはロック操作されたことを検出する。このキー操作検出スイッチは、キーサブレバー55の上面に配設した第1可動接点91(図8参照)と、後述するスイッチ基板101に配設した第1固定接点93(93a,93b,93c)とを有する(図10参照)。第1可動接点91は、キーリンク61の側に向けて突出して上方側(紙面手前側)に向けて傾斜した一対の弾性片からなる第1接点片92a、92bが設けられている。
【0031】
ロック状態検出スイッチは、ロックプレート50の移動位置を検出することにより、リンク35を介するドアのロック状態またはアンロック状態を検出する。このロック状態検出スイッチは、ロックプレート50のロックプレート係着部77側の上面に配設した第2可動接点95と、後述するスイッチ基板101に配設した第2固定接点97(97a,97b,97c)とを有する。第2可動接点95は、キーリンク61の側に向けて突出して上方側(紙面手前側)に向けて傾斜した一対の弾性片からなる第2接点片96a,96bが設けられている。
【0032】
そして、図9に示すように、第1可動接点91、および第2可動接点95に対向して、ロックプレート50とキーサブレバー55とを被覆するように、スイッチ基板101が第1ケース部材11にねじ止めされている。このスイッチ基板101の中央には、ロックプレート50の取付軸部14aを貫通させる円形の軸部貫通孔102が設けられている。また、軸部貫通孔102の左側には後述する抵抗103が配設されると共に、更に左側には、第2ケース部材21から外部に露出される、ロック状態などの信号線や電力線などを電気的に接続するためのコネクタ104が設けられている。
【0033】
このスイッチ基板101の各可動接点91、95と対向する面には、図10に示すように、3個の第1固定接点93a,93b,93cと、3個の第2固定接点97a,97b,97cとが配設されている。これら固定接点93a〜93c,97a〜97cは、スイッチ基板101に敷設したパターン片により構成されており、各可動接点91,95が短絡状態で摺動する。
【0034】
そのうち、第1固定接点93aと第2固定接点97cとは連結部99によって接続されて、同一(共通)の電極とされ、第1および第2の接点片92a,96aが常に接触される構成としている。また、第1固定接点93bは、第1接点片92bがアンロック操作位置で接触(短絡)し、ロック操作位置で非接触(絶縁)となるように構成している。また、第1固定接点93cは、第1接点片92bがアンロック操作位置で非接触(絶縁)となり、ロック操作位置で接触(短絡)するように構成している。第1固定接点93cの一方の端部は、第1固定接点93bと間隔を空けて配設され、他方の端部は抵抗103を介して第1固定接点93bと接続されている。
【0035】
さらに、第2固定接点97aは、第2接点片96bがロック操作位置で接触し、アンロック操作位置で非接触となるとともに、第2固定接点97bは、第2接点片96bがアンロック操作位置で接触し、ロック操作位置で非接触となるように構成している。
第1固定接点93a,93b、および、第2固定接点97a,97bは、コネクタ104まで延設され、その端部がコネクタ104内に直接侵入して、外部の図示しないコネクタとの接続端子として機能する。
【0036】
可動接点91,95および固定接点93a〜93c,97a〜97cからなるスイッチの電気的な検出信号は、コネクタ104に接続される外部のコネクタ、および、電気通信線を介して車両に搭載されたドアロックコントローラ(ECU)に送信される。そして、ドアロックコントローラは、これらのスイッチの検出信号に基づいて、キーシリンダ58の操作、および、ドアのロック状態などを判断し、車内表示などの所定の制御を実行する。また、本実施形態では、キー操作検出スイッチとロック状態検出スイッチとの検出状態に基づいて、キーシリンダ58を用いたロック動作およびアンロック動作により、キーサブレバー55を介するドアロック装置のロック操作またはアンロック操作が確実に行われたことを検出できるように構成している。
【0037】
以下、キーシリンダ58によるドアロック装置のロック動作およびアンロック動作について説明する。
【0038】
まず、キーシリンダ58が操作されていない場合、図10(B)に示すように、中立位置にあるキーサブレバー55に配設された第1可動接点91の第1接点片92aが第1固定接点93aと短絡し、第1接点片92bが絶縁されている。これにより、第1固定接点93aと第1固定接点93bとは導通されず、ドアロックコントローラへの出力電圧がLowとなり、非操作状態であることを検出できる。
【0039】
ロック機構は、図1に示すアンロック状態で、車外側のキーシリンダ58がロック側に操作されると、図11に示すように、キーレバー68が軸67周りに図中反時計回りに回動する。すると、キーリンク61を介してキーサブレバー55が中立位置から時計回りに回動すると共に、ロックプレート50も時計回りに回動し、リンク35をロック位置に移動させる。
【0040】
これにより、キーサブレバー55に配設したキー操作検出スイッチの第1可動接点91は、図10(B)に示す中立位置から図10(C)に示すロック操作位置に移動する。このとき、第1可動接点91の第1接点片92aが第1固定接点93aと短絡し、第1接点片92bが第1固定接点93cと短絡する。すると、電流が抵抗103を介して流れ、中立位置と比べドアロックコントローラへ出力される電圧が変化することでロック操作を検出できる。更に、ロックプレート50に配設したロック状態検出スイッチの第2可動接点95は、図10(B)のUに示すアンロック操作位置から図10(C)に示すロック操作位置に移動する。このとき、第2可動接点95の第2接点片96aが第2固定接点97cと短絡し、第2接点片96bが第2固定接点97aと短絡する。ドアロックコントローラは、これを検出することにより、ロック状態を検出できる。その結果、ドアロックコントローラは、キーシリンダ58によるドアロック装置のロック動作が確実に行われたことを検出する。
【0041】
また、ロック機構は、図2に示すロック状態で、車外側のキーシリンダ58がアンロック側に操作されると、図12に示すように、キーレバー68が図中時計回りに回動する。すると、キーリンク61を介してキーサブレバー55が中立位置から反時計回りに回動すると共に、ロックプレート50も反時計回りに回動し、リンク35をアンロック位置に移動させる。
【0042】
これにより、キーサブレバー55に配設したキー操作検出スイッチの第1可動接点91は、図10(B)に示す中立位置から図10(A)に示すアンロック操作位置に移動する。このとき、第1可動接点91の第1接点片92aが第1固定接点93aと短絡し、第1接点片92bが第1固定接点93bと短絡する。すると、電流が抵抗103を介さずに流れ、中立位置およびロック操作位置と比べドアロックコントローラへ出力される電圧が変化することでアンロック操作を検出できる。更に、ロックプレート50に配設したロック状態検出スイッチの第2可動接点95は、図10(B)のRに示すロック操作位置から図10(A)に示すアンロック操作位置に移動する。このとき、第2可動接点95の第2接点片96aが第2固定接点97cと短絡し、第2接点片96bが第2固定接点97bと短絡する。ドアロックコントローラは、これを検出することにより、アンロック状態を検出できる。その結果、ドアロックコントローラは、キーシリンダ58によるドアロック装置のアンロック動作が確実に行われたことを検出する。
【0043】
本実施形態では、第1可動接点91をキーサブレバー55に配設することで、第1可動接点91と、キーサブレバー55と係合するロックプレート50に近接して配置されたコネクタ104との間の距離を短くし、ドアロック装置内に第1可動接点91、第1固定接点93およびコネクタ104を集約して配置することができる。これにより、キー操作検出スイッチを小型化することができると共に、製造コストを削減することができる。また、第1可動接点91を配置したキーサブレバー55をロックプレート50と同軸上に設けたので、これら各部材の配置スペースを小さくし、ドアロック装置を小型化することができる。
【0044】
キー操作検出スイッチとロック状態検出スイッチとをそれぞれ、同軸上に設けられたキーサブレバー55とロックプレート50とに設けたため、両スイッチを集約的に配置し、配置スペースを小さくすることができる。
【0045】
更に、第1および第2固定接点93,97を同一のスイッチ基板101上に設けることで、部品点数を削減でき、製造コストを削減することができる。
【0046】
また、キーサブレバー55は、第1可動接点91と第1固定接点93の接触力の反力により第1ケース部材11に向かって付勢されている。しかし、キーサブレバー55が中立位置にあるときは、キーサブレバー55の第1可動接点91を設けた面と反対側の面が、キーリンク61の支持面64および第1ケース部材11の支持凸部16と当接することで、キーサブレバー55は直立に保持されている。キーサブレバー55がロック操作位置にあるときは、前記反対側の面がキーリンク61の支持面64と、アンロック操作位置にあるときは第1ケース部材11の支持凸部16とそれぞれ当接することで、キーサブレバー55は直立に保持されている。従って、キーサブレバー55が第1ケース部材11に向かって傾くことを防止し、第1可動接点91と第1固定接点93との間に所望の接触力を維持して接点間の導通不良を防止することができる。
【0047】
本発明のドアロック装置は、前記実施形態に限定されず種々の変形が可能である。
例えば、前記実施形態では支持凸部16を円弧形状に設けたが、キーサブレバー55と当接し保持する限り、これに限定されない。
【符号の説明】
【0048】
1 ストライカ
11 第1ケース部材(ハウジング)
16 支持凸部
21 第2ケース部材(ハウジング)
35 リンク
50 ロックプレート
55 キーサブレバー(キー操作力伝達機構)
57a 第1係合部(係合部)
57b 第2係合部(係合部)
58 キーシリンダ
61 キーリンク(キー操作力伝達機構)
64 支持面
68 キーレバー(キー操作力伝達機構)
71 回転ロッド
91 第1可動接点(キー操作検出スイッチ)
93(93a,93b,93c) 第1固定接点(キー操作検出スイッチ)
95 第2可動接点(ロック状態検出スイッチ)
97(97a,97b,97c) 第2固定接点(ロック状態検出スイッチ)
101 スイッチ基板
104 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカを係脱可能なラッチ機構と、
該ラッチ機構を操作可能なアンロック位置と操作不可能なロック位置との間を移動するリンク、および該リンクを前記アンロック位置とロック位置との間を移動させるロックプレートを有するロック機構と、
前記ロックプレートに近接して配置されたコネクタと、
ドアに配設したキーシリンダの操作力を前記ロック機構のロックプレートに伝達するキー操作力伝達機構と、
前記コネクタに接続され、前記キー操作力伝達機構の作動を検出するキー操作検出スイッチと、
を備えたドアロック装置において、
前記キー操作力伝達機構は、
前記ドアに配設されたキーシリンダの操作に応じて回動するキーレバーと、
該キーレバーに連結されて往復移動するキーリンクと、
該キーリンクに連結され、前記ロックプレートと同軸上に回動可能に配置されると共に、前記ロックプレートと係合する係合部を有するキーサブレバーとを備え、
前記キー操作検出スイッチを、
前記キーサブレバーに配設された第1可動接点と、
該第1可動接点と選択的に導通する第1固定接点とによって構成したことを特徴とするドアロック装置。
【請求項2】
前記ロックプレートに配設された第2可動接点と、該第2可動接点と選択的に導通する第2固定接点とによって構成されるロック状態検出スイッチを更に設けたことを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項3】
前記第1固定接点と、前記第2固定接点とを同一のスイッチ基板上に設けたことを特徴とする請求項2に記載のドアロック装置。
【請求項4】
少なくとも前記ロック機構、キー操作伝達機構およびキー操作検出スイッチを収納するハウジングを備え、
前記ハウジングには、前記キーサブレバーの前記第1可動接点が設けられた一側面とは反対側の他側面を支持する支持凸部を設けると共に、該支持凸部に隣接して配置された前記キーリンクに、前記キーサブレバーの他側面を支持する支持面を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のドアロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−219601(P2012−219601A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90283(P2011−90283)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】