説明

ドアロック装置

【課題】小型化が可能なキーシリンダ直結式のドアロック装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ストライカ1を係止するフォーク27と、フォーク27に係合してフォーク27とストライカ1との係止状態を維持するクロー28と、フォーク27およびクロー28をそれぞれ回動可能に保持するベース部材22とを備えたラッチ機構と、ドアに配設されたキーシリンダ71の後端から突出する回転ロッド72が直結されるキーレバー61を有し、ラッチ機構によるストライカ1の係止を解除可能なアンロック状態および解除不能なロック状態に切替可能なロック機構と、ロック機構およびラッチ機構が配設されるハウジング11,21とを備えたドアロック装置において、キーレバー61をハウジング11,21内においてラッチ機構のベース部材22の上端から下端に至るまでの間に配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアに装着されるドアロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアには、車体に固定された略U字形状をなすストライカに係脱可能に係止するドアロック装置が配設されている。このドアロック装置は、ストライカを係止するラッチ機構と、該ラッチ機構によるストライカの係止を解除するロック機構とを備えている。
【0003】
従来のドアロック装置には、ラッチ機構がドアに配設されたストライカに対応する位置に設けられる一方、ロック機構がドアのキーシリンダに対応する位置に設けられキーシリンダと直結されたものがある。例えば特許文献1には、ドアの車外側に設けられた施解錠操作用のキーシリンダに連結杆を介して連結されるキーレバーと、キーレバーに連結されるキーリンクと、キーリンクに連結されるキーサブレバーとを備えたドアラッチ装置が記載されている。このドアラッチ装置では、キーシリンダの操作に基づいて、キーレバーが中立位置から開錠方向または施錠方向に回動することで、キーリンクを介してキーサブレバーを中立位置から開錠方向または施錠方向に回動させていた。そして、キーサブレバーに従動してセクタギヤ、および、切替レバーが回転することにより、ドアロック装置のロック、アンロック状態が切り替えられ、そして、アンロック状態において切替レバーを操作することにより、ラチェットの係合ピンを介してラッチとストライカの係合を解除していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−150114号公報
【0005】
しかし、前述したドアロック装置では、キーシリンダとストライカが離れて配置されると、それに応じてキーリンクを長くする必要があり、ドアロック装置が大型化するという問題があった。更に、ドアロック装置が大型化すると、ドアに収納される他の部品のレイアウトに支障をきたし、ひいては、ドアが大型化してしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、小型化が可能なキーシリンダ直結式のドアロック装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明のドアロック装置は、
ストライカを係止するフォークと、該フォークに係合して該フォークと前記ストライカとの係止状態を維持するクローと、前記フォークおよび前記クローをそれぞれ回動可能に保持するベース部材とを備えたラッチ機構と、
ドアに配設されたキーシリンダの後端から突出する回転ロッドが直結されるキーレバーを有し、前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除可能なアンロック状態および解除不能なロック状態に切替可能なロック機構と、
該ロック機構および前記ラッチ機構が配設されるハウジングとを備えたドアロック装置において、
前記キーレバーを前記ハウジング内において前記ラッチ機構のベース部材の上端から下端に至るまでの間に配設したものである。
【0008】
キーレバーに連結するキーシリンダをラッチ機構に係止するストライカの近傍に配置し、キーレバーをラッチ機構のベース部材の上端から下端に至るまでの間に配設して構成することで、ドアロック装置の高さ寸法を小さくでき、ドアロック装置の小型化が可能となる。
【0009】
前記ロック機構は、
前記ラッチ機構を操作可能なアンロック位置と操作不可能なロック位置とに移動可能なリンクと、
該リンクをアンロック位置およびロック位置に移動させるロックプレートと、
該ロックプレートと係合するキーサブレバーとを備え、
前記キーレバーと前記キーサブレバーとはギヤ連結によって連動することが好ましい。
【0010】
キーシリンダからのキー操作は、キーレバーおよびキーサブレバーを介してロックプレートに伝達される。ラッチ機構を操作するリンクは、このロックプレートによってロック位置およびアンロック位置に切り替えられる。そして、キーレバーとキーサブレバーとをギヤ連結によって連動するように構成したので、両者を連結する部材を必要とせず、キーレバーとキーサブレバーとの間の距離を短くし、よりドアロック装置の小型化が可能となる。
【0011】
前記キーサブレバーは、前記ロックプレートと所定の遊びをもって係合し、
前記キーサブレバーに配設された可動接点と、該可動接点と選択的に導通する固定接点とを備えたキー操作検出スイッチを更に設けることが好ましい。
キーサブレバーに、キーレバーの作動を遊びをもってロックプレートに伝達する機能とキー操作検出スイッチを作動させる機能とを持たせ、キーサブレバーとキーレバーとをギヤ連結によって連動するように構成したため、これら各機能を有するキーサブレバーおよびキーレバーを省スペースにて構成でき、よりドアロック装置の小型化が可能となる。
【0012】
前記ハウジング内に配設される電気部品の一部を配置する絶縁基板に、前記キーレバーの軸部を受ける軸受部を設けることが好ましい。ここで、電気部品とは、例えば、ロック状態とアンロック状態を切り替える駆動モータや、前記ロック状態とアンロック状態の切替えを検出するための固定接点などを包含し、電気部品の一部とは特に、前記固定接点を意味する。
これにより、キーレバーの背面側のスペース、すなわち、キーレバーとは反対側の絶縁基板とハウジングとの間のスペースを利用可能となり、キーレバーと、別の作動部品とを厚み方向に重ねて配置可能となり、ドアロック装置の小型化が可能となる。また、ハウジング内の電気部品を配置する絶縁基板に軸受部を設けているため、部品点数を増やすことなく構成でき、製造コストの上昇を抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のドアロック装置によれば、キーレバーに連結するキーシリンダをラッチ機構に係止するストライカの近傍に配置し、キーレバーをラッチ機構のベース部材の上端から下端に至るまでの間に配設して構成することで、ドアロック装置の高さ寸法を小さくでき、ドアロック装置の小型化が可能となる。これにより、車両ドアの小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)は本発明の実施形態に係るドアロック装置がアンロック状態にある状態を示す正面図、(B)は(A)のドアロック装置がロック状態にある状態を示す正面図。
【図2】ドアロック装置の構成を示す分解斜視図。
【図3】図1の第1ケース部材のロック機構配設部を示す正面図。
【図4】サブケースおよびラッチ機構の構成を示す分解斜視図。
【図5】ラッチ機構を示し、(A)はドア開放状態を示す側面図、(B)はドア閉塞状態を示す側面図。
【図6】サブケースへのラッチ連動レバーの配設状態を示す側面図。
【図7】図5のラッチ機構とキーシリンダとの関係を示す側面図。
【図8】図1のキーレバー、キーサブレバーおよびロックプレートの関係を示す部分拡大正面図。
【図9】(A)は図8のロックプレートの正面図、(B)は図8のキーサブレバーの正面図。
【図10】(A)は図8のキーレバーの正面図、(B)は(A)のキーレバーの背面図、(C)は(A)のC−C線断面図。
【図11】図1のドアロック装置に絶縁基板を装着し、(A)はドア開検出状態を示す正面図、(B)はドア閉状態を示す正面図。
【図12】図11(B)のXII−XII線断面図。
【図13】(A)はドア開放位置にある第1可動接点と第1固定接点との絶縁状態を示す概略図、(B)はドア閉鎖位置にある第1可動接点と第1固定接点との接続状態を示す概略図、(C)は絶縁基板の構成を示す斜視図。
【図14】(A),(B),(C)は各状況での絶縁基板の固定接点と可動接点との接続状態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0016】
図1および図2は、本発明の実施形態に係るドアロック装置を示す。このドアロック装置は、車両のドアに装着され、車体に配設したストライカ1(図5(B)参照)に係脱可能である。このドアロック装置は、ストライカ1に係止するラッチ機構と、該ラッチ機構によるストライカ1の係止状態を解除可能にアンロックまたは解除不可能にロックするロック機構とが配設されている。
【0017】
ロック機構を構成する各部品を配設する第1ケース部材11は、図2に示すように、ロック機構配設部12とラッチ機構配設部13とを備えた平面視L字形状である。
ロック機構配設部12には、図3に示すように、後述するロックプレート50およびインナーレバー40を回動可能に軸着する支持軸である取付軸部14a,14bが設けられている。取付軸部14aの右側には、後述するキーレバー61を保持する円形のキーレバー保持孔16が形成されている。また、取付軸部14aの右側上方と取付軸部14bの右側には、ラッチ機構のサブケース22をねじ止めする上側ねじ穴17aと下側ねじ穴17bが、それぞれ設けられている。取付軸部14bの左側部には、後述するノブレバー75を回動可能に配設するための軸穴18が設けられている。この軸穴18の更に上部左側には、駆動モータ配設部19とカム部材配設部20とが設けられている。そして、第1ケース部材11のロック機構配設部12に装着される第2ケース部材21は、第1ケース部材11と共にハウジングを構成している。
【0018】
第1ケース部材11のラッチ機構配設部13に装着されるサブケース22は、フェンスブロック25によって覆われている(図2参照)。サブケース22は、上縁から突出する上側取付部23と下縁から突出する下側取付部24とを、第1ケース部材11の上側ねじ穴17aと下側ねじ穴17bのそれぞれにねじ止めすることで、第1ケース部材11のラッチ機構配設部13に装着される。図4および図5(A),(B)に示すように、サブケース22には、ストライカ1を挿通する空間となる挿通凹部26が設けられている。この挿通凹部26の上側には、ラッチ機構を構成するフォーク27が取付部27aに回動可能に装着されている。フォーク27は、フォーク付勢スプリング32により、図5(A)に示す開放位置に付勢されている。挿通凹部26の下側には、クロー28が取付部28aに回動可能に装着されている。クロー28は、クロー付勢スプリング33により図5(A),(B)に示す係止位置に付勢されている。取付部28aの左側には、クロー28の操作受部30を挿通してラッチ機構配設部13内に突出させる挿通穴31が設けられている。
【0019】
そして、ラッチ機構の前記フォーク27はストライカ1を係脱可能に係止し、前記クロー28はフォーク27に係合して、フォーク27がストライカ1を保持した状態を維持する。このラッチ機構は、ドアの閉じ力に伴うストライカ1の押圧で図5(A)から図5(B)に示すように、フォーク27が反時計回りに回動する。そして、クロー28の係止受部29がフォーク27に係止することにより、フォーク27によるストライカ1の係止状態を維持する。この状態で、クロー28の操作受部30が上向きに作動されると、クロー28は時計回りに回動されることにより、フォーク27とクロー28の係止が解除される。その結果、フォーク27がフォーク付勢スプリング32の付勢力で図5(A)に示す開放位置に回動し、ストライカ1の係止を解除する。
【0020】
また、第1ケース部材11に組み付けるロック機構は、図1および図2に示すように、クロー28の操作受部30に係止してクロー28を係止解除方向に作動させるためのリンク35と、該リンク35によるクロー28の作動を可能または不可能とするためのロックプレート50とを備えている。
【0021】
リンク35は、インナーレバー40またはアウターレバー46の作動力を下端の受動部36で受けることにより、上方向に移動する。図1(A)に示すアンロック位置では、略中央の操作部37がクロー28の操作受部30に係合して、クロー28を係止解除方向に作動させる。そのため、ラッチ機構によるストライカ1の係止を解除できる。また、リンク35は、上方のロックプレート連結部38がロックプレート50に連結され、このロックプレート50の回動によりアンロック位置およびロック位置に移動される。図1(B)に示すロック位置では、操作部37がクロー28の操作受部30と係合不可能な位置に離間する。このため、アウターレバー46またはインナーレバー40によって上方向に移動されても、クロー28を係止解除方向に作動できない。よって、ラッチ機構によるストライカ1の係止を解除できない。
【0022】
インナーレバー40は、ドアの車内側に設けたインナードアハンドル(図示せず)に連結されている。端部に設けられたリンク作動部41がリンク35の受動部36に当接可能であり、該リンク35をクロー28の解除操作受部30の側に向けて作動(スライド)させる。このインナーレバー40は、第1ケース部材11の取付軸部14bに回動可能に取り付けられている。インナーレバー40は、第2ケース部材21の開口部から第2ケース部材21の外側に突出するように延び、インナードアハンドルに連結されている。また、インナーレバー40には、組付状態で回転軌跡上にリンク35の受動部36が位置する。
【0023】
アウターレバー46は、図2と図7に示すように、第1ケース部材11を貫通して内外に延び、回動可能に取り付けられている。このアウターレバー46には、第1ケース部材11から外部に突出する部分に、ドアの車外側に設けたアウターハンドル(図示せず)を接続するアウターハンドル接続部48が設けられている。アウターハンドルが操作されると、受動部36内に連結される先端のリンク連結部47が上向きに移動することにより、リンク35を上向きに移動させる。
【0024】
ロックプレート50は、第1ケース部材11の取付軸部14aに回動可能に取り付けられている。このロックプレート50は、図8と図9(A)に示すように、取付軸部14aに嵌合する環状取付部50aと、円弧状をなす下側外周縁に外方に向かって突出するリンク係着部51と、略U字形状のノブレバー係着部53とを備えている。リンク係着部51は、後述するキーサブレバー55またはノブレバー75によって時計回りに回動させることにより左側に移動し、リンク35をアンロック位置からロック位置に移動させる。また、反時計回りに回動されることにより右側に移動し、リンク35をロック位置からアンロック位置に移動させる。ノブレバー係着部53は、ノブレバー75の連結アーム部76を介してアンロック作動およびロック作動を受ける。更に、ロックプレート50は、環状取付部50aから上方に向かって突出するアンロック作動受動部52と、環状取付部50aとリンク係着部51との間の縁部に形成された右側縁部54を有している。アンロック作動受動部52がキーサブレバー55によるアンロック作動を受け、右側縁部54はキーサブレバー55によるロック作動を受ける。
【0025】
本発明に係るキーサブレバー55は、第1ケース部材11の取付軸部14aに、ロックプレート50とともに回動可能に取り付けられている。このキーサブレバー55は、図9(B)に示すように、取付軸部14aに嵌合する環状取付部55aを頂部とした略扇型形状である。キーサブレバー55は一方の縁部に設けられた第1係合部57aと、他方の縁部側に位置しキーサブレバー55の裏面から図中奥方向に向かって突出する第2係合部57bと、第1係合部57aと第2係合部57bの間に設けられたキーサブレバー側ギヤ部56とを備えている。第1係合部57aは、キーサブレバー55が時計方向に回動することにより、ロックプレート50の右側縁部54と当接しロック作動を伝達する。第2係合部57bは、キーサブレバー55が反時計方向に回動することにより、ロックプレート50のアンロック作動受動部52と当接しアンロック作動を伝達する。キーサブレバー側ギヤ部56は、後述するキーレバー側ギヤ部63と噛合している。
また、キーサブレバー55は、中立位置にあるときに、キーシリンダ71以外の操作によってロックプレート50がロック位置、および、アンロック位置に回動しても作動しないように、ロックプレート50に対し遊びを設けて取り付けられている。具体的には、図8に示すように、遊びとして第1係合部57aとロックプレート50の右側縁部54との間に間隔S1が設けられている。更に、第2係合部57bとロックプレート50のアンロック作動受動部52との間に間隔S2が設けられている。
【0026】
本発明に係るキーレバー61は、ドアの車外側に露出するように配設したキーシリンダ71(図7参照)に従動して時計方向または反時計方向に軸部64回りに回動する。また、キーレバー61は第1ケース部材11のキーレバー保持孔16内に回転可能に収納されて、サブケース22の上側取付部23の上端L1と下側取付部24の下端L2との間に配設されている(図1参照)。キーレバー61は、図10(A)に示す略円形のキーレバー本体62と、キーレバー本体62の側部周縁に設けられたキーレバー側ギヤ部63と、キーレバー本体62の中心から突出する軸部64と、図10(B),(C)に示す軸部64の裏側に設けられた連結凹部65とを備えている。連結凹部65は正面視十字形状に形成されている。この連結凹部65は、回転ロッド72の先端部に形成された正面視十字形状の連結端部73と嵌合している。また、回転ロッド72はキーシリンダ71に連結し、キーシリンダ71に差し込まれたキー(図示せず)の回動と共に一体的に回転する。
【0027】
上記構成により、キーシリンダ71に差し込まれたキーを回動することで、回転ロッド72と共にキーレバー61も回動する。そして、キーレバー61に従動してキーサブレバー55が中立状態から時計方向または反時計方向に回動する。
【0028】
ノブレバー75は、第1ケース部材11の軸穴18に回動可能に軸着されている。ノブレバー75の下端は、第2ケース部材21の開口部を介してドアの車内側に設けたロックノブ(図示せず)に連結されている。ノブレバー75の上端は、ロックプレート50のノブレバー係着部53に係合されている。そして、ロックノブの操作に連動してロックプレート50を作動させ、リンク35をロック位置またはアンロック位置に移動させる。具体的には、ノブレバー75はロックノブによって反時計回りに回動されることにより、上端がロックプレート50をロック位置に回動させる。また、時計回りに回動されることにより、ロックプレート50をアンロック位置に回動させる。軸穴18の上方は、背部に位置するカム部材84に係合している。
【0029】
カム部材84に隣接する駆動モータ81は後述するコネクタ119(図13参照)から電力を供給されている。また、駆動モータ81は出力軸82を介してカム部材84を正転または逆転させる。このカム部材84は、回転することによりノブレバー75およびロックプレート50を介してリンク35をロック作動させる。他方で、ノブレバー75およびロックプレート50を介してリンク35をアンロック作動させるように反対方向に回転する。
【0030】
そして、ドアロック装置には、フォーク27の回動位置に基づいてドアの開閉状態を検出するドア開閉検出機構が配設されている。ドア開閉検出機構は、サブケース22に回動可能に配設したラッチ連動レバー88(図4参照)と、ロック機構配設部12内に回動可能に配設したドア開閉検出部材97(図11参照)と、ドア開閉検出スイッチ100(図13参照)とからなる。
【0031】
ラッチ連動レバー88は、図4に示すように、フォーク27の回動に連動して回動し、ドア開閉検出部材97を連動して回動させるもので、サブケース22のレバー回転軸部89に回転可能に軸着される。また、ラッチ連動レバー88にはピン挿通孔91(図5(A)参照)を貫通してフォーク27の側部に位置する作動ピン92が突設されており、フォーク27が回動すると、その回動に連動してラッチ連動レバー88が回動するように構成している。また、ラッチ連動レバー88の端部に、一端を閉塞した四角筒状をなす検出部材連結部93が設けられている。ラッチ連動レバー88は、レバー付勢スプリング94により図5(B)に示すドア閉検出位置(下向き)に付勢されている。
【0032】
ドア開閉検出部材97は、図11(A),(B)に示すように、ラッチ連動レバー88を介して、ラッチ機構の1つであるフォーク27の動作に連動し、ドア開検出位置とドア閉検出位置との間を移動(回動)する。具体的には、このドア開閉検出部材97は、ロックプレート50を取り付けるための取付軸部14aに回動可能に取り付けられる。このドア開閉検出部材97には、組付状態でラッチ連動レバー88の側に向けて延び、検出部材連結部93内に進入して移動可能に連結されるレバー連結部98が設けられている。即ち、ドア開閉検出部材97とラッチ連動レバー88とは、ラッチ連動レバー88の回転力を、ラッチ連動レバー88の回転軸に対して直交する方向に回転軸を有するレバー連結部98に伝達可能に連結されている。ドア開閉検出部材97には、上方に突出するように、平板状に延びる可動接点配設部99が突設されている。
【0033】
ドア開閉検出スイッチ100は、ドア開閉検出部材97の移動位置を検出することにより、該ドア開閉検出部材97およびラッチ連動レバー88を介してフォーク27の移動位置を検出してドアの開閉状態を検出する。このドア開閉検出スイッチ100は、ドア開閉検出部材97に配設した第1可動接点101と、後述する絶縁基板115に配設した第1固定接点102とを有する。第1可動接点101は、ロックプレート50の側に向けて変位可能な一対の弾性片が突出するように、ドア開閉検出部材97における可動接点配設部99に固着されている。
【0034】
次に、本発明に係るキー操作検出スイッチと、ロック状態検出スイッチについて説明する。
【0035】
キー操作検出スイッチは、キーサブレバー55の移動位置を検出することにより、キーレバー61および回転ロッド72を介して、キーシリンダ71がアンロック操作またはロック操作されたことを検出する。このキー操作検出スイッチは、キーサブレバー55の上面に配設した第2可動接点105(図8参照)と、後述する絶縁基板115に配設した第2固定接点107(107a,107b)とを有する(図13(A)参照)。第2可動接点105には、キーレバー61の側に向けて突出すると共に、上方側(紙面手前側)に向けて傾斜した一対の弾性片が設けられている。
【0036】
ロック状態検出スイッチは、ロックプレート50の移動位置を検出することにより、リンク35を介するドアのロック状態またはアンロック状態を検出する。このロック状態検出スイッチは、ロックプレート50のノブレバー係着部53側の上面に配設した第3可動接点110(図8参照)と、後述する絶縁基板115に配設した第3固定接点112(112a,112b)とを有する。第3可動接点110には、キーレバー61の側に向けて突出すると共に、上方側(紙面手前側)に向けて傾斜した一対の弾性片が設けられている。
【0037】
そして、図11(A)に示すように、第2可動接点105、および第3可動接点110に対向して、ロックプレート50とドア開閉検出部材97との間に、絶縁基板115が第1ケース部材11にねじ止めされている。
【0038】
この絶縁基板115には、図13(A)に示すように、1個の第1固定接点102と、1個の共通固定接点104と、2個の第2固定接点107a,107bと、2個の第3固定接点112a,112bとが配設されている。これら固定接点は、絶縁基板115に敷設したパターン片により構成されており、各可動接点101,105,110が短絡状態で摺動する。
【0039】
そのうち、第1固定接点102は、第1可動接点101がアンラッチ状態で図13(A)に示すように非接触(絶縁)となり、ラッチ状態で図13(B)に示すように接触(短絡)するように構成している。
【0040】
共通固定接点104は、第1可動接点101,第2可動接点105および第3可動接点110が常に接触する。
【0041】
第2固定接点107aは、第2可動接点105がアンロック操作位置で接触(短絡)し、ロック操作位置で非接触(絶縁)となるように構成している。また、第2固定接点107bは、第2可動接点105がアンロック操作位置で非接触(絶縁)となり、ロック操作位置で接触(短絡)するように構成している。第2固定接点107bの一方の端部は、第2固定接点107aと間隔を空けて配設され、他方の端部は抵抗118を介して第2固定接点107aと接続されている。
【0042】
第3固定接点112aは、第3可動接点110がロック操作位置で接触し、アンロック操作位置で非接触となるとともに、第3固定接点112bは、第3可動接点110がアンロック操作位置で接触し、ロック操作位置で非接触となるように構成している。
共通固定接点104、第1固定接点102、第2固定接点107a、および、第3固定接点112a,112bは、コネクタ119まで延設され、その端部がコネクタ119内に直接侵入して、外部の図示しないコネクタとの接続端子として機能する。
【0043】
絶縁基板115は、組付状態でパターン片がロックプレート50の側に位置するように配設される。そして、図13(C)に示すように絶縁基板115には、ドア開閉検出部材97の第1可動接点101と対応する位置に、第1固定接点102、および、共通固定接点104を敷設面に対して逆側から露出させるための露出孔116が設けられている。これにより、敷設面に対して逆側に配設されるドア開閉検出部材97の第1可動接点101と短絡可能に構成している。図13(A)に示すように絶縁基板115の中央には、ロックプレート50の取付軸部14aを貫通させる円形の軸部貫通孔117が設けられている。また、軸部貫通孔117の左側には後述する抵抗118が配設されると共に、更に左側には、第2ケース部材21から外部に露出される、ロック状態などの信号線や電力線などを電気的に接続するためのコネクタ119が設けられている。絶縁基板115の固定接点102,107,112側の面には、コネクタ119と反対側にキーレバー61の軸部64と嵌合して支持する環状の軸受部120が、キーレバー61に向かって突出している(図12および図13(A))。
【0044】
可動接点101,105,110および固定接点102,104,107a,107b,112a,112bからなるスイッチの電気的な検出信号は、コネクタ119に接続される外部のコネクタ、および、電気通信線を介して車両に搭載されたドアロックコントローラ(ECU)に送信される。そして、ドアロックコントローラは、これらのスイッチの検出信号に基づいて、ドアの開閉、キーシリンダ71の操作、および、ドアのロック状態などを判断し、車内表示などの所定の制御を実行する。
【0045】
以下、ドアハンドルによるドアの開閉を検出する動作について説明する。
【0046】
まず、ラッチ機構が図5(A)に示すアンラッチ状態(ドアを開放状態)で、ドアが閉じられると、フォーク27内にストライカ1が進入される。そうすると、ドアの閉じ動作力によるストライカ1の押圧で、フォーク27が図中反時計回りに回動する。そして、図5(B)に示すように、フォーク27が挿通凹部26に対して略直交方向に延びるように位置すると、クロー28の係止受部29に係止する。その結果、フォーク27によるストライカ1の係止状態を維持したラッチ状態となる。
【0047】
これにより、ラッチ連動レバー88は、フォーク27の外縁およびレバー付勢スプリング94により作動ピン92が下向きに移動される。そうすると、ドア開閉検出部材97が図11(A)から図11(B)に示すように時計回りに回動する。よって、ドア開閉検出スイッチ100の第1可動接点101は、図13(A)に示すアンラッチ検出位置から図13(B)に示すラッチ検出位置に移動する。その結果、ECUは、ドアが閉じられたことを検出する。
【0048】
また、ラッチ機構は、ラッチ状態でクロー28の操作受部30が上向きに作動されると、クロー28が時計回りに回動されることにより、係止受部29とフォーク27との係止が解除される。これにより、フォーク27がフォーク付勢スプリング32の付勢力で図5(A)に示す開放位置に回動し、ストライカ1の係止を解除したアンラッチ状態となる。なお、クロー28は、操作受部30の上向きの作動力が解除されると、クロー付勢スプリング33の付勢力によって係止位置に復帰される。
【0049】
これにより、ラッチ連動レバー88は、フォーク27の外縁によってレバー付勢スプリング94の付勢力に抗して作動ピン92が上向きに移動される。そうすると、ドア開閉検出部材97が図11(B)から図11(A)に示すように反時計回りに回動する。よって、ドア開閉検出スイッチ100の第1可動接点101は、図13(B)に示すラッチ検出位置から図13(A)に示すアンラッチ検出位置に移動する。その結果、ECUは、ドアが開かれたことを検出する。
【0050】
次に、キーシリンダ71によるドアロック装置のロック動作およびアンロック動作の検出について説明する。
【0051】
まず、キーシリンダ71が操作されていない場合、図14(B)に示すように、中立位置にあるキーサブレバー55に配設された第2可動接点105は、第2固定接点107aと第2固定接点107bとを導通せず、ドアロックコントローラへの出力電圧がLowとなり、非操作状態であることを検出できる。
【0052】
ロック機構は、図1(A)に示すアンロック状態で、車外側のキーシリンダ71がロック側に操作されると、キーレバー61が軸部64周りに図中反時計回りに回動する。すると、キーサブレバー55が中立位置から時計回りに回動すると共に、ロックプレート50も時計回りに回動し、リンク35をロック位置に移動させる(図1(B)参照)。
【0053】
これにより、キーサブレバー55に配設したキー操作検出スイッチの第2可動接点105は、図14(B)に示す中立位置から図14(C)に示すロック操作位置に移動する。このとき、第2可動接点105が第2固定接点107bと短絡する。すると、電流が抵抗118を介して流れ、中立位置と比べドアロックコントローラへ出力される電圧が変化することでロック操作を検出できる。更に、ロックプレート50に配設したロック状態検出スイッチの第3可動接点110は、図14(B)のUに示すアンロック操作位置から図14(C)に示すロック操作位置に移動する。このとき、第3可動接点110が第3固定接点112aと短絡する。ドアロックコントローラは、これを検出することにより、ロック状態を検出できる。その結果、ドアロックコントローラは、キーシリンダ71によるドアロック装置のロック動作が確実に行われたことを検出する。
【0054】
また、ロック機構は、図1(B)に示すロック状態で、車外側のキーシリンダ71がアンロック側に操作されると、キーレバー61が図中時計回りに回動する。すると、キーサブレバー55が中立位置から反時計回りに回動すると共に、ロックプレート50も反時計回りに回動し、リンク35をアンロック位置に移動させる(図1(A)参照)。
【0055】
これにより、キーサブレバー55に配設したキー操作検出スイッチの第2可動接点105は、図14(B)に示す中立位置から図14(A)に示すアンロック操作位置に移動する。このとき、第2可動接点105が第2固定接点107aと短絡する。すると、電流が抵抗118を介さずに流れ、中立位置およびロック操作位置と比べドアロックコントローラへ出力される電圧が変化することでアンロック操作を検出できる。更に、ロックプレート50に配設したロック状態検出スイッチの第3可動接点110は、図14(B)のLに示すロック操作位置から図14(A)に示すアンロック操作位置に移動する。このとき、第3可動接点110が第3固定接点112bと短絡する。ドアロックコントローラは、これを検出することにより、アンロック状態を検出できる。その結果、ドアロックコントローラは、キーシリンダ71によるドアロック装置のアンロック動作が確実に行われたことを検出する。
【0056】
本実施形態では、ドアロック装置の小型化に寄与する機構が採用されている。すなわち、キーレバー61に連結するキーシリンダ71をストライカ1の近傍に配置し、キーレバー61をラッチ機構のベース部材22の上端L1から下端L2に至るまでの間に配設して構成することで、ドアロック装置の高さ寸法を小さくでき、ドアロック装置の小型化が可能となる。
【0057】
また、キーレバー61とキーサブレバー55とをギヤ連結によって連動するように構成したので、両者を連結する部材を必要とせず、キーレバー61とキーサブレバー55との間の距離を短くし、よりドアロック装置の小型化が可能となる。
【0058】
キーサブレバー55に、キーレバー61の作動を遊びをもってロックプレート50に伝達する機能と、キー操作検出スイッチ105,107を作動させる機能とを持たせ、キーサブレバー55とキーレバー61とをギヤ連結によって連動するように構成した。このため、これら各機能を有するキーサブレバー55およびキーレバー61を省スペースにて構成でき、よりドアロック装置の小型化が可能となる。
【0059】
絶縁基板115に、キーレバー61の軸部64を受ける軸受部120を設けることで、キーレバー61の背面側のスペース、すなわち、キーレバー61とは反対側の絶縁基板115と第2ケース部材21との間のスペースを利用可能となり、キーレバー61と、別の作動部品(本実施形態ではドア開閉検出部材97)とを厚み方向に重ねて配置可能となり、ドアロック装置の小型化が可能となる。また、固定接点102,104,107,112を配置する絶縁基板115に軸受部120を設けているため、部品点数を増やすことなく構成でき、製造コストの上昇を抑制できる。
【0060】
本発明のドアロック装置は、前記実施形態に限定されず種々の変形が可能である。
キーレバー61に関しては、サブケース22の上側取付部23の上端L1と下側取付部24の下端L2との間に配置されるのであれば、配置場所は特に限定されない。
また、キーサブレバー55とキーレバー61とはギヤ連結によって連動する限り、その形状は特に限定されない。
【符号の説明】
【0061】
1 ストライカ
11 第1ケース部材(ハウジング)
21 第2ケース部材(ハウジング)
22 サブケース(ベース部材)
27 フォーク
28 クロー
35 リンク
50 ロックプレート
55 キーサブレバー
61 キーレバー
71 キーシリンダ
72 回転ロッド
105 第2可動接点(キー操作検出スイッチ)
107(107a,107b) 第2固定接点(キー操作検出スイッチ)
115 絶縁基板
120 軸受部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカを係止するフォークと、該フォークに係合して該フォークと前記ストライカとの係止状態を維持するクローと、前記フォークおよび前記クローをそれぞれ回動可能に保持するベース部材とを備えたラッチ機構と、
ドアに配設されたキーシリンダの後端から突出する回転ロッドが直結されるキーレバーを有し、前記ラッチ機構による前記ストライカの係止を解除可能なアンロック状態および解除不能なロック状態に切替可能なロック機構と、
該ロック機構および前記ラッチ機構が配設されるハウジングとを備えたドアロック装置において、
前記キーレバーを前記ハウジング内において前記ラッチ機構のベース部材の上端から下端に至るまでの間に配設したことを特徴とするドアロック装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、
前記ラッチ機構を操作可能なアンロック位置と操作不可能なロック位置とに移動可能なリンクと、
該リンクをアンロック位置およびロック位置に移動させるロックプレートと、
該ロックプレートと係合するキーサブレバーとを備え、
前記キーレバーと前記キーサブレバーとはギヤ連結によって連動することを特徴とする請求項1に記載のドアロック装置。
【請求項3】
前記キーサブレバーは、前記ロックプレートと所定の遊びをもって係合し、
前記キーサブレバーに配設された可動接点と、該可動接点と選択的に導通する固定接点とを備えたキー操作検出スイッチを更に設けたことを特徴とする請求項2に記載のドアロック装置。
【請求項4】
前記ハウジング内に配設される電気部品の一部を配置する絶縁基板に、前記キーレバーの軸部を受ける軸受部を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のドアロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−19183(P2013−19183A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153801(P2011−153801)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】