説明

ドア安全装置

【課題】リード線や特別な加工等を要することなく、セイフティシューの後退を検知することのできるドア安全装置の提供。
【解決手段】水平方向に移動するドア4の前縁に突出設置されたセイフティシュー6の後退を検知するための検知手段7が、セイフティシュー6の上部に配置され、ドア4の開閉方向に沿って水平方向に光束7cを投光する投光部7a、およびこの投光部7aから投光された光束7cを受光する受光部7bから成り、かつ、セイフティシュー6を、障害物との接触により後退とともに上方に移動する構造とし、セイフティシュー6が障害物と接触することで後退とともに上方に移動し、その上端により光束7cを遮ることで制御手段がセイフティシュー6の後退を検知するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉扉動作の際、障害物がドアに挟まることを防止するドア安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータ等にあっては、開口部、すなわち、出入口に設けられるドアの閉扉動作の際、何らかの障害物がドアに挟まることを防止するためドア安全装置が設けられている。
【0003】
図3は従来のドア安全装置を示す正面図である。
【0004】
従来のドア装置は、図3に示すように、開口部11の上部に延設されるドアレール12と、ドアハンガ13を介してドアレール12に支持され、開口部11にあって水平方向に移動するドア14と、ドア14の開閉を制御する図示しない制御手段とを備えているとともに、ドア安全装置として、ドア14の前縁にリンク部15を介して突出設置され、障害物との接触により後退するセイフティシュー16と、セイフティシュー16の後退を検知する検知手段17とを備えている。そして、検知手段17は、リンク部15に設けられるスイッチ17aと、一端がスイッチ17a、他端が制御手段に接続されるリード線17bとを備え、制御手段はセイフティシュー16が後退したことをリード線17bを介して送られる信号により検知するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、この種のものとして、従来、開口部高さ方向の中間位置にあって、開口部を横切るように水平光束を投光する投光部、および投光部から投光された光束を受光する受光部を設けるとともに、セイフティシューに、前述の光束が通過可能な貫通孔を形成し、セイフティシューの非作動時は、光束位置と貫通孔位置が合致して光束が通過するとともに、セイフティシューが障害物に接触して後退すると、セイフティシューが例えば下方に移動し、これまで光束位置と合致していた貫通孔位置がずれ、光束が遮られることにより、制御手段がセイフティシューの後退を検知するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭61−5880(第1頁、第1図)
【特許文献2】特公昭45−15075(第1頁右欄31段〜第2ページ右欄4段、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来の前者のものでは、ドア14が開いた際、図3にあって点線にて示すように、リード線17bが弛み、他の機器等と絡んで断線するという問題があった。
【0008】
また、前述した従来の後者のものでは、セイフティシューに、光束が通過可能な貫通孔を形成する作業を要するとともに、実際のエレベータ装置にあっては、貫通孔に透明レンズを嵌合させる必要があり、コストの向上を招くという問題があった。
【0009】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、リード線や特別な加工等を要することなく、セイフティシューの後退を検知することのできるドア安全装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、開口部に配設されて水平方向に移動するドアの前縁に突出設置され、障害物との接触により後退するセイフティシューと、このセイフティシューの後退を検知するための検知手段と、前記ドアの開閉を制御する制御手段とを備えたドア安全装置において、前記検知手段が、前記セイフティシューの上部外方に配置され、前記ドアの開閉方向に沿って水平方向に光束を投光する投光部、およびこの投光部から投光された光束を受光する受光部から成り、かつ、前記セイフティシューを、障害物との接触により後退とともに上方に移動する構造とし、前記セイフティシューが障害物と接触することで後退とともに上方に移動し、その上端により前記光束を遮ることで前記制御手段が前記セイフティシューの後退を検知することを特徴としている。
【0011】
このように構成した本発明では、通常時、ドアの上部にあって、ドアの開閉方向に沿って投光部から水平方向に光束が投光され、受光部で光束が受光されている。そして、閉扉動作の際、セイフティシューが障害物と接触すると、セイフティシューは後退とともに上方に移動し、その上端により光束が遮られ、これによって、制御手段はセイフティシューの後退を検知する。このように、従来のようなリード線や特別な加工等を要することなく、セイフティシューの後退を検知することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、セイフティシューの後退検知のためにリード線を設ける必要がないことから、断線の恐れがなく、すなわち、故障の要因となる部位を省くことができ、したがって、装置の信頼性の向上を図ることができる。また、セイフティシューに特別な加工を施すことや特別な部品を設ける必要がなく、したがって、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るドア安全装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1のA部を示す要部拡大図である。
【図3】従来のドア安全装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るドア安全装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
エレベータ等のドア装置は、図1に示すように、開口部1の上部に延設されるドアレール2と、ドアハンガ3を介してドアレール2に支持され、開口部1にあって水平方向に移動するドア4と、ドア4の開閉を制御する図示しない制御手段とが備えられているとともに、ドア安全装置として、ドア4の前縁にリンク部5を介して突出設置され、障害物との接触により後退するセイフティシュー6と、セイフティシュー6の後退を検知する検知手段7とを備えている。なお、リンク部5には、図2に示すように、ストッパ8が設けられ、ドア4の前縁におけるセイフティシュー6の突出量が制限されている。
【0016】
そして、本実施形態のドア安全装置における検知手段7は、ドア4の上部外方に配置され、ドア4の開閉方向に沿って水平方向に光束7cを投光する投光部7a、およびこの投光部7aから投光された光束を受光する受光部7bから成っている。また、前述のセイフティシュー6は、障害物との接触により後退とともに上方に移動する構造としてある。なお、投光部7aおよび受光部7bは、前述した制御手段に接続され、信号の授受が行なわれる。
【0017】
本実施形態にあっては、通常時、ドア4の上部にあって、ドア4の開閉方向に沿って水平方向に投光部7aから光束7cが投光され、受光部7bで光束7cが受光されている。このとき、セイフティシュー6は図2にあって実線にて示すように、リンク部5がストッパ8に当接し、セイフティシュー6は所定量、ドア4の前縁から突出した状態にある。そして、閉扉動作の際、セイフティシュー6が障害物と接触すると、図2にあって点線にて示すようにセイフティシュー6は後退とともに上方に移動し、セイフティシュー6の上端により光束7cが遮られる。これに応じて制御手段はセイフティシュー6の後退を検知し、例えば、ドア4を反転開扉動作する。
【0018】
本実施形態によれば、セイフティシュー6の後退検知のためにリード線を設ける必要がないことから、断線の恐れがなく、すなわち、故障の要因となる部位を省くことができ、したがって、装置の信頼性の向上を図ることができる。また、セイフティシュー6に特別な加工を施すことや特別な部品を設ける必要がなく、したがって、コストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0019】
1 開口部
2 ドアレール
3 ドアハンガ
4 ドア
5 リンク部
6 セイフティシュー
7 検知手段
7a 投光部
7b 受光部
7c 光束
8 ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に配設されて水平方向に移動するドアの前縁に突出設置され、障害物との接触により後退するセイフティシューと、このセイフティシューの後退を検知するための検知手段と、前記ドアの開閉を制御する制御手段とを備えたドア安全装置において、
前記検知手段が、前記セイフティシューの上部外方に配置され、前記ドアの開閉方向に沿って水平方向に光束を投光する投光部、およびこの投光部から投光された光束を受光する受光部から成り、かつ、前記セイフティシューを、障害物との接触により後退とともに上方に移動する構造とし、前記セイフティシューが障害物と接触することで後退とともに上方に移動し、その上端により前記光束を遮ることで前記制御手段が前記セイフティシューの後退を検知することを特徴としたドア安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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