説明

ドア

【課題】化粧材の浮きや剥がれを防止することができるドアを提供すること。
【解決手段】キャップ6の突起部63より化粧材5の端部に近い位置に形成された凹部に固定部品7の本体部71が配置されるため、この固定部品7により化粧材5の端部に近い位置と係合して化粧材5を扉体3に取り付けることができ、化粧材5の端部近傍における浮きや剥がれを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアに関し、詳しくは、表面に化粧材が取り付けられた面材を有するドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扉等の面材の表面に化粧材が取り付けられた玄関用ドアが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された玄関用ドアは、扉体に複数の係止孔が形成され、この係止孔に差し込まれた複数の固定部品に化粧材が係止されることで、化粧材が扉体に取り付けられている。また、化粧材の両端部にはキャップが取り付けられており、このキャップには、化粧材に挿入される第1突部と、この第1突部から面材に向かって突出した第2突部とが形成され、第2突部を面材の上下端部近傍に形成された受孔に係止させることで、化粧材の高さ方向の移動が規制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−40003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された玄関ドアでは、化粧材の上下端部にキャップが取り付けられ、このキャップよりも長さ方向中央側の位置に固定部品を設け、この固定部品に化粧材を係合させる必要があるため、化粧材の上下端部近傍に浮きや剥がれが発生しやすいという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、化粧材の浮きや剥がれを防止することができるドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のドアは、化粧材が固定部品を介して表面に取り付けられた面材を備えたドアであって、前記化粧材の長手方向端部にキャップが取り付けられ、前記キャップは、前記化粧材の小口を覆う蓋部と、前記化粧材の内部に挿入される挿入部と、前記面材に形成された挿通孔に挿通可能な突起部と、前記蓋部と前記突起部との間で前記面材側に開口する凹部と、を有して構成され、前記キャップが取り付けられた前記化粧材が前記固定部品を介して面材に取り付けられた取付状態において、前記固定部品の少なくとも一部が前記凹部内に配置されることを特徴とする。
【0007】
ここで、本発明のドアとしては、1枚または複数枚の面材が回動自在に支持された開き戸や、面材が左右にスライド自在に支持された引き戸などの出入口が例示できる。
以上の本発明によれば、突起部より化粧材の長手方向端部に近い位置に形成された凹部に固定部品が配置されるため、化粧材を端部に近い位置にて固定部品を介して面材に取り付けることができ、化粧材の端部近傍における浮きや剥がれを防止することができる。
【0008】
この際、本発明のドアでは、前記化粧材は、前記面材側に開口するとともに長手方向に連続する開口部を有して構成され、前記挿入部は、前記蓋部から延びて形成され、この挿入部から前記面材に向かって突出して前記突起部が形成され、前記固定部品は、前記開口部に係合可能な本体部と、この本体部から前記面材に向かって突出する突出部とを有して構成され、前記面材に形成された係止孔に前記突出部を挿通して係止させることで当該固定部品が前記面材に取り付けられることが好ましい。
このような構成によれば、化粧材と係合する固定部品の本体部がキャップの凹部に配置されるため、面材の厚さ方向におけるキャップおよび固定部品の寸法を小さくすることができる。
【0009】
また、本発明のドアでは、前記挿入部は、前記面材に対向する第1面部と、この第1面部から前記面材に向かって延びる一対の第2面部と、からなる断面コ字形部分を有して形成され、前記第1面部および前記一対の第2面部に三方が囲まれて前記凹部が形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、挿入部の第1面部と一対の第2面部とにより凹部が形成されることで、この断面コ字形の部分からなる凹部を挿入部の長さに沿って所定寸法で形成しておけば、面材に形成された挿通孔や係止孔が設定位置から化粧材の長さ方向でずれたとしても、位置ずれした固定部品を凹部によって適切に受け入れつつ化粧材を取り付けることができる。
【0010】
さらに、本発明のドアでは、前記化粧材の前記内部は、前記第1面部に対向する第1対向面部と、この第1対向面部から前記面材に向かって延びるとともに前記一対の第2面部同士の間隔よりも幅広となる一対の第2対向面部と、これら一対の第2対向面部から互いに接近する方向に向かって延びる一対の第3対向面部と、で区画された空間を有して構成され、当該空間に前記挿入部が圧入状態で挿入され、前記固定部品の本体部は、前記一対の第3対向面部間に形成された開口部に挿入されて当該一対の第3対向面部に係合されるとともに、前記一対の第2対向面部間に配置されていることが好ましい。
このような構成であれば、キャップおよび固定部品をさらににコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るドアを示す正面図である。
【図2】前記ドアを示す横断面図である。
【図3】前記ドアを示す縦断面図である。
【図4】前記ドアの一部を拡大して示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係るドアとしての玄関ドア1を図面に基づいて説明する。
図1〜3において、玄関ドア1は、住宅等における出入口に設けられたものであって、外壁開口部に固定されるドア枠2と、このドア枠2に開閉自在に支持された面材としての扉体3とを備えて構成されている。ドア枠2は、上枠21、下枠22および左右の縦枠23を四周枠組みして構成されている。扉体3は、上枠材31、下枠材32および左右の縦枠材33を四周枠組みした内部に、樹脂製の断熱材34と、この断熱材の屋内外にそれぞれ設けられる内外一対の金属製の金属パネル35,36とを備えて構成されている。
【0013】
金属パネル35,36は、それぞれ各枠材31,32,33および断熱材34の屋外側および屋内側を覆って設けられ、折り曲げられた四周端縁が、上枠材31、下枠材32および左右の縦枠材33に固定されている。金属パネル35には、図4に示すように、後述する突起部63に対応する挿通孔38と、突出部72に対応する係止孔39とが形成されている。すなわち、係止孔39は、挿通孔38より金属パネル35の端部に近い位置に形成されている。挿通孔38に突起部63が差し込まれることで、キャップ6が位置決めされる。また、係止孔39に突出部72が差し込まれることで、金属パネル35が固定部品7を係止する。また、扉体3は、一方(図1の右側)の縦枠23に3箇所の蝶番4を介して回動支持され、蝶番4の回動軸を中心にして屋外側に開閉可能に構成されている。また、扉体3の戸先側には、操作ハンドル37や施錠装置(図示しない)が設けられている。
【0014】
扉体3の屋外側の表面には、鉛直方向に延びる4本の化粧材5が所定間隔で設けられ、後述する固定部品7を介して扉体3に取り付けられている。化粧材5は、所定の幅寸法を有し、扉体3と略同じ高さ寸法を有するアルミ押出形材製の長尺部材であり、図2および図4に示すように、屋外側表面を形成する第1対向面部としての表面部51と、表面部51の幅方向の端部から扉体3側に延びる第2対向面部としての一対の側面部52と、この一対の側面部52の先端から互いに接近する方向に向かって延びるとともに表面部51に対向して扉体3に接する第3対向面部としての裏面部53と、裏面部53の幅方向中央位置(離間した裏面部53の先端間)に形成された開口部54と、を有して断面略C字形状に形成されている。開口部54は、化粧材5の長手方向に連続して開口し、後述する固定部品7と係合可能に構成されている。化粧材5は、表面部51、一対の側面部52、および裏面部53により囲まれた内部55を有し、その長手方向の両端部に開口して小口56が形成されている。裏面部53における開口部54側の端部には、内部55側に折り曲げられた係合部531が長手方向に沿って形成されている。
【0015】
化粧材5の長手方向両端部には、小口56を塞ぐキャップ6が取り付けられている。キャップ6は、樹脂製の一体成形品であって、図3および図4に示すように、小口56を覆う蓋部61と、蓋部61から化粧材5の長手方向中央側に延びる挿入部62と、挿入部62の先端近傍から扉体3に向かって突出する略円錐形状の突起部63とを有して構成されている。蓋部61は、化粧材5の小口56を覆う形状を有している。挿入部62は、扉体3に対向して化粧材5の表面部51の内面に当接する第1面部621と、第1面部621の幅方向両端部に形成され化粧材5の側面部52に当接する一対の第2面部622とにより、その長手方向に延びて断面コ字形状に形成され、化粧材5の内部55に挿入可能に形成されている。また、第1面部621および一対の第2面部622により、蓋部61と突起部63との間で扉体3側に開口する凹部64が形成されている。すなわち、本実施形態では、挿入部62の略全長が断面コ字形部分とされて凹部64が形成されているが、これに限らず、挿入部62の長さ方向の一部に断面コ字形部分を形成し、この部分によって凹部64を構成してもよい。
【0016】
突起部63は、第1面部621の先端近傍から扉体3に向かって突出して形成されている。また、第2面部622の蓋部61に近い位置には、化粧材5の側面部52および裏面部53に向かって突出する圧入突起623がそれぞれ形成されている。このような構成のキャップ6は、挿入部62が内部55に挿入されるとともに圧入突起623の位置で圧入され、化粧材5の開口部54から突出した突起部63が金属パネル35の挿通孔38に挿通されることで、上下方向および左右方向に位置決めされるようになっている。
【0017】
固定部品7は、樹脂製の一体成形部品であって、図2および図4に示すように、化粧材5と係合可能な本体部71と、本体部71から扉体3に向かって突出する突出部72とを有して構成されている。本体部71は、化粧材5の開口部54の幅方向の寸法よりやや大きい幅寸法を有し、この幅方向の両端部には、化粧材5の係合部531と係合可能な係合片部711が形成されている。また、本体部71は、凹部64に収納可能な幅寸法および高さ寸法を有している。突出部72は、本体部71から扉体3に向かって突出して形成されている。このような構成の固定部品7は、突出部72を金属パネル35に形成された係止孔39に挿通させて係止することで扉体3に固定され、本体部71を裏面部53と係合させることで化粧材5が扉体3に取り付けられ、この取付状態において、本体部71が凹部64に配置されるようになっている。
【0018】
以上のような化粧材5、キャップ6および固定部品7を扉体3に取り付ける手順を説明する。まず、金属パネル35の所定位置に形成された複数の係止孔39に、固定部品7の突出部72をそれぞれ挿通させて固定部品7を金属パネル35に係止させる。次に、キャップ6の挿入部62を化粧材5の小口56から内部55に挿入するとともに圧入突起623を圧入し、蓋部61が小口56を覆う状態にする。そして、突起部63が開口部54から扉体3側に突出した状態で、突起部63を金属パネル35の挿通孔38に差し込むとともに、裏面部53に本体部71を係合させる。以上のように、化粧材5を固定部品7に係合させるとともに、キャップ6の突起部63を挿通孔38に挿通することで、化粧材5が上下左右に移動不能に取り付けられる。
【0019】
以上の実施形態によれば、キャップ6に凹部64を設けたことで、この凹部64に固定部品7を配置することができ、固定部品7による化粧材5と金属パネル35との固定位置を、突起部63より化粧材5の端部に近い位置に設定することができるため、化粧材5の端部近傍における浮きや剥がれを防止することができる。また、挿通孔38と係止孔39との距離は、各種金属パネルで異なる場合や同種の金属パネルであっても製造過程で多少の誤差が生じる場合が考えられるが、本実施形態のように、凹部64が挿入部62の長さ方向に連続して開口していることで、各金属パネルの挿通孔38や係止孔39が初期設定位置から上下に多少ずれたとしても、凹部64によって固定部品7の本体部71を受け入れて化粧材5を取り付けられるため、取付作業の作業性を向上させることができる。
【0020】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、扉体3が回動開閉可能に設けられた開き戸形式の玄関ドア1を例示して説明したが、本発明のドアは、面材に化粧材が取り付けられたドアであればよく、例えば、スライド開閉可能に設けられた1枚または複数枚の面材を有した引き戸形式のドアであってもよい。
また、前記実施形態では、化粧材5は鉛直方向に延びる長尺部材であったが、化粧材5の形状はこれに限られず、水平方向に延びる部材であってもよく、少なくとも1つの小口を有する化粧材であればよい。
【0021】
また、前記実施形態では、キャップ6の挿入部62が、その長手方向に連続する断面コ字形状に形成され、面材側に開口する凹部64が設けられたが、これに限らず、挿入部62の内部に本体部71を収納でき、突出部72が金属パネル35側に突出できる構成であればよく、例えば、凹部の大きさを本体部71と同等の大きさに形成する構成としてもよい。また、キャップ6の挿入部62は、扉体3側に開口した断面コ字形状に限らず、屋外側に開口した形状やロ字形状の中空状の内部を有する形状であってもよく、この場合には、挿入部の屋内側に開口する孔を形成し、この孔で凹部を構成してもよい。さらに、断面中実状に形成した挿入部に屋内側に開口する凹部や孔部を形成し、この孔で凹部を構成してもよい。
また、キャップ6の突起部63を、第1面部621から扉体3に向かって突出して形成したが、これに限らず、挿入部62から扉体3に向かって突出するように設ければその他の構成でもよい。例えば、一対の第2面部622の扉体3側先端同士を繋ぐ面を構成し、この面から扉体3に向かって突出するように設ければよい。この際、この面は、一対の第2面部622の扉体3側先端同士を繋ぐ構成に限らず、扉体3側先端と第1面部621側先端との間の中間部分同士を繋ぐ構成であってもよい。
【0022】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0023】
1…玄関ドア(ドア)、2…ドア枠、3…扉体(面材)、4…蝶番、5…化粧材、6…キャップ、7…固定部品、31…上枠材、32…下枠材、33…縦枠材、34…断熱材、35,36…金属パネル、38…挿通孔、39…係止孔、51…表面部(第1対向面部)、52…側面部(第2対向面部)、53…裏面部(第3対向面部)、54…開口部、55…内部、56…小口、61…蓋部、62…挿入部、63…突起部、64…凹部、71…本体部、72…突出部、621…第1面部、622…第2面部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧材が固定部品を介して表面に取り付けられた面材を備えたドアであって、
前記化粧材の長手方向端部にキャップが取り付けられ、
前記キャップは、前記化粧材の小口を覆う蓋部と、前記化粧材の内部に挿入される挿入部と、前記面材に形成された挿通孔に挿通可能な突起部と、前記蓋部と前記突起部との間で前記面材側に開口する凹部と、を有して構成され、
前記キャップが取り付けられた前記化粧材が前記固定部品を介して面材に取り付けられた取付状態において、前記固定部品の少なくとも一部が前記凹部内に配置されるドア。
【請求項2】
前記化粧材は、前記面材側に開口するとともに長手方向に連続する開口部を有して構成され、
前記挿入部は、前記蓋部から延びて形成され、この挿入部から前記面材に向かって突出して前記突起部が形成され、
前記固定部品は、前記開口部に係合可能な本体部と、この本体部から前記面材に向かって突出する突出部とを有して構成され、前記面材に形成された係止孔に前記突出部を挿通して係止させることで当該固定部品が前記面材に取り付けられる請求項1に記載のドア。
【請求項3】
前記挿入部は、前記面材に対向する第1面部と、この第1面部から前記面材に向かって延びる一対の第2面部と、からなる断面コ字形部分を有して形成され、前記第1面部および前記一対の第2面部に三方が囲まれて前記凹部が形成されている請求項1または請求項2に記載のドア。
【請求項4】
前記化粧材の前記内部は、前記第1面部に対向する第1対向面部と、この第1対向面部から前記面材に向かって延びるとともに前記一対の第2面部同士の間隔よりも幅広となる一対の第2対向面部と、これら一対の第2対向面部から互いに接近する方向に向かって延びる一対の第3対向面部と、で区画された空間を有して構成され、当該空間に前記挿入部が圧入状態で挿入され、
前記固定部品の本体部は、前記一対の第3対向面部間に形成された開口部に挿入されて当該一対の第3対向面部に係合されるとともに、前記一対の第2対向面部間に配置されている請求項3に記載のドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−36585(P2012−36585A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175200(P2010−175200)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】