説明

ドア

【課題】 熱による反りとパネルの浮き上がりを防止することができ、且つ製作が容易なドアの提供。
【解決手段】 表裏のパネル1a,1bと、表裏のパネル間に挟まれた芯材2と、芯材の周囲に配置され且つ表裏のパネル間に挟まれた框3,4,5,6と、戸先側の見込み面に設けたエッジ材8とを備え、表裏のパネルのうち一方のパネル1bは、芯材及び框に全面接着してあり、他方のパネル1aは、戸先側の縁から所定の幅wで上縁より所定の高さh1を有する上部非接着領域7aと、戸先側の縁から所定の幅wで下縁より所定の高さh2を有する下部非接着領域7bを除いて芯材及び框に接着してあり、エッジ材2は他方側に見付け片9を有し、見付け片9と戸先框5とで他方のパネル1aの戸先側の縁部を挟持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関等に用いられる表裏のパネル間に芯材と框を挟み込んで接合したドアに関する。
【背景技術】
【0002】
玄関のドアは、金属製の上框、下框及び左右の竪框からなる框組みの内側に発泡スチロール等の芯材を配置し、框組み及び芯材の室外側面と室内側面に鋼板等のパネルを接着剤で接着して構成されている。ドアが日射を受けると、室外側のパネルは熱によって上下方向に大きく伸びようとし、室内側のパネルは芯材により断熱されているためほとんど伸びず、これら室外側と室内側のパネルが框組みと芯材に接着されて拘束されているため、ドアには上下方向の中間部が室外側に膨らむように反りが発生する。反りの量は、竪枠に蝶番で固定された吊元側よりも、フリーになっている戸先側で大きくなる。戸先側のドア内部には、デッドボルトとラッチボルトを備えた錠が埋め込んであり、デッドボルトとラッチボルトを竪枠の錠受けの穴に係合することでドアを施錠しているが、上述のようにドアに反りが生ずると、デッドボルトとラッチボルトが錠受けに係り難くなる。施錠を手動で行う場合には、ドアが反っていても住人がハンドルを持って室内側に引き寄せたり押し付けたりしながら錠を操作することで施錠できたが、近年は電子錠が広く普及し、電子錠の場合にはドアから離れたところからリモコンで操作するため、デッドボルトが錠受けに係合しない不具合が多発している。
【0003】
ドアの熱による反りを防止する従来の構造としては、特許文献1に開示された構造がある。このドアでは、框組みの見込み寸法が芯材の見込み寸法より小さくしてあり、室外側のパネルは框組みの室外側面に接着剤で接合するが、室内側のパネルは框組みの室内側面に接合していない。框組みの室内側面と室内側のパネルとの間には、スペーサーとなる断熱パネルと位置決め樹脂ブロックが配置されている。このドアは、室内側のパネルが框組みに接合されていないことで、室外側のパネルと室内側のパネルの熱伸び量の違いによって生ずるドアの反りを抑制している。
しかし上記ドアにおいては、室内側のパネルの縁部が框組みに接合されておらず、断熱パネルと位置決め樹脂ブロックを介して部分的に仮止めしてあるだけなので、室内側のパネルの縁部が浮き上がる不都合がある。さらに、断熱パネルを框組みの室内側面に両面テープで貼り付けたり、位置決めブロックを框組みに取付けたりする必要があり、ドアの製作に非常に手間が掛かる。また、框組みと芯材の見込み寸法を異ならせているので、框組みとスペーサー(断熱パネル、位置決めブロック)の見込み寸法の合計が芯材の見込み寸法と合致するように、各部材の寸法公差を管理する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3691410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、熱による反りとパネルの浮き上がりを防止することができ、且つ製作が容易なドアの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるドアは、表裏のパネルと、表裏のパネル間に挟まれた芯材と、芯材の周囲に配置され且つ表裏のパネル間に挟まれた框と、戸先側の見込み面に設けたエッジ材とを備え、表裏のパネルのうち一方のパネルは、芯材及び框に全面接着してあり、他方のパネルは、戸先側の縁から所定の幅で上縁より所定の高さを有する上部非接着領域と、戸先側の縁から所定の幅で下縁より所定の高さを有する下部非接着領域を除いて芯材及び框に接着してあり、エッジ材は他方側に見付け片を有し、見付け片と戸先框とで他方のパネルの戸先側の縁部を挟持していることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明によるドアは、請求項1記載の発明の構成に加え、上部非接着領域及び下部非接着領域は、戸先框と芯材とに跨る幅を有していることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明によるドアは、請求項1又は2記載の発明の構成に加え、上部非接着領域と下部非接着領域の幅は、錠及びハンドルの取付けに必要な幅と略同じ幅に設定してあることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明によるドアは、請求項1,2又は3記載の発明の構成に加え、ドアの開く範囲を所定の狭い範囲に規制する補助錠を備え、上部非接着領域は、上縁から補助錠の取付位置の上までとしてあり、下部非接着領域は、補助錠の取付位置よりも下に位置することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明によるドアは、請求項1,2,3又は4記載の発明の構成に加え、ドアの開く範囲を所定の狭い範囲に規制する補助錠と、一つの本締り錠と、ハンドルとを備え、上部非接着領域は、上縁から補助錠の取付位置の上までとしてあり、下部非接着領域は、下縁からハンドルの取付位置の下までとしてあることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明によるドアは、請求項1,2,3又は4記載の発明の構成に加え、ドアの開く範囲を所定の狭い範囲に規制する補助錠と、上下2つの本締り錠と、ハンドルとを備え、上部非接着領域は、上縁から補助錠の取付位置の上までとしてあり、下部非接着領域は、下縁から下の本締り錠の取付位置の下までとしてあることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明によるドアは、請求項1,2,3,4,5又は6記載の発明の構成に加え、ドアの開く範囲を所定の狭い範囲に規制する補助錠を備え、補助錠が取付く位置のドア内部にブロック体が設けてあり、ブロック体の両面が表裏のパネルに接着してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によるドアは、他方のパネルの戸先側の上部と下部とに非接着領域を設けてあり、日射を受けたときにこれらの部分が上下方向に自由に伸びるため、ドアの戸先側の反りを軽減することができる。戸先側の反りが小さくなることで、電子錠を用いた場合でも施錠不良を効果的に抑制できる。また、エッジ材の見付け片と戸先框とで他方のパネルの戸先側の縁部を挟持しているので、接着してない他方のパネルの戸先側の上部と下部が浮き上がることもない。さらに本発明のドアは、他方のパネルの上部と下部の非接着領域に接着剤を塗布しないだけで、通常のドアと同様に製作できるので、製作が容易である。
【0014】
請求項2記載の発明によるドアは、上部非接着領域及び下部非接着領域を戸先框と芯材とに跨る幅としたことで、戸先框とだけ接着しないものと比べて反りを防止する効果を高められる。
【0015】
請求項3記載の発明によるドアは、上部非接着領域と下部非接着領域の幅を錠及びハンドルの取付けに必要な幅と略同じ幅に設定してあることで、ドアの戸先部の反りを抑えつつドアに十分な剛性を持たせられる。
【0016】
請求項4記載の発明によるドアは、上部非接着領域が上縁から補助錠の取付位置の上までとしてあり、下部非接着領域は補助錠の取付位置よりも下に位置しており、一般に補助錠は熱伸び方向の略中間に位置するため、ドア戸先部の反りを効果的に防止できると共に、補助錠の取付位置では表裏のパネルが何れも接着されているため、補助錠の使用時にガタが発生しない。
【0017】
請求項5記載の発明によるドアは、上部非接着領域が上縁から補助錠の取付位置の上までとしてあり、下部非接着領域が下縁からハンドルの取付位置の下までとしてあるので、ドア戸先部の反りを効果的に防止できると共に、補助錠の取付位置からハンドルの取付位置の間は他方のパネルも接着固定されるためドアに十分な剛性を持たせられ、尚且つ補助錠の使用時にガタが発生しない。
【0018】
請求項6記載の発明によるドアは、上部非接着領域が上縁から補助錠の取付位置の上までとしてあり、下部非接着領域が下縁から下の本締り錠の取付位置の下までとしてあるので、ドア戸先部の反りを効果的に防止できると共に、補助錠の取付位置から下の本締り錠の取付位置の間は他方のパネルも接着固定されるためドアに十分な剛性を持たせられ、尚且つ補助錠の使用時にガタが発生しない。
【0019】
請求項7記載の発明によるドアは、補助錠が取付く位置のドア内部にブロック体が設けてあり、ブロック体の両面が表裏のパネルに接着してあることで、補助錠の使用時にガタが発生しない。また、他方のパネルに接着剤を塗布する際に、ブロック体の取付く位置を基準にして接着剤を塗布しない上部非接着領域と下部非接着領域を容易に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】室外側のパネルの接着領域と非接着領域を示すドアの室外側正面図である。
【図2】(a)は本発明の一実施形態に係る玄関ドアの室外側正面図、(b)は室内側正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図2のB−B断面図である。
【図5】ドアの分解斜視図である。
【図6】ドアのガラス嵌め込み部の分解斜視図である。
【図7】室外側のパネルの接着領域と非接着領域の他の実施形態を示すドアの室外側正面図である。
【図8】本締り錠が一つの場合の室外側のパネルの接着領域と非接着領域を示すドアの室外側正面図である。
【図9】(a)は玄関ドアの他の実施形態を示す室外側正面図、(b)は室内側正面図である。
【図10】図9のドアの室外側のパネルの接着領域と非接着領域を示す室外側正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2〜4は、本発明の一実施形態に係る玄関ドアを示している。この玄関ドアは、ドア枠15と、ドア枠15に蝶番16で開閉自在に取付けたドア14とを備える。
ドア14は、図2に示すように、戸先側の上下方向中間部に縦長のハンドル12を備え、ハンドル12より少し上に上がった位置と少し下がった位置の2箇所に本締り錠10a,10bを備えている。室内側面の戸先側には、上の本締り錠10aよりもさらに少し上に上がった位置にドアガード11を備えている。上下の本締り錠10a,10bは、キー及びサムターンに加えリモコンによっても施解錠操作が行える電子錠であり、リモコン等を操作することでデッドボルト17が戸先側から出没し、デッドボルト17が竪枠18の内周側面に設けた錠受け19に係合することで(図4参照)、ドア14を施錠する。錠受け19は、デッドボルト17が係合する穴がデッドボルト17よりも一回り大きく形成してあり、且つ室内外方向に取付位置を調整できるようになっている。ドアガード11は、アームを竪枠18に設けた受け金具20に引っ掛けることで、ドア14の開く範囲を所定の狭い範囲に規制できるものである。ハンドル12の付け根部分には、ラッチ錠(図示省略)を備えている。ドア14の室内側面の上部には、ドアクローザ24が設けてある。ドア14の中央部には、ガラス21を組み込んだ窓部22が縦長に設けてある。
【0022】
ドア14は、図3,4に示すように、室外側と室内側の表面に薄い鋼板を用いてなるパネル1a,1bを備え、ドア内部には室外側と室内側のパネル1a,1b間に挟む形で発泡スチロールの板よりなる芯材2が設けてあり、さらに両パネル1a,1b間には芯材2の周囲を囲むように上框3、下框4、戸先框5及び吊元框6が設けてある。上框3と下框4は、合成樹脂の押出形材を用いており、図3に示すように、内周側が開口した略コ字状断面になっている。戸先框5と吊元框6は、アルミ合金の押出形材を用いており、内周側が開口した略コ字状断面となっている。各框3,4,5,6の見込み寸法は、芯材2の見込み寸法と同一となっている。
【0023】
ドアガード11が取付く位置のドア内部には、図4に示すように木製のブロック体13が設けてあり、ドアガード11はブロック体13に木ネジ23を螺入して強固に取付けられている。ドアクローザ24が取付く位置のドア内部にも、同じように木製のブロック体25が設けてある。芯材2は、図5に示すように、ブロック体13,25が配置される位置と、上下の本締り錠10a,10bとハンドル12の取付け位置に対応して、切り欠き26が設けてある。
【0024】
窓部22は、図3,4,6に示すように、室外側と室内側のパネル1a,1bと芯材2とに同一形状の開口部27を形成し、ガラス21を挟むように開口部27に室外側と室内側から額縁28,29を嵌め込んで構成されている。室内側の額縁28は、矩形の枠状となっており、室外側の額縁29は左右の縦材29a,29a間にアルミ製のパネル29bを間隔をおいて設けたものとなっており、窓部22のデザインが室内側と室内側で異なっている。室外側の額縁29と室内側の額縁28とは、室内側からのネジ30で結合され、室内側の額縁28にはカバー31を取付けてネジ30を隠してある。
【0025】
室内側のパネル1bは、芯材2と各框3,4,5,6及びブロック体13,25の室内側面と、接着剤で全面的に接着してある。
一方、室外側のパネル1aは、図1に示すように、戸先側の上部と下部とに非接着領域7a,7bが設けてあり、この部分を除いて芯材2と各框3,4,5,6及びブロック体13,25の室外側面と接着剤で接着してある。ハッチングをした領域32は、接着領域を示す。上部非接着領域7aは、パネル1aの上縁からドアガード11の取付け位置にあたるブロック体13の上までとしてあり、下部非接着領域7bは、パネル1aの下縁から下の本締り錠10bの取付け位置の下までとしてある。上部非接着領域7a及び下部非接着領域7bは、パネル1aの戸先側の縁から戸先框5と芯材2に跨る幅wを有している。また、上部非接着領域7a及び下部非接着領域7bの幅wは、ハンドル12と本締り錠10a,10bとラッチ錠とドアガード11の取付けに必要な幅と略同じ幅(厳密には、その幅よりも少し大きい)に設定してある。具体的には、上部非接着領域7aの大きさは、幅wが130mm、高さh1が710mmであり、下部非接着領域7bの大きさは、幅wが130mm、高さh2が500mmである。なお、パネル1aの大きさは、幅が824mm、高さが2310mmである。すなわち戸先部においては、ドア14の全高さの半分以上を非接着領域7a,7bが占めている。
【0026】
ドア14の戸先側面には、図4に示すように、アルミ合金の押出形材よりなるエッジ材8が全高にわたって設けてある。エッジ材8は、室外側のパネル1aの戸先側の縁部の表面に当接する見付け片9を全長に亘って有しており、見付け片9と戸先框5とで室外側のパネル1aの戸先側の縁部を挟持することで、接着されていない室外側のパネル1aの戸先側の縁部が浮き上がるのを防止している。エッジ材8の室内側には、そのような見付け片はなく、室内側のパネル1bの表面と同面になっているので、竪枠18に取付けたタイト材33が傷つけられない。
【0027】
次に、本ドア14の製作手順を説明する。まず図5に示すように、室外側のパネル1aの裏面に上部非接着領域7aと下部非接着領域7bを除いて接着剤を塗布する。接着剤の塗布は機械によって自動的に行われるものであり、接着剤を塗布するハケがパネル1aの裏面全体をなでてゆき、接着剤を塗布する領域32ではハケから接着剤が出て、上部非接着領域7aと下部接着領域7bではハケから接着剤が出ないように設定する。次に、接着剤を塗布した室外側のパネル1aの裏面上にブロック体13,25、各框3,4,5,6、芯材2を載せる。その後、室内側のパネル1bの裏面全体に接着剤を塗布し、その上に載せる。その後、ドア14をプレス機で表裏からプレスし、パネル1a,1bをしっかり接着させる。その後、ドア14の戸先側面にエッジ材8を取付けると共に、図6に示すように、開口部27にガラス21と額縁28,29を嵌め込んで取付ける。最後に、本締り錠10a,10b、ハンドル12、ドアガード11、ドアクローザ24を取付ける。
【0028】
本ドア14は以上に述べたように、室外側のパネル1aの戸先側の部分が、ハンドル12やドアガード11等が配置された上下方向の中間部だけ接着され、その上方と下方にある上部非接着領域7aと下部接着領域7bは框3,4,5及び芯材2と接着されていないため、日射を受けたときに上部非接着領域7aと下部接着領域7bが上下方向に自由に伸びるため、ドア14の戸先側の反りを軽減することができる。戸先側の反りが小さくなることで、本締り錠10a,10bに電子錠を用いた場合でも、デッドボルト17が錠受け19に係合しない不具合の発生を効果的に抑制できる。また、エッジ材8の見付け片9と戸先框5とで室外側のパネル1aの戸先側の縁部を挟持しているので、接着してない室外側のパネル1aの戸先側の上部と下部が浮き上がることもない。さらに本ドア14は、室外側のパネル1aの上部と下部の非接着領域7a,7bに接着剤を塗布しないだけで、通常のドアと同様に製作することができ、框3,4,5,6と芯材2の見込み寸法が同一で、スペーサーを取付けたりする手間もいらないので、製作が容易である。
さらに本ドア14は、上部非接着領域7aと下部非接着領域7bが戸先框5と芯材2に跨る幅を有しているので、戸先框5とだけ接着しない場合と比べて、反りを防止する効果が高い。また、上部非接着領域7aと下部非接着領域7bの幅wを、ハンドル12や本締り錠10a,10b等の機能部品の取付けに必要な幅と略同じ幅に設定したので、戸先部の反りを抑えて施錠不良を効果的に抑制しつつ、ドア14の剛性を十分確保することができる。また、窓部22のデザインがどんなデザインのドアにも対応することができる。もちろん、窓部22が無いドアにも対応することができる。
ドアガード11を使用するときには、ドア14がドアガード11により室内側に引っ張られるが、本ドア14はドアガード11の取付け位置のドア内部に木製のブロック体13が配置され、ブロック体13の両面がパネル1a,1bと接着してあるため、ドアにガタが生じない。
【0029】
下部非接着領域7bは、図7に示すように、ドアガード11の取付け位置にあるブロック体13の下まで、上方にひろげることができる。このようにすることで、ドア戸先部の反りを防止する効果の向上が期待できる。
図8は、本締り錠10がハンドル12の上方に一つだけある場合の室外側のパネル1aの接着状態を示している。この場合、下部接着領域7bはパネル1aの下縁からハンドル12の取付位置のすぐ下までとしている。このドア14でも、先の実施形態のものと同様に戸先部の反りを抑制できる。
【0030】
図9,10は、玄関ドアの他の実施形態を示している。本ドア14は、先の実施形態のものよりも窓部22及び開口部27の幅が大幅に大きくなっている。室外側のパネル1aには、先の実施形態のものと同様に上部非接着領域7aと下部非接着領域7bを設けている。本ドア14では、室外側のパネル1aに開口部27が広く設けてあり、日射を受ける面積が小さいため、戸先部の反りは先の実施形態のものよりもさらに小さくなる。
【0031】
以上に述べたように本ドア14は、日射を受けて熱せられたときに戸先部に生ずる反りを確実に小さくすることができる。これにより、(人力でドアを引き寄せて手動で施錠する場合とは異なり、)電子錠を用いた場合には、ドアに反りが生じてデッドボルトが錠受けの穴から少しでも室外側に外れると正常に施錠できなくなるが、これを効果的に解消することができる。ドアの反りによる施錠の不都合は、一般的に、錠受け19の穴を大きくしたり、錠受け19の位置を室外側にずらしたりすることで対処されているが、それでも対処できない反りを緩和することで、施錠の不具合が解消される。しかも本ドア14は、室外側のパネル1aの上部非接着領域7aと下部非接着領域7bとに接着剤を塗布しないだけで、通常のフラッシュドアと同様に製作することができるため、手間やコストを何ら増加させることなく戸先部の反りを小さくできる点で優れている。すなわち、実際には、パネルに接着剤を塗布する全自動の機械に塗布領域を設定入力するだけで良いので、従来通りの手順を変更することなく極めて簡単に実施することができ、手間やコストを増加させることなく施錠の不都合を解消できる。
【0032】
本発明は、以上に述べた実施形態に限定されない。上部非接着領域7aと下部非接着領域7bは、室内側のパネル1bに設けることもできる。上部非接着領域7aと下部非接着領域7bの大きさは、適宜変更することができる。パネル1a,1b、框3,4,5,6、芯材2、エッジ材8の材質は、任意である。補助錠としては、アーム式のものに限らず、チェーンを用いたものであってもよい。本締り錠は、電子錠でなくてもよく、ハンドルと一体化したものでもよい。
【符号の説明】
【0033】
1a 室外側のパネル(他方のパネル)
1b 室内側のパネル(一方のパネル)
2 芯材
3 上框
4 下框
5 戸先框
6 吊元框
7a 上部非接着領域
7b 下部非接着領域
8 エッジ材
9 見付け片
10,10a,10b 本締り錠
11 ドアガード(補助錠)
12 ハンドル
13 ブロック体
14 ドア
w 上部非接着領域及び下部非接着領域の幅
h1 上部非接着領域の高さ
h2 下部非接着領域の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏のパネルと、表裏のパネル間に挟まれた芯材と、芯材の周囲に配置され且つ表裏のパネル間に挟まれた框と、戸先側の見込み面に設けたエッジ材とを備え、表裏のパネルのうち一方のパネルは、芯材及び框に全面接着してあり、他方のパネルは、戸先側の縁から所定の幅で上縁より所定の高さを有する上部非接着領域と、戸先側の縁から所定の幅で下縁より所定の高さを有する下部非接着領域を除いて芯材及び框に接着してあり、エッジ材は他方側に見付け片を有し、見付け片と戸先框とで他方のパネルの戸先側の縁部を挟持していることを特徴とするドア。
【請求項2】
上部非接着領域及び下部非接着領域は、戸先框と芯材とに跨る幅を有していることを特徴とする請求項1記載のドア。
【請求項3】
上部非接着領域と下部非接着領域の幅は、錠及びハンドルの取付けに必要な幅と略同じ幅に設定してあることを特徴とする請求項1又は2記載のドア。
【請求項4】
ドアの開く範囲を所定の狭い範囲に規制する補助錠を備え、上部非接着領域は、上縁から補助錠の取付位置の上までとしてあり、下部非接着領域は、補助錠の取付位置よりも下に位置することを特徴とする請求項1,2又は3記載のドア。
【請求項5】
ドアの開く範囲を所定の狭い範囲に規制する補助錠と、一つの本締り錠と、ハンドルとを備え、上部非接着領域は、上縁から補助錠の取付位置の上までとしてあり、下部非接着領域は、下縁からハンドルの取付位置の下までとしてあることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のドア。
【請求項6】
ドアの開く範囲を所定の狭い範囲に規制する補助錠と、上下2つの本締り錠と、ハンドルとを備え、上部非接着領域は、上縁から補助錠の取付位置の上までとしてあり、下部非接着領域は、下縁から下の本締り錠の取付位置の下までとしてあることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載のドア。
【請求項7】
ドアの開く範囲を所定の狭い範囲に規制する補助錠を備え、補助錠が取付く位置のドア内部にブロック体が設けてあり、ブロック体の両面が表裏のパネルに接着してあることを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載のドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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